説明

治療用ビタミンD日焼け止め製剤およびそれを使用するための方法

本発明は、製剤の日焼け防止効果に起因する天然のビタミンD生成の低減に相当する生物学的に利用可能な量のビタミンDを提供する製剤、ならびにビタミンD欠乏およびビタミンD不足に伴う障害および疾患状態の予防および治療のための製剤を含む、治療上有効な量のビタミンDを含む局所用日焼け止め製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本PCT国際特許出願は、その開示がその全文において参照によって本明細書に組み込まれる、2009年8月4日出願の米国特許出願第12/535,660号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、ビタミンD欠乏およびビタミンD不足の哺乳動物を治療するための、ならびにビタミンD欠乏およびビタミンD不足に伴う障害および疾患を予防および治療するための、製剤の日焼け止め成分(1つまたは複数)に起因するビタミンD生成の低減の理由からビタミンDを補うのに治療上有効な量のビタミンDを含む、局所用日焼け止め製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
ビタミンDは、消化管におけるカルシウム吸収の促進、(正常な骨の石灰化を可能にし、低カルシウム性のテタニーを予防するための)十分な血清カルシウムおよびホスフェート濃度の維持を含む数々の生物学的プロセスにとって不可欠であり、骨芽細胞および破骨細胞による骨の増殖および骨の再構築に必要とされる、脂溶性ビタミンである(van den Berg,H.(1997年)Eur.J.Clin.Nutr.、51巻、S76−9頁;Institute of Medicine、Food and Nutrition Board.、(1997年)Dietary Reference Intakes:Calcium,Phosphorus,Magnesium,Vitamin D,and Fluoride、Washington,DC:National Academy Press;Cranney C.ら(2007年)Evidence Report/Technology Assessment No.158、契約番号第290−02.0021.号の下University of Ottawaのエビデンスベースの診療所(Practice Center)により用意されたもの、AHRQ Publication No.07−E013、Rockville、MD:Agency for Healthcare Research and Quality)。不十分なビタミンDは、薄く、脆く、および/または形の悪い骨をもたらすことがあり、小児におけるくる病および成人における骨軟化症の原因である(DeLuca H.F.(2004年)Am.J.Clin.Nutr.、80巻、1689S−96S頁;Goldringら(1995年)Endocrinology、第3版、Philadelphia:WB Saunders、1204−27頁;Favus M.J.およびChristakos S.(1996年)、Primer on the Metabolic Bone Diseases and Disorders of Mineral Metabolism、第3版、Philadelphia、PA:Lippincott−Raven)。ビタミンDはまた、カルシウムとともに、高齢の成人を骨粗鬆症から保護する助けとなる。
【0004】
ビタミンDは、神経筋機能および免疫機能の調整、ならびに炎症の低減を含めて、ヒトの健康における他の役割も有している。細胞の増殖、分化、およびアポトーシスを調節するタンパク質をコードする遺伝子の多くは、ビタミンDによって部分的に調整される(van den Berg(1999年);Cranneyら(2007年);Holick,M.F.(2003年)Cancer Res.、164巻、3−28頁;Hayesら(2003年)Cell.Mol.Biol.、49巻、277−300頁)。ビタミンD欠乏は、乳癌、前立腺癌および大腸癌に関連しており、多発性硬化症、線維筋症、関節リウマチ、グレーブス病、狼瘡およびその他などの自己免疫疾患にも関連している。高レベルの血清ビタミンDは、皮膚癌に対する危険性の低下にも関連する(Roehr.B.、Dermatology Times、2009年7月、24頁を参照されたい。)。
【0005】
ビタミンDは、皮膚が十分な太陽光に曝露される場合に、特に紫外線B(UVB)線が皮膚の表皮層を浸透するのに十分強い場合に天然に生成される。したがって、1年の中の時期、緯度、高度、雲量、および汚染を含めた、UVB線の強度に影響を及ぼす因子は、同様にビタミンDの天然の生成に影響を及ぼし得る。例えば、完全に雲に覆われると、UVエネルギーレベルを50%低減することが示されており、日陰(ひどい汚染によって生成されるものを含む)はUVエネルギーレベルを60%低減することが示されている(Wharton B.およびBishop N.(2003年)Lancet、362巻、1389−400頁)。ビタミンDは殆どの食品中に天然には存在しないので、十分なUVBの曝露および/または補充は適切なビタミンDレベルを維持するために重要である。
【0006】
ビタミンDの天然合成には太陽光への曝露が不可欠であるが、UV線は、米国において毎年生じる、推定150万症例の皮膚癌、および転移性メラノーマによる8000人の死亡の大部分に関与する発癌物質であり(WhartonおよびBishop、2003年)、生涯における累積的な皮膚に対するUV損傷はまた、加齢に伴う乾燥および他の美容上の変化にも大きく関与している。したがって、紫外線A(UVA)およびUVB線の悪影響から皮膚を保護することは、皮膚癌および転移性メラノーマの危険性を低減するのに重要であり、したがってアメリカ皮膚科学会は、個体が太陽光に曝露されるときはいつでも、サンスクリーンの使用を含めた光防護措置をとるよう忠告している(アメリカ皮膚科学会、ビタミンDに対する意見報告書、2008年11月1日)。しかし、日焼け止め指数が8以上のサンスクリーンは、ビタミンD生成性のUV光線を遮断し、したがってビタミンDの天然の生成を妨害し得ることが示されている(Wolpowitz D.およびGilchrest B.A.(2006年)J.Am.Acad.Dermatol.、54巻、301−17頁)。
【0007】
ビタミンD欠乏の個体を治療し、および/または個体がビタミンDを生成する能力を増強するのに、皮膚に対して適用され、照射されてビタミンD合成をもたらすビタミンD前駆物質ベースの製剤、および全身ビタミンDレベルを増大させるために局所投与される製剤を含めた様々な製剤および方法が開発されている。ビタミン(ビタミンDを含む)を、これらのよく知られている抗酸化の性質のために組み入れているサンスクリーン製剤も、当技術分野では知られている。しかし、適切な生物学的機能に必要な十分な全身ビタミンDレベルを達成し、および/または維持するのに治療上有効な量のビタミンDを組み入れる日焼け止め製剤、とりわけそのような製剤の日焼け防止性の効果による天然のビタミンD生成の低減に相関する特定の治療量のビタミンDを提供する日焼け止め製剤は知られていない。したがって、本発明の目的は、そのような製剤、ならびにそのような製剤を用いて障害および疾患を予防および治療する方法を提供することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】van den Berg,H.(1997年)Eur.J.Clin.Nutr.、51巻、S76−9頁
【非特許文献2】Institute of Medicine、Food and Nutrition Board、(1997年)Dietary Reference Intakes:Calcium,Phosphorus,Magnesium,Vitamin D,and Fluoride、Washington,DC:National Academy Press
【非特許文献3】Cranney C.ら(2007年)Evidence Report/Technology Assessment No.158、契約番号第290−02.0021.号の下University of Ottawaのエビデンスベースの診療所(Practice Center)により用意されたもの、AHRQ Publication No.07−E013.、Rockville、MD:Agency for Healthcare Research and Quality
【非特許文献4】DeLuca H.F.(2004年)Am.J.Clin.Nutr.、80巻、1689S−96S頁
【非特許文献5】Goldringら(1995年)Endocrinology、第3版、Philadelphia:WB Saunders、1204−27頁
【非特許文献6】Favus M.J.およびChristakos S.(1996年)、Primer on the Metabolic Bone Diseases and Disorders of Mineral Metabolism、第3版、Philadelphia、PA:Lippincott−Raven
【非特許文献7】Holick,M.F.(2003年)Cancer Res.、164巻、3−28頁
【非特許文献8】Hayesら(2003年)Cell.Mol.Biol.、49巻、277−300頁
【非特許文献9】Roehr.B.、Dermatology Times、2009年7月、24頁
【非特許文献10】Wharton B.およびBishop N.(2003年)Lancet、362巻、1389−400頁
【非特許文献11】アメリカ皮膚科学会、ビタミンDに対する意見報告書、2008年11月1日
【非特許文献12】Wolpowitz D.およびGilchrest B.A.(2006年)J.Am.Acad.Dermatol.、54巻、301−17頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(発明の要旨)
