説明

気流制御方法および保管倉庫設備

【課題】移動体装置のレール走行に起因する発塵物を室内で拡散させることなく、レール近傍に向けて局所的に清浄空気を供給するとともにレール近傍の塵埃を含む空気を局所的に且つ速やかに排気すること。
【解決手段】レール近傍の少なくとも移動体装置60の車輪62が通過する位置に向けて、清浄空気吹出装置40から清浄空気を吹き出し、移動体装置60の走行により発生した塵埃を含む空気を、清浄空気吹出装置40から吹き出された清浄空気とともに、レール30a、30bを挟んで清浄空気吹出装置40と向かい合う排気装置50により吸い込んで排気すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気流制御方法および保管倉庫設備に係り、特に、液晶基板などの保管物を保管する保管倉庫でのレール走行に起因する発塵物が保管倉庫内で拡散することを防止する気流制御方法および保管倉庫設備に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶基板は、一般に、カセット型のケース(以下「カセット」という)内に半露出状態で収容される。このような液晶基板の保管倉庫室には、カセット内に収容された状態の液晶基板を保管する複数個の保管棚と、保管倉庫室内を移動してカセットを搬送するスタッカクレーンと、スタッカクレーンの稼働領域となるレールと、洗浄空気を供給する洗浄空気供給装置が設けられている。スタッカクレーンは、カセットを保持しながら上下させるとともに、車輪でレール上を走行する。
【0003】
特許文献1には、床面付近での清浄度の低下を防止するため、ファンフィルタユニットから清浄空気をストッカー(保管棚)内に横向きに吹き出してストッカーを通過させて床面近傍の吸い込み口より吸い込むことが記載されている。
【0004】
特許文献2には、スタッカクレーンの移動の際にスタッカクレーンの近傍(横側や後ろ側)に発生する乱流が上方に拡散しないように、スタッカクレーンの近傍(横側や後ろ側)において強制的に上方から下方への気流を形成することが記載されている。
【特許文献1】特開2006―256794号公報
【特許文献2】特開2004―299813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レール上を走行するスタッカクレーンは、発塵を抑えるため駆動部などはできるだけ密閉構造としているが、剥き出しとなっている箇所からどうしても発塵し、レール上を走行しながら保管倉庫室内に塵埃を撒き散らしてしまう。特に、車輪とレールとが摺動して磨耗し、これに因り発生した塵埃が巻き上がってしまう。
【0006】
特許文献1、2に記載の方法は、部屋全体の気流による制御なので、スタッカクレーンから発生した塵埃は一旦保管倉庫内に放出されて拡散することには変りがない。つまり、部屋全体に供給する清浄空気を供給過多にして、発生した塵埃を部屋全体の気流から抑え込もうとしているので、部屋内に供給する清浄空気の風量が多くなってしまう。
【0007】
本発明は、保管倉庫室内の発塵に伴う上記の問題点を鑑み、移動体装置のレール走行に起因する発塵物を室内で拡散させることなく、レール近傍に向けて局所的に清浄空気を供給するとともにレール近傍の塵埃を含む空気を局所的に且つ速やかに排気することができる気流制御方法および保管倉庫設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、保管物を搬送する移動体装置が走行するレールと、清浄空気を吹き出す清浄空気吹出装置と、塵埃を含む空気を吸い込んで排気する排気装置とを備えた保管倉庫室における気流制御方法であって、前記レール近傍の少なくとも前記移動体装置の車輪が通過する位置に向けて、前記清浄空気吹出装置から清浄空気を吹き出し、前記移動体装置の走行により発生した塵埃を含む空気を、前記清浄空気吹出装置から吹き出された清浄空気とともに、前記レールを挟んで前記清浄空気吹出装置と向かい合う前記排気装置により吸い込んで排気することを特徴とする気流制御方法を提供する。
【0009】
