説明

気液混合流噴射装置

【目的】 各液体で異なる最適噴射流量をノズル手元の流量調整バルブにて簡単に設定できるようにする。
【構成】 大流量の高圧空気と小流量の各種液体を混合して噴射する気液混合流噴射装置であって、ノズル19手元に設けた流量調整バルブ18にて液体の流量を調整する場合、管路途中に設けたフローセンサー14により検出される液体の流量が最適流量になったとき、操作部2に設けた報知手段32〜35によりその旨報知するようにした気液混合流噴射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水・ケミカル類等のそれぞれ異なる2種類以上の小流量液体を切り換えてポンプで圧送し、大流量圧縮空気と混合してノズルにより噴射させる方式の気液混合流噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、水・ケミカル類等のそれぞれ異なる2種類以上の小流量液体を切り換えてポンプで圧送し、大流量圧縮空気と混合してノズルにより噴射させる方式の気液混合流噴射装置が下記特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2000−093904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の装置では、各液体の流量調整をポンプの上流側、つまり装置本体内に設けられた各液体毎の流量調整弁にて流量を調整するようになっており、これでは液体を載せ替える度に各液体を順次ノズルより噴射させ、本体内の各流量調整弁にて流量を調整しながら最適な流量にしなければならず、面倒であり、時間もかかるものであった。
【0004】
また、流量調整弁にて調整する流量はノズルから噴射される液体の状態を目視にて確認する流量であるため、最適な流量であるかは作業者には不明で、使い慣れた者が調整する場合には、経験と勘である程度の流量調整はできるが、初めて使用する場合には、困難を極めるものであった。
【0005】
このような課題を解決するために本発明は、2種類以上の小流量液体を切り換えてポンプで圧送し、圧縮空気供給源から送出される大流量圧縮空気と混合してノズルより噴射させる方式の気液混合流噴射装置において、前記ノズル近傍に配設され、噴射する液体の流量を調整する流量調整バルブと、ポンプの上流側に設けられ、圧送される液体の流量を検出するフローセンサーと、該フローセンサーで検出される流量に基づき、各液体毎の最適噴射流量を報知する報知手段とを備えた気液混合流噴射装置を提供することを要旨とするものである。
【0006】
前記報知手段を、流量値を表示する表示器とすれば、好ましい態様となる。
【0007】
前記報知手段を、噴射流量が最適であることを報知する表示器とすれば、好ましい態様となる。
【0008】
前記報知手段を、噴射流量が最適であることを報知する発音器とすれば、好ましい態様となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の装置は、圧縮空気と混合して噴射される液体の流量を手元で調整でき、また、液体毎に異なる最適な流量が都度作業者に報知されるので、作業者はそれに従って簡単かつ正確に流量調整ができ、最適な噴射が誰でも行えるようになる。
【実施例】
【0010】
以下、図面を基に、本発明の実施例について説明する。図1は本発明の実施例の全体構成図である。図において、1は装置本体で、本体内上部には噴射する液体の切替や装置の駆動・停止を行うためのスイッチ類及び後述する最適流量を報知する報知手段等で構成される操作部2が設けてあり、底部には給水源3と接続されフロート給水弁4により常時水位が一定に保たれるようになっている水タンク5とケミカル入りタンク6〜8が設けてある。
【0011】
それぞれのタンク内には吸込管路9が分岐され電磁弁10〜13を介して挿入されており、吸込管路9の他方は吐出される液体の流量を検出するフローセンサー14を介してポンプ15の吸込側に接続されている。そして、ポンプ15の吐出側には吐出管路16が接続されており、逆流防止用の逆止弁17を介し、流量調整バルブ18を備えた手元開閉弁付ノズル19が接続されている。
【0012】
また、ポンプ15の吐出側と吸込側とにはそれぞれを連通する帰還管路20が設けてあり、途中に流量調整可能なアンローダーバルブ21を介して、流量調整バルブ18が閉じられた時に余水を流してポンプ15にかかる負荷を軽減させるようになっている。
【0013】
ノズル19には、圧縮空気供給源22から圧縮空気が送り込まれるように、空気管路23が、逆流防止用の逆止弁24を介して、ノズル19と流量調整バルブ18との間に接続されており、ポンプ15から圧送される液体と混合されノズル19より噴射されるようになっている。
【0014】
25はリレーやマイコンからなる制御手段であり、操作部2やフローセンサー14からの信号を受け、ポンプ15や各電磁弁を制御できるようになっている。
【0015】
図2はノズル19の要部断面図で、噴射口26には、それを覆うように所定長さの可撓性チューブ27が密着固定され、また噴射口根元部にはラッパ状をなすガイド管28が螺着されており、流体が噴射口26より噴射されると、チューブ27がガイド管28内壁に沿って高速で旋回するようになっている。このように構成されたノズルを使用することにより、洗浄に使用すると、強力な洗浄力を得ることができ、またケミカルの噴霧に使用すると、噴霧される流体が微粒子となり、良好な噴霧効果を得ることができるようになる。しかしながら、ノズルはこれに限定されるものではなく、ワンタッチカプラ29により種々のノズルに変更可能となっている。