概して、本発明は、ビタミンD欠乏およびビタミンD不足の哺乳動物を治療するための、ならびにビタミンD欠乏およびビタミンD不足に伴う障害および疾患を予防および治療するための、製剤の日焼け止め成分(1つまたは複数)に起因するビタミンD生成の低減の理由からビタミンDを補うのに治療上有効な量のビタミンDを含む、局所用日焼け止め製剤を提供することによって、当技術分野におけるある種の問題および必要性に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ある種の非限定的な実施形態において、本発明は、(a)少なくとも1つの日焼け止め剤、(b)哺乳動物に投与した場合に血清ビタミンDレベルを増大させるために治療上有効な量において存在する少なくとも1つのビタミンD化合物、ならびに(c)少なくとも1つの日焼け止め剤および少なくとも1つのビタミンD化合物を局所投与するのに有効な医薬担体を含む治療用日焼け止め組成物を対象とするものである。
【0011】
ある種の他の非限定的な実施形態において、本発明は、哺乳動物に日焼け止め組成物を局所投与することを含む、ビタミンD欠乏またはビタミンD不足に伴う障害および疾患を予防する方法を対象とするものであり、日焼け止め組成物は、(a)少なくとも1つの日焼け止め剤、(b)哺乳動物に投与した場合に血清ビタミンDレベルを増大させるために治療上有効な量で存在する少なくとも1つのビタミンD化合物、ならびに(c)少なくとも1つの日焼け止め剤および少なくとも1つのビタミンD化合物を哺乳動物に局所投与するのに有効な医薬担体を含む。
【0012】
ある種の他の非限定的な実施例において、本発明は、ビタミンD欠乏に伴う障害または疾患を少なくとも1つ有する哺乳動物に日焼け止め組成物を投局所与することを含む、ビタミンD欠乏またはビタミンD不足に伴う障害および疾患を治療する方法を対象とするものであり、日焼け止め組成物は、(a)少なくとも1つの日焼け止め剤、(b)哺乳動物に投与した場合に血清ビタミンDレベルを増大させるために治療上有効な量で存在する少なくとも1つのビタミンD化合物、ならびに(c)少なくとも1つの日焼け止め剤および少なくとも1つのビタミンD化合物を哺乳動物に局所投与するのに有効な医薬担体を含む。
【0013】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における少なくとも1つのビタミンD化合物は、少なくとも1つの日焼け止め剤に起因する太陽光への曝露の低減によって低減した哺乳動物の天然のビタミンD生成を補う量で存在することができる。
【0014】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における哺乳動物はビタミンDが欠乏または不足している可能性がある。
【0015】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における哺乳動物は、約20ng/mL未満の血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度を有し得る。
【0016】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における哺乳動物は、約8ng/mL未満の血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度を有し得る。
【0017】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における哺乳動物への少なくとも1つのビタミンD化合物の投与は、このような哺乳動物における血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度を約20ng/mLから約100ng/mLの範囲にすることができる。
【0018】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における、哺乳動物への少なくとも1つのビタミンD化合物の投与は、このような哺乳動物における血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度を約30ng/mLから約60ng/mLの範囲にすることができる。
【0019】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、少なくとも1つのビタミンD化合物は、本発明のあらゆる実施形態における組成物中に、約0.1IU/cmから約1000IU/cmの濃度のビタミンD化合物の皮膚への投与をもたらす濃度で存在することができる。
【0020】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、少なくとも1つのビタミンD化合物は、本発明のあらゆる実施形態における組成物中に、約0.1IU/cmから約10.0IU/cmの濃度のビタミンD化合物の皮膚への投与をもたらす濃度で存在することができる。
【0021】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における哺乳動物は、ビタミンD欠乏またはビタミンD不足に伴う少なくとも1つの障害または疾患状態を有し得る。
【0022】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態におけるビタミンD欠乏またはビタミンD不足に伴う少なくとも1つの障害または疾患状態は、カルシウム取込みの低下、骨関連障害および疾患、血管障害および疾患、自己免疫障害および疾患、結核、歯周病、慢性疼痛、季節的情動障害、認知障害、うつ病、I型糖尿病、慢性腎疾患、副甲状腺機能低下症、パーキンソン病、ならびに癌に伴う障害および疾患からなる群から選択され得る。
【0023】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における骨関連障害および疾患は、骨減少症、骨軟化症、骨粗鬆症およびくる病からなる群から選択され得る。
【0024】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における血管障害および疾患は、冠動脈疾患、高血圧および末梢動脈疾患からなる群から選択され得る。
【0025】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における自己免疫障害および疾患は、多発性硬化症、線維筋症、関節リウマチ、グレーブス病および狼瘡からなる群から選択され得る。
【0026】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における癌は、乳癌、前立腺癌、大腸癌および皮膚癌からなる群から選択され得る。
【0027】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における少なくとも1つの日焼け止め剤は、約280nmから約400nmの範囲の波長を有する紫外線を吸収および/または遮断することができることがある。
【0028】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における少なくとも1つの日焼け止め剤は、アミノ安息香酸、アボベンゾン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン−3、シンナメート、シノキセート、ジオキシベンゾン、エカムスル(ecamsule)、エンスリゾール(ensulizole)、エチルヘキシルp−メトキシシンナメート、ホモサレート、アントラニル酸メチル、メラジメート(meradimate)、オクチノキサート、オクチサレート、オクトクリレン、オクチルジメチルpaba、メトキシケイヒ酸オクチル(OMC)、サリチル酸オクチル(OCS)、オキシベンゾン、パジメート−O、パラアミノ安息香酸(PABA)、parsol(登録商標)1789、サリチレート、スルイソベンゾン、スルイソベンゾン、二酸化チタン、トロラミンサリチレート、UVAII、UVBおよび酸化亜鉛からなる群から選択されてよい。
【0029】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における少なくとも1つのビタミンD化合物は、ビタミンD(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD(コレカルシフェロール)、ビタミンD前駆物質、不活性型、活性型およびこれらの代謝産物からなる群から選択されてよい。
【0030】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における、少なくとも1つの日焼け止め剤、少なくとも1つのビタミンD化合物、および医薬担体は、クリーム剤、ゲル剤、液剤、ローション剤、溶液剤、噴霧剤、乳剤、エアロゾル剤またはこれらの組合せの形態で組み合わせて提供されてよい。
【0031】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における少なくとも1つのビタミンD化合物はカプセル化されていてよい。
【0032】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における医薬的に有効な担体は、水もしくはアルコール、またはこれらの混合物であってよい。
【0033】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における医薬的に有効な担体はオイルフリーの担体であってよい。
【0034】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つの皮膚軟化剤をさらに含むことができ、前記少なくとも1つの皮膚軟化剤は、本発明のある種の実施形態において、脂肪エステル、脂肪アルコール、鉱物油、ポリエーテルシロキサンコポリマー、ポリプロピレングリコール(「PPG」)−15ステアリルエーテル、PPG−10アセチルエーテル、ステアレス−10、オレス−8、PPG−4ラウリルエーテル、ビタミンEアセテート、PEG−7グリセリルココエート、ラノリン、セチルアルコール、オクチルヒドロキシステアレート、ジメチコン、セチルアルコール、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ジメチコン、これらの誘導体、組合せ、および混合物からなる群から選択されてよい。
