説明

洗米装置

【課題】 駆動部を収容するケースの下方側に配置された洗米槽の上端開口のケース下面から前方に突出する部分を洗米槽内に米を投入する米投入口とした洗米装置において、パック米の投入をしやすくする。
【解決手段】 米投入口22の開口縁部60を、洗米槽4の後部側の上端開口縁部59の円弧の中心を中心とし且つ該円弧の半径Rを半径とする円弧線Bから径方向外方側にはみ出すように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米を洗米すると共に水加減水と共に排出するまでを自動で行う自動洗米機や、米を洗米して炊飯器によって炊飯するまでを自動で行う自動炊飯機等に採用される洗米装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、米を洗米する自動洗米機として、洗米機の駆動部を収容するケースの下方側に、上端開口状とされた洗米槽を配置し、この洗米槽内に、該洗米槽の中心側上部に配置されていて上下方向の軸心回りに回転駆動される回転軸と、この回転軸の周方向に間隔をおいて配置されて該回転軸に固定された複数の撹拌棒とを備え、前記撹拌棒を、回転軸から径方向外方に向けて水平状に延出された横杆部と、この横杆部の延出端から下方側に延出された縦杆部とから構成し、撹拌棒を停止させた状態で米を洗米槽内に上方側から投入し、回転軸を回転させて撹拌棒によって洗米槽内に給水される水と共に米を撹拌することにより洗米するようにした自動洗米機がある。
【0003】
前記自動洗米機にあっては、パック米(透明の樹脂製等の袋に米を充填して成る袋詰めの米)を1袋分全部洗米槽内に投入して洗米できるようにしたパック米対応機があり、このパック米対応機において、米を投入するのにシュートを用いて洗米槽内に上方側から米を投入するように構成すると、米の投入位置が高くなるという問題がある。
そこで、この問題を解消した洗米機として、駆動部を収容するケースの下方側に、上端開口状とされた洗米槽を、その上端開口の前部がケース下面から前方に突出するように配置し、この洗米槽の上端開口のケース下面から前方に突出する部分を洗米槽内に米を投入する米投入口とした洗米機がある(特許文献1参照)。
【0004】
この洗米機の洗米槽の上端開口は円形状に形成されており、米投入口は円弧状とされている。
【特許文献1】特開平11−239731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来のものにおいて、パック米を入れやすくするために、米投入口を大きくする場合、洗米槽の上端開口縁部の半径を大きくすることが考えられるが、洗米槽の上端開口縁部の半径を大きくすると洗米槽が大型化するという問題が生じる。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、洗米槽を大型化することなく米の投入をしやすくした洗米装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、米を洗米する洗米装置であって、
洗米装置の駆動部を収容するケースの下方側に、上端開口状とされた洗米槽を、その上端開口の前部がケース下面から前方に突出するように配置し、この洗米槽の上端開口のケース下面から前方に突出する部分を洗米槽内に米を投入する米投入口とし、該米投入口から投入された米を洗米槽内に給水される水と共に撹拌することにより洗米するようにした洗米装置において、
洗米槽の後部側の上端開口縁部は平面視円弧状に形成され、米投入口は、その開口縁部が、洗米槽の後部側の上端開口縁部の円弧の中心を中心とし且つ該円弧の半径を半径とする円弧線から径方向外方側にはみ出すように形成されていることを特徴とする。
【0007】
また、米投入口は、前記円弧線から前方及び左右両側にはみ出すように形成されているのがよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗米槽を大型化することなく米の投入をしやすくした洗米装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図6において、1は、米を洗米すると共に該米を水加減水と共に排出するまでを自動で行う自動洗米機を示しており、該自動洗米機1は、パック米Pを1袋分全部投入して洗米することを可能としたパック米P対応機である。
