説明

歯車機構、現像装置及び画像形成装置

【課題】軸部の外面に接触して回転する歯車と軸部との間に所定の粒径の粉体が入り込むことを低減する。
【解決手段】遊星歯車114は、軸部112の外面に接触する第1の軸穴部130と、この第1の軸穴部130よりも軸方向端部に形成され、第1の軸穴部130よりも内径が小さい第2の軸穴部132とを有する。軸部112は、第1の軸穴部130に接触し、遊星歯車114を回転自在に支持する軸部本体136と、第1の軸穴部130との間及び第2の軸穴部132との間にキャリアの粒径よりも大きな隙間を形成する小径部138とを有する。ここで、小径部138は、第1の軸穴部130との間及び第2の軸穴部132との間にキャリアよりも大きな隙間を形成している。また、軸部本体136と遊星歯車114とによる軸方向の隙間も例えばキャリアより大きくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車機構、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、攪拌軸取り付け部のトナーシールとして、径の異なる2個のオイルシールを使用し、外側に径の大きいオイルシールを配置し、攪拌軸は2個のオイルシールに掛合する外径の異なる軸部を持ち、その両者間に段部が存在するトナー収納装置を有する現像装置を開示する。
【0003】
【特許文献1】特開平11−174836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、軸部の外面に接触して回転する歯車と軸部との間に所定の粒径の粉体が入り込むことを低減することができる歯車機構、現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴とするところは、軸部と、この軸部の外面に接触して回転する歯車とを有し、前記歯車は、前記軸部に接触する領域が設けられた第1の軸穴部と、この第1の軸穴部よりも軸方向端部に形成され、前記軸部との間に所定の粒径の粉体よりも大きな隙間を形成する第2の軸穴部とを有する歯車機構にある。
【0006】
好適には、軸部と、この軸部の外面に接触して回転する歯車とを有し、前記歯車は、前記軸部に接触する領域が設けられた第1の軸穴部と、この第1の軸穴部よりも軸方向端部に形成され、内径が前記第1の軸穴部よりも小さい第2の軸穴部とを有し、前記軸部は、前記第1の軸穴部との間及び前記第2の軸穴部との間に所定の粒径の粉体よりも大きな隙間を形成する小径部を有する。
【0007】
また、好適には、前記歯車は、反第2の軸穴部側の軸方向端部に、前記第1の軸穴部よりも内径が大きい第3の軸穴部を有し、前記第3の軸穴部との間に所定の粒径の粉体よりも大きく、開放された隙間を前記軸部とともに形成する隙間形成部材をさらに有する。
【0008】
また、好適には、前記隙間形成部材は、反歯車側で前記軸部との間に所定の粒径の粉体よりも大きな隙間を形成する。
【0009】
また、好適には、前記隙間形成部材は、他の歯車の回転軸と前記軸部との距離を規定するためのトラッキングロールである。
【0010】
また、好適には、前記トラッキングロールは、前記歯車との間に形成する隙間の大きさが前記歯車の軸方向端部に対向する位置で最大である。
【0011】
また、好適には、前記隙間形成部材に対向する面を具備して前記軸部を支持する支持部材をさらに有し、前記支持部材は、前記隙間形成部材との間に所定の粒径の粉体よりも大きな隙間を形成する。
【0012】
また、好適には、前記歯車に対向する面を具備して前記軸部を支持する歯車側支持部材をさらに有し、前記歯車側支持部材は、前記歯車との間に所定の粒径の粉体よりも大きな隙間を形成する。
【0013】
また、本発明の第2の特徴とするところは、軸部と、この軸部の外面に接触して回転する歯車と、この歯車によって駆動力を伝達され、潜像を現像剤によって可視化する現像ロールとを有し、前記歯車は、前記軸部に接触する領域が設けられた第1の軸穴部と、この第1の軸穴部よりも軸方向端部に形成され、前記軸部との間に所定の粒径の粉体よりも大きな隙間を形成する第2の軸穴部とを有する現像装置にある。
【0014】
また、本発明の第3の特徴とするところは、上記の現像装置を有する画像形成装置にある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、軸部の外面に接触して回転する歯車と軸部との間に所定の粒径の粉体が入り込むことを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の概要が示されている。
