説明

流体機械における動翼と動翼を取り囲む車室内壁との間隔を検出する装置

流体機械における少なくとも1個の動翼(14)と車室内壁(111)との間隔(Δx)の検出装置は、種々の周波数の電磁波(31a、31b、32a、32b)を案内するためおよび少なくとも1個の動翼(14)の側の導波管開口(41)を通して少なくとも1つの周波数の電磁波(31a)をその動翼(14)の方向に送信するための導波管(40)と、導波管(40)に異なった周波数の電磁波(31a、31b)を供給するための少なくとも1つの手段(51)と、導波管(40)に供給された電磁波(31a、31b)の反射分(32a、32b)を受信するための少なくとも1つの手段(52)を有し、さらに、送信電磁波(31a、31b)の受信された反射分(32a、32b)を評価するための評価装置(60)を有している。この評価装置は、送信電磁波(31a、31b)の位相を送信電磁波(31a、31b)の反射分(32a、32b)の位相と比較する手段(61)を有し、その評価装置によってそれぞれの周波数において位相比較値が求められ、その位相比較値の対比から間隔(Δx)が決定される。導波管(40)にシール要素(70a)が設けられ、このシール要素(70a)が、少なくとも1つの周波数の電磁波(31a、32a)に対して透過可能に形成され、電磁波(31a、31b、32a、32b)の案内方向において両側端面(71a、72a)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体機械における少なくとも1個の動翼と車室内壁(動翼を取り囲む壁)との間隔を検出する装置並びにこの装置の利用に関する。タービン機械におけるラジアル隙間およびアキシャル隙間を監視するための相応した装置およびその利用は特許文献1で知られている。
【背景技術】
【0002】
ガス流に蓄えられたエネルギを機械エネルギ特に回転運動に転換するために、例えば蒸気タービンやガスタービンのような流体機械が熱機関として工業において採用されている。かかる流体機械の安全運転を保証するために、特に運転中、従って流体機械に配置された翼車の回転中、その翼車の動翼を連続して監視するように努められている。その場合、車室内壁(動翼を取り囲む壁)と動翼先端、即ち、動翼の半径方向外縁との間隔(ラジアル隙間)を正確に保つことが非常に重要である。安全上の理由から、最小ラジアル隙間を下回ってはならないが、過大なラジアル隙間は効率を不必要に低下させる。特に翼列に囲い輪が装備されている翼車において、ラジアル隙間のほかに、壁部分に対するアキシャル間隔も重要である。その大きさが種々の動的重要度要因によって変化するので、運転中においてラジアル隙間とアキシャル隙間の連続的監視が努めて行われる。ラジアル隙間の大きさは例えば動翼先端の近くに非接触で位置されている容量式ゾンデ(センサ)によって監視できる。しかしそのゾンデは精度、場所解析および寿命について限界がある。
【0003】
特許文献1に流体機械におけるラジアル隙間およびアキシャル隙間を監視する装置が示されている。そこでは送信・受信装置を有するマイクロ波・レーダ装置が利用され、その送信・受信装置から一定周波数のマイクロ波が導波管を通して流体機械の翼車に向けられている。その導波管は翼車を取り囲む車室を貫通して導かれ、そこに固定されている。導波管の開口は翼車の動翼先端の半径方向外側に非常に近接して配置され、これにより、送信されたマイクロ波の反射により、動翼先端と導波管端との間隔、従って、動翼先端と車室内壁との間隔が検出される。その検出は反射マイクロ波の位相の評価によって行われる。送信マイクロ波と反射マイクロ波との位相差が検出されることによって、間隔の検出が行われる。
【0004】
特にガスタービンにおいて車室の内部における翼車の部位は運転中に厳しい熱的条件に曝される。ガスタービンにおいて約1200℃の温度が流速100m/s、圧力16バールの範囲で生ずる。この過激な条件は少なくとも、導波管を通してそれに接続された送信・受信装置にそれを損傷するほどに作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第19705769号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の装置とその利用を、導波管に接続された機器が流体機械において運転中生ずる過激な条件から防護されるように改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、特許請求の範囲の請求項1に記載の装置を提案する。
