説明

欠陥電極検出装置

【課題】すべての製品についての溶接欠陥を早期に検出すること。
【解決手段】ワークが箔状のアルミニウム合金からなり、溶接部位から散乱される光波のうち反射光を集光する反射光集光部と、赤外光を集光する赤外光集光部と、各集光部で集光された光波から所定波長の反射光と赤外光とを抽出し電気信号に変換して溶接状態判別処理部に送る各センサ部と、上記各信号を溶接部位が固化されるまでの時間監視する溶接状態判別処理部11とからなる。該溶接状態判別処理部は反射光と赤外光について時間ごとの検出強度を監視する制御・演算手段と、出力手段と、記憶手段とを備え、先ず反射光につき所定の時間2ms経過後の検出強度のピーク値が予め定められた閾値20以上である場合において、赤外光の検出強度のピーク値が予め定められた閾値0.6以上であるときは「顕らかな欠陥」と判別し、上記閾値B未満であるときは「隠れた欠陥」と判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は電池に関し、例えばリチウムイオン電池の電極等に用いられるアルミニウム合金の溶接欠陥を検出する欠陥電極検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばリチウムイオン電池は、地球温暖化防止策の一つとして注目されている電気自動車のバッテリとして広く使われている。
【0003】
リチウムイオン電池は、小型軽量化、経済上の面より、またイオンを放出し易くするため、電極にアルミニウム合金が使われており、箔状のアルミニウム合金を2枚重ね合わせ適宜箇所を溶着して製造する。溶着には周辺部の部品への熱影響を最小にするため、一般にレーザ溶接が適用されている。
【0004】
ところで、車載用電池は、家電製品、携帯電話、パソコン等に使われる一般用の電池とは異なり、走行中の振動、自動車が置かれる環境の温度等により、一般用電池とは比較にならない環境にて使用される。
【0005】
例えば、未舗装道路における不規則な振動や、例えばマイナス20℃程度の寒冷地や50℃を超えるような高温地といった温度差のある場所でも適正に稼動しなければならず、稼動しなければ人命にかかわる重大な結果を引き起こす。それゆえ車載用電池には高精度の品質管理が求められる。
【0006】
レーザ溶接は、溶接時に、材料の表面状態、溶接中のキーホールの挙動、光学部品の劣化(汚れ)による出力低下など、複数の条件が溶接結果に影響を及ぼし、溶接欠陥が発生することがある。
【0007】
ところで、アルミニウム合金は熱伝導率、線膨張率が高いため、レーザ光の照射により、溶接部およびその周辺部に変形が生じ易い。またマイクロ領域での高精度な接合に用いる場合には、個々のワークの表面状態、例えば間隙の発生、接合箇所毎の熱容量の微妙な差などにより、孔あき不良など溶接品質の異なる状況が発生しやすい。ワークに歪みや間隙が発生すると欠陥の発生を惹起する。
【0008】
またリチウムイオン電池は電圧や電極材料の安定性が悪い場合、充電時に電圧が上昇する際電極が極めて強い酸化状態、還元状態に置かれ不安定になるおそれがある。
このため、充電においては極めて高い精度での電圧制御が必要とされ、また電極製造時の溶着も欠陥のない溶接が必要である。
【0009】
従来における電極の溶接品質の検査は、溶着後に目視による外観検査や引っ張り試験や溶接断面の測定等の破壊検査によって確認していた。
【0010】
しかしながら、かかる検査は熟練度を要し、また全品検査をすることが困難である。さらに、加工品質の複雑な欠陥要因を解明することは、熟練者にとっても容易でない場合が多く、また、経験や勘に裏打ちされた技術が必要であることから、熟練検査員の指導が不可欠であり、この検査工程に多くの人員を割いている。
【0011】
そして溶接欠陥があった場合には、生産ラインの長期にわたる停止や品質再検査等の余分な工程が生ずるので、品質問題やコストアップ等の問題を惹起していた。
【0012】
具体的には、例えば次のような問題があった。
ア.溶接欠陥の検出
溶接欠陥の検出は、溶接工程終了後、抜き取り検査をして行なっていた。また内部の欠陥、外部の欠陥を把握するには、破壊・目視検査など複数の作業が必要であり高コストであった。
イ.溶接欠陥の解消
溶接欠陥の原因究明はオフライン検査であったため、時間を要していた。また製造工程の下流工程で発見するため、生産ロスが大きいという欠点があった。
ウ.ラインの復旧
溶接欠陥の原因究明は技術者の経験値に基づき溶接条件等の再設定を行うため、ライン復旧までに時間を要する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−042769
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本願発明は上記背景においてなされたもので、自動車用バッテリ等として用いられる電極の製造プロセスにおいて、溶接されるワークの溶融状態をリアルタイムでモニタリングし、すべての製品についての溶接欠陥を早期に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的達成のため、本願発明による欠陥電極検出装置は、レーザ光にて溶接されるワークの溶接部位についてその欠陥の有無を溶融状態において検出する装置であって、上記ワークが箔状のアルミニウム合金からなり、溶接部位から散乱される反射光を集光する反射光集光部と、溶接部位から散乱される赤外光を集光する赤外光集光部と、上記反射光集光部で集光された光波から所定波長の反射光を抽出し、抽出された光を電気信号に変換し該信号を溶接状態判別処理部に送る反射光センサ部と、上記赤外光集光部で集光された光波から所定波長の赤外光を抽出し、抽出された光を電気信号に変換し該信号を溶接状態判別処理部に送る赤外光センサ部と、上記反射光及び上記赤外光に基づく信号を溶接部位が固化されるまでの時間監視する溶接状態判別処理部とからなり、該溶接状態判別処理部は上記反射光と上記赤外光について時間ごとの検出強度を監視する制御・演算手段と、演算結果を出力する出力手段と、予め定められた閾値を記憶する記憶手段とを備え、先ず反射光の時間ごとの検出強度のピーク値についての異常を判別し、次いで赤外光の時間ごとの検出強度のピーク値についての異常を判別することを特徴とする。
また、請求項1記載の欠陥電極検出装置において、上記反射光につき所定の時間T1経過後の検出強度のピーク値が予め定められた閾値A以上である場合において、赤外光の検出強度のピーク値が予め定められた閾値B以上であるときは「顕らかな欠陥」と判別し、上記閾値B未満であるときは「隠れた欠陥」と判別することを特徴とする。
また、請求項1又は請求項2記載の欠陥電極検出装置において、上記反射光に関する閾値時間T1が「2ms」以降であることを特徴とする。
また、請求項3記載の欠陥電極検出装置において、上記反射光に関する検出強度の閾値Aが「20」であることを特徴とする。
また、請求項3又は請求項4記載の欠陥電極検出装置において、上記赤外光に関する検出強度の閾値Bが「0.6」であることを特徴とする。
また、請求項3又は請求項4記載の欠陥電極検出装置において、上記溶融状態判別処理部は上記赤外光につき検出強度のピーク値が予め定められた閾値B以上である場合において、赤外光立下り時間と反射光立上り時間の差が予め定められた値(絶対値)T2未満であるときは第1異常パターン又は第2異常パターンと判別し、上記値(絶対値)T2以上であるときは第2異常パターン又は第3異常パターンと判別することを特徴とする。
