説明

水処理装置及び水処理方法

【課題】 被処理水からのフッ素成分及び窒素成分の除去を固形物発生量を抑制しつつ簡便に行なうことができると共に、設備を大型化させることなく被処理水の処理を行なうことができる水処理装置及び水処理方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 窒素処理部は、微生物が担体表面に担持された微生物担持体、及び/又は、微生物自体が凝集して粒子状に形成された微生物凝集体を用いた流動床式処理が行なわれるように構成され、窒素処理部に導入された第1処理水と微生物とを含む混合水のpHをカルシウム塩が析出しない程度に維持しつつ窒素成分を除去するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置及び水処理方法に関し、詳しくは、フッ素成分及び窒素成分を含有する被処理水からフッ素成分及び窒素成分を除去する水処理装置及び水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属の表面処理加工工場やICなどの半導体装置の製造工場などでは、フッ酸、アンモニア、硝酸などが使用されるため、フッ素成分(フッ素イオン)及び窒素成分(アンモニウム態窒素、亜硝酸、硝酸態窒素等の無機態窒素)を含有する廃水が発生する。
【0003】
このような廃水を環境中へ排出する際には、フッ素成分及び窒素成分の含有濃度が所定の濃度以下となるように処理する必要がある。廃水(以下、被処理水と記す)からフッ素成分を除去する方法としては、被処理水にカルシウム剤(水酸化カルシウム、塩化カルシウム等)を添加し、被処理水中のフッ素成分(フッ素イオン)とカルシウムイオンとを結合させてフッ化カルシウムを析出させ、該フッ化カルシウムを沈降分離などさせることで被処理水からフッ素成分を除去する方法が知られている。
【0004】
析出したフッ化カルシウムは、水中では下記の反応式のように平衡状態となっている。
CaF2 ⇔ 2F-+Ca2+
このため、フッ素イオンに対応する量のカルシウムイオン(フッ素イオン2モルに対してカルシウムイオン1モル)を添加しただけでは、フッ化カルシウムの析出が十分に進まず、被処理水からフッ素成分を効果的に除去することが困難となる。従って、被処理水からのフッ素成分の除去を効果的に行うためには、フッ素イオンに対応する量よりも過剰量のカルシウムイオンを添加することが必要となる。
【0005】
一方、窒素成分を除去する方法としては、微生物を用いて生物学的に窒素成分を除去する方法が知られている。例えば、窒素成分が亜硝酸や硝酸態窒素の場合には、亜硝酸や硝酸態窒素をメタノール等の水素供与体と共に脱窒細菌によって還元して窒素ガスとして除去する方法が知られている。また、窒素成分がアンモニウム態窒素を含む場合には、アンモニウム態窒素を硝化細菌により亜硝酸、硝酸態窒素に酸化し、その後、亜硝酸や硝酸態窒素をメタノール等の水素供与体と共に脱窒細菌によって還元して窒素ガスとして除去する方法が知られている。
【0006】
通常、上記のような被処理水からフッ素成分及び窒素成分を除去する場合には、フッ素成分が硝化細菌や脱窒細菌の生物学的な処理能力に悪影響を及ぼす虞があるため、フッ素成分の除去を行なった後に窒素成分の除去を行なうように構成された水処理装置が用いられる。該水処理装置は、フッ素成分の除去を行なうフッ素処理部と、窒素成分の除去を行なう窒素処理部とを備えるものである。
【0007】
ところが、フッ素処理部においてフッ素成分が除去された第1処理水には、フッ化カルシウムとして析出しなかったカルシウムイオンが多量に残存しており、斯かる第1処理水が窒素処理部にそのまま導入されると、窒素処理部での微生物による窒素除去が、通常、中性から弱アルカリ性のpHで好適に行われるため、当該pH範囲ではカルシウムイオンが他のイオンと結合して無機固形物として析出することが避けられないという問題がある。
【0008】
このような場合、窒素処理部中に無機固形物の濃度が増加してしまうため、窒素処理部の処理能力が低下し、効果的な処理を行なうことが困難となる虞がある。
また、窒素処理部において流動床式の処理を行なう場合、窒素処理部中の担体表面、攪拌機、散気装置等の構成機器の表面にカルシウム塩が析出し、それぞれの機能が失われるという問題がある。
このため、窒素処理部に導入される前の第1処理水からカルシウムイオンを除去するCa除去部を設け、炭酸イオンやリン酸イオン等によってカルシウム塩を析出させ、カルシウムイオンを除去する方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−276851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記のようにカルシウムイオンの除去を行なうと、炭酸カルシウム等の析出物(固形物)が大量に発生することとなるため、該析出物を分離し、脱水し、廃棄するために多大な手間と費用が必要となる。また、フッ素及び窒素処理部以外にCa除去部を設ける必要があり、また、析出物を分離したり脱水したりするための設備も必要となるため、水処理装置が大型なものとなってしまう。
