樹脂膜形成方法、樹脂膜形成装置、及び電子回路基板製造方法
【課題】バルジやギャギーが発生することなく、樹脂膜パターンの幅や膜厚を均一化する。
【解決手段】インクジェット法で樹脂液の液滴を吐出することにより基板上に樹脂膜を形成する樹脂膜形成方法であって、複数の第1樹脂液の液滴が互いに接触しないように基板上に離間配置する第1樹脂液配置工程と、前記基板上に配置された前記第1樹脂液の液滴の少なくとも表面を硬化させる第1樹脂液硬化工程と、前記第1樹脂液の液滴の少なくとも表面が硬化した後、前記基板上の前記第1樹脂の液滴間の略中央に第2樹脂液の液滴を配置する第2樹脂液配置工程と、前記基板上に配置された前記第2樹脂液の液滴を硬化させる第2樹脂液硬化工程と、を含むことを特徴とする樹脂膜形成方法を提供することにより、前記課題を解決する。
【解決手段】インクジェット法で樹脂液の液滴を吐出することにより基板上に樹脂膜を形成する樹脂膜形成方法であって、複数の第1樹脂液の液滴が互いに接触しないように基板上に離間配置する第1樹脂液配置工程と、前記基板上に配置された前記第1樹脂液の液滴の少なくとも表面を硬化させる第1樹脂液硬化工程と、前記第1樹脂液の液滴の少なくとも表面が硬化した後、前記基板上の前記第1樹脂の液滴間の略中央に第2樹脂液の液滴を配置する第2樹脂液配置工程と、前記基板上に配置された前記第2樹脂液の液滴を硬化させる第2樹脂液硬化工程と、を含むことを特徴とする樹脂膜形成方法を提供することにより、前記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂膜形成方法、樹脂膜形成装置、及び電子回路基板製造方法に係り、特にインクジェット法で樹脂液の液滴を吐出することにより基板上に所定の樹脂膜パターンを形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリント配線板(電子回路基板)の製造方法として知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法、アディティブ法などでは、次のようにフォトリソ法が用いられている。以下、各方法について簡単に説明する。
【0003】
サブトラクティブ法では、図17(a)に示す絶縁性基材(絶縁層)901と銅箔の導体層(導電層)903からなる銅張積層板902にスルーホールとなる貫通穴904を形成し(図17(b))、無電解メッキ法又は電解メッキ法により導体層903の表面及び貫通穴904の内部に導体層907を形成して、スルーホール904を形成する(図17(c))。続いて、スルーホール904が形成された銅張積層板902に、ドライフィルムレジスト(DFR)又は液状レジストによりレジスト層905を形成し、このレジスト層905にフォトツール(不図示)を介して電子回路パターンを露光、現像してレジスト層905のパターンニングを行う(図17(d))。その後、レジストパターン(レジスト層905)により被覆されていない導体層903及び導体層907をエッチングにより除去し(図17(e))、最後にレジスト層905を除去すると、所定の回路パターンを有するプリント配線板908が完成する(図17(f))。
【0004】
アディティブ法では、図18(a)に示す絶縁性基材911にスルーホールとなる貫通穴914を形成し(図18(b))、ドライフィルムレジスト(DFR)や液状レジストによりレジスト層915を形成し、このレジスト層915にフォトツール(不図示)を介して電子回路パターンを露光、現像してレジスト層915のパターニングを行う((図18(c))。続いて、レジスト層915により被覆されていない絶縁性基材911上に無電解メッキ法により回路パターンとなる導体層917を形成するとともに貫通穴914の内部に導体層917を形成して、スルーホール914を形成し(図18(d))、最後にレジスト層915を除去すると、所望の回路パターンを有するプリント配線板918が完成する(図18(e))。
【0005】
セミアディティブ法では、図19(a)に示す絶縁性基材921(図19(a))にスルーホールとなる貫通穴924を形成し(図19(b))、無電解メッキ法によって絶縁性基材921の表面及び貫通穴924の内部に導体層923を形成する(図19(c))。続いて、ドライフィルムレジスト(DFR)や液状レジストによりレジスト層925を形成して、このレジスト層925にフォトツール(不図示)を介して、電子回路ネガパターンを露光、現像してレジスト層925のパターニングを行う(図19(d))。その後、レジスト層925により被覆されていない導体層923をシード層として電解メッキ法により回路パターンとなる導体層927を形成し(図19(e))、レジスト層925を除去し(図19(f))、更に、導体層927でメッキ形成されていない導体層923をエッチングにより除去すると、所望の回路パターンを有するプリント配線板928が完成する(図19(g))。
【0006】
このようにフォトリソ法を利用した各種方法では、所望のレジストパターニングを得るためにフォトツールの作成や露光、現像工程が必要となり、これらに要する時間やコストが大きく掛かってしまうといった問題がある。また、現像工程における廃液処理の問題もある。
【0007】
これに対して、インクジェット方式を用いてレジストパターンを直接描画する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。即ち、インクジェット方式の吐出ヘッド(インクジェットヘッド)から液状レジスト材料(レジストインク)を液滴化して吐出し、基板上にレジストパターンを直接描画し、このレジストパターンをマスクとしてエッチングを行い、所望の配線パターン(回路パターン)を有するプリント配線板を得ることができる。この方法によれば、フォトツール作成やドライフィルムレジスト(DFR)のラミネーション、露光、現像工程などを削減することができる。
【0008】
更に、インクジェット方式を用いて配線パターンを直接描画する方法も提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。即ち、インクジェット方式の吐出ヘッド(インクジェットヘッド)から導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液を液滴化して吐出し、基板上に所望の配線パターンを直接描画することで、所望の配線パターンを有するプリント配線板を得ることができる。このような方法は、プリント配線板の製造に限らず、様々なデバイス(例えば、プラズマ型表示装置、液晶表示装置、有機EL表示装置など)の導電膜配線、カラーフィルタの構成要素となる膜などを形成する手段として好適に利用されている。
【特許文献1】特開昭56−66089号公報
【特許文献2】特許第3578162号公報
【特許文献3】特開2004−351305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載された発明には次のような問題がある。
【0010】
特許文献1に記載された発明は、インクジェット方式を用いてレジストパターンを直接描画する方法であり、具体的には、銅箔表面にレジスト(耐酸性で乾燥時に固形物となる物質を含むインク)をインクジェット法で直接描画する方法である。この方法では、フォトツール作成やDFRのラミネーション、露光、現像工程が削減され、各種処理剤等の消耗品、処理設備が不要となる反面、上記のように銅箔表面にインクジェット法でレジストを直接描画するので、銅箔表面に着弾した未乾燥状態の液滴が濡れ広がり、その結果、液滴が合一して、バルジ(線が膨らんでしまう現象)やジャギー(線に凹凸が発生する現象)が発生してしまう問題がある。特にシリコーンワニスで粘度を3〜20cPに調整しているので、このレベルの低粘度液滴では、銅箔表面に着弾した際はバルジが更に発生しやすい。つまり、この方法では、所望のレジストパターンを得ることは難しい。
【0011】
特許文献2に記載された発明は、インクジェット方式を用いて配線パターンを直接描画する方法であり、具体的には、複数の第1のパターンを形成し、この第1のパターンの間に複数の液滴を配置して、第1のパターン同士を一体化させる方法である。この方法によれば、膜パターン縁部の形状が良好で、かつ幅の広い膜パターンの形成が可能であり、また、膜パターンの幅が広いので、電気伝導が有利であり、短絡、断線等も生じ難いという効果を得られるものの、液滴配置工程の第1工程内で液滴L1同士が互いに接することによる合一は無くても、実質的には濡れ広がってしまい、これを抑制するため、基板表面を液体材料に対して撥液性に加工(表面処理)する必要がある。特に、表面処理工程の自己組織化膜形成法では、室温放置は2〜3日、100℃保持は3時間と長時間を要し、製造コストが高くなるとともに膜化合物(FAS)が高価である。また、表面処理工程のプラズマ照射法では、真空中での作業、ガス必要等により、工程、設備がより増えるといった問題もある。また、基板を予め加熱しておくことで分散媒の除去が進行して、液滴配置工程の第1工程内における複数液滴L1の直径安定化と膜厚均一化と厚膜化には好ましいが、液滴L2配置時に液滴L2が塗れ広がらず、更に液滴L2の分散媒除去も同時に進行するため、配置済みである液滴L1同士の間の隙間を埋められない恐れがある。
【0012】
特許文献3に記載された発明は、インクジェット方式を用いて配線パターンを直描する方法であり、具体的には、撥液領域間の被塗布領域内に間隔をあけて液滴を複数吐出する第1吐出工程と、これと吐出位置をずらして、被塗布領域内に液滴を吐出する第2吐出工程とを有する方法である。この方法によれば、膜厚が均一となり、厚膜化も可能となるとされているが、撥液性膜で形成された撥液領域間の被塗布領域に液滴を吐出するため、予め基板に撥液・親液パターニングを行う必要がある。特に、撥液化処理工程の自己組織化膜形成方法では、上述した特許文献2と同様の問題がある。また、親液化処理工程の紫外線照射法では、配線パターンに応じたマスクが必要であり、結果的にはフォトリソ法を利用する必要がある。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、バルジやギャギーが発生することなく、樹脂膜パターンの幅や膜厚が均一化された樹脂膜形成方法、樹脂膜形成装置、及び電子回路基板製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、インクジェット法で樹脂液の液滴を吐出することにより基板上に所定の樹脂膜パターンを形成する樹脂膜形成方法であって、複数の第1樹脂液の液滴が互いに接触しないように基板上に離間配置する第1樹脂液配置工程と、前記基板上に配置された前記第1樹脂液の液滴の少なくとも表面を硬化させる第1樹脂液硬化工程と、前記第1樹脂液の液滴の少なくとも表面が硬化した後、前記基板上の前記第1樹脂の液滴間の略中央に第2樹脂液の液滴を配置する第2樹脂液配置工程と、前記基板上に配置された前記第2樹脂液の液滴を硬化させる第2樹脂液硬化工程と、を含むことを特徴とする樹脂膜形成方法を提供する。
【0015】
本発明によれば、基板上に第1樹脂液の液滴を離間配置することで第1樹脂液の液滴は互いに合一することがなく、更に、その表面が少なくとも硬化した状態で、第1樹脂液の液滴間に第2樹脂液の液滴を配置することで、第2樹脂液の液滴は隣接する第1樹脂液の液滴間をブリッジ(液橋)するように濡れ広がり、第1樹脂液の液滴間の隙間を埋めることが可能となる。その結果、バルジやジャギーが発生することなく、樹脂膜パターンの幅や膜厚を均一化することが可能となる。
【0016】
第1樹脂液と第2樹脂液は異なる材料でもよいし、同一材料でもよい。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂膜形成方法であって、前記第1樹脂液と前記第2樹脂液は異なる硬化特性を有することを特徴とする。
【0018】
請求項2の態様によれば、第1及び第2樹脂液を互いに影響を受けることなく確実に硬化させることができるので、より高精度な樹脂膜パターンを形成することが可能となる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の樹脂膜形成方法であって、前記第1樹脂液は熱硬化性を有する樹脂液であり、少なくとも前記基板の樹脂膜パターンが形成される面側の表面温度が前記第1樹脂液の硬化温度以上となるように加熱された状態で、前記第1樹脂液配置工程が行われることを特徴とする。
【0020】
請求項3の態様によれば、第1樹脂液の液滴は基板上に着弾すると同時に熱硬化するので、基板の表面温度と第1樹脂液の物性から熱硬化後の第1樹脂液の液滴の直径の予測が可能となり、隣接する第1樹脂液の液滴間に配置される第2樹脂液の液滴量(体積)の最適化が可能となる。その結果、樹脂膜パターンの幅や膜厚をより均一化することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の樹脂膜形成方法であって、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の隙間に相当する領域における前記第1樹脂液の液滴の配列方向に垂直な方向の両縁部に対して、前記第1樹脂液の液滴よりも少量である少なくとも2つの第3樹脂液の液滴を前記第1樹脂液の液滴に接触しないように離間配置する第3樹脂液配置工程と、前記基板上に配置された前記第3樹脂液の液滴を硬化させる第3樹脂液硬化工程と、を更に含み、前記第2樹脂液配置工程は、前記第1樹脂液及び前記第3樹脂液の液滴の少なくとも表面が硬化した後に行われることを特徴とする。
【0022】
請求項4の態様によれば、基板上の第1樹脂液の液滴間の所定位置(第1樹脂液の液滴間で隙間が大きい位置)に離間配置され、少なくとも表面が硬化した少なくとも2つの第3樹脂液の液滴は、その後に配置される第2樹脂液の液滴が第1樹脂液の液滴の配列方向に垂直な方向に必要以上に濡れ広がるのを防ぐ柱として機能するので、樹脂膜パターンの幅をより均一化することが可能となる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の樹脂膜形成方法であって、前記第1樹脂液と前記第3樹脂液は同一の硬化特性を有することを特徴とする。
【0024】
請求項5の態様によれば、第1樹脂液と前記第3樹脂液を同一の硬化手段で硬化させることも可能となり、生産性の向上やコストダウンを図ることが可能となる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の樹脂膜形成方法であって、 前記第3樹脂液配置工程において、前記基板上の同一位置に対して前記第3樹脂液の液滴を複数積層することを特徴とする。
【0026】
請求項6の態様によれば、第2樹脂液の液滴が第1樹脂液の液滴の配列方向に垂直な方向に必要以上に濡れ広がるのを防止する効果がより高まるとともに、第2樹脂液の液滴量を増やすことも可能となり、樹脂膜パターンを厚膜化することも可能となる。
【0027】
また、前記目的を達成するために、請求項7乃至請求項13に記載の発明は装置発明を提供する。即ち、請求項7に記載の発明は、基板に対して第1樹脂液の液滴を吐出する第1樹脂液吐出手段と、前記基板に対して第2樹脂液の液滴を吐出する第2樹脂液吐出手段と、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴を硬化させる第1樹脂液硬化手段と、前記基板上の前記第2樹脂液の液滴を硬化させる第2樹脂液硬化手段と、複数の前記第1樹脂液の液滴が互いに接触しないように前記基板上に離間配置されるように前記第1樹脂液吐出手段を制御するとともに、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の略中央に前記第2樹脂液の液滴が配置されるように前記第2樹脂液吐出手段を制御する吐出制御手段と、を備えたことを特徴とする樹脂膜形成装置を提供する。
