説明

汚泥の低減、又は泡及びバルキングを制御するための廃水のオゾン処理

廃水をオゾン処理するためのシステム及び方法が開示されている。開示の廃水処理システム(10)は、活性汚泥処理槽(20)に連結された高選択性反応機(30)を備える。高選択性反応機(30)は、活性汚泥処理槽(20)から直接又は間接に転送された汚泥を含むストリームを受け入れるようになっている。開示の廃水処理システム及び方法は、汚泥の低減、泡の制御、又はバルキングの制御を目的として、高選択性反応機内で処理するためにオゾン富化ガスなどの化学薬品を転送されたストリーム中に注入するようになっている。次いで、処理されたストリームは、活性汚泥処理槽に戻される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃水を処理するための方法及びシステムに関し、より詳細には、汚泥の低減及び泡の制御を目的として、高選択性反応機でオゾンを用いた汚泥の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
廃水処理の従来の方法は、活性汚泥処理として知られている好気性又は嫌気性いずれかの型のプロセスで廃水ストリームを菌と接触させるステップを必要とする。こうした菌は、廃水中に含まれる基質材料又は廃棄物の一部分を消費し、この基質材料又は廃棄物は、通常、炭素、窒素、リン、硫黄などを含む有機化合物である。通常は、廃棄物の一部分を消費することによって菌細胞の代謝がさらに進み、又は菌細胞の生理機能が維持される。加えて、廃棄物の一部分は、新しい菌細胞の合成プロセスの一部分としても消費される。活性汚泥処理プロセスでは、一定量の汚泥及び随伴固体が生成し、この汚泥及び随伴固体は、汚泥バランスを定常状態に維持するために処理槽から連続的に除去しなければならない。というのは、これは、活性汚泥処理システムを有効に機能させるために重要であるからである。
【0003】
処理プラントの廃棄物除去容量を定常状態に維持するためには、活性汚泥処理プロセス内での新しい菌細胞の発生を制御することが重要である。定常状態で又は定常状態近傍で廃棄物を処理するのに要する量を越えて多すぎる量の新しい菌細胞が合成されると、こうした新しく合成されたが不必要である菌細胞の蓄積に起因するバイオソリッドの過剰な形成がもたらされる。こうした過剰のバイオソリッドは、活性汚泥処理プロセスで連続的に除去しなければならない。
【0004】
汚泥の除去を取り扱うための既存の方法には、埋立地への汚泥輸送や、土地造成又は農業用としての汚泥の利用や、汚泥の焼却が含まれる。大部分の汚泥廃棄操作には、何らかの汚泥の予備処理、即ち、当技術分野で固体ハンドリングとして知られているプロセスが必要である。固体ハンドリングプロセスは、コストがかかり、且つ時間のかかる操作である場合が多く、通常は、以下のステップ、即ち、(a)通常はポリマーの使用が必要であるシックナーでの汚泥濃縮ステップ、(b)菌を安定化させ、汚泥の容積及び病原菌含有量をさらに低減するための、汚泥消化ステップ、(c)固体含量を約15〜25%に到達させるための、汚泥脱水ステップであって、汚泥が遠心分離機又はその他の固液分離型装置内を通過することが必要であるステップ、(d)汚泥を貯蔵するステップ、及び(e)埋立て、農家による土地利用、又はその他の最終用途のためのサイトまで輸送する、ステップ、の1つ又は複数のステップを必要とする。
【0005】
固体のハンドリング及び廃棄プロセスに伴うコストは、廃水処理プロセス全体に伴う運転の全コストの20〜60%になり得ると推定される。固体のハンドリング及び廃棄に伴うコスト及び時間のために、廃水処理プロセスで生成する過剰の汚泥量を最小にすることが有利である。
【0006】
従来の活性汚泥処理システム及び方法では、基質材料(即ち、廃棄物)を化学酸化するため、並びに新しい細胞の合成及び菌細胞の代謝プロセスのための双方で酸素が必要である。汚泥を処理するための酸素に加えてオゾンを使用することも報告されている。より詳細には、機械的撹拌機及び/又は動力混合を提供するポンプと組み合わせた汚泥のオゾン処理が報告されている。汚泥−オゾン接触は、通常、連続撹拌タンク反応(CSTR)モードで行われ、分解(lysis)(細胞壁の完全性が破れること)は、オゾンの細胞壁に対する強力な酸化作用の結果としてもたらされる。分解によって、菌細胞の基質に富む細胞内容物が放出される。このようにして、分解しなければ過剰の汚泥として排出されたはずの固体細胞が分解され、そうすることによって、固体細胞は、次いで処理槽で菌が消費できる基質に変換される。
【0007】
細胞内容物は、タンパク質、脂質、多糖類及びその他の糖類、DNA、RNA、並びに有機イオンを含む液状マトリックスである。汚泥オゾン接触が連続撹拌反応機モードで実施される場合、選択性が低いので、汚泥をオゾン処理するための従来の方法を使用すると過剰量のオゾンが消費される。加えて、これまでに報告されたいくつかのオゾンの使用では、汚泥の特別の予備処理又は改変が必要であった。こうした予備処理及び改変として、汚泥のpHを調整するステップ、汚泥の温度を上昇させるステップ、オゾン処理槽の圧力を上昇させるステップ、又は汚泥が嫌気性予備消化工程を通過するステップを挙げることができる。したがって、汚泥処理でのオゾンのこれまでの使用には、追加の複雑性、材料、装置、及びそれに伴うコストの増加が含まれていた。
【0008】