この自動洗米機1は、フレーム2と、該フレーム2の上部に取付固定されたケース3と、該ケース3の下面側に取付固定された洗米槽4と、この洗米槽4内に水を供給する給水装置5と、洗米槽4内の米及び水を攪拌する撹拌装置6と、洗米槽4の下方に配置されてフレーム2下部に取り付けられた載置台7とを備えている。
【0010】
洗米槽4と載置台7と間には、載置台7上に炊飯器の内釜や洗米した米を受けるためのその他の容器又は炊飯器等が載置可能な空間部が設けられている。
フレーム2は、左右方向に間隔をおいて配置された左右一対の支柱8と、左右支柱8の下端側同士を連結する連結部材9と、左右各支柱8の下端側から前方に延出された左右一対の支持脚10とから主構成されている。
ケース3は、底壁部11と、この底壁部11の上方に配置された駆動部K及び給水管路53,54等を覆うカバー体12とから主構成されている。
【0011】
底壁部11は、その後部が左右支柱8の上端側に取付固定されていて、左右支柱8から前方に突出状とされている。
カバー体12は、左右の側面壁12aと上壁12bと前面壁12cと背面壁12dとから下端開放状に形成され、前記底壁部11に取付固定されている。
このカバー体12の上面はパック米Pを載せるのに使用される米載置面13とされており、該米載置面13は、前部が左右方向に亘って前後方向中途部に行くに従って下方に移行する傾斜面13aとされ、後部が左右方向に亘って前後方向中途部に行くに従って下方に移行する傾斜面13bとされており、米載置面13にパック米Pを載せた場合に、米載置面13の前部傾斜面13a及び後部傾斜面13bがストッパとなることにより該パック米Pを安定して米載置面13に載せることができる。
【0012】
また、パック米Pを米載置面13に複数段積み重ねた場合であっても、米載置面13上に載置されたパック米Pの底面側が下方に凸となるように屈曲状となることにより、該パック米Pの上面側が上方に凸となる湾曲状となるのが防止(又は緩和)され、パック米Pを複数個安定して積み重ねることができる。
また、米載置面13上に載置されたパック米Pの上のパック米Pを引きずるように前方に取り出した場合において、米載置面13の前部傾斜面13aがストッパとなって、米載置面13上のパック米Pがつれ動くのを防止することができる。
【0013】
また、カバー体12の上面の後部傾斜面13bは前部傾斜面13aよりも急斜面とされており、これによって、パック米Pが前方には引き出しやすく、後方には落ちにくいように構成されている。
なお、本実施の形態では米載置面13は側面から見てV字形とされているが、カバー体12の上面を、前部と後部とこれらの間の中間部とに分け、前部及び後部を傾斜面にして中間部をフラットな面にしてもよい。また、カバー体12の上面を、すり鉢状に凹む凹状に形成してもよい。また、カバー体12の上面を正面から見てV字形となるように形成してもよい。
【0014】
図4、図5、図7〜図9に示すように、洗米槽4は、米及び水を収容しこれらを攪拌することにより該米を洗米するための洗米槽本体14と、この洗米槽本体14内の洗米水(研ぎ汁)の水面側の水や洗米水上に浮遊するゴミ等の不純物等を排水するためのオーバーフロー部15と、洗米槽本体14の下端側に設けられていて洗米槽本体14の下端側から洗米水(研ぎ汁)を排水するための排水ジャケット16とを備えてなる。
この洗米槽4は、洗米槽本体14とオーバーフロー部15とを樹脂によって一体成形してなるオーバーフロー部一体型の洗米槽4である。
【0015】
オーバーフロー部15を洗米槽本体14とは別体で形成して洗米槽本体14に固着すると、コストアップとなる、洗米槽本体14とオーバーフロー部15とのつなぎ目が発生し該つなぎ目部分に溜まった糠分等を掃除するのが面倒である、オーバーフロー部15の形状に制限ができる、といった問題があるが、本実施の形態のように、洗米槽本体14とオーバーフロー部15とを樹脂によって一体成形することにより、前記問題を解決することができる。
洗米槽本体14は上下端部が開口状とされており、該洗米槽本体14の下部は、下端開口に向けて先窄まりとされた円錐形に形成された円錐部17とされている。
【0016】
また、この洗米槽本体14の上部は、該上部の下側部分が、前記円錐部17の上端と同径の円筒形に形成されていて前記円錐部17上端から上方に延出された円筒部18とされている。
