説明

水素エネルギー駆動式移動体

【課題】 移動体の駆動源の水素供給源として水素吸蔵合金を使用することを提案してはいるが、水素吸蔵合金の具体的な収容箇所、水素の吸蔵・放出のさせ方等については記載されておらず、水素吸蔵合金を移動体にコンパクトに装備することができない。
【解決手段】 水素ガスが供給されて駆動エネルギーを生ずる駆動源8を搭載し、駆動源8で生ずる駆動エネルギーにより走行する移動体1において、移動体1の筐体2の壁部4又は床部5の隙間にタンク9を配置すると共に、該タンク9内に水素吸蔵合金MHを収容し、水素吸蔵合金MHに吸蔵させた水素を放出させて、駆動源8に燃料として供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガスが供給されて駆動エネルギーを生ずる駆動源を搭載し、駆動源で生ずる駆動エネルギーにより走行する水素エネルギー駆動式移動体に関し、特に燃料電池駆動式鉄道車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の移動体として、特許文献1に記載される鉄道車両が知られている。これは、複数の車軸を有する鉄道車両の駆動装置において、各車軸に設けられた複数の電動機と、該複数の電動機にそれぞれ電力を供給する複数の燃料電池と、前記各電動機に供給する電力量をそれぞれ制御する複数の電動機制御装置と、前記各燃料電池の発電量をそれぞれ制御する複数の燃料電池制御装置と、該鉄道車両の速度制御を行う主制御器とを備えたことを特徴としている。
【0003】
すなわち、各電動機制御装置には、該制御装置を介して電動機に駆動電力を供給するための燃料電池と二次電池とが接続されており、各燃料電池には、各電池の発電量を制御する燃料電池制御装置と燃料となる水素を供給する水素供給源とが設けられている。電動機制御装置、燃料電池及び燃料電池制御装置は、これらを一体化し、モジュール(ユニット)化した状態で床下に装着されている。
【0004】
水素供給源には、高圧容器に充填した高圧水素ガスや液体水素のように水素を搭載して燃料電池へ水素を直接供給するものや水素吸蔵合金を使用したもの、メタノール改質器のように液体燃料から触媒によつて水素を取り出すものなどを適当に選択して使用することができる。このとき、鉄道車両においては、その運用形態や走行条件が予め決められていることが多いので、高圧水素ガスや液体水素の充填も車両基地で定期的に行えば良い、としている。
【特許文献1】特開2003−111210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、水素供給源として水素吸蔵合金を使用することを提案してはいるが、高圧水素ガス、液体水素或いは改質器を使用するものなどと併記されるのみで、水素吸蔵合金の具体的な収容箇所、水素の吸蔵・放出のさせ方等については記載されておらず、水素吸蔵合金をコンパクトに鉄道車両に装備することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、水素ガスが供給されて駆動エネルギーを生ずる駆動源(8)を搭載し、駆動源(8)で生ずる駆動エネルギーにより走行する移動体(1)において、移動体(1)の筐体(2)の壁部(4)又は床部(5)の隙間にタンク(9)を配置すると共に、該タンク(9)内に水素吸蔵合金(MH)を収容し、水素吸蔵合金(MH)に吸蔵させた水素を放出させて、駆動源(8)に燃料として供給することを特徴とする水素エネルギー駆動式移動体である。
請求項2の発明は、前記駆動源(8)から排出される熱をタンク(9)に供給し、水素吸蔵合金(MH)を加熱して水素を放出させることを特徴とする請求項1の水素エネルギー駆動式移動体である。
請求項3の発明は、前記タンク(9)に熱交換器(36)を付属させ、熱交換器(36)に通す熱媒によつてタンク(9)内の水素吸蔵合金(MH)を加熱して水素を放出させると共に、移動体基地に装備する冷却用の熱媒供給手段(44)からの熱媒を熱交換器(36)に通すことによつてタンク(9)内の水素吸蔵合金(MH)を冷却しながら、水素を水素吸蔵合金(MH)に吸蔵させることを特徴とする請求項1又は2の水素エネルギー駆動式移動体である。
請求項4の発明は、前記タンク(9)が、移動体(1)に着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1,2又は3の水素エネルギー駆動式移動体である。
