気泡シートの製造方法
【課題】独立した多数の気泡を有する気泡シートを適当な大きさに裁断して緩衝材として用いる場合などに、できるだけ嵩張らないように物品を包装したり、包装された物品に気泡の跡が付かないようにしたりすることが可能な気泡シートを効率よく製造することができる気泡シートの製造方法を提供する。
【解決手段】多数の吸引孔41が設けられた成形ロール40に溶融状態のキャップ用フィルム21aを連続供給して、中空状に膨出する多数の突起20が真空成形されたキャップフィルム21を形成するとともに、突起20内に空気を封入するバックフィルム22を溶融状態で連続供給しながら熱融着によりキャップフィルム21に積層することによって長尺状のシート主部2を形成し、薄肉のフィルム材3aをシート主部2の少なくとも一部に重ねて連続供給しながら熱融着することにより、シート主部2の端縁2a,2bに延在する薄肉フィルム部3を形成する。
【解決手段】多数の吸引孔41が設けられた成形ロール40に溶融状態のキャップ用フィルム21aを連続供給して、中空状に膨出する多数の突起20が真空成形されたキャップフィルム21を形成するとともに、突起20内に空気を封入するバックフィルム22を溶融状態で連続供給しながら熱融着によりキャップフィルム21に積層することによって長尺状のシート主部2を形成し、薄肉のフィルム材3aをシート主部2の少なくとも一部に重ねて連続供給しながら熱融着することにより、シート主部2の端縁2a,2bに延在する薄肉フィルム部3を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立した多数の気泡を有する気泡シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空状に膨出する多数の突起が形成されたキャップフィルムに、突起内に空気を封入するバックフィルムを積層することによって形成された、独立した多数の気泡を有する気泡シートが、包装用の緩衝材をはじめとする各種の用途に広く利用されている。
【0003】
このような気泡シートは、例えば、多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に、溶融状態にある樹脂フィルムを接触させて中空状に膨出する突起を真空成形してキャップフィルムとした後に、成形された突起の開口側にバックフィルムを積層するなどして製造することができる(特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−216770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の気泡シートを適当な大きさに裁断して緩衝材として用いる場合には、保護対象となる物品を包装する際に嵩張ってしまい、気泡シートの端縁を粘着テープなどで留める際に気泡シートが浮き上がるなどして、その作業が困難になってしまうことがある。このような不都合は、特に、保護対象となる物品が小さいものであるほど顕著である。
また、保護対象となる物品によっては、気泡シートを直に巻き付けると気泡の跡がついてしまうものもある。そして、そのような物品に対しては、別途用意した保護材を間に挟んで気泡シートを巻き付けるなどしなければならず、包装作業に手間を要するという不具合もある。
【0006】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、例えば、気泡シートを適当な大きさに裁断して緩衝材として用いる場合に、できるだけ嵩張らないように物品を包装したり、包装された物品に気泡の跡が付かないようにしたりすることが可能な気泡シートを効率よく製造することができる気泡シートの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る気泡シートの製造方法は、多数の吸引孔が設けられた成形ロールに溶融状態のキャップ用フィルムを連続供給して、中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムを形成するとともに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを溶融状態で連続供給しながら熱融着により前記キャップフィルムに積層することによって長尺状のシート主部を形成し、薄肉のフィルム材を前記シート主部の少なくとも一部に重ねて連続供給しながら熱融着することにより、前記シート主部の端縁に延在する薄肉フィルム部を形成する方法としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、独立した多数の気泡が形成されたシート主部と、このシート主部の少なくとも一方の端縁に延在する薄肉フィルム部とを備える気泡シートを効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る気泡シートの製造方法の第一実施形態により製造される気泡シートの一例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る気泡シートの製造方法の第一実施形態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る気泡シートの製造方法の第一実施形態により製造される気泡シートの他の例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る気泡シートの製造方法の第一実施形態の変形例により製造される気泡シートの他の例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る気泡シートの製造方法の第二実施形態により製造される気泡シートの一例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る気泡シートの製造方法の第二実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明に係る気泡シートの製造方法の第三実施形態により製造される気泡シートの一例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る気泡シートの製造方法の第三実施形態を示す説明図である。
【図9】本発明に係る気泡シートの製造方法の第四実施形態により製造される気泡シートの一例を示す説明図である。
【図10】本発明に係る気泡シートの製造方法の第四実施形態を示す説明図である。
【図11】本発明に係る気泡シートの製造方法の第五実施形態により製造される気泡シートの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態について説明する。
なお、図1は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造された気泡シートの一例を示す説明図であり、図1(a)は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造された気泡シートの概略を示す平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。
【0012】
図1に示す気泡シート1は、長尺状のシート主部2と、このシート主部2の長手方向に沿った端縁2a,2bに延在して設けられた薄肉フィルム部3とを備えている。
シート主部2は、図1(b)に示すように、中空状に膨出する多数の突起20が成形されたキャップフィルム21に、突起20内に空気を封入するバックフィルム22を積層することによって形成することができる。
【0013】
また、薄肉フィルム部3は、薄肉のフィルム材3aをシート主部2に所定の幅Wmで重ねて熱融着することによって設けられている。このときの幅Wmは、十分な融着代が確保できるように適宜設定されるが、好ましくは100〜200mmである。