【0035】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つの皮膚コンディション剤をさらに含むことができ、前記少なくとも1つの皮膚コンディション剤は、本発明のある種の実施形態において、コロイド状オートミール、オリーブ葉、スルホン化シェール油、エルビオール(elubiol)、6−(1−ピペリジニル)−2,4−ピリミジンジアミン−3−オキシド、フィナステリド、ケトコナゾール、亜鉛ピリチオン、コールタール、過酸化ベンゾイル、硫化セレン、ヒドロコルチゾン、塩酸プラモキシン、塩化トリセチルアンモニウム、ポリクオタニウム10、パンテノール、三酢酸パンテノール、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ケラチン、リジン、アルギニン、加水分解コムギタンパク質、加水分解シルクタンパク質、メトキシケイ皮酸オクチル、オキシベンゾン、ミノキシジル、二酸化チタン、二酸化亜鉛、エリスロマイシン、トレチノイン、これらの誘導体、組合せ、および混合物からなる群から選択されてよい。
【0036】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つの安定化剤をさらに含むことができ、前記少なくとも1つの安定化剤は、本発明のある種の実施形態において、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トリエタノールアミン(TEA)、グリセリン、プロピレングリコール、これらの誘導体、組合せ、および混合物からなる群から選択されてよい。
【0037】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つの湿潤剤をさらに含むことができ、前記少なくとも1つの湿潤剤は、本発明のある種の実施形態において、グリセロール/グリセリン、ポリアルキレングリコール、アルキレンポリオール(ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリエチレングリコールを含む)、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ジブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシ化グリセロール、プロポキシ化グリセロール、これらの誘導体、組合せ、および混合物からなる群から選択される多価アルコールからなる群から選択されてよい。
【0038】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つの緩衝剤をさらに含むことができ、前記少なくとも1つの緩衝剤は、本発明のある種の実施形態において、クエン酸、クエン酸ナトリウム、これらの誘導体、組合せ、および混合物からなる群から選択されてよい。
【0039】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つの粘度調節剤をさらに含むことができ、前記少なくとも1つの粘度調節剤は、本発明のある種の実施形態において、カルボマーゲル化剤、ゴム誘導体、これらの誘導体、組合せ、および混合物からなる群から選択されてよい。
【0040】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つの保存剤をさらに含むことができ、前記少なくとも1つの保存剤は、本発明のある種の実施形態において、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール、これらの誘導体、組合せ、および混合物からなる群から選択されてよい。
【0041】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つのキレート化剤をさらに含むことができ、前記少なくとも1つのキレート化剤は、本発明のある種の実施形態において、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジヒドロキシエチルグリシン、酒石酸、これらの誘導体、組合せ、および混合物からなる群から選択されてよい。
【0042】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は、少なくとも1つの乳化剤をさらに含むことができ、前記少なくとも1つの乳化剤は、本発明のある種の実施形態において、ポリソルベート80、ジステアリン酸グリセリル、POE10ステアリルエーテル、セテアレス20、ステアリルアルコール、セテアレス20、セテアリルアルコール、これらの誘導体、組合せ、および混合物からなる群から選択されてよく、前記少なくとも1つの乳化剤は、本発明のある種の実施形態において、オイルフリーの乳化剤であってよい。
【0043】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つのコンディショニング剤をさらに含むことができ、前記少なくとも1つのコンディショニング剤は、本発明のある種の実施形態において、ヒドロキシステアリン酸オクチル;皮膚軟化剤、例えば、コレステロールNF、ワセリン、鉱物油、ならびにエステル(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、1−デセンポリマー(水素化)、および安息香酸C12−C15アルコールを含む)、これらの誘導体、組合せ、および混合物からなる群から選択されてよい。
【0044】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つの増粘剤をさらに含むことができ、前記少なくとも1つの増粘剤は、本発明のある種の実施形態において、ポリアクリルアミド、C13−C14イソパラフィン、ラウレス−7、ならびにこれらの誘導体、組合せ、および混合物からなる群から選択されてよい。
【0045】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つの抗酸化剤をさらに含むことができ、前記少なくとも1つの抗酸化剤は、本発明のある種の実施形態において、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、BHT、酢酸トコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、フェニル−α−ナフチルアミン、ヒドロキノン、没食子酸プロピル、ノルジヒドロキアレチック酸(nordihydroquiaretic acid)、ガルシニア・マンゴスタナ(マンゴスティーン)皮抽出物、カメリア・シネンシス(緑茶および白茶)葉抽出物、プニカ・グラナツム(ザクロ)抽出物、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物からなる群から選択されてよい。
【0046】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は、抗酸化剤であるガルシニア・マンゴスタナ(マンゴスティーン)皮抽出物、カメリア・シネンシス(緑茶および白茶)葉抽出物、ならびにプニカ・グラナツム(ザクロ)抽出物を組み合わせて一緒にさらに含むことができる。
【0047】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つのUV安定化剤をさらに含むことができる。
【0048】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つのUV線吸収剤をさらに含むことができる。
【0049】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は少なくとも1つの香料をさらに含むことができ、前記少なくとも1つの香料は、本発明のある種の実施形態において、ユーカリ油、カンファー合成物質、ペパーミント油、チョウジ油、ラベンダー、カモミール、これらの誘導体、組合せ、および組合せからなる群から選択されてよい。
【0050】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は、少なくとも1つのビタミンD化合物の他に少なくとも1つの治療上有効な薬剤をさらに含むことができ、前記少なくとも1つの治療上有効な薬剤は、本発明のある種の実施形態において、ビタミンD欠乏に伴う障害または疾患状態を治療するのに治療上有効な量で存在することができる。
【0051】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は約6から約95の日焼け止め指数を有することができる。
【0052】
本発明のある種の非限定的な実施形態において、本発明のあらゆる実施形態における組成物は、哺乳動物に単回適用において局所投与されてもよく、または哺乳動物に複数回適用において局所投与されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0053】
概して、また本明細書に提供する例示的および非限定的な実施例においてさらに詳しく論じる通り、本発明は、少なくとも1つの日焼け止め剤を治療上有効な量のビタミンDと一緒に組み入れる、化粧用および医薬用の製剤および組成物(これらの語は本明細書において区別なく用いられる。)を対象とするものである。
【0054】
ある例示的な、非限定的な実施形態において、本発明の日焼け止め製剤は、太陽光への曝露の低減によるビタミンD欠乏および/またはビタミンD不足を予防するために、製剤の日焼け止め成分に起因する、哺乳動物におけるビタミンDの天然の生成の低減に相関する特定量のビタミンDを含む。本発明の製剤は、このような哺乳動物におけるビタミンDレベルを増大させるために有効であるあらゆる哺乳動物に投与されてよく、経皮的な薬物送達に適する哺乳動物(例えば、ヒト、サル、ブタなど)においてとりわけ有用であることが理解される。したがって、本明細書で用いられる「哺乳動物(1つまたは複数)」、「個体(1つまたは複数)」などの語は、非限定的であり、広範囲に解釈されるべきである。
