説明

油圧制御装置

【課題】エンジンと変速装置との間の動力伝達を断接するクラッチの冷却性能を確保しつつ、オイルの消費を低減する油圧制御装置を提供する。
【解決手段】油圧制御装置は、クラッチを、解放状態と、摩擦板がスリップ回転するスリップ状態と、摩擦板が完全係合した完全係合状態と、になるように係合圧を制御可能なクラッチ制御部と、このクラッチの制御状態に基づいてクラッチハウジングの内部空間に供給されるオイル量を調整自在なオイル量調整部と、を有し、このオイル量調整部は、クラッチのスリップ開始時の供給オイル量を、解放時の第1供給オイル量よりも大きい第2供給オイル量に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと車輪との間の伝達経路上に配置された摩擦係合装置を備えたハイブリッド駆動装置の油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりなどによって、駆動源としてエンジンの他に回転電機を備えたハイブリッド自動車が盛んに研究されている。このハイブリッド自動車は、上述したように、回転電機を駆動源として有しているため、単にエンジンによって走行するだけではなく、回転電機によって車両の運動エネルギを回生したり、エンジンを使用せずに回転電機のみで走行(EV走行)したりすることによって、エネルギ効率の向上を図っている。
【0003】
しかしながら、このようなハイブリッド自動車において、エンジンを使用しないEV走行時にまで駆動系にエンジンが接続されていると、エンジンの連れ回りによって引き摺りトルクが増大してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、エンジンと回転電機との間の動力伝達を断接可能なクラッチを備え、EV走行の際には、このクラッチを解放して、エンジンの連れ回りを防止するハイブリッド駆動装置がある。
【0005】
ところが、このようなエンジンからの動力伝達を断接可能なクラッチは、エンジンによる車両発進時などクラッチをスリップさせながら動力伝達を行う場合があり、従来、このような発熱量が大きくなる場合にもクラッチを十分に冷却できるように、液密下のハウジング内に上記クラッチを収納することが案出されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−19686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
確かに、上記特許文献1記載のハイブリッド駆動装置のように、液密下のハウジング内にクラッチを収納すると、クラッチが発した熱を比熱の大きな液体が吸収してくれるため、必要とするクラッチの冷却性能を容易に確保することができる。
【0008】
しかしながら、せっかく上記クラッチによってエンジンを駆動系から切り離せるようになっても、上述した液密下にクラッチを置いた状態でEV走行をすると、クラッチが解放されているため、液密状のハウジングと、回転電機側もしくはエンジン側の摩擦板との間に回転差が生じ、これらハウジングと摩擦板との間の相対回転に起因して撹拌抵抗が発生するため、引き摺りトルクが増大してしまうという問題があった。
【0009】
そこで、現在、出願人は、エンジンと車輪との間の伝達経路上に配置された摩擦係合装置の摩擦板を収納するハウジングの内外を連通可能にする連通機構を設け、この連通機構を遮断することによって、ハウジングの内部空間をオイルで満たす一方、連通機構を連通させることによって、ハウジングの内部空間のオイルを排出して、ハウジングの内部空間を空にすることのできるハイブリッド駆動装置を考えている(出願時未公開)。
【0010】
このようにすると、上記ハウジング内のオイルの充填状態を切換えることができるため、クラッチの発熱量が多い場合には、ハウジング内にオイルを充満させて、クラッチの冷却性能を確保することが出来ると共に、EV走行時など、クラッチを解放した状態で走行する場合には、ハウジング内からオイルを排出して、摩擦板によるオイルの撹拌抵抗を低減させ、以って、ハイブリッド駆動装置の引き摺りトルクを低減させることができる。
【0011】
ところが、上述したように連通機構によって、ハウジングの内部空間をオイルで充満させたり、空の状態にしたりすると、クラッチがスリップ回転を始めて発熱する際にハウジング内が空になっている場合があり、この場合、ハウジングの内部空間を空の状態からオイルで満たすのに時間が掛ってしまっていた。
【0012】
そこで本発明は、クラッチの摩擦板を収納するケース部材の内部空間に供給するオイル量を、クラッチの解放時よりもスリップ時の方が多くなるようにすることによって、上記課題を解決した油圧制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、エンジン(2)と車輪(6)との間の伝達経路(L)上に配置され、該伝達経路(L)の前記エンジン側の伝達経路(L)に駆動連結される第1摩擦板(17)と前記車輪側の伝達経路(L)に駆動連結される第2摩擦板(19)とを有する摩擦係合装置(16)と、前記車輪側の伝達経路に駆動連結される回転電機(3)と、前記摩擦係合装置(16)の第1及び第2摩擦板(17,19)を収納する内部空間(S)を有し、該内部空間(S)が前記第1及び第2摩擦板(17,19)を油で浸し得るように構成されるケース部材(20)と、前記ケース部材(20)の内部空間(S)と外部(M)とを連通又は遮断し得、連通した際に、前記内部空間(S)から外部(M)に油が排出される連通機構(74)と、を備えたハイブリッド駆動装置(5)を油圧によって制御する油圧制御装置(22)において、
前記クラッチ(16)が、前記第1及び第2摩擦板(17,19)が解放された解放状態と、前記第1及び第2摩擦板(17,19)がスリップ回転するスリップ状態と、になるように前記係合圧を制御可能な摩擦係合装置制御部(64)と、
前記摩擦係合装置(16)の制御状態に基づいて前記ケース部材(20)の内部空間(S)に供給されるオイル量を調整自在に構成されていると共に、このオイル量を、前記摩擦係合装置(16)の解放時に第1供給オイル量(Cs)に調整し、前記摩擦係合装置(16)のスリップ時に該第1供給オイル量(Cs)よりも大きい第2供給オイル量(Cb)に調整するオイル量調整部(68)と、を備えた、ことを特徴とする。
【0014】
また、前記摩擦係合装置制御部(64)は、前記第1及び第2摩擦板(17,19)が完全係合した完全係合状態になるように係合圧を制御可能であり、
前記オイル量調整部(68)は、前記オイル量を、前記摩擦係合装置(16)が完全係合状態の際に、前記第2供給オイル量(Cb)よりも小さい第3供給オイル量(Cm)に調整する、と好適である。
【0015】
更に、前記オイル量調整部(68)は、前記第1供給オイル量(Cs)を、前記第3供給オイル量(Cm)よりも小さくなるように調整する、と好適である。
【0016】
また、前記オイル量調整部(68)は、前記摩擦係合装置(16)がスリップを開始してから、前記第2供給オイル量(Cb)でオイルを供給した際に空の状態の前記ケース部材(20)の内部空間をオイルで満たすことのできる所定時間経過(T)すると、前記ケース部材(20)に供給するオイル量を、前記第1又は第3供給オイル量(Cs,Cm)とする、と好適である。
【0017】