【0028】
本発明においては、第1樹脂液吐出手段及び第2樹脂液吐出手段は1つの液体吐出ヘッドで構成されていてもよいし、それぞれ異なる液体吐出ヘッドで構成されていてもよい。
【0029】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の樹脂膜形成装置であって、前記第1樹脂液と前記第2樹脂液は異なる硬化特性を有することを特徴とする。
【0030】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の樹脂膜形成装置であって、前記第1樹脂液は熱硬化性を有する樹脂液であり、少なくとも前記基板の樹脂膜パターンが形成される面側の表面温度が前記第1樹脂液の硬化温度以上となるように加熱する加熱制御手段を更に備え、前記吐出制御手段は、前記加熱制御手段により少なくとも前記基板の樹脂膜パターンが形成される面側の表面温度が前記第1樹脂液の硬化温度以上となるように加熱された状態で、複数の前記第1樹脂液の液滴を前記基板上に離間配置するように前記第1樹脂液吐出手段を制御する手段であることを特徴とする。
【0031】
請求項10に記載の発明は、請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の樹脂膜形成装置であって、前記基板に対して前記第1樹脂液の液滴よりも少量である第3樹脂液の液滴を吐出する第3樹脂液吐出手段と、前記吐出制御手段は、更に、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の隙間に相当する領域における第1樹脂液の配列方向に垂直な方向の両縁部に対して、前記第1樹脂液の液滴に接触しないようにして、前記第3樹脂液の液滴が少なくとも2滴以上配置されるように前記第3樹脂液吐出手段も制御する手段であることを特徴とする。
【0032】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の樹脂膜形成装置であって、前記第1樹脂液と前記第3樹脂液は同一の硬化特性を有することを特徴とする。
【0033】
請求項12に記載の発明は、請求項10又は請求項11に記載の樹脂膜形成装置であって、前記第1樹脂液吐出手段及び前記第3樹脂液吐出手段は、前記第1樹脂液の液滴を吐出する第1ノズルと前記第3樹脂液の液滴を吐出する第2ノズルとを備えた同一の液体吐出ヘッドで構成されることを特徴とする。
【0034】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の樹脂膜形成装置であって、前記第1ノズルの両隣には、少なくとも1つの前記第2ノズルがそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0035】
更に、前記目的を達成するために、請求項14に記載の発明は、表面に導体層が形成された基板の前記導体層が形成される面側に、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の樹脂膜形成方法を用いて所定の樹脂膜パターンを形成し、前記樹脂膜パターンによって被覆されていない導体層部分を除去して前記導体層のパターニングを行い、前記樹脂膜パターンを除去することを特徴とする電子回路基板製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、基板上に第1樹脂液の液滴を離間配置することで第1樹脂液の液滴は互いに合一することがなく、更に、その表面が少なくとも硬化した状態で、第1樹脂液の液滴間に第2樹脂液の液滴を配置することで、第2樹脂液の液滴は隣接する第1樹脂液の液滴間をブリッジ(液橋)するように濡れ広がり、第1樹脂液の液滴間の隙間を埋めることが可能となる。その結果、バルジやジャギーが発生することなく、樹脂膜パターンの幅や膜厚を均一化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0038】
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態として樹脂膜形成方法の一実施形態について説明する。
【0039】
本実施形態の樹脂膜形成方法は、インクジェット方式の液体吐出ヘッド(インクジェットヘッド)から樹脂液の液滴を吐出することにより基板上に樹脂膜パターンを形成する方法である。
【0040】
液体吐出ヘッドの吐出方式としては、圧電素子の変位を利用して圧力室に充填された液体(樹脂液)を加圧してノズルから液滴を吐出する圧電方式や、ヒーター等の発熱素子で生じる熱エネルギーを利用して圧力室内に気泡を生じさせ、気泡成長に伴う圧力によってノズルから液滴を吐出するサーマル方式を適用することができる。もちろん、これら吐出方式に限定されず、その他各種方式に対しても本発明は適用可能である。
【0041】
樹脂膜パターン形成用の基板としては、後述する加熱や紫外線照射に耐え得る材質であれば特に限定されるものではなく、例えば、石英ガラス、珪酸塩ガラス、ソーダライムガラスなどのガラス基板、シリコン基板(Si基板)、表面に銅箔層(導体層)が形成された銅張積層板、金属基板など各種のものを用いることができる。
【0042】
図1は、第1の実施形態における樹脂膜形成方法の一例として、基板上に線状の樹脂膜パターンを形成する場合の手順を示している。同図の(a)、(b)において、それぞれの上段は基板上方から見た平面図、下段は基板側方から見た断面図である。10は樹脂膜パターン形成用の基板であり、12は基板10を支持する固定テーブルであり、この固定テーブル12は加熱手段を兼ねる。14は固定テーブル(加熱手段)12で発生した熱を基板10表面(樹脂膜パターンが形成される面)に伝達する熱伝導手段である。熱伝導手段14の構成材料としては特に限定されるものではないが、金属の中でも特に金、銀、銅などの熱伝導率の高い材料が好適に用いられる。
【0043】
本実施形態の樹脂膜形成方法では、熱硬化性(第1硬化特性)を有する第1樹脂液と、紫外線硬化性(第2硬化特性)を有する第2樹脂液とが用いられる。第1及び第2樹脂液は、樹脂液毎に設けられる液体吐出ヘッド(不図示)からそれぞれ液滴化され吐出される。もちろん、第1及び第2樹脂液が1つの液体吐出ヘッドからそれぞれ液滴化され吐出される態様もあり得る。
【0044】
まず、固定テーブル(加熱手段)12により基板10表面が所定温度(第1樹脂液の硬化温度以上)となるように加熱した状態で、液体吐出ヘッド(不図示)から第1樹脂液を液滴化して吐出し、図1(a)に示すように、基板10上に着弾した隣接する第1樹脂液の液滴20、20同士が互いに接触しないように(即ち、隣接する液滴20、20間の間隔をあけて)、複数の第1樹脂液の液滴20を基板10上に離間配置する(第1樹脂液配置工程)。
【0045】
上記のように複数の液滴20を離間配置するためには、基板10上で隣接する液滴20、20間の中心間距離(離間ピッチ)をPとしたとき、液滴20の離間ピッチPが液滴20の直径Dより大きくする必要がある。なお、液滴20の離間ピッチP及び直径Dは、基板10上で液滴20が熱硬化後の状態の寸法とする。一方、隣接する液滴20、20間の間隔が広すぎると(即ち、液滴20の離間ピッチPが大きすぎると)、後述する第2樹脂液配置工程において隣接する液滴20、20間に配置される第2樹脂液の液滴22(図1(b)参照)の液滴量の制御が難しくなり、樹脂膜パターンの膜厚や幅が不均一になりやすいことから、液滴20の離間ピッチPは液滴20の直径Dの1.5倍より小さいことが好ましい。即ち、液滴20のピッチPは次式 D<P<1.5Dで示される範囲であることが好ましく、隣接する液滴20、20間に配置される第2樹脂液の液滴量の最適化を図ることができ、その結果、樹脂膜パターンの幅や膜厚を均一化することが可能となる。
【0046】
本実施形態においては、第1樹脂液配置工程が行われる前に基板10表面は熱硬化性を有する第1樹脂液の硬化温度以上に予め加熱されているので、液体吐出ヘッドから吐出され基板10上に着弾した第1樹脂液の液滴20は着弾と同時に加熱され硬化(熱硬化)する(第1樹脂液硬化工程)。
【0047】
次に、液体吐出ヘッド(不図示)から第2樹脂液の液滴を吐出し、図1(b)に示すように、基板10上で隣接する液滴20、20間の略中央に第2樹脂液の液滴22を配置する(第2樹脂液配置工程)。
【0048】
第2樹脂液は第1樹脂液とは異なる硬化特性として紫外線硬化性を有するため、第2樹脂液の液滴22は基板10上に着弾した時点では硬化せずに、基板10上で隣接する硬化状態の液滴20、20間でブリッジ(液橋)するように濡れ広がり、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めることが可能となる。
【0049】
図示の例では、基板10上で隣接する液滴20、20間の中央に液滴22が配置される。つまり、液滴20の配列方向(図の横方向)に関して、液滴20の離間ピッチPの半分(即ち、P/2)だけシフトされた状態で、隣接する液滴20、20間にそれぞれ液滴22が液滴20の離間ピッチPと同一ピッチで配列されている。
【0050】
本発明の実施に際しては、隣接する液滴20からの液滴22までのシフト量は必ずしも液滴20の離間ピッチPの半分(即ち、P/2)である必要はなく(即ち、隣接する液滴20間の中央に液滴22が配置されることは必須ではない)、液滴22がその両側に位置する液滴20、20のいずれか一方に偏ることなくそれら液滴20、20間の隙間を埋めるように濡れ広がればよい。液滴22のシフト量としては、(P/2)±20%以内、即ち、0.8×(P/2)以上1.2×(P/2)以内の範囲であることが好ましい。例えば、解像度1200dpiの場合には、好ましい液滴22のシフト量は21.2±2μm以内の範囲である。
【0051】
このようにして基板10上で隣接する液滴20、20間の略中央に第2樹脂液の液滴22を配置した後、隣接する液滴20、20間でその隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、基板10表面に対して紫外線照射を行う(第2樹脂液硬化工程)。
【0052】
紫外線照射は、基板10の表面全体に対して照射してもよいし、第2樹脂液の液滴22に対して部分的に照射してもよい。第1及び第2樹脂液の硬化特性は異なっているので、いずれの場合も第2樹脂液の液滴22のみを選択的に硬化させることができる。
【0053】
本実施形態で用いられる各樹脂液の一例を挙げると、図2に示すように、第1樹脂液として硬化温度100℃で熱硬化するポリイミド前躯体などが用いられ、第2樹脂液として感光波長365nm(i線)の紫外線照射で硬化する汎用レジスト、光硬化性モノマーなどが用いられる。第1樹脂液配置工程を行う際、基板10の表面温度が100℃以上(例えば120℃)となるように加熱しておくことで、上記のように第1樹脂液の液滴20を基板10上に着弾すると同時に熱硬化させることができる。また、第2樹脂液硬化工程において、感光波長365nm(i線)の紫外線照射により、第2樹脂液の液滴22を硬化させることができる。
【0054】
このように異なる硬化特性を有する第1及び第2樹脂液を用いて、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置し(第1樹脂液配置工程)、基板10上で液滴20を熱硬化させ(第1樹脂液硬化工程)、隣接する液滴20、20間に第2樹脂液の液滴22を配置し(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、第2樹脂液の液滴22を紫外線照射により硬化させることで(第2樹脂液硬化工程)、基板10上に所望の樹脂膜パターンが形成された基板を得ることができる。
【0055】
本実施形態によれば、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置することで液滴20同士は互いに合一することなく硬化し、更に、隣接する液滴20、20間に第2樹脂液の液滴22を配置することで、その液滴22は隣接する液滴20、20間をブリッジ(液橋)するように濡れ広がり、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めることが可能となる。その結果、バルジやジャギーが発生することなく、樹脂膜パターンの幅や膜厚を均一化することが可能となる。
【0056】
特に、本実施形態の如く、熱硬化性を有する第1樹脂液の硬化温度以上に基板10表面を予め加熱した状態で第1樹脂液配置工程が行われる態様によれば、液体吐出ヘッドから吐出され基板10上に着弾した第1樹脂液の液滴20を着弾と同時に熱硬化させることができるので、基板の生産性が向上するとともに、基板10の表面温度(加熱温度)と第1樹脂液の物性から熱硬化後における液滴20の直径の予測を容易に行うことが可能となり、隣接する液滴20、20間に配置される第2樹脂液の液滴量を最適化することが可能となる。
【0057】
また、各樹脂液の硬化特性は異なるので、第1及び第2樹脂液を互いに影響を受けることなく確実に硬化させることができる。即ち、第1樹脂液の液滴20を硬化させるための条件を基板10に対して付与している状態(即ち、基板10表面を所定温度に加熱している状態)で、隣接する液滴20、20間に第2樹脂液の液滴22が配置される場合でも、液滴22は硬化することなく隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように濡れ広がる。このため、より高精度な樹脂膜パターンを形成することが可能となる。
【0058】
本実施形態において、基板10上で隣接する第1樹脂液の液滴20、20間に第2樹脂液の液滴22が配置される時点においては、液滴20内部まで完全に硬化していることは必ずしも必要ではなく、液滴20の少なくとも表面が液滴22との着弾干渉が防止される程度に硬化していればよい。このような場合には、第2樹脂液硬化工程後(第2樹脂液硬化工程前でもよい)に基板10の後加熱を行い、第1樹脂液の液滴20内部まで完全に硬化させればよい。
【0059】
本実施形態では、基板10表面(樹脂膜パターンが形成される面)のみを加熱する態様を一例として示したが、基板10全体を加熱する態様もあり得る。ただし、基板10表面のみを加熱する態様の方が好ましく、基板10の厚みや材料に左右されることなく、基板10表面を第1樹脂液の硬化温度に適した温度に精度良く制御することができ、多種多様な基板に対して樹脂膜パターンを形成することが可能となる。
【0060】
本実施形態では、熱硬化性(第1硬化特性)を有する第1樹脂液と、紫外線硬化性(第2硬化特性)を有する第2樹脂液とを用いて、基板10上に樹脂膜パターンを形成する方法を一例として示したが、本発明の実施に際しては、各樹脂液の硬化特性は特に本例に限定されるものではない。以下、本実施形態の他の例(第1〜第5変形例)について説明する。
【0061】
図3は、本実施形態の第1変形例の説明図である。第1変形例は、第1の実施形態における各樹脂液の硬化特性を逆にした態様であり、紫外線硬化性を有する第1樹脂液と、熱硬化性を有する第2樹脂液が用いられる。具体的には、第1樹脂液として感光波長365nm(i線)で紫外線硬化する汎用レジスト、光硬化性モノマーなどが用いられる一方で、第2樹脂液として硬化温度100℃で熱硬化するポリイミド前躯体などが用いられる。