【0011】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、被処理水からのフッ素成分及び窒素成分の除去を固形物発生量を抑制しつつ簡便に行なうことができると共に、設備を大型化させることなく被処理水の処理を行なうことができる水処理装置及び水処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らが鋭意研究したところ、フッ素成分が除去された被処理水から窒素成分を除去するに際し、斯かる被処理水と微生物とを含む混合水のpHを所定範囲に調整すると共に、担体表面に担持されたり、凝集されたりした状態の微生物を用いた流動床式処理を用いることで、カルシウムイオンを含有した状態であっても被処理水から窒素成分の除去を効果的に行なうことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明に係る水処理装置は、フッ素成分及び窒素成分を含有する被処理水にカルシウムイオンを添加してフッ化カルシウムを析出させ、フッ素成分を除去して第1処理水を得るフッ素処理部と、微生物によって生物学的に第1処理水から窒素成分を除去して第2処理水を得る窒素処理部とを備えてなる水処理装置において、窒素処理部は、微生物が担体表面に担持された微生物担持体又は微生物自体が凝集して粒子状に形成された微生物凝集体の何れか一方或いは両方を用いた流動床式処理が行なわれるように構成され、窒素処理部に導入された第1処理水と微生物とを含む混合水のpHをカルシウム塩が析出しない程度に維持しつつ第1処理水から窒素成分を除去するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
斯かる構成によれば、フッ素処理部において、カルシウムイオンによってフッ素成分を除去する場合には、フッ素成分に対して過剰量のカルシウムイオンを添加する必要があるため、得られた第1処理水中にはカルシウムイオンが含有されている。そして、斯かる第1処理水が、微生物担持体又は微生物凝集体の何れか一方或いは両方を用いた流動床式処理を行なう窒素処理部に導入され、第1処理水と微生物とを含む混合水のpHがカルシウム塩が析出しない程度に維持されることで、カルシウムイオンを含有する第1処理水であってもカルシウム塩を析出させることなく効果的に窒素成分の除去を行なうことができる。
【0015】
このため、第1処理水からカルシウムイオンを除去する必要がなくなり、カルシウム塩の析出物を分離し、脱水し、廃棄する手間や費用をなくすことができ、簡便に被処理水の処理を行なうことができる。また、第1処理水からカルシウムイオンを除去するCa除去部を窒素処理部の前に設ける必要がなくなり、析出物を分離、脱水するための設備も必要ないため、水処理装置を小型化することができる。
【0016】
詳しく説明すると、通常、脱窒細菌や硝化細菌等の窒素除去に関わる微生物を用いて窒素成分を除去する場合、混合水のpHを微生物の活性が高まるpHである弱アルカリ性に調整して処理が行なわれるが、このようなpHでは、第1処理水中のカルシウムイオンが他のイオンと結合して析出し易くなる。しかしながら、混合水のpHをカルシウム塩が析出しない程度に維持することで、カルシウム塩の析出を抑制した状態で窒素成分の除去を行なうことができる。これにより、窒素処理部において流動床式処理を用いた場合であっても、窒素処理部中の担体表面や攪拌機等の流動床を形成するための機器の表面にカルシウム塩が析出するのを抑制することができ、担体や機器の性能がカルシウム塩によって阻害されてしまうのを防止し、窒素処理部の処理能力の低下を防止することができる。
【0017】
一方、混合水のpHを上記のように調整することで、窒素処理部における微生物自体の処理能力は、低下することとなるが、微生物が担体に担持されたり、微生物自体が凝集されたりした状態の流動床式処理を行なうことで、担体表面や凝集体における窒素処理に適した微生物を選択的に高密度に維持することができる。このため、混合水中に微生物自体が分散している場合(浮遊汚泥法)よりも単位体積当りの窒素処理に適した微生物量を増加させることができる。また、第2処理水と微生物(担体表面に担持されたり、凝集したりした状態)との分離を効果的に行なうことができ、第2処理水と共に流出してしまう微生物量を浮遊汚泥法よりも低減することができる。このため、窒素処理部における微生物濃度が低下してしまうのを抑制することができる。また、カルシウム塩の析出が抑制されるため、微生物担持体や微生物凝集体にカルシウム塩が付着せず、窒素処理部における微生物量の管理も容易となる。
【0018】