更に、前記オイル量調整部(68)は、前記摩擦係合装置制御部(64)から出力される前記摩擦係合装置(16)の係合圧に基づいてスプール(81s)が連動し、前記ケース部材(20)に供給するオイル量を切換える切換えバルブ(59,81)を有する、と好適である。
【0018】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を用意にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によると、摩擦係合装置のスリップ開始時にケース部材の内部空間に供給される第2供給オイル量を、摩擦係合装置解放時にケース部材の内部空間に供給される第1供給オイル量よりも多くしたことによって、摩擦板がスリップ回転して摩擦係合装置が発熱するスリップ状態の際に多くのオイルが供給され、摩擦係合装置を効果的に冷却することができる。また、摩擦係合装置のスリップ開始時にケース部材内が空であったとしても、上記第1供給オイル量よりも大きな第2供給オイル量によって、ケース部材の内部空間にオイルが供給されるため、空のケース部材の内部空間を、急速にオイルで充満させることができる。
【0020】
請求項2に係る発明によると、摩擦係合装置が完全係合して発熱量が低下するのに伴って、ケース部材の内部空間に供給するオイル量を、第2供給オイル量から第3供給オイル量に少なくすることによって、オイルの消費を抑えることができ、ひいては車両のエネルギ効率の向上を図ることができる。
【0021】
請求項3に係る発明によると、摩擦係合装置解放時の第1供給オイル量を、摩擦係合装置完全係合状態時の第3供給オイル量よりも小さくしたことによって、できる限りケースの内部空間内のオイルを少なくし、摩擦板が内部空間内のオイルを撹拌することによる撹拌抵抗を少なくすることによって、引き摺りトルクを低減することができる。
【0022】
請求項4に係る発明によると、摩擦係合装置のスリップ状態であっても、ケース部材の内部空間がオイルで満たされると、内部空間へのオイルの供給量を第1又は第2供給オイル量に低減することによって、摩擦係合装置の冷却性能を確保しつつ、オイルの消費を低減することができる。
【0023】
請求項5に係る発明によると、ケース部材の内部空間に供給するオイル量を調整するオイル調整部を、摩擦係合装置の係合圧に連動する切換えバルブによって構成したことによって、簡単な構成でケース部材の内部空間に供給するオイル量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係るハイブリッド自動車を示す模式図。
【図2】本発明の第1実施形態に係るハイブリッド駆動装置の入力部を示す模式図。
【図3】本発明の第1実施形態に係るコントロールバルブを示す油圧回路図。
【図4】本発明の第1実施形態に係るクラッチハウジング内の循環油の状態を示すタイムチャート。
【図5】本発明の第2実施形態に係るコントロールバルブを示す油圧回路図。
【図6】図5のコントロールバルブの切換えバルブを示す模式図。
【図7】本発明の第3実施形態に係るコントロールバルブを示す油圧回路図。
【図8】本発明の第3実施形態に係るクラッチハウジング内の循環油の状態を示すタイムチャート。
【図9】本発明の第3実施形態に係るクラッチハウジング内の循環油の状態を示すフローチャート。
【図10】図8のタイムチャートの変形例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る車両用駆動装置を図面に基づいて説明する。なお、本発明の実施形態に係る車両用駆動装置としてのハイブリッド駆動装置は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプの車輌に搭載されて好適なものであり、図中における左右方向は実際の車輌搭載状態における左右方向に対応するが、説明の便宜上、エンジン等の駆動源側を「前方側」、駆動源とは反対側を「後方側」というものとする。また、駆動連結とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、あるいは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いる。このような伝動としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーンなどが含まれる。
【0026】
[第1実施形態]
[ハイブリッド駆動装置の概略構成]
図1に示すように、ハイブリッド自動車1は、駆動源として、エンジン2の他に、回転電機(モータ・ジェネレータ)3を有しており、このハイブリッド自動車1のパワートレーンを構成するハイブリッド駆動装置5は、エンジン2と車輪6との間の伝達経路L上に設けられる変速装置7と、該変速装置7とエンジン2との間に配置され、エンジン2からの動力が入力される入力部9と、を有して構成されている。
【0027】
上記入力部9は、エンジン2と変速装置7との間の動力伝達を行う動力伝達装置10に、回転電機3が付設して構成されており、この動力伝達装置10は、エンジン2のクランク軸2aにドライブプレート11を介して接続されるダンパ12、該ダンパ12がスプライン嵌合する接続軸13を有する接続部14と、この接続部14と変速装置7の入力軸(入力部)15との間の動力伝達を断接するクラッチ(摩擦係合装置)16と、から構成されている。
【0028】
また、上記クラッチ16は、複数の内摩擦板(第1摩擦板)17及び外摩擦板(第2摩擦板)19がクラッチハウジング20の内部空間Sに収納された多板クラッチによって構成されており、このクラッチハウジング20は、上記変速装置7の入力軸15と一体に回転するように連結されている。即ち、クラッチ16は、上記伝達経路Lのエンジン側の伝達経路Lに駆動連結される内摩擦板17と、車輪側の伝達経路Lに駆動連結される外摩擦板19とを有していると共に、上記クラッチハウジング20も車輪側の伝達経路に駆動連結されている。
【0029】
更に、上記クラッチハウジング20の外径側には、回転電機3がクラッチ16と軸方向位置がオーバーラップするように配設されており、この回転電機3は、クラッチハウジング20に固設されたロータ3aの径方向外側に、ステータ3bが対向するように配置されて構成されている。
【0030】
即ち、ハイブリッド駆動装置5は、エンジン側から車輪側に向かって、接続部14、クラッチ16、回転電機3、変速装置7が順次配置されており、エンジン2及び回転電機3の両方を駆動させて車両を走行させる場合には、制御部21によってコントロールバルブ(油圧制御装置)22を制御してクラッチ16を係合させ、車輪側の伝達経路Lに駆動連結された回転電機3の駆動力だけで走行するEV走行時には、クラッチ16を解放して、エンジン側の伝達経路Lと車輪側の伝達経路Lとを切り離すようになっている。
【0031】
[入力部の構成]
ついで、入力部9の構成について詳しく説明をする。図2に示すように、変速装置7を収納するミッションケース23にボルト25によって固定されたモータハウジング(ハウジング)26には、クラッチ16及び回転電機3が収納されており、これらクラッチ16及び回転電機3が収納されたモータハウジング26内の空間は、モータハウジング26に一体に取り付けられた隔壁27によって、エンジン2の取付部分と仕切られている。
【0032】