反応機システムに対する3つの主要な方法が知られており、それらは、連続撹拌タンク反応機システム(CSTR)、高度選択性プラグフロー反応機(PFR)、及びバッチ反応機システム(BRS)である。異なる反応機モード間の主要な相違点は、基本的に、(i)滞留時間としても知られている、分子が反応空間内に滞在する平均時間、(ii)反応「塊」間の相互作用、例えば、CSTRでは顕著な逆混合が存在するが、PFRは、あるとしても逆混合が非常に限定されていることを特徴とする、及び(iii)得られる収率にある。
【0009】
汚泥の減少に伴う課題に加えて、多数の廃水処理操作におけるその他の厄介な課題の1つは、廃水の発泡及びバルキングの制御である。発泡及びバルキングの問題は、一般に、廃水中にノカルジア菌及びパルビセラ(Parvicella)菌などの糸状菌が多量に存在することによって引き起こされる。こうした糸状菌性有機体は、廃水中の溶解酸素の低濃度、又は食物/微生物比が低いことを特徴とする廃水中の栄養体の欠乏のいずれかが存在する廃水で繁殖する傾向がある。
【0010】
発泡問題は、活性汚泥槽の表面の最大25%までを覆う淡褐色の泡の存在を特徴とする場合が多く、望ましくない悪臭、固体の流出、及び一般的に有害な作業条件を含めての廃水プラント内の操業上の問題の原因になることが多い。他方、バルキングは、フロックから拡がる糸状菌性有機体の存在を特徴とし、それによって、汚泥の沈降及び圧密特性が阻害される。これは、清澄機の性能に悪い影響を及ぼし、排出性が不十分になる場合が多い。
【0011】
廃水処理操作におけるバルキング及び発泡の問題を制御するためには、廃水中の糸状菌性有機体を除外又は制御することが必要である。従来は、廃水中の糸状菌性有機体の制御は、活性汚泥槽に塩素、過酸化物、及びオゾンなどの酸化剤を添加することによって行われている。糸状菌性有機体の制御の代替の手段として、栄養含有量の増加、又は汚泥の有酸素状態の改良、又はその両方が挙げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Yasui他、Wat. Sci. Tech、1996、(3−4)、頁395−404
【非特許文献2】Sakai他、Wat. Sci. Tech、1997、36(11)、頁163−170
【非特許文献3】Kobayashi他、Proceedings of the 15th Ozone World Conference、2001(London)
【非特許文献4】Sievers他、Proceedings of the 3rd Conf for Water and Wastewater Treatment、2003(Goslar)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、広くは、汚泥を除去、又は発泡及びバルキングを制御するためにオゾン又はその他の酸化剤を用いて廃水を処理する方法であることを特徴とすることができる。開示の方法は、(a)流入廃水を廃水処理反応機内に受け入れるステップと、(b)前記廃水処理反応機内でバイオソリッドを酸化するステップと、(cx)前記廃水処理反応機内からのストリームを排出するステップと、(d)前記廃水処理反応機から排出されたストリームの一部を高選択性処理用反応機に転送するステップと、(e)転送されたストリームを追加処理するために前記高選択性処理用反応機に酸化剤を導入するステップと、(e)追加処理されたストリームを前記廃水処理反応機に戻すステップと、を含む。高選択性反応機におけるストリームの処理として、例えば、汚泥を低減するためのオゾンによるストリームの処理、発泡を制御するためのオゾンによるストリームの処理、又は制御するための液状ストリームの処理を挙げることができる。
【0014】
本発明は、活性汚泥槽中の廃水の発泡又はバルキングを低減する方法であることを特徴とすることもできる。廃水の発泡又はバルキングを低減する好ましい方法は、(a)活性汚泥槽内のバイオソリッドを酸化するステップと、(b)前記活性汚泥槽から活性化汚泥ストリームを排出するステップと、(c)前記活性汚泥槽から排出された活性化汚泥ストリームの一部をオゾン処理反応機に転送するステップと、(d)前記オゾン処理反応機内の転送されたストリームにオゾンを導入することによって糸状菌の分解を誘導するステップと、(e)オゾン処理された液状ストリームを前記活性汚泥槽に戻すステップとを含む。
【0015】
本発明の上記及びその他の態様、特徴、及び利点は、以下の図面と連携して提供される以下のより詳細な説明からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のシステム及びプロセスの実施形態を組み込んだ活性化廃水処理システムの略図である。
【図2】本発明で開示の実施形態による過剰汚泥処理プロセスの運転性能を示すグラフである。
【図3】本発明のシステム及びプロセスの代替の実施形態であって、オゾン富化ガスを高選択性反応機内の複数の位置で導入する実施形態の略図である。
【図4】本発明のシステムの別の代替の実施形態であって、反応機からの排出ラインが、反応機の下流にあるいくつかの他の汚泥後処理プロセスに連結されている実施形態の略図である。
【図5】本発明のシステムのさらなる別の代替の実施形態であって、オゾン富化ガス注入システムが、反応機に付属のポンプで又はその近傍でオゾン富化ガスを注入する実施形態の略図である。
