説明

治療薬を放出するための泌尿器科学的医療機器

【課題】治療薬を放出するための泌尿器科学的医療機器を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、泌尿器科学的医療機器が提供され、これは1種またはそれ以上の、特にα-アドレナリン作動遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、およびこれらの組合せから選択される、泌尿器科学的に有益な薬剤を含む。この泌尿器科学的機器は、対象の尿管に移植または挿入して、該泌尿器科学的に有益な薬剤の少なくとも一部分を、そこから放出するのに適したものである。このような薬剤は、例えば特に、該医療機器と関連する痛みおよび/または不快感を軽減し、および/または結石駆逐薬(即ち、結石の通りを容易にする)として作用する点において、泌尿器科学的に有益である。本発明の一態様によれば、腎臓結石を治療するための方法が提供され、該方法は、以下の工程:(a) 対象内の腎臓結石の有無を診断する工程;および(b) 該対象に、少なくとも1種の泌尿器科学的に有益な薬剤を含有する泌尿器科学的医療機器を移植または挿入する工程を含む。該医療機器は、腎臓結石の排除を促進するのに有効な量で、インビボにて該少なくとも1種の泌尿器科学的に有益な薬剤を放出するのに適したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には泌尿器科学的医療機器に係り、またより詳しくは治療薬を放出する、移植可能なまたは挿入可能な泌尿器科学的医療機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
様々な泌尿器科学的医療機器が、患者に移植し、または挿入するために開発されている。このような医療機器は、一般に患者内に配置された後に、幾分かの該患者の不快感または苦痛を伴う。具体的な一例として、例えば尿管内視鏡検査、尿路内切除術(endourerotomies)、および尿管狭窄症に関連する腎孟内切開術等に伴う上部尿管(例えば、腎臓から膀胱までの)における、並びに砕石術に伴う尿管閉塞等が発生するような、その他の例において、排泄を容易にする目的で、尿管ステントが広く利用されている。しかし、このようなステントは、一般的に、その挿入後に、膀胱および脾腹領域における苦痛および不快感を伴う。苦痛および不快感を最小化する一つの方法は、該患者に薬物を経口投与することである。これまで、最も一般的に処方されている経口投与剤は、オピオイド鎮痛薬(例えば、ビコジン(Vicodin(登録商標))およびペルコセット(Percocet(登録商標))であり、これらは、規制薬物であり、また患者によって誤用される恐れがある。苦痛および不快感を扱うもう一つの方法は、抗炎症剤、鎮痛剤、麻酔剤、鎮痙剤、またはこれらの組合せから選択される治療薬を、泌尿器科学的機器から放出することである。これについては、例えばLi等に付与された、米国特許出願公開第2003/0224033号を参照のこと。
【0003】
腎臓結石が、尿管内の痛みの、もう一つの一般的な原因である。腎臓結石は、化学物質の様々な組合せを含んでいる可能性がある。例えば、最も一般的な型の結石は、シュウ酸塩またはリン酸塩との組合せで、カルシウムを含有する。これらの化学物質は、ヒトの通常の食事の一部であり、また骨および筋肉等の身体の重要な部分を作り上げている。余り一般的でない結石は、尿路内の感染に起因するものである。この型の結石は、ストルバイトまたは感染結石と呼ばれている。更に一般的でない結石は、尿酸およびシスチン結石である。尿石症は、尿路において起こる結石を説明するために使用される医学用語である。もう一つの高頻度で使用される用語は、腎石症である。尿管結石(または尿管結石症)は、尿管において見出される腎結石である。ここにおいて規定するように、該用語「腎結石」または「結石」とは、あらゆるサイズおよびあらゆる組成を持つ、尿路のあらゆる結石を包含する。
【0004】
通常、腎結石の第一の症状は、極度の痛みである。この痛みは、しばしば尿路(例えば、尿管)において結石が移動した際に、突然始まり、炎症または閉塞を生じ、また該尿路壁(例えば、尿管壁)における筋肉が、該結石を該尿路の更に下方に絞り出そうとした際に、この痛みは持続する恐れがある。腎疝痛は、腎結石に起因して起る状態に対して与えられた名称であり、また症状は、しばしば痛烈で、しばしば吐き気および嘔吐を伴う、痛みを含む。
【0005】
体外衝撃波砕石術が、腎結石の治療のための一般的な処置であり、そこでは、身体外において生成された衝撃波が、身体内に誘導され、そこで該衝撃波が結石に打撃を与える。他の一般的な手立てにおいては、衝撃波発生機器が、尿路を介して該結石まで進められる。何れの場合においても、衝撃波により、該結石はより小さな断片に破壊され、該断片は容易に尿路を通して尿中に排出し得る。しかし、幾つかの例においては、該粉砕された結石の断片が、尿路を介して移動する際に不快感を生じ、このような場合に、医師は、該対象に尿路ステントを装入して、該断片の通過を補助することができる。しかし、このような手順によっても、該結石が尿路を通過することは困難であり得、とりわけより侵襲的な手順、例えば経皮腎切石術の実施を要する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によれば、泌尿器科学的医療機器が提供され、これは、特に1またはそれ以上の、α-アドレナリン作動遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、およびこれらの組合せから選択される、泌尿器科学的に有益な薬剤を含む。この泌尿器科学的機器は、対象の尿路(例えば、尿道、膀胱、尿管および腎臓の1またはそれ以上を占める)に対して移植または挿入し、結果的に該泌尿器科学的に有益な薬剤の少なくとも一部分を放出するのに適したものである。このような薬剤は、他の利点もあるが、例えば該医療機器と関連する痛みおよび/または不快感を軽減することができ、および/または結石駆逐剤として機能できる(即ち、結石の通過を容易にする)点で、泌尿器科学的に有益である。
【0007】
本発明の他の態様によれば、腎結石を処理する方法が提供され、該方法は、以下の工程:(a) 対象内における腎臓結石の有無を診断する工程;(b) 該対象に、結石駆逐剤として機能する、少なくとも1種の泌尿器科学的に有益な薬剤を含有する、泌尿器科学的医療機器を移植または挿入する工程を含む。該医療機器は、腎結石の駆逐を促進するのに有効な量で、インビボにて、該少なくとも1種の泌尿器科学的に有益な薬剤を放出するのに適したものである。
【0008】
本発明の更に別の態様を、以下のパラグラフに列挙する:
【0009】
態様1:α-アドレナリン作動遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、およびこれらの組合せから選択される、泌尿器科学的に有益な薬剤を含み、対象の身体に移植または挿入して、該泌尿器科学的に有益な薬剤の少なくとも一部分を、インビボにおいて放出するのに適したものであることを特徴とする、泌尿器科学的医療機器。
【0010】
態様2:前記泌尿器科学的医療機器が、細長い中実機器である、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0011】
態様3:前記泌尿器科学的医療機器が、細長い中空機器である、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0012】
態様4:前記泌尿器科学的医療機器が、別の医療機器のチャンネルを介して、前記対象内に導入するのに適している、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0013】
態様5:前記泌尿器科学的医療機器が、ガイドワイヤを通して、前記対象内に導入するのに適したものである、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0014】
態様6:前記泌尿器科学的医療機器が、前記対象内において、ラセン形状を呈するのに適したものである、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0015】
態様7:前記泌尿器科学的医療機器が、泌尿器科学的ステント、結石除去機器、およびカテーテルから選択される、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0016】
態様8:複数の異なる泌尿器科学的に有益な薬剤を含む、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0017】
態様9:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、結石排除を促進するのに有効な量で、インビボにおいて放出される、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0018】
態様10:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、前記機器と関連する痛みまたは不快感を減じるのに有効な量で、インビボにおいて放出される、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0019】
態様11:前記機器が、尿管ステントであり、かつ前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、尿管平滑筋の弛緩を促進するのに有効な量で、インビボにおいて放出される、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0020】
態様12:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、カルシウムチャンネル遮断剤である、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0021】
態様13:前記カルシウムチャンネル遮断剤が、ベンゾチアゼピン、ジヒドロピリジン、アリールアルキルアミン、ピペラジン、およびこれらの組合せから選択される、前記態様12の泌尿器科学的医療機器。
【0022】
態様14:前記カルシウムチャンネル遮断剤が、ジルチアゼム、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ベプリジル、ベラパミル、ミベフラジル(mibefradil)、これらの薬学的に有効な塩およびエステル、およびこれらの組合せから選択される、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0023】
態様15:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、α-アドレナリン作動遮断剤である、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0024】
態様16:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、α-1-アドレナリン作動遮断剤である、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0025】