【0008】
本発明に応じて、
− 種々の周波数の電磁波を案内するためおよび動翼を向いた少なくとも1個の 導波管開口を通して少なくとも1つの周波数の電磁波をその動翼の方向に送信 するための導波管と、
− 導波管に異なった周波数の電磁波を供給するための少なくとも1つの手段と 、
− 導波管に供給された電磁波の反射分を受信するための少なくとも1つの手段 と、
− 供給された電磁波の受信された反射分を評価するための評価装置であって、 供給された電磁波の位相を供給された電磁波の反射分の位相と比較する手段を 有し、その評価装置によってあらゆる周波数において位相比較値が求められ、 その位相比較値の対比から間隔が決定される評価装置と、
を有する、流体機械における少なくとも1個の動翼と車室内壁との間隔を検出する装置を、
− この導波管にシール要素が設けられ、このシール要素が、
− 少なくとも1つの周波数の電磁波に対して透過可能に形成され、
− 電磁波の案内方向において両側端面を有している、
ように形成する。
【発明の効果】
【0009】
これによって、この導波管は流体機械の運転中に過激な条件が生ずる動翼部位に対して、シールによって封じられる。
【0010】
即ち、動翼部位における過激な条件を導波管が受けることなしに、流体機械の車室壁を通して導波管によって動翼先端に導かれる電磁波によって間隔測定を行うことができる。
【0011】
本発明に基づく装置の有利な実施態様は請求項1の従属請求項に記載されている。請求項1における形態は1つの従属請求項における特徴あるいは好適には複数の従属請求項における特徴と組み合わせることができる。それに応じて、本発明に基づく装置は追加的に以下の特徴を有する。
【0012】
− シール要素が導波管開口の部位に設けられている。これによって、導波管お よびこの導波管に接続された例えば評価装置のような機器に対する最大の防護 作用が保証される。
【0013】
− 有利に、両側端面の少なくとも一方を凸面状に形成することができ、少なく とも1つの周波数の電磁波が動翼で焦束可能に送信される。これによって特に 、動翼の先端を横方向に解析することができ、これにより、動翼先端形状を検 出することができる。
【0014】
− 有利に、両側端面の少なくとも一方を凹面状に形成することもでき、少なく とも1つの周波数の電磁波が動翼の方向に散乱して送信される。この処置によ っても、特に動翼の先端を横方向に解析することができる。この場合、動翼先 端で散乱された電磁波を評価装置で評価する際、公知のSAR法(SAR=S ynthetic Aperture Radar=合成開口レーダ)が利用できる。
【0015】
− これに対して、シール要素の両側端面が互いに平行に延びる平らな面として 形成され、そのシール要素が少なくとも1つの第1周波数の電磁波に対して反 射可能に形成され、少なくとも1つの第2周波数の電磁波に対して透過可能に 形成されていることも有利である。そのシール要素は互いに間隔を隔てて平行 に延びる平らな両側端面を備えた形状により、周波数選択特性を有する共振器 となっている。シール要素の両側端面間の間隔(その間隔は半波長の整数倍で ある)に依存して、特定の波長の複数の電磁波だけがシール要素を通して透過 される。これに対して、その中間の波長の電磁波はシール要素によって反射さ れる。供給された電磁波のシール要素で反射された反射分と、シール要素を通 して透過された透過分と、動翼で反射された反射分の位相比較値が、評価装置 において互いに比較されることにより、流体機械における動翼と車室内壁との 間の温度補償された間隔値が求められる。この場合、導波管の熱膨張は計算で 補償される。
【0016】
− シール要素が6〜20の範囲の誘電率εを有していることが有利である。こ のようにして、導波管における電磁波の伝播は、このシール要素によって僅か な技術的考慮で調整することができる。また、このシール要素が共振器として 形成されていることによって、シール要素面(即ち、共振器面)の十分大きな 反射性が保証される。
【0017】
− シール要素がセラミックス特にAl23で形成されていることが有利であ る。これによって、シール要素の非常に良好な耐熱性が保証される。
【0018】
− 電磁波が特に70〜150GHzの周波数範囲におけるミリメートル波であ ることが有利である。これによって、その周波数における波長が約4mm以下 であるので、非常にコンパクトな導波管が採用でき、その横断面積寸法は代表 的にはほぼ案内される波長に選定される。