また、上記モータハウジング26の中心部には、ダンパ12を介してエンジン2に接続される接続軸13と、変速装置7の入力軸15と、が軸心を一致するようにして嵌挿されており、この接続軸13は、上記隔壁27の円筒部27aに設けられたボールベアリング29によって回転自在に支持されている。
【0033】
一方、入力軸15は、オイルポンプカバー33を介してミッションケース23に固定されたオイルポンプボディ32に設けられたボールベアリング34によって、回転自在に支持されている。
【0034】
なお、オイルポンプボディ32を有するオイルポンプ30は、クラッチ16の変速装置側に設けられており、ドライブギヤ31a及びドリブンギヤ31bからなるオイルポンプギヤ(ロータ)31と、該オイルポンプギヤ31を収納する上記オイルポンプボディ32と、該オイルポンプボディ32に変速装置側から取付けられるオイルポンプカバー33と、から構成されている。
【0035】
上記接続軸13は、隔壁27からダンパ12がスプライン嵌合するスプライン部13aが突出していると共に、モータハウジング内の変速装置側の端部が外径側に向けて延設してフランジ部13bを形成しており、このフランジ部13bには、クラッチ16のクラッチハブ35が取付けられている。
【0036】
上記クラッチハブ35は、エンジン2からの動力が伝達される接続軸13と、変速装置7の入力軸15との間の動力伝達を断接するクラッチ16を構成する部品であり、クラッチハウジング20を介して入力軸15と駆動連結しているクラッチドラム36と対向するように延設されている。
【0037】
より詳しくは、クラッチドラム36は、クラッチハウジング20の後壁部37bの外径側端部から前壁部39bに向かって軸方向に延設されており、外径側に位置する該クラッチドラム36の内周面と、内径側に位置するクラッチハブ35の外周面とが対向するように配設されている。そして、クラッチドラム36の内周面には、円環状の摩擦板からなり、その外周側にてクラッチドラム36の内周面とスプライン係合する複数の外摩擦板19が、クラッチハブ35の外周面には、円環状の摩擦板からなり、その内周側にてクラッチハブ35の内周面とスプライン係合する複数の内摩擦板17が交互に並ぶように設けられている。
【0038】
更に、クラッチ16は、後壁部37bとの間に作動油室47を形成するピストン40と、後壁部37bのボス部37aにスナップリング42で抜け止めされたスプリングリテーナ41と、これらピストン40及びスプリングリテーナ41の間に縮設されたリターンスプリング43と、を有しており、ピストン40が上記外摩擦板19及び内摩擦板17を押圧することによってクラッチ16が係合するようになっている。
【0039】
即ち、上記内摩擦板17は、接続軸13を介してエンジン2からの動力が入力される接続部14と一体となって回転するように駆動連結されていると共に、外摩擦板19は、クラッチハウジング20の後壁部37bを介して、変速装置7の入力軸15に駆動連結されており、クラッチ16は、これら内摩擦板17と外摩擦板19とを係脱することで、エンジン2から変速装置7への動力伝達を断接する発進クラッチとなっている。
【0040】
なお、上記ピストン40を挟んで作動油室47と対向する空間部、即ち、ピストン40及びスプリングリテーナ41によって形成された空間は、作動油室47に発生する遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室44となっている。
【0041】
ところで、上述したクラッチハウジング20は、このクラッチ16を収納するクラッチハウジング20が収納されたモータハウジング内の空間を、上記内摩擦板17及び外摩擦板19が収納された内部空間Sと、回転電機3が収納される外部空間(外部)Mと、に仕切るケースとなっており、この内部空間Sは、循環油(オイル)を漏らさずに油で満たされた状態になり得るように構成されている。
【0042】
即ち、クラッチハウジング20は、クラッチ16のエンジン側にて外径側に向かって延設された前壁部(エンジン側側壁)39bと、クラッチ16の変速装置側で外径側に向かって延設された後壁部(変速装置側側壁)37bと、これら前壁部39b及び後壁部37bの間を接続してクラッチハウジング20の周面を形成する環状部39cと、が一体となって構成されている。
【0043】
また、上記クラッチハウジング20を構成部品単位でみると、上述した前壁部39b及び環状部39cは、円筒形状のケース部材39によって形成されており、そのボス部39aがニードルベアリング45を介して接続軸13に相対回転自在に嵌合している。更に、上記ボス部39aは、接続軸13とボールベアリング29との間に介在しているため、クラッチハウジング20の一端側は、このボールベアリング29を介して隔壁27に回転自在に支持されている。
【0044】
一方、クラッチハウジング20の後壁部37bは、板状部材37及びクラッチドラム36によって形成されており、この板状部材37は、外径側に向かって延設された壁部37bと、この壁部37bを挟んで軸方向前後に延設されたボス部37aと、によって構成されている。
【0045】
また、上記ボス部37aの変速装置側部分は、その内周面にスプラインが形成された軸部37aとなっており、入力軸15とスプライン嵌合している。更に、この軸部37aは、ボールベアリング34と入力軸15との間に介在しているため、クラッチハウジング20の他端側は、このボールベアリング34を介して固定部材としてのオイルポンプボディ32に回転自在に支持されている。
【0046】
なお、上記軸部37aには、エンジン2からの駆動力及び回転電機3からの駆動力が入力可能であるため、この軸部37aは、オイルポンプ30の駆動軸にもなっており、先端部に形成されたキー溝がオイルポンプ30のドライブギヤ31aの内径側に形成されたキーと嵌合することによって駆動連結されている。
【0047】
このようにクラッチハウジング20は、クラッチ16を収容するケース部材となっている一方、上述したように、クラッチ16を跨いで前壁部39b及び後壁部37bによって両もち構造で安定して支持された支持部材でもある。即ち、クラッチハウジング20は、上記ボールベアリング(軸受部材)29,34を介して、クラッチ16の軸方向両側で、径方向及び軸方向に安定して支持されている。
【0048】
そのため、上記環状部39cの外周面は、回転電機3のロータ3aを取付ける取付部となっており、ロータ3aをボルト48によって固設できるように構成されている。
【0049】
また、ロータ3aの外径側には、このロータ3aと対向するようにしてステータ3bがモータハウジング26に固設されており、これらロータ3a及びステータ3bによって回転電機3が構成されている。
【0050】
更に、上記環状部39cと一緒に上記取付部を構成するクラッチドラム36の変速装置側端部36aには、回転電機3の回転を検出するレゾルバ61の回転子(励磁コイル)62が取付けられており、その内径側に位置するオイルポンプボディ32には、固定子(検出コイル)63が固設されている。
【0051】
なお、上記クラッチハウジング20は、ボールベアリング29,34によって径方向及び軸方向に支持されているが、ニードルベアリングによって径方向に支持され、スラストベアリングによって軸方向に支持されても良い。
【0052】
[油路構成]
ついで、上記入力部9の油路構成について説明をする。上記変速装置7の入力軸15には、コントロールバルブ22によって調圧された油圧が供給される複数の油路a,bが形成されており、油路aには、クラッチ16の制御圧が供給されるようになっている。
