説明

汚泥濃縮脱水システム及びその制御方法

【課題】一定流量の濃縮汚泥を安定して濃縮及び脱水する。
【解決手段】汚泥濃縮脱水システムは、汚泥を濾過して、濃縮汚泥を生成する濃縮装置101と、濃縮装置から排出される濃縮汚泥を一時的に貯留して、貯留した濃縮汚泥の液位を計測する液位計測装置102と、液位計測装置102により一時的に貯留された濃縮汚泥を排出する濃縮汚泥供給ポンプ103と、濃縮汚泥供給ポンプ103から排出された濃縮汚泥の圧入圧力を計測する圧力計104と、濃縮汚泥供給ポンプ104から排出された濃縮汚泥が圧入され、且つ当該濃縮汚泥を脱水する脱水装置105と、圧力計104が計測した圧入圧力に基づいて、濃縮汚泥供給ポンプ103からの排出量を制御し、且つ液位計測装置102が計測した液位に基づいて、脱水装置105が備える脱水スクリュー軸の回転数を制御する制御装置106と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定流量の汚泥原液を連続的に濃縮及び脱水する汚泥濃縮脱水システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水、し尿、あるいは食品生産加工排水等の有機性汚泥を、以下に示す方法により濃縮及び脱水する技術が従来から知られている。先ず、有機性汚泥に高分子凝集剤を添加して、凝集槽内で撹拌及び混合し、凝集フロックを生成する。そして、この凝集フロックを濃縮装置により濃縮してから、脱水装置により濾過及び脱水する。
【0003】
凝集槽内で精製される凝集フロックは、有機性汚泥の濃度が低いため、これを直接、脱水装置で濃縮脱水させると、脱水装置の汚泥注入側では、固形物負荷よりも水負荷が大きくなり、外筒スクリーンから多量の水が排出される。そこで、脱水装置における水負荷を軽減させるために、凝集フロックを濃縮装置により濃縮してから脱水装置にて濾過及び脱水している。例えば、濃縮装置は1%の濃度の汚泥を4〜5%に濃縮し、この濃縮汚泥を脱水装置で濾過及び脱水している。
【0004】
ここで、濃縮装置として、外筒スクリーンに内設したスクリュー軸を回転させ、目詰まりし易い濾過面を再生しながら濃縮する回転濃縮機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、円筒スクリーンとその内側で回転自在なスクリュー軸とを備え、このスクリュー軸の駆動回転で濃縮汚泥を搬送しながら固液分離する脱水装置が従来から知られている。この脱水装置に汚泥等を供給する濃縮汚泥供給ポンプと、脱水装置に供給される濃縮汚泥の圧入圧力を検出する圧力検出器を設け、圧力検出器で検出される圧入圧力がほぼ一定になるように、濃縮汚泥供給ポンプの供給流量を制御する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。更に、圧力検出器で検出される圧入圧力がほぼ一定になるように、脱水装置のスクリュー軸の回転数を制御する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−181216号公報
【特許文献2】特開2008−55450号公報
【特許文献3】特許第3542970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、濃縮汚泥を脱水する場合は、濃縮装置で濃縮した汚泥を一旦貯留槽に入れ、それを原液として、再度凝集させて脱水する方式をとる。この場合、処理手順や時間的な制約の関係で、濃縮汚泥貯留槽に長時間滞留することになり、その結果、濃縮汚泥の腐敗が進行する。そのため、濃縮汚泥に対する脱水効率が上がらないばかりか、逆に脱水性が低下するなどの現象が発生することがある。したがって、濃縮汚泥を脱水する場合は、濃縮後、直ちに脱水することが望まれる。また、濃縮後に脱水するためには、上記濃縮装置、脱水装置だけでなく、濃縮汚泥貯留槽が必要となり、大きな設置面積が必要であった。
【0008】
従来の脱水装置は、濾過性の良い汚泥に対しては、スクリュー軸の回転数を制御することにより、過負荷防止と、均一な含水率のケーキが得られるものであるが、難濾過性の汚泥に対しては、濾過室の容積を減少させて圧搾脱水すると、早期に外筒スクリーンの濾過面が目詰まりする。あるいは、急激に圧搾すると、汚泥が濾液と共に外筒スクリーンから排出され、濾液が懸濁する恐れがある。従来の脱水装置の運転制御方法では、脱水装置に供給される原液の圧入圧力を一定に制御するために、脱水装置に供給される原液の供給流量を制御すべく原液供給ポンプの供給流量を制御するものである。しかし、実際には、原液の濃度や脱水性の変動により、固形物処理量が変動する。例えば、原液濃度が小さいときは固形物処理量が少なくなり、原液濃度が大きい時は固形物処理量が多くなる。そのために、固形物処理量が変動するという問題点があった。