画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12の上部には、回動支点14を中心に回動自在の開閉カバー16が設けられている。画像形成装置本体12の下部には、例えば1段の記録媒体供給ユニット18が配置されている。記録媒体供給ユニット18は、記録媒体供給ユニット本体20と、記録媒体が収納される記録媒体供給カセット22とを有する。記録媒体供給カセット22の奥端近傍上部には、記録媒体供給カセット22から記録媒体を供給するフィードロール24、及び、供給される記録媒体を1枚ずつ捌くリタードロール26が配置されている。
【0017】
搬送路28は、フィードロール24から排出口30までの記録媒体通路であり、この搬送路28は、画像形成装置本体12の裏側(図1の右側面)近傍にあって、記録媒体供給ユニット18から後述する定着装置90まで略垂直に形成されている。この搬送路28の定着装置90の上流側に後述する二次転写ロール80と二次転写バックアップロール72とが配置され、二次転写ロール80と二次転写バックアップロール72の上流側にレジストロール32が配置されている。また、搬送路28の排出口30の近傍には排出ロール34が配置されている。
【0018】
したがって、記録媒体供給ユニット18の記録媒体供給カセット22からフィードロール24により送り出された記録媒体は、リタードロール26により捌かれて最上部の記録媒体のみ搬送路28に導かれ、レジストロール32により一時停止され、タイミングをとって後述する二次転写ロール80と二次転写バックアップロール72との間を通って現像剤像(トナー像)が転写され、この転写されたトナー像が定着装置90により定着され、排出ロール34により排出口30から開閉カバー16の上部に設けられた排出部36へ排出される。この排出部36は、排出口部分が低く、正面方向(図1の左方向)に向けて徐々に高くなるよう傾斜している。
【0019】
画像形成装置本体12には、例えば略中央部にロータリ現像装置38が配置されている。ロータリ現像装置38は、現像器本体40内にイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)及び黒(Black)の4色のトナー像をそれぞれ形成する現像器42a〜42dを有し、ロータリ現像装置中心44を中心として左回り(図1において反時計回り)に回転する。
【0020】
現像器42a〜42dそれぞれは、現像ロール46a〜46dを有し、非磁性のトナーと磁性のキャリアとからなる二成分系の各色の現像剤により、例えば感光体からなる像保持体50上の潜像をそれぞれの色のトナーで可視化(現像)する。トナーは、粒径が例えば5〜8μmの粉体である。キャリアは、粒径が例えば30〜50μmの粉体である。
なお、現像器42a〜42dそれぞれは、例えばコイルスプリングなどの弾性体48a〜48dにより、現像器本体40の法線方向に押圧されている。
【0021】
像保持体50の下方には、該像保持体50を一様帯電する例えば帯電ロールからなる帯電装置52が設けられている。また、像保持体50には、該像保持体50の回転方向の帯電装置52よりも上流側に像保持体用クリーナ54が当接している。像保持体用クリーナ54は、例えば一次転写後に像保持体50に残留するトナーを掻き取るクリーニングブレード56と、クリーニングブレード56が掻き取ったトナーを回収するトナー回収ボトル58とから構成される。
【0022】
ロータリ現像装置38の下方には、帯電装置52により帯電された像保持体50に、レーザ光などの光線により潜像を書き込む露光装置60が配置されている。また、ロータリ現像装置38の上方には、ロータリ現像装置38によって可視化されたトナー像を一次転写位置で一次転写され、後述する二次転写位置まで搬送する中間転写装置62が設けられている。
【0023】
中間転写装置62は、例えば中間転写ベルトなどの中間転写体64、一次転写ロール66、ラップインロール68、ラップアウトロール70、二次転写バックアップロール72、スクレーパバックアップロール74及びブラシバックアップロール76から構成される。中間転写体64は、例えば弾性を有し、ロータリ現像装置38の上方で長辺と短辺とを有するように略扁平に張られている。中間転写体64の上面側の長辺は、例えば画像形成装置本体12の上部に設けられた排出部36に対して略平行となるように張られている。また、中間転写体64は、該中間転写体64の長辺下方で一次転写ロール66の上流に配置されたラップインロール68と、一次転写ロール66の下流に配置されたラップアウトロール70との間で像保持体50にラップ状に当接する一次転写部を有し、像保持体50に所定の範囲だけ巻きついて、像保持体50の回転に従動する。このように、中間転写体64は、一次転写ロール66によって像保持体50上のトナー像を例えばイエロー、マゼンタ、シアン、黒の順に重ねて一次転写され、この一次転写されたトナー像を後述する二次転写ロール80に向けて搬送する。