【0019】
さらに本発明によれば、本発明に基づく装置は、ガスタービンとして形成された流体機械における少なくとも1個の動翼と車室内壁との間隔を検出するために利用される。
【0020】
− その導波管は有利には車室内壁の冷却路内に配置することができる。これに よって、本発明に基づく装置を設置するために、既に内壁に冷却用に設けられ た多数の冷却路のうちの1つを利用することができる。
【0021】
以下図を参照して本発明に基づく装置の実施例を詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。理解を容易にするために、図は実寸通りに示されておらず、発明の特徴部分が概略的に示されている。なお、図1〜図5において同一部分には同一符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来におけるガスタービンの部分破断斜視図。
【図2】図1のガスタービンの動翼の斜視図。
【図3】共振器として形成されたシール要素を備えた本発明に基づく装置の概略構成図。
【図4】凸レンズとして形成されたシール要素を備えた本発明に基づく装置の概略構成図。
【図5】凹レンズとして形成されたシール要素を備えた本発明に基づく装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に約1200℃の高いガス入口温度に対して設計された従来のガスタービン10が示されている。ガスタービン10は内壁111を備えた車室11の内部に回転可能に支持されたロータ軸12を有し、(ガス)流路13内においてそのロータ軸12に複数の動翼14が配置されている。
【0024】
その1つの動翼14が図2に分解された状態で詳細に示されている。その動翼14のいわゆる動翼先端141である上端が、組み立てられた状態においてガスタービン車室11の内壁111に面している。
【実施例】
【0025】
(実施例1)
図3に本発明に基づく装置の第1実施例が概略的に示されている。単純化するために動翼14の一部だけが略示されている。矢印142は動翼14がガスタービン10の運転中における間隔測定中に矢印142の方向に動くことを表している。近似的にその矢印方向の動きは横方向zにおける直線運動と見なされる。動翼先端141はガスタービン車室11の内壁111からラジアル間隔Δxだけ隔てられている。ガスタービン10のできるだけ良好な効率を保証するために、動翼14の端部即ち動翼先端141とガスタービン車室11の内壁111との間隔Δxはできるだけ小さくされ、代表的には数mmの範囲特に1mm〜20mmの範囲にされる。内壁111は少なくとも1つの開口を有し、この開口の中に、電磁波31、32を案内するための導波管40がかみ合い結合で配置されている。その導波管40は内壁111に既に存在する多数の冷却路のうちの1つにはめ込まれていると有利である。導波管40は管状に形成され、例えば内径dが2〜10mmの範囲にある断面円形あるいは矩形をしている。導波管40の壁42は代表的には例えば鋼のような伝導性材料から成っている。特に導波管40の開口41を備えた端部は、流路13におけるガス流にほんの僅かしか影響を与えないようにするために、ガスタービン10の流路13の中に全く突出しないか、できるだけ僅かしか突出しないように、内壁111内に配置されている。図3の実施例において導波管開口41の部位に、互いに平行に延びる平らな両側端面71a、72aを備えたシール要素70aが配置され、このシール要素70aは導波管40の断面開口内にかみ合い結合されている。そのシール要素70aは導波管40を流路13に対して封じている。シール要素70aは有利に電磁ビームが少なくとも一部透過できるセラミックス特にAl23で形成されている。そのセラミックスの誘電率εは特に6〜20の範囲、好適には、9〜15の範囲にしなければならない。導波管40の他端は送信・受信装置50に接続され、この送信・受信装置50は電磁波31a、31b、32a、32b特に70〜150GHzの周波数範囲におけるマイクロ波を送信するための手段51と受信するための手段52を有している。またこの送信・受信装置50は評価装置60に接続されている。
【0026】
間隔の検出は詳細には次のようにして行われる。
【0027】
