説明

機械の精度を高めるための方法

【課題】大型機械、特に15フィートを超える作業範囲を有する大型機械は、熱膨張および軸間の機械的な心合わせのずれによる、受入れ難い誤差を生じる。これらの誤差は、機械を熱筐体内に封入すること、注意深く較正すること、または、各軸上にレーザ干渉計を装着することによって、伝統的に最小に抑えられてきている。これらの解決策はコストが高くつき、頻繁な再較正を必要とし、かつ、摩耗等による1つの軸の別の軸に対する小さな回転を補正することはできない。
【解決手段】干渉計レーザトラッカまたは匹敵する3D位置センサを使用して、機械が休止状態となった際に、機械のヘッド等のエンドエフェクタに取付けられた再帰反射器の位置を測定する。コンピュータがその測定された位置を機械媒体に従った所望の位置と比較して、小出し供給される媒体命令文で適切な訂正を加えて、機械をさらなる機械加工に先立って正しい位置へと移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
機械の精度を高めるための方法関連出願の参照 本出願は、1996年6月6日に出願された米国仮出願番号第60/019,196号の利益を主張する。
技術分野 本発明は、機械の制御に関し、より特定的には、工作機械の真の位置の三次元レーザ測定を使用して、機械の精度および制御を高める方法に関する。本発明は、部品の数値による定義(digital definition)に基づいた、部品の正確な機械加工、検査、またはその双方に、特に有益である。好ましい方法、装置、および関連するソフトウェアは、工作機械の終点制御を提供して、孔および他の特徴(形態)を航空宇宙機器の細部部品上に正確に配置できるようにする。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、位置付けの際に寸法に誤差が生じ、これを最小にとどめることは困難である。これら位置付けの誤差の主要原因は、(1)機械加工中の工場の熱変化による、機械構造およびワークピース(すなわち部品)の膨張および収縮、ならびに、(2)機械の個々の軸のおよびそれら軸の間の機械的心合わせ(アライメント)のずれ、である。機械の精度はしばしば不確かであり、そのため、機械加工後に部品の寸法を、独立した測定方法を使用して検査せねばならない。このような検査は特別な工具および熟練の労働者、ならびに大きな工場スペースを必要とし、生産プロセスを遅くする。検査に不合格の部品はやり直さねばならないかまたは解体しなければならない。製造後の検査、やり直しおよび解体は、設計がまずいかまたは製造プロセスに問題があることに起因する。本発明の方法は、誤差の根本原因に対処し、それにより、製造後の検査の必要性、および品質の悪さに起因するコストを低減する。
【0003】
A.機械誤差制御 NC機械の幾何学的誤差を判定および訂正するのに、国内標準および「最良の実施法」(“best practices”)が存在する。(ANSI/ASME B89.1.12M-1985,ANSI B89.6.2-1973,AMSE B.54-1992を参照)これら「最良の実施法」は、機械の高精度を達成するための、現時点において受入れられる方法を構成する。この「最良の実施法」について簡単に説明する。
【0004】
1.熱的に制御される環境
機械は、空気調節がなされた工場内においては、一定の温度、たとえば68°Fに保たれる。これにより、温度の変動によって生じる誤差は減じられるが、この方法は熱に関する誤差の問題を完全に解決するものではない。3つの主要な欠点は以下のとおりである:
(i)環境を制御するコストが高くつき、時には、機械を得るコストを超過する場合がある。
(ii)機械自身によって引き起こされる熱の影響(たとえば、負荷の下で駆動することによるモータの熱、および、摩擦によるスピンドルの加熱)がやはり、機械のゆがみを発生させるおそれがある。
(iii)軸間の機械的な心合わせのずれは訂正されないままである。機械的な心合わせは、機械が通常のおよび異常な摩耗を受けることにより、時間の経過とともに変化する。これらは本質的に予測不能でありかつ避けられないものであって、制御するのが困難である。
【0005】
2.機械の較正
3軸を有する機械は、機械のスピンドルによってもたらされる誤差とは別に、21の誤差の要因を有する。それらの誤差とは、各軸の線形性(3)、各軸の直線性(6)、各軸の対間の直角性(3)、ならびに、各軸内のおよび軸間の上下の揺れ、機首の左右の揺れ(偏揺れ)、および全体の左右の揺れ(9)である。
【0006】
機械の較正においては、これら21の誤差の要因のいくつかまたはすべてを測定して、許容範囲外の要因について物理的またはソフトウェアの調整を行なう。各誤差が識別され、定量化され、かつ最小にされると、誤差の組合せが平均2乗アルゴリズムを使用して合計されて、機械の全体的な実際の許容差に関する推定値が得られる。機械の較正は2つの理由により不十分である。第1に、この方法は誤差の要因を測定しかつ調整するのに、非常に長い機械の使用不能時間を要する。これら測定および調整の困難さは、シフトによっておよび日によって熱の変動により寸法に変化が生じるという事実によってさらに度合いが増す。第2に、機械を常に再調整するため、それによって得られる変化は、最終的なデータの組が機械の誤差の単一の「スナップショット」(snapshot)ではなく、機械が変化する間に異なる時間で異なる要因について取られる一連のスナップショットとなることを意味する。精度の低さの根本原因は直されるのではなく、単に、再調整の間に適応されるのである。このような製造は問題をはらみ、工作機械の変化に伴って製造される部品にずれが生じる。
【0007】
3.各機械軸への線形光学干渉計の適用
機械のX、Y、およびZ軸には各々、正確な位置付けのためのエンコーダとしての線形干渉計が備えられる。この方法によれば、熱による膨張および収縮をリアルタイムで補償することができるが、少なくとも3つの理由から不十分である。すなわち、第1に、この方法は回転軸には適用することができない。第2に、この方法は軸問の機械的な心合わせのずれを補償することはできない。第3に、この方法は熱的な変化が生じる際の軸間の相互作用には対処しない。
【0008】
4.体積ルックアップテーブル(検索テーブル)
この方法は、特定の次元の包絡線(envelope)における機械の性能を正確に測定する。このような正確な性能測定は、独立した、非常に高精度の測定機械を用いて、測定されたデータと命令された機械の位置との間の差を判定することによって行なわれる。このような誤差をすべて集めることで、誤差マップが構築されるか、または、それら誤差の集まりを誤差マップを作成するのに使用することが可能である。完成した誤差マップは、2つの方法で使用される。第1に、誤差マップをルックアップテーブルとして使用することにより、その近傍に機械が存在する場合に簡単な機械の位置訂正を決定することができる。第2に、この誤差マップから多項式を計算して、測定された包絡線全体にわたる誤差訂正を補間することが可能である。位置に対する機械の命令(コマンド)は、これら多項式を使用して調整される。ルックアップテーブルは、主に、そのテーブルが機械の1つの温度に対してのみ有効であることから、不十分である。機械は、他の温度においてはその状態よりも大きいかもしくは小さく、または、わずかに異なる幾何学を有する。温度変化が生じた場合、機械が等角で動作して、そのもともとの幾何学に戻るという保証はない。したがって、多くのデータを苦労して集めて機械の性能の履歴に基づいて機械の位置を調整するよう、経験的な等式の表または組を得たとしても、精度の低さの根本原因はやはり、誤差マップの有効性を劣化し続ける。この誤差マップは、機械に変化が生じた場合にはいつも、本質的に不正確である。機械は摩耗しかつ老朽化し続けるので、もともとの誤差マップの測定されたオフセットからのばらつきが生じ、結果として、部品構築における誤差が増大する。正確な訂正用誤差マップを確保し続けるには、頻繁に再構成を行なう必要がある。
【0009】
5.複数の方法の組合せ
これらの方法を何らかの形で組合せて使用することで、個々の方法における弱点を克服することができるが、正味の影響は残る。すなわち:(1)機械の真の位置を測定するのに、機械の長い使用不能時間を要する;(2)テストの費用が高くつく;および(3)一時的な、補正が必要な結果しか得られない。精度の低さの根本原因はやはり残る。たとえば、熱的に制御された環境と機械の較正とを組合せることにより、ある時間期間においては正確な機械が得られるであろう。しかし、環境を制御するためのコストと、機械を検査および再調整するために要する機械の使用不能時間のコストが組合せられると、その機械は高くつくことになりかねない。
【0010】
6.熱的な補償 機械の各軸にそれぞれ熱プローブが備えられる。各プローブによって測定される温度を使用して、機械の軸の理論的な膨張が、他の軸とは独立して計算される。この膨張係数を使用して、コントローラへのフィードバックを補償して、それにより、機械の位置付け能力から膨張および収縮の影響を取除く。より新しいがこれと同様の、「リアルタイムの誤差補正」と呼ばれる技術もまた熱プローブを使用するが、これは、機械構造の非線形的熱挙動の3D「誤差モデル」の提供を試みている。この誤差マップは、加熱によって引き起こされる、曲がりまたは反り等の、軸間の相互依存性を反映する。補償は複雑なアルゴリズムによってなされるが、そのアルゴリズムはテストされた/測定された包絡線の変動についてのみ正確であり、したがって、機械が反復可能である場合に限り正確である。この誤差モデルは、ある範囲の温度にわたって、実際の3Dの機械の位置および対応する温度のデータを集めることによって構築されるが、これは、機械の非常に長い使用不能時間を要しかねない。加えて、所望の熱的状態に機械をおくこともまた困難であり得る。この技術の目的は、熱制御に関連するコストを削減することであるが、誤差モデルを作るために熱制御を行なわなくてはならない。この熱的補償は熱的制御と同様の概念をたどる。すなわち:実際の温度測定値に基づいて機械の動きを修正するのである。
【0011】
この熱的捕償方法には主要な欠点が3つ存在する。第1に、熱補償はセンサおよび誤差モデルを較正するのに定期的に機械の使用不能時間を必要とする。第2に、機械に焦点を当てる熱補償は、部品または工具取付具の膨張を補正することはない。機械の位置付けの誤差をすべて排除して、温度に対して機械を完璧に調整することができたとしても、温度は部品にも影響を及ぼすため、部品がいまだ許容範囲外であり得る。熱補償は、温度の変化による機械の誤差を補償することによって部品の膨張を間接的に補償しようと試みるが、機械の誤差と全体の誤差とを相関付けるのは、部分的な解決策にすぎない。
【0012】
米国特許番号第4,621,926号において、Merry等は、物体の非直線運動を制御するための干渉計システムについて記載している。このシステムは、トラッカのヘッドに固着された、3つの、一次元のトラッキングレーザ干渉計を使用して、工作機械のエンドエフェクタ(end effector)に装着された単一の再帰反射器を追跡する。このMerryのシステムは、機械を制御する既存のシステムに後から取付けることは困難である。なぜなら、そのレーザフィードバックは従来の機械コントローラと置換するように設計されているためである。
【0013】
本発明のシステムにおいては、レーザトラッカは機械コントローラとは独立に動作して、位置的なフィードバック情報をコントローラに対して少しずつ供給される媒体(trickle-fed Media)ブロックで提供する。[ここで、「小出しに供給する(“trickle feed”)」という表現は、動き制御情報が機械コントローラに対して、完全な形のプログラムとしてではなく一度に少しずつ(たとえば単一のNC媒体のブロックごとに)提供される(ダウンロードされる)ことを意味する。](Merryよりも10倍大きい)本発明の非常に大きな作業用包絡線によって、本発明のシステムは、翼等の大型の航空宇宙機器の製造および組立に極めて適したものとなっている。本システムの設計はまた、多種多様な既存の機械コントローラに容易に実装することが可能である。
【0014】
