説明

洗浄剤組成物

【課題】洗浄力と起泡性に寄与する高級脂肪酸塩と、洗顔後のすすぎ易さとさらさら感に寄与する粉末とを配合した洗浄剤組成物において、基剤の安定性とチューブからの吐出性に極めて優れた洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)(B)(C)(D)を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
(A)高級脂肪酸塩
(B)アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC1〜C5アルキルエステルとを共重合した架橋ポリマー
(C)水不溶性粉末
(D)水

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗顔料等として利用される洗浄剤組成物に関する。さらに詳しくは、洗浄力と起泡性に寄与する高級脂肪酸塩と、洗顔後のすすぎ易さとさらさら感に寄与する粉末とを配合した洗浄剤組成物において、基剤の安定性とチューブからの吐出性に極めて優れた洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗顔料等の洗浄剤組成物には、洗浄力と起泡性の観点から高級脂肪酸塩が配合され、また、洗顔後のすすぎ易さとさらさら感を付与するために、水不溶性の粉末が配合される場合が多い。
【0003】
例えば、特許文献1では、(a)高級脂肪酸塩、(b)ある種の糖系界面活性剤、(c)化粧料用無機粉体、天然・合成高分子粉体から選ばれる水不溶性粉体を含有し、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を含有しない洗浄剤組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1の洗浄剤組成物においては、水不溶性の粉末を使用性が良好になるように配合し、かつ、当該粉末を安定(即ち均一かつ離漿がない状態)に配合することが困難である。
【0004】
一方、特許文献2は本願出願人による発明であり、高級脂肪酸塩と保湿剤と水を必須成分とし、さらに水溶性高分子を含有することを特徴とするクリーム状洗浄料が開示されている。しかしながら、特許文献2に例示されている水溶性高分子によっては、粉末配合洗顔料において十分な安定性と泡立ちを保つことができない。
【0005】
また、特許文献3には、平均粒径が0.1〜100μmであり、かつ吸油量が0.5ml/g以上である球状微粒子無機顔料と、水溶性高分子を0.01〜10重量%含有することを特徴とし、安定性・洗浄力・さっぱりとした洗い上がりのある洗浄剤組成物が開示されている。しかしながら、特許文献3に例示されている水溶性高分子を使用すると、洗浄剤組成物の水どけが悪く、泡立てにくくなる現象が見られる。また、特許文献3にて使用する粉末は球状粉末に限定されてしまうという課題がある。
【0006】
さらに、特許文献4には本願出願人によるペースト状皮膚洗浄料が開示されている。特許文献4に開示されているペースト状洗浄料は、(a)高級脂肪酸石鹸、(b)エチルアルコール、(c)水、(d)高価アルコールを含有し、洗浄料の良好な水どけと起泡性とを有し、また、保存安定性に優れるものである。しかしながら、当該ペースト状洗浄料は、(b)エチルアルコールの配合に伴って基剤がさらに硬くなり、チューブからの吐出性が悪くなる傾向が見られた。
【0007】
一方、特許文献5には、アニオン界面活性剤を始めとする各種界面活性剤と、実質的に架橋されたアルカリ膨潤性アクリレート共重合体レオロジー調整剤と、水と、特定のアルカリ性材料及び酸性材料とを含んでなる、安定した水性界面活性剤組成物が開示されている。そして当該水性界面活性剤組成物は、その実施例として、シャンプーや液体洗剤等に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許3024822号公報
【特許文献2】特開昭60−92399号公報
【特許文献3】特許2834381号公報
【特許文献4】特許4357431号公報
【特許文献5】特表2003−530446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者等は上述の観点に鑑みて、洗浄力と起泡性に寄与する高級脂肪酸塩と、洗顔後のすすぎ易さとさらさら感に寄与する粉末とを配合した洗浄剤組成物に関し鋭意研究を重ねた結果、粉末を配合する問題点として、経時により洗浄料の基剤が硬くなってチューブからの吐出性が劣り、さらに洗浄料の水溶けが悪くなるという現象を見出した。しかしながら、従来の技術によっては、基剤の安定性を維持しつつ、この問題を解決することが出来なかった。なぜなら、高級脂肪酸塩の洗浄料は安定性の範囲が狭く、基剤の安定性を担保しながら、チューブからの吐出性に影響する基剤の硬さを調整することが極めて難しいからである。
