説明

流体動圧軸受装置およびこの軸受装置を備えたモータ

【課題】起動時ないし停止時における摺動摩耗を確実に低減し得る流体動圧軸受装置を提供する。
【解決手段】ハウジング7および軸受スリーブ8により回転自在に支持される軸部材2は、軸部21と、軸部21の下端に一体又は別体に設けられたフランジ部22とで構成される。フランジ部22の一部をなす一方の磁極23が永久磁石で構成されると共に、一方の磁極23との間でスラスト方向の磁力を発生できる位置、例えばハウジング7の底部7bの下端面側に他方の磁極11が取り付けられている。他方の磁極11は、いわゆる電磁石をなすもので、磁心12と、磁心12の周囲に巻き付けられたコイル部13とで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体動圧軸受装置およびこの軸受装置を備えたモータに関する。
【背景技術】
【0002】
流体動圧軸受装置は、軸受隙間に生じる流体の膜を介して軸部材あるいは軸受部材を相対回転自在に支持するものである。この種の軸受装置は、特に高速回転時における回転精度、静粛性等に優れており、情報機器をはじめ種々の電気機器に搭載されるモータ用の軸受装置として好適に使用される。具体的には、HDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等におけるスピンドルモータ用の軸受装置として、あるいはレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、ファンモータなどのモータ用軸受装置として好適に使用される。
【0003】
この種の軸受装置においては、軸部材が軸受スリーブの内周に挿入され、軸部材の外周面と軸受スリーブの内周面との間にラジアル軸受隙間が形成されることがある。また、フランジ部を有する軸部材の場合には、フランジ部の一方の端面と、この端面と相対向する面(例えば軸受スリーブの端面)との間、もしくは他方の端面と、この端面と相対向する面(例えばハウジングの底面)との間にスラスト軸受隙間が形成されることがある(例えば、何れも下記特許文献1を参照)。
【0004】
また、最近では、HDDなどの容量増加に伴いディスク枚数が増加する傾向にある。そのため、これらディスクを回転制御すべき流体動圧軸受装置にも回転体重量の増加に対応した構成が要求される。具体的に述べると、軸部材を含めた回転体の重量増加に応じて、起動・停止時における摺動摩耗を減らすための対策が求められている。
【0005】
上記対策の一例として、例えば下記特許文献2には、動圧軸受ユニットを組み込んだスピンドルモータのステータコイルの磁気的中心とロータマグネットの磁気的中心を、負荷荷重(例えば自重による負荷)とは反対方向に磁気による吸引力が作用するように、スラスト方向に所定距離だけずらした構成が開示されている。また、この構成を採用することで、ラジアル円筒部を介して主軸に固定された2枚のスラスト板の対向面がラジアルスリーブの両端面を回転自在に支持する際、自重によるスラスト方向の荷重を軽減して、スラスト板とラジアルスリーブとの間の摩耗が低減される旨が記載されている。
【特許文献1】特開2003−239951号公報
【特許文献2】特許第3099033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献2の構成は、モータの回転駆動に用いるマグネットとコイルを回転体の浮上力付与に兼用するものであるから、回転力と浮上力とを異なるタイミングで付与することができず、適切な浮上力の付与を図ることができない。特に回転停止時にはコイルへの電力供給が停止するため、フランジ部を早期に接地停止させるための力を付与することができない。また、上記特許文献2のように回転体中心から外径側に離れた位置で浮上力を付与した場合には、回転体の姿勢が不安定になり易く、当該姿勢が大きく崩れた場合には、回転体が部分的に軸受面と接触するおそれが生じる。しかも、上記問題は、特に、回転力が不十分でその姿勢が不安定となり易い回転開始時ないし停止時に顕著に現れる。
【0007】
以上の事情に鑑み、本明細書では、起動時ないし停止時における摺動摩耗を確実に低減し得る流体動圧軸受装置を提供することを、本発明により解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題の解決は、本発明に係る流体動圧軸受装置によって達成される。すなわち、この流体動圧軸受装置は、フランジ部を有する軸部材と、軸部材を相対回転支持する軸受部材と、フランジ部の少なくとも一方の端面と軸受部材の端面との間に形成されるスラスト軸受隙間とを備えた流体動圧軸受装置において、フランジ部もしくはその一部を一方の磁極とし、かつ、この磁極との間でスラスト方向の磁力を発生可能な他方の磁極をさらに備えた点をもって特徴づけられる。
【0009】