【0009】
上記問題点を鑑み、本発明は、一定流量の濃縮汚泥を安定して濃縮及び脱水する汚泥濃縮脱水システム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の特徴は、汚泥を濾過して、濃縮汚泥を生成する濃縮装置と、濃縮装置から排出される濃縮汚泥を一時的に貯留して、貯留した濃縮汚泥の液位を計測する液位計測装置と、液位計測装置により一時的に貯留された濃縮汚泥を排出する濃縮汚泥供給ポンプと、濃縮汚泥供給ポンプから排出された濃縮汚泥の圧入圧力を計測する圧力計と、濃縮汚泥供給ポンプから排出された濃縮汚泥が圧入され、且つ当該濃縮汚泥を脱水する脱水装置と、圧力計が計測した圧入圧力に基づいて、濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を制御し、且つ液位計測装置が計測した液位に基づいて、脱水装置が備える脱水スクリュー軸の回転数を制御する制御装置と、を備える汚泥濃縮脱水システムであることを要旨とする。
【0011】
本発明の第1の特徴によれば、脱水装置へ圧入される濃縮汚泥の圧入圧力に基づいて、濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を制御するため、脱水装置内の濾過脱水圧力を一定に制御することができ、安定した脱水運転が可能となる。また、液位計測装置が計測した液位に基づいて、脱水装置が備える脱水スクリュー軸の回転数を制御するため、脱水装置の空運転や液位計測装置からの溢れを抑制できる。従って、濃縮汚泥の処理流量を安定させることができる。
【0012】
本発明の第1の特徴において、濃縮装置が備える濃縮スクリュー軸の回転数を一定に保持するとともに、脱水装置へ圧入される濃縮汚泥の圧入圧力に基づいて、濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を制御することが望ましい。これにより、汚泥濃縮脱水システム全体として処理流量を安定させることができる。
【0013】
本発明の第1の特徴において、制御装置は、圧力計が計測した圧入圧力と、予め設定した基準圧入圧力範囲とを比較し、圧入圧力の値が基準圧入圧力範囲の値よりも大きい場合、濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を減少させ、圧入圧力の値が基準圧入圧力範囲内の場合、濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を維持し、圧入圧力の値が基準圧入圧力範囲の値よりも小さい場合、濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を増加させることが望ましい。更に、制御装置は、液位計測装置が計測した液位と予め設定した基準液位範囲とを比較し、液位の値が基準液位範囲の値よりも高い場合、脱水スクリュー軸の回転数を増加させ、液位の値が基準液位範囲内の場合、脱水スクリュー軸の回転数を維持し、液位の値が基準液位範囲の値よりも低い場合、脱水スクリュー軸の回転数を減少させることが望ましい。制御装置が上記制御を実施することにより、脱水装置内の濾過脱水圧力を一定に制御することができ、安定した脱水運転が可能となると同時に、脱水装置の空運転や液位計測装置からの溢れを抑制できる。
【0014】
本発明の第2の特徴は、汚泥を濾過して、濃縮汚泥を生成する濃縮装置と、濃縮装置から排出される濃縮汚泥を一時的に貯留して、貯留した濃縮汚泥の液位を計測する液位計測装置と、液位計測装置により一時的に貯留された濃縮汚泥を排出する濃縮汚泥供給ポンプと、濃縮汚泥供給ポンプから排出された濃縮汚泥の圧入圧力を計測する圧力計と、濃縮汚泥供給ポンプから排出された濃縮汚泥が圧入され、且つ当該濃縮汚泥を脱水する脱水装置とを備える汚泥濃縮脱水システムの制御方法に関する。この制御方法では、圧力計が計測した圧入圧力と、予め設定した基準圧入圧力範囲とを比較し、圧入圧力の値が基準圧入圧力範囲の値よりも大きい場合、濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を減少させ、圧入圧力の値が基準圧入圧力範囲内の場合、濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を維持し、圧入圧力の値が基準圧入圧力範囲の値よりも小さい場合、濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を増加させる。