さらに、中間転写体64の裏側(図1の右側面)には、ラップアウトロール70及び二次転写バックアップロール72により、平面部(短辺)が形成されており、この平面部が二次転写部となって搬送路28に臨むようにされている。
【0024】
スクレーパバックアップロール74は、二次転写後に中間転写体64に残留するトナーを後述するスクレーパ84が掻き取ることを補助し、ブラシバックアップロール76は、二次転写後に中間転写体64に残留するトナーを後述するブラシロール86が掻き取ることを補助する。
【0025】
中間転写体64の長辺上方には、例えば反射型フォトセンサなどのセンサ78が開閉カバー14の裏面(内側)に固定されることによって設けられている。センサ78は、中間転写体64上に形成されたトナーのパッチを読取り、中間転写体64の回転方向における位置を検出するとともに、トナーの濃度検知を行う。
【0026】
中間転写装置62の二次転写バックアップロール72には、搬送路28を挟んで二次転写ロール80が対峙している。つまり、二次転写ロール80と二次転写バックアップロール72との間が二次転写部における二次転写位置となっており、二次転写ロール80は、二次転写バックアップロール72の補助により、中間転写体64に一次転写されたトナー像を二次転写位置で記録媒体に二次転写する。ここで、二次転写ロール80は、中間転写体64が3回転する間、すなわちイエロー、マゼンタ、シアンの3色のトナー像を搬送する間は中間転写体64から離間しており、黒のトナー像が転写されると中間転写体64に当接するようにされている。
【0027】
中間転写体64の反像保持体側端には、中間転写体用クリーナ82が当接するように設けられている。中間転写体用クリーナ82は、例えば二次転写後に中間転写体64に残留するトナーを掻き取ってクリーニングするスクレーパ84、スクレーパ84によるクリーニング後に残ったトナーをさらに掻き取るブラシロール86、スクレーパ84及びブラシロール86によって掻き取られたトナーを回収するトナー回収ボトル88から構成される。スクレーパ84は、例えばステンレスの薄板からなり、トナーとは逆極性の電圧がかけられている。ブラシロール86は、例えば導電性の処理がなされたアクリルなどのブラシからなる。また、中間転写体64がトナー像を搬送する間は、スクレーパ84及びブラシロール86は、中間転写体64から離間しており、所定のタイミングでこれらが一体となって中間転写体64に当接するようにされている。
【0028】
二次転写位置の上方には、定着装置90が配置されている。定着装置90は、例えば加熱ロール92と、この加熱ロール92に接触しつつ回転する無端のベルト93と、このベルト93を加熱ロール92に向けて押圧する押圧部94とを有し、加熱ロール92とベルト93とが形成するニップ部を通過する記録媒体に二次転写されたトナー像を記録媒体に定着させる。なお、押圧部94は、例えばバネなどの図示しない弾性部材により、加熱ロール92に向けて付勢されている。また、定着装置90内には、例えばトナー像を定着された記録媒体を排出する排出ロール34が設けられている。
【0029】
像形成ユニット96は、中間転写装置62、像保持体50、帯電装置52、像保持体用クリーナ54及び中間転写体用クリーナ82を一体化したものである。この像形成ユニット96は、開閉カバー16の排出部36の直近下方に配置され、画像形成装置本体12に対して着脱自在となっており、開閉カバー16を開くことにより着脱される。
【0030】
また、画像形成装置10の内部には、画像形成装置10を構成する各部を制御する制御部98が設けられている。
【0031】
次に、現像ロール46a〜46dを駆動する駆動力の伝達について説明する。
図2乃至図4において、現像ロール46a〜46dに対して駆動力を伝達する機構が示されている。
現像ロール46a〜46dは、それぞれ一端に歯車100a〜100dが設けられており、遊星歯車機構部102が伝達するモータ128の駆動力を、歯車100a〜100dがそれぞれ第1の伝達歯車104a〜104d及び第2の伝達歯車106a〜106dを介して受けることによって回転する。
【0032】