このように、フランジ部を一方の磁極とし、このフランジ部と他方の磁極との間で磁力を発生させるようにしたので、例えば磁力により互いに反発する力を双方の磁力間に生じさせる場合、回転力と浮上力とを異なるタイミングで付与して、適切な浮上力の付与を図ることができる。また、上記構成によれば、軸部材に対する浮上力がフランジ部に対して直接的にかつその回転中心に近い位置に付与される。そのため、軸部材(フランジ部)の水平姿勢を保って当該フランジ部を早期に浮上させることができる。
【0010】
また、軸部材に対して回転力を付与するモータの駆動部(コイルとマグネット)とは別に一対の磁極を配設することで、例えば磁力により互いに引き合う向きの力を双方の磁極間に生じさせる場合、モータ駆動部への電力供給が停止された後においても、フランジ部に引力を付与することができる。これにより、惰性で回転する軸部材を迅速に軸受面に当接させて停止させることができ、停止するまでの時間を短縮することで、当該時間中に生じる摺動摩耗を低減することができる。
【0011】
上記一対の磁極は、フランジ部の浮上に要する時間を効率よく短縮する観点からは、軸部材と軸受部材との相対回転開始時、双方の磁極間に磁力による反発力が生じるように制御されていてもよい。また、フランジ部の接地停止に要する時間を効率よく短縮する観点からは、軸部材又は軸受部材への回転力の付与を停止した際、双方の磁極間に磁力による引力が生じるように制御されていてもよい。
【0012】
あるいは、浮上時間と停止時間双方の短縮を共に図るのであれば、何れかの磁極の向きを逆転させることで、軸部材と軸受部材との相対回転開始時には双方の磁極間に磁力による反発力を発生させ、軸部材又は軸受部材への回転力の付与を停止した際には磁力による引力を発生させるように制御されていてもよい。
【0013】
ここで、本発明に係る流体動圧軸受装置は、スラスト軸受隙間に流体の動圧作用を生じるための動圧発生部を備えたものでもよい。また、双方の磁極間に生じる磁力がフランジ部の回転浮上もしくは接地停止を補助する程度の大きさに制御されていてもよい。スラスト軸受隙間に生じる流体の膜あるいは動圧作用によりフランジ部が浮上にするのに十分な力を付与できるためである。また、これらの構成を組合せてフランジ部を回転浮上させる場合には、個々の構成要素(一対の磁極、スラスト動圧発生部)に求められる浮上力が小さくて済むため、例えば一対の磁極を大型化する必要はなく当該軸受装置のサイズを維持できる。
【0014】
なお、上記のように、磁力の大きさの調整を図る必要がある場合、双方の磁極の少なくとも一方は電磁石で構成されていることが望ましい。これによれば、供給する電流の大きさに応じて双方の磁極間に発生する磁力、ひいては反発力ないし引力の大きさを制御することができる。また、電力供給の容易性を考慮すると、固定側の磁極(軸回転の場合には軸受部材の側に設けた他方の磁極、軸固定の場合にはフランジ部あるいはその一部を構成する一方の磁極)を電磁石で構成し、回転側の磁極を永久磁石で構成してもよい。
【0015】
また、他方の磁極の配置位置に関し、例えばフランジ部とスラスト方向に対峙する位置に他方の磁極が配置されていてもよい。フランジ部の形状を考えた場合、かかる位置に他方の磁極を配置するのが磁力効率の面で良い。あるいは、フランジ部の外径側に他方の磁極が配置されていてもよい。外径側に配置できれば、装置の軸方向寸法を大きくせずに済む利点がある。また、軸受部材のうち少なくとも双方の磁極間に位置する部分が非磁性体で構成されるものであってもよい。この構成によれば磁極間に他物体が存在しても当該磁極間に発生する磁力(磁束)は容易に当該物体を通過する。そのため、磁力を逃がすことなくフランジ部の反発力ないし引力に反映することができる。
【0016】
以上の説明に係る流体動圧軸受装置は、例えば当該流体動圧軸受装置と、流体動圧軸受装置における相対回転動作およびその停止動作のための駆動力を付与する駆動部とを備えたモータとして提供することができる。よって、この場合、モータは、回転力付与のための駆動部(例えばコイルおよびマグネット)と、フランジ部に浮上力ないし引力を付与するための一対の磁極とを具備する。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、起動時ないし停止時における摺動摩耗を確実に低減し得る流体動圧軸受装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図6に基づき説明する。なお、以下の説明における『上下』方向は、単に各図における構成要素間の位置関係を容易に理解するために規定したものに過ぎず、流体動圧軸受装置の設置方向や使用態様、製造方法等を特定するものではない。後述する他の実施形態に関しても同様である。
【0019】