【0055】
ある例示的な、非限定的な実施形態において、本発明の日焼け止め製剤は、ビタミンD欠乏またはビタミンD不足を有する哺乳動物を治療し、同時に太陽光への曝露に対する必要性を低減または除去するのに特有な治療量のビタミンDを含む。
【0056】
ある例示的な、非限定的な実施形態において、本発明の日焼け止め製剤は、ビタミンD欠乏またはビタミンD不足を有する哺乳動物を治療し、同時に太陽光への曝露に対する必要性を低減または除去するのに特有な治療量のビタミンDを含む。
【0057】
ある例示的な、非限定的な実施形態において、本発明の日焼け止め製剤は、ビタミンD欠乏および/またはビタミンD不足に伴う障害および/または疾患、例えば、制限なく、カルシウム取込みの低下に伴う障害および/または疾患;骨減少症、骨軟化症、骨粗鬆症およびくる病を含む骨関連障害および/または疾患;冠動脈疾患、高血圧および末梢動脈疾患を含む血管障害および/または疾患;多発性硬化症、線維筋症、関節リウマチ、グレーブス病および狼瘡を含む自己免疫障害および/または疾患;結核;歯周部の障害および/または疾患;慢性疼痛;季節的情動障害;認知障害;うつ病;I型糖尿病;慢性腎疾患;副甲状腺機能低下症;パーキンソン病、ならびに乳癌、前立腺癌、大腸癌および皮膚癌を含むあるタイプの癌を予防および/または治療するのに特有の治療量のビタミンDを提供する。
【0058】
本明細書において別段の規定がなければ、本発明に関して用いられる科学用語および技術用語は、当業者によって通例理解される意味を有する。用語の意味および範囲は明白でなければならないが、万一潜在的に曖昧である場合には、本明細書に提供する定義および用法は、あらゆる辞書から、または外因的な定義から先例に従って用いる。本発明はより容易に理解されることができ、選択された語はその用法にしたがって本明細書において規定される。
【0059】
本明細書で用いられる「日焼け止め」剤は、例えば、制限なく、皮膚に対する紫外線A(UVA)および/または紫外線B(UVB)線の曝露を遮断または低減することができるあらゆる化合物を含む。日焼け止め化合物の例は、サンスクリーン(慣例的に、日焼け止め指数(SPF)が2以上の製品)、日焼け防止(慣例的に、放射線への曝露を物理的に遮断し、および/または12以上のSPFを有する製品)、ならびにこれらの組合せを含む。日焼け止め剤は、化学的遮断剤(皮膚によって吸収され、太陽光の効果を中和し得る。)および/または物理的遮断剤(皮膚の表面上に位置し、太陽光を身体から離して吸収または反射する。)を含むことができる。
【0060】
例えば、制限なく、アミノ安息香酸、アボベンゾン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン−3、シンナメート、シノキセート、ジオキシベンゾン、エカムスル、エンスリゾール、エチルヘキシルp−メトキシシンナメート、ホモサレート、アントラニル酸メンチル、メラジメート、オクチノキサート、オクチサレート、オクトクリレン、オクチルジメチルpaba、メトキシケイヒ酸オクチル(OMC)、サリチル酸オクチル(OCS)、オキシベンゾン、パジメート−O、パラアミノ安息香酸(PABA)、parsol(登録商標)1789、サリチレート、スルイソベンゾン、スルイソベンゾン、二酸化チタン、トロラミンサリチレート、UVAII、UVBおよび酸化亜鉛を含むあらゆる知られている化学的日焼け防止剤(1つまたは複数)が、治療上有効な量のビタミンDと組み合わせて用いるのに適する限り、このような薬剤(1つまたは複数)が本発明の製剤において提供されてよい。
【0061】
例えば、制限なく、酸化亜鉛および二酸化チタンを含むあらゆる知られている物理的日焼け防止剤(1つまたは複数)が、治療上有効な量のビタミンDと組み合わせて用いるのに適する限り、このような薬剤(1つまたは複数)が本発明の製剤において提供されてよい。
【0062】
本明細書で用いられる「ビタミンD」は、例えば、制限なく、あらゆる知られている形態のビタミンDを意味し、特に、ビタミンD(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD(コレカルシフェロール)、ビタミンD前駆物質、代謝産物および別の類似体、ならびにこれらの組合せ、ならびにビタミンDの様々な活性型および不活性型を含む。例えば、制限なく、ビタミンDは、コレカルシフェロールとして非ヒドロキシル化不活性型で提供されてもよく、またはカルシトリオールとしてヒドロキシル化された活性型で提供されてもよい。
【0063】
哺乳動物が「ビタミンD欠乏」である、「ビタミンDが欠乏」しているなどと記述することは、概して、例えば、制限なく、このような哺乳動物が最適なレベルまでの血清ビタミンDレベルを有していないことを意味し、特に、このような語が医学の技術分野において用いられている通り、ビタミンD欠乏およびビタミンD不足の両方を含む。
【0064】
例により、制限なく、現在の臨床ガイドラインによると(例えば、Dawson−Hughes,B.「Treatment of vitamin D deficient states」最新版、Denise S.Basow編集、Waltham、MA:Walthamにおける最新版、2009年を参照されたい。)、ヒトにおけるビタミンDレベルは、血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度を測定することによって慣例的に決定される。血清(25−ヒドロキシ)ビタミンDレベルが低下すると、カルシウム吸収は低下し、副甲状腺ホルモン(「PTH」)濃度が上昇する。したがって、ビタミンDによるPTHの最大の抑制は、それによって「最適の」血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度が規定される一つの判断基準である。推定値は変動するが、濃度は、1ミリリットルあたり30ナノグラム(ng/mL)から32ng/mLの範囲にあると一般に理解されている(Malabananら、(1998年)Lancet、351巻、805頁;Needら(2004年)J.Clin.Endocrinol.Metab.、89巻、1646頁;Lamberg−Allardtら、(2001年)Bone Miner.Res.、16巻、2066頁;Hollis,B.W.、(2005年)J.Nutr.、135巻、317頁;Dawson−Hughesら、(2005年)Osteoporos.Int.、16巻、713頁)。より高い血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度は(例えば、34ng/mL対20ng/mL)、カルシウム吸収効率がより大きいことに関連しており(Heaneyら、(2003年)J.Am.Coll.Nutr.、22巻、142頁)、血清(25−ヒドロキシ)ビタミンDレベルが28ng/mLから40ng/mLであれば骨折の危険性が低くなる可能性がある(Dawson−Hughesら、(1997年)N.Engl.J.Med.、337巻、670頁;Chapuyら、(2002年)Osteoporos.Int.、13巻、257頁;Trivediら、(2003年)BMJ.、326巻、469頁)。骨格上の健康に最適な血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度に対する共通認識は存在しないが、成人において30ng/mLの最低レベルが必要であることが示されている(Dawson−Hughesら、(2005年);Vieth,R.、(2006年)J.Nutr.、136巻、1117頁;Vieth,R.、(2006年)Prog.Biophys.Mol.Biol.、92巻、26頁)。
【0065】
これを考慮に入れて、現在の臨床ガイドラインは、成人におけるビタミンD不足を血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度20ng/mLから30ng/mLと概ね規定し、成人におけるビタミンD欠乏を血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度20ng/mL未満と規定している。しかし、技術分野において認められている用法によると、血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度が8ng/mL未満である個体はビタミンD欠乏と考えられてよく、同時に血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度が8−20ng/mLである個体はビタミンD不足と考えられてよいことも理解されている。血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度20−60ng/mLは当技術分野において「最適」であると言われてよく、同時に血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度30ng/mL以上も当技術分野において「最適」であると言われてよいことがさらに理解される。
【0066】
さらに、広く許容されているラジオイムノアッセイまたは高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した場合、血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度30ng/mLは最適と考えられ得るが、用いられるアッセイに応じて著しい変動性が存在し得ることが当技術分野において理解される(Binkleyら、(2004年)J.Clin.Endocrinol.Metab.、89巻、3152頁)。さらに、市販のアッセイは、一般的に、血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD総濃度を測定するものであるが、血清(25−ヒドロキシ)ビタミンDおよび血清(25−ヒドロキシ)ビタミンDの値が別々に報告されることがあり、この場合最適の血清濃度は一般的に合わさった合計を意味する。
【0067】