遊星歯車機構部102は、軸部108に固定され軸部108を回転軸として回転する太陽歯車110と、この太陽歯車110に噛み合い、軸部112の外面に接触して太陽歯車110の周囲を所定の範囲内(移動範囲)で回転する遊星歯車114と、太陽歯車110と遊星歯車114とを連結するように軸部112を支持し、軸部108により所定の範囲内(移動範囲)で回転自在に支持される例えば板金からなる腕(アーム)部116とを有する。遊星歯車114は、例えばはすば歯車である。腕部116は、画像形成装置本体12側で軸部108及び軸部112が貫通する第1の支持板部118−1と、現像器本体40側で軸部108及び軸部112が貫通する第2の支持板部118−2とを有し、第1の支持板部118−1と第2の支持板部118−2との間に、軸部112に接触しながら回転する遊星歯車114に対するトラッキングロール120が設けられている。
トラッキングロール120は、軸部112に接触しながら回転し、後述する連結部126に接触してすり動くことにより、第1の伝達歯車104a〜104dそれぞれと軸部112との距離を規定する。
【0033】
なお、第1の伝達歯車104a〜104d、第2の伝達歯車106a〜106d及び現像器42a〜42dは、それぞれほぼ同様に構成されており、現像器42a〜42dは、現像ロール46a〜46dが現像する画像の色がそれぞれ異なるものである。そこで、以下、現像ロール46aに対して説明する。
【0034】
図3に示すように、第1の伝達歯車104aは、遊星歯車114の駆動力を受ける例えばはすばの第1の歯部122、第2の歯部124、及び、第1の歯部122と第2の歯部124とを連結する連結部126を有し、トラッキングロール120が連結部126に接触してすり動くことにより、第1の歯部122が遊星歯車114の駆動力を受け、第1の歯部122が受けた駆動力を第2の歯部124が第2の伝達歯車106aに対して伝達する。第2の伝達歯車106aは、第1の伝達歯車104aから伝達された駆動力を歯車100aに対して伝達する。
【0035】
なお、軸部108は、図4に示すように、画像形成装置本体12に固定され制御部98の制御に応じて動作するモータ128の駆動力を太陽歯車110に伝達する。遊星歯車機構部102は、モータ128が回転すると、トラッキングロール120が連結部126に接触して、モータ128の駆動力を第1の伝達歯車104aに伝達する。
したがって、制御部98の制御に応じてモータ128が回転すると、モータ128の駆動力は、軸部108、太陽歯車110、遊星歯車114、第1の伝達歯車104a、第2の伝達歯車106a及び歯車100aを介して現像ロール46aに伝達される。
【0036】
次に、遊星歯車機構部102について詳述する。
図5において、遊星歯車114及びその周辺が示されている。
遊星歯車114は、軸部112の外面に接触する領域が設けられた第1の軸穴部130と、この第1の軸穴部130よりも軸方向端部に形成され、第1の軸穴部130よりも内径が小さい第2の軸穴部132と、反第2の軸穴部132側の軸方向端部に、第1の軸穴部130よりも内径が大きい第3の軸穴部134とを有する。
【0037】
軸部112は、第1の軸穴部130に接触し遊星歯車114を回転自在に支持する軸部本体136と、第1の軸穴部130との間及び第2の軸穴部132との間にキャリアの粒径よりも大きな隙間を形成する小径部138とを有する。ここで、小径部138は、第1の軸穴部130との間及び第2の軸穴部132との間に例えば300μm(キャリアの6倍〜10倍)以上の隙間を形成している。また、軸部本体136と遊星歯車114とによる軸方向の隙間も例えば300μm(キャリアの6倍〜10倍)以上になっている。つまり、遊星歯車114と軸部112とが形成する隙間には段差がある。また、軸部本体136と第1の軸穴部130とは、それぞれ所定の公差の範囲内で互いに接触し、自在にすり動くことができるようになっている。なお、遊星歯車114と第1の支持板部118−1との間の隙間も、例えば300μm(キャリアの6倍〜10倍)以上になっている。
【0038】
したがって、遊星歯車114が回転することにより、遊星歯車114と第1の支持板部118−1との間にキャリアが不必要に入り、遊星歯車114と軸部112との間のキャリアよりも大きく形成された隙間にキャリアが入り込んでも、第1の軸穴部130と軸部本体136との間にキャリアが入り込むことなく、キャリアは、遊星歯車114と軸部112との間のキャリアよりも大きく形成された隙間内で移動し、又は、遊星歯車114と軸部112との間のキャリアよりも大きく形成された隙間から遊星歯車114と第1の支持板部118−1との間の隙間を通って重力方向下方に落下する。
【0039】
トラッキングロール120は、第3の軸穴部134との間に、軸部112とともに例えば300μm(キャリアの6倍〜10倍)以上の開放された隙間を形成する隙間形成部140と、連結部126に接触する接触部142とを有する。つまり、トラッキングロール120は、遊星歯車114に対して軸部112とともに隙間を形成する隙間形成部材となっている。なお、接触部142と遊星歯車114との間、及び接触部142と第2の支持板部118−2との間もそれぞれ例えば300μm(キャリアの6倍〜10倍)以上になっている。