【0016】
図3は操作部詳細図で、ポンプのオン、オフを切り換えるポンプスイッチ30と、噴射する液体を選択する液選択スイッチ31が配設されており、それぞれロータリースイッチで切換可能になっている。また、液選択スイッチ31周囲には、液体毎にLED32〜35が設けてあり、選択された液体が最適な噴射流量になったとき点灯するようになっている。
【0017】
ところで、本実施例ではLEDの点灯により最適噴射流量になったことを作業者に知らせるようにしてあるが、他の例として、噴射流量を数値で表示する表示器を別に設けるようにすれば、最適噴射流量が異なる消臭剤や殺菌剤等の洗浄剤以外のものに入れ替えた時でも対応できるようになり、また、発音器により音や音声を出力するようにして最適噴射流量になったことを報知するようにすれば、流量調整を操作部2を見なくとも行えるようになり、噴射先を確認しながら行え、余計な所に液体をまき散らすことがなくなる。
【0018】
次に洗浄動作を説明する。
【0019】
まず、作業者は操作部2の液選択スイッチ31にて水を選択し、続けてポンプスイッチ30をオンする。すると、その信号を受けた制御手段25は電磁弁10を開放し、ポンプ15を駆動させる。この状態で、作業者がほどなくノズル19を構え、ノズル先端を洗浄対象物に向けて手元開閉弁を開放すれば、大流量の圧縮空気と共に小流量の水が高圧で噴射される。
【0020】
この時、作業者は、流量調整バルブ18の開度を調整していくと、その流量変化がフローセンサー14により検出され、その信号が制御手段25に導入されて、制御手段25ではその信号に基づき、最適流量か否かを判断し、最適流量に達した時点でLED32を点灯させるので、作業者はその点灯を確認し最適流量になったとして、水での予備洗浄を開始する。
【0021】
水での予備洗浄が終了したら、操作部2の液選択スイッチ31で泡を選択する。するとその信号を受けた制御手段25は、電磁弁10を閉じ、かわりに電磁弁11を開放して、泡洗剤が噴射できる状態とする。そして作業者はノズル19の手元開閉弁を開いて泡洗剤での本洗浄を行う。この時も、先程の水噴射時と同様に、LED33を見ながら流量調整バルブ18を調整して最適流量としておくことにより、空気と混合され、クリーミーで泡潰れが殆どなく、見た目も頗る良い状態の泡洗剤が洗浄対象物に吹き付けられることになる。
【0022】
本洗浄が終了したら、泡洗剤を汚れと共に洗い流すため、操作部2の液選択スイッチ31で消泡剤を選択する。するとその信号を受けた制御手段25は、電磁弁11を閉じ、かわりに電磁弁12を開放して、消泡剤が噴射できる状態とする。そして作業者はノズル19の手元開閉弁を開いて消泡剤での濯ぎを行う。この時も、先程の水噴射時と同様に、LED34を見ながら流量調整バルブ18を調整して最適流量としておくことにより、噴射される消泡剤は、消泡効果に優れ、迅速に濯ぎが行える状態となる。
【0023】
濯ぎが終了したら、ワックスを噴霧して仕上げを行うため、操作部2の液選択スイッチ31でワックスを選択する。するとその信号を受けた制御手段25は、電磁弁12を閉じ、かわりに電磁弁13を開放して、ワックスが噴射できる状態とする。そして作業者はノズル19の手元開閉弁を開いてワックスを噴霧して仕上げる。この時も、先程の水噴射時と同様に、LED35を見ながら流量調整バルブ18を調整して最適流量としておくことにより、噴射されるワックスは、洗浄対象物への密着性に優れ、ワックス効果が長期継続される状態となる。
【0024】
以上のようにして各液体に最適な流量調整が手元で行え、効率の良い洗浄が可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例である装置の全体構成図である。
【図2】同装置のノズル要部断面図である。
【図3】同装置の操作部詳細図である。
【符号の説明】
【0026】
1 本体
2 操作部
5 水タンク
6 泡洗剤タンク
7 消泡剤タンク
8 ワックスタンク
10〜13 電磁弁
14 フローセンサー
15 ポンプ
18 流量調整バルブ
32〜35 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類以上の小流量液体を切り換えてポンプで圧送し、圧縮空気供給源から送出される大流量圧縮空気と混合してノズルより噴射させる方式の気液混合流噴射装置において、
前記ノズル近傍に配設され、噴射する液体の流量を調整する流量調整バルブと、ポンプの上流側に設けられ、圧送される液体の流量を検出するフローセンサーと、該フローセンサーで検出される流量に基づき、各液体毎の最適噴射流量を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする気液混合流噴射装置。
【請求項2】
前記報知手段は、流量値を表示する表示器であることを特徴とする請求項1記載の気液混合流噴射装置。
【請求項3】
前記報知手段は、噴射流量が最適であることを報知する表示器であることを特徴とする請求項1記載の気液混合流噴射装置。
【請求項4】
前記報知手段は、噴射流量が最適であることを報知する発音器であることを特徴とする請求項1記載の気液混合流噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−75778(P2006−75778A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264652(P2004−264652)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】