また、請求項3又は請求項4記載の欠陥電極検出装置において、上記溶融状態判別処理部は上記赤外光につき検出強度のピーク値が予め定められた閾値B以上である場合において、赤外光立下り時間と反射光立上り時間の差が予め定められた値(絶対値)T2未満であって、赤外光立上り時間と反射光立上り時間の差が予め定められた値(絶対値)T3以上のときは第1異常パターンと判別し、上記値(絶対値)T3未満のときは第2異常パターンと判別することを特徴とする。
また、請求項3又は請求項4記載の欠陥電極検出装置において、上記溶融状態判別処理部は上記赤外光につき検出強度のピーク値が予め定められた閾値B以上である場合において、赤外光立下り時間と反射光立上り時間の差が予め定められた値(絶対値)T2以上であって、赤外光立上り時間と反射光立上り時間の差が予め定められた値(絶対値)T3以上のときは第2異常パターンと判別し、上記値(絶対値)T3未満のときは第3異常パターンと判別することを特徴とする。
また、請求項1又は請求項2記載の欠陥電極検出装置において、上記各集光部は溶接部位に対し傾斜して設けられることを特徴とする。
また、請求項9記載の欠陥電極検出装置において、上記各集光部の傾斜角度が50度であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
リチウムイオン電池の電極となるアルミニウム合金は薄板からなるため、レーザ光が照射された場合において、溶接前又は溶接中にワークに僅かな歪みがあるとギャップやレーザ光の焦点のずれにより溶融池に激しい振動(いわゆる「あばれ」)が生ずる。
【0017】
この振動エネルギは熱量には影響しない程度であるため、電極ワーク表面の熱量を計測する可視光及びワーク全体の熱量を計測する赤外光では検出されないが、溶融池自体は動くため溶融池表面の形状を計測する反射光では検出される。
【0018】
このように溶融池があばれると、電極溶接の外観上は良好品と同様であるが、溶け込みが浅く内部に異常が発生しているため、例えばリチウムイオン電池の電極として使用した場合、振動等により液もれを招き、事故の原因となるおそれがある。
【0019】
本願発明によれば、外観上判明しないが内部的に異常のある溶接電極のかかる隠れた溶接欠陥について、インラインにおいて全品検査することができ、リアルタイムでワークの溶接欠陥を100%機械検出することができる。よって欠陥のある電極を排除し、ひいては例えばリチウムイオン電池の不良品を排除することができるから、製品品質の信頼性を確保することができる。
【0020】
また、製造ラインの上流で溶接欠陥を検出することができるので、ロスを抑え、溶接条件のみならず、前処理段階までの欠陥要因を瞬時に解析し、溶接条件の迅速な再設定をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(A)は本願発明による欠陥電極検出装置の実施の形態を示す平面図、(B)は同正面図である。
【図2】図1の反射光集光ユニットの実施例を示す構成図である。
【図3】図1の赤外光集光ユニットの実施例を示す構成図である。
【図4】図1の溶融状態判別処理部の実施例を示すブロック図である。
【図5】(A)は「溶融部振動状態」を示す概念図、(B)は「スパッタ」を示す概念図、(C)は「上板孔あき」を示す概念図、(D)は「上下板孔あき」を示す概念図である。(E)は良好に溶接された場合の概念図、(F)は不着の場合の概念図である。
【図6】本願発明による欠陥電極検出装置により得られる溶接ワークの計測信号が異常な場合(溶融部振動状態)の信号のグラフであり、(A)は反射光、(B)は赤外光、(C)は比較例として計測した可視光の信号を示す。
【図7】本願発明による欠陥電極検出装置により得られる溶接ワークの計測信号が異常な場合(スパッタ)の信号のグラフであり、(A)は反射光、(B)は赤外光、(C)は比較例として計測した可視光の信号を示す。
【図8】本願発明による欠陥電極検出装置により得られる溶接ワークの計測信号が異常な場合(上板孔あき)の信号のグラフであり、(A)は反射光、(B)は赤外光、(C)は比較例として計測した可視光の信号を示す。
【図9】本願発明による欠陥電極検出装置により得られる溶接ワークの計測信号が異常な場合(上下板孔あき)の信号のグラフであり、(A)は反射光、(B)は赤外光、(C)は比較例として計測した可視光の信号を示す。
【図10】本願発明による欠陥電極検出装置により得られる溶接ワークの計測画像が異常な場合(溶融部振動状態)の画像(図面代用写真)である。
【図11】本願発明による欠陥電極検出装置により得られる溶接ワークの計測画像が異常な場合(スパッタの発生)の画像(図面代用写真)である。
【図12】本願発明による欠陥電極検出装置により得られる溶接ワークの計測画像が異常な場合(上板孔あき)の画像(図面代用写真)である。
【図13】本願発明による欠陥電極検出装置により得られる溶接ワークの計測画像が異常な場合(上下板孔あき)の画像(図面代用写真)である。
【図14】本願発明による欠陥電極検出装置により得られる溶接ワークの計測信号が正常な場合の信号のグラフであり、(A)は反射光、(B)は赤外光、(C)は比較例として計測した可視光の信号を示す。
【図15】本願発明による欠陥電極検出装置により得られる溶接ワークの計測画像が正常な場合の画像(図面代用写真)である。
【図16】比較例としての可視光ピーク値と溶接結果の関係を示すグラフである。
【図17】反射光ピーク値と溶接結果の関係を示すグラフである。
【図18】赤外光ピーク値と溶接結果の関係を示すグラフである。
【図19】比較例としての音響信号ピーク値と溶接結果の関係を示すグラフである。
【図20】本願発明による溶接欠陥の検出アルゴリズムを示すフロー図である。
【図21】(A)はスパッタ波形例に関する反射光の立上り時間の説明図、(B)は同赤外光の立上り時間及び立下り時間の説明図、(C)は孔あき波形例に関する反射光の立上り時間の説明図、(D)は同赤外光の立上り時間及び立下り時間の説明図である。
【図22】赤外光の立下り時間と反射光の立上り時間との差分をあらわすグラフである。
【図23】赤外光の立上り時間と反射光の立上り時間との差分をあらわすグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、実施の形態を示す図面に基づき本願発明による欠陥電極検出装置1をさらに詳しく説明する。なお、同一の機能を奏する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0023】
図1は、欠陥電極検出装置1の概略構成図を示す。欠陥電極検出装置1は反射光集光ユニット3と、赤外光集光ユニット5と、反射光センサユニット7と、赤外光センサユニット9と、溶接状態判別処理部11とからなる。赤外光センサユニット9は、1300nmの赤外光を検出する赤外光センサユニット9aと、1550nmの赤外光を検出する赤外光センサユニット9bとからなる。13はレーザ光出射ユニットであり、ワーク15に対し垂設され、図示しないテーブル上に載置されるワーク15にレーザ光を照射する。上記ワーク15は、上板15a及び下板15bとからなり0.1mm厚の箔状のアルミニウム合金A3004を2枚重ねた状態で、テーブル上に載置される。上記反射光集光ユニット3及び上記赤外光集光ユニット5は、各々、ワーク15の表面に対し傾斜角(α)を50度に傾斜して設け、集光点をレーザ光照射部に合わせる。上記反射光集光ユニット3と上記反射光センサユニット7とは光ファイバ17にて接続され、また上記赤外光集光ユニット5と上記赤外光センサユニット9とは光ファイバ19a、19bにて接続される。