請求項5の発明は、前記熱交換器(36)が、タンク(9)に着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項3又は4の水素エネルギー駆動式移動体である。
請求項6の発明は、前記タンク(9)が、移動体(1)の筐体(2)の雪氷が付着する位置に対応して配置され、水素吸蔵合金(MH)に水素を吸蔵させる際の発熱反応で生ずる熱によつて移動体(1)の筐体(2)を加温し、筐体(2)から雪氷を剥離させることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5の水素エネルギー駆動式移動体である。
請求項7の発明は、前記タンク(9)が、移動体(1)の雪氷が付着する台車(13)に対向する位置の筐体(2)に配置され、水素吸蔵合金(MH)に水素を吸蔵させる際の発熱反応で生ずる熱によつて移動体(1)の台車(13)を加温し、台車(13)から雪氷を剥離させることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5の水素エネルギー駆動式移動体である。
請求項8の発明は、前記駆動源(8)を搭載する移動体(1A)と、タンク(9)を配置する移動体(1B)とが、連結器(32)によつて連結される別車両であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6又は7の水素エネルギー駆動式移動体である。
請求項9の発明は、前記駆動源(8)が、燃料電池であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8の水素エネルギー駆動式移動体である。
請求項10の発明は、前記駆動源(8)が、水素エンジンであることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8の水素エネルギー駆動式移動体である。
【発明の効果】
【0007】
独立請求項1によれば、移動体の筐体の壁部又は床部の隙間にタンクを配置すると共に、該タンク内に水素吸蔵合金を収容し、水素吸蔵合金に吸蔵させる水素を駆動源に燃料として供給する。このように、天井部を避けて水素吸蔵合金を配置するため、移動体の重心位置が高まることを抑制しながら余剰空間を有効活用して水素吸蔵合金を収容することができる。加えて、水素吸蔵合金を加熱して水素吸蔵合金から水素を放出させながら移動体が走行する際、昇温した水素吸蔵合金を断熱材又は暖房としても機能させることができる。従つて、寒冷地を走行する移動体に好適である。
【0008】
請求項2によれば、駆動源から排出される熱をタンクに供給し、水素吸蔵合金を加熱して水素を放出させるので、駆動源の排熱が有効活用される。
【0009】
請求項3によれば、タンクに付属させる熱交換器が水素吸蔵合金を加熱して水素を放出させるために使用されるのみならず、移動体基地に装備する冷却用の熱媒供給手段からの熱媒を熱交換器に通し、水素吸蔵合金を冷却しながら水素を水素吸蔵合金に吸蔵させることにも使用される。このため、熱交換器を有効活用しながら、特に移動体基地において水素吸蔵合金に水素を吸蔵させることができる。
【0010】
請求項4によれば、タンクが交換可能である。
請求項5によれば、熱交換器が交換可能である。
【0011】
請求項6によれば、水素吸蔵合金に水素を吸蔵・補充させる作業と筐体からの雪氷の剥離作業とが同時になされる。その結果、筐体からの雪氷の剥離作業能率が向上する。
【0012】
請求項7によれば、水素吸蔵合金に水素を吸蔵・補充させる作業と台車からの雪氷の剥離作業とが同時になされる。その結果、台車に付属する機器に付着する雪氷の剥離作業能率が向上する。
【0013】
請求項8によれば、駆動源を搭載する移動体と、タンクを配置する移動体とが、連結器によつて連結される別移動体であるから、駆動源及びその付属機器と、水素吸蔵合金を収容するタンクとを、それぞれの移動体に無理なく装備させながら、移動体毎の重量分散を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図5は、本発明に係る水素エネルギー駆動式移動体の1実施の形態を示す。図中において符号1は移動体である鉄道車両を示し、鉄道車両1の筐体2は、図1に示すように壁部4、床部5及び天井部3を有し、床部5(床下)に燃料電池8を装備している。図4に示す燃料電池8(図上で5基)は、水素及び酸素(空気)を燃料として発電し、発電した直流電流を充電器20に蓄え、コンバータ21でエネルギー形態を変換してインバータ11に導く。インバータ11においては、直流電流を交流に変換し、各台車13に備える電気モータ12を回転数制御して駆動し、必要に応じて減速装置(図示せず)を介して台車13に回転自在に支持する車輪7を回転駆動する。従つて、移動体である鉄道車両1は、水素ガスが供給されて駆動エネルギーを生ずる駆動源として燃料電池8を搭載し、駆動源で生ずる駆動エネルギーにより走行するものであり、駆動源が燃料電池8の場合には、搭載する燃料電池8が発電した電力を駆動エネルギーとして走行する。