以上のように、窒素処理に適した微生物の濃度を窒素処理部において高めることができ、さらに、微生物の流出量を低減することができるため、窒素処理に適した微生物を高濃度に維持することができる。このため、微生物の処理能力が低下するようなpH(カルシウム塩が析出しない程度のpH)の環境であっても窒素成分の除去を効果的に行なうことができる。従って、第1処理水からカルシウムイオンを除去する必要がなくなり、Ca除去部を設ける必要もないため、固形物発生量を抑制しつつ簡便に被処理水の処理を行なうことができると共に、水処理装置を小型化することができる。
【0019】
また、混合水のpHは、7未満に維持されることが好ましい。
【0020】
また、第1処理水中の窒素成分量に対して窒素処理部内の微生物量の割合が所定の割合よりも低い場合に、第1処理水よりもカルシウムイオンの含有量が少なく且つ窒素成分を含有する馴養水が第1処理水に代わって窒素処理部に導入され、窒素処理部内の微生物量が第1処理水中の窒素成分量に対して所定の割合となるまで微生物の馴養が行なわれるように構成されていることが好ましい。
【0021】
斯かる構成によれば、カルシウムイオンの含有量が第1処理水よりも少ない馴養水が第1処理水に代わって窒素処理部に導入されるため、第1処理水が導入された場合よりもカルシウム塩の析出量が低減される。これにより、微生物と馴養水とを含む混合水のpHを一次的に微生物の活性が高まるpHに維持することによって、微生物の増殖を効果的に行なうことができる。このため、第1処理水が窒素処理部に導入された場合よりも短時間で第1処理水中の窒素成分量に対する微生物量の割合を増加させることができる。
【0022】
また、微生物の馴養が行なわれる期間の混合水のpHは、7〜9に維持されることが好ましい。
【0023】
また、第1処理水のカルシウムイオンの含有濃度は、200〜5000mg/Lであることが好ましい。
【0024】
本発明に係る水処理方法は、フッ素成分及び窒素成分を含有する被処理水にカルシウムイオンを添加してフッ化カルシウムを析出させ、フッ素成分を除去して第1処理水を得るフッ素処理工程と、微生物によって生物学的に第1処理水から窒素成分を除去して第2処理水を得る窒素処理工程とを備える水処理方法において、窒素処理工程は、微生物が担体表面に担持された微生物担持体又は微生物自体が凝集して粒子状に形成された微生物凝集体の何れか一方或いは両方を用いた流動床式処理を行なう工程であって、カルシウムイオンを含有する第1処理水と微生物とを含む混合水のpHをカルシウム塩が析出しない程度に維持しつつ第1処理水から窒素成分を除去することを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る水処理方法は、混合水のpHを7未満に維持することが好ましい。
【0026】
第1処理水中の窒素成分量に対して窒素処理工程での微生物量の割合が所定の割合よりも低い場合に、第1処理水よりもカルシウムイオンの含有量が少なく且つ窒素成分を含有する馴養水を第1処理水に代えて用い、窒素処理工程での微生物量が第1処理水中の窒素成分量に対して所定の割合となるまで微生物の馴養を行なうことが好ましい。
【0027】
また、微生物の馴養が行なわれる期間の混合水のpHを7〜9に維持することが好ましい。
【0028】
また、第1処理水のカルシウムイオンの含有濃度は、200〜5000mg/Lであることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、被処理水からのフッ素成分及び窒素成分の除去を固形物発生量を抑制しつつ簡便に行なうことができると共に、設備を大型化させることなく被処理水の処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)は、第1実施形態に係る水処理装置を示すブロック図であり、(b)は、第2実施形態に係る水処理装置を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0032】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態にかかる水処理装置1について、図1(a)を参照しつつ説明する。水処理装置1は、フッ素成分及び窒素成分を含有する被処理水からフッ素成分及び窒素成分を除去するように構成されている。水処理装置1が対象とする被処理水としては、金属材料の表面処理工場、ICなどの半導体及びその原料の製造工場、石炭火力発電所、ガラス加工工場、液晶ディスプレイの製造工場などから排出される廃水などが挙げられる。
【0033】
被処理水に含有されるフッ素成分の濃度としては、例えば、15mg/Lより高い値であり、窒素成分の濃度としては、例えば、10mg/Lより高い値である。
【0034】
水処理装置1は、被処理水からフッ素成分を除去した後、窒素成分を除去するように構成されている。具体的には、水処理装置1は、導入された被処理水からフッ素成分を除去して第1処理水を得るフッ素処理部2と、該第1処理水から窒素成分を除去して第2処理水を得る窒素処理部3とを備えている。なお、被処理水は、水処理装置1に導入される前に貯留部(図示せず)に溜められ、そこから定量的且つ連続的に水処理装置1へ導入されることが好ましい。
【0035】
