説明

水性分散液、及びそのシート状基材の製造のための使用方法

(A)少なくとも一種のポリウレタン、
(B)少なくとも一種の一般式IaまたはIbの化合物:
【化1】


[但し式中、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、A−NCOとA−NH−CO−Xから選ばれ、式中Aは、2〜20個の炭素原子を有するスペーサーであり、Xは、O(AO)から選ばれ、AOは、C−C−アルキレンオキシドであり、
xは、1〜50の範囲の整数であり、またRは、水素とC−C30−アルキルから選ばれる]、及び
(C)少なくとも一種の反応性基を有するシリコーン化合物を含むことを特徴とする水性分散液、及びそのシート状基材の製造のための使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
(A)少なくとも一種のポリウレタン、
(B)少なくとも一種の一般式Ia又はIbの化合物:
【0002】
【化1】

【0003】
[但し、式中、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、
−NCOとA−NH−CO−Xから選ばれ、式中
は、2〜20個の炭素原子を有するスペーサーであり、
Xは、O(AO)から選ばれ、
AOは、C−C−アルキレンオキシドであり、
xは、1〜50の範囲の整数であり、また
は、水素とC−C30−アルキルから選ばれる]、及び
(C)少なくとも一種の反応性基を有するシリコーン化合物を含む水性分散液に関する。
【背景技術】
【0004】
シリコーン含有水性分散液は、いろいろな用途を有する。したがって、これらは、例えばシート状基材の、具体的には織物や皮革の撥水処理に用いられている。一つの具体的な用途は、例えばWO05/47549に開示されている逆ロール被覆法を用いた皮革の被覆である。皮革上に被覆された最上層は、触覚的な性質に決定的な役割をはたす。
【0005】
DE20 2006 007 957U1は、中心径が3μm〜13μmである粒子を含むシリコーン分散液を、被覆すべき皮革に逆ロール被覆法で最上層として被覆されるポリウレタン分散液に添加することにより、化粧皮革が製造可能であることを開示している。このように被覆された皮革の堅牢性、特に恒久手触り堅牢性は、さらに改善可能である。また、これら化粧皮革の使用性能もさらに改善可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO05/47549
【特許文献2】DE20 2006 007 957U1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、基材の被覆に、特に逆ロール被覆法により被覆に好適なシリコーン分散液を提供することである。もう一つの目的は、堅牢性、特に摩擦堅牢性に優れ、また手触りに優れた被覆基材を提供することである。さらにもう一つの目的は、上記の被覆基材が得られ、有利に実施できる被覆基材の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この結果、冒頭に定義した水性分散液が見出された。
【0009】
本発明の水性分散液は、(A)少なくとも一種のポリウレタンを含む。本発明においては、これをポリウレタン(A)と表示する。
【0010】
ポリウレタン(A)は、好ましくは熱可塑性ポリウレタンである。熱可塑性ポリウレタン(短縮してTPUと呼ぶこともある)やこれらの分散物は公知である。
【0011】
ポリウレタン(A)は、一般的には公知で、市販されており、一般的には、比較的高分子量のポリヒドロキシ化合物を含む、例えばポリエステルセグメントまたはポリエーテルセグメントを含む軟質相と、低分子量の鎖延長剤とジイソシアネートまたはポリイソシアネートから形成される硬質ウレタン相とからなる。
【0012】
ポリウレタン(A)の製造方法は一般的には公知である。一般に、ポリウレタン(A)は、
(a)イソシアネート、好ましくはジイソシアネートを、
(b)分子量(Mw)が500〜10000g/mol、好ましくは500〜5000g/mol、特に好ましくは800〜3000g/molであるイソシアネート反応性の化合物、及び
(c)分子量が50〜499である鎖延長剤と、必要に応じて、
(d)触媒
(e)及び/又は通常用いられる添加物の存在下で反応させることにより製造される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、好ましいポリウレタン(A)を製造するための出発材料と製造方法を例示する。ポリウレタンの製造の際に通常用いられる成分である(a)、(b)、(c)、および必要に応じて(d)及び/又は(e)の例を、以下に述べる:
用いるイソシアネート(a)は、一般的には既知の脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族イソシアネートであり、例えば、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブチレン1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、ブチレン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−及び/又は1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート及び/又はジシクロヘキシルメタン4,4’−、2,4’−および2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’−、2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネートである。4,4’−MDIの使用が好ましい。脂肪族のジイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)もまた好ましく、また芳香族ジイソシアネート、例えばジフェニルメタン2,2’−、2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)や上述の異性体の混合物が特に好ましい。
【0014】
公知のイソシアネートに反応性の化合物が、(b)イソシアネートに反応性の化合物として使用可能であり、例えば、分子量(Mw)が500〜8000g/molの範囲、好ましくは600〜6000g/mol、特に800〜3000g/molの範囲であり、好ましくはイソシアネート類に対する平均官能基数が1.8〜2.3、好ましくは1.9〜2.2、特に2であるポリエステルオール類、ポリエーテルオール類及び/又はポリカーボネートジオール類(これらは、一括して「ポリオール類」と呼ばれる)があげられる。ポリエーテルポリオール類が、例えば公知の出発物質と通常のアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド及び/又は1,2−ブチレンオキシドとに由来のものが好ましく用いられ、ポリオキシテトラメチレン(ポリ−THF)、1,2−プロピレンオキシドおよびエチレンオキシド由来のポリエーテルオール類が好ましく用いられる。ポリエーテルオールは、ポリエステルオールより加水分解に対する安定性が高いという長所を有し、特に軟質ポリウレタン(A1)の製造用に成分(b)として好ましく用いられる。
【0015】
