説明

水晶デバイス及びその製造方法

【課題】枕を水晶デバイスのリッドまたはベースにベース、枠付水晶振動片及びリッドの接合用低融点ガラス層または樹脂接着剤層同時に形成して、落下衝撃時の周波数変動を抑制し、かつ、水晶デバイスの破損を防止する。
【解決手段】ベース2と、該ベース2の上面2aのシールパスに低融点ガラス層または樹脂接着剤層6を介して接合された上面端部にメサ部3aが形成された枠付水晶振動片3と、該枠付水晶振動片3の上面のシールパスに低融点ガラス層または樹脂接着剤層7を介して接合されたリッド4とからなる水晶デバイス1であって、該リッド4の裏面4aに前記枠付水晶振動片3の落下衝撃時の振幅を抑制する低融点ガラスまたは樹脂接着剤からなる枕5を前記低融点ガラス層または前記樹脂接着剤層7と同時に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶デバイス及びその製造方法に係り、とくに、低融点ガラスを用いて、水晶デバイスのリッドまたはベースに落下衝撃による周波数変動の抑制及び水晶デバイスの破損を防止する補強体(枕)を形成した水晶デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器、水晶振動子等の水晶デバイスは、小型かつ軽量であることから、とくに、携帯型の電子機器、例えば、携帯電話に、周波数及び時間の基準源として使用されている。このような水晶デバイスの一つとして、セラミックからなるベースの上面に水晶振動子片を搭載し、ベースに金属カバーを被せてベースにシーム溶接し水晶片を密閉・封止した水晶振動子がある。そして、このような水晶振動子には、落下衝撃による周波数変動及び破損を防止するため、別途、ベースの上面に密閉・封止の前に、枕木状の枕を形成したものがある。
【0003】
また、特許文献1に示すように、ベースと枠付水晶振動片とリッドとが同じ材料、例えば、水晶板で形成され、リッドの裏面とベースの上面に緩衝用凸部をそれぞれ形成し、落下衝撃時における水晶片本体の大きな振れを阻止して、衝突による破損を防止した圧電デバイスがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−258918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の従来の水晶振動子では、セラミックベースの上面に、あるいは水晶板からなるリッドの裏面とベースの上面に、別工程により枕木状の補強体を形成していたので、補強体形成のためだけの別の製造工程を必要とする問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、本発明の水晶デバイスでは、ベースとリッドあるいはベース、水晶振動片及びリッドとの接合に低融点ガラスを用い、それらの接合面への低融点ガラスの印刷・塗布の際に、低融点ガラスにより同時に補強体(枕)をリッドの裏面あるいはベースの上面に形成するようにする。
【0007】
そのため、本発明の水晶デバイスは、ベースと、該ベースの上面のシールパスに低融点ガラス層を介して接合された上面端部または下面端部にメサ部が形成された枠付水晶振動片と、該枠付水晶振動片の上面のシールパスに低融点ガラス層を介して接合されたリッドとからなり、該リッドの裏面または、ベースの上面に前記枠付水晶振動片の落下衝撃時の振幅を抑制する低融点ガラスからなる枕を前記低融点ガラス層と同時に形成する。
【0008】
また、本発明の水晶デバイスは、ベースと、該ベースの上面のシールパスに低融点ガラス層を介して接合された上面端部と下面端部にメサ部が形成された枠付水晶振動片と、該枠付水晶振動片の上面のシールパスに低融点ガラス層を介して接合されたリッドとからなり、該リッドの裏面と前記ベースの上面に前記枠付水晶振動片の落下衝撃時の振幅を抑制する低融点ガラスからなる枕を前記低融点ガラス層と同時に形成する。
【0009】
