洗浄ガン、およびそれを利用した洗浄方法
【課題】 洗浄対象物に洗浄液混合の圧縮気を噴射可能であると共に、周囲にミストが飛散しなよう吸引回収可能であり、洗浄液を切り替えて汚れや塵埃などを除去し、最終的に圧縮空気のみを噴射して、洗浄の全工程を一挙に完了可能とする新たな洗浄技術を提供する。
【解決手段】 グリップ2の先端に一体化してなる吸引筒7の先端中央に、同吸引筒7に対して同心状配置で、その先端がわ方向に向けた洗浄ノズル8を設け、該グリップ2の基端から該洗浄ノズル8に達する主圧縮気回路3の適所に噴射スイッチ6を配し、該主圧縮気回路3適所から分岐した負圧誘導回路33の末端を、当該吸引筒7内壁適所において、同吸引筒7末端がわに向けて開口し、当該グリップ2内の一液回路41および別液回路42の各内端に液路切換器5を接続し、且つ、同液路切換器5の吐出路51を、当該主圧縮気回路3の適所に配した気液混合器35に接続してなる洗浄ガン1である。
【解決手段】 グリップ2の先端に一体化してなる吸引筒7の先端中央に、同吸引筒7に対して同心状配置で、その先端がわ方向に向けた洗浄ノズル8を設け、該グリップ2の基端から該洗浄ノズル8に達する主圧縮気回路3の適所に噴射スイッチ6を配し、該主圧縮気回路3適所から分岐した負圧誘導回路33の末端を、当該吸引筒7内壁適所において、同吸引筒7末端がわに向けて開口し、当該グリップ2内の一液回路41および別液回路42の各内端に液路切換器5を接続し、且つ、同液路切換器5の吐出路51を、当該主圧縮気回路3の適所に配した気液混合器35に接続してなる洗浄ガン1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、機械装置や製品、その他の洗浄技術に関するものであり、特に気体または気体および液体の混合流体などを対象物に吹き付けて洗浄可能とする洗浄装置を製造する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
各種工作機械や、それによって加工された部品、製品類などに付着した汚れ、塵埃、切削屑、油分などを除去するのに、工場内に配された圧縮空気用の配管やコンプレッサーまたはボンベなどに繋いだエアガンが一般に広く用いられており、洗浄対象物にガンのノズルを向けて圧縮空気を噴射すると、ウエスで拭き取るより効率的で製品に不要な擦り傷など付けることなく、複雑で精密な製品、部品類であっても洗浄作業性を高めることができるという利点があり、これまで広く利用されてきたが、圧縮空気の噴射によって除去された塵埃や油分などが空中に飛散したり、汚れや切削屑などが周囲に飛沫、付着するなど作業環境を悪化させてしまうという欠点があり、さらにまた、圧縮空気の吹き付けだけでは、充分に除去できない汚れについては、エアガンに加えて超音波洗浄機や洗浄薬液槽などの洗浄装置類や脱水、乾燥装置類などを準備しておき、それらの洗浄槽に所定時間浸漬した後に濯ぎ洗浄し、さらに脱水、乾燥処理するなどしなければならず、複数の洗浄用装置類と多くの工数とを要するものとなっていた。
【0003】
(従来の技術)
こうした状況を憂慮し、例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、モーターで回転駆動可能な回転軸の先端に洗浄用ブラシを設け、該回転軸内部を通じて先端ブラシ部分に洗浄液を供給可能とし、ネジ穴などを効果的に洗浄可能としたものや、同特許文献1(2)に見られるようなクリーナーヘッドの先端部にエアー吸入口を開口し、該エアー吸入口の中央部に超音波エアー噴出ノズルを設け、該超音波エアー噴出ノズルをエアー送り状態と停止状態とに切り替え可能なスイッチ機構を有し、クリーナーヘッドの基端に可撓バキューム管および可撓エアー供給管を接続して、常時エアー吸入口から吸入するようにしてなるもの、または、例えば、特許文献1(3)のように、気体、液体または粉粒体等を移送する配管の中途適所に、把手を有する移送管体を設け、該移送管体の内臓部品を変更、または、内蔵部品の向きを変更するなどして、把手内を通じて供給される気体の噴射方向を変更可能とすると共に、該把手に気体の流量調節弁を設けてなるものなどが散見される。
【0004】
しかし、上記従来技術の中、前者特許文献1(1)に示されているもののように、回転するブラシに洗浄液を供給するものは、ブラシ洗浄後に洗浄液を洗い流す手段がなく、次工程で部品などの洗浄対象物を洗浄槽に浸漬し、超音波洗浄した後、浸漬液を乾燥、除去したり、蒸気洗浄を行うなどの必要があり、洗浄後に複数の工程と、それら各行程毎に用いる各種洗浄装置類とが不可欠なものであり、また、次の特許文献1(2)のような、中央ノズルから超音波エアーを噴射し、その周囲のエアー吸入口からエアーを吸入するようにしたものは、乾燥状態の微細な塵埃を除去するのに有効であるが、水分や油分、切削屑などを洗浄、除去することはできず、特に、水分や油分を殆ど除去することができないという致命的な欠点を有するものであり、また最後の、特許文献1(3)に代表する配管路を利用した気体、粉粒体などの移送技術は、その構造の一部を応用して圧縮空気に洗浄液を混合することが可能かも知れないが、噴射した気液混合体を吸引、回収する技術はなく、洗浄液のミストが空気中に飛散して作業環境を悪化させてしまうことが懸念されるものである。
【特許文献1】(1)特開2000−202379号公報 (2)特開平10−43699号公報 (3)特開平6−206625
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種洗浄装置類は、何れも洗浄作業の後に仕上げの超音波洗浄や蒸気洗浄などを要したり、乾燥した微細な塵埃の除去しかできなかったり、空気中に洗浄液のミストが拡散してしまい作業環境を悪化させてしまうなどの欠点があり、また、既に市場に広く供給されているマーテック株式会社製のスーパーガン(商品名)のような、圧縮エアーの噴射および吸引を可能としたものは、洗浄液を噴射する機能をもっておらず、株式会社栗田製作所製のエンジンクリーナー(商品名)のように、各種洗浄液を圧縮空気に混合して噴射可能としたものは、噴射した洗浄液や塵埃を吸引、回収することができないという欠点があったことなどから、洗浄対象物に洗浄液混合の圧縮空気を噴射して洗浄し、噴射したミストや汚れ、塵埃、水分、油分、切削屑などを瞬時に回収可能で、しかも複数の洗浄液を切り替えて、洗浄剤成分をも濯ぎ洗浄除去可能とし、最終的に圧縮空気を噴射して残存水分などを充分に除去、乾燥可能とする技術については未だ存在しないという状況にある。
【0006】
(発明の目的)
そこで、この発明は、1つの洗浄装置で洗浄対象物に洗浄液混合の圧縮空気を噴射して洗浄可能であると共に、周囲にミストが飛散しなよう吸引回収可能であって、洗浄液を切り替えて汚れや塵埃などを除去し、最終的に圧縮空気だけを噴射して洗浄の全工程を一挙に完了可能とすることができるようにする新たな洗浄技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の洗浄ガン、およびそれを利用した新規な洗浄方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の洗浄ガンは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、グリップの先端に適宜角度姿勢に傾斜、一体化してなる吸引筒の先端中央に、同吸引筒に対して同心状配置で、その先端がわ方向に向けて気体または気液混合体を噴射可能とする洗浄ノズルを設け、当該グリップの基端から該洗浄ノズルに渡る管路の中途適所に、同グリップを把持した手指で操作可能となる外壁に操作入力部を露出するよう噴射スイッチを配した主圧縮気回路を内蔵すると共に、該主圧縮気回路の噴射スイッチと洗浄ノズルとの間適所から分岐した負圧誘導回路の末端を、当該吸引筒内壁適所において、該洗浄ノズルとは反対がわ方向に傾斜姿勢であり、同吸引筒末端がわに向けて開口するようにした上、当該グリップの基端から噴射スイッチ近傍までの同グリップ内に延伸させてなる一液回路および少なくとも1本の別液回路の各内端に、外部より一液と別液とを任意選択する切換え操作用の液路切換器を接続し、且つ、該液路切換器からの吐出路を、当該主圧縮気回路の負圧誘導回路分岐点と洗浄ノズルとの間適所に配してある気液混合器に接続してなるものとした構成を要旨とする洗浄ガンである。
【0008】
この基本的な構成からなる洗浄ガンをより具体的なものとして示すと、グリップの先端に適宜角度姿勢に傾斜、一体化してなる吸引筒の先端中央に、同吸引筒に対して同心状配置とするよう、脱着機構を介して、同吸引筒の先端がわ方向に向けて気体または気液混合体を噴射可能とする洗浄ノズルを交換可能に装着し、当該グリップの基端から該洗浄ノズルに渡る管路の中途適所に、同グリップを把持した手指で操作可能となる外壁に操作入力部を露出するよう噴射スイッチを配した主圧縮気回路を内蔵すると共に、該主圧縮気回路の噴射スイッチと洗浄ノズルとの間適所から分岐した負圧誘導回路の末端を、当該吸引筒内壁適所において、該洗浄ノズルとは反対がわ方向に傾斜姿勢であり、同吸引筒末端がわに向けて開口するようにした上、当該グリップの基端から噴射スイッチ近傍までの同グリップ内に延伸させてなる一液回路および少なくとも1本の別液回路の各内端に、外部より一液と別液とを任意選択する切換え操作用の液路切換器を接続し、且つ、該液路切換器からの吐出路を、当該主圧縮気回路の負圧誘導回路分岐点と洗浄ノズルとの間適所に配してある気液混合器に接続してなるものとした構成からなる洗浄ガンとなる。
【0009】
(関連する発明)
上記した洗浄ガンに関連し、この発明には、それら洗浄ガンを利用した洗浄方法も包含している。
即ち、液路切換器の操作で気液混合器に一液回路を接続し、吸引筒の先端中央を洗浄対象物に対峙、接近させて噴射スイッチを操作し、洗浄ノズルから洗浄液が混合された圧縮空気を吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから洗浄液ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄工程の後、液路切換器の操作で気液混合器に別液回路を接続し、洗浄ノズルから純水が混合された圧縮空気を吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから純水ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄液濯ぎ工程を行った上、液路切換器の操作で気液混合器への液体の供給を停止し、洗浄ノズルから圧縮空気のみを吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから空気および水分などを吸引除去する乾燥工程を行うようにした、この発明の基本をなす前記洗浄ガンを利用した洗浄方法である。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおり、この発明の洗浄ガンによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、グリップに対して適宜角度姿勢で傾斜するよう吸引筒を一体化し、該吸引筒の後端に清浄装置や濾過装置などのに接続可能なフレキシブルパイプや配管類を接続可能とし、該吸引筒の先端がわに、同吸引筒の先端方向に向けた洗浄ノズルを設けると共に、グリップの基端から該洗浄ノズルに渡る主圧縮気回路の中途適所で分岐した負圧誘導回路の末端を、当該吸引筒内壁適所に、同吸引筒後端がわ向きに傾斜開口した上、グリップ外壁に露出した操作入力部で噴射スイッチを操作すると、該洗浄ノズルから噴射した気体または気液混合体を利用して洗浄対象物を洗浄すると共に、該吸引筒の先端がわから後端がわに向け、洗浄ノズル周辺の気体やミストと共に、洗浄対象物から離脱した塵埃、油分、水分などの汚れ成分も吸引して清浄装置や濾過装置などへ供給、浄化するものとし、作業環境中の空気汚染などを防止して清浄な環境を維持できるという秀れた特徴が得られるものである。
【0011】
加えて、当該グリップには、主圧縮気回路および負圧誘導回路の他に、一液回路および少なくとも1本の別液回路、それらの液路切換器、ならびに、同液路切換器にて切換え選択した液体を主圧縮気回路の適所に合流、気化可能とする気液混合器を有しており、該液路切換器を操作して一液回路、または何れか1本の別液回路を選択して気液混合器に接続することが可能であり、さらに、一液回路、または何れか1本の別液回路の何れも気液混合器に接続せず、閉鎖状態とすることが可能となり、当該洗浄ガンを用いれば圧縮気の噴射、一液の気液混合体の噴射、または、別液の気液混合体の噴射の何れかを自由に選択して利用することが可能となり、従来までであれば、洗浄用ガンで洗浄した後の洗浄対象物を超音波洗浄装置に浸漬、洗浄し、さらに、乾燥処理するなどの複雑な工程を要していた作業を、当該洗浄ガンの一台で、一挙に洗浄から濯ぎ洗い、乾燥まで処理することが可能となり、洗浄作業の効率を大幅に改善できるという秀れた効果を発揮する。
【0012】