送信・受信装置50は、例えば2つの異なった周波数a、bの電磁波31a、31bを導波管40に供給する。その両周波数a、bは、これらに対応した電磁波31a、31bが同じ導波管40で案内されるように、有利にたかだか55%および少なくとも5%だけ相違している。その送信手段51として1つの二周波数送信手段51、またはスイッチを介して導波管40に接続されそれぞれ周波数aないし周波数bが対応付けられた2つの送信手段(図示せず)を利用することができる。シール要素70aはその互いに間隔を隔てて平行に延びる平らな両側端面71a、72aを備えた形状により、所定の周波数aの電磁ビーム31aに対して共振器となっている。導波管40における電磁波31a、32aの案内方向ないし伝播方向に向けられたシール要素70aの両側端面71a、72a(即ち、それらの端面の垂線が電磁波の伝播方向と一致している)間の間隔がこの共振器に入射する電磁波31aの半波長の倍数であるとき、その電磁波31aは共振器の内部で数回反射され、少なくともその一部が動翼14の方向に放射される。従って、シール要素70aはこの周波数aの電磁波に対する透過体と見なされる。これに反して、中間的な周波数bの電磁波31bは、この電磁波31bが導波管40に供給された後で入射する第1シール要素72aで既に送信・受信装置50に向けて反射して戻される。こうして、図3の実施例におけるシール要素70aは、その透過特性および反射特性が周波数に依存する周波数選択要素である。
【0028】
即ち、図3の実施例において、周波数aの電磁波31aはシール要素70aを透過し、他方で、周波数bの電磁波31bは送信・受信装置50に向けて反射して戻される。その透過された電磁波31aは導波管開口41を通して動翼14の方向に送信される。送信電磁波31aの少なくとも一部32aは動翼先端141から導波管40に向けて反射され、シール要素70aを逆向きに透過し、そして導波管40により送信・受信装置50に導かれる。電磁波を受信するための手段52としての例えば受信ダイオードによって、送信された例えば二周波数電磁波31a、31bの反射分32a、32bが検出され、相応した電気信号に変換され、この電気信号は評価装置60に導かれる。その電気信号から評価装置60によってまず、両周波数a、bにそれぞれ対応する電磁波32a、32bの位相φra、φrbが決定される。次に位相比較手段61によって、送信電磁波31a、31bの位相φ0a、φ0bが、送信電磁波31a、31bの反射分32a、32bの位相φra、φrbと比較される。例えば位相差値Δφa=φra−φ0aないしΔφb=φrb−φ0bにより決定される位相比較値ΔφaないしΔφbは、送信手段51からの送信電磁波31a、31bのたどった距離に直接依存する。内壁111ないし導波管開口41までの動翼14の検出すべき距離Δxのほかに、シール要素70aと送信・受信装置50との間隔も、内壁111従って導波管40の熱膨張に基づいて温度的に変化し、これにより、所望の間隔検出が不正確となる。この温度上の不正確は、例えば供給された電磁波31a、31bの動翼先端141で反射された反射分32aおよびシール要素で反射された反射分32bの位相比較値ΔφaないしΔφbの比較例えば引き算によって補償することができる。このようにして得られた比較値Δφabは、対応付け手段62によって、動翼先端141と内壁111との間隔Δxに対する測定値Mに対応付けられる。その対応付けは例えば数値表によってあるいは適切な計算によっても行える。
【0029】
少なくとも1個の動翼14の間隔Δxに対する求められた測定値Mは、詳細には示されていない表示器ないし通報器を介して監視所に伝えられ、ないしは、センターに転送される。
【0030】
評価装置60は所定の間隔しきい値の下回りを確認できる比較機能も装備できる。即ち、例えばしきい値を下回った際、例えばガスタービン10の停止のような適当な保護処置を開始するために、自動的に通報が行われる。
【0031】
(実施例2、3)
図4と図5に本発明に基づく装置の異なった2つの実施例が概略的に示されている。これらの装置は図3における実施例にほぼ相当している。従って、相違点についてだけ以下説明する。
【0032】
その両実施例において、シール要素70b、70cは導波管開口41の部位に両面が湾曲した面71b、72b、71c、72cが形成されている。図4においてその両面は凸状に湾曲されているが、図5のシール要素は両側凹面71c、72cを有している。両実施例において、シール要素70b、70cは送信・受信装置50から導波管40に供給された電磁波31aに対してレンズの機能を負っている。
【0033】