そして、液位計測装置が計測した液位と予め設定した基準液位範囲とを比較し、液位の値が基準液位範囲の値よりも高い場合、脱水スクリュー軸の回転数を増加させ、液位の値が基準液位範囲内の場合、脱水スクリュー軸の回転数を維持し、液位の値が基準液位範囲の値よりも低い場合、脱水スクリュー軸の回転数を減少させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の汚泥濃縮脱水システム及びその制御方法によれば、安定した脱水運転を実現し、脱水装置の空運転や液位計測装置からの溢れを抑制することにより、一定流量の濃縮汚泥を安定して濃縮及び脱水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮脱水システムを示すブロック図である。
【図2】図1の汚泥濃縮脱水システムの具体的な機器構成例を示す概略図である。
【図3】図2の濃縮機10の具体的な構成例(回転濃縮機11)を示す断面図である。
【図4】図2の脱水機30の具体的な構成例(スクリュープレス31)を示す断面図である。
【図5】図4のスクリュープレス31の濃縮汚泥供給側を拡大して示す断面図である。
【図6】図4のスクリュープレス31の濃縮汚泥排出側を拡大して示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮脱水システムの制御方法を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、装置やシステムの構成等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な構成は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの構成の異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
また、以下に示す本発明の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
<汚泥濃縮脱水システムの機能構成>
本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮脱水システムは、図1に示すように、汚泥原液が高分子凝集剤により凝集及び撹拌され、流量一定で供給される凝集汚泥を濾過し、濃縮汚泥を生成する濃縮装置101と、濃縮装置101が排出する濃縮汚泥を一時的に貯留して、貯留した濃縮汚泥の液位を計測する液位計測装置102と、液位計測装置102が一時的に貯留した濃縮汚泥を排出する濃縮汚泥供給ポンプ103と、濃縮汚泥供給ポンプ103が排出した濃縮汚泥の圧入圧力を計測する圧力計104と、濃縮汚泥供給ポンプから排出された濃縮汚泥が圧入され、且つ圧入された濃縮汚泥を脱水する脱水装置105と、圧力計104により計測された濃縮汚泥の圧入圧力に基づいて、濃縮汚泥供給ポンプ103からの排出量を制御し、且つ、液位計測装置102が計測した液位に基づいて、脱水装置105が備える脱水スクリュー軸の回転数を制御する制御装置106とを備える。なお、制御装置106は、濃縮装置101が備える濃縮スクリュー軸の回転数を一定に保持する。
【0020】
濃縮装置101は、汚泥原液が所定の汚泥濃度になるよう濃縮する。
【0021】
液位計測装置102は、濃縮装置101から継続的に排出される濃縮汚泥を一時的に貯留し、貯留した濃縮汚泥の液位を検知、検出及び計測する。濃縮汚泥の液位は汚泥性状の変動、例えば、濃縮汚泥の濾過性の影響による。濾過性が低下することで汚泥の液位は上昇する。
【0022】
濃縮汚泥供給ポンプ103は、液位計測装置102から排出された濃縮汚泥を供給される流速以上で排出するよう、濃縮汚泥に流通方向へ圧力を加える。濃縮汚泥供給ポンプ103から排出された濃縮汚泥は脱水装置105に圧入される。
【0023】
圧力計104は、後述する脱水装置105の供給口において、濃縮汚泥供給ポンプ103から排出された濃縮汚泥の圧入圧力を計測する。
【0024】
脱水装置105は、濃縮汚泥を濾過することで脱水する。すなわち、濃縮汚泥供給ポンプ103によって圧入された濃縮汚泥から水分を絞り出すことで、濃縮汚泥の含水率を下げる。
【0025】