図1は、本発明に係る流体動圧軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの要部断面図を示す。このスピンドルモータは、例えばHDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、ハブ3を取り付けた軸部材2を回転支持する流体動圧軸受装置1と、半径方向のギャップを介して対向させた複数対のステータコイル4およびロータマグネット5(モータ駆動部)と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4はブラケット6に固定され、ロータマグネット5はハブ3に固定される。流体動圧軸受装置1のハウジング7は、ブラケット6の内周に固定される。また、同図に示すように、ハブ3には1又は複数枚のディスクD(図1では2枚)が保持される。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間に発生する半径方向の磁力によってロータマグネット5を取り付けたハブ3に回転力が付与され、これに伴って、ハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
【0020】
図2は、流体動圧軸受装置1を示している。同図に示す流体動圧軸受装置1は例えば縦置きで使用されるもので、ハウジング7と、ハウジング7の内周に固定された軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8の内周に挿入された軸部材2と、ハウジング7の他端開口側をシールするシール部材10と、軸部材2のフランジ部22の一部をなす一方の磁極23と、他方の磁極11とを備える。この場合、軸部材2の回転軸方向が鉛直方向に一致している。また、ハウジング7および軸受スリーブ8が上述の軸受部材に相当する。
【0021】
ハウジング7は、例えば真ちゅう等の金属材料や樹脂材料で有底筒状に形成される。詳細には、ハウジング7は、筒部7aと、筒部7aの下端に一体に形成される底部7bと、他方の磁極11を取り付ける磁極取り付け部7cとを有する。この場合、筒部7aの内周面7a1には、軸受スリーブ8の外周面8dが、例えば接着(ルーズ接着や圧入接着を含む)、圧入、溶着(超音波溶着やレーザ溶着を含む)など適宜の手段で固定される。また、底部7bは略円盤形状をなし、その上端面7b1の全面又は一部の領域には、例えば図4と同様の配列態様(スパイラルの方向は逆)をなす動圧溝配列領域が形成される。この動圧溝配列領域は、図2に示す完成品の状態ではフランジ部22の下端面22bと対向し、軸部材2の回転時、下端面22bとの間に後述する第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する。なお、図示は省略するが、底部7bは、筒部7aと別体に形成し、この別体の底部を、圧入、接着、溶着等適宜の手段で筒部7aの下端に固定するようにしてもよい。
【0022】
軸受スリーブ8は、例えば鉄や銅(それぞれ合金化されたものを含む)、あるいは双方を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。軸受スリーブ8は、焼結金属以外にも、例えば黄銅等の軟質金属材料や焼結金属ではない他の多孔質体(例えば、多孔質樹脂)で形成することも可能である。また、上述の如く底部7bを筒部7aと別体に形成するのであれば、軸受スリーブ8をインサート部品としてハウジング7と一体的に形成し、あるいは、両者7,8を同材料で一体に形成することも可能である。
【0023】
軸受スリーブ8の内周面8aの全面又は一部には、ラジアル動圧発生部として複数の動圧溝を配列した領域が形成される。この実施形態では、例えば図3に示すように、互いに傾斜角の異なる複数の動圧溝8a1,8a2をヘリングボーン形状に配列した領域が、軸方向に離隔して2ヶ所に形成される。また、この実施形態では、軸受内部における潤滑油の循環を意図的に作り出す目的で、一方側(ここでは上側)の動圧溝8a1,8a2配列領域を軸方向非対称に形成している。図3に例示の形態で説明すると、軸方向に隣接する動圧溝8a1,8a2間の領域(いわゆる帯部)の軸方向中心mより上側(シール部材10の側)の動圧溝8a1配列領域の軸方向寸法X1が、下側の動圧溝8a2配列領域の軸方向寸法X2よりも大きくなるように形成されている。なお、内周面8aの下側(後述するスラスト軸受隙間に近い側)に位置する動圧溝8a1,8a2配列領域は、その軸方向中心を境に軸方向対称に形成されている。
【0024】
軸受スリーブ8の下端面8bの全面または一部の領域には、図4に示すように、スラスト動圧発生部として、複数の動圧溝8b1をスパイラル形状に配列した領域が形成される。この動圧溝8b1配列領域は、完成品の状態ではフランジ部22の上端面22aと対向し、軸部材2の回転時、上端面22aとの間に後述する第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
