説明

油圧駆動装置

【課題】大型の油圧シリンダを動作させる場合の応答性を確保し、かつ油圧シリンダの負荷圧に応じた容量の油を供給する。
【解決手段】方向制御弁30と、操作レバー41の操作量に応じたパイロット圧を出力することによってパイロット操作弁40と、油圧シリンダ10の負荷圧と油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に従って動作するポンプ容量制御弁52とを備えた油圧駆動装置において、パイロット操作弁40から方向制御弁30にパイロット圧を出力するパイロット油路42に絞り44を設け、パイロット操作弁40と絞り44との間の圧力をポンプ容量制御弁52に対して油圧シリンダ10の負荷圧と同じ方向に作用させ、かつ絞り44と方向制御弁30との間の圧力をポンプ容量制御弁52に対して油圧ポンプ20の吐出圧力と同じ方向に作用させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧シリンダによって各種作業機を動作させるようにした建設機械においては、ポンプ容量制御シリンダの作動に従って容量が変化する可変容量型の油圧ポンプを適用するとともに、油圧シリンダの負荷圧と油圧ポンプの吐出圧力との差圧に従って動作してポンプ容量制御シリンダに対する油の供給制御を行うポンプ容量制御弁を適用したロードセンシング方式の油圧駆動装置を備えるものが提供されている。
【0003】
この種の油圧駆動装置を適用した建設機械によれば、油圧シリンダに対して負荷圧に応じた流量の油を供給することができ、例えば油圧ポンプのポンプ効率を向上させることができるようになる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−90419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建設機械に搭載される油圧シリンダは、作業機を動作させる際に大きな力が必要となるため、大容量のものが適用されるのが一般的である。
【0006】
こうした大型の油圧シリンダを応答性良く動作させるには、操作レバーを操作してから短時間のうちに大容量の油を供給する必要がある。しかしながら、上述したロードセンシング方式の油圧駆動装置にあっては、操作レバーの操作によって油圧シリンダに油が供給された後、油圧シリンダの負荷圧が増大するまではポンプ容量が最小の状態に維持されるため、油圧ポンプの容量が増大するまでに時間を要する。このため、油圧シリンダの動作にタイムラグが生じ、建設機械の操作者に対して違和感を与える等の問題を招来する恐れがある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、大型の油圧シリンダを動作させる場合の応答性を確保し、かつ油圧シリンダの負荷圧に応じた容量の油を供給することのできる油圧駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る油圧駆動装置は、ポンプ容量制御シリンダの作動に従って容量が変化する可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプから油圧シリンダに至る油通路に介在し、前記油圧シリンダに対する油の供給制御を行う方向制御弁と、操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を出力することによって前記方向制御弁を動作させるパイロット操作弁と、前記油圧シリンダの負荷圧と前記油圧ポンプの吐出圧力との差圧に従って動作し、前記ポンプ容量制御シリンダに対する油の供給制御を行うポンプ容量制御弁とを備え、前記操作レバーの操作によって前記油圧シリンダを駆動するようにした油圧駆動装置において、前記パイロット操作弁から前記方向制御弁にパイロット圧を出力するパイロット油路に絞りを設け、前記パイロット操作弁と前記絞りとの間のパイロット油路の圧力を前記ポンプ容量制御弁に対して前記油圧シリンダの負荷圧と同じ方向に作用させ、かつ前記絞りと前記方向制御弁との間の前記パイロット油路の圧力を前記ポンプ容量制御弁に対して前記油圧ポンプの吐出圧力と同じ方向に作用させたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述した油圧駆動装置において、前記絞りは、可変絞りであり、前記油圧シリンダの負荷圧が小さいほど絞りの前後差圧が大きくなるように前記可変絞りの径を変更することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る油圧駆動装置は、ポンプ容量制御シリンダの作動に従って容量が変化する可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプから油圧シリンダに至る油通路に介在し、前記油圧シリンダに対する油の供給制御を行う方向制御弁と、操作レバーの操作量に応じた操作信号を出力することによって前記方向制御弁を動作させる操作信号出力手段と、前記油圧シリンダの負荷圧と前記油圧ポンプの吐出圧力との差圧に従って動作し、前記ポンプ容量制御シリンダに対する油の供給制御を行うポンプ容量制御弁とを備え、前記操作レバーの操作によって前記油圧シリンダを駆動するようにした油圧駆動装置において、前記操作信号出力手段から出力される操作信号に基づいて操作レバーの操作量を検出する操作量検出手段と、前記操作量検出手段の検出した操作レバーの操作量からその時間微分値を算出し、算出した時間微分値の大きさに従って前記油圧ポンプの容量が変化するように前記ポンプ容量制御弁の動作をアシストするアシスト指令を与えるコントローラとを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述した油圧駆動装置において、前記コントローラは、前記油圧シリンダの負荷圧が小さいほど前記ポンプ容量制御弁のアシスト量が大きくなるように前記ポンプ容量制御弁にアシスト指令を与えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パイロット油路に絞りを設け、かつこの絞りの前後の圧力をそれぞれポンプ容量制御弁に作用させているため、操作レバーの操作によってポンプ容量制御弁を迅速に動作させることができ、大型の油圧シリンダを動作させる場合の応答性を確保し、かつ油圧シリンダの負荷圧に応じた容量の油を供給することができる。
【0013】
また、本発明によれば、操作量検出手段の検出した操作レバーの操作量からその時間微分値を算出し、算出した時間微分値の大きさに従って油圧ポンプの容量が変化するようにポンプ容量制御弁の動作をアシストするようにしているため、操作レバーの操作によってポンプ容量制御弁を迅速に動作させることができ、大型の油圧シリンダを動作させる場合の応答性を確保し、かつ油圧シリンダの負荷圧に応じた容量の油を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図である。
【図2】図2は、図1に示した油圧駆動装置において操作レバーの操作量に対するパイロット操作弁からのパイロット圧の変化、油圧ポンプの吐出圧と油圧シリンダの負荷圧との差圧の変化、絞りの前後差圧の変化、ポンプ流量制御弁に作用する圧力の変化、油圧ポンプの流量の変化、油圧シリンダの動作速度の変化を示すタイミングチャートである。
【図3】図3は、従来の油圧駆動装置において操作レバーの操作量に対するパイロット操作弁からのパイロット圧の変化、油圧ポンプの吐出圧と油圧シリンダの負荷圧との差圧の変化、ポンプ流量制御弁に作用する圧力の変化、油圧ポンプの流量の変化、油圧シリンダの動作速度の変化を示すタイミングチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施の形態2であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図である。
【図5】図5は、図4に示した油圧駆動装置に適用する可変絞りの開口面積と油圧シリンダの負荷圧との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、図4に示した油圧駆動装置において操作レバーの操作量に対するパイロット操作弁からのパイロット圧の変化、油圧ポンプの吐出圧と油圧シリンダの負荷圧との差圧の変化、可変絞りの前後差圧の変化、ポンプ流量制御弁に作用する圧力の変化、油圧ポンプの流量の変化、油圧シリンダの動作速度の変化を示すタイミングチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施の形態3であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図である。
【図8】図8は、図7に示した油圧駆動装置のコントローラの処理を示すブロック線図である。
【図9】図9は、図7に示した油圧駆動装置において操作レバーの操作量に対するパイロット操作弁からのパイロット圧の変化、油圧ポンプの吐出圧と油圧シリンダの負荷圧との差圧の変化、コントローラから出力されるアシスト指令の変化、ポンプ流量制御弁に作用する圧力の変化、油圧ポンプの流量の変化、油圧シリンダの動作速度の変化を示すタイミングチャートである。
【図10】図10は、本発明の実施の形態4であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図である。
【図11】図11は、図10に示した油圧駆動装置のコントローラの処理を示すブロック線図である。
【図12】図12は、図10に示した油圧駆動装置において操作レバーの操作量に対するパイロット操作弁からのパイロット圧の変化、油圧ポンプの吐出圧と油圧シリンダの負荷圧との差圧の変化、コントローラから出力されるアシスト指令の変化、ポンプ流量制御弁に作用する圧力の変化、油圧ポンプの流量の変化、油圧シリンダの動作速度の変化を示すタイミングチャートである。
【図13】図13は、本発明の実施の形態5であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図である。
【図14】図14は、図13に示した油圧駆動装置のコントローラの処理を示すブロック線図である。
【図15】図15は、図13に示した油圧駆動装置において操作レバーの操作量に対するパイロット操作弁からのパイロット圧の変化、油圧ポンプの吐出圧と油圧シリンダの負荷圧との差圧の変化、コントローラから出力されるアシスト指令の変化、ポンプ流量制御弁に作用する圧力の変化、油圧ポンプの流量の変化、油圧シリンダの動作速度の変化を示すタイミングチャートである。
【図16】図16は、本発明の実施の形態6であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図である。