【図6】本発明のシステム及び方法のさらなる別の実施形態であって、高選択性反応機の前で汚泥を予備加工する実施形態を示す図である。
【図7】本発明のシステムのさらなる別の代替の実施形態であって、オゾン富化ガスと液状ストリームの間の気液接触が、反応機の上流で行われる実施形態を示す図である。
【図8】本発明のシステムのさらなる別の実施形態であって、処理された液状ストリームが、活性汚泥槽からの混合液ストリームである実施形態を示す図である。
【図9】本発明のシステムのさらなる別の実施形態であって、処理されたストリームが、代替のRASストリームである実施形態を示す図である。
【図10】オゾン処理前数週間、及び本発明によるオゾン処理中の数週間において、活性汚泥処理槽中に選択された糸状菌が存在することを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面の数個の図にわたり、対応する参照番号は、対応する構成要素を示す。
【0018】
従来の活性汚泥処理システム及び方法では、基質材料を化学酸化するため、並びに新しい細胞の合成及び菌細胞の代謝プロセスのための双方で酸素が必要である。処理プロセスにおける基質材料を化学酸化するための酸素要求量は、しばしば、化学的酸素要求量(COD)と呼称され、新しい細胞を合成及び菌細胞の代謝プロセスを維持する目的で基質の消費を介して基質を除去するための酸素要求量は、生物学的酸素要求量(BOD)と呼称される。
【0019】
図1は、本発明の汚泥オゾン処理システムの実施形態(12)を組み込んだ活性汚泥処理システム(10)の略図を示す。その図から分かるように、典型的な活性汚泥処理システム(10)は、流入廃水を受け入れるようになっている取水導管(14)と、多様な予備加工装置(16)と、廃水処理反応機(20)とを備え、この反応機は、微生物を使用することによって水から廃棄物を除去することを意図した、曝気槽、膜式バイオ反応機、又はその他のシステムであり得る。例示されたシステムは又、蓄積した汚泥から浄化液を分離するようになっている1つ若しくは複数の清澄機又はろ過モジュール(22)と、排出液又は浄化液を排出部(23)に輸送するための排出導管(24)と、活性汚泥ライン(26)と、処理汚泥を輸送し、活性汚泥槽(20)又はその他の高選択性反応機まで戻すようになっている戻し活性汚泥(RAS)ライン(28)とを備える。消化機(25)及び脱水装置(27)も示されている。
【0020】
例示の実施形態では、バイオソリッド又は汚泥の一部は、廃棄活性汚泥(WAS)の一部として含まれており、バイオソリッド又は汚泥の一部分は、清澄機(22)からRASライン(28)に沿って活性汚泥槽(20)まで輸送される。その途中で、汚泥及びバイオソリッドを含む液体の所定量がオゾン処理をするために汚泥オゾン処理反応機に転送される。しかし、転送されたストリームは、反応機(30)に入る前に処理することも改変することも必要ではない。本発明の廃水処理システム(12)及びプロセスは、転送されたストリームを効果的に処理するように設計された高選択性処理用反応機(30)を使用することが必要である。高選択性処理用反応機は、好ましくは、RASライン(28)に平行に流れ、又はRASライン(28)からの副ストリームである転送されたストリーム(32)を受け入れるプラグフロー反応機(30)である。
【0021】
汚泥の低減
汚泥を低減するためには、プラグフロー反応機(30)内の全容積流速は、好ましくは、廃棄活性汚泥(WAS)の等価容積流速の約1倍から廃棄活性汚泥(WAS)の等価容積流速の約40倍までの範囲である。廃棄活性汚泥(WAS)の等価容積流速の約1〜40倍のこの範囲によって、部分的には、プラグフロー反応機(30)内の最適気液比が決まる。好ましくは、気液比は、1.0以下であるべきである。汚泥の全容積流速は、調整可能であり、好ましくは、オゾン富化ガス流、及びプラグフロー反応機内のオゾン富化ガス流中のオゾン濃度と連携することによって、所要のオゾン投与量を最小化しつつ、汚泥又はバイオソリッドの所望の低減水準が達成される。
【0022】
図1から分かるように、転送された汚泥のストリーム(32)は、ポンプ(34)を通ってプラグフロー反応機(30)として示されている汚泥オゾン処理反応機に進む。プラグフロー反応機(30)は、オゾンの有効な溶解及びバイオソリッドとオゾンの反応を確実に行わせるのに十分な、プラグフロー反応機(30)内の汚泥の滞留時間を、流速と一緒に保証するのに十分な長さの管(36)を備える。例示の実施形態は又、それを通ってオゾン富化ガスがプラグフロー反応機(30)に導入される1つ又は複数のガス注入システム(40)を備える。好ましいガス注入機システム(40)は、オゾン富化ガス源と、汚泥中にオゾン富化ガスを注入するための1つ又は複数のノズル若しくはベンチュリ型装置(42)とを備える。好ましくは、オゾン富化ガス源は、酸素ガスの供給源又は供給元(示さず)と連結したオゾン発生器(44)である。あるいは、オゾン富化ガスストリーム(46)は、特別のオンサイト・オゾン貯蔵システムから供給することもできる。好ましくは、オゾンの所望の濃度は、6%以上である。オゾンのより高い濃度が好ましい、というのは、かかるより高い濃度は、汚泥接触機内の気液比を最適範囲内に確実に維持する助けとなるからである。
【0023】