ここで、清浄空気吹出装置と排気装置とをレールを挟んで向かい合い配置する態様には各種ある。第1に、清浄空気吹出装置の送風面と排気装置の吸気面とをレールを挟んで真っ直ぐに対向(正対)させて配置する態様、第2に、清浄空気吹出装置の送風面と排気装置の吸気面とをレールを挟んで斜め向かいに配置する態様がある。
【0010】
この構成によれば、レール近傍の少なくとも移動体装置の車輪が通過する位置に向けて清浄空気が供給されるとともに、清浄空気を吹き出す清浄空気吹出装置とレールを挟んで向かい合う排気装置とによって清浄空気吹出装置からレール上を横断して最短距離で排気装置に至るいわゆるプッシュプル気流が形成されるので、レール近傍の塵埃を含む空気が局所的に且つ速やかに排気されることになる。したがって、移動体装置のレール走行に起因して発生した塵埃を保管倉庫室内で拡散させることなく、局所的に且つ速やかに排気できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記レールを挟んで互いに向かい合う前記清浄空気吹出装置と前記排気装置とによって前記レール上を横断する第1の気流を形成するとともに、前記レールに沿って互いに隣接している前記清浄空気吹出装置と前記排気装置とによって第2の気流を形成することを特徴とする気流制御方法を提供する。
【0012】
この構成によれば、レールを挟んで向かい合う清浄空気吹出装置と排気装置との間の第1の気流が移動体装置によって遮断される瞬間でも、レールに沿って互いに隣接している清浄空気吹出装置と排気装置とによって形成される第2の気流により、保管倉庫室内への塵埃の拡散を防止できる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記移動体装置の位置を検出し、前記位置検出部によって検出された位置に基づいて、前記移動体装置の周囲に位置する前記清浄空気吹出装置と前記排気装置とを連動させることを特徴とする気流制御方法を提供する。
【0014】
この構成によれば、移動体装置が発塵しているときのみ必要な清浄空気吹出装置と排気装置とを稼働させることが可能になるので、安価なランニングコストで塵埃の拡散を防止できる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、保管物を搬送する移動体装置が走行するレールと、前記レールに沿って複数個配置され、前記レール近傍の少なくとも前記移動体装置の車輪が通過する位置に向けて清浄空気を吹き出す清浄空気吹出装置と、前記レールを挟んで前記清浄空気吹出装置と向かい合うように前記レールに沿って複数個配置され、前記移動体装置の走行により発生した塵埃を含む空気を、前記清浄空気吹出装置から吹き出された清浄空気とともに吸い込んで排気する排気装置と、を備えたことを特徴とする保管倉庫設備を提供する。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記レールに沿って前記清浄空気吹出装置と前記排気装置とが互いに隣接して配置されていることを特徴とする保管倉庫設備を提供する。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、前記移動体装置の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部によって検出された位置に基づいて、前記移動体装置の周囲に位置する前記清浄空気吹出装置と前記排気装置とを連動させる制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする保管倉庫設備を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、移動体装置のレール走行に起因する発塵物を室内で拡散させることなく、レール近傍に向けて局所的に清浄空気を供給するとともにレール近傍の塵埃を含む空気を局所的に且つ速やかに排気することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面に従って、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明を適用した液晶基板保管倉庫室(以下単に「保管倉庫室」という)の一例の全体を示す断面図である。
【0021】