また、洗浄ノズルの基端部に脱着機構の一部を設けて交換可能としてなるものは、洗浄ノズルの洗浄や交換などのメンテナンス性を高めるだけでなく、該洗浄ノズルの基端部に共通の脱着機構の一部を設けたものを少なくとも2個準備し、各洗浄ノズルは互いのノズル先端がわ所定範囲の外径を、互いに大、小の関係とするよう設定してなるものは、洗浄対象物の形状や寸法に合わせて最適な寸法、形状の洗浄ノズルに適宜交換して洗浄性能を高め、洗浄作業の効率を高めることができ、また、洗浄ノズル先端壁に開口する端壁噴射孔と、周壁中途適所の周回り方向に均衡する配置となるよう開口した複数個の周壁噴射孔とを形成してなるものは、各周壁噴射孔を通じて洗浄ノズルの内圧を減圧し、高圧による気液混合器の逆流を阻止すると共に、洗浄ノズル先端がわの小径化によって端壁噴射孔付近が高圧化してしまうのを防止でき、さらにまた、吸引筒に装着した場合に、同洗浄ノズルの先端が、該吸引筒先端から突出配置するよう固定させた洗浄ノズルは、洗浄対象物に形成されたネジ穴などの洗浄や乾燥の効果および作業効率を各段に高めるものとなり、そして、吸引筒に装着した場合に、洗浄ノズルの先端が、当該吸引筒先端と同位置に配置するよう固定してなるものは、吸引筒先端周縁が洗浄ノズルの先端を保護すると共に、洗浄対象物の平面部分を洗浄、乾燥するのに有効となり、また、洗浄ノズルの先端が、当該吸引筒先端よりも奥がわに後退配置するよう固定してなるものは、洗浄対象物表面から突出したボルト頭部の六角穴や十字穴などを極めて効果的に洗浄、乾燥することができることとなり、適宜それら形状、寸法の異なる洗浄ノズルを交換、装着するようにすれば、これら洗浄作業の効率を一段と高めることができるという利点を有するものとなる。
【0013】
そして、この発明の洗浄ガンを利用した洗浄方法によれば、液路切換器の操作で気液混合器に、洗浄液を供給可能とした一液回路を接続し、噴射スイッチを操作して洗浄対象物に洗浄液ミストを噴射して洗浄すると共に、吸引筒の先端がわから洗浄液ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄工程を行い、周辺に洗浄液ミストが拡散してしまうのを確実に防止して作業環境を衛生的に保ち、且つ洗浄作業を効率化することができ、続く洗浄液濯ぎ工程では、該液路切換器を操作して気液混合器に対して純水の供給が可能な別液回路を接続し、洗浄ノズルから純水混合の圧縮空気を洗浄対象物に吹き付け、吸引筒の先端がわから純水ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去するようにして洗浄液成分を含む汚れや塵埃などを効果的に除去し、さらに、液路切換器の操作で気液混合器への液体の供給を停止し、洗浄ノズルから圧縮空気だけを吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから空気および水分などを吸引除去する乾燥工程で、洗浄対象物を充分に乾燥させることができ、当該洗浄ガンだけを使用して洗浄対象物の洗浄、濯ぎ洗い、および乾燥までを一挙に処理可能とすることができるなど、従来型の超音波洗浄装置や乾燥装置などを順次利用して行う作業に比較すれば、各段に作業効率を高めることができるという秀れた効果を発揮するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
グリップは、吸引筒および洗浄ノズルの把持、操作を確実且つ容易にすると共に、該吸引筒や洗浄ノズルに接続された主圧縮気回路や各種液回路を内蔵可能とし、主圧縮気回路用の噴射スイッチ、各液回路用の液路切換器、ならびに、主圧縮気回路中途適所に、液路切換器吐出路を接続する気液混合器などの主要な機能を一体化して片手でも取扱い易いものとする機能を果たし、片手で確実に把持できる形状、寸法および取扱い易い重量と充分な耐圧性とに設定された安全なものとしなければならず、吸引筒および洗浄ノズルの取り付け位置および角度は、後述する実施例にも示してあるように、当該吸引筒の末端位置がグリップから外れるようピストル型の配置にしたものとすべきであり、液路切換器や噴射スイッチなどの各操作部分は、グリップを把持した片手で容易に操作可能な配置関係となるようにするのが望ましいといえる。
【0015】
吸引筒は、洗浄ノズルの周囲を筒状に包囲して負圧誘導回路から噴射される圧縮空気で生じるエゼクタ効果によって、洗浄ノズル周辺の気体、液体、固体およびその混合物などを吸引、除去可能とするものであり、負圧誘導回路の末端が、吸引筒内壁の適所に、該洗浄ノズルとは反対がわに向けた傾斜姿勢となる、同吸引筒末端がわに向けて開口したものとしなければならず、後述する実施例に示してあるように、同吸引筒の末端には、吸引した気体または気液混合体中から汚れや水分、油分、粉体、塵埃、切削屑などの気体、液体、半個体、固体などを適宜分離、回収可能とする浄化装置、集塵機、フィルター装置、気液分離装置、濾過器または回収装置などの何れかを直接接続するか、または、それら浄化装置類の何れか一つから延伸させたフレキシブルパイプなどの配管を接続可能なものとすることができる。
【0016】
洗浄ノズルは、吸引筒先端がわ中央位置から圧縮気または圧縮気に洗浄液やその他の液体を混合した気液混合体を、所望の指向性をもって噴射可能とする機能を果たし、基端に主圧縮気回路が接続されたものとしなければならず、その基部に脱着機構を介して着脱交換可能なものとすべきであり、後述する実施例に示すように、その基端部に共通の脱着機構の一部を設けたものを少なくとも2個準備し、各洗浄ノズルは互いのノズル先端がわ所定範囲の外径を、互いに大、小の関係とするよう設定してなるものとしたり、その基端部に脱着機構の一部を設け、先端壁に開口する端壁噴射孔と、周壁中途適所の周回り方向に均衡する配置となるよう開口した複数個の周壁噴射孔とを形成してなるものなどとすることができる。
【0017】
また、洗浄ノズルは、その基端部に脱着機構の一部を設け、吸引筒先端がわの脱着機構他部に装着した場合に、同洗浄ノズルの先端が、当該吸引筒先端から突出配置するよう固定されてなるものや、同洗浄ノズルの先端が、該吸引筒先端と同位置に配置するよう固定されてなるもの、または、同洗浄ノズルの先端が、該吸引筒先端より奥がわに後退配置するよう固定されてなるものの何れか一つに設定することができる。
【0018】
洗浄ノズルの脱着機構は、吸引筒の内壁適所か、吸引筒の内壁適所から延伸させた支持部品か、または、吸引筒内に延伸された主圧縮気回路末端かの何れかに、洗浄ノズルの基端を着脱交換可能とするよう装着可能とするものであり、主圧縮気回路を通じて供給される気体や気液混合体の噴射力や、吸引筒先端がわに発生する吸引力、および、洗浄ノズルの他物との軽い接触などで容易に破損、変形しない程度に充分な強度を有するものとしなければならず、汎用工具を使用するか、または、工具類を用いなくとも簡単に洗浄ノズルの脱着が可能な構造のものとすべきであり、気密性を確保し易いネジ型や日東工器株式会社製のカプラ(登録商標)型のものなどとするのが望ましい。
【0019】
主圧縮気回路は、グリップの基端がわから洗浄ノズル基端まで圧縮気体、および、気液混合器から洗浄ノズル基端まで気液混合体を圧送可能とし、噴射スイッチによる圧縮気の噴射操作および停止操作を可能とする機能を果たすものであり、中途適所から負圧誘導回路を分岐し、流体が不要に漏出しないよう充分な気密、耐圧性を確保したものとしなければならず、金属製または硬質合成樹脂製、各種複合素材製などのグリップの肉厚内部に一体化形成されたものとすることができる外、グリップの内部に金属製またはそれに同等程度の耐圧パイプを配管、内蔵したものとすることが可能である。
【0020】
負圧誘導回路は、主圧縮気回路に供給した圧縮気の一部を吸引筒内壁適所に供給するようにし、洗浄ノズルとは反対がわに向けて傾斜方向に噴射可能とする機能を果たし、後述する実施例に示すように、主圧縮気回路の噴射スイッチより下流がわであって、気液混合器よりも上流がわから分岐されたものとすべきであるが、噴射スイッチよりも上流がわから分岐して吸引筒が常時吸引するものとしたり、または、気液混合器よりも下流がわから分岐して気液混合体の一部を吸引筒内に噴射するよう設定したものなどとすることができる。
【0021】
気液混合器は、主圧縮気回路に流通する圧縮気中に、液路切換器の吐出路から供給した液体をミスト状に混合可能とする機能を果たすものであり、エゼクタ効果、ベンチュリ効果、ベルヌーイ効果などの、圧縮気の流動に伴う負圧を利用して液体を自動的に供給、混合するものとすべきであるが、ポンプを設けて圧縮気中に液体を加圧、注入するようにしたり、後述する実施例に示すように、気体と液体との混合比率は、液路切換器の開閉度によって調整可能なものとすることができるが、所定の混合比率に固定的に設定したものを、主圧縮気回路の中途部に対して着脱可能な組込み部品とし、混合比率の異なる組込み部品と交換自在なものとし、また、分解清掃可能なものとすることができ、液路切換器がわに圧縮空気が逆流しないよう適所に逆止弁を設けたものとすることができる。
【0022】
液回路は、複数種類の液体が個別の回路を経て液路切換器に流入するよう配管接続可能とするものであり、一液回路および少なくとも1本の別液回路は、夫々の回路が独立して内部を流れる流体が漏出および互いに混入しないよう、夫々の一端(外端)をグリップの基端に個別管路として開口し、他端(内端)を液路切換器に接続したものとしなければならず、後述する実施例にも示すように、前記主圧縮気回路と同様、グリップ内部に一体化形成された回路とすることができる外、グリップに内蔵した配管パイプからなるものとすることが可能であり、気液混合器がわから圧縮空気が流入しないよう逆止弁を設けたものとすることができる。
【0023】
液回路の一液回路は、それ以外の別液回路とは異なる薬液やそれ以外の液体を流通可能とするものであり、一液用のタンクや水槽などから吸引可能に延伸させたフレキシブルパイプなどが接続可能なものとしなければならず、例えば、後述する実施例にも示してあるように、洗浄液を供給可能なものとすることができる外、液体と同等の流動性を確保可能な研磨剤や化学薬剤その他の粉粒体を供給する回路とすることも可能である。
【0024】
液回路の1本の別液回路は、一液回路およびそれ以外の各別液回路とは異なる薬液やそれ以外の液体を流通可能とするものであり、該当する別液用のタンクや水槽などから吸引可能に延伸させたフレキシブルパイプなどが接続可能なものとしなければならず、例えば、後述する実施例にも示すように、純水を供給可能なものとすることができる外、液体と同等の流動性を確保可能な研磨剤や化学薬剤その他の粉粒体を供給する回路とすることも可能である。
【0025】
液路切換器は、一液回路および少なくとも1本の別液回路の中の1回路を選択的に気液混合器に接続可能とすると共に、その流量を調整可能とし、且つ、全ての液回路を遮断可能とする機能を果たすものであり、グリップの適所に外部から簡単に操作できるよう配置したものとしなければならず、後述する実施例に示すように、円筒形内周壁に、各液回路の端末および吐出路の夫々が周回りに点在するよう開口した円柱穴に、各液回路と吐出路とを個別に接続可能な接続回路を、周回りの所定角度毎ずらして穿設した回転スプールを装着し、該回転スプール軸回り方向に回動操作して個別の液回路の端末および吐出路を選択的に接続するか、または、全ての液回路を遮断してしまうことができるよう形成するかしたものなどとすることができる外、個別の液回路端末と吐出路との間に開閉バルブや電磁バルブを設けたものとすることができる外、当該吐出路に逆止弁を設けたのなどとすることもできる。
【0026】
噴射スイッチは、外部からの操作によって主圧縮気回路の中途適所で圧縮気流の遮断状態を一時的に解除して同主圧縮気回路中に圧縮気を流通可能とし、また、外部からの操作を解除すると、再び主圧縮気回路中の圧縮気の流れを遮断状態に復帰可能とする機能を果たすものであり、ボタン、レバー、引き金、各種センサーなど、何れかの操作入力部、および、同操作入力部への操作入力を受けて開閉操作可能な開閉弁または電磁弁などからなるものとしなければならず、その操作性を考慮すると、後述する実施例に示すように、グリップの適切な位置に設けられた引き金型のものとするのが望ましいといえる。
【0027】
圧縮気は、大気圧より高く加圧された空気や窒素ガス、酸素、炭酸ガス、ヘリウム、水素ガス、その他の気体、換言すれば各種活性ガスまたは各種不活性ガスであり、利用目的に応じた様々な種類の気体を使用可能であり、一液回路および少なくとも1本の別液回路に供給する各液体は、各種洗浄剤、または洗浄剤を適切な溶媒に混合した洗浄用溶液、研磨剤を混合した研磨液、洗浄剤および研磨液を混合した洗浄研磨液、消毒剤を混合した消毒液、剥離剤を混合した剥離液、油剤を混合した潤滑油、切削油など各種機能を付与した液体や、蒸留水、純水、各種アルコール、各種溶剤などの濯ぎ液など様々な液体、より具体的には、例えば炭化水素系洗浄剤、アルコール系洗浄剤、臭素系洗浄剤、フッ素系洗浄剤、有機溶剤系洗浄剤、石油溶剤系洗浄剤、アルカリ性洗浄剤、酸性洗浄剤、中性洗浄剤、塩素系洗浄剤、その他の洗浄剤ということができ、また、使用目的に応じて、液体と同等の流動性が得られる粉粒体に置き換えることも可能といえる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0028】