【0015】
空気(酸素)は、コンプレッサ14によつて空気加湿ユニット15(図上で5個)を通して燃料電池8に供給され、水素は、各水素加湿ユニット16(図上で5個)を通してそれぞれ燃料電池8に供給される。燃料電池8の稼働・発電に伴つて生ずる熱は、燃料電池冷却装置によつて冷却される。燃料電池冷却装置は、熱媒配管31から供給され、複数のラジエター17(図上で4個)を通して冷却した媒体を燃料電池8に供給し、燃料電池8を冷却して自らは昇温した熱媒はポンプ18によつて熱媒配管30を通して送り、後記するタンク9の加熱に供する。
【0016】
水素吸蔵合金MHは、タンク9内に収容し、鉄道車両1に装備する。タンク9を装備する鉄道車両1は、燃料電池8、電気モータ12等を装備する鉄道車両1と同一であつても良いが、図4に示す第1の鉄道車両1Aに燃料電池8等を装備し、第1の鉄道車両1Aに連結器32を介して連結される図5に示す別の第2の鉄道車両1Bにタンク9を装備することが好ましい。これにより、各車両1,1の空間を有効活用すると共に別車両1,1毎の重量バランスを採ることができる。タンク9は、第2の鉄道車両1Bの重心位置が高くなることを避けるために、図1に示すように天井部3を除いた筐体2の壁部4又は床部5の内の少なくとも一方の隙間に組み込む。壁部4には、窓部2a及びドアー部(図示せず)を避けて、タンク9を組み込み、床部5には、少なくとも台車13に対応する位置として、タンク9を組み込む。タンク9は、現行の鉄道車両1の壁部4又は床部5の隙間に組み込むことが可能であり、設計変更をする必要は格別ない。
【0017】
タンク9は、好ましくは鉄道車両1の筐体2の雪氷が付着し易い位置に対応して配置させ、水素吸蔵合金MHに水素を吸蔵させる際の発熱反応で生ずる熱によつて鉄道車両1の筐体2を加温し、筐体2から雪氷を剥離させるようにする。タンク9を、鉄道車両1の雪氷が付着し易い台車13に対向する位置の筐体2の床部5に配置させれば、水素吸蔵合金MHに水素を吸蔵させる際の発熱反応で生ずる熱によつて鉄道車両1の台車13廻りを加温し、台車13から雪氷を剥離させることができる。タンク9及び後記する熱交換器36の車室側には断熱材を介在させ、車室内への熱影響を遮断する。
【0018】
水素吸蔵合金MHを収容する各タンク9は、図5に示すように分岐用の水素配管34によつて並列に接続し、各水素配管34を接続する水素配管38を介して水素加湿ユニット17に接続してある。各タンク9は、図1に示されるように矩形状断面を与え、壁部4又は床部5の空隙にコンパクトに配置する。水素吸蔵合金MHを収容した各タンク9を図2に示す。各タンク9による車両1の強度部材としての機能を高める場合には、図3に示すように三角形状断面を与え、床部5(又は壁部4)の空隙に配置する。三角形状断面をなすタンク9は、3個のタンク9によつて矩形状をなすように組み合わせて配置すれば、収容空間を削減することができる。その場合、隣接するタンク9同士を強固に結合すれば、車両の長手方向のみならず横(又は縦)方向にも車両の強度部材としての機能を良好に発揮する。各タンク9は、筐体2にボルト・ナット等の締付け手段によつて着脱自在に設け、交換可能な構造にする。
【0019】
また、各タンク9には、熱交換器36を付属させ、熱交換器36に通す熱媒(加熱媒体)によつてタンク9内の水素吸蔵合金MHを加熱して水素を放出させ、また、熱交換器36に通す熱媒(冷却媒体)によつてタンク9内の水素吸蔵合金MHを冷却しながら水素を吸蔵・補給させる。水素吸蔵合金MHへの水素の吸蔵・補給は、移動体基地(鉄道車両1の車両基地(機関区))で定期的に行えば良いため、水素吸蔵合金MHの冷却のために流す熱媒は、移動体基地に装備する冷却用の熱媒供給手段44(図4に示す)から供給すればよい。各熱交換器36は、各タンク9外壁にボルト・ナット等の締付け手段によつて着脱自在に設け、交換可能な構造にする。
