説明

水性相と低融点の無極性ワックスとを含む光防護用組成物

【課題】温和な条件で製造でき、適用時にてかりが無く、白化せず、べたつかず、けば立たず、優れた遮蔽効果を提供する組成物、特にサンスクリーンエマルションを提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1種のUV線フィルター剤と少なくとも1つの水性相とを化粧品として許容可能なキャリア中に含む組成物であって、30℃以上の融点を有し、250J/g未満の融解エンタルピーを有する無極性ワックスを少なくとも1種含有することを特徴とする組成物に関する。本発明は、てかりの低減または解消および/またはべたつきの低減または解消および/または白化の低減または解消および/またはけば立ちの低減または解消および/または紫外線防御指数(SPF)の増大の目的で、化粧品として許容可能なキャリア、少なくとも1つの水性相、および少なくとも1種のUV線フィルター剤を含む組成物中に、前述により定義した少なくとも1種の無極性ワックスを使用することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のUV線フィルター剤と少なくとも1つの水性相とを化粧品として許容可能なキャリア中に含む組成物であって、30℃以上の融点を有し、250J/g未満の融解エンタルピーを有する無極性ワックスを少なくとも1種含有することを特徴とする組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
280nmと400nmとの間の波長の光がヒトの表皮の日焼けを引き起こすこと、および、UV−Bの記号で知られている280と320nmとの間の波長の放射光が紅班または皮膚のやけどを引き起こし、自然な日焼けの形成に悪影響を与える可能性があることが知られている。すなわち、このUV-B線を遮蔽するべきである。
【0003】
また、320nmと400nmとの間の波長の、皮膚の日焼けの原因であるUV−A線も、とりわけ敏感肌及び/又は絶えず日光にさらされている皮膚の場合には皮膚を損傷するおそれがあることが知られている。特に、UV−A線は、皮膚の弾性の喪失の原因、および歳不相応な老化につながるしわの出現の原因となる。UV−A線は、紅斑反応の開始を促進し、一部の患者でこの反応を増幅させ、光毒性反応または光アレルギー反応の原因にもなりうる。したがって、UV−A線を遮蔽することも望ましい。
【0004】
したがって、UV−A線およびUV−B線を遮蔽する必要があり、ヒトの表皮を保護するための、UV−A遮蔽剤およびUV−B遮蔽剤を含有する化粧品組成物が現在市販されている。
【0005】
皮膚の光防護を意図した化粧品組成物は、これまでに非常に多数提示されてきた。これらの組成物は、有機UV遮蔽剤および鉱物由来の遮蔽剤を含有し、これらの遮蔽剤は、その化学的および物理的性質に基づいて、UV線を吸収、反射または拡散することにより機能する。非常に多くの場合、これらの組成物は、TiOまたはZnOなどの金属酸化物のナノ顔料とともに用いる、脂溶性かつ/あるいは水溶性の有機遮蔽剤の組み合わせである。
【0006】
サンスクリーン組成物は、水中油型のエマルション(すなわち、化粧品としておよび/または皮膚科学的に許容可能なキャリアが水性の連続的な分散相と非連続的に分散した油相を含む)の形態または油中水型のエマルション(水性相が連続的な油相に分散されている)の形態であることが極めて多く、様々な濃度で、有害なUV線を選択的に吸収することができる、従来の脂肪親和性の有機遮蔽剤および/または従来の親水性有機遮蔽剤を1種以上含有する。これらの遮蔽剤(およびそれらの量)は、所望の紫外線防御指数(SPF)の関数として選択される。この紫外線防御指数(SPF)は、UV遮蔽剤を用いた状態で紅斑形成閾値に達するまでに要したUV線量の、UV遮蔽剤なしで紅斑形成閾値に達するまでに要したUV線量に対する比により数学的に表される。このようなエマルション中では、親水性の遮蔽剤は水性相に包含され、脂肪親和性の遮蔽剤は油相に包含される。さらに、水中油型のエマルションは、油中水型のエマルションより皮膚に適用したときに油っこい感じが少なく、優れた官能品質をもつ。
【0007】
これらの組成物の主要な欠点の1つは、適用後に皮膚に付与されるてかりのある外観である。この外観は、遮蔽剤の存在と、それらを溶解するための媒体の性質とに関連がある。
【0008】
この望ましくないてかりのある外観に対処するために、現在既知のマット化剤、すなわち、被覆または未被覆の無機フィラー(例えばSiO、ZnO)、でんぷん粒(National Starch社のDry-Flo Plus)、ポリアミド−6または12のビーズ(Orgasol R)、または高融点ポリエチレンのビーズが通常使われている。効果的にするためには、これらのマット化剤を高い割合で加えなければならない。これらの高い濃度では、マット化剤は、皮膚にうぶ毛のような、白化した印象を与える傾向がある。
【0009】
さらに、ポリエチレンワックスなどの一部のマット化剤の使用は、これらを含むサンスクリーンエマルションの製造をより限定的かつ高価にする。これらの高融点のワックスは、乳化処理温度よりはるかに高い温度で扱う必要があるからである。
【0010】
考慮すべき別の欠点は、非常に高い紫外線防御指数を達成することが困難であることである。このためには、高い濃度の有機および/または無機遮蔽剤を加えることが有効である。しかし、有機遮蔽剤の割合を増加すると、皮膚上で、てかりのある膜となる欠点があり、この膜は、化粧品として許容できず、消費者に好まれず、皮膚のアレルギーに影響を及ぼす可能性もある。さらに、鉱物質の遮蔽剤(例えば金属酸化物(TiO)のナノ顔料など)の割合を増加すると、皮膚上に、目障りな白い残留膜が生じる可能性がある。ほとんどの場合、この結果は、組成物中へのナノ顔料の分散が悪いことと、皮膚上に不均一に分布することとに関連がある。
【0011】
紫外線防御指数を増加させるために、被膜形成ポリマーが通常使われるが、ほとんどの場合、被膜形成ポリマーは、組成物の化粧品特性を損なう原因となる。この組成物は、べたついた、脂っぽい、ときにはてかりのある膜を皮膚に残し、あるいは、適用するとけば立つからである。
【0012】
別の可能性として、鉱物質粒子の添加があるが、これらも、適用するとけば立つ組成物になるという欠点がある。
さらに別の可能性として、ワックス、例えば欧州特許第924447号に記載のC18〜C38のアルキルヒドロキシステアリルステアレートワックス類、欧州特許第1000611号で言及されているグリセリドワックス類などの添加があるが、これらは適用すると組成物をてかりのあるものにする。
【特許文献1】欧州特許第924447号
【特許文献2】欧州特許第1000611号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、おだやかな条件で製造でき、適用時にてかりが無く、白化せず、べたつかず、けば立たず、優れた遮蔽効果を提供する組成物、特にサンスクリーンエマルションが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この問題についての以下の広範な研究で、本発明者らは、思いがけず驚くべきことに、少なくとも1種の無極性ワックスを、少なくとも1つの水性相とUV線フィルター剤とを含むキャリア中に使用することによって、上述した様々な欠点を改善することができることを見いだした。これに加え、このような組合せを含有するサンスクリーン組成物は、良好なサンスクリーン効果を提供し、水、汗、洗浄に良好な耐性を有するのみならず、長持ちする。