【0014】
このような気泡シート1は、例えば、図2に示すようにして製造することができる。
なお、図2は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法を示す説明図であり、図2(b)は、図2(a)のX−X矢視図である。
【0015】
図2に示すように、気泡シート1を製造するには、まず、外周面に多数の吸引孔41が設けられた成形ロール40に、溶融状態にあるキャップ用フィルム21aを連続供給する。これによって、中空状に膨出する多数の突起20を真空成形し、キャップフィルム21を形成する。
なお、吸引孔41のそれぞれは、図示しない真空ポンプにつながれており、吸引孔41内を真空吸引することによって真空成形がなされるようになっている。
【0016】
このようにして形成されたキャップフィルム21には、溶融状態で連続供給されてきたバックフィルム22が、押圧ロール50で圧着されて、突起20の開口側を封止するように熱融着によって積層される。
これにより、突起20内に空気が封入され、独立した多数の気泡を有する長尺状のシート主部2が形成される。
【0017】
このようにしてシート主部2を形成するにあたり、図2に示す例では、キャップ用フィルム21aは、図示しない押し出し機に取り付けられたフラットダイ121から、材料樹脂を押し出すことによって連続供給されるようになっている。同様に、バックフィルム22は、図示しない押し出し機に取り付けられたフラットダイ122から、材料樹脂を押し出すことによって連続して供給されるようになっている。
各フラットダイ121,122から押し出されてくるキャップ用フィルム21a及びバックフィルム22の厚みは、それぞれの材料樹脂の吐出量やラインスピードなどを適宜調整することで所定の厚みとすることができる。
【0018】
本実施形態において、成形ロール40は、形成しようとするキャップフィルム21の幅に応じて吸引孔41が配設された成形領域40Aと、吸引孔41が設けられていない非成形領域40Bとを有しており、キャップ用フィルム21aとバックフィルム22とは、ほぼ同じ幅で成形ロール40の成形領域40Aに連続供給される。
【0019】
そして、成形領域40Aに密着した状態のキャップフィルム21に、上記のようにしてバックフィルム22を積層することでシート主部2を形成しつつ、シート主部2の端縁2a,2bと所定の幅Wmで重なるように、成形ロール40の非成形領域40Bに薄肉のフィルム材3aを連続供給しながら、押圧ロール50で圧着して熱融着することによって、シート主部2の端縁2a,2bに延在する薄肉フィルム部3を形成する。
【0020】
このとき、薄肉のフィルム材3aは、図1(b)に示すように、バックフィルム22の背面側に重なるように熱融着する他、特に図示しないが、キャップフィルム21とバックフィルム22との間に挟んで熱融着するようにしてもよい。
また、薄肉のフィルム材3aは、シート主部2の端縁2a側と端縁2b側のうち一方に供給するようにしてもよい。
【0021】
ここで、キャップフィルム21、バックフィルム22、及び薄肉フィルム部3の材料樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂を単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンホモポリマー、又はプロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが例示できる。プロピレンと共重合される他のオレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1などのα−オレフィンが挙げられ、これらの他のオレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
また、ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが例示できる。
【0022】
その後、剥離ロール60によって成形ロール40から剥離された気泡シート1は、図示しない巻き取りロールに巻き取られていく。巻き取られた気泡シート1は、そのままの形態で市場に供給してもよく、長手方向に沿って所定の長さに切断してから市場に供給するようにしてもよい。
所定の長さに切断したものを市場に供給するにあたっては、図3に示すように、切断された端縁にも薄肉のフィルム材を接合するなどして、薄肉フィルム部30を延在して設けるようにしてもよい。
【0023】
以上のようにして製造された気泡シート1は、例えば、気泡シート1を適当な大きさに裁断して緩衝材として用いる場合に、薄肉フィルム部3が最外面に位置するように保護対象となる物品を包装するようにすれば、当該物品をシート主部2で覆った後に、さらにこれらを覆うように薄肉フィルム部3を巻き付けることが可能になる。これにより、物品を包装する気泡シート1が嵩張ってしまうのを抑制するとともに、粘着テープなどで気泡シート1を留める作業が容易になる。さらに、保護対象となる物品を包装する際に、薄肉フィルム部3を物品に巻き付けてからシート主部2で覆うように包装すれば、保護対象となる物品によっては当該物品に気泡の跡がついてしまうという不具合を抑止することもできる。
【0024】
薄肉フィルム部3の平均肉厚は、例えば、保護対象となる物品を包装する際の嵩張りが少なく、かつ、粘着テープなどで気泡シート1を留める作業が容易であり、また、保護対象となる物品への巻き付け易さなども適宜考慮して設定することができる。通常は、シート主部2の厚み(ただし、突起20が形成されていない部分の平均肉厚)よりも薄くなっていればよいが、好ましくは5〜100μmである。
【0025】
また、シート主部2の端縁2a,2bに延在して設けられる薄肉フィルム部3の幅Wは、例えば、シート主部2の幅W0が300〜6000mm程度である場合には、20〜300mmであるのが好ましい。図1に示す気泡シート1において、薄肉フィルム部3の幅Wは、端縁2a側と端縁2b側とで等しくしているが、必要に応じて、端縁2a側と端縁2b側とで薄肉フィルム部3の幅Wを異ならせてもよく、端縁2a側と端縁2b側のいずれか一方の薄肉フィルム部3を省略してもよい。
【0026】
また、気泡シート1は、緩衝材として使用する以外にも種々の用途に供することができる。
例えば、建築工事や土木工事などの現場でコンクリートの打設作業を行う際に、打設したコンクリートが十分な水和反応がなされないうちに急速に乾いてしまうと、その耐久性が低下するなどの不具合が生じてしまう。このため、通常は、コンクリート打設面に散水するとともに、養生シートで覆ってコンクリートが急速に乾いてしまうのを防止しているが、気泡シート1は、このような用途に供されるコンクリート用養生シートとしても好適に利用することもできる。
【0027】
このようなコンクリート用養生シートとして気泡シート1をコンクリート打設面に敷設するに際し、濡れたコンクリート打設面に薄肉フィルム部3を添わせると、水の表面張力によって薄肉フィルム部3がコンクリート打設面の表面形状に追随して密着するので、これを利用して、天井や壁面に打設されたコンクリートに対しても、そのコンクリート打設面に容易に気泡シート1を敷設することができる。
【0028】
また、シート主部2に形成された突起20がコンクリート打設面に対向するように気泡シート1を敷設すると、シート主部2とコンクリート打設面との間に空隙が形成される。このとき、例えば、図3に示すように、シート主部2の四方に薄肉フィルム部3,30を設けておいて、シート主部2の四方に設けられた薄肉フィルム部3,30をコンクリート打設面に密着させて当該空隙が気密となるようにするとともに、気密にされた当該空隙から空気を抜いてシート主部2とコンクリート打設面との間を負圧にすれば、シート主部2をコンクリート打設面に密着させることができ、コンクリート打設面に敷設された気泡シート1が脱落してしまうのをより確実に防止することが可能となる。