【0062】
第1変形例においては、基板10表面を加熱せずに常温とした状態で、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置し(第1樹脂液配置工程)、感光波長365nm(i線)の紫外線照射により液滴20を硬化させ(第1樹脂液硬化工程)、隣接する液滴20、20間に第2の樹脂液の液滴22を配置し(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、基板10の表面温度が100℃以上(例えば120℃)となるように後加熱を行って液滴22を硬化させる(第2樹脂液硬化工程)。
【0063】
図4は、本実施形態の第2変形例の説明図である。第2変形例で用いられる各樹脂液はいずれも紫外線硬化性を有するが、これら樹脂液が硬化する感光波長が異なっている。具体的には、第1樹脂液として感光波長365nm(i線)で紫外線硬化する汎用レジスト、光硬化性モノマーなどが用いられる一方で、第2樹脂液として感光波長248nm(KrFエキシマレーザー)で紫外線硬化する汎用レジスト、光硬化性モノマーなどが用いられる。
【0064】
第2変形例においては、基板10表面を加熱せずに常温とした状態で、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置し(第1樹脂液配置工程)、感光波長365nm(i線)の紫外線照射により液滴20を硬化させ(第1樹脂液硬化工程)、隣接する液滴20、20間に第2の樹脂液の液滴22を配置して(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、感光波長248nm(KrFエキシマレーザー)の紫外線照射により液滴22を硬化させる(第2樹脂液硬化工程)。
【0065】
図5は、本実施形態の第3変形例の説明図である。第3変形例は、熱可塑性を有する第1樹脂液と、熱硬化性を有する第2樹脂液とが用いられる。具体的には、第1樹脂液として融点150℃以上の樹脂液、例えばポリアミド(融点215℃)、ポリカーボネート(融点230℃)の樹脂液などが用いられる一方で、第2樹脂液として硬化温度100〜150℃の樹脂液、例えばポリイミド前躯体(硬化温度100℃)などが用いられる。
【0066】
第3変形例においては、基板10表面を加熱せずに常温とした状態で、液体吐出ヘッド内部の第1樹脂液をその融点以上に加熱した状態で吐出を行い、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置すると(第1樹脂液配置工程)、その液滴20は基板10上に着弾すると同時に冷却され硬化する(第1樹脂液硬化工程)。続いて、隣接する液滴20、20間に第2の樹脂液の液滴22を配置して(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、基板10の表面温度が第2樹脂液の硬化温度以上となるように後加熱を行って液滴22を硬化させる(第2樹脂液硬化工程)。
【0067】
図6は、本実施形態の第4変形例の説明図である。第4変形例で用いられる各樹脂液はいずれも熱可塑性を有するが、これら樹脂液の融点が異なっている。具体的には、第1樹脂液として融点150℃以上の樹脂液、例えばポリアミド(融点215℃)、ポリカーボネート(融点230℃)の樹脂液などが用いられる一方で、第2樹脂液として融点70℃以上の樹脂液、例えばポリスチレン(ガラス転移点80〜90℃)、アクリロニトリル(融点84℃)の樹脂液などが用いられる。
【0068】
第4変形例においては、基板10の表面温度が70〜150℃(即ち、第2樹脂液の融点以上第1樹脂液の融点以下)となるように加熱した状態で、液体吐出ヘッド内部の第1樹脂液をその融点以上に加熱した状態で吐出を行い、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置すると(第1樹脂液配置工程)、その液滴20は基板10上に着弾すると同時に冷却され硬化する(第1樹脂液硬化工程)。続いて、液体吐出ヘッド内部の第2樹脂液をその融点以上に加熱した状態で吐出を行い、隣接する液滴20、20間に第2樹脂液の液滴22を配置して(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、基板10を第2樹脂液の融点以下に冷却して液滴22を硬化させる(第2樹脂液硬化工程)。
【0069】
図7は、本実施形態の第5変形例の説明図である。第5変形例では、揮発性の異なる樹脂液が用いられる。具体的には、第1樹脂液として揮発性が高い揮発性樹脂液(温度70℃以上)と、第2樹脂液として揮発性が低い難揮発性樹脂液(温度150℃以上)とが用いられる。
【0070】
第5変形例においては、基板10の表面温度が120℃となるように加熱した状態で、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置し(第1樹脂液配置工程)、基板10上の液滴20を溶媒蒸発により硬化させ(第1樹脂液硬化工程)、隣接する液滴20、20間に第2の樹脂液の液滴22を配置して(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、基板10の表面温度が150℃となるように後加熱を行って液滴22を溶媒蒸発により硬化させる(第2樹脂液硬化工程)。
【0071】
上述した各変形例(第1〜第5変形例)においても、基板10上に離間配置された第1樹脂液の液滴20は互いに合一することなく即硬化させること可能であるとともに、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように第2樹脂液の液滴22を濡れ広がらせることもできるので、本実施形態と同様に、バルジやジャギーが発生することなく、樹脂膜パターンの幅や膜厚を均一化することができる。
【0072】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態として樹脂膜形成方法の他の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
【0073】
図8は、第2の実施形態における樹脂膜形成方法の一例として、線状の樹脂膜パターンを形成する場合の手順の一例を示している。図8の(a)〜(c)において、それぞれの上段は基板上方から見た平面図、下段は基板側方から見た断面図である。図8中、図1と共通する部分には同一番号を付している。
【0074】
本実施形態の樹脂膜形成方法では、第1の実施形態と同様に、熱硬化性(第1硬化特性)を有する第1樹脂液と、紫外線硬化性(第2硬化特性)を有する第2樹脂液とが用いられる。
【0075】
まず、固定テーブル(加熱手段)12により基板10表面が所定温度(第1樹脂液の硬化温度以上)となるように加熱した状態で、図8(a)に示すように、第1樹脂液の液滴20を基板10上に離間配置する(第1樹脂液配置工程)。これにより、基板10上で液滴20は熱硬化する(第1樹脂液硬化工程)。ここまでの工程は第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0076】
次に、図8(b)に示すように、基板10上で隣接する第1樹脂液の液滴20、20間の隙間に相当する領域における液滴20の配列方向(図の横方向)に垂直な方向の両縁部に対して、液滴20の液滴量(体積)より少量である2つの第1樹脂液の液滴(小滴)24を液滴20に接触しないように離間配置する(小滴配置工程)。
【0077】
液滴量の異なる大小のノズルを備えた同一の液体吐出ヘッドから各液滴20、24が吐出されるように構成されていてもよいし、異なる液体吐出ヘッドからそれぞれ液滴20、24が吐出されるように構成されていてもよい。
【0078】
基板10表面は予め第1樹脂液の硬化温度以上に予め加熱されているので、液体吐出ヘッドから吐出され基板10上に着弾した第1樹脂液の液滴(小滴)24は着弾すると同時に加熱され硬化(熱硬化)する(小滴硬化工程)。
【0079】
ここで、小滴配置工程について詳しく説明する。図9は、図8(b)の一部を拡大した詳細図である。図9において隣接する液滴20、20間の隙間に相当する領域をQとする。領域Qについて詳しく定義すると、領域Qとは、隣接する液滴20、20それぞれの稜線のうち、互いに対向する稜線部分30A、30Bと、隣接する液滴20、20の共通接線(液滴20の配列方向(図の横方向)に平行な共通接線)32A、32Bとで囲まれる領域である。
【0080】
図9に示すように、2つの小滴24は、上記のように定義される領域Qにおいて液滴20の配列方向に垂直な方向(図の縦方向、図8(c)の矢印方向)の両縁部にそれぞれ配置される。また、これら2つの小滴24は、液滴20の配列方向(図の横方向)に関しては隣接する液滴20、20の略中央に配置される。特に、図示の例では、2つの小滴24はそれぞれ共通接線32A、32Bに接するようにして、領域Q内部に完全に含まれている。
【0081】
このように領域Qにおいて隣接する液滴20、20間の距離が大きくなる位置に小滴24が配置されるので、熱硬化後の小滴24は、次の工程(第2樹脂液配置工程)において隣接する液滴20、20間(即ち、領域Q内部)に配置される第2樹脂液の液滴22が液滴20の配列方向に垂直な方向(図の縦方向、図8(c)の矢印方向)に必要以上に濡れ広がるのを防止する柱として機能する。
【0082】
基板10上で隣接する液滴20、20間の中心間距離(離間ピッチ)をPとしたとき(図8(a)参照)、図8(b)に示すように、液滴20の配列方向(図の横方向)に関して、液滴20の離間ピッチPの半分(即ち、P/2)だけシフトされた状態で、隣接する液滴20、20間にそれぞれ2つの小滴24が液滴20の離間ピッチPと同一ピッチで配列されている。
【0083】
本発明の実施に際しては、隣接する液滴20から小滴24までのシフト量は必ずしも液滴20の離間ピッチPの半分(P/2)である必要はなく(即ち、隣接する液滴20間の中央に液滴22が配置されることは必須ではない)、液滴20の配列方向に垂直な方向に対する第2樹脂液の液滴22の濡れ広がりが必要以上に拡大するのを防止することができる程度に、領域Qにおいて隣接する液滴20、20間の距離が大きくなる位置に配置されていればよい。液滴22のシフト量としては、(P/2)±20%以内、即ち、0.8×(P/2)以上1.2×(P/2)以内の範囲であることが好ましい。例えば、解像度1200dpiの場合には、好ましい液滴22のシフト量は21.2±2μm以内の範囲である。
【0084】
また、熱硬化後の小滴24の直径は、(液滴20の離間ピッチP)×25〜30%であることが好ましい。即ち、0.25×P以上0.30×P以内の範囲である液滴径(熱硬化後)が好ましい。例えば、解像度1200dpiの場合には、直径5.3〜6.4μmの液滴径(熱硬化後)が好ましい範囲である。
【0085】
また、本実施形態において、小滴24は領域Q内部に完全に含まれる態様を一例として示したが、本発明の実施に際してはこれに限定されず、小滴24の一部の領域であるならば、領域Q外部に食み出してもよい。図9に示した例のように、即ち、隣接する液滴20、20の配列方向に垂直な方向の境界線(即ち、共通接線32A、32B)に小滴24が接触するように配置されているのが、最も好ましいが、小滴24が隣接する液滴20、20の配列方向に垂直な方向の境界線(即ち、共通接線32A、32B)と接しなくてもよい。つまり、小滴24の一部領域であるならば、領域Q外部に食み出しても、その食み出し量が小さければ、第2樹脂液の液滴22の濡れ広がりが必要以上に拡大するのを防止することができる。隣接する液滴20、20間の共通接線32A(又は32B)から小滴24の稜線までの距離は、熱硬化後の小滴24の直径の40%以内の範囲であることが好ましく、特に小滴24が共通接線32A(又は32B)から食み出す場合には、小滴24の共通接線32A(又は32B)から食み出した側の稜線までの距離が、熱硬化後の小滴24の直径の40%以内であることが好ましい。
【0086】
また、本実施形態において、隣接する液滴20、20間の隙間に相当する領域Q内部にそれぞれ2つの小滴24が配置される態様を一例として示したが、本発明の実施に際してはこれに限定されず、3つ以上の小滴24が配置されていてもよい。例えば、図10に示すように、隣接する液滴20、20間に4つの小滴24が配置されていてもよい。液滴20の液滴量、液滴20の離間ピッチ、小滴24の液滴量などに応じて、領域Q内部に配置する小滴24の数を決定するようにすればよい。
【0087】
また、本実施形態において、基板10上の同一位置に複数の小滴24を積層する態様が好ましい。即ち、図11に示すように、基板10上の同一位置に複数の小滴24を積層することにより、積層状態にある複数の小滴24が硬化して形成される柱の高さは、その両側に離間配置される液滴20、20の高さに近づくので、次の工程(第2樹脂液配置工程)で配置される第2樹脂液の液滴22が、液滴20の配列方向に垂直な方向への濡れ広がりをより効果的に防止することができる。また、隣接する液滴20、20間に配置される第2樹脂液の液滴量を増やすことが可能となり、樹脂膜パターンを厚膜化することが可能となる。
【0088】
上記のようにして隣接する液滴20、20間に少なくとも2つの小滴24を配置して硬化させた後、第1の実施形態と同様にして、隣接する液滴20、20間に第2樹脂液の液滴22を配置して(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、第2樹脂液の液滴22を紫外線照射により硬化させればよい(第2樹脂液硬化工程)。
【0089】
本実施形態によれば、基板10上で隣接する液滴20、20間の隙間に相当する領域Q内部における液滴20の配列方向に垂直な方向の両縁部に対して、液滴20に接触しないように離間配置され硬化した小滴24が、隣接する液滴20、20間に配置される液滴22が液滴20の配列方向に垂直な方向に対して濡れ広がるのが必要以上に拡大するのを防止する柱として機能するので、所望の樹脂膜パターンを形成することができる。
【0090】
本実施形態において、第1樹脂液配置工程で基板10上に離間配置される液滴20と、隣接する液滴20、20間の隙間に相当する領域Q内部に配置される液滴(小滴)24は同一樹脂液(第1樹脂液)で構成されるが、本発明の実施に際してはこれに限定されず、これら液滴20、24は異なる樹脂液で構成されていてもよい。ただし、液滴20、24が同一樹脂液で構成される態様の方が好ましく、これら液滴20、24の硬化手段を共通化することができ、装置構成を簡略化やコストダウンを図ることが可能となる。
【0091】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態として樹脂膜形成方法の他の実施形態について説明する。以下、上述した各実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
【0092】
本実施形態の樹脂膜形成方法では、第1又は第2の実施形態において、第2樹脂液配置工程で配置される第2樹脂液の液滴22の液滴量(体積)を、第1樹脂液配置工程で離間配置された隣接する第1樹脂液の液滴20、20間の空間容積に相当する液滴量とする。即ち、熱硬化後の液滴20の直径をD、膜厚をT、液滴量をS1、隣接する液滴20、20間の中心間距離(離間ピッチ)をP、液滴22の液滴量をS2としたとき、次式を満足するように構成される。