【0025】
軸受スリーブ8の上端面8cの半径方向中間位置には、図3に示すように、断面楔状の環状溝8c1が形成される。また、上端面8cの環状溝8c1より内径側には、環状溝8c1と内周面8aとをつなぐ半径方向溝8c2が円周方向複数箇所に形成される。これら環状溝8c1や半径方向溝8c2は後述の軸方向溝8d1と共に軸受内部空間における潤滑油の循環路を形成し、これにより円滑な潤滑油の供給状態を確保するようにしている。
【0026】
軸受スリーブ8の外周面8dには、軸方向に伸びる複数本(例えば3本)の軸方向溝8d1が形成される。これら軸方向溝8d1は、相互に円周方向で等間隔だけ離れた位置に形成されている。
【0027】
シール手段としてのシール部材10は、この実施形態ではハウジング7と別体に形成され、ハウジング7の上端内周に圧入、接着、溶着、溶接等適宜の手段で固定される。ここでは、シール部材10の下端面10bを軸受スリーブ8の上端面8cに当接させた状態でハウジング7に固定される。なお、シール部材10の材質は特に問わず、多孔質材のように油漏れが生じるおそれのある材料でない限り、種々の金属材料もしくは樹脂材料等を使用することができる。もちろん、シール部材10をハウジング7と同材料で一体に形成することも可能である。
【0028】
シール部材10の内周にはテーパ形状をなすシール面10aが形成されており、このシール面10aと、軸部21の上部外周面との間にシール空間Sが形成される。潤滑油を流体動圧軸受装置1の内部に充填した状態では、潤滑油の油面は常にシール空間Sの内部に維持される。
【0029】
軸部材2は、軸部21と、軸部21の下端に一体又は別体に設けられたフランジ部22とで構成される。この実施形態では、軸部21とは別体に形成された環状のフランジ部22を圧入、接着、加締め等の適当な固定手段を用いて軸部21の下端に固定することで軸部材2が構成される。
【0030】
軸部21は、例えばステンレス鋼で形成され、図2に示すように、その外周に、軸受スリーブ8の内周面8aに設けられた動圧溝8a1、8a2形成領域とラジアル方向に対向するラジアル軸受面21aを有する。この実施形態では、軸方向全長にわたって真円状の断面輪郭形状をなす円筒状のラジアル軸受面21aが軸方向に離隔して2ヶ所に設けられる。これらラジアル軸受面21a,21a間には、ラジアル軸受面21aより小径のヌスミ部が設けられる。なお、ラジアル軸受面21aは面精度(形状精度)に優れていることが望ましく、必要に応じて適当な熱処理ないし研削加工などの適当な仕上げ加工をラジアル軸受面21aに対して施しておいてもよい。
【0031】
一方の磁極23は、この実施形態では永久磁石で構成されており、また、略環状に形成された状態で軸部21の下端に固定されることで、フランジ部22の一部をなしている。この実施形態では、上端面22aの側がN極、下端面22bの側がS極となるように一方の磁極23が配設されている。すなわち、下端面22bの側から上端面22aの側へ抜ける向きの磁力線を示すように、一方の磁極23まわりの磁場が設定されている。
【0032】
材質については特に限定されることはなく、磁化可能な限りにおいて、すなわち磁性材料である限りにおいて任意の材料を使用することができる。例えば、磁性材料それ自体でフランジ部22を構成するのであれば、その両端面22a,22bでスラスト軸受面を構成することを考慮して、例えばフェライト系のSUSなど比較的硬度や耐摩耗性に優れた磁性材料を使用することができる。もちろん、この実施形態のように、その表面に摺動性に優れた摺動層24(耐摩耗性にも優れたものであればなおよい)を形成する場合には、硬度や耐摩耗性を考慮することなく、一般的な磁性材料を使用でき、例えば、アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト(SmCo5、Sm2Co17)磁石、ネオジム(Nd2Fe14B)磁石、サマリウム鉄窒素(Sm2Fe173)磁石などの既知の永久磁石を環状に形成したものを一方の磁極23として使用することができる。
【0033】
また、その製造方法についても特に限定されることはなく、例えば切り出し、鋳造、あるいは焼結で形成することができる。なお、一方の磁極23を焼結金属からなる永久磁石で構成する場合、後述する摺動層24を一方の磁極23のインサート成形で形成することで摺動層24の密着力が増す。焼結金属製であれば、その表面に多数の細孔が開孔しており、当該開孔から溶融状態の樹脂(あるいは金属)が一方の磁極23の内部に入り込むためである。
【0034】