オゾン富化ガスは、好ましくは、呼び圧力、通常は、注入装置(42)に隣接したプラグフロー反応機(30)の部分内の運転圧力より低い圧力で例示の実施形態に供給される。この方式では、オゾン富化ガスは、注入装置(42)における圧力降下によって発生する真空引力によって注入装置(42)内に吸い込まれ、注入装置(42)内を通過する。しかし、当業者なら、オゾン富化ガスが、プラグフロー反応機(30)又はその他の気液接触筐体内の圧力より高い圧力で供給される実施形態も理解できよう。
【0024】
ガス注入器システム(40)は又、オゾン富化ガスの注入速度、時期、及び容積を運転制御することが可能になる適切な制御手段又は機構(示さず)を備える。オゾン富化ガスのガス注入速度、注入時期、及び容積の制御は、気液を効果的に接触させること、及びプラグフロー反応機(30)内を流れる液状ストリーム内でのオゾンの最適な溶解を促進することを標的とする。より詳細には、ガス注入システムの制御は、好ましくは、ガス流と液流の比が所定の範囲になるように調整され、その場合、ガス流は、注入装置(42)を通るガスの注入速度、時期、及び容積から確定され、液流は、プラグフロー反応機(30)内の汚泥流を表す。気液比の好ましい範囲は、約1.0以下である。この気液比によって、ガス又はオゾンが、液体中に適切に分散することが確実になり、流体ミックス中に過剰のガスが存在しないことがさらに確実になる。過剰の逆混合及び撹拌が最小化される。より重要には、上記の気液比は、他の関連の流動特性と共同して、過剰の逆混合及び撹拌が最小化され、各流れの層化を回避する働きをする。
【0025】
プラグフロー反応機(30)を通過した後、オゾン処理汚泥は、戻りライン(50)を介してプラントのRASライン(28)に戻る。あるいは、プラグフロー反応機(30)を出るオゾン処理汚泥又は液状ストリームは、RAS流の残りから別個のラインで活性汚泥槽(20)に戻ってもよく、廃水処理プラントの異なる部分に戻ってもよい。一般には、主たるRAS流が、無酸素又は嫌気性槽に行く場合、オゾン処理汚泥(これは既に高度に酸化されている)が有酸素又は好気性槽に行くことが好ましい場合がある。そうしないと、オゾン処理汚泥の酸素含量によって、無酸素又は嫌気性状態で必要とされる条件を妨害する恐れがある。
【0026】
RASライン(28)又は戻りライン(50)の末端では、活性汚泥槽(20)の表面又は十分な深さにあるオゾン処理汚泥を戻し、活性汚泥槽(20)でオゾン処理汚泥とバルク液体が確実に十分混合するようになっている任意選択の排出機構、排出装置、又は出口ノズル装置(示さず)が存在する。排出機構又は出口ノズル装置(示さず)は又、上記で確認されたプロセスにおける酸素の回収を促進する働きをする。
【0027】
開示の汚泥オゾン処理システムの背後にある運転原理では、プラグフロー反応機内でバイオソリッドと溶解オゾンが接触することが必要であり、この反応機内で、酸化物(溶解オゾン)とバイオソリッドの一次接触及び反応が行われる。本発明の方法には、汚泥又は混合液の液状ストリームとオゾン富化ガスの間で有効な気液接触を行わせることによって液状ストリーム中でオゾンを効果的に溶解させることが必要である。有効な気液接触は、適切に設計されたプラグフロー反応機及びオゾン富化ガス注入技法を用いて達成される。
【0028】
プラグフロー反応機におけるオゾン富化ガスとバイオソリッドの反応では、菌の細胞壁がオゾン誘導性の化学酸化を受けた結果として菌細胞の細胞壁が、破られ、又は弱められる。この菌細胞壁の破れは、分解として知られ、それにより菌細胞内の細胞内容物の放出がもたらされる。細胞内容物は、一般に、タンパク質、脂質、多糖類及びその他の糖類、DNA、RNA、並びに有機イオンを含む液状マトリックスである。分解の結果として、分解されなければ固体ハンドリングプロセスにおいて蓄積し排出されたはずのバイオソリッドの固体細胞は、基質(COD)成分に変換され、次いで、活性汚泥処理槽で菌によって消費される。
【0029】
オゾンが、菌細胞の分解をもたらす酸化プロセス(「一次反応」)のためにのみ、又は主としてそのためにのみ使用されるように、過剰の菌細胞又はバイオソリッドと溶解オゾンの間の接触時間を短い範囲にすることによって、プラグフロー反応機を使用して分解反応の高選択性を達成する。理想的には、オゾン投与量及び液気接触時間は、細胞内容物をさらに酸化(「二次反応」)しないように制限される。これによって、オゾンの最も効率的な使用がもたらされ、その結果、最小のオゾン投与量で汚泥が最大に低減する。好ましい接触時間は、約10〜60秒の範囲である。
【0030】
汚泥内で摂取されるオゾン投与量も又、ガス流のオゾン濃度の調整、又は汚泥内に注入されるオゾン富化ガスの流速の調整、又はその両方のいずれかによって制御可能である。オゾンの投与量制御は、最小のオゾン使用量で所望の細胞分解活性を達成することを標的とする。
【0031】
ここで図2に戻ると、活性汚泥槽に直接戻されるRASの一部分に連続撹拌反応モードで施用されたオゾン処理を用いる活性汚泥処理プロセスを含む、従来技術の教示による汚泥低減プロセスと比較した場合の、開示の実施形態によるプラグフロー反応機での汚泥のオゾン処理を用いた活性汚泥処理プロセスの運転性能を示すグラフが例示されている。両方の例では、同じオゾン流速が施用されている。その図で分かるように、本発明のオゾン処理プロセスの場合の曲線(60)の形状がより急勾配であることによって、分解プロセスがより速やかな速度で行われ、施用された単位量のオゾン当たりで固体の低減量又は除去量が全体として向上したことが分かる。従来のオゾン処理プロセスを使用すると、曲線(62)が示すように除去された固体は約400mg/Lであるのに比較して、本発明のオゾン処理プロセスを使用すると、曲線(60)が示すように最初の40分以内で約1600mg/Lの固体が除去される。ただし、両方の場合で施用されたオゾンの全投与量は同じである。