【0029】
さらに、特に図示しないが、シート主部2に吸水口と排水孔とを穿設して、ポンプを介してこれらを接続することで、吸水孔から供給された水が、排水孔6から排水されて再び吸水口5から供給されるようにして、シート主部2とコンクリート打設面との間に形成された空隙内を循環するようにすることもできる。このようにすることで、コンクリート打設面が常に濡れた状態とすることができ、打設されたコンクリートの水和反応を十分なものとして、コンクリートの耐久性を向上させることが可能になる。
【0030】
このようなコンクリート用養生シートとしての使用態様に供するにあたり、気泡シート1は、前述したようにして長尺状のシート主部2を形成しつつ、シート主部2の端縁に延在する薄肉フィルム部3を形成した後に、薄肉フィルム部3に多数の穿孔3aを設け、次いで、この薄肉フィルム部3を折り返してシート主部20に形成された突起20の頂面側に重ねて貼り合わせることによって製造されたものとして、本実施形態を変形実施することもできる(図4参照)。
ここで、折り返された薄肉フィルム部3をシート主部2に形成された突起20の頂面側に貼り合わせるにあたっては、特に図示しないが、接着剤や両面テープなどの適宜手段により、薄肉フィルム部3の周縁を当該凹凸面に貼り合わせるようにすればよい。
なお、図4は、上記変形例を示す説明図であり、図4(a)は、平面図、図4(b)は、図4(a)のE−E断面図である。
【0031】
このような態様とした場合であっても、薄肉フィルム部3が、濡れたコンクリート打設面に密着するのを利用して、天井や壁面に打設されたコンクリートに対しても、そのコンクリート打設面に気泡シート1を容易に敷設することができる。
【0032】
また、このような態様とする場合にあっては、図4に示すように、シート主部2の四方に薄肉フィルム部3,30を設け、それぞれの薄肉フィルム3,30を折り返してシート主部2に形成された突起20の頂面側に重ねて貼り合わせるようにするのが好ましい。これにより、気泡シート1を単独でコンクリート打設面に敷設した場合であっても、シート主部2とコンクリート打設面との間に形成される空隙を気密にすることができる。
【0033】
このような態様とすれば、シート主部2に穿設した吸水口と排水孔とをポンプを介して接続して、コンクリート打設面との間に形成される空隙を通水路として機能させて、コンクリート打設面に水を追加供給する場合に、気泡シート1が敷設された面のほぼ全てにわたって水を追加供給することが可能になる。
ここで、薄肉フィルム部3に多数の穿孔3aを設けるのは、シート主部2とコンクリート打設面との間に薄肉フィルム部3が存在することが、シート主部2とコンクリート打設面との間を負圧にして、シート主部2をコンクリート打設面に密着させることの妨げにならないようにするためであるが、穿孔3aを設けることによって、コンクリート打設面に薄肉フィルム部3が密着している範囲に、この穿孔3aを通って水が供給されるようにすることが可能になる。
【0034】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
なお、図5は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの一例を示す説明図であり、図5(a)は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの概略を示す平面図、図5(b)は、図5(a)のB−B断面図である。また、図6は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法を示す説明図であり、図6(b)は、図6(a)のY−Y矢視図である。
【0035】
本実施形態では、図5(b)及び図6(b)に示すように、シート主部2よりも幅広のフィルム材3aをシート主部2のバックフィルム22側に重ねて熱融着することによって、シート主部2の端縁2a,2bに延在する薄肉フィルム部3を形成している。
【0036】
本実施形態は、上記の点で第一実施形態と異なるが、それ以外は第一実施形態と同様の構成を備えているので、他の構成についての詳細な説明は省略する。
【0037】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
なお、図7は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの一例を示す説明図であり、図7(a)は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの概略を示す平面図、図7(b)は、図7(a)のD−D断面図である。また、図8は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法を示す説明図であり、図8(b)は、図8(a)のZ2−Z2矢視図である。
【0038】
本実施形態では、図7(b)及び図8(b)に示すように、バックフィルム22の方がキャップフィルム21よりも幅狭となるように、それぞれの材料樹脂をフラットダイ122,121から押し出すことにより、薄肉のフィルム材3aを用いることなく、シート主部2の端縁2a,2bに延在する薄肉フィルム部3を形成している。すなわち、バックフィルム22の端縁2a,2bからはみ出すキャップフィルム21の一部によって、薄肉フィルム部3が形成されるようにしている。
【0039】
本実施形態は、上記の点で第一実施形態と異なるが、それ以外は第一実施形態と同様の構成を備えているので、他の構成についての詳細な説明は省略する。
【0040】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
なお、図9は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの一例を示す説明図であり、図9(a)は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの概略を示す平面図、図9(b)は、図9(a)のC−C断面図である。また、図10は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法を示す説明図であり、図10(b)は、図10(a)のZ−Z矢視図である。
【0041】
本実施形態では、図9(b)及び図10(b)に示すように、バックフィルム22の方がキャップフィルム21よりも幅広となるように、それぞれの材料樹脂をフラットダイ122,121から押し出すことにより、薄肉のフィルム材3aを用いることなく、シート主部2の端縁2a,2bに延在する薄肉フィルム部3を形成している。すなわち、キャップフィルム21の端縁2a,2bからはみ出すバックフィルム22の一部によって、薄肉フィルム部3が形成されるようにしている。
【0042】
本実施形態は、上記の点で第一実施形態と異なるが、それ以外は第一実施形態と同様の構成を備えているので、他の構成についての詳細な説明は省略する。
【0043】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
なお、図11(a)は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの一例を示す平面図であり、図11(b)は、図11(a)において鎖線で囲む部分の要部拡大図である。
【0044】