【図17】図17は、図16に示した油圧駆動装置のコントローラの処理を示すブロック線図である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態7であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図である。
【図19】図19は、図18に示した油圧駆動装置のコントローラの処理を示すブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る油圧駆動装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図を示したものである。ここで例示する油圧駆動装置は、油圧シリンダ10と、油圧シリンダ10に対して油圧ポンプ20からの油の供給制御を行う方向制御弁30とを備え、操作レバー41を介して方向制御弁30を動作させることにより、油圧シリンダ10の駆動を制御するものである。尚、図には示していないが、この油圧駆動装置には、油圧シリンダ10以外の油圧アクチュエータを駆動するための方向制御弁、操作レバー及びパイロット操作弁が設けてある。
【0017】
方向制御弁30は、操作レバー41の操作に伴ってパイロット操作弁40から出力される操作パイロット圧により動作し、2つのアクチュエータポートa,bに対する供給ポートcとドレンポートdとの接続態様を選択的に切り替えるものである。具体的には、図1に示す中立位置にある場合、方向制御弁30は、2つのアクチュエータポートa,bと、供給ポートc及びドレンポートdとの間を遮断した状態に維持する。この状態から図1中の右方に動作して伸長位置に切り替わると、一方のアクチュエータポートbと供給ポートcとの間を接続するとともに、他方のアクチュエータポートaとドレンポートdとの間を接続する。中立位置から図1中の左方に動作して縮退位置に切り替わると、一方のアクチュエータポートbとドレンポートdとの間を接続するとともに、他方のアクチュエータポートaと供給ポートcとの間を接続した状態となる。
【0018】
方向制御弁30の一方のアクチュエータポートbには、ボトム油路1を通じて油圧シリンダ10のボトム室11が接続してあり、他方のアクチュエータポートaには、ヘッド油路2を通じて油圧シリンダ10のヘッド室12が接続してある。方向制御弁30の供給ポートcには、油圧ポンプ20の吐出口との間を接続する供給油路3が接続してあり、方向制御弁30のドレンポートdには、油タンクTとの間を接続するドレン油路4が接続してある。
【0019】
また、方向制御弁30には、負荷圧出力ポートeが設けてある。負荷圧出力ポートeは、供給ポートcを通じて油圧シリンダ10のヘッド室12に油が供給されている間、並びに供給ポートcを通じて油圧シリンダ10のボトム室11に油が供給されている間、それぞれ油の供給圧を負荷圧として出力するものである。
【0020】
パイロット操作弁40は、操作レバー41のレバー中立位置からの操作量に応じたパイロット圧を、操作レバー41の操作方向に応じたパイロット油路42,43を通じて方向制御弁30の圧力室30a,30bに出力するものである。
【0021】
本実施の形態1では、操作レバー41をレバー中立位置から図1中の矢印A方向に操作した場合、伸長側パイロット油路42を通じてパイロット圧が出力され、方向制御弁30が中立位置から伸長位置に切り替わる。方向制御弁30が伸長位置に切り替わると、油圧シリンダ10のボトム室11に接続されたボトム油路1が、方向制御弁30のアクチュエータポートb及び供給ポートcを介して供給油路3に接続されるとともに、ヘッド室12に接続されたヘッド油路2が方向制御弁30のアクチュエータポートa及びドレンポートdを介してドレン油路4に接続される。
【0022】
これとは逆に、操作レバー41がレバー中立位置から図1中の矢印B方向に操作された場合には、縮退側パイロット油路43を通じてパイロット圧が出力され、方向制御弁30が中立位置から縮退位置に切り替わる。方向制御弁30が縮退位置に切り替わると、油圧シリンダ10のボトム室11に接続されたボトム油路1が方向制御弁30のアクチュエータポートb及びドレンポートdを介してドレン油路4に接続されるとともに、ヘッド室12に接続されたヘッド油路2が方向制御弁30のアクチュエータポートa及び供給ポートcを介して供給油路3に接続されることになる。
【0023】
図1からも明らかなように、伸長側パイロット油路42には、その中間部に絞り44が設けてある。この絞り44は、操作レバー41が操作された場合に伸長側パイロット油路42に出力されるパイロット圧の変化量が大きいほど、その前後に大きな差圧を生じさせるための固定絞りである。
【0024】
油圧ポンプ20は、建設機械に搭載されたエンジンENGによって駆動される可変容量型のもので、ポンプ容量制御ユニット50を備えている。ポンプ容量制御ユニット50は、油圧ポンプ20の斜板角を変更するポンプ容量制御シリンダ51と、ポンプ容量制御シリンダ51に対する油の供給制御を行うポンプ容量制御弁52とを備えて構成したものである。
【0025】
ポンプ容量制御シリンダ51は、ヘッド室51aに復帰バネ51bを内蔵した油圧シリンダであり、ピストンロッド51cが油圧ポンプ20の斜板21に連結してある。本実施の形態1では、ボトム室51dに油を供給した場合に油圧ポンプ20の容量を減少させる方向に斜板21を駆動する一方、ボトム室51dの油を排出した場合に油圧ポンプ20の容量を増大させる方向に斜板21を駆動するようにポンプ容量制御シリンダ51のピストンロッド51cと斜板21との間を連結している。
【0026】
ポンプ容量制御弁52は、油圧ポンプ20の吐出圧と、方向制御弁30の負荷圧出力ポートeに出力される油圧シリンダ10の負荷圧との差圧に応じて切り替え動作するものである。具体的に説明すると、ポンプ容量制御弁52は、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dをタンク圧とする第1位置と、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dに油を供給する第2位置とを備えている。ポンプ容量制御弁52の一方の端部には、ポンプ容量制御弁52が第1位置となる方向に向けて押圧する負荷圧力室52aが設けてあり、他方の端部にはポンプ容量制御弁52が第2位置となる方向に向けて押圧する吐出圧力室52bが設けてある。負荷圧力室52aには、方向制御弁30の負荷圧出力ポートeとの間を接続する負荷圧出力油路5が接続してあり、吐出圧力室52bには、油圧ポンプ20の供給油路3から分岐した吐出圧力出力油路6が接続してある。
【0027】
このポンプ容量制御弁52は、油圧ポンプ20の吐出圧が、油圧シリンダ10の負荷圧+設定バネ52cの押圧力を下回ると、図1に示した第1位置に配置された状態を維持し、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dをタンク圧として油圧ポンプ20の容量を増大させるように機能する。一方、ポンプ容量制御弁52は、油圧ポンプ20の吐出圧が、油圧シリンダ10の負荷圧+設定バネ52cの押圧力を上回ると、第2位置に切り替わり、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dに油を供給することにより、油圧ポンプ20の容量を減少させるように機能する。
【0028】
また、ポンプ容量制御弁52には、両端部にそれぞれアシスト圧力室52d,52eが設けてある。アシスト圧力室52d,52eは、ポンプ容量制御弁52の動作をアシストするための圧力を付与するもので、伸長側パイロット油路42のパイロット圧を供給する個別のアシスト油路45,46が接続してある。一方のアシスト油路45は、伸長側パイロット油路42においてパイロット操作弁40と絞り44との間に位置する部分と、負荷圧力室52aに隣設したアシスト圧力室52dとの間を接続するように設けてある。他方のアシスト油路46は、伸長側パイロット油路42において方向制御弁30と絞り44との間に位置する部分と、吐出圧力室52bに隣設したアシスト圧力室52eとの間を接続するように設けてある。
【0029】
尚、図1中の符号7は油圧ポンプ20の吐出圧と油圧シリンダ10の負荷圧とのバランスによって切り替え動作するアンロード弁、符号8は油圧ポンプ20の吐出圧に基づいて動作するリリーフ弁である。
【0030】
以下、上記のように構成した油圧駆動装置の作用について説明する。操作レバー41が図1に示すレバー中立位置にある場合には、方向制御弁30が図1に示す中立位置に維持されており、2つのアクチュエータポートa,bと、供給ポートc及びドレンポートdとの間が遮断された状態にある。この状態においては、油圧ポンプ20から吐出された油がアンロード弁7のバネ7aに対抗する圧力まで上昇し、アンロード弁7が開放するため油タンクTへと排出される。これにより、油圧ポンプ20の吐出圧力がアンロード弁7の設定圧力となり、この圧力が吐出圧力出力油路6を通じて吐出圧力室52bに加えられる。一方、負荷圧出力油路5を通じて負荷圧力室52aに加えられる圧力はゼロとなる。これらの結果、ポンプ容量制御弁52が第2位置となり、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dに油が供給され、油圧ポンプ20の容量が最小の状態に設定される。
【0031】
この状態から油圧シリンダ10を伸長動作させるべく操作レバー41を図1中の矢印A方向に操作すると、パイロット操作弁40から伸長側パイロット油路42を通じて方向制御弁30にパイロット圧が供給され、方向制御弁30が伸長位置に切り替わる。この結果、油圧シリンダ10のボトム室11に接続されたアクチュエータポートbと供給ポートcとの間が接続されるとともに、ヘッド室12に接続されたアクチュエータポートaとドレンポートdとの間が接続され、油圧ポンプ20から吐出された油によって油圧シリンダ10が伸長動作することになる。
【0032】
油圧シリンダ10に油が供給されると、負荷圧が負荷圧出力ポートeから負荷圧出力油路5に出力されることになり、アンロード弁7が閉じる。さらに、負荷圧力室52aに作用する負荷圧によってポンプ容量制御弁52が第2位置から第1位置となる方向に動作し、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて、油圧ポンプ20の容量が増大する。以降、負荷圧力室52aに導かれた油圧シリンダ10の負荷圧と、吐出圧力室52bに導かれた油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じてポンプ容量制御弁52が適宜動作し、油圧ポンプ20が油圧シリンダ10の負荷圧と油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じた容量に制御される。