態様17:前記α-アドレナリン作動遮断剤が、アルフゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、タムスロシン(Tamsulosin)、テラゾシン、これらの薬学的に有効な塩およびエステル、およびこれらの組合せから選択される、前記態様15の泌尿器科学的医療機器。
【0026】
態様18:補助薬を含み、結果として該補助薬の少なくとも一部が、インビボにおいて放出され、該補助薬が、コルチコステロイド、麻酔性鎮痛剤、非-麻酔性鎮痛剤、局所麻酔剤、抗生物質、およびこれらの組合せから選択される、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0027】
態様19:造影剤を含む、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0028】
態様20:前記医療機器が、前記泌尿器科学的に有益な薬剤を含有する、ポリマー担体領域を含む、前記態様1の泌尿器科学的医療機器。
【0029】
態様21:前記ポリマー担体領域が、泌尿器科学的医療機器本体に相当する、前記態様20の泌尿器科学的医療機器。
【0030】
態様22:前記ポリマー担体領域が、下方の前記泌尿器科学的医療機器本体を、少なくとも部分的に覆っている、層の形状にある、前記態様20の泌尿器科学的医療機器。
【0031】
態様23:前記ポリマー担体領域が、コルチコステロイド、麻酔性鎮痛剤、非-麻酔性鎮痛剤、局所麻酔剤、抗生物質、造影剤およびこれらの組合せから選択される補助薬を含む、前記態様20の泌尿器科学的医療機器。
【0032】
態様24:前記ポリマー担体領域が、ヒドロゲルを含む、前記態様20の泌尿器科学的医療機器。
【0033】
態様25:前記ポリマー担体領域が、生分解性ポリマーを含む、前記態様20の泌尿器科学的医療機器。
【0034】
態様26:前記ポリマー担体領域がポリカーボネート、シリコーンホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリ(エーテル-b-アミド)、およびアルケンホモポリマーおよびコポリマーから選択されるポリマーを含む、前記態様20の泌尿器科学的医療機器。
【0035】
態様27:前記ポリマー担体領域が、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-メタクリル酸コポリマー、エチレン-アクリル酸コポリマー、およびスチレン-イソブチレンコポリマーから選択されるアルケンコポリマーを含む、前記態様20の泌尿器科学的医療機器。
【0036】
態様28:腎臓結石を治療するための方法であって、以下の工程:(a) 1またはそれ以上の腎臓結石を持つ対象を同定する工程;(b) 該対象に、泌尿器科学的に有益な薬剤を含有する泌尿器科学的医療機器を移植または挿入する工程を含み、該医療機器が、腎結石の排除を促進するのに有効な量で、インビボにて該泌尿器科学的に有益な薬剤を放出するのに適したものであることを特徴とする、前記方法。
【0037】
態様29:前記泌尿器科学的医療機器が、ステントである、前記態様28記載の方法。
【0038】
態様30:複数の異なる泌尿器科学的に有益な薬剤を含む、前記態様28記載の方法。
【0039】
態様31:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、筋弛緩剤である、前記態様28記載の方法。
【0040】
態様32:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、尿管の平滑筋弛緩を促進するのに有効な量並びに位置において、インビボにて放出される、前記態様31記載の方法。
【0041】
態様33:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、カルシウムチャンネル遮断剤である、前記態様28記載の方法。
【0042】
態様34:前記カルシウムチャンネル遮断剤が、ベンゾチアゼピン、ジヒドロピリジン、アリールアルキルアミン、ピペラジン、およびこれらの組合せから選択される、前記態様33記載の方法。
【0043】
態様35:前記カルシウムチャンネル遮断剤が、ジルチアゼム、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ベプリジル、ベラパミル、ミベフラジル、これらの薬学的に有効な塩およびエステル、およびこれらの組合せから選択される、前記態様33記載の方法。
【0044】
態様36:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、α-アドレナリン作動遮断剤である、前記態様28記載の方法。
【0045】
態様37:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、α-1-アドレナリン作動遮断剤である、前記態様28記載の方法。
【0046】
態様38:前記α-アドレナリン作動遮断剤が、アルフゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、これらの薬学的に有効な塩およびエステル、およびこれらの組合せから選択される、前記態様36記載の方法。
【0047】
態様39:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、β-アドレナリン作動アゴニストである、前記態様28記載の方法。
【0048】
態様40:前記β-アドレナリン作動アゴニストがリトドリン、テルブタリン、これらの薬学的に有効な塩およびエステル、およびこれらの組合せから選択される、前記態様39記載の方法。
【0049】
態様41:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、気管支拡張薬である、前記態様28記載の方法。
【0050】
態様42:前記気管支拡張薬が、アルブテロールおよびその薬学的に有効な塩およびエステルから選択される、前記態様41記載の方法。
【0051】
態様43:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、便通薬である、前記態様28記載の方法。
【0052】
態様44:前記便通薬が、マグネシウム塩である、前記態様43記載の方法。
【0053】
態様45:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、一酸化窒素ドナーである、前記態様28記載の方法。
【0054】
態様46:前記一酸化窒素ドナーが、ニトログリセリンである、前記態様45記載の方法。
【0055】
態様47:前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、プロスタグランジンまたはプロスタグランジン類似体である、前記態様28記載の方法。
【0056】
態様48:前記医療機器が、前記泌尿器科学的に有益な薬剤を含有する、ポリマー担体領域を含む、前記態様28記載の方法。
【0057】
態様49:前記医療機器が、コルチコステロイド、麻酔性鎮痛剤、非-麻酔性鎮痛剤、局所麻酔剤、抗生物質、およびこれらの組合せから選択される補助薬を、インビボにおいて放出するのに適したものである、前記態様28記載の方法。
【0058】
本発明の利点は、以下のような医療機器が提供される点にあり、この機器は、様々なその治療上の利益の中でも、特に(a) 該医療機器に関連する痛みおよび/または不快感を軽減し、(b) 腎結石の通過を容易にし、あるいは(c) これら利点両者を同時に達成するものである。
【0059】
本発明のもう一つの利点は、泌尿器科学的に有益な薬剤を、局部的に適用できる点にあり、その結果、典型的には効能を発揮するためには、より多量の薬物を必要とする、全身的な薬物投与の必要性を回避することにある。この点に関連して、殆ど全ての治療剤は、副作用を持つ。
【0060】
本発明のこれらおよびその他の態様、態様及び利点は、以下の明細書の記載、および添付した特許請求の範囲を精査することにより、当業者には即座に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、本発明の一態様に従う、尿管ステントの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明のより完全な理解は、本発明の多数の態様および態様に関する、以下の詳細な説明を参照することによって可能となる。以下の本発明に関する詳細な説明は、例示のためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0063】
一態様において、本発明は、移植可能なまたは挿入することのできる、泌尿器科学的医療機器を提供し、該機器は、薬理的に有効な量で、1またはそれ以上の泌尿器科学的に有益な薬剤を放出するのに適したものである。例えば、このような薬剤は、特に以下のような利益を得るのに効果的な量で与えることができる:(a) 該医療機器に関連する痛みおよび/または不快感の軽減;および/または(b) 腎結石排除の容易化。好ましい対象(「患者」とも言う)は、脊椎のある対象、より好ましくは哺乳動物としての対象およびより好ましくはヒトとしての対象である。
【0064】
ここで使用する用語「泌尿器科学的に有益な薬剤」とは、移植可能なまたは挿入可能な泌尿器科学的医療機器から放出する際に、ヒトおよび動物に対して十分に安全かつ有効なものとして、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)または農務省(Department of Agriculture)によって承認されあるいは承認され得る薬剤を意味する。
【0065】
本発明と共に使用するための泌尿器科学的医療機器は、腎臓(例えば、腎杯、腎孟等)、尿管、膀胱および尿道を包含する、対象の尿管に配置するのに適した任意の機器を含む。これらは、多くの様々な規則的および不規則的断面の中でも、特に円形(例えば、管状およびロッド-形状を持つ機器)、卵型、三角形、および矩形(例えば、リボン-型の機器)を包含する、様々な中実および中空断面の何れかを持つ長い機器を含む、様々な長い機器を包含する。その具体例は、特に泌尿器科学的ステント、例えば尿道および尿管ステント、泌尿器科学的カテーテル(例えば、排液カテーテル、案内カテーテル等)、ガイドワイヤ、泌尿器科学的スコープ(例えば、サイトスコープ、尿管スコープ、腎臓スコープ等)、組織工学的足場、グラフト、パッチ(布片)、合成メッシュ、および注入可能なインプラントを含む。
【0066】
幾つかの態様においては、ガイドワイヤに沿って前進させる、あるいはチャンネルを介して前進させるのに適した機器、例えば案内カテーテルまたはスコープと結合したものを提供する。
【0067】
幾つかの態様においては、例えばガイドワイヤを取外した、あるいはチャンネルから出てきた(例えば、該材料の弾性的反発により)、あるいは熱または光等の外的な刺激を適用した(例えば、形状記憶材料、例えば形状記憶ポリマーを使用した場合)直後に、インビボにて特定の有益な形状を取る機器を使用することができる。例えば、該機器は、ラセン形状等の非線形の形状を取ることができる。このような構成は、例えば腎臓(例えば、腎杯、腎孟等)、膀胱またはこれら両者において、コイルまたは他の定着要素を形成することにより、該医療機器を、該尿管内の所定位置に維持することを可能とする。