また、洗米槽本体14上部の上側後部19は、前記円筒部18から上方に延出されていて該円筒部18と同径の略半円筒形に形成されており、洗米槽本体14上部の上側前部は、平面視で前記円筒部18から径方向外方側に向けて(前方側に向けて)膨出するように形成された膨出部20とされている。
【0017】
この膨出部20は、洗米槽本体14の厚さ方向に沿う方向の面で切断した断面が外方に凸となる湾曲状に形成されている。
洗米槽本体14の上端開口縁部には全周に亘ってフランジ21が形成され、前記膨出部20の大部分が前記ケース3のカバー体12の前面(下縁)から前方に突出するように前記フランジ21の後部側が、ケース3の底壁部11下面に取付固定されている。
そして、洗米槽本体14の上端開口部分の内、ケース3のカバー体12前面(ケース3下面)から前方にはみ出た部分(カバー体12の前方に位置する部分)が、洗米槽4内に米を投入するための米投入口22とされている。
【0018】
洗米槽本体14上部の上側後部19は、前述したように略半円筒状とされているので、図7に示すように、洗米槽本体14の後部側の上端開口縁部59は平面視で洗米槽本体14の中心を中心とする円弧状とされており、洗米槽本体14上部の上側前部は、前述したように円筒部18から前方側に向けて膨出するように形成されているので、米投入口22の開口縁部60は、洗米槽本体14の後部側の上端開口縁部59の円弧の中心(洗米槽本体14の中心)を中心とし且つ該円弧の半径Rを半径とする円弧線B(洗米槽本体14の上端開口縁部を円形状とした場合の仮想の米投入口の開口縁部)から径方向外方側にはみ出すように形成されており、この米投入口22の開口面積が、洗米槽本体14の上端開口の後部側の円弧の半径を半径とする円弧状となるように米投入口22を形成した場合の開口面積よりも大きくなるように形成されており(従来の洗米槽4に比べて米投入口22が広く形成されており)、米の投入が行いやすいように構成され、特にパック米Pの米を投入する場合にパック米Pの袋の口を米投入口22から洗米槽本体14内に挿入しやすいように構成されている。
【0019】
また、米投入口22は、前記円弧線Bから前方及び左右両側にはみ出すように形成されている。
さらに、具体的には、米投入口22の開口縁部60は、前縁60aが平面視で左右方向の直線状とされ、左右の両側縁60bが平面視で後方に行くに従って左右方向外方に移行する傾斜状とされており、これら前縁60aと左右側縁60bとの隅部分は円弧状とされている。
また、左右の側縁60bは、洗米槽本体14の後部側の上端開口縁部59に接する縁部73によって該上端開口縁部59に接続されている。
【0020】
また、米投入口22は、洗米槽本体14の上端開口の後部よりも低い位置に形成されており、米投入口22がその分低くなると共に、メンテナンス時等において米投入口22から手が入れやすいように構成されている。
この米投入口22は蓋体23によって開閉自在に閉塞されている。
この蓋体23は、樹脂によって形成され、後部側の左右両側上部がケース3のカバー体12の側壁12aに枢軸24を介して左右軸回りに回動自在に枢支されており、この枢支部回りに蓋体23を回動させることにより、該蓋体23が上下揺動して米投入口22を開閉自在としている。
【0021】
また、本実施の形態の自動洗米機1には、この蓋体23の開閉を検出する蓋検出手段25が設けられている。
この蓋検出手段25は、洗米槽4側に設けられた検出部26と、蓋体23側に設けられた被検出部27とから構成され、蓋体23を閉じているときには検出部26が被検出部27を検出し、検出部26が被検出部27を検出することによって前記撹拌装置6の駆動を許容し、蓋体23を開いて被検出部27が検出部26から離れると検出部26が被検出部27を検出しないことにより撹拌装置6を駆動しないように構成されている。
【0022】
このように蓋体23の開閉を直接検知することにより、誤検知を防止することができる。
本実施の形態では、蓋検出手段25として、検出部26としてのスイッチ部と、被検出部27としてのマグネット部とからなるマグネットスイッチが採用されている。
オーバーフロー部15は、本実施の形態では、洗米槽本体14上部の後部側で且つ左右方向中央から左側寄りに設けられており、洗米槽本体14上部の内面のオーバーフロー部15対応部分には、フランジ21上面から下方に向けて形成された上下方向に長い矩形状のオーバーフロー口28が形成されている。
【0023】