脱水装置105には、スクリュープレス、羽根車回転型加圧脱水機、ベルトプレス、真空脱水機及び遠心脱水機を適用することが可能である。本発明の実施の形態に係る脱水装置105は、外筒回転型のスクリュープレスを適用することができる。
【0026】
制御装置106は、圧力計104が計測する脱水装置105の供給口における濃縮汚泥の圧入圧力に基づいて、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を制御することにより、濃縮汚泥供給ポンプ103からの排出量を制御する。また、制御装置106は、液位計測装置102が計測する濃縮汚泥の液位に基づいて、脱水装置105が備えるスクリュー軸の回転数を制御する。また、制御装置106は、濃縮装置101が備えるスクリュー軸の回転数を一定に保持する。
【0027】
すなわち、制御装置106は、圧力計104が計測した圧入圧力と、予め設定した基準圧入圧力範囲とを比較する。ここで、基準圧入圧力範囲は、適切な汚泥処理を実現するに適した経験的な値である。比較の結果に基づいて、制御装置106は、圧入圧力の値が基準圧入圧力範囲の値よりも大きい場合、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を減らして排出量を減少させる。圧入圧力の値が基準圧入圧力範囲内の場合、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数及び排出量を維持する。そして、圧入圧力の値が基準圧入圧力範囲の値よりも小さい場合、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を増やして排出量を増加させる。
【0028】
また、制御装置106は、液位計測装置102が計測した液位と予め設定した基準液位範囲とを比較する。ここで、基準液位範囲は、適切な汚泥処理を実現するに適した経験的な値である。比較の結果に基づいて、制御装置106は、液位の値が基準液位範囲の値よりも高い場合、脱水装置105が備える脱水スクリュー軸の回転数を増加させる。液位の値が基準液位範囲内の場合、脱水スクリュー軸の回転数を維持する。そして、液位の値が基準液位範囲の値よりも低い場合、脱水スクリュー軸の回転数を減少させる。脱水装置105が備える脱水スクリュー軸の回転数を増加させると、濾過室内でスクリュー羽根による搬送速度が上がり、濾過室内の圧力が減少し、濃縮汚泥供給ポンプの回転数制御により、液位計測装置から排出する濃縮汚泥量が増加して液位が下がる。一方、脱水装置105が備える脱水スクリュー軸の回転数を減少させると、濾過室内でスクリュー羽根による搬送速度が下がり、濾過室内の圧力が増加し、濃縮汚泥供給ポンプの回転数制御により、液位計測装置から排出する濃縮汚泥量が減少して液位が上がる。
【0029】
以上説明したように、制御装置106は、脱水装置105における圧入圧力が一定となるように、濃縮汚泥供給ポンプ103を制御すると共に、液位計測装置102が計測した液位が基準液位範囲内となるように脱水装置105を制御する。すなわち、制御装置106は、圧力計104の計測結果に基づいて、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を制御すると共に、液位計測装置102が計測した液位に基づいて、脱水装置105が備える脱水スクリュー軸の回転数を制御する。
【0030】
<汚泥濃縮脱水システムの機器構成>
図2を参照して、図1の汚泥濃縮脱水システムの具体的な機器構成例を説明する。汚泥濃縮脱水システム100は、汚泥貯留槽(図示せず)に貯留されている原汚泥等の処理原液を、原液供給ポンプ1により原液流量(供給流量)で原液供給管2を通して凝集装置3へ供給する。原液供給管2には凝集剤供給管5を介して高分子供給ポンプ4が接続されている。高分子供給ポンプ4は、凝集剤供給管5へ高分子凝集剤を供給する。なお、凝集剤供給管5は直接、凝集装置3に接続することもできる。高分子凝集剤は、原液流量に対して一定の割合で供給される。制御装置60は、高分子供給ポンプ4の回転数及び原液供給ポンプ1の回転数を、両者が比例するように制御している。
【0031】
凝集装置3は、原液供給ポンプ1と高分子供給ポンプ4からそれぞれ凝集装置3に供給された汚泥及び高分子凝集剤を撹拌機で撹拌混合して、凝集フロックを生成する。撹拌槽6内に流入した処理原液と高分子凝集剤は、撹拌駆動機7で回転駆動される撹拌羽根8によって撹拌される。凝集装置3で撹拌及び凝集された凝集汚泥は、凝集汚泥供給管9を経て濃縮機10に供給される。