本実施形態では、図11に示すように、シート主部2の端縁2a,2b側に突起20が形成されていない領域を設けるとともに、突起20が形成された矩形状の領域2cを櫛歯状に配列させている。図11に示す例において、シート主部2の端縁2a,2b側には、突起20が形成された矩形状の領域2cが所定の間隔で櫛歯状に複数並んでいるが、かかる領域2cの長さL1は、50〜300mm程度、幅W1は、30〜50mm程度とするのが好ましく、各領域2cを設ける間隔Lは、100〜500mm程度とするのが好ましい。
【0045】
このような配列となるように突起20を成形するには、特に図示しないが、成形ロール40に設定された成形領域40Aの端縁側に位置する吸引孔41の一部を塞ぐなどすればよい。すなわち、成形ロール40に設定された成形領域40Aの端縁側において、当該矩形状の領域2cに相当する位置にある吸引孔41以外の吸引孔41を塞いで、当該矩形状の領域2cにだけ突起20が形成されるようにすればよい。
【0046】
このような態様で製造された気泡シート1は、コンクリート用養生シートとしての用途に供するのに好適であり、特に、シート主部2に形成された突起20がコンクリート打設面に対向するように敷設して、シート主部2とコンクリート打設面との間を負圧にして、気泡シート1をコンクリート打設面に密着させる場合に、シート主部2の端縁2a,2b側の気密性を高める上で好ましい。
【0047】
本実施形態は、上記の点で第一実施形態と異なるが、それ以外は第一実施形態と同様の構成を備えているので、他の構成についての詳細な説明は省略する。また、本実施形態において薄肉フィルム部3を形成するにあたっては、第一実施形態以外の他の実施形態と同様にして薄肉フィルム部3を形成してもよい。
【0048】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0049】
例えば、前述した実施形態では、キャップ用フィルム21aとバックフィルム22が、押し出し機に取り付けられたフラットダイ121,122から樹脂材料を押し出すことによって供給される例を示したが、これに限定されない。キャップ用フィルム21aとバックフィルム22とは、予め所定の厚みでフィルム状に成形されたものを加熱溶融しつつ、突起20の真空成形や、熱融着が可能な溶融状態で供給するようにしてもよい。
【0050】
また、前述した実施形態では、気泡シート1が備えるシート主部2は、図1(b)などに示すように、キャップフィルム21とバックフィルム22とからなる二層構造としたが、シート主部2は、用途に応じて突起20の頂面側にライナーフィルムを積層した三層構造としてもよい。
【0051】
また、前述した実施形態では、シート主部2の形成と薄肉フィルム部3の形成とが連続してなされるようにしたが、気泡シート1は、予め形成しておいたシート主部2の少なくとも一部に重ねられた薄肉のフィルム材3aを熱融着することによって製造することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、独立した多数の気泡が形成されたシート主部と、このシート主部の少なくとも一方の端縁に延在する薄肉フィルム部とを備える気泡シートを効率よく製造するための方法を提供する。
【符号の説明】
【0053】
1 気泡シート
2 シート主部
20 突起
21a キャップ用フィルム
21 キャップフィルム
22 バックフィルム
3 薄肉フィルム部
3a 薄肉のフィルム材
40 成形ロール
40A 成形領域
40B 非成形領域
41 吸引孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立した多数の気泡を有する気泡シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空状に膨出する多数の突起が形成されたキャップフィルムに、突起内に空気を封入するバックフィルムを積層することによって形成された、独立した多数の気泡を有する気泡シートが、包装用の緩衝材をはじめとする各種の用途に広く利用されている。
【0003】
このような気泡シートは、例えば、多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に、溶融状態にある樹脂フィルムを接触させて中空状に膨出する突起を真空成形してキャップフィルムとした後に、成形された突起の開口側にバックフィルムを積層するなどして製造することができる(特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−216770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の気泡シートを適当な大きさに裁断して緩衝材として用いる場合には、保護対象となる物品を包装する際に嵩張ってしまい、気泡シートの端縁を粘着テープなどで留める際に気泡シートが浮き上がるなどして、その作業が困難になってしまうことがある。このような不都合は、特に、保護対象となる物品が小さいものであるほど顕著である。
また、保護対象となる物品によっては、気泡シートを直に巻き付けると気泡の跡がついてしまうものもある。そして、そのような物品に対しては、別途用意した保護材を間に挟んで気泡シートを巻き付けるなどしなければならず、包装作業に手間を要するという不具合もある。
【0006】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、例えば、気泡シートを適当な大きさに裁断して緩衝材として用いる場合に、できるだけ嵩張らないように物品を包装したり、包装された物品に気泡の跡が付かないようにしたりすることが可能な気泡シートを効率よく製造することができる気泡シートの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る気泡シートの製造方法は、多数の吸引孔が設けられた成形ロールに溶融状態のキャップ用フィルムを連続供給して、中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムを形成するとともに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを溶融状態で連続供給しながら熱融着により前記キャップフィルムに積層することによって長尺状のシート主部を形成し、薄肉のフィルム材を前記シート主部の少なくとも一部に重ねて連続供給しながら熱融着することにより、前記シート主部の端縁に延在する薄肉フィルム部を形成する方法としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、独立した多数の気泡が形成されたシート主部と、このシート主部の少なくとも一方の端縁に延在する薄肉フィルム部とを備える気泡シートを効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る気泡シートの製造方法の第一実施形態により製造される気泡シートの一例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る気泡シートの製造方法の第一実施形態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る気泡シートの製造方法の第一実施形態により製造される気泡シートの他の例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る気泡シートの製造方法の第一実施形態の変形例により製造される気泡シートの他の例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る気泡シートの製造方法の第二実施形態により製造される気泡シートの一例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る気泡シートの製造方法の第二実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明に係る気泡シートの製造方法の第三実施形態により製造される気泡シートの一例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る気泡シートの製造方法の第三実施形態を示す説明図である。