オーバーフロー部15は、オーバーフロー口28の一対の側縁28aから、洗米槽本体14上部の径方向外方に沿って延出された一対の側壁29と、この一対の側壁29の延出端を連結する平面視円弧状の連結壁30と、オーバーフロー口28の下縁から、洗米槽本体14上部の径方向外方に向けて延出された底壁31と、この底壁31の下面側から下方に向けて延出された円筒状の接続口32とを有し、底壁31には接続口32に連通する排水孔33が貫通形成されている。
排水ジャケット16は洗米槽本体14とは別部品で構成されていて、取付金具で洗米槽本体14の下端側に着脱自在に取り付けられている。
【0024】
この排水ジャケット16は上下方向の軸心を有する略円筒状に形成され、内部が上端開口を介して洗米槽本体14の下端開口と連通しており、下面側に、洗米された米を排出する排米口34が形成され、周壁部分には洗米槽本体14内の洗米水を排水するための排水口35が形成されている。
前記排米口34は排米弁36によって開閉自在に閉塞されている。
この排米弁36は、上方に行くに従って先窄まりとなる円錐状に形成され、洗米槽4の中心に設けられた上下方向の弁棒37の下端に固定されている。
【0025】
この弁棒37の上部は、ケース3の底壁部11を貫通してケース3内に挿入されると共にケース3内に設けられた昇降手段38によって昇降自在に支持され、弁棒37を昇降することにより排米弁36が上下動して排米口34が開閉される。
昇降手段38は、モータ39と、このモータ39によって上下揺動する揺動アームと40を備え、揺動アーム40の先端側に弁棒37の上端側が取り付けられている。
なお、排水ジャケット16内には、水は通すが米は通さない小孔を多数有する図示省略の分離板が設けられており、この分離板によって排水口35からの米の流出を防止しながら洗米水を小さな不純物と共に排水口35から排水できるようになっている。
【0026】
前記オーバーフロー部15の下方側で且つ排水ジャケット16の左斜め後方には、排水ボックス41が配置されている。
この排水ボックス41は、正面側に開口部を有する箱形に形成され且つ開口部が左斜め前方を向くように配置されていて支柱8に取り付けられたブラケット44に固定されており、この排水ボックス41の開口部は蓋体43によって開閉自在に閉塞されている。
排水ボックス41の上面側には第1の流入口45が設けられ、この第1の流入口45はオーバーフロー部15の接続口32に、可撓性ホース又は硬質樹脂製のパイプ等からなる縦配水管46で接続されている。
【0027】
また、排水ボックス41の右側面には第2の流入口47が設けられ、この第2の流入口47は排水ジャケット16の排水口35に、可撓性ホース又は硬質樹脂製のパイプ等からなる横配水管48で接続されている。
また、排水ボックス41の背面側には排水管部49が設けられ、この排水管部49に接続されるホース等を介して排水ボックス41内の洗米水等が下水等の外部の排水部に排水されるように構成されている。
なお、排水ボックス41内には、第2の流入口47を開閉自在に閉塞して排水ジャケット16からの洗米水等の流入を許容又は遮断する開閉弁が設けられており、洗米時には開閉弁は閉じられて排水ジャケット16からの洗米水の流入が阻止され、排水時に開閉弁を開けることにより、洗米槽4内の洗米水が排水ジャケット16を介して排水ボックス41内に流入すると共に該排水ボックス41から下水等に排水される。
【0028】
排水ボックス41内の前記開閉弁は、ケース3内に設けられたモータ50によって開閉駆動される。
右側支柱8の上下方向中途部には容器検出手51が設けられ、この容器検出手段51の接触子51aは洗米槽4と載置台7との間の空間に延出されていて、内釜等が載置台7に載置されて接触子51aが内釜等に接触することにより内釜等が載置台7上にセットされていることが検出される。
前記給水装置5は、ケース3の底壁部11に取り付けられた左右一対の散水部材52と、この散水部材52に水を供給する第1、2の給水管路53,54とから構成されている。
【0029】
散水部材52は、板材を下方に凸となる球面状に形成すると共に、多数の散水孔を貫通形成してなり、供給された水を洗米槽本体14内に上方からシャワー状(拡散状)に散水して供給する。
第1の給水管路53は、右側の支柱8の上部正面側に沿って上方に配設されると共にケース3の底壁部11を貫通してケース3内に挿入され、上部側で左方に向けて屈曲されており、この第1の給水管路53の下端側がホース等を介して水道等の圧力水源に接続され、第1の給水管路53に、手動の開閉弁(元栓)55と流量計56と電磁開閉弁57等とが設けられている。