一方の磁極23の周囲には、一方の磁極23よりも摺動性に優れた摺動層24が形成されている。よって、この場合、フランジ部22の上端面22aおよび下端面22bは共に摺動層24で構成される。摺動層24の材質については特に限定されることはなく種々の材質が使用可能である。具体的には、フッ素系樹脂など摺動性に優れた材料で摺動層24を形成することができ、被膜として一方の磁極23の表面を覆うようにして形成される。この場合、例えば一方の磁極23をインサート部品とする樹脂の射出成形を行うことで一方の磁極23と一体的に摺動層24が形成される。もちろん、樹脂被膜以外の被膜等で摺動層24を形成することもでき、例えばセラミックス被膜や、DLC被膜等の炭化水素系被膜などを蒸着やめっきにより一方の磁極23上に形成することもできる。
【0035】
他方の磁極11は、上記一方の磁極23との間でスラスト方向の磁力を発生できる位置、例えば図2に示すように、ハウジング7の底部7bの下端面側に他方の磁極11が取り付けられている。詳細には、他方の磁極11は、いわゆる電磁石をなすもので、磁心12と、磁心12の周囲に巻き付けられたコイル部13とで構成されている。そして、底部7bの下端面側に設けた磁極取り付け部7cに磁心12を嵌合することで、磁心12にコイル部13を巻き付けてなる他方の磁極11が位置決め固定される。この場合、略円盤状をなす磁心12の上端面とフランジ部22を構成する一方の磁極23の下端面とがハウジング7の底部7bを介してスラスト方向に対向する。また、その中心軸線(法線)は一致している。
【0036】
また、他方の磁極11を構成するコイル部13には、導線を介して電源ないし制御手段(共に図示は省略)が接続されており、コイル部13に正負何れかの向きの電流を供給することでコイル部13の巻き芯方向、ここではスラスト方向の磁力が発生するようになっている。また、制御手段によりコイル部13への電力供給態様が制御されるようになっている。具体的には、軸部材2の相対回転開始時には、コイル部13の上端側がS極、下端側がN極となるようにコイル部13に正負何れかの向きの電流が供給され、これにより双方の磁極11,23間に磁力による反発力が生じるように制御できるようになっている。また、モータ駆動部(ステータコイル4およびロータマグネット5)による軸部材2への回転力の付与を停止した際には、コイル部13の上端側がN極、下端側がS極となるようにコイル部13に回転開始時とは逆向きの電流が供給され、これにより双方の磁極11,23間に磁力による引力が生じるように制御できるようになっている。
【0037】
上述の構成部品を、所定の手順および図2に準じる形態に組立てた後、軸受内部空間(図2中、散点模様で示す領域)に潤滑油を充填することで、完成品としての流体動圧軸受装置1を得る。流体動圧軸受装置1の内部に充満される潤滑油としては、種々の油が使用可能であるが、HDD等のディスク駆動装置用に提供される場合、その使用時あるいは輸送時における温度変化を考慮して、低蒸発率及び低粘度性に優れたエステル系潤滑油、例えばジオクチルセバケート(DOS)、ジオクチルアゼレート(DOZ)等が好適に使用可能である。
【0038】
上記構成の流体動圧軸受装置1において、軸部材2の回転時、軸受スリーブ8の双方の動圧溝8a1,8a2配列領域は、軸部21のラジアル軸受面21a,21aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴い、上下何れの動圧溝8a1,8a2配列領域においても潤滑油が動圧溝8a1,8a2の軸方向中心に向けて押し込まれ、その圧力が上昇する。このような動圧溝8a1,8a2の動圧作用によって、軸部材2を回転自在にラジアル方向に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とがそれぞれ軸方向に離隔して2ヶ所に構成される(何れも図2を参照)。
【0039】
また、軸受スリーブ8の下端面8bに設けた動圧溝8b1配列領域とこれに対向するフランジ部22の上端面22aとの間のスラスト軸受隙間、および、ハウジング7の底部7bの上端面7b1に設けた動圧溝配列領域とこれに対向するフランジ部22の下端面22bとの間のスラスト軸受隙間に、動圧溝の動圧作用により潤滑油の油膜がそれぞれ形成される。そして、これら油膜の圧力によって、軸部材2をスラスト方向に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とがそれぞれ構成される(何れも図2を参照)。
【0040】