【0024】
上記反射光集光ユニット3は、図2に示すように、円筒状のシリンダ4の先端部に集光レンズ4aを設け、ワーク15の溶融部16から散乱される反射光を集光する。該シリンダ4の他端部には他の集光レンズ4bを設ける。これにより上記集光レンズ4aの集光点から得られる反射光を平行光として集光レンズ4bに送る。
【0025】
上記光は光ファイバ17により反射光センサユニット7に送られる。上記反射光センサユニット7は、図2に示すように、YAGレーザ光透過フィルタ21と、可視光〜赤外光用フォトダイオード23と、アンプ25と、アナログフィルタ27とを直列に接続してなり、赤外光以上の波長を抽出する。
【0026】
即ち、YAGレーザ光透過フィルタ21は波長帯域400nm〜900nmの光の透過率が0%であり、900nm以上の光の透過率が90%以上であるため、これにより可視光域がカットされる。
【0027】
レーザ光照射中に高強度で発生する光は、主にプラズマ光(可視光領域)とレーザ散乱光(YAG光波長:1064nm)であるため、可視光を除去すればレーザ光のみを検出することができる。
【0028】
可視光〜赤外光用フォトダイオード23は、感度波長範囲が320nm〜1100nmであり、最大感度波長960nmに設定され、これにより1070nm〜1090nmの波長を抽出し、検出した光が電気信号に変換される。電気信号に変換された計測信号は、アンプ25により増幅された後、アナログフィルタ27によりノイズ成分をカットされ、溶融状態判別処理部11に送られる。
【0029】
図3は赤外光集光ユニット5を示す。該赤外光集光ユニット5は、各々、集光レンズを備えるハウジング29、30を連設してなる。該ハウジング29内には直方体状の筐体31が収納され、該筐体31の両端部に夫々集光レンズ33及び集光レンズ35が設けられる。上記ハウジング29に連結されたハウジング30内には、フィルタ37を介して、直方体状の筐体39を設ける。該筐体39の先端部には集光レンズ41が設けられ、他端部にはダイクロイックミラー43が45度に傾斜して設けられる。該ダイクロイックミラー43は、可視光を透過し、1300nm〜1550nmの光のみを反射する。
【0030】
上記ハウジング30には上記赤外光センサユニット9が連結される。即ち、図3に示すように、上記ハウジング30にハウジング49が直交に設けられ、該ハウジング49内に直方体状の筐体50が設けられる。該筐体50の両端部には1200nm以上を透過する赤外光透過フィルタ51及び1550nmの波長のみを半値幅30nmで透過する干渉フィルタ55が設けられ、中間部にダイクロイックミラー53が45度に傾斜して設けられる。57は集光レンズであり、干渉フィルタ55を透過した光が集光される。該集光レンズ57に対し各々直列の位置に、赤外光用フォトダイオード59、アンプ61、アナログフィルタ63が接続され、これらにより1550nmの赤外光を検出する赤外光センサユニット9bを構成する。
【0031】
上記赤外光用フォトダイオード59は、感度波長範囲が900nm〜1700nmであり、最大感度波長1550nmに設定され、これにより検出した光が電気信号に変換される。電気信号に変換された計測信号は上記アンプ61により増幅された後、上記アナログフィルタ63によりノイズ成分をカットされ、溶融状態判別処理部11に送られる。
【0032】
上記ダイクロイックミラー53に対し直交する位置には別に、1300nmの波長のみを半値幅30nmで透過する干渉フィルタ65が設けられる。67は集光レンズであり、干渉フィルタ65を透過した光が集光される。該集光レンズ67に対し各々直列の位置に、赤外光用フォトダイオード69、アンプ71、アナログフィルタ73が接続され、これらにより1300nmの赤外光を検出する赤外光センサユニット9aを構成する。
【0033】
上記赤外光用フォトダイオード69は、感度波長範囲が900nm〜1700nmであり、最大感度波長1300nmに設定され、これにより検出した光が電気信号に変換される。電気信号に変換された計測信号は上記アンプ71により増幅された後、上記アナログフィルタ73によりノイズ成分をカットされ、溶融状態判別処理部11に送られる。
【0034】
集光ユニット3の集光レンズ4aの焦点距離(f)は70mm、集光レンズ4bの焦点距離(f)は20mmのものを使用した。また赤外光集光ユニット5の集光レンズ33の焦点距離(f)は300mm、集光レンズ35の焦点距離(f)は150mm、集光レンズ41の焦点距離(f)は60mm、集光レンズ57の焦点距離(f)は30mm、集光レンズ67の焦点距離(f)は30mmのものを使用した。
【0035】
図4は溶接状態判別処理部11を示し、送られてくる反射光及び赤外光に基づく信号について時間ごとの検出強度を処理する。溶接状態判別処理部11は、送られてくる反射光及び赤外光に基づく信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ75と、該A/Dコンバータ75及び高速信号処理プロセッサ79に接続されて相互に交信するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)77と、上記高速信号処理プロセッサ79に接続されて相互に交信する記憶手段81と、上記高速信号処理プロセッサ79に接続されて欠陥がある場合警報信号を出力する出力手段83とからなる。上記FPGA77はA/Dコンバータ75と相まって反射光及び赤外光について時間ごとの検出強度を監視し、高速信号処理プロセッサ79と相まってデータの制御・演算をする。上記記憶手段81は、反射光に関する閾値時間T1及び検出強度の閾値Aが予め設定記憶されており、また赤外光に関する検出強度の閾値Bが予め設定記憶されている。上記高速信号処理プロセッサ79は、後に詳述する赤外光立下り時間と反射光立上り時間の差分T2、赤外光立上り時間と反射光立上り時間の差分T3を計算する。上記出力手段83は上記閾値A以上となったとき又は閾値Bと関連したとき警報音を発する。
【0036】
レーザ光出射ユニット13からレーザ光が上記ワーク15の所要部位に照射され、溶接作業がスタートする。溶融部16から散乱される反射光は、集光レンズ4aの集光点より平行光となって集光レンズ4bに送られ、光ファイバ17にて反射光センサユニット7に伝送される。伝送された光は、YAGレーザ光透過フィルタ21により可視光域がカットされ、赤外光以上の波長が抽出される。この抽出された光は、可視光〜赤外光用フォトダイオード23にて電気信号に変換され、増幅された後、アナログフィルタ27によりノイズ成分がカットされた信号が溶接状態判別処理部11に送られる。
【0037】
他方溶融部16から散乱される赤外光は、集光レンズ33の集光点より平行光となって集光レンズ35に送られ、集光レンズ35にて再び集光された後、フィルタ37を経て集光レンズ41にて共焦点となる。共焦点とすることにより、集光レンズ33の焦点部以外の不要な散乱光の影響が少なくなる。集光レンズ41により平行光となった光は、ダイクロイックミラー43により、可視光成分が透過除去され、1300nm〜1550nmの赤外光成分のみ赤外光センサユニット9方向に反射される。反射された光は、赤外光透過フィルタ51によりさらに不要光が減衰され、ダイクロイックミラー53により1550nmの光成分が透過され、1300nmの光成分が反射される。
【0038】
