説明

水噴射式圧縮機要素を有する圧縮機装置

圧縮機装置であって、
入口ライン(4)と出口ライン(5)とが接続された水噴射式圧縮機要素、前記入口ライン(4)が接続された空気入口フィルター(13)、前記出口ライン(5)が流れ込む水分離器(6)、およびこの水分離器(6)と圧縮機要素(2)との間の戻りライン(7)を備えた圧縮機装置において、
前記空気入口フィルター(13)が、給水装置に接続された湿式フィルターの形のものであること、
を特徴とする圧縮機装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水噴射式圧縮機要素を有する圧縮機装置に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は、
入口ラインと出口ラインとが接続された水噴射式(water-ejected)圧縮機要素、前記入口ラインが接続された空気入口フィルター、前記出口ラインが流れ込む水分離器、およびこの水分離器と圧縮機要素との間の戻りラインを備えた圧縮機装置、
に関する。
【背景技術】
【0003】
水噴射式圧縮機要素においては、回転部分、特にスクリュー圧縮機要素のスクリューが油ではなく水で潤滑される。この水は、これらの回転部分の間のシール材としても作用し、また確実な冷却を行って、実質的な等温圧縮を可能にする。
【0004】
気体特に空気の湿度は、その温度と圧力との関数である。気体は、圧縮機要素内で、水と混合され、したがって圧縮機要素出口における気体は、常に飽和して湿度100%になっている。
【0005】
このとき、吸い込み気体の絶対湿度と圧縮機要素出口の圧力とに応じて、水噴射式圧縮機要素は水を消費するか、または生成するかである。吸い込み気体の絶対湿度が大きいほど、また出口圧力が大きいほど、消費される水の量は小さい。一方、この圧縮機要素は、入口での絶対湿度が低下し、かつ/または出口圧力が小さくなると、より多くの水を消費する。
【0006】
そのため、水噴射式圧縮機要素を有する公知の圧縮機装置は、必要な場合に水を供給する給水装置をも備えている。
【0007】
通常、戻りラインから供給する必要のある水は、直接、回転要素の間、または圧縮機要素の入口に噴射される。
【0008】
しかし、この水は厳重な要件を満たさなければならない。
【0009】
消費される水は、化学的に純粋な水とする。というのは、通常の水を供給すると、水消費により、残留水中の塩その他の物質の濃度が上昇するからである。そのような濃度上昇が起こると、圧縮機要素特にシールおよび軸受けに損傷が与えられることがある。
【0010】
追加の水の供給または純水の消費により、回路内の水のpH値も変化することがあり、したがってまた、これは腐食を起こしうる。
【0011】
これらの理由により、逆浸透法により水を供給することが知られており、そのため給水装置が割合に高価になる。
【0012】
WO-A-96/21109号明細書によれば、圧縮機要素のあとの水分離器内で分離された水は、イオン化器を通ってこの圧縮機要素に戻される。このイオン化器においては、水溶液中の天然ミネラル、たとえばシリコン、カルシウム、マグネシウム、および鉄が水酸化物の形に変えられてから、電荷が与えられる。
【0013】
水酸化物粒子は同じ極性を有するので、凝集したがって沈殿するのが避けられる。しかし、これらの粒子は一時的に電荷を有するだけなので、イオン化は絶えず繰返さなければならず、したがって再循環水は一分間に数回イオン化器を通してポンプ輸送しなければならない。さらに、沈殿を完全に排除することはできないので、この噴射水もろ過して、残留不純物を除去しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、前記その他の欠点の一つ以上に対する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的に応じて、本発明は、
圧縮機装置であって、
入口ラインと出口ラインとが接続された水噴射式圧縮機要素、前記入口ラインが接続された空気入口フィルター、前記出口ラインが流れ込む水分離器、およびこの水分離器と圧縮機要素との間の戻りラインを備えた圧縮機装置において、
前記空気入口フィルターが、給水装置に接続された湿式(wet)フィルターの形のものであること、
を特徴とする圧縮機装置、
に関する。
【0016】