さらに、本発明の水晶デバイスは、ベースと、該ベースの上面に低融点ガラスからなる枕と該上面のシールパスに同時に形成した低融点ガラス層と、前記ベースの上面に搭載した水晶振動片と、該低融点ガラス層上に設置・接合された断面凹状のリッドからなる。
【0010】
またさらに、本発明の水晶デバイスは、断面凹状のベースと、該ベースの凹部に搭載した水晶振動片と、前記ベースの上面に、低融点ガラスからなる枕と低融点ガラス層を形成したリッドを載置・接合する。
【0011】
本発明の水晶デバイスの製造方法は、枠付水晶振動片用ウエハ、ベース用ウエハ及びリッド用ウエハを準備する工程と、前記ベース用ウエハの一主面のシールパスにペースト状の低融点ガラスまたは樹脂接着剤層を印刷または塗布する工程と、前記枠付水晶振動片用ウエハを前記ベース用ウエハに印刷または塗布した前記低融点ガラスまたは前記樹脂接着剤層上に載置する工程と、前記リッド用ウエハの一主面のシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスまたは樹脂接着剤層を印刷または塗布してシールパス及び枕を形成する工程と、前記ベース用ウエハ上に載置した前記枠付水晶振動片用ウエハ上に前記シールパス及び枕形成面を下にして前記リッド用ウエハを載置する工程と、前記リッド用ウエハを加熱及び押圧して前記3枚のウエハを貼り合せて接合する工程と、前記貼り合せたウエハを個片に分割して水晶デバイスを得る工程と、からなる。
【0012】
また、本発明の水晶デバイスの製造方法は、枠付水晶振動片用ウエハ、ベース用ウエハ及びリッド用ウエハを準備する工程と、前記ベース用ウエハの一主面のシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスまたは樹脂接着剤層を印刷または塗布してシールパス及び枕を形成する工程と、前記枠付水晶振動片用ウエハを前記ベース用ウエハに印刷または塗布した前記低融点ガラスまたは前記樹脂接着剤層上に載置する工程と、前記リッド用ウエハまたは前記ベース用ウエハの一主面のシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスまたは樹脂接着剤層を印刷または塗布してシールパス及び枕を形成する工程と、前記ベース用ウエハ上に載置した前記枠付水晶振動片用ウエハ上に前記シールパス及び前記枕形成面を下にして前記リッド用ウエハを載置する工程と、前記リッド用ウエハを加熱及び押圧して前記3枚のウエハを貼り合せて接合する工程と、前記貼り合せたウエハを個片に分割して水晶デバイスを得る工程と、からなる。
【0013】
さらに、本発明の水晶デバイスの製造方法は、セラミックベース用ウエハ及びリッド用ウエハを準備する工程と、前記セラミックベース用ウエハの一主面のシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスまたは樹脂接着剤層を印刷または塗布する工程と、前記セラミックベース用ウエハの上主面に水晶振動片を搭載する工程と、前記水晶振動片を搭載した前記セラミックベース用ウエハの上面に前記リッド用ウエハを被せる工程と、前記リッド用ウエハを加熱及び押圧して前記セラミックベース用ウエハに前記リッド用ウエハを接合して前記水晶振動片を密閉及び封止する工程と、前記接合した2枚のウエハを個片に分割して水晶デバイスを得る工程と、からなる。
【0014】
さらに、本発明の水晶デバイスの製造方法は、断面凹状のセラミックベース用ウエハ及び断面凹状のリッド用ウエハを準備する工程と、前記セラミックベース用ウエハの一主面のシールパス形成部にペースト状の低融点ガラスまたは樹脂接着剤層を印刷または塗布する工程と、前記セラミックベース用ウエハの上主面の凹部に水晶振動片を搭載する工程と、前記リッド用ウエハの一主面のシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスまたは樹脂接着剤層を印刷または塗布する工程と、前記水晶振動片を搭載した前記セラミックベース用ウエハの上面に前記リッド用ウエハを被せる工程と、前記リッド用ウエハを加熱及び押圧して前記セラミックベース用ウエハに前記リッド用ウエハを接合して前記水晶振動片を密閉及び封止する工程と、前記接合した2枚のウエハを個片に分割して水晶デバイスを得る工程と、からなる。