【0010】
本発明は、高級脂肪酸塩と粉末と配合した洗浄剤組成物において、上記問題点を見事に解決した発明であり、特定のポリマー(共重合体)を配合することで、基剤の安定性とチューブからの吐出性とに極めて優れた効果を有する粉末配合洗浄剤組成物を提供するものである。
【0011】
一方、本発明に使用するポリマーを用いずに既存のポリマーを配合すると、洗浄剤組成物の水どけが悪くなり、その結果、泡立て易さを阻害する傾向がしばしば見られるが、本発明ではそのような問題を生じることもない。また、本発明では泡質をより向上させることも可能である。
【0012】
本発明の目的は、高級脂肪酸塩を含有する洗浄剤組成物において、すすぎ易さとさらさら感に寄与する粉末を配合することにより、洗浄剤組成物自体が硬くなってチューブ等の容器からの吐出性が悪化し、さらには洗浄剤組成物の水どけが悪化する現象を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明は、下記成分(A)(B)(C)(D)を含有することを特徴とする洗浄剤組成物を提供するものである。
(A)高級脂肪酸塩
(B)アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC1〜C5アルキルエステルとを共重合した架橋ポリマー
(C)水不溶性粉末
(D)水
【0014】
また、本発明は、(C)水不溶性粉末が、吸油性を有する粉末であることを特徴とする上記の洗浄剤組成物を提供するものである。
【0015】
さらに、本発明は、前記(A)高級脂肪酸塩を構成する同一の(E)高級脂肪酸を、(A)高級脂肪酸塩の全量に対して20質量%含有することを特徴とする上記の洗浄剤組成物を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、前記洗浄剤組成物がペースト状であることを特徴とする上記の洗浄剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高級脂肪酸塩を含有する洗浄剤組成物において、すすぎ易さとさらさら感に寄与する粉末を配合することにより、洗浄剤組成物自体が硬くなってチューブ等の容器からの吐出性が悪化する現象を防止できる。また、洗浄剤組成物の水どけが悪化する現象を防止することが出来る。さらに、本発明の洗浄剤組成物は基剤の安定性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳述する。
【0019】
<(A)高級脂肪酸塩>
洗浄力と起泡性の観点から、洗顔料等の洗浄剤組成物には高級脂肪酸塩が配合される場合が多い。そして、洗浄剤組成物に、洗顔後のすすぎ易さと洗顔後のさらさら感を付与する目的で、化粧料に利用される各種粉末を配合すると、洗浄剤組成物の基剤が硬くなってチューブからの吐出性が劣り、さらには水溶けが悪化する現象が見られる。しかしながら、高級脂肪酸塩を配合した洗浄剤組成物はその安定性の範囲が狭く、安定性を担保しながら、硬さを調整することが難しい。本発明はこの点を解決した発明であり、高級脂肪酸塩を配合した洗浄剤組成物の安定性と、そのチューブ等の容器からの吐出性に優れた、粉末配合洗浄剤組成物を提供することができる。
【0020】
本発明に使用する高級脂肪酸塩はいわゆる脂肪酸石鹸のことである。高級脂肪酸塩を構成する高級脂肪酸は特に限定されないが、炭素数8〜22の脂肪酸が好ましい。また、直鎖、分枝、飽和、不飽和のいずれであっても良く、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸の1種又は2種以上を使用することが出来る。
上記高級脂肪酸を中和するアルカリとしては、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等の無機アルカリ、トリエタノールアミン等の有機アルカリ、リジンやアルギニン等の塩基性アミノ酸を挙げることが出来る。特には水酸化カリウムで中和することが好ましく、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウムを使用することが好ましく、これら4種の高級脂肪酸塩全て含有することも好ましい。
【0021】
洗浄剤組成物中における成分(A)高級脂肪酸塩の含有量は、洗浄力と起泡性の観点から、洗浄剤組成物全量に対して、通常10〜50質量%であり、好ましくは15〜40質量%である。
なお、高級脂肪酸塩は、通常処方中にて上記高級脂肪酸と水酸化カリウム等の無機アルカリとを配合して中和して構成される。好ましい中和率は60〜90%である。したがって、中和率が60〜90%の場合には、(A)高級脂肪酸塩を構成する同一の(E)高級脂肪酸を、(A)高級脂肪酸塩の全量に対して10〜40質量%含有される。