例えば、制限なく、地理的な場所、代謝因子、性別、年齢および他の因子を含めた数々の因子が、あらゆる個体に「最適な」ビタミンDレベルと考えられるものに影響を及ぼし得ることがさらに理解される。例えば、このような個体が症状を表す場所、または低ビタミンDレベルに伴う疾患または障害に伴うことが知られている表現型の応答の診断に基づいて、ある個体はビタミンDが欠乏していると考えられることもある。例えば、本明細書で提供され、論じられる、当技術分野で認められている定義および臨床ガイドラインでさえ、現在の臨床ガイドラインは人種上の違いおよび骨格上の恒常性を説明していないことが報告されている(Harris,S.S.、(2006年)J.Nutr.、136巻、1126頁)。
【0068】
したがって、本発明における「ビタミンD欠乏」、「ビタミンD不足」の用法、「最適のビタミンDレベル」に対する言及、特定のビタミンDレベル、範囲などに対する言及は非限定的であり、このような語が広く解釈されるべきであることが理解される。概して、ビタミンDの補充が指摘されるか否かは、個別的基準に基づいて決定される。例えば、血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度が少なくとも30ng/mLである個体は現在の臨床ガイドラインにしたがって「最適の」範囲内であると一般的に考えられてよいが、このようなビタミンDレベルを有する(またはより高いビタミンDレベルを有する)特定の個体はそれにもかかわらず、医療の専門家によって、または他の方法で、様々な診断基準に基づいて最適以下のビタミンDレベルを有するとみなされることがある(例えば、このような個体が低カルシウム吸収を有することが見出され、ビタミンD欠乏および/またはビタミンD不足に伴う障害および/または疾患の症状を示す場合など)。
【0069】
本明細書で用いられる、特定の化合物の「治療上有効な量」は、例えば、制限なく、特定の投薬レジメンにしたがって、特定の期間にわたって、特定の投与量で所望の治療結果を達成するのに有効であるこのような化合物の量を意味する。所望の治療結果を達成するのに必要な化合物の量は、例えば、制限なく、年齢、性別および個体の体重、個体の代謝速度に影響を及ぼす因子、ならびに個体のあらゆる障害および/または疾患(その度合いおよび重症度を含む)を含めた、数々の因子によって影響を受け、したがって前記数々の因子に基づいて変化する。投薬レジメンはしたがって、所与の個体に所望の治療効果を実現するように調節されてよい。「治療上有効な量」はまた、化合物の投与によってもたらされる治療上の利点が、化合物の投与に起因する副作用および/または毒性などの負の因子を凌ぐ量も意味する。
【0070】
本明細書で用いられる通り、例えば、制限なく、本発明の日焼け止め製剤におけるビタミンDの「治療上有効な量」は、当業者には知られている従来の薬物動態学的分析および技術を用いて決定され得る、ある期間にわたって皮膚中に吸収されて血清(25−ヒドロキシ)ビタミンDレベルの測定可能な増大をもたらすビタミンDの量を意味する。本発明の製剤は日焼け止め成分を含んでいるので、様々な実施形態において治療上有効な量のビタミンDを実現することは、日焼け止め製剤に伴う様々な因子(例えば、制限なく、このような製剤は水(アルカリ性の塩水を含む)に曝露されることがあり、ある期間の後「タオル乾燥」によって部分的に除去されることがあるなど)を考慮に入れることになり、したがってこのような実施形態において、治療上有効な量のビタミンDが個体に投与されることを確実にするために、このような因子(例えば、制限なく、ビタミンDの濃度、送達のメカニズム、および安定化剤、浸透増強剤、防水剤などの特定の成分の含有)が考慮に入れられてよい。ある実施形態において、本発明の製剤が、特定の治療目的で、ある期間の後に再適用されることが意図されてよく、この特定の治療目的は、このような製剤中に存在するビタミンDおよび成分の濃度を決定する上で考慮に入れられる。
【0071】
さらなる例により、制限なく、本発明の日焼け止め製剤中に存在するビタミンDの「治療上有効な量」は、個体におけるビタミンD欠乏および/またはビタミンD不足に伴う1つもしくは複数の障害および/または疾患状態に関して改善が実現される量である。このような障害および疾患状態は、例えば、制限なく、このようなビタミンD欠乏および/またはビタミンD不足が環境、食餌および/または生理学的因子によるか否かにかかわらず本明細書において論じられるものを含めた、ビタミンD欠乏およびビタミンD不足に伴う全ての知られている疾患状態および障害を含んでいる。
【0072】
さらなる例により、制限なく、本発明の日焼け止め製剤中に存在するビタミンDの「治療上有効な量」は、製剤中の日焼け止め成分(1つまたは複数)により天然に作られないビタミンDを置き換えるために、特定量のビタミンDが個体に全身的に投与される量である。当業者であれば、本明細書の教示に基づいて、過度の実験の必要なしに、特定の治療上の利点を実現するために本発明の特定の実施形態において必要とされる治療上有効な量のビタミンDを経験的に決定することができる(また、ある実施形態において、様々な治療上の利点をもたらすために、ビタミンDと合わせて本発明の製剤中に含まれ得る他の薬剤の治療上有効な量を決定することができる。)ことが理解される。
【0073】
本発明の製剤は、様々な例示の、非限定的な実施形態において、局所投与に適し、治療上有効な量のビタミンDの経皮送達をもたらす形態で提供されてよく、例えば、制限なく、本発明の製剤は、クリーム剤、ゲル剤、液剤、ローション剤、溶液剤、噴霧剤、乳剤、エアロゾル剤およびこれらの組合せとして提供されてよく、多層の小胞、リポソーム、ナノ粒子、マイクロスポンジまたはこれらの組合せを提供することができる。ある例示の、非限定的な実施形態において、ビタミンDを含めた有効薬剤は、例えば、薬剤の徐放などのためにカプセル化が圧力下で破壊される場合に放出されるために、本発明の製剤中にカプセル化(マイクロカプセル化を含む)されていてよい。経時的にカプセル化された薬剤を放出するものを含めた、適切なカプセル化材料および技術は、当技術分野において知られている。
【0074】
他の従来の美容用および/または医薬用の薬剤は、これらが生理学的に許容され、製剤中に提供される1つまたは複数の日焼け止め剤および治療上有効な量のビタミンDと組み合わせて用いるのに適する限り、本発明の製剤中に提供されてよい。
【0075】
例えば、本発明の製剤は、生理学的に適合性のビヒクルおよび賦形剤、例えば、水、アルコール、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物を含むことができる。ある種の望ましい実施形態において、本発明の製剤はオイルフリーのビヒクルを含む。
【0076】
例えば、本発明の製剤は、脂肪エステル、脂肪アルコール、鉱物油、ポリエーテルシロキサンコポリマー、ポリプロピレングリコール(PPG)−15ステアリルエーテル、PPG−10アセチルエーテル、ステアレス−10、オレス−8、PPG−4ラウリルエーテル、ビタミンEアセテート、PEG−7グリセリルココエート、ラノリン、セチルアルコール、オクチルヒドロキシステアレート、ジメチコン、セチルアルコール、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ジメチコン、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物などの皮膚軟化剤を含むことができる。
【0077】
例えば、本発明の製剤は、コロイド状オートミール、オリーブ葉、スルホン化シェール油、エルビオール、6−(1−ピペリジニル)−2,4−ピリミジンジアミン−3−オキシド、フィナステリド、ケトコナゾール、亜鉛ピリチオン、コールタール、過酸化ベンゾイル、硫化セレン、ヒドロコルチゾン、塩酸プラモキシン、塩化トリセチルアンモニウム、ポリクオタニウム10、パンテノール、三酢酸パンテノール、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ケラチン、リジン、アルギニン、加水分解コムギタンパク質、加水分解シルクタンパク質、メトキシケイ皮酸オクチル、オキシベンゾン、ミノキシジル、二酸化チタン、二酸化亜鉛、エリスロマイシン、トレチノイン、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物などの皮膚コンディショニング剤を含むことができる。
【0078】
例えば、本発明の製剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トリエタノールアミン(TEA)、グリセリン、プロピレングリコール、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物などのpH安定化剤(1つまたは複数)を含むことができる。
【0079】
例えば、本発明の製剤は、グリセロール/グリセリン、ポリアルキレングリコール、アルキレンポリオール(ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールを含む)、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ジブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシ化グリセロール、プロポキシ化グリセロール、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物を含めた多価アルコールなどの湿潤剤を含むことができる。
【0080】
例えば、本発明の製剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物などの緩衝剤を含むことができる。
【0081】
例えば、本発明の製剤は、カルボマーゲル化剤、ゴム誘導体、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物などの粘度調節剤を含むことができる。
【0082】
例えば、本発明の製剤は、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物などの保存剤を含むことができる。
【0083】