【発明の効果】
【0015】
補強体(枕)をベースとリッドの接合面への低融点ガラスの印刷・塗布と同時に水晶デバイスのリッドまたはベースに形成することにより、水晶デバイスの落下衝撃による周波数変動が抑制され、かつ、水晶デバイスの破損が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の水晶デバイスの実施例1を示し、水晶からなるベースに、枠付水晶振動片をその片面に設けたメサ部を上方に向けて搭載して低融点ガラスによりベースに接合し、枠付水晶振動片の上面に、水晶からなり、かつ、枕をその裏面に形成したリッドを低融点ガラスで接合した水晶デバイス(3枚張り合わせ)の断面図を示す。
【図2】本発明の水晶デバイスの実施例2を示し、上面に枕を形成した水晶からなるベースに、両面にメサ部を設けた枠付水晶振動片を搭載して低融点ガラスにより接合し、枠付水晶振動片の上面に、水晶からなり、かつ、枕をその裏面に形成したリッドを低融点ガラスで接合した水晶デバイス断面図を示す。
【図3】本発明の水晶デバイスの実施例3を示し、セラミック、ガラス、または水晶からなるベースの上面に枕を形成し、セラミック、ガラス、または水晶からなる断面凹状のリッド内に水晶振動片を搭載し、リッドを低融点ガラスでベースに接合し、水晶振動片をリッドの凹部内に密閉・封止した水晶デバイス(2枚張り合わせ)の断面図を示す。
【図4】本発明の水晶デバイスの実施例4を示し、セラミック、ガラスまたは水晶からなる断面凹状のベースの上面に水晶またはガラスからなるリッドの裏面に枕を形成し、ベースの上面にリッドを低融点ガラスで接合し、水晶振動片をベースの凹部内に搭載の密閉・封止した水晶デバイス(2枚張り合わせ)の断面図を示す。
【図5】図3及び図4に示した本発明の水晶デバイスの実施例であって、ベース及びベースの上面に形成した枕とベースのみを実線で示した平面図を示し、(a)は、枕を一本の棒状に形成した実施例の、また、(b)は、枕を2個の個片に分割した実施例の、さらに(c)は、2個の枕を平面視ハの字状に形成した実施例の平面図をそれぞれ示す。
【図6】図5に示した水晶デバイスのVI−VI矢視断面図を示し、(a)は、VI−VIa、(b)は、VI−VIb、(c)は、VI−VIc矢視断面を、それぞれ示す。
【図7】図1に示した本発明の水晶デバイスの実施例1の製造工程を示すフローチャートである。
【図8】図2に示した本発明の水晶デバイスの実施例2の製造工程を示すフローチャートである。
【図9】図3に示した本発明の水晶デバイスの実施例3の製造工程を示すフローチャートである。
【図10】図4に示した本発明の水晶デバイスの実施例4の製造工程を示すフローチャートである。
【図11】図1に示した水晶デバイスをウエハレベルで製造する際、水晶デバイスのシールパスに印刷・塗布した低融点ガラスの配列状態の平面図を示し、(a)は従来例の配列状態(シールパスのみ)を、また、(b)は本発明の配列状態(シールパス及び枕)及び(c)は個々の水晶デバイスのシールパスpを示す。
【図12】図1に示した水晶デバイスの製造工程において、ベース、枠付水晶振動片及びリッドの接合状態を示し、(a)接合前の、また(b)は接合後の概念図を示す。
【図13】同一材料からなるベース、枠付水晶振動片及びリッドを表面活性化接合して構成した圧電デバイスにおいて、ベースの上面またはリッドの裏面に枕を前記接合工程とは別工程で形成した従来例の圧電デバイスの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の水晶デバイスの実施例1から4及びそれらの製造方法を添付した図面に基づいて説明する。
【0018】
実施例1