空気入口フィルター内への水噴射により、空気には同時に加湿と浄化とが行われる。噴射水滴により、不純物が捕らえられ、運び去られるからである。噴射水の一部は、蒸発し、空気流に乗って圧縮機要素に運ばれる。
【0017】
空気入口フィルター内に噴射されたこの水の一部は、水蒸気の形で取り込み気体とともに圧縮機要素にはいるので、この水は化学的に純粋であり、水噴射のための水のミネラルおよび塩の濃度もpHも影響を受けない。
【発明の効果】
【0018】
このタイプの圧縮機装置の一つの利点は、環境大気が乾燥している期間においては、圧縮機要素の吸い込み空気に、脱イオン水または逆浸透装置で純化した水の追加の供給が必要でなくなる程度まで加湿することができる、ということである。
【0019】
本発明の圧縮機装置のもう一つの利点は、割合安価に製造できるということであり、また水噴射なしの従来の空気フィルターに比してかなり高いフィルター効率を示すということである。
【0020】
本発明の圧縮機装置の空気入口フィルターのもう一つの利点は、従来の乾式空気フィルターに比して、圧力低下が小さく、したがって圧縮機効率が高くなるということである。
【0021】
本発明の圧縮機装置のさらにもう一つの利点は、回路内に存在する水の質を低下させることなく、またミネラルその他の物質の付着の増加による圧縮機要素の損傷の危険なしで、水を割合簡単かつ経済的に供給できるということである。
【0022】
さらなる利点は、速度調節圧縮機においては、圧縮機が停止されたときに発生する水撃を吸収するために、空気入口フィルターと圧縮機要素への入口との間に、入口弁またはいわゆる“アンローダー”を配置する必要がない、ということである。というのは、この場合、空気入口フィルターと圧縮機要素との間に配置された入口ラインを通る水撃は、この湿式入口フィルターからの排水ラインに、逃げることができるからである。
【0023】
好ましくは、前記空気入口フィルターは、吸い込み空気が通過する基体(substrate)を収容するハウジングの形のものとされる。この基体は、好ましくは、連続(開放)気泡構造(open cellular structure)の材料、たとえばポリウレタンフォーム、ポリエチレン、または類似の材料の形のものとすべきである。
【0024】
この構造を有する空気入口フィルターにより、水と吸い込み空気との接触面積が増大し、したがって空気が最大限に加湿され、かつ浄化される。
【0025】
本発明の圧縮機装置のもう一つの好ましい特徴は、前記空気入口フィルターに気体流内の水滴を止めるための要素が備えられ、水滴が吸い込み空気内に取り込まれることがないようになっている、ということである。
【0026】
本発明の圧縮機装置の好ましい実施形態においては、前記給水装置は、前記水分離器に接続するラインによって構成される。
【0027】
そのため、この水分離器から供給される水を、この空気入口フィルター内に噴射することにより、使用することができ、したがって追加の水の供給を少なくすることができるという利点が得られる。
【0028】
もう一つの利点は、前記圧縮機装置の空気入口フィルターが、水分離器から供給される純水が周期的に噴霧されるために、自己清掃的に作動する、ということである。
【0029】
本発明のもう一つの好ましい特徴においては、空気入口フィルターへの前記給水装置は、追加の水の供給装置の形のものである。
【0030】
この実施形態は、供給水が水分離器から供給される実施形態と同じ利点を有し、やはり、追加の水を圧縮機装置に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の特徴をさらに十分に示すために、水噴射式圧縮機要素を有する本発明の圧縮機装置の好ましい実施形態を、添付の図面に即して、限定を意図しない単なる例として、説明する。
【0032】
図1は、本発明の圧縮機装置1を示し、該装置は、たとえばスクリュー式圧縮機要素の形の圧縮機要素2を備え、該要素は、モーター3で駆動され、入口ライン4が接続されている。圧縮機要素2の出口には、出口ライン5が接続され、該ラインは水分離器6に流入している。
【0033】
戻りライン7が水分離器6の下側を圧縮機要素2に接続している。この戻りライン7には、冷却装置8が配置され、該装置は、この場合、モーター10で駆動されるファン9によって冷却されるが、それは必ずしも必要ではない。