【0068】
この点に関連して、尿管カテーテルは、一般に2つのコイルまたは「弁髪状部」を持つように与えられて、適切な配置に維持される。ここで、該2つのコイルの一方は、膀胱中に形成され、また他方は腎臓内に形成される。このようなステント10の模式的な図を、図1に示す。該ステント10は、腎臓弁髪状部12、シャフト14および膀胱弁髪状部16を含む、管状ポリマー押出物である。図示されたステント10は、当分野において公知の如く、更に以下のものを備えている:(a) 挿入を補助するための、テーパーを持つ先端部11;(b) 排液を促進するために身体の長さ方向に下向きに、ラセンパターンで配列されている、多数の側部部分18(一つだけ番号付けされている);(c) 適当な長さのステントが、尿管に挿入された時点を、医師に知らしめるために使用される、目盛20;および(d) 該ステントを配置し、また取出すのを補助するためのナイロン製縫合糸22。配置に際して、このような尿管ステント10は、典型的には、泌尿器科学的ガイドワイヤを介して、サイトスコープを通して配置され、またポジショナーを用いて所定位置に前進させる。該ステントの前端部は、これが一旦腎臓/腎杯まで前進された後、該ガイドワイヤが除去されて、腎臓および膀胱内に弁髪状部分12、16を生成する。
【0069】
本発明によれば、該ステント10は、1またはそれ以上の泌尿器科学的に有益な薬剤をも含む。
【0070】
幾つかの態様において、本発明において使用する泌尿器科学的に有益な薬剤は、筋肉弛緩活性を持つ(例えば、向筋肉性弛緩特性、平滑筋弛緩特性等を持つ)。
【0071】
本発明において使用する泌尿器科学的に有益な薬剤は、例えば特に以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:α-アドレナリン作動遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、β-アドレナリン作動アゴニストスト、気管支拡張剤、一酸化窒素ドナー、一酸化窒素放出化合物、プロスタグランジン、便通薬、およびこれらの組合せ。
【0072】
本発明において使用するα-アドレナリン作動遮断剤の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特にアルフゾシン、アモスラロール、アロチノロール、ダピプラゾール、ドキサゾシン、メシル酸エルゴロイド、フェンスピリド、イダゾキサン、インドラミン、ラベタロール、マノテピル(manotepil)、ナフトピジル、ニセルゴリン(nicergoline)、プラゾシン、タムスロシン(Tamsulosin)、テラゾシン、トラゾリン、トリマゾシン、およびヨヒンビン、これらの組合せ、薬学的に許容される塩、エステル、およびその他の誘導体。中でも、タムスロシン、アルフゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、タムスロシンおよびテラゾシンは、α-1-アドレナリン作動遮断剤であり、その内タムスロシンおよびアルフゾシンは、選択的α-1-アドレナリン作動遮断剤である。
【0073】
本発明において使用するカルシウムチャンネル遮断剤の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:様々なカルシウムチャンネル遮断剤の中で、アリールアルキルアミン(フェニルアルキルアミンを含む)、例えばベラパミル、ガロパミル、ベプリジル、クレンチアゼム、フェンジリン、ミベフラジル(mibefradil)、プレニラミン、セモチアジル(semotiadil)、およびテロジリン;ベンゾチアゼピン、例えばジルチアゼム;ジヒドロピリジン誘導体(1,4-ジヒドロピリジン誘導体を含む)、例えばアムロジピン、アラニジピン(aranidipine)、バルニジピン(barnidipine)、ベニジピン、シルニジピン(cilnidipine)、エフォニジピン(efonidipine)、エルゴジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン(lercanidipine)、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピンおよびニトレンジピン;ピペラジン誘導体、例えばシンナリジン、ドタリジン、フルナリジン、リドフラジンおよびロメリジン(lomerizine);他のカルシウムチャンネル遮断剤、例えばベンシクラン、エタフェノン、ファントファロン(fantofarone)、モナテピル(monatepil)およびペルヘキシリン;並びにこれらの組合せ、薬学的に許容される塩、エステル、およびその他の誘導体。
【0074】
本発明において使用するβ-アドレナリン作動アゴニストの例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、アルブテロール、バムブテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、クロルプレナリン、デノパミン、エフェドリン、エピネフリン、エタフェドリン、エチルノルエピネフリン、フェノテロール、フォルモテロール、ヘキソプレナリン、イボパミン、イソエタリン、イソプロテレノール(isoproterenol)、マブテロール、メタプロテレノール(metapreterenol)、メトキシフェナミン、オキシフェドリン、ピルブテロール、プレナルテロール(prenalterol)、プロカテロール、プロトキロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメテロール、ソテレノール、テルブタリン、トレトキノール、ツロブテロールおよびキサモテロール、並びにこれらの組合せ、薬学的に許容される塩、エステル、およびその他の誘導体。
【0075】
本発明において使用する気管支弛緩剤の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、(a) エフェドリン誘導体、例えばアルブテロール、バムブテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、クロルプレナリン、ジオキセテドリン、エフェドリン、エピネフリン、エプロジノール、エタフェドリン、エチルノルエピネフリン、フェノテロール、フォルモテロール、ヘキソプレナリン、イソエタリン、イソプロテレノール(isoproterenol)、マブテロール、メタプロテレノール(metaproterenol)、n-メチルエフェドリン、ピルブテロール、プロカテロール、プロトキロール、レプロテロール、リミテロール、サルメテロール、ソテレノール、テルブタリン、およびツロブテロール、(b) 四級アンモニウム化合物、例えばベボニウムメチル硫酸、フルトロピウムブロマイド、イプラトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイドおよびチオトロピウム(tiotropium)ブロマイド;(c) キサンチン誘導体、例えばアセフィリン、アセフィリンピペラジン、アムブフィリン(ambuphylline)、アミノフィリン、バミフィリン、コリンテオフィリン、ドキソフィリン、ダイフィリン、エタミフィリン、エトフィリン、グアイフィリン、プロキシフィリン、テオブロミン、1-テオブロミン酢酸およびテオフィリン;および(d) 他の気管支弛緩剤、例えばフェンスピリド、メジバジン、メトキシフェナミン、およびトレトキノール、並びに上記化合物の組合せ、薬学的に許容される塩、エステル、およびその他の誘導体。
【0076】
本発明において使用する酸化窒素ドナー/放出分子の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、無機硝酸塩/亜硝酸塩、例えばニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、およびアミルニトリット、無機ニトロソ化合物、例えばニトロプルシッドナトリウム、シドノニミン(sydnonimines)、例えばモルシドミンおよびリンシドミン、ノノエート(nonoates)、例えばジアゼニウムジオレート(diazenium diolates)およびアルカンジアミンのNO付加生成物、低分子量化合物(例えば、カプトプリル、グルタチオンおよびN-アセチルペニシラミンのS-ニトロソ誘導体)および高分子量化合物(例えば、タンパク質、ペプチド、オリゴ糖、多糖類、合成ポリマー/オリゴマーおよび天然ポリマー/オリゴマーのS-ニトロソ誘導体)を含むS-ニトロソ化合物並びにC-ニトロソ化合物、O-ニトロソ化合物、N-ニトロソ化合物およびL-アルギニン、並びにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびその他の誘導体および上記化合物の組合せ。
【0077】
本発明において使用するプロスタグランジンおよびその類似体の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、プロスタグランジン、例えばPGE1およびPGI2、およびプロスタサイクリン類似体、例えばシプロステン、エポプロステノール、カルバサイクリン、イロプロストおよびベラプロスト、並びにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびその他の誘導体および上記化合物の組合せ。
【0078】
本発明において使用する便通薬の例は、特に、適当なマグネシウム塩、例えば硫酸マグネシウムから選択することができる。
【0079】
1またはそれ以上の泌尿器科学的に有益な薬剤に加えて、本発明の泌尿器科学的医療機器は、1またはそれ以上の随意の補助薬(その幾つかは、泌尿器科学的に有益な特性を持つことができる)をも含むことができる。
【0080】
このような随意の補助薬は、特に、例えば補助的治療薬、例えばコルチコステロイド、麻酔性および非-麻酔性鎮痛薬、局所麻酔剤、抗生物質およびこれらの組合せを含むことができる。また、このような補助的治療薬は、本発明の泌尿器科学的機器とは独立に、例えば全身的投与または他の局所的な投与態様により投与することができる。
【0081】
本発明において使用するコルチコステロイドの例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、デフラザコート(deflazacort)、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、プレドニソロン、プレドニゾンおよびトリアムシノロン、並びにこれらの組合せ、およびこれらの製薬上許容される塩、エステルおよびその他の誘導体。
【0082】
本発明において使用する麻酔性鎮痛薬の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、コデイン、モルフィン、フェンタニル、メペリジン、プロポキシフェン、レボルファノール、オキシコドン、オキシモルフォン、ヒドロモルフォン、ペンタゾシン、およびメタドン、並びにこれらの組合せ、およびこれらの製薬上許容される塩、エステルおよびその他の誘導体。