【0033】
ここで、ポンプ容量制御弁52を油圧ポンプ20の吐出圧と油圧シリンダ10の負荷圧との差圧によってのみ動作させるようにした場合には、図3のタイミングチャートに示すように、操作レバー41を操作してから油圧ポンプ20の容量が増減するまでに、上述した工程を経る必要があり、油圧シリンダ10の動作に影響を与える恐れがある。
【0034】
すなわち、操作レバー41が矢印A方向(図1参照)に操作された時点(図3(a)のt)から、パイロット操作弁40のパイロット圧が出力され(図3(b))、油圧シリンダ10の負荷圧が上昇して油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧が小さくなる時点(図3(c)のt)までに比較的大きなタイムラグを生じるため、ポンプ容量制御弁52が第1位置に向けて移動を開始して、油圧ポンプ20から吐出される油の流量が増大するまでに比較的長い時間を要する(図3(d)及び図3(e))。ここで、図3(d)に示したポンプ容量制御弁52に働く力は、図1中の右向きに作用する力を正として記載してあり、油圧ポンプ20の吐出圧力と油圧シリンダ10の負荷圧との差圧による力+設定バネ52cの押圧力<0となった時点(図3(d)中のt)から、図3(e)のtに示すように、油圧ポンプ20の容量が増加する。従って、図3(f)に示すように、操作レバー41の操作量を増加させた時点tから油圧シリンダ10の速度の上昇が始まる時点tまでの時間も長くなる。特に、建設機械に適用される油圧シリンダ10は、大型に構成されたものが多いため、伸長するまでに大流量の油が必要となる。
【0035】
同様に、操作レバー41がレバー中立位置へ向けて矢印B方向(図1参照)に操作された時点(図3(a)のt)から、パイロット操作弁40のパイロット圧が減少し(図3(b))、油圧シリンダ10の負荷圧が下降して油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧が大きくなる時点(図3(c)のt)までに比較的大きなタイムラグが生じるため、ポンプ容量制御弁52が第2位置に向けて移動を開始して、油圧ポンプ20から吐出される油の流量が減少するまでに比較的長い時間を要する(図3(d)及び図3(e))。これにより、図3(f)に示すように、操作レバー41の操作量を減少させた時点から油圧シリンダ10の速度の低下が始まるまでの時間も長くなる(図3(f)のt〜t)。
【0036】
こうした操作レバー41と油圧シリンダ10との間の動作のタイムラグは、操作者に対して違和感を与えることになる。しかしながら、上述した油圧駆動装置では、伸長側パイロット油路42に絞り44を設け、かつこの絞り44の前後の圧力をそれぞれポンプ容量制御弁52に設けたアシスト圧力室52d,52eに作用させるようにしている。この絞り44の前後差圧は、操作レバー41を操作する際の変化量が大きいほど大きなものとなる。従って、操作レバー41を素早く操作した場合、絞り44の前後に生じる圧力差も大きなものとなり、図2のタイミングチャートに示すように、ポンプ容量制御弁52を迅速に動作させることができる。
【0037】
すなわち、操作レバー41が矢印A方向(図1参照)へ操作され(図2(a)のt)、パイロット操作弁40からパイロット圧の出力が開始されると(図2(b))、絞り44の前後に差圧が生じ(図2(d)のt)、油圧シリンダ10の負荷圧が上昇して油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧が小さくなる以前においても(図2(c)のt〜t)、油圧ポンプ20の吐出圧力と油圧シリンダ10の負荷圧との差圧による力+設定バネ52cの押圧力+絞り44の前後差圧による力<0となった時点(図2(e)のt)からポンプ容量制御弁52を第1位置へ向けて動作させる力となって作用することになる。これにより、油圧シリンダ10の負荷圧が作用する以前に油圧ポンプ20の容量を増大させることができるようになる(図2(e)及び図2(f)のt)。尚、図2(e)に示したポンプ容量制御弁52に働く力は、図1中の右向きに作用する力を正として記載してある。図2(d)のtにおいて発生した絞り44の前後差圧は、ポンプ容量制御弁52に対して左方向に作用するものであるため、図2(e)においては上下を反転した形で記載してある。
【0038】
より具体的に説明すると、油圧シリンダ10を伸長動作させるべく図1中の矢印A方向に操作レバー41を操作すると、図2(b)に示すように、パイロット操作弁40から出力されるパイロット圧によって伸長側パイロット油路42の圧力が急激に上昇し、絞り44の上流側となるパイロット操作弁40と絞り44との間の圧力が、絞り44の下流側となる絞り44と方向制御弁30との間の圧力よりも高くなって差圧を生じる(図2(d)のt)。従って、ポンプ容量制御弁52が第2位置から第1位置に向けて迅速に動作し(図2(e)のt)、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて油圧ポンプ20の容量が増大されることになる(図2(f)のt)。これにより、操作レバー41を操作してから実際に油圧シリンダ10が伸長方向に移動を始めるまでのタイムラグを小さくし(図2(g)のt〜t→t〜t)、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。
【0039】
上述した作用効果は、油圧シリンダ10のボトム室11に供給する油の流量を増大させる場合ばかりでなく、ボトム室11に供給する油の流量を減少させ、油圧シリンダ10の動作速度を低減する場合にも同様に機能する。すなわち、操作レバー41がレバー中立位置へ向けて矢印B方向(図1参照)に操作されると(図2(a)のt)、パイロット操作弁40から伸長側パイロット油路42に出力されるパイロット圧が減少するため(図2(b))、絞り44の前後に差圧が生じ(図2(d)のt)、油圧シリンダ10の負荷圧が下降して油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧が大きくなる以前においても(図2(c)のt〜t)、油圧ポンプ20の吐出圧力と油圧シリンダ10の負荷圧との差圧による力+設定バネ52cの押圧力+絞り44の前後差圧による力>0となった時点でポンプ容量制御弁52が動作し、油圧シリンダ10の負荷圧が減少する以前に油圧ポンプ20の容量を減少させることができるようになる(図2(e)及び図2(f)のt)。
【0040】
より具体的には、図1中の矢印A方向への操作量を減少させるように操作レバー41をレバー中立位置まで矢印B方向に操作すると、図2(b)に示すように、絞り44の下流側となるパイロット操作弁40と絞り44との間の圧力が、絞り44の上流側となる絞り44と方向制御弁30との間の圧力よりも低くなって差圧を生じる(図2(d)のt)。従って、ポンプ容量制御弁52が第1位置から第2位置に向けて迅速に動作し(図2(e)のt)、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが昇圧されるため、油圧ポンプ20の容量が減少されることになる(図2(f)のt)。これにより、操作レバー41を操作してから実際に油圧シリンダ10の動作速度が低下するまでのタイムラグを小さくし(図2(g)のt〜t→t〜t)、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。
【0041】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図を示したものである。ここで例示する油圧駆動装置は、実施の形態1と同様、建設機械において油圧シリンダ10の駆動を制御するもので、実施の形態1とは、伸長側パイロット油路に設ける絞りの構成が異なっている。以下、実施の形態1と異なる部分について詳細に説明し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0042】
図4に示すように、実施の形態2の油圧駆動装置では、伸長側パイロット油路42の中間部に可変絞り144が設けてある。この可変絞り144は、油圧シリンダ10の負荷圧に応じて開口面積が変化するように動作するものである。具体的には、図5に示すように、負荷圧出力油路5から分岐した負荷圧出力分岐油路5aを可変絞り144の圧力室144aに接続し、油圧シリンダ10の負荷圧が大きいほど、可変絞り144の開口面積が大きくなるように構成してある。
【0043】
以下、上記のように構成した油圧駆動装置の作用について説明する。操作レバー41が図4に示すレバー中立位置にある場合には、方向制御弁30が図4に示す中立位置に維持されており、2つのアクチュエータポートa,bと、供給ポートc及びドレンポートdとの間が遮断された状態にある。この状態においては、油圧ポンプ20から吐出された油がアンロード弁7のバネ7aに対抗する圧力まで上昇し、アンロード弁7が開放するため油タンクTへと排出される。これにより、油圧ポンプ20の吐出圧力がアンロード弁7の設定圧力となり、この圧力が吐出圧力出力油路6を通じて吐出圧力室52bに加えられる。一方、負荷圧出力油路5を通じて負荷圧力室52aに加えられる圧力はゼロとなる。これらの結果、ポンプ容量制御弁52が第2位置となり、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dに油が供給され、油圧ポンプ20の容量が最小の状態に設定される。
【0044】
この状態から油圧シリンダ10を伸長動作させるべく操作レバー41を図4中の矢印A方向に操作すると、パイロット操作弁40から伸長側パイロット油路42を通じて方向制御弁30にパイロット圧が供給され、方向制御弁30が伸長位置に切り替わる。この結果、油圧シリンダ10のボトム室11に接続されたアクチュエータポートbと供給ポートcとの間が接続されるとともに、ヘッド室12に接続されたアクチュエータポートaとドレンポートdとの間が接続され、油圧ポンプ20から吐出された油によって油圧シリンダ10が伸長動作することになる。
【0045】
油圧シリンダ10に油が供給されると、負荷圧が負荷圧出力ポートeから負荷圧出力油路5に出力されることになり、アンロード弁7が閉じる。さらに、負荷圧力室52aに作用する負荷圧によってポンプ容量制御弁52が第2位置から第1位置となる方向に動作し、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて、油圧ポンプ20の容量が増大する。以降、負荷圧力室52aに導かれた油圧シリンダ10の負荷圧と、吐出圧力室52bに導かれた油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じてポンプ容量制御弁52が適宜動作し、油圧ポンプ20が油圧シリンダ10の負荷圧と油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じた容量に制御される。