【0020】
水素吸蔵合金MHからの水素の放出は、車両の走行中に必要であるから、燃料電池8から排出される熱を有効活用することが好ましく、燃料電池8から排出される熱をタンク9に供給し、水素吸蔵合金MHを加熱して水素を放出させる。このため、図4に示すように各燃料電池8に接続する冷却用配管40から排出され、自らは昇温した熱媒をポンプ18によつて熱媒配管30を通して送り出し、各熱交換器36に適宜に供給させて所定のタンク9内の水素吸蔵合金MHを加熱して水素を放出させる。水素吸蔵合金MHの加熱に供された後の熱媒は、熱媒配管31を通つて還流し、複数のラジエター17を通して冷却した媒体を燃料電池8に供給し、燃料電池8の冷却に循環使用する。
【0021】
熱媒配管30,31及び水素配管38は、第1の鉄道車両1Aと第2の鉄道車両1Bとの間で、可撓性を有するチューブ(図示せず)を介して接続可能である。また、充電器20には二次電池22が接続され、減速時の回生電力を二次電池22に蓄え、燃料電池8が発電した電力に加え、二次電池22に蓄えた電力によつて電気モータ12を駆動し鉄道車両1が走行する。
【0022】
このような鉄道車両1において、先ず、移動体基地において各タンク9の水素吸蔵合金MHに水素を吸蔵させる。このとき、水素配管38(又は34)に移動体基地の水素源42を接続し、水素吸蔵合金MHに水素を吸蔵させる。水素吸蔵合金MHによる水素の吸蔵は発熱反応であるから、移動体基地に装備する冷却用の熱媒供給手段44から供給する熱媒を各熱交換器36に循環させる。各熱交換器36への熱媒の循環は、第2の鉄道車両1Bのみで行われるように、熱媒配管30及び31を使用して行えばよい。水素吸蔵合金MHに十分に水素が吸蔵されたなら、水素配管38を移動体基地の水素源42への接続から燃料電池8への接続状態に切り換え、かつ、各熱交換器36を熱媒供給手段44への接続から燃料電池8への接続状態に切り換える。第1の鉄道車両1Aと第2の鉄道車両1Bとが非連結状態にあるときは、連結器32によつて連結させると共に、熱媒配管30,31及び水素配管38を可撓性を有するチューブ(図示せず)を介して接続する。
【0023】
この状態から燃料電池を稼働する。空気(酸素)は、コンプレッサ14によつて空気加湿ユニット15を通して燃料電池8に供給され、水素は、水素吸蔵合金MHから放出されたものが水素配管38及び水素加湿ユニット16を通つて燃料電池8に供給される。燃料電池8の稼働に伴つて生ずる熱は、燃料電池冷却装置によつて冷却される。その際、ポンプ18を駆動して熱媒を循環させ、燃料電池8を冷却して昇温した熱媒を熱媒配管30を通じてタンク9に付属する各熱交換器36に適宜に通し、所定の水素吸蔵合金MHを加熱しながら、吸熱反応である水素放出を促す。水素吸蔵合金MHを加熱した後の熱媒は、複数のラジエター11を通して冷却された後に熱媒配管31を通じて燃料電池8に戻り、燃料電池8の冷却に供される。
【0024】
なお、水素吸蔵合金MHから水素を放出させる際は吸熱反応になるが、鉄道車両1が走行する際に水素吸蔵合金MHを加熱して水素吸蔵合金MHから水素を放出させるため、水素吸蔵合金MHとして水素放出温度が零度を超えるものを選定すれば、鉄道車両1の走行中にも融雪を図ることができる。また、鉄道車両1は、振り子式の車両であつてもよい。振り子式の車両に本発明を適用する場合には、現行の振り子式の車両の重心位置を高めることのない位置にタンク9及び水素吸蔵合金MHを配置する。
【0025】
ところで、上記1実施の形態にあつては、鉄道車両1が移動体であるとしたが、鉄道車両1の他、自動車、産業車両等も移動体に含まれるものである。また、鉄道車両1は、水素ガスが供給されて駆動エネルギーを生ずる燃料電池8を搭載し、燃料電池8で生ずる駆動エネルギーにより走行するものとしたが、燃料電池8は、水素ガスが供給されて駆動エネルギーを生ずる駆動源に置換することができ、燃料電池8は水素エンジンとすることができる。水素エンジンの稼働に伴つて生ずる熱は、熱媒によつて回収し、タンク9の加熱に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の1実施の形態に係る鉄道車両のタンクの配置を示す断面図。
【図2】同じく水素吸蔵合金の配置を示す断面図。
【図3】同じくタンクの構造例を示す断面図。
【図4】同じく第1の鉄道車両への燃料電池、電気モータ等の配置を示す概略図。