図1において、保管倉庫室20は、清浄状態に維持すべき液晶基板を保管するための清浄室(クリーンルーム)である。この保管倉庫室20は、主として、カセット型の容器12(以下「カセット」という)に露出されて収納されている液晶基板を保管する保管棚22と、保管倉庫室20の全体に洗浄空気90を供給するFFU24(ファンフィルタユニット)と、FFU24へ循環空気が戻るためのレタンスペース26と、カセット12を搬送するスタッカクレーン60が走行するレール30と、レール30近傍へ局所的に清浄空気を吹き出す清浄空気吹出装置40と、レール30近傍の塵埃を含む空気を局所的に吸い込んで塵埃を除去した後に排気する排気装置50を含んで構成されている。
【0022】
スタッカクレーン60は、車輪62を有し、スタッカクレーン60の移動領域としてのレール30に沿って走行する走行台車64と、保管物としての液晶基板が露出されて収容されているカセット12を保持しつつその位置を上下方向等において移動させるフォーク66を備える。
【0023】
保管倉庫室20全体の気流性状を説明すると、保管倉庫室20内には、FFU24から吹き出された清浄空気90が戻り空気91としてレタンスペース26に吸い込まれる気流が形成される。このような気流の中を、スタッカクレーン60は、フォーク66によってカセット12を保持しながら、走行台車64によって保管棚22近傍の位置や図示を省略した製造装置近傍の位置などの目的位置に移動する。その移動の際、スタッカクレーン60とそれに接触する物体との摺動により発塵する。近年は、スタッカクレーン60自体の密閉度を向上させたことにより、移動体であるスタッカクレーン60内部からの発塵は非常に低減されつつあるが、剥き出しとなっている摺動箇所は対策しにくい。特に、車輪62とレール30からの発塵を無くすことは困難であり、また、スタッカクレーン60は高速(例えば2〜3m/s以上)で移動するので、車輪62およびレール30から発生した塵埃がスタッカクレーン60の移動とともに巻き上がり保管倉庫室20内へ拡散することが懸念される。そこで、レール30近傍の少なくともスタッカクレーン60の車輪62が通過する位置に向けて清浄空気を吹き出す清浄空気吹出装置40と、レール30を挟んで清浄空気吹出装置40と向かい合うように配置され、スタッカクレーン60の走行により発生した塵埃を含む空気を清浄空気吹出装置40から吹き出された清浄空気とともに吸い込んで、塵埃を除去した後に排気する排気装置50とを、保管倉庫室20の床上に設けた。清浄空気吹出装置40の給気(清浄空気の吹き出し)と排気装置50の吸気(塵埃を含む空気の吸い込み)とによって、清浄空気吹出装置40からレール30上を横断して排気装置50へ最短距離で向ういわゆるプッシュプル気流が形成されるので、スタッカクレーン60の走行に因り発生した塵埃の巻き上がりが防止され、保管倉庫室20内の清浄度が維持される。
【0024】
図2は、図1の保管倉庫室20aの要部拡大図であり、主として、レール30(30a、30b)の断面と、スタッカクレーン60の走行台車64、清浄空気吹出装置40および排気装置50を示す。
【0025】
図2において、一対のレール30(30a、30b)を挟んで、清浄空気吹出装置40と排気装置50とが向かい合うように配置されている。清浄空気吹出装置40は、主として、送風機44と、高性能エアーフィルタ43(HEPAフィルタ:High Efficiency Particulate Air Filter)を含んで構成されている。本例の排気装置50は、清浄空気吹出装置40と同じ構成からなる。すなわち、本例の排気装置50は、清浄空気吹出装置40と同じ送風機44と、清浄空気吹出装置40と同じ高性能エアーフィルタ(HEPAフィルタ)43とを含んで構成されている。レール30を挟んで互いに向かい合う清浄空気吹出装置40と排気装置50とによって、清浄空気吹出装置40からレール30上を横断して排気装置50へ至るいわゆるプッシュプル気流が形成される。
【0026】