【0083】
本発明において使用する非-麻酔性鎮痛薬の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、鎮痛薬、例えばアセタミノフェン、および非-ステロイド系抗炎症性薬剤、例えばアスピリン、ジフルーニサル、サルサレート、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセンインドメタシン、セレコキシブ(celecoxib)、バルデコキシブ(valdecoxib)、ジクロフェナク、エトドラック、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトロラック、メクロフェナメート、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダック、トルメチンおよびバルデコキシブ、並びにこれらの組合せ、およびこれらの製薬上許容される塩、エステルおよびその他の誘導体。
【0084】
本発明において使用する局所麻酔剤の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、ベンゾカイン、コカイン、リドカイン、メピバカイン、およびノバカイン、並びにこれらの組合せ、およびこれらの製薬上許容される塩、エステルおよびその他の誘導体。
【0085】
本発明において使用する抗生物質の例は、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる:特に、ペニシリン(例えば、ペニシリンG、メチシリン、オキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、チカルシリン等)、セファロスポリン(例えば、セファロチン、セファゾリン、セフォキシチン、セフォタキシム、セファクロル、セフォペラゾン、セフィキシム、セフトリアキソン、セフロキシム等)、カルバペネム(carbapenems)(例えば、イミペネム、メトロペネム等)、モノバクタム(monobactems)(例えば、アズトレオナム等)、カルバセフェム(carbacephems)(例えば、ロラカルベフ(loracarbef)等)、グリコペプチド(例えば、バンコマイシン、テイコプラニン等)、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、フルオロキノロン(例えば、ノルフルキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、トロバフロキサシン、ガチフロキサシン(gatifloxacin)等)、スルホンアミド(例えば、スルファメトキサゾール、スルファニルアミド等)、ジアミノピリミジン(例えば、トリメトプリム等)、リファンピン、アミノグリコシド(例えば、ストレプトマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン等)、テトラサイクリン(例えば、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、デメクロサイクリン、ミニサイクリン等)、スペクチノマイシン、マクロライド(例えば、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、トリアセチルオレアンドマイシン等)、およびオキサゾリジノン(例えば、リネゾリド(linezolid)等)、並びにこれらの組合せ、およびこれらの製薬上許容される塩、エステルおよびその他の誘導体。
【0086】
多くの上記したおよびその他の泌尿器科学的に有益な薬剤および補助的治療薬は、例えばザメルクインデックス(The Merck Index),第13版, M.J. O'Neil(シニアエディター),メルクリサーチラボラトリーズ(Merck Research Laboratories)社刊, 2001に見出すことができる。
【0087】
補助薬の他の例は、造影剤を含む。
【0088】
例えば、X-線透視検査技術は、患者内の動静を、実時間での患者の監視を可能とする、診断的撮像技術である。透視技術により可視化するために、機器および/または組成物は、典型的に周囲の組織よりもX-線に対してより吸収性のものとする(例えば、放射線不透過性物質)。本発明の様々な態様において、これは、造影剤の使用によって達成される。X-線透視検査技術との組合せで使用される造影剤の例は、特に金属、金属塩および酸化物(特に、ビスマス塩および酸化物)、およびヨウ素化化合物を包含する。このような造影剤のより具体的な例は、特にタングステン、プラチナ、タンタル、イリジウム、金、または他の重質金属、硫酸バリウム、ビスマス次炭酸塩、ビスマストリオキシド、ビスマスオキシクロライド、メトリザミド、イオパミドール、ナトリウムイオタラメート、ナトリウムヨードマイド(iodomide)、およびメグルミンを包含する。
【0089】
超音波技術は、生きた細胞の画像を生成するために、高周波数の音波を使用する。音波シグナルを送出し、反射される超音波エネルギーまたは「エコー」を利用して、該画像を生成する。超音波造影剤は、超音波装置によって生成される画像を増強する物質である。超音波造影剤は、例えばエコー源性(即ち、該反射超音波エネルギーの増加をもたらす物質)またはエコールーセント(即ち、該反射超音波エネルギーの減少を結果する物質)であり得る。本発明との関連で使用するのに適した超音波造影剤は、約0.01〜50μmなる範囲の、より典型的には約0.5〜20μmなる範囲の最大寸法(例えば、球状粒子を用いた場合の、直径)を持つ固体粒子を含む。無機および有機粒子両者を使用することができる。その例は、特に炭酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、ポリ(乳酸)、およびポリ(グリコール酸)の微粒子/微小球を含む。撮像技術において公知の如く、超音波造影剤として、マイクロバブルを使用することも可能である。
【0090】
磁気共鳴映像法(MRI)は、撮像すべき人体部分における、検出可能な磁性種を識別することにより映像を形成する。1H MRIの場合、該検出可能な種は、プロトン(水素原子核)である。対象とする領域における検出可能な種の、周囲環境における検出可能な種からの識別性を高めるために、しばしば造影剤が使用される。これら造影剤は、該周囲環境におけるプロトンの磁気的環境に相対的に、該対象とする領域における検出可能なプロトンの磁気的環境を変更し、結果として該対象とする領域の像を、コントラストが高く、かつより良好なものとすることを可能とする。コントラストを高めたMRIに関して、該造影剤は、大きな磁気モーメントを持ち、比較的長い電子緩和時間を持つことが望ましい。これらの基準に基いて、造影剤、例えばGd(III)、Mn(II)およびFe(III)が使用されている。ガドリニウム(III)は、これら3種の造影剤の中で最大の磁気モーメントを持ち、またその結果として、MRIにおいてコントラストを高めるために、最も広く使用されている常磁性種である。常磁性イオンのキレート、例えばGd-DTPA(リガンドであるジエチレントリアミンペンタ酢酸でキレート化されたガドリニウムイオン)が、MRI造影剤として使用されている。該ガドリニウムまたは他の常磁性イオンのキレート化は、該常磁性金属をより生体適合性とすることにより、その毒性を減じるものと考えられており、また該対象とする領域に対する該造影剤の分布の局在化を助けることができる。これに関する更なる情報は、例えば「磁気共鳴映像法の下で見ることのできる、移植可能なまたは挿入可能な医療機器(Implantable or insertable medical devices visible under magnetic resonance imaging)」と題する、米国特許出願第2003/0100830号に見出すことができる。この特許出願の開示を、本件特許出願と矛盾しない程度まで、参考としてここに組入れる。
【0091】
本発明の幾つかの態様において、1またはそれ以上の薬剤(例えば、泌尿器科学的に有益な薬剤、随意の補助薬、例えば補助的治療薬および補助的造影剤等)を、ポリマー担体領域に配合する。ここで使用するポリマー担体領域なる用語は、1種またはそれ以上のポリマーおよび1種またはそれ以上の薬剤を含むポリマー担体領域を意味し、該薬剤は、インビボにて該ポリマー担体領域から放出されるものでも、そうでなくてもよい。該ポリマー担体領域は、数多くの様々な可能性の中で、例えば泌尿器科学的医療機器全体、または泌尿器科学的医療機器の一部に相当するものであり得る。例えば、該ポリマー担体領域は、医療機器本体(例えば、ステント本体)、泌尿器科学的医療機器の要素、泌尿器科学的医療機器に組込まれた1またはそれ以上の繊維、あるいは下部の基板(例えば、泌尿器科学的医療機器本体)の全体またはその一部に形成された、1またはそれ以上のポリマー層の形状であり得る。層は、様々な位置および様々な形状(例えば、一連の矩形、ストライプまたは任意の他の連続または不連続のパターンの形状)にある、下部の基板上に与えることができる。ここで使用する、所定の物質の「層」とは、長さおよび幅に比して、小さな厚みを持つ、該物質の領域を意味する。ここで使用する層とは、平坦、例えば下部の基板の輪郭を取っているものである必要はない。層は、不連続(例えば、パターン化されたもの)であり得る。用語「フィルム」、「層」および「被膜」は、ここでは互換的に使用できる。
【0092】
「ポリマー領域」とは、1種以上の型のポリマーを含む領域(例えば、被覆層、機器の要素、機器全体等)を意味する。「担体領域」とは、1種またはそれ以上の薬剤、例えば泌尿器科学的に有益な薬剤および随意の補助薬、例えば特に上記したもの等から選択される薬剤を含有する領域を意味する。「ポリマー担体領域」とは、1種またはそれ以上のポリマーおよび1種またはそれ以上の薬剤を含有する領域を意味する。
【0093】
上記の如く、「ポリマー」領域とは、例えば50質量%またはそれ以下から、75質量%まで、90質量%まで、95質量%まで、97.5質量%まで、99質量%までのポリマーあるいはそれ以上のポリマーを含む領域を意味する。
【0094】
ここで使用する「ポリマー」とは、一般的にモノマーと呼ばれる、1種またはそれ以上の構成単位の、多数のコピー(例えば、2乃至5まで、10まで、25まで、50まで、100まで、250まで、500まで、1000まで、あるいはそれ以上のコピー)を含む分子を意味する。
【0095】
ポリマーは、多数の構成をとることができ、該構成は、例えば環状、線状、分岐状、および網状(例えば、架橋された)の構成から選択することができる。分岐状の構成は、星-型の形状(例えば、単一の分岐点から3またはそれ以上の鎖が放射状に伸びる形状、例えば開始剤分子または連結分子)、櫛型の構成(例えば、主鎖と複数の側鎖とを持つ構成)、樹枝状構成(例えば、樹枝状ポリマーおよび超分岐化ポリマー)等を包含する。
【0096】