【0034】
ここで、前記冷却装置8は、他の多くの形、たとえば液-液熱交換器の形をとることもできる。
【0035】
水分離器6の頂部には、圧縮空気の場合に公知のタイプの最小圧力弁11が取りつけられている。この圧力弁は、水分離器内が所定開放圧力になったときに開放され、圧縮空気ライン12が、圧縮気体の供給ネットワークへの供給のために、水分離器に接続される。
【0036】
前記入口ライン4には、空気入口フィルター13が配置され、この場合、該フィルターは空気入口15と前記入口ライン4が接続された空気出口16とを有するハウジング14から成る。このハウジング14内には、基体17が挿入されており、吸い込み空気がこれを通過する。
【0037】
前記空気入口フィルター13は、好ましくは、気体流中に水滴が生じるのを防ぐ要素18または“ミストセパレータ(demister)”、および汚染水のための排水ライン19をも有すべきである。
【0038】
前記基体17と要素18とは、どちらも、好ましくは、連続(開放)気泡構造を有する材料の形、たとえばポリウレタンフォーム、ポリエチレン、または類似の材料の形とすべきである。明らかに、本発明は、基体17と要素18との製造のためにこれらの材料のどれかを使用することに限定されるものではなく、数多くの他の材料を同様に使用することができる。
【0039】
本発明の圧縮機装置1の好ましい実施形態においては、基体17および/または要素18は、一つ以上の静菌剤たとえばナノ銀(nano-silver)を添加した材料から成る。しかし明らかに、これは本発明の必須の要件ではない。
【0040】
ここに示す例の場合、前記基体17は、ハウジング14の底部に配置され、要素18は、このハウジング14の頂部に装入されている。前記空気入口15は、ハウジング14の底部に基体17に対向するように配置されており、空気出口16は、空気入口フィルター13のハウジング14の頂部に要素18に対向するように配置されている。
【0041】
前記空気入口フィルター13は、本発明の場合、給水装置が接続された湿式フィルター(wet filter)の形のものであり、この例では、前記給水装置はライン20の形であり、該ラインの一端は前記水分離器6に接続され、他端は、前記空気入口フィルター13に、スプリンクラー21において接続され、該スプリンクラーは、この空気入口フィルター13に放水し、詳しく言うと、基体17と要素18との間に放水する。
【0042】
水分離器6と空気入口フィルター13との間の前記ライン20には、制御される弁22が配置されている。
【0043】
圧縮機装置1は、追加の水のための供給装置23をも備えており、この装置はまた、この例では、空気入口フィルター13への前記給水装置の部分を構成し、またこの例では、スプリンクラー24を通じて前記空気入口フィルター13に接続されている。
【0044】
前記供給装置23は、主として、たとえば水道水のための供給ライン25から成り、該ラインには、制御される弁26および水フィルター27が取りつけられている。
【0045】
前記水フィルター27は、好ましくは、高級(absolute)水フィルターから成り、5 μmのフィルター等級(rating)を有し、また1000のβ値を有しており、したがって、このフィルターの効率は99.9%である。しかし、必要であれば、本発明においては、普通(nominal)水フィルターを使用することもできる。しかし、後者の効率は、通常、高級水フィルターの効率よりも低い。
【0046】
ここで、β値というのは、周知のように、ろ過前の水流内に存在する所定寸法の粒子の数とろ過後の水流内に存在する同じ寸法の粒子の数との比である。
【0047】
この例の場合、必ずしも必要というわけではないが、追加の水のための前記供給装置23は、さらに、スプリンクラー24内でカルシウム沈着が起こらないようにする水質調節器を備えている。この例の場合、この水質調節器は、二つの強力な永久磁石29および30から成り、これらの磁石は、そのS極をスプリンクラー24の噴霧ノズルに向けて、90゜の角度に配置されている。
【0048】
少なくとも前記スプリンクラー24は、好ましくは、非鉄金属(たとえば、黄銅またはCuNi)で作る。すると、ノズル内の水は、常に、磁場内にあり、カルシウム沈着はこのスプリンクラー24内では起こりえない。好ましくは、スプリンクラーの一つまたは両方21および/または24は、沈着を防ぐために孔ではなくスロット形の開口を有するいわゆる“平坦ジェット(flat jet)スプリンクラー”の形のものとする。