【0093】
S2=(D×T×P)−(1/2)×S1
このように第2樹脂液の液滴22の液滴量(S2)を隣接する液滴20、20間の空間容積に相当する液滴量とすることで最適化を図ることができ、樹脂膜パターンの幅や膜厚をより均一化することが可能となる。
【0094】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態として樹脂膜形成装置の一実施形態について説明する。
【0095】
図12は、第4の実施形態における樹脂膜形成装置の全体構成の概略を示す斜視図である。図12に示す樹脂膜形成装置50は、インクジェット方式を用いて上述した第1及び第2樹脂液をそれぞれ液滴化して基板10上に吐出する液体吐出ヘッド52と、液体吐出ヘッド52を支持するY軸アーム54及びY軸アーム54の両端部を支持する2本のY軸ガイド56と、液体吐出ヘッド52から一定間隔をあけて2本のY軸ガイド56に両端部が支持されるUV光源58と、基板10を上面側(液体吐出ヘッド52から吐出された樹脂液の液滴が着弾する面)から保持する上固定テーブル60と、基板10を下面側から支持する下固定テーブル62とから構成されている。上固定テーブル60は、第1の実施形態における加熱手段及び熱伝導手段を兼ねている。
【0096】
また、この樹脂形成装置50は、図示は省略したが、図12において矢印Yで図示する移動方向(副走査方向)に沿って液体吐出ヘッド52及びUV光源58をそれぞれ移動(走査)させるY軸機構を備えている。
【0097】
図12に示す液体吐出ヘッド52は、基板10の幅(図12に矢印Yで示す液体吐出ヘッド52の移動方向(副走査方向)と直交する主走査方向の長さ)に対応する長さにわたって各樹脂液を吐出するノズル(不図示)を並べたノズル列を有するライン型ヘッドであり、基板10に対して液体吐出ヘッド52を副走査方向に1回走査させるだけで(即ち、1回の副走査で)、基板10の全域に樹脂膜パターンを形成することができる。
【0098】
なお、図12に示す液体吐出ヘッド12は、基板10の幅よりも短い長さの短尺の液体吐出ヘッドを基板10の幅方向に複数並べて構成してもよい。
【0099】
本実施形態においては、同一の液体吐出ヘッド52から第1及び第2樹脂液がそれぞれ液滴化され吐出される態様を一例として示したが、本発明の実施に際してはこれに限定されず、例えば、後述する第5の実施形態で説明するように(図13参照)、樹脂液毎に設けられる液体吐出ヘッドからそれぞれ対応する樹脂液が液滴化され吐出される態様もある。
【0100】
また、図示は省略するが、樹脂膜形成装置50は、基板10表面(樹脂膜パターンが形成される面)と液体吐出ヘッド52の吐出面(ノズル面)との間の距離を可変させるZ軸機構を備える態様もある。液体吐出ヘッド52から基板10に対して樹脂液を液滴化して吐出させる際には、そのZ軸機構により液体吐出ヘッド52をZ軸方向に移動させて、液体吐出ヘッド52の吐出面から基板10表面までの距離が所定値(例えば、1mm〜数mm)に調整される。
【0101】
UV光源58は、基板10の幅に対応する長さにわたるライン状の紫外線LEDなどで構成され、液体吐出ヘッド52と同様、基板10に対してUV光源58を副走査方向に1回走査させるだけで、基板10の全域に紫外線を照射することができる。
【0102】
上固定テーブル60は加熱手段及び熱伝導手段を兼ねており、上固定テーブル60により基板10表面が所定温度となるように加熱が行われる。
【0103】
このように構成される樹脂膜形成装置50は、更に、液体吐出ヘッド52の吐出制御、UV光源58の発光制御、及び上固定テーブル(加熱手段)60の加熱制御を行う制御手段(不図示)を備え、この制御手段によって上述した各実施形態(第1〜第4の実施形態)として示した樹脂膜形成方法のいずれかが実行され、基板10上に所望の樹脂膜パターンが形成される。
【0104】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態として樹脂膜形成装置の一実施形態について説明する。
【0105】
図13は、第5の実施形態における樹脂膜形成装置の全体構成の概略を示す斜視図である。図13中、図12と共通する部分には同一番号を付して、その説明を省略する。
【0106】
本実施形態では、各樹脂液に対応する液体吐出ヘッドがそれぞれ設けられる。即ち、図13に示すように、本実施形態の樹脂膜形成装置50′には、熱硬化性を有する第1樹脂液に対応する液体吐出ヘッド52Aと、紫外線硬化性を有する第2樹脂液に対応する液体吐出ヘッド52Bとが設けられている。各液体吐出ヘッド52A、52Bからそれぞれ対応する樹脂液が液滴化され吐出される。なお、図示の例では、各液体吐出ヘッド52A、52Bはそれぞれ異なるY軸アーム54A、54Bに支持されているが、これら液体吐出ヘッド52A、52Bは同一のY軸アームに支持されていてもよい。
【0107】
このように樹脂液毎に液体吐出ヘッドが設けられる態様によれば、基板10上に第1樹脂液の液滴を配置後に、即座に第2樹脂液の液滴を配置することが可能となり、生産性が向上する。特に、基板10上の異なる位置に対して、第1樹脂液配置工程と第2樹脂液配置工程をそれぞれ並列的に実施することができるので生産性が向上する。
【0108】
図14は、第1樹脂液に対応する液体吐出ヘッド52Aにおけるノズル配置の構成例を示した平面図である。図14に示した例では、吐出液滴量の異なる大小のノズル70A、70Bが主走査方向に沿って規則的に配列されたノズル列72が主走査方向に直交しない斜めの方向に沿って複数配列されている。このノズル列72は、液滴量の多い大ノズル70Aが主走査方向に沿って等間隔に配列され、主走査方向に隣接する大ノズル70A、70A間に液滴量の少ない2つの小ノズル70Bがそれぞれ設けられている。言い換えれば、大ノズル70Aの主走査方向の両隣にはそれぞれ小ノズル70Bが配置されている。
【0109】
このように第1樹脂液に対応する液体吐出ヘッド52Aに大小のノズル70A、70Bが設けられる態様によれば、最初の液滴配置時には大ノズル70Aからメインサイズの液滴吐出を行い、次の液滴配置時にはその大ノズル70Aの両隣にある小ノズル70Bから小滴サイズの液滴吐出を行うことができる。例えば、メインサイズの液滴と小滴サイズの液滴とを大小のノズル70A、70Bからそれぞれ同時に吐出して基板10上に配置することも可能となり生産性が向上する。特に、第2の実施形態の樹脂膜形成方法に対して好適である。
【0110】
図15は、第1樹脂液に対応する液体吐出ヘッド52Aにおけるノズル配置の他の構成例を示した平面図である。図15中、図14と共通する部分については同一番号を付して、その説明を省略する。図15に示した例では、主走査方向のノズル列72′は、大ノズル70Aと小ノズル70Bが交互に設けられている。即ち、図14では主走査方向に隣接する大ノズル70A、70A間に設けられる小ノズル70Bの数は2つであるのに対して、図15では1つに共用化されている。
【0111】
図15に示すノズル配置の構成によれば、図14に示した場合に比べて、液体吐出ヘッド52Aに設けられる小ノズル70Bの数が全体的に少なくなるので、液体吐出ヘッド52Aの構成を簡素化することができる。
【0112】
〔第6の実施形態〕
次に、本発明の第6の実施形態としてプリント配線板(電子回路基板)の製造方法の一実施形態について説明する。
【0113】
図16は、第6の実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示した工程図である。本実施形態のプリント配線板の製造方法では、図16(a)に示すように、絶縁基板80の表面に導体層82が形成された基板84の表面側(導体層82が形成される面側)にレジストパターンを形成する際、上述した第1〜第4の実施形態における樹脂膜形成方法のいずれか1つが適用される。図16(b)に示すように、基板84の表面側にレジストパターン86が形成された後、レジストパターン86によって被覆されていない導体層部分を除去して導体層82のパターニングを行い(図16(c))、最後にレジストパターン86を除去すると、所望の配線パターン(回路パターン)が形成されたプリント配線板88を得ることができる(図16(d))。
【0114】
以上、本発明の樹脂膜形成方法、樹脂膜形成装置、及び電子回路基板製造方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】第1の実施形態における樹脂膜形成方法の一例を示した説明図
【図2】第1の実施形態で用いられる樹脂液などの条件等を示した説明図
【図3】第1の実施形態の第1変形例を示した説明図
【図4】第1の実施形態の第2変形例を示した説明図
【図5】第1の実施形態の第3変形例を示した説明図
【図6】第1の実施形態の第4変形例を示した説明図
【図7】第1の実施形態の第5変形例を示した説明図
【図8】第2の実施形態における樹脂膜形成方法の一例を示した説明図
【図9】小滴配置例を示した拡大詳細図
【図10】他の小滴配置例を示した説明図
【図11】複数の小滴を積層する態様を示した説明図
【図12】第4の実施形態における樹脂膜形成装置の全体構成の概略を示す斜視図
【図13】第5の実施形態における樹脂膜形成装置の全体構成の概略を示す斜視図
【図14】ノズル配置の構成例を示した平面図
【図15】ノズル配置の他の構成例を示した平面図
【図16】第6の実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示した工程図
【図17】サブアトラクティブ法の説明図
【図18】アディティブ法の説明図
【図19】セミアディティブ法の説明図
【符号の説明】
【0116】
10…基板、12…固定テーブル、20…第1樹脂液の液滴、22…第2樹脂液の液滴、24…第1樹脂液の液滴(小滴)、50…樹脂膜形成装置、52…液体吐出ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂膜形成方法、樹脂膜形成装置、及び電子回路基板製造方法に係り、特にインクジェット法で樹脂液の液滴を吐出することにより基板上に所定の樹脂膜パターンを形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリント配線板(電子回路基板)の製造方法として知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法、アディティブ法などでは、次のようにフォトリソ法が用いられている。以下、各方法について簡単に説明する。
【0003】
サブトラクティブ法では、図17(a)に示す絶縁性基材(絶縁層)901と銅箔の導体層(導電層)903からなる銅張積層板902にスルーホールとなる貫通穴904を形成し(図17(b))、無電解メッキ法又は電解メッキ法により導体層903の表面及び貫通穴904の内部に導体層907を形成して、スルーホール904を形成する(図17(c))。続いて、スルーホール904が形成された銅張積層板902に、ドライフィルムレジスト(DFR)又は液状レジストによりレジスト層905を形成し、このレジスト層905にフォトツール(不図示)を介して電子回路パターンを露光、現像してレジスト層905のパターンニングを行う(図17(d))。その後、レジストパターン(レジスト層905)により被覆されていない導体層903及び導体層907をエッチングにより除去し(図17(e))、最後にレジスト層905を除去すると、所定の回路パターンを有するプリント配線板908が完成する(図17(f))。
【0004】
アディティブ法では、図18(a)に示す絶縁性基材911にスルーホールとなる貫通穴914を形成し(図18(b))、ドライフィルムレジスト(DFR)や液状レジストによりレジスト層915を形成し、このレジスト層915にフォトツール(不図示)を介して電子回路パターンを露光、現像してレジスト層915のパターニングを行う((図18(c))。続いて、レジスト層915により被覆されていない絶縁性基材911上に無電解メッキ法により回路パターンとなる導体層917を形成するとともに貫通穴914の内部に導体層917を形成して、スルーホール914を形成し(図18(d))、最後にレジスト層915を除去すると、所望の回路パターンを有するプリント配線板918が完成する(図18(e))。
【0005】
セミアディティブ法では、図19(a)に示す絶縁性基材921(図19(a))にスルーホールとなる貫通穴924を形成し(図19(b))、無電解メッキ法によって絶縁性基材921の表面及び貫通穴924の内部に導体層923を形成する(図19(c))。続いて、ドライフィルムレジスト(DFR)や液状レジストによりレジスト層925を形成して、このレジスト層925にフォトツール(不図示)を介して、電子回路ネガパターンを露光、現像してレジスト層925のパターニングを行う(図19(d))。その後、レジスト層925により被覆されていない導体層923をシード層として電解メッキ法により回路パターンとなる導体層927を形成し(図19(e))、レジスト層925を除去し(図19(f))、更に、導体層927でメッキ形成されていない導体層923をエッチングにより除去すると、所望の回路パターンを有するプリント配線板928が完成する(図19(g))。
【0006】
このようにフォトリソ法を利用した各種方法では、所望のレジストパターニングを得るためにフォトツールの作成や露光、現像工程が必要となり、これらに要する時間やコストが大きく掛かってしまうといった問題がある。また、現像工程における廃液処理の問題もある。
【0007】
これに対して、インクジェット方式を用いてレジストパターンを直接描画する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。即ち、インクジェット方式の吐出ヘッド(インクジェットヘッド)から液状レジスト材料(レジストインク)を液滴化して吐出し、基板上にレジストパターンを直接描画し、このレジストパターンをマスクとしてエッチングを行い、所望の配線パターン(回路パターン)を有するプリント配線板を得ることができる。この方法によれば、フォトツール作成やドライフィルムレジスト(DFR)のラミネーション、露光、現像工程などを削減することができる。
【0008】
更に、インクジェット方式を用いて配線パターンを直接描画する方法も提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。即ち、インクジェット方式の吐出ヘッド(インクジェットヘッド)から導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液を液滴化して吐出し、基板上に所望の配線パターンを直接描画することで、所望の配線パターンを有するプリント配線板を得ることができる。このような方法は、プリント配線板の製造に限らず、様々なデバイス(例えば、プラズマ型表示装置、液晶表示装置、有機EL表示装置など)の導電膜配線、カラーフィルタの構成要素となる膜などを形成する手段として好適に利用されている。
【特許文献1】特開昭56−66089号公報
【特許文献2】特許第3578162号公報
【特許文献3】特開2004−351305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載された発明には次のような問題がある。
【0010】