【0032】
なお、図1に示す濃縮装置101、液位計測装置102、濃縮汚泥供給ポンプ103、圧力計104、脱水装置105及び制御装置106は、図2に示す濃縮機10、濃縮汚泥管(ホッパー)26及び液位計28、濃縮汚泥供給ポンプ27、圧力計PS、脱水機30及び制御装置60にそれぞれ該当する。
【0033】
<濃縮機10の機器構成>
図3を参照して、図2の濃縮機10の具体的な構成例(回転濃縮機11)について説明する。回転濃縮機11は、周部に濾過面を有する外筒スクリーン12と、外筒スクリーン12の内部に設置されたスクリュー軸14とを備える。スクリュー軸14には、スクリュー羽根13が螺旋状に巻き掛けられている。外筒スクリーン12の端部には、入口フランジ15と出口フランジ16が嵌着されている。スクリュー軸14は、入口フランジ15によって回転可能に支持され、かつ、出口フランジ16に連結した外筒駆動軸17を濾液受槽18に支架した軸受19によって回転可能に支持されている。スクリュー軸14にはスクリュー駆動軸20が連結され、スクリュー駆動軸20が外筒駆動軸17に挿入されている。
【0034】
スクリュー軸14の入口フランジ15側の端部には、汚泥の供給路21が設けている。スクリュー軸14の外筒スクリーン12始端部付近には複数個の供給口21aが開口されている。出口フランジ16には複数の排出口16aが設けてある。外筒スクリーン12とスクリュー軸14との間には濾過室22が形成される。外筒スクリーン12の外筒駆動軸17及びスクリュー軸14のスクリュー駆動軸20に、外筒駆動機23及びスクリュー駆動機24が個別に連動連結されている。外筒駆動機23及びスクリュー駆動機24は、外筒スクリーン12とスクリュー軸14とを互いに逆方向に差速回転させる。回転濃縮機11は、外筒スクリーン12とスクリュー軸14とを逆回転させる。これにより、スクリュー軸14の供給路21から濾過室22に供給した汚泥は、外筒スクリーン12を通して濾液と分離されることにより濃縮される。回転濃縮機11により濃縮された汚泥(濃縮汚泥)は、出口フランジ16の排出口16aから排出される。
【0035】
外筒スクリーン12とスクリュー軸14とを差速回転させることにより、相対的にスクリュー羽根13の回転数を高め、外筒スクリーン12の濾過面の摺接回数を増加させる。回転濃縮機11は、運転中に目詰まりする外筒スクリーン12の濾過面を再生することで、濾液の排出を促進させ、濃度の低い汚泥の大量処理を実現する。なお、図3に示す洗浄水管25は、外筒スクリーン12に沿って配設され、目詰まりした外筒スクリーン12のスクリーン面に高圧水を噴射して濾過面の目詰まりを解消させる。また、濾液受槽18に分離排出される濾液の一部を濃縮汚泥管26内へ供給することにより、濃縮汚泥管26内の濃縮汚泥のブリッジを防止し、濃縮汚泥供給ポンプ27へスムーズに供給することが可能となる。
【0036】
回転濃縮機11で濾液を分離された濃縮汚泥は、図2の濃縮汚泥管(ホッパー)26を経て濃縮汚泥供給ポンプ27に供給される。濃縮汚泥管26は回転濃縮機11から排出される濃縮汚泥を所定の容量で貯留できる容積を有しており、貯留量を計測する液位計28を配設する。濃縮汚泥管26に貯留された濃縮汚泥は、濃縮汚泥供給ポンプ27により濃縮汚泥供給管29を通して脱水機30に圧入供給される。濃縮汚泥供給管29には、脱水機30に圧入供給される濃縮汚泥の圧入圧力を計測するための圧力計PSが配設されている。
【0037】
<脱水機30の機器構成>
図2の脱水機30の具体的な構成例(スクリュープレス31)を説明する。スクリュープレス31は、回転濃縮機11の近傍に載置する。例えば、回転濃縮機11の吐出側に濃縮汚泥管26を配設し、濃縮汚泥管26の排出側に濃縮汚泥供給ポンプ27を配設し、濃縮汚泥供給ポンプ27の排出側にスクリュープレス31を配設する。回転濃縮機11の近傍にスクリュープレス31を載置するため、濃縮汚泥を貯留槽に長時間滞留させる必要がなく、腐敗による脱水効果が低下することがない。また、回転濃縮機11、濃縮汚泥管26及びスクリュープレス31の大きな設置面積も必要としない。したがって、下水、し尿処理、集落排水及び工場等の排水処理施設に設置すれば、省スペースの濃縮節水設備となる。
【0038】
図4に示すように、スクリュープレス31は、周部に濾過面を有する外筒スクリーン32と、外筒スクリーン32の中に配置されたスクリュー軸34とを備える。スクリュー軸34にはスクリュー羽根33がらせん状に巻き掛けられている。スクリュー軸34は、汚泥の供給側からケーキの排出側に向かってその直径が拡大しており、外筒スクリーン32とスクリュー軸34との間の濾過室35は、供給側から排出側に向かって紙面上下方向に縮小している。