【図9】本発明に係る気泡シートの製造方法の第四実施形態により製造される気泡シートの一例を示す説明図である。
【図10】本発明に係る気泡シートの製造方法の第四実施形態を示す説明図である。
【図11】本発明に係る気泡シートの製造方法の第五実施形態により製造される気泡シートの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態について説明する。
なお、図1は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造された気泡シートの一例を示す説明図であり、図1(a)は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造された気泡シートの概略を示す平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。
【0012】
図1に示す気泡シート1は、長尺状のシート主部2と、このシート主部2の長手方向に沿った端縁2a,2bに延在して設けられた薄肉フィルム部3とを備えている。
シート主部2は、図1(b)に示すように、中空状に膨出する多数の突起20が成形されたキャップフィルム21に、突起20内に空気を封入するバックフィルム22を積層することによって形成することができる。
【0013】
また、薄肉フィルム部3は、薄肉のフィルム材3aをシート主部2に所定の幅Wmで重ねて熱融着することによって設けられている。このときの幅Wmは、十分な融着代が確保できるように適宜設定されるが、好ましくは100〜200mmである。
【0014】
このような気泡シート1は、例えば、図2に示すようにして製造することができる。
なお、図2は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法を示す説明図であり、図2(b)は、図2(a)のX−X矢視図である。
【0015】
図2に示すように、気泡シート1を製造するには、まず、外周面に多数の吸引孔41が設けられた成形ロール40に、溶融状態にあるキャップ用フィルム21aを連続供給する。これによって、中空状に膨出する多数の突起20を真空成形し、キャップフィルム21を形成する。
なお、吸引孔41のそれぞれは、図示しない真空ポンプにつながれており、吸引孔41内を真空吸引することによって真空成形がなされるようになっている。
【0016】
このようにして形成されたキャップフィルム21には、溶融状態で連続供給されてきたバックフィルム22が、押圧ロール50で圧着されて、突起20の開口側を封止するように熱融着によって積層される。
これにより、突起20内に空気が封入され、独立した多数の気泡を有する長尺状のシート主部2が形成される。
【0017】
このようにしてシート主部2を形成するにあたり、図2に示す例では、キャップ用フィルム21aは、図示しない押し出し機に取り付けられたフラットダイ121から、材料樹脂を押し出すことによって連続供給されるようになっている。同様に、バックフィルム22は、図示しない押し出し機に取り付けられたフラットダイ122から、材料樹脂を押し出すことによって連続して供給されるようになっている。
各フラットダイ121,122から押し出されてくるキャップ用フィルム21a及びバックフィルム22の厚みは、それぞれの材料樹脂の吐出量やラインスピードなどを適宜調整することで所定の厚みとすることができる。
【0018】
本実施形態において、成形ロール40は、形成しようとするキャップフィルム21の幅に応じて吸引孔41が配設された成形領域40Aと、吸引孔41が設けられていない非成形領域40Bとを有しており、キャップ用フィルム21aとバックフィルム22とは、ほぼ同じ幅で成形ロール40の成形領域40Aに連続供給される。
【0019】
そして、成形領域40Aに密着した状態のキャップフィルム21に、上記のようにしてバックフィルム22を積層することでシート主部2を形成しつつ、シート主部2の端縁2a,2bと所定の幅Wmで重なるように、成形ロール40の非成形領域40Bに薄肉のフィルム材3aを連続供給しながら、押圧ロール50で圧着して熱融着することによって、シート主部2の端縁2a,2bに延在する薄肉フィルム部3を形成する。
【0020】
このとき、薄肉のフィルム材3aは、図1(b)に示すように、バックフィルム22の背面側に重なるように熱融着する他、特に図示しないが、キャップフィルム21とバックフィルム22との間に挟んで熱融着するようにしてもよい。
また、薄肉のフィルム材3aは、シート主部2の端縁2a側と端縁2b側のうち一方に供給するようにしてもよい。
【0021】
ここで、キャップフィルム21、バックフィルム22、及び薄肉フィルム部3の材料樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂を単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンホモポリマー、又はプロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが例示できる。プロピレンと共重合される他のオレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1などのα−オレフィンが挙げられ、これらの他のオレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
また、ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが例示できる。
【0022】
その後、剥離ロール60によって成形ロール40から剥離された気泡シート1は、図示しない巻き取りロールに巻き取られていく。巻き取られた気泡シート1は、そのままの形態で市場に供給してもよく、長手方向に沿って所定の長さに切断してから市場に供給するようにしてもよい。
所定の長さに切断したものを市場に供給するにあたっては、図3に示すように、切断された端縁にも薄肉のフィルム材を接合するなどして、薄肉フィルム部30を延在して設けるようにしてもよい。
【0023】
以上のようにして製造された気泡シート1は、例えば、気泡シート1を適当な大きさに裁断して緩衝材として用いる場合に、薄肉フィルム部3が最外面に位置するように保護対象となる物品を包装するようにすれば、当該物品をシート主部2で覆った後に、さらにこれらを覆うように薄肉フィルム部3を巻き付けることが可能になる。これにより、物品を包装する気泡シート1が嵩張ってしまうのを抑制するとともに、粘着テープなどで気泡シート1を留める作業が容易になる。さらに、保護対象となる物品を包装する際に、薄肉フィルム部3を物品に巻き付けてからシート主部2で覆うように包装すれば、保護対象となる物品によっては当該物品に気泡の跡がついてしまうという不具合を抑止することもできる。
【0024】
薄肉フィルム部3の平均肉厚は、例えば、保護対象となる物品を包装する際の嵩張りが少なく、かつ、粘着テープなどで気泡シート1を留める作業が容易であり、また、保護対象となる物品への巻き付け易さなども適宜考慮して設定することができる。通常は、シート主部2の厚み(ただし、突起20が形成されていない部分の平均肉厚)よりも薄くなっていればよいが、好ましくは5〜100μmである。
【0025】