特許文献1に記載された発明は、インクジェット方式を用いてレジストパターンを直接描画する方法であり、具体的には、銅箔表面にレジスト(耐酸性で乾燥時に固形物となる物質を含むインク)をインクジェット法で直接描画する方法である。この方法では、フォトツール作成やDFRのラミネーション、露光、現像工程が削減され、各種処理剤等の消耗品、処理設備が不要となる反面、上記のように銅箔表面にインクジェット法でレジストを直接描画するので、銅箔表面に着弾した未乾燥状態の液滴が濡れ広がり、その結果、液滴が合一して、バルジ(線が膨らんでしまう現象)やジャギー(線に凹凸が発生する現象)が発生してしまう問題がある。特にシリコーンワニスで粘度を3〜20cPに調整しているので、このレベルの低粘度液滴では、銅箔表面に着弾した際はバルジが更に発生しやすい。つまり、この方法では、所望のレジストパターンを得ることは難しい。
【0011】
特許文献2に記載された発明は、インクジェット方式を用いて配線パターンを直接描画する方法であり、具体的には、複数の第1のパターンを形成し、この第1のパターンの間に複数の液滴を配置して、第1のパターン同士を一体化させる方法である。この方法によれば、膜パターン縁部の形状が良好で、かつ幅の広い膜パターンの形成が可能であり、また、膜パターンの幅が広いので、電気伝導が有利であり、短絡、断線等も生じ難いという効果を得られるものの、液滴配置工程の第1工程内で液滴L1同士が互いに接することによる合一は無くても、実質的には濡れ広がってしまい、これを抑制するため、基板表面を液体材料に対して撥液性に加工(表面処理)する必要がある。特に、表面処理工程の自己組織化膜形成法では、室温放置は2〜3日、100℃保持は3時間と長時間を要し、製造コストが高くなるとともに膜化合物(FAS)が高価である。また、表面処理工程のプラズマ照射法では、真空中での作業、ガス必要等により、工程、設備がより増えるといった問題もある。また、基板を予め加熱しておくことで分散媒の除去が進行して、液滴配置工程の第1工程内における複数液滴L1の直径安定化と膜厚均一化と厚膜化には好ましいが、液滴L2配置時に液滴L2が塗れ広がらず、更に液滴L2の分散媒除去も同時に進行するため、配置済みである液滴L1同士の間の隙間を埋められない恐れがある。
【0012】
特許文献3に記載された発明は、インクジェット方式を用いて配線パターンを直描する方法であり、具体的には、撥液領域間の被塗布領域内に間隔をあけて液滴を複数吐出する第1吐出工程と、これと吐出位置をずらして、被塗布領域内に液滴を吐出する第2吐出工程とを有する方法である。この方法によれば、膜厚が均一となり、厚膜化も可能となるとされているが、撥液性膜で形成された撥液領域間の被塗布領域に液滴を吐出するため、予め基板に撥液・親液パターニングを行う必要がある。特に、撥液化処理工程の自己組織化膜形成方法では、上述した特許文献2と同様の問題がある。また、親液化処理工程の紫外線照射法では、配線パターンに応じたマスクが必要であり、結果的にはフォトリソ法を利用する必要がある。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、バルジやギャギーが発生することなく、樹脂膜パターンの幅や膜厚が均一化された樹脂膜形成方法、樹脂膜形成装置、及び電子回路基板製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、インクジェット法で樹脂液の液滴を吐出することにより基板上に所定の樹脂膜パターンを形成する樹脂膜形成方法であって、複数の第1樹脂液の液滴が互いに接触しないように基板上に離間配置する第1樹脂液配置工程と、前記基板上に配置された前記第1樹脂液の液滴の少なくとも表面を硬化させる第1樹脂液硬化工程と、前記第1樹脂液の液滴の少なくとも表面が硬化した後、前記基板上の前記第1樹脂の液滴間の略中央に第2樹脂液の液滴を配置する第2樹脂液配置工程と、前記基板上に配置された前記第2樹脂液の液滴を硬化させる第2樹脂液硬化工程と、を含むことを特徴とする樹脂膜形成方法を提供する。
【0015】
本発明によれば、基板上に第1樹脂液の液滴を離間配置することで第1樹脂液の液滴は互いに合一することがなく、更に、その表面が少なくとも硬化した状態で、第1樹脂液の液滴間に第2樹脂液の液滴を配置することで、第2樹脂液の液滴は隣接する第1樹脂液の液滴間をブリッジ(液橋)するように濡れ広がり、第1樹脂液の液滴間の隙間を埋めることが可能となる。その結果、バルジやジャギーが発生することなく、樹脂膜パターンの幅や膜厚を均一化することが可能となる。
【0016】
第1樹脂液と第2樹脂液は異なる材料でもよいし、同一材料でもよい。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂膜形成方法であって、前記第1樹脂液と前記第2樹脂液は異なる硬化特性を有することを特徴とする。
【0018】
請求項2の態様によれば、第1及び第2樹脂液を互いに影響を受けることなく確実に硬化させることができるので、より高精度な樹脂膜パターンを形成することが可能となる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の樹脂膜形成方法であって、前記第1樹脂液は熱硬化性を有する樹脂液であり、少なくとも前記基板の樹脂膜パターンが形成される面側の表面温度が前記第1樹脂液の硬化温度以上となるように加熱された状態で、前記第1樹脂液配置工程が行われることを特徴とする。
【0020】
請求項3の態様によれば、第1樹脂液の液滴は基板上に着弾すると同時に熱硬化するので、基板の表面温度と第1樹脂液の物性から熱硬化後の第1樹脂液の液滴の直径の予測が可能となり、隣接する第1樹脂液の液滴間に配置される第2樹脂液の液滴量(体積)の最適化が可能となる。その結果、樹脂膜パターンの幅や膜厚をより均一化することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の樹脂膜形成方法であって、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の隙間に相当する領域における前記第1樹脂液の液滴の配列方向に垂直な方向の両縁部に対して、前記第1樹脂液の液滴よりも少量である少なくとも2つの第3樹脂液の液滴を前記第1樹脂液の液滴に接触しないように離間配置する第3樹脂液配置工程と、前記基板上に配置された前記第3樹脂液の液滴を硬化させる第3樹脂液硬化工程と、を更に含み、前記第2樹脂液配置工程は、前記第1樹脂液及び前記第3樹脂液の液滴の少なくとも表面が硬化した後に行われることを特徴とする。
【0022】
請求項4の態様によれば、基板上の第1樹脂液の液滴間の所定位置(第1樹脂液の液滴間で隙間が大きい位置)に離間配置され、少なくとも表面が硬化した少なくとも2つの第3樹脂液の液滴は、その後に配置される第2樹脂液の液滴が第1樹脂液の液滴の配列方向に垂直な方向に必要以上に濡れ広がるのを防ぐ柱として機能するので、樹脂膜パターンの幅をより均一化することが可能となる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の樹脂膜形成方法であって、前記第1樹脂液と前記第3樹脂液は同一の硬化特性を有することを特徴とする。
【0024】
請求項5の態様によれば、第1樹脂液と前記第3樹脂液を同一の硬化手段で硬化させることも可能となり、生産性の向上やコストダウンを図ることが可能となる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の樹脂膜形成方法であって、 前記第3樹脂液配置工程において、前記基板上の同一位置に対して前記第3樹脂液の液滴を複数積層することを特徴とする。
【0026】
請求項6の態様によれば、第2樹脂液の液滴が第1樹脂液の液滴の配列方向に垂直な方向に必要以上に濡れ広がるのを防止する効果がより高まるとともに、第2樹脂液の液滴量を増やすことも可能となり、樹脂膜パターンを厚膜化することも可能となる。
【0027】
また、前記目的を達成するために、請求項7乃至請求項13に記載の発明は装置発明を提供する。即ち、請求項7に記載の発明は、基板に対して第1樹脂液の液滴を吐出する第1樹脂液吐出手段と、前記基板に対して第2樹脂液の液滴を吐出する第2樹脂液吐出手段と、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴を硬化させる第1樹脂液硬化手段と、前記基板上の前記第2樹脂液の液滴を硬化させる第2樹脂液硬化手段と、複数の前記第1樹脂液の液滴が互いに接触しないように前記基板上に離間配置されるように前記第1樹脂液吐出手段を制御するとともに、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の略中央に前記第2樹脂液の液滴が配置されるように前記第2樹脂液吐出手段を制御する吐出制御手段と、を備えたことを特徴とする樹脂膜形成装置を提供する。
【0028】
本発明においては、第1樹脂液吐出手段及び第2樹脂液吐出手段は1つの液体吐出ヘッドで構成されていてもよいし、それぞれ異なる液体吐出ヘッドで構成されていてもよい。
【0029】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の樹脂膜形成装置であって、前記第1樹脂液と前記第2樹脂液は異なる硬化特性を有することを特徴とする。
【0030】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の樹脂膜形成装置であって、前記第1樹脂液は熱硬化性を有する樹脂液であり、少なくとも前記基板の樹脂膜パターンが形成される面側の表面温度が前記第1樹脂液の硬化温度以上となるように加熱する加熱制御手段を更に備え、前記吐出制御手段は、前記加熱制御手段により少なくとも前記基板の樹脂膜パターンが形成される面側の表面温度が前記第1樹脂液の硬化温度以上となるように加熱された状態で、複数の前記第1樹脂液の液滴を前記基板上に離間配置するように前記第1樹脂液吐出手段を制御する手段であることを特徴とする。
【0031】
請求項10に記載の発明は、請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の樹脂膜形成装置であって、前記基板に対して前記第1樹脂液の液滴よりも少量である第3樹脂液の液滴を吐出する第3樹脂液吐出手段と、前記吐出制御手段は、更に、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の隙間に相当する領域における第1樹脂液の配列方向に垂直な方向の両縁部に対して、前記第1樹脂液の液滴に接触しないようにして、前記第3樹脂液の液滴が少なくとも2滴以上配置されるように前記第3樹脂液吐出手段も制御する手段であることを特徴とする。
【0032】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の樹脂膜形成装置であって、前記第1樹脂液と前記第3樹脂液は同一の硬化特性を有することを特徴とする。
【0033】
請求項12に記載の発明は、請求項10又は請求項11に記載の樹脂膜形成装置であって、前記第1樹脂液吐出手段及び前記第3樹脂液吐出手段は、前記第1樹脂液の液滴を吐出する第1ノズルと前記第3樹脂液の液滴を吐出する第2ノズルとを備えた同一の液体吐出ヘッドで構成されることを特徴とする。
【0034】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の樹脂膜形成装置であって、前記第1ノズルの両隣には、少なくとも1つの前記第2ノズルがそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0035】
更に、前記目的を達成するために、請求項14に記載の発明は、表面に導体層が形成された基板の前記導体層が形成される面側に、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の樹脂膜形成方法を用いて所定の樹脂膜パターンを形成し、前記樹脂膜パターンによって被覆されていない導体層部分を除去して前記導体層のパターニングを行い、前記樹脂膜パターンを除去することを特徴とする電子回路基板製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、基板上に第1樹脂液の液滴を離間配置することで第1樹脂液の液滴は互いに合一することがなく、更に、その表面が少なくとも硬化した状態で、第1樹脂液の液滴間に第2樹脂液の液滴を配置することで、第2樹脂液の液滴は隣接する第1樹脂液の液滴間をブリッジ(液橋)するように濡れ広がり、第1樹脂液の液滴間の隙間を埋めることが可能となる。その結果、バルジやジャギーが発生することなく、樹脂膜パターンの幅や膜厚を均一化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0038】
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態として樹脂膜形成方法の一実施形態について説明する。
【0039】
本実施形態の樹脂膜形成方法は、インクジェット方式の液体吐出ヘッド(インクジェットヘッド)から樹脂液の液滴を吐出することにより基板上に樹脂膜パターンを形成する方法である。
【0040】
液体吐出ヘッドの吐出方式としては、圧電素子の変位を利用して圧力室に充填された液体(樹脂液)を加圧してノズルから液滴を吐出する圧電方式や、ヒーター等の発熱素子で生じる熱エネルギーを利用して圧力室内に気泡を生じさせ、気泡成長に伴う圧力によってノズルから液滴を吐出するサーマル方式を適用することができる。もちろん、これら吐出方式に限定されず、その他各種方式に対しても本発明は適用可能である。
【0041】
樹脂膜パターン形成用の基板としては、後述する加熱や紫外線照射に耐え得る材質であれば特に限定されるものではなく、例えば、石英ガラス、珪酸塩ガラス、ソーダライムガラスなどのガラス基板、シリコン基板(Si基板)、表面に銅箔層(導体層)が形成された銅張積層板、金属基板など各種のものを用いることができる。
【0042】
図1は、第1の実施形態における樹脂膜形成方法の一例として、基板上に線状の樹脂膜パターンを形成する場合の手順を示している。同図の(a)、(b)において、それぞれの上段は基板上方から見た平面図、下段は基板側方から見た断面図である。10は樹脂膜パターン形成用の基板であり、12は基板10を支持する固定テーブルであり、この固定テーブル12は加熱手段を兼ねる。14は固定テーブル(加熱手段)12で発生した熱を基板10表面(樹脂膜パターンが形成される面)に伝達する熱伝導手段である。熱伝導手段14の構成材料としては特に限定されるものではないが、金属の中でも特に金、銀、銅などの熱伝導率の高い材料が好適に用いられる。
【0043】
本実施形態の樹脂膜形成方法では、熱硬化性(第1硬化特性)を有する第1樹脂液と、紫外線硬化性(第2硬化特性)を有する第2樹脂液とが用いられる。第1及び第2樹脂液は、樹脂液毎に設けられる液体吐出ヘッド(不図示)からそれぞれ液滴化され吐出される。もちろん、第1及び第2樹脂液が1つの液体吐出ヘッドからそれぞれ液滴化され吐出される態様もあり得る。
【0044】
まず、固定テーブル(加熱手段)12により基板10表面が所定温度(第1樹脂液の硬化温度以上)となるように加熱した状態で、液体吐出ヘッド(不図示)から第1樹脂液を液滴化して吐出し、図1(a)に示すように、基板10上に着弾した隣接する第1樹脂液の液滴20、20同士が互いに接触しないように(即ち、隣接する液滴20、20間の間隔をあけて)、複数の第1樹脂液の液滴20を基板10上に離間配置する(第1樹脂液配置工程)。
