海底光リンク
ほぼ同じ波長の光ポンプが利得段の各々に提供されるように、複数の利得段で光ポンプパワーを共用する海底光中継器。また、傾斜制御メカニズムが、光利得段に供給される光ポンプパワーの量を調整することによって、利得の波長依存性を調整してもよい。前方および後方の両方のラマン増幅からの残留光ポンプパワーが、対応する光励起増幅器を駆動するために使用されてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底光中継器に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信ネットワークは、ネットワークノード間で高速データを伝送することによって情報化時代の重要な要求に応えている。光ファイバ通信ネットワークは、相互接続光ファイバリンクの集合体を含む。簡単に言うと、光ファイバリンクは、情報を光の形態で光ファイバの中に放出する光信号源を含む。内部反射の原理に基づいて、光信号は光ファイバの中を伝播して最終的には光信号レシーバに受信される。光ファイバリンクが双方向である場合、情報は典型的に別の光ファイバを用いて逆方向に光学的に伝えることができる。
【0003】
光ファイバリンクは、各々が異なる光ファイバリンク長を必要とする多種多様なアプリケーションで使用される。たとえば、比較的短い光ファイバリンクは、コンピュータとその隣接した周辺装置の間、あるいはローカルビデオソース(DVDまたはDVRなど)とテレビジョンの間で情報の通信に使用される場合がある。しかしながら、逆に、情報を二つのネットワークノード間で伝えようとするとき、光ファイバリンクは数百km、さらには数千kmに及ぶ場合がある。
【0004】
長距離または超長距離光学系は、およそ数百kmまたは数千kmの長い光ファイバリンクにわたる光信号の伝送を指す。このような長い距離にわたる光信号の伝送は、膨大な技術的課題を提示する。長距離および超長距離光通信の技術の改善には、多大な時間と資源が必要であるかもしれない。このような改善によって、多くの場合、通信が世界中でさらに広範囲に利用されることにつながるので、個々の改善が著しい進展をもたらす可能性がある。それゆえ、このような進展は、個人が地球上のどこに住んでいるかに関わらず、協力し、学習し、ビジネスを行なうなどの人間の能力を高める可能性を秘めている可能性がある。実際に、長距離および超長距離光ファイバ技術は、グローバル経済の成長をさらに容易に促進する可能性のある通信インフラ基幹を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0189750号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
長距離光リンクの開発者が直面する多くの課題の一つは、信頼性に関わる。長距離光ファイバリンクの長距離の大きい伝送能力によって、このようなリンクはインターネットの機能的な構成要素として、あるいは音声情報を伝達する手段として広く信頼されている。競合する課題は消費電力である。長距離光リンクでは、電力を必要とする場合にリンク内の点(中継器など)において電力が必ずしも得られるとは限らない。このことは、海底にある海底中継器の場合に特に当てはまる。したがって、パワーは、多くの場合、光ケーブルと一体化される導体または光ケーブルに関連する導体を用いて上記のような点に供給される。距離が長くなることから、電力の多くは導体の全長にわたって熱として失われる。
【0007】
さらに、海底リンクにおける中継器の間隔は、伝送信号の光学的品質、消費電力、およびリンクのコストに影響を与える。一般に、中継器間隔を長くすると、消費電力とリンクコストが減少するので好ましいが、信号品質が低下するので好ましくない。したがって、
比較的長い中継器間隔において信号品質を向上させて電気効率を高める中継器設計は、長距離および超長距離の光学の最先端技術に著しい改善をもたらす。
【0008】
先行アプローチでは、中継器内でディスクリートエルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)を、1)分布後方ラマン増幅、2)遠隔ディスクリートEDFAをさらに励起する分布後方ラマン増幅、または3)ラマン増幅なしの遠隔ディスクリートEDFAと組み合わせて使用することによって中継器間隔を長くしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書では、前方および後方光励起増幅器(たとえば、遠隔光励起増幅器)の両方を含む海底光リンクに関係する実施形態を説明する。前方光励起増幅器は、前方ラマン増幅からの残留光ポンプパワーによって駆動される。その一方で、後方光励起増幅器は、後方ラマン増幅からの残留光ポンプパワーによって駆動される。一実施形態では、前方および後方の光励起増幅器は同じである。前方および後方の光励起増幅器による前方および後方の両方のラマン増幅を使用すると、一部の実施形態では、より長い光リンクスパンおよび/またはより優れた光信号品質が可能になる。双方向通信リンクでは、双方向リンクにおける一方向からの残留光ポンプパワーを双方向リンクにおける逆方向と共用することによってさらなる効率が見込める。
【0010】
この概要は、請求項の内容の重要な特徴または基本的な特徴を明らかにすることを意図するものではなく、請求項の内容の範囲を決定する際の補助として使用することを意図するものでもない。
【0011】
前述および他の長所と特徴が得られる方法を説明するために、添付図面を参照して様々な実施形態をさらに具体的に説明する。これらの図面は、実施形態の例を示しているにすぎず、したがって、本発明の範囲を限定するものと考えるべきでないとの理解の下で、以下の添付図を使用して当該実施形態をさらに具体的かつ詳細に記載し説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】二つの光通信端末を含む光通信ネットワークの例を図式的に示す。
【図2】図1のものなど、光通信システムにおいて使用される中継器または端末などの光学装置を図式的に示す。