Merryは、再帰反射器の位置を、三角測量法によって判定する。機械はそのセットアップおよび較正中に、システムのための1本の独立した軸に沿って一定速度で直線で移動して、エンドエフェクタのための評価基準系(座標系)を構築し、かつ、レーザ干渉計の位置測定をエンドエフェクタの動きと接続するために座標データを提供する。各干渉計は一次元の(単一軸の)測定システムであって、これは、干渉計からの再帰反射器の距離に比例する信号を生成する。3つの出力信号を有して、Merryの制御システムは、三角測量法を用いてエンドエフェクタの位置を計算し、この位置を、エンドエフェクタの動きに関する記憶された所定の経路(すなわちNCプログラム)に基づく所望の位置と比較し、工具の移動用組立体を起動させて、エンドエフェクタを次の所望の位置へと移動させる。産業界ではレーザ三角測量法は採用されてはいない。これは、そのコスト、不安定性、セットアップ幾何学要件、および固有の精度の低さによる。3つの干渉計が遠く離れて配されている場合に三角測量法は最もうまく作用するが、再帰反射器は実質的に1軸のターゲットである。このターゲットを追跡するためには、干渉計は互いに接近していなければならず、これにより、補間または計算に大きな誤差が生じる。さらに、三角測量法は実際には、絶対的な、真の位置を判定するのに、4つの干渉計を必要とする。
【0015】
Merryのシステムは、工具を実際にかつ直接に制御するのに、一般的な機械コントローラをレーザ干渉計の位置測定と置換する。機械コントローラを切り離すことにより、たとえばチップがレーザビームを不明瞭にする場合に、機械の制御が失われるおそれがある。高価な部品については、制御が失われる危険性は受入れられないものである。したがって、Merryのシステムは、そのシステムが抱える問題のために、産業界で未だ実際に使用されてはいない。
【0016】
このMerryのシステムは、3つの干渉計のみを使用して機械に対するワークピースの位置を判定することができない。SOMaCは、単一の干渉計を使用して、ワークピースに対する機械の位置を突き止めることが可能である。この基準を知ることにより、SOMaCは、機械のエンドエフェクタの真の位置を測定した後に、機械コントローラに対してデルタ訂正命令(コマンド)を提供することにより、機械の精度を強化することが可能である。
【0017】
本発明の好ましい実施例においては、静的な光学的機械制御(SOMaC)は、機械媒体を機械、部品、またはそれら双方の並進運動、回転、またはそれら双方に適応するよう調整することができる。SOMaCはこの調整を、部品および機械の位置を測定し、かつ、それら部品および機械のもともとの基準位置および方位からの変化について尺度を作ることによって行なう。SOMaCはまた、工場の温度、部品の温度、および機械の温度における変化、ならびに、工場環境における他の物理的な変化に起因する、部品、機械、またはそれら双方における変化に適応するように、機械媒体を調整する(尺度をつくる)ことができる。
【0018】
本発明のSOMaCシステムは、工作機械の従来的なエンコーダを使用し続けるために、フェイルセーフ機械制御を提供する。しかしこのシステムは、真の位置の光学的測定を通じて「オンザフライ」(“on-the-fly”)検査フィードバックを提供することによって、静的な動作において真の位置の精度を増強する。本システムは、機械が休止中でありかつ次の機械加工作業のための準備が整っている際に、小出し供給命令によって機械の位置付けの誤差を補正する。
【0019】
B.レーザトラッカ
リアルタイム3D光学的測定システム(たとえばレーザトラッカ)は、大量の正確な3Dデータを迅速に得る、最新の測定システムである。これらの光学的測定システムは通常、絶対距離測定(照準)能力、および、レーザビームを操舵する電動化角度操舵ヘッドを含む。この操舵は、再帰反射器をたどる(「追跡する」)ようにレーザビームを継続的に駆動する、フィードバックシステムによって制御される。レーザビームはレーザトラッカヘッドから、機械のエンドエフェクタに装着されている逆反射ターゲットへと向けられる。その反射ビームによって、トラッキングヘッドは、再帰反射器との距離および方向(すなわち、水平および垂直の角度)の双方を判定することが可能となる。これら3つの測定値(距離、水平角度、垂直角度)によって、球面座標系が構築される。この球面座標系は、デカルト座標系に容易に変換することが可能である。
【0020】
レーザトラッキングシステムは、以下の特徴を有する:
(1) 百万分率で約10部(ppm)(10メートルにつき0.1mm)の体積測定精度の、正確な3D測定
(2)リアルタイムの測定値の収集および伝送
(3)1秒につき500の3D測定値を超える、(典型的には1秒につき1000個の測定値に至る)データ速度
(4)簡単な較正
(5)高性能の補償器(再帰反射器)を使用する場合に空気の温度および圧力の変化によって引き起こされる誤差の影響をほとんど受けない
(6)逆反射ターゲットを使用する大きい測定体積、典型的に、直径100フィートまでの部分球面。
【0021】
絶対照準トラッキング干渉計は、一時的に遮断されていたターゲットを再び獲得することができる。絶対照準トラッキング干渉計は製造作業において非常に望ましい。なぜなら、工場内の機械、部品、および運転者の動きが、ビームを遮断するおそれがあるためである。本発明では、絶対照準トラッキング干渉計が使用されることが好ましいが、本発明の応用の多くは、ビームの遮断に対する許容範囲のより小さい干渉計システムを使用することもまた可能である。
【0022】
レーザトラッカは、航空機または自動車のデジタル的な外形の測定、工具の検査、およびNC機械精度テスト等の多くの応用に使用されてきている。本発明は現時点においてレーザトラッカを使用しているが、他の光学的または非接触型測定システムをこれらのシステムと置換えることで、システムに対して位置的なフィードバックを提供することも可能である。
【0023】
航空宇宙産業において、ガントリ(作業塔)またはポスト・ミル穿孔機械(post-mill drilling machine)のサイズは、70メートル長さにも及ぶ。これらの機械のうち最も大きい機械では、作業体積は700立方メートルを超える。これらの機械の位置付け公差の要件は、典型的に、0.20mm未満である。100立方メートル体積内で0.50mmの位置付けの不確かさを得るのは困難である。NC機械の不正確さの表現を標準化するために、機械の不正確さを100万で乗じてその後機械体積における最長の直径距離で除したものを、百万分率(ppm)の単位で表わす能力とすることが一般的である。たとえば、0.5mmの位置付け能力および15メートルの直径長さを有する典型的な機械は、33ppmの能力を持つことになる。30ppmを下回る能力を有する大容量穿孔機械を達成することは困難である。製造業者が部品の品質を向上させかつ組立てコストを減じるよう努力している問にも、より正確な穿孔技術への要求がますます高まっている。航空宇宙機器の製造においては、ますます厳しくなる公差は15メートルの直径に対して0.10mmの水準にも達し、これは、6.7ppmの標準化要件を生むこととなる。このような許容差は、ほとんどの機械の能力を超えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許番号第4,621,926号
【発明の概要】
【0025】
本発明は、静的光学的機械制御(SOMaC)に関し、絶対照準レーザトラッキングシステムまたはその均等物を使用して機械が静止している際に機械のエンドエフェクタの位置および方位を測定することによって、大型機械に固有の熱的および機械的誤差源を克服することを目的とする。これらの測定値は、SOMaCコンピュータを通じて、位置調整のための小出し供給命令を通じて機械コントローラに自動的に報告される。機械コントローラはそこで、機械の位置を必要に応じて訂正する。SOMaCはNC機械のエンドエフェクタの精度を制御するのに、反復技術を使用する。標準偏差制御プロトコルによって、休止位置における「ノイズ」の影響が排除される。このプロトコルは、機械の休止位置を機械の動きまたは変動から区別する。本発明では、機械、部品またはトラッカの傾斜を(2軸傾斜センサを使用して)、および、工場内の温度の変動を知らせる、警報を組込んでいる。
【0026】
SOMaCは、「タッチプローブ」(“touch probe”)または座標測定機械ソフトウェアを使用してシステムの較正中に部品に関連する重要な特徴(形態)の位置をつきとめ、これらの測定値から、部品の評価基準系を構築する。機械加工中、SOMaCは、これらの重要な特徴(形態)の位置に関する再測定および評価に基づいて、さらなる動作を制御する。本発明では機械を調整するための評価基準系を構築するので、真の位置基準を構築するよう正確な部品の取付けを行なう必要が排除される。部品(および部品の特徴(形態))の実際の位置付けは、それら特徴(形態)の位置を測定しかつ測定された位置をその部品の数値的な定義またはデジタルデータセット表現(CADモデル)において構築された位置と比較することによって、構築される。この比較は、実際の部品の位置を計算するためばかりではなく、機械の命令を調整するよう「スケールファクタ(“scale factor”)」を計算して、実際の部品とデジタルデータセット表現との間の差を補償するためにも使用される。この「オートスケール(“autoscale”)」特徴は実際に、部品の工学的設計仕様から導出されたNC媒体を、機械加工中に生じる部品に対する物理的な変化に適用するようにする。ここで物理的な変化とは、工場の温度の、設計標準の20℃(68°F)からの変化によって生じる部品のサイズの変化等を含む。たとえば、本発明では、部品の特徴(形態)に対する位置のデジタルデータセット定義は、その固有の熱膨張係数による部品の膨張または収縮の影響を反映するよう調整される。「オートスケール」に関しては、本発明では、計算で得たスケールファクタが工場の温度の変化から予測されるサイズの変化と一致するかどうかを平行に判定する。本発明では工場の温度を監視し(ただし、部品の温度もしくは機械の温度、またはそれら3つの温度のいかなる組合せを監視することも可能である)、温度の変化が起こると、(たとえばユーザによって規定された警報設定点における2°または5°の変化等の)適切な間隔で尺度をつくりなおす。「オートスケール」は、連続的に尺度をつくりなおすのではなく、一括のまたは間隔をおいた調整を行なう。これは、要求される処理の量を減じる。
【0027】
SOMaCは好ましくは、静止している機械のエンドエフェクタの最終位置を、独立した3D光学的測定装置によって正確に位置付ける。これは、測定装置の位置付けの精度が機械の精度よりも優れている場合には、どの機械にも適用することが可能である。このような条件は通常、レーザトラッカおよび、少なくとも1本の15フィートを超える軸を有する大型の機械に当てはまる。エンドエフェクタの位置を機械コントローラを通じて、独立した光学的測定システムで間接的に制御することによって、機械の枠組における熱的な誤差および心合わせのずれによる誤差はほとんどなくなる。なぜなら、エンドエフェクタの真の位置がこれらの誤差源とかかわりなく監視されかつ調整されるためである。「最良の機械加工」(“best machining”)を行なうSOMaCシステムによって、本発明では、工作機械の標準的なコントローラによって単に達成可能なものよりもはるかに密度の高いオフセット誤差の分布状態において、10フィートで約0.003インチの真の位置の最大線形誤差(すなわち、半径では0.0015インチの位置合わせのずれ)が得られる。本発明ではエンドエフェクタを、工作機械のコントローラを使用して、部品または組立体を規定するデジタルデータセット内に特定された所望の位置へとより近づける。その後、エンドエフェクタが実際に正しい位置にあるかどうかをレーザトラッカまたは他の位置センサを使用して確認する。もし位置にずれがあれば、本発明ではそのエンドエフェクタの位置を、機械コントローラにデルタ調整を送ることによって調整する。
【0028】
誤差源によっては非線形性のものもあり、これはSOMaCの精度を低下させるが、本発明では最小二乗適合アルゴリズム(または他の適切な回帰分析)を使用して、これらの非線形性を最小にする。本発明における1次(線形)訂正は、非常に能力が高く、精度を大いに向上することができる。SOMaCは、非線形性および異方性が理解されているので、より複雑なアルゴリズムを適用することが可能である。
【0029】
SOMaCは光学的測定装置および関連のソフトウェアからのフィードバックを使用して、既存の機械エンコーダに位置訂正を小出し供給することによって、機械の精度を高める。このシステムは高速かつ廉価であって、機械の反復可能性または機械とワークピースとの関係とは独立して、優れた位置の精度を提供することができる。このシステムは、絶対空間方位/位置情報を提供する。本発明の好ましいシステムは、以下の特徴を含む:
A.SOMaCは、エンドエフェクタにおける機械の位置を制御して、それにより、全体的な機械の精度の低さの主要原因を排除する。
B.SOMaCは、探索可能な機械において使用することが可能であり、その機械を高精度の座標測定機械(CMM)に変える。
【0030】