清浄空気吹出装置40の清浄空気77を吹き出す面(送風面)と排気装置50の空気78を吸い込む面(吸気面)とを両端面とするプッシュプル気流の形成空間を、スタッカクレーン60の走行台車64が通過する。言い換えると、清浄空気吹出装置40は、清浄空気吹出装置40と排気装置50との間をスタッカクレーン60が通過するとき、走行台車64が通過する空間(少なくとも車輪62が通過する空間である)に向けて清浄空気77を横向きに吹き出す一方で、排気装置50は、走行台車64が通過する空間を流れて来た塵埃を含む気流を吸い込んで塵埃を除いた後に排気する。時系列的には、清浄空気吹出装置40と排気装置50との間を走行台車64が通過している期間だけでなく、特に、清浄空気吹出装置40と排気装置50との間を走行台車64が通過した後の一定時間内に、清浄空気吹出装置40と排気装置50とによる給排気を続ける。
【0027】
このようにして、走行台車64下部周辺の汚染された空気を排気装置50によって吸い込み、高性能フィルタ53に通して、保管倉庫室20またはレタンスペース26に排気する。したがって、スタッカクレーン60が移動してレール30と車輪62の磨耗に因り発塵しても、レール走行に因る塵埃が除去されて保管倉庫室20内での拡散が防止される。また、高性能フィルタ53を通した後に排気することで、保管倉庫室20内の空気の清浄度の向上が期待できる。
【0028】
特に、清浄空気吹出装置40からの吹き出し気流(プッシュ気流)と排気装置50の吸い込み気流(プル気流)とが合成したプッシュプル気流に搬送されて、プッシュプル気流の形成空間内の塵埃を含む汚染された空気が速やかに排気装置50に達するので、排気装置50のみの排気を行う場合よりも効率良く、走行台車64下部周辺の空気を局所的に排気できる。
【0029】
図3は、他の実施例の保管倉庫20bの要部拡大図である。なお、図3において、図2に示した保管倉庫室20aの構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、既に説明した内容については、その説明を省略する。
【0030】
本例の排気装置500は、排気チャンバ55と、送風機54と、高性能フィルタ43と、これらの排気チャンバ55、送風機54および高性能フィルタ43を繋ぐ排気流路45によって、構成されている。
【0031】
プッシュプル気流により汚染空気の排気効率を向上させるには、一般に、清浄空気吹出装置40からの時間当たりの給気風量(清浄空気吹出装置40の送風機44の時間当たりの送風量である)よりも、排気装置50の時間当たりの排気風量(排気装置50の送風機54の時間当たりの送風量である)を、大きくすることが、望ましい。給気風量、排気風量、吸気口と排気口との距離などにもよるが、一般に、給気風量に対して排気風量を3倍以上とすることが、望ましい。
【0032】
図3に示す構造によれば、排気風量を給気風量よりも大きくすることは容易であり、また、排気口の大きさや排気する場所も自由に設定できる。
【0033】
なお、排気装置(図2の50、図3の500)により塵埃が除去されて清浄化された空気を、図1のレタンスペース26に排気する代わりに、保管倉庫室20の外部に排気してもよい。
【0034】
図4(a)〜(c)および図5に、清浄空気吹出装置40および排気装置50の設置レイアウト例を示す。
【0035】
図4(a)は第1の設置レイアウト例を示す。この設置レイアウトでは、清浄空気吹出装置40を一対のレール30a、30bの一方側(図中の左側)にその敷設方向に沿って連続的に複数個配置するとともに、排気装置50を一対のレール30a、30bの他方側(図中の右側)にその敷設方向に沿って連続的に複数個配置し、且つ、一対のレール30a、30bを挟んで清浄空気吹出装置40と排気装置50とを真っ直ぐに対向させて配置した。清浄空気吹出装置40の送風面と排気装置50の吸気面とが一対のレール30a、30bを挟んで対向しており、清浄空気吹出装置40から排気装置50へ向ういわゆるプッシュプル気流は、通常、レール30a、30bの敷設方向に対して直交するように形成されることになる。
【0036】
図4(b)は第2の設置レイアウト例を示す。この設置レイアウトでは、清浄空気吹出装置40を一対のレール30a、30bの一方側(図中の左側)にその敷設方向に沿って間欠的に複数個配置するとともに、排気装置50を一対のレール30a、30bの他方側(図中の右側)にその敷設方向に沿って間欠的に複数個配置し、且つ、一対のレール30a、30bを挟んで清浄空気吹出装置40と排気装置50とを真っ直ぐに対向させて配置した。清浄空気吹出装置40の送風面と排気装置50の吸気面とが一対のレール30a、30bを挟んで対向しており、清浄空気吹出装置40から排気装置50へ向ういわゆるプッシュプル気流は、通常、レール30a、30bの敷設方向に対して直交するように形成されることになる。