フッ素処理部2では、導入された被処理水にカルシウムイオンが添加されてフッ素成分の除去が行なわれる。具体的には、フッ素処理部2は、被処理水へのカルシウムイオンの添加が行われる反応槽21と、フッ素成分の析出物の凝集が行われる凝集槽22と、凝集した析出物が被処理水から分離されて第1処理水が得られるフッ素分離槽23とを備えている。
【0036】
反応槽21において添加されるカルシウムイオンは、水溶性のカルシウム塩又はその水溶液として添加されることが好ましい。カルシウム塩としては、特に限定されるものではないが、水酸化カルシウム、塩化カルシウムなどを用いることができる。カルシウムイオンが被処理水に添加されることで、被処理水中のフッ素成分(フッ素イオン)とカルシウムイオンとが結合してフッ化カルシウムが形成され、被処理水中に析出する。
【0037】
該フッ化カルシウムは、水中においてフッ素イオン及びカルシウムイオンとの間で平衡状態となるため、被処理水中のフッ素イオン量に対応する量のカルシウムイオン(フッ素イオン2molに対してカルシウムイオン1mol)が添加されただけでは、被処理水中のフッ素イオンを効果的にフッ化カルシウムとして析出させることができない。このため、フッ素イオン量に対して過剰量のカルシウムイオンが添加される。カルシウムイオンの添加量としては、フッ素イオン量に対して理論的に必要な量の2〜7倍であることが好ましい。これにより、フッ素イオンを効果的にフッ化カルシウムとして析出させることができる。添加するカルシウムイオン量を正確に制御する目的から、カルシウムイオンは、カルシウム塩の水溶液の形態で添加されることが好ましい。
【0038】
なお、カルシウムイオンを添加する手段としては、特に限定されるものではないが、カルシウム塩又はその水溶液が貯蔵された薬品槽24から添加されることが好ましい。該薬品槽24は、被処理水中のフッ素イオン濃度に応じて、カルシウム塩又はその水溶液を被処理水に供給可能に構成されることが好ましい。
【0039】
凝集槽22では、反応槽21で処理された被処理水中に析出したフッ化カルシウムが種々の方法によって凝集される。例えば、凝集剤を用いてフッ化カルシウムを凝集させてフロック状にする方法を採用することができる。凝集剤としては、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩基性塩化アルミニウムなどのアルミニウム系凝集剤や、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アミドなどのアクリル系高分子凝集剤などを用いることができる。凝集剤は、1種類で使用してもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0040】
フッ素分離槽23では、凝集槽22から供給された被処理水中で凝集されたフッ化カルシウムが種々の方法によって被処理水から分離される。例えば、クラリファイヤー、シックナー等の公知の固液分離手段を用いて、被処理水からフッ化カルシウムの凝集物を分離することができる。これにより、得られた第1処理水のフッ素イオン濃度を15mg/L以下にすることが可能となる。また、第1処理水中には、フッ化カルシウムとして析出しなかったカルシウムイオンが残存している。第1処理水のカルシウムイオンの濃度としては、被処理水中のフッ素イオン濃度にもよるが、例えば、200mg/L以上である。また、第1処理水のpHは、6〜8となっている。
【0041】
窒素処理部3では、カルシウムイオンを含有する第1処理水が微生物によって生物学的に処理されて窒素成分の除去が行なわれる。具体的には、窒素処理部3は、第1処理水中の窒素成分(亜硝酸や硝酸態窒素)が微生物(脱窒細菌)によって還元されて窒素ガスとして除去される脱窒槽31と、窒素成分が除去された第1処理水中のメタノール等の有機物を分解除去する再曝気槽32と、有機物が除去された第1処理水から微生物が分離されて第2処理水が得られる微生物分離槽33とを備えている。また、窒素処理部3では、第1処理水と微生物とを含む混合水のpHをカルシウム塩が析出しない程度に維持しつつ窒素成分の除去が行なわれる。混合水のpHとしては、7未満であることが好ましく、窒素処理部3における処理速度をより良好に保つ点で、pHは、5〜6.5であることがより好ましい。
【0042】
脱窒槽31では、無酸素雰囲気下で脱窒細菌によって第1処理水中の亜硝酸や硝酸態窒素が還元されることで窒素成分が窒素ガスとなって除去される。脱窒槽31は、脱窒細菌が担体表面に担持された微生物担持体又は脱窒細菌自体が凝集して粒子状に形成された微生物凝集体の何れか一方或いは両方を用いた流動床式処理を行なうように構成されている。脱窒槽31では、第1処理水と脱窒細菌とを含む混合水を攪拌機などを用いて機械的に撹拌することで、微生物担持体や微生物凝集体を水中で流動させて流動床が形成されている。また、脱窒槽31には、微生物担持体や微生物凝集体が脱窒槽31から流出しないように、スクリーン等の固液分離手段が設けられている。尚、本実施形態では、流動床式処理には、上向流スラッジブランケット(USB)タイプも含むものである。