【0046】
ここで、この実施の形態2の油圧駆動装置においても、伸長側パイロット油路42に可変絞り144を設け、かつこの可変絞り144の前後の圧力をそれぞれポンプ容量制御弁52に設けたアシスト圧力室52d,52eに作用させるようにしているため、操作レバー41を素早く操作した場合、可変絞り144の前後に生じる圧力差も大きなものとなり、図6のタイミングチャートに示すように、ポンプ容量制御弁52を迅速に動作させることができる。
【0047】
すなわち、操作レバー41が矢印A方向(図4参照)へ操作され(図6(a)のt)、パイロット操作弁40からパイロット圧の出力が開始されると(図6(b))、可変絞り144の前後に差圧が生じ(図6(d)のt)、油圧シリンダ10の負荷圧が上昇して油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧が小さくなる以前においても(図6(c)のt〜t)、油圧ポンプ20の吐出圧力と油圧シリンダ10の負荷圧との差圧による力+設定バネ52cの押圧力+可変絞り144の前後差圧による力<0となった時点(図6(e)のt,t3′)からポンプ容量制御弁52が第1位置へ向けて動作し(図6(e))、油圧シリンダ10の負荷圧が作用する以前に油圧ポンプ20の容量を増大させることができるようになる(図6(f)のt,t3′)。尚、図6(e)に示したポンプ容量制御弁52に働く力は、図4中の右向きに作用する力を正として記載してある。図6(d)のtにおいて発生した可変絞り144の前後差圧は、ポンプ容量制御弁52に対して左向きに作用するものであるため、図6(e)において上下を反転した形で記載してある。
【0048】
より具体的に説明すると、油圧シリンダ10を伸長動作させるべく図4中の矢印A方向に操作レバー41を操作すると、図6(b)に示すように、パイロット操作弁40から出力されるパイロット圧によって伸長側パイロット油路42の圧力が急激に上昇し、可変絞り144の上流側となるパイロット操作弁40と可変絞り144との間の圧力が、可変絞り144の下流側となる可変絞り144と方向制御弁30との間の圧力よりも高くなって差圧を生じる(図6(d)のt)。この結果、ポンプ容量制御弁52が第2位置から第1位置に向けて迅速に動作し(図6(e)のt,t3′)、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて油圧ポンプ20の容量が増大されることになる(図6(f)のt,t3′)。これにより、操作レバー41を操作してから実際に油圧シリンダ10が伸長動作するまでのタイムラグを小さくし(図6(g)のt〜t→t〜t,t〜t3′)、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。
【0049】
しかも、上述の油圧駆動装置によれば、油圧シリンダ10の負荷圧が大きいほど、可変絞り144の開口面積が増大するため、図6(d)の二点鎖線で示すように、前後差圧が小さくなる。従って、油圧シリンダ10の負荷圧が大きい場合には、操作レバー41を素早く操作しても、図6(f)中の二点鎖線で示すように、油圧ポンプ20の容量増大率が小さくなり、図6(g)中の二点鎖線で示すように、油圧シリンダ10の伸長方向の移動も緩やかとなるため、急激に動作する事態を招来する恐れがない。
【0050】
さらに、上述した作用効果は、油圧シリンダ10のボトム室11に供給する油の流量を増大させる場合ばかりでなく、ボトム室11に供給する油の流量を減少させ、油圧シリンダ10の動作速度を低減する場合にも同様に機能する。すなわち、図4中の矢印A方向への操作量を減少させると(図6(a)のt)、パイロット操作弁40から伸長側パイロット油路42に出力されるパイロット圧が減少するため(図6(b))、可変絞り144の前後に差圧が生じ(図6(d)のt)、油圧シリンダ10の負荷圧が下降して油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧が大きくなる以前においても(図6(c)のt〜t)、油圧ポンプ20の吐出圧力と油圧シリンダ10の負荷圧との差圧による力+設定バネ52cの押圧力+可変絞り144の前後差圧による力>0となった時点でポンプ容量制御弁52が動作し(図6(e))、油圧シリンダ10の負荷圧が減少する以前に油圧ポンプ20の容量を減少させることができるようになる(図6(e)及び図6(f)のt)。これにより、操作レバー41を操作してから実際に油圧シリンダ10の動作速度が低下を開始するまでのタイムラグを小さくし(図6(g)のt〜t→t〜t)、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。この場合においても、油圧シリンダ10の負荷圧が大きいほど、可変絞り144の開口面積が増大するため、図6(d)の一点鎖線で示すように、前後差圧が小さくなる。従って、油圧シリンダ10の負荷圧が大きい場合には、操作レバー41を素早く操作しても、図6(f)中の一点鎖線で示すように、油圧ポンプ20の容量減少率が小さくなり、図6(g)中の一点鎖線で示すように、油圧シリンダ10の伸長動作も緩やかとなるため、急激に動作する事態を招来する恐れがない。
【0051】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図を示したものである。ここで例示する油圧駆動装置は、実施の形態1と同様、建設機械において油圧シリンダ10の駆動を制御するもので、実施の形態1とは、ポンプ容量制御弁の構成及びポンプ容量制御弁をアシストする構成が異なっている。以下、実施の形態1と異なる部分について詳細に説明し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0052】
図7に示すように、実施の形態3の油圧駆動装置では、伸長側パイロット油路42の中間部に圧力センサ244が設けてある。圧力センサ244は、操作レバー41が操作された場合に伸長側パイロット油路42に出力されるパイロット圧を検出し、その検出結果をコントローラ60に出力するものである。
【0053】
コントローラ60は、図8に示すように、圧力センサ244の検出したパイロット圧に基づいてその時間微分値を算出するとともに、算出した時間微分値に予め設定した比例定数k1を乗じた値をアシスト量として算出する。さらに、コントローラ60は、予め設定したアシスト量に対応する電流値を設定し、これをアシスト指令としてポンプ容量制御弁252のアシスト用電磁ソレノイド252fに出力する。図8に示すように、アシスト量に対応する電流値は、アシスト方向の正負に関わらず常に正の値、つまりポンプ容量制御弁252を常に図7において左向きに押す力となるように予め設定してある。
【0054】
ポンプ容量制御弁252は、ポンプ容量制御シリンダ51とともに油圧ポンプ20のポンプ容量制御ユニット250を構成するものである。このポンプ容量制御弁252は、油圧ポンプ20の吐出圧と、方向制御弁30の負荷圧出力ポートeに出力される油圧シリンダ10の負荷圧との差圧に応じて切り替え動作し、ポンプ容量制御シリンダ51に対する油の供給制御を行う。具体的に説明すると、ポンプ容量制御弁252は、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dをタンク圧とする第1位置と、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dに油を供給する第2位置とを備えている。ポンプ容量制御弁252の一方の端部には、ポンプ容量制御弁252が第1位置となる方向に向けて押圧する負荷圧力室252aが設けてあり、他方の端部にはポンプ容量制御弁252が第2位置となる方向に向けて押圧する吐出圧力室252bが設けてある。負荷圧力室252aには、方向制御弁30の負荷圧出力ポートeとの間を接続する負荷圧出力油路5が接続してあり、吐出圧力室252bには、油圧ポンプ20の供給油路3から分岐した吐出圧力出力油路6が接続してある。
【0055】
また、ポンプ容量制御弁252には、負荷圧力室252aに隣設してアシスト用電磁ソレノイド252fが設けてある。アシスト用電磁ソレノイド252fは、アシスト指令が与えられた場合に、これに含まれる電流値の大きさに応じてポンプ容量制御弁252を任意の方向に動作させるものである。
【0056】
以下、上記のように構成した油圧駆動装置の作用について説明する。操作レバー41が図7に示すレバー中立位置にある場合には、方向制御弁30が図7に示す中立位置に維持されており、2つのアクチュエータポートa,bと、供給ポートc及びドレンポートdとの間が遮断された状態にある。この状態においては、油圧ポンプ20から吐出された油がアンロード弁7のバネ7aに対抗する圧力まで上昇し、アンロード弁7が開放するため油タンクTへと排出される。これにより、油圧ポンプ20の吐出圧力がアンロード弁7の設定圧力となり、この圧力が吐出圧力出力油路6を通じて吐出圧力室252bに加えられる。一方、負荷圧出力油路5を通じて負荷圧力室252aに加えられる圧力はゼロとなる。これらの結果、ポンプ容量制御弁252が第2位置となり、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dに油が供給され、油圧ポンプ20の容量が最小の状態に設定される。
【0057】
この状態から油圧シリンダ10を伸長動作させるべく操作レバー41を図7中の矢印A方向に操作すると、パイロット操作弁40から伸長側パイロット油路42を通じて方向制御弁30にパイロット圧が供給され、方向制御弁30が伸長位置に切り替わる。この結果、油圧シリンダ10のボトム室11に接続されたアクチュエータポートbと供給ポートcとの間が接続されるとともに、ヘッド室12に接続されたアクチュエータポートaとドレンポートdとの間が接続され、油圧ポンプ20から吐出された油によって油圧シリンダ10が伸長動作することになる。
【0058】
油圧シリンダ10に油が供給されると、負荷圧が負荷圧出力ポートeから負荷圧出力油路5に出力されることになり、アンロード弁7が閉じる。さらに、負荷圧力室252aに作用する負荷圧によってポンプ容量制御弁252が第2位置から第1位置となる方向に動作し、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて、油圧ポンプ20の容量が増大する。以降、負荷圧力室252aに導かれた油圧シリンダ10の負荷圧と、吐出圧力室252bに導かれた油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じてポンプ容量制御弁252が適宜動作し、油圧ポンプ20が油圧シリンダ10の負荷圧と油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じた容量に制御される。