図1の断面化した洗浄ガン1の側面図、図2の洗浄ガン1の底面図、図3の液路切換器5の平面図、図4の切り替えられた液路切換器5の平面図、図5の断面化した液路切換器5の正面図、図6の分解された液路切換器5操作部5Yの平面図、図7の閉鎖状態の噴射スイッチ6の断面図、図8の開放状態の噴射スイッチ6の断面図、図9の大径洗浄ノズル8の断面図、図10の小径洗浄ノズル8の断面図、図11の周壁に開口を形成した洗浄ノズル8の断面図、図12の先端に複数の開口を形成した洗浄ノズル8の断面図、図13の周壁よび先端に複数の開口を形成した洗浄ノズル8の断面図、図14の洗浄ノズル8先端が突出した吸引筒7の断面図、図15の洗浄ノズル8先端が筒端に一致した吸引筒7の断面図、図16の洗浄ノズル8先端が筒奥がわに配置した吸引筒7の断面図、図17の突出洗浄ノズル8の使用状態の断面図、図18の先端が筒端に一致した洗浄ノズル8の使用状態の断面図、および、図19の筒奥がわに配置した洗浄ノズル8の使用状態の断面図に示す事例は、グリップ2の先端に一体化してなる吸引筒7の先端中央に、同吸引筒7に対して同心状配置で、その先端がわ方向に向けた洗浄ノズル8を設け、該グリップ2の基端から該洗浄ノズル8に達する主圧縮気回路3の適所に噴射スイッチ6を配し、該主圧縮気回路3適所から分岐した負圧誘導回路33(図17中に示す)の末端を、当該吸引筒7内壁適所において、同吸引筒7末端がわに向けて開口し、当該グリップ2内の一液回路41および別液回路42の各内端に液路切換器5を接続し、且つ、同液路切換器5の吐出路51を、当該主圧縮気回路3の適所に配した気液混合器35に接続してなるものとしたこの発明の洗浄ガンにおける代表的な一実施例を示すものである。
【0029】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の洗浄ガン1は、掌に把持し易い形状、寸法に設定された棒状で、中指から小指に対応する外周壁に指掛け用の溝20を刻設したグリップ2の先端に、吸引筒7が44°の傾斜角度αで接続、一体化されたものであり、該吸引筒7は、適切な長さの円筒形状であって、その後端に、図示しない浄化装置から延伸したフレキシブルパイプの先端を着脱自在に接続可能とする接続部70を形成し、同先端には、その内径を同先端がわに向けて内径を拡開するようテーパー加工された吸引口金具71を交換可能に装着し、同中途適所の外周壁に、当該グリップ2への接続座部72が一体化形成されており、該接続座部72を、貫通するよう着脱自在に装着し、主圧縮気回路3の先端がわ範囲を形成するものとしたノズルパイプ31の先端がわを該吸引筒7内の中心まで延伸した上、該吸引筒7の先端がわに向けて湾曲した同ノズルパイプ31の先端に洗浄ノズル8着脱用の脱着機構9の一部である雌ネジ90を刻設したものとし、該脱着機構9雌ネジ90には、例えば、図1および図10中に示すように、先端がわを縮径化して細い針状パイプとした洗浄ノズル8の基端に刻設した脱着機構9の他部である雄ネジ91を螺合、装着したものとすることが可能である。
該脱着機構9の雌ネジ90および雄ネジ91は、さらに着脱容易なニップルおよびコネクターの組み合わせなどからなる、他のジョイント機構または接続用部品類などに置き換えることが可能であり、当該ノズルパイプ31の基端には、当該接続座部72の主圧縮気回路3開口部分との間に、環状シールSを装着したものとなっている。
【0030】
脱着機構9を介して主圧縮気回路3ノズルパイプ31の先端に接続され、吸引筒7先端の中心に同心状配置とした洗浄ノズル8は、図14中に示すように、その先端が、吸引筒7の先端縁から、所定寸法A分突出するよう設定したもの、図15中に示すように、その先端が、吸引筒7の先端縁に一致するよう寸法設定されたもの、および、図16中に示すように、その先端が吸引筒7の先端縁から、所定寸法B分奥がわに後退して配置するよう設定されたものなどとすることが可能である。
図1および図14ないし図16中に示すように、当該主圧縮気回路3のノズルパイプ31は、止めネジ32で固定されており、吸引口金具71を取り外して止めネジ32を緩めると脱抜状に分解可能なものとしてある。
【0031】
図1に示すように、当該グリップ2の基端壁面には、指掛け用の溝20のある前方から後ろがわへ順に、主圧縮気回路3用のコネクター部30および2個の液回路4用のコネクター部40,40が開口し、同グリップ2の肉厚内部には、コネクター部30から吸引筒7内まで達するよう主圧縮気回路3が延伸されており、その外がわのグリップ2前面壁の人差し指に対応する位置に、噴射スイッチ6の引き金61および射出弁62からなる操作入力部60を設けたものとしてあり、図1、図7および図8中に示すように、該射出弁62は、主圧縮気回路3の中途適所に交叉状に穿設、開口されたバルブ穴63内に、コイルスプリング64、バルブロッド65、バルブガイド66を装着し、密閉を要する各部に環状シールS,S,……を装着してなり、該引き金61に引き入力すると、図8に示すように、コイルスプリング64に抗してバルブロッド65が没入してバルブを開放し、引き金61を解放すると、図7に示すように、コイルスプリング64の弾発力が自動的にバルブロッド65を突出してバルブを閉鎖するものとしてある。
【0032】
図1および図17中に示すように、当該主圧縮気回路3の噴射スイッチ6より下流がわとなる適所に分岐点34を設け、該分岐点34から接続座部72を通じて吸引筒7内壁に達し、その開口を当該洗浄ノズル8とは反対がわに向けた傾斜姿勢で同吸引筒7末端がわ中心に向けて開口するよう、負圧誘導回路33を形成し、また、図1中に示すように、当該主圧縮気回路3の分岐点34より下流がわで、しかもノズルパイプ31よりも上流がわの適所には、ベンチュリ管状に内径を縮小し、液路切換器5の吐出路51を接続してなる気液混合器35が内蔵されたものとしてある。
【0033】
図1および図2中に示すように、一液回路41および別液回路42は、当該グリップ2基端壁面のコネクター部40,40から同グリップ2肉厚内部の当該気液混合器35に対応する付近まで夫々独立して延伸し、図5中に示すように、同一液回路41および別液回路42の内端が、当該液路切換器5用としてグリップ2先端寄り背面に開口するよう穿設した円柱状シリンダ50の内周壁周回り方向に適宜角度ずらして接続したものとしてあり、同シリンダ50底面適所に穿設した吐出路51が前記気液混合器3(図1中に示す)に接続し、該シリンダ50開口端周縁には、同シリンダ50内径よりも大きな円形座金状の環状凹欠部分が形成され、同環状凹欠部分内周壁に雌ネジを刻設したものとしてあり、該シリンダ50内に装着した回動スプール52用の環状抑え金具21を螺着させたものとしてある。
【0034】
図3ないし図5中に示すように、当該液路切換器5の回動スプール52は、円柱形状の一端中心部分に矩形ブロック状の嵌着用頭部53を形成し、シリンダ50に装着した場合に、軸心回り所定角度位置で、当該一液回路41の内端に対峙する周面壁から、同角度位置で当該吐出路51に対峙する底面壁に至る同回動スプール52肉厚中に、エルボ状の一液用転換回路54を形成し、また、該一液用転換回路54から所定の軸心回り角度移動した位置には、当該別液回路42の内端に対峙する周面壁から、同角度位置で当該吐出路51に対峙する底面壁に至る同回動スプール52肉厚中に、エルボ状の別液用転換回路55を形成し、さらに、各一液用転換回路54および別液用転換回路55の開口を挟む回動スプール52外周面壁の上、中、下の各所には、夫々環状溝が刻設してあり、それら各環状溝に環状シールS,S,Sを嵌合状に装着させたものとしてある。
【0035】
図1ないし図6中に示すように、前記シリンダ50開口端周縁に形成した環状凹欠部分に螺合、結合した環状抑え金具21が、該シリンダ50内の回動スプール52を脱抜不能且つ軸心回りに回動自在となるよう保持するものとなり、同環状抑え金具21中央に穿設された貫通孔22に貫通し、外がわに回転自在に突出した当該嵌着用頭部53の矩形ブロック状の突端には、図5および図6中に示すように、円盤状であって接合面壁中央に矩形凹欠部を形成し、これとは反対がわの露出面壁中央から、該矩形凹欠部に貫通するざぐり孔を穿孔した操作円盤56の、該矩形凹欠部を嵌着し、当該ざぐり孔から嵌着用頭部53突端面に固定ネジ57を螺着、一体化すると共に、当該操作円盤56の直径方向から同外周壁適所に操作レバー58が突設するよう螺着させたものとしてある。
【0036】
図9に示すように、洗浄ノズル8は、その基端に脱着機構9の雄ネジ91が刻設されており、全長に渡る外径Dが、一定の円筒形外周面壁を有し、球面状とした先端中央に軸心方向に貫通する噴射口80を形成してなるものとすることが可能であり、図10に示すように、洗浄ノズル8の先端がわ所定範囲の外径dを、基端がわの外径よりも小さく縮径(例えば直径1.0mm以下)し、その球面状の先端中央に、小さな直径の噴射口80が形成されたものとすることが可能であり、さらに、図11に示すように、洗浄ノズル8の縮径化先端がわ直後付近となる基端がわの大径範囲に、周回りに180°の間隔を隔てて直径方向に貫通する減圧孔81,81を穿孔したものや、図12中に示すように、洗浄ノズル8の先端部分が、鉛筆の円錐形部分の先端を平面状に切除した外郭形状とし、その先端面壁に軸心方向に貫通する噴射口80を開口すると共に、円錐状面壁の周回り方向の所定間隔置き毎に、同円錐状面壁に直交状に貫通した複数の傾斜噴射口82,82,……を穿設してなるものとすることが可能であり、また、図13中に示すように、図12に示した洗浄ノズル8の基端がわ円筒状周壁面部分に沿って一定の間隔を隔てて均質に分布するよう、複数の横向き噴射口83,83,……を穿設したものとすることが可能である。
【0037】
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の洗浄ガン1は、図1および図2中に示すように、グリップ2基端のコネクター部30,40,40の夫々に、主圧縮気回路3には圧縮空気Cを、一液回路41には、例えばアルベマール社製のABZOL(アブゾール:登録商標)を、そして別液回路42には純水を、夫々供給できるようにしたフレキシブルパイプ(図示せず)が、個別のスピードコントローラ付きクイック継手(図示せず)を介して接続し、また、吸引筒7後端の接続部70に、図示しない浄化装置から延伸したフレキシブルパイプの先端を接続した上、該グリップ2を把持して噴射スイッチ6の操作入力部60引き金61を引くと、図7中に示す、射出弁62のバルブロッド65がコイルスプリング64を圧縮してバルブ穴63内に没するよう後退し、閉鎖状態にあった主圧縮気回路3を開放し、図8中の実線矢印に示すように、圧縮空気Cが流通状態となり、図14および図17中に実線矢印で示すように、洗浄ノズル8噴射口80および負圧誘導回路33末端開口の夫々から圧縮空気Cを噴射し、洗浄ノズル8噴射口80から噴射させた圧縮空気Cは、洗浄対象物Pに吹き付けて洗浄効果を発揮すると共に、負圧誘導回路33末端から噴射した圧縮空気Cが、洗浄ノズル8周辺の空気および洗浄汚れや塵埃、油などを吸引筒7内に吸引し、同吸引筒7後端に接続した浄化装置(図示せず)まで強制的に圧送するものとなり、該引き金61を解放すると、図7中に示すように、コイルスプリング64の弾性復帰力によってバルブロッド65が突出方向に移動して射出弁62が主圧縮気回路3を閉鎖し、洗浄ノズル8および負圧誘導回路33からの圧縮空気Cの噴射が停止する。
【0038】
図1、図2、図5および図6に示す、液路切換器5の操作レバー58を回動操作して、図3中に示すように、回動スプール52の一液用転換回路54が、一液回路41内端と、気液混合器35に繋がる吐出路51とを接続した上、前述のように、噴射スイッチ6を操作すると、図1中に示すように、圧縮空気Cが気液混合器35を通過するときにエゼクタ効果を生じて、一液回路41から前記一洗浄液であるアルベマール社製のABZOL(アブゾール:登録商標)が、該圧縮空気C中に混合し、気液混合体となって洗浄ノズル8噴射口80から噴射されるものとなり、また、当該液路切換器5の操作レバー58を回動操作して、図4中に示すように、回動スプール52の別液用転換回路55が、別液回路42内端と気液混合器35に繋がる吐出路51とを接続してから、噴射スイッチ6を操作すると、気液混合器35が前記同様のエゼクタ効果を生じて、別液回路42から前記別洗浄液である純水が圧縮空気C中に混合し、気液混合体となって洗浄ノズル8噴射口80から噴射される。
【0039】