【0049】
好ましくは、前記スプリンクラー21および24は、どちらも空気入口フィルター13のハウジング14に、詳しく言うと、基体17と要素18との間に接続され、またどちらもさびない非鉄金属で作られる。やはり好ましくは、これらのスプリンクラー21および24はどちらも、内部フィルターを有して、非常に細いノズルが目詰まりするのが防がれるようにする。
【0050】
好ましい実施形態においては、前記スプリンクラー21および24は、7 bar(7000 hPa)の圧力において、一時間あたり0.9Lの水が放出されるタイプのものとする。しかし、明らかに、スプリンクラー21および24は、このようなものに限定されず、多くの他のタイプのものを使用することができる。
【0051】
本発明の圧縮機装置1は、また、この例の場合、図には示さない水位調節器をも備えている。この水位調節器は、水分離器6のそれぞれ水位AおよびBに配置された最低および最高水位センサーに接続され、また前記制御される弁22および26に接続されている。
【0052】
本発明の圧縮機装置の動作は、非常に簡単であり、図2および3に示すようである。
【0053】
圧縮機要素2がモーター3によって駆動されると、空気入口フィルター13および入口ライン4を通って、空気が吸い込まれる。次に、圧縮機要素2によって圧縮され、出口ライン5を通って、水分離器6に運ばれる。次に、空気は最小圧力弁11を通って圧縮空気ライン12に送られる。
【0054】
前記水分離器6によって圧縮空気から分離された水は、冷却装置8を通って戻りライン7を送られ、次に、圧縮機要素2内に噴射されて、圧縮機要素2の回転部分の潤滑および冷却が行われる。
【0055】
図2に示す状態では、水分離器6内の水位は所定の最高水位Aにある。これは、前記最高水位センサーによって検出され、信号が水位調節器に送られる。この調節器は信号に応答して、弁22を開放し、その結果、水分離器6内に蓄積された圧力の作用下で、水がライン20を通してスプリンクラー21に強制的に送られ、空気入口フィルター13内に噴射される。
【0056】
下方に飛び散った水滴は、気泡質基体17に加湿し、この基体17を通って、排水ライン19まで落下する。その結果、基体17は完全に濡れることになる。上方に飛び散った水滴は、やはり気泡構造を有する要素18によって止められ、その結果、この要素18の下部のみが濡れるだけで、水滴が入口ライン4内に進入するのが防がれる。
【0057】
空気入口15を通って空気入口フィルター13にはいる吸い込み空気は、基体17を落下する水滴と逆向きに流れ、その結果、この空気は、水滴によって浄化され、加湿される。
【0058】
これらの水滴の大部分は、基体17に集められたほこり粒子とともに、排水ライン19を通って運び去られるが、これらの水滴の一部は蒸発して、空気流にはいる。
【0059】
ろ過され、加湿された空気流は、要素18を通って空気入口フィルター13の空気出口16に流れ、次に、圧縮機要素2によって入口ライン4から吸い込まれる。該要素において、噴射された水とともに圧縮され、圧縮された空気と水の混合物は、出口を通って、圧縮機要素2から水分離器6に運ばれる。
【0060】
圧縮気体は、最終的には、水分離器6上の前記最小圧力弁11を通って、圧縮空気ライン12に送られる。これは、場合によっては、水分離器6の圧縮空気出口が接続された、図には示さない凍結乾燥機またはサイクロン水分離器を通るように、なされる。
【0061】
前記凍結乾燥機またはサイクロン水分離器を使用する場合、必要であれば、たとえば圧縮機要素2の入口に、戻りラインを取りつけることができる。
【0062】
圧縮空気ライン12を通じて圧縮空気とともに送出される水蒸気が入口ライン4からはいる吸い込み空気から取り込まれるものよりも多い場合、すなわち水が消費される場合、水分離器6内の水位が低下する。
【0063】
これは、たとえば冬季に、周囲大気の絶対湿度が2 g/kg以下のときに、起こる。
【0064】
この場合、図3に示すように、水分離器6内で所定の最低水位Bに達すると、ただちに、追加の水のための給水装置23が、水位調節器が弁26を開放することにより、作動させられ、このとき、水分離器6と空気入口フィルター13との間のライン20の弁22は閉じられる。