前者の透過した光は、赤外光センサユニット9bにおいて、干渉フィルタ55により1550nmのみが半値幅30nmで透過され、これが集光レンズ57に集光され、赤外光用フォトダイオード59にて電気信号に変換される。この信号は、さらにアンプ61により増幅され、アナログフィルタ63にてノイズ成分がカットされて溶接状態判別処理部11に送信される。
【0039】
他方ダイクロイックミラー53により反射された光は、赤外光センサユニット9aにおいて、干渉フィルタ65により1300nmのみが半値幅30nmで透過され、これが集光レンズ67に集光され、赤外光用フォトダイオード69にて電気信号に変換される。この信号は、さらにアンプ71により増幅され、アナログフィルタ73にてノイズ成分がカットされて溶接状態判別処理部11に送信される。
【0040】
図5は、溶接欠陥の概念図であり、(A)において16aは外観上溶接欠陥が視認できないが、溶融部16が振動する「溶融部振動状態」、(B)において16bは溶接中に溶液の一部が溶融部16の外に飛散する「スパッタ」、(C)において16cは重ねられた上板15aのみに孔あきが発生する「上板孔あき」、(D)において16dは重ねられた上板15a及び下板15bともに孔あきが発生する「上下板孔あき」を各示す。図中、2はレーザ光を示す。比較例として(E)に良好に溶接された場合を「16g」で示し、(F)に溶接を試みたものの上板15aと下板15bとが不着の場合を「16e」として各示す。(A)と(E)を比較してみると、(A)の溶融部振動状態16aは溶融部16の振動により表面が波立っていることに特徴がある。また(A)と(F)を比較してみると、(A)の溶融部振動状態16aは上下板15a、15bが溶着していることに特徴がある。
【0041】
このような溶融部16の溶接欠陥を波形データでみると図6〜図9の通りであり、画像データでみると図10〜図13の通りである。図6が「溶融部振動状態」の波形データ、図10が同画像データである。図7が「スパッタ」の波形データ、図11が同画像データである。図8が「上板孔あき」の波形データ、図12が同画像データである。図9が「上下板孔あき」の波形データ、図13が同画像データである。比較例として図14に溶接欠陥のない良好な溶接の場合の波形データ、図15に同画像データを各示す。上記各図において、X軸は時間(ms)、Y軸は検出強度(電圧×所定の係数)を表す。
【0042】
画像データは、レーザ光照射に対し斜め方向に設置した高速度ビデオカメラ(株式会社nac製、最高撮影速度:200,000f/s、最短露光時間:1/2,000,000秒)により撮影した。撮影はレンズ前方に962.5nm帯域(半値幅79nm)を透過する干渉フィルタを介し、波長940nmの高出力半導体レーザを照明に用いることで、レーザ反射光、プルーム光によるハレーションを抑え、レーザ照射部を観察できるようにして行なった。
【0043】
まず正常な溶接を示す図15と図14において、図15に示す画像の場合、照射開始直後から溶融部16が徐々に形成され、時間の経過と共に溶融池の直径が拡大していく様子が確認される。
【0044】
このとき得られた反射光を確認すると、照射開始直後の検出強度が20程度で最も大きく、それ以降は10程度で推移している(図14(A))。これは、照射開始直後はワーク15表面の反射率が高いため強いレーザ反射光が得られるが、その後はレーザがワーク15の内部に吸収され、反射するレーザ光が減少するためである。赤外光は、可視光の場合と同様に、照射開始直後は検出強度が小さく、3.8ms付近から徐々に増加を始め、照射終了時で最大検出強度0.25程度が得られる(図14(B))。これは、赤外光がワーク15表面の入熱を捉えているためで、レーザ吸収により、表面の温度、溶融部16の面積が大きくなるほど強度は高くなるためである。可視光は反射光の場合とは異なり、照射開始直後は検出強度が低く、4.2ms付近から波形が増加していき、8ms付近〜照射終了までは検出強度10程度で飽和する(図14(C))。これは、可視光がレーザ吸収によってワーク15から発生する金属蒸気等を伴うプルームを捉えるため、ワーク15にレーザが吸収されるほど強度は増加する傾向にあるからである。ワークが良好に溶接される場合は上記とほぼ同じ画像、波形特性が得られる。
【0045】
溶融部振動状態を示す図6と図10において、図10に示す画像の場合、レーザ照射開始から3.2ms付近までは良好な溶接時とほぼ同じ挙動であったが、3.2ms付近から溶融部16が振動し始める。この振動は約5.3ms後5.8ms付近で一端収束し、約5.8ms〜8.4ms付近で再び振動を始める。その後はレーザ照射終了まで異常信号は起こらない。
【0046】
図6に基づきこのときの反射光波形をみる。このときの反射光波形は、0ms〜3.2ms付近までは良好な溶接時とほぼ同じ波形であるが(図14参照)、約3.2ms〜5.3ms付近で検出強度20以上が検出され、約5.3ms〜5.8ms付近の間は減衰し、約5.8ms〜8.4ms付近まで再び検出強度20程度の波形が得られる。その後はレーザ照射終了まで減衰している。この波形挙動は図10の高速度カメラの溶融部16の振動発生のタイミングと対応している。よって図6に示す計測信号の波形とくに反射光波形は振動現象を明確に捉えているといえる。
【0047】
次に溶融部振動状態を示す図10と正常な溶接を示す図15の画像データを比較してみると、溶融部には外観上の差異が認められないが、図6と図14の波形データを比較してみると、顕著な差異が認められる。即ち、各々(A)に示す反射光において、図6(A)ではピーク波群が山状に2個表われているのに対し、図14(A)では最後までピーク波群が表われず、顕著な差異は一見して明らかである。よって「隠れた欠陥」である「溶融部振動状態」を正確かつ容易にリアルタイムで検出することができる。
【0048】
ここで、図6(B)と図14(B)に示す赤外光の波形データ及び図6(C)と図14(C)に示す可視光の波形データには差異が認められないことに留意しなければならない。
【0049】
すなわち、赤外光波形は良好な溶接時とほぼ同形状であり、波形の変動はほぼ見られない(図6(B)、図14(B))。
また可視光波形は溶融部振動状態を捉えた反射光のタイミングとほぼ同期した波形形状の増減が確認できるが、異常信号が検出強度10以下で小さく、良好な溶接時との区別は付き難い(図6(C)、図14(C))。
【0050】
これは次の理由によると考えられる。反射光は、レーザ拡散光を捉えているため、溶融部16の振動による溶融池表面の揺らぎによる散乱光の増加に伴なう波形変化を明確に確認することができるのに対し、可視光は、プルームの増減を捉えるため、溶融部16の微細な振動にはほぼ影響されないためであり、また、赤外光強度は溶融部16の温度と面積変化によるため、検出されないためである。さらにワーク15が0.1mm厚の薄板であるため、同条件であっても容易にワーク15に歪みが発生し、ギャップ、レーザ焦点の微妙なずれなどにより振動を起こしたためと考えられる。
【0051】
次に溶接異常を示す図7〜図9と正常な溶接を示す図14を比較してみると、反射光、赤外光及び可視光のいずれにおいてもピーク波の有無につき波形データ上の顕著な差異が認められる。この点を、溶接異常を示す図11〜図13と正常な溶接を示す図15の画像データを比較してみると、外観上からも溶接欠陥の存在を確認することができる。よって「顕らかな欠陥」である「スパッタ」、「上板孔あき」、「上下板孔あき」を正確かつ容易にリアルタイムで検出することができる。
【0052】