【0039】
図5を参照して、スクリュープレス31の供給側における構成を説明する。外筒スクリーン32の供給側端部には入口フランジ36が嵌着され、入口フランジ36にはスプロケット37が外嵌されている。スプロケット37は、フレーム38に載置した正逆転可能な外筒駆動機39に連動連結している。スクリュー軸34には凝集スラリーの供給路41が設けられ、スクリュー軸34の始端部には供給孔41aが開口されている。スクリュー軸34の延設部は、濃縮汚泥供給管29に連結している。供給孔41aから濾過室35内に圧入される濃縮汚泥がスクリュー軸34に巻き掛けたスクリュー羽根33の間から供給される。これにより、凝集された軟弱な汚泥等の濃縮汚泥は、スクリュー羽根33の影響を受けることがない。尚、本実施例では外筒スクリーンを回転自在としているが、固定してもよい。
【0040】
図6を参照して、スクリュープレス31の排出側における構成を説明する。外筒スクリーン32の排出側の端部に回転板42を回転自在に支持するフレーム43が連結されている。外筒スクリーン32に内設したスクリュー軸34にスクリュー駆動軸44が連結している。背圧調整用のプレッサー45が、濾過室35の排出口35aに対向して設置されている。背圧調整用のプレッサー45は、フレーム43に配設した移動軸46に摺動自在に支持されている。
【0041】
スクリュー軸34に連結したスクリュー駆動軸44は、図4に示すように、フレーム43の架台48に設けた軸受49に回転可能に支持されている。スクリュー駆動軸44には、スプロケット50が固着されている。スプロケット50は、フレーム43に載置されたスクリュー駆動機51に連動連結する。スクリュー駆動機51は、スクリュー軸34を回転駆動し、スクリュー軸34の供給路41から濾過室35に濃縮汚泥が供給される。濃縮汚泥は、スクリュー羽根33で移送されながら、外筒スクリーン32から濾液と分離されることにより脱水される。
【0042】
プレッサー45は、濾過室35の排出口35aの開口量を調節し、濾過室35に背圧を加えながら固液分離を促進させて脱水ケーキを排出する。外筒スクリーン32に沿って洗浄管52が配設され、洗浄時は洗浄管52から洗浄水が外筒スクリーン32に噴射されると共に、外筒スクリーン32を外筒駆動機39により回転させることによって外筒スクリーン32の全面を洗浄する。なお、外筒スクリーン32の紙面下方に濾液トラフ53が配設され、スクリュープレス31の終端部において濾液トラフ53に隣接し、脱水ケーキを受溜するケーキ受槽54が配設される。
【0043】
<汚泥濃縮脱水システムの制御方法>
次に、本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮脱水システムの制御方法について説明する。具体的には、図7を参照して、図1の制御装置106が濃縮装置101、濃縮汚泥供給ポンプ103及び脱水装置105を制御する方法について説明する。
【0044】
制御装置106は、図1に示すように、濃縮装置101から脱水装置105までの経路において、脱水装置105への濃縮汚泥による圧入圧力が一定になるよう制御する。制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103が所定の回転数を維持するように濃縮汚泥供給ポンプ103の回転を制御することで、濃縮汚泥の流量が一定となるよう調整する。また、汚泥濃縮脱水システム100は、濃縮汚泥供給ポンプ103〜脱水装置105までの経路において、濃縮汚泥の流量が一定になるよう制御する。制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転及び脱水装置105が有するスクリュー軸の回転を制御することで、所定の回転数を維持するよう制御し、濃縮汚泥の圧入圧力が一定となるよう調整する。その結果、脱水装置105から排出される脱水汚泥は、脱水性が一定となる高品質の汚泥ケーキとして生成される。
【0045】