【0065】
供給ライン25から供給される追加の水は、まず水フィルター27を通過し、その結果、この追加の水に含まれうる異物をろ過除去することができる。
【0066】
しかし、供給される水にミネラルたとえばカルシウムイオンも含まれうる。そのようなイオンは、水フィルター27を通過することができ、スプリンクラー24内に沈着し、目詰まりを起こす。
【0067】
この問題の解決のために、カルシウム沈着が起こらないようにする水質調節器を使用することができ、この水質調節器は、好ましくは前記タイプのものであって、磁場を生成し、この磁場は、カルシウムシオンがある時間間隔にわたって付着できないように、カルシウムイオンに作用し、その結果、スプリンクラー24はカルシウム沈着から守られる。
【0068】
次に、追加の水はスプリンクラー24を通って空気入口フィルター13内に噴射され、すると、基体17が、前記説明と同様の仕方で加湿され、空気が、水滴により、浄化され、加湿される。
【0069】
それでもまだ噴射水内に存在する異物とミネラルは、蒸発することができず、基体17または要素18の下側面に付着する。異物粒子の一部は、水滴によって溶かされ、排水ライン19に運び去られる。
【0070】
要素18は、前記説明と同様の仕方で水滴を止めるので、入口ライン4内に出て行く空気は水滴を含まず、空気と水蒸気のみから成る。
【0071】
弁26を通しての追加の水の供給により、図4に示すように、水分離器6内の水位Lが上昇して、最高水位Aに達する。すると、供給装置23の弁26がふたたび閉じられ、弁22がふたたび開放される。
【0072】
弁22および26を制御することにより、たいていの場合にそうであるように、吸い込み空気内に供給圧縮空気内よりも多くの水蒸気が含まれるときには、水分離器6内の水位Lの上昇は、図4の上段のグラフに模式的に示すように、その低下よりも高速で起こる。
【0073】
追加の水が供給装置23により供給ライン25を通して供給されているとき、水分離器6からの連続的な水損失はない。その結果、水分離器6内の水位Lが上昇する。
【0074】
空気入口フィルター13による吸い込み入口空気の過剰な加湿により、急速に最高水位Aに達する。追加の水が空気入口フィルター13内に送られる時間は限られているので、たとえば供給ネットワークによる水の消費も限られている。
【0075】
水分離器6内の最高水位Aに達すると、供給装置23の弁26が閉じられ、ライン20の弁22が開放される。
【0076】
弁22が開いている時間は、この例の場合、図4の中段のグラフDに示すように、弁22が閉じている時間よりもかなり長く、また逆に、図4の下段のグラフEに示すように、弁26の開放位置はその閉鎖位置よりも短時間しか維持されない。弁22および26の開放および閉鎖位置は、それぞれ、O(開放)およびC(閉鎖)で示してある。
【0077】
これに対して、厳しい冬季において通常そうであるように、入口空気の絶対湿度が供給圧縮空気の絶対湿度よりも低い場合、供給装置23による給水のより多くの消費が起こる。
【0078】
その結果、図5の中段のグラフFで示すように、弁22が開いている時間は、短くなる。というのは、水分離器6からのスプリンクラー21への水の連続的な漏出に加えて、入口空気の低絶対湿度による連続的水消費により、図5の上段のグラフで示すように、水分離器6内の水位がより急速に最低水位Bに達するからである。
【0079】
これに対して、弁26が開いている時間は、図5の下段のグラフGに示すように、長くなる。というのは、入口空気の極端に低い絶対湿度のために水分離器6による水の連続消費を、補償しなければならないからである。この時間中、追加の水の消費は、非冬季中におけるよりも大きくなる。
【0080】
これは、主として、冬季に凍結が起こる天気を経験する国々で起こる。赤道に近いほど、この状況は起こりにくくなる。というのは、赤道に近づくほど、大気の絶対湿度が高くなるからである。
【0081】
本発明による圧縮機要素1は、添付の図面に示す実施形態のみには限定されない。この圧縮機要素においては、空気入口フィルター13への前記給水がライン20および供給装置23によって与えられる。本発明においては、この空気入口フィルター13への給水がこれらの機構のうち一つだけによってなされるようにすることも可能である。
【0082】