この点を詳述する。スパッタ発生の場合、図11に示す画像の場合、レーザ照射開始から7.5ms付近までは良好な溶接時とほぼ同じ挙動であるが、7.5ms付近で溶融部16からスパッタ16bが飛散する。このとき、スパッタ16bが飛散する直前まで溶融部16に異変はほとんど無い。スパッタ16bが飛散した後、溶融部16の変動は収束し、10.4ms付近では完全に変動が収まっている。
【0053】
これを図7に示す各波形と比較してみる。反射光波形は、照射開始〜7.5ms付近までは良好な溶接時とほぼ同じ波形であるが、7.5ms付近で検出強度60以上が検出され、8.8ms付近では減衰する(図7(A))。赤外光波形は、照射開始〜7.5ms付近までは良好な溶接時とほぼ同じ波形であるが、7.5ms付近で検出強度1.2以上が検出され、11.0ms付近で減衰する(図7(B))。可視光波形は、照射開始〜7.5ms付近までは良好な溶接時とほぼ同じ波形であるが、7.5ms付近で検出強度40以上が検出され、9.5ms付近で減衰する(図7(C))。
【0054】
このように反射光、赤外光、可視光の波形挙動は高速度カメラによるスパッタ発生のタイミングと対応しているから、図7に示す計測信号の波形により溶接欠陥(スパッタ)の判別をすることができる。
【0055】
上板孔あきの場合、図12に示す画像の場合、10.6ms付近までは良好な溶接時と同様であるが、10.6ms付近でワーク15の上板15aに孔が発生する。
【0056】
このとき得られた反射光を見ると、10.6ms付近で検出強度20前後の波形が得られる。これは、孔あきが発生することにより下板15b側の表面からレーザ2が反射し、散乱した物を検出したためである(図8(A))。赤外光は3.2ms付近から波形が増加し、7.8ms付近でさらに急激に増加を始め、8.5ms付近では検出強度が0.8以上となる。その後上板15aの孔あきが発生する11.1ms付近で検出強度0.15程度に減衰する。これは、孔が発生すると熱を観察している溶融部16自体が無くなってしまうため、11.1ms付近で波形が減衰したためと考えられる。その後、検出強度は増加し、レーザ照射終了時には検出強度0.3程度となる。これは、下板15b表面がレーザ吸収による温度上昇を捉えているためと考えられる(図8(B))。可視光は7.5ms付近から検出強度20以上の波形が得られ、上板15aの孔が発生する11.1ms付近で大きく減衰する。孔あきが発生すると、プルームも消滅するため11.1ms付近で波形が減衰したと考えられる。また、良好な溶接時に比べ検出強度が大きいが、これは、上板15aと下板15bの間にギャップが発生するために、上板15aのみが加熱され、熱が溜まりやすくなり、プルームの発光強度が大きくなったものと考えられる。
【0057】
上下板孔あきの場合、図13に示す画像から、9.1ms付近までは良好な溶接時と外観上識別するのが困難であるが、9.1ms付近で上板15aに孔が発生する様子が見られる。さらに、10.8ms付近では瞬間的に溶融部16が振動し、13.1ms付近では下板15bにも孔が発生する。
【0058】
このとき得られた反射光を確認すると、9.1ms付近で検出強度60前後の波形が得られる。その後、孔あきが発生することにより反射光は減衰するが、10.8ms付近で検出強度60程度のピークが発生する。さらにその後下板15bに孔が発生する13.1ms付近で再び検出強度40前後の波形が得られる(図9(A))。赤外光は3.5ms付近から波形が増加し、上板15aの孔あきが発生する9.1ms付近で検出強度0.4以上得られる。その直後に減衰し、下板15bの孔が発生する13.1ms付近で検出強度0.5程度のピークが得られる(図9(B))。可視光は9.1ms付近から検出強度20以上の波形が得られ、直後に減衰しており、下板15bに孔が発生する13.1ms付近で再び同じような挙動の波形が見られる。(図9(C))。
これらより、反射光は孔あき発生時付近で波形が立ち上がり、可視光、赤外光は孔あき発生時に波形が立ち下がる傾向にあることが判る。
【0059】
次に、図16〜図19に基づいて、上記3光波即ち反射光、赤外光及び可視光による溶接欠陥の検出有効性を検討する。供試条件は図1〜図4の説明で述べた実施条件と同一である。供試ワークの個数は60個である。可視光の集光及び検出については、反射光の集光及び検出に使用した反射光集光ユニット3及び反射光センサユニット7と同一構成の機器を使用した。同図中、「◇」は良好な溶接、「■」は溶融部振動状態、「×」はスパッタ、「△」は上板孔あき、「▲」は上下板孔あきを示す。
【0060】
図16は可視光による溶接欠陥の検出有効性を評価するため、図5にて分類した溶接欠陥ごとに可視光のピーク値をプロットしたグラフである。図16において、「◇」にて示す「良好な溶接」及び「■」にて示す「溶融部振動状態」のピーク値は、レーザ光の照射中期から後期にかけて検出強度30以下で分布している。一方「×」にて示す「スパッタ」、「▲」にて示す「上下板孔あき」及び「△」にて示す「上板孔あき」は、検出強度20〜100程度で分布している。検出強度20〜30程度で「良好な溶接」、「溶融部振動状態」の群と、「スパッタ」、「上板孔あき」、「上下板孔あき」の群に分かれる傾向にあるが、一部混在しているデータがあるため、可視光のみから、また可視光と他の光波成分から明確に溶接欠陥を識別することは困難である。
【0061】
図17は反射光による溶接欠陥の検出有効性を評価するため、図5にて分類した溶接欠陥ごとに反射光のピーク値をプロットしたグラフである。図17に示す反射光の場合、溶接欠陥の有無にかかわらず、すべての時間軸においてピーク値が生じる傾向があること、及びレーザ光による溶融部の溶融にはある程度の時間が必要であることより、最も早期の初期ピーク値を採用することができ、本実施例での初期ピーク値は「2.0」msである。また「良好な溶接」の場合、ピーク値は検出強度「20」未満で検出されること、「■」にて示す「溶融部振動状態」、「×」にて示す「スパッタ」、「▲」にて示す「上下板孔あき」、「△」にて示す「上板孔あき」のピークは全て検出強度20〜100程度で分布していることより、図17の反射光データは溶接欠陥の判別評価に用いることが可能である。
【0062】
図18は赤外光による溶接欠陥の検出有効性を評価するため、図5にて分類した溶接欠陥ごとに赤外光のピーク値をプロットしたグラフである。図18に示す赤外光の場合、「良好な溶接」は約12ms〜15ms付近の間に検出強度「0.3」以下で密集しており、一方溶接異常である「溶融部振動状態」は検出強度「0.6」未満に集中し、また「スパッタ」、「上板孔あき」、「上下板孔あき」は検出強度「0.8」以上に集中している。これらより、図18の赤外光データは溶接欠陥の判別評価に用いることが可能である。
【0063】
図19は比較例として音響信号による溶接欠陥の検出有効性を評価するため、図5にて分類した溶接欠陥ごとに音響信号のピーク値をプロットしたグラフである。これはレーザ光照射時の音響変化を超指向性マイクロフォン(AT815b形、audio−technica製、周波数特性:50〜20,000Hz)により、照射面に対して角度50°、レーザ照射部から100mmの位置で固定して集め、上記した反射光、可視光、赤外光による溶接欠陥の検出結果と比較した。音響信号の場合、外観上の欠陥検出が不能な溶融部振動状態につき、半数以上が検出強度「0.0」付近において「良好な溶接」と混在している。よって、音響信号より溶接欠陥を識別する指標とすることは困難である。
【0064】