以下、双方の磁極11,23が軸部材2に及ぼす作用を説明する。まず、図5に示すように、モータ駆動部(ステータコイル4およびロータマグネット5)によりハブ3および軸部材2に回転力が付与された場合、フランジ部22の下端面22bはその自重によりハウジング底部7bの上端面7b1と当接した状態から回転を開始する。そして、回転速度を増していくことで、フランジ部22の下端面22bと底部7bの上端面7b1との隙間に潤滑油の油膜を生じ、その結果、フランジ部22が底部7bから完全に浮上する。この間、すなわち、フランジ部22が回転を開始してから所定隙間分だけ浮上するまでの間に、コイル部13の上端側がS極、下端側がN極となるようにコイル部13に正負所定の向きの電流を供給することで、双方の磁極11,23間に磁力による反発力が生じる。これにより、フランジ部22が回転を開始してから完全に浮上するまでに要する時間を短縮して、その間にフランジ部22に生じる摺動摩耗を低減することができる。また、この実施形態では、フランジ部22の接地側の端面22bと対向する底部7bの上端面7b1に所定形状の動圧溝配列領域を形成しているので、両面22b,7b1間のスラスト軸受隙間に潤滑油の動圧作用を生じる。よって、この動圧作用と磁力による反発力との組合せにより、フランジ部22が浮上に要する時間をさらに短縮することができる。
【0041】
次に、図6に示すように、モータ駆動部から回転力を受けて軸部材2が回転している状態から、例えばステータコイル4への通電を止めて軸部材2への回転力の付与を停止した場合、フランジ部22は惰性で回転し続けると共に、自重により徐々に底部7bの上端面7b1に向けて下降していき、やがて上端面7b1に接地し停止する。この間、すなわち、フランジ部22へ回転力が付与されなくなってから上端面7b1に接地して停止するまでの間に、コイルの上端側がN極、下端側がS極となるように回転開始時とは正負逆向きの電流を供給することで、双方の磁極11,23間に磁力による引力が生じる。これにより、フランジ部22が接地して完全に停止するまでに要する時間を短縮して、その間にフランジ部22に生じる摺動摩耗を低減することができる。特に、この実施形態のように、フランジ部22の主部をなす一方の磁極23とスラスト方向に対峙する位置に他方の磁極11(ここでは磁心12)を配置することで、回転力を排除してスラスト方向の反発力ないし引力のみを付与することができる。従って、不要な回転力をフランジ部22に与えることなくその回転停止に要する時間、または接地してから完全に停止するまでの時間をさらに短縮することができる。
【0042】
なお、回転開始時から回転停止時まで継続してコイル部13に電流を供給する場合、フランジ部22の浮上後にフランジ部22に与える反発力が過度にならないよう、その反発力の大きさをコイル部13に供給する電流の大きさでもって制御するのがよい。また、この実施形態のように、フランジ部22の両端面22a,22b側にスラスト軸受部T1,T2を構成する場合には、双方の磁極11,23間に生じた磁力による反発力もしくは引力が、フランジ部22の浮上期間中もしくは下降停止期間中のみに付与されるように制御することも可能である。すなわち、フランジ部22の両端側にスラスト軸受部T1,T2を構成する場合、フランジ部22が浮上した後、さらに反発力を付与すると、設計位置よりも軸受スリーブ8の下端面8bに近い位置でフランジ部22が非接触支持される可能性がある。この場合には、所要のスラスト軸受隙間が得られないため、上下の流体圧のバランスが崩れ、フランジ部22を安定して非接触支持できないおそれが生じる。かかる事情から、この支持形態では、フランジ部22が所定位置(例えば下端面8bと上端面7b1との中間位置)に至った段階で、コイル部13への通電を停止し、フランジ部22を適当な高さで非接触支持するようにしても構わない。軸部材2への回転力の付与を停止して、フランジ部22を上端面7b1に接地させる際についても同様に、接地後の引力付与はフランジ部22を上端面7b1に単に押し付けるに過ぎないため、過度の押圧による摺動摩耗を回避するべく、接地時あるいは接地直前にコイル部13への通電を停止するようにしても構わない。
【0043】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態にに限定適用されるものでないことはもちろんである。以下、本発明を適用可能な流体動圧軸受装置ないしこの軸受装置を具備したモータの他の実施形態を図7および図8に基づいて説明する。
【0044】
例えば双方の磁極11,23の位置関係に関し、上記実施形態では、他方の磁極11を、ハウジング7を介してフランジ部22(一方の磁極23)とスラスト方向に対峙する位置に配置した場合を説明したが、もちろんこれには限定されない。例えば、他方の磁極11を、ハウジング7などの固定側部材を介してフランジ部22の外径側に配置することも可能である。
【0045】
図7はその一例を示すもので、同図に係る流体動圧軸受装置1では、他方の磁極11が、フランジ部22の外径側で、かつ、ハウジング7の外周に設けられている。詳細には、ハウジング7の筒部7aの下端外周には、他方の磁極11を取り付けるための小径部7dが形成されており、この小径部7dに他方の磁極11(ここでは空芯コイル部)を取り付けることで、そのコイル内部にスラスト方向の磁力を発生させるようになっている。従い、図7に示すように、他方の磁極11の内側にフランジ部22を配置することで、フランジ部22を構成する一方の磁極23と他方の磁極11との間に磁力による反発力ないし引力を発生させることが可能となる。