図4における両側凸面71b、72bを備えたシール要素70bによって、導波管40に供給された電磁波31aを動翼先端141に焦束することができる。これによって、動翼先端141における焦点によって狭く限定された所定部位で後方散乱された電磁波32aの評価において、その部位における間隔Δxが検出される。それに続く時間窓においてガスタービン10の運転中に動翼14が矢印zの方向にさらに動くので、この時間窓における動翼先端141の形状に基づいて、間隔Δxが形状に応じて変化する。
【0034】
電磁波を受信するための手段52としての例えば上述した受信ダイオードによって、送信電磁波31aの反射分32aが検出され、相応した電気信号に変換され、この電気信号は評価装置60に導かれる。その電気信号から評価装置60によってまず、電磁波32aの形状に依存して時間に依存する位相φra(t)が決定される。次に位相比較手段61によって、送信電磁波31aの一定の位相φ0aが、送信電磁波31aの反射分32aの時間依存位相φra(t)と比較される。例えば位相差値Δφa(t)=φra(t)−φ0aにより決定される時間依存位相比較値Δφa(t)は、送信手段51からの送信電磁波31aのたどった距離に直接依存する。その位相差値Δφa(t)は、対応付け手段62によって動翼先端141と内壁111との間隔Δxに対する時間依存測定値M(t)に対応付けられる。その対応付けは例えば数値表によってあるいは適切な計算によっても行える。
【0035】
動翼先端形状を検出するために、評価装置60は追加的にもう1つの対応付け手段63を有している。この対応付け手段63によって、得られた時間依存位相比較値Δφa(t)が横軸方向zにおける場所解析された動翼先端形状L(z)に対応付けられる。
【0036】
図5における凹面71c、72cを備えたシール要素70cによって、導波管40に供給された電磁波31aを動翼先端141の方向に拡散して送信することができる。これによって、動翼先端141全体で後方散乱された電磁波31aの評価において間隔Δxが検出される。動翼先端141の形状に基づいて、後方散乱されたすべての電磁波部分32ai(i=自然数、図5においてi=1,2)の全体において、散乱電磁波分32aiに対する異なった位相値φriが生ずる。後方散乱された電磁波部分32aiの形状に依存した位相差から、動翼先端141の形状が推定できる。
【0037】
電磁波を受信するための手段52としての例えば上述した受信ダイオードによって、送信電磁波31aの反射分32aiが検出され、相応した電気信号に変換され、この電気信号は評価装置60に導かれる。その電気信号から評価装置60によってまず、形状に依存した電磁波32aiの位相値φriの各iの値から全体像が決定される。次に位相比較手段61によって、送信電磁波31aの一定位相φ0aが、反射分32aiの種々の位相φriと比較される。例えば位相差値Δφai=φri−φ0aにより決定される異なった位相比較値Δφriは、送信手段51からの送信電磁波31aのたどった距離に直接依存する。これらの位相比較値Δφaiは対応付け手段62によって、動翼先端141と内壁111との間隔Δxに対する測定値Mに対応付けられる。その対応付けは例えば数値表によってあるいは適当な計算によっても行える。
【0038】
動翼先端形状を検出するために、公知のSAR法(SAR=Synthetic Aperture Radar=合成開口レーダ)が利用される。このために、評価装置60は追加的にもう1つの対応付け手段64を有し、この対応付け手段64によって、得られた形状に依存する位相比較値Δφaiが横方向zにおける場所解析された動翼先端形状L(z)に対応付けられる。
【0039】
本発明は図示された実施例に限定されない。例えば測定の冗長性あるいは高い精度を得るために送信用および/又は受信用に複数の導波管40を利用することも本発明の保護範囲に入る。
【符号の説明】
【0040】
10 ガスタービン
14 動翼
31a、b (送信)電磁波
32a、b (反射)電磁波
40 導波管
41 導波管開口
51 送信器
52 受信器
60 評価装置
70a、b、c シール要素
111 (車室)内壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体機械(10)における少なくとも1個の動翼(14)とこの動翼(14)を取り囲む車室内壁(111)との間隔(Δx)を検出する装置であって、