ここで使用する「ホモポリマー」とは、単一の構成単位の、多数のコピーを含むポリマーである。「コポリマー」とは、少なくとも2種の異なる構成単位の、多数のコピーを含むポリマーであり、その例は、ランダム、統計的(ランダム)、グラジエント、周期的(例えば、交互)およびブロックコポリマーを含む。ここで使用する用語「ブロックコポリマー」とは、例えば1ポリマーブロックにおける構成単位(即ち、モノマー)が、別のポリマーブロックには見られないことから、組成において異なる、2またはそれ以上のポリマーブロックを含むコポリマーである。ここで使用する「ポリマーブロック」とは、一群の構成単位(例えば、2乃至5まで、10まで、25まで、50まで、100まで、250まで、500まで、1000まで、あるいはそれ以上の単位)である。ブロックは、分岐または非-分岐であり得、またこれらは、網状構造(例えば、架橋による)を持つものであり得る。ブロックは、単一の型の構成単位を含むもの(ここでは「ホモポリマーブロック」とも呼ぶ)、または例えばランダム、統計的(ランダム)、グラジエント、または周期的(例えば、交互)分布を与えることのできる、複数の型の構成単位を含むもの(ここでは「コポリマーブロック」とも呼ぶ)を含むことができる。
【0097】
本発明において使用するポリマーは、例えば様々な熱可塑性ポリマー、弾性ポリマー、および熱可塑性-弾性ポリマーから選択することができる。
【0098】
本発明において使用するポリマーは、例えばポリカーボネート、シリコーンポリマー、ポリウレタン、ポリ(エーテル-ブロック-アミド)、およびアルケンポリマーから選択することができる。
【0099】
ポリカーボネートは、炭酸誘導体と芳香族、脂肪族、または混合ジオールとの反応により誘導される。これらは、例えば適当な塩化水素受容体の存在下での、ホスゲンとジオールとの反応により、あるいはジオールと炭酸エステルとの間のメルトエステル交換反応によって製造できる。ポリカーボネートは、広範囲の様々な出発物質から製造することができる。例えば、一般的なポリカーボネート、ビスフェノールAポリカーボネートは、ビスフェノールAとホスゲンとを縮合によって反応させることにより製造される。これに関する更なる情報については、米国特許第5,580,924号を参照のこと。これを参考としてここに組入れる。
【0100】
シリコーンポリマー(ポリシロキサンとも呼ばれる)は、1種またはそれ以上の型の、以下の式で示されるシロキサン単位:

(ここで、R1およびR2は、同一または異なっていてもよく、また例えば1〜10個の炭素原子を持つ直鎖、分岐および環式アルキル基、芳香族基およびアルキル-芳香族基を表す)、および5またはそれ以上、典型的には10乃至25まで、50まで、100まで、250まで、500まで、1000まであるいはそれ以上のシロキサン単位を含むポリマーである。その例は、数多くあるが、特にポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、およびポリジフェニルシロキサンを包含する。
【0101】
一般に、ポリウレタンは、多官能性イソシアネート(例えば、脂肪族および芳香族ジイソシアネート両者を含むジイソシアネート)と、ポリオール(マクログリコール、例えばマクロジオールとも呼ばれる)とから合成される一群のポリマーである。一般的に使用されるマクログリコールは、ポリエステルグリコール、ポリエーテルグリコールおよびポリカーボネートグリコールを含む。典型的には、連鎖延長剤として、脂肪族または芳香族ジオールをも使用して、例えば上記の如き有用な物性を、生成するポリマーに付与する。ジオール連鎖延長剤の例は、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ベンゼンジメタノール、ヒドロキノンジエタノールおよびエチレングリコールを含む。ポリウレタンは、一般的に使用したマクログリコールの型に基いて分類され、ポリエステルグリコールを含むものはポリエステルポリウレタンと呼ばれ、ポリエーテルグリコールを含むものはポリエーテルポリウレタンと呼ばれ、またポリカーボネートグリコールを含むものはポリカーボネートポリウレタンと呼ばれる。ポリウレタンは、また一般的にその処方におけるジイソシアネート成分の化学的特性を基準として、芳香族または脂肪族ポリウレタンとも呼ばれる。例えば、Belliveau等による、米国特許出願第2004/0131863号は、脂肪族ポリカーボネートポリウレタンを記載しており、これらは、(a) ヒドロキシ末端を持つポリカーボネート、(b) 脂肪族ジイソシアネートおよび(c) 低級脂肪族連鎖延長剤の反応生成物である。ヒドロキシ末端を持つポリカーボネートポリオールは、米国特許第4,131,731号に記載されているように、グリコールとカーボネートとを反応させることにより製造できる。適当な脂肪族ジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、およびダイマー酸ジイソシアネート(DDI)を含むが、HMDIが好ましいとされている。適当な連鎖延長剤は、約2〜約10個の炭素原子を持つ、低級脂肪族グリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノンジ(ヒドロキシエチル)エーテル、ネオペンチルグリコール等を含み、1,4-ブタンジオールが好ましいとされている。
【0102】
ポリマーのもう一つの群は、ポリエーテルブロック(即ち、多数のC-O-C結合を含むポリマーブロック)と、ポリアミドブロック(即ち、多数の-NH-CO-結合を含むポリマーブロック)とを含むブロックコポリマーであり、これらはしばしばポリ(エーテル-b-アミド)またはポリエーテル-ブロック-アミドとも呼ばれる。ポリエーテルブロックの幾つかの具体例は、式(a) -[R1-O]n-または(b) -[R1-O-R2-O]n-で表されるホモポリマーおよびコポリマーブロックを含む。ここでR1およびR2は、同一または異なっていてもよく、また例えば1〜10個の炭素原子を持つ直鎖、分岐および環式アルキル基、芳香族基およびアルキル-芳香族基(より典型的には、1〜6個の炭素原子を持つ直鎖または分岐アルキル基)から選択することができ、またnは、5またはそれ以上、典型的には10乃至25まで、50まで、100まで、250まで、500まで、1000まであるいはそれ以上の整数である。ポリエーテルは、例えば環状エーテル、例えばエチレンオキシド(ここで、R1=R2=ジメチレン(即ち、[-(CH2)2-O-]n)であり、これは一般的にポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキシドと呼ばれている)、トリメチレンオキシド(ここで、R1=R2=トリメチレン(即ち、[-(CH2)3-O-]n)である)、プロピレンオキシド(ここで、R1=R2=メチル置換ジメチレン(即ち、[-CH2CH2(CH3)-O-]n)であり、これはポリプロピレングリコールまたはポリプロピレンオキサイドと呼ばれている)、およびテトラヒドロフラン(ここで、R1=R2=テトラメチレン(即ち、[-(CH2)4-O-]n)であり、これはポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド(PTMO)、またはテラタン(terathane)と呼ばれている)の、開環付加重合によって生成し得る。例えば、ホモポリマーまたはコポリマーブロックとして与えることのできるポリマーブロックの例は、以下の式:-[R3-NH-CO]m-または-[NH-R3-NH-CO-R4-CO]m-で表されるポリアミドを含む。該一般式において、R3およびR4は、同一または異なっていてもよく、また例えば1〜20個の炭素原子を持つ直鎖、分岐および環式アルキル基、芳香族基およびアルキル-芳香族基(より典型的には、1〜15個の炭素原子を持つ直鎖または分岐アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル等)から選択することができ、またmは、5またはそれ以上、典型的には10乃至25まで、50まで、100まで、250まで、500まで、1000までまたはそれ以上の整数である。その具体的な例は、ナイロン、例えばナイロン6、ナイロン4/6、ナイロン6/6、ナイロン6/10、ナイロン6/12、ナイロン11およびナイロン12を含む。ポリエーテル-ポリアミドブロックコポリマーの具体的な例は、ポリ(テトラメチレンオキサイド)-b-ポリアミド-12ブロックコポリマーであり、これはペバックス(PEBAX)として、エルフアトケム社(Elf Atochem)社から入手できる。
【0103】
更なるポリマーは、アルケンモノマーのホモポリマーおよび該モノマー自体の、および/または該モノマーと様々な他のモノマーとのコポリマーを含み、該他のモノマーは、ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、および酢酸ビニルから選択される。特に、アルケンモノマーの例は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、ジエン、例えば1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、4-ブチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジブチル-1,3-ペンタジエン、2-エチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、および3-ブチル-1,3-オクタジエンを含む。アルケンコポリマーの具体的な例は、数ある中でも、特にポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)(EVA)、ポリ(エチレン-co-メタクリル酸)、ポリ(エチレン-co-アクリル酸)、およびポリ(イソブチレン-co-スチレン)を含む。EVAコポリマーとしては、約0.5%乃至1%まで、2%まで、5%まで、15%まで、20%まで、30%まで、40%までまたはそれ以上の、酢酸ビニルの割合(質量%)を含む、ランダムおよび他のコポリマーが含まれる。一般に、該酢酸ビニルの含有率が高いほど、該EVAの剛性およびデュロメータでの硬度は低い。従って、該剛性および硬度は、幾つかの態様においては、該機器内で変えることができる。尿管ステントを例として、異なるデュロメータ値の、明確な端部領域を持ち、間に転移領域を持つステントを、製造できる。
【0104】