【0059】
ここで、この実施の形態3の油圧駆動装置においては、伸長側パイロット油路42に設けた圧力センサ244の検出結果からパイロット圧の時間微分値を算出し、時間微分値に応じた大きさのアシスト指令をコントローラ60からポンプ容量制御弁252のアシスト用電磁ソレノイド252fに出力するようにしているため、操作レバー41を素早く操作した場合、図9のタイミングチャートに示すように、コントローラ60によってポンプ容量制御弁252が動作されることになる。
【0060】
すなわち、操作レバー41が矢印A方向(図7参照)へ操作され(図9(a)のt)、パイロット操作弁40から出力されるパイロット圧が上昇すると(図9(b))、パイロット圧の変化量に応じたアシスト指令がコントローラ60からポンプ容量制御弁252に出力され(図9(d)のt〜t)、油圧シリンダ10の負荷圧が上昇して油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧が小さくなる以前においても(図9(c)のt〜t)、油圧ポンプ20の容量を増大させることができるようになる(図9(f)のt)。
【0061】
より具体的には、油圧シリンダ10を伸長動作させるべく図7中の矢印A方向に操作レバー41を操作すると、図9(b)に示すように、パイロット操作弁40から出力されるパイロット圧によって伸長側パイロット油路42の圧力が急激に上昇し、パイロット圧の変化量に応じたアシスト指令がコントローラ60からポンプ容量制御弁252に出力される(図9(d)のt)。従って、ポンプ容量制御弁252が第2位置から第1位置に向けて迅速に動作し(図9(e)のt)、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて油圧ポンプ20の容量が増大されることになる(図9(f)のt)。これにより、操作レバー41を操作してから実際に油圧シリンダ10が伸長動作するまでのタイムラグを小さくし(図9(g)のt〜t→t〜t)、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。尚、図9(e)に示したポンプ容量制御弁252に働く力は、図7中において右向きに作用する力を正として記載してある。図9(d)のtにおいて出力されたアシスト指令は、上述したように、ポンプ容量制御弁252を常に図7において左向きに押す力となるものであるため、図9(e)においては上下を反転した形で記載してある。
【0062】
さらに、上述した作用効果は、油圧シリンダ10のボトム室11に供給する油の流量を増大させる場合ばかりでなく、ボトム室11に供給する油の流量を減少させ、油圧シリンダ10の動作速度を低減する場合にも同様に機能する。すなわち、図7中の矢印A方向への操作量を減少させると(図9(a)のt)、パイロット操作弁40から伸長側パイロット油路42に出力されるパイロット圧が減少するため(図9(b))、パイロット圧の変化量に応じたアシスト指令がコントローラ60からポンプ容量制御弁252に出力され(図9(d)のt〜t)、油圧シリンダ10の負荷圧が下降して油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧が大きくなる以前においても(図9(c)のt〜t)、油圧ポンプ20の容量を減少させることができるようになる(図9(f)のt)。これにより、操作レバー41を操作してから実際に油圧シリンダ10の動作速度が低下を開始するまでのタイムラグを小さくし(図9(g)のt〜t→t〜t)、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。
【0063】
(実施の形態4)
図10は、本発明の実施の形態4であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図を示したものである。ここで例示する油圧駆動装置は、実施の形態3と同様、建設機械において油圧シリンダ10の駆動を制御するもので、実施の形態3とは、ポンプ容量制御弁をアシストする構成が異なっている。以下、実施の形態3と異なる部分について詳細に説明し、実施の形態3と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0064】
図10に示すように、実施の形態4の油圧駆動装置では、方向制御弁30の負荷圧出力ポートeに接続された負荷圧出力油路5に負荷圧力センサ245が設けてある。負荷圧力センサ245は、負荷圧出力油路5に出力される油圧シリンダ10の負荷圧を検出し、その検出結果をコントローラ260に出力するものである。
【0065】
コントローラ260は、図11に示すように、圧力センサ244の検出したパイロット圧に基づいてその時間微分値を算出し、算出した時間微分値に予め設定した比例定数k2を乗じた値と、負荷圧力センサ245の検出した油圧シリンダ10の負荷圧に基づいて設定したアシスト率との積をアシスト量として算出する。さらに、コントローラ260は、予め設定したアシスト量に対応する電流値を設定し、これをアシスト指令としてポンプ容量制御弁252のアシスト用電磁ソレノイド252fに出力する。アシスト量に対応する電流値は、アシスト方向の正負に関わらず常に正の値、つまりポンプ容量制御弁252を常に図10において左向きに押す力となるように予め設定してある。また、コントローラ260が設定するアシスト率は、油圧シリンダ10の負荷圧がゼロの場合に1となり、以降、負荷圧が増大するほど減少する無次元数である。
【0066】
以下、上記のように構成した油圧駆動装置の作用について説明する。操作レバー41が図10に示すレバー中立位置にある場合には、方向制御弁30が図10に示す中立位置に維持されており、2つのアクチュエータポートa,bと、供給ポートc及びドレンポートdとの間が遮断された状態にある。この状態においては、油圧ポンプ20から吐出された油がアンロード弁7のバネ7aに対抗する圧力まで上昇し、アンロード弁7が開放するため油タンクTへと排出される。これにより、油圧ポンプ20の吐出圧力がアンロード弁7の設定圧力となり、この圧力が吐出圧力出力油路6を通じて吐出圧力室252bに加えられる。一方、負荷圧出力油路5を通じて負荷圧力室252aに加えられる圧力はゼロとなる。これらの結果、ポンプ容量制御弁252が第2位置となり、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dに油が供給され、油圧ポンプ20の容量が最小の状態に設定される。
【0067】
この状態から油圧シリンダ10を伸長動作させるべく操作レバー41を図10中の矢印A方向に操作すると、パイロット操作弁40から伸長側パイロット油路42を通じて方向制御弁30にパイロット圧が供給され、方向制御弁30が伸長位置に切り替わる。この結果、油圧シリンダ10のボトム室11に接続されたアクチュエータポートbと供給ポートcとの間が接続されるとともに、ヘッド室12に接続されたアクチュエータポートaとドレンポートdとの間が接続され、油圧ポンプ20から吐出された油によって油圧シリンダ10が伸長動作することになる。
【0068】
油圧シリンダ10に油が供給されると、負荷圧が負荷圧出力ポートeから負荷圧出力油路5に出力されることになり、アンロード弁7が閉じる。さらに、負荷圧力室252aに作用する負荷圧によってポンプ容量制御弁252が第2位置から第1位置となる方向に動作し、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて、油圧ポンプ20の容量が増大する。以降、負荷圧力室252aに導かれた油圧シリンダ10の負荷圧と、吐出圧力室252bに導かれた油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じてポンプ容量制御弁252が適宜動作し、油圧ポンプ20が油圧シリンダ10の負荷圧と油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じた容量に制御される。
【0069】
ここで、この実施の形態4の油圧駆動装置においては、伸長側パイロット油路42に設けた圧力センサ244の検出結果からパイロット圧の時間微分値を算出し、時間微分値に応じた大きさのアシスト指令をコントローラ260からポンプ容量制御弁252のアシスト用電磁ソレノイド252fに出力するようにしているため、操作レバー41を素早く操作した場合、図12のタイミングチャートに示すように、コントローラ260によってポンプ容量制御弁252が動作されることになる。
【0070】
すなわち、操作レバー41が矢印A方向(図10参照)へ操作され(図12(a)のt)、パイロット操作弁40から出力されるパイロット圧が上昇すると(図12(b))、パイロット圧の変化量に応じたアシスト指令がコントローラ260からポンプ容量制御弁252に出力され(図12(d)のt〜t)、油圧シリンダ10の負荷圧が上昇して油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧が小さくなる以前においても(図12(c)のt〜t)、油圧ポンプ20の容量を増大させることができるようになる(図12(f)のt,t3′)。
【0071】
より具体的には、油圧シリンダ10を伸長動作させるべく図10中の矢印A方向に操作レバー41を操作すると、図12(b)に示すように、パイロット操作弁40から出力されるパイロット圧によって伸長側パイロット油路42の圧力が急激に上昇し、パイロット圧の変化量に応じたアシスト指令がコントローラ260からポンプ容量制御弁252に出力される(図12(d)のt)。従って、ポンプ容量制御弁252が第2位置から第1位置に向けて迅速に動作し(図12(e)のt,t3′)、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて油圧ポンプ20の容量が増大されることになる(図12(f)のt,t3′)。これにより、操作レバー41を操作してから実際に油圧シリンダ10が伸長動作するまでのタイムラグを小さくし(図12(g)のt〜t→t〜t,t〜t3′)、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。
【0072】