【0053】
また、クラッチハウジング20の後壁部37bのボス部37aには、クラッチ16の作動油室47に接続する油路cが形成されており、これら油路a,c及び作動油室47などによってクラッチ16の油圧サーボ56が形成されている。
【0054】
更に、上記後壁部37bのボス部37aには、クラッチハウジング20の内部空間Sに供給されるクラッチ冷却用の循環油(油)が供給される油路dが入力軸15に沿って形成されており、油圧を発生させるオイルポンプ30と、循環油が供給される上記油路dを含む、オイルポンプ30から吐出された油をクラッチハウジング20の内部空間Sへ導く供給油路と、によって、クラッチハウジング20の内部空間Sに循環油を供給するオイル供給部Aが構成されている。この循環油の供給油路である油路dは、接続軸13のフランジ部13bと、後壁部37bのボス部37aと、の間に介在するスラストベアリング50によって保持された隙間を通って、クラッチハウジング20の内部空間Sと接続している。
【0055】
また、入力軸15の油路bは、上記クラッチハウジング20の内部空間Sから循環油を排出する排出油路となっており、この油路bは、接続軸13に設けられた油路f、入力軸15と接続軸13との間の隙間eを介してクラッチハウジング20の内部空間Sと接続している。
【0056】
そのため、油路dから内部空間Sに供給された循環油は、スラストベアリング50、スプリングリテーナ41とクラッチハブ35と間の隙間を通って、クラッチ16の内径側から内摩擦板17及び外摩擦板19を冷却する。そして、このクラッチ16の摩擦板17,19を冷却した循環油は、スラストベアリング51によって保持された、前壁部39bとクラッチハブ35との間の隙間及びフランジ部13bとクラッチハウジング20の前壁部39bとの間の隙間を通って、供給時とはクラッチハブ35を挟んで反対側に位置する油路fから排出される。
【0057】
なお、上記内部空間S内に満たされた循環油は、接続軸13と前壁部39bのボス部39aとの間の隙間、前壁部39bと隔壁27との間の隙間を通って、ニードルベアリング45及びボールベアリング29を潤滑しながらクラッチハウジング20の外部空間Mにも排出されるようになっており、この外部空間Mに排出された循環油は、モータハウジング26の下方に設けられたオイルパン53(図1参照)へと還流する。
【0058】
このように、内摩擦板17及び外摩擦板19を収納する内部空間Sは、供給油路bによって内径側から供給される循環油をクラッチハウジング20の内部空間Sが貯留して、内摩擦板17及び外摩擦板19を、この貯留した循環油で浸し得るように構成されており、これら内摩擦板17及び外摩擦板19は、内部空間S内を満たす循環油によって冷却されるように構成されている。
【0059】
なお、接続軸13と隔壁27との間は、オイルシール52によりシールされているため、外部空間Mに排出される循環油がケース外に漏れることはないと共に、キャンセル油室44には、油路d,hを介してオイルが供給される。
【0060】
[連通機構の構成]
ついで、クラッチハウジング20の内外を連通可能に構成された連通機構について説明をする。
【0061】
図2に示すように、クラッチハウジング20の前壁部39bの外径側端部39bは、その内径側の部分に比して肉厚に形成された肉厚部となっており、この肉厚部には、クラッチハウジング20の内部空間Sと、クラッチハウジング20の外部空間Mとを連通する連通孔73が、円周方向に所定間隔で複数設けられている。
【0062】
これら複数の連通孔73のそれぞれには、クラッチハウジング20の内外を遠心力に基づいて選択的に連通させるボール弁70が取付けられており、このボール弁70は、連通孔73を塞ぐチェックボール71と、このチェックボール71を収納するケース72と、から構成されている。
【0063】
即ち、上記ケース72の外部空間側の端部には、クラッチハウジング20の内側から外側に向かうほど狭くなるように傾斜したテーパー面72aが形成されており、上記ボール弁70は、チェックボール71に加わる油圧と遠心力とのバランスによって、チェックボール71がこのテーパー面72aに沿って移動することで開閉するように構成されている。
【0064】
具体的には、クラッチハウジング20の回転速度rinが設定された所定回転速度rpre未満の場合、循環油からチェックボール71に掛る遠心油圧に比して、チェックボール71に掛る遠心力が相対的に小さいため、このチェックボール71は、上記テーパー面72aを外部空間側に移動して、連通孔73を塞ぐ遮断位置となる。
【0065】
また、入力軸15の回転が設定された所定回転速度以上の回転速度になると、チェックボール71に掛る遠心力が遠心油圧に比して相対的に大きくなり、チェックボール71がテーパー面72aの傾斜に沿って内部空間側まで退避して、クラッチハウジング20の内外を連通させると共に、内部空間Sを大気開放する退避位置となる。
【0066】
そして、これら連通孔73、チェックボール71及びケース72によってクラッチハウジング20の内外を選択的に連通する連通機構74が形成されている。なお、上記ボール弁70は、チェックボール71の着座面としてのテーパー面72aを連通孔73に形成しても良く、連通機構74は、少なくとも連通孔73と、この連通孔73を塞ぐチェックボール71を有していれば良い。
【0067】
また、上記ボール弁70を開閉させる回転速度(解放回転速度)rpreは、テーパー面72aの傾斜によって任意に設定することができるが、クラッチ16がスリップ状態にある際には連通孔73を遮断し、クラッチ16が解放されている際にはクラッチハウジング20の内外を連通させるように設定される。
【0068】
より詳しくは、本実施形態では、クラッチ16がスリップ回転して発熱量が大きくなる、エンジン2での車両発進時及びエンジン2での低車速走行時にクラッチハウジング20の内外の連通状態を遮断し、それ以外の場合には、クラッチハウジング20の内部空間Sを大気開放するように、エンジン2のアイドリング回転速度付近の値に解放回転速度rpreが設定されている。
【0069】
言い換えると、連通機構74は、エンジン2の駆動力により車両を発進させる際であって、クラッチ16をスリップさせる場合に、クラッチハウジング20の内部空間Sと外部空間Mとを遮断し、回転電機3により車両を走行させる際であって、クラッチ16を解放させた状態で、外摩擦板19を回転電機3の駆動回転によって上記所定回転速度rpre以上で回転させる場合に、クラッチハウジング20の内部空間Sと外部空間Mとを連通させる。
【0070】
また、クラッチハウジング20に設けられる上記連通機構74は、クラッチハウジング20の回転状態に基づいて、クラッチハウジング20の内部空間Sと外部空間Mとの遮断及び連通を切換えられれば良く、この回転状態とは、上記クラッチハウジング20の回転速度や、加速度など、クラッチハウジング20の回転に係る状態のことを言う。
【0071】
[コントロールバルブの構成]
ついで、コントロールバルブ22の上記オイル供給部Aへの循環油の供給に係る部分の構成について説明をする。
【0072】