本発明において使用する更なるポリマーは、例えば以下に列挙する適当な構成員から選択することができる(該ポリマーは、必ずしも上記のものを排除する必要はない):特に、ポリアクリル酸を包含するポリカルボン酸ポリマーおよびコポリマー;アセタールポリマーおよびコポリマー;アクリレートおよびメタクリレート(例えば、n-ブチルメタクリレート)ポリマーおよびコポリマー;セルロースアセテート、セルロースニトレート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セロファン、レーヨン、レーヨントリアセテート、およびセルロースエーテル、例えばカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシアルキルセルロースを包含する、セルロースポリマーおよびコポリマー;ポリオキシメチレンポリマーおよびコポリマー;ポリイミドポリマーおよびコポリマー、例えばポリエーテルブロックイミドおよびポリエーテルブロックアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、およびポリエーテルイミド;ポリアリールスルホンおよびポリエーテルスルホンを包含するポリスルホンポリマーおよびコポリマー;ナイロン6,6、ナイロン12、ポリカプロラクタムおよびポリアクリルアミドを包含するポリアミドポリマーおよびコポリマー;アルキド樹脂、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アリル樹脂、およびエポキシド樹脂を包含する樹脂;ポリカーボネート;ポリアクリロニトリル;ポリビニルピロリドン(架橋されたものおよびその他のもの);ポリビニルアルコール、ポリビニルハライド、例えばポリビニルクロライド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルエーテル、例えばポリビニルメチルエーテル、ポリスチレン、スチレン-マレイン酸無水物コポリマー、ビニル芳香族アルケンコポリマー、例えばスチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン/エチレン/ブチレンコポリマー、(例えば、クレートン(Kraton(登録商標)) Gシリーズポリマーとして入手できる、ポリスチレン-ポリエチレン/ブチレン-ポリスチレン(SEBS)コポリマー)、スチレン-イソプレンコポリマー(例えば、ポリスチレン/ポリイソプレン/ポリスチレン)、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマーおよびスチレン-イソブチレンコポリマー(例えば、Pinchukに付与された米国特許第6,545,097号に記載されているもの等の、ポリイソブチレン-ポリスチレンおよびポリスチレン/ポリイソブチレン/ポリスチレンブロックコポリマー)、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、およびポリビニルエステル、例えばポリビニルアセテートを包含するビニルモノマーのポリマーおよびコポリマー;ポリベンズイミダゾール;酸性基の幾つかが、亜塩またはナトリウムイオンによって中和できる、エチレン-メタクリル酸コポリマーおよびエチレン-アクリル酸コポリマー(一般的にイオノマーとして知られている);ポリエチレンオキサイド(PEO)を含む、ポリアルキルオキサイドポリマーおよびコポリマー;ポリエチレンテレフタレートおよび脂肪族ポリエステル、例えばラクチド(これは乳酸並びにd-、l-およびメソラクチドを含む)、ε-カプロラクトン、グリコライド(これはグリコール酸を含む)、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、p-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート(およびそのアルキル誘導体)、1,4-ジオキセパン-2-オン、1,5-ジオキセパン-2-オン、および6,6-ジメチル-1,4-ジオキサン-2-オン(ポリ(乳酸)およびポリ(カプロラクトン)のコポリマーは、その一具体例である)を含むポリエステル;ポリアリールエーテル、例えばポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンを包含するポリエーテルポリマーおよびコポリマー;ポリフェニレンスルフィド;ポリイソシアネート;ポリアルキレン、例えばポリプロピレン、ポリエチレン(低および高密度、低および高分子量)、ポリブチレン(例えば、ポリブテ-1-エンおよびポリイソブチレン)、ポリオレフィンエラストマー(例えば、サントプレン)エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリ-4-メチルペン-1-エン(poly-4-methyl-pen-1-enes)、エチレン/α-オレフィンコポリマー、エチレン-メチルメタクリレートコポリマーおよびエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含むポリオレフィンポリマーおよびコポリマー;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン-co-ヘキサフルオロプロペン)(FEP)、変性エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、およびポリビニリデンフルオライド(PVDF)を含むフッ素化ポリマーおよびコポリマー;シリコーンポリマーおよびコポリマー;熱可塑性ポリウレタン(TPU);エラストマー、例えば弾性ポリウレタンおよびポリウレタンコポリマー(ポリエーテルを主成分、ポリエステルを主成分、ポリカーボネートを主成分、脂肪族を主成分、芳香族を主成分およびこれらの混合物を主成分とするブロックおよびランダムコポリマーを含む);市販品として入手できるポリウレタンコポリマー(例えばビオネート(Bionate(登録商標))、カルボタン(Carbothane(登録商標))、テコフレックス(Tecoflex(登録商標))、テコタン(Tecothane(登録商標))、テコフィリック(Tecophilic(登録商標))、テコプラスト(Tecoplast(登録商標))、ペレタン(Pellethane(登録商標))、クロノタン(Chronothane(登録商標))およびクロノフレックス(Chronoflex(登録商標)) を包含する);p-キシリレンポリマー;ポリイミノカーボネート;コポリ(エーテル-エステル)、例えばポリエチレンオキサイド-ポリ乳酸コポリマー;ポリホスファジン;ポリアルキレンオキサレート;ポリオキサアミドおよびポリオキサエステル(アミンおよび/またはアミド基を含むものを包含する);ポリオルトエステル;フィブリン、フィブリノーゲン、コラーゲン、エラスチン、キトサン、ゼラチン、デンプン、グリコサミノグリカン、例えばヒアルロン酸を包含する、生体ポリマー、例えばポリペプチド、タンパク質、多糖類及び脂肪酸(およびそのエステル);並びに上記物質のブレンド、更なるコポリマーおよび誘導体。
【0105】
幾つかの態様において、生分解性ポリマーが、本発明において使用され、これらは、例えば特にポリエステル、ポリ無水物、および/またはアミノ酸を主成分とするポリマーを含むことができる。具体的な生分解性ポリマーは、特に、以下に列挙する適当な構成員から選択することができる(該ポリマーは、必ずしも上記のものを排除する必要はない):(a) 特に、ポリエステルホモポリマーおよびコポリマー、例えばポリグリコライド、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチド、ポリ-D,L-ラクチド、ポリ(β-ヒドロキシブチレート)、ポリ-D-グルコネート、ポリ-L-グルコネート、ポリ-D,L-グルコネート、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(δ-バレロラクトン)、ポリ(p-ジオキサノン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド-co-グリコライド)(PLGA)、ポリ(ラクチド-co-δ-バレロラクトン)、ポリ(ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-co-β-リンゴ酸)、ポリ(ラクチド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコライド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(β-ヒドロキシブチレート-co-β-ヒドロキシバレレート)、ポリ[1,3-ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン-co-セバシン酸]、ポリ(セバシン酸-co-フマール酸)、およびポリ(オルトエステル)、例えば様々なジケテンアセタールとジオールとを共重合することにより得られるもの;(b) 特に、ポリ無水物ホモポリマーおよびコポリマー、例えばポリ(無水アジピン酸)、ポリ(無水スベリン酸)、ポリ(無水セバシン酸)、ポリ(無水ドデカンジオン酸)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ[1,3-ビス(p-カルボキシフェノキシ)メタン無水物]、およびポリ[α,ω-ビス(p-カルボキシフェノキシ)アルカン無水物]、例えばポリ[1,3-ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン無水物]およびポリ[1,3-ビス(p-カルボキシフェノキシ)ヘキサン無水物];および(c) 特に、アミノ酸を主成分とするホモポリマーおよびコポリマー、例えばチロシンを主成分とするポリアリーレート(例えば、ジフェノールと二酸との、エステル結合により結合されたコポリマー、ここで該ジフェノールは、例えばデアミノチロシルチロシンのエチル、ブチル、ヘキシル、オクチルおよびベンジルエステルから選択され、また該二酸は、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸およびセバシン酸から選択される)、チロシンを主成分とするポリカーボネート(例えば、ホスゲンと、例えばデアミノチロシルチロシンのエチル、ブチル、ヘキシル、オクチルおよびベンジルエステルから選択されるジフェノールとの重縮合によって製造されるコポリマー)、およびロイシンおよびリジンを主成分とするポリエステルアミド。ここで、チロシンを主成分とするポリマーの具体例は、ポリ(デアミノチロシル-チロシンエチルエステルアジペート)またはポリ(DTEアジペート)、ポリ(デアミノチロシル-チロシンヘキシルエステルサクシネート)またはポリ(DTHサクシネート)、ポリ(デアミノチロシル-チロシンエチルエステルカーボネート)またはポリ(DTEカーボネート)、ポリ(デアミノチロシル-チロシンブチルエステルカーボネート)またはポリ(DTBカーボネート)、ポリ(デアミノチロシル-チロシンヘキシルエステルカーボネート)またはポリ(DTHカーボネート)、およびポリ(デアミノチロシル-チロシンオクチルエステルカーボネート)またはポリ(DTOカーボネート)を含む。
【0106】
幾つかの態様においては、ヒドロゲルポリマーが、本発明において使用される。これらは、例えば米国特許第6,316,522号、同第6,261,630号、同第6,184,266号、同第6,176,849号、同第6,096,018号、同第6,060,534号、同第5,702,754号、同第5,693,034号および同第5,304,121号に記載されているヒドロゲルポリマーを含む。これら米国特許の開示を、本件特許出願と矛盾しない程度において、ここに参考として組み入れる。ヒドロゲルポリマーの具体例は、必ずしも上記の章におけるポリマーを排除するものではなく、特に以下に列挙するものを包含する:ポリアクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(N-アルキルアクリルアミド)、ポリアルキレンオキサイド、例えばポリ(エチレンオキサイド)およびポリ(プロピレンオキサイド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(芳香族ビニル化合物)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレンアミン)、ポリアクリロニトリル、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリアミド、ポリ(L-リジン)、親水性ポリウレタン、無水マレイン酸ポリマー、タンパク質、コラーゲン、セルロースポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、変性デキストラン、アルギン酸塩、アルギン酸、ペクチニン酸、ヒアルロン酸、キチン、プルラン、ゼラチン、ゲラン(gellan)、ザンタン、カルボキシメチルデンプン、コンドロイチン硫酸、グアー、デンプンおよびこれらのブレンド、コポリマーおよび誘導体。