【0032】
表1は、上記のオゾン処理プロセスを使用する廃水処理設備におけるバイオソリッド生成と、本発明の汚泥オゾン処理反応機及び関連のプロセスを使用しない同じ廃水処理設備におけるバイオソリッド生成との別の比較を示す。
【0033】
又、表2は、本発明の開示する汚泥オゾン処理システム及びプロセスの汚泥低減性能と、その他の報告された多様な汚泥オゾン処理例の汚泥低減性能との比較を示す。その表で分かるように、本発明の開示する汚泥オゾン処理システムの除去係数(即ち、使用されたオゾンkg当たりの除去された全汚泥量kg)は、従来技術の文献で開示のシステムの見かけの除去係数よりはるかに大きい。
【0034】
表1 バイオソリッドの低減
【表1】

【0035】
表2 汚泥低減システムの比較
【表2】

【0036】
図3〜9は、本発明の汚泥処理プロセスの代替の実施形態を示す。詳細には、図3は、汚泥処理プロセスの一実施形態であって、オゾン富化ガスをプラグフロー反応機(30)の、又はそれに近接した複数の位置で注入する、又はその他の方法で導入する実施形態を例示する。複数点での注入は、プラグフロー反応機(30)内で行わせる必要がある気液接触を正確に制御する、又はその改良を実現するのに有利である場合がある。
【0037】
図4は又、本発明の廃水処理システム及びプロセスの別の実施形態であって、高選択性反応機(30)からの戻り導管(50)が、連続撹拌タンク反応機又は活性汚泥槽(20)に直接戻らずに、消化機、汚泥安定化ユニット、又は二次処理槽(70)などの、プラグフロー反応機(30)の下流にあるいくつかの他の後処理プロセスに戻る実施形態を例示する。こうした実施形態では、高選択性処理用反応機において所望の処理プロセスを実施するのに適した塩素、バイオサイド、ポリマー、悪臭防止剤、又はその他のガス混合物など、オゾン以外の化学薬品を注入することが想定される。
【0038】
図5は、本発明の汚泥処理システム及びプロセスの実施形態であって、プラグフロー反応機(30)が、ポンプ(34)で、又はその近傍でオゾン富化ガスを注入するようになっているポンプ(34)と、オゾン富化ガス注入システム(40)とを備える実施形態を例示する。
【0039】
図6は、汚泥オゾン処理システム(12)のさらなる別の実施形態であって、プラグフロー反応機(30)で処理するための汚泥を、汚泥シックナー、又は固体を濃縮するためのその他の装置(80)を介して予備加工する実施形態を例示する。あるいは、プラグフロー反応機(30)に送達される汚泥を水(示さず)で希釈することによってプラグフロー反応機(30)に入る液状ストリームの固体濃度をより小さくしてもよい。
【0040】
本発明で開示の実施形態で用い得るさらなる別の予備加工又は予備処理の技法では、プラグフロー反応機に転送する前に、汚泥の安定化又は固体ハンドリングのために消化機、又はその他の手段を汚泥が通過する必要がある。本発明の汚泥オゾン処理システム及びプロセスに適合するさらなるその他の汚泥予備処理技法としては、汚泥への可溶化剤の添加、超音波の施用、均質化、及びその他の混合又は撹拌手段が挙げられるであろう。又、菌細胞の分解を促進し、又は汚泥の消化容量を向上させる化学薬品を使用することも可能であろう。
【0041】
図7は、本発明の汚泥オゾン処理システム(12)及び方法の一実施形態であって、オゾン富化ガスと液状ストリームの間の最初の気液接触が、プラグフロー反応機(30)の上流で及び/又はRASライン(28)で行われる実施形態を例示する。例示の実施形態では、スパージャー、ディフューザ、ベンチュリ装置、又は高速混合ノズルなどのガス−汚泥接触装置(82)が、プラグフロー反応機(30)の上流に配置される。ガス−汚泥接触装置(82)は、ミックスをプラグフロー反応機(30)に排出し、その反応機内で、菌細胞の分解及びその他の反応が行われる。
【0042】
本発明の汚泥オゾン処理システム(12)及びプロセスのそうした実施形態であって、最初の気液接触が、RASライン(28)で、又はプラグフロー反応機(30)の上流で行われる実施形態では、オゾン富化ガスは、液状ストリーム上方の頂部空間に供給してもよく、あるいは、加圧下で、液状ストリームに対して所定の方向で所定の混合領域(例えば、液体表面に対して所定の角度及び距離で配向しているノズル、スパージャー、及びディフューザなど、機械的に撹拌されたガス−汚泥接触装置、又は注入装置のインペラー領域)に供給してもよい。
【0043】
図8は、別の代替の実施形態であって、処理された液状ストリームが、清澄機のアンダーフローでもなく、RASから転送されたものでもなくて、曝気槽29から導管39を介して引き出された「混合液」流体である実施形態を示す。又、この実施形態では、高選択性処理用反応機で汚泥ストリームに対して所望の処理プロセスを実施するのに適した、塩素、pH調整剤、バイオサイド、臭気制御剤などのオゾン以外の化学薬品、又は二酸化炭素、窒素、酸素、オゾン、及びその混合物などのその他のガス混合物を注入することも想定される。
【0044】