例えば、本発明の製剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジヒドロキシエチルグリシン、酒石酸、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物などのキレート化剤を含むことができる。
【0084】
例えば、本発明の製剤は、ポリソルベート80、ジステアリン酸グリセリル、POE10ステアリルエーテル、セテアレス20、ステアリルアルコール、セテアレス20、セテアリルアルコール、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物などの乳化剤を含むことができる。ある望ましい実施形態において、本発明の製剤はオイルフリーの乳化剤を含む。
【0085】
例えば、本発明の製剤は、ヒドロキシステアリン酸オクチル;皮膚軟化剤、例えば、コレステロールNF、ワセリン、鉱物油、ならびにエステル(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、1−デセンポリマー(水素化)および安息香酸C12−C15アルコールを含む)、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物などのコンディショニング剤を含むことができる。
【0086】
例えば、本発明の製剤は、ポリアクリルアミド、C13−C14イソパラフィン、ラウレス−7、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物などの増粘剤を含むことができる。
【0087】
例えば、本発明の製剤は、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、BHT、酢酸トコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、フェニル−α−ナフチルアミン、ヒドロキノン、没食子酸プロピル、ノルジヒドロキアレチック酸、ガルシニア・マンゴスタナ(マンゴスティーン)皮抽出物、カメリア・シネンシス(緑茶および白茶)葉抽出物、プニカ・グラナツム(ザクロ)抽出物、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物などの抗酸化剤を含むことができる。
【0088】
ある望ましい実施形態において、本発明の製剤は、抗酸化剤であるガルシニア・マンゴスタナ(マンゴスティーン)皮抽出物、カメリア・シネンシス(緑茶および白茶)葉抽出物、ならびにプニカ・グラナツム(ザクロ)抽出物を組み合わせて一緒に含み、または別々の製剤と組み合わせて提供される。
【0089】
例えば、本発明の製剤はUV安定化剤を含むことができる。
【0090】
例えば、本発明の製剤はUV線吸収剤(サンスクリーンフィルタ)を含むことができる。
【0091】
例えば、本発明の製剤は、ユーカリ油、カンファー合成物質、ペパーミント油、チョウジ油、ラベンダー、カモミール、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび組合せなどの香料を含むことができる。
【0092】
例えば、本発明の製剤は着色剤を含むことができる。
【0093】
本発明の製剤はまた、上記の混合物および組合せおよびあらゆるものを含むことができる。
【0094】
本発明の製剤は、治療上有効な投与量のビタミンDの他に、例えば、制限なく、ビタミンD欠乏および/またはビタミンD不足に伴う1つもしくは複数の障害および/または疾患状態を予防および治療するための薬剤などの1つまたは複数の有効薬剤も含むことができる。
【0095】
ある例示の、非限定的な実施形態において、本発明の製剤は、約2から約95のSPFを有し、ある例示の、非限定的な実施形態において、95を超えるSPFを有する。本発明の製剤はいかなる特定のSPFまたはSPF範囲に制限されるものではなく、あらゆるSPFを有する製剤が本発明において企図されることが理解される。
【0096】
ビタミンDが本発明の製剤中にあらゆる適切な量で存在し得ることが理解される。例えば、ある例示の、非限定的な実施形態において、ビタミンDは本発明の製剤中に、1平方センチメートルあたり約0.1国際単位(IU/cm)から約1000IU/cmのおよその濃度のビタミンDの皮膚への投与をもたらす濃度で存在し、ある望ましい、非限定的な実施形態において、本発明の製剤中に、約0.1IU/cmから約10.0IU/cmの濃度のビタミンDの皮膚への投与をもたらす濃度で存在する。
【0097】
本明細書において論じる通り、本発明の製剤は局所投与された場合、ビタミンDレベルの増大をもたらし、このような増大はいかなる特定のビタミンDレベルまたはビタミンDレベルの範囲にも制限されない。ある望ましい、非限定的な実施形態において、本発明の製剤は局所投与された場合に、約20ng/mLから約100ng/mLの血清ビタミンDレベルをもたらし、ある望ましい、非限定的な実施形態において、本発明の製剤は局所投与された場合に、約30ng/mLから約60ng/mLの血清ビタミンDレベルをもたらす。
【0098】
本明細書における考察および以下の実施例は、本発明の様々な例示の実施形態を記載し、説明するものであるが、これらは説明的なものであり非限定的なものであることが理解される。
【実施例1】
【0099】
最適のビタミンDレベルを維持するための日焼け止め製剤
少なくとも1つの日焼け止め剤を、皮膚に対する太陽光の曝露が低減しても最適なビタミンDレベルを維持するために治療上有効な量のビタミンDと組み合わせて有するように、日焼け止め製剤を当技術分野で認められた技術にしたがって調製する。
【0100】
含まれている日焼け止め剤(1つまたは複数)は、比較的高いSPFを有する「サンスクリーン製剤」をもたらし、この製剤は局所的に適用された場合、個体が野外活動に従事するのを可能にし、同時に有害なUVAおよび/またはUVB光線への皮膚の曝露を低減または除去する。しかし、皮膚の曝露をこのように低減すると、ある期間、ビタミンDの天然の生成が低減または妨害され、したがってこれらの本発明の製剤は、個体における最適なビタミンDレベルが維持されるように、天然のビタミンD生成に対するこれらの製剤の効果を補うのに治療上有効な量のビタミンDと一緒に提供される。
【0101】
製剤が使用されることが意図される環境およびその他の条件、製剤が特定の活動後および/または特定の期間の後に再適用されることが意図されるか否か、ならびに個体におけるビタミンDの経皮送達に影響を及ぼし得るその個体の特有の性質を含めて、特定の日焼け止め剤(1つまたは複数)、ビタミンDの濃度および他の成分が、結果として得られる製剤の特定の意図された使用に基づいて各々の製剤に対して選択される、この実施例による様々な製剤が提供されてよい。
【0102】
したがって、これら本発明の製剤は、様々な活動に従事する数々の個体による使用のために、および様々な条件下でのこれら本発明の製剤の使用に提供されてよく、同時に全ての場合においてこのような個体をUVAおよび/またはUVB光線の悪影響から保護し、同時にこのような個体における最適のビタミンDレベルを維持する。
【実施例2】
【0103】
ビタミンD欠乏および/またはビタミンD不足を治療するための、ならびにこれらに伴う障害および疾患状態を予防するための日焼け止め製剤
少なくとも1つの日焼け止め剤を、ビタミンD欠乏またはビタミンD不足の個体を治療するのに治療上有効な量のビタミンDと組み合わせて有し、それによってこのような個体におけるビタミンDレベルの増大をもたらし、同時に皮膚への太陽光の曝露に対する必要性を除去または低減し、それによって低ビタミンDレベルに伴う様々な疾患状態の発症を予防し得る日焼け止め製剤を、当技術分野で認められた技術にしたがって調製する。
【0104】
このような製剤において、日焼け止め剤(1つまたは複数)の選択は、結果として得られる製剤の所望のSPFを含めた数々の因子に依存する。例えば、より低いSPF値は、UVAおよび/またはUVB曝露を最小にしたいが完全に除去したくないビタミンD欠乏またはビタミンD不足の個体によって所望され得、同時に、例えば、ある障害および/または疾患状態に起因する光感受性(例えば、ビタミンD欠乏および/またはビタミンD不足に特に伴うある種の障害および/または疾患状態を含む)を含めた特定の光感受性を有するビタミンD欠乏またはビタミンD不足の個体は、皮膚への太陽光の曝露を完全に防ぐためにより高いSPFを有する製剤を必要とし得る。しかし、全ての場合において、本発明の製剤は、ビタミンDレベルを、望ましくは最適のビタミンDレベルに増大させ、同時に個体が野外活動に従事するのを可能にする、経皮的に投与される治療上有効な量のビタミンDを提供する。
【0105】
実施例1において論じた本発明の製剤同様、本発明の製剤が用いられることが意図される環境条件およびその他の条件、ならびに本発明の製剤が特定の活動後および/または特定の期間の後再適用されることが意図されるか否かを含めて、特定の日焼け止め剤(1つまたは複数)、ビタミンDの濃度および他の成分が、結果として得られる本発明の製剤の特定の意図された使用に基づいて、ならびに個体におけるビタミンDの経皮送達に影響を及ぼし得ることが意図される個体の特定の性質も考慮に入れて、各々の本発明の製剤に対して選択される、これら本発明の治療用製剤が提供されてよい。
【0106】
したがって、これら本発明の治療用製剤は、様々な活動に従事する数々の個体による使用のために、および様々な条件下でのこれら本発明の治療用製剤の使用に提供されてよく、同時に全ての場合においてこのような個体をUVAおよび/またはUVB光線の有害な効果から保護し、同時にこのような個体におけるビタミンDレベルを増大させる。
【実施例3】
【0107】
ビタミンD欠乏および/またはビタミンD不足に伴う障害および/または疾患状態を治療するための日焼け止め製剤