【0045】
上記のように複数の液滴20を離間配置するためには、基板10上で隣接する液滴20、20間の中心間距離(離間ピッチ)をPとしたとき、液滴20の離間ピッチPが液滴20の直径Dより大きくする必要がある。なお、液滴20の離間ピッチP及び直径Dは、基板10上で液滴20が熱硬化後の状態の寸法とする。一方、隣接する液滴20、20間の間隔が広すぎると(即ち、液滴20の離間ピッチPが大きすぎると)、後述する第2樹脂液配置工程において隣接する液滴20、20間に配置される第2樹脂液の液滴22(図1(b)参照)の液滴量の制御が難しくなり、樹脂膜パターンの膜厚や幅が不均一になりやすいことから、液滴20の離間ピッチPは液滴20の直径Dの1.5倍より小さいことが好ましい。即ち、液滴20のピッチPは次式 D<P<1.5Dで示される範囲であることが好ましく、隣接する液滴20、20間に配置される第2樹脂液の液滴量の最適化を図ることができ、その結果、樹脂膜パターンの幅や膜厚を均一化することが可能となる。
【0046】
本実施形態においては、第1樹脂液配置工程が行われる前に基板10表面は熱硬化性を有する第1樹脂液の硬化温度以上に予め加熱されているので、液体吐出ヘッドから吐出され基板10上に着弾した第1樹脂液の液滴20は着弾と同時に加熱され硬化(熱硬化)する(第1樹脂液硬化工程)。
【0047】
次に、液体吐出ヘッド(不図示)から第2樹脂液の液滴を吐出し、図1(b)に示すように、基板10上で隣接する液滴20、20間の略中央に第2樹脂液の液滴22を配置する(第2樹脂液配置工程)。
【0048】
第2樹脂液は第1樹脂液とは異なる硬化特性として紫外線硬化性を有するため、第2樹脂液の液滴22は基板10上に着弾した時点では硬化せずに、基板10上で隣接する硬化状態の液滴20、20間でブリッジ(液橋)するように濡れ広がり、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めることが可能となる。
【0049】
図示の例では、基板10上で隣接する液滴20、20間の中央に液滴22が配置される。つまり、液滴20の配列方向(図の横方向)に関して、液滴20の離間ピッチPの半分(即ち、P/2)だけシフトされた状態で、隣接する液滴20、20間にそれぞれ液滴22が液滴20の離間ピッチPと同一ピッチで配列されている。
【0050】
本発明の実施に際しては、隣接する液滴20からの液滴22までのシフト量は必ずしも液滴20の離間ピッチPの半分(即ち、P/2)である必要はなく(即ち、隣接する液滴20間の中央に液滴22が配置されることは必須ではない)、液滴22がその両側に位置する液滴20、20のいずれか一方に偏ることなくそれら液滴20、20間の隙間を埋めるように濡れ広がればよい。液滴22のシフト量としては、(P/2)±20%以内、即ち、0.8×(P/2)以上1.2×(P/2)以内の範囲であることが好ましい。例えば、解像度1200dpiの場合には、好ましい液滴22のシフト量は21.2±2μm以内の範囲である。
【0051】
このようにして基板10上で隣接する液滴20、20間の略中央に第2樹脂液の液滴22を配置した後、隣接する液滴20、20間でその隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、基板10表面に対して紫外線照射を行う(第2樹脂液硬化工程)。
【0052】
紫外線照射は、基板10の表面全体に対して照射してもよいし、第2樹脂液の液滴22に対して部分的に照射してもよい。第1及び第2樹脂液の硬化特性は異なっているので、いずれの場合も第2樹脂液の液滴22のみを選択的に硬化させることができる。
【0053】
本実施形態で用いられる各樹脂液の一例を挙げると、図2に示すように、第1樹脂液として硬化温度100℃で熱硬化するポリイミド前躯体などが用いられ、第2樹脂液として感光波長365nm(i線)の紫外線照射で硬化する汎用レジスト、光硬化性モノマーなどが用いられる。第1樹脂液配置工程を行う際、基板10の表面温度が100℃以上(例えば120℃)となるように加熱しておくことで、上記のように第1樹脂液の液滴20を基板10上に着弾すると同時に熱硬化させることができる。また、第2樹脂液硬化工程において、感光波長365nm(i線)の紫外線照射により、第2樹脂液の液滴22を硬化させることができる。
【0054】
このように異なる硬化特性を有する第1及び第2樹脂液を用いて、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置し(第1樹脂液配置工程)、基板10上で液滴20を熱硬化させ(第1樹脂液硬化工程)、隣接する液滴20、20間に第2樹脂液の液滴22を配置し(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、第2樹脂液の液滴22を紫外線照射により硬化させることで(第2樹脂液硬化工程)、基板10上に所望の樹脂膜パターンが形成された基板を得ることができる。
【0055】
本実施形態によれば、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置することで液滴20同士は互いに合一することなく硬化し、更に、隣接する液滴20、20間に第2樹脂液の液滴22を配置することで、その液滴22は隣接する液滴20、20間をブリッジ(液橋)するように濡れ広がり、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めることが可能となる。その結果、バルジやジャギーが発生することなく、樹脂膜パターンの幅や膜厚を均一化することが可能となる。
【0056】
特に、本実施形態の如く、熱硬化性を有する第1樹脂液の硬化温度以上に基板10表面を予め加熱した状態で第1樹脂液配置工程が行われる態様によれば、液体吐出ヘッドから吐出され基板10上に着弾した第1樹脂液の液滴20を着弾と同時に熱硬化させることができるので、基板の生産性が向上するとともに、基板10の表面温度(加熱温度)と第1樹脂液の物性から熱硬化後における液滴20の直径の予測を容易に行うことが可能となり、隣接する液滴20、20間に配置される第2樹脂液の液滴量を最適化することが可能となる。
【0057】
また、各樹脂液の硬化特性は異なるので、第1及び第2樹脂液を互いに影響を受けることなく確実に硬化させることができる。即ち、第1樹脂液の液滴20を硬化させるための条件を基板10に対して付与している状態(即ち、基板10表面を所定温度に加熱している状態)で、隣接する液滴20、20間に第2樹脂液の液滴22が配置される場合でも、液滴22は硬化することなく隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように濡れ広がる。このため、より高精度な樹脂膜パターンを形成することが可能となる。
【0058】
本実施形態において、基板10上で隣接する第1樹脂液の液滴20、20間に第2樹脂液の液滴22が配置される時点においては、液滴20内部まで完全に硬化していることは必ずしも必要ではなく、液滴20の少なくとも表面が液滴22との着弾干渉が防止される程度に硬化していればよい。このような場合には、第2樹脂液硬化工程後(第2樹脂液硬化工程前でもよい)に基板10の後加熱を行い、第1樹脂液の液滴20内部まで完全に硬化させればよい。
【0059】
本実施形態では、基板10表面(樹脂膜パターンが形成される面)のみを加熱する態様を一例として示したが、基板10全体を加熱する態様もあり得る。ただし、基板10表面のみを加熱する態様の方が好ましく、基板10の厚みや材料に左右されることなく、基板10表面を第1樹脂液の硬化温度に適した温度に精度良く制御することができ、多種多様な基板に対して樹脂膜パターンを形成することが可能となる。
【0060】
本実施形態では、熱硬化性(第1硬化特性)を有する第1樹脂液と、紫外線硬化性(第2硬化特性)を有する第2樹脂液とを用いて、基板10上に樹脂膜パターンを形成する方法を一例として示したが、本発明の実施に際しては、各樹脂液の硬化特性は特に本例に限定されるものではない。以下、本実施形態の他の例(第1〜第5変形例)について説明する。
【0061】
図3は、本実施形態の第1変形例の説明図である。第1変形例は、第1の実施形態における各樹脂液の硬化特性を逆にした態様であり、紫外線硬化性を有する第1樹脂液と、熱硬化性を有する第2樹脂液が用いられる。具体的には、第1樹脂液として感光波長365nm(i線)で紫外線硬化する汎用レジスト、光硬化性モノマーなどが用いられる一方で、第2樹脂液として硬化温度100℃で熱硬化するポリイミド前躯体などが用いられる。
【0062】
第1変形例においては、基板10表面を加熱せずに常温とした状態で、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置し(第1樹脂液配置工程)、感光波長365nm(i線)の紫外線照射により液滴20を硬化させ(第1樹脂液硬化工程)、隣接する液滴20、20間に第2の樹脂液の液滴22を配置し(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、基板10の表面温度が100℃以上(例えば120℃)となるように後加熱を行って液滴22を硬化させる(第2樹脂液硬化工程)。
【0063】
図4は、本実施形態の第2変形例の説明図である。第2変形例で用いられる各樹脂液はいずれも紫外線硬化性を有するが、これら樹脂液が硬化する感光波長が異なっている。具体的には、第1樹脂液として感光波長365nm(i線)で紫外線硬化する汎用レジスト、光硬化性モノマーなどが用いられる一方で、第2樹脂液として感光波長248nm(KrFエキシマレーザー)で紫外線硬化する汎用レジスト、光硬化性モノマーなどが用いられる。
【0064】
第2変形例においては、基板10表面を加熱せずに常温とした状態で、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置し(第1樹脂液配置工程)、感光波長365nm(i線)の紫外線照射により液滴20を硬化させ(第1樹脂液硬化工程)、隣接する液滴20、20間に第2の樹脂液の液滴22を配置して(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、感光波長248nm(KrFエキシマレーザー)の紫外線照射により液滴22を硬化させる(第2樹脂液硬化工程)。
【0065】
図5は、本実施形態の第3変形例の説明図である。第3変形例は、熱可塑性を有する第1樹脂液と、熱硬化性を有する第2樹脂液とが用いられる。具体的には、第1樹脂液として融点150℃以上の樹脂液、例えばポリアミド(融点215℃)、ポリカーボネート(融点230℃)の樹脂液などが用いられる一方で、第2樹脂液として硬化温度100〜150℃の樹脂液、例えばポリイミド前躯体(硬化温度100℃)などが用いられる。
【0066】
第3変形例においては、基板10表面を加熱せずに常温とした状態で、液体吐出ヘッド内部の第1樹脂液をその融点以上に加熱した状態で吐出を行い、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置すると(第1樹脂液配置工程)、その液滴20は基板10上に着弾すると同時に冷却され硬化する(第1樹脂液硬化工程)。続いて、隣接する液滴20、20間に第2の樹脂液の液滴22を配置して(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、基板10の表面温度が第2樹脂液の硬化温度以上となるように後加熱を行って液滴22を硬化させる(第2樹脂液硬化工程)。
【0067】
図6は、本実施形態の第4変形例の説明図である。第4変形例で用いられる各樹脂液はいずれも熱可塑性を有するが、これら樹脂液の融点が異なっている。具体的には、第1樹脂液として融点150℃以上の樹脂液、例えばポリアミド(融点215℃)、ポリカーボネート(融点230℃)の樹脂液などが用いられる一方で、第2樹脂液として融点70℃以上の樹脂液、例えばポリスチレン(ガラス転移点80〜90℃)、アクリロニトリル(融点84℃)の樹脂液などが用いられる。
【0068】
第4変形例においては、基板10の表面温度が70〜150℃(即ち、第2樹脂液の融点以上第1樹脂液の融点以下)となるように加熱した状態で、液体吐出ヘッド内部の第1樹脂液をその融点以上に加熱した状態で吐出を行い、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置すると(第1樹脂液配置工程)、その液滴20は基板10上に着弾すると同時に冷却され硬化する(第1樹脂液硬化工程)。続いて、液体吐出ヘッド内部の第2樹脂液をその融点以上に加熱した状態で吐出を行い、隣接する液滴20、20間に第2樹脂液の液滴22を配置して(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、基板10を第2樹脂液の融点以下に冷却して液滴22を硬化させる(第2樹脂液硬化工程)。
【0069】
図7は、本実施形態の第5変形例の説明図である。第5変形例では、揮発性の異なる樹脂液が用いられる。具体的には、第1樹脂液として揮発性が高い揮発性樹脂液(温度70℃以上)と、第2樹脂液として揮発性が低い難揮発性樹脂液(温度150℃以上)とが用いられる。
【0070】
第5変形例においては、基板10の表面温度が120℃となるように加熱した状態で、基板10上に第1樹脂液の液滴20を離間配置し(第1樹脂液配置工程)、基板10上の液滴20を溶媒蒸発により硬化させ(第1樹脂液硬化工程)、隣接する液滴20、20間に第2の樹脂液の液滴22を配置して(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、基板10の表面温度が150℃となるように後加熱を行って液滴22を溶媒蒸発により硬化させる(第2樹脂液硬化工程)。
【0071】
上述した各変形例(第1〜第5変形例)においても、基板10上に離間配置された第1樹脂液の液滴20は互いに合一することなく即硬化させること可能であるとともに、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように第2樹脂液の液滴22を濡れ広がらせることもできるので、本実施形態と同様に、バルジやジャギーが発生することなく、樹脂膜パターンの幅や膜厚を均一化することができる。
【0072】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態として樹脂膜形成方法の他の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
【0073】
図8は、第2の実施形態における樹脂膜形成方法の一例として、線状の樹脂膜パターンを形成する場合の手順の一例を示している。図8の(a)〜(c)において、それぞれの上段は基板上方から見た平面図、下段は基板側方から見た断面図である。図8中、図1と共通する部分には同一番号を付している。
【0074】
本実施形態の樹脂膜形成方法では、第1の実施形態と同様に、熱硬化性(第1硬化特性)を有する第1樹脂液と、紫外線硬化性(第2硬化特性)を有する第2樹脂液とが用いられる。
【0075】