C.SOMaCは、トラッカの測定値を部品の座標システムへと変換し、これにより、部品と機械との位置合わせのための較正プロセスの複雑さを減じる。
D.SOMaCは、ユーザが機械加工作業の種々の局面を制御することができるようにする、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を提供する。このソフトウェアは、構成およびプログラミング情報のためのテキストファイルを解釈する、「リアルタイム、イベント待ち方式の(“real-time,event driven”)」システムである。
【0031】
E.SOMaCは、以下のものを表示するグラフィカルユーザインターフェイスを提供する:
(i.)所望の位置付けの精度
(ii.)トラッカの測定精度に関連する統計的なパラメータ
(iii.)タイミングおよび位置のしきい値
(iv.)動作モード
(v.)オフセットおよびトラッカ/機械の位置合わせ
(vi.)NC供給制御
(vii.)トラッカ位置表示およびサンプリング速度
(viii.)温度モニタおよび傾斜モニタの警報設定点
(ix.)オンラインヘルプ。
【0032】
F.SOMaCはそのソフトウェアアーキテクチャの特性により、新しい機械コントローラに容易に適合する。このシステムを新しいエンコーダ/機械コントローラに適応させるのに必要な変更は、エンコーダインターフェイスソフトウェアモジュールのみである。
G.携帯可能性。トラッカおよびワークステーションは物理的に携帯が可能であり、したがって、単一のシステムを使用して多数のNC機械に対処することが可能となる。
【0033】
H.ビームの遮断回復。SOMaCは、レーザビームが遮断された場合に、以下の2つの回復モードを有する。
(i.)手動による回復:システムは中断して、オペレータが再帰反射器 を手動でトラッカへと戻してビーム固定を再び獲得してその後続行するよ うに操作することが可能である。
(ii.)自動回復:システムは機械を公知の位置へと戻し、トラッカにビ ーム固定を構築するよう命令し、その後NCプログラムを続行する。
【0034】
I.SOMaCのアーキテクチャは、新しい光学的測定システム、多数の測定システム、または混合の測定システムに容易に適用される。
J.SOMaCは、コントローラとの「小出し供給」通信を使用して、NC機械をレーザおよび外部ソフトウェアコントローラの双方と統合することにより、機械の精度を高めることが可能な、容易にパッケージ化されたシステムを作成する。この方法によりSOMaCは、最小限の統合努力によって、多数のコントローラに適用することが可能となる。
【0035】
K.SOMaCは、機械加工作業の監査の跡を作成する。すなわち、SOMaCは、一連の動作中に機械コントローラに提供する訂正命令を記録する。このデータにより、累進的な機械のずれまたは摩耗による劣化を検出すること、またさらに、部品のデジタル表現における誤差を識別することがより容易になる。
L.SOMaCは、機械コントローラから遠く離れたコンピュータ内の機械とレーザトラッカとを統合して、コントローラへのソフトウェア修正を必要とすることなくこのシステムを多くの異なるNCコントローラに後から取付けることができるようにする。
【0036】
本発明は、機械の精度を向上するための方法に関する。機械コントローラの制御下の工作機械の真の位置と、機械コントローラが部品の工学的設計仕様から導出された機械媒体命令に基づいて工作機械の位置をつきとめたその位置との比較が、予め定められたオフセットしきい値を超える場合には、機械の位置付けのずれは、機械媒体(たとえばNC媒体)内のデルタ位置訂正命令を機械コントローラに提供することによって訂正される。
【0037】
したがって、一局面において、本発明は機械の精度を向上させるための方法であって、該方法は以下のステップを含む:(a)工作機械が作業を行なう部品または組立体の数値による定義から生成された命令に基づいて、エンドエフェクタを有する工作機械を第1の命令された位置へと駆動するステップ;(b)工作機械が第1の命令された位置に停止したときに、エンドエフェクタの位置を正確に測定するステップ;(c)測定した位置を第1の命令された位置と比較するステップ;(d)測定した位置と命令された位置との差が予め定められたしきい値を超える場合に、デルタ訂正命令を工作機械に送ってエンドエフェクタの位置を調整するステップ;(e)選択的に、ワークピースの実際の温度の理論的設計基準からのずれに基づいた熱効果尺度で、数値による定義から導出された熱効果に対する命令された位置の尺度を作って、その熱効果尺度に応じてデルタ訂正命令を調整するステップ;(f)選択的に、部品、組立体、または関連する工具における重要な特徴(形態)の位置の変化の測定値に基づく形態尺度で、数値による定義から導出された命令された位置の尺度を作り、かつ、その形態尺度に応じてデルタ訂正命令を調整するステップ;および、(g)選択的に、機械に装着されかつ部品の数値による定義から導出された機械命令で機械によって命令された位置へと導かれる検査プローブを使用して、機械加工された部品を測定するステップを含み、ここで、検査は検査特徴(形態)の組の測定を含み、測定は部品を承認するよう行なわれかつデルタ訂正命令を機械に提供することによって増強されてその精度が高められ、デルタ訂正命令はプローブの真の位置の測定値を機械によって命令された位置と比較することから導出される。
【0038】
本発明はまた、製品の特徴(形態)を検査工具で測定することによって、製品を承認するための方法に関する。この方法は以下のステップを含む:(a)測定プローブを機械のスピンドル内に位置付けるステップ;(b)製品の数値による定義において特定されたその製品の意図された形態から導出される検査シーケンスに従って、製品の選択された検査特徴(形態)を検査測定値の組として、プローブによって測定するステップ;および、(c)数値による定義で特定された製品の意図された形態の尺度を作って、工場の条件の変化によってもたらされる検査工具内の製品の実際の形態における変化を測定したその値に従って、その特徴(形態)の相対的なサイズおよび位置を調整するステップ。通常、このような承認は、製品をその製品を製造するのに関連する製造用工具および製造用機械から取除く前に行なわれる。この製品承認方法は、高精度座標測定機械を必要とせず、製造業者が製品検査のための工作機械を使用することを可能にする。このような「検査」により、工作機械がより広く使用されるようになり、工作機械を検査装置として多様化することによって、工作用の全体的な資本消費を低減する。
【0039】
本発明はまた、部品のデータセット表現(すなわち、数値による定義)から導出された位置付けデータを使用して命令された位置に位置付けられた工作機械のエンドエフェクタまたは検査プローブの測定された真の位置と、その位置データを実装する機械媒体に従って機械コントローラがエンドエフェクタを移動させる位置との比較に基づいて、機械コントローラに対して再位置付け命令を提供するよう記録されたコンピュータ可読な情報を有する、コンピュータソフトウェア記憶媒体に関する。
【0040】
本発明はまた、位置付けの精度が改善された工作機械システムに関する。このシステムは以下のものを含む:(a)エンドエフェクタを含み、部品の機械加工作業を行なうよう適合された工作機械;(b)工作機械に結合されて、部品の工学的設計図またはデジタルデータセット表現から導出された位置制御媒体を通じて、工作機械を命令された位置へと移動するよう命令するための機械コントローラ;(c)エンドエフェクタの真の位置を測定するよう位置付けられた、少なくとも1つのレーザトラッカ:(d)エンドエフェクタの測定された位置を命令された位置と比較し、かつ、小出しに供給される調整信号を機械コントローラに提供して、命令された位置と測定された位置との間の差を相殺するための、計算システム;および、(e)選択的に、部品のサイズまたは方位に影響を与える経時変化する工場の条件について、部品のデジタルデータセット表現から導出された命令された位置を調節するための手段。
【0041】
本発明はまた、部品形態を表わす機械媒体の空間的仕様を修正して、部品または製造用ワークセルの設計温度と実際の温度との温度差を補償するための方法に関する。この方法は、以下のステップを含む:(a)基準温度における部品の意図された形態を表わす、コンピュータ可読なデータセット表現を作成するステップ;(b)予め定められた間隔の温度変化が起きた際に、十分な数の位置において製造用ワークセル内の部品を測定して、工場の条件に起因するその部品のサイズまたは方位における相対的な変化を識別するステップ;および、(c)再測定値と基準測定値との比によってデータセット表現を調整するステップ。
【0042】
最後に、本発明は、工場における部品製造中の部品の変化を補償するために、部品の形態を表わす機械媒体の空間的仕様を修正するための方法に関する。この方法は、以下のステップを含む:(a)十分な数の位置において部品を測定して、実際の形態を第1のデジタル表現で識別するステップ;(b)部品を再測定して、部品の第2のデジタル表現を生成するステップ;(c)第2のデジタル表現を第1のデジタル表現と比較して、スケールファクタを決定するステップ;および、(d)そのスケールファクタに従って機械媒体を調整するステップ。
【0043】
本発明のこれらおよび他の特徴は、本発明の詳細な説明と添付の図面とを検討することにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、従来技術によるポストミル上に装着されたドリルの精度を向上するようポストミルの作業包絡線の両端に位置付けられた2つの自立構造で立っているレーザトラッカを含む、SOMaCの概念を示す、概略的な等角図である。
【図2】図2は、SOMaC機械訂正プロセスを示すブロック図である。
【図3】図3は、SOMaC計算用アーキテクチャハードウェアを示すブロック図である。
【図4】図4は、従来の工作機械が高精度の真の位置を得ることができ、それにより、デジタル部品設計(すなわち、3D固体モデル)で意図された精度で部品を製造できるように、IBM RS6000コントローラで動作する、SOMaCインターフェイスを示すブロック図である。
【図5】図5は、機械が自身を命令された位置に位置付けた後に、孔を公称値による孔の位置へとより正確に位置付けるように、SOMaCが誤差訂正ベクトルを通じて提供する機械の位置に関する調整に応答した、機械の動きを示す概略図である。
【図6】図6は、機械と部品との間の空間的基準を構築するためのプロセスを示す。
【図7】図7は、図6に示した空間的基準を構築した後に、機械、部品、またはその双方の動きに責任を持つよう、機械媒体を調整するための、変換プロセスを示す。
【図8】図8は、部品の治具上の穿孔および工作用ボールの基準を制御するように、絶対照準レーザ干渉計およびSOMaCを使用するリアルタイムの方位付けに適用された、工作機械を示す。
【図9】図9は、部品上に孔を位置付けるための、典型的なヒストグラム図である。
【図10】図10は、大きな作業包絡面上でガントリミルの精度を制御するために、別個の制御ゾーンにおいて多数のトラッカを使用する、機械を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0045】
好ましい実施例の詳細な説明
SOMaCの一般的な概要を述べた後に、SOMaCのハードウェアアーキテクチャを説明する。その後、計算用ソフトウェアアーキテクチャについて説明する。この説明を通じて、SOMaCのNC機械への実装について述べているが、この原理は、ロボット、自動化された工具、機械、取付具、および、自動または手動制御の下で動く他の物体に対しても、応用することが可能である。
【0046】
自動化された工作機械、またはロボットの精度を高めて、部品が工学的設計仕様により近くなるように製造されるようにするために、独立した、より高精度の位置測定システムで機械制御を強化して、機械および工場に起因する誤差を訂正するようにしている。SOMaCは、機械媒体内のデルタ訂正命令を機械コントローラに提供して、機械のエンドエフェクタを意図される機械加工の位置へとより近づけるようにする。独立した測定システムは、機械が機械加工に先立って停止した時点で、エンドエフェクタの真の位置を識別する。SOMaCはその後、機械の位置付けのずれを調整する。これは、SOMaCが部品またはワークピースの機械に対する関係(すなわちその方位)を把握しており、かつ、その双方を共通の評価基準系で測定するためである。このような強化機能は、機械加工プロセスのCPを改善しかつ機械のずれの割合を減じるが、この機能を達成するためには、SOMaCは部品の数値による定義から導出される機械媒体を有さねばならず、機械と部品との相対的な位置を知るために機械および部品を較正せねばならず、機械に装着された再帰反射器(ターゲット)を工具の先端の正確な位置に較正せねばならず、かつその後、強化された機械媒体を実行して、デルタ訂正命令を付加しながら、機械加工の作業を実行せねばならない。