【0015】
この発見が、本発明の基礎となる。
【0016】
したがって、本発明の目的の1つでは、少なくとも1種のUV線フィルター剤と少なくとも1つの水性相とを化粧品として許容可能なキャリア中に含む組成物であって、30℃を超える融点を有し、250J/g未満の融解エンタルピーを有する無極性ワックスを少なくとも1種含有することを特徴とする組成物を提案する。
【0017】
本発明はまた、30℃を超える融点を有し、250J/g未満の融解エンタルピーを有する少なくとも1種の無極性ワックスの、少なくとも1つの水性相を化粧品として許容可能なキャリア中に含む組成物中での使用に関し、てかりの低減または解消および/またはべたつきの低減または解消および/または白化の低減または解消および/またはけば立ちの低減または解消および/または紫外線防御指数(SPF)の増大を目的とする。
【0018】
その他の本発明の特徴、解釈、および利点を、以下の詳細な説明により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
用語「UV線フィルター剤」は、UV線を遮蔽する単一の有機または無機化合物、またはUV線を遮蔽するいくつかの有機または無機化合物の混合物(例えば、UV−A遮蔽剤とUV−B遮蔽剤とを含む混合物)のいずれをも意味する。
【0020】
用語「化粧品として許容できる」は、皮膚および/またはその付加物に相溶性であり、感じが良い色、におい、感触があり、この組成物の使用から消費者を遠ざける可能性があるような、容認できない不快感(チクチク感、窮屈感、発赤)を与えないことを意味する。
【0021】
用語「無極性ワックス」は、炭素原子および水素原子だけを含有する分子だけから構成されるあらゆるワックスを意味する。
【0022】
本発明の無極性ワックスは、一般に、可逆的に固体/液体に変化する脂溶性化合物(室温(25℃)で固体である)を意味する。
【0023】
ワックスは、30℃以上の融点を有し、好ましくは最高で80℃の融点であり、250J/g未満の融解エンタルピーを有する。このワックスを液体状態に(融解)することにより、油類と混和可能にすることができ、微視的に均一な混合物を形成することができる。
【0024】
特に、本発明のワックスは、40℃を超える融点を有し、最も好ましくは、70℃以下の融点を有する。
【0025】
さらに好ましくは、ワックスの融解エンタルピーは、240J/g以下であり、最も好ましくは、220J/g以下である。
【0026】
ワックスの融点およびその融解エンタルピーは、示差熱走査熱量計(DSC)、例えば、TA Instruments社によりMSDSC 2929の名称で販売されている熱量計を用いて測定することができる。前記のワックスの融解開始温度と融解終結温度との間で測定した融解曲線で、化合物の融点は融解曲線のピークに相当する温度の値であるのに対し、融解エンタルピーは融解曲線全体の積分に相当する。
【0027】
以下のワックスは、本発明が意味する無極性ワックスに含まれない:
(i) エステル化により得られた、またはエステル化により変性されたワックス類であって、エステル化の収率の関数としてOH残基を含むワックス(このようなワックスは、例えば脂肪酸とジトリメチロール型の分岐ポリオールとの反応により得られる、例えばHETERENE社によりHESTの名で販売されているワックス等である);
(ii) 直鎖または分岐のC〜C32の脂肪族鎖を有する動物または植物油から接触水素化により得られたワックス類、例えばホホバオイル、水添ヒマワリ油、水添ココナッツ油、またはステアリルアルコールでエステル化されたオリーブ油の水素化により得られたワックス等;シリコーン化された変性ワックス、例えば、KOSTER KEUNEN社によりSiliconyl Candellilaの名で販売されているシリコーン化カンデリラワックス等;
(iii) 炭化水素ワックス類、例えば、ミツロウ、ラノリンワックス、オレンジワックス、レモンワックス、米ぬかワックス、カルナバワックス、カンデリラワックス、オーリカリーワックス(Ouricury wax)、白蝋、ベリーワックス(Berry wax)、シェラックワックス、および木ろう等;モンタンワックス、硬化ヒマシ油;
(iv) 脂肪酸の炭水化物に対する作用に由来するワックス類、例えば、ショ糖型の二糖類、たとえば、CRODA社によりCROMADERM Bの名で販売されているスクロースポリベヘネート等;
(v) ヒドロキシエステルワックス類、例えば、C20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレートワックス、または合成ミツロウ、例えばKESTER WAX K82 PRおよびKESTER WAX K80 PRの名等で販売されているミツロウ等;
(vi) シリコーンワックス類、例えば、RHODIA社によりMIRASIL WAX BおよびMIRASIL WAXSの名でそれぞれ販売されているジメチコノールベヘネートおよびジメチコノールステアレート等;
(vii) 250J/gを超える融解エンタルピーを有する無極性ポリオレフィンワックス類、例えば、NEW PHASE TECHNOLOGY社によりPERFORMALENE 400の名で販売されているポリエチレンワックス等;
【0028】
本発明に使うことができる無極性ワックスとして、一般式 R-CH-CH2(式中、Rは、炭素10個から50個、好ましくは25個から50個を有するアルキル基、好ましくは直鎖アルキル基である)に相当するα−オレフィンの重合、とりわけ、単独重合により得られるポリオレフィンワックスが挙げられる。
【0029】
ポリオレフィンワックスの単独重合とは、実質的にα−オレフィンまたはα−オレフィンの混合物を含むモノマーの重合を意味する。これらのワックスは、好ましくは、400から3000ダルトン、特に1800から2700ダルトンの範囲の数平均分子量を有する。
【0030】
このようなポリオレフィンワックスは、米国特許第4060569号および米国特許第4239546号に記載されている。これらのワックスは、特に、NEW PHASE TECHNOLOGY社により「PERFORMA VR(登録商標) 103」、「PERFORMA V(登録商標) 253」、および「PERFORMA V(登録商標) 260」の名で販売されている。
【0031】
本発明に使うことができる無極性ワックスとして、350から600ダルトンの範囲の数平均分子量を有するパラフィンワックス、例えば、BAERLOCHER社によりCERAFINE 56-58の名で販売されている商品(融点:56℃、融解エンタルピー=232J/g)も挙げることができる。
【0032】
本発明に使うことができる無極性ワックスは、より特別には、Fischer-Tropsch法により得ることができるポリメチレンワックス類から選択することができる。
【0033】
これらのポリメチレンワックスは、通常、350から600ダルトンの範囲の数平均分子量を有する。SASOL社により製造されたCIREBELLEワックス類、例えば:
CIREBELLE 303:融点51℃、融解エンタルピー=157〜180J/g、
CIREBELLE 305:融点55℃、融解エンタルピー=185J/g、
CIREBELLE 505:融点41℃、融解エンタルピー=177J/g、
等を特に使用することができる。
【0034】