図16〜図19より、3光波のうちアルミニウム合金をスポット溶接したワークの溶接欠陥を判別するために利用することができる光波は、反射光及び赤外光の2成分であり、可視光は利用することができないことが判る。次に溶接欠陥判別のための反射光及び赤外光の順番性について検討した。先に述べた図6〜図9により、先ず、反射光の検出強度のピーク値につき異常が有るか否かを判別することが重要であり、次いで赤外光の検出強度のピーク値について異常が有るか否かを判別する。つまり、溶接欠陥判別のため反射光及び赤外光の順番性が有るか否かについては「有」であり、反射光及び赤外光を同時に利用することはできず、また赤外光を利用してから反射光を利用することもできない。さらに、反射光の初期ピーク値を求めることにより、反射光のみから溶接欠陥の有無のみを検出することもできることが判る。
【0065】
図20はかかる前提において採用したアルゴリズムのフロー図である。まずステップ1において、反射光につきレーザ光の照射開始から2ミリ秒(2ms)以降のピーク値が検出対象とされる(S1、図17参照)。この実施例の場合、閾値時間T1は2ミリ秒(2ms)とするのが最適である。
【0066】
次いで反射光の検出強度ピーク値が判別され、「2ms」以降において検出強度「20」未満のときは「良好な溶接」と判別される(S2a)。つまり図17より、「良好な溶接」の場合、ピーク値は検出強度20未満で検出されるから、この実施例の場合、検出強度の閾値Aを「20」とするのが最適である。
【0067】
一方、「2ms」以降において検出強度「20」以上のときは、何らかの溶接欠陥があることとなる(S2b)。
【0068】
次いで赤外光の検出強度ピーク値が判別され、「0.6」未満のときは隠れた欠陥(溶融部振動状態)と判別される(S3a)。他方「0.6」以上のときは、外観上「顕らかな欠陥」になる確率が大となり、これが溶接の初期の段階で判別される(S3b)。
【0069】
次いで、ステップ3bの「顕らかな欠陥」が判別された場合は、さらに「赤外光立下り時間(ms)−反射光立上り時間(ms)」の値(絶対値)が「0.8」未満/以上であるかが判別される。
【0070】
ステップ3bにおいて「0.8」未満のときは、「赤外光立上り時間(ms)−反射光立上り時間(ms)」の値(絶対値)が判別される(S4a)。ステップ4aの値が「0.5」以上のときは、第1異常パターンとしての「孔あき欠陥」と判別され(S5a)、「0.5」未満のときは第2異常パターンとしての「スパッタ」又は「孔あき欠陥」のいずれかと判別される(S5b)。
【0071】
またステップ3bにおいて「0.8」以上のときは、「赤外光立上り時間(ms)−反射光立上り時間(ms)」の値(絶対値)が判別される(S4b)。ステップ4bの値が「0.5」以上のときは、第2異常パターンとしての「スパッタ」又は「孔あき欠陥」のいずれかと判別され(S5b)、「0.5」未満のときは第3異常パターンとしての「スパッタ」と判別される(S5c)。
【0072】
ステップ3a(S3a)の隠れた欠陥(溶融部振動状態)の判別を可能とする根拠は図18による。即ち、図18より赤外光の検出強度ピーク値につき、「良好な溶接」が約12ms〜15ms付近の間に検出強度0.3以下で密集しており、「溶融部振動状態」は検出強度0.6未満に集中していること、また「スパッタ」、「上板孔あき」、「上下板孔あき」は検出強度0.8以上で集中していることに基づく。よってこの実施例の場合、赤外光の検出強度閾値Bは「0.6」とするのが最適である。
【0073】
S5a〜S5cによる判別を可能とする根拠は図21〜図23に基づく。図21(A)及び図21(B)に示すように、スパッタ発生時には反射光波形と赤外光波形の挙動は類似しており、両者ともほぼ同時に波形が立ち上がる。これに対し、図21(C)及び図21(D)に示すように、孔あきが発生する場合には赤外光波形が立ち下がるタイミングで反射光波形が立ち上がる傾向にある。
【0074】
図21(A)及び図21(B)において、反射光検出強度の閾値Aとして「20」及び赤外光検出強度の閾値Bとして「0.6」を用い、レーザ光の照射開始から「2ms」以降において反射光の検出強度「20」以上の時間を「反射光立上り時間a」とし、1300nm赤外光の検出強度「0.6」以上の時間を「赤外光立上り時間b」とし、赤外光の立ち上がり後「0.6」未満の時間を「赤外光立下り時間c」と定義する。そして「赤外光立上り時間b」と「反射光立上り時間a」の差分T3(絶対値)、又は「赤外光立下り時間c」と「反射光立上り時間a」の差分T2(絶対値)を求める。
【0075】
また図21(C)及び図21(D)において、反射光検出強度の閾値Aとして「20」及び赤外光検出強度の閾値Bとして「0.6」を用い、レーザ光の照射開始から「2ms」以降において反射光の検出強度「20」以上の時間を「反射光立上り時間d」とし、1550nm赤外光の検出強度「0.6」以上の時間を「赤外光立上り時間e」とし、赤外光の立ち上がり後「0.6」未満の時間を「赤外光立下り時間f」と定義する。そして「赤外光立上り時間e」と「反射光立上り時間d」の差分T3(絶対値)、又は「赤外光立下り時間f」と「反射光立上り時間d」の差分T2(絶対値)を求める。
これらにより、溶接欠陥を区分けする。
【0076】
図22から、「0.8ms」に閾値を設けると、「×」にて示すスパッタ発生の場合、サンプル7個中すべて0.8ms以上となり、「△」にて示す孔あきの場合(ここでは「上下板孔あき」及び「上板孔あき」。以下同じ)、サンプル12個中11個が0.8ms未満となった。これは、孔あき発生時には赤外光が立ち下がるタイミングで反射光が立ち上がるためである。
【0077】
赤外光立ち下がりのタイミングで反射光が立ち上がる理由を詳しく述べる。
赤外光波形は溶融部16の熱量、溶融部16の面積の変動を表わしており、孔あき16cが発生すると当然溶融部16は無くなってしまうため波形は大きく下降する。すなわち、孔あき16cが発生するタイミングで赤外光波形は立ち下がる(図21(D)参照)。
これに対し、反射光波形はレーザ散乱光の変動を表わしており、孔あき16cが発生する直前までの溶融部16が安定している時期には、レーザ光2は溶融部16に吸収されているため波形の変動はないが、上板15aに孔あき16cが発生し、溶融していない下板16b表面にレーザ光2が照射されることで、下板16b側からのレーザ散乱光が強くなり、反射光波形が大きく検出される。すなわち、孔あき16cが発生するタイミングで反射光波形は立ち上がることになる。(図21(C)参照)
上記より、孔あき16c発生の瞬間に赤外光は立ち下がり、反射光は立ち上がる傾向となるのである。
【0078】
よって上記を数値化して検出することにより、溶接欠陥(孔あき16c)を発見することが可能となり、また溶接欠陥(孔あき16c)を解消するための溶接条件の再設定を迅速にすることができる。
【0079】
図23から、「0.5ms」に閾値を設けると、「×」にて示すスパッタ発生の場合、サンプル7個中6個が0.5ms未満となり、「△」にて示す孔あきの場合、サンプル12個中11個が0.5ms以上となった。これは前述したようにスパッタ発生時には赤外光と反射光の波形立上り時間が類似しており、赤外光が起ち上がるタイミングで反射光が立ち上がるためである。
【0080】
赤外光立ち上がりのタイミングで反射光が立ち上がる理由を詳しく述べる。