【0047】
機械媒体の準備は、部品の数値による定義(CADモデル)においてその物理的な特徴で特定された部品を製造するように、機械を一連の機械加工動作中に移動させるための命令(command)を導出する作業を含む。このようにして導出された経路および点を「機械媒体」と呼び、これは、機械コントローラが解釈することのできるソフトウェア命令(instructions)の組である。製品を承認するための機械媒体もまた、部品の工学的設計仕様から導出されねばならない。製品の承認のためには、検査プローブが部品の重要な形態を識別しかつ測定して、部品が実際に工学的設計仕様に確実に対応するようにする。
【0048】
部品および機械の方位の構築、本出願人が「システムの較正」とも呼ぶこのプロセスについては、この詳細な説明の最後の部分でより詳細に説明するが、較正においては、独立した、高精度の測定システム、通常はレーザトラッカと、機械および部品との間で、評価基準系を設定する。較正のためには、トラッカは機械の作業体積内の少なくとも3つの予め定められた位置を測定せねばならない。
【0049】
再帰反射器の較正は、通常、トラッカがシステムの測定もまた行なっている間に、機械で部品の重要な形態のタッチプローブによる測定を行なう作業を含む。実際に、機械およびトラッカが、各々の重要な形態の位置が機械媒体が特定する座標に位置することに同意すると、これらの座標はこのステップ中に「同期化」される。このステップ中、SOMaCはまた、最初の基準尺度を決定する。SOMaCはこれを使用して、オートスケールまたはリアルタイムの配向を行ない、それにより、部品の製造中の工場の条件に起因する、部品、機械、またはその双方における変化に対して、その機械媒体を調整する。
【0050】
機械が機械の各停止時に(または別の、オペレータによって規定された間隔で)機械媒体を実行する際に、SOMaCはエンドエフェクタの真の位置を測定して、尺度の調整を含む、精度を改善するのに必要なデルタ訂正命令を計算する。
【0051】
SOMaCは、特に大型のNC機械について、機械の精度を向上させる。精度を改善することによって、SOMaCは変動のより少ない部品を製造することができる。これらの部品は、工学設計仕様により近付けられ、また、機械の摩耗または誤差の蓄積による精度における生来のずれが大いに低減される。ばらつきのより小さい部品は、組立がより容易である。それらは、工学的設計仕様により近い構造へと組立てられる。SOMaCを使用すれば、機械の精度の確認およびプロセス後の検査の必要性を排除できる可能性がある。そうなれば、製造業者が機械の固有の精度を高めるよう機械の品質を向上することができるようになり、また、製造業者が機械により多様性を持たせることができるようになるため、製造業者の工作用コストが大幅に減じられる。一局面においては、SOMaCは、座標測定機械(CMM)の代わりに、製品の承認(検査)に使用することが可能である。これにより、製造業者は、資本、設備、およびメンテナンス(ライフサイクル)のコストを最小に抑えることが可能となる。これは、今日における細かくかつ機敏な製造工程における製品コストを制御する上で、重要な到達目標である。SOMaCは、部品および組立体のコストを減じ、全体的な製造のサイクル時間を減じ、部品および組立体の品質を向上してそれらが工学的設計仕様により密接に対応するようにし、かつ、製品、少なくとも航空宇宙機器用の製品について性能を改善させることにより、顧客の満足度を向上させる。この場合、性能の改善は、単位コストの低減をともなう。
【0052】
I.SOMaCハードウェアアーキテクチャ
好ましいSOMaCシステムの5つのハードウェア構成要素(図3)は:(1)機械、(2)機械コントローラ、(3)独立した測定システム(たとえば、レーザトラッカ)、(4)独立した測定システムコントローラ、および、(5)ワークステーション、である。機械およびそれらのコントローラは、部分プログラム制御、オペレータインターフェイス、サーボ制御、電力分布および制御、エンコーダ信号条件付け、ならびに外部装置との通信を含む、多数の機械制御の局面を受持つ。多くの機械コントローラは、最小限度の産業標準化でのみ存在する。コントローラが多種多様であることは、SOMaC等の能力を、インストールされた機械の大きな基礎へと統合または移動させる試みにおいて、大きな問題を生み出す。この問題を克服するための本発明による方法は、この説明の後の部分で取扱う。この解決策は、その能力を実際に実装するのに重要である。なぜなら、ボーイング社(Boeing)のような製造業者は、システムをその既存の多数の工作機械とともに使用することができることによって、多大な利益を受けるためである。
【0053】
本発明の好ましいワークステーションは、AIXオペレーティングシステムで動作するIBM RS6000であるが、同様の能力を有する他のシステムもまた使用することが可能である。このワークステーションは、レーザトラッカコントローラと機械コントローラとの間にリンクを提供する。このワークステーションは、部分プログラムを制御し、レーザトラッカからの測定値を要求し、かつ、デルタ訂正命令を機械に提供して、機械のエンドエフェクタ(または検査プローブ)を意図された(設計)位置へとより近づけるようにする。SOMaCは、NCコントローラからワークステーションへとプログラムコントロールを移す。ワークステーションはデルタ訂正命令を規定する誤差訂正ベクトルのプログラム命令をコントローラに小出し供給する。レーザトラッキングシステムコントローラは、現時点においては、DOSオペレーティングシステムで動作するIBM互換可能PCであるが、同等のプロセッサまたはオペレーティングシステムと交換することもまた可能である。将来的には、レーザトラッカコントローラはワークステーション内へと組込まれるであろう。
【0054】
図5は、機械の精度におけるこのような改善を図示する。機械100は、部品120の数値による定義から導出された機械媒体命令に基づいて、ドリル110を位置♯1へと搬送する。位置♯1において、機械が部品に孔をあける場合には、孔130は公称値による孔の位置140からずれることになる。SOMaCを使用して、トラッカ150は、機械100上の逆反射ターゲット160および部品120上の工作用ボール170を用いて、ドリル110の位置を決定する。SOMaCは誤差訂正ベクトル180に対する命令を機械100へと小出し供給して、しきい値−反復(Threshold-Iteration)フィードバックループを用いてドリル110を公称値の孔の位置140により近づくように動かす。
【0055】
各ハードウェア構成要素間の通信は直列であって、RS−232またはイーサネット(登録商標)を使用する。直列の通信は、機械コントローラと他の装置との間で一般に使用されており、SOMaCには特に好適である。なぜなら、3つの計算システム間の通信は、厳密にタイミングをとる必要もなく、非常に高速のデータ速度を必要とすることもないためである。トラッカシステムとワークステーションとの間の単一の直列リンクは、双方向、半二重である。このワークステーションとコントローラとの間の直列リンクは、機械コントローラによって異なる。将来的には、他の通信方式を含むことも可能となろう。
【0056】
本出願人は、しきい値変数を、命令された機械の位置と測定された機械の位置との間の許容可能な寸法差であると定義する。本出願人はまた、反復変数を、空間的な位置の確認または警報装置の作動の前に繰返すことを許容される、「移動−チェック−移動(move-check-move)」ループの最高回数を決定するものと定義する。機械は、媒体によって命令された最初の位置にエンドエフェクタを予め位置付ける。トラッカは、エンドエフェクタの位置および/または方位を測定する。機械によって命令された位置とトラッカが測定した位置とを比較して、しきい値に基づいて機械を移動させるかどうかの判定を行なう。もしその差が予め設定したしきい値よりも大きければ、機械は位置付けをし直さなければならない。機械を位置付けし直した後に、システムはその機械の位置を再び測定せねばならない。測定をし直すかどうかの判定は、反復値に基づいてなされる。たとえば、もし反復値がゼロであれば、トラッカは機械が正しく位置付けし直されたかどうかを確認することは決してしない。実際には、反復値がゼロに設定されることはない。反復が要求されると、トラッカは機械の位置/方位を再び測定する。システムは、これらの位置を比較して、デルタ訂正命令を送るが、この動作は、反復カウンタが所定の値を超すまで、または、機械によって命令された位置とトラッカによって測定された位置との比較の結果が予め設定されたしきい値より小さくなるまで、続けられる。
【0057】
もし反復カウンタが、しきい値の条件が満たされるより前に限度値を超過すると、エラーメッセージがオペレータに提示され、オペレータがどのように処理を続行するかを決定する。しきい値および反復の値を選択することで、作業の効率が最適化される。しきい値および反復の値を選択する際に考えられるべき重要な要素は、(1)機械の反復可能性、(2)トラッキングシステムの反復可能性、(3)機械の分解能、(4)穿孔されるべき部品に関する工学的公差、および(5)1つの孔当り許容可能な訂正時間、である。
【0058】
ワークステーションソフトウェアは、しきい値および反復に加えて、以下のユーザが規定可能なパラメータを含むことが好ましい:
(i)最大増分補償。このパラメータは、単一の機械位置について許容可能な最大の機械訂正回数である。これを超すと、システムは警報を発する。
(ii)最大合計補償。このパラメータは、特定のワークピースに対する最大の機械訂正合計回数である。これを超過すると、システムは警報を発する。
(iii)標準偏差。このパラメータは、物体の測定値が信頼できるものとみなされるまでに、多数回サンプリングされる機械測定値の許容可能なばらつきを示す。
(iv)最大許容可能温度変化。これを超すと、システムは、ワークピースの機械加工を中止して、システム自体をワークピースに対して再配向して、膨張/収縮または部品の移動が発生したかどうかを判定する。
(v)最低/最高温度。特定された最低または最高温度の限度を超えると、システムは動作を停止する。
(vi)差動傾きにおける最大変化。システムは複数の差動傾き計を組込むが、それらのうち何個の差動傾き計をシステムのどの構成要素(機械/部品/トラッカ)のどの方位に位置付けることも可能である。いずれか2つの傾き計間の関係がユーザが規定可能な量を超えて変化した場合に、システムは自動的にシステム自体をその部品に対して再配向して、発生した部品/トラッカ/機械の動きを補償する。
【0059】
これらのパラメータは通常、機械の履歴における最悪の精度に基づいて、かつ、部品または組立体を工学的設計仕様にどれだけ近づけて合理的な相似(公差)で製造する必要があるかに基づいて、設定される。作業を続けることによって性能の劣る、受入られない部品が製造される危険がある場合には、やり直しまたは解体の結果となるまでに調整が行なわれるよう、警報が発せられなければならない。
【0060】
図1は、2つのライカ(Leica)SMART310eまたは同等のレーザ干渉計20が横方向の動きの両端に位置付けられた状態で、最高約200フィートの搬送長さを有する、ポストミル10を図示する。SOMaCはしかし、高架ガントリ多軸機械、ボーイング社の自動翼桁組立工具(ASAT)、GEMCORリベッタ、ボーイング社のマルチタスクガントリリベット締めシステム(MTGRS)等を含む、他の従来技術による工作機械にも容易に適合が可能である。SMART310レーザ干渉計は、約100フィートの範囲を有し、したがって、多数のトラッカで作業範囲をカバーする必要がある場合に、横方向の走行距離を決定する。SOMaCは、データ組合せアルゴリズム、および、位置データの複数のチャネルに対するチーフ/スレーブ、ボータ、重み付きのバンドルプロトコル等を含むプロトコルを使用して、多数のトラッカに同時に適応することが可能をあるか、または、連続的な作業ゾーンにおいてトラッカ間で切換えることが可能である。図10は、多数のトラッカの配列の一例を示す。ガントリミル50は、およそ200フィート長さ×50フィート幅の領域内で、部品60上で移動する。4つのトラッカ70が、その作業領域のまわりの選択された位置に位置付けられて、適用ゾーン80、82、84および86で部品60全体の測定範囲をカバーする。これら適用ゾーンはある位置において互いに重複する。重複部分によっては、2つのトラッカが測定データを提供するところもあり、部分92等は、3つのトラッカによって測定が行なわれる。作業包絡線の両端はしかし、単一のトラッカの適用ゾーン内にある。連続するトラッカシステムが重複する領域においては、2つ以上のトラッカが範囲内にありかつSOMaCプロセッサに対して測定データを提供している場合には必ず、重み付きバンドル制御プロトコルを使用することが好ましい。複数のトラッカからの測定データは、変換を計算する方程式によってシステムを過剰規定する。このような余分なデータは、冗長であるか、または、精度を向上させる場合もある。重みは、そのトラッカのデータの精度に起因する信頼性を部分的に反映し、かつ、幾何学および経験により決定される。