本発明の無極性ワックスは、好ましくは、組成物の総重量に対して、0.1重量%から5重量%の間の割合、有利には、0.5重量%から3.0重量%の間および0.5重量%から1.5重量%の間の割合で添加する。
【0035】
本発明の組成物は、1種または2種以上のUV線フィルター剤を含有する。このUV線フィルター剤は、UV−Aおよび/またはUV−Bに活性であり、親水性かつ/あるいは脂溶性かつ/あるいは通常使用される化粧品用溶媒中に不溶性である、有機および/または無機UV遮蔽剤から選択される
【0036】
親水性、脂溶性、あるいは通常使用される化粧品用溶媒中に不溶性の有機UV遮蔽剤は、特に、アントラニラート類;ジベンゾイルメタン誘導体;ケイ皮酸誘導体;サリチル酸誘導体;カンファー誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリラートの誘導体;トリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロナート誘導体、特に米国特許第5624663号に記載されているもの;ベンゾイミダゾール誘導体;イミダゾリン類;ビス−ベンゾアゾリル誘導体、例えば欧州特許第669323号および米国特許第2463264号に記載されているもの等;p-アミノ安息香酸(PABA)の誘導体;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)の誘導体、例えば米国特許第5237071号、米国特許第5166355号、英国特許第2303549号、独国特許第19726184号および欧州特許第893119号に記載されているもの等;ベンゾオキサゾール誘導体、例えば欧州特許第0832642号、欧州特許第1027883号、欧州特許第1300137号および独国特許第10162844号に記載されているもの等;ポリマー遮蔽剤およびシリコーン遮蔽剤、例えば、特に国際公開第93/04665号に記載されているもの等;α−アルキルスチレン由来の二量体類、例えば独国特許第19855649号に記載されているもの等;4,4-ジアリールブタジエン類、例えば欧州特許第0967200号、独国特許第19746654号、独国特許第19755649号、欧州特許第1008586号、欧州特許第1133980号及び欧州特許第133981号に記載されているもの等、およびそれらの混合物から選択される。
【0037】
有機UV遮蔽剤の例として、INCI名で以下に示すものを挙げることができる:
パラ-アミノ安息香酸誘導体:
PABA、
エチルPABA、
エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、
エチルヘキシル−ジメチルPABA(特に、ISP社によりESCALOL 507の名で販売されている)、
グリセリルPABA、
PEG−25PABA(BASF社によりUVINUL P25の名で販売されている)。
【0038】
ジベンゾイルメタン誘導体:
ブチルメトキシジベンゾイルメタン(HOFFMANN LA ROCHE社によりPARSOL 1789の商品名で販売されている)、
イソプロピルジベンゾイルメタン。
【0039】
サリチル酸誘導体:
ホモサラート(RONA/EM INDUSTRIES社によりEusolexの名で販売されている)、
サリチル酸エチルヘキシル(HAARMANN et REIMER社によりNEO HELIOPAN OSの名で販売されている)、
サリチル酸ジプロピレングリコール(Scher社によりDIPSALの名で販売されている)、
サリチル酸TEA(HAARMANN et REIMER社によりNEO HELIOPAN TSの名で販売されている)。
【0040】
ケイ皮酸誘導体:
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(特にHOFFMANN LA ROCHE社によりPARSOL MCXの名で販売されている)、
メトキシケイ皮酸イソプロピル、
メトキシケイ皮酸イソアミル(HAARMANN et REIMER社により商品名NEO HELIOPAN E 1000で販売されている)、
シノキサート、
メトキシケイ皮酸DEA、
−メチルケイ皮酸ジイソプロピル、
−メトキシケイ皮酸エチルヘキサン酸グリセリル。
【0041】
β,β'-ジフェニルアクリラート誘導体:
オクトクリレン(特に、BASF社により商品名UVINUL N539で販売されている)、
エトクリレン(特に、BASF社により商品名UVINUL N35で販売されている)。
【0042】
ベンゾフェノン誘導体:
ベンゾフェノン−1(BASF社により商品名UVINUL 400で販売されている)、
ベンゾフェノン−2(BASF社により商品名UVINUL D50で販売されている)、
ベンゾフェノン−3すなわちオキシベンゾン(BASF社により商品名UVINUL M40で販売されている)、
ベンゾフェノン−4(BASF社により商品名UVINUL MS40で販売されている)、
ベンゾフェノン−5、
ベンゾフェノン−6(NORQUAY社により商品名HELISORB 11で販売されている)、
ベンゾフェノン−8(American Cyanamid社により商品名SPECTRA-SORB UV-24で販売されている)、
ベンゾフェノン−9(BASF社により商品名UVINUL DS-49で販売されている)、
ベンゾフェノン−12、
2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸−n−ヘキシル(BASF社により商品名UVINUL A+で販売されている)。
【0043】
ベンジリデンカンファー誘導体:
3−ベンジリデンカンファー(CHIMEX社によりMEXORYL SDの名で製造されている)、
4−メチルベンジリデンカンファー(Merck社によりESUOLEX 6300の名で販売されている)、
ベンジリデンカンファースルホン酸(CHIMEX社によりMEXORYL SLの名で製造されている)、
メト硫酸カンファーベンザルコニウム(CHIMEX社によりMEXORYL SOの名で製造されている)、
テレフタリリデンジカンファースルホン酸(CHIMEX社によりMEXORYL SXの名で製造されている)、
ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー(CHIMEX社によりMEXORYL SWの名で製造されている)。
【0044】
フェニルベンゾイミダゾール誘導体:
フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸(特にMerck社によりEUSOLEX 232の名で販売されている)、
フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(HAARMANN et
REIMER社によりNEO HELIOPAN APの名で販売されている)。
【0045】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体:
ドロメトリゾールトリシロキサン(RHODIA CHIMIE社によりSilatrizoleの名で販売されている)、
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール(FAIRMOUNT CHEMICAL社によりMIXXIM BB/10の商品名で固体状態で販売されている、または、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社によりTINOSORB Mの商品名で水性分散液中の微粒化形態で販売されている)、