まず、固定テーブル(加熱手段)12により基板10表面が所定温度(第1樹脂液の硬化温度以上)となるように加熱した状態で、図8(a)に示すように、第1樹脂液の液滴20を基板10上に離間配置する(第1樹脂液配置工程)。これにより、基板10上で液滴20は熱硬化する(第1樹脂液硬化工程)。ここまでの工程は第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0076】
次に、図8(b)に示すように、基板10上で隣接する第1樹脂液の液滴20、20間の隙間に相当する領域における液滴20の配列方向(図の横方向)に垂直な方向の両縁部に対して、液滴20の液滴量(体積)より少量である2つの第1樹脂液の液滴(小滴)24を液滴20に接触しないように離間配置する(小滴配置工程)。
【0077】
液滴量の異なる大小のノズルを備えた同一の液体吐出ヘッドから各液滴20、24が吐出されるように構成されていてもよいし、異なる液体吐出ヘッドからそれぞれ液滴20、24が吐出されるように構成されていてもよい。
【0078】
基板10表面は予め第1樹脂液の硬化温度以上に予め加熱されているので、液体吐出ヘッドから吐出され基板10上に着弾した第1樹脂液の液滴(小滴)24は着弾すると同時に加熱され硬化(熱硬化)する(小滴硬化工程)。
【0079】
ここで、小滴配置工程について詳しく説明する。図9は、図8(b)の一部を拡大した詳細図である。図9において隣接する液滴20、20間の隙間に相当する領域をQとする。領域Qについて詳しく定義すると、領域Qとは、隣接する液滴20、20それぞれの稜線のうち、互いに対向する稜線部分30A、30Bと、隣接する液滴20、20の共通接線(液滴20の配列方向(図の横方向)に平行な共通接線)32A、32Bとで囲まれる領域である。
【0080】
図9に示すように、2つの小滴24は、上記のように定義される領域Qにおいて液滴20の配列方向に垂直な方向(図の縦方向、図8(c)の矢印方向)の両縁部にそれぞれ配置される。また、これら2つの小滴24は、液滴20の配列方向(図の横方向)に関しては隣接する液滴20、20の略中央に配置される。特に、図示の例では、2つの小滴24はそれぞれ共通接線32A、32Bに接するようにして、領域Q内部に完全に含まれている。
【0081】
このように領域Qにおいて隣接する液滴20、20間の距離が大きくなる位置に小滴24が配置されるので、熱硬化後の小滴24は、次の工程(第2樹脂液配置工程)において隣接する液滴20、20間(即ち、領域Q内部)に配置される第2樹脂液の液滴22が液滴20の配列方向に垂直な方向(図の縦方向、図8(c)の矢印方向)に必要以上に濡れ広がるのを防止する柱として機能する。
【0082】
基板10上で隣接する液滴20、20間の中心間距離(離間ピッチ)をPとしたとき(図8(a)参照)、図8(b)に示すように、液滴20の配列方向(図の横方向)に関して、液滴20の離間ピッチPの半分(即ち、P/2)だけシフトされた状態で、隣接する液滴20、20間にそれぞれ2つの小滴24が液滴20の離間ピッチPと同一ピッチで配列されている。
【0083】
本発明の実施に際しては、隣接する液滴20から小滴24までのシフト量は必ずしも液滴20の離間ピッチPの半分(P/2)である必要はなく(即ち、隣接する液滴20間の中央に液滴22が配置されることは必須ではない)、液滴20の配列方向に垂直な方向に対する第2樹脂液の液滴22の濡れ広がりが必要以上に拡大するのを防止することができる程度に、領域Qにおいて隣接する液滴20、20間の距離が大きくなる位置に配置されていればよい。液滴22のシフト量としては、(P/2)±20%以内、即ち、0.8×(P/2)以上1.2×(P/2)以内の範囲であることが好ましい。例えば、解像度1200dpiの場合には、好ましい液滴22のシフト量は21.2±2μm以内の範囲である。
【0084】
また、熱硬化後の小滴24の直径は、(液滴20の離間ピッチP)×25〜30%であることが好ましい。即ち、0.25×P以上0.30×P以内の範囲である液滴径(熱硬化後)が好ましい。例えば、解像度1200dpiの場合には、直径5.3〜6.4μmの液滴径(熱硬化後)が好ましい範囲である。
【0085】
また、本実施形態において、小滴24は領域Q内部に完全に含まれる態様を一例として示したが、本発明の実施に際してはこれに限定されず、小滴24の一部の領域であるならば、領域Q外部に食み出してもよい。図9に示した例のように、即ち、隣接する液滴20、20の配列方向に垂直な方向の境界線(即ち、共通接線32A、32B)に小滴24が接触するように配置されているのが、最も好ましいが、小滴24が隣接する液滴20、20の配列方向に垂直な方向の境界線(即ち、共通接線32A、32B)と接しなくてもよい。つまり、小滴24の一部領域であるならば、領域Q外部に食み出しても、その食み出し量が小さければ、第2樹脂液の液滴22の濡れ広がりが必要以上に拡大するのを防止することができる。隣接する液滴20、20間の共通接線32A(又は32B)から小滴24の稜線までの距離は、熱硬化後の小滴24の直径の40%以内の範囲であることが好ましく、特に小滴24が共通接線32A(又は32B)から食み出す場合には、小滴24の共通接線32A(又は32B)から食み出した側の稜線までの距離が、熱硬化後の小滴24の直径の40%以内であることが好ましい。
【0086】
また、本実施形態において、隣接する液滴20、20間の隙間に相当する領域Q内部にそれぞれ2つの小滴24が配置される態様を一例として示したが、本発明の実施に際してはこれに限定されず、3つ以上の小滴24が配置されていてもよい。例えば、図10に示すように、隣接する液滴20、20間に4つの小滴24が配置されていてもよい。液滴20の液滴量、液滴20の離間ピッチ、小滴24の液滴量などに応じて、領域Q内部に配置する小滴24の数を決定するようにすればよい。
【0087】
また、本実施形態において、基板10上の同一位置に複数の小滴24を積層する態様が好ましい。即ち、図11に示すように、基板10上の同一位置に複数の小滴24を積層することにより、積層状態にある複数の小滴24が硬化して形成される柱の高さは、その両側に離間配置される液滴20、20の高さに近づくので、次の工程(第2樹脂液配置工程)で配置される第2樹脂液の液滴22が、液滴20の配列方向に垂直な方向への濡れ広がりをより効果的に防止することができる。また、隣接する液滴20、20間に配置される第2樹脂液の液滴量を増やすことが可能となり、樹脂膜パターンを厚膜化することが可能となる。
【0088】
上記のようにして隣接する液滴20、20間に少なくとも2つの小滴24を配置して硬化させた後、第1の実施形態と同様にして、隣接する液滴20、20間に第2樹脂液の液滴22を配置して(第2樹脂液配置工程)、隣接する液滴20、20間の隙間を埋めるように液滴22が濡れ広がってから、第2樹脂液の液滴22を紫外線照射により硬化させればよい(第2樹脂液硬化工程)。
【0089】
本実施形態によれば、基板10上で隣接する液滴20、20間の隙間に相当する領域Q内部における液滴20の配列方向に垂直な方向の両縁部に対して、液滴20に接触しないように離間配置され硬化した小滴24が、隣接する液滴20、20間に配置される液滴22が液滴20の配列方向に垂直な方向に対して濡れ広がるのが必要以上に拡大するのを防止する柱として機能するので、所望の樹脂膜パターンを形成することができる。
【0090】
本実施形態において、第1樹脂液配置工程で基板10上に離間配置される液滴20と、隣接する液滴20、20間の隙間に相当する領域Q内部に配置される液滴(小滴)24は同一樹脂液(第1樹脂液)で構成されるが、本発明の実施に際してはこれに限定されず、これら液滴20、24は異なる樹脂液で構成されていてもよい。ただし、液滴20、24が同一樹脂液で構成される態様の方が好ましく、これら液滴20、24の硬化手段を共通化することができ、装置構成を簡略化やコストダウンを図ることが可能となる。
【0091】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態として樹脂膜形成方法の他の実施形態について説明する。以下、上述した各実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
【0092】
本実施形態の樹脂膜形成方法では、第1又は第2の実施形態において、第2樹脂液配置工程で配置される第2樹脂液の液滴22の液滴量(体積)を、第1樹脂液配置工程で離間配置された隣接する第1樹脂液の液滴20、20間の空間容積に相当する液滴量とする。即ち、熱硬化後の液滴20の直径をD、膜厚をT、液滴量をS1、隣接する液滴20、20間の中心間距離(離間ピッチ)をP、液滴22の液滴量をS2としたとき、次式を満足するように構成される。
【0093】
S2=(D×T×P)−(1/2)×S1
このように第2樹脂液の液滴22の液滴量(S2)を隣接する液滴20、20間の空間容積に相当する液滴量とすることで最適化を図ることができ、樹脂膜パターンの幅や膜厚をより均一化することが可能となる。
【0094】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態として樹脂膜形成装置の一実施形態について説明する。
【0095】
図12は、第4の実施形態における樹脂膜形成装置の全体構成の概略を示す斜視図である。図12に示す樹脂膜形成装置50は、インクジェット方式を用いて上述した第1及び第2樹脂液をそれぞれ液滴化して基板10上に吐出する液体吐出ヘッド52と、液体吐出ヘッド52を支持するY軸アーム54及びY軸アーム54の両端部を支持する2本のY軸ガイド56と、液体吐出ヘッド52から一定間隔をあけて2本のY軸ガイド56に両端部が支持されるUV光源58と、基板10を上面側(液体吐出ヘッド52から吐出された樹脂液の液滴が着弾する面)から保持する上固定テーブル60と、基板10を下面側から支持する下固定テーブル62とから構成されている。上固定テーブル60は、第1の実施形態における加熱手段及び熱伝導手段を兼ねている。
【0096】
また、この樹脂形成装置50は、図示は省略したが、図12において矢印Yで図示する移動方向(副走査方向)に沿って液体吐出ヘッド52及びUV光源58をそれぞれ移動(走査)させるY軸機構を備えている。
【0097】
図12に示す液体吐出ヘッド52は、基板10の幅(図12に矢印Yで示す液体吐出ヘッド52の移動方向(副走査方向)と直交する主走査方向の長さ)に対応する長さにわたって各樹脂液を吐出するノズル(不図示)を並べたノズル列を有するライン型ヘッドであり、基板10に対して液体吐出ヘッド52を副走査方向に1回走査させるだけで(即ち、1回の副走査で)、基板10の全域に樹脂膜パターンを形成することができる。
【0098】
なお、図12に示す液体吐出ヘッド12は、基板10の幅よりも短い長さの短尺の液体吐出ヘッドを基板10の幅方向に複数並べて構成してもよい。
【0099】
本実施形態においては、同一の液体吐出ヘッド52から第1及び第2樹脂液がそれぞれ液滴化され吐出される態様を一例として示したが、本発明の実施に際してはこれに限定されず、例えば、後述する第5の実施形態で説明するように(図13参照)、樹脂液毎に設けられる液体吐出ヘッドからそれぞれ対応する樹脂液が液滴化され吐出される態様もある。
【0100】
また、図示は省略するが、樹脂膜形成装置50は、基板10表面(樹脂膜パターンが形成される面)と液体吐出ヘッド52の吐出面(ノズル面)との間の距離を可変させるZ軸機構を備える態様もある。液体吐出ヘッド52から基板10に対して樹脂液を液滴化して吐出させる際には、そのZ軸機構により液体吐出ヘッド52をZ軸方向に移動させて、液体吐出ヘッド52の吐出面から基板10表面までの距離が所定値(例えば、1mm〜数mm)に調整される。
【0101】
UV光源58は、基板10の幅に対応する長さにわたるライン状の紫外線LEDなどで構成され、液体吐出ヘッド52と同様、基板10に対してUV光源58を副走査方向に1回走査させるだけで、基板10の全域に紫外線を照射することができる。
【0102】
上固定テーブル60は加熱手段及び熱伝導手段を兼ねており、上固定テーブル60により基板10表面が所定温度となるように加熱が行われる。
【0103】
このように構成される樹脂膜形成装置50は、更に、液体吐出ヘッド52の吐出制御、UV光源58の発光制御、及び上固定テーブル(加熱手段)60の加熱制御を行う制御手段(不図示)を備え、この制御手段によって上述した各実施形態(第1〜第4の実施形態)として示した樹脂膜形成方法のいずれかが実行され、基板10上に所望の樹脂膜パターンが形成される。
【0104】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態として樹脂膜形成装置の一実施形態について説明する。
【0105】
図13は、第5の実施形態における樹脂膜形成装置の全体構成の概略を示す斜視図である。図13中、図12と共通する部分には同一番号を付して、その説明を省略する。
【0106】
本実施形態では、各樹脂液に対応する液体吐出ヘッドがそれぞれ設けられる。即ち、図13に示すように、本実施形態の樹脂膜形成装置50′には、熱硬化性を有する第1樹脂液に対応する液体吐出ヘッド52Aと、紫外線硬化性を有する第2樹脂液に対応する液体吐出ヘッド52Bとが設けられている。各液体吐出ヘッド52A、52Bからそれぞれ対応する樹脂液が液滴化され吐出される。なお、図示の例では、各液体吐出ヘッド52A、52Bはそれぞれ異なるY軸アーム54A、54Bに支持されているが、これら液体吐出ヘッド52A、52Bは同一のY軸アームに支持されていてもよい。
【0107】
このように樹脂液毎に液体吐出ヘッドが設けられる態様によれば、基板10上に第1樹脂液の液滴を配置後に、即座に第2樹脂液の液滴を配置することが可能となり、生産性が向上する。特に、基板10上の異なる位置に対して、第1樹脂液配置工程と第2樹脂液配置工程をそれぞれ並列的に実施することができるので生産性が向上する。
【0108】
図14は、第1樹脂液に対応する液体吐出ヘッド52Aにおけるノズル配置の構成例を示した平面図である。図14に示した例では、吐出液滴量の異なる大小のノズル70A、70Bが主走査方向に沿って規則的に配列されたノズル列72が主走査方向に直交しない斜めの方向に沿って複数配列されている。このノズル列72は、液滴量の多い大ノズル70Aが主走査方向に沿って等間隔に配列され、主走査方向に隣接する大ノズル70A、70A間に液滴量の少ない2つの小ノズル70Bがそれぞれ設けられている。言い換えれば、大ノズル70Aの主走査方向の両隣にはそれぞれ小ノズル70Bが配置されている。
【0109】
このように第1樹脂液に対応する液体吐出ヘッド52Aに大小のノズル70A、70Bが設けられる態様によれば、最初の液滴配置時には大ノズル70Aからメインサイズの液滴吐出を行い、次の液滴配置時にはその大ノズル70Aの両隣にある小ノズル70Bから小滴サイズの液滴吐出を行うことができる。例えば、メインサイズの液滴と小滴サイズの液滴とを大小のノズル70A、70Bからそれぞれ同時に吐出して基板10上に配置することも可能となり生産性が向上する。特に、第2の実施形態の樹脂膜形成方法に対して好適である。
【0110】
図15は、第1樹脂液に対応する液体吐出ヘッド52Aにおけるノズル配置の他の構成例を示した平面図である。図15中、図14と共通する部分については同一番号を付して、その説明を省略する。図15に示した例では、主走査方向のノズル列72′は、大ノズル70Aと小ノズル70Bが交互に設けられている。即ち、図14では主走査方向に隣接する大ノズル70A、70A間に設けられる小ノズル70Bの数は2つであるのに対して、図15では1つに共用化されている。
【0111】