本発明においては、水分離器6に対して、最低水位Bよりも低い位置にもう一つの水位センサーを取りつけ、前記モーター3を制御する制御機構に接続することも排除されない。このようにすると、極端に多くの水が消費され、給水がこの消費を補償するのに十分でないか、あるいは最低水位センサーが故障した場合、圧縮機要素2のスイッチを切ることができる。
【0083】
すべての実施形態において、スクリュー式圧縮機要素1内のミネラルおよび塩の付着の問題は、簡単かつ経済的な方法で避けられ、高い容積効率が得られる。回路内の水の質は、一定のままであり、水が消費されているときの追加の水の供給によっては変化しない。
【0084】
追加の供給水の質は重要でない。というのは、水蒸気したがって化学的に純粋の水しかスクリュー式圧縮機要素1に進入しないからである。これは、圧縮機装置が、純水が使用できない場所に設置されるときに、特に重要なことになりうる。
【0085】
本発明の特別な特徴により、圧縮機装置は、圧縮機が停止したときに起こる水撃を吸収するための入口弁またはいわゆる“アンローダー”を備えていない。
【0086】
本発明は、添付の図面に示し、上で説明した実施形態のみに限定されるものではない。水噴射圧縮機要素を有する本発明の圧縮機装置は、本発明の範囲を逸脱することなく、いくつかの異なる実施形態として具体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の圧縮機装置の概略図である。
【図2】図1の圧縮機装置の動作を示す図である。
【図3】図1の圧縮機装置の動作を示す図である。
【図4】図1の圧縮機装置の動作時に行われる調節を示すグラフであり、吸い込み空気に十分な水蒸気が含まれている通常の場合を示す。
【図5】図1の圧縮機装置の動作時に行われる調節を示すグラフであり、吸い込み空気に非常に少ししか水蒸気が含まれていない場合、たとえば厳しい冬の天気の場合を示す。
【符号の説明】
【0088】
1 圧縮機装置
2 圧縮機要素
3 モーター
4 入口ライン
5 出口ライン
6 水分離器
7 戻りライン
8 冷却装置
9 ファン
10 モーター
11 最小圧力弁
12 圧縮空気ライン
13 空気入口フィルター
14 ハウジング
15 空気入口
16 空気出口
17 基体
18 ミストセパレータ
19 排水ライン
20 ライン
21 スプリンクラー
22 制御される弁
23 供給装置
24 スプリンクラー
25 供給ライン
26 制御される弁
27 水フィルター
29 永久磁石
30 永久磁石
L 水位
A 最高水位
B 最低水位
O 開放
C 閉鎖
D グラフ
E グラフ
F グラフ
G グラフ
t 時刻

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機装置であって、
入口ライン(4)と出口ライン(5)とが接続された水噴射式圧縮機要素、前記入口ライン(4)が接続された空気入口フィルター(13)、前記出口ライン(5)が流れ込む水分離器(6)、およびこの水分離器(6)と圧縮機要素(2)との間の戻りライン(7)を備えた圧縮機装置において、
前記空気入口フィルター(13)が、給水装置に接続された湿式フィルターの形のものであること、
を特徴とする圧縮機装置。
【請求項2】
当該空気入口フィルター(13)が、空気入口(15)と、当該入口ライン(4)が接続された空気出口(16)とを有するハウジング(14)の形のものであり、このハウジング(14)内に、吸い込み空気が通過する基体(17)が装入されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機装置。
【請求項3】
当該基体(17)が連続(開放)気泡構造を有する材料から成ることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機装置。
【請求項4】
当該基体(17)が、ポリウレタンフォーム、ポリエチレン、または類似の材料で作られることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機装置。
【請求項5】
当該基体(17)が、一つ以上の静菌剤を添加した材料から成ることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機装置。
【請求項6】