したがって、当該洗浄ガン1を採用してこの発明の洗浄方法を実施可能であり、例えば、図1および図17に示すように、液路切換器5の操作で気液混合器35に一液回路41を接続し、吸引筒7の先端中央を洗浄対象物Pに対峙、接近させて噴射スイッチ6を操作し、洗浄ノズル8から、アルベマール社製のABZOL(アブゾール:登録商標)などの洗浄液を混合させた圧縮空気Cを吹き付けると共に、吸引筒7の先端がわから洗浄液ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄工程の後、液路切換器5の操作で気液混合器35に別液回路42を接続し、洗浄ノズル8から純水が混合された圧縮空気Cを吹き付けると共に、吸引筒7の先端がわから純水ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄液濯ぎ工程を行った上、液路切換器5の操作で気液混合器35への液体の供給を停止し、洗浄ノズル8から圧縮空気Cだけを吹き付けると共に、吸引筒7の先端がわから空気および水分などを吸引除去する乾燥工程を行い、それ以外の超音波洗浄装置や乾燥装置などを一切使用せずに洗浄、濯ぎ洗い、および乾燥までを一挙に行うことが可能となり、特に、水分に弱い材質からなる洗浄対象物Pの錆びや変質を確実に防止できるものとなる。
【0040】
当該洗浄ガン1は、図1中に示すように、グリップ2に対して吸引筒7が44°の角度α姿勢に傾斜して組み込まれているから、吸引筒7の先端がわおよび洗浄ノズル8を洗浄対象物P(図17中に図示する)に向け易く、しかも吸引筒7の後端に浄化装置のフレキシブルパイプ(図示せず)を接続することが可能であり、また、図10中に示した洗浄ノズル8は、その先端がわ外径dを、図9中に示してある洗浄ノズル8の外径Dよりも細く設定してあるから、図17中に示すように、ネジ穴P0などの小さな直径の孔などを洗浄するのに有効であり、図11に示すように、洗浄ノズル8の縮径化先端がわ直後付近となる基端がわ大径部分に、周回りに180°の間隔を隔てて直径方向に貫通する減圧孔81,81を穿孔したものの場合、先端噴射口80から噴射する圧縮空気Cまたは気液混合体の噴出圧力を軽減し、図1中に示す気液混合器35内の一液または別液などの洗浄液類の一液回路41や別液回路42への逆流の発生を防止すると共に、該噴射口80からの過剰な高圧噴射を防止し、しかも対称位置に配した各減圧孔81,81が、洗浄ノズル8の直径方向への不要なストレスの発生を抑制可能なものとなり、図12中に示すように、軸心方向の噴射口80、および、その周囲に配した複数の傾斜噴射口82,82,……を有する洗浄ノズル8は、円柱孔の隅なども効率的に洗浄するものとなり、図13に示すとおり、洗浄ノズル8の先端がわの所定範囲に渡って均質に分布するよう、複数の横向き噴射口83,83,……を穿設したものは、筒状内周壁などの洗浄をより効率的に実施可能とする。
【0041】
また、図14中に示すように、洗浄ノズル8先端の噴射口80が、吸引筒7先端縁から所定寸法A分突出したものは、図17中に示すように、洗浄対象物Pに穿設された柱状穴P0に洗浄ノズル8先端を挿入するようにして効果的に洗浄し、同洗浄ノズル8周辺の空気やミスト、汚れ、埃などを残さず吸引、除去することが可能であり、図15中に示すように、洗浄ノズル8先端の噴射口80が吸引筒7先端縁位置に一致するよう配したものでは、図18中に示すように、洗浄対象物Pの平坦面を効率的に洗浄可能とし、洗浄ノズル8周辺の空気や汚れなども確実に吸引することが可能であり、図16中に示すように、洗浄ノズル8先端の噴射口80が、吸引筒7先端縁から所定寸法B分奥がわに後退配置されたものは、図19中に示すように、洗浄対象物Pの平坦面から突出した六角穴付きボルトP1の頭部穴P3のような複雑な形状部分の洗浄を、より効果的に実施可能とし、吸引筒7先端周縁がボルト頭部P2周辺を含む範囲を囲むように配して洗浄すると、より高い吸引、除去作用が得られる。
【0042】
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1の洗浄ガン1は、前記したこの発明の効果の項における特徴に加え、図14ないし図16中に示すように、吸引筒7の吸引口金具71を取り外すと、洗浄ノズル8の着脱が容易になると共に、止めネジ32を緩めてノズルパイプ31の脱抜、組み込みが可能になることから、生産時の組み立て工数の短縮、および、メンテナンス性を高めたものとなり、さらに、図9ないし図16に示した様々な形状、寸法の洗浄ノズル8,8,……の脱着機構9の一部である雄ネジ91,91,……を、互いに共通のものとなるようにしたことにより、図17ないし図19中に示すように、多様な形状の洗浄対象物Pに応じて洗浄ノズル8を交換、使用しさえすれば、従来に比較して各段に効率的且つ効果的な洗浄作業を実現化することができるという、これまでには無い利点が得られるものとなる。
【0043】
(結 び)
叙述の如く、この発明の洗浄ガン、およびそれを利用した洗浄方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易な上に、何種類かの装置などを順次利用しなければならなかった従前からの洗浄技術に比較し、洗浄対象物の運搬コストや洗浄作業の工数を大幅に削減して生産効率やメンテナンス効率を大幅に改善可能にすることから、コスト削減の要求に迫られてはいるものの、これ以上、製品を低廉化するのが艱難になっていた部品製造業界および製品組立て業界は固よりのこと、コンプレッサーやエアガンなどを製造販売する洗浄用機械メーカーや、良質且つ廉価な製品の出荷を望む機械販売業界などにおいても高く評価されることとなり、今後、広範に利用、普及が図られていくことになるものと予想される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図面は、この発明の洗浄ガン、およびそれを利用した洗浄方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】洗浄ガンを断面化して示す側面図である。
【図2】洗浄ガンを示す底面図である。
【図3】液路切換器を示す平面図である。
【図4】切り替えられた液路切換器を示す平面図である。
【図5】液路切換器を断面化して示す正面図である。
【図6】分解された液路切換器操作部を示す平面図である。
【図7】閉鎖状態の噴射スイッチを示す断面図である。
【図8】開放状態の噴射スイッチを示す断面図である。
【図9】大径洗浄ノズルを示す断面図である。
【図10】小径洗浄ノズルを示す断面図である。
【図11】周壁に開口を形成した洗浄ノズルを示す断面図である。
【図12】先端に複数の開口を形成した洗浄ノズルを示す断面図である。
【図13】周壁よび先端に複数の開口を形成した洗浄ノズルを示す断面図である。
【図14】洗浄ノズル先端が突出した吸引筒を示す断面図である。
【図15】洗浄ノズル先端が筒端に一致した吸引筒を示す断面図である。
【図16】洗浄ノズル先端が筒奥がわに配置した吸引筒を示す断面図である。
【図17】突出洗浄ノズルの使用状態を示す断面図である。
【図18】先端が筒端に一致した洗浄ノズルの使用状態を示す断面図である。
【図19】筒奥がわに配置した洗浄ノズルの使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 洗浄ガン
2 グリップ
20 同 指掛け用の溝
21 同 環状抑え金具
22 同 貫通孔
3 主圧縮気回路
30 同 コネクター部
31 同 ノズルパイプ
32 同 止めネジ
33 同 負圧誘導回路
34 同 分岐点
35 同 気液混合器
4 液回路
40 同 コネクター部
41 同 一液回路
42 同 別液回路
5 液路切換器
50 同 シリンダ
51 同 吐出路
52 同 回動スプール
53 同 嵌着用頭部
54 同 一液用転換回路
55 同 別液用転換回路
56 同 操作部(操作円盤)
57 同 固定ネジ
58 同 操作レバー
6 噴射スイッチ
60 同 操作入力部
61 同 引き金
62 同 射出弁
63 同 バルブ穴
64 同 コイルスプリング
65 同 バルブロッド
66 同 バルブガイド
7 吸引筒
70 同 接続部
71 同 吸引口金具
72 同 接続座部
8 洗浄ノズル
80 同 噴射口
81 同 減圧孔
82 同 傾斜噴射口
83 同 横向き噴射口
9 脱着機構
90 同 雌ネジ
91 同 雄ネジ
α 吸引筒7の傾斜角度
A 洗浄ノズルの吸引筒からの突出寸法
B 洗浄ノズルの吸引筒内への後退寸法
C 圧縮空気(圧縮気)
D 洗浄ノズルの外径
d 洗浄ノズルの小径先端がわ外径
S 環状シール
P 洗浄対象物
P0 同 柱状穴(ネジ穴)
P1 同 六角穴付きボルト
P2 同 ボルト頭部
P3 同 ボルト頭部穴
【技術分野】
【0001】
この発明は、機械装置や製品、その他の洗浄技術に関するものであり、特に気体または気体および液体の混合流体などを対象物に吹き付けて洗浄可能とする洗浄装置を製造する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
各種工作機械や、それによって加工された部品、製品類などに付着した汚れ、塵埃、切削屑、油分などを除去するのに、工場内に配された圧縮空気用の配管やコンプレッサーまたはボンベなどに繋いだエアガンが一般に広く用いられており、洗浄対象物にガンのノズルを向けて圧縮空気を噴射すると、ウエスで拭き取るより効率的で製品に不要な擦り傷など付けることなく、複雑で精密な製品、部品類であっても洗浄作業性を高めることができるという利点があり、これまで広く利用されてきたが、圧縮空気の噴射によって除去された塵埃や油分などが空中に飛散したり、汚れや切削屑などが周囲に飛沫、付着するなど作業環境を悪化させてしまうという欠点があり、さらにまた、圧縮空気の吹き付けだけでは、充分に除去できない汚れについては、エアガンに加えて超音波洗浄機や洗浄薬液槽などの洗浄装置類や脱水、乾燥装置類などを準備しておき、それらの洗浄槽に所定時間浸漬した後に濯ぎ洗浄し、さらに脱水、乾燥処理するなどしなければならず、複数の洗浄用装置類と多くの工数とを要するものとなっていた。
【0003】
(従来の技術)
こうした状況を憂慮し、例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、モーターで回転駆動可能な回転軸の先端に洗浄用ブラシを設け、該回転軸内部を通じて先端ブラシ部分に洗浄液を供給可能とし、ネジ穴などを効果的に洗浄可能としたものや、同特許文献1(2)に見られるようなクリーナーヘッドの先端部にエアー吸入口を開口し、該エアー吸入口の中央部に超音波エアー噴出ノズルを設け、該超音波エアー噴出ノズルをエアー送り状態と停止状態とに切り替え可能なスイッチ機構を有し、クリーナーヘッドの基端に可撓バキューム管および可撓エアー供給管を接続して、常時エアー吸入口から吸入するようにしてなるもの、または、例えば、特許文献1(3)のように、気体、液体または粉粒体等を移送する配管の中途適所に、把手を有する移送管体を設け、該移送管体の内臓部品を変更、または、内蔵部品の向きを変更するなどして、把手内を通じて供給される気体の噴射方向を変更可能とすると共に、該把手に気体の流量調節弁を設けてなるものなどが散見される。
【0004】
しかし、上記従来技術の中、前者特許文献1(1)に示されているもののように、回転するブラシに洗浄液を供給するものは、ブラシ洗浄後に洗浄液を洗い流す手段がなく、次工程で部品などの洗浄対象物を洗浄槽に浸漬し、超音波洗浄した後、浸漬液を乾燥、除去したり、蒸気洗浄を行うなどの必要があり、洗浄後に複数の工程と、それら各行程毎に用いる各種洗浄装置類とが不可欠なものであり、また、次の特許文献1(2)のような、中央ノズルから超音波エアーを噴射し、その周囲のエアー吸入口からエアーを吸入するようにしたものは、乾燥状態の微細な塵埃を除去するのに有効であるが、水分や油分、切削屑などを洗浄、除去することはできず、特に、水分や油分を殆ど除去することができないという致命的な欠点を有するものであり、また最後の、特許文献1(3)に代表する配管路を利用した気体、粉粒体などの移送技術は、その構造の一部を応用して圧縮空気に洗浄液を混合することが可能かも知れないが、噴射した気液混合体を吸引、回収する技術はなく、洗浄液のミストが空気中に飛散して作業環境を悪化させてしまうことが懸念されるものである。
【特許文献1】(1)特開2000−202379号公報 (2)特開平10−43699号公報 (3)特開平6−206625
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種洗浄装置類は、何れも洗浄作業の後に仕上げの超音波洗浄や蒸気洗浄などを要したり、乾燥した微細な塵埃の除去しかできなかったり、空気中に洗浄液のミストが拡散してしまい作業環境を悪化させてしまうなどの欠点があり、また、既に市場に広く供給されているマーテック株式会社製のスーパーガン(商品名)のような、圧縮エアーの噴射および吸引を可能としたものは、洗浄液を噴射する機能をもっておらず、株式会社栗田製作所製のエンジンクリーナー(商品名)のように、各種洗浄液を圧縮空気に混合して噴射可能としたものは、噴射した洗浄液や塵埃を吸引、回収することができないという欠点があったことなどから、洗浄対象物に洗浄液混合の圧縮空気を噴射して洗浄し、噴射したミストや汚れ、塵埃、水分、油分、切削屑などを瞬時に回収可能で、しかも複数の洗浄液を切り替えて、洗浄剤成分をも濯ぎ洗浄除去可能とし、最終的に圧縮空気を噴射して残存水分などを充分に除去、乾燥可能とする技術については未だ存在しないという状況にある。