ポリカーボネートジオールとしては、特に脂肪族のポリカーボネートジオールが、例えば1,4−ブタンジオールポリカーボネートや1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートがあげられる。
【0016】
言及可能なポリエステルジオールは、少なくとも一種の第一級ジオール、好ましくは少なくとも一種の第一級の脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールまたは特に好ましくは1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン(異性体混合物としての)または少なくとも2種の上述のジオール類の混合物を一成分とし、少なくとも一種のジカルボン酸、好ましくは少なくとも2種のジカルボン酸、またはこれらの無水物を他成分として、重縮合で製造可能なものである。好ましいジカルボン酸は、アジピン酸やグルタル酸、コハク酸などの脂肪族ジカルボン酸と、フタル酸、特にイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸である。
【0017】
ポリエーテルオールは、好ましくは、高活性な触媒の存在下で、アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはこれらの混合物を、エチレングリコールや1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールなどのジオール類、あるいはグリセロールなどのトリオール類に付加反応させることにより製造される。このような高活性触媒としては、例えば水酸化セシウムや二金属シアン化物触媒(DMC触媒と表すこともある)があげられる。よく用いられるDMC触媒はヘキサシアノコバルト酸亜鉛である。このDMC触媒は、反応後もポリエーテルオール中に残存してもよいが、例えば沈降または濾過により取り除くことが好ましい。
【0018】
ポリオールに代えて、異なる複数のポリオールの混合物を用いることもできる。
【0019】
分散性を改善するために、カルボキシル基またはスルホ基を有する一種以上のジオールまたはジアミン(b’)の、特に1,1−ジメチロールブタン酸、1,1−ジメチロールプロピオン酸または
【0020】
【化2】


のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を、イソシアネートに反応性の化合物(b)の量に比例して用いることもできる。
【0021】
用いる鎖延長剤(c)は、分子量が50〜499g/molで少なくとも2種の官能基を持つ公知の脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式化合物であり、好ましくは分子中に正確に二個の官能基を有する化合物類、例えばジアミン及び/又はアルキレン基中に2〜10個の炭素原子を有するアルカンジオールであり、特に1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び/又は一分子中に3〜8個の炭素原子を有するジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−、オクタ−、ノナ−及び/又はデカアルキレングリコールであり、好ましくはオリゴ−及び/又はポリプロピレングリコールに相当するものであり、また鎖延長剤(c)として混合物を用いることも可能である。
【0022】
成分(a)〜(c)は、特に好ましくは二官能性化合物であり、すなわちジイソシアネート(a)、二官能性ポリオール、好ましくはポリエーテルオール(b)、と二官能性鎖延長剤、好ましくはジオールである。
【0023】
特にジイソシアネート(a)のNCO基と、合成成分(b)と(c)のヒドロキシル基の間の反応を促進する好適な触媒(d)は、トリエチルアミンやジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N’−ジメチルピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(「DABCO」)及び類似の第三級アミンなどの公知の第三級アミン、及び、特に、チタン酸エステル、鉄(III)アセチルアセトネートなどの鉄化合物、およびスズジアセテートやジオクタン酸スズ、スズジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレートなどの脂肪族カルボン酸のジアルキル錫塩などのスズ化合物などの有機金属化合物である。これらの触媒は、通常、100質量部の成分(b)に対して0.0001〜0.1質量部の量で使用される。
【0024】
触媒(d)に加えて、助剤及び/又は添加物(e)を成分(a)〜(c)に加えてもよい。これらの例としては、発泡剤や粘着防止剤、表面活性物質、増量剤(例えばナノ粒子系の増量剤、特にCaCO系の増量剤)、さらに核剤、潤滑剤、染料と顔料、抗酸化剤、例えば加水分解、光分解、熱分解または変色防止用の抗酸化剤、無機及び/又は有機増量剤、強化剤、可塑剤、金属不活性化剤があげられる。ある好ましい実施態様においては、この成分(e)が、高分子量および低分子量のカルボジイミドなどの加水分解安定剤をも含んでいる。この軟質ポリウレタンは、好ましくは、トリアゾール及び/又はトリアゾール誘導体と抗酸化剤を、その軟質ポリウレタンの全質量に対して0.1〜5質量%の量で含んでいる。好適な抗酸化剤は、保護すべきプラスチック内での望ましくない酸化反応を阻害または防止する一般的な物質である。一般に、抗酸化剤は市販されている。抗酸化剤の例としては、立体障害性フェノール類(ヒンダードフェノール類)、芳香族アミン類、チオ協力剤、三価リンの有機リン化合物、立体障害性アミン光安定剤(ヒンダードアミン光安定剤)があげられる。立体障害性フェノールの例は、プラスチック添加物ハンドブック、第5版、H. Zweifel、ed、Hanser Publishers、Munich、2001 ([1])、pages 98-107 and page 116 - page 121.に記載されている。芳香族アミンの例は、文献[1]の107〜108頁に記載されている。チオ共力剤(thiosynergists)の例は、文献[1]の104〜105頁と112〜113頁に記載されている。亜リン酸塩の例は、文献[1]の109〜112頁に記載されている。ヒンダードアミン光安定剤の例は、文献[1]の123〜136頁に記載されている。フェノール性抗酸化剤を抗酸化剤混合物中に用いることが好ましい。ある好ましい実施態様においては、これらの抗酸化剤の、特にフェノール性抗酸化剤のモル質量が、350g/molを超え、特に好ましくは700g/molを超え、最大モル質量(Mw)が10000g/molを超えない、好ましくは3000g/molを超えない。また、これらの融点が180℃を超えないことが好ましい。また、非晶質または液体の抗酸化剤の使用が好ましい。2種以上の抗酸化剤の混合物を成分(e)として用いることもできる。
【0025】
上記の成分(a)と(b)と(c)、および必要に応じて(d)と(e)に加えて、連鎖移動剤(連鎖停止剤)で通常分子量が31〜3000g/molであるものを用いることができる。このような連鎖移動剤は、イソシアネートに反応性の官能基を一つだけ有する化合物であり、例えば、単官能性アルコール、単官能性アミン及び/又は単官能性ポリオールである。これらの連鎖移動剤を使用することにより、特に軟質ポリウレタンの場合に、流動挙動を望ましい状態に設定することができる。連鎖移動剤は、一般に、100質量部の成分(b)に対して、0〜5質量部の量で、好ましくは0.1〜1質量部の量で用いられ、定義上成分(c)に含められる。