【0030】
第2の給水管路54は、第1の給水管路53の上部側の端部にホース等を介して接続される接続口58を有すると共にこの接続口58から分岐して左右の各散水部材52に水を供給する一対の供給管路を有する。
前記撹拌装置6は、洗米槽本体14内の中心上部に配置された回転軸61と、この回転軸61を駆動するモータ62と、回転することにより洗米槽本体14内の米及び水を攪拌する攪拌棒Aとを有する。
回転軸61は、上下方向の軸心を有する筒軸によって構成され、洗米槽本体14の中心に配置され且つケース3の底壁部11に固定された軸受部材63の下側に配置されて該軸受部材63に上下方向の軸心回りに回転自在に支持されている。
【0031】
前記軸受部材63の上側にはベベルギヤからなる従動ギヤ64が配置され、この従動ギヤ64は、軸受部材63に上下方向の軸心回りに回転自在に支持されていると共に前記回転軸61に一体回転自在に連結されている。
前記弁棒37は、回転軸61、軸受部材63、従動ギヤ64を上下動自在に挿通している。
モータ62の出力軸には、前記従動ギヤ64に噛合するベベルギヤからなる駆動ギヤ65が取り付けられていて、モータ62の駆動力が駆動ギヤ65と従動ギヤ64によって回転軸61伝達され該回転軸61が回転駆動される。
【0032】
撹拌棒Aは、本実施の形態では、第1〜5の5本の撹拌棒A1〜5と、1本の副撹拌棒A6との計6本で構成されているが、これに限定されることはない。
第1〜5の撹拌棒A1〜5は、回転軸61から径方向外方に延出する横杆部66と、この横杆部66の延出端部から下方側に延出する縦杆部67とから構成されている。
この第1〜5の撹拌棒A1〜5の内、第1〜4の撹拌棒A1〜4は横杆部66が同じ高さ位置となるように且つ回転軸61の周方向に等間隔(90°間隔)をおいて配置されている。
【0033】
また、第1、2の撹拌棒A1,A2の横杆部66は、略同じ長さに形成され、一方が他方の延出方向と反対側に延出されていると共に、それぞれ洗米槽本体14の内面近傍まで延出されている。
第3の撹拌棒A3の横杆部66は、第1、2の撹拌棒A1,A2の横杆部66の中間に配置され且つこれら第1、2の撹拌棒A1,A2の横杆部66よりも短い長さに形成され、第4の撹拌棒A4の横杆部66は、該第3の撹拌棒の横杆部66よりも短い長さに形成されていて、第1、2の撹拌棒A1,A2の横杆部66の中間で且つ第3の撹拌棒A3の横杆部66の延出方向と逆の方向に延出するように配置されている。
【0034】
第5の撹拌棒A5は、その横杆部66が前記第1〜4の撹拌棒A1〜4の横杆部66よりも低い位置となるように且つ第2の撹拌棒A2と第4の撹拌棒A4との間に配置されており、横杆部66の長さは第4の撹拌棒A4の横杆部66よりも短い長さに形成されている。
したがって、第1〜5の撹拌棒A1〜5の内、第1、2の撹拌棒A1,A2の横杆部66が最も長く、その次に第3の撹拌棒A3の横杆部66が長く、その次に第4の撹拌棒A4の横杆部66が長く、第5の撹拌棒A5の横杆部66が最も短い。
【0035】
また、第1〜4の撹拌棒A1〜4の横杆部66は、該撹拌棒A1〜4が正面側に位置したときに、平面視でケース3下方から米投入口22下方側へと、突出する(はみ出す)長さに形成されており、第5の撹拌棒A5の横杆部66は、平面視でケース3の下方に隠れる長さに形成されている。
さらに、第1〜4の撹拌棒A1〜4の横杆部66は回転軸61の上下方向中途部で且つオーバーフロー口28の下縁よりも高い位置に位置しており、該第1〜4の撹拌棒A1〜4を回転させたときに横杆部66によって洗米水の水面側を波立たせないよう考慮されている。
【0036】
また、横杆部66が洗米水の水面下にあると、横杆部66上に米が載って残るという問題が生じるが、前記撹拌棒A1〜4の横杆部66をオーバーフロー口28の下縁よりも高い位置に配置することにより、残米の発生を防止している。
なお、第5の撹拌棒A5の横杆部66の長さは短いので、洗米水の水面下にあってもあまり影響はない。
第1〜5の撹拌棒A1〜5の縦杆部67は、横杆部66の延出端から洗米槽本体14の円筒部18内面に沿って下方に延出された鉛直部67aと、この鉛直部67aの下端から洗米槽本体14の円錐部17内面に沿って延出された傾斜部67bとからなる。
【0037】