【0046】
トリアジン誘導体:
ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン(CIBA GEIGY社によりTINOSORB Sの名で販売されている)、
エチルヘキシルトリアゾン(BASF社によりUVINUL T150の名で販売されている)、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(SIGMA 3V社によりUVASORB HEBの名で販売されている)、
2,4,6−トリス(ジイソブチル−4’−アミノベンザルマロネート)−s−トリアジン、
2,4,6−トリス(ジネオペンチル−4’−アミノベンザルマロネート)−s−トリアジン、
トリアジンの対称誘導体、例えば、特に国際公開第2004/085412号および国際公開第2006/034991に記載された誘導体、特に、2,4,6−トリス(ビフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(テルフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0047】
アントラニル誘導体:
アントラニル酸メンチル(HAARMANN et REIMER社によりNEO HELIOPAN MAの名で販売されている)。
【0048】
イミダゾリン誘導体:
エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオナート。
【0049】
ベンザルマロナート誘導体:
ジ−ネオペンチル−4’−メトキシベンザルマロネート、
ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン、例えば、ポリシリコーン−15(HOFFMANN LA ROCHE社によりPARSOL SLXの名で販売されている)等。
【0050】
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:
1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン。
【0051】
ベンゾオキサゾール誘導体:
2,4−ビス−[5−1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール−2−イル−(4−フェニル)−イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)−イミノ−1,3,5−トリアジン(Sigma 3V社によりUvasorb K2Aの名で販売されている)、
及びそれらの混合物。
【0052】
好ましい有機UV線フィルター剤は次の化合物:
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
ホモサラート、
サリチル酸エチルヘキシル、
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
オクトクリレン、
フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、
ベンゾフェノン−3、
ベンゾフェノン−4、
ベンゾフェノン−5、
2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸−n−ヘキシル、
4−メチルベンジリデンカンファー、
テレフタリリデンジカンファースルホン酸、
メト硫酸カンファーベンザルコニウム、
フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、
エチルヘキシルトリアゾン、
ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4,6−トリス(ジネオペンチル−4’−アミノベンザルマロネート)−s−トリアジン、
2,4,6−トリス(ジイソブチル−4’−アミノベンザルマロネート)−s−トリアジン、
2,4,6−トリス(ビフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4,6−トリス(テルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、
ドロメトリゾールトリシロキサン、
ポリシリコーン−15、
ジ−ネオペンチル−4’−メトキシベンザルマロネート
1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン、
2,4−ビス−[5−1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール−2−イル(4−フェニル)−イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)−イミノ−1,3,5−トリアジン、
およびそれらの混合物、
から選択される。
【0053】
無機遮蔽剤は、被覆又は非被覆の金属酸化物の顔料 (一次粒子の平均径:概して5nmから100nmの間、好ましくは10nmから50nmの間)、例えば、酸化チタン(アモルファス、またはルチル型および/もしくはアナターゼ型の結晶)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウムのナノ顔料(これらは全てUV光防護剤として周知である)等から選択される。
【0054】
顔料は被覆されていても、未被覆であってもよい。
【0055】
被覆された顔料は、例えばCosmetics & Toiletries, February 1990, Vol. 105, p. 53-64に記載されている化合物、例えばアミノ酸、ミツロウ、脂肪酸、脂肪アルコール類、アニオン性界面活性剤、レシチン類、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄又はアルミニウム塩、金属アルコキシド類(チタン又はアルミニウムのアルコキシド類)、ポリエチレン、シリコーン類、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン類、酸化ケイ素類、金属酸化物類、またはヘキサメタリン酸ナトリウムなどの化合物を用い、化学的、電気的、メカノケミカル的および/または機械的な表面処理を、1回または複数回表面施された顔料である。
【0056】
公知の方法において、シリコーン類は、直鎖状又は環状、分枝状又は架橋した構造を有する、種々の分子量のオルガノシリコンポリマー又はオリゴマーであり、適切に官能化されたシラン類の重合および/または重縮合により得られ、基本的に、ケイ素原子が酸素原子により互いに結合(シロキサン結合)した主要単位の繰り返しを含み、炭化水素基が前述のケイ素原子に炭素原子を介して直接結合した状態で置換されていてもよい。
【0057】
用語「シリコーン類」には、それらの調製に必要なシラン類、特にアルキルシラン類も含まれる。
【0058】
本発明のナノ顔料を被覆するために使用されるシリコーン類は、好ましくは、アルキルシラン類、ポリジアルキルシロキサン類及びポリアルキル水素シロキサン類からなる群から選択される。より好ましくは、シリコーン類はオクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン類、およびポリメチル水素シロキサン類からなる群から選択される。
【0059】