赤外光波形は溶融部16の熱量、溶融部16の面積の変動を表わしており、スパッタ16bが飛散した場合、瞬間的に赤外光センサユニット9aの観察面積内に多くの飛散物が存在することになり、その飛散物は溶融部16とほぼ同等の熱を持っているため、結果的に赤外光量が増え、波形は大きく上昇する。すなわち、スパッタ16bが発生するタイミングで赤外光波形は立ち上がる(図21(B))。
これに対し、反射光波形はスパッタ16b発生時の急激な溶融部16の挙動により散乱光が多く発生する。よって、反射光もスパッタ16bが発生するタイミングで立ち上がることになる(図21(A))。
上記により、スパッタ16b発生時の瞬間に赤外光は立ち上がり、反射光も立ち上がる傾向にある。
【0081】
よって上記を数値化して検出することにより、溶接欠陥(スパッタ16b)を発見することが可能となり、また溶接欠陥(スパッタ16b)を解消するための溶接条件の再設定を迅速にすることができる。
【0082】
ここで初期のピーク値にセンサ感度を合わせる理由を説明する。本願発明においては、溶融部振動状態による微妙な強度変化をキャッチし易くするため、反射光の検出強度閾値の設定に当たり、初期のピーク値を用いる。本願発明においては、各集光部3,5をワーク15に対し斜設し、斜め方向から反射光及び赤外光を測定しているので、反射光の初期の鏡面反射の影響が少なく、溶融後の散乱光をより鮮明にキャッチすることができるから、溶融部振動状態による微妙な強度変化を判別することが可能となるのである。
【0083】
また、ここで「溶融部振動状態」について補足する。本願発明においてはワーク15が箔状のアルミニウム合金をスポット溶接したワークであるため、レーザ光が照射されると、他素材からなるワークに比し、同一条件の照射であっても溶接前又は溶接中にワークに微かな歪みが発生するおそれがある。この結果、上下のワーク間にギャップやレーザ光の焦点のずれが起こるので、溶融池に激しい振動(「溶融部振動状態」)が発生する。この激しい振動は、溶融池表面が波打つため、反射光が散乱するので、このときの強度変化を反射光においてキャッチすることができるのである。他方、赤外光においては溶融部16の熱量を検出しているため、溶融池の面積が著しく変化しない限り、大きな波形変化となって表われないからキャッチすることができないのである。
【0084】
上記した結果を表1及び表2にまとめる。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
上記実施の形態によれば、外観上視認不能な「隠れた欠陥」である「溶融部振動状態」を溶接の初期において判別することができる。本願発明によるワーク15は箔状のアルミニウム合金をスポット溶接したワークであるので、微小なギャップであっても溶接強度に大きく影響を及ぼす。よってギャップ管理は重要であるところ、レーザ光照射により容易にワーク15に歪みや溶接中のギャップが発生することがある。かかる状態で溶接されたワーク15が電極に用いられると、溶接不足による電池の液漏れ、導電性や動作電圧に欠陥を起こすおそれがある。とくに振動等があると上記欠陥を生ずる確率が高まる。
【0088】
本願発明による欠陥電極検出装置は、溶接条件だけでなく、溶接現象を含めて数値化し、アルゴリズムを構築してあるため、このような微小な歪みやギャップといった溶接欠陥を次のようにリアルタイムで検出することができる。よって、精密さが求められる電池用電極の品質管理に有効であり、溶接欠陥の早期検出により補修の対応が可能となる効果がある。具体的には次の通りである。
【0089】
ア.溶接欠陥の検出
溶接欠陥の検出は、溶接工程中に全数検査を行うことにより、許容することができない大きな欠陥を溶接時に100%機械検出することができる。これにより、製造工程下流での検査工程が不要となり、低コスト化に寄与する。
イ.溶接欠陥の解消
溶接欠陥の原因究明がインライン検査であるため、瞬時に解明することができる。また、この解明はレーザ溶接中の上流工程で行なうため、生産ロスが小さい。
ウ.ラインの復旧
溶接欠陥の原因究明まで瞬時に行なうことができるため、速やかに条件再設定、欠陥原因の除去に取り掛かることが可能となり、品質管理体制を強化することができる。
【0090】
本願発明は上記した実施の形態に制限されない。例えば、反射光の検出強度に関する閾値Aは「20」に制限されず、アルミニウム合金の厚さ、成分等により適宜の閾値を採用することができる。これを示すのが表3である。
【0091】
【表3】

【0092】
表3は図20におけるステップ1(S1)の閾値のみを変動させ、その他の閾値を固定して計測したデータであり、縦軸及び横軸の交差する各区画の数値は設定閾値に対する各評価項目の検出確率(%)を示す。
【0093】
表3より、この実施例の場合、反射光の検出強度の閾値を「23」にすると「良好な溶接」の検出確率が「96%」となり、また同閾値を「17」にすると「溶融部振動状態」の検出確率が「88%」となり、誤差の発生確率が高まるので、不適である。
【0094】
また赤外光の検出強度に関する閾値Bは「0.6」に制限されず、アルミニウム合金の厚さ、成分等により適宜の閾値を採用することができる。これを示すのが表4である。
【0095】
【表4】

【0096】
表4は図20におけるステップ2(S2b)の閾値のみを変動させ、その他の閾値を固定して計測したデータであり、縦軸及び横軸の交差する各区画の数値は設定閾値に対する各評価項目の検出確率(%)を示す。
【0097】
表4より、この実施例の場合、赤外光の検出強度の閾値を「0.9」にすると「溶融部振動状態」の検出確率が「93%」となり、また同閾値を「0.5」にすると「スパッタ、孔あきのいずれか」の検出確率が「95%」となり、誤差の発生確率が高まるので、不適である。
【0098】
さらに、反射光の閾値時間T1についても「2.0」msに制限されず、アルミニウム合金の厚さ、成分等により適宜の閾値を採用することができる。これを示すのが表5(1)(2)である。
【0099】
【表5】

【0100】
表5(1)、(2)は図20におけるステップ1(S1)の閾値T1のみを変動させ、その他の閾値を固定して計測したデータであり、縦軸及び横軸の交差する各区画の数値は設定閾値に対する各評価項目の検出確率(%)を示す。
【0101】
表5(1)、(2)より、この実施例の場合、反射光ピーク値の発生時間は、閾値を「2.0」ms以上とすると「良好な溶接」「溶融部振動状態」「スパッタ、孔あきのいずれか」を各「100%」の確率で検出することができるが、閾値を「1.6」ms以下とすると「溶融部振動状態」の検出確率が「93%」となり、誤差の発生確率が高まるので、不適である。
【0102】
赤外光の閾値時間T2については、表6に示すように、「0.8ms」以外でも「良好な溶接」「溶融部振動状態」「スパッタ、孔あきのいずれか」を各「100%」の確率で検出することができる。よって赤外光の閾値時間T2については、アルミニウム合金の厚さ、成分等により適宜の閾値を採用することができる。
【0103】
【表6】

【0104】
赤外光の閾値時間T3については、表7に示すように、「0.5ms」以外でも「良好な溶接」「溶融部振動状態」「スパッタ、孔あきのいずれか」を各「100%」の確率で検出することができる。よって赤外光の閾値時間T3については、アルミニウム合金の厚さ、成分等により適宜の閾値を採用することができる。
【0105】
【表7】

【0106】
検出光として抽出される反射光の波長1070nm〜1090nmの帯域、また赤外光の1300nm(±15nm)程度の帯域、同1550nm(±15nm)程度の帯域の波長はいずれも例示として理解すべきであり、波長域の多少の前後幅は許される。
【0107】