【0026】
上記の成分(a)と(b)と(c)、および必要に応じて(d)と(e)に加えて、イソシアネートに反応性の2種以上の基を有する架橋剤を、例えばヒドラジン水和物を、合成反応の終わりに向けて添加することができる。ポリウレタン(A)の硬度を確立するために、成分(b)と(c)を、比較的広いモル比で選ぶことができる。成分(b):用いるすべての鎖延長剤(c)のモル比が、10:1〜1:10であることが、特に1:1〜1:4であることが、有用であることが明らかとなっており、(c)含量の増加により、軟質ポリウレタンの硬度が増加する。ポリウレタン(A)の製造反応は、0.8〜1.4:1の比率で、好ましくは0.9〜1.2:1、特に好ましくは1.05〜1.2:1の比率で実施される。この比率は、反応に用いられる成分(a)のイソシアネート基の、イソシアネートに対して反応性の基の比率、すなわち成分(b)及び必要に応じて成分(c)の活性水素と、また必要に応じてモノアルコール類のような鎖重合停止剤であるイソシアネートに反応性の単官能性成分に対する比率で定義される。
【0027】
ポリウレタン(A)の製造は、公知のプロセスで、例えばワンショットプロセスまたはプレポリマープロセスにより連続的に行うもともできるし、公知のプレポリマープロセスで回分式に行うことができる。これらのプロセスにおいて、反応に用いられる上記の成分(a)と(b)と(c)、および必要に応じて(d)及び/又は(e)を、相互に続けてあるいは同時に混合して、反応を直ちに開始させることができる。
ポリウレタン(A)は、公知の方法により水中に分散することができ、例えばポリウレタン(A)をアセトンに溶解しあるいはポリウレタン(A)をアセトン溶液とし、水を加え、次いでアセトンを、例えば蒸留により除くことで水中に分散することができる。ある変形例では、ポリウレタン(A)をN−メチルピロリドンまたはN−エチルピロリドンの溶液として調整し、水を加え、N−メチルピロリドンまたはN−エチルピロリドンを除去する。
【0028】
本発明のある実施態様においては、本発明の水性分散液は、二種の異なるポリウレタン(A1)と(A2)を有し、このうちポリウレタン(A1)は、上述のようなポリウレタン(A)の組成をもついわゆる軟質ポリウレタンであり、ポリウレタン(A2)は少なくとも一種の硬質ポリウレタンである。
【0029】
硬質ポリウレタン(A2)は、原理的には軟質ポリウレタン(A1)と同様に製造されるが、他のイソシアネートに反応性の化合物(b)または他のイソシアネートに反応性の化合物(b)の混合物が、本発明で規定するように、イソシアネートに反応性の一種以上の化合物(b2)として選ばれる。化合物(B2)の例としては、特に、1,4−ブタンジオールや1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールが、相互混合物としてあるいはポリエチレングリコールとの混合物としてあげられる。
【0030】
本発明のある変形例においては、ジイソシアネートの混合物が、例えばHDIとIPDIの混合物がジイソシアネート(a)と(a2)として選ばれる場合、硬質ポリウレタン(A2)の製造では、軟質ポリウレタン(A1)の製造より多い量のIPDIが選ばれる。
【0031】
本発明のある実施態様においては、ポリウレタン(A2)のDIN53505に準じて3秒後に求めたショア硬度Aが、60を超えて100未満の範囲にある。
【0032】
本発明のある実施態様においては、ポリウレタン(A)のレーザー光散乱で求めた平均粒子径が、100〜300nmの範囲に、好ましくは120〜150nmの範囲にある。
【0033】
本発明のある実施態様においては、軟質ポリウレタン(A1)のレーザー光散乱により求めた平均粒子径が、100〜300nmの範囲に、好ましくは120〜150nmの範囲にある。
【0034】
本発明のある実施態様においては、ポリウレタン(A2)のレーザー光散乱により求めた平均粒子径が、100〜300nmの範囲に、好ましくは120〜150nmの範囲にある。
【0035】
本発明の水性分散液は、さらに(B)一般式IaまたはIbの化合物(本発明においては短縮して化合物(B)と称す)を含んでいる。
【0036】
【化3】

【0037】
式中、R、R及びRは、異なっていてもよく、好ましくは同一であり、A−NCOとA−NH−CO−Xから選ばれ、式中、
は、2〜20個の炭素原子を有するスペーサーであり、非置換又は1〜4個のC−C−アルキル基で置換されたアリーレン、アルキレン、及び1,4−シクロヘキシレンなどのシクロアルキレンから選ばれる。好ましいスペーサーAは、フェニレン、特にパラフェニレン、さらに好ましくはトリレン、特にパラトリレン、及びエチレン(CHCH)や−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−(CH12−などのC−C12−アルキレンである。
Xは、O(AO)から選ばれる。式中、
AOは、C−C−アルキレンオキシド、例えばブチレンオキシド、特にエチレンオキシド(CHCHO)またはプロピレンオキシド(CH(CH)CHO)または(CHCH(CH)O)であり、
xは、1〜50の範囲の、好ましくは5〜25の範囲の整数であり、
は、水素、C−C30−アルキル、特にC−C10−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシルから選ばれ、特に好ましくはC−C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチルから選ばれる。
【0038】
特に好ましい化合物(B)は、RとRとRが、いずれの場合も(CH−NCO、(CH−NCOまたは(CH12−NCOであるものである。
【0039】
本発明の水性分散液は、いずれの場合も、さらに(C)反応性基を有するシリコーン化合物(本発明においてシリコーン化合物(C)と称する)を含んでいる。
【0040】
シリコーン化合物(C)の反応性基の例としては、カルボキシル基や、カルボン酸メチルなどのカルボン酸誘導体、特に無水コハク酸基などのカルボン酸無水物があげられ、特にカルボキシル基が好ましい。
【0041】
反応性基の他の例としては、第一級アミノ基と第二級アミノ基、例えばNH(iso−C)基、NH(n−C)基、NH(シクロ−C11)基、NH(n−C)基があげられ、特にNH(C)基とNH(CH)基が好ましく、NH基が極めて好ましい。
【0042】
アミノアルキルアミノ基、例えば、−NH−CH−CH−NH基、−NH−CH−CH−CH−NH基、−NH−CH−CH−NH(C)基、−NH−CH−CH−CH−NH(C)基、−NH−CH−CH−NH(CH)基、及び−NH−CH−CH−CH−NH(CH)基がさらに好ましい。この一つ以上の反応性基は、シリコーン化合物(C)に、直接結合しているか、好ましくはスペーサーAを解して結合している。Aは、非置換又は1〜4個のC1−C4アルキル基で置換されたアリーレン、アルキレン、1,4−シクロヘキシレンなどのシクロアルキレンから選ばれる。好ましいスペーサーAは、フェニレン、特にパラフェニレン、さらにトリレン、特にパラトリレン、およびC−C18−アルキレン、例えば、エチレン(CHCH)、更に−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−(CH12−、−(CH14−、−(CH16−、及び−(CH18−である。
【0043】