【0107】
ヒドロゲルポリマーを架橋する様々な方法が知られており、例えば(a) ヒドロゲルポリマー鎖に沿った官能基との反応によって、該ヒドロゲルポリマー鎖を架橋する、多官能性架橋剤による共有結合的架橋および/または(b) 例えば多価イオンを用いたイオンによる架橋を含む。その他の架橋法、例えば該ヒドロゲルポリマーを、適当な周波数の光に暴露することにより架橋する方法等も利用することができる。従って、本発明により有用なヒドロゲルポリマーは、イオン的に架橋し、共有結合的に架橋し、イオン的かつ共有結合的に架橋し、あるいは当分野において公知の他の方法によって架橋することができる。多官能性架橋剤は、該ヒドロゲルポリマー中の官能基と反応する、少なくとも2つの官能基を持つ任意の化合物であり得る。該ヒドロゲルポリマーを、イオン的に架橋するのに使用される架橋イオンは、該ポリマーがアニオン的あるいはカチオン的の何れにより架橋可能であるかに依存して、アニオンまたはカチオンであり得る。共有結合性およびイオン性架橋剤は、該ヒドロゲルの分野において周知である。
【0108】
広範囲に及ぶ薬剤投入量(例えば、泌尿器科学的に有益な薬剤および随意の補助剤、例えば随意の治療薬、造影剤等)を、本発明の泌尿器科学的医療機器と共に使用することができ、その有効量は、当業者が容易に決定できるものである。ポリマー担体領域に対して、典型的な配合量は、例えば1質量%以上またはそれ以下から2質量%まで、5質量%まで、10質量%まで、25質量%まで、50質量%までまたはそれ以上である。
【0109】
該機器からの、1種またはそれ以上の泌尿器科学的に有益な薬剤の放出プロフィール(並びにあらゆる随意の補助薬の放出プロフィール)は、多くの変数によって影響されるであろう。例えば、ポリマー担体領域を使用する場合、該放出プロフィールは、選択された特定の薬剤、選択された特定のポリマー、およびこれらの相対的な量に依存するであろう。該放出プロフィールは、また該機器内部の該ポリマー担体領域のサイズ、数および/または位置によっても影響されるであろう。例えば、該放出プロフィールは、該ポリマー担体領域の厚みまたはその表面積を変えることにより変更することができる。更に、多数のポリマー担体領域を使用することも可能である。例えば、同一または異なる含有率(例えば、異なるポリマー含有率および/または異なる薬剤含有率)を持つ多数のポリマー担体領域を、相互に関して横方向に配置することができる。あるいはまた、ポリマー層(例えば、追加の薬剤を含むまたは含まない、1種またはそれ以上の上記したポリマーから製造した層)を、本発明に従ってポリマー担体領域に配置し、結果としてこの層を、バリア層として機能させることが可能である。
【0110】
幾つかの態様においては、例えば迅速に水和されるポリマー(例えば、ヒドロゲル)または迅速に水和されるポリマーブロックを使用することにより(または夫々緩慢に水和されるポリマーまたはポリマーブロックに対する、迅速に水和されるポリマーまたはポリマーブロックの比率を変えることにより)、該ポリマー領域が、その周囲環境から水を吸収する速度を高めることにより、浸透剤、例えば可溶性の塩または糖結合剤を、随意の補助剤として添加することにより、あるいはその他の手段によって、該放出プロフィールを変更することができる。
【0111】
多数の技術が、本発明に従ってポリマー担体領域を製造するために利用できる。
【0112】
例えば、該ポリマー担体領域が、熱可塑性特性を持つ1種またはそれ以上のポリマーから作られている場合、様々な標準的な熱可塑性物質の加工技術を使用して、該ポリマー担体領域を形成することができ、該技術は、射出成型、圧縮成形、吹込成形、紡糸、真空成型およびカレンダリング、様々な長さを持つ、シート、繊維、ロッド、チューブおよび他の断面形状を持つ形材への押出、およびこれら工程の組合せを含む。これらのおよび他の熱可塑性物質の加工技術を用いて、該機器の全体またはその一部を製造することができる。
【0113】
幾つかの態様において、該1種またはそれ以上の、該担体領域を構成するポリマーおよび1種またはそれ以上の薬剤(例えば、泌尿器科学的に有益な薬剤および随意の補助薬から選択される)を、当分野において公知の任意の適当な加工技術を利用して、混合し、配合することができる。例えば、熱可塑性材料を使用する場合、ポリマーメルトを形成することができる。これを行うための通常の方法は、該ポリマーおよび該薬剤の混合物に、機械的な剪断力を適用することである。配合後、該材料を、例えば特に1種またはそれ以上の上記のような熱可塑性技術を使用して加工することができる。
【0114】
熱可塑性加工技術以外の、溶媒の使用に基く技術を含む、他の加工技術を使用して、本発明の該ポリマー担体領域を製造することができる。これらの技術を利用して、ポリマー担体領域は、(a) 先ず、(i) 溶媒、(ii) ポリマー、(iii) 泌尿器科学的に有益な薬剤、および(iv) 任意の随意の補助薬を含有する溶液または分散液を調製し;および(b) 引続き該溶媒を除去することにより製造し得る。最終的に選択される該溶媒は、該ポリマー担体領域を形成する該ポリマー(および多くの態様においては、該泌尿器科学的に有益な薬剤および任意の随意の補助薬)を溶解することのできるその能力、並びに乾燥速度、表面張力等を含む他のファクタに基いて、一般的に選択される、1種またはそれ以上の溶媒種(例えば、水および/または1種またはそれ以上の有機溶媒)を含むであろう。好ましい溶媒の使用に基く技術は、溶液流延法、回転塗布技術、ウエブ塗布技術、溶液噴霧技術、浸漬技術、エアーサスペンションを含む機械的懸濁を介する塗布法を含む技術、インクジェット塗布技術、静電塗布技術、およびこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0115】
本発明の幾つかの態様において、ポリマー含有溶液(ここでは溶媒を用いる加工法が使用される)またはポリマーメルト(ここでは熱可塑性加工法が使用される)を、基板に適用して、ポリマー担体領域を形成するが、ここで該溶液またはメルトも、該泌尿器科学的に有益な薬剤および/または任意の随意の補助薬を含むことができる。例えば、該基板は、ポリマー担体領域を適用するための、移植可能なまたは挿入可能な泌尿器科学的医療機器の全体またはその一部に相当するものであり得る。また、該基板は、例えば金型等の鋳型であってもよく、そこから該ポリマー担体領域は、固化後に取出される。幾つかの他の態様、例えば押出および同時押出技術においては、1種またはそれ以上のポリマー担体領域が、基板の助けを借りることなしに形成される。より具体的な例においては、全ステント本体を、担体領域として押出すことができる。他の態様において、ポリマー担体層は、下部のステント本体と共に同時押出することができる。更に別の態様においては、ポリマー担体層は、被覆層を既存のステント本体に噴霧または押出すことによって、製造できる。更に他の態様においては、ステント本体を、金型内で注型することができる。
【0116】
以上の説明から理解されるように、様々な薬剤、例えば泌尿器科学的に有益な薬剤および/または任意の随意の補助薬が、使用するポリマーの加工条件下で安定な場合には、該薬剤は、該ポリマーと併合し、これと共に同時加工して、対象とする該ポリマー担体領域を製造することができる。あるいはまた、選択された1またはそれ以上の薬剤は、吸収同化(例えば、該選択された1またはそれ以上の薬剤が、溶媒に溶解または分散されており、次いで例えば噴霧、浸漬法等によって、該機器と接触状態に置かれる場合)等の技術を利用して、該ポリマー担体領域の生成に引続き、これに導入することができる。
【0117】
幾つかの態様においては、例えば該ポリマー担体領域を、水に対して不溶性とするために、当分野において公知の方法を使用して、これら領域を架橋することができる。
【0118】
上に述べたように、少なくとも一つのポリマーバリア領域を、本発明の態様に従って、担体領域に与えることができる。このようなバリア層は、例えば特に上に列挙したポリマーから製造することができる。これらの態様においては、該ポリマーバリア層を、例えば上記の溶媒を用いる技術または熱可塑性技術の一種を用いて、該担体領域上に形成することができる。あるいはまた、予め形成したポリマーバリア領域を、担体領域に接着することも可能である。
【0119】
ここにおいて、様々な態様を具体的に示し、また説明してきたが、本発明の様々な改良並びに変更が、上記の教示によってカバーされており、また本発明の精神並びに意図された範囲を逸脱することなしに、添付した特許請求の範囲内に入るものであることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0120】
10・・尿管ステント
11・・先端部
12、16・・弁髪状部分
14・・シャフト
18・・側部部分
20・・目盛
22・・縫合糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α-アドレナリン作動遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、およびこれらの組合せから選択される、泌尿器科学的に有益な薬剤を含み、対象の身体に移植または挿入して、該泌尿器科学的に有益な薬剤の少なくとも一部分を、インビボにおいて放出するのに適したものであることを特徴とする、泌尿器科学的医療機器。
【請求項2】
前記泌尿器科学的医療機器が、細長い中実機器である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項3】
前記泌尿器科学的医療機器が、細長い中空機器である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項4】
前記泌尿器科学的医療機器が、別の医療機器のチャンネルを介して、前記対象内に導入するのに適したものである、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項5】
前記泌尿器科学的医療機器が、ガイドワイヤを通して、前記対象内に導入するのに適したものである、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項6】
前記泌尿器科学的医療機器が、前記対象内において、ラセン形状を呈するのに適したものである、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項7】
前記泌尿器科学的医療機器が、泌尿器科学的ステント、結石除去機器、およびカテーテルから選択される、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項8】