【0046】
図8はその他の例を示すもので、同図に係る流体動圧軸受装置1を備えたモータでは、他方の磁極11が、流体動圧軸受装置1を内周に保持するモータのブラケット6の内周所定位置に設けられている。詳細には、ブラケット6の内周面には、他方の磁極11を取り付けるための大径部6aが形成されており、この大径部6aに他方の磁極11(ここでも空芯コイル部)を取り付けることで、そのコイル内部にスラスト方向の磁力を発生させるようになっている。従い、図8に示すように、他方の磁極11の内径側にフランジ部22を配置することで、フランジ部22を構成する一方の磁極(図示は省略)と他方の磁極11との間に磁力による反発力ないし引力を発生させることが可能となる。
【0047】
なお、図7と図8何れの形態においても、双方の磁極11,23間に介在するハウジング7はアルミニウムや銅(合金を含む)、樹脂などの非磁性材料で構成されていることが望ましい。他方の磁極11で生じた磁力の逃げを極力減らして、一方の磁極23との反発力ないし引力の増大に寄与させるためである。同様の観点から、図2に示す形態において、ハウジング7の少なくとも底部7bは非磁性材料で形成されていることが望ましい。
【0048】
また、以上の説明では、フランジ部22もしくはその一部をなす一方の磁極23を永久磁石で、他方の磁極11を電磁石でそれぞれ構成した場合を例示したが、もちろん、磁石の組合せはこの組合せに限られるものではない。例えば一方の磁極23を電磁石、他方の磁極11を永久磁石とすることもでき、あるいは、双方の磁極11,23を共に電磁石で構成することも可能である。例えば、一方の磁極23を電磁石とする場合、図7や図8に例示の如く、一方の磁極23の外径側に適当なコイル部を配置し、かつ、一方の磁極23を比較的簡単に磁極の発生・消失を繰り返し生じさせることのできる軟磁性体で形成することで、当該一方の磁極をコイル部との組合せで電磁石として使用することができる。もちろん、フランジ部の回転開始時の浮上ないし接地停止を補助するのみで構わなければ、双方の磁極11,23を共に永久磁石で構成することも可能である。
【0049】
また、以上の説明では、ラジアル軸受部R1,R2およびスラスト軸受部T1,T2として、へリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、本発明を適用可能な構成はこれに限定されるものではない。
【0050】
例えば、ラジアル軸受部R1,R2として、図示は省略するが、軸方向の溝を円周方向の複数箇所に形成した、いわゆるステップ状の動圧発生部、あるいは、円周方向に複数の円弧面を配列し、対向する軸部材2の外周面(ラジアル軸受面21a,21a)との間に、くさび状の半径方向隙間(軸受隙間)を形成した、いわゆる多円弧軸受を採用してもよい。
【0051】
あるいは、ラジアル軸受面となる軸受スリーブ8の内周面8aを、動圧発生部としての動圧溝や円弧面等を設けない真円状内周面とし、この内周面と対向する真円状の外周面とで、いわゆる真円軸受を構成することができる。
【0052】
また、スラスト軸受部T1,T2の一方又は双方は、同じく図示は省略するが、スラスト軸受面となる領域に、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受、あるいは波型軸受(端面が調和波形などの波型になったもの)等で構成することもできる。
【0053】
また、以上の実施形態では、動圧発生部を何れも固定側(ハウジング7や軸受スリーブ8など)に設けた場合を説明したが、その一部あるいは全てを回転側(軸部21やフランジ部22など)に設けることも可能である。具体的には、軸部材2の外周面(ラジアル軸受面21a,21a)やフランジ部22の両端面22a,22bのうち、1ヶ所以上に既述の動圧発生部を設けることが可能である。
【0054】
また、以上の実施形態では、軸部21の端部にフランジ部22を設けた場合を説明したが、フランジ部22の固定位置は特にこれに限るものではない。例えば図示は省略するが、軸部21の軸方向中間位置にフランジ部22を固定した形態の流体動圧軸受装置に対しても本発明を適用することは可能である。また、必ずしもフランジ部22の両端面22a,22bでスラスト軸受部T1,T2(スラスト軸受隙間)を形成することを要するものではなく、自重落下による接地の可能性がある何れか一方の端面の側のみにスラスト軸受部(スラスト軸受隙間)を形成するものであってもよい。また、同様に図示は省略するが、フランジ部の外周面をシール面とし、このシール面とラジアル方向に対向する面との間にシール空間を形成する形態の流体動圧軸受装置に対して本発明を適用することも可能である。
【0055】