膜バイオリアクター構成を用いる活性汚泥処理システムでは、その代替の装置構成は、図8に例示したものと類似することになるだろうが、清澄機の使用を含まないこともあり、その代わりに、曝気槽内にポリマー又はセラミック膜ユニット(示さず)を使用することになるだろう。転送された液状ストリームは、プラグフロー反応機又はその他の高選択性処理用反応機に向かう混合液となるだろう。
【0045】
図9は、さらなる別の代替実施形態であって、処理された液状ストリームが、主要なRAS(28)から転送されずに、代替のRAS(32)と呼ばれる独立の平行ストリームである実施形態を示す。本実施形態は、主要なRAS(28)を清澄機(22)から活性汚泥槽(20)に直接よりも、無酸素槽(19)に供給する廃水処理プラントで有用である。廃水処理プラントでは、ある種の脱窒要件を満たすことが益々必要になっているので、主要なRASストリーム(28)は、無酸素槽(19)に向かい、又はその中を通る場合が多い。一部の運転では、無酸素槽(19)は、単に、主曝気槽(20)の頂部の、又はその近傍の無酸素部である。その他の廃水プラントの運転では、無酸素槽(19)は、主要な活性汚泥槽(20)から離れたタンク又は槽である。いずれの場合においても、本発明の汚泥オゾン処理システム方法は、無酸素槽における脱窒の目的を無効にする恐れがある。したがって、代替RASラインと呼ばれる離れたRASライン(32)は、プラグフロー反応機(30)と、オゾン注入システム(40)に組み込まれ、活性汚泥槽(20)の曝気部分に直接連結される。主RASライン(28)の流れは、一般に、代替RASライン(32)の流れより大きい。清澄機(22)、WASライン(26)、オゾン注入器(42)、オゾン発生器(44)、ポンプ(34)、流入ライン(14)、及び排出ライン(24)などの項目を含めての処理システム(12)のその他の構成要素の説明及び連結は、上記の実施形態に関連して説明したものと類似しているので、ここでは反復しないことにする。
【0046】
上記の実施形態における汚泥の効率的で、コストが有利なオゾン処理には、以下の3つのプロセス条件、即ち、(i)主として細胞の分解又は破壊のためにオゾンを使用すること、即ち、分解反応に対する高選択性を達成すること、(ii)全部又は一部が分解した細胞が反応機内で追加のオゾンに曝露されないように制限すること(というのは、追加のオゾン曝露によって、反応機内で細胞内容物が完全に放出され、次いでその放出基質が、活性汚泥槽における菌細胞によるバイオ酸化というはるかに安価な選択枝ではなくて、追加のオゾンによる高価な化学的酸化を受ける恐れがあるからである);及び(iii)菌細胞の反応機における滞留時間を非常に短くすることを実現すること、の存在が必要である。
【0047】
プラグフロー反応の手法を使用することによって、こうした望ましいプロセス条件すべてを、反応機又は接触機内で実現することができる。プラグフロー反応の手法は、具体的には、汚泥−オゾン流が最小の逆混合で行われ、大部分の接触が大部分管状の形状内で行われるように設計することによって実現される。具体的には、例示の実施形態では、滞留時間が所定又は制御されており、分解反応の高選択性が達成されている。上記の実施形態では、プラグフロー反応を使用することによって分解反応の高選択性が達成されるが、これは、細胞と溶解オゾンの間の接触時間を狭い範囲にした(即ち、狭い滞留時間分布)結果として、細胞分解(「一次反応」)をもたらす反応のみにオゾンが使用され、細胞内容物をさらに酸化する(「二次反応」)までオゾン処理が継続せず、且つ二次反応の生成物を酸化する(「三次反応」)までも継続しないことによるのである。これによってオゾンが最も効率的に使用され、最小のオゾン投与量で最大の汚泥の低減がもたらされる。
【0048】
例示の実施形態に関して説明したように、1つ又は複数のガス注入点を用いることによって、溶解するために供給されるオゾンの速度を、バイオソリッドがプラグフロー反応機の所定の長さに沿って溶解オゾンと反応する速度に一致させる。これによってオゾンの供給が過剰又は不足になることが回避され、細胞内容物を酸化するためにオゾンが使用されることを回避しつつ、細胞分解のためにオゾンが効率的に使用されることが促進される。
【0049】
上に示したように、化学薬品又はオゾン以外のガスは、直接RAS、又は活性汚泥のサイドストリームいずれかに高選択性反応機で施用することができるだろう。塩素、pH調整剤、バイオサイド、悪臭防止剤などの他の化学薬品、又は二酸化炭素、窒素、酸素、オゾン、及びその混合物などの他のガス混合物は、高選択性処理用反応機で汚泥流に対して所望の処理方法を実施するのに適しているだろう。
【0050】
泡及びバルキングの制御
上に示したように、廃水処理の操作における発泡及びバルキングの問題は、一般に、廃水中にノカルジア菌及びパルビセラ菌などの糸状菌が多量に存在することによって引き起こされる。高選択性反応機における本発明の汚泥オゾン処理方法は、糸状菌数を低減するように調整することができ、それによって、活性汚泥槽の泡の低減又は除外、及びバルキングの低減がもたらされる。
【0051】
図10に示すように、糸状菌、即ち、ノカルジア菌及びパルビセラ菌株の存在量を、上記のオゾン処理の前に数週間監視した。数週間以内に、ノカルジア菌は、実質的に除外され、マイクロスリックスパルビセラ菌は、顕著に低減した。糸状菌の表面積が大きいことは、オゾンとの反応に対して非常に脆弱であることの裏返しであり、繊毛虫類、従属栄養生物などのその他のバイオマス有機体に対してはほとんど又は全く有害な影響を及ぼさない。ノカルジア菌、パルビセラ菌、及びその他の糸状菌のこうした低減、並びに発泡及びバルキングの対応する低減は、高選択性反応機でのオゾン処理の最初の数週間で明白に知ることができた。