【0022】
なお、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、他のアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤を配合することも可能である。
【0023】
<(B)アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC1−C5アルキルエステルとを共重合した架橋ポリマー>
本発明に配合する成分(B)は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC1〜C5アルキルエステルとを共重合し、さらに架橋されたポリマーである。
本明細書中においては、以下、成分(B)の当該ポリマーを、単に「アクリル酸アルキルコポリマー(C1-5)」と称することがある。
特にメタクリル酸とアクリル酸エチルに任意の架橋剤を添加して、水中にてラジカル重合開始剤でラジカル重合した共重合体が好ましい。架橋剤としては、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルキレンジオール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明においては市販品を使用できる。市販品としては、30%のポリマー分散水溶液である「Carbopol Aqua SF−1ポリマー(ルーブリゾール・アドバンスト・マテリアルズ社)」を使用することが好ましい。
【0024】
洗浄剤組成物中における(B)のアクリル酸アルキルコポリマー(C1−5)の含有量は、洗浄剤組成物の安定性及び容器からの吐出性の観点から、洗浄剤組成物全量に対して、0.01〜3質量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.5質量%である。
0.01質量%未満であると、洗浄剤安定性に寄与せず、また、3質量%を超えると、洗浄剤組成物の水どけが悪くなる。
【0025】
成分(B)のアクリル酸アルキルコポリマー(C1−5)を配合することで、成分(C)の水不溶性粉末を配合しても、基剤の安定性を確保しながら、容器からの吐出性に優れた洗浄剤組成物を得ることが可能である。
一方、洗浄料や化粧料に配合される既存の他のポリマーを配合すると、洗浄剤組成物の水どけが悪くなり、その結果、泡立て易さおよび泡立ちを阻害する傾向がしばしば見られるが、成分(B)のアクリル酸アルキルコポリマー(C1−5)は泡立て易さを阻害することなく、また、泡質をより向上させることが出来る。
【0026】
<(C)水不溶性粉末>
本発明に使用する成分(C)の水不溶性粉末は、洗浄剤組成物にすすぎ易さとさらさら感を付与するために配合される。洗浄剤組成物において、すすぎ易さとさらさら感は極めて重要な使用性である。
水不溶性粉体としては特に限定されず、通常、洗浄料や化粧料に配合される無機粉末、有機粉末、それらの複合粉末が配合される。
具体的には、化粧料用無機粉末(例えば、ベントナイト、タルク、雲母類、マイカ、セリサイト、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、カオリン、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、マグネシウム、焼成硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー等)、無機顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等)、パール顔料、金属粉末顔料、有機粉末(例えば、セルロース等の天然高分子粉末;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の炭化水素系高分子;ナイロン等のポリアミド系高分子;ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデンなどのビニル系高分子;、ポリエステル系高分子;ポリウレタン系高分子)、ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料等が挙げられる。
特には、吸油性を有する粉末が好ましく、具体的には、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、活性炭、薬用炭、シリカ、タルク、酸化チタン、カオリン、無機顔料、酸化亜鉛が挙げられる。さらに好ましくは吸油量が50ml/100g以上がよい。ここでいう吸油量とは、粉体100gに対してスクワランを0.1gずつ加えて、手攪拌により混合し、視感により吸油限界を判定し、その時点までに加えたスクワラン量を吸油量と定義している。