当該基体(17)が、ナノ銀を添加した材料から成ることを特徴とする請求項5に記載の圧縮機装置。
【請求項7】
当該空気入口フィルター(13)が、気体流内の水滴を止める要素(18)を備えて、水滴が吸い込み空気に取り込まれることが防がれるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機装置。
【請求項8】
当該要素(18)が連続(開放)気泡構造を有する材料から成ることを特徴とする請求項7に記載の圧縮機装置。
【請求項9】
当該要素(18)が、ポリウレタンフォーム、ポリエチレン、または類似の材料から成ることを特徴とする請求項7に記載の圧縮機装置。
【請求項10】
当該要素(18)が、一つ以上の静菌剤を添加した材料から成ることを特徴とする請求項7に記載の圧縮機装置。
【請求項11】
当該要素(18)が、ナノ銀を添加した材料から成ることを特徴とする請求項10に記載の圧縮機装置。
【請求項12】
当該空気入口フィルター(13)が汚染水のための排水ライン(19)を備えていることを特徴とする請求項1から11の中のいずれか一つに記載の圧縮機装置。
【請求項13】
当該給水装置が、当該水分離器(6)に接続されたライン(20)の形のものであることを特徴とする請求項1から12の中のいずれか一つに記載の圧縮機装置。
【請求項14】
水分離器(6)と空気入口フィルター(13)との間の当該ライン(20)に、制御される弁(22)が配置されることを特徴とする請求項13に記載の圧縮機装置。
【請求項15】
当該給水装置が、追加の水の供給装置(23)の形のものであることを特徴とする請求項1から14の中のいずれか一つに記載の圧縮機装置。
【請求項16】
当該追加の水の供給装置(23)が、制御される弁(26)と水フィルター(27)とを備えていることを特徴とする請求項15に記載の圧縮機装置。
【請求項17】
追加の水の供給装置(23)の当該水フィルター(27)が高級水フィルターから成ることを特徴とする請求項16に記載の圧縮機装置。
【請求項18】
当該追加の水の供給装置(23)が、さらに、カルシウム沈着が起こらないようにする水質調節器を備えていることを特徴とする請求項16または17に記載の圧縮機装置。
【請求項19】
当該水質調節器が二つの永久磁石(29と30)を備えていることを特徴とする請求項18に記載の圧縮機装置。
【請求項20】
当該永久磁石(29と30)が、当該追加の水の供給装置(23)を当該空気入口フィルター(13)に接続するスプリンクラー(24)の噴霧ノズルにS極が向くように、90゜の角度に配置されることを特徴とする請求項19に記載の圧縮機装置。
【請求項21】
当該スプリンクラー(24)が非鉄金属で作られていることを特徴とする請求項20に記載の圧縮機装置。
【請求項22】
当該スプリンクラー(24)が、スロット形の開口を有する平坦ジェットスプリンクラーの形のものであることを特徴とする請求項20または21に記載の圧縮機装置。
【請求項23】
水位調節器を備え、該調節器が、一方では水分離器(6)内の最低および最高水位センサーに接続されており、他方では当該制御される弁(22と26)に接続されていることを特徴とする請求項14または16に記載の圧縮機装置。
【請求項24】
圧縮機(2)が停止されたときの水撃を吸収するための入口弁を備えていないことを特徴とする請求項1から23の中のいずれか一つに記載の圧縮機装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−517585(P2009−517585A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542564(P2008−542564)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【国際出願番号】PCT/BE2006/000126
【国際公開番号】WO2007/079551
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(593074329)アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ (45)
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
【Fターム(参考)】