少なくとも1つの日焼け止め剤を、ビタミンD欠乏および/またはビタミンD不足に伴う障害および/または疾患を治療するのに治療上有効な量のビタミンDと組み合わせて有するように、当技術分野で認められた技術にしたがって、日焼け止め製剤を調製する。本明細書において論じる通り、本発明の製剤を用いて治療され得るこのような障害および/または疾患は、例えば、制限なく、カルシウム取込みの低下に伴う障害および疾患;骨減少症、骨軟化症、骨粗鬆症およびくる病を含む骨関連障害および疾患;冠動脈疾患、高血圧および末梢動脈疾患を含む血管障害および疾患;多発性硬化症、線維筋症、関節リウマチ、グレーブス病および狼瘡を含む自己免疫障害および疾患;結核;歯周性の障害および疾患;慢性疼痛;季節的情動障害;認知障害;うつ病;I型糖尿病;慢性腎疾患;副甲状腺機能低下症;パーキンソン病、ならびに乳癌、前立腺癌、大腸癌および皮膚癌を含むあるタイプの癌を含む。
【0108】
上記で論じた製剤同様、これら本発明の治療用製剤において、日焼け止め剤(1つまたは複数)の選択は、結果として得られる本発明の製剤の所望のSPFを含めた数々の因子に依存する。例えば、より低いSPF値は、UVAおよび/またはUVB曝露を最小にしたいが完全に除去したくない個体によって所望され得、同時に、特異的光感受性を有する個体、特に、例えば免疫障害などのある種の障害および/または疾患の結果として光感受性を有する個体は、皮膚への太陽光の曝露を完全に防ぐためにより高いSPFを有する製剤を必要とし得る。
【0109】
しかし、全ての場合において、これら本発明の製剤は、経皮的に投与されて個体におけるビタミンDレベルを、望ましくは最適のビタミンDに増大させ、同時にこのような個体が野外活動に従事するのを可能にする、治療上有効な量のビタミンDを提供する。
【0110】
上記で論じた本発明の製剤同様、本発明の製剤が用いられることが意図される環境およびその他の条件、ならびに本発明の製剤が特定の活動後および/または特定の期間後に再適用されることが意図されるか否かを含めて、特定の日焼け止め剤(1つまたは複数)、ビタミンDの濃度および他の成分が、結果として得られる製剤の特定の意図された使用に基づいて、ならびにこのような個体におけるビタミンDの経皮送達に影響を及ぼし得ることが意図される個体の特定の性質も考慮に入れて、各々の本発明の製剤に対して選択される、これら本発明の治療用製剤が提供されてよい。
【0111】
したがって、これら本発明の製剤は、様々な活動に従事する数々の個体による使用のために、および様々な条件下でのこれら本発明の治療用製剤の使用に提供されてよく、同時に全ての場合においてこのような個体をUVAおよびUBV光線の悪影響から保護し、同時にこのような個体における障害および/または疾患を治療するのに治療上有効な量のビタミンDを投与する。
【実施例4】
【0112】
製剤
本明細書に提供する教示より、当業者であれば、1つまたは複数の日焼け止め剤および治療上有効な量のビタミンDを有する本発明の製剤を作成することができ、確立された動物モデル(例えば、制限なく、経皮的な薬物送達に適する動物モデル)において、慣例的な薬物動態分析および技術を用いてこのような本発明の製剤の安全性および有効性を試験することができ、また、このような本発明の製剤を特定の個体によって使用するのに、特定の活動の間に使用するのに、および/または特定の環境条件に曝露した場合に使用するのに適するようにする成分を用いて調製することができる。
【0113】
サンスクリーン製剤は、慣例的に約2mg/cmの皮膚濃度で試験されることが理解され、したがって本発明の範囲内の製剤はこのような濃度またはおよそこのような濃度で試験され得ることが企図されるが、本発明の範囲内の製剤の安全性および有効性は、製剤が意図された濃度で確実に局所的に投与されるように、適用されるのが意図されるあらゆる皮膚濃度に基づいて決定されてよく、ある実施形態において特定の指示が提供されてよく、および/または製剤自体が特定の形態で提供されてよいことがさらに理解される(例えば、制限なく、ある実施形態において、本発明の製剤は、身体のある部分上において使用するためなど、定量において提供されてよい)。
【実施例5】
【0114】
治療用ビタミンD製剤
本発明は、概ね上記で教示される通りであるが日焼け止め剤を含まない治療用ビタミンD製剤も含む。本実施例による製剤は、個体に(好ましくは1つまたは複数の適用において経皮的に)投与した場合に、個体の血清ビタミンDレベルを増大させるために治療上有効である量で存在するビタミンD化合物を含む。
【0115】
これら製剤は、ビタミンD欠乏および/またはビタミンD不足の個体を治療するのに用いられてよく、例えば上記で論じた障害および疾患を含めた、ビタミンD欠乏および/またはビタミンD不足に伴う障害および/または疾患を治療および/または予防するのに用いられてよい。
【0116】
本実施例による製剤は、上記で論じたものなどの医薬的に有効な担体および他の成分を含むことができ、概ね、当技術分野で認められている技術を用いて上記で教示した通りに調製されてよい。これらの製剤は、上記で論じたものを含めた、あらゆる適切な形態で提供されてよい。
【0117】
本実施例による製剤は、ある実施形態において、約0.1IU/cmから約1000IU/cmの濃度のビタミンD化合物の皮膚への投与をもたらす濃度で存在し、ある種の望ましい、非限定的な実施形態において、約0.1IU/cmから約10.0IU/cmの濃度のビタミンD化合物の皮膚への投与をもたらす濃度で存在するビタミンD化合物を含む。ある種の望ましい、非限定的な実施形態において、本実施例によるビタミンD製剤は、局所投与される場合、約20ng/mLから約100ng/mLの血清ビタミンDレベルをもたらし、ある種の望ましい、非限定的な実施形態において、局所投与された場合、約30ng/mLから約60ng/mLの血清ビタミンDレベルをもたらす。
【0118】
上記の開示が与えられれば、他の多くの特徴、改変および改善は当業者に明らかになる。このような特徴、改変および改善は、したがって、本明細書において記載される実施例の実施形態によって課せられる制限なしに、本発明の部分としてみなされる。さらに、本明細書における実施形態を記載し、または説明するために用いられる、あらゆる単語、語、句、特徴、例、実施形態またはこれらの部分もしくは組合せは、特に一意的に規定されると明確に記載されなければ、または他の方法で限定的であると明確に記載されなければ、それによって特許権の範囲が他の方法で決定される請求項の語の通常の意味に反して、本発明に対する範囲を狭めることを伝えようとするものではない。本明細書において論じられ、開示される参照はすべて、その全文において参照によって本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの日焼け止め剤、(b)哺乳動物に投与した場合に血清ビタミンDレベルを増大させるために治療上有効な量で存在する少なくとも1つのビタミンD化合物、ならびに(c)前記少なくとも1つの日焼け止め剤および前記少なくとも1つのビタミンD化合物を局所投与するのに有効な医薬担体を含む、治療用日焼け止め組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのビタミンD化合物が、前記少なくとも1つの日焼け止め剤に起因する太陽光への曝露の低減による前記哺乳動物の天然のビタミンD生成の低減を補う量で存在する、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項3】
前記哺乳動物がビタミンD欠乏である、またはビタミンD不足である、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項4】
前記哺乳動物が、約20ng/mL未満の血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度を有する、請求項3に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのビタミンD化合物の前記哺乳動物への投与が、前記哺乳動物における約20ng/mLから約100ng/mLまでの範囲における血清(25−ヒドロキシ)ビタミンD濃度をもたらす、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのビタミンD化合物が、約0.1IU/cmから約1000IU/cmの濃度の前記少なくとも1つのビタミンD化合物の前記哺乳動物の皮膚への投与をもたらす濃度で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのビタミンD化合物が、約0.1IU/cmから約10.0IU/cmの濃度の前記少なくとも1つのビタミンD化合物の前記哺乳動物の皮膚への投与をもたらす濃度で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つの日焼け止め剤が、アミノ安息香酸、アボベンゾン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン−3、シンナメート、シノキセート、ジオキシベンゾン、エカムスル(ecamsule)、エンスリゾール(ensulizole)、エチルヘキシルp−メトキシシンナメート、ホモサレート、アントラニル酸メンチル、メラジメート(meradimate)、オクチノキサート、オクチサレート、オクトクリレン、オクチルジメチルpaba、メトキシケイヒ酸オクチル(OMC)、サリチル酸オクチル(OCS)、オキシベンゾン、パジメート−O、パラアミノ安息香酸(PABA)、parsol(登録商標)1789、サリチレート、スルイソベンゾン、スルイソベンゾン、二酸化チタン、トロラミンサリチレート、UVAII、UVBおよび酸化亜鉛からなる群から選択される、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つのビタミンD化合物が、ビタミンD(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD(コレカルシフェロール)、ビタミンD前駆物質、これらの不活性型、活性型および代謝産物からなる群から選択される、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つの日焼け止め剤、前記少なくとも1つのビタミンD化合物および前記医薬担体が、クリーム剤、ゲル剤、液剤、ローション剤、溶液剤、噴霧剤、乳剤、エアロゾル剤またはこれらの組合せの形態で組み合わせて提供される、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項11】