【0061】
あるトラッキング用干渉計は、3軸の位置測定値および制御を提供することができる。同じ包絡面内で動作する複数のトラッカは、4軸または5軸の制御を得る必要がある。複数のトラッカを使用する場合、本発明においては、測定値の信頼性を最大にしかつしたがって誤差を最小にする、組合せアルゴリズムを使用する。絶対照準能力を有するより新しいトラッカを使用することにより、機械のすべての軸を単一のトラッカで制御することが可能となる。
【0062】
トラッカは通常、標準的な特徴として、工場の空気の屈折率における変化を波長補償するための、屈折計を含む。照準の精度はさもなければ、工場内の温度、圧力または湿度の変化によって多大な影響を被ることになる。SOMaCが求める精度の向上のためには、このような照準の訂正は、所望の結果を得るために重要である。屈折率の調整に関して、レーザトラッカは、リアルタイムで大容量について、百万分率までの優れた測定精度を提供することが可能である。このような精度を有する照準測定は、十分に高精度の真の位置フィードバックを提供して、機械の終点位置制御を改善することが可能である。
【0063】
II.SOMaCソフトウェアアーキテクチャ
SOMaCソフトウェアは、主要な2つの部分を有する。すなわち、ワークステーションソフトウェアとトラッカソフトウェアとである。オートスケールおよびリアルタイムの配向は、本発明が通常含む、ワークステーションソフトウェアの構成要素である。
【0064】
A.ワークステーションソフトウェア
「SOMaC」と呼ばれるワークステーションソフトウェアモジュール(図4)の主要目的は、トラッカ、オペレータ、および機械の間にリンクを提供することである。SOMaCは、複数の論理片またはプロセスを有し、その各々がプロセス間通信(IPC)技術を介して通信する。システムの、機械特有の部分は、将来の「プラグアンドプレイ」能力(たとえば、新しい機種を組込む等)のために、別個のプロセス内に分離されている。
【0065】
SOMaCソフトウェアは、(テクノマティクス・テクノロジー社(Technomatix Technology Corp.)から入手可能な)Valisys機種のソフトウェア製品と「プラグアンドプレイ」で互換可能である。したがって、既存のValisys工作機械インターフェイス(MTI)モジュールを介して、広範囲にわたるNCミルおよびNC座標測定機械(CMM)との通信が可能である。SOMaCは翻訳C言語またはその相当物を使用してその動作を駆動するが、他のいかなる好適なプログラミング言語も使用することができる。翻訳された情報は、人が読むことの可能なテキストファイルに記憶される。SOMaCはSOMaCプロセスのための主要なグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を提供し、かつ、他のMTIと通信する。SOMaCは自身を機械の仕様から分離して、自身の全般的な適用可能性を向上させる。
【0066】
SOMaC MTIは、SOMaCプロセスのための主要なヒューマンインターフェイスを提供し、他のMTIとも直接に通信する。このモジュールはトラッキング装置またはNC機械とは直接通信しないものの、トラッキング装置と通信する工作機械インターフェイス(MTI)とは通信できる。好ましくは、以下の機能が、SOMaCモジュールに統合される:
【0067】
1.ユーザインターフェイス このユーザインターフェイスは、Motifユーザインターフェイス標準後は、Windows(登録商標)志向である。
2.システム構成管理 ユーザは、システム構成を特定、記憶、および検索することができる。システム構成の要素は、使用するトラッキング装置の番号および種類;精度のしきい値と反復の限度;制御する機械軸の組合せ;表示の正確性;およびログファイルフォーマットを含む。
【0068】
3.軸変換 トラッキングシステムの座標基準フレームは、「3点適合(“three point fit”)」または「最小二乗法適合(“least squares fit”)」を使用して、機械の基準フレームと位置合わせすることができる。3点適合は、トラッカと機械とに共通の3点のみを使用して、トラッカの評価基準系から機械の評価基準系への変換マトリックスを計算する。最小二乗法適合は、4つ以上の共通の点を使用してその変換を行なう。しかしながら、これらの方法は双方とも、トラッカの測定値を機械座標において意味のある座標へと変換するという到達目標を達成する。この変換が行なわれた後に、SOMaCは自動的に、実際の(レーザ)機械位置の、人が読むことの可能なリアルタイムの表示を提供する。この表示は、機械のオペレータによって読出されて、機械とは独立した位置表示と直接比較することが可能である。この変換は、さほど正確でなくともよい。なぜなら、後に行なわれる部品の重要な形態の測定値によって、トラッカと部品との間の関係が規定されるためである。
【0069】
4.誤差回復 穿孔または検査プロセス中に、レーザトラッカシステムは、機械のエンドエフェクタ上の1または複数のターゲットを見失って、再び接触ができなくなる場合がある。エンドエフェクタの再帰反射器(ターゲット)が使用可能範囲を超えて回転した場合、障害となる構造がトラッカおよび再帰反射器(ターゲット)を遮断した場合、または、修理/メンテナンスがまずくてそれらを不明瞭にした場合に、トラッキングの「ロック」が破壊されるおそれがある。SOMaCモジュールは、3つの誤差回復技術を提供する。すなわち、手動、「ルックアヘッド(“look-ahead”)」、および、ビームの損失からの「ルックバック(“look-back”)」、の3つである。
【0070】
手動による方法は、オペレータがプロセスを停止して、手動でターゲットをトラッカへと戻して、接触を再び構築することを可能にする。オペレータはターゲットをトラッカが測定する公知の(元の)位置に位置付ける。その後オペレータは、トラッカがターゲットを追跡している間にターゲットを実際の位置へと移動させる。このようにして、トラッカは元の位置と関連付けて実際の位置を知ることができる。
【0071】
「ルックアヘッド」の方法は、トラッキング装置が要求される次の測定位置を指し示すようにして、ターゲットが視界内に入ってくるのを待つ。視界内にターゲットが入ると、SOMaCはそのトラッカに対して正確な測定値を集めるように命令を発する。ルックアヘッド方法は、絶対照準能力を有するトラッキングシステムでのみ使用することが可能である。レーザ干渉計を有するトラッキングシステムは、相対的な距離変化を測定するため、十分な精度の公知の座標を有する、始動時の指標位置を有さなければならない。レーザレーダ照準システムを有するトラッキングシステムは、トラッカからターゲットまでの絶対距離を測定し、正確な指標を必要とはしない。したがって、このようなシステムは、ターゲットの次の測定位置を「ルックアヘッド」するように命令することが可能である。
【0072】
「ルックバック」方法は、機械がその経路に沿って、誤差が生じる直前の最も最近の測定値を示す点まで後戻りするようにする。トラッカはその後、その座標へと戻るように命令され、トラッキングを再開することができるようになり、そのターゲットの距離が最後に測定されたものと同じであると考えることができる。「ルックバック」方法は、機械の反復可能性が受入れ可能な許容限度を超えた場合に、寸法の誤差の影響を受けやすい。なぜなら、この方法は「真の」位置を構築するのに機械に依存しているためである。したがって、「ルックバック」方法を使用するたびに、機械の反復可能性による空間的誤差に対応して絶対的な位置に誤差が生じる。もしビームが失われる事象が多数回繰返されれば、この「ルックバック」方法によってずれが生じるおそれがある。
【0073】
5.NCプログラム制御 SOMaCモジュールは、機械コントローラへの動き命令の「小出し供給される」ブロックを制御する。SOMaCモジュールは、オペレータ、プログラマ、またはポストプロセッサが、トラッカの位置の検査(および必要であれば機械の調整)がいつ行なわれるかを示す、ユーザが規定したキーワードを、モーションプログラムに挿入することができるようにする。代替的に、既存の文字列をキーワードとして使用することも可能である。SOMaCは、キーワードを発見した場合にのみ、機械の位置をレーザトラッカデータで更新する。以下の例は、「“Measure SOMaC”」をキーワードとして使用している:

【0074】
SOMaCシステムは、“Measure SOMaC”のキーワードに遭遇すると、現時点の機械の位置を測定するよう、トラッキング用干渉計(または他の独立した測定システム)に命令を発する。その測定値に対する反復プロセスが終了した時点で、機械は正確に位置付けし直されており、したがって、モーションプログラムによって命令された位置と真の空間的位置とが対応するようになる。その後、このキーワードに続くブロックが実行される。本発明の例においては、ブロックN106上で孔があけられる(Z5.000)。動き命令が機械コントローラへと「小出し供給」されている間に、モーションプログラムはモニタ上にオペレータに対して表示され、それにより、オペレータは部分プログラム動作を確認することができる。
【0075】
B.トラッカシステムソフトウェア
トラッカシステムソフトウェア(BoTrack、図4)は、レーザ測定システムコントローラ上に存在する、Cで書かれたDOSアプリケーションである。このソフトウェアは、トラッカインターフェイスからの命令を受取り、測定値をとり、測定された座標をトラッカインターフェイスへと送り返す。加えて、このソフトウェアは、前述のように、レーザの波長補償のために屈折計と通信する。各距離測定に先立って屈折率を更新するために、ソフトウェアは屈折計に対して現時点における屈折率を照会する。ソフトウェアは、現時点の屈折率と最後に得た屈折率とを比較し、もしそれらの値が予め定められた量、たとえば百万分率(ppm)で0.5部よりも大きい差を有する場合に、記憶されている屈折率の値を現時点の値へと変更して、その現時点の値を使用して距離を計算する。このように、距離測定およびトラッカのプロセス内における距離計算を行なう際には常に、最も正確な環境条件が使用される。
【0076】
このソフトウェアは、SOMaCワークステーションソフトウェアを他のいかなる種類の特定の測定ハードウェアまたはソフトウェアとも分離する。この柔軟性によって、工場内におけるSOMaCの利用性が増す。なぜなら、SOMaCはそれが遭遇するいかなるハードウェアの組合せとも、最小限のソフトウェア開発の努力で共に使用することができるためである。
【0077】
このソフトウェアは、2つのモードで動作する。すなわち、自動モードおよび診断モードである。自動モードは、SOMaCが動作中の場合に使用される。自動モードにおいては、このソフトウェアはSOMaCモジュールから送られる命令に自動的に応答する。診断モードにおいては、オペレータはメニュー構造内の命令を使用して、種々のタスクを実行する。
【0078】
C.オートスケール
次に、製造環境における温度の影響を補正するための、NC媒体の自動化された空間的調整について説明する。本出願人は、一般に、この特徴を「オートスケール(“Autoscale”)」と称する。
【0079】
数値制御型(NC)工作機械は、NC媒体または機械制御データと称される、人が読むことの可能な機械言語を介して、位置付け命令を受取る。NC媒体は、部品の設計図またはコンピュータ支援設計(CAD)モデル(すなわちデジタルデータセット)から(手動でまたはコンピュータの支援の下で)生成される。設計図またはCADモデルは、実際の部品の所望の形態を表現する。しかし、実際の部品は通常、環境温度の関数としてサイズが変化する。個々の材料はそれらが温度における変化に応じてどの程度膨張または収縮するかを示す、熱膨張係数(CTE)を有する。この問題を認識して、ほとんどの設計図およびCADモデルは、所望の寸法を特定の基準温度と結びつけている。基準温度は国際的に、20℃(または68°F)で合意されている。部品の材料は機械加工の時点で厳密に20℃になることは決してない。したがって、部品が設計図またはCADモデル内の設計の意図を実際に反映するようにしようとする場合に問題が生じる。もし部品が20℃よりも(わずか数度でも)高い状態で機械加工される場合、結果として得られる部品はおそらくは、20℃の基準温度に冷却された際に、公称値とは寸法が異なってしまうであろう。材料、許容差、および温度によっては、機械加工された部品は機械加工された時点では許容範囲内にあるかもしれないが、基準温度にすると、許容範囲外となりかねない。事態をより悪化させることには、各材料は異なる熱膨張係数(CTE)を有し、かつ、航空機の組立体は多数のかつ広範囲に及ぶ材料を含み得る。フライス盤もまた、温度の変化に伴って膨張または収縮するため、その形が変化する。