【0006】
(発明の目的)
そこで、この発明は、1つの洗浄装置で洗浄対象物に洗浄液混合の圧縮空気を噴射して洗浄可能であると共に、周囲にミストが飛散しなよう吸引回収可能であって、洗浄液を切り替えて汚れや塵埃などを除去し、最終的に圧縮空気だけを噴射して洗浄の全工程を一挙に完了可能とすることができるようにする新たな洗浄技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の洗浄ガン、およびそれを利用した新規な洗浄方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の洗浄ガンは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、グリップの先端に適宜角度姿勢に傾斜、一体化してなる吸引筒の先端中央に、同吸引筒に対して同心状配置で、その先端がわ方向に向けて気体または気液混合体を噴射可能とする洗浄ノズルを設け、当該グリップの基端から該洗浄ノズルに渡る管路の中途適所に、同グリップを把持した手指で操作可能となる外壁に操作入力部を露出するよう噴射スイッチを配した主圧縮気回路を内蔵すると共に、該主圧縮気回路の噴射スイッチと洗浄ノズルとの間適所から分岐した負圧誘導回路の末端を、当該吸引筒内壁適所において、該洗浄ノズルとは反対がわ方向に傾斜姿勢であり、同吸引筒末端がわに向けて開口するようにした上、当該グリップの基端から噴射スイッチ近傍までの同グリップ内に延伸させてなる一液回路および少なくとも1本の別液回路の各内端に、外部より一液と別液とを任意選択する切換え操作用の液路切換器を接続し、且つ、該液路切換器からの吐出路を、当該主圧縮気回路の負圧誘導回路分岐点と洗浄ノズルとの間適所に配してある気液混合器に接続してなるものとした構成を要旨とする洗浄ガンである。
【0008】
この基本的な構成からなる洗浄ガンをより具体的なものとして示すと、グリップの先端に適宜角度姿勢に傾斜、一体化してなる吸引筒の先端中央に、同吸引筒に対して同心状配置とするよう、脱着機構を介して、同吸引筒の先端がわ方向に向けて気体または気液混合体を噴射可能とする洗浄ノズルを交換可能に装着し、当該グリップの基端から該洗浄ノズルに渡る管路の中途適所に、同グリップを把持した手指で操作可能となる外壁に操作入力部を露出するよう噴射スイッチを配した主圧縮気回路を内蔵すると共に、該主圧縮気回路の噴射スイッチと洗浄ノズルとの間適所から分岐した負圧誘導回路の末端を、当該吸引筒内壁適所において、該洗浄ノズルとは反対がわ方向に傾斜姿勢であり、同吸引筒末端がわに向けて開口するようにした上、当該グリップの基端から噴射スイッチ近傍までの同グリップ内に延伸させてなる一液回路および少なくとも1本の別液回路の各内端に、外部より一液と別液とを任意選択する切換え操作用の液路切換器を接続し、且つ、該液路切換器からの吐出路を、当該主圧縮気回路の負圧誘導回路分岐点と洗浄ノズルとの間適所に配してある気液混合器に接続してなるものとした構成からなる洗浄ガンとなる。
【0009】
(関連する発明)
上記した洗浄ガンに関連し、この発明には、それら洗浄ガンを利用した洗浄方法も包含している。
即ち、液路切換器の操作で気液混合器に一液回路を接続し、吸引筒の先端中央を洗浄対象物に対峙、接近させて噴射スイッチを操作し、洗浄ノズルから洗浄液が混合された圧縮空気を吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから洗浄液ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄工程の後、液路切換器の操作で気液混合器に別液回路を接続し、洗浄ノズルから純水が混合された圧縮空気を吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから純水ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄液濯ぎ工程を行った上、液路切換器の操作で気液混合器への液体の供給を停止し、洗浄ノズルから圧縮空気のみを吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから空気および水分などを吸引除去する乾燥工程を行うようにした、この発明の基本をなす前記洗浄ガンを利用した洗浄方法である。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおり、この発明の洗浄ガンによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、グリップに対して適宜角度姿勢で傾斜するよう吸引筒を一体化し、該吸引筒の後端に清浄装置や濾過装置などのに接続可能なフレキシブルパイプや配管類を接続可能とし、該吸引筒の先端がわに、同吸引筒の先端方向に向けた洗浄ノズルを設けると共に、グリップの基端から該洗浄ノズルに渡る主圧縮気回路の中途適所で分岐した負圧誘導回路の末端を、当該吸引筒内壁適所に、同吸引筒後端がわ向きに傾斜開口した上、グリップ外壁に露出した操作入力部で噴射スイッチを操作すると、該洗浄ノズルから噴射した気体または気液混合体を利用して洗浄対象物を洗浄すると共に、該吸引筒の先端がわから後端がわに向け、洗浄ノズル周辺の気体やミストと共に、洗浄対象物から離脱した塵埃、油分、水分などの汚れ成分も吸引して清浄装置や濾過装置などへ供給、浄化するものとし、作業環境中の空気汚染などを防止して清浄な環境を維持できるという秀れた特徴が得られるものである。
【0011】
加えて、当該グリップには、主圧縮気回路および負圧誘導回路の他に、一液回路および少なくとも1本の別液回路、それらの液路切換器、ならびに、同液路切換器にて切換え選択した液体を主圧縮気回路の適所に合流、気化可能とする気液混合器を有しており、該液路切換器を操作して一液回路、または何れか1本の別液回路を選択して気液混合器に接続することが可能であり、さらに、一液回路、または何れか1本の別液回路の何れも気液混合器に接続せず、閉鎖状態とすることが可能となり、当該洗浄ガンを用いれば圧縮気の噴射、一液の気液混合体の噴射、または、別液の気液混合体の噴射の何れかを自由に選択して利用することが可能となり、従来までであれば、洗浄用ガンで洗浄した後の洗浄対象物を超音波洗浄装置に浸漬、洗浄し、さらに、乾燥処理するなどの複雑な工程を要していた作業を、当該洗浄ガンの一台で、一挙に洗浄から濯ぎ洗い、乾燥まで処理することが可能となり、洗浄作業の効率を大幅に改善できるという秀れた効果を発揮する。
【0012】
また、洗浄ノズルの基端部に脱着機構の一部を設けて交換可能としてなるものは、洗浄ノズルの洗浄や交換などのメンテナンス性を高めるだけでなく、該洗浄ノズルの基端部に共通の脱着機構の一部を設けたものを少なくとも2個準備し、各洗浄ノズルは互いのノズル先端がわ所定範囲の外径を、互いに大、小の関係とするよう設定してなるものは、洗浄対象物の形状や寸法に合わせて最適な寸法、形状の洗浄ノズルに適宜交換して洗浄性能を高め、洗浄作業の効率を高めることができ、また、洗浄ノズル先端壁に開口する端壁噴射孔と、周壁中途適所の周回り方向に均衡する配置となるよう開口した複数個の周壁噴射孔とを形成してなるものは、各周壁噴射孔を通じて洗浄ノズルの内圧を減圧し、高圧による気液混合器の逆流を阻止すると共に、洗浄ノズル先端がわの小径化によって端壁噴射孔付近が高圧化してしまうのを防止でき、さらにまた、吸引筒に装着した場合に、同洗浄ノズルの先端が、該吸引筒先端から突出配置するよう固定させた洗浄ノズルは、洗浄対象物に形成されたネジ穴などの洗浄や乾燥の効果および作業効率を各段に高めるものとなり、そして、吸引筒に装着した場合に、洗浄ノズルの先端が、当該吸引筒先端と同位置に配置するよう固定してなるものは、吸引筒先端周縁が洗浄ノズルの先端を保護すると共に、洗浄対象物の平面部分を洗浄、乾燥するのに有効となり、また、洗浄ノズルの先端が、当該吸引筒先端よりも奥がわに後退配置するよう固定してなるものは、洗浄対象物表面から突出したボルト頭部の六角穴や十字穴などを極めて効果的に洗浄、乾燥することができることとなり、適宜それら形状、寸法の異なる洗浄ノズルを交換、装着するようにすれば、これら洗浄作業の効率を一段と高めることができるという利点を有するものとなる。
【0013】
そして、この発明の洗浄ガンを利用した洗浄方法によれば、液路切換器の操作で気液混合器に、洗浄液を供給可能とした一液回路を接続し、噴射スイッチを操作して洗浄対象物に洗浄液ミストを噴射して洗浄すると共に、吸引筒の先端がわから洗浄液ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄工程を行い、周辺に洗浄液ミストが拡散してしまうのを確実に防止して作業環境を衛生的に保ち、且つ洗浄作業を効率化することができ、続く洗浄液濯ぎ工程では、該液路切換器を操作して気液混合器に対して純水の供給が可能な別液回路を接続し、洗浄ノズルから純水混合の圧縮空気を洗浄対象物に吹き付け、吸引筒の先端がわから純水ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去するようにして洗浄液成分を含む汚れや塵埃などを効果的に除去し、さらに、液路切換器の操作で気液混合器への液体の供給を停止し、洗浄ノズルから圧縮空気だけを吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから空気および水分などを吸引除去する乾燥工程で、洗浄対象物を充分に乾燥させることができ、当該洗浄ガンだけを使用して洗浄対象物の洗浄、濯ぎ洗い、および乾燥までを一挙に処理可能とすることができるなど、従来型の超音波洗浄装置や乾燥装置などを順次利用して行う作業に比較すれば、各段に作業効率を高めることができるという秀れた効果を発揮するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
グリップは、吸引筒および洗浄ノズルの把持、操作を確実且つ容易にすると共に、該吸引筒や洗浄ノズルに接続された主圧縮気回路や各種液回路を内蔵可能とし、主圧縮気回路用の噴射スイッチ、各液回路用の液路切換器、ならびに、主圧縮気回路中途適所に、液路切換器吐出路を接続する気液混合器などの主要な機能を一体化して片手でも取扱い易いものとする機能を果たし、片手で確実に把持できる形状、寸法および取扱い易い重量と充分な耐圧性とに設定された安全なものとしなければならず、吸引筒および洗浄ノズルの取り付け位置および角度は、後述する実施例にも示してあるように、当該吸引筒の末端位置がグリップから外れるようピストル型の配置にしたものとすべきであり、液路切換器や噴射スイッチなどの各操作部分は、グリップを把持した片手で容易に操作可能な配置関係となるようにするのが望ましいといえる。
【0015】
吸引筒は、洗浄ノズルの周囲を筒状に包囲して負圧誘導回路から噴射される圧縮空気で生じるエゼクタ効果によって、洗浄ノズル周辺の気体、液体、固体およびその混合物などを吸引、除去可能とするものであり、負圧誘導回路の末端が、吸引筒内壁の適所に、該洗浄ノズルとは反対がわに向けた傾斜姿勢となる、同吸引筒末端がわに向けて開口したものとしなければならず、後述する実施例に示してあるように、同吸引筒の末端には、吸引した気体または気液混合体中から汚れや水分、油分、粉体、塵埃、切削屑などの気体、液体、半個体、固体などを適宜分離、回収可能とする浄化装置、集塵機、フィルター装置、気液分離装置、濾過器または回収装置などの何れかを直接接続するか、または、それら浄化装置類の何れか一つから延伸させたフレキシブルパイプなどの配管を接続可能なものとすることができる。
【0016】
洗浄ノズルは、吸引筒先端がわ中央位置から圧縮気または圧縮気に洗浄液やその他の液体を混合した気液混合体を、所望の指向性をもって噴射可能とする機能を果たし、基端に主圧縮気回路が接続されたものとしなければならず、その基部に脱着機構を介して着脱交換可能なものとすべきであり、後述する実施例に示すように、その基端部に共通の脱着機構の一部を設けたものを少なくとも2個準備し、各洗浄ノズルは互いのノズル先端がわ所定範囲の外径を、互いに大、小の関係とするよう設定してなるものとしたり、その基端部に脱着機構の一部を設け、先端壁に開口する端壁噴射孔と、周壁中途適所の周回り方向に均衡する配置となるよう開口した複数個の周壁噴射孔とを形成してなるものなどとすることができる。
【0017】
また、洗浄ノズルは、その基端部に脱着機構の一部を設け、吸引筒先端がわの脱着機構他部に装着した場合に、同洗浄ノズルの先端が、当該吸引筒先端から突出配置するよう固定されてなるものや、同洗浄ノズルの先端が、該吸引筒先端と同位置に配置するよう固定されてなるもの、または、同洗浄ノズルの先端が、該吸引筒先端より奥がわに後退配置するよう固定されてなるものの何れか一つに設定することができる。
【0018】