また、以上の実施形態では、軸部材2が回転して、それを軸受スリーブ8で支持する構成を説明したが、これとは逆に、軸受スリーブ8の側が回転して、それを軸部材2の側で支持する構成に対しても本発明を適用することが可能である。この場合、図示は省略するが、軸受スリーブ8はその外側に配設される部材に接着固定され、当該外側部材と一体に回転し、固定側の軸部によって支持される。
【0056】
また、以上の実施形態では、流体動圧軸受装置1の内部に充満し、ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間に流体膜を形成するための流体として潤滑油を例示したが、これ以外にも流体膜を形成可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る流体動圧軸受装置を備えたスピンドルモータの要部断面図である。
【図2】流体動圧軸受装置の断面図である。
【図3】軸受スリーブの断面図である。
【図4】軸受スリーブの底面図である。
【図5】フランジ部等に設けた双方の磁極による作用を説明するための部分拡大断面図である。
【図6】フランジ部等に設けた双方の磁極による作用を説明するための部分拡大断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る流体動圧軸受装置の断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係るモータの要部断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
3 ハブ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
6 ブラケット
7 ハウジング
7a 筒部
7a1 内周面
7b 底部
7b1 上端面
7c 磁極取り付け部
7d 小径部
8 軸受スリーブ
8a1,8a2 動圧溝
8b1 動圧溝
10 シール部材
11,23 磁極
12 磁心
13 コイル部
21 軸部
21a,21a ラジアル軸受面
22 フランジ部
22a 上端面
22b 下端面
24 摺動層
R1,R2 ラジアル軸受部
T1,T2 スラスト軸受部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジ部を有する軸部材と、軸部材を相対回転支持する軸受部材と、フランジ部の少なくとも一方の端面と軸受部材の端面との間に形成されるスラスト軸受隙間とを備えた流体動圧軸受装置において、
フランジ部もしくはその一部を一方の磁極とし、かつ、この磁極との間でスラスト方向の磁力を発生可能な他方の磁極をさらに備えたことを特徴とする流体動圧軸受装置。
【請求項2】
軸部材と軸受部材との相対回転開始時、双方の磁極間に磁力による反発力が生じるように制御されている請求項1に記載の流体動圧軸受装置。
【請求項3】
軸部材又は軸受部材への回転力の付与を停止した際、双方の磁極間に磁力による引力が生じるように制御されている請求項1に記載の流体動圧軸受装置。
【請求項4】
何れかの磁極の向きを逆転させることで、軸部材と軸受部材との相対回転開始時には双方の磁極間に磁力による反発力を発生させ、軸部材又は軸受部材への回転力の付与を停止した際には磁力による引力を発生させるように制御されている請求項1に記載の流体動圧軸受装置。
【請求項5】
スラスト軸受隙間に流体の動圧作用を生じるための動圧発生部を備えた請求項1に記載の流体動圧軸受装置。
【請求項6】
双方の磁極間に生じる磁力がフランジ部の回転浮上もしくは接地停止を補助する程度の大きさに制御されている請求項1〜5の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
【請求項7】
双方の磁極の少なくとも一方が電磁石で構成されている請求項1〜6の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
【請求項8】
他方の磁極は、フランジ部とスラスト方向に対峙する位置に配置されている請求項1に記載の流体動圧軸受装置。
【請求項9】
他方の磁極は、フランジ部の外径側に配置されている請求項1に記載の流体動圧軸受装置。
【請求項10】
軸受部材のうち少なくとも双方の磁極間に位置する部分が非磁性体で構成されている請求項1〜9の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れかに記載の流体動圧軸受装置と、流体動圧軸受装置における相対回転動作およびその停止動作のための動力を付与する駆動部とを備えたモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−112531(P2010−112531A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287779(P2008−287779)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】