【0040】
したがって、遊星歯車114及びトラッキングロール120が回転することにより、遊星歯車114とトラッキングロール120との間の隙間にキャリアが不必要に入り込んでも、第1の軸穴部130と軸部本体136との間にキャリアが入り込むことなく、キャリアは、遊星歯車114とトラッキングロール120との間の隙間内で移動し、又は、遊星歯車114とトラッキングロール120との間の隙間から重力方向下方に落下する。
よって、キャリアが第1の軸穴部130と軸部本体136との間に入り込むことによって、キャリアが第1の軸穴部130又は軸部本体136を磨耗させることが低減される。
【0041】
次に、遊星歯車機構部102の変形例について説明する。
図6において、遊星歯車機構部102の第1の変形例の遊星歯車114及びその周辺が示されている。
なお、遊星歯車機構部102の第1の変形例において、図5に示した遊星歯車機構部102を構成する部分と実質的に同一のものには、同一の符号が付してある。
【0042】
遊星歯車機構部102の第1の変形例における隙間形成部140には、遊星歯車114との間に形成する隙間の大きさが遊星歯車114の軸方向端部に対向する位置で最大となるように、溝部144が設けられている。溝部144は、遊星歯車114とトラッキングロール120との間の隙間に入るキャリアが溜まるキャリア溜まりとなり、キャリアが軸部本体136と第3の軸穴部134との間に入り込むことを低減する。
【0043】
図7において、遊星歯車機構部102の第2の変形例の遊星歯車114及びその周辺が示されている。
なお、遊星歯車機構部102の第2の変形例において、図5に示した遊星歯車機構部102を構成する部分と実質的に同一のものには、同一の符号が付してある。
【0044】
遊星歯車機構部102の第2の変形例において、遊星歯車114は、第1の支持板部118−1及び第2の支持板部118−2に支持された軸部146の外面に接触して回転するようにされている。軸部146は、第1の軸穴部130に接触し、遊星歯車114を回転自在に支持する軸部本体148と、第1の軸穴部130との間及び第2の軸穴部132との間にキャリアの粒径よりも大きな隙間を形成する第1の小径部150とを有する。ここで、第1の小径部150は、第1の軸穴部130との間及び第2の軸穴部132との間に例えば300μm(キャリアの6倍〜10倍)以上の隙間を形成している。また、軸部本体148と遊星歯車114とによる軸方向の隙間も例えば300μm(キャリアの6倍〜10倍)以上になっている。つまり、遊星歯車114と軸部146とが形成する隙間には段差がある。また、軸部本体148と第1の軸穴部130とは、それぞれ所定の公差の範囲内で互いに接触し、自在にすり動くことができるようになっている。
【0045】
したがって、遊星歯車114が回転することにより、遊星歯車114と第1の支持板部118−1との間にキャリアが不必要に入り、遊星歯車114と軸部146との間のキャリアよりも大きく形成された隙間にキャリアが入り込んでも、第1の軸穴部130と軸部本体148との間にキャリアが入り込むことなく、キャリアは、遊星歯車114と軸部146との間のキャリアよりも大きく形成された隙間内で移動し、又は、遊星歯車114と軸部146との間のキャリアよりも大きく形成された隙間から遊星歯車114と第1の支持板部118−1との間の隙間を通って重力方向下方に落下する。
【0046】
また、軸部146の反第1の小径部150側には、例えば第1の小径部150と略同じ外径の第2の小径部152が形成されている。キャップ154は、軸部本体148の端部に着脱自在に取り付けられており、第3の軸穴部134、第2の小径部152及び第2の支持板部118−2との間に、例えば300μm(キャリアの6倍〜10倍)以上の開放された隙間を形成する隙間形成部材である。また、キャップ154と遊星歯車114とによる軸方向の隙間も例えば300μm(キャリアの6倍〜10倍)以上になっている。なお、遊星歯車114と第2の支持板部118−2との間も例えば300μm(キャリアの6倍〜10倍)以上になっている。
【0047】
したがって、遊星歯車114が回転することにより、遊星歯車114とキャップ154との間、及びキャップ154と第2の小径部152との間の隙間にキャリアが不必要に入り込んでも、第1の軸穴部130と軸部本体148との間にキャリアが入り込むことなく、キャリアは、第2の小径部152の周囲のキャリアよりも大きく形成された隙間内で移動し、又は、キャリアよりも大きく形成された隙間から重力方向下方に落下する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概要を示す断面図である。