しかも、上述の油圧駆動装置によれば、油圧シリンダ10の負荷圧が大きいほど、アシスト率が減少するため、図12(d)に示すように、コントローラ260からアシスト用電磁ソレノイド252fに出力されるアシスト指令の電流値が小さくなる。従って、油圧シリンダ10の負荷圧が大きい場合には、操作レバー41を素早く操作しても、油圧ポンプ20の容量増大率が小さくなり(図12(f)中の二点鎖線)、油圧シリンダ10の伸長動作も緩やかとなるため(図12(g)中の二点鎖線)、急激に動作する事態を招来する恐れがない。
【0073】
さらに、上述した作用効果は、油圧シリンダ10のボトム室11に供給する油の流量を増大させる場合ばかりでなく、ボトム室11に供給する油の流量を減少させ、油圧シリンダ10の動作速度を低減する場合にも同様に機能する。すなわち、図10中の矢印A方向への操作量を減少させると(図12(a)のt)、パイロット操作弁40から伸長側パイロット油路42に出力されるパイロット圧が減少するため(図12(b))、パイロット圧の変化量に応じたアシスト指令がコントローラ260からポンプ容量制御弁252に出力され(図12(d)のt〜t)、油圧シリンダ10の負荷圧が下降して油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧が大きくなる以前においても(図12(c)のt〜t)、油圧ポンプ20の容量を減少させることができるようになる(図12(f)のt)。これにより、操作レバー41を操作してから実際に油圧シリンダ10の動作速度が低下するまでのタイムラグを小さくし(図12(g)のt〜t→t〜t)、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。この場合においても、油圧シリンダ10の負荷圧が大きいほど、図12(d)中の一点鎖線に示すように、コントローラ260からアシスト用電磁ソレノイド252fに出力されるアシスト指令の電流値が小さくなるため、油圧シリンダ10の負荷圧が大きい場合、操作レバー41を素早く操作しても、図12(f)中の一点鎖線に示すように、油圧ポンプ20の容量減少率が小さくなり、図12(g)中の一点鎖線に示すように、油圧シリンダ10の伸長動作も緩やかとなるため、急激に動作する事態を招来する恐れがない。
【0074】
(実施の形態5)
図13は、本発明の実施の形態5であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図を示したものである。ここで例示する油圧駆動装置は、実施の形態3と同様、建設機械において油圧シリンダ10の駆動を制御するもので、実施の形態3とは、ポンプ容量制御弁及びコントローラの構成が異なっている。以下、実施の形態3と異なる部分について詳細に説明し、実施の形態3と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0075】
図13に示すように、実施の形態5の油圧駆動装置では、伸長側パイロット油路42の中間部に圧力センサ244が設けてある。圧力センサ244は、操作レバー41が操作された場合に伸長側パイロット油路42に出力されるパイロット圧を検出し、その検出結果をコントローラ360に出力するものである。
【0076】
ポンプ容量制御弁352は、ポンプ容量制御シリンダ51とともに油圧ポンプ20のポンプ容量制御ユニット350を構成するものである。このポンプ容量制御弁352は、油圧ポンプ20の吐出圧と、方向制御弁30の負荷圧出力ポートeに出力される油圧シリンダ10の負荷圧との差圧に応じて切り替え動作し、ポンプ容量制御シリンダ51に対する油の供給制御を行うものである。具体的に説明すると、ポンプ容量制御弁352は、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dをタンク圧とする第1位置と、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dに油を供給する第2位置とを備えている。ポンプ容量制御弁352の一方の端部には、ポンプ容量制御弁352が第1位置となる方向に向けて押圧する負荷圧力室352aが設けてあり、他方の端部にはポンプ容量制御弁352が第2位置となる方向に向けて押圧する吐出圧力室352bが設けてある。負荷圧力室352aには、方向制御弁30の負荷圧出力ポートeとの間を接続する負荷圧出力油路5が接続してあり、吐出圧力室352bには、油圧ポンプ20の供給油路3から分岐した吐出圧力出力油路6が接続してある。
【0077】
また、ポンプ容量制御弁352には、負荷圧力室352a及び吐出圧力室352bのそれぞれに隣設してアシスト用電磁ソレノイド352f,352gが設けてある。アシスト用電磁ソレノイド352f,352gは、アシスト指令が与えられた場合に、それに含まれる電流値の大きさに応じてポンプ容量制御弁352を互いに反対方向に向けて押圧動作させるものである。以下、2つのアシスト用電磁ソレノイドを区別するため、負荷圧力室352aに隣設したものを「第1ソレノイド352f」と称し、吐出圧力室352bに隣設したものを「第2ソレノイド352g」と称する。
【0078】
コントローラ360は、図14に示すように、圧力センサ244の検出したパイロット圧に基づいてその時間微分値を算出するとともに、算出した時間微分値に予め設定した比例定数k3を乗じた値をアシスト量として算出する。さらに、コントローラ360は、予め設定したアシスト量に対応する電流値を設定する。アシスト量に対応する電流値は、アシスト方向の正負に応じて正負の値となるように予め設定してある。設定した電流値がゼロ以上である場合、コントローラ360は、これを第1ソレノイド352fに対するアシスト指令として出力する。これに対して設定した電流値がゼロ未満である場合、コントローラ360は、電流値を正の値に変換した後、これを第2ソレノイド352gに対するアシスト指令として出力する。
【0079】
以下、上記のように構成した油圧駆動装置の作用について説明する。操作レバー41が図13に示すレバー中立位置にある場合には、方向制御弁30が図13に示す中立位置に維持されており、2つのアクチュエータポートa,bと、供給ポートc及びドレンポートdとの間が遮断された状態にある。この状態においては、油圧ポンプ20から吐出された油がアンロード弁7のバネ7aに対抗する圧力まで上昇し、アンロード弁7が開放するため油タンクTへと排出される。これにより、油圧ポンプ20の吐出圧力がアンロード弁7の設定圧力となり、この圧力が吐出圧力出力油路6を通じて吐出圧力室352bに加えられる。一方、負荷圧出力油路5を通じて負荷圧力室352aに加えられる圧力はゼロとなる。これらの結果、ポンプ容量制御弁352が第2位置となり、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dに油が供給され、油圧ポンプ20の容量が最小の状態に設定される。
【0080】
この状態から油圧シリンダ10を伸長動作させるべく操作レバー41を図13中の矢印A方向に操作すると、パイロット操作弁40から伸長側パイロット油路42を通じて方向制御弁30にパイロット圧が供給され、方向制御弁30が伸長位置に切り替わる。この結果、油圧シリンダ10のボトム室11に接続されたアクチュエータポートbと供給ポートcとの間が接続されるとともに、ヘッド室12に接続されたアクチュエータポートaとドレンポートdとの間が接続され、油圧ポンプ20から吐出された油によって油圧シリンダ10が伸長動作することになる。
【0081】
油圧シリンダ10に油が供給されると、負荷圧が負荷圧出力ポートeから負荷圧出力油路5に出力されることになり、アンロード弁7が閉じる。さらに、負荷圧力室352aに作用する負荷圧によってポンプ容量制御弁352が第2位置から第1位置となる方向に動作し、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて、油圧ポンプ20の容量が増大する。以降、負荷圧力室352aに導かれた油圧シリンダ10の負荷圧と、吐出圧力室352bに導かれた油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じてポンプ容量制御弁352が適宜動作し、油圧ポンプ20が油圧シリンダ10の負荷圧と油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じた容量に制御される。
【0082】
ここで、この実施の形態5の油圧駆動装置においては、伸長側パイロット油路42に設けた圧力センサ244の検出結果からパイロット圧の時間微分値を算出し、時間微分値に応じた大きさのアシスト指令をコントローラ360からポンプ容量制御弁352の対応するアシスト用電磁ソレノイド352f,352gに出力するようにしているため、操作レバー41を操作した場合、図15のタイミングチャートに示すように、コントローラ360によってポンプ容量制御弁352が動作されることになる。
【0083】
すなわち、操作レバー41が矢印A方向(図13参照)へ操作され(図15(a)のt)、パイロット操作弁40から出力されるパイロット圧が上昇すると(図15(b))、パイロット圧の変化量に応じたアシスト指令がコントローラ360からポンプ容量制御弁352に出力され(図15(d)のt〜t)、油圧シリンダ10の負荷圧が上昇して油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧が小さくなる以前においても(図15(c)のt〜t)、油圧ポンプ20の容量を増大させることができるようになる(図15(f)のt)。
【0084】
より具体的には、油圧シリンダ10を伸長動作させるべく図13中の矢印A方向に操作レバー41を操作すると、図15(b)に示すように、パイロット操作弁40から出力されるパイロット圧が急激に上昇し、パイロット圧の変化量に応じたアシスト指令がコントローラ360からポンプ容量制御弁352に出力される(図15(d)のt)。従って、ポンプ容量制御弁352が第2位置から第1位置に向けて迅速に動作し(図15(e)のt)、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて油圧ポンプ20の容量が増大されることになる(図15(f)のt)。これにより、操作レバー41を操作してから実際に油圧シリンダ10が伸長動作するまでのタイムラグを小さくし(図15(g)のt〜t→t〜t)、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。
【0085】