【0080】
温度変化に起因する寸法および形状の変化を補正するための従来的な取組みに、工場の温度を制御するかまたは工場の温度を監視してその温度の測定値に応じて機械エンコーダに経験的な調整を加える方法がある。以下に述べるように、これらの解決策は、それらが組合されたとしても、正確な機械加工を達成することはできない。
【0081】
部品の正確な製造およびそれらの後の組立に対する温度の影響は極めて高くつくおそれがある。異なる工場内で異なる温度で製造される構成要素は、互いに正しく組立てられない場合があり、これは、やり直し、解体、またはスケジュールの遅れを引き起こす。このような影響は、組立用工具の形状よりも工学的な設計をより正確に反映する製品への精密な組立てのために、協働する形態(特に孔)を正確に位置付けることに依存している組立体において、特に深刻である。米国特許番号第5,033,014号は、この設計対加工の問題をより詳細に述べている。航空宇宙産業分野は、「構築された」組立体の意図された設計からの変動またはずれがたとえ小さくとも、それによって製品の性能が深刻な影響を受ける分野である。したがって、工場および部品の温度の変動に適応するよう機械加工を調整する必要性は極めて高い。この解決策はまた、何時間または何日も続く機械加工の作業を通じて尺度を作れるように、反復可能でなければならない。
【0082】
部品および機械の傾斜(傾き)は、重要な考慮事項である。なぜなら、膨張および収縮を引き起こす温度変化は機械、部品、またはトラッカを傾斜させるおそれがあるためである。本発明においてはそれらの各々に傾き計を配置して、それらの空間的な関係が変化したときに警報信号を発するようにしている。傾斜警報が発せられる条件が生じた場合、オペレータはトラッカを部品に対して較正し直さなければならない。
【0083】
オートスケールは、写真測量法、経緯儀、およびレーザトラッカ等の産業的な光学的検査システムに適応が可能な、熱補償技術である。オートスケールでは、実際の部品の基準または形態の位置を測定し、部品が実際にどの程度その設計基準の状態から膨張(または収縮)したかを判定し、その後、後続の位置に関する動作に対してサイズ変動の補償係数(尺度)を適用する。このオートスケール技術は、部品の温度の測定値に依存するのではなく、実際の部品のサイズに依存する。オートスケールファクタは、部品の基準サイズに対する「実際の」サイズの(小数で表わされる)割合である。このスケールファクタは、部品の測定された幾何学をその基準幾何学と比較することに基づいた、実際の部品の「ベストフィット(“best fit”)」を示す。実際のワークピースは、多数の要因に基づいて非線形性の変化を示す。本発明では、このスケールファクタを個々の温度測定値および部品の成長モデルと突き合わせて、その差を最小にしかつ予期できなかった挙動を検出する。本発明では、オートスケールと組合せて部品の位置計算を行なう。
【0084】
オートスケールは、部品の基準または形態の動きに基づいて部品の体積変化を評価することにより、三次元で機能する。3D座標システムを構築するには3つの工作用ボールで十分であるが、本発明では好ましくは、それより多い数の工作用ボールを使用することで、作業包絡面を通じて変化をより細かく検出する。ここで、それらのボールのうちいかなる3つのボールを使用しても基準平面を構築することが可能であり、また、部品を複数のゾーンに分割することもでき、または、中間の複数のボールを使用して部品内の曲がり、膨らみ、またはねじれを確認することが可能である。本発明においては、経緯儀の品質検査を行なうために部品または工具上に配置したのと同じ工作用ボールを使用して、オートスケールを行なう。オートスケールは、本出願人が設計したソフトウェアによって、温度の変動と結びつけられる。すなわち、本発明では工作用ボールの測定を、工場の温度における十分に大きな(しきい値の)変化をともなう変動に基づいて行なう。尺度は、たとえば2°Fの温度変化が起こるたびに作り直される。リアルタイムの配向は、温度の変動によって測定および尺度の作り直しがトリガされるようには結びつけられてはいない。リアルタイムの配向においては、システムは各機械加工の動作の前に、工作用ボールを測定することによって、継続的に尺度を作り直しているのである。
【0085】
たとえば、1つの部品上の2つの孔の間の距離が設計基準温度において100インチであって、実際に温かい部品の上で測定される距離が、100.10インチと測定されたとする。この場合、オートスケールファクタは100.1/100.0=1.001000となる。もしさらに別の2つの孔を200インチの間隔をおいて部品内にあけなければならない場合、このオートスケールファクタが200インチという所望の値に適用されて、実際にはその2つの孔は200.2インチの間隔で穿孔される。この部品が基準温度に戻されると、それら2つの孔は希望通りに、正確に200インチの間隔となるであろう。
【0086】
オートスケールまたはリアルタイムの配向は、問題となる部品が比較的長い時間期間にわたって種々の段階で、多くの異なる温度状態を経過すると考えられる場合に有益である。実際に、オートスケールの主要な効果は、部品を種々の熱的状態で処理することが可能であり、しかも、それが完成したときに、工学的設計寸法に極めてよく合致することである。
【0087】
オートスケールは、対象となる部品上の一連の形態に対する予め構築された座標の組に依存する。このデータは基準ファイルと呼ばれるが、この基準ファイルは、どのような検査システムからも、十分な適用精度をもって生成することが可能である。基準ファイルにおける座標は、通常20℃の(通常は部品基準システム内の)形態の位置を表わす。これらの座標は、設計基準温度に釣り合うようにされた部品を検査して、または、検査データの尺度を作ることによって、決定される。この基準ファイルは、部品と関連する特定のデータの組となり、また、オートスケールプロセスの次のステップで使用することが可能である。
【0088】
オートスケールは:
(1) 部品(フライアウェイ(fly-away)ハードウェア、工具、ゲージ、保持用取付具等)のための基準CADファイルを作成する;
(2) マシンベッドに部品を装着する;
(3) (機械のタッチプローブまたは独立した検査システムを使用して)基準を測定する;
(4) スケールファクタを計算する;
(5) スケールファクタを機械制御媒体に適用する;
(6) 調整された座標での機械加工のために機械を調整する;および、
(7) 再設定された尺度における部品の機械加工を、(リアルタイムの配向の実現のために)温度が尺度を作り直さねばならないほど十分に変化するまで続ける、または、継続的に尺度を作り直す。
【0089】
オートスケールでは、工場の周囲温度もしくは部品の温度、またはその双方を測定する。尺度を作り直す動作をトリガするための増分は、温度変化が機械の精度に識別可能な変化をもたらす間隔に選択され、通常これは、2〜5°F(1〜2.5℃)である。尺度を継続的に作り直す必要は通常はない。尺度を作り直すための合理的な増分を選択することにより、コンピュータ処理を減じることができる。
【0090】
D.リアルタイムの配向
温度は考慮すべき要因の1つに過ぎない。部品上に特徴(形態)を正確に位置付けるためには、高精度の機械が必要である。大型の機械、特に穿孔機械は、温度変化、地面の動き、機械の位置付けの精度(直線性、直角性、線形の位置付け等)または摩耗により、本来的に精度が低い。最も対処し難い問題はもちろん、制御が困難でありかつ予測が不可能であって再生が難しい、たとえば潮の干満に関連する地表の移動等の環境条件である。これらの影響はしばしば非線形であるか、または、破滅的である。これらは製造動作中に機械と部品との空間的な関係を変化させて、精度を低下させる。
【0091】
機械および工具を大きく作って、自然の外的な力によるねじれおよび曲げに抵抗できるようにすることは一般的ではあるが費用が高くつく。非常に高精度の機械加工のためには、頻繁に較正および再較正を行なわなければならず、これによりコストが増す。較正に必要な時間は、部品と機械との空間的な関係を変化させる現象(潮、温度等)の周期よりも長い場合がある。もし較正がそのような変動の周期よりも遅い場合、較正による調整を受入れ可能な確実さの程度まで行なうことは困難であろう。
【0092】
本発明の好ましい実施例においては、絶対照準トラッキング干渉計を使用するリアルタイム配向(RTO)が実現される。これらの装置は、光学的ターゲットまでの距離を正確に測定することが可能であり、また、一連のターゲットからデータを収集するよう回転式の制御を介して向けられることが可能である。この距離と角度の測定値の組合せは、各ターゲット位置について3Dの空間的な位置に変換される。大きな部品は、部品体積内にまず基準位置または重要な形態を作ることによって、正確に構築される。これらの重要な形態がオペレータによって「検査」されて、部品の位置がその形態との相関関係により正確につきとめられ、かつ、機械の座標システム内に結合される。これら重要な形態はしばしば「工作用ボール」であるか、または、部品上に正確に位置付けられるピン上に装着された球面である。
【0093】
リアルタイム配向のプロセスは:
(1) トラッカで機械の位置を監視しながら機械を予め定められた経路に沿って走行させることによって、トラッカと機械との間の(公称の)関係を判定する;
(2) 部品上に装着された光学的ターゲットの(最小3つの)組について、一連の三次元の位置を規定する、基準プログラムを作成する;
(3) 各穿孔動作の間に、各ターゲットの位置をトラッカで測定する;
(4) 基準ターゲットの公称の位置と実際の位置との間の数学的変換を計算する;
(5) その変換を機械媒体に適用する;および、
(6) 変換された媒体を機械に供給する。
【0094】
これらの測定値は、部品、機械、またはその双方の並進運動または回転にかかわらず、意図された位置で、たとえば本件に関しては穿孔を行なうことができるようにする。図6および図7は、そのプロセスを示す。図6において、RTOは機械と部品との間の共通の基準を構築する。機械と部品との双方がオフセット位置へと並進運動する間に、図7に示すように、RTOの測定値が機械媒体のための変換(すなわち誤差訂正ベクトル)を生成して、機械がさらに、意図された(公称の)位置において穿孔することができるようにする。すなわち、RTOにより、機械、部品、またはその双方の運動にかかわらず、かつ、機械、部品、またはその双方の膨張または収縮にかかわらず、機械加工を正確に行なうことができるようになる。RTOは、(少なくとも5軸の能力を有する機械について)優れた解決策で、実際の製造時の「必要悪(“necessary evils”)」に対応する。
【0095】
本発明の技術は、対象となる部品上の一連の光学的ターゲットに対する予め構築された座標の組に依存している。このソフトウェアは、ターゲットを規定し、予め測定し、その後、ターゲットに向かう方法を提供する。機械的、熱的、または他の影響によってターゲットの位置が変化すると、そのターゲットの組にもっとも適合する位置が追跡される。NC媒体は、機械コントローラに供給されるが、これは、部品において測定された位置および方位の変化と相関関係をなして部品に穿孔が行なわれる際に、オンザフライで修正される。複数の穿孔動作の間で、部品の位置が監視される。次の穿孔動作は、必要に応じてスケールファクタによって変更されかつ尺度が作られて、その孔が先の孔および工学的設計に対して正しい位置に位置付けられるようにする。
【0096】
リアルタイム配向においては、基準形態の実際の位置が、絶対照準レーザ範囲指定器によって各機械加工の動作間で継続的にまたは累進的に監視される。コンピュータは、基準の設計(公称)位置と実際の、測定された位置との間に生じた座標変換を計算し、適切なスケーリングファクタを適用してNC媒体を調整する。
【0097】