【図2】ロータリ現像装置に対して駆動力を伝達する機構の概要を示す側面図である。
【図3】遊星歯車機構部から現像ロールに対して駆動力を伝達する機構の概要を示す上面図である。
【図4】遊星歯車機構部及びその周辺を示す正面図である。
【図5】遊星歯車及びその周辺を示す拡大断面図である。
【図6】遊星歯車機構部の第1の変形例の遊星歯車及びその周辺を示す拡大断面図である。
【図7】遊星歯車機構部の第2の変形例の遊星歯車及びその周辺を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0049】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
38 ロータリ現像装置
40 現像器本体
42a〜42d 現像器
46a〜46d 現像ロール
50 像保持体
52 帯電装置
60 露光装置
62 中間転写装置
80 二次転写ロール
90 定着装置
98 制御部
100a〜100d 歯車
102 遊星歯車機構部
104a〜104d 第1の伝達歯車
106a〜106d 第2の伝達歯車
108 軸部
110 太陽歯車
112 軸部
114 遊星歯車
116 腕部
118−1 第1の支持板部
118−2 第2の支持板部
120 トラッキングロール
122 第1の歯部
124 第2の歯部
126 連結部
128 モータ
130 第1の軸穴部
132 第2の軸穴部
134 第3の軸穴部
136 軸部本体
138 小径部
140 隙間形成部
142 接触部
144 溝部
146 軸部
148 軸部本体
150 第1の小径部
152 第2の小径部
154 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と、この軸部の外面に接触して回転する歯車とを有し、前記歯車は、前記軸部に接触する領域が設けられた第1の軸穴部と、この第1の軸穴部よりも軸方向端部に形成され、前記軸部との間に所定の粒径の粉体よりも大きな隙間を形成する第2の軸穴部とを有する歯車機構。
【請求項2】
軸部と、この軸部の外面に接触して回転する歯車とを有し、前記歯車は、前記軸部に接触する領域が設けられた第1の軸穴部と、この第1の軸穴部よりも軸方向端部に形成され、内径が前記第1の軸穴部よりも小さい第2の軸穴部とを有し、前記軸部は、前記第1の軸穴部との間及び前記第2の軸穴部との間に所定の粒径の粉体よりも大きな隙間を形成する小径部を有する歯車機構。
【請求項3】
前記歯車は、反第2の軸穴部側の軸方向端部に、前記第1の軸穴部よりも内径が大きい第3の軸穴部を有し、前記第3の軸穴部との間に所定の粒径の粉体よりも大きく、開放された隙間を前記軸部とともに形成する隙間形成部材をさらに有する請求項2記載の歯車機構。
【請求項4】
前記隙間形成部材は、反歯車側で前記軸部との間に所定の粒径の粉体よりも大きな隙間を形成する請求項3記載の歯車機構。
【請求項5】
前記隙間形成部材は、他の歯車の回転軸と前記軸部との距離を規定するためのトラッキングロールである請求項3又は4記載の歯車機構。
【請求項6】
前記トラッキングロールは、前記歯車との間に形成する隙間の大きさが前記歯車の軸方向端部に対向する位置で最大である請求項5記載の歯車機構。
【請求項7】
前記隙間形成部材に対向する面を具備して前記軸部を支持する支持部材をさらに有し、前記支持部材は、前記隙間形成部材との間に所定の粒径の粉体よりも大きな隙間を形成する請求項3乃至6いずれか記載の歯車機構。
【請求項8】
前記歯車に対向する面を具備して前記軸部を支持する歯車側支持部材をさらに有し、前記歯車側支持部材は、前記歯車との間に所定の粒径の粉体よりも大きな隙間を形成する請求項1乃至7いずれか記載の歯車機構。
【請求項9】
軸部と、この軸部の外面に接触して回転する歯車と、この歯車によって駆動力を伝達され、潜像を現像剤によって可視化する現像ロールとを有し、前記歯車は、前記軸部に接触する領域が設けられた第1の軸穴部と、この第1の軸穴部よりも軸方向端部に形成され、前記軸部との間に所定の粒径の粉体よりも大きな隙間を形成する第2の軸穴部とを有する現像装置。
【請求項10】
請求項9記載の現像装置を有する画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−90108(P2008−90108A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272582(P2006−272582)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】