さらに、上述した作用効果は、油圧シリンダ10のボトム室11に供給する油の流量を増大させる場合ばかりでなく、ボトム室11に供給する油の流量を減少させ、油圧シリンダ10の動作速度を低減する場合にも同様に機能する。すなわち、図13中の矢印A方向への操作量を減少させると(図15(a)のt)、パイロット操作弁40から伸長側パイロット油路42に出力されるパイロット圧が減少するため(図15(b))、パイロット圧の変化量に応じたアシスト指令がコントローラ360からポンプ容量制御弁352に出力され(図15(d)のt〜t)、油圧シリンダ10の負荷圧が下降して油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧が大きくなる以前においても(図15(c)のt〜t)、油圧ポンプ20の容量を減少させることができるようになる(図15(f)のt)。これにより、操作レバー41を操作してから実際に油圧シリンダ10の動作速度が低下するまでのタイムラグを小さくし(図15(g)のt〜t→t〜t)、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。
【0086】
(実施の形態6)
図16は、本発明の実施の形態6であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図を示したものである。ここで例示する油圧駆動装置は、実施の形態3と同様、建設機械において油圧シリンダ10の駆動を制御するもので、実施の形態3とは、操作レバー、コントローラの構成及び方向制御弁が異なっている。以下、実施の形態3と異なる部分について詳細に説明し、実施の形態3と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0087】
操作レバー141は、ポテンショメータ140を介して操作電気信号を出力するものである。ポテンショメータ140は、操作レバー141がレバー中立位置から操作された場合、その操作量に応じた操作電気信号を、操作レバー141の操作方向に応じた方向制御弁130の電磁ソレノイド130a,130b及びコントローラ460に出力するものである。
【0088】
コントローラ460は、操作レバー141の操作に伴うポテンショメータ140からの操作電気信号に基づいて方向制御弁130を動作するための指令信号を出力する。また、コントローラ460は、図17に示すように、ポテンショメータ140から出力された操作電気信号に基づいて操作レバー141の操作変化量を算出するとともに、算出した操作変化量に予め設定した比例定数k4を乗じた値をアシスト量として算出する。さらに、コントローラ460は、予め設定したアシスト量に対応する電流値を設定し、これをアシスト指令としてポンプ容量制御弁252のアシスト用電磁ソレノイド252fに出力する。同図に示すように、アシスト量に対応する電流値は、アシスト方向の正負に関わらず常に正の値、つまりポンプ容量制御弁252を常に図16において左向きに押す力となるように予め設定してある。
【0089】
方向制御弁130は、コントローラ460から出力される指令信号により動作し、2つのアクチュエータポートa,bに対する供給ポートcとドレンポートdとの接続態様を選択的に切り替えるものである。具体的には、操作レバー141が図16に示す中立位置にある場合、方向制御弁130は、2つのアクチュエータポートa,bと、供給ポートc及びドレンポートdとの間を遮断した状態に維持する。この状態から伸長位置に切り替わると、一方のアクチュエータポートbと供給ポートcとの間を接続するとともに、他方のアクチュエータポートaとドレンポートdとの間を接続する。中立位置から縮退位置に切り替わると、一方のアクチュエータポートbとドレンポートdとの間を接続するとともに、他方のアクチュエータポートaと供給ポートcとの間を接続した状態となる。
【0090】
方向制御弁130の一方のアクチュエータポートbには、ボトム油路1を通じて油圧シリンダ10のボトム室11が接続してあり、他方のアクチュエータポートaには、ヘッド油路2を通じて油圧シリンダ10のヘッド室12が接続してある。方向制御弁130の供給ポートcには、油圧ポンプ20の吐出口との間を接続する供給油路3が接続してあり、方向制御弁130のドレンポートdには、油タンクTとの間を接続するドレン油路4が接続してある。
【0091】
また、方向制御弁130には、負荷圧出力ポートeが設けてある。負荷圧出力ポートeは、一方の供給ポートcを通じて油圧シリンダ10のヘッド室12に油が供給されている間、並びに他方の供給ポートcを通じて油圧シリンダ10のボトム室11に油が供給されている間、それぞれ油の供給圧を負荷圧として出力するものである。
【0092】
本実施の形態6では、操作レバー141をレバー中立位置から図16中の矢印A方向に操作した場合、コントローラ460を介して伸長側電磁ソレノイド130bに指令信号が出力され、方向制御弁130が中立位置から伸長位置に切り替わる。方向制御弁130が伸長位置に切り替わると、油圧シリンダ10のボトム室11に接続されたボトム油路1が、方向制御弁130のアクチュエータポートb及び供給ポートcを介して供給油路3に接続されるとともに、ヘッド室12に接続されたヘッド油路2が方向制御弁130のアクチュエータポートa及びドレンポートdを介してドレン油路4に接続される。
【0093】
これとは逆に、操作レバー141がレバー中立位置から図16中の矢印B方向に操作された場合には、コントローラ460から縮退側電磁ソレノイド130aに指令信号が出力され、方向制御弁130が中立位置から縮退位置に切り替わる。方向制御弁130が縮退位置に切り替わると、油圧シリンダ10のボトム室11に接続されたボトム油路1が方向制御弁130のアクチュエータポートb及びドレンポートdを介してドレン油路4に接続されるとともに、ヘッド室12に接続されたヘッド油路2が方向制御弁130のアクチュエータポートa及び供給ポートcを介して供給油路3に接続されることになる。
【0094】
以下、上記のように構成した油圧駆動装置の作用について説明する。操作レバー141が図16に示すレバー中立位置にある場合には、方向制御弁130が図16に示す中立位置に維持されており、2つのアクチュエータポートa,bと、供給ポートc及びドレンポートdとの間が遮断された状態にある。この状態においては、油圧ポンプ20から吐出された油がアンロード弁7のバネ7aに対抗する圧力まで上昇し、アンロード弁7が開放するため油タンクTへと排出される。これにより、油圧ポンプ20の吐出圧力がアンロード弁7の設定圧力となり、この圧力が吐出圧力出力油路6を通じて吐出圧力室252bに加えられる。一方、負荷圧出力油路5を通じて負荷圧力室252aに加えられる圧力はゼロとなる。これらの結果、ポンプ容量制御弁252が第2位置となり、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dに油が供給され、油圧ポンプ20の容量が最小の状態に設定される。
【0095】
この状態から油圧シリンダ10を伸長動作させるべく操作レバー141を図16中の矢印A方向に操作すると、コントローラ460から方向制御弁130の伸長側電磁ソレノイド130bに指令信号が出力され、方向制御弁130が伸長位置に切り替わる。この結果、油圧シリンダ10のボトム室11に接続されたアクチュエータポートbと供給ポートcとの間が接続されるとともに、ヘッド室12に接続されたアクチュエータポートaとドレンポートdとの間が接続され、油圧ポンプ20から吐出された油によって油圧シリンダ10が伸長動作することになる。
【0096】
油圧シリンダ10に油が供給されると、負荷圧が負荷圧出力ポートeから負荷圧出力油路5に出力されることになり、アンロード弁7が閉じる。さらに、負荷圧力室252aに作用する負荷圧によってポンプ容量制御弁252が第2位置から第1位置となる方向に動作し、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて、油圧ポンプ20の容量が増大する。以降、負荷圧力室252aに導かれた油圧シリンダ10の負荷圧と、吐出圧力室252bに導かれた油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じてポンプ容量制御弁252が適宜動作し、油圧ポンプ20が油圧シリンダ10の負荷圧と油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じた容量に制御される。
【0097】
ここで、この実施の形態6の油圧駆動装置では、コントローラ460がポテンショメータ140から出力された操作電気信号に基づいて操作レバー141の操作変化量を算出するとともに、算出した操作変化量に応じた電流値を設定し、この電流値を含むアシスト指令をポンプ容量制御弁252のアシスト用電磁ソレノイド252fに出力するようにしている。従って、操作レバー141を素早く操作した場合、コントローラ460から大きな電流値を含むアシスト指令が出力されることになり、コントローラ460によってポンプ容量制御弁252が動作されることになる。これにより、ポンプ容量制御弁252が第2位置から第1位置に向けて迅速に動作し、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて油圧ポンプ20の容量が増大されることになり、操作レバー141を操作してから実際に油圧シリンダ10が伸長動作するまでのタイムラグを小さくし、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。
【0098】
上述した作用効果は、油圧シリンダ10のボトム室11に供給する油の流量を増大させる場合ばかりでなく、ボトム室11に供給する油の流量を減少させ、油圧シリンダ10の動作速度を低減する場合にも同様に機能する。すなわち、操作レバー141がレバー中立位置へ向けて矢印B方向(図16参照)に操作されると、ポテンショメータ140からコントローラ460に出力される電流値が減少し、アシスト量が負の値となる。従って、ポンプ容量制御弁252が第1位置から第2位置に向けて迅速に動作し、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが昇圧して油圧ポンプ20の容量が減少されることになる。これにより、操作レバー141を操作してから実際に油圧シリンダ10の動作速度が低下するまでのタイムラグを小さくし、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。
【0099】
(実施の形態7)
図18は、本発明の実施の形態7であるロードセンシング方式の油圧駆動装置の油圧回路図を示したものである。ここで例示する油圧駆動装置は、実施の形態6と同様、建設機械において油圧シリンダ10の駆動を制御するもので、実施の形態6とは、ポンプ容量制御弁をアシストする構成が異なっている。以下、実施の形態6と異なる部分について詳細に説明し、実施の形態6と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0100】