反応性基に加えて、シリコーン化合物(C)は、非反応性基を含み、特にジ−C−C10−アルキル−SiO基またはフェニル−C−C10−アルキル−SiO基、特にジメチル−SiO基を含み、必要に応じて、一個以上のSi(CH−OH基またはSi(CH基を含んでいる。
【0044】
本発明のある実施態様においては、シリコーン化合物(C)は、平均して分子内に1〜4個の反応性基を有している。
【0045】
本発明のある具体的な実施態様においては、シリコーン化合物(C)が、分子内に平均して1〜4個のCOOH基を有している。
【0046】
本発明のもう一つの具体的な実施態様においては、シリコーン化合物(C)は、分子内に平均して1〜4個のアミノ基またはアミノアルキルアミノ基を有している。
【0047】
シリコーン化合物(C)は、鎖中または分岐状に配置されたSi−O−Si単位を有している。
【0048】
本発明のある実施態様においては、シリコーン化合物(C)は、500〜10000g/molの範囲の、好ましくは最高5000g/molの分子量Mnを有している。
【0049】
シリコーン化合物(C)が分子内に複数の反応性基を有する場合、これらの反応性基は、−直接的にまたはスペーサーAを介して−複数のSi原子を介してまたは同一のSi原子を介して対となってSi−O−Si鎖に結合していてもよい。
【0050】
この一個以上の反応性基が、シリコーン化合物(C)の末端Si原子の一個以上に−直接的にまたはスペーサーAを介して−結合していてもよい。もう一つの本発明の実施態様においては、この一個以上の反応性基が、シリコーン化合物(C)の一個以上の非末端Si原子に−直接的にまたはスペーサーAを介して−結合している。
【0051】
本発明のある実施態様においては、本発明の水性分散液は、
(D)アミノ基もCOOH基も含まないポリジ−C−C−アルキルシロキサン、好ましくはポリジメチルシロキサン(本発明においては、短縮してポリジアルキルシロキサン(D)及びポリジメチルシロキサン(D)と呼ぶ)を含んでいる。
【0052】
ポリジアルキルシロキサン(D)中のC−C−アルキルは、異なっていてもよく、好ましくは同一であり、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルから選ばれ、直鎖C−C−アルキルが好ましく、メチルが特に好ましい。
【0053】
ポリジアルキルシロキサン(D)、好ましくはポリジメチルシロキサン(D)は、好ましくはSi−O−Si鎖を有する直鎖状ポリシロキサンまたは分子当たり最高で3つの分枝をもつポリシロキサンであり、好ましくは多くとも一つの分枝を有するポリシロキサンである。
【0054】
ポリジアルキルシロキサン(D)、特にポリジメチルシロキサン(D)は、一個以上のSi(C−C−アルキル)−OH基を有していてもよい。
【0055】
本発明のある実施態様においては、本発明の水性分散液は、
合計で20〜30質量%の範囲のポリウレタン(A)または合計で20〜30質量%の範囲のポリウレタン(A1)と(A2)と、
1〜10質量%の範囲、好ましくは2〜5質量%の範囲の化合物(B)と、
1〜10質量%の範囲のシリコーン化合物(C)と、
0〜5質量%の範囲、好ましくは2〜4質量%の架橋剤(D)と、
0〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%のポリジアルキルシロキサン(D)とを含んでいる。
【0056】
いずれの場合も、質量%の値は、活性物質または固形分を示し、本発明の水性分散液全体に対する値である。100質量%への残量は、好ましくは連続相、例えば水、または一種以上の有機溶媒と水の混合物であり、少なくとも50質量%が水であるものである。好適な有機溶媒は、例えば、エタノールやイソプロパノールなどのアルコール類、特にグリコール類、ジグリコール類、トリグリコール類またはテトラグリコール類、及びC−C−アルキルでジエーエル化された、または好ましくはモノエーテル化されたグリコール類、ジグリコール類、トリグリコール類またはテトラグリコール類である。好適な有機溶媒の例としては、エチレングリコールや、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ジメトキシエタン、メチルトリエチレングリコール(「メチルトリグリコール」)、トリエチレングリコールn−ブチルエーテル(「ブチルトリグリコール」)があげられる。
【0057】
本発明のある実施態様においては、本発明の水性分散液は、10〜30質量%の範囲の軟質ポリウレタン(A1)と0〜20質量%の範囲の硬質ポリウレタン(A2)とを含んでいる。
【0058】
本発明のある実施態様においては、本発明の水性分散液中の合計の固体含量は、5〜60質量%であり、好ましくは10〜50質量%、特に好ましくは25〜45質量%である。
【0059】
本発明のある実施態様においては、本発明の水性分散液は、顔料や、艶消剤、光安定剤、帯電防止剤、汚染防止剤、きしみ音防止剤、増粘剤(特にポリウレタン系の増粘剤)、中空マイクロスフェアーから選ばれる少なくとも一種の添加物(E)を含んでいる。
【0060】
本発明のある実施態様においては、本発明の水性分散液は、合計で最大20質量%の添加物(E)を含んでいる。
【0061】
また、本発明において、一つの本発明の水性分散液の製造方法が見出され、これを本発明の製造方法と呼ぶ。本発明の製造方法を実施するために、ポリウレタン(A)と化合物(B)とシリコーン化合物(C)とを、水および必要に応じて一種以上の上記有機溶媒と混合する。また、必要ならポリジアルキルシロキサン(D)と添加物(E)を混合してもよい。この混合は、例えば攪拌により行うことができる。ポリウレタン(A)と化合物(B)とシリコーン化合物(C)と水と、必要に応じて一種以上の上記有機溶媒と、必要ならポリジアルキルシロキサン(D)と添加物(E)の添加順序は、任意である。
【0062】
水中にまたは水と有機溶媒の混合物に分散したポリウレタン(A)、または分散した軟質ポリウレタン(A1)と硬質ポリウレタン(A2)が、好ましくは出発原料として使用され、化合物(B)とシリコーン化合物(C)と、必要なら、ポリジアルキルシロキサン(D)と必要に応じて一種以上の有機溶媒とは、好ましくは撹拌下で添加される。
【0063】
本発明の製造方法のある具体的な実施態様では、増粘剤(添加物(E)の一例)を最後に添加して、所望の粘度に調整する。
【0064】
本発明は、さらに多層シート状基材の製造への本発明の水性分散液の使用方法に関する。本発明はさらに、本発明の水性分散液を用いる多層シート状の基材の製造方法に関し、これを本発明において本発明の被覆方法(coating process)と称する。本発明はさらに、本発明の水性分散液を用いて生産された多層シート状基材に関する。
【0065】
本発明の多層シート状基材の生産のために、シート状の基材が出発原料として用いられる。シート状基材としては、例えば、プラスチックフィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニルを含むプラスチックフィルムがあげられる。シート状基材は、好ましくは織物、例えばマット、編物、ウェブ堆積物、ネット、ニットウェア、織布、特に不織布、マクロファイバーからなる表面を持つ合成スエード材料から選ばれる。他の適当なシート状基材は、仕切板などのプラスチック含有成型物や、さらに合成皮革や、非常に特に好ましくは皮革である。なお、皮革には、床皮や生皮欠陥をもつ皮革が含まれる。皮革は、いずれかの方法で、例えばクロム(III)化合物の存在下またはクロムの非存在下でなめしたものであってよく、いずれの動物の皮、特に牛皮によるものであってもよい。本発明の方法で用いる生皮革の由来する動物が、屠殺されたものか、事故または自然原因で、例えば疾患により死亡したものかは重要でない。