【0052】
発泡及びバルキングを制御するためには、好ましくは、高選択性反応機内で転送されたストリーム中にオゾンを導入することが厳重に制御されたプロセスである。詳細には、かかるオゾン処理プロセスで使用されるオゾンは、好ましくは、活性汚泥槽でオゾン約0.04〜約5.0g/日/汚泥kgの範囲内、より好ましくは、活性汚泥槽でオゾン約0.1〜約1.5g/日/汚泥kgの範囲内に維持される。こうした最適化された小投与量のオゾンを使用することによって、本発明の方法は、その他の微生物個体群に対する影響を最小にしつつ、糸状菌性有機体に高選択性反応機内のオゾン反応が集中することを確実化している。オゾンを過剰に投与すると、糸状菌性有機体の他に非糸状菌性有機体にも影響が及ぶことになる。逆に、オゾン処理の目的が、汚泥の低減を最大化することである場合には、オゾン投与量を、好ましくは、槽又は廃水処理反応機でオゾン約0.04〜約20.0g/日/汚泥kgの範囲内、より好ましくは、オゾン約1.0〜約10.0g/日/汚泥kgの範囲にすることによって糸状菌性有機体と非糸状菌性有機体の両方を確実にオゾン処理し、さらにより好ましくは、オゾン投与量は、オゾン約2.0〜約6.0g/日/汚泥kgの範囲である。
【0053】
本発明のオゾン処理システム及び方法は又、活性汚泥処理層に戻される汚泥内に、オゾンに随伴する酸素ガスを溶解するように運転される。既に示したように、糸状菌性有機体は、溶解酸素が低濃度である廃水中でよく育つ傾向がある。というのは、かかる大表面積の有機体は、その他の菌細胞に比較して廃水中の限られた酸素を獲得するための固有の利点を有するからである。したがって、細胞の分解プロセスを介しての糸状菌制御に加えて、本発明のオゾン処理システムによって、汚泥の全体の有酸素条件の改良が促進され、これによって、汚泥中の溶解酸素が低濃度であるので、その他の菌に対して糸状菌性有機体の繁殖が最小になる。
【0054】
本発明の汚泥処理プロセスの本発明で開示の実施形態を利用する際には、システムの設計を介してか、システムの運転でのいずれかで選択されたパラメータを制御することが望ましい。好ましくは、溶解するために供給されるオゾンの速度は、プラグフロー反応機に沿ってのバイオソリッド又は糸状菌性有機体と溶解オゾンの反応速度に関係している。プラグフロー反応機内でのオゾン供給とバイオソリッド又は糸状菌性有機体の反応のこの関係によって、オゾンの供給の過剰及び不足が回避され、それによって、オゾンガスが第二次反応に使用されることを回避しつつ、細胞の分解のためにオゾンが効率的に使用されることが促進される。
【0055】
オゾン注入を用いるプラグフロー反応機は、プラグフロー反応機内の汚泥のシングルパスによって:(i)過剰の菌細胞、又は(ii)糸状菌細胞、又は(iii)その組合せのほぼ完全で実質的に均一な分解が達成されるような方式で設計され、運転される。好ましくは、プラグフロー反応機から転送され、その中で加工される汚泥の容積を変動させ、滞留時間分布を厳密に管理し、又はオゾン投与量を変動させることによって、低減される汚泥の量、及び泡の量を制御することが可能である。あるいは、高選択性反応機は、所望量の汚泥及び/又は泡の除去を達成するのに反応機内の数回のパスが必要であるような方式で設計し、運転することもできる。
【0056】
食物と微生物の比(F/M)、即ち、活性汚泥槽の菌細胞のグラム量と比較した日基準で活性汚泥槽に入る基質材料のグラム数の比に対する典型的な値は、利用される活性汚泥プロセスの種類に応じて約0.04〜2.0グラム基質材料/グラム菌細胞の範囲である。同様に、基質材料の菌消費後に新たに合成された菌細胞の収量は、約0.2〜0.6kgバイオソリッド/kg消費された基質材料である。したがって、オゾン処理及びそれによる汚泥の低減のための本発明のプロセスを使用した場合、プラグフロー反応機に転送される汚泥量、滞留時間、及び(約0.2〜0.6kg汚泥)×(活性汚泥槽に導入される新しい基質材料の平均質量(kg)/日)を低減するのに必要である反応機に注入するオゾン量がモデル化、又は実験的に決定されると思われる。経済的な観点からは、プロセスで消費されるオゾンのコストに対するバイオソリッドの容積に随伴する固体ハンドリングの除外によるコストの節約を計算することができる。
【0057】
オゾンを使用して汚泥を処理するための上で確認された方法及びシステムは、単独で、又はその他の汚泥低減技法と連携して利用することができる。さらには、本明細書に記載された好ましいプロセスに含まれる特定のそれぞれのステップ、及び好ましいシステムのそれぞれの構成要素は、それが使用される具体的な活性汚泥処理システム、及び所与の活性汚泥処理プロセスに対する予想される運転環境の特定の設計及び運転要件が満たされるように容易に改変又は調整される。
【0058】
例えば、オゾン発生システムと連携して使用される原料ガスは、空気、酸素富化空気、純酸素ガス、又はほぼ純粋な酸素ガスを含んでもよいであろう。しかし、活性汚泥処理プロセスの核の部分には、やはり、基本の酸素要求量があるので、原料ガスとしてほぼ純粋な、又は純粋な酸素ガスを使用することが好ましい。加えて、純粋な又はほぼ純粋な酸素源ガスの使用、及びプラグフロー反応機の中又は近傍でのオゾン富化ガスの注入は、活性汚泥槽の活性汚泥プロセスにおける生物学的な処理に対する全体の酸素要求量の全部又は大部分が、汚泥オゾン処理システムによって供給されるような方式で制御することができるであろう。