なお、第1〜5の撹拌棒A1〜5の縦杆部67の下端部の高さ位置は、第1の撹拌棒A1の縦杆部67下端が最も低く、この第1の撹拌棒A1の縦杆部67の下端位置よりも第2の撹拌棒A2の縦杆部67の下端位置が高く、この第2の撹拌棒A2の縦杆部67の下端位置よりも第3の撹拌棒A3の縦杆部67の下端位置が高く、この第3の撹拌棒A3の縦杆部67の下端位置よりも第4の撹拌棒A4の縦杆部67の下端位置が高く、この第4の撹拌棒A4の縦杆部67の下端位置よりも第5の撹拌棒A5の縦杆部67の下端位置が高くなっている。
【0038】
なお、前記第1〜5の撹拌棒A1〜5の横杆部66は水平状となっていなくてもよく、回転軸61から径方向外方に行くに従って下方に移行する傾斜状とされていてもよい。
副撹拌棒A6は、第1の撹拌棒A1と第3の撹拌棒A3との間に配置され、上部から下端側にかけて回転軸61から下方に直線状に延出されていると共に、下端側で排米弁36の上面に沿って屈曲されている。
この副撹拌棒A6によって、洗米時には洗米槽本体14の下端側の米を好適に攪拌できると共に、洗米後、排米弁36を開いて米及び水加減水を排出する際において、攪拌棒Aを回転させながら排米弁36を開くことにより、洗米槽本体14下端側に詰まった米をほぐしながら排米でき、排米弁36上に残米が生じるのを防止できる。
【0039】
前記排水ボックス41内の開閉弁を駆動するモータ50、排米弁36を昇降する昇降手段38、撹拌棒Aを回転駆動する駆動機構とで駆動部Kが構成されている。
ケース3内には、自動洗米機1を制御する制御装置68が設けられ、カバー体12の前面側には、洗米槽4に投入する米の量等を制御装置68に入力するコントロールパネル69が設けられており、米を投入して蓋体23を閉め、コントロールパネル69に設けられたスタートスイッチを押すことにより、洗米槽本体14内に水が給水されると共に撹拌装置6が駆動されて米が攪拌されて洗米され(詳細な洗米工程は説明を省略する)、洗米後、入力された米量に応じた量の水加減水が供給され、この水加減水と共に洗米槽本体14から米が排出されるように自動制御される。
【0040】
この自動洗米機1にあっては、洗米した後に、次の米を洗米すべくパック米Pを米投入口22から洗米槽本体14内に投入するときに、横杆部66の長い撹拌棒A1,A2がケース3下面から米投入口22下方側へと、はみ出すように位置していると、該撹拌棒A1,A2の横杆部66が邪魔物となってパック米Pの袋を米投入口22から洗米槽本体14内につっこみ難く、高い位置からパック米Pを投入すると、米がこぼれ落ちたりする可能性が高く、また、米が撹拌棒A1,A2にあたって飛び散る惧れがある。
特に、本実施の形態の自動洗米機1にあっては、第1〜4の撹拌棒A1〜4の横杆部66をオーバーフロー口28の下縁よりも上方に配置しているので、上下方向に関して米投入口22に近い位置に位置しており、パック米Pの投入時に横杆部66の長い撹拌棒A1,A2が米投入口22の下側に位置していると、パック米Pが入れにくいという問題がある。
【0041】
そこで、この自動洗米機1にあっては、米の投入時において、第1〜4の撹拌棒A1〜4のうち横杆部66が短い方の撹拌棒A4が米投入口22の下方に位置するように(正面側にくるように)撹拌棒A4を停止させるべく撹拌棒Aの位置を検出する撹拌棒検出手段70が設けられている。
この撹拌棒検出手段70は、撹拌棒Aと共に回転する被検出部材71と、この被検出部材71を検出する検出器72とから主構成され、被検出部材71は、本実施の形態では、従動ギヤ64に設けられており、検出器72はケース3内に配置されている。
【0042】
前記検出器72が被検出部材71を検出した際に検出信号が制御装置68に送られるように構成されており、制御装置68からの停止信号によって撹拌装置6を停止させる際に、検出器72から制御装置68に送られる被検出部材71の検出信号に基づいて撹拌装置6を停止させるように設定されている。
本実施の形態では、図7に示すように、第1〜4の撹拌棒A1〜4の内、横杆部66が一番短い第4の撹拌棒A4が正面側に位置したときに撹拌装置6が停止するように構成されている。
【0043】