【0037】
図4(c)は第3の設置レイアウト例を示す。この設置レイアウトでは、清浄空気吹出装置40を一対のレール30a、30bの一方側(図中の左側)にその敷設方向に沿って間欠的に複数個配置するとともに、排気装置50を一対のレール30a、30bの他方側(図中の右側)にその敷設方向に沿って間欠的に複数個配置し、且つ、一対のレール30a、30bを挟んで清浄空気吹出装置40と排気装置50とを斜め向かいに配置した。清浄空気吹出装置40の送風面と排気装置50の吸気面とが一対のレール30a、30bを挟んで斜めに向かい合っており、清浄空気吹出装置40から排気装置50へ向ういわゆるプッシュプル気流は、通常、レール30a、30bの敷設方向に対して斜めに交わるように形成されることになる。
【0038】
図5は第4の設置レイアウト例を示す。この設置レイアウトでは、複数個の清浄空気吹出装置40と複数個の排気装置50とを一対のレール30a、30bの両側(図の左側と右側)において、その敷設方向に沿って交互に配置し、且つ、一対のレール30a、30bを挟んで清浄空気吹出装置40と排気装置50とを真っ直ぐに対向させて配置した。また、レール30の敷設方向に沿って清浄空気吹出装置40と排気装置50とが互いに隣接して配置されており、隣接する清浄空気吹出装置40と排気装置50とが接続チャンバ80により接続されている。
【0039】
本例では、レール30a、30bを挟んで対向している清浄空気吹出装置40と排気装置50(例えば符号40−11の清浄空気吹出装置と符号50−21の排気装置)とが対となって稼働する一方で、移動しているスタッカクレーン60が障害物となり、レール30a、30bを挟んで対向している清浄空気吹出装置40と排気装置50(例えば符号40−12の清浄空気吹出装置と符号50−22の排気装置)との間で空気が流れないときには、レール30a、30bの敷設方向に沿って互いに隣接している清浄空気吹出装置40と排気装置50(例えば符号40−12の清浄空気吹出装置と符号50−11または符号50−12の排気装置)の間でローカルな循環気流を形成させて、保管倉庫室20内への塵埃の拡散を防止する。
【0040】
また、省エネルギーでの運転を実現するためには、図5に示すように、スタッカクレーン60の位置を検出する位置検出部82と、位置検出部82によって検出された位置に基づいて、移動するスタッカクレーン60の周囲に位置する清浄空気吹出装置40と排気装置50とを連動させる制御を行う制御部84とを設ける。制御部84には、位置検出部82から検出信号が入力される。また、制御部84は、各浄空気吹出装置40に対して給気の開始及び停止を指示する給気制御信号を出力するとともに、各排気装置50に対して排気の開始及び停止を指示する排気制御信号を出力する。
【0041】
位置検出部82は、例えば周知のセンサによって構成され、レール30a、30bに沿って配置する。制御部84は、例えばマイクロコンピュータおよびその周辺回路によって構成される。
【0042】
例えば、図5において、移動しているスタッカクレーン60の周囲に位置している符号50−11、符号50−21及び符号50−22の清浄空気吹出装置と符号40−11、符号40−12及び符号40−21の排気装置のみ給排気を行い、他の清浄空気吹出装置50−12、50−13、50−23と他の排気装置40−13、40−22、40−23は給排気を停止させる。これにより安価のランニングコストにて効率よく塵埃を除去できる。
【0043】
清浄空気吹出装置40と排気装置50との連動制御処理について図5に示す第4の設置レイアウト例を用いて説明したが、このような場合に特に限定されず、図4(a)〜(c)に示した第1、第2、第3の設置レイアウト例において連動制御処理を行ってもよいことは、言うまでもない。
【0044】
以上、保管物が、液晶基板である場合を例に説明したが、清浄状態を維持すべき他の保管物であってもよい。例えば、半導体基板(ウェーハ)を保管する保管倉庫室に本発明を適用してもよい。また、カセット内に収容する場合に特に限定されない。