【図3】追加ラマン増幅とともに使用される追加ポンプユニットがある場合を除く、図2のものなど、光学装置を図式的に示す。
【図4】図3の第2光ポンプユニットによって提供される光ポンプパワーの冗長性を増すかまたは持たせる追加ポンプユニットがある場合を除く、図3の光学装置を図式的に示す。
【図5】図4の第3光ポンプユニットから追加共用経路を提供する追加光パワー分布構成部品がある場合を除く、図4の光学装置を図式的に示す。
【図6】光通信の特定方向に複数の光利得段があることを示す光通信システムを図式的に示す。
【図7】光利得段に関連する可能性のある波長に関する正および負の利得傾斜の例を示す。
【図8A】図1などの光通信ネットワークにおける二つのノードを互いに結合し、各光通信方向に対して前方光励起増幅器および後方光励起増幅器を含み、そこで光励起増幅器が交差結合される光リンクを示す。
【図8B】海底光リンクの先行技術構成を示す。
【図8C】図1などの光通信ネットワークにおける二つのノードを結合し、前方および後方の両方向において光励起される遠隔光励起増幅器を含む光リンクを示す。
【図9】図8Aおよび8Bにおいて東方に進む東向き光信号の光パワープロファイルの例を示す。
【図10】ポンプパワー交差結合を採用するリンク内の光信号プロファイルを、交差結合を採用しない同様のリンクの光パワープロファイルと比較して示す。
【図11】ポンプパワー交差結合が採用される場合を交差結合が採用されない場合の同様のシステムと比較して、後方ラマンポンプが故障した場合の性能を示す光パワープロファイルを示す。
【図12】ポンプパワー交差結合が採用される場合を交差結合が採用されない場合の同様のシステムと比較して、前方ラマンポンプが故障した場合の性能を示す光パワープロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載される実施形態に従って、海底光中継器は、ほぼ同じ波長の光ポンプパワーが利得段の各々に提供されるように複数の利得段における光ポンプパワーを共用してもよい。傾斜制御メカニズムが、光利得段に供給される光ポンプパワーの量を調整することによって利得の波長依存性を調整してもよい。一実施形態では、前方および後方の両方のラマン増幅からの残留光ポンプパワーが対応する光励起増幅器(たとえば、遠隔光励起増幅器)を駆動するために使用されてもよい。
【0014】
図1は、本明細書に記載される原理が採用される可能性のある光通信システム100の例を図式的に示す。光通信システム100では、光信号を使用することによって情報が第1端末101と第2端末102の間で伝達される。このアプリケーションで使用される慣例として、第1端末101から第2端末102に伝わる光信号は「東向き」であると呼ばれるのに対して、第2端末102から第1端末101に伝わる光信号は「西向き」であると呼ばれる。「東向き」と「西向き」という用語は、逆方向に伝わる二つの光信号を容易に区別できるように使用される技術用語にすぎない。「東向き」と「西向き」という用語を使用することは、図1における構成要素についての実際の地理的関係を暗示するものではなく、光信号の実際の物理的方向を暗示するものでもない。たとえば、たとえ本明細書で使用される慣例が第1端末101から第2端末102に伝わる「東向き」光信号を有していても、第1端末101は第2端末102の地理的に東方に位置していてもよい。
【0015】
一実施形態では、光信号は、波長分割多重(WDM)であり、高密度波長分割多重(DWDM)である可能性もある。WDMまたはDWDMでは、情報は、以後「波長分割光チャネル」と呼ぶ複数の別個の光チャネルで伝送される。各波長分割光チャネルは、光通信に対して特定の周波数を割り当てられる。したがって、WDMまたはDWDM光信号を用いて通信するために、第1端末101は「n」個の光トランスミッタ111(光トランスミッタ111(1)から光トランスミッタ111(n)を含み、ここで、nは正の整数である)を有していてもよく、各々は対応する東向き波長分割光チャネルで伝送する光トランスミッタである。同様に、第2端末102は、光トランスミッタ121(1)から121(n)を含む「n」個の光トランスミッタ121を有していてもよく、各々は、さらに、対応する西向き波長分割光チャネルで伝送する光トランスミッタである。しかしながら、本明細書に記載される原理は、東向き波長分割光チャネルの数が西向き波長分割光チャネルの数と同じである通信に限定されない。さらに、本明細書に記載される原理は、光トランスミッタの各々の正確な構造に限定されない。しかしながら、レーザは特定周波数における伝送に適した光トランスミッタである。とは言うものの、光トランスミッタは各々がたとえ複数のレーザトランスミッタであってもよく、また、ある周波数範囲内で調整可能であってもよい。
【0016】
東方向への光伝送の東向きチャネルに関しては、第1端末101が光マルチプレクサ112を用いて光トランスミッタ111からの東向き光信号の各々を単一の東向き光信号に多重化し、単一の東向き光信号は、この後、第1ファイバリンク114(1)に伝送され
る前にオプションの東向き光増幅器113によって光増幅されてもよい。
【0017】
東向きチャネルと西向きチャネルの各々において、合計「m」個の中継器115と「m+1」個の光ファイバリンク114が第1端末101と第2端末102の間にある。しかしながら、東向きチャネルと西向きチャネルの各々の中継器の数が等しくなくてもよい。中継器を備えない光通信システムでは、単一のファイバリンク114(1)しかない上に第1端末101と第2端末102の間には中継器がないので「m」はゼロになる。中継器を備える光通信システムでは、「m」は一以上となる。中継器が存在する場合、その各々は、電力を消費することによって光信号を増幅する可能性がある。
【0018】
最後の光ファイバリンク114(m+1)からの東向き光信号は、オプションとして、このとき、オプションの光増幅器116によって第2端末102において増幅される。東向き光信号は、この後、光デマルチプレクサ117を用いて様々な波長分割光チャネルに逆多重化される。様々な波長分割光チャネルは、この後、レシーバ118(1)から18(n)を含む対応する光レシーバ118によって受信されて処理されてもよい。