【0043】
微生物が担持される担体としては、担体自体の比重が水の比重に近い値となるように構成されたものを用いることが好ましい。例えば、多孔質の砂や活性炭、筒状や粒状に形成された樹脂製のもの等を用いることができる。具体的には、樹脂製の担体であって、直径が8〜15mm程度、長さが5〜10mm程度の円筒形の形状を有し、内部空間に1又は2以上の仕切板が備えているものを用いることができる。また、樹脂製の担体であって、スポンジ状で円柱や四角柱の形状を有するものや、粒状や賽の目に成形されたゲル状の担体も用いることができる。これらの担体を用いることにより、微生物が担体表面に膜状に担持されるため、水中に微生物自体が分散している場合(浮遊汚泥法)よりも単位体積当りの微生物量を増やすことができる。
【0044】
一方、微生物凝集体も水の比重に近い比重となるように形成されたものを用いることが好ましい。微生物凝集体は、微生物の自己造粒作用で粒状(グラニュール状)に成長させたものや、凝集剤などを用いて微生物を粒状に成長させたものであり、担体に微生物を担持させたものよりも、単位体積当りの微生物量を増やすことができる。
【0045】
脱窒槽31には、水素供与体として有機物が供給される。該有機物は、脱窒細菌が亜硝酸や硝酸態窒素を還元する際の水素供与体として使用される他、脱窒細菌が増殖する際の基質としても使用されるものである。有機物としては、メタノールや酢酸などの薬品を用いることができる他、第1処理水中のBOD成分も用いることができる。添加する有機物量を正確に制御する目的から有機物は、液状のものを用いることが好ましい。
【0046】
有機物を供給する手段としては、特に限定されるものではないが、第1処理水中の亜硝酸や硝酸態窒素の濃度に応じて、有機物の供給量を制御可能に構成された有機物供給槽34を用いることが好ましい。
【0047】
また、脱窒槽31では、第1処理水と脱窒細菌とを含む混合水のpHがカルシウム塩の析出しない程度(好ましくは、7未満、より好ましくは、5〜6.5)に維持される。具体的には、カルシウム濃度、溶解性塩類濃度、Mアルカリ度、液温等から計算されるカルシウム飽和指数(ランゲリア指数)からカルシウム塩の析出しないpHを算出し、カルシウム飽和指数−0.5〜0の範囲内に収まるように、槽内pHを制御する。
【0048】
これにより、脱窒細菌の活性は低下することとなるが、脱窒細菌が微生物担持体や微生物凝集体の形態であることで、脱窒槽31における単位体積当りの脱窒細菌量を浮遊汚泥法の場合よりも増加させることができる。このため、亜硝酸や硝酸態窒素の還元を効果的に行なうことが可能となり、窒素成分を窒素ガスとして効果的に除去することが可能となる。
なお、脱窒槽31では、脱窒細菌による還元が行なわれることで、水酸化物イオンが発生し、pHが上昇するため、必要に応じて塩酸などの酸が添加されてpHが7未満に維持される。尚、酸としては、難溶性カルシウム塩を生じる硫酸等は好ましくなく、難溶性塩を生じない塩酸を用いることが好ましい。
【0049】
再曝気槽32では、脱窒槽31で処理された第1処理水中に残存する有機物が好気性微生物によって分解されるように構成されている。これにより、有機物が処理水に残留した状態で環境中に放流されるのを防止することができる。再曝気槽32内のpHは、脱窒槽31内のpHと等しくなるように調整し、カルシウム塩が析出しないようにする。尚、再曝気槽32は、流動床式、浮遊汚泥法のいずれでもよいが、流動床式を採用するのが好ましい。
【0050】
微生物分離槽33では、脱窒槽31で処理された後、再曝気槽32で処理された第1処理水(脱窒処理水)から微生物が種々の方法によって分離される。脱窒処理水中の微生物は、例えば、クラリファイヤー、シックナー等の公知の固液分離手段を用いて容易に分離することができる。これにより、窒素成分濃度が10mg/L以下である第2処理水が得られる。該第2処理水は、他の水質基準を満たしていれば、そのまま環境中へ(河川などへ)放流されてもよく、他の水処理装置へ送られて処理されてもよい。尚、第2処理水のpHは、放流可能な範囲(具体的には、pH5.8〜8.6)であればよいが、脱窒槽31及び再曝気槽32と同様に、カルシウム塩の析出が起こらないpHに維持するのが好ましい。
【0051】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態にかかる水処理装置10について、図1(b)を参照しつつ説明する。第2実施形態にかかる水処理装置10は、第1実施形態にかかる水処理装置1と比較すると、主に窒素処理部30の構成が異なる。従って、以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、同一の構成に対しては同一の符号を付することとして説明を省略する。
【0052】