(イ)先ず、図1に示す脱水装置105に流入する濃縮汚泥の圧入圧力が一定となるように、制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を制御する。具体的には、ステップS201において、制御装置106は、圧力計104が計測する濃縮汚泥の圧入圧力である計測圧入圧力と予め設定した基準圧入圧力範囲とを比較する。ここで、基準圧入圧力範囲とは、圧力計104が計測する濃縮汚泥による脱水装置105への圧入圧力であって、脱水装置105による脱水効率が最も良い圧力の範囲である。ステップS201において、計測圧入圧力が基準圧入圧力範囲よりも大きい場合、ステップS202に進み、制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を減少させる。ステップS201において、計測圧入圧力が基準圧入圧力内の場合、ステップS203に進み、制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を維持する。ステップS201において、計測圧入圧力が基準圧入圧力範囲よりも小さい場合、ステップS204に進み、制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を増加させる。
【0046】
(ロ)その後、液位計測装置102が計測した液位が一定となるように、制御装置106は、脱水装置105が有する脱水スクリュー軸の回転数を制御する。具体的には、ステップS205に進み、制御装置106は、液位計測装置102が計測した液位(ホッパーレベル)と予め設定した基準液位範囲とを比較する。ステップS205において、液位計測装置102が計測した液位が予め設定した基準液位範囲よりも高い場合、ステップS206に進み、制御装置106は、脱水装置105が有する脱水スクリュー軸の回転数を増加させる。ステップS205において、液位計測装置102が計測した液位が予め設定した基準液位範囲内の場合、ステップS207に進み、制御装置106は、脱水装置105が有する脱水スクリュー軸の回転数を維持する。ステップS205において、液位計測装置102が計測した液位が予め設定した基準液位範囲よりも低い場合、ステップS208に進み、制御装置106は、脱水装置105が有する脱水スクリュー軸の回転数を減少させる。
【0047】
なお、制御装置106は、上記制御において、濃縮装置101が備える濃縮スクリュー軸の回転数を一定に保持する。
【0048】
制御装置106が上記制御を実施することにより、脱水装置105内の濾過脱水圧力を一定に制御することができ、安定した脱水運転が可能となると同時に、脱水装置105の空運転や液位計測装置102からの溢れを抑制できる。
【0049】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る汚泥濃縮脱水システムは、脱水装置(スクリュープレス)105へ圧入される濃縮汚泥の圧入圧力に基づいて、濃縮汚泥供給ポンプ103からの排出量、すなわち濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を制御する。これにより、脱水装置105内の濾過脱水圧力を一定に制御することができ、安定した脱水運転が可能となる。また、液位計測装置102が計測した液位に基づいて、脱水装置105が備える脱水スクリュー軸の回転数を制御するため、脱水装置105の空運転や液位計測装置102からの溢れを抑制できる。従って、濃縮汚泥の処理流量を安定させることができる。
【0050】
さらに、脱水装置105及び濃縮装置101を近接設置することで、脱水装置105による圧入圧力への反応が早く、圧入圧力の変化に対して迅速に対応でき、一定処理の安定性も向上する。さらにまた、濃縮装置101及び脱水装置105を近接設置し、連続的に濃縮汚泥を流通させることで、脱水装置105の上流に濃縮汚泥を貯留するための貯留槽を必要としない。また、液位計測装置102に一時的に貯留する濃縮汚泥の液位も制御するため、脱水装置105の空運転及び液位計測装置(ホッパー)102からの濃縮汚泥による溢れ等を防止することができる。
【0051】
このようにして、脱水装置105の内圧を一定に保つことにより、濃縮汚泥の脱水性を一定にし、品質の良い汚泥ケーキを生成することが可能となる。
【0052】
また、汚泥濃縮脱水システムは、濃縮装置101が備える濃縮スクリュー軸の回転数を一定に保持するとともに、脱水装置105へ圧入される濃縮汚泥の圧入圧力に基づいて、濃縮汚泥供給ポンプ103からの排出量を制御する。これにより、汚泥濃縮脱水システム全体として処理流量を安定させることができる。
【0053】
上記のように、本発明は本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0054】
100…汚泥濃縮脱水システム
101…濃縮装置
102…液位計測装置
103…濃縮汚泥供給ポンプ
104…圧力計
105…脱水装置