もちろん、シリコーン類で処理する前に、金属酸化物の顔料を、他の表面剤、特に酸化セリン、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、またはそれらの混合物で処理してもよい。
【0060】
被覆された顔料は、さらに詳細には:
−シリカで被覆された酸化チタン、例えば、IKEDA社からの製品SUNVEIL等、
−シリカおよび酸化鉄で被覆された酸化チタン、例えば、IKEDA社からの製品SUNVEIL F等、
−シリカおよびアルミナで被覆された酸化チタン、例えば、TAYCA社からの製品MICROTITANIUM DIOXIDE MT 500 SAおよびMICROTITANIUM DIOXIDE MT 100 SA、Tioxide社からの製品TIOVEIL、ならびにRhodia社からの製品MIRASUN Ti W 60等、
−アルミナで被覆された酸化チタン、例えば、ISHIHARA社からの製品TIPAQUE TTO-55 (B)およびTIPAQUE TTO-55 (A)、ならびにKEMIRA社からの製品UVT 14/4等、
−アルミナおよびステアリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えば、TAYCA社からの製品MICROTITANIUM DIOXIDE MT 100 T, MT 100 TX, MT 100 Z, MT-01、UNIQEMA社からの製品Solaveil CT-10 WおよびSolaveil CT 100、MERCK社からの製品EUSOLEX T-AVO等、
−シリカ、アルミナ、およびアルギン酸で被覆された酸化チタン、例えば、TAYCA社からの製品MT-100 AQ等、
−アルミナおよびラウリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えば、TAYCA社からの製品MICROTITANIUM DIOXIDE MT 100 S等、
−酸化鉄およびステアリン酸鉄で被覆された酸化チタン、例えば、TAYCA社からの製品MICROTITANIUM DIOXIDE MT 100 F等、
−酸化亜鉛およびステアリン酸亜鉛で被覆された酸化チタン、例えば、TAYCA社からの製品BR351等、
−アルミナおよびシリカで被膜され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えば、TAYCA社からの製品MICROTITANIUM DIOXIDE MT 600 SAS、MICROTITANIUM DIOXIDE MT 500 SAS、またはMICROTITANIUM DIOXIDE MT 100 SAS等、
−シリカ、アルミナ、およびステアリン酸アルミニウムで被膜され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えば、TITAN KOGYO社からの製品STT-30-DS等、
−シリカで被膜され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えば、KEMIRA社からの製品UV-TITAN X 195等、
−アルミナで被膜され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えば、ISHIHARA社からの製品TIPAQUE TTO-55 (S)、KEMIRA社からの製品UV TITAN M 262等、
−トリエタノールアミンで被覆された酸化チタン、例えば、TITAN KOGYO社からの製品STT-65-S等、
−ステアリン酸で被覆された酸化チタン、例えば、ISHIHARA社からの製品TIPAQUE TTO-55 (C)等、
−ヘキサメタリン酸ナトリウムで被覆された酸化チタン、例えば、TAYCA社からの製品MICROTITANIUM DIOXIDE MT 150 W等、
である。
【0061】
シリコーンで処理された他の二酸化チタンの顔料は、好ましくは、25から40nmの間の基本粒子の平均径を有する、オクチルトリメチルシランで処理されたTiO(例えば、DEGUSSA SILICES社により商品名T 805で販売されているもの等)、21nmの基本粒子の平均径を有する、ポリジメチルシロキサンで処理されたTiO(例えば、CARDRE社により商品名70250 CARDRE UF TIO2SI3で販売されているもの等)、または、25nmの基本粒子の平均径を有する、ポリジメチルヒドロゲノシロキサンで処理されたアナターゼ/ルチルTiO(例えば、COLOR TECHNIQUES社により商品名MICRO TITANIUM DIOXYDE USP GRADE HYDROPHOBICで販売されているもの等)である。
【0062】
未被覆の二酸化チタンの顔料は、例えば、TAYCA社により商品名MICROTITANIUM DIOXIDE MT 500 BまたはMICROTITANIUM DIOXIDE MT 600 Bで販売されているもの、DEGUSSA社により商品名P 25で販売されているもの、WACKHER社により商品名「Transparent 15 titanium dioxide PW」で販売されているもの、MIYOSHI KASEI社により商品名UFTRで販売されているもの、TOMEN社により商品名ITSで販売されているもの、および、Tioxide社により商品名TIOVEIL AQで販売されているものがある。
【0063】
未被覆の酸化亜鉛の顔料は、例えば、
−SUNSMART社によりZ-COTEの名で販売されているもの;
−Elementis社によりNANOXの名で販売されているもの;
−Nanophase Technologies社によりNANOGARD WCD 2025の名で販売されているもの;
である。
【0064】
被覆された酸化亜鉛の顔料は、例えば、
− TOSHIBI社により「OXIDE ZINC CS-5」の名で販売されているもの(ポリメチル水素シロキサンで被覆されたZnO);
−Nanophase Technologies社によりNANOGARD ZINC OXIDE FNの名で販売されているもの(Finsolv TN(安息香酸C12-C15アルコールエステル)に40%で分散したもの);
−Daito社によりDAITOPERSION Zn-30およびDAITOPERSION Zn-50の名で販売されているもの(シクロポリメチルシロキサン/オキシエチレン化されたポリジメチルシロキサンに分散したものであり、ポリメチル水素シロキサンおよびシリカで被覆された亜鉛ナノ酸化物を30%または50%含有する);
−DAIKIN社によりNFD Ultrafine ZnOの名で販売されているもの(シクロペンタシロキサンに分散した、ペルフルオロアルキルホスファートおよびペルフルオロアルキルエチル系コポリマーで被覆されたZnO):
−SHIN-ETSU社によりSPD-Z1の名で販売されているもの(シクロジメチルシロキサンに分散した、シリコーングラフト化アクリルポリマーで被覆されたZnO);
−ISP社によりESCALOL Z100の名で販売されているもの(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル/PVP−ヘキサデセンコポリマー/メチコンの混合物に分散した、アルミナで処理されたZnO);
−Fuji Pigment社によりFuji ZnO-SMS-10の名で販売されているもの(シリカおよびポリメチルシルセスキオキサンで被覆されたZnO);