【0019】
西方向への光伝送の西向きチャネルに関しては、第2端末102が光マルチプレクサ122を用いて光トランスミッタ121(光トランスミッタ121(1)から121(n)を含む)からの西向き光信号の各々を単一の西向き光信号に多重化する。多重化された光信号は、この後、第2ファイバリンク124(m+1)に伝送される前にオプションの西向き光増幅器123によって光増幅されてもよい。西向き光チャネルが東向き光チャネルと対称であれば、前と同じように「m」個の中継器125(125(1)から125(m)と標記された)と「m+1」個の光ファイバリンク124(124(1)から124(m+1)と標記された)とがある。中継器を備えない環境では、一つの光ファイバリンク124(1)しかない上に西向きチャネルには中継器125がないので「m」はゼロになってもよいことを想起すること。
【0020】
最後の光ファイバ124(1)からの西向き光信号は、オプションとして、このとき、オプションの光増幅器126によって第1端末101において増幅される。西向き光信号は、この後、光デマルチプレクサ127を用いて逆多重化されて、個々の波長分割光チャネルはレシーバ128(レシーバ128(1)から128(n)を含む)によって受信されて処理される。第1端末101および/または第2端末102は、光通信システム100に示されるすべての要素を必要とするわけではない。たとえば、光増幅器113、116、123、および/または126は、一部の構成では使用されないかもしれない。さらに、対応する光増幅器113、116、123、および/または126が存在する場合、これらの各々は必要に応じて複数の光増幅器の組合せであってもよい。
【0021】
多くの場合、中継器間の光路長はほぼ同じである。中継器間の距離は、全端末間光路距離、データ転送速度、光ファイバの品質、ファイバの損失特性、中継器の数(もしあれば)、各中継器に供給可能な電力量(中継器がある場合)などに依存する。しかしながら、高品質単一モードファイバの中継器間(または、中継器を備えないシステムにおける端末間)の典型的な光路長は、約50kmである可能性があり、実際には、30km以下から90km以上に及ぶ可能性がある。とは言うものの、本明細書に記載される原理では、中継器間の特定の光路距離に限定されず、光路長距離が一つの中継器を備えるセグメントから次の中継器を備えるセグメントまで同じである中継器システムに限定されない。
【0022】
光通信システム100は、説明および実例のみを目的として簡素化して表される。本明細書に記載される原理は、はるかに複雑な光通信システム拡張してもよい。本明細書に記載される原理は、各々が多重化WDM光信号を伝達する複数のファイバ対がある光通信に適用されてもよい。さらに、本明細書に記載される原理は、一つの方向の一つ以上のファ
イバ対および/または波長分割光チャネルと、別の方向の一つ以上のファイバ対および/または波長分割光チャネルとを分割する一つ以上の分岐ノードがある光通信に適用されてもよい。
【0023】
図2は、図1の光通信システム100などの光通信システムで使用される可能性のある光学装置200を示す。図3から図5は、光学装置300、400、および500を示し、この順序で後続の部品が追加される。ここでは、図2から図5をその順序で説明する。
【0024】
一実施形態では、一つ以上、あるいはもしかするとすべての東向き中継器115と西向き中継器125が海底中継器であってもよい。海底中継器は、海洋表面下で動作するように設計される。図1の光通信システム100で使用される光学装置200(または装置300、400、または500のいずれか)は、東向き中継器115の一つまたは西向き中継器125の一つと統合されてもよい。さらに、光学装置200(すなわち、装置300、400、または500のいずれか)は、海底中継器内に一体化されてもよい。また、光学装置200(または装置300、400、または500のいずれか)は、光通信システム100が中継器を備える光学システムであるか中継器を備えない光学システムであるかに関わらず、第1端末101と第2端末102のうちの一つと一体化されてもよい。光信号は、東向き光信号であっても西向き光信号であってもよく、図2において左から右へ、あるいは右から左へ進んでいてもよい。図2、図3、図4、および図5は、たとえば、光分離、たとえば、光脱分極をもたらす図に示されない追加部品を含んでいてもよい。
【0025】
たとえば、光学装置200が図1の第1端末101に組み込まれる場合、ディスクリート増幅器231は図1のディスクリート増幅器113であってもよく、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン114(1)であってもよい。その場合、光信号は図2において左から右に進む東向き光信号となり、光ポンプパワーの一部k1は東向き光信号の前方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。あるいは、ディスクリート増幅器231は図1のディスクリート増幅器126であってもよく、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン124(1)であってもよい。その場合、光信号は図2において右から左に進む西向き光信号となり、光ポンプパワーの一部k1は西向き光信号後方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。
【0026】