窒素処理部30では、フッ素処理部2で処理されたカルシウムイオンを含有する第1処理水が微生物によって処理されて窒素成分(アンモニア態窒素を含むもの)の除去が行なわれる。具体的には、窒素処理部30は、第1処理水中のアンモニア態窒素が微生物(硝化細菌)によって酸化される硝化槽35が脱窒槽32の前に備えられている。つまり、窒素処理部30では、窒素成分として、アンモニア態窒素、亜硝酸、硝酸態窒素が除去される。また、窒素処理部30では、第1実施形態と同様に、第1処理水と微生物とを含む混合水のpHをカルシウム塩が析出しない程度に維持しつつ窒素成分の除去が行なわれる。混合水のpHとしては、7未満であることが好ましく、5〜6.5であることがより好ましい。
【0053】
硝化槽35では、好気性雰囲気下で硝化細菌によってアンモニア態窒素が亜硝酸又は硝酸態窒素まで酸化される。硝化槽35は、硝化細菌が担体表面に担持された微生物担持体又は硝化細菌自体が凝集して粒子状に形成された微生物凝集体の何れか一方或いは両方を用いた流動床式処理が行なわれるように構成されている。硝化槽35では、第1処理水と脱窒細菌とを含む混合水中で曝気が行なわれることで、微生物担持体や微生物凝集体を水中で流動させて流動床が形成されている。また、硝化槽35には、微生物担持体や微生物凝集体が硝化槽35から流出しないように、スクリーン等の固液分離手段が設けられている。
【0054】
硝化細菌を担持する担体としては、脱窒槽32で用いる担体と同一のものを用いることができる。また、微生物凝集体としては、硝化細菌が凝集したものであること以外は、脱窒槽32におけるものと同様の性状を有するものを用いることができる。
【0055】
また、硝化槽35では、脱窒槽31と同様に、第1処理水と硝化細菌とを含む混合水のpHがカルシウム塩の析出しない程度(好ましくは、7未満、より好ましくは、5〜6.5)に維持される。これにより、硝化細菌の活性は低下することとなるが、硝化細菌が微生物担持体や微生物凝集体の形態であることで、硝化槽35における単位体積当りの硝化細菌量を浮遊汚泥法の場合よりも増加させることができるため、アンモニア態窒素の硝化を効果的に行なうことが可能となる。そして、硝化槽35で処理された第1処理水は、第1実施形態と同様の流動床式の脱窒槽31に導入されて亜硝酸や硝酸態窒素の除去処理が行なわれ、再曝気槽32を経て微生物分離槽33で第2処理水と微生物とが分離される。
尚、脱窒槽31、再曝気槽32、微生物分離槽33内のpHは、硝化槽35と同様にカルシウム塩の析出が起こらないpHに調整するのが好ましい。
これにより、窒素成分濃度が15mg/L以下である第2処理水が得られる。該第2処理水は、他の水質基準を満たしていれば、そのまま環境中へ(河川などへ)放流されてもよく、他の水処理装置へ送られて処理されてもよい。
【0056】
なお、第1及び第2実施形態にかかる水処理装置1,10において、第1処理水中の窒素成分量に対して窒素処理部3,30内の微生物量の割合が所定の割合よりも低い場合、例えば、水処理装置1,10を新たに設置した直後(水処理装置1,10の立上げ時)などにおいては、微生物を十分に馴養した後に被処理水の処理を行う必要がある。
【0057】
このような場合、微生物を効率的に馴養させることができる馴養水を被処理水に代えて一次的に窒素処理部3,30に導入することが好ましい。馴養水としては、第1処理水よりもカルシウムイオンの含有量が少なく且つ窒素成分を含有するものを用いることが好ましい。これにより、第1処理水中の窒素成分量に対して微生物量が所定の割合となるまで微生物の馴養を効率的に行うことができる。微生物の馴養が行なわれる期間の混合水のpHとしては、7〜9に維持することが好ましい。これにより、微生物の馴養をさらに効率的に行うことができる。
【0058】
以上のように、本発明にかかる水処理装置によれば、被処理水からのフッ素成分及び窒素成分の除去を固形物発生量を抑制しつつ簡便に行なうことができると共に、設備を大型化させることなく被処理水の処理を行なうことができる。
【0059】
即ち、前記水処理装置1,10は、カルシウムイオンを含有する第1処理水を微生物担持体又は微生物凝集体の何れか一方或いは両方を用いた流動床式処理を行なうように構成された窒素処理部3,30に導入し、第1処理水と微生物とを含む混合水のpHをカルシウム塩が析出しない程度(好ましくは、7未満)に維持することで、カルシウムイオンを含有する第1処理水であってもカルシウム塩を析出させることなく窒素成分を効果的に除去することができる。
【0060】
このため、第1処理水からカルシウムイオンを除去する必要がなくなり、カルシウム塩の析出物を分離し、脱水し、廃棄する手間や費用をなくすことができ、簡便に被処理水の処理を行なうことができる。また、第1処理水からカルシウムイオンを除去するCa除去部を窒素処理部3,30の前に設ける必要がなくなり、析出物を分離、脱水するための設備も必要ないため、水処理装置1,10を小型化することができる。
【0061】