図3に示すように、コントロールバルブ22は、クラッチ16の係脱を制御するクラッチ制御部(摩擦係合装置制御部)64と、クラッチ16の制御状態に基づいてクラッチハウジング20の内部空間Sに供給される循環油量(オイル量)を調整自在に構成されている循環油量調整部(オイル量調整部)68と、有しており、上記クラッチ制御部64は、クラッチ16の油圧サーボ56に供給する係合圧Pを制御することによって、クラッチ16を、摩擦板17,19が解放された解放状態と、摩擦板17,19がスリップ回転するスリップ状態と、摩擦板17,19が完全係合した完全係合状態と、に制御している。
【0073】
具体的には、クラッチ制御部64は、運転者からの要求トルクに応じて制御部21から出力されるSLU指令値に基づいて、クラッチ16の油圧サーボ56に供給する係合圧を調圧し、クラッチ16の係脱を制御するリニアソレノイドバルブSLUから構成されている。
【0074】
なお、摩擦板17,19が解放された解放状態とは、これら内摩擦板17と外摩擦板19とが離れて非係合状態となった状態をいう。また、摩擦板17,19がスリップ回転するスリップ状態とは、いわゆる半クラッチ状態をいう。更に、摩擦板17,19が完全係合した完全係合状態とは、上記摩擦板17,19がスリップ回転するスリップ状態に対して、これら内摩擦板17及び外摩擦板19が相対回転せずに締結され、クラッチ16が完全に係合された状態をいう。
【0075】
一方、循環油量調整部68は、オイル供給部Aに循環油を供給する油路e,eを切換える切換えバルブ59によって構成されており、この油路e,eを連通/遮断させるスプールと、このスプールを一方側に付勢するスプリング59sと、スプリング59sとは反対側の端部に設けられ、リニアソレノイドバルブSLUが調圧したクラッチ16の係合圧が分岐して入力される油室とを有している。
【0076】
また、上記スプリング59sは、切換えバルブ59が選択的に切換える第1及び第2油路e,eの内、油路径が大きく第2油路eに比してオイル供給部Aに供給する循環油が多い第1油路を遮断し、油路径が小さく第1油路eに比してオイル供給部Aに供給する循環油が少ない第2油路eを連通させるようにスプールを付勢している。
【0077】
そのため、切換えバルブ59は、リニアソレノイドバルブSLUから出力されるクラッチ16の係合圧に基づいてスプールが連動し、クラッチハウジング20に供給する循環油量を切換えるようになっており、クラッチ16が解放されて、リニアソレノイドバルブSLUからの制御圧が入力されていない場合には、上記スプリング59sの付勢力により、循環油の供給量の少ない第2油路eを連通させると共に、クラッチ16を係合するためにリニアソレノイドバルブSLUからの所定圧以上の制御圧が出力された場合には、循環油の供給量の多い第1油路eを連通させるように構成されている。
【0078】
ついで、本発明の実施形態に係る作用について図4に基づいて説明をする。
【0079】
例えば、バッテリ容量が少なくなっている場合に、運転者がアクセルペダルを踏み込んで、車両を発進させようとすると、制御部21は、リニアソレノイドバルブSLUの指令値を上昇させ、ショックが出ないように、クラッチ16の内摩擦板17と外摩擦板19を互いにスリップ回転させながら、エンジン2によって発進する(図4のt〜t)。
【0080】
また、上記リニアソレノイドバルブSLUへの指令値が上昇して、該リニアソレノイドバルブSLUから出力されるクラッチ16の係合圧が高くなると、切換えバルブ59によってオイル供給部Aへの循環油の供給油路が、第2油路eから第1油路eへと切り換えられ、クラッチハウジング20の内部空間Sへの循環油の供給量が増大する。
【0081】
即ち、図4のEb1に示すように、クラッチ16が解放状態(図4の期間Pr)からスリップ状態(図4の期間Ps)になると、切換えバルブ59のスプール位置が切換り、クラッチハウジング20の内部空間Sに供給される循環油量が、クラッチ解放時の第1供給オイル量Csから、該第1供給オイル量Csよりも大きい第2供給オイル量Cbとなる。
【0082】
更に、クラッチ16が半クラッチ状態の場合、エンジン2からの動力が完全に変速装置7の入力軸15へと伝達されないため、この変速装置7の入力軸15に駆動連結されたクラッチハウジング20回転速度rinは、ボール弁70の解放回転速度rpreよりも低く(rin<rpre)、クラッチハウジング20は、内外の連通をボール弁70によって遮断されている。
【0083】
そのため、上記クラッチハウジング20の内部空間Sには、この内部空間S内が循環油で満たされていても大量の循環油が供給され、クラッチ16は、この循環油の循環速度が速い状態で、良く冷却されながら摩擦板17,19をスリップ回転させる。
【0084】
また、SLU指令値が上がり、リニアソレノイドバルブSLUから出力される係合圧が高まって、上記クラッチ16が完全係合することにより摩擦板17,19がスリップ回転しなくなると(完全係合状態Pe)、クラッチハウジング20の回転速度rinが上昇して行き、解放回転速度rpreよりも高くなり(rin>rpre)、ボール弁70が連通状態となる(t〜t)。
【0085】
上記ボール弁70が連通状態となると、クラッチハウジング20の内部空間Sが大気解放され、ボール弁70のチェックボール71が遮断していたクラッチハウジング20の連通孔73が解放されるため、この連通孔73から内部空間内Sの循環油が排出されると共に、クラッチハウジング20の外部空間Mから内部空間Sにエアが吸入される。
【0086】
そのため、内部空間内からは略すべての循環油が排出され、クラッチハウジング20の内は、空の状態となり、クラッチハウジング20はこの内部が空の状態で走行を続ける。
【0087】
なお、この時、切換えバルブ59は、クラッチ16の係合圧に連動して油路e,eを切換えるため、クラッチハウジング20の内部空間Sへの供給オイル量は、第2供給オイル量Cbのままである。
【0088】
一方、車両が渋滞につかまって、クラッチハウジング20の回転速度がエンジン2のアイドリング回転速度近傍の値よりも低くなると、クラッチ16は、再度スリップを始める(t,Ps)。
【0089】
そして、このクラッチハウジング20の回転速度rinが解放回転速度rpreよりも低くなると(rin<rpre)、今度は今まで開いていたボール弁70が閉じ、クラッチハウジング20内が密閉状態となる(t)。
【0090】
この時、クラッチハウジング20の内部空間Sへの供給オイル量は、依然として第2供給オイル量Cbであるため、空の状態の内部空間Sには、大流量の第2供給オイル量Cbでオイル供給部Aから循環油が供給されて行くため、内部空間内は、循環油で急速に充満されて油密状態となる(t〜t)。
【0091】
一方、EV走行モードとなり、エンジン2を使用せずに回転電機3のみによって走行を始めると、クラッチ16が解放されるため、循環量調整バルブ59にリニアソレノイドバルブSLUからの制御圧が入力されず、オイル供給部Aへの循環油の供給油路が、第1油路eから第2油路eへと切り換えられ、クラッチハウジング20の内部空間Sへの循環油の供給量が減少する。
【0092】
即ち、スリップ状態Ps,Psもしくは完全係合状態Peから解放状態Prになると、切換えバルブ59のスプール位置が切換り、クラッチハウジング20の内部空間Sに供給される循環油量が、第2供給オイル量Cbから第1供給オイル量Csとなって減少する。
【0093】
また、クラッチハウジング20の回転速度が解放回転速度rpreよりも高くなると(rin>rpre)、ボール弁70が連通状態となり、ボール弁70のチェックボール71が遮断していたクラッチハウジング20の連通孔73が解放される。