洗浄ノズルの脱着機構は、吸引筒の内壁適所か、吸引筒の内壁適所から延伸させた支持部品か、または、吸引筒内に延伸された主圧縮気回路末端かの何れかに、洗浄ノズルの基端を着脱交換可能とするよう装着可能とするものであり、主圧縮気回路を通じて供給される気体や気液混合体の噴射力や、吸引筒先端がわに発生する吸引力、および、洗浄ノズルの他物との軽い接触などで容易に破損、変形しない程度に充分な強度を有するものとしなければならず、汎用工具を使用するか、または、工具類を用いなくとも簡単に洗浄ノズルの脱着が可能な構造のものとすべきであり、気密性を確保し易いネジ型や日東工器株式会社製のカプラ(登録商標)型のものなどとするのが望ましい。
【0019】
主圧縮気回路は、グリップの基端がわから洗浄ノズル基端まで圧縮気体、および、気液混合器から洗浄ノズル基端まで気液混合体を圧送可能とし、噴射スイッチによる圧縮気の噴射操作および停止操作を可能とする機能を果たすものであり、中途適所から負圧誘導回路を分岐し、流体が不要に漏出しないよう充分な気密、耐圧性を確保したものとしなければならず、金属製または硬質合成樹脂製、各種複合素材製などのグリップの肉厚内部に一体化形成されたものとすることができる外、グリップの内部に金属製またはそれに同等程度の耐圧パイプを配管、内蔵したものとすることが可能である。
【0020】
負圧誘導回路は、主圧縮気回路に供給した圧縮気の一部を吸引筒内壁適所に供給するようにし、洗浄ノズルとは反対がわに向けて傾斜方向に噴射可能とする機能を果たし、後述する実施例に示すように、主圧縮気回路の噴射スイッチより下流がわであって、気液混合器よりも上流がわから分岐されたものとすべきであるが、噴射スイッチよりも上流がわから分岐して吸引筒が常時吸引するものとしたり、または、気液混合器よりも下流がわから分岐して気液混合体の一部を吸引筒内に噴射するよう設定したものなどとすることができる。
【0021】
気液混合器は、主圧縮気回路に流通する圧縮気中に、液路切換器の吐出路から供給した液体をミスト状に混合可能とする機能を果たすものであり、エゼクタ効果、ベンチュリ効果、ベルヌーイ効果などの、圧縮気の流動に伴う負圧を利用して液体を自動的に供給、混合するものとすべきであるが、ポンプを設けて圧縮気中に液体を加圧、注入するようにしたり、後述する実施例に示すように、気体と液体との混合比率は、液路切換器の開閉度によって調整可能なものとすることができるが、所定の混合比率に固定的に設定したものを、主圧縮気回路の中途部に対して着脱可能な組込み部品とし、混合比率の異なる組込み部品と交換自在なものとし、また、分解清掃可能なものとすることができ、液路切換器がわに圧縮空気が逆流しないよう適所に逆止弁を設けたものとすることができる。
【0022】
液回路は、複数種類の液体が個別の回路を経て液路切換器に流入するよう配管接続可能とするものであり、一液回路および少なくとも1本の別液回路は、夫々の回路が独立して内部を流れる流体が漏出および互いに混入しないよう、夫々の一端(外端)をグリップの基端に個別管路として開口し、他端(内端)を液路切換器に接続したものとしなければならず、後述する実施例にも示すように、前記主圧縮気回路と同様、グリップ内部に一体化形成された回路とすることができる外、グリップに内蔵した配管パイプからなるものとすることが可能であり、気液混合器がわから圧縮空気が流入しないよう逆止弁を設けたものとすることができる。
【0023】
液回路の一液回路は、それ以外の別液回路とは異なる薬液やそれ以外の液体を流通可能とするものであり、一液用のタンクや水槽などから吸引可能に延伸させたフレキシブルパイプなどが接続可能なものとしなければならず、例えば、後述する実施例にも示してあるように、洗浄液を供給可能なものとすることができる外、液体と同等の流動性を確保可能な研磨剤や化学薬剤その他の粉粒体を供給する回路とすることも可能である。
【0024】
液回路の1本の別液回路は、一液回路およびそれ以外の各別液回路とは異なる薬液やそれ以外の液体を流通可能とするものであり、該当する別液用のタンクや水槽などから吸引可能に延伸させたフレキシブルパイプなどが接続可能なものとしなければならず、例えば、後述する実施例にも示すように、純水を供給可能なものとすることができる外、液体と同等の流動性を確保可能な研磨剤や化学薬剤その他の粉粒体を供給する回路とすることも可能である。
【0025】
液路切換器は、一液回路および少なくとも1本の別液回路の中の1回路を選択的に気液混合器に接続可能とすると共に、その流量を調整可能とし、且つ、全ての液回路を遮断可能とする機能を果たすものであり、グリップの適所に外部から簡単に操作できるよう配置したものとしなければならず、後述する実施例に示すように、円筒形内周壁に、各液回路の端末および吐出路の夫々が周回りに点在するよう開口した円柱穴に、各液回路と吐出路とを個別に接続可能な接続回路を、周回りの所定角度毎ずらして穿設した回転スプールを装着し、該回転スプール軸回り方向に回動操作して個別の液回路の端末および吐出路を選択的に接続するか、または、全ての液回路を遮断してしまうことができるよう形成するかしたものなどとすることができる外、個別の液回路端末と吐出路との間に開閉バルブや電磁バルブを設けたものとすることができる外、当該吐出路に逆止弁を設けたのなどとすることもできる。
【0026】
噴射スイッチは、外部からの操作によって主圧縮気回路の中途適所で圧縮気流の遮断状態を一時的に解除して同主圧縮気回路中に圧縮気を流通可能とし、また、外部からの操作を解除すると、再び主圧縮気回路中の圧縮気の流れを遮断状態に復帰可能とする機能を果たすものであり、ボタン、レバー、引き金、各種センサーなど、何れかの操作入力部、および、同操作入力部への操作入力を受けて開閉操作可能な開閉弁または電磁弁などからなるものとしなければならず、その操作性を考慮すると、後述する実施例に示すように、グリップの適切な位置に設けられた引き金型のものとするのが望ましいといえる。
【0027】
圧縮気は、大気圧より高く加圧された空気や窒素ガス、酸素、炭酸ガス、ヘリウム、水素ガス、その他の気体、換言すれば各種活性ガスまたは各種不活性ガスであり、利用目的に応じた様々な種類の気体を使用可能であり、一液回路および少なくとも1本の別液回路に供給する各液体は、各種洗浄剤、または洗浄剤を適切な溶媒に混合した洗浄用溶液、研磨剤を混合した研磨液、洗浄剤および研磨液を混合した洗浄研磨液、消毒剤を混合した消毒液、剥離剤を混合した剥離液、油剤を混合した潤滑油、切削油など各種機能を付与した液体や、蒸留水、純水、各種アルコール、各種溶剤などの濯ぎ液など様々な液体、より具体的には、例えば炭化水素系洗浄剤、アルコール系洗浄剤、臭素系洗浄剤、フッ素系洗浄剤、有機溶剤系洗浄剤、石油溶剤系洗浄剤、アルカリ性洗浄剤、酸性洗浄剤、中性洗浄剤、塩素系洗浄剤、その他の洗浄剤ということができ、また、使用目的に応じて、液体と同等の流動性が得られる粉粒体に置き換えることも可能といえる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0028】
図1の断面化した洗浄ガン1の側面図、図2の洗浄ガン1の底面図、図3の液路切換器5の平面図、図4の切り替えられた液路切換器5の平面図、図5の断面化した液路切換器5の正面図、図6の分解された液路切換器5操作部5Yの平面図、図7の閉鎖状態の噴射スイッチ6の断面図、図8の開放状態の噴射スイッチ6の断面図、図9の大径洗浄ノズル8の断面図、図10の小径洗浄ノズル8の断面図、図11の周壁に開口を形成した洗浄ノズル8の断面図、図12の先端に複数の開口を形成した洗浄ノズル8の断面図、図13の周壁よび先端に複数の開口を形成した洗浄ノズル8の断面図、図14の洗浄ノズル8先端が突出した吸引筒7の断面図、図15の洗浄ノズル8先端が筒端に一致した吸引筒7の断面図、図16の洗浄ノズル8先端が筒奥がわに配置した吸引筒7の断面図、図17の突出洗浄ノズル8の使用状態の断面図、図18の先端が筒端に一致した洗浄ノズル8の使用状態の断面図、および、図19の筒奥がわに配置した洗浄ノズル8の使用状態の断面図に示す事例は、グリップ2の先端に一体化してなる吸引筒7の先端中央に、同吸引筒7に対して同心状配置で、その先端がわ方向に向けた洗浄ノズル8を設け、該グリップ2の基端から該洗浄ノズル8に達する主圧縮気回路3の適所に噴射スイッチ6を配し、該主圧縮気回路3適所から分岐した負圧誘導回路33(図17中に示す)の末端を、当該吸引筒7内壁適所において、同吸引筒7末端がわに向けて開口し、当該グリップ2内の一液回路41および別液回路42の各内端に液路切換器5を接続し、且つ、同液路切換器5の吐出路51を、当該主圧縮気回路3の適所に配した気液混合器35に接続してなるものとしたこの発明の洗浄ガンにおける代表的な一実施例を示すものである。
【0029】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の洗浄ガン1は、掌に把持し易い形状、寸法に設定された棒状で、中指から小指に対応する外周壁に指掛け用の溝20を刻設したグリップ2の先端に、吸引筒7が44°の傾斜角度αで接続、一体化されたものであり、該吸引筒7は、適切な長さの円筒形状であって、その後端に、図示しない浄化装置から延伸したフレキシブルパイプの先端を着脱自在に接続可能とする接続部70を形成し、同先端には、その内径を同先端がわに向けて内径を拡開するようテーパー加工された吸引口金具71を交換可能に装着し、同中途適所の外周壁に、当該グリップ2への接続座部72が一体化形成されており、該接続座部72を、貫通するよう着脱自在に装着し、主圧縮気回路3の先端がわ範囲を形成するものとしたノズルパイプ31の先端がわを該吸引筒7内の中心まで延伸した上、該吸引筒7の先端がわに向けて湾曲した同ノズルパイプ31の先端に洗浄ノズル8着脱用の脱着機構9の一部である雌ネジ90を刻設したものとし、該脱着機構9雌ネジ90には、例えば、図1および図10中に示すように、先端がわを縮径化して細い針状パイプとした洗浄ノズル8の基端に刻設した脱着機構9の他部である雄ネジ91を螺合、装着したものとすることが可能である。
該脱着機構9の雌ネジ90および雄ネジ91は、さらに着脱容易なニップルおよびコネクターの組み合わせなどからなる、他のジョイント機構または接続用部品類などに置き換えることが可能であり、当該ノズルパイプ31の基端には、当該接続座部72の主圧縮気回路3開口部分との間に、環状シールSを装着したものとなっている。
【0030】
脱着機構9を介して主圧縮気回路3ノズルパイプ31の先端に接続され、吸引筒7先端の中心に同心状配置とした洗浄ノズル8は、図14中に示すように、その先端が、吸引筒7の先端縁から、所定寸法A分突出するよう設定したもの、図15中に示すように、その先端が、吸引筒7の先端縁に一致するよう寸法設定されたもの、および、図16中に示すように、その先端が吸引筒7の先端縁から、所定寸法B分奥がわに後退して配置するよう設定されたものなどとすることが可能である。
図1および図14ないし図16中に示すように、当該主圧縮気回路3のノズルパイプ31は、止めネジ32で固定されており、吸引口金具71を取り外して止めネジ32を緩めると脱抜状に分解可能なものとしてある。
【0031】
図1に示すように、当該グリップ2の基端壁面には、指掛け用の溝20のある前方から後ろがわへ順に、主圧縮気回路3用のコネクター部30および2個の液回路4用のコネクター部40,40が開口し、同グリップ2の肉厚内部には、コネクター部30から吸引筒7内まで達するよう主圧縮気回路3が延伸されており、その外がわのグリップ2前面壁の人差し指に対応する位置に、噴射スイッチ6の引き金61および射出弁62からなる操作入力部60を設けたものとしてあり、図1、図7および図8中に示すように、該射出弁62は、主圧縮気回路3の中途適所に交叉状に穿設、開口されたバルブ穴63内に、コイルスプリング64、バルブロッド65、バルブガイド66を装着し、密閉を要する各部に環状シールS,S,……を装着してなり、該引き金61に引き入力すると、図8に示すように、コイルスプリング64に抗してバルブロッド65が没入してバルブを開放し、引き金61を解放すると、図7に示すように、コイルスプリング64の弾発力が自動的にバルブロッド65を突出してバルブを閉鎖するものとしてある。
【0032】
図1および図17中に示すように、当該主圧縮気回路3の噴射スイッチ6より下流がわとなる適所に分岐点34を設け、該分岐点34から接続座部72を通じて吸引筒7内壁に達し、その開口を当該洗浄ノズル8とは反対がわに向けた傾斜姿勢で同吸引筒7末端がわ中心に向けて開口するよう、負圧誘導回路33を形成し、また、図1中に示すように、当該主圧縮気回路3の分岐点34より下流がわで、しかもノズルパイプ31よりも上流がわの適所には、ベンチュリ管状に内径を縮小し、液路切換器5の吐出路51を接続してなる気液混合器35が内蔵されたものとしてある。
【0033】
図1および図2中に示すように、一液回路41および別液回路42は、当該グリップ2基端壁面のコネクター部40,40から同グリップ2肉厚内部の当該気液混合器35に対応する付近まで夫々独立して延伸し、図5中に示すように、同一液回路41および別液回路42の内端が、当該液路切換器5用としてグリップ2先端寄り背面に開口するよう穿設した円柱状シリンダ50の内周壁周回り方向に適宜角度ずらして接続したものとしてあり、同シリンダ50底面適所に穿設した吐出路51が前記気液混合器3(図1中に示す)に接続し、該シリンダ50開口端周縁には、同シリンダ50内径よりも大きな円形座金状の環状凹欠部分が形成され、同環状凹欠部分内周壁に雌ネジを刻設したものとしてあり、該シリンダ50内に装着した回動スプール52用の環状抑え金具21を螺着させたものとしてある。