【0066】
もし皮革をシート状基材として使用したい場合、肉側または表面側を、本発明の分散物で被覆してもよい。
【0067】
本発明のある実施態様においては、シート状基材を本発明の分散物で被覆し、次いで、例えば熱処理によりキュアリングを行う。
【0068】
本発明のある好ましい実施態様においては、例えばWO05/47549に記載の逆ロール被覆法により、このシート状基材が被覆される。
【0069】
本発明の特に好ましい実施態様においては、次の手法が採用される。第一の工程で、シート状物が、ある材料から、好ましくは金属、プラスチックまたは特にシリコーン、特にシリコーンゴムから製造される。第二の工程で、例えばエンボス加工によりまたは好ましくはレーザーを用いる処理により、ある構造がこのシート状物に与えられる。この構造は、好ましくは皮革、例えばウシ、カーフまたはクロコダイル皮革の銀面構造またはヌバック皮革の銀面構造に相当し、本発明のある変形例では、この構造が幻想的な構造を有していてもよいし、エンボス加工によりロゴを形成してもよい。ある具体的な実施態様においては、この構造が、皮革の、例えば牛、カーフまたはクロコダイル皮革の銀面構造を持つばかりか、さらに微細な、最大で200μmの深さ、好ましくは60〜100μmの深さで、中心径が10〜30μmの範囲にある複数のくぼみを有することができる。その際、このくぼみの模様は、ウシ、カーフまたはクロコダイル皮革に一致するものであってもよい。
【0070】
本発明のある実施態様においては、このシート状物の厚みは、0.5〜5mmの範囲であり、好ましくは1〜3mmの範囲である。
【0071】
本発明の被覆方法の第三の工程では、本発明の水性分散液が、例えば噴霧、吹付け、流込み、ナイフコーティング、コーティングまたはロールコーティングにより構造体に塗布される方法が好ましく採用される。
【0072】
例えば、本発明の水性分散液を、10〜100g/m、好ましくは50〜75g/mでシート状物に塗布することができる。
【0073】
本発明のある実施態様においては、このシート状物が室温にある。しかしながら、室温より高い温度、特に35〜90℃の範囲の温度が好ましい。このようにして、本発明の水性分散液の塗膜をより多く固化することができる。
【0074】
第四の工程では、この固化塗膜を、次いでシート状基材に転送する。この転送は、手で行ってもよいし、または好ましくは機械的に行ってもよく、例えば、このシート状物をローラーまたはロールに結合させ、シート状物をローラーまたはロールに押し付けて塗膜をこのシート状基材に転送する。本発明の多層基材(多層シート状基材ともいう)が得られる。本発明の水性分散液から製造された固化塗膜は本発明の多層基材の最上層となり、本発明においてはこれを最上層と呼べる。
【0075】
他の工程では、製造後の本発明の多層基材を熱処理または圧縮することであるいは上述の工程と組み合わせて実施することで、転送された層とシート状の基材との接着が改善される。
【0076】
本発明の被覆方法を実施するに当たり、このシート状物の、例えば汚れによる品質劣化が極めて少ないことが明らかとなった。
【0077】
本発明の多層基材は、全体として、優れた特性を、例えば優れた通気性、使用時の非常に優れた耐摩擦堅牢性などの堅牢性、非常に優れた操作性を有している。
【0078】
本発明のある好ましい実施態様においては、本発明の水性分散液を用いて製造された塗膜がシート状基材に直接転送されるのでなく、シート状物上に、例えばローラーまたはロール上にこの固化塗膜がある間に、もう一つの接着層が固化塗膜に押し当てられ、本発明の水性分散液を用いて製造された塗膜と接着層がともにシート状基材に転送される。
【0079】
本発明の特に好ましい実施態様においては、この本発明の水性分散液を用いて製造された塗膜がシート状基材に直接転送されるのでなく、ある接着層がまず、シート状物上に存在する間に固化塗膜にあてがわれ、第二の接着層がこのシート状基材にあてがわれ(ただし、これらの二枚の接着層は実質的に同一の組成物である)、本発明の水性分散液を用いて製造された塗膜と接着層が共にすでに接着層を有するシート状基材に転送される。
【0080】
この接着層または実質的に同一組成をもつ複数の接着層は、例えば、好ましくは一種以上の水性の製剤を塗布して得られる層であり、これらの水性製剤は、以下の組成を有している。
(α)ポリウレタン(A)と同一であっても異なっていてもよい少なくとも一種のポリウレタン。
(β)少なくとも一種の一般式IaまたはIbの化合物、これを短縮して化合物(3)とも呼ばれる。化合物(B)と化合物(β)は好ましくは同一である。
(γ)好ましくは少なくとも一種の結着剤、例えば(メタ)アクリレート結着剤またはポリウレタン結着剤、好ましくは(メタ)アクリル酸のコポリマー。本発明においては、結着剤(V)とも呼ばれる。結着剤(γ)は、好ましくは(メタ)アクリル酸と少なくとも一種の(メタ)アクリル酸のC−C10−アルキルエステルのコポリマーである。
(δ)必要に応じて、少なくとも一種の添加物、例えば顔料や作業性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、艶消剤から選ばれる添加物。
残りは、好ましくは水である。
【0081】
好ましくは、最上層を形成するためのこの一種以上の水性製剤は、シリコーン化合物(C)またはポリジアルキルシロキサン(D)などのシリコーン化合物を含んでいる。
【0082】
本発明のある実施態様においては、最上層を形成するためのこの一種以上の水性製剤は、少なくとも一種の軟質ポリウレタン(α1)と少なくとも一種の硬質ポリウレタン(α2)とを含む。その場合、これらは、軟質ポリウレタン(A1)または硬質ポリウレタン(A2)と異なっていても、好ましくは同一であってもよい。
最上層を形成するためのこの一種以上の水性製剤は、一種以上の有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒の例としては、エタノールやイソプロパノールなどのアルコール類、特にグリコール類、ジグリコール類、トリグリコール類またはテトラグリコール類、およびC−C−アルキル基でジエーテル化された、または好ましくはモノエーテル化されたグリコール類、ジグリコール類、トリグリコール類またはテトラグリコール類があげられる。好適な有機溶媒の例としては、エチレングリコールや、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ジメトキシエタン、メチルトリエチレングリコール(「メチルトリグリコール」)、リエチレングリコールn−ブチルエーテル(「ブチルトリグリコール」)があげられる。
【0083】
本発明のある実施態様においては、最上層を形成するためのこの一種以上の水性製剤が、以下の組成を有する。
全体で、20〜30質量%の範囲のポリウレタン(α)、
1〜5%の範囲の、好ましくは2〜3質量%の化合物((β)、
最高20質量%の結着剤(γ)、
合計で0〜20質量%の添加物(δ)であり、好ましくはシリコーン化合物(C)とポリジアルキルシロキサン(D)を含まない。
【0084】
本発明のある実施態様においては、最上層を形成するためのこの一種以上の水性製剤は、10〜30質量%の範囲の軟質ポリウレタン(α1)と0〜20質量%の範囲の硬質ポリウレタン(α2)を含む。
【0085】