【0027】
洗浄剤組成物中における(C)の水不溶性粉末の含有量は、すすぎ易さやさらさら感等の使用性の観点から、洗浄剤組成物全量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。0.1質量%未満であると、すすぎ易さやさらさら感等の使用性に寄与せず、また、10質量%を超えると、基剤の安定性(特に粉末の基剤中での分散性等)が悪化する場合がある。
また、(C)の水不溶性粉末の平均粒子径は、使用性の観点から0.01〜50μmが好ましい。0.01μm以下ではタオルドライ後にきしみ感を感じる可能性があり、20μm以上だと、使用中にざらつきを感じる可能性がある。
【0028】
<(D)水>
本発明に用いる水は精製水が好ましい。洗浄剤組成物の主要基剤となる水は、水中にて、配合する高級脂肪酸がアルカリで中和されて(A)高級脂肪酸塩を構成し、また、(C)水不溶性粉末が分散するための重要な必須成分である。
洗浄剤組成物中における(D)の水の含有量は、成分(A)(B)(C)の配合量によって適宜決定されるが、洗浄剤組成物全量に対して、10〜40質量%が好ましく、さらに好ましくは20〜30質量%である。
【0029】
本発明の洗浄剤組成物は、上記した必須成分の他に通常洗浄料や化粧料に用いられる他の成分、例えば、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、色素等を、本発明の効果を損なわない範囲内で必要に応じて適宜配合し、目的とする剤型に応じて常法により製造することが出来る。
【0030】
なお、本発明の洗浄剤組成物の剤型は特に限定されないが、チューブ等の容器からの吐出性が良好であることから、ペースト状に調整することが好ましい。特にグリセリンやポリエチレングリコール等の保湿剤を20〜40質量%配合することが好ましい。
また、本発明の洗浄剤組成物は、吐出性改善の観点から、チューブや細口のプラスチック容器などに充填することが本発明の意義が高い。
本発明の洗浄剤組成物は最も好ましい製品形態は、洗顔フォーム等の洗顔料である。
【実施例】
【0031】
以下実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における配合量は特に断りのない限り質量%で示す。
【0032】
「表1」に示す洗浄剤組成物(ペースト洗顔料)を常法により製造し、細口チューブ(口径 8mm)に充填した。次に、5名の専門パネラーによる実使用試験により、各種の使用性と安定性について、下記の通り効果試験を行った。
【0033】
<使用性>
「吐出性(チューブからの出し易さ)」
試験方法:各試料を0℃、25℃、40℃の恒温槽にそれぞれ2週間保管後、チューブからの出しやすさを評価した。
「判定」
○:吐出しやすい
×:吐出し難い
【0034】
「水溶けの良さ(泡立てはじめに基剤が水となじみやすいかどうか)」
試験方法:各試料を手のひらの上にとり、水を加えてなじませながら泡立てる際に、基剤が完全に水に溶けるまでの時間で評価した。
「判定」
○:とても水溶けが良い(溶けるまでの時間が短い)
×:水溶けが悪い(溶けるまでの時間が長い)
【0035】
「泡立ち(泡立てているときの泡の量)」
試験方法:各試料を泡立てた際の泡の量について、評価した。
「判定」
○:泡の量が十分である
△:泡の量がやや少ない
×:泡の量が少ない
【0036】
「泡質(泡立てているときの泡のクリーミーさ)」
試験方法:各試料を泡立てた際の泡質のクリーミーさについて評価した。
「判定」
◎:とてもクリーミーである
○:クリーミーである
△:ややクリーミーでない
×:クリーミーでない
【0037】
「すすぎ易さ(すすぎ時、皮膚の上から基剤がなくなる感じの早さ)」
試験方法:各試料での洗浄後、水で洗い流す際のすすぎやすさについて評価した。
「判定」
○:とてもすすぎ易い
×:すすぎ難い
【0038】
「洗い上がり後の肌感触(使用後の皮膚のさらさら感)」
試験方法:各試料で洗浄後、タオルドライをした後の肌感触について評価した。
「判定」
○:さらさら感がある
×:さらさら感がない
【0039】
<安定性>
「安定性(40℃)(浴室内や夏場の高温を想定した条件)」
試験方法:各試料を40℃の恒温槽に1ヶ月保管した後、状態について目視にて評価した。
「判定」
○:ペースト状を維持しており、分離や離漿が見られない
×:明らかな離漿や分離が見られる
【0040】
「粉末の分散状態」
試験方法:各試料を0℃、25℃、40℃、45℃の恒温槽に1ヶ月保管した後、粉末の分散状態を目視にて評価した。
「判定」
○:粉末が均一に分散している。
△:粉末が一部局在化して、ムラがみられる
×:粉末が完全に局在化している。