【0094】
これにより、この連通孔73から内部空間内Sの循環油が排出されると共に、クラッチハウジング20の外部空間Mから内部空間Sにエアが吸入されて、クラッチハウジング20の内部空間Sは、空の状態となる。
【0095】
上述したようにハイブリッド駆動装置5を構成したことによって、ボール弁70によりクラッチハウジング20内のオイルの充満状態を、状況に応じて切換えることができる。即ち、エンジン2による車両の発進時や、渋滞走行時など、クラッチ16がスリップ回転しながらエンジン2の動力を伝達する場合、クラッチの発熱量が多いため、ボール弁70が閉じて、クラッチハウジング20の内部空間Sにオイルを充満させ、クラッチ16の冷却性能を高めることができる。
【0096】
また、EV走行時などクラッチ16を解放している場合、クラッチハウジング20の回転速度がボール弁70の解放回転速度以上であれば、上記ボール弁70が解放され、クラッチハウジング20内の循環油が排出されて内部空間Sが空になるため、クラッチ16の内摩擦板17とクラッチハウジング20との間の相対回転に基づく、循環油の撹拌抵抗が無くなり、ハイブリッド駆動装置5のエネルギ効率を向上させることができる。
【0097】
更に、クラッチ16の係合時においても、クラッチハウジング20の回転速度がボール弁70の解放回転速度よりも高い場合には、クラッチハウジング20の内部空間内の循環油を抜くことが出来るため、クラッチハウジング内の重量(イナーシャ)が小さくなって、このクラッチハウジング20のユニットを回転させる駆動力も小さくすることができるため、ハイブリッド駆動装置5のエネルギ効率を向上させることができる。
【0098】
また、ボール弁70がクラッチハウジング20の前壁部39bの外径側端部に設けられているため、クラッチハウジング20の内部空間Sの循環油を全て抜くことができ、上述した循環油の撹拌による抵抗を無くすことができる。
【0099】
更に、クラッチハウジング20の回転速度に応じて、ボール弁70の遮断/連通を切換えることによって、エンジン2による車両の発進時など、クラッチ16がスリップしながら動力を伝達して発熱量が大きくなるシチュエーションの多い低速時と、一定速度以上で走行することが多いEV走行時と、でクラッチハウジング20の循環油の充填状態を自動的に切換えることができる。
【0100】
また、遠心力に基づいて開閉するボール弁70によって、クラッチハウジング20の内外の連通状態を制御したことによって、簡単な構成でクラッチハウジング20の内外を連通可能な連通機構を構成することができる。
【0101】
更に、クラッチ16を、リニアソレノイドバルブSLUが調圧する係合圧を制御することによって、解放状態、スリップ状態、完全係合状態に制御すると共に、このクラッチ16の状態に基づいて、クラッチハウジング20の内部空間Sへ供給する供給オイル量を調整可能に構成したことにより、クラッチ16がスリップ回転して発熱量が多い場合に、クラッチハウジング20内に多くの循環油を供給することができる。
【0102】
特に、クラッチハウジング20の内部空間Sが空の状態にあっては、大流量の第2供給オイル量Cbによって、クラッチハウジング20の内部空間Sに循環油が供給されて行くため、この内部空間Sに急速に循環油を充満させることができる。
【0103】
更に、クラッチ16が解放状態の場合には、クラッチハウジング20内に供給するオイル量を、小流量の第1供給オイル量Csにすることによって、無駄なオイルの消費を低減することができると共に、上述したクラッチ16の撹拌抵抗の低減に寄与することができる。
【0104】
また、切換えバルブ59を、クラッチ16の係合圧に連動するバルブによって構成したことによって、簡単な構成でクラッチハウジング20の内部空間Sに供給するオイル量を調整することができる。
【0105】
[第2実施形態]
ついで、本発明の第2実施形態について説明をする。なお、この第2実施形態は、第1実施形態に対して、クラッチハウジング20の内部空間Sに供給するオイル量を、3段階に変更可能に構成したものであり、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略すると共に、同様の参照符号を使用する。
【0106】
図5に示すように、循環油量調整部(オイル量調整部)68は、オイルポンプ装置30からの元圧を所定の圧に調圧するモジュレータバルブ80と、このモジュレータバルブ80が調圧した一定の油圧が入力されると共に、クラッチハウジング20の内部空間Sに供給するオイル量を切換える切換えバルブ81と、から構成されている。
【0107】
この切換えバルブ81は、図6に示すように、スプール81pと、このスプール81pを図6の上方側に付勢するスプリング81sと、スプリング81sとは反対側の端部に設けられた油室81eと、モジュレータバルブ80から油圧が入力される入力ポート81aと、出力ポート81b,81c,81dと、を有して構成されており、油室81eには、リニアソレノイドバルブSLUから出力されたクラッチ16の係合圧が入力されるようになっている。
【0108】
また、上記出力ポート81bは、油路に設けられたオリフィスの径(油路径)の大きな第1油路e1に、出力ポート81cは、油路に設けられたオリフィスの径(油路径)の小さな第2油路e2に、出力ポート81dは、油路に設けられたオリフィス径(油路径)がこれら第1及び第2油路の中間の大きさの第3油路e3に接続されている。
【0109】
そのため、クラッチ16が解放されて、油室81eに入力される係合圧が小さい場合、スプール81pは、図6(a)に示すように、スプリング81sによって上方に付勢され、出力ポート81cを遮断するようにスプール81pの第2ランド部81pが位置する(第1位置)。
【0110】
そして、出力ポート81cは、スプール81pの第2ランド部81pよりも大きく溝を形成しているため、この時、入力ポート81aと油路径の小さな第2油路eとが連通し、オイル供給部Aには、第2油路eから第1供給オイル量Csの循環油が供給される。
【0111】
一方、図6(b)に示すように、クラッチ16がスリップ状態となり、油室81eにクラッチをスリップ制御する際の係合圧が入力されると、スプール81pが移動して、入力ポート81aと、出力ポート81b及び出力ポート81cと、が連通する(第2位置)。そのため、オイル供給部Aには、油路径の大きな第1油路e及び第2油路eから第2供給オイル量Cbの循環油が供給される。
【0112】
また、図6(c)に示すように、クラッチ16が完全係合状態となり、油室81eに上記スリップ状態の場合よりも高い係合圧が入力されると、スプール81pが移動して、入力ポート81aと、出力ポート81d及び出力ポート81cと、が連通する(第3位置)。そのため、オイル供給部Aには、油路径が中程度の第3油路e及び第1油路eから、第2供給オイル量Cbよりも小さく、第1供給オイル量よりも大きな第3供給オイル量Cmの循環油が供給される。
【0113】
即ち、循環油量調整部68は、クラッチハウジング20の内部空間Sに供給する循環油量を、供給オイル量の少ない第1供給オイル量Csと、供給オイル量の多い第2供給オイル量Cbと、供給オイル量が中程度の第3供給オイル量Cmとの三段階に切換えることが可能に構成されている(Cs<Cm<Cb)。
【0114】