いずれの場合も、質量%の値は、活性物質または固体を示し、本発明の全水性分散液に対する値である。100質量%への残量は、好ましくは連続相、例えば水または一種以上の有機溶媒と水の混合物で、少なくとも50質量%が水であるものである。
【0086】
最上層の厚みは、5〜50μmの範囲であり、好ましくは10〜30mmの範囲である。
【0087】
塗布は、例えば、噴霧、吹付け、流込み、ナイフコーティング、コーティングまたはロールコーティングにより行われる。
【0088】
これらの層の結合を、従来の方法で、例えば80〜120℃での熱処理及び/又は接触圧力が1.5〜3barの範囲での加圧により、改善あるいは加速することができる。
【0089】
本発明の多層基材は、例えば、調度品、特に自動車内装部材、特に自動車シートの部品として、また靴、織物や調度品の部品の製造に好適である。これらは、堅牢性に優れ、また通気性に優れる。したがって、本発明はさらに、本発明の多層基材を用いて生産した自動車内装部材や靴、織物、家具の部品、に関する。
【実施例】
【0090】
本発明を、実施例をもとに説明する。
【0091】
一般的な注意:質量%の値は、分散液中の値である。
【0092】
I.本発明の水性分散液の調整
(I.1)本発明の水性分散液Disp.1の調整
以下のものを攪拌容器中で撹拌下に混合した。
7質量%の、質量比が13:10のヘキサメチレンジイソシアネート(a1.1)とイソホロンジイソシアネート(a1.2)とをジイソシアネートとし、イソフタル酸とアジピン酸と1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン(異性体混合物)とをモル比で1:1:2で重縮合して得た分子量Mwが800g/molのポリエステルジオール(b1.1)と5質量%の1,4−ブタンジオール(b1.2)と3質量%のモノメチル化ポリエチレングリコール(c.1)と3質量%のHN−CHCH−NH−CHCH−COOHとをジオールとして(いずれの場合もポリエステルジオール(b1.1)に対する質量%)、合成した軟質ポリウレタン(A1.1)の水性分散液(粒子径:125nm、固体含量:40%)(ただし、軟質ポリウレタン(A1.1)の軟化点:62℃、軟化開始温度:55℃、ショア硬度A:54)と;
65質量%の、イソホロンジイソシアネート(a1.2)と1,4−ブタンジオール(b1.2)とHN−CHCH−NH−CHCH−COOHとを反応させて得た硬質ポリウレタン(A.1)、(軟化点:195℃、ショア硬度A:86)の水性分散液(粒子径:150nm)と;
3.5質量%の70質量%化合物(B.1)溶液(プロピレンカーボネート中)と、
【0093】
【化4】

【0094】
ただし、NCO含量:12%;
6質量%のEP−A0738747(C.1)の実施例2に記載のシリコーン化合物の65質量%水性分散液と;
2質量%のカーボンブラック;及び
0.5質量%のポリウレタン系増粘剤。
【0095】
得られた本発明の水性分散液Disp.1の固体含量は35%であり、DIN−EN−ISO2431(発効日:1996年5月)に記載の方法で求めた動粘度は、23℃で25秒であった。
【0096】
(I.2)本発明の水性分散液Disp.2の調整
以下のものを攪拌容器中で撹拌下に混合した。
7質量%の、質量比が13:10のヘキサメチレンジイソシアネート(a1.1)とイソホロンジイソシアネート(a1.2)とをジイソシアネートとし、イソフタル酸とアジピン酸と1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン(異性体混合物)とをモル比で1:1:2で重縮合して得た分子量Mwが800g/molのポリエステルジオール(b1.1)と5質量%の1,4−ブタンジオール(b1.2)と3質量%のモノメチル化ポリエチレングリコール(c.1)と3質量%のHN−CHCH−NH−CHCH−COOHとをジオールとして(いずれの場合もポリエステルジオール(b1.1)に対する質量%)合成した軟質ポリウレタン(A1.1)の水性分散液(粒子径:125nm、固体含量:40%)(ただし、軟質ポリウレタン(A1.1)の軟化点:62℃、軟化開始温度:55℃、ショア硬度A:54)と;
65質量%の、イソホロンジイソシアネート(a1.2)と、1,4−ブタンジオール(b1.2)と、1,1−ジメチロールプロピオン酸と、ヒドラジン水和物と分子量Mwが4200g/molであるポリプロピレングリコール(b1.3)とを反応して得た硬質ポリウレタン(A2.2)の水性分散液(粒子径:150nm)
(なお、ポリウレタン(A2.2)の軟化点は195℃で、ショア硬度Aは86)と;
3.5質量%の化合物(B.1)の70質量%溶液(プロピレンカーボネート中)と;
6質量%のEP−A0738747(C.1)の例2に記載のシリコーン化合物の65質量%水性分散液と;
2質量%のカーボンブラックと;
0.5質量%のポリウレタン系増粘剤。
【0097】
得られた本発明の水性分散液Disp.2の固体含量は35%であり、DIN−EN−ISO2431(発効日:1996年5月)に記載の方法で求めた動粘度は、23℃で25秒であった。
【0098】
II.シート状物の製造
二成分シリコーンエラストマーからなる室温硬化型増量剤系の、平滑面を有するレーザー彫刻可能なシリコーンポリマー層を、これら二成分を相互によく混合し、この混合物を一時使用のPETカバーシート上にナイフコーティングにより塗布して製造した。このシリコーン層を、室温で16時間養生させた。このようにして化学的に強化されたエラストマー性シリコーン層を、担体としてのポリエステル織布に、シリコーン接着剤を用いて固定した。一時使用のPETカバーシートを除去して得られたこの織布担体を有する強化エラストマー性ポリマー層の総層厚は1.7mmであった。続くレーザーによる構造形成に先立って、得られたシート状物(非構造化)をサイズが約40×100cmのシート画分とした。
【0099】
このシート状物の構造化のために、BDE4131型のCOレーザー彫刻機(ストークプリントオーストリア社、クフスタイン)を使用した。この機械は、それぞれ定格出力が250Wである3個の密閉型COレーザーと、相当するする光学部品と、制御やレーザー冷却、排気捕集、排気処置用の周辺機器を備えている。この円柱状の記録システムは、薄壁の円柱状金属ドラムまたは金属コーン錐状体を有し、その中には、一種以上のプラスチックを含む円筒形中空円筒(一般的には複数の層からなる)からなるいわゆる印刷スリーブが取り付けられている。レーザーの制御は、特別な出力ソフトウェアを使用して、連結された制御用計算機により行われる。この出力ソフトウェアは、図柄を解読し、グレースケールビットマップとして、画素ごとの高度プロファイルを作成する。個々のグレースケールは、図柄の点における彫刻深度または彫刻強度に一致する。理想的には、グレースケール値と彫刻深度の間の関係は、おおむね直線状に設定される。
【0100】
このシート状物(非構造化)は、平面的な層として存在し、彫刻の間には円柱状保持部品上に固定された。彫刻の際は、処理を受けるマトリックスと共に回転する円柱状保持部品は、レーザー光に対して均一に軸方向に動かされる。このようにして、レーザー光が、処理される表面をもつシート状物の表面全体を移動する。
【0101】
実施例IIのシート状物(非構造化)は、表1に記載の以下の二つの個々のモチーフの組み合わせからなる図柄で彫刻した。
【0102】
【表1】

【0103】