106…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥を濾過して、濃縮汚泥を生成する濃縮装置と、
前記濃縮装置から排出される前記濃縮汚泥を一時的に貯留して、前記貯留した濃縮汚泥の液位を計測する液位計測装置と、
前記液位計測装置により一時的に貯留された前記濃縮汚泥を排出する濃縮汚泥供給ポンプと、
前記濃縮汚泥供給ポンプから排出された濃縮汚泥の圧入圧力を計測する圧力計と、
前記濃縮汚泥供給ポンプから排出された濃縮汚泥が圧入され、且つ当該濃縮汚泥を脱水する脱水装置と、
前記圧力計が計測した圧入圧力に基づいて、前記濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を制御し、且つ前記液位計測装置が計測した液位に基づいて、前記脱水装置が備える脱水スクリュー軸の回転数を制御する制御装置と、
を備えることを特徴とする汚泥濃縮脱水システム。
【請求項2】
前記濃縮装置が備える濃縮スクリュー軸の回転数は一定に保持することを特徴とする請求項1に記載の汚泥濃縮脱水システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記圧力計が計測した圧入圧力と、予め設定した基準圧入圧力範囲とを比較し、前記圧入圧力の値が前記基準圧入圧力範囲の値よりも大きい場合、前記濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を減少させ、前記圧入圧力の値が前記基準圧入圧力範囲内の場合、前記濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を維持し、前記圧入圧力の値が前記基準圧入圧力範囲の値よりも小さい場合、前記濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を増加させ、
前記液位計測装置が計測した液位と予め設定した基準液位範囲とを比較し、前記液位の値が前記基準液位範囲の値よりも高い場合、前記脱水スクリュー軸の回転数を増加させ、前記液位の値が前記基準液位範囲内の場合、前記脱水スクリュー軸の回転数を維持し、前記液位の値が前記基準液位範囲の値よりも低い場合、前記脱水スクリュー軸の回転数を減少させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の汚泥濃縮脱水システム。
【請求項4】
汚泥を濾過して、濃縮汚泥を生成する濃縮装置と、前記濃縮装置から排出される前記濃縮汚泥を一時的に貯留して、前記貯留した濃縮汚泥の液位を計測する液位計測装置と、前記液位計測装置により一時的に貯留された前記濃縮汚泥を排出する濃縮汚泥供給ポンプと、前記濃縮汚泥供給ポンプから排出された濃縮汚泥の圧入圧力を計測する圧力計と、前記濃縮汚泥供給ポンプから排出された濃縮汚泥が圧入され、且つ当該濃縮汚泥を脱水する脱水装置と、を備える汚泥濃縮脱水システムの制御方法であって、
前記圧力計が計測した圧入圧力と、予め設定した基準圧入圧力範囲とを比較し、
前記圧入圧力の値が前記基準圧入圧力範囲の値よりも大きい場合、前記濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を減少させ、
前記圧入圧力の値が前記基準圧入圧力範囲内の場合、前記濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を維持し、
前記圧入圧力の値が前記基準圧入圧力範囲の値よりも小さい場合、前記濃縮汚泥供給ポンプからの排出量を増加させ、
前記液位計測装置が計測した液位と予め設定した基準液位範囲とを比較し、
前記液位の値が前記基準液位範囲の値よりも高い場合、前記脱水スクリュー軸の回転数を増加させ、
前記液位の値が前記基準液位範囲内の場合、前記脱水スクリュー軸の回転数を維持し、
前記液位の値が前記基準液位範囲の値よりも低い場合、前記脱水スクリュー軸の回転数を減少させる
ことを特徴とする汚泥濃縮脱水システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−30158(P2012−30158A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170426(P2010−170426)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000197746)株式会社石垣 (116)
【Fターム(参考)】