【0034】
図3ないし図5中に示すように、当該液路切換器5の回動スプール52は、円柱形状の一端中心部分に矩形ブロック状の嵌着用頭部53を形成し、シリンダ50に装着した場合に、軸心回り所定角度位置で、当該一液回路41の内端に対峙する周面壁から、同角度位置で当該吐出路51に対峙する底面壁に至る同回動スプール52肉厚中に、エルボ状の一液用転換回路54を形成し、また、該一液用転換回路54から所定の軸心回り角度移動した位置には、当該別液回路42の内端に対峙する周面壁から、同角度位置で当該吐出路51に対峙する底面壁に至る同回動スプール52肉厚中に、エルボ状の別液用転換回路55を形成し、さらに、各一液用転換回路54および別液用転換回路55の開口を挟む回動スプール52外周面壁の上、中、下の各所には、夫々環状溝が刻設してあり、それら各環状溝に環状シールS,S,Sを嵌合状に装着させたものとしてある。
【0035】
図1ないし図6中に示すように、前記シリンダ50開口端周縁に形成した環状凹欠部分に螺合、結合した環状抑え金具21が、該シリンダ50内の回動スプール52を脱抜不能且つ軸心回りに回動自在となるよう保持するものとなり、同環状抑え金具21中央に穿設された貫通孔22に貫通し、外がわに回転自在に突出した当該嵌着用頭部53の矩形ブロック状の突端には、図5および図6中に示すように、円盤状であって接合面壁中央に矩形凹欠部を形成し、これとは反対がわの露出面壁中央から、該矩形凹欠部に貫通するざぐり孔を穿孔した操作円盤56の、該矩形凹欠部を嵌着し、当該ざぐり孔から嵌着用頭部53突端面に固定ネジ57を螺着、一体化すると共に、当該操作円盤56の直径方向から同外周壁適所に操作レバー58が突設するよう螺着させたものとしてある。
【0036】
図9に示すように、洗浄ノズル8は、その基端に脱着機構9の雄ネジ91が刻設されており、全長に渡る外径Dが、一定の円筒形外周面壁を有し、球面状とした先端中央に軸心方向に貫通する噴射口80を形成してなるものとすることが可能であり、図10に示すように、洗浄ノズル8の先端がわ所定範囲の外径dを、基端がわの外径よりも小さく縮径(例えば直径1.0mm以下)し、その球面状の先端中央に、小さな直径の噴射口80が形成されたものとすることが可能であり、さらに、図11に示すように、洗浄ノズル8の縮径化先端がわ直後付近となる基端がわの大径範囲に、周回りに180°の間隔を隔てて直径方向に貫通する減圧孔81,81を穿孔したものや、図12中に示すように、洗浄ノズル8の先端部分が、鉛筆の円錐形部分の先端を平面状に切除した外郭形状とし、その先端面壁に軸心方向に貫通する噴射口80を開口すると共に、円錐状面壁の周回り方向の所定間隔置き毎に、同円錐状面壁に直交状に貫通した複数の傾斜噴射口82,82,……を穿設してなるものとすることが可能であり、また、図13中に示すように、図12に示した洗浄ノズル8の基端がわ円筒状周壁面部分に沿って一定の間隔を隔てて均質に分布するよう、複数の横向き噴射口83,83,……を穿設したものとすることが可能である。
【0037】
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の洗浄ガン1は、図1および図2中に示すように、グリップ2基端のコネクター部30,40,40の夫々に、主圧縮気回路3には圧縮空気Cを、一液回路41には、例えばアルベマール社製のABZOL(アブゾール:登録商標)を、そして別液回路42には純水を、夫々供給できるようにしたフレキシブルパイプ(図示せず)が、個別のスピードコントローラ付きクイック継手(図示せず)を介して接続し、また、吸引筒7後端の接続部70に、図示しない浄化装置から延伸したフレキシブルパイプの先端を接続した上、該グリップ2を把持して噴射スイッチ6の操作入力部60引き金61を引くと、図7中に示す、射出弁62のバルブロッド65がコイルスプリング64を圧縮してバルブ穴63内に没するよう後退し、閉鎖状態にあった主圧縮気回路3を開放し、図8中の実線矢印に示すように、圧縮空気Cが流通状態となり、図14および図17中に実線矢印で示すように、洗浄ノズル8噴射口80および負圧誘導回路33末端開口の夫々から圧縮空気Cを噴射し、洗浄ノズル8噴射口80から噴射させた圧縮空気Cは、洗浄対象物Pに吹き付けて洗浄効果を発揮すると共に、負圧誘導回路33末端から噴射した圧縮空気Cが、洗浄ノズル8周辺の空気および洗浄汚れや塵埃、油などを吸引筒7内に吸引し、同吸引筒7後端に接続した浄化装置(図示せず)まで強制的に圧送するものとなり、該引き金61を解放すると、図7中に示すように、コイルスプリング64の弾性復帰力によってバルブロッド65が突出方向に移動して射出弁62が主圧縮気回路3を閉鎖し、洗浄ノズル8および負圧誘導回路33からの圧縮空気Cの噴射が停止する。
【0038】
図1、図2、図5および図6に示す、液路切換器5の操作レバー58を回動操作して、図3中に示すように、回動スプール52の一液用転換回路54が、一液回路41内端と、気液混合器35に繋がる吐出路51とを接続した上、前述のように、噴射スイッチ6を操作すると、図1中に示すように、圧縮空気Cが気液混合器35を通過するときにエゼクタ効果を生じて、一液回路41から前記一洗浄液であるアルベマール社製のABZOL(アブゾール:登録商標)が、該圧縮空気C中に混合し、気液混合体となって洗浄ノズル8噴射口80から噴射されるものとなり、また、当該液路切換器5の操作レバー58を回動操作して、図4中に示すように、回動スプール52の別液用転換回路55が、別液回路42内端と気液混合器35に繋がる吐出路51とを接続してから、噴射スイッチ6を操作すると、気液混合器35が前記同様のエゼクタ効果を生じて、別液回路42から前記別洗浄液である純水が圧縮空気C中に混合し、気液混合体となって洗浄ノズル8噴射口80から噴射される。
【0039】
したがって、当該洗浄ガン1を採用してこの発明の洗浄方法を実施可能であり、例えば、図1および図17に示すように、液路切換器5の操作で気液混合器35に一液回路41を接続し、吸引筒7の先端中央を洗浄対象物Pに対峙、接近させて噴射スイッチ6を操作し、洗浄ノズル8から、アルベマール社製のABZOL(アブゾール:登録商標)などの洗浄液を混合させた圧縮空気Cを吹き付けると共に、吸引筒7の先端がわから洗浄液ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄工程の後、液路切換器5の操作で気液混合器35に別液回路42を接続し、洗浄ノズル8から純水が混合された圧縮空気Cを吹き付けると共に、吸引筒7の先端がわから純水ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄液濯ぎ工程を行った上、液路切換器5の操作で気液混合器35への液体の供給を停止し、洗浄ノズル8から圧縮空気Cだけを吹き付けると共に、吸引筒7の先端がわから空気および水分などを吸引除去する乾燥工程を行い、それ以外の超音波洗浄装置や乾燥装置などを一切使用せずに洗浄、濯ぎ洗い、および乾燥までを一挙に行うことが可能となり、特に、水分に弱い材質からなる洗浄対象物Pの錆びや変質を確実に防止できるものとなる。
【0040】
当該洗浄ガン1は、図1中に示すように、グリップ2に対して吸引筒7が44°の角度α姿勢に傾斜して組み込まれているから、吸引筒7の先端がわおよび洗浄ノズル8を洗浄対象物P(図17中に図示する)に向け易く、しかも吸引筒7の後端に浄化装置のフレキシブルパイプ(図示せず)を接続することが可能であり、また、図10中に示した洗浄ノズル8は、その先端がわ外径dを、図9中に示してある洗浄ノズル8の外径Dよりも細く設定してあるから、図17中に示すように、ネジ穴P0などの小さな直径の孔などを洗浄するのに有効であり、図11に示すように、洗浄ノズル8の縮径化先端がわ直後付近となる基端がわ大径部分に、周回りに180°の間隔を隔てて直径方向に貫通する減圧孔81,81を穿孔したものの場合、先端噴射口80から噴射する圧縮空気Cまたは気液混合体の噴出圧力を軽減し、図1中に示す気液混合器35内の一液または別液などの洗浄液類の一液回路41や別液回路42への逆流の発生を防止すると共に、該噴射口80からの過剰な高圧噴射を防止し、しかも対称位置に配した各減圧孔81,81が、洗浄ノズル8の直径方向への不要なストレスの発生を抑制可能なものとなり、図12中に示すように、軸心方向の噴射口80、および、その周囲に配した複数の傾斜噴射口82,82,……を有する洗浄ノズル8は、円柱孔の隅なども効率的に洗浄するものとなり、図13に示すとおり、洗浄ノズル8の先端がわの所定範囲に渡って均質に分布するよう、複数の横向き噴射口83,83,……を穿設したものは、筒状内周壁などの洗浄をより効率的に実施可能とする。
【0041】
また、図14中に示すように、洗浄ノズル8先端の噴射口80が、吸引筒7先端縁から所定寸法A分突出したものは、図17中に示すように、洗浄対象物Pに穿設された柱状穴P0に洗浄ノズル8先端を挿入するようにして効果的に洗浄し、同洗浄ノズル8周辺の空気やミスト、汚れ、埃などを残さず吸引、除去することが可能であり、図15中に示すように、洗浄ノズル8先端の噴射口80が吸引筒7先端縁位置に一致するよう配したものでは、図18中に示すように、洗浄対象物Pの平坦面を効率的に洗浄可能とし、洗浄ノズル8周辺の空気や汚れなども確実に吸引することが可能であり、図16中に示すように、洗浄ノズル8先端の噴射口80が、吸引筒7先端縁から所定寸法B分奥がわに後退配置されたものは、図19中に示すように、洗浄対象物Pの平坦面から突出した六角穴付きボルトP1の頭部穴P3のような複雑な形状部分の洗浄を、より効果的に実施可能とし、吸引筒7先端周縁がボルト頭部P2周辺を含む範囲を囲むように配して洗浄すると、より高い吸引、除去作用が得られる。
【0042】
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1の洗浄ガン1は、前記したこの発明の効果の項における特徴に加え、図14ないし図16中に示すように、吸引筒7の吸引口金具71を取り外すと、洗浄ノズル8の着脱が容易になると共に、止めネジ32を緩めてノズルパイプ31の脱抜、組み込みが可能になることから、生産時の組み立て工数の短縮、および、メンテナンス性を高めたものとなり、さらに、図9ないし図16に示した様々な形状、寸法の洗浄ノズル8,8,……の脱着機構9の一部である雄ネジ91,91,……を、互いに共通のものとなるようにしたことにより、図17ないし図19中に示すように、多様な形状の洗浄対象物Pに応じて洗浄ノズル8を交換、使用しさえすれば、従来に比較して各段に効率的且つ効果的な洗浄作業を実現化することができるという、これまでには無い利点が得られるものとなる。
【0043】
(結 び)
叙述の如く、この発明の洗浄ガン、およびそれを利用した洗浄方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易な上に、何種類かの装置などを順次利用しなければならなかった従前からの洗浄技術に比較し、洗浄対象物の運搬コストや洗浄作業の工数を大幅に削減して生産効率やメンテナンス効率を大幅に改善可能にすることから、コスト削減の要求に迫られてはいるものの、これ以上、製品を低廉化するのが艱難になっていた部品製造業界および製品組立て業界は固よりのこと、コンプレッサーやエアガンなどを製造販売する洗浄用機械メーカーや、良質且つ廉価な製品の出荷を望む機械販売業界などにおいても高く評価されることとなり、今後、広範に利用、普及が図られていくことになるものと予想される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図面は、この発明の洗浄ガン、およびそれを利用した洗浄方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】洗浄ガンを断面化して示す側面図である。
【図2】洗浄ガンを示す底面図である。
【図3】液路切換器を示す平面図である。
【図4】切り替えられた液路切換器を示す平面図である。
【図5】液路切換器を断面化して示す正面図である。
【図6】分解された液路切換器操作部を示す平面図である。
【図7】閉鎖状態の噴射スイッチを示す断面図である。
【図8】開放状態の噴射スイッチを示す断面図である。
【図9】大径洗浄ノズルを示す断面図である。
【図10】小径洗浄ノズルを示す断面図である。
【図11】周壁に開口を形成した洗浄ノズルを示す断面図である。
【図12】先端に複数の開口を形成した洗浄ノズルを示す断面図である。
【図13】周壁よび先端に複数の開口を形成した洗浄ノズルを示す断面図である。
【図14】洗浄ノズル先端が突出した吸引筒を示す断面図である。
【図15】洗浄ノズル先端が筒端に一致した吸引筒を示す断面図である。
【図16】洗浄ノズル先端が筒奥がわに配置した吸引筒を示す断面図である。