各集光部3、5のワーク15に対する傾斜度も50度に限定されない。この場合、傾斜角が50度より大となり起立し過ぎると、反射光の初期の鏡面反射の影響が大となるので望ましくなく、また傾斜角が50度より小となり過ぎると赤外光及び反射光の検出強度が弱化する不利がある。
【0108】
上記溶接状態判別処理部11は送られてくる反射光及び赤外光に基づく信号について時間ごとの検出強度を処理する機能を有するものであれば、これを構成する装置、手段は適宜に選択可能である。また上記出力手段が異常時に出力する態様は任意であり、例えば画面に異常状態を出力するもの、入出力(IO)ポート、その他の外部出力装置に異常状態を出力するものであってもよい。
【0109】
反射光集光部3、赤外光集光部5、反射光センサ部7、赤外光センサ部9及び溶接状態判別処理部11につき、上記各部の距離的近接性又は物理的一体性は問わない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本願発明は自動車用バッテリ、その他のバッテリ等電池産業に活用することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 欠陥電極検出装置
2 レーザ光
3 反射光集光ユニット
4 シリンダ
4a 集光レンズ
4b 集光レンズ
5 赤外光集光ユニット
7 反射光センサユニット
9 赤外光センサユニット
9a 赤外光センサユニット
9b 赤外光センサユニット
11 溶接状態判別処理部
13 レーザ光出射ユニット
15 ワーク
15a 上板
15b 下板
16 溶融部
16a 溶融部振動状態
16b スパッタ
16c 上板孔あき
16d 上下板孔あき
16e 不着溶接
16g 正常溶接
17 光ファイバ
19a 光ファイバ
19b 光ファイバ
21 YAGレーザ光透過フィルタ
23 可視光〜赤外光用フォトダイオード
25 アンプ
27 アナログフィルタ
29 ハウジング
30 ハウジング
31 筐体
33 集光レンズ
35 集光レンズ
37 フィルタ
39 筐体
41 集光レンズ
43 ダイクロイックミラー
49 ハウジング
50 筐体
51 赤外光透過フィルタ
53 ダイクロイックミラー
55 干渉フィルタ
57 集光レンズ
59 赤外光用フォトダイオード
61 アンプ
63 アナログフィルタ
65 干渉フィルタ
67 集光レンズ
69 赤外光用フォトダイオード
71 アンプ
73 アナログフィルタ
75 A/Dコンバータ
77 FPGA
79 高速信号処理プロセッサ
81 記憶手段
83 出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光にて溶接されるワークの溶接部位についてその欠陥の有無を溶融状態において検出する装置であって、
上記ワークが箔状のアルミニウム合金からなり、
溶接部位から散乱される反射光を集光する反射光集光部と、
溶接部位から散乱される赤外光を集光する赤外光集光部と、
上記反射光集光部で集光された光波から所定波長の反射光を抽出し、抽出された光を電気信号に変換し該信号を溶接状態判別処理部に送る反射光センサ部と、
上記赤外光集光部で集光された光波から所定波長の赤外光を抽出し、抽出された光を電気信号に変換し該信号を溶接状態判別処理部に送る赤外光センサ部と、
上記反射光及び上記赤外光に基づく信号を溶接部位が固化されるまでの時間監視する溶接状態判別処理部とからなり、
該溶接状態判別処理部は上記反射光と上記赤外光について時間ごとの検出強度を監視する制御・演算手段と、演算結果を出力する出力手段と、予め定められた閾値を記憶する記憶手段とを備え、先ず反射光の時間ごとの検出強度のピーク値についての異常を判別し、次いで赤外光の時間ごとの検出強度のピーク値についての異常を判別することを特徴とする欠陥電極検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の欠陥電極検出装置において、上記反射光につき所定の時間T1経過後の検出強度のピーク値が予め定められた閾値A以上である場合において、赤外光の検出強度のピーク値が予め定められた閾値B以上であるときは「顕らかな欠陥」と判別し、上記閾値B未満であるときは「隠れた欠陥」と判別することを特徴とする欠陥電極検出装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の欠陥電極検出装置において、上記反射光に関する閾値時間T1が「2ms」以降であることを特徴とする欠陥電極検出装置。
【請求項4】
請求項3記載の欠陥電極検出装置において、上記反射光に関する検出強度の閾値Aが「20」であることを特徴とする欠陥電極検出装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の欠陥電極検出装置において、上記赤外光に関する検出強度の閾値Bが「0.6」であることを特徴とする欠陥電極検出装置。
【請求項6】
請求項3又は請求項4記載の欠陥電極検出装置において、上記溶融状態判別処理部は上記赤外光につき検出強度のピーク値が予め定められた閾値B以上である場合において、赤外光立下り時間と反射光立上り時間の差が予め定められた値(絶対値)T2未満であるときは第1異常パターン又は第2異常パターンと判別し、上記値(絶対値)T2以上であるときは第2異常パターン又は第3異常パターンと判別することを特徴とする欠陥電極検出装置。
【請求項7】
請求項3又は請求項4記載の欠陥電極検出装置において、上記溶融状態判別処理部は上記赤外光につき検出強度のピーク値が予め定められた閾値B以上である場合において、赤外光立下り時間と反射光立上り時間の差が予め定められた値(絶対値)T2未満であって、赤外光立上り時間と反射光立上り時間の差が予め定められた値(絶対値)T3以上のときは第1異常パターンと判別し、上記値(絶対値)T3未満のときは第2異常パターンと判別することを特徴とする欠陥電極検出装置。
【請求項8】
請求項3又は請求項4記載の欠陥電極検出装置において、上記溶融状態判別処理部は上記赤外光につき検出強度のピーク値が予め定められた閾値B以上である場合において、赤外光立下り時間と反射光立上り時間の差が予め定められた値(絶対値)T2以上であって、赤外光立上り時間と反射光立上り時間の差が予め定められた値(絶対値)T3以上のときは第2異常パターンと判別し、上記値(絶対値)T3未満のときは第3異常パターンと判別することを特徴とする欠陥電極検出装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2記載の欠陥電極検出装置において、上記各集光部は溶接部位に対し傾斜して設けられることを特徴とする欠陥電極検出装置。
【請求項10】
請求項9記載の欠陥電極検出装置において、上記各集光部の傾斜角度が50度であることを特徴とする欠陥電極検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−6036(P2012−6036A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143580(P2010−143580)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度経済産業省、戦略的基盤技術高度化支援事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(508333033)有限会社西原電子 (2)
【Fターム(参考)】