図1に示すように、本発明の実施例1の水晶デバイス1は、ベース2、枠付水晶振動片3及びリッド4が水晶振動片(音叉型振動片を含む)と同一の材料、例えばATカット、Zカット、SCカット等の水晶板(ウエハ)からなり、ベース2の枠部(シールパス;封止部)pにペースト状の低融点ガラス6(例えば、軟化温度;約330℃、接着時加熱温度;約380℃)を印刷・塗布し、さらに、低融点ガラス6上に枠付水晶振動片3を搭載し、最後に裏面に低融点ガラス7を塗布・印刷したリッド(蓋体)4を被せた後、上下方向から押圧加熱して、ベース2、枠付水晶振動片3及びリッド4の3枚の集合基板(ウエハ)をり合わせるか、あるいは、ベース2と枠付水晶振動片3とを接合した後、周波数調整を行い、リッド4を接合し、その後、ダイシングソーにより切断して水晶デバイス1の個片に製造される。
【0019】
実施例1では、枠付水晶振動片3の上面端部にメサ部(肉厚部)3aが形成されているので、リッドの裏面4aと枠付水晶振動片3の上面と空間S(メサ部が下端面に形成されているときにはベース2に形成される)内に枕(補強体)5が配置されるよう、リッド4の裏面4aにリッド4の枠部p(シールパス)に同じ高さ(20μ)の枕5(例えば、幅;100から200μ、高さ;20μm)が低融点ガラスにより、シールパスpと同じ高さに印刷・塗布されて形成される。
【0020】
ウエハレベルでの3枚の集合基板のり合わせ時の加熱・押圧により、リッド4の裏面4aに印刷・塗布した低融点ガラス7は圧縮されて(例えば、図1に示すb:20μm、a:5μm)5μ程度の高さになるが、枕5は押圧されないので、枕5の高さに変化はなく、突起として残り、水晶デバイス1の落下時の衝撃により水晶振動片3が上下方向に振動しても、その水晶振動片3の上端面が枕5に当たり、水晶振動片3の振巾が抑制され衝撃が緩和されることになる。
【0021】
なお、本発明の水晶デバイスでは、低融点ガラスに代えてポリイミド樹脂(樹脂接着剤)を用いてもよく、また、ベース2とリッド4とを図1とは上下逆に配置してもよい。
【0022】
実施例2
図2に示すように、本発明の実施例2の水晶デバイス1では、枠付水晶振動片3両面端部にメサ部(肉厚部)3aが形成され、その上面及び下面にリッド4及びベース2がそれぞれリッド4の裏面4a及びベース2の上面2aに印刷・塗布された低融点ガラス6,7により接合されている。
【0023】
この実施例2では、枠付水晶振動片3の上面及び下面との間に空間部Sが形成されるので、枕5a,5bはリッド4の裏面4a及びベース2の上面2aに、前出の実施例1と同一の材料(例えば、水晶板)の3枚のり合わせ集合基板(ウエハ)により形成され、枕5a,5bにより、衝撃時の水晶振動片の振巾が大きくなるのを抑止する。
【0024】
実施例3
図3に示すように、本発明の実施例3の水晶デバイスは、ウエハレベルで平板状のセラミックベース2に、そのシールパスpと同時に枕5を低融点ガラス6を印刷・塗布して形成し、ベース2の上面2aに水晶振動片3を導電性接着剤3aにより固定して搭載した後、断面凹状のリッド4を被せて、上下方向から加熱・押圧して、水晶振動片3を凹部4b内の空間S内に密閉・封止する。前出の実施例と同様に、枕の高さよりもシールパス部に形成した低融点ガラスの厚みが薄くなり密閉・封止が強化される。
【0025】
ここで、リッド4には、水晶が用いられるが、ベースを含めて、水晶、ガラス材料を用いてもよい。
【0026】
実施例4
図4に示すように、本発明の実施例4の水晶デバイス1は、断面凹状のセラミックベース2の凹部4bのベースの内底面2aに水晶振動片3を導電性接着剤3aにより固定して搭載し、シールパスpと同時に枕5を一面に低融点ガラス6を印刷・塗布して形成したリッド4をベース2の上面に低融点ガラス6を介して載置して上下方向から押圧して接合して、水晶振動片3を凹部の空間S内に密閉・封止する。
【0027】
ここで、前出実施例と同様に、リッド及びベースに水晶、ガラス材料を用いてもよい。
【0028】