【0045】
本発明は、本明細書において説明した例や図面に図示された例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の設計変更や改良を行ってよいことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明を適用した保管倉庫室の一例の全体を示す断面図
【図2】保管倉庫室の一例の要部を示す拡大図
【図3】保管倉庫室の他の例の要部を示す拡大図
【図4】(a)は第1の設置レイアウト例を示す平面図、(b)は第2の設置レイアウト例を示す平面図、(c)は第3の設置レイアウト例を示す平面図、
【図5】第4の設置レイアウト例を示す平面図、
【符号の説明】
【0047】
12…カセット、20(20a、20b)…保管倉庫室、22…保管棚(保管部)、24…FFU(清浄空気供給装置)、26…レタンスペース、30(30a、30b)…レール、40…清浄空気吹出装置、44、54…送風機、43…高性能フィルタ、50、500…排気装置、55…排気チャンバ、56…排気流路、60…スタッカクレーン、62…スタッカクレーンの車輪、64…スタッカクレーンの走行台車、66…スタッカクレーンのフォーク、80…接続チャンバ、82…位置検出部、84…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管物を搬送する移動体装置が走行するレールと、清浄空気を吹き出す清浄空気吹出装置と、塵埃を含む空気を吸い込んで排気する排気装置とを備えた保管倉庫室における気流制御方法であって、
前記レール近傍の少なくとも前記移動体装置の車輪が通過する位置に向けて、前記清浄空気吹出装置から清浄空気を吹き出し、前記移動体装置の走行により発生した塵埃を含む空気を、前記清浄空気吹出装置から吹き出された清浄空気とともに、前記レールを挟んで前記清浄空気吹出装置と向かい合う前記排気装置により吸い込んで排気することを特徴とする気流制御方法。
【請求項2】
前記レールを挟んで互いに向かい合う前記清浄空気吹出装置と前記排気装置とによって前記レール上を横断する第1の気流を形成するとともに、前記レールに沿って互いに隣接している前記清浄空気吹出装置と前記排気装置とによって第2の気流を形成することを特徴とする請求項1に記載の気流制御方法。
【請求項3】
前記移動体装置の位置を検出し、前記位置検出部によって検出された位置に基づいて、前記移動体装置の周囲に位置する前記清浄空気吹出装置と前記排気装置とを連動させることを特徴とする請求項1または2に記載の気流制御方法。
【請求項4】
保管物を搬送する移動体装置が走行するレールと、
前記レールに沿って複数個配置され、前記レール近傍の少なくとも前記移動体装置の車輪が通過する位置に向けて清浄空気を吹き出す清浄空気吹出装置と、
前記レールを挟んで前記清浄空気吹出装置と向かい合うように前記レールに沿って複数個配置され、前記移動体装置の走行により発生した塵埃を含む空気を、前記清浄空気吹出装置から吹き出された清浄空気とともに吸い込んで排気する排気装置と、
を備えたことを特徴とする保管倉庫設備。
【請求項5】
前記レールに沿って前記清浄空気吹出装置と前記排気装置とが互いに隣接して配置されていることを特徴とする請求項4に記載の保管倉庫設備。
【請求項6】
前記移動体装置の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって検出された位置に基づいて、前記移動体装置の周囲に位置する前記清浄空気吹出装置と前記排気装置とを連動させる制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項4または5に記載の保管倉庫設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−297046(P2008−297046A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143379(P2007−143379)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】