一方、光学装置200が図1の第2端末102に組み込まれる場合、ディスクリート増幅器231は図1のディスクリート増幅器116であってもよく、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン114(m+1)であってもよい。その場合、光信号は、図2において右から左に進む東向き光信号となる(つまり、光学装置200は図1に示されるように、第2端末102に適合するように水平にフリップされることになる)。さらに、光ポンプパワーの一部k1は、東向き光信号の後方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。あるいは、ディスクリート増幅器231は、図1のディスクリート増幅器123であってもよく、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン124(m+1)であってもよい。その場合、光信号は、図2において左から右に進む西向き光信号となる(つまり、この場合も、光学装置200は図1に示されるように、第2端末102に適合するように水平にフリップされることになる)。さらに、光ポンプパワーの一部k1は、西向き光信号の前方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。
【0027】
さらに、光学装置200は、東向き中継器115(k)のいずれか一つに組み込まれてもよく、ここで、kは1からmの任意の整数に等しい。その場合、東向き光信号は図2において左から右に進んでいる可能性があり、その場合、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン114(k+1)となり、光ポンプパワーの一部k1は東向き光信号の前方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。あるいは、光信号が図2において右から左に進む東向き光信号である場合(つまり、光学装置200は図1に適合するよ
うに水平にフリップされることになる場合)、光学装置が東向き中継器115(k)に組み込まれた場合、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン114(k)となり、光ポンプパワーの一部k1は東向き光信号の後方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。
【0028】
最後に、光学装置200は、西向き中継器125(k)のいずれか一つに組み込まれてもよく、ここで、kは1からmの任意の整数に等しい。その場合、西向き光信号は図2において左から右に進んでいる可能性があり(つまり、光学装置200は図1に適合するように水平にフリップされることになる)、その場合、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン124(k)となる。その場合、光ポンプパワーの一部k1は、西向き光信号の前方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。あるいは、光信号が図2において右から左に進む西向き光信号である場合、光学装置が西向き中継器125(k)に組み込まれた場合、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン124(k+1)となる。その場合、光ポンプパワーの一部k1は西向き光信号の後方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。
【0029】
まず図2を参照すると、光学装置200は光増幅器を光学的に駆動する光ポンプパワーを提供する光ポンプユニット201を含む。光パワー分布メカニズム211(これは、たとえば、光カプラであってもよい)は、光ポンプパワーの一部(1−k1)(ここで、kは0から1の間の分数で、0および1を含まない)をディスクリート光増幅器231(たとえば、光マルチプレクサ222を用いて)に分布させ、光ポンプパワーの一部(k1)は分布光増幅を実施する際に使用される光ファイバスパン241に(たとえば、光マルチプレクサ221を用いて)注入される。光マルチプレクサ222によって左からディスクリート光増幅器231に光ポンプパワーを導入する代わりに、あるいは導入することに加えて、光マルチプレクサ223によって右からディスクリート増幅器231に光ポンプパワーが導入されてもよい。しかしながら、簡単にするために、図2を基本とする後続の図面には光マルチプレクサ223を示していないが、図3から図5における光マルチプレクサ222に加えて、あるいは光マルチプレクサ222の代わりに光マルチプレクサ223を使用してもよい。
【0030】
光パワー分布メカニズム211が図2から図5に示されるような光カプラである場合、光ポンプパワーは周波数特性を維持するように分布される。光カプラ211に適用されるように、これはディスクリート光増幅ユニットに割り当てられる光ポンプパワーの一部の周波数特性が分布光増幅で使用される光ポンプパワーの一部の周波数特性とほぼ同じであることを意味する。
【0031】
一実施形態では、ディスクリート増幅ユニット231は、エルビウムドープファイバ増幅器など(EDFA)などの希土類ドープファイバ増幅器、半導体光増幅器(SOA)、または高効率ラマン増幅器である。代替的または追加的に、前方または後方ラマン増幅を実施するために光ポンプパワーの一部k1が採用されてもよい。その場合、ラマン増幅は、典型的に、ディスクリート光増幅よりも多くの光パワーを必要とするので、k1は0よりも1に近くなる可能性があり、光パワーの大部分を光ファイバスパン241へのラマン増幅に費やすことができる。一実施形態では、ディスクリート光増幅器がエルビウムドープ光増幅器である場合、k1は、たとえば、89%であってもよいが、本明細書に記載する原理はこのような特定の実施形態に限定されない。k1が89%よりも高い場合、あるいは低い場合、さらに最適な性能が実現されるかもしれない。ディスクリート光増幅器231がエルビウムドープファイバ増幅器である場合、光ポンプパワーは主として1400nmから1525nmの範囲にある可能性がある。さらに、ラマン増幅が分布増幅メカニズムである場合、光信号は光ポンプパワーの少なくとも大部分よりも長い波長を有するはずである。
【0032】