ここで、図3及び図4に示した本発明の水晶デバイスの実施例3及び4では、図5(a)及び図6(a)に示した1本の棒状の枕5に代えて、図5(b)及び図6(b)に示すような2個の枕5または図5(c)及び図6(c)に示すような平面視ハの字(扇)状に分かれた2個の枕5を用いることができる。
【0029】
このように、2個に分かれた枕を用いることにより、1本の枕に比べて、枕の形成に要するペースト状の低融点ガラスまたは接着剤の量を節約できるようになる。また、図6(b)、(c)に示すように、枕を2個に分けると、ベベル及びコンベックス断面形状の水晶片を用いた時に、水晶デバイス全体を低背化できるとする利点がある。即ち、図6(a)に示す1本の枕による場合には、これらの水晶片の厚い部分(膨出部)が枕に接触しないようにするため、水晶片全体を枕の上面から離すことが不可欠となる。これらに対して図6(b)、(c)に示すように、枕を2個に分けて配置すると、水晶片の膨出部が枕に接触しない範囲で、下方に下げて配置できるので、水晶デバイスの低背化が可能となる。
【0030】
本発明の水晶デバイスの製造方法
実施例1の水晶デバイスの製造方法
まず、図に示すように、直径が、例えば、3インチから4インチであって、2.0mm×1.6mm寸法の水晶デバイスを多数個製造できる枠付水晶振動片用(水晶振動片形成済)、ベース用及びリッド用集合基板(ウエハ)Wを準備する(S1)。
【0031】
次いで、ベース用ウエハWの一面に、例えば、1000個分の水晶デバイスのベースに相当する水晶ブランクを形成できるように、図11(c)に示すように、各シールパスpにペースト状の低融点ガラス(軟化温度;約330℃)または樹脂接着剤を印刷・塗布する(S2)。
【0032】
そして、ベース用ウエハの上面のシールパスpに相当する部分に印刷・塗布したペースト状の低融点ガラスの上に、メサ部3aを上向きにして枠付水晶振動片用ウエハを載置する(S3)。
【0033】
さらに、リッド用ウエハまたはベース用ウエハの一主面にシールパスpと枕5となる低融点ガラス7を印刷・塗布する(S4)
【0034】
そして、ベース用ウエハの上に載置した枠付水晶振動片用ウエハの上に低融点ガラスで形成したシールパスp及び枕5を下にしてリッド用ウエハ4を載置する(S5)。
リッド用ウエハの上下方向から加熱・押圧して、リッド用ウエハ、枠付水晶振動片用ウエハ及びベース用ウエハの3枚のウエハをり合わせて接合する(S)。この接合により接合面に印刷・塗布した低融点ガラス6,7が圧縮され潰れ、その厚みは薄くなるが、リッド用ウエハまたはベース用ウエハに形成した枕は、押圧されないので、突起状の形状として残ることになる。
【0035】
最後に、ダイシングソーで接合した3枚のウエハWを個片に分割して(S)、例えば、1000個分の個片の水晶デバイスを得る。
【0036】
実施例2の水晶デバイスの製造方法
まず、図8に示すように、前出の実施例1と同様に、枠付水晶振動片用ウエハ、ベース用ウエハ及びリッド用ウエハを準備する(S1)。
【0037】
次いで、ベース用ウエハの一面のシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスを印刷・塗布する(S2)。
【0038】
さらに、枠付水晶振動片用ウエハをベース用ウエハに印刷・塗布した低融点ガラス上に載置する(S3)。
【0039】
そして、リッド用ウエハの一面のシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスを印刷・塗布する(S4)。
【0040】
またさらに、ベース用ウエハ上に載置した枠付水晶振動片用ウエハの上に低融点ガラス形成(塗布)面を下にして、リッド用ウエハを載置する(S5)。
【0041】
また、リッド用ウエハの上方向から加熱・押圧して3枚のウエハを貼り合せて接合する(S6)。
【0042】
最後に、ダイシングソーで接合した3枚のウエハを個片に分割して、個片の水晶デバイスを得る(S7)。
【0043】