また、シート主部2の端縁2a,2bに延在して設けられる薄肉フィルム部3の幅Wは、例えば、シート主部2の幅W0が300〜6000mm程度である場合には、20〜300mmであるのが好ましい。図1に示す気泡シート1において、薄肉フィルム部3の幅Wは、端縁2a側と端縁2b側とで等しくしているが、必要に応じて、端縁2a側と端縁2b側とで薄肉フィルム部3の幅Wを異ならせてもよく、端縁2a側と端縁2b側のいずれか一方の薄肉フィルム部3を省略してもよい。
【0026】
また、気泡シート1は、緩衝材として使用する以外にも種々の用途に供することができる。
例えば、建築工事や土木工事などの現場でコンクリートの打設作業を行う際に、打設したコンクリートが十分な水和反応がなされないうちに急速に乾いてしまうと、その耐久性が低下するなどの不具合が生じてしまう。このため、通常は、コンクリート打設面に散水するとともに、養生シートで覆ってコンクリートが急速に乾いてしまうのを防止しているが、気泡シート1は、このような用途に供されるコンクリート用養生シートとしても好適に利用することもできる。
【0027】
このようなコンクリート用養生シートとして気泡シート1をコンクリート打設面に敷設するに際し、濡れたコンクリート打設面に薄肉フィルム部3を添わせると、水の表面張力によって薄肉フィルム部3がコンクリート打設面の表面形状に追随して密着するので、これを利用して、天井や壁面に打設されたコンクリートに対しても、そのコンクリート打設面に容易に気泡シート1を敷設することができる。
【0028】
また、シート主部2に形成された突起20がコンクリート打設面に対向するように気泡シート1を敷設すると、シート主部2とコンクリート打設面との間に空隙が形成される。このとき、例えば、図3に示すように、シート主部2の四方に薄肉フィルム部3,30を設けておいて、シート主部2の四方に設けられた薄肉フィルム部3,30をコンクリート打設面に密着させて当該空隙が気密となるようにするとともに、気密にされた当該空隙から空気を抜いてシート主部2とコンクリート打設面との間を負圧にすれば、シート主部2をコンクリート打設面に密着させることができ、コンクリート打設面に敷設された気泡シート1が脱落してしまうのをより確実に防止することが可能となる。
【0029】
さらに、特に図示しないが、シート主部2に吸水口と排水孔とを穿設して、ポンプを介してこれらを接続することで、吸水孔から供給された水が、排水孔6から排水されて再び吸水口5から供給されるようにして、シート主部2とコンクリート打設面との間に形成された空隙内を循環するようにすることもできる。このようにすることで、コンクリート打設面が常に濡れた状態とすることができ、打設されたコンクリートの水和反応を十分なものとして、コンクリートの耐久性を向上させることが可能になる。
【0030】
このようなコンクリート用養生シートとしての使用態様に供するにあたり、気泡シート1は、前述したようにして長尺状のシート主部2を形成しつつ、シート主部2の端縁に延在する薄肉フィルム部3を形成した後に、薄肉フィルム部3に多数の穿孔3aを設け、次いで、この薄肉フィルム部3を折り返してシート主部20に形成された突起20の頂面側に重ねて貼り合わせることによって製造されたものとして、本実施形態を変形実施することもできる(図4参照)。
ここで、折り返された薄肉フィルム部3をシート主部2に形成された突起20の頂面側に貼り合わせるにあたっては、特に図示しないが、接着剤や両面テープなどの適宜手段により、薄肉フィルム部3の周縁を当該凹凸面に貼り合わせるようにすればよい。
なお、図4は、上記変形例を示す説明図であり、図4(a)は、平面図、図4(b)は、図4(a)のE−E断面図である。
【0031】
このような態様とした場合であっても、薄肉フィルム部3が、濡れたコンクリート打設面に密着するのを利用して、天井や壁面に打設されたコンクリートに対しても、そのコンクリート打設面に気泡シート1を容易に敷設することができる。
【0032】
また、このような態様とする場合にあっては、図4に示すように、シート主部2の四方に薄肉フィルム部3,30を設け、それぞれの薄肉フィルム3,30を折り返してシート主部2に形成された突起20の頂面側に重ねて貼り合わせるようにするのが好ましい。これにより、気泡シート1を単独でコンクリート打設面に敷設した場合であっても、シート主部2とコンクリート打設面との間に形成される空隙を気密にすることができる。
【0033】
このような態様とすれば、シート主部2に穿設した吸水口と排水孔とをポンプを介して接続して、コンクリート打設面との間に形成される空隙を通水路として機能させて、コンクリート打設面に水を追加供給する場合に、気泡シート1が敷設された面のほぼ全てにわたって水を追加供給することが可能になる。
ここで、薄肉フィルム部3に多数の穿孔3aを設けるのは、シート主部2とコンクリート打設面との間に薄肉フィルム部3が存在することが、シート主部2とコンクリート打設面との間を負圧にして、シート主部2をコンクリート打設面に密着させることの妨げにならないようにするためであるが、穿孔3aを設けることによって、コンクリート打設面に薄肉フィルム部3が密着している範囲に、この穿孔3aを通って水が供給されるようにすることが可能になる。
【0034】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
なお、図5は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの一例を示す説明図であり、図5(a)は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの概略を示す平面図、図5(b)は、図5(a)のB−B断面図である。また、図6は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法を示す説明図であり、図6(b)は、図6(a)のY−Y矢視図である。
【0035】
本実施形態では、図5(b)及び図6(b)に示すように、シート主部2よりも幅広のフィルム材3aをシート主部2のバックフィルム22側に重ねて熱融着することによって、シート主部2の端縁2a,2bに延在する薄肉フィルム部3を形成している。
【0036】
本実施形態は、上記の点で第一実施形態と異なるが、それ以外は第一実施形態と同様の構成を備えているので、他の構成についての詳細な説明は省略する。
【0037】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
なお、図7は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの一例を示す説明図であり、図7(a)は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの概略を示す平面図、図7(b)は、図7(a)のD−D断面図である。また、図8は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法を示す説明図であり、図8(b)は、図8(a)のZ2−Z2矢視図である。
【0038】
本実施形態では、図7(b)及び図8(b)に示すように、バックフィルム22の方がキャップフィルム21よりも幅狭となるように、それぞれの材料樹脂をフラットダイ122,121から押し出すことにより、薄肉のフィルム材3aを用いることなく、シート主部2の端縁2a,2bに延在する薄肉フィルム部3を形成している。すなわち、バックフィルム22の端縁2a,2bからはみ出すキャップフィルム21の一部によって、薄肉フィルム部3が形成されるようにしている。
【0039】
本実施形態は、上記の点で第一実施形態と異なるが、それ以外は第一実施形態と同様の構成を備えているので、他の構成についての詳細な説明は省略する。
【0040】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