− 種々の周波数の電磁波(31a、31b、32a、32b)を案内するため および動翼(14)を向いた少なくとも1個の導波管開口(41)を通して少 なくとも1つの周波数の電磁波(31a)をその動翼(14)の方向に送信す るための1つの導波管(40)と、
− 導波管(40)に異なった周波数の電磁波(31a、31b)を供給するた めの少なくとも1つの手段(51)と、
− 導波管(40)に供給された電磁波(31a、31b)の反射分(32a、 32b)を受信するための少なくとも1つの手段(52)と、
− 供給された電磁波(31a、31b)の受信された反射分(32a、32b )を評価するための評価装置(60)であって、供給された電磁波(31a、 31b)の位相を供給された電磁波(31a、31b)の反射分(32a、3 2b)の位相と比較する手段(61)を有し、その評価装置によってそれぞれ の周波数において位相比較値が求められ、その位相比較値の対比から間隔(Δ x)が決定される評価装置と、
を有する、動翼(14)と車室内壁(111)との間隔(Δx)を検出する装置において、
− 導波管(40)にシール要素(70a、70b、70c)が設けられ、このシール要素(70a、70b、70c)が、
− 少なくとも1つの周波数の電磁波(31a、32a)に対して透過可能に形成され、
− 電磁波(31a、31b、32a、32b)の案内方向において両側端面(71a、71b、71c、72a、72b、72c)を有している、
ことを特徴とする流体機械における少なくとも1個の動翼と車室内壁との間隔を検出する装置。
【請求項2】
シール要素(70a、70b、70c)が導波管開口(41)の部位に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
両側端面(71b、72b)の少なくとも一方が凸面状に形成され、少なくとも1つの周波数の電磁波(31a)が動翼(14)に焦束可能に送信されることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
両側端面(71c、72c)の少なくとも一方が凹面状に形成され、少なくとも1つの周波数の電磁波(31a)が動翼(14)の方向に拡散して送信されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
シール要素(70a)の両側端面(71a、72a)が互いに平行に延びる平らな面として形成され、そのシール要素(70a)が少なくとも1つの第1周波数の電磁波(31b、32b)に対して反射可能に形成され、少なくとも1つの第2周波数の電磁波(31a、32a)に対して透過可能に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項6】
シール要素(70a、70b、70c)が6〜20の範囲の誘電率(ε)を有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
シール要素(70a、70b、70c)がセラミックス特にAl23で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
電磁波(31a、31b、32a、32b)が特に70〜150GHzの周波数範囲におけるミリメートル波であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
ガスタービンとして形成された流体機械(10)における少なくとも1個の動翼(14)とこの動翼(14)を取り囲む車室内壁(111)との間隔(Δx)を検出するために利用されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の装置の利用。
【請求項10】
導波管(40)が車室内壁(111)の冷却路内に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の利用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−505061(P2010−505061A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529641(P2009−529641)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059048
【国際公開番号】WO2008/040601
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】