実施例3の水晶デバイスの製造方法
まず、図9に示すように、セラミックベース用ウエハ及び断面形状が凹状のリッド用ウエハを準備する(S1)。
【0044】
次いで、セラミックベース用ウエハの一面のシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスを印刷・塗布する(S2)。
【0045】
さらに、セラミックベース用ウエハの上面主面に水晶振動片を搭載する(S3)。
【0046】
そして、水晶振動片を搭載したセラミックベース用ウエハの上面に凹所を下にして被せる(S4)。
【0047】
また、リッド用ウエハの上方向から加熱・押圧して低融点ガラスを介してセラミックベース用ウエハに接合し、水晶振動片を密閉・封止する(S5)。
【0048】
最後に、接合した2枚のウエハをダイシングソーにより分割して、個片の水晶デバイスを得る(S6)。
【0049】
実施例4の水晶デバイスの製造方法
まず、図10に示すように、断面形状が凹状のセラミックベース用ウエハ及びリッド用ウエハを準備する(S1)。
【0050】
次いで、セラミックベース用ウエハの上面主面に水晶振動片を搭載する(S2)。
【0051】
さらに、リッド用ウエハのシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスを印刷・塗布する(S3)。
【0052】
そして、水晶振動片を搭載したセラミックベース用ウエハの上面に低融点ガラスを介して枕を下にしてリッド用ウエハを被せる(S4)。
【0053】
さらに、リッド用ウエハの上方向から加熱・押圧してリッド用ウエハをセラミックベース用ウエハに接合し、水晶振動片を密閉・封止する(S5)。
【0054】
最後に、接合した2枚のウエハをダイシングソーにより分割して、個片の水晶デバイスを得る(S6)。
【符号の説明】
【0055】
1 水晶デバイス
2 ベース
3 水晶振動片
3a メサ部(肉厚部)
4 リッド
5,5a,5b,5c 枕(補強体)
6 低融点ガラス
7 低融点ガラス
p シールパス(封止部)
W ウエハ(集合基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、該ベースの上面のシールパスに低融点ガラス層または樹脂接着剤層を介して接合された上面端部または下面端部にメサ部が形成された枠付水晶振動片と、該枠付水晶振動片の上面のシールパスに低融点ガラス層または樹脂接着剤層を介して接合されたリッドとからなり、該リッドの裏面または前記ベースの上面に前記枠付水晶振動片の落下衝撃時の振幅を抑制する低融点ガラスまたは樹脂接着剤からなる枕を前記低融点ガラス層または前記樹脂接着剤層と同時に形成したことを特徴とする水晶デバイス。
【請求項2】
ベースと、該ベースの上面のシールパスに低融点ガラス層または樹脂接着剤層を介して接合された上面端部と下面端部にメサ部が形成された枠付水晶振動片と、該枠付水晶振動片の上面のシールパスに低融点ガラス層または樹脂接着剤層を介して接合されたリッドとからなり、該リッドの裏面と前記ベースの上面に前記枠付水晶振動片の落下衝撃時の振幅を抑制する低融点ガラスまたは樹脂接着剤からなる枕を前記低融点ガラス層または前記樹脂接着剤層と同時に形成したことを特徴とする水晶デバイス。
【請求項3】
ベースと、該ベースの上面に低融点ガラスまたは樹脂接着剤からなる枕と該上面のシールパスに同時に形成した低融点ガラス層または樹脂接着剤層と、前記ベースの上面に搭載した水晶振動片と、該低融点ガラス層または該樹脂接着剤層上に設置・接合された断面凹状のリッドからなることを特徴とする水晶デバイス。
【請求項4】
断面凹状のベースと、該ベースの凹部に搭載した水晶振動片と、前記ベースの上面に、低融点ガラスまたは樹脂接着剤からなる枕と低融点ガラス層または樹脂接着剤層を形成したリッドを載置・接合したことを特徴とする水晶デバイス。
【請求項5】
枠付水晶振動片用ウエハ、ベース用ウエハ及びリッド用ウエハを準備する工程と、