以下の簡単な例および図6から図8は、リアルタイム配向プロセスを示す。部品810上には少なくとも3つの光学的ターゲット800があり、これは、機械またはロボット830のエンドエフェクタ820上にも少なくとも3つ存在する。それらのターゲットは部品上に間隔をおいて配されて、その物理的な特徴を表わす。部品上の多くのターゲットを使用することで、特に問題となる領域においてより高い感度または詳細を提供することが可能となる。部品の最初の位置がそのターゲットの位置を判定することによって測定されろ。各ドリルの位置について、1または複数のトラッカ840は機械上および部品上のターゲットの位置を測定し、SOMaCが適切なスケールファクタおよび位置調整を計算する。デルタ訂正命令は、機械媒体を調整して、カッターをその次の動作のために実際の位置に移動させる。もし機械が(6度の自由を有する)5軸の工作機械である場合には、機械対部品の関係の変化は重要ではない。すなわち、5軸の穿孔用機械またはロボットのドリルの先端は、もし変化が(潮または温度変化に関連する等のように)機械加工の動作に対して遅いものである場合、並進運動および回転運動における誤差を完全に補償することが可能である。機械830および部品810上の最小3つの光学的ターゲット800は、部品および機械の双方を6度の自由で追跡するのに必要である。調整は、部品および機械の最後に測定された位置に基づいて、または、工学的な設計基準から行なわれる。
【0098】
リアルタイム配向のために部品および機械の位置を測定するには、熱的ノイズを相殺するように測定に時間の余裕を持たせた場合には、6つの光学的距離測定につき最高約10秒を要する。オペレータがどの程度の頻度で距離測定を行なわなければならないかは、機械の剛性、工場内の温度の変動および変化の速度、部品に対する機械の傾き、ならびに、機械加工の動作間の時間間隔に、さまざまな要因の中でも特に依存する。システムは温度、傾斜、時間、または他の好適な警報を、所定の間隔で再較正(距離測定)を強制的に行なうように、容易に設定することが可能である。NC媒体内の命令もまた、先に説明したように、機械加工における予め定められた時点で、距離測定をトリガするようにすることが可能であり、これは特に、正確に協働用の特徴(形態)を位置付けるために重要である。
【0099】
オートスケールおよびリアルタイム配向のプロセスを、機械加工に関連して上に述べたが、これらは検査にも適用することができる。SOMaCシステムは、部品を正確に機械加工するのに使用することができるが、これもまた、機械加工された部品を検査するのにも使用することができる。検査はおそらくは、機械加工を制御するのと同じくらい重要な機能であろう。なぜなら、検査によって、特別の検査用工具、特に座標測定機械(CMM)の購入および維持、部品の座標測定機械への転送、ならびに、部品の完全な検査を可能にするための、部品とCMMとの間の公知の空間的関係の構築、に関連するコストが減じられるためである。機械上で部品を検査することにより、機械上の工具からその部品を取除いた後に生じる部品の形態における変化の根本原因が、実際に、精度の低い機械加工によるものではなく設計の誤差または輸送時の事故の結果である場合に、それを発見することが可能となる。検査のために、機械のスピンドル内のカッターが検査プローブに置換される。機械は、予め定められた検査工程を通じて、意図された数値による定義に従ってプローブを移動させる。特徴(形態)の検査が行なわれる各位置において、SOMaCソフトウェアは、機械の精度の低さおよび環境に起因する誤差に対して、トラッカが適切な位置調整を行なうようにする。
【0100】
本発明の技術は、実世界の外的な事象の自然発生を制御または排除しようと試みるのではなく、それらの事象を補償するものである。これらの技術により、最も制御された環境内で働く最も熟練した職人によって達成され得るよりも速く、これまで実現できなかった精度の高さおよび正確さで、部品を製造することができる。これらのプロセスは、簡単な低コストの機械で正確な部品を製造できるようにし、航空宇宙産業における細かく機敏な製造に新たな可能性をもたらす。非常に正確でかつ高精度の、広範囲にわたる部品を製造するのに、一般的な機械を使用することが可能であり、したがって、資本コストおよび工場のサイズが大いに減じられる。
【0101】
III.システムの較正
最初に、トラッカおよび機械は、位置合わせ媒体プログラムを実行することによって「位置合わせ」される。このプログラムは機械を予め定められた経路上で代表的な体積を通じて移動させ、その間、トラッカがその機械を「追跡している」(すなわち、動きを記録していろ)。トラッカの座標システムと機械の座標システムとの間の関係がその後計算されて、「粗い」位置合わせが提供される。部品の機械に対する位置が厳密ではないため、この関係は「粗い」。また、機械の動きは、理想から離れた機械本来の不正確さを含む。
【0102】
プローブは、たとえば図6に示すようなValisys検査ソフトウェア等を使用して、通常は接触により、部品上の重要な特徴(形態)を測定する。本発明では、トラッカの測定されたデータと、NC媒体内で翻訳される部品の数値による定義において部品内に設計された基準システムとの間の変換を計算する。この変換は、タッチプローブによる重要な特徴(形態)の測定値に基づく(これは、粗い位置合わせのプロセスからのレーザフィードバックに基づいて訂正される)。重要な特徴(形態)の情報に基づいて、部品の位置は今や、完全に、トラッカの基準フレーム内でわかっている。ソフトウェアはNC媒体を再配向して、部品の「位置付けられた」位置に応じるようにする。部品を位置合わせし直す必要はない。 もちろん、実際の部品の位置と設計データからの基準位置とは、検査プローブが部品をほぼ正しい位置で評価できるように、部品の望ましい位置と十分接近していなければならない。検査プローブは、実際に、意図された特徴(形態)を識別しなければならない。ソフトウェアは、オペレータがシステムに対して、部品がどこにあるかを、簡単な単一点の検査方位(教示点)を使用することによって「教える」ことができるようにする。重要な特徴(形態)の検査によって部品の位置をより正確にすることにより、すべてのものが所定の位置へと固定される。トラッカはまた、重要な特徴(形態)の位置(部品上に装着された反射ターゲット)を測定することができ、これにより、Valisysとは完全に独立し、かつ、機械の座標システムからも独立した、動作が可能となる。トラッカは、部品の位置を直接測定し、その後、部品を部品の位置上の正しい点に直接導き、その後、工学的仕様のCAD設計意図に基づいて、機械を部品上の正しい場所へと導く。この重要な特徴(形態)の位置は、NC媒体と同じ基準フレームで表現されなければならない。
【0103】
SOMaCシステムのさらなる詳細は、本出願人の記事「NC機械のための光学的終点制御(“Optical End-Point Control for NC Machinery”)」、1997年6月4日、SAE 97MP−12内に述べられており、これをここに引用により援用する。
【0104】
図9は、SOMaC制御が提供することのできる孔の配置の、実際に測定された正確性および精度(反復可能性)を示す、典型的なヒストグラムである。グラフは、孔の真の位置の、座標(X軸)に沿った意図された位置からのオフセットを示し、孔の数のカウントは、SOMaC制御の下、ポストミルで穿孔された0.3275インチの直径の孔197個に対して、Y軸上の精度である。孔の位置は、Valisys検査分析工具で判定された。0.0インチから0.001インチまででオフセットされている孔は、0.001としてカウントされた。0.0011インチから0.002インチまでの位置合わせのずれを有する孔は、0.002インチのオフセットとしてカウントされた。全範囲において同様のカウントを行なった。真の位置は、標準偏差で0.002インチの位置オフセットで、平均偏差ではわずか0.004インチ(半径の位置合わせの誤差ではわずか0.002インチ)だけ、意図された設計位置からオフセットされている。これらの孔は、「最良の機械加工」を使用して穿孔された。SOMaCによって通常得られるこの分布および結果は、平均に密接して配されており、これは、非常に信頼性が高く、反復可能性および信頼度の高い、よく制御されたプロセスであることを示している。SOMaCの制御の下で製造される部品は、伝統的な方法を使用して製造される部品よりも、部品同士のばらつきがより小さい。特徴(形態)、特に協働用の孔は、部品上に、それらの意図された(設計)位置に一貫して近接に位置付けられている。このように変動が制御できることで、組立が大いに簡素化され、そうすることで、SOMaCは著しいコスト節約を実現する。
【0105】
翼および胴体の組立体の製造にSOMaCを応用することにより、自動化されたレーザ誘導型穿孔機械の業界初の使用が実現する。レーザトラッカの真の位置測定からの自動化されたデータフィードバックは、位置調整を命令することにより、ドリルを、設計の意図された真の位置へとより近接に導いた。孔は、工学的仕様の0.007インチの許容差内で穿孔された。それらの位置、サイズおよび深さは、正確に制御された。およそ7000個の孔が、外皮、胴体、支柱、流線形構造、および通路ドアの取付けのために、各翼に穿孔された。SOMaCは、この仕事に必要であったであろう高額な工具を獲得する必要を排除した。SOMaCは、非常に性能の高い部品を製造して、手動による穿孔に一般につきものの、高くつくやり直しを排除した。このような正確な穿孔は、一貫して精度の高いさら穴を製造することによって乗物の性能を強化し、かつ、より小さいエッジ許容範囲によって乗物の重量を減じることができるようにする。
【0106】
SOMaCは好ましくは、機械が停止したときにトラッカの測定値をとる。静的および動的な機械動作の区別は、過去においてはなされておらず、3Dレーザシステムを使用した終点制御の利用を妨げていた。静的な機械動作(たとえば、穿孔、プロービング、ボーリング、リベット締め、およびさらもみ)は、機械がその動作を行なう前に静止する(停止する)ことを要求する。たとえば、穿孔機械が孔をあける準備を整えるとき、それはまず、ドリルを孔の位置上に予め位置付ける。その後、動きが実質上停止すると、機械はそのドリルを単一の軸に沿って移動させる。静的な機械加工動作は、穿孔(およびそれに関連する動作)、スポット溶接、部品への機械加工を開始する前のカッターの最初の位置付け、等を含む。動的な機械動作は、多数の軸に沿って連続したモードで移動して、カッターを、ワークピースを通じて、プログラムされた経路に沿って駆動する。
【0107】
以上に好ましい実施例について説明したが、当業者には、本発明の概念から離れることなく作ることができるであろう、代替例、変形例、および修正例が、容易に認識されるであろう。したがって、この説明に基づいて、当業者に公知の全範囲の均等物の支持によって、請求項を寛大に解釈されたい。記載した実施例は、本発明を説明するためのものであり、限定を意図するものではない。したがって、本発明を請求項によって規定し、関連する先行技術の観点から必要な場合にのみ、請求の範囲を限定するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の製造の精度を高めるための方法であって、
部品の数値による定義から導出された機械制御媒体で、その部品を作るように機械に指示をする機械コントローラにおいて、命令された位置の尺度を、機械上での部品の機械加工中の、部品、組立体、または関連する工具上の重要な特徴の実際の位置変化の測定に基づいた形態尺度で作るステップを含む、方法。
【請求項2】
前記命令された位置の尺度を作るステップは、部品の数値による定義から導出された機械制御媒体を、部品、機械、または工場のワークピースの実際の温度が、設定点の温度から予め定められたしきい値だけ逸脱したときに計算される熱効果尺度で、調整するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記尺度を作るステップは、部品、機械、または工場のワークピースの温度が予め定められた増分だけ変化する度に、熱効果スケールファクタを計算するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(a)工作機械が作業する部品または組立体の数値による定義から生成された命令に基づいて、エンドエフェクタを有する工作機械を第1の命令された位置に駆動するステップと、
(b)工作機械が第1の命令された位置で停止したときに、エンドエフェクタの位置を正確に測定するステップと、
(c)測定された位置と第1の命令された位置とを比較するステップと、
(d)もし測定された位置と命令された位置との間の差が予め定められたしきい値を超えた場合に、デルタ訂正命令を工作機械に送ってエンドエフェクタの位置を調整するステップと、
(e)選択的に、機械加工中の部品の実際の寸法の測定値に基づいたスケールファクタで、数値による定義から導出された熱効果に対する命令された位置の尺度を作るステップと、