このように、クラッチハウジング20の内部空間Sに供給する循環油量を、三段階に切換えて供給できるように構成したことによって、図4のEb2に示すように、クラッチ16が解放されると(クラッチ解放状態Pr)、切換えバルブ81のスプール81pは、第1位置(図6の(a)の位置)となって、第1供給オイル量Csによって、最小限のベアリングなどの潤滑を行うだけの循環油をクラッチハウジング20の内部空間Sに供給する。
【0115】
また、クラッチ16がスリップ回転を始めると(スリップ状態Ps)、切換えバルブ81のスプール81pは、第2位置(図6の(b)の位置)となって、第2供給オイル量Cbによって、多量の循環油をクラッチハウジング20の内部空間Sに供給する。
【0116】
更に、クラッチ16の係合が進み、クラッチ16が完全係合(完全係合状態Pe)すると、切換えバルブ81のスプール81pは、第3位置(図6の(c)の位置)となって、第3供給オイル量Cmによって、一定量の循環油をクラッチハウジング20の内部空間Sに供給する。
【0117】
一方、車両の走行中、渋滞などに捕まって車速が落ち、クラッチ16がスリップを始める(スリップ状態Ps)と、切換えバルブ81のスプール81pは、第2位置となって、第2供給オイル量Cbによって、多量の循環油をクラッチハウジング20の内部空間Sに供給する。
【0118】
これにより、クラッチ16は、発熱量の多いスリップ状態Ps,Psの場合、クラッチハウジング20の内部空間Sに第2供給オイル量によって供給される多量の循環油で効果的に冷却されるのはもちろんのこと、クラッチ16が解放される解放状態の場合には、供給する循環油を第1供給オイル量Csとして、摩擦板17,19による循環油の撹拌に基づく撹拌抵抗を少なくすることができる。
【0119】
更に、クラッチ16が完全係合して発熱量が低下するのに伴って、クラッチハウジング20の内部空間Sに供給するオイル量を、第2供給オイル量Cbから第3供給オイル量Cmに少なくすることによって、オイルの消費を抑えることができ、ひいては車両のエネルギ効率の向上を図ることができる。
【0120】
また、クラッチ解放時の第1供給オイル量Csを、クラッチ完全係合状態時の第3供給オイル量Cmよりも小さくしたことによって、クラッチ解放時のクラッチハウジング20の内部空間内の循環油を極力少なくし、摩擦板17,19が内部空間内の循環油を撹拌することによる撹拌抵抗を、出来る限り少なくすることによって、引き摺りトルクを低減することができる。
【0121】
なお、図4のEb3に示すように、クラッチ16の解放時の供給オイル量は、第3供給オイル量Cmに設定されても良いと共に、図4のEb4に示すように、クラッチ16の完全係合時の供給オイル量は、第2供給オイル量Cbに設定されても良い。
【0122】
[第3実施形態]
ついで、本発明に係る第3実施形態について説明をする。この第3実施形態は、第2実施形態の切換えバルブ81を制御リニアソレノイドバルブ90によって切換え可能に構成されたものであり、第1及び第2実施形態と同様の構成については、その説明を省略すると共に、同様の参照符号を使用する。
【0123】
図7に示すように、循環油量調整部(オイル量調整部)68は、モジュレータバルブ80及び切換えバルブ81の他に、切換えバルブ81の油室81eに制御圧を出力する制御リニアソレノイドバルブ90を有しており、この制御リニアソレノイドバルブ90から出力する制御圧を制御部21により制御することによって、切換えバルブ81のスプール81pの位置を切換え自在に構成されている。
【0124】
そのため、図8及び図9に示すように、制御リニアソレノイドバルブ90は、クラッチ16が解放され、リニアソレノイドバルブSLUから出力されるクラッチ16の係合圧が、クラッチ16を解放状態Prからスリップ状態Ps,Psにする第1境界圧Dよりも小さい場合、非出力状態とされる(図9のS1,S2)。
【0125】
そして、制御リニアソレノイドバルブ90が非出力状態になると切換えバルブ81のスプール81pは、スプリング81sの付勢力によって第1位置となり、クラッチハウジング20の内部空間Sには、最小限のベアリングなどの潤滑を行うだけの、第1供給オイル量Csの循環油が供給される(図8のt〜t、S3〜S5)。
【0126】
また、リニアソレノイドバルブSLUから出力されるクラッチ16の係合圧が、上記第1境界圧Dよりも大きく、クラッチ16の摩擦板17,19が相対回転しなくなる第2境界圧Dよりも小さくなって、クラッチ16がスリップを開始すると(t、S6)、制御部21によって、クラッチハウジング20の回転速度がボール弁70の解放回転速度rpre以下であるかどうか判断されると共に(S7)、タイマtが設定されていないかどうか判断され(S8)、設定されていない場合には、タイマtが設定される。
【0127】
このタイマtは、第2供給オイル量Cbで循環油を供給した際に空の状態のクラッチハウジング20の内部空間Sを循環油で満たすことのできる所定時間Tに設定されており、制御リニアソレノイドバルブ90は、この所定時間T内の間は(t<T)、切換えバルブ81のスプール81pが第2位置になるように制御圧を出力し、第2供給オイル量Cbの循環油をクラッチハウジング20の内部空間Sに供給する(t1〜t2、S10〜S13)。
【0128】
そして、この所定時間Tが経過すると、制御リニアソレノイドバルブ90は、制御部21からの指令によって、スプール81pが第3位置になるように制御圧を出力し、循環油の供給油量を、第3供給オイル量Cmにする(t〜t、S10〜S16)。
【0129】
一方、上記クラッチ16のスリップ状態において、クラッチハウジング20の回転速度rinがボール弁70の解放回転速度rpreよりも大きくなった場合には(S7)、クラッチ16の発熱量が増大し、より多くの循環油が必要となるため、クラッチハウジング20の内部空間Sへの供給オイル量は、第2供給オイル量Cbに維持される(S17〜S19)。
【0130】
そして、リニアソレノイドバルブSLUからのクラッチ16の係合圧が第2境界圧Dよりも高くなって、クラッチ16が完全係合すると、制御リニアソレノイドバルブ90は、制御部21からの電気指令によって、切換えバルブ81のスプール81pが第3位置になるように制御圧を制御し、クラッチハウジング20の供給される循環油量を第3供給オイル量に設定する(t〜t、S20〜S22)。
【0131】
このように、クラッチ16のスリップ状態であっても、クラッチハウジング20の内部空間Sが循環油で満たされると、内部空間Sへの循環油の供給量を低減することによって、即ち、クラッチ16のスリップ開始時のみ第2供給オイル量Cbでクラッチハウジング20の内部空間Sに循環油を供給することによって、クラッチ16の冷却性能を確保しつつ、循環油の消費を低減することができる。
【0132】
なお、上記実施形態においては、クラッチハウジング20の回転速度rinがボール弁70の解放回転速度rpreよりも高いかどうかによって、クラッチハウジング20の内部空間Sに供給される循環油量を切換えたが、図10に示すように、このようなクラッチハウジング20の回転速度rinに基づく判断を行わず、クラッチ16のスリップ初期だけ供給オイル量を第2供給オイル量Cbにし、タイマtが所定時間Tを経過すると、供給オイル量を第3供給オイル量Cmにしても良い。
【0133】
また、クラッチ解放時の供給オイル量を、第3供給オイル量Cmにしても良いと共に、クラッチ完全係合時及びタイマtが所定時間Tを経過した時に、供給オイル量を第1供給オイル量にしても良い。即ち、第1供給オイル量と、第3供給オイル量と、を同じにしても良い。
