説明

洗浄ローラ

【課題】汚染した洗浄液が基板上に滞留せず、洗浄効果が一層改善された洗浄ブラシを提供する。
【解決手段】本発明による洗浄ローラは、ローラ本体(10)を有し、ローラ本体の外周面にブラシ毛(15)を植設する。ローラ本体は、洗浄液の流路を構成する内部空間を有し、当該内部空間は、カップリング(12b)を介して洗浄液供給導管(14)に接続する。ローラ本体(10)には、前記内部空間と連通し洗浄液を噴射させる複数の噴射孔(16)をローラ本体の軸線に沿って螺旋状に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板や半導体基板等の各種基板の表面を洗浄する洗浄工程で用いられる洗浄ローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶用のガラス基板や半導体基板は、現像処理等の各種処理が行われた後、純水等の洗浄液を用いて洗浄処理が行われている。この洗浄工程においては、多数のブラシ毛が植設されている洗浄ブラシが用いられ、洗浄液を噴射しながらブラシ毛の掃引作用を利用して洗浄が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−204052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載された洗浄ブラシでは、洗浄液を噴射させる流体出口が円周状に配列されているため、洗浄ブラシから出射した洗浄液が基板表面上に滞留してしまい、現像剤等の洗浄されるべき物質により汚染された洗浄液が基板表面上に残存する不具合が発生していた。また、洗浄ブラシから噴射される洗浄液は、基板上において筋状に供給されるため、走行する基板に対して洗浄ムラが発生する不具合も生じていた。
【0005】
本発明の目的は、汚染した洗浄液が基板上に滞留せず、洗浄効果が一層改善された洗浄ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による洗浄ローラは、洗浄液の流路を構成する内部空間を有する中空円筒状のローラ本体と、ローラ本体の外周面に設けたブラシ毛と、前記ローラ本体を洗浄液供給導管に回転自在に連結する連結部材とを有し、
前記ローラ本体の内部空間は前記洗浄液供給導管に接続され、
前記ローラ本体には、前記内部空間と連通し洗浄液を噴射させる複数の噴射孔が、ローラ本体の軸線に沿って螺旋状に形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明による洗浄ローラにおいては、洗浄液を噴射する噴射孔がローラ軸線にそって螺旋状に形成されているため、洗浄ローラから噴射された洗浄液は、基板上に残存する汚染した洗浄液を後方ではなく、斜め側方に押し出すように作用する。この結果、基板上に残存する汚染した洗浄液は速やかに基板表面から除去され、汚染した洗浄液が基板上に滞留する不具合が解消される。
さらに、基板に対して洗浄液が筋状に噴射されるのではなく、基板全面に向けて均一に洗浄液が噴射されるため、洗浄ムラが生ずる不具合も解消される。
【0008】
本発明による洗浄ローラの好適実施例は、ブラシ毛は、隣接する噴射孔間に、噴射孔が形成されている螺旋のピッチと同一のピッチで螺旋状に植設されていることを特徴とする。ブラシ毛及び噴射孔が共に同一の螺旋ピッチで形成することにより、汚染した洗浄液を基板の側方に押し出す作用が一層効果的になる。
【発明の効果】
【0009】
本発明による洗浄ローラは、基板上に残存する残液を掃引するブラシ毛及び洗浄液を噴射する噴射孔が共に螺旋状に形成されているから、汚染された洗浄液が基板上に滞留する不具合が解消される。さらに、基板の全面に洗浄液が均一に噴射されるので、洗浄ムラの発生が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明による洗浄ローラを用いて各種処理後のガラス基板を洗浄する洗浄工程の一例を示す線図である。洗浄すべきガラス基板1は、搬送ローラ2により一定の搬送速度で矢印方向に搬送される。搬送中のガラス基板1を挟んで上下に1対の洗浄ローラを2列配置する。各洗浄ローラ3a,3b,3c,3dは上下方向に移動可能に取り付けられ、各洗浄ローラのブラシ毛のガラス基板に対する押し込み量が制御される。また、各洗浄ブラシの回転方向は時計回りに、すなわちガラス基板の搬送方向と反対方向に設定する。洗浄ローラ3a,3b,3c,3dは、ブラシ毛がガラス基板1の表面に当接し、その掃引力によりガラス基板を洗浄すると共に、洗浄ローラからガラス基板に向けて洗浄液を噴射してガラス基板の表面を洗浄する。従って、ガラス基板1は、搬送中に、ブラシ毛による機械的な掃引力により洗浄されると共に噴射される洗浄液の洗浄力により洗浄される。
【0011】
図2及び図3は、本発明による洗浄ローラの一例を示すものであり、図2は線図的外観図及び図3はローラ軸線を含む面で切って示す線図的断面図である。
本発明による洗浄ローラは、中空状のローラ本体10を有し、ローラ本体10の両端は軸受11a,11bにより回転自在に支持する。軸受11aが連結されている一方の側は、カップリング12aを介してモーター13に連結する。また、ローラ本体の他方の側は、別のカップリング12bを介して洗浄液供給導管14に回転自在に連結する。尚、ローラ本体10の一端側は封止部材12により封止する。洗浄液供給導管14は洗浄液タンク(図示せず)に接続され、ローラ本体10の内部空間内に洗浄液を供給する。
【0012】
ローラ本体10の外周面には、例えばナイロン製のブラシ毛15を軸線方向にそって螺旋状に列状に植設する。このブラシ毛列は、ブラシ毛を止め金具に植設し、当該止め金具をシャフトの外周面に螺旋状に装着することにより列状に配列することができる。
【0013】
ローラ本体10には、洗浄液を噴射させるための多数の噴射孔16を螺旋状に形成する。噴射孔列の螺旋のピッチは、ブラシ毛列の螺旋ピッチと同一のピッチに設定し、隣接するブラシ毛列の間にブラシ毛と重なり合わないように形成する。
【0014】
ガラス基板は、ブラシローラ3a〜3dを通過する際、上下方向から洗浄ローラによる洗浄作用を受け、ブラシ毛による機械的な掃引作用及び洗浄ローラから噴射される洗浄液の洗浄作用によりガラス基板の表面に残存する残液が除去される。同時に、洗浄ローラはガラス基板の搬送方向と反対方向に回転するため、ガラス基板上に残存する汚染された洗浄液はガラス基板の斜め側方に押し出され、汚染した洗浄液が基板上に滞留する不具合が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による洗浄ローラを用いる洗浄工程の一例を示す線図である。
【図2】本発明による洗浄ローラの一例を示す線図的平面図である。
【図3】図2に示す洗浄ローラの軸線を含む面で切って示す線図的断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 ガラス基板
2 搬送ローラ
3a〜3d 洗浄ローラ
10 ローラ本体
11a,11b 軸受
12a,12b カップリング
13 モーター
14 導管
15 ブラシ毛
16 噴射孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液の流路を構成する内部空間を有する中空円筒状のローラ本体と、ローラ本体の外周面に設けたブラシ毛と、前記ローラ本体を洗浄液供給導管に回転自在に連結する連結部材とを有し、
前記ローラ本体の内部空間は前記洗浄液供給導管に連通し、
前記ローラ本体には、前記内部空間と連通し洗浄液を噴射させる複数の噴射孔が、ローラ本体の軸線に沿って螺旋状に形成されていることを特徴とする洗浄ローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄ローラにおいて、前記ブラシ毛は、ローラ軸線方向において隣接する噴射孔間に、噴射孔が形成されている螺旋のピッチと同一のピッチで螺旋状に植設されていることを特徴とする洗浄ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−335796(P2007−335796A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168613(P2006−168613)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】