このようにして、凹凸面と約10000穴/cmのシート状物(構造化)が得られた。彫られた穴の深さは約80μmであった。次いで、このシート状物(構造化)を、水と界面活性剤の混合物で洗浄し、本発明の被覆方法に直接使用した。
【0104】
III.最上層用の水性製剤の調整
(III.1)本発明の水性製剤AF.1の調整
以下のものを攪拌容器中で撹拌下に混合した。
7質量%の、質量比が13:10のヘキサメチレンジイソシアネート(a1.1)とイソホロンジイソシアネート(a1.2)とをジイソシアネートとし、イソフタル酸とアジピン酸と1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン(異性体混合物)とをモル比で1:1:2で重縮合して得た分子量Mwが800g/molのポリエステルジオール(b1.1)と5質量%の1,4−ブタンジオール(b1.2)と3質量%のモノメチル化ポリエチレングリコール(c.1)と3質量%のHN−CHCH−NH−CHCH−COOHとをジオールとして(いずれの場合もポリエステルジオール(b1.1)に対する質量%)、合成した軟質ポリウレタン(A1.1)の水性分散液(粒子径:125nm、固体含量:40%)(ただし、軟質ポリウレタン(A1.1)の軟化点:62℃、軟化開始温度:55℃、ショア硬度A:54)と;
65質量%の、イソホロンジイソシアネート(a1.2)と1,4−ブタンジオール(b1.2)とHN−CHCH−NH−CHCH−COOHとを反応させて得た硬質ポリウレタン(A.1)、(軟化点:170℃、ショア硬度A:90)の水性分散液(粒子径:150nm)と;
3.5質量%の化合物(p.1)の70質量%溶液(プロピレンカーボネート中)、ただしNCO含量:12%と;
2質量%のカーボンブラック。
【0105】
水性製剤AF.1が得られた。
注:化合物(B.1)は化合物(β.1)と同じである。
(III.2)本発明の水性製剤AF.2の調整
以下のものを攪拌容器中で撹拌下に混合した。
7質量%の、質量比が13:10のヘキサメチレンジイソシアネート(a1.1)とイソホロンジイソシアネート(a1.2)とをジイソシアネートとし、イソフタル酸とアジピン酸と1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン(異性体混合物)とをモル比で1:1:2で重縮合して得た分子量Mwが800g/molのポリエステルジオール(b1.1)と5質量%の1,4−ブタンジオール(b1.2)と3質量%のモノメチル化ポリエチレングリコール(c.1)と3質量%のHN−CHCH−NH−CHCH−COOHとをジオールとして(いずれの場合もポリエステルジオール(b1.1)に対する質量%)、合成した軟質ポリウレタン(A1.1)の水性分散液(粒子径:125nm、固体含量:40%)(ただし、軟質ポリウレタン(A1.1)の軟化点:62℃、軟化開始温度:55℃、ショア硬度A:54)と;
65質量%の、イソホロンジイソシアネート(a1.2)と、1,4−ブタンジオール(b1.2)と、1,1−ジメチロールプロピオン酸と、ヒドラジン水和物と分子量Mwが4200g/molのポリプロピレングリコール(b1.3)とを反応させて得た硬質ポリウレタン(α2.2)の水性分散液(粒子径:150nm)、(なお、ポリウレタン(α2.2)の軟化点:195℃、ショア硬度A:90)と;
3.5質量%の化合物(p.1)の70質量%溶液(プロピレンカーボネート中)、
ただし、NCO含量:12%と;
2質量%のカーボンブラック。
【0106】
得られた本発明の水性分散液Disp.2の固体含量は35%であり、DIN−EN−ISO2431(発効日:1996年5月)に記載の方法で求めた動粘度は、23℃で25秒であった。
【0107】
IV.本発明の分散物のIIのシート状物への塗布
このシート状物を加熱可能な表面上に乗せ、80℃に加熱した。その後、Disp.1またはDisp.2を、いずれの場合も60g/m(湿質量)の量で複数の噴射ノズルから吹き付けた。表面の粘着性がなくなるまで、80℃で固化を進行させた。最上層で被覆されたシート状物が得られた。
【0108】
V.皮革および最上層で被覆されたIVのシート状物への接着層の塗布、および塗布後のシート状物塗膜の皮革への貼り付け
AF.1またはAF.2を、IVと同様にして、二つの噴射ノズルから70g/m(湿質量)の量で、最上層で被覆されたIVのシート状物に塗布した。表面の粘着性がなくなるまで空気乾燥機中で80℃で乾燥を行った。最上層と接着層で被覆されたシート状物が得られた。
【0109】
AF.1またはAF.2を、スプレイガンを用いて、50g/m(湿質量)の量で、従来法によりクロム(III)でなめされた牛ナッパ皮革に塗布した。2分間室温で保管すると、被覆された牛ナッパ皮革は、乾いた感触を与えた。
【0110】
この被覆後の牛ナッパ皮革を、塗膜を下向きにして最上層と接着層で被覆されたシート状物の上に置き、ヒートプレス(90℃)中で、圧力に対して弾性を有する支持体を用いて、2barの圧力で15秒間加圧した。本発明の被覆された牛ナッパ皮革L.1が得られた。
【0111】
このシート状物(非被覆物)は、用いた本発明の被覆後の牛ナッパ皮革L1またはL.2から、容易に完全に分離可能であった。
【0112】
本発明の牛ナッパ皮革L.1とL.2は、以下の特性を有していた。
DIN−EN−ISO11644によるシアノアクリレート接着剤との接着強度:乾燥値:21.3N/cm、湿潤値:10.3N/cmまたは10.5N/cm
DIN−EN−ISO11640による摩擦堅牢性:
石油エーテルを用いて測定したガソリン摩擦堅牢性:20回で5級
中性石鹸摩擦堅牢性:100回で5級
エタノールを用いて測定した溶媒摩擦堅牢性:5級
湿式摩擦堅牢性:500回で4〜5級
汗摩擦堅牢性:100回で5級
ドライ摩擦堅牢性:2000回で5級
【0113】
VI.不織布の被覆
不織布(ポリエステル)とIIのシート状物(構造化)を出発原料として用いた。
(VI.1)本発明の水性分散液Disp.3とDisp.4の調整
以下のものを攪拌容器中で撹拌下に混合した。
10質量%の、質量比が13:10のヘキサメチレンジイソシアネート(a1.1)とイソホロンジイソシアネート(a1.2)とをジイソシアネートとし、イソフタル酸とアジピン酸と1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン(異性体混合物)とをモル比で1:1:2で重縮合して得た分子量Mwが800g/molのポリエステルジオール(b1.1)と5質量%の1,4−ブタンジオール(b1.2)と3質量%のモノメチル化ポリエチレングリコール(c.1)と3質量%のHN−CHCH−NH−CHCH−COOHとをジオールとして(いずれの場合もポリエステルジオール(b1.1)に対する質量%)、合成した軟質ポリウレタン(A1.1)の水性分散液(粒子径:125nm)(ただし、軟質ポリウレタン(A1.1)の軟化点:62℃、軟化開始温度:55℃、ショア硬度A:54)と;
60質量%のイソホロンジイソシアネート(a1.2)と1,4−ブタンジオール(b1.2)とHN−CHCH−NH−CHCH−COOHとを反応させて得た硬質ポリウレタン(A2.1)、
(ショア硬度A:86)の水性分散液(粒子径:150nm)と;
3.5質量%の化合物(B.1)(上述)の70質量%溶液(プロピレンカーボネート中)、
NCO含量:12%と;
6質量%のEP−A0738747(C.1)の例2に記載のシリコーン化合物の60質量%水性分散液と;
2質量%のカーボンブラックと;
0.5質量%のaポリウレタン系増粘剤と;
1質量%の中空マイクロスフェアー(中心径:20μm、ポリ塩化ビニリデンを含有、イソブタンで充たされたもの)と;