図3は、図2の光学装置200に似ている光学装置300を示す。しかしながら、この場合、追加光ファイバスパン341が示されている。光信号が図2において左から右に進むと、光信号は光ファイバスパン341から光マルチプレクサ/デマルチプレクサ322と、他の光マルチプレクサ/デマルチプレクサ222とを通って進む可能性があり、そこで光ポンプユニット201からの光ポンプパワーの一部と結合される。その場合、光信号がこの組合せによってディスクリート光増幅器231に注入される。増幅された信号は、この後、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ221を通って光ファイバスパン241に達する。あるいは、図2において右から左に進む光信号の場合、光信号は、光ファイバスパン241から、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ221と、ディスクリート増幅器231と、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ222と、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ322とを通って光ファイバスパン341に進む可能性がある。いずれにしても、光信号は、C帯の一つ以上の潜在的な波長変調光信号チャネルに加えてL帯の一つ以上の波長変調光信号チャネルを含む可能性がある。なお、C帯は1530nmから1565nmの範囲の光波長に対応するが、L帯は1565nmから1625nmの範囲の光波長に対応する。一実施形態では、光波長のすべてが1550nmよりも大きく、ことによると、一つ以上の波長が1567nmを超えることすらある。
【0033】
さらに、光ポンプユニット301は、光パワー分布メカニズム311によって光ポンプパワーを提供し、光パワー分布メカニズム311はこの場合も光カプラであってよい。光パワーの一部k2(ここで、0と1を含まない0と1の間の分数である)が光マルチプレクサ/デマルチプレクサ322に提供されて、光ファイバ341に伝播され光ファイバリンク341において分布ラマン増幅を実施する。図2において右方向に進む光信号の場合、この分布ラマン増幅は後方ラマン増幅となる。図2において左方向に進む光信号の場合、この分布ラマン増幅は前方ラマン増幅となる。光パワーの別の部分(1−k2)は、光カプラ211に提供され、そこで、光ファイバリンク241における分布ラマン増幅ポンプパワーおよびディスクリート光増幅器ポンプパワー231のいずれにも使用されるように分布される。分布ラマン増幅は典型的にディスクリート光増幅器(たとえば、EDFA)よりも多くの光ポンプパワーを必要とするので、k2は0よりも1に近いかもしれない(たとえば、95%)。
【0034】
この場合、光ポンプユニット301からの光ポンプパワーは上記のように少なくとも三つの利得段、すなわち、第1ラマン増幅利得段(光カプラ311と光マルチプレクサ322による)、ディスクリート光増幅利得段(光カプラ311と、光カプラ211と、光マルチプレクサ322とによる)、ならびに第2ラマン増幅利得段(光カプラ311、光カプラ211、光マルチプレクサ221による)に使用され、すべてが一つの信号方向である。光ファイバスパン341を有するインラインあるいは光ファイバスパン241を有するインラインのどこかに光励起増幅器(遠隔光励起増幅器、すなわち「ROPA」)がある可能性を考えると、光ポンプユニット301に由来する光ポンプパワーによって完全に支配される四つまたは五つの光利得段があってもよい。
【0035】
同様に、光ポンプユニット201も、1)ディスクリート光増幅器231(光カプラ211と光マルチプレクサ222による)、2)分布ラマン増幅(光カプラ211と光マルチプレクサ221による)、ならびに3)光ファイバスパン241にあるオプションの遠隔光励起増幅器を含む、一方向の複数の光利得段を供する。
【0036】
図3の光学的共用は、故障に対する重要な予防策を提供する。たとえば、光ポンプユニット201と光ポンプユニット301はこれら自体が冗長性を備えていてもよい。たとえば、光ポンプユニット201は、一方がおそらくバックアップとして使用され、すなわち万が一他の光ポンプが故障した場合に一方の出力を増加させる二つの光ポンプを備えてい
てもよい。同じことは光ポンプユニット301についても言える。しかしながら、ユニット201内のすべての光ポンプがたとえ故障しても、ディスクリート光増幅器231は、光カプラ311と光カプラ211を通じて光ポンプユニット301によってなお少しは光学的に駆動されることになる。ディスクリート光増幅器の性能は光ポンプ201または光ポンプ301の場合に低下する可能性があるが、他の光ポンプユニット301または光ポンプユニット201の寄与によって光通信システムの動作が維持される可能性がある。故障の検出時に容易にアクセスできない海底中継器の場合、光ポンプの故障という点から見ても中継器を長期間にわたって使用し続けることが可能であることは重要である。
【0037】
図4は、図3の光学装置300に似ている光学装置400を示す。しかしながら、この場合、追加光ポンプユニット401が提供される。この光ポンプパワーの一部k3(たとえば、50%)は、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ412を用いて光ポンプユニット301から光ポンプパワーを加えられ、これは二つの光入力を組み合わせて一つの光出力にするための、たとえば、偏光ビームコンバイナ、または別の光学部品であってもよい。この光ポンプパワーの別の一部(1−k3)(たとえば、50%)は、逆方向に同様に構成された光ポンプユニットに提供されてもよい。この分布は光カプラ411によって達成される。たとえば、光ポンプユニット301は、主に、光ファイバリンク341における東向き光信号の分布ラマン増幅を駆動するので、光ポンプパワーの一部(1−k3)(たとえば、50%)は西向き光信号の分布ラマン増幅を駆動するために使用されてもよい。この場合、追加光ポンプユニット401は、光ポンプユニット201と光ポンプユニット301のいずれか一方または両方が故障した場合にすべての光利得段をさらに保護する。また、光ポンプユニット201、301、および401は、主に同じ波長範囲(たとえば、1400から1525nm、および一例では、1480nm)の光ポンプパワーを提供してもよい。光学装置400の一実施形態では、ポンプユニット401の一部k3は、ポンプユニット301の完全な故障がポンプユニット401の一部k3によって十分に補償されるようにポンプユニット301に対して十分な冗長性を備える。光学装置400の別に実施形態では、ポンプユニット401の一部k3はポンプユニット301に対して部分冗長性を備える。