複数の異なる泌尿器科学的に有益な薬剤を含む、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項9】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、結石排除を促進するのに有効な量で、インビボにおいて放出される、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項10】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、前記機器と関連する痛みまたは不快感を減じるのに有効な量で、インビボにおいて放出される、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項11】
前記機器が、尿管ステントであり、かつ前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、尿管平滑筋の弛緩を促進するのに有効な量で、インビボにおいて放出される、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項12】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、カルシウムチャンネル遮断剤である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項13】
前記カルシウムチャンネル遮断剤が、ベンゾチアゼピン、ジヒドロピリジン、アリールアルキルアミン、ピペラジン、およびこれらの組合せから選択される、請求項12記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項14】
前記カルシウムチャンネル遮断剤が、ジルチアゼム、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ベプリジル、ベラパミル、ミベフラジル、これらの薬学的に有効な塩およびエステル、およびこれらの組合せから選択される、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項15】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、α-アドレナリン作動遮断剤である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項16】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、α-1-アドレナリン作動遮断剤である、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項17】
前記α-アドレナリン作動遮断剤が、アルフゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、これらの薬学的に有効な塩およびエステル、およびこれらの組合せから選択される、請求項15記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項18】
補助薬を含み、結果として該補助薬の少なくとも一部が、インビボにて放出され、該補助薬が、コルチコステロイド、麻酔性鎮痛剤、非-麻酔性鎮痛剤、局所麻酔剤、抗生物質、およびこれらの組合せから選択される、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項19】
造影剤を含む、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項20】
前記医療機器が、前記泌尿器科学的に有益な薬剤を含有する、ポリマー担体領域を含む、請求項1記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項21】
前記ポリマー担体領域が、泌尿器科学的医療機器本体に相当する、請求項20記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項22】
前記ポリマー担体領域が、下方の前記泌尿器科学的医療機器本体を、少なくとも部分的に覆っている、層の形状にある、請求項20記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項23】
前記ポリマー担体領域が、コルチコステロイド、麻酔性鎮痛剤、非-麻酔性鎮痛剤、局所麻酔剤、抗生物質、造影剤およびこれらの組合せから選択される補助薬を含む、請求項20記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項24】
前記ポリマー担体領域が、ヒドロゲルを含む、請求項20記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項25】
前記ポリマー担体領域が、生分解性ポリマーを含む、請求項20記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項26】
前記ポリマー担体領域が、ポリカーボネート、シリコーンホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリ(エーテル-b-アミド)、およびアルケンホモポリマーおよびコポリマーから選択されるポリマーを含む、請求項20記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項27】
前記ポリマー担体領域が、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-メタクリル酸コポリマー、エチレン-アクリル酸コポリマー、およびスチレン-イソブチレンコポリマーから選択されるアルケンコポリマーを含む、請求項20記載の泌尿器科学的医療機器。
【請求項28】
腎臓結石を治療するための方法であって、以下の工程:(a) 1またはそれ以上の腎臓結石を持つ対象を同定する工程;(b) 該対象に、泌尿器科学的に有益な薬剤を含有する泌尿器科学的医療機器を移植または挿入する工程を含み、該医療機器が、腎臓結石の排除を促進するのに有効な量で、インビボにて該泌尿器科学的に有益な薬剤を放出するのに適したものであることを特徴とする、前記方法。
【請求項29】
前記泌尿器科学的医療機器が、ステントである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
複数の異なる泌尿器科学的に有益な薬剤を含む、請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、筋弛緩剤である、請求項28記載の方法。
【請求項32】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、尿管の平滑筋弛緩を促進するのに有効な量並びに位置において、インビボにて放出される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、カルシウムチャンネル遮断剤である、請求項28記載の方法。
【請求項34】
前記カルシウムチャンネル遮断剤が、ベンゾチアゼピン、ジヒドロピリジン、アリールアルキルアミン、ピペラジン、およびこれらの組合せから選択される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記カルシウムチャンネル遮断剤が、ジルチアゼム、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ベプリジル、ベラパミル、ミベフラジル、これらの薬学的に有効な塩およびエステル、およびこれらの組合せから選択される、請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、α-アドレナリン作動遮断剤である、請求項28記載の方法。
【請求項37】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、α-1-アドレナリン作動遮断剤である、請求項28記載の方法。
【請求項38】
前記α-アドレナリン作動遮断剤が、アルフゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、これらの薬学的に有効な塩およびエステル、およびこれらの組合せから選択される、請求項36記載の方法。
【請求項39】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、β-アドレナリン作動アゴニストである、請求項28記載の方法。
【請求項40】
前記β-アドレナリン作動アゴニストがリトドリン、テルブタリン、これらの薬学的に有効な塩およびエステル、およびこれらの組合せから選択される、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、気管支拡張薬である、請求項28記載の方法。
【請求項42】
前記気管支拡張薬が、アルブテロールおよびその薬学的に有効な塩およびエステルから選択される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、便通薬である、請求項28記載の方法。
【請求項44】
前記便通薬が、マグネシウム塩である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、一酸化窒素ドナーである、請求項28記載の方法。
【請求項46】
前記一酸化窒素ドナーが、ニトログリセリンである、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記泌尿器科学的に有益な薬剤が、プロスタグランジンまたはプロスタグランジン類似体である、請求項28記載の方法。
【請求項48】
前記医療機器が、前記泌尿器科学的に有益な薬剤を含有する、ポリマー担体領域を含む、請求項28記載の方法。
【請求項49】
前記医療機器が、コルチコステロイド、麻酔性鎮痛剤、非-麻酔性鎮痛剤、局所麻酔剤、抗生物質、およびこれらの組合せから選択される補助薬を、インビボにおいて放出するのに適したものである、請求項28記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−522175(P2010−522175A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554574(P2009−554574)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/003666
【国際公開番号】WO2008/115543
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(506192652)ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド (172)
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
【Fターム(参考)】