15質量%のシリカゲル。
【0114】
得られた本発明の水性分散液Disp.1の固体含量は30%であり、DIN−EN−ISO2431(発効日:1996年5月)に記載の方法で求めた動粘度は、23℃で25秒であった。
【0115】
以下のものを攪拌容器中で撹拌下に混合した。
10質量%の、質量比が13:10のヘキサメチレンジイソシアネート(a1.1)とイソホロンジイソシアネート(a1.2)とをジイソシアネートとし、イソフタル酸とアジピン酸と1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン(異性体混合物)とをモル比で1:1:2で重縮合して得た分子量Mwが800g/molのポリエステルジオール(b1.1)と5質量%の1,4−ブタンジオール(b1.2)と3質量%のモノメチル化ポリエチレングリコール(c.1)と3質量%のHN−CHCH−NH−CHCH−COOHとをジオールとして(いずれの場合もポリエステルジオール(b1.1)に対する質量%)、合成した軟質ポリウレタン(A1.1)の7質量%水性分散液(粒子径:125nm、固体含量:40%)、
(ただし、軟質ポリウレタン(A1.1)の軟化点:62℃、軟化開始温度:55℃、ショア硬度A:54)と;
60質量%の、イソホロンジイソシアネートと、1,4−ブタンジオールと、1,1−ジメチロールプロピオン酸と、ヒドラジン水和物と分子量Mwが4200g/molのポリプロピレングリコールとを反応させて得た、硬質ポリウレタン(A.2)の水性分散液(粒子径:150nm)(軟化点:195℃、ショア硬度A:86)と;、
3.5質量%の70質量%化合物(B.1)溶液(プロピレンカーボネート中)
(上述、ただし、NCO含量:12%)と;
6質量%のEP−A0738747(C.1)の例2に記載のシリコーン化合物の60質量%水性分散液と;
2質量%のカーボンブラックと;
0.5質量%のポリウレタン系増粘剤と;
1質量%の中空マイクロスフェアー(中心径:20μm、ポリ塩化ビニリデンを含有、イソブタンで充たされたもの)と;
15質量%のシリカゲル。
【0116】
得られた本発明の水性分散液Disp.1の固体含量は30%であり、DIN−EN−ISO2431(発効日:1996年5月)に記載の方法で求めた動粘度は、23℃で25秒であった。
【0117】
(VI.2)本発明の分散物のIIのシート状物への塗布
IIからのシート状物を、加熱可能な表面上に置き、80℃に加熱した。Disp.3またはDisp.4を、80g/m(湿質量)で複数の噴射ノズルから吹きつけた。表面の粘着性がなくなるまで空気乾燥機中で80℃で乾燥を行った。最上層で被覆されたシート状物が得られた。
【0118】
AF.1またはAF.2を、Vと同様に複数の噴射ノズルからいずれの場合も50g/m(湿質量)で、最上層で被覆されたVIのシート状物に塗布した。表面の粘着性がなくなるまで空気乾燥機中で80℃で乾燥を行った。最上層と接着層で被覆されたシート状物が得られた。
【0119】
AF.1またはAF.2を、いずれの場合も50g/m(湿質量)で不織布に塗布した。2分間室温で保管すると、被覆後の不織布の手触りが乾いたものとなった。
【0120】
この被覆後の不織布を、塗膜を下向きにして最上層と接着層で被覆されたシート状物の上に置き、ヒートプレス(90℃)中で圧力に対して弾性を有する支持体を用いて、2barの圧力で15秒間加圧した。本発明の被覆不織布NW.1とNW.2が得られた。
【0121】
このシート状物(非被覆物)は、本発明の被覆不織布NW.1またはNW.2から容易かつ完全に除去可能で、直ちに再使用できた。本発明により被覆した不織布NW.1とNW.2は、弾性があり、通気性があり、寸法安定性がよく、非常に取り扱いに優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも一種のポリウレタン、
(B)少なくとも一種の一般式Ia又はIbの化合物:
【化1】


[但し、式中、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、
−NCOとA−NH−CO−Xから選ばれ、式中
は、2〜20個の炭素原子を有するスペーサーであり、
Xは、O(AO)から選ばれ、
AOは、C−C−アルキレンオキシドであり、
xは、1〜50の範囲の整数であり、また
は、水素とC−C30−アルキルから選ばれる]、及び
(C)少なくとも一種の反応性基を有するシリコーン化合物を含むことを特徴とする水性分散液。
【請求項2】
前記式中、AOが、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選ばれる請求項1に記載の水性分散液。
【請求項3】
前記シリコーン化合物(C)が、分子あたり4個のアミノ基を有するシリコーン化合物、分子当たり4個のアミノアルキルアミノ基を有するシリコーン化合物、及び分子当たり1〜4個のCOOH基を有するシリコーン化合物からなる群から選ばれる請求項1又は2に記載の水性分散液。
【請求項4】
更に、(D)アミノ基もCOOH基も有さない少なくとも一種のポリジ−C−C−アルキルシロキサンを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項5】
前記式中、Aが、フェニレン、トリレン、及びC−C12−アルキレンからなる群から選ばれる請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性分散液を使用する方法であって、多層シート状基材の製造のための使用方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性分散液を用いることを特徴とする多層シート状基材の製造方法。
【請求項8】
第一の工程においてシリコーンからシート状物を製造し、
第二の工程において前記シート状物に構造を与え、構造化体を形成し、
第三の工程において請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性分散液を前記構造化体に塗布し、
第四の工程において前記工程から得られた層をシート状基材上に転送することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項7及び8のいずれか一項に記載の方法により製造されたことを特徴とする多層シート状基材。
【請求項10】
シート状基材が、プラスチックフィルム、皮革、合成皮革、織物、及びプラスチックを含む成形物からなる群から選ばれる請求項9に記載の多層シート状基材。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の多層シート状基材を使用する方法であって、自動車内装部材、靴、織物又は家具部品の製造のための使用方法。
【請求項12】
請求項9又は10に記載の多層シート状基材を用いて製造されたことを特徴とする自動車内装部品、靴、織物又は家具部品。

【公表番号】特表2010−522252(P2010−522252A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554007(P2009−554007)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053077
【国際公開番号】WO2008/113755
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】