なお、図9は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの一例を示す説明図であり、図9(a)は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの概略を示す平面図、図9(b)は、図9(a)のC−C断面図である。また、図10は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法を示す説明図であり、図10(b)は、図10(a)のZ−Z矢視図である。
【0041】
本実施形態では、図9(b)及び図10(b)に示すように、バックフィルム22の方がキャップフィルム21よりも幅広となるように、それぞれの材料樹脂をフラットダイ122,121から押し出すことにより、薄肉のフィルム材3aを用いることなく、シート主部2の端縁2a,2bに延在する薄肉フィルム部3を形成している。すなわち、キャップフィルム21の端縁2a,2bからはみ出すバックフィルム22の一部によって、薄肉フィルム部3が形成されるようにしている。
【0042】
本実施形態は、上記の点で第一実施形態と異なるが、それ以外は第一実施形態と同様の構成を備えているので、他の構成についての詳細な説明は省略する。
【0043】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
なお、図11(a)は、本実施形態に係る気泡シートの製造方法により製造される気泡シートの一例を示す平面図であり、図11(b)は、図11(a)において鎖線で囲む部分の要部拡大図である。
【0044】
本実施形態では、図11に示すように、シート主部2の端縁2a,2b側に突起20が形成されていない領域を設けるとともに、突起20が形成された矩形状の領域2cを櫛歯状に配列させている。図11に示す例において、シート主部2の端縁2a,2b側には、突起20が形成された矩形状の領域2cが所定の間隔で櫛歯状に複数並んでいるが、かかる領域2cの長さL1は、50〜300mm程度、幅W1は、30〜50mm程度とするのが好ましく、各領域2cを設ける間隔Lは、100〜500mm程度とするのが好ましい。
【0045】
このような配列となるように突起20を成形するには、特に図示しないが、成形ロール40に設定された成形領域40Aの端縁側に位置する吸引孔41の一部を塞ぐなどすればよい。すなわち、成形ロール40に設定された成形領域40Aの端縁側において、当該矩形状の領域2cに相当する位置にある吸引孔41以外の吸引孔41を塞いで、当該矩形状の領域2cにだけ突起20が形成されるようにすればよい。
【0046】
このような態様で製造された気泡シート1は、コンクリート用養生シートとしての用途に供するのに好適であり、特に、シート主部2に形成された突起20がコンクリート打設面に対向するように敷設して、シート主部2とコンクリート打設面との間を負圧にして、気泡シート1をコンクリート打設面に密着させる場合に、シート主部2の端縁2a,2b側の気密性を高める上で好ましい。
【0047】
本実施形態は、上記の点で第一実施形態と異なるが、それ以外は第一実施形態と同様の構成を備えているので、他の構成についての詳細な説明は省略する。また、本実施形態において薄肉フィルム部3を形成するにあたっては、第一実施形態以外の他の実施形態と同様にして薄肉フィルム部3を形成してもよい。
【0048】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0049】
例えば、前述した実施形態では、キャップ用フィルム21aとバックフィルム22が、押し出し機に取り付けられたフラットダイ121,122から樹脂材料を押し出すことによって供給される例を示したが、これに限定されない。キャップ用フィルム21aとバックフィルム22とは、予め所定の厚みでフィルム状に成形されたものを加熱溶融しつつ、突起20の真空成形や、熱融着が可能な溶融状態で供給するようにしてもよい。
【0050】
また、前述した実施形態では、気泡シート1が備えるシート主部2は、図1(b)などに示すように、キャップフィルム21とバックフィルム22とからなる二層構造としたが、シート主部2は、用途に応じて突起20の頂面側にライナーフィルムを積層した三層構造としてもよい。
【0051】
また、前述した実施形態では、シート主部2の形成と薄肉フィルム部3の形成とが連続してなされるようにしたが、気泡シート1は、予め形成しておいたシート主部2の少なくとも一部に重ねられた薄肉のフィルム材3aを熱融着することによって製造することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、独立した多数の気泡が形成されたシート主部と、このシート主部の少なくとも一方の端縁に延在する薄肉フィルム部とを備える気泡シートを効率よく製造するための方法を提供する。
【符号の説明】
【0053】
1 気泡シート
2 シート主部
20 突起
21a キャップ用フィルム
21 キャップフィルム
22 バックフィルム
3 薄肉フィルム部
3a 薄肉のフィルム材
40 成形ロール
40A 成形領域
40B 非成形領域
41 吸引孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の吸引孔が設けられた成形ロールに溶融状態のキャップ用フィルムを連続供給して、中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムを形成するとともに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを溶融状態で連続供給しながら熱融着により前記キャップフィルムに積層することによって長尺状のシート主部を形成し、
薄肉のフィルム材を前記シート主部の少なくとも一部に重ねて連続供給しながら熱融着することにより、前記シート主部の端縁に延在する薄肉フィルム部を形成することを特徴とする気泡シートの製造方法。
【請求項2】
前記成形ロールが、前記キャップフィルムの幅に応じて前記吸引孔が配設された成形領域と、前記吸引孔が設けられていない非成形領域とを有し、
前記成形領域に密着した状態の前記キャップフィルムに前記バックフィルムを積層するとともに、
前記薄肉のフィルム材を少なくとも前記非成形領域に連続供給することにより、前記薄肉フィルム部を形成する請求項1に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項3】
前記薄肉のフィルム材を前記シート主部の長手方向に沿った少なくとも一方の端縁に所定の幅で重ねて連続供給しながら熱融着することによって、前記薄肉フィルム部を形成する請求項1又は2に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項4】
前記薄肉のフィルム材を前記シート主部よりも幅広とし、前記薄肉のフィルム材を前記バックフィルム側に重ねて連続供給しながら熱融着することによって、前記薄肉フィルム部を形成する請求項1又は2に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項5】
多数の吸引孔が設けられた成形ロールに溶融状態のキャップ用フィルムを連続供給して、中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムを形成するとともに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを溶融状態で連続供給しながら熱融着により前記キャップフィルムに積層することによって長尺状のシート主部を形成するにあたり、