撹拌棒Aを停止させる場合、第4の撹拌棒A4の横杆部66が真正面を向くようになっていなくてもよく、図10(a)、(b)に示すように、多少左右に位置ズレしていてもよく、横杆部66の長い撹拌棒A1,A2が、ケース3下方に隠れるようになっていればよく、また、横杆部66の長い撹拌棒A1,A2の横杆部66の延出端側が米投入口22下方に、多少はみ出すようになっていてもよく、横杆部66の長い撹拌棒A1,A2の横杆部66がパック米Pの米の投入の邪魔物にならないようになっていればよい。
また、撹拌棒Aを停止させるときは、必ず、横杆部66の短い撹拌棒A4が正面側に位置するように停止させる必要はなく(例えば、洗米途中に撹拌棒Aを停止させる時などは撹拌棒Aがどの位置にあってもよい)、撹拌開始から排米に至るまでの最終段階で撹拌装置6を停止させる場合に横杆部66の短い撹拌棒A4が正面側で停止するように構成されていればよい(すなわち、パック米Pを投入する時に、横杆部66の短い撹拌棒Aが米投入口22の下側に位置するように構成されていればよい)。
【0044】
さらに、2番目に短い横杆部66の撹拌棒A3がパック米Pの投入の邪魔物と成らない場合は、該2番目に短い横杆部66の撹拌棒A3を米投入口22の下方で停止させるようにしてもよい。
また、一番短い横杆部66の撹拌棒A4と2番目に短い横杆部66の撹拌棒A3とを回転軸61の周方向で隣同士に配置し、それらがパック米Pの投入の邪魔にならない位置で且つ米投入口22の下方位置に停止させるようにしてもよい。
また、撹拌棒Aが停止する場合、制御装置68が撹拌棒停止信号を発してから撹拌棒Aが停止するまでの間に慣性力によるタイムラグがあり、このタイムラグを考慮して被検出部材71の検出位置が設定され、前記慣性力は、米の種類や米の量による抵抗の違い、周波数の違い、機体差、部品個体差等の種種の要因によって変わるため、所望の撹拌棒Aを所定の位置で停止させるために、検出信号を受けた後に撹拌棒停止信号を発するまでの時間を調整する回路を制御装置68に設け、該時間を設定する機能をコントロールパネル69に設けるのがよい。
【0045】
なお、被検出部材71の配置位置は限定されることはなく、撹拌棒Aと共に回転する部材に設けられていればよい。
撹拌棒検出手段70としては、どのようなセンサを採用してもよいが、本実施の形態では、マグネットスイッチが採用される。
また、洗米槽本体14を金属製とし、オーバーフロー部15を別体で形成して洗米槽本体14に溶接固定するようにしてもよい。
前記載置台7は、洗米槽4の下方に内釜等の容器が載置できるだけの前後長さがあればよいが、内釜等に米と水加減水が入った場合、結構重量が重いので米と水加減水が入った内釜を持ち上げながら洗米槽4の下側から取り出すのは、作業者に対する負担が大きいという問題がある。
【0046】
また、載置台7の前後長さを長くして、内釜等を載置台7上に載せたまま洗米槽4の下方からある程度引き出だせるようにすると作業者の負担が軽減されるが、載置台7の前後方向の長さが長いと洗米槽4から比較的大きく突出し、洗米機1の不使用時に載置台7の前部が邪魔物となるという問題がある。
そこで、本実施の形態では、図11及び図12に示すように、前記載置台7の左右両側に支持アーム74を配置し、左右各支持アーム74の後端側を左右支柱8に固定し、前記載置台7を、これら左右支持アーム74に前後方向位置調整自在に支持することにより、洗米機1の使用時には、載置台7が前方側に引き出せ、洗米機1の不使用時には、載置台7が洗米槽4から大きく突出しないように収納できるように構成されている。
【0047】
具体的には、載置台7の左右両側には左右方向外方突出状のガイドピン76,77が前後一対設けられ、支持アーム74の左右方向内側面には前記ガイドピン76,77が案内されるガイド溝78,79が前後一対設けられている。
前ガイド溝78は、前後方向直線状のガイド部80と、このガイド部80の前後端部に形成された係止部81,82とを備え、後ガイド溝79は前後方向直線状に形成されている。
図12及び図11に実線で示すように、載置台7が収納状態の時には、載置台7の後端は支柱8の後端と同位置に位置しており、前ガイドピン76は前ガイド溝78の後係止部82に嵌合し、後ガイドピン77は後ガイド溝79の後部側に位置している。
【0048】
この載置台7が収納位置にあるときにおいて、前ガイドピン76が前ガイド溝78の後係止部82に嵌合していることにより載置台7の前後方向の位置規制がなされている。
載置台7を前方側に引き出すときには、先ず、載置台7の前部を上方に持ち上げる。すると、前ガイドピン76は、後ガイドピン77を支点として上方移動して前ガイド溝78の後係止部82から離脱してガイド部80を前方移動可能となる。