詳しく説明すると、混合水のpHをカルシウム塩が析出しない程度に調整することで、窒素処理部3,30における微生物自体の処理能力は、低下することとなるが、微生物担持体や微生物凝集体を用いた流動床式処理を行なうことで、担体表面や凝集体における微生物の密度を高密度に維持することができる。このため、窒素処理部3,30中の微生物を浮遊汚泥法より高濃度に維持することができる。また、微生物担持体又は微生物凝集体の何れか一方或いは両方を用いた流動床式処理を行なうことで、第2処理水と微生物との分離を効果的に行なうことができ、第2処理水と共に流出してしまう微生物の量を低減することがでる。これにより、窒素処理部3,30において微生物の濃度が低下してしまうのを抑制することができる。また、カルシウム塩が微生物担持体や微生物凝集体に付着しないため、窒素処理部3,30における微生物量の管理も容易になる。
【0062】
以上のように、窒素処理部3,30中の微生物の濃度を高めることができ、さらに、微生物の流出量を低減できるため、窒素処理部3,30における微生物の濃度を浮遊汚泥法よりも高濃度に維持することができる。このため、微生物自体の処理能力が低下した状態(カルシウム塩が析出しない程度のpH環境)であっても窒素成分の除去を効果的に行なうことができる。
【0063】
また、第1処理水中の窒素成分量に対して窒素処理部3,30内の微生物量の割合が所定の割合よりも低い場合に、第1処理水よりもカルシウムイオンの含有量が少ない馴養水が第1処理水に代わって窒素処理部3,30に導入されることで、微生物と馴養水とを含む混合水のpHを微生物の活性が高まるpHに一次的に維持しても、第1処理水が導入された場合よりもカルシウム塩の析出量が低減される。このため、微生物の増殖を効率的に行なうことができ、第1処理水が窒素処理部3,30に導入された場合よりも短時間で第1処理水中の窒素成分量に対する微生物量の割合を増加させることができる。
尚、第1及び第2実施形態の微生物分離槽33は、膜分離装置に代えてもよい。
【実施例】
【0064】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
【0065】
1.実施例1及び2
<被処理水>
被処理水として、カルシウムイオン濃度(Ca濃度)が1000mg/Lであり、硝酸態窒素の濃度(NO3−N濃度)が580mg/Lであるものを用いた。
<脱窒槽>
担体表面に担持された状態の脱窒細菌を脱窒槽内に導入し、攪拌機を用いて攪拌して流動床を形成した。また、脱窒槽内は、無酸素状態とした。なお、硝酸態窒素に対する容積負荷(NO3−N容積負荷)は、下記表1に示す。
<担体>
脱窒細菌を担持する担体としては、樹脂製の素材を用いて形成されたものであって、比表面積が500m2/m3であるものを用いた。また、担体の形状としては、円筒形の形状(内径:10mm、長さ:7mm)であって、内部空間を分割するように軸方向に沿って十字状の仕切り板が形成されているものを用いた。
<試験方法>
被処理水を脱窒槽へ導入し、脱窒細菌と被処理水との混合水のpHを6.0に維持した状態で生物学的な脱窒処理を行った。その後、混合水を沈殿槽へ導入し、担体から剥離した状態の微生物を混合水から分離して処理水を得た(流動床式処理法)。そして、下記式(1)から硝酸態窒素の除去率を算出した。除去率については、下記表1に示す。

(原水の硝酸態窒素の濃度−処理水の硝酸態窒素の濃度)/原水の硝酸態窒素の濃度・・・(1)
【0066】
2.比較例1及び2
<被処理水>
実施例と同一の被処理水を用いた。
<脱窒槽>
脱窒細菌を直接水中に分散させたこと以外は、実施例と同一の条件で脱窒槽を構成した。なお、硝酸態窒素に対する容積負荷(NO3−N容積負荷)は、下記表1に示す。
<試験方法>
被処理水を脱窒槽へ導入し、微生物と被処理水とを含む混合水のpHを6.0に維持した状態で生物学的な脱窒処理を行った。その後、混合水を沈殿槽へ導入し、微生物を混合水から分離して処理水を得た(浮遊汚泥法)。そして、下記式(1)から硝酸態窒素の除去率を算出した。除去率については、下記表1に示す。

(原水の硝酸態窒素の濃度−処理水の硝酸態窒素の濃度)/原水の硝酸態窒素の濃度・・・(1)
【0067】
3.比較例3
微生物と被処理水とを含む混合水のpHを8.0に維持したこと以外は、実施例と同様の流動床式処理で試験を行った。
【0068】
【表1】

【0069】
3.まとめ
表1を見ると、実施例1及び2の方が比較例1及び2よりも除去率が高くなっている。これは、実施例のように担体表面に脱窒細菌を担持させることで、比較例のように脱窒細菌が水中に直接分散されている場合よりも、単位体積当りの脱窒細菌の量を増やすことができるためである。具体的には、脱窒細菌を直接水中に分散させた場合、混合水を攪拌した際に、脱窒細菌が水中で良好に分散する程度の濃度にする必要があるが、脱窒細菌が担体表面に担持されることで、担体と共に微生物を水中で良好に流動させることができるため、担体表面に微生物を高密度で担持させることができる。このため、脱窒槽内の脱窒細菌の濃度を高くすることができる。
尚、処理水のカルシウムイオン濃度を測定したところ、実施例1及び2、比較例1及び2ともに原水のカルシウムイオン濃度と変わらなかった。
【0070】