【図17】突出洗浄ノズルの使用状態を示す断面図である。
【図18】先端が筒端に一致した洗浄ノズルの使用状態を示す断面図である。
【図19】筒奥がわに配置した洗浄ノズルの使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 洗浄ガン
2 グリップ
20 同 指掛け用の溝
21 同 環状抑え金具
22 同 貫通孔
3 主圧縮気回路
30 同 コネクター部
31 同 ノズルパイプ
32 同 止めネジ
33 同 負圧誘導回路
34 同 分岐点
35 同 気液混合器
4 液回路
40 同 コネクター部
41 同 一液回路
42 同 別液回路
5 液路切換器
50 同 シリンダ
51 同 吐出路
52 同 回動スプール
53 同 嵌着用頭部
54 同 一液用転換回路
55 同 別液用転換回路
56 同 操作部(操作円盤)
57 同 固定ネジ
58 同 操作レバー
6 噴射スイッチ
60 同 操作入力部
61 同 引き金
62 同 射出弁
63 同 バルブ穴
64 同 コイルスプリング
65 同 バルブロッド
66 同 バルブガイド
7 吸引筒
70 同 接続部
71 同 吸引口金具
72 同 接続座部
8 洗浄ノズル
80 同 噴射口
81 同 減圧孔
82 同 傾斜噴射口
83 同 横向き噴射口
9 脱着機構
90 同 雌ネジ
91 同 雄ネジ
α 吸引筒7の傾斜角度
A 洗浄ノズルの吸引筒からの突出寸法
B 洗浄ノズルの吸引筒内への後退寸法
C 圧縮空気(圧縮気)
D 洗浄ノズルの外径
d 洗浄ノズルの小径先端がわ外径
S 環状シール
P 洗浄対象物
P0 同 柱状穴(ネジ穴)
P1 同 六角穴付きボルト
P2 同 ボルト頭部
P3 同 ボルト頭部穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップの先端に適宜角度姿勢に傾斜、一体化してなる吸引筒の先端中央に、同吸引筒に対して同心状配置で、その先端がわ方向に向けて気体または気液混合体を噴射可能とする洗浄ノズルを設け、当該グリップの基端から該洗浄ノズルに渡る管路の中途適所に、同グリップを把持した手指で操作可能となる外壁に操作入力部を露出するよう噴射スイッチを配した主圧縮気回路を内蔵すると共に、該主圧縮気回路の噴射スイッチと洗浄ノズルとの間適所から分岐した負圧誘導回路の末端を、当該吸引筒内壁適所において、該洗浄ノズルとは反対がわ方向に傾斜姿勢であり、同吸引筒末端がわに向けて開口するようにした上、当該グリップの基端から噴射スイッチ近傍までの同グリップ内に延伸させてなる一液回路および少なくとも1本の別液回路の各内端に、外部より一液と別液とを任意選択する切換え操作用の液路切換器を接続し、且つ、該液路切換器からの吐出路を、当該主圧縮気回路の負圧誘導回路分岐点と洗浄ノズルとの間適所に配してある気液混合器に接続してなるものとしたことを特徴とする洗浄ガン。
【請求項2】
グリップの先端に適宜角度姿勢に傾斜、一体化してなる吸引筒の先端中央に、同吸引筒に対して同心状配置とするよう、脱着機構を介して、同吸引筒の先端がわ方向に向けて気体または気液混合体を噴射可能とする洗浄ノズルを交換可能に装着し、当該グリップの基端から該洗浄ノズルに渡る管路の中途適所に、同グリップを把持した手指で操作可能となる外壁に操作入力部を露出するよう噴射スイッチを配した主圧縮気回路を内蔵すると共に、該主圧縮気回路の噴射スイッチと洗浄ノズルとの間適所から分岐した負圧誘導回路の末端を、当該吸引筒内壁適所において、該洗浄ノズルとは反対がわ方向に傾斜姿勢であり、同吸引筒末端がわに向けて開口するようにした上、当該グリップの基端から噴射スイッチ近傍までの同グリップ内に延伸させてなる一液回路および少なくとも1本の別液回路の各内端に、外部より一液と別液とを任意選択する切換え操作用の液路切換器を接続し、且つ、該液路切換器からの吐出路を、当該主圧縮気回路の負圧誘導回路分岐点と洗浄ノズルとの間適所に配してある気液混合器に接続してなるものとしたことを特徴とする洗浄ガン。
【請求項3】
吸引筒が、その末端に、集塵機、気液分離器、濾過器などの浄化装置か、または、浄化装置から延伸した誘導パイプかの何れか一方を接続してなるものとした、請求項1または2何れか一方記載記載の洗浄ガン。
【請求項4】
洗浄ノズルが、その基端部に共通の脱着機構の一部を設けた少なくとも2個準備し、各洗浄ノズルは互いのノズル先端がわ所定範囲の外径を、互いに大、小の関係とするよう設定してなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の洗浄ガン。
【請求項5】
洗浄ノズルが、その基端部に脱着機構の一部を設け、先端壁に開口する端壁噴射孔と、周壁中途適所の周回り方向に均衡する配置となるよう開口した複数個の周壁噴射孔とを形成してなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載の洗浄ガン。
【請求項6】
洗浄ノズルが、その基端部に脱着機構の一部を設け、吸引筒先端がわの脱着機構他部に装着した場合に、同洗浄ノズルの先端が、該吸引筒先端から突出配置するよう固定されてなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の洗浄ガン。
【請求項7】
洗浄ノズルが、その基端部に脱着機構の一部を設け、吸引筒先端がわの脱着機構他部に装着した場合に、同洗浄ノズルの先端が、該吸引筒先端と同位置に配置するよう固定されてなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の洗浄ガン。
【請求項8】
洗浄ノズルが、その基端部に脱着機構の一部を設け、吸引筒先端がわの脱着機構他部に装着した場合に、同洗浄ノズルの先端が、該吸引筒先端より奥がわに後退配置するよう固定されてなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の洗浄ガン。
【請求項9】
液路切換器の操作で気液混合器に一液回路を接続し、
吸引筒の先端中央を洗浄対象物に対峙、接近させて噴射スイッチを操作し、洗浄ノズルから洗浄液が混合された圧縮空気を吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから洗浄液ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄工程の後、液路切換器の操作で気液混合器に別液回路を接続し、洗浄ノズルから純水が混合された圧縮空気を吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから純水ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄液濯ぎ工程を行った上、液路切換器の操作で気液混合器への液体の供給を停止し、洗浄ノズルから圧縮空気のみを吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから空気および水分などを吸引除去する乾燥工程を行うようにした、請求項1ないし7何れか一項記載の洗浄ガンを利用した洗浄方法。
【請求項1】
グリップの先端に適宜角度姿勢に傾斜、一体化してなる吸引筒の先端中央に、同吸引筒に対して同心状配置で、その先端がわ方向に向けて気体または気液混合体を噴射可能とする洗浄ノズルを設け、当該グリップの基端から該洗浄ノズルに渡る管路の中途適所に、同グリップを把持した手指で操作可能となる外壁に操作入力部を露出するよう噴射スイッチを配した主圧縮気回路を内蔵すると共に、該主圧縮気回路の噴射スイッチと洗浄ノズルとの間適所から分岐した負圧誘導回路の末端を、当該吸引筒内壁適所において、該洗浄ノズルとは反対がわ方向に傾斜姿勢であり、同吸引筒末端がわに向けて開口するようにした上、当該グリップの基端から噴射スイッチ近傍までの同グリップ内に延伸させてなる一液回路および少なくとも1本の別液回路の各内端に、外部より一液と別液とを任意選択する切換え操作用の液路切換器を接続し、且つ、該液路切換器からの吐出路を、当該主圧縮気回路の負圧誘導回路分岐点と洗浄ノズルとの間適所に配してある気液混合器に接続してなるものとしたことを特徴とする洗浄ガン。
【請求項2】
グリップの先端に適宜角度姿勢に傾斜、一体化してなる吸引筒の先端中央に、同吸引筒に対して同心状配置とするよう、脱着機構を介して、同吸引筒の先端がわ方向に向けて気体または気液混合体を噴射可能とする洗浄ノズルを交換可能に装着し、当該グリップの基端から該洗浄ノズルに渡る管路の中途適所に、同グリップを把持した手指で操作可能となる外壁に操作入力部を露出するよう噴射スイッチを配した主圧縮気回路を内蔵すると共に、該主圧縮気回路の噴射スイッチと洗浄ノズルとの間適所から分岐した負圧誘導回路の末端を、当該吸引筒内壁適所において、該洗浄ノズルとは反対がわ方向に傾斜姿勢であり、同吸引筒末端がわに向けて開口するようにした上、当該グリップの基端から噴射スイッチ近傍までの同グリップ内に延伸させてなる一液回路および少なくとも1本の別液回路の各内端に、外部より一液と別液とを任意選択する切換え操作用の液路切換器を接続し、且つ、該液路切換器からの吐出路を、当該主圧縮気回路の負圧誘導回路分岐点と洗浄ノズルとの間適所に配してある気液混合器に接続してなるものとしたことを特徴とする洗浄ガン。
【請求項3】
吸引筒が、その末端に、集塵機、気液分離器、濾過器などの浄化装置か、または、浄化装置から延伸した誘導パイプかの何れか一方を接続してなるものとした、請求項1または2何れか一方記載記載の洗浄ガン。
【請求項4】
洗浄ノズルが、その基端部に共通の脱着機構の一部を設けた少なくとも2個準備し、各洗浄ノズルは互いのノズル先端がわ所定範囲の外径を、互いに大、小の関係とするよう設定してなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の洗浄ガン。
【請求項5】
洗浄ノズルが、その基端部に脱着機構の一部を設け、先端壁に開口する端壁噴射孔と、周壁中途適所の周回り方向に均衡する配置となるよう開口した複数個の周壁噴射孔とを形成してなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載の洗浄ガン。
【請求項6】
洗浄ノズルが、その基端部に脱着機構の一部を設け、吸引筒先端がわの脱着機構他部に装着した場合に、同洗浄ノズルの先端が、該吸引筒先端から突出配置するよう固定されてなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の洗浄ガン。
【請求項7】
洗浄ノズルが、その基端部に脱着機構の一部を設け、吸引筒先端がわの脱着機構他部に装着した場合に、同洗浄ノズルの先端が、該吸引筒先端と同位置に配置するよう固定されてなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の洗浄ガン。
【請求項8】
洗浄ノズルが、その基端部に脱着機構の一部を設け、吸引筒先端がわの脱着機構他部に装着した場合に、同洗浄ノズルの先端が、該吸引筒先端より奥がわに後退配置するよう固定されてなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の洗浄ガン。
【請求項9】
液路切換器の操作で気液混合器に一液回路を接続し、
吸引筒の先端中央を洗浄対象物に対峙、接近させて噴射スイッチを操作し、洗浄ノズルから洗浄液が混合された圧縮空気を吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから洗浄液ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄工程の後、液路切換器の操作で気液混合器に別液回路を接続し、洗浄ノズルから純水が混合された圧縮空気を吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから純水ミストや汚れ、塵埃などを吸引除去する洗浄液濯ぎ工程を行った上、液路切換器の操作で気液混合器への液体の供給を停止し、洗浄ノズルから圧縮空気のみを吹き付けると共に、吸引筒の先端がわから空気および水分などを吸引除去する乾燥工程を行うようにした、請求項1ないし7何れか一項記載の洗浄ガンを利用した洗浄方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−41931(P2011−41931A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193573(P2009−193573)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(502180277)株式会社深瀬 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(502180277)株式会社深瀬 (2)
【Fターム(参考)】
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