図15に示すノズル配置の構成によれば、図14に示した場合に比べて、液体吐出ヘッド52Aに設けられる小ノズル70Bの数が全体的に少なくなるので、液体吐出ヘッド52Aの構成を簡素化することができる。
【0112】
〔第6の実施形態〕
次に、本発明の第6の実施形態としてプリント配線板(電子回路基板)の製造方法の一実施形態について説明する。
【0113】
図16は、第6の実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示した工程図である。本実施形態のプリント配線板の製造方法では、図16(a)に示すように、絶縁基板80の表面に導体層82が形成された基板84の表面側(導体層82が形成される面側)にレジストパターンを形成する際、上述した第1〜第4の実施形態における樹脂膜形成方法のいずれか1つが適用される。図16(b)に示すように、基板84の表面側にレジストパターン86が形成された後、レジストパターン86によって被覆されていない導体層部分を除去して導体層82のパターニングを行い(図16(c))、最後にレジストパターン86を除去すると、所望の配線パターン(回路パターン)が形成されたプリント配線板88を得ることができる(図16(d))。
【0114】
以上、本発明の樹脂膜形成方法、樹脂膜形成装置、及び電子回路基板製造方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】第1の実施形態における樹脂膜形成方法の一例を示した説明図
【図2】第1の実施形態で用いられる樹脂液などの条件等を示した説明図
【図3】第1の実施形態の第1変形例を示した説明図
【図4】第1の実施形態の第2変形例を示した説明図
【図5】第1の実施形態の第3変形例を示した説明図
【図6】第1の実施形態の第4変形例を示した説明図
【図7】第1の実施形態の第5変形例を示した説明図
【図8】第2の実施形態における樹脂膜形成方法の一例を示した説明図
【図9】小滴配置例を示した拡大詳細図
【図10】他の小滴配置例を示した説明図
【図11】複数の小滴を積層する態様を示した説明図
【図12】第4の実施形態における樹脂膜形成装置の全体構成の概略を示す斜視図
【図13】第5の実施形態における樹脂膜形成装置の全体構成の概略を示す斜視図
【図14】ノズル配置の構成例を示した平面図
【図15】ノズル配置の他の構成例を示した平面図
【図16】第6の実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示した工程図
【図17】サブアトラクティブ法の説明図
【図18】アディティブ法の説明図
【図19】セミアディティブ法の説明図
【符号の説明】
【0116】
10…基板、12…固定テーブル、20…第1樹脂液の液滴、22…第2樹脂液の液滴、24…第1樹脂液の液滴(小滴)、50…樹脂膜形成装置、52…液体吐出ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット法で樹脂液の液滴を吐出することにより基板上に樹脂膜を形成する樹脂膜形成方法であって、
複数の第1樹脂液の液滴が互いに接触しないように基板上に離間配置する第1樹脂液配置工程と、
前記基板上に配置された前記第1樹脂液の液滴の少なくとも表面を硬化させる第1樹脂液硬化工程と、
前記第1樹脂液の液滴の少なくとも表面が硬化した後、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の略中央に第2樹脂液の液滴を配置する第2樹脂液配置工程と、
前記基板上に配置された前記第2樹脂液の液滴を硬化させる第2樹脂液硬化工程と、
を含むことを特徴とする樹脂膜形成方法。
【請求項2】
前記第1樹脂液と前記第2樹脂液は異なる硬化特性を有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂膜形成方法。
【請求項3】
前記第1樹脂液は熱硬化性を有する樹脂液であり、
少なくとも前記基板の樹脂膜パターンが形成される面側の表面温度が前記第1樹脂液の硬化温度以上となるように加熱された状態で、前記第1樹脂液配置工程が行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂膜形成方法。
【請求項4】
前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の隙間に相当する領域における前記第1樹脂液の液滴の配列方向に垂直な方向の両縁部に対して、前記第1樹脂液の液滴よりも少量である少なくとも2つの第3樹脂液の液滴を前記第1樹脂液の液滴に接触しないように離間配置する第3樹脂液配置工程と、
前記基板上に配置された前記第3樹脂液の液滴の少なくとも表面を硬化させる第3樹脂液硬化工程と、を更に含み、
前記第2樹脂液配置工程は、前記第1樹脂液及び前記第3樹脂液の液滴の少なくとも表面が硬化した後に行われることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の樹脂膜形成方法。
【請求項5】
前記第1樹脂液と前記第3樹脂液は同一の硬化特性を有することを特徴とする請求項4に記載の樹脂膜形成方法。
【請求項6】
前記第3樹脂液配置工程において、前記基板上の同一位置に対して前記第3樹脂液の液滴を複数積層することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の樹脂膜形成方法。
【請求項7】
基板に対して第1樹脂液の液滴を吐出する第1樹脂液吐出手段と、
前記基板に対して第2樹脂液の液滴を吐出する第2樹脂液吐出手段と、
前記基板上の前記第1樹脂液の液滴を硬化させる第1樹脂液硬化手段と、
前記基板上の前記第2樹脂液の液滴を硬化させる第2樹脂液硬化手段と、
複数の前記第1樹脂液の液滴が互いに接触しないように前記基板上に離間配置されるように前記第1樹脂液吐出手段を制御するとともに、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の略中央に前記第2樹脂液の液滴が配置されるように前記第2樹脂液吐出手段を制御する吐出制御手段と、
を備えたことを特徴とする樹脂膜形成装置。
【請求項8】
前記第1樹脂液と前記第2樹脂液は異なる硬化特性を有することを特徴とする請求項7に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項9】
前記第1樹脂液は熱硬化性を有する樹脂液であり、
少なくとも前記基板の樹脂膜パターンが形成される面側の表面温度が前記第1樹脂液の硬化温度以上となるように加熱する加熱制御手段を更に備え、
前記吐出制御手段は、前記加熱制御手段により少なくとも前記基板の樹脂膜パターンが形成される面側の表面温度が前記第1樹脂液の硬化温度以上となるように加熱された状態で、複数の前記第1樹脂液の液滴を前記基板上に離間配置するように前記第1樹脂液吐出手段を制御する手段であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項10】
前記基板に対して前記第1樹脂液の液滴よりも少量である第3樹脂液の液滴を吐出する第3樹脂液吐出手段と、
前記吐出制御手段は、更に、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の隙間に相当する領域における第1樹脂液の配列方向に垂直な方向の両縁部に対して、前記第1樹脂液の液滴に接触しないようにして、前記第3樹脂液の液滴が少なくとも2滴以上配置されるように前記第3樹脂液吐出手段も制御する手段であることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項11】
前記第1樹脂液と前記第3樹脂液は同一の硬化特性を有することを特徴とする請求項10に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項12】
前記第1樹脂液吐出手段及び前記第3樹脂液吐出手段は、前記第1樹脂液の液滴を吐出する第1ノズルと前記第3樹脂液の液滴を吐出する第2ノズルとを備えた同一の液体吐出ヘッドで構成されることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項13】
前記第1ノズルの両隣には、少なくとも1つの前記第2ノズルがそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項12に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項14】
表面に導体層が形成された基板の前記導体層が形成される面側に、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の樹脂膜形成方法を用いて所定の樹脂膜パターンを形成し、前記樹脂膜パターンによって被覆されていない導体層部分を除去して前記導体層のパターニングを行い、前記樹脂膜パターンを除去することを特徴とする電子回路基板製造方法。
【請求項1】
インクジェット法で樹脂液の液滴を吐出することにより基板上に樹脂膜を形成する樹脂膜形成方法であって、
複数の第1樹脂液の液滴が互いに接触しないように基板上に離間配置する第1樹脂液配置工程と、
前記基板上に配置された前記第1樹脂液の液滴の少なくとも表面を硬化させる第1樹脂液硬化工程と、
前記第1樹脂液の液滴の少なくとも表面が硬化した後、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の略中央に第2樹脂液の液滴を配置する第2樹脂液配置工程と、
前記基板上に配置された前記第2樹脂液の液滴を硬化させる第2樹脂液硬化工程と、
を含むことを特徴とする樹脂膜形成方法。
【請求項2】
前記第1樹脂液と前記第2樹脂液は異なる硬化特性を有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂膜形成方法。
【請求項3】
前記第1樹脂液は熱硬化性を有する樹脂液であり、
少なくとも前記基板の樹脂膜パターンが形成される面側の表面温度が前記第1樹脂液の硬化温度以上となるように加熱された状態で、前記第1樹脂液配置工程が行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂膜形成方法。
【請求項4】
前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の隙間に相当する領域における前記第1樹脂液の液滴の配列方向に垂直な方向の両縁部に対して、前記第1樹脂液の液滴よりも少量である少なくとも2つの第3樹脂液の液滴を前記第1樹脂液の液滴に接触しないように離間配置する第3樹脂液配置工程と、
前記基板上に配置された前記第3樹脂液の液滴の少なくとも表面を硬化させる第3樹脂液硬化工程と、を更に含み、
前記第2樹脂液配置工程は、前記第1樹脂液及び前記第3樹脂液の液滴の少なくとも表面が硬化した後に行われることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の樹脂膜形成方法。
【請求項5】
前記第1樹脂液と前記第3樹脂液は同一の硬化特性を有することを特徴とする請求項4に記載の樹脂膜形成方法。
【請求項6】
前記第3樹脂液配置工程において、前記基板上の同一位置に対して前記第3樹脂液の液滴を複数積層することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の樹脂膜形成方法。
【請求項7】
基板に対して第1樹脂液の液滴を吐出する第1樹脂液吐出手段と、
前記基板に対して第2樹脂液の液滴を吐出する第2樹脂液吐出手段と、
前記基板上の前記第1樹脂液の液滴を硬化させる第1樹脂液硬化手段と、
前記基板上の前記第2樹脂液の液滴を硬化させる第2樹脂液硬化手段と、
複数の前記第1樹脂液の液滴が互いに接触しないように前記基板上に離間配置されるように前記第1樹脂液吐出手段を制御するとともに、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の略中央に前記第2樹脂液の液滴が配置されるように前記第2樹脂液吐出手段を制御する吐出制御手段と、
を備えたことを特徴とする樹脂膜形成装置。
【請求項8】
前記第1樹脂液と前記第2樹脂液は異なる硬化特性を有することを特徴とする請求項7に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項9】
前記第1樹脂液は熱硬化性を有する樹脂液であり、
少なくとも前記基板の樹脂膜パターンが形成される面側の表面温度が前記第1樹脂液の硬化温度以上となるように加熱する加熱制御手段を更に備え、
前記吐出制御手段は、前記加熱制御手段により少なくとも前記基板の樹脂膜パターンが形成される面側の表面温度が前記第1樹脂液の硬化温度以上となるように加熱された状態で、複数の前記第1樹脂液の液滴を前記基板上に離間配置するように前記第1樹脂液吐出手段を制御する手段であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項10】
前記基板に対して前記第1樹脂液の液滴よりも少量である第3樹脂液の液滴を吐出する第3樹脂液吐出手段と、
前記吐出制御手段は、更に、前記基板上の前記第1樹脂液の液滴間の隙間に相当する領域における第1樹脂液の配列方向に垂直な方向の両縁部に対して、前記第1樹脂液の液滴に接触しないようにして、前記第3樹脂液の液滴が少なくとも2滴以上配置されるように前記第3樹脂液吐出手段も制御する手段であることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項11】
前記第1樹脂液と前記第3樹脂液は同一の硬化特性を有することを特徴とする請求項10に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項12】
前記第1樹脂液吐出手段及び前記第3樹脂液吐出手段は、前記第1樹脂液の液滴を吐出する第1ノズルと前記第3樹脂液の液滴を吐出する第2ノズルとを備えた同一の液体吐出ヘッドで構成されることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項13】
前記第1ノズルの両隣には、少なくとも1つの前記第2ノズルがそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項12に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項14】
表面に導体層が形成された基板の前記導体層が形成される面側に、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の樹脂膜形成方法を用いて所定の樹脂膜パターンを形成し、前記樹脂膜パターンによって被覆されていない導体層部分を除去して前記導体層のパターニングを行い、前記樹脂膜パターンを除去することを特徴とする電子回路基板製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−253859(P2008−253859A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95512(P2007−95512)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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