また、脱窒細菌を直接水中に分散させた場合、沈殿槽において脱窒細菌を効果的に分離させることが困難となり、脱窒細菌が処理水と共に外部へ流出してしまい、脱窒槽内の脱窒細菌の濃度を維持することが困難となった。これに対し、担体表面に脱窒細菌が担持されていることで、沈殿槽において担体に担持された状態の脱窒細菌を容易に分離することができ、流出してしまう脱窒細菌の量を低減することができた。このため、脱窒槽内の脱窒細菌の濃度を良好に維持することができた。
【0071】
また、比較例3のように混合水のpHを8とした場合、カルシウム塩が担体表面や攪拌機に析出してしまい、担体を流動させることが困難となった。つまり、比較例3では良好な流動床を形成することできず、除去率が著しく低下した上、装置の運転が不可能となった。
【0072】
以上のように、カルシウムイオンを含有する被処理水であっても、担体に担持された状態の脱窒細菌を用いた流動床式処理を用いると共に、混合水のpHをカルシウム塩が析出しない程度(pH7未満)とすることで、カルシウム塩の析出を抑制した状態で効果的に脱窒処理を行うことができると認められる。
【符号の説明】
【0073】
1:水処理装置、2:フッ素処理部、3:窒素処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素成分及び窒素成分を含有する被処理水にカルシウムイオンを添加してフッ化カルシウムを析出させ、フッ素成分を除去して第1処理水を得るフッ素処理部と、微生物によって生物学的に第1処理水から窒素成分を除去して第2処理水を得る窒素処理部とを備えてなる水処理装置において、
窒素処理部は、微生物が担体表面に担持された微生物担持体又は微生物自体が凝集して粒子状に形成された微生物凝集体の何れか一方或いは両方を用いた流動床式処理が行なわれるように構成され、窒素処理部に導入された第1処理水と微生物とを含む混合水のpHをカルシウム塩が析出しない程度に維持しつつ第1処理水から窒素成分を除去するように構成されていることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
混合水のpHは、7未満に維持されることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
第1処理水中の窒素成分量に対して窒素処理部内の微生物量の割合が所定の割合よりも低い場合に、第1処理水よりもカルシウムイオンの含有量が少なく且つ窒素成分を含有する馴養水が第1処理水に代わって窒素処理部に導入され、窒素処理部内の微生物量が第1処理水中の窒素成分量に対して所定の割合となるまで微生物の馴養が行なわれるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の水処理装置。
【請求項4】
微生物の馴養が行なわれる期間の混合水のpHは、7〜9に維持されることを特徴とする請求項3に記載の水処理装置。
【請求項5】
第1処理水のカルシウムイオンの含有濃度は、200〜5000mg/Lであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の水処理装置。
【請求項6】
フッ素成分及び窒素成分を含有する被処理水にカルシウムイオンを添加してフッ化カルシウムを析出させ、フッ素成分を除去して第1処理水を得るフッ素処理工程と、微生物によって生物学的に第1処理水から窒素成分を除去して第2処理水を得る窒素処理工程とを備える水処理方法において、
窒素処理工程は、微生物が担体表面に担持された微生物担持体又は微生物自体が凝集して粒子状に形成された微生物凝集体の何れか一方或いは両方を用いた流動床式処理を行なう工程であって、カルシウムイオンを含有する第1処理水と微生物とを含む混合水のpHをカルシウム塩が析出しない程度に維持しつつ第1処理水から窒素成分を除去することを特徴とする水処理方法。
【請求項7】
混合水のpHを7未満に維持することを特徴とする請求項6に記載の水処理方法。
【請求項8】
第1処理水中の窒素成分量に対して窒素処理工程での微生物量の割合が所定の割合よりも低い場合に、第1処理水よりもカルシウムイオンの含有量が少なく且つ窒素成分を含有する馴養水を第1処理水に代えて用い、窒素処理工程での微生物量が第1処理水中の窒素成分量に対して所定の割合となるまで微生物の馴養を行なうことを特徴とする請求項6又は7に記載の水処理方法。
【請求項9】
微生物の馴養が行なわれる期間の混合水のpHを7〜9に維持することを特徴とする請求項8に記載の水処理方法。
【請求項10】
第1処理水のカルシウムイオンの含有濃度は、200〜5000mg/Lであることを特徴とする請求項6乃至9の何れか1項に記載の水処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−183247(P2011−183247A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48061(P2010−48061)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】