前記医薬的に有効な担体が、水、アルコール、他のオイルフリーの担体またはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの皮膚軟化剤をさらに含む、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つの皮膚軟化剤が、脂肪エステル、脂肪アルコール、鉱物油、ポリエーテルシロキサンコポリマー、ポリプロピレングリコール(「PPG」)−15ステアリルエーテル、PPG−10アセチルエーテル、ステアレス−10、オレス−8、PPG−4ラウリルエーテル、ビタミンEアセテート、PEG−7グリセリルココエート、ラノリン、セチルアルコール、オクチルヒドロキシステアレート、ジメチコン、セチルアルコール、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ジメチコン、これらの誘導体、組合せおよび混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの皮膚コンディション剤をさらに含む、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの皮膚コンディション剤が、コロイド状オートミール、オリーブ葉、スルホン化シェール油、エルビオール(elubiol)、6−(1−ピペリジニル)−2,4−ピリミジンジアミン−3−オキシド、フィナステリド、ケトコナゾール、亜鉛ピリチオン、コールタール、過酸化ベンゾイル、硫化セレン、ヒドロコルチゾン、塩酸プラモキシン、塩化トリセチルアンモニウム、ポリクオタニウム10、パンテノール、三酢酸パンテノール、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ケラチン、リジン、アルギニン、加水分解コムギタンパク質、加水分解シルクタンパク質、メトキシケイ皮酸オクチル、オキシベンゾン、ミノキシジル、二酸化チタン、二酸化亜鉛、エリスロマイシン(erthromycin)、トレチノイン、これらの誘導体、組合せおよび混合物からなる群から選択される、請求項14に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項16】
少なくとも1つの安定化剤をさらに含む、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの安定化剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トリエタノールアミン(TEA)、グリセリン、プロピレングリコール、これらの誘導体、組合せおよび混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの湿潤剤をさらに含む、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1つの湿潤剤が、グリセロール/グリセリン、ポリアルキレングリコール、アルキレンポリオール(ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールを含む)、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ジブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシ化グリセロール、プロポキシ化グリセロール、これらの誘導体、組合せおよび混合物からなる群から選択される多価アルコールである、請求項18に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項20】
少なくとも1つの乳化剤をさらに含む、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1つの乳化剤が、ポリソルベート80、ジステアリン酸グリセリル、POE10ステアリルエーテル、セテアレス20、ステアリルアルコール、セテアレス20、セテアリルアルコール、他のオイルフリーの乳化剤、これらの誘導体、組合せおよび混合物からなる群から選択される、請求項20に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項22】
少なくとも1つのコンディショニング剤をさらに含む、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1つのコンディショニング剤が、ヒドロキシステアリン酸オクチル;皮膚軟化剤、例えば、コレステロールNF、ワセリン、鉱物油等、ならびにミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、1−デセンポリマー(水素化)および安息香酸C12−C15アルコールを含むエステル、これらの誘導体、組合せ、ならびに混合物からなる群から選択される、請求項22に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項24】
少なくとも1つの増粘剤をさらに含む、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1つの増粘剤が、ポリアクリルアミド、C13−C14イソパラフィン、ラウレス−7、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物からなる群から選択される、請求項24に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項26】
少なくとも1つの抗酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項27】
前記少なくとも1つの抗酸化剤が、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、BHT、酢酸トコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、フェニル−α−ナフチルアミン、ヒドロキノン、没食子酸プロピル、ノルジヒドロキアレチック酸(nordihydroquiaretic acid)、ガルシニア・マンゴスタナ(Garcinia Mangostana)(マンゴスティーン(Mangosteen))皮抽出物、カメリア・シネンシス(Camellia Sinensis)(緑茶および白茶)葉抽出物、プニカ・グラナツム(Punica Granatum)(ザクロ)抽出物、ならびにこれらの誘導体、組合せおよび混合物からなる群から選択される、請求項26に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項28】
抗酸化剤であるガルシニア・マンゴスタナ(マンゴスティーン)皮抽出物、カメリア・シネンシス(緑茶および白茶)葉抽出物、ならびにプニカ・グラナツム(ザクロ)抽出物を一緒に組み合わせてさらに含む、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項29】
少なくとも1つのUV安定化剤、または少なくとも1つのUV線吸収剤をさらに含む、請求項1に記載の治療用日焼け止め組成物。
【請求項30】
哺乳動物に日焼け止め組成物を局所投与することを含み、前記日焼け止め組成物が、(a)少なくとも1つの日焼け止め剤、(b)前記哺乳動物に投与した場合に血清ビタミンDレベルを増大させるために治療上有効な量で存在する少なくとも1つのビタミンD化合物、ならびに(c)前記少なくとも1つの日焼け止め剤および前記少なくとも1つのビタミンD化合物を前記哺乳動物に局所投与するのに有効な医薬担体を含む、ビタミンD欠乏またはビタミンD不足に伴う障害および疾患を予防する方法。
【請求項31】
前記日焼け止め組成物が前記哺乳動物に単回適用において局所投与され、または前記哺乳動物に複数回適用において局所投与される、請求項30に記載のビタミンD欠乏またはビタミンD不足に伴う障害および疾患を予防する方法。
【請求項32】
ビタミンD欠乏に伴う障害または疾患を少なくとも1つ有する哺乳動物に日焼け止め組成物を投局所与することを含み、前記日焼け止め組成物が、(a)少なくとも1つの日焼け止め剤、(b)前記に投与した場合に血清ビタミンDレベルを増大させるために治療上有効な量で存在する少なくとも1つのビタミンD化合物、ならびに(c)前記少なくとも1つの日焼け止め剤および前記少なくとも1つのビタミンD化合物を前記哺乳動物に局所投与するのに有効な医薬担体を含む、ビタミンD欠乏またはビタミンD不足に伴う障害および疾患を治療する方法。
【請求項33】
前記ビタミンD欠乏またはビタミンD不足に伴う障害および疾患の少なくとも1つが、カルシウム取込みの低下、骨関連障害および疾患、血管障害および疾患、自己免疫障害および疾患、結核、歯周病、慢性疼痛、季節的情動障害、認知障害、うつ病、I型糖尿病、慢性腎疾患、副甲状腺機能低下症、パーキンソン病、ならびに癌に伴う障害および疾患からなる群から選択される、請求項32に記載のビタミンD欠乏またはビタミンD不足に伴う障害および疾患を治療する方法。
【請求項34】
前記日焼け止め組成物が単回適用において前記哺乳動物に局所投与され、または複数回適用において前記哺乳動物に局所投与される、請求項32に記載のビタミンD欠乏またはビタミンD不足に伴う障害および疾患を治療する方法。

【公表番号】特表2013−501067(P2013−501067A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523720(P2012−523720)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/044319
【国際公開番号】WO2011/017380
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(512028873)アビダス・フアーマシユーテイカルズ・エル・エル・シー (1)
【Fターム(参考)】