【0038】
それゆえ、光ポンプパワーの同じ波長は、ディスクリート光増幅器(エルビウムドープ光増幅器、前方遠隔光励起増幅器、および/または後方遠隔光励起増幅器など)および分布光増幅器(後方および/または前方ラマン増幅器など)を駆動するために使用されてもよい。光ポンプ波長におけるこの共通性によって、複数の利得段にわたって光ポンプパワーを共用することができる。また、この共通性によって、光ポンプパワーの相互共用を実施することで各利得段の光パワーを比較的少ない数のポンプから得ることができる。
【0039】
図5は、図4の光学装置400に似ている光学装置500を示す。しかしながら、この場合、たとえば、光カプラであってもよい二つの追加光パワー分布部品である第1追加パワー部品511と第2追加パワー部品512が備えられる。光カプラ511は、光ポンプユニット401から供給される光ポンプパワーの一部(1−k4)を使用し、残りのk4は光カプラ411に供給される。この後、光ポンプユニット401からの光ポンプパワーの一部(1−k4)は、光カプラ512に供給され、そこで、光カプラ311において光ポンプ301によって供給される光ポンプパワーを加えるための一部k5と他の方向においておそらく同様の構造で使用される部分(1−k5)とに分割されてもよい。一実施形態では、k4は90%であってもよいが、k5は50%であってもよい。これは、一部の追加ポンプパワーをポンプ故障の影響を軽減するディスクリート光増幅器231に加える効果を有する。このさらなる補正は、光ポンプユニット201と光ポンプユニット301のいずれか一方または両方を故障に対してさらに保護する。光カプラ411がポンプユニット401からのポンプパワーの一部をポンプマルチプレクサ/デマルチプレクサ412に似ているかまたはこれと対称的な他の信号方向のポンプマルチプレクサ/デマルチプレ
クサに供給する場合と、光カプラ512がポンプユニット401からのポンプパワーの一部を光カプラ311に似ているかまたは対称的な他の信号方向の光カプラに供給する場合、ポンプユニット401は両方向のすべての他のポンプユニットに対して少なくとも部分冗長性を備え、したがって、他のポンプユニットにおけるポンプの故障から両方向のすべてアクセス可能な利得段を少なくとも部分的に保護する。光学装置500の一実施形態では、k1=89%、k2=95%、k3=50%、k4=90%、およびk5=50%であり、これによって、以下のような(他の透過率を無視した)おおよそのポンプ共用がもたらされる。すなわち、ポンプユニット301の95%[k2]はファイバスパン341に向けられ、ポンプユニット301の4.5%[(1−k2)k1]はディスクリート光増幅器231に向けられ、ポンプユニット301の0.6%[(1−k2)(1−k1)]は光ファイバスパン241に向けられ、ポンプユニット201の89%[k1]は光ファイバスパン241に向けられ、ポンプユニット201の11%[(1−k1)]はディスクリート光増幅器231に向けられ、ポンプユニット401の43%[k4k3k2+(1−k4)k5(1−k2)]は光ファイバスパン341に向けられ、ポンプユニット401の0.8%[k4k3(1−k2)(1−k1)+(1−k4)k5k2(1−k1)]は光ファイバスパン241に向けられ、ポンプユニット401の6.2%[k4k3(1−k2)k1+(1−k4)k5k2k1]はディスクリート光増幅器231に向けられる。
【0040】
図2から図5の光ポンプユニットは、現存するものであれ、将来開発されるものであれ、いかなる光ポンプユニットであってもよい。単なる例として、光ポンプユニットは外部波長選択回折格子を備えるファブリペロー光キャビティを採用するポンプであってもよい。代替実施形態では、図2から図5の光ユニットは、ファブリペローベースの光ポンプよりも効率が高く低い相対強度ノイズを有しうる分布フィードバックレーザであってもよい。とは言うものの、図2から図5の光ポンプユニットのすべてが同じタイプのものである必要はない。
【0041】
図6は、光通信経路600における唯一の方向を示す光通信システムを示す。この場合、具体的な方向は東方であるが、原理は西方にも適用される。東向き光通信経路600は、最大五つ以上の光学的に駆動される利得段を含む可能性がある。これらは、光増幅器601、602、603、604、および605を含むものとして示される。光ポンプネットワーク610は一つ以上のポンプを含む。光ポンプネットワーク610は、二つの光ポンプである第1光ポンプ611と第2光ポンプ612を含むものとして象徴的に示されているが、長円613は光ポンプネットワーク610に三つ以上、あるいはもしかすると唯一のポンプユニットがあることを表わす。各ポンプユニットは、信号光通信方向に二つ、三つ、四つ、五つ、またはさらに多くの光利得段を光学的に駆動するように構成されてもよい。これは、矢印621から625によって象徴的に表わされる。
【0042】
図3では、たとえば、ポンプネットワークは、第1ポンプ201と第2ポンプ301を含み、第1ポンプユニット201は、1)ディスクリート光増幅器231、2)ファイバスパン241における分布ラマン増幅器、および3)場合によってファイバスパン241に存在する遠隔光励起増幅器を含む最大三つの光利得段を光学的に駆動する。図3における第2ポンプユニット301は、1)ファイバスパン241における第1分布ラマン増幅器、2)場合によってファイバスパン241に存在する第1遠隔光励起増幅器、3)ディスクリート光増幅器231、4)ファイバスパン341における第2分布ラマン増幅器、および5)場合によってファイバスパン341に存在する第2遠隔光励起増幅器を含む最大五つの光利得段を光学的に駆動する。さらに、図8Aと図9に関して記載される交差結合構成では、第1ポンプユニット201と第2ポンプユニット301は各々が同様に逆方向の利得段の光駆動に寄与してもよい。
【0043】