【0134】
なお、本実施形態においては、連通機構をボール弁70によって構成したが、この連通機構は、循環油の循環用の油路の他に、クラッチハウジング20の内部空間内の循環油を排出するものであればどのように構成されても良く、例えば、図6に示すように、スプリング83によってチェックボール81をテーパー面82a側に付勢するボール弁80によって形成しても良い。なお、このボール弁80を使用する場合、クラッチハウジング20の環状部39cにテーパー面82が内径側に向くように取り付けられると良い。
【0135】
また、連通機構は、上述したボール弁70,80の他に、クラッチ16のピストン40に連動して連通孔73を塞ぐ構成や、シャッタ方式などによって構成されても良い。また、例えば、車輪6側の伝達経路の回転要素の回転速度や加速度を検出すると共に、クラッチハウジング20側ではなく、モータハウジング26側に連通機構の構成の一部を設け、この検出した回転速度や加速度などのクラッチハウジング20の回転状態に基づいて、モータハウジング26側からクラッチハウジング20の内部空間Sと外部空間Mとの連通又は遮断を制御しても良い。
【0136】
更に、連通機構の開閉を電気的に制御し、シュチエーションに応じて、大きな冷却性能が必要な場合には、連通機構を閉じ、それ以外の場合には、連通機構が開くように構成しても良い。
【0137】
また、上記ボール弁70の位置は、クラッチハウジング20において、少なくとも外摩擦板19の内周面(内径側端部)lよりも外径側の位置に設けられていれば良く、摩擦板17,19が循環油を撹拌することによる引き摺りトルクの増大分を少しでも減らすことができればよい。
【0138】
更に、ボール弁70は、クラッチハウジング20の後壁部37bに設けられても良いと共に、その数はいくつ設けられても良い。
【0139】
また、上記内摩擦板17は、クラッチハブ35などのエンジン側の伝達経路Lの回転要素又は、クラッチドラム36などの車輪側の伝達経路Lの回転要素の一方と、スプライン係合(駆動連結)すればよく、外摩擦板19は、エンジン側の伝達経路Lの回転要素又は車輪側の伝達経路Lの回転要素の他方と、スプライン係合(駆動連結)すれば良いと共に、クラッチ16を、単板クラッチによって構成しても良い。
【0140】
更に、本実施形態では、摩擦係合要素としてクラッチ16を用いたが、クラッチの代わりにブレーキを用いても良い。なお、クラッチとは、回転差を有する2つの回転要素を、摩擦板をスリップ回転させながら動力伝達を行うことによって、これら2つの回転要素の差回転を吸収しつつ動力伝達を行うものであると共に、ブレーキとは、一方の摩擦板が固定部材に取付られ、回転要素の回転を係止するものである。
【0141】
また、変速装置7は、どのような変速機構でも良く、例えば多段式自動変速機や、CVTなどの変速装置によって構成されてよいと共に、この変速装置7自身に回転電機を搭載したような変速装置によって構成されても良い。
【0142】
更に、回転電機3及びクラッチ16は、変速装置7の回転要素に駆動連結されていれば良く、例えば、変速装置7の入力軸や、出力軸に駆動連結させることができる。
【0143】
また、入力軸15の回転速度を変速装置7によって制御し、これによって、連通機構の開閉を積極的に制御しても良い。例えば、回転電機3の駆動によりエンジン2を再始動する場合、変速装置7によって、入力軸15の回転速度を解放回転速度未満に制御しても良い。
【0144】
更に、本発明は、FFタイプのハイブリッド自動車だけではなく、FRタイプのハイブリッド自動車に適用されても良く、駆動源としてエンジンと回転電機とを有していれば、どのような車両に適用されても良い。
【0145】
また、上述した実施形態に記載された発明は、互いにどのように組み合わされて使用されても当然に良い。
【符号の説明】
【0146】
2 エンジン
3 回転電機
5 車両用駆動装置
6 車輪
16 摩擦係合装置(クラッチ)
17 第1摩擦板(内摩擦板)
19 第2摩擦板(外摩擦板)
20 ケース部材(クラッチハウジング)
22 油圧制御装置
64 摩擦係合装置制御部(クラッチ制御部)
68 オイル量調整部
74 連通機構
59,81 切換えバルブ
81s スプール
S 内部空間
Cs 第1供給オイル量
Cb 第2供給オイル量
Cm 第3供給オイル量
T 所定時間
L 経路伝達
エンジン側の伝達経路
車輪側の伝達経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと車輪との間の伝達経路上に配置され、該伝達経路の前記エンジン側の伝達経路に駆動連結される第1摩擦板と前記車輪側の伝達経路に駆動連結される第2摩擦板とを有する摩擦係合装置と、前記車輪側の伝達経路に駆動連結される回転電機と、前記摩擦係合装置の第1及び第2摩擦板を収納する内部空間を有し、該内部空間が前記第1及び第2摩擦板を油で浸し得るように構成されるケース部材と、前記ケース部材の内部空間と外部とを連通又は遮断し得、連通した際に、前記内部空間から外部に油が排出される連通機構と、備えたハイブリッド駆動装置を油圧によって制御する油圧制御装置において、
前記摩擦係合装置が、前記第1及び第2摩擦板が解放された解放状態と、前記第1及び第2摩擦板がスリップ回転するスリップ状態と、になるように係合圧を制御可能な摩擦係合装置制御部と、
前記摩擦係合装置の制御状態に基づいて前記ケース部材の内部空間に供給されるオイル量を調整自在に構成されていると共に、このオイル量を、前記クラッチの解放時に第1供給オイル量に調整し、前記摩擦係合装置のスリップ開始時に該第1供給オイル量よりも大きい第2供給オイル量に調整するオイル量調整部と、を備えた、
ことを特徴とする油圧制御装置。
【請求項2】
前記摩擦係合装置制御部は、前記第1及び第2摩擦板が完全係合した完全係合状態になるように前記係合圧を制御可能であり、
前記オイル量調整部は、前記オイル量を、前記摩擦係合装置が完全係合状態の際に、前記第2供給オイル量よりも小さい第3供給オイル量に調整する、
請求項1記載の油圧制御装置。
【請求項3】
前記オイル量調整部は、前記第1供給オイル量を、前記第3供給オイル量よりも小さくなるように調整する、
請求項2記載の油圧制御装置。
【請求項4】
前記オイル量調整部は、前記摩擦係合装置がスリップを開始してから、前記第2供給オイル量でオイルを供給した際に空の状態の前記ケース部材の内部空間をオイルで満たすことのできる所定時間経過すると、前記ケース部材に供給するオイル量を、前記第1又は第3供給オイル量とする、
請求項2又は3記載の油圧制御装置。
【請求項5】
前記オイル量調整部は、前記摩擦係合装置制御部から出力される前記摩擦係合装置の係合圧に基づいてスプールが連動し、前記ケース部材に供給するオイル量を切換える切換えバルブを有する、
請求項1乃至3のいずれか1項記載の油圧制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−180881(P2012−180881A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43382(P2011−43382)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】