【0059】
前記より、本発明は、オゾン富化ガスを使用して汚泥を処理するための方法、及び廃水処理操作における泡又はバルキングの制御の方法を提供することが理解されよう。本明細書で開示された本発明は、特定の実施形態、及びそれに伴うプロセスによって説明されたが、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく、又はその実際の利点のすべてを犠牲にすることなく、当業者は、本発明に対する多数の改変形態及び変形形態を作成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水処理プラントで廃水を処理する方法であって、
流入廃水を廃水処理反応機内に受け入れるステップと、
前記廃水処理槽又は反応機内でバイオソリッドを酸化するステップと、
前記廃水処理槽又は反応機内からのストリームを排出するステップと、
前記廃水処理反応機から排出されたストリームの一部を高選択性処理用反応機に転送するステップと、
転送されたストリームを追加処理するために前記高選択性処理用反応機に酸化剤を導入するステップと、
前記追加処理されたストリームを前記廃水処理槽又は反応機に戻すステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記酸化剤がオゾンであり、転送されたストリームの前記追加処理は、前記高選択性処理用反応機内でオゾンを用いてバイオソリッドの分解(lysis)を誘導するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オゾンが、汚泥量の低減を目的として前記廃水処理槽又は反応機中の固体kg当たり約1.0〜10.0gのオゾン/日の範囲で、前記転送されたストリームに導入される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記オゾンが、汚泥量の低減を目的として前記高選択性処理用反応機中で処理された固体kg当たり約0.001〜0.1kgのオゾンの範囲で、前記転送されたストリームに導入される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化剤がオゾンであり、前記転送されたストリームの前記追加処理は、前記高選択性処理用反応機内でオゾンを用いて糸状菌の分解を誘導するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記オゾンが、泡の低減を目的として前記廃水処理槽又は反応機中の固体kg当たり約0.1〜約1.5gのオゾン/日の範囲で、前記転送されたストリームに導入される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記オゾンが、泡の低減を目的として前記高選択性処理用反応機中で処理された固体kg当たり約0.001〜0.1kgのオゾンの範囲で、前記転送されたストリームに導入される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記高選択性処理用反応機に酸化剤を導入するステップが、廃水処理プラントの運転条件に応じて時間とともに変動する方式で、前記高選択性処理用反応機にオゾンを導入するステップをさらに含み、オゾン投与量は、前記廃水処理槽又は反応機中の固体kg当たり約0.04〜約20.0gのオゾン/日の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
活性汚泥槽で廃水の発泡又はバルキングを低減する方法であって、
前記活性汚泥槽内のバイオソリッドを酸化するステップと、
前記活性汚泥槽から活性化汚泥ストリームを排出するステップと、
前記活性汚泥槽から排出された活性化汚泥ストリームの一部をオゾン処理反応機に転送するステップと、
前記オゾン処理反応機内の前記転送されたストリームにオゾンを導入することによって糸状菌の分解を誘導するステップと、
オゾン処理されたストリームを前記活性汚泥槽に戻すステップと
を含む方法。
【請求項10】
オゾンが、前記活性化汚泥槽のバイオソリッドkg当たり約0.1〜約1.5gのオゾン/日の範囲で、前記転送されたストリームに導入される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記オゾンが、前記オゾン処理反応機内で処理された固体kg当たり約0.001〜0.10kgのオゾンの範囲で、前記転送されたストリームに導入される、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−505603(P2010−505603A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530633(P2009−530633)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/079885
【国際公開番号】WO2008/042769
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(392032409)プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】