この状態で、前ガイドピン76が前ガイド溝78の前係止部81に至るまで、載置台7を前方に引き出し、その後、載置台7の前部を下方に降ろすことにより、前ガイドピン76が前ガイド溝78の前係止部81に嵌合し、載置台7が図11に仮想線で示す引き出し位置で位置規制される。
【0049】
自動洗米機1を運転する際には、載置台7は、常時この引き出し位置に固定しておく。
この引き出し位置では、載置台7の後端は支柱8の前端と同位置にあり、載置台7は洗米槽4の真下位置に配置される内釜等を載置可能であり且つ内釜等を載置台7上に載置したまま洗米槽4の真下から前方側に引き出すことができる。
図13及び図14は、載置台装置の他の例を示すものであり、内釜等を洗米槽4の真下位置から取り出すときに載置台7が前方に移動し、内釜を載置台7上から持ち上げたときに載置台7が自動的に元の位置に戻るように構成したものである。
【0050】
具体的には、載置台7の後方で且つ左右支柱8の後端にわたってプレート83が設けられ、このプレート83と載置台7の後端との間に間隔を設け、このプレート83と載置台7の後端との間の間隔に引っ張りバネ84を配置し、該引っ張りバネ84の一端側を載置台7に係止し、他端側をプレート83に係止してある。
また、左右支持アーム74の左右方向内面側に形成された前後のガイド溝78,79は両方とも前後方向直線状に形成されていて、前後のガイドピン76,77がこれら前後のガイド溝78,79に前後方向直線状に案内される。
【0051】
したがって、内釜等を載置台7に載せたまま内釜を洗米槽4の真下から前方に引き出すと、載置台7がバネ84の付勢力に抗して内釜に追従して前方移動し、内釜を載置台7上から持ち上げると、載置台7がバネの付勢力によって元の位置に自動的に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】自動洗米機の正面図である。
【図2】自動洗米機の側面図である。
【図3】自動洗米機の平面図である。
【図4】自動洗米機の主要部の正面断面図である。
【図5】自動洗米機の主要部の側面断面図である。
【図6】自動洗米機の上部の側面図である。
【図7】洗米槽の平面図である。
【図8】洗米槽の斜視図である。
【図9】図7のA−A線矢示断面図である。
【図10】撹拌棒の停止状態の別形態を示す平面図である。
【図11】載置台の側面図である。
【図12】載置台の平面断面図である。
【図13】載置台の他の例を示す側面図である。
【図14】載置台の他の例を示す平面断面図である。
【符号の説明】
【0053】
3 ケース
4 洗米槽
22 米投入口
59 上端開口縁部
60 米投入口の開口縁部
B 円弧線
K 駆動部
R 洗米槽後部側の上端開口縁部の半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米を洗米する洗米装置であって、
洗米装置の駆動部(K)を収容するケース(3)の下方側に、上端開口状とされた洗米槽(4)を、その上端開口の前部がケース(3)下面から前方に突出するように配置し、この洗米槽(4)の上端開口のケース(3)下面から前方に突出する部分を洗米槽(4)内に米を投入する米投入口(22)とし、該米投入口(22)から投入された米を洗米槽(4)内に給水される水と共に撹拌することにより洗米するようにした洗米装置において、
洗米槽(4)の後部側の上端開口縁部(59)は平面視円弧状に形成され、米投入口(22)は、その開口縁部(60)が、洗米槽(4)の後部側の上端開口縁部(59)の円弧の中心を中心とし且つ該円弧の半径(R)を半径とする円弧線(B)から径方向外方側にはみ出すように形成されていることを特徴とする洗米装置。
【請求項2】
米投入口(22)は、前記円弧線(B)から前方及び左右両側にはみ出すように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の洗米装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−38075(P2007−38075A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223104(P2005−223104)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】