【図5】同じく第2の鉄道車両へのタンクの配置を示す概略図。
【符号の説明】
【0027】
1,1A,1B:鉄道車両(移動体)
2:筐体
4:壁部
5:床部
8:燃料電池(駆動源)
9:タンク
12:電気モータ
13:台車
30,31:熱媒配管
32:連結器
34,38:水素配管
36:熱交換器
42:水素源
44:熱媒供給手段
MH:水素吸蔵合金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスが供給されて駆動エネルギーを生ずる駆動源(8)を搭載し、駆動源(8)で生ずる駆動エネルギーにより走行する移動体(1)において、移動体(1)の筐体(2)の壁部(4)又は床部(5)の隙間にタンク(9)を配置すると共に、該タンク(9)内に水素吸蔵合金(MH)を収容し、水素吸蔵合金(MH)に吸蔵させた水素を放出させて、駆動源(8)に燃料として供給することを特徴とする水素エネルギー駆動式移動体。
【請求項2】
前記駆動源(8)から排出される熱をタンク(9)に供給し、水素吸蔵合金(MH)を加熱して水素を放出させることを特徴とする請求項1の水素エネルギー駆動式移動体。
【請求項3】
前記タンク(9)に熱交換器(36)を付属させ、熱交換器(36)に通す熱媒によつてタンク(9)内の水素吸蔵合金(MH)を加熱して水素を放出させると共に、移動体基地に装備する冷却用の熱媒供給手段(44)からの熱媒を熱交換器(36)に通すことによつてタンク(9)内の水素吸蔵合金(MH)を冷却しながら、水素を水素吸蔵合金(MH)に吸蔵させることを特徴とする請求項1又は2の水素エネルギー駆動式移動体。
【請求項4】
前記タンク(9)が、移動体(1)に着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1,2又は3の水素エネルギー駆動式移動体。
【請求項5】
前記熱交換器(36)が、タンク(9)に着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項3又は4の水素エネルギー駆動式移動体。
【請求項6】
前記タンク(9)が、移動体(1)の筐体(2)の雪氷が付着する位置に対応して配置され、水素吸蔵合金(MH)に水素を吸蔵させる際の発熱反応で生ずる熱によつて移動体(1)の筐体(2)を加温し、筐体(2)から雪氷を剥離させることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5の水素エネルギー駆動式移動体。
【請求項7】
前記タンク(9)が、移動体(1)の雪氷が付着する台車(13)に対向する位置の筐体(2)に配置され、水素吸蔵合金(MH)に水素を吸蔵させる際の発熱反応で生ずる熱によつて移動体(1)の台車(13)を加温し、台車(13)から雪氷を剥離させることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5の水素エネルギー駆動式移動体。
【請求項8】
前記駆動源(8)を搭載する移動体(1A)と、タンク(9)を配置する移動体(1B)とが、連結器(32)によつて連結される別車両であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6又は7の水素エネルギー駆動式移動体。
【請求項9】
前記駆動源(8)が、燃料電池であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8の水素エネルギー駆動式移動体。
【請求項10】
前記駆動源(8)が、水素エンジンであることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8の水素エネルギー駆動式移動体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−280073(P2006−280073A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94196(P2005−94196)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(590003825)北海道旅客鉄道株式会社 (94)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【出願人】(000150408)株式会社中村自工 (7)
【Fターム(参考)】