【0041】
【表1】

*1:「Carbopol Aqua SF−1ポリマー(ルーブリゾール・アドバンスト・マテリアルズ社)」
*2:「PEMULEN TR−1」(BF GOODRICH社)
*3:「ノイシリンNFL2N」(富士化学工業株式会社)
*4:「薬用炭」(八幡化学工業株式会社)
*5:「サンスフェアL-51」(旭硝子株式会社)
【0042】
<吸油量>
【表2】

※粉体100gに対してスクワランを0.1gずつ加えて、手攪拌により混合し、視感により吸油限界を判定し、その時点までに加えたスクワラン量を吸油量とした。
【0043】
上記の結果より、本発明の洗浄剤組成物(実施例1及び2及び3)は、吐出性と安定性に優れていることが分かる。特に(B)成分の配合により、全ての項目の使用性と安定性において格別顕著な効果を発揮している。
なお、比較例1〜3は(B)成分を配合しないため、安定性と使用性を両立できない。また、比較例4は粉末を配合しない組成物のため、洗い上がりのさらさら感が感じられない。比較例5〜7は(B)成分以外のその他の既存の洗浄剤に配合されるポリマーを配合した組成物であるため、泡立ちにおいて(B)成分を配合したときと同様の効果は得られない。
【0044】
以下に本発明のその他の実施例を挙げる。何れの洗顔フォームも、チューブからの吐出性に優れ、また、安定性にも優れた洗浄剤組成物である。
【0045】
〔実施例4:洗顔フォーム〕
配合成分 質量%
A.
ラウリン酸 4
ミリスチン酸 10
パルミチン酸 4
ステアリン酸 10
水酸化カリウム 5
ポリエチレングリコール 3
グリセリン 30
グリセリルモノステアレート 1
アクリル酸アルキルコポリマー(C1−5)(30%分散液) 0.5
(Carbopol Aqua SF-1ポリマー、ルーブリゾール・アドバンスト・マテリアルズ社)
B.
アシルメチルタウリンナトリウム 5
C.
メタケイ酸アルミン酸Mg 1
活性炭(薬用炭) 0.5
エデト酸塩 適量
香料 適量
メントール 適量
D.
精製水 残余

製造方法:Aを70℃に加熱し、中和反応させた後、B、Dに分散させたCを添加する。均一に混合した後、熱交換機にて30℃まで冷却する。
【0046】
〔実施例5:洗顔フォーム〕
配合成分 質量%
A.
ラウリン酸 5
ミリスチン酸 10
パルミチン酸 5
ステアリン酸 12
水酸化カリウム 6
メチルタウリンナトリウム 0.5
グリセリン 4
ブチレングリコール 15
ポリエチレングリコール 12.5
アクリル酸アルキルコポリマー(C1−5)(30%水溶液) 1
(Carbopol Aqua SF-1ポリマー、ルーブリゾール・アドバンスト・マテリアルズ社)
B.
エデト酸塩 適量
香料 適量
C.
タルク 0.5
ポリエチレン末 3
酸化鉄 0.007
D.
精製水 残余

製造方法:Aを70℃に加熱し、中和反応させた後、B、およびDに分散させたCを添加する。均一に混合した後、熱交換機にて30℃まで冷却する。
【0047】
〔実施例6:洗顔フォーム〕
配合成分 質量%
A.
ラウリン酸 3
ミリスチン酸 7
パルミチン酸 4
ステアリン酸 8
水酸化カリウム 5
グリセリン 15
ポリエチレングリコール 10
ステアリン酸グリセリル 1
イソステアリン酸PEG60グリセリル 3
ミツロウ 1
アクリル酸アルキルコポリマー(C1−5)(30%水溶液) 0.3
(Carbopol Aqua SF-1ポリマー、ルーブリゾール・アドバンスト・マテリアルズ社)
B.
ラウリルグリコール酢酸ナトリウム 2
アシルメチルタウリンナトリウム 7
ラウリルベタイン 5
エデト酸塩 適量
香料 適量
C.
高重合ポリエチレングリコール 0.05
D.
酸化チタン 0.1
シリカ 0.1
E.
精製水 残余

製造方法:Aを70℃に加熱し、中和反応させた後、B、一部の保湿剤に分散させたC、及びDに分散させたEを添加する。均一に混合した後、熱交換機にて30℃まで冷却する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄力と起泡性に優れた高級脂肪酸塩を配合し、さらに、すすぎ易さとさらさら感に寄与する粉末を配合しているので、主に洗顔料等の身体に関する洗浄料としての利用価値が高い。本発明によれば、基剤の安定性とチューブ等の細口容器からの吐出性に極めて優れた洗浄剤組成物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)(B)(C)(D)を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
(A)高級脂肪酸塩
(B)アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC1〜C5アルキルエステルとを共重合した架橋ポリマー
(C)水不溶性粉末
(D)水
【請求項2】
前記(C)水不溶性粉末が、吸油性を有する粉末であることを特徴とする請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(A)高級脂肪酸塩を構成する同一の(E)高級脂肪酸を、(A)高級脂肪酸塩の全量に対して10〜40質量%含有することを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記洗浄剤組成物がペースト状であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2011−162708(P2011−162708A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28911(P2010−28911)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】