前記ベース用ウエハの一主面のシールパスにペースト状の低融点ガラスまたは樹脂接着剤層を印刷または塗布する工程と、
前記枠付水晶振動片用ウエハを前記ベース用ウエハに印刷または塗布した前記低融点ガラスまたは前記樹脂接着剤層上に載置する工程と、
前記リッド用ウエハまたは前記ベース用ウエハの一主面のシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスまたは樹脂接着剤層を印刷または塗布してシールパス及び枕を形成する工程と、
前記ベース用ウエハ上に載置した前記枠付水晶振動片用ウエハ上に前記シールパス及び枕形成面を下にして前記リッド用ウエハを載置する工程と、
前記リッド用ウエハを加熱及び押圧して前記3枚のウエハを貼り合せて接合する工程と、
前記貼り合せたウエハを個片に分割して水晶デバイスを得る工程と、
からなることを特徴とする水晶デバイスの製造方法。
【請求項6】
枠付水晶振動片用ウエハ、ベース用ウエハ及びリッド用ウエハを準備する工程と、
前記ベース用ウエハの一主面のシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスまたは樹脂接着剤層を印刷または塗布してシールパス及び枕を形成する工程と、
前記枠付水晶振動片用ウエハを前記ベース用ウエハに印刷または塗布した前記低融点ガラスまたは前記樹脂接着剤層上に載置する工程と、
前記リッド用ウエハの一主面のシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスまたは樹脂接着剤層を印刷または塗布してシールパス及び枕を形成する工程と、
前記ベース用ウエハ上に載置した前記枠付水晶振動片用ウエハ上に前記シールパス及び前記枕形成面を下にして前記リッド用ウエハを載置する工程と、
前記リッド用ウエハを加熱及び押圧して前記3枚のウエハを貼り合せて接合する工程と、
前記貼り合せたウエハを個片に分割して水晶デバイスを得る工程と、
からなることを特徴とする水晶デバイスの製造方法。
【請求項7】
セラミックベース用ウエハ及び断面凹状のリッド用ウエハを準備する工程と、
前記セラミックベース用ウエハの一主面のシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスまたは樹脂接着剤層を印刷または塗布する工程と、
前記セラミックベース用ウエハの上主面に水晶振動片を搭載する工程と、
前記水晶振動片を搭載した前記セラミックベース用ウエハの上面に前記リッド用ウエハを被せる工程と、
前記リッド用ウエハを加熱及び押圧して前記セラミックベース用ウエハに前記リッド用ウエハを接合して前記水晶振動片を密閉及び封止する工程と、
前記接合した2枚のウエハを個片に分割して水晶デバイスを得る工程と、
からなることを特徴とする水晶デバイスの製造方法。
【請求項8】
断面凹状のセラミックベース用ウエハ及びリッド用ウエハを準備する工程と、
前記セラミックベース用ウエハの上主面の凹部に水晶振動片を搭載する工程と、
前記リッド用ウエハの一主面のシールパス及び枕形成部に同時にペースト状の低融点ガラスまたは樹脂接着剤層を印刷または塗布する工程と、
前記水晶振動片を搭載した前記セラミックベース用ウエハの上面に前記リッド用ウエハを被せる工程と、
前記リッド用ウエハの上方向から加熱及び押圧して前記セラミックベース用ウエハに前記リッド用ウエハを接合して前記水晶振動片を密閉及び封止する工程と、
前記接合した2枚のウエハを個片に分割して水晶デバイスを得る工程と、
からなることを特徴とする水晶デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−217143(P2012−217143A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−34745(P2012−34745)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】