前記バックフィルムを前記キャップフィルムよりも幅広とし、前記キャップフィルムの端縁からはみ出す前記バックフィルムの一部によって、前記シート主部の端縁に延在する薄肉フィルム部を形成することを特徴とする気泡シートの製造方法。
【請求項6】
前記成形ロールが、前記キャップフィルムの幅に応じて前記吸引孔が配設された成形領域と、前記吸引孔が設けられていない非成形領域とを有する請求項5に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項7】
多数の吸引孔が設けられた成形ロールに溶融状態のキャップ用フィルムを連続供給して、中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムを形成するとともに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを溶融状態で連続供給しながら熱融着により前記キャップフィルムに積層することによって長尺状のシート主部を形成するにあたり、
前記バックフィルムを前記キャップフィルムよりも幅狭とし、前記バックフィルムの端縁からはみ出す前記キャップフィルムの一部によって、前記シート主部の端縁に延在する薄肉フィルム部を形成することを特徴とする気泡シートの製造方法。
【請求項8】
前記成形ロールが、前記バックフィルムの幅に応じて前記吸引孔が配設された成形領域と、前記吸引孔が設けられていない非成形領域とを有する請求項7に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項9】
前記薄肉フィルム部に多数の穿孔を設け、次いで、前記薄肉フィルム部を折り返して前記シート主部に形成された前記突起の頂面側に重ねて貼り合わせる請求項1〜8のいずれか一項に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項10】
前記シート主部の端縁側において、前記突起が形成されていない領域を設けるとともに、前記突起が形成された矩形状の領域を櫛歯状に配列した請求項1〜9のいずれか一項に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項1】
多数の吸引孔が設けられた成形ロールに溶融状態のキャップ用フィルムを連続供給して、中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムを形成するとともに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを溶融状態で連続供給しながら熱融着により前記キャップフィルムに積層することによって長尺状のシート主部を形成し、
薄肉のフィルム材を前記シート主部の少なくとも一部に重ねて連続供給しながら熱融着することにより、前記シート主部の端縁に延在する薄肉フィルム部を形成することを特徴とする気泡シートの製造方法。
【請求項2】
前記成形ロールが、前記キャップフィルムの幅に応じて前記吸引孔が配設された成形領域と、前記吸引孔が設けられていない非成形領域とを有し、
前記成形領域に密着した状態の前記キャップフィルムに前記バックフィルムを積層するとともに、
前記薄肉のフィルム材を少なくとも前記非成形領域に連続供給することにより、前記薄肉フィルム部を形成する請求項1に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項3】
前記薄肉のフィルム材を前記シート主部の長手方向に沿った少なくとも一方の端縁に所定の幅で重ねて連続供給しながら熱融着することによって、前記薄肉フィルム部を形成する請求項1又は2に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項4】
前記薄肉のフィルム材を前記シート主部よりも幅広とし、前記薄肉のフィルム材を前記バックフィルム側に重ねて連続供給しながら熱融着することによって、前記薄肉フィルム部を形成する請求項1又は2に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項5】
多数の吸引孔が設けられた成形ロールに溶融状態のキャップ用フィルムを連続供給して、中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムを形成するとともに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを溶融状態で連続供給しながら熱融着により前記キャップフィルムに積層することによって長尺状のシート主部を形成するにあたり、
前記バックフィルムを前記キャップフィルムよりも幅広とし、前記キャップフィルムの端縁からはみ出す前記バックフィルムの一部によって、前記シート主部の端縁に延在する薄肉フィルム部を形成することを特徴とする気泡シートの製造方法。
【請求項6】
前記成形ロールが、前記キャップフィルムの幅に応じて前記吸引孔が配設された成形領域と、前記吸引孔が設けられていない非成形領域とを有する請求項5に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項7】
多数の吸引孔が設けられた成形ロールに溶融状態のキャップ用フィルムを連続供給して、中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムを形成するとともに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを溶融状態で連続供給しながら熱融着により前記キャップフィルムに積層することによって長尺状のシート主部を形成するにあたり、
前記バックフィルムを前記キャップフィルムよりも幅狭とし、前記バックフィルムの端縁からはみ出す前記キャップフィルムの一部によって、前記シート主部の端縁に延在する薄肉フィルム部を形成することを特徴とする気泡シートの製造方法。
【請求項8】
前記成形ロールが、前記バックフィルムの幅に応じて前記吸引孔が配設された成形領域と、前記吸引孔が設けられていない非成形領域とを有する請求項7に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項9】
前記薄肉フィルム部に多数の穿孔を設け、次いで、前記薄肉フィルム部を折り返して前記シート主部に形成された前記突起の頂面側に重ねて貼り合わせる請求項1〜8のいずれか一項に記載の気泡シートの製造方法。
【請求項10】
前記シート主部の端縁側において、前記突起が形成されていない領域を設けるとともに、前記突起が形成された矩形状の領域を櫛歯状に配列した請求項1〜9のいずれか一項に記載の気泡シートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−201195(P2011−201195A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71735(P2010−71735)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【特許番号】特許第4621299号(P4621299)
【特許公報発行日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【出願人】(303057365)株式会社間組 (138)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【特許番号】特許第4621299号(P4621299)
【特許公報発行日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【出願人】(303057365)株式会社間組 (138)
【Fターム(参考)】
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