図4と図5では、たとえば、ポンプネットワークは、第1ポンプ201、第2ポンプ301、および第3ポンプ401を含む。第1ポンプ201は、前述のように、最大三つの光利得段を光励起する。第2ポンプ301は、最大五つの光利得段を光励起する。しかしながら、図4および図5では、第3光ポンプ401はさらに五つすべての光励起利得段に光ポンプパワーを供給する。
【0044】
光利得段601から605の一つ以上は、異なる波長の光を違った形で光増幅してもよい。たとえば、光利得段の一つ以上は、光信号の少なくとも波長範囲内でより大きい利得で比較的長い波長の光を光増幅する(以後、「波長に対する正の利得傾斜」光利得段、あるいはもしかすると簡単に「正の利得傾斜」光利得段と呼ぶ)。光利得段の別の一つ以上は、光信号の少なくとも波長範囲内でより小さい利得で比較的長い波長の光を光増幅する(以後、「波長に対する負の利得傾斜」光利得段、あるいはもしかすると簡単に「負の利得傾斜」光利得段と呼ぶ)。
【0045】
ポンプネットワーク610は、システム全体が利得全体において正の波長依存性を有するか、それとも負の波長依存性を有するかを測定する傾斜制御メカニズム615を含んでいてもよい。全体的に波長に対する正の利得傾斜がある場合、傾斜制御メカニズム615は、負の利得傾斜光利得段に供給される光パワーを増加させかつ/または正の利得傾斜光利得段に供給される光パワーを減少させることによって対応してもよい。全体的な利得に負の波長依存性がある場合、傾斜制御メカニズム615は負の利得傾斜光利得段に供給される光パワーを減少させかつ/または正の利得傾斜光利得段に供給される光パワーを増加させることによって対応してもよい。
【0046】
図7は、1480nmの単一光ポンプ波長が光利得段を駆動するために使用されるときの光利得段の正および負の波長依存性の例700を示す。曲線701は、1480nmの光ポンプが適用されるときの典型的なエルビウム利得プロファイルを示す。曲線702は、1480nmの光ポンプが適用されるときのラマン利得プロファイルを示す。図3では、たとえば、ディスクリート光増幅器231はエルビウム利得段であってもよく、ラマン利得段は光ファイバ341または光ファイバ241において分布ラマン増幅でありうる。たとえ、ポンプ301のポンプ波長とポンプ201のポンプ波長がほぼ同じであっても、ポンプ301とポンプ201の波長依存性は結合比k1とk2を調整することと、スパン341、241のファイバタイプを選択することとのうちの少なくとも1つによって制御されうる。たとえば、光ファイバ341において比較的高いラマン利得を有する高い結合比k2>0.9の小さいコア断面積ファイバはポンプ301への正の波長依存性を形成するが、ディスクリート光増幅器231の利得と結合された光ファイバ241において比較的低いラマン利得を有する大きいコア断面積ファイバはポンプ201への負の波長依存性を形成する。たとえば、k1が89%に選択され、k2が95%に選択され、信号方向が左から右であり、ファイバスパン341が40kmのIDFファイバ(30μm2の有効断面積を有するOFS製)であり、ファイバスパン241が40kmのSLAファイバ(106μm2の有効断面積を有するOFS製)であり、ファイバスパン241の遠隔光励起増幅器がポンプマルチプレクサ 221から40kmにある8mのエルビウムドープファイバ(OFS製R37014)であり、ディスクリート光増幅器231がエルビウムドープファイバ(15mのR37003Xまたは同様のOFS製)であり、ポンプユニット301が1480nmにおいて0.25Wであり、ポンプユニット201が1480nmにおいて0.25Wであるとしよう。その場合、ポンプユニット301の光利得はポンプパワーが増加されるときに正の波長依存性を有し、ポンプユニット201はポンプパワーが増加されるときに負の波長依存性を有する(あるいは、ポンプパワーが減少すると反対の波長依存性を有する)。この例では、ファイバスパン341ではファイバの有効断面積が小さいためにラマン利得が高く、ファイバスパン241ではファイバの有効断面積が大きいためにラマン利得が低いが、エルビウムドープ利得は高く主としてポンプユニット2
01によって駆動される。
【0047】
したがって、本明細書に記載される原理は、光通信システムの信頼性と性能を向上させる可能性のある有効なメカニズムを提供する。図8Aと図9は、本明細書に記載される原理が機能する可能性のある具体的な環境を示すために提供されているが、本明細書に記載される一般的原理はその環境に限定されない。図8Aと図9の環境は、前方と後方の両方の遠隔光励起増幅器を提供しており、前方遠隔光励起増幅器は残留前方ラマン光ポンプパワーを使用する場合に対応し、後方遠隔光励起増幅器は残留後方ラマン光ポンプパワーを使用する場合に対応する。
【0048】
図8Aは、光通信ネットワークにおいて二つのノードである第1ノード801Aと第2ノード802Aを接続する光リンク800Aを示す。たとえば、光リンク800Aが図1の光通信システム100において使用され、かつ光通信システム100が中継器を備えないシステムである場合、第1ノード801Aは第1端末101であってもよく、第2ノード802Aは第2端末102であってもよい。しかしながら、中継器を備える環境では、第1ノード801Aと第2ノード802Aは、一端が端末であり他端が中継器セットであってもよい。たとえば、第1ノード801Aは、図1の第1端末101であってもよいが、第2ノード802Aは、図1の中継器セット115(1)および125(1)であってもよい。一方、第1ノード801Aは、図1の中継器セット115(m)および125(m)であってもよいが、第2ノード802Aは、図1の第2端末102であってもよい。中継器を備える環境に複数の中継器(すなわち、m>1)がある場合、第1ノード801Aおと第2ノード802Aはいずれも中継器セットである可能性がある。一般的には、第1ノード801Aと第2ノード802Aがいずれも中継器セットである場合、第1ノード801Aは、図1の中継器セット115(k)および125(k)であってもよいが、第2ノード802Aは、図1の中継器セット115(k+1)および125(k+1)であってもよい。ここで、kは1から最大m−1までの任意の正整数である。