(f)選択的に、部品、組立体、または関連する工具上の重要な特徴の位置の変化の測定に基づいた形態尺度で、数値による定義から導出された命令された位置の尺度を作り、かつ、その形態尺度に応じてデルタ訂正命令を調整するステップと、
(g)選択的に、機械に装着されかつ部品の数値による定義から導出された機械命令で機械によって命令された位置へと導かれる検査プローブを使用して、機械加工された部品を測定するステップとをさらに含み、前記検査は、検査する特徴の組の測定を含み、前記測定は、部品を承認するよう行なわれかつその精度を高めるようにデルタ訂正命令を機械に提供ずることによって増強され、前記デルタ訂正命令はプローブの真の位置の測定値を機械によって命令された位置と比較することから導出される、請求項1、2、または3に記載の、機械の精度を高めるための方法。
【請求項5】
前記位置測定は光学的に行なわれる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(i)請求項4に記載のステップ(a)から(f)を完了した後に、工作機械でワークピース内に第1の孔をあけるステップと、
(ii)請求項4に記載のステップ(a)から(f)を繰返して、工作機械を第2の命令された位置に移動させるステップと、
(iii)第2の命令された位置において工作機械でワークピース内に第2の孔をあけるステップとを含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記デルタ訂正命令は、位置調整のための機械媒体の命令文である、請求項4、5、または6に記載の方法。
【請求項8】
前記エンドエフェクタの位置を測定するステップは、独立した測定装置で、機械上の少なくとも1つの再帰反射器からの情報を得るステップを含む、請求項4、5、6、または7に記載の方法。
【請求項9】
前記熱効果に対する命令された位置の尺度を作るステップは、
(a)部品の寸法を最初の基準として測定するステップと、
(b)部品の寸法を再度測定するステップと、
(c)再測定された値を最初の基準と比較して、スケールファクタを計算するステップと、
(d)そのスケールファクタに基づいてデジタルデータセット表現または命令された位置を調整するステップとを含む、請求項4、5、6、7、または8に記載の方法。
【請求項10】
前記スケールファクタは、再測定値の最初の基準に対する比である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項6、7、8、9または10に記載の方法によって得ることが可能な、正確に穿孔されたワークピース。
【請求項12】
位置付けの精度が改善された工作機械システムであって、
(a) エンドエフェクタを含んで、部品の機械加工動作を行なうよう適合された、工作機械と、
(b) 工作機械に結合されて、部品の工学的設計図またはデジタルデータセット表現から導出された位置制御媒体を通じて、工作機械を命令された位置へと動かすよう命令するための、機械コントローラと、
(c) エンドエフェクタの真の位置を測定するよう位置付けられた、少なくとも1つの独立した測定システムと、
(d) 測定システムからのエンドエフェクタの測定された位置と命令された位置とを比較し、かつ、その命令された位置と測定された位置との間の差を相殺するように機械コントローラへと調整信号を提供するための、計算システムと、
(e) 選択的に、部品のサイズまたは方位に影響を与える、経時変化する工場の条件について、部品のデジタルデータセット表現から導出された命令された位置を調節するための手段とを含む、工作機械システム。
【請求項13】
部品の数値による定義による表現と工作機械のエンドエフェクタの測定された真の位置との比較に基づいて、機械コントローラに再位置付けの命令を提供するよう記録される、コンピュータ可読な情報を有するコンピュータソフトウェア記憶媒体を含む、情報記憶媒体。
【請求項14】
工場における部品製造中の部品の変化を補償するよう、部品の形態を表わす機械媒体の空間的仕様を修正するための方法であって、
(a)十分な数の位置において部品を測定して、その実際の形態を第1のデジタル表現で識別するステップと、
(b)その部品を再測定して、その部品の第2のデジタル表現を生成するステップと、
(c)第2のデジタル表現を第1のデジタル表現と比較して、スケールファクタを決定するステップと、
(d)そのスケールファクタに従って機械媒体を調整するステップとを含む、方法。
【請求項15】
部品、機械、または製造用ワークセルの設計温度と実際の温度との温度差を補償するための、請求項14に記載の方法であって、
(a)基準温度における部品の意図された形態のコンピュータ可読なデータセット表現を作成するステップと、
(b)予め定められた増分による工場の温度変化に基づいた選択された間隔で、十分な数の位置において製造用ワークセル内の部品を測定して、工場の条件に起因する部品のサイズまたは方位における相対的な変化を識別するステップと、
(c)再測定値/基準測定値の比によって、機械媒体または数値による定義を調整するステップとを含む、方法。
【請求項16】
前記部品を測定するステップは、
(i) 部品上の選択された位置に、少なくとも3つの基準特徴を配置するステップと、
(ii)レーザ干渉計で各基準特徴の位置を測定して、コンピュータメモリ内に位置データを記憶するステップと、
(iii)基準特徴の位置データに基づいて基準平面および座標システムを判定して、基準特徴の相対的な位置を規定するステップとを含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記スケールファクタは、スケーリングによって部品が等角となるように、デカルト座標系におけるいずれかの軸に沿って共通のスカラーで測定を変化させる、第一次訂正である、請求項14、15、または16に記載の方法。
【請求項18】
請求項14、15、16、または17に記載の方法に従ってスケールファクタを判定するよう記録される、コンピュータ可読な情報を有するコンピュータソフトウェア記憶媒体を含む、情報記憶媒体。
【請求項19】
検査工具で製品の特徴を測定することによって製品を承認するための方法であって、
(a)機械のスピンドル内に測定プローブを位置付けるステップと、
(b)製品の数値による定義において特定された製品の意図された形態から導出される検査シーケンスに従って、製品上の選択された検査特徴を検査測定値の組としてプローブで測定するステップと、
(c)工場の条件変化によって引き起こされる検査工具内の製品の実際の形態の変化の測定に従って、特徴の相対的なサイズおよび位置を調整するよう、数値の定義によって特定された製品の意図された形態の尺度を作るステップとを含む、方法。
【請求項20】
前記ステップ(a)から(c)は、製品をその製品を製造するのに関連する製造用工具および製造用機械から取除く前に行なわれる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記機械は、機械および工場の位置付けの誤差を訂正するよう機械に関連してレーザ測定装置が設けられた機械制御の増強によってその精度が強化された、ポストミルまたはガントリ穿孔機械である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記測定プローブは、測定ステップ中に部品に物理的に接触するタッチプローブである、請求項19、20、または21に記載の方法。
【請求項23】
前記測定プローブはレーザプローブである、請求項19、20、21、または22に記載の方法。
【請求項24】
前記尺度を作るステップは、ワークピースの実際の温度の理論的な設計基準からの逸脱に基づいた熱効果尺度で、数値による定義から導出された熱効果に対する命令された位置の尺度を作り、かつ、その熱効果尺度に応じてデルタ訂正コマンドを調整するステップを含む、請求項19、20、21、22、または23に記載の方法。
【請求項25】
前記尺度を作るステップは、部品、組立体、または関連する工具上の重要な特徴の位置変化の測定に基づいた形態尺度で、数値による定義から導出された命令された位置の尺度を作り、かつ、その形態尺度に応じてデルタ訂正命令を調整するステップを含む、請求項19、20、21、22、23、または24に記載の方法。
【請求項26】
前記尺度を作るステップは、絶対照準レーザ測定システムで部品上の検査ターゲットの組の位置を測定し、かつ、測定された位置変化に関連して命令された位置の尺度を作ることによって、部品における回転、並進運動、成長、または他の変化を説明する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
機械の精度を高めるための方法であって、
(a)部品の工学的仕様から導出された機械媒体を使用して、機械を第1の機械加工の位置に移動させるステップと、
(b)独立した、高精度の測定装置で、第1の機械加工位置における機械の真の位置を測定するステップと、
(c)第1の機械加工位置におけるその位置のための工学的仕様と真の位置とを比較するステップと、
(d)その真の位置と第1の機械加工の位置との間の比較が予め定められたオフセットしきい値を超えた場合に、機械に対してデルタ訂正命令を供給してその位置を訂正するステップとを含む、方法。
【請求項28】
機械コントローラの制御下の工作機械の真の位置と、部品の工学的仕様から導出された機械媒体に従って機械コントローラが工作機械をそこに位置付ける位置との比較が、予め定められたオフセットしきい値を超えた場合に、機械媒体内のデルタ訂正命令を機械コントローラへと提供するよう記録されたコンピュータ可読な情報を有するコンピュータソフトウェア記憶媒体を含む、情報記憶媒体。
【請求項29】
工作機械の位置付けの精度を高めるための工作機械システムであって、
(a)工作機械および機械コントローラを有する機械と、
(b)機械コントローラに接続されて、請求項13、18、または28に記載の情報記憶媒体を実行するための手段とを含む、工作機械システム。
【請求項30】
前記方法は部品の製品承認検査で使用され、かつ、エンドエフェクタは検査プローブを保持する、請求項1、2、または4に記載の方法。
【請求項31】
機械に対するワークピースの実際の配向のための経路を訂正するように予め定められた機械経路を修正するための方法であって、
(a)ワークピース上に位置付けられた少なくとも3つのターゲットを測定するステップと、
(b)機械上の少なくとも3つのターゲットを測定するステップと、
(c)前記ステップ(a)および(b)の測定値に基づいて、機械を部品上の正しい位置に導くステップとを含み、前記正しい位置は部品の工学的仕様から導出され、さらに、
(d)必要に応じてステップ(a)、(b)、および(c)を繰返して、経路の精度を維持するステップを含む、方法。
【請求項32】
機械の精度を高めるための方法であって、 機械コントローラの制御下の工作機械の真の位置と、部品の工学的仕様から導出された機械媒体に従って機械コントローラが工作機械を位置付けるその位置との比較が、予め定められたオフセットしきい値を超えた場合に、機械コントローラに機械媒体内のデルタ訂正命令を提供するステップを含む、方法。
【請求項33】
機械の精度を高めるための請求項32に記載の方法であって、
(a)部品の工学的仕様から導出された機械媒体を使用して、工作機械を移動させるステップと、
(b)工作機械の真の位置を独立して測定するステップと、
(c)真の位置と、機械媒体によって意図されたその位置との比較に基づいて、工作機械に対して位置調整命令を供給するステップとを含む、方法。
【請求項34】
精度が改善された工作機械システムであって、
(a)機械コントローラを含んで、部品の工学的仕様から導出された機械媒体を使用して工作機械を移動させるための手段と、
(b)工作機械の真の位置を独立して測定するための手段と、
(c)プロセッサを含んで、真の位置と機械媒体によって意図されたその位置との比較に基づいて機械コントローラに対して位置調整命令を供給するための手段とを含む、工作機械システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−104136(P2012−104136A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−280029(P2011−280029)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【分割の表示】特願平10−500739の分割
【原出願日】平成9年6月3日(1997.6.3)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】