図18に示すように、実施の形態7の油圧駆動装置では、方向制御弁130の負荷圧出力ポートeに接続された負荷圧出力油路5に負荷圧力センサ245が設けてある。負荷圧力センサ245は、負荷圧出力油路5に出力される油圧シリンダ10の負荷圧を検出し、その検出結果をコントローラ560に出力するものである。
【0101】
コントローラ560は、図19に示すように、ポテンショメータ140から出力された操作電気信号に基づいて操作レバー141の操作変化量を算出し、算出した操作変化量に予め設定した比例定数k5を乗じた値と、負荷圧力センサ245の検出した油圧シリンダ10の負荷圧に基づいて設定したアシスト率との積をアシスト量として算出する。さらに、コントローラ560は、予め設定したアシスト量に対応する電流値を設定し、これをアシスト指令としてポンプ容量制御弁252のアシスト用電磁ソレノイド252fに出力する。同図に示すように、アシスト量に対応する電流値は、アシスト方向の正負に関わらず常に正の値となるように予め設定してある。また、コントローラ560が設定するアシスト率は、油圧シリンダ10の負荷圧がゼロの場合に1となり、以降、負荷圧が増大するほど減少する無次元数である。
【0102】
以下、上記のように構成した油圧駆動装置の作用について説明する。操作レバー141が図18に示すレバー中立位置にある場合には、方向制御弁130が図18に示す中立位置に維持されており、2つのアクチュエータポートa,bと、供給ポートc及びドレンポートdとの間が遮断された状態にある。この状態においては、油圧ポンプ20から吐出された油がアンロード弁7のバネ7aに対抗する圧力まで上昇し、アンロード弁7が開放するため油タンクTへと排出される。これにより、油圧ポンプ20の吐出圧力がアンロード弁7の設定圧力となり、この圧力が吐出圧力出力油路6を通じて吐出圧力室252bに加えられる。一方、負荷圧出力油路5を通じて負荷圧力室252aに加えられる圧力はゼロとなる。これらの結果、ポンプ容量制御弁252が第2位置となり、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dに油が供給され、油圧ポンプ20の容量が最小の状態に設定される。
【0103】
この状態から油圧シリンダ10を伸長動作させるべく操作レバー141を図18中の矢印A方向に操作すると、コントローラ560から方向制御弁130の伸長側電磁ソレノイド130bに指令信号が出力され、方向制御弁130が伸長位置に切り替わる。この結果、油圧シリンダ10のボトム室11に接続されたアクチュエータポートbと供給ポートcとの間が接続されるとともに、ヘッド室12に接続されたアクチュエータポートaとドレンポートdとの間が接続され、油圧ポンプ20から吐出された油によって油圧シリンダ10が伸長動作することになる。
【0104】
油圧シリンダ10に油が供給されると、負荷圧が負荷圧出力ポートeから負荷圧出力油路5に出力されることになり、アンロード弁7が閉じる。さらに、負荷圧力室252aに作用する負荷圧によってポンプ容量制御弁252が第2位置から第1位置となる方向に動作し、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて、油圧ポンプ20の容量が増大する。以降、負荷圧力室252aに導かれた油圧シリンダ10の負荷圧と、吐出圧力室252bに導かれた油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じてポンプ容量制御弁252が適宜動作し、油圧ポンプ20が油圧シリンダ10の負荷圧と油圧ポンプ20の吐出圧力との差圧に応じた容量に制御される。
【0105】
ここで、この実施の形態7の油圧駆動装置では、コントローラ560がポテンショメータ140から出力された操作電気信号に基づいて操作レバー141の操作変化量を算出するとともに、算出した操作変化量に応じた電流値を設定し、この電流値を含むアシスト指令をポンプ容量制御弁252のアシスト用電磁ソレノイド252fに出力するようにしている。従って、操作レバー141を素早く操作した場合、コントローラ560から大きな電流値を含むアシスト指令が出力されることになり、コントローラ560によってポンプ容量制御弁252が動作されることになる。これにより、ポンプ容量制御弁252が第2位置から第1位置に向けて迅速に動作し、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが減圧されて油圧ポンプ20の容量が増大されることになり、操作レバー141を操作してから実際に油圧シリンダ10が伸長動作するまでのタイムラグを小さくし、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。
【0106】
しかも、上述の油圧駆動装置によれば、油圧シリンダ10の負荷圧が大きいほど、アシスト率が減少するため、アシスト用電磁ソレノイド252fに出力されるアシスト指令の電流値が小さくなる。従って、油圧シリンダ10の負荷圧が大きい場合には、操作レバー141を素早く操作しても、油圧ポンプ20の容量増大率が小さくなり、油圧シリンダ10の伸長動作も緩やかとなるため、急激に動作する事態を招来する恐れがない。
【0107】
さらに、上述した作用効果は、油圧シリンダ10のボトム室11に供給する油の流量を増大させる場合ばかりでなく、ボトム室11に供給する油の流量を減少させ、油圧シリンダ10の動作速度を低減する場合にも同様に機能する。すなわち、操作レバー141がレバー中立位置へ向けて矢印B方向(図18参照)に操作されると、ポテンショメータ140からコントローラ560に出力される電流値が減少し、アシスト量が負の値となる。従って、ポンプ容量制御弁252が第1位置から第2位置に向けて迅速に動作し、ポンプ容量制御シリンダ51のボトム室51dが昇圧して油圧ポンプ20の容量が減少されることになる。これにより、操作レバー141を操作してから実際に油圧シリンダ10の動作速度が低下するまでのタイムラグを小さくし、建設機械に良好な操作性を確保することができるため、例えば操作者に対して違和感を与える恐れがなくなる。
【0108】
尚、上述した実施の形態1〜実施の形態7では、いずれも油圧シリンダ10を伸長する際の動作について例示しているが、本発明はこれらに限定されず、各実施の形態はいずれも油圧シリンダ10を縮退する際にも同様に動作し、同様の作用効果を奏することが可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 ボトム油路
2 ヘッド油路
10 油圧シリンダ
20 油圧ポンプ
30 方向制御弁
40 パイロット操作弁
41 操作レバー
42,43 パイロット油路
44 絞り
51 ポンプ容量制御シリンダ
52 ポンプ容量制御弁
60 コントローラ
130 方向制御弁
140 ポテンショメータ
141 操作レバー
144 可変絞り
244 圧力センサ
245 負荷圧力センサ
252 ポンプ容量制御弁
252f アシスト用電磁ソレノイド
260 コントローラ
352 ポンプ容量制御弁
352f,352g アシスト用電磁ソレノイド
360,460,560 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ容量制御シリンダの作動に従って容量が変化する可変容量型の油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから油圧シリンダに至る油通路に介在し、前記油圧シリンダに対する油の供給制御を行う方向制御弁と、
操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を出力することによって前記方向制御弁を動作させるパイロット操作弁と、
前記油圧シリンダの負荷圧と前記油圧ポンプの吐出圧力との差圧に従って動作し、前記ポンプ容量制御シリンダに対する油の供給制御を行うポンプ容量制御弁と
を備え、前記操作レバーの操作によって前記油圧シリンダを駆動するようにした油圧駆動装置において、
前記パイロット操作弁から前記方向制御弁にパイロット圧を出力するパイロット油路に絞りを設け、前記パイロット操作弁と前記絞りとの間のパイロット油路の圧力を前記ポンプ容量制御弁に対して前記油圧シリンダの負荷圧と同じ方向に作用させ、かつ前記絞りと前記方向制御弁との間の前記パイロット油路の圧力を前記ポンプ容量制御弁に対して前記油圧ポンプの吐出圧力と同じ方向に作用させたことを特徴とする油圧駆動装置。
【請求項2】
前記絞りは、可変絞りであり、前記油圧シリンダの負荷圧が小さいほど絞りの前後差圧が大きくなるように前記可変絞りの径を変更することを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動装置。
【請求項3】
ポンプ容量制御シリンダの作動に従って容量が変化する可変容量型の油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから油圧シリンダに至る油通路に介在し、前記油圧シリンダに対する油の供給制御を行う方向制御弁と、
操作レバーの操作量に応じた操作信号を出力することによって前記方向制御弁を動作させる操作信号出力手段と、
前記油圧シリンダの負荷圧と前記油圧ポンプの吐出圧力との差圧に従って動作し、前記ポンプ容量制御シリンダに対する油の供給制御を行うポンプ容量制御弁と
を備え、前記操作レバーの操作によって前記油圧シリンダを駆動するようにした油圧駆動装置において、
前記操作信号出力手段から出力される操作信号に基づいて操作レバーの操作量を検出する操作量検出手段と、
前記操作量検出手段の検出した操作レバーの操作量からその時間微分値を算出し、算出した時間微分値の大きさに従って前記油圧ポンプの容量が変化するように前記ポンプ容量制御弁の動作をアシストするアシスト指令を与えるコントローラと
を備えたことを特徴とする油圧駆動装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記油圧シリンダの負荷圧が小さいほど前記ポンプ容量制御弁のアシスト量が大きくなるように前記ポンプ容量制御弁にアシスト指令を与えることを特徴とする請求項3に記載の油圧駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−141014(P2012−141014A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294232(P2010−294232)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】