【0049】
たとえば、第1ノード801Aと第2ノード802Aはそれぞれ、図2、図3、図4、または図5の光学装置200、300、400、または500を備えていてもよい。たとえば、図8Aのポンプユニット811A、ポンプマルチプレクサ815A、およびファイバスパン812Aは、図5のそれぞれ、ポンプユニット201、ポンプマルチプレクサ221、およびファイバスパン241に対応していてもよく、図8Aのポンプユニット811B、ポンプマルチプレクサ815B、ディスクリート増幅器816A、およびファイバスパン812Cは、図5のそれぞれ、ポンプユニット301、ポンプマルチプレクサ322、ディスクリート増幅器231、およびファイバスパン341に対応していてもよく、図8Aの前方光励起増幅器(OPA)813Aは、図5のファイバスパン241における遠隔光励起増幅器に対応していてもよく、図8Aの後方光励起増幅器813Bは図5のファイバスパン341における遠隔光励起増幅器に対応していてもよい。第1ノード801Aと第2ノード802Aは、図2、図3、図4、または図5のポンプ分布部品211、311、411、412、511、および/または512を備えていてもよいが、これは図8Aにおいて明確に示されていない。同様の対応は、リンク800Aの西向き光信号の経路にある部品に対する第1ノード801Aと第2ノード802Aにも適用されてよい。この記述を読むと、図2、図3、図4、および図5に記載される原理が光リンク800Aに適用されてもよいことは当業者には明らかになろう。
【0050】
光リンク800Aは、双方向性であり、東向きファイバリンクと西向きファイバリンクを含む。東向きファイバリンクは、東向き光信号を第1ノード801Aから第2ノード802Aに伝播する。西向きファイバリンクは、西向き光信号を第2ノード802Aから第1ノード801Aに伝播する。しかしながら、「東向き」と「西向き」という用語は、本明細書では、一つの信号を別の信号と区別するためにのみ使用され、何らかの実際の地理
的関係や方向を表わすために使用されるものではないことを想起すること。また、東向きファイバリンク内の部品または利得段は本明細書において「東向き」という用語によって置き換えられる場合があり、西向きファイバリンク内の部品または利得段は本明細書において「西向き」という用語によって置き換えられる場合がある。
【0051】
東向きファイバリンクは、最初の東向き光ファイバスパン812Aと、東向き前方光励起増幅器(OPA)813Aと、第1東向き光マルチプレクサ/デマルチプレクサ(「mux/demux」)814Aと、東向き中間光ファイバスパン812Bと、第2東向き光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Bと、後方光励起増幅器813Bと、最後の東向き光ファイバスパン812Cとを通じて東向き光信号を第2ノード802Aに伝送する。その際に、光信号は、各方向に対して多くの利得段を通過してもよい。たとえば、東向き光信号は、前方ラマン増幅利得段812A、前方光励起増幅器813A、後方遠隔光励起増幅器813B、後方ラマン増幅利得段812C、および第2ノード802Aにおけるディスクリート利得段816Aを通過する可能性があってもよい。
【0052】
なお、「前方」および「後方」光励起増幅器という用語は、信号方向に対する光ポンプの方向を指しており、それにより、「前方」光励起増幅器の光ポンプは信号と同じ方向にあり、「後方」光励起増幅器の光ポンプは信号と逆の方向にある。
【0053】
東向き光リンクに対して考えられる第1利得段として、光ファイバスパン812Aは、光ポンプユニット811Aによって駆動される分布前方ラマン増幅器としての機能を果たす。第1ノード801Aから第2ノード802Aに伝送される東向き光信号は、東方に伝達される実際の情報を表わす。一方、ポンプユニット811Aは、光信号帯の外にある比較的高い周波数(比較的短い波長)を有する光ポンプパワーを伝送する。そのエネルギは、光信号を光学的に増幅するための信号波長に変換される。ポンプユニット811Aは、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ815Aを用いて前方ラマンポンプパワーを光ファイバスパン812Aに入射して、光ファイバスパン812Aに沿って分布した光信号と共伝播させて光信号を増幅する。
【0054】
図9は、二つのパワーと距離光プロファイル901と902のパワーと距離光プロファイル図900の例を示す。実線で描かれたパワープロファイル902は、すべての図示された利得段が存在する場合に光信号が図8Aの東向きファイバリンクを進むときの光信号パワーを示す。西向き光リンクに対するパワーと距離プロファイルの例は示されていないが、パワーと距離プロファイルはパワープロファイル902に似ていてもよく、ただし、反転されている。とは言うものの、東向きと西向きの光ファイバリンクの光パワープロファイルの対称性は必要でない。図9では、パワープロファイル902の最大パワーがPH1として示されている。位置D0およびD3は、それぞれ、第1ノード801Aおよび第2ノード802Aの位置を表わす。位置D1およびD2は、それぞれ、前方光励起増幅器813Aおよび後方光励起増幅器813Bの位置を表わす。
【0055】
光ファイバスパン812Aにおける距離D0とD1の間に存在する第1利得段では、前方ラマン増幅はパワープロファイル902における光信号の減衰を最初は遅らせるが、前方ラマン増幅は距離D0から離れて衰えるにつれて、光ファイバのほぼ対数的に直線の減衰が目立つようになる。とは言うものの、光ファイバの減衰が目立つときでも、前方ラマン増幅は前方ラマン増幅が無い場合に存在する減衰に比べると光ファイバの減衰を緩和してなお余りある。一実施形態では、前方ラマン増幅は、D0からD1までの距離にわたって少なくとも1dBのオン/オフ利得を有するが、はるかに高くなりうる。この記述および特許請求の範囲では、ある距離にわたるラマン増幅の「オン/オフ」利得は、その距離にわたるラマン増幅なしで発生する信号パワーと比較したその距離にわたるラマン増