−Elementis社によりNanox Gel TNの名で販売されているもの(ヒドロキシステアリン酸の重縮合物と共に安息香酸のC12-C15アルコールエステルに55%で分散したZnO);
である。
【0065】
未被覆の酸化セリウムの顔料は、例えば、RHODIA社によりCOLLOIDAL CERIUM OXIDEの名で販売されている。
未被覆の酸化鉄のナノ顔料は、例えば、ARNAUD社によりNANOGARD WCD 2002 (FE 45B)、NANOGARD IRON FE 45 BL AQ、NANOGARD FE 45R AQ、NANOGARD WCD 2006 (FE 45R)の名で、または、MITSUBISHI社によりTY-220の名で販売されている。
【0066】
被覆された酸化鉄の顔料は、例えば、ARNAUD社によりNANOGARD WCD 2008 (FE 45B FN)、NANOGARD WCD 2009 (FE 45B 556)、NANOGARD FE 45 BL 345、NANOGARD FE 45 BLの名で、または、BASF社により「TRANSPARENT IRON OXIDE」の名で販売されている。
【0067】
金属酸化物の混合物として、特に、二酸化チタンと二酸化セリウムが挙げられ、シリカで被覆された二酸化チタンおよび二酸化セリウムの等重量混合物(例えば、IKEDA社によりSUNVEIL Aの名で販売されているもの)、さらに、アルミナ、シリカ、およびシリコーンで被覆された二酸化チタンおよび二酸化亜鉛の混合物(例えば、KEMIRA社の製品M 261等)、または、アルミナ、シリカ、およびグリセロールで被覆された二酸化チタンおよび二酸化亜鉛の混合物(例えば、KEMIRA社の製品M 211等)が含まれる。
【0068】
UV線フィルター剤は、概して、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して0.01重量%から20重量%の範囲で存在し、好ましくは、組成物の総重量に対して0.1重量%から10重量%の範囲で存在する。
【0069】
また、本発明の組成物は、皮膚を人工的日焼け及び/または褐色化させるための作用剤(自己日焼け剤(self-bronzing agent))、より具体的には、ジヒドロキシアセトン(DHA)を含有することができる。これらは、好ましくは、組成物の総重量に対して0.1重量%から10重量%の範囲の量で含まれる。
【0070】
本発明による水性の組成物は、さらに、従来の化粧品添加物を含有していてもよい。この添加物は、特に、脂肪物質、有機溶媒、イオン性または非イオン性、親水性または脂肪親和性の増粘剤、柔軟剤、湿潤剤、隠蔽剤、安定剤、エモリエント、シリコーン類、消泡剤、香料、防腐剤、陰イオン性、陽イオン性、両性イオン性、または両性の界面活性剤、活性成分、フィラー、ポリマー類、噴霧剤、塩基性化剤、または酸性化剤、ならびに化粧品または皮膚科学の分野で通常使用されている任意の他の成分から選択される。
【0071】
脂肪物質は、前述した無極性ワックスのほかに、油類またはワックス類またはそれらの混合物を含むことができる。用語「油」は、室温で液状の化合物を意味する。用語「ワックス」は、室温で固体又は実質的に固体であり、概して35℃を越える融点を有する化合物を意味する。
【0072】
油として、鉱物性油(パラフィン);植物性油(スイートアーモンド油、マカダミア油、クロフサグスリ種油又はホホバ油);合成油、例えば、ペルヒドロスクワレン、アルコール類、脂肪族アミド類(例えば、AJINOMOTO社によりELDEW SL-205の名で販売されているイソプロピルラウロイルサルコシナート等)、脂肪酸類または脂肪酸エステル類(例えば、WITCO社によりFINSOLV TNまたはWITCONOL TNの名で販売されている安息香酸のC12-C15アルコールエステル、パルミチン酸オクチル、ラノリン酸イソプロピル、カプリン酸/カプリル酸のトリグリセリドを含むトリグリセリド類、COGNIS社によりCetiol CCの名で販売されている炭酸ジカプリリル等)、オキシエチレン化された、またはオキシプロピレン化された脂肪酸エステル類およびエーテル類等;シリコン処理をした油(シクロメチコン、ポリジメチルシロキサン類、またはPDMS)またはフッ素化した油、ならびにポリアルキレン類が挙げられる。
【0073】
ワックス状の(waxy)化合物として、カルナウバワックス、ミツロウ、および硬化ヒマシ油が含まれる。
【0074】
有機溶媒としては、アルコール類および低級ポリオール類を挙げることができる。低級ポリオール類は、グリコール類およびグリコールエーテル類、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコールまたはジエチレングリコール等から選択することができる。
【0075】
親水性の増粘剤として、カルボキシビニルポリマー類、例えば、カーボポール(カルボマー)、およびペミュレン(Pemulen)(アクリラート/C10〜C30アルキルアクリラートコポリマー)等;ポリアクリルアミド類、例えば、SEPPIC社によりSEPIGEL 305(CTFA名:polyacrylamide/C13-14 isoparaffin/Laureth 7)またはSIMULGEL 600(CTFA名:acrylamide / sodium acryloyldimethyltaurate copolymer / isohexadecane / polysorbate 80)の名で販売されている架橋コポリマー等;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のポリマーおよびコポリマー(任意選択で、架橋および/または中和されていてもよい)、例えば、HOECHST社により商品名HOSTACERIN AMPS(CTFA名:ammonium
polyacryldimethyltauramide)で販売されているポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)等;セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース等;多糖類、特にガム類、例えばキサンタンガム等;ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0076】
脂質親和性の増粘剤として、合成ポリマー類、例えば、LANDEC社によりDORESCO IPA 13-1の名で販売されているポリC10〜C30アルキルアクリラート、ヘクトライトなどの変性粘土、およびその誘導体類(例えばBentoneの名で販売されている製品)等を挙げることができる。
【0077】
活性成分として、以下のものを挙げることができる:
−ビタミン類(A、C、E、K、PP等)およびそれらの誘導体または前駆体(単独または混合物として);
−抗汚染物質および/または抗ラジカル剤;
−脱色剤および/または着色促進剤;
−抗グリケーション剤;
−鎮静剤;
−NO−シンターゼ阻害剤;
−真皮または表皮の高分子の合成の促進および/または分解の阻止のための薬剤;
−線維芽細胞の増殖を刺激する薬剤;
−ケラチン生成細胞の増殖を刺激する薬剤;
−筋肉弛緩薬;
−表面張力剤;
−マット化剤;
−角質溶解剤;
−剥離剤;
−保湿剤;
−抗炎症剤;
−細胞のエネルギー代謝に作用する薬剤;
−昆虫忌避剤;
−P物質またはCRGPのアンタゴニスト;
−毛髪回復剤または抗脱毛剤;
−抗しわ剤。
【0078】
言うまでもなく、当業者であれば、本発明の組成物が内在的に付随する有利な特性が、付加または想定される追加により悪影響を受けないか、又は実質的に受けないように留意して、任意の付加的な化合物または上述した化合物を選択し、かつ/あるいはそれらの量を選択するであろう。
【0079】
本発明の組成物は、当業者に知られた技術に従って調製することができる。これらは、
特に、単相または多相(O/W、W/O、O/W/OまたはW/O/W)のエマルションの形態、例えば、クリーム、ミルク、またはゲル−クリーム等;水性ゲルの形態;ローションの形態とすることができる。任意選択で、エアゾールに包装することができ、フォームまたスプレーの形態にすることもできる。
【0080】
好ましくは、本発明の組成物は、水中油型または油中水型のエマルションまたは分散体の形態で供給される。
【0081】
エマルションは、概して、両性、陰イオン性、陽イオン性又は非イオン性乳化剤から選択され、単独又は混合物として使用される乳化剤を少なくとも1種含有している。乳化剤は得られるエマルション(W/O又はO/W)に応じて、適切に選択される。
【0082】
W/Oエマルションの調製に使用可能な乳化性界面活性剤として、例えば、ソルビタン、グリセロールまたは糖類のアルキルエステル類またはエーテル類;シリコン処理された界面活性剤、例えば、ジメチコンコポリオール類(例えば、DOW CORNING社によりDC 5225 Cの名で販売されているシクロメチコンとジメチコンコポリオールとの混合物等)、およびアルキルジメチコンコポリオール類(例えば、DOW CORNING社からDOW CORNING 5200 Formulation Aidの名で販売されているラウリルメチコンコポリオール等)等;セチルジメチコンコポリオール(例えば、GOLDSCHMIDT社によりAbil EM 90Rの名で販売されている製品等)、ならびに、セチルジメチコンコポリオール、イソステアリン酸ポリグリセリル(4mol)、およびラウリン酸ヘキシルの混合物(GOLDSCHMIDT社によりABIL WE O9の名で販売されているもの)を挙げることができる。また、共乳化剤を1種または複数種添加してもよく、この共乳化剤は、有利には、アルキル化されたポリオールエステル類から選択することができる。
【0083】
アルキル化されたポリオールエステル類として、特に、ポリエチレングリコールのエステル類、例えば、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG−30(例えば、ICI社によりARLACEL P135の名で販売されている製品等)を挙げることができる。
【0084】
グリセロールおよび/またはソルビタンのエステルとして、例えば、イソステアリン酸ポリグリセリル(例えば、Goldschmidt社によりIsolan GI 34の名で販売されている製品等);イソステアリン酸ソルビタン(例えば、ICI社によりArlacel 987の名で販売されている製品等);イソステアリン酸ソルビタンおよびグリセロール(例えば、ICI社によりArlacel 986の名で販売されている製品等)、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0085】
O/Wエマルションのための乳化剤としては、例えば、非イオン性乳化剤を挙げることができる。非イオン性乳化剤は、例えば、オキシアルキレン化(特に、ポリオキシエチレン化)された、脂肪酸とグリセロールのエステル類;オキシアルキレン化された、脂肪酸とソルビタンのエステル類;オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)された、脂肪酸のエステル類(例えば、ステアリン酸PEG−100/ステアリン酸グリセリルの混合物(例えば、ICI社によりARLACEL 165の名で販売されているもの)等);オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)された、脂肪アルコールのエーテル類;糖類のエステル類(例えば、ステアリン酸スクロース等);脂肪アルコールと糖のエステル類、特に、アルキルポリグリコシド(APG)、例えば、デシルグリコシドおよびラウリルグリコシド(例えば、Henkel社によりそれぞれPLANTAREN 2000およびPLANTAREN 1200の名で販売されているもの)、ケトステアリルグリコシド(任意選択でケトステアリルアルコールと混合してもよい)(例えば、SEPPIC社によりMONTANOV 68の名で、Goldschmidt社によりTEGOCARE CG90の名で、およびHenkel社によりEMULGADE KE3302の名で販売されているもの)、さらに、アラキジルグリコシド(例えば、アラキドン酸、ベヘン酸、およびアラキジルグリコシドの混合物の形態)(SEPPIC社によりMONTANOV 202の名で販売されているもの)等である。本発明の特別な実施形態によれば、上述により定義したアルキルポリグリコシド混合物は、対応する脂肪アルコールと共に、例えば国際公開第92/06778明細書に記載されているように、自己乳化性組成物の形態をとることができる。
【0086】
エマルションの形態である場合、エマルションの水性相は、公知の方法で調製された非イオン性の小胞体分散液を含むことができる(Bangham, Standish and Watkins, J. Mol. Biol. 13, 238 (1965), 仏国特許第2315991号、仏国特許第2416008号)。
【0087】
本発明の組成物は、皮膚、唇、頭皮を含む毛の非常に多数の処置(特に美容のための処置)、特に、皮膚、唇、髪の保護および/もしくはケアのための処置、ならびに/または皮膚および/もしくは唇の化粧のための処置に適用することができる。
【0088】
本発明の別の目的は、上述により定義された本発明の組成物の、皮膚、唇、爪、毛、まつげ、まゆ、および/または頭皮の美容処置ための製品、特にケア製品、サンスクリーン製品、および化粧製品の製造のための使用にある。
【0089】
本発明の化粧品組成物は、例えば、顔および/または体のケア製品および/またはサンスクリーン製品として、クリームなどのような、液体から半流動体までの粘稠度で、例えば、程度の差はあるが油性のゲルまたはゲルクリームである、ローション、ミルク等として使用することができる。任意選択で、これらはエアゾールとして封入し、フォームまたはスプレーの形態で供給することができる。
【0090】
本発明の化粧品組成物は、例えば、化粧製品に使用することができる。
【0091】
本発明によるスプレー可能な流動状ローションの形態の本発明の組成物は、加圧装置を使って、微細粒子の形態で皮膚または毛に適用することができる。
【0092】
本発明の装置は当業者によく知られており、非エアゾールポンプ又は「アトマイザー」、噴霧剤を含有するエアゾール容器、および噴霧剤として圧縮空気を使用するエアゾールポンプを含む。後者は、米国特許第4077441号および米国特許第4850517号(記載の内容の主要部分を形成)に記載されている。
【0093】
本発明のエアゾール包装された組成物は、概して、従来からの噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタンのヒドロフルオロ化化合物、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、イソブタン、n-ブタン、プロパン、又はトリクロロフルオロメタンを含有する。これらは、好ましくは、組成物の総重量に対して、好ましくは15〜50重量%の範囲の量で含有される。
【0094】
本発明を例証する具体的な、しかし全く限定的でない実施例を付与する。指針として与えられる、以下の非限定的な実施例を参照することにより、本発明を記述する。
【0095】
[実施例]
これらの実施例において、特に記載がなければ、量は重量%で表される。
以下のサンスクリーン組成物を調製した。量は重量%で表される。
【0096】
〔実施例1〜3〕:O/Wエマルション
【表1】

【0097】
(調製法)
A相とB相とを別々に60〜70℃に加熱し、ロータ−ステータ型の攪拌でエマルションを調製した後、C相を添加した。エマルションを、緩やかな攪拌下、放置して室温に戻した。
【0098】
(マット性(つや消し性)の測定)
反射ゴニオメータを使用して、あらかじめ室温で60分乾燥した、30μmの厚さの膜の反射光を測定した。
【0099】
フィルム引き(film-puller)を使用して、組成物をコントラストカード(Ericksen社により販売されているPrufkarte type 24/5-250 cm2)上に広げる。
【0100】
得られた結果は、鏡面反射の拡散反射に対する比Rである。Rの値は、マット化効果が増加するにしたがって低下する。
【0101】
【表2】

【0102】
1%の濃度で、Cirebelle 303(組成物2)は対照組成物のてかりを低減させることができるのに対し、合成ミツロウすなわちKESTERWAX K82Pはてかりを増加させる。
【0103】
(フィルター効果)
組成物1、2および3の紫外線防御指数(SPF)は、Colipaのプロトコール(2003)に従って測定した。
【0104】
得られたSPF値は次のとおりである。
【表3】

【0105】
これらの試験結果は、51℃を超える融点を有し、157〜180J/gに等しい融解エンタルピーを有する無極性ワックスを含有する本発明の組成物2が、極性ワックスを含有する組成物3と著しく異なって、ワックスを含有しない組成物1に対し、大幅にてかりを低減させると同時に紫外線防御指数を増加させることができることを示している。
【0106】
〔実施例5〕:O/Wサンスクリーンミルク
【表4】

【0107】
(調製法)
相(TiOを除く)をウオーターバス上で85℃に加熱し、水性相を攪拌しながら65℃に加熱する。TiOを、ロータ−ステータによる攪拌下、A相に分散する。A相をA相に添加する。エマルションは、ロータ−ステータにより激しく攪拌した状態で、水性相を導入することにより65〜70℃で調製する。これを室温まで放冷した後、アルコールを加えた。
【0108】
このようにして得た本組成物は、適用するとつやが無く、白化せず、べたつかず、けば立たず、十分なフィルター効果がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のUV線フィルター剤と少なくとも1つの水性相とを化粧品として許容可能なキャリア中に含む組成物であって、30℃以上の融点を有し、250J/g未満の融解エンタルピーを有する無極性ワックスを少なくとも1種含有することを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記無極性ワックスが、40℃を超える融点、最も好ましくは70℃以下の融点を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記無極性ワックスが、240J/g以下の融解エンタルピーを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記無極性ワックスが、220J/g以下の融解エンタルピーを有することを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記無極性ワックスが、Fischer-Tropsch法により得ることができるポリメチレンワックス類から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリメチレンワックスが350から600ダルトンの範囲の数平均分子量を有することを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
1種または複数種の前記ワックスが、前記組成物の総重量に対して0.1重量%から5重量%、有利には0.5重量%から3重量%、特に0.5重量%から1.5重量%の範囲の割合で存在することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記UV線フィルター剤が、UV−Aおよび/またはUV−Bに活性であり、親水性かつ/あるいは脂溶性かつ/あるいは通常使用される化粧品用溶媒中に不溶性である、有機および/または無機UV遮蔽剤から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記有機UV遮蔽剤が、アントラニラート類;ジベンゾイルメタン誘導体;ケイ皮酸誘導体;サリチル酸誘導体;カンファー誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β−ジフェニルアクリラート誘導体;トリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロナート誘導体;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン類;ビスベンゾアゾリル誘導体;p−アミノ安息香酸(PABA)誘導体;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体;ベンゾオキサゾール誘導体;ポリマー遮蔽剤およびシリコーン遮蔽剤;α−アルキルスチレン由来の二量体類;4,4−ジアリールブタジエン類ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
無機UV遮蔽剤が、処理されたまたは未処理の金属酸化物顔料であることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記顔料が、処理されたまたは未処理の、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、皮膚を人工日焼けおよび/または褐色化させるための、少なくとも1種の作用剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、水中油型または油中水型のエマルションまたは分散体の形態で提供されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項の記載により定義した無極性ワックスの少なくとも1種の使用であって、化粧品として許容可能なキャリア、少なくとも1つの水性相、および少なくとも1種のUV線フィルター剤を含む組成物中の、てかりの低減または解消および/またはべたつきの低減または解消および/または白化の低減または解消および/またはけば立ちの低減または解消および/または紫外線防御指数(SPF)の増大の目的のための、使用。

【公開番号】特開2007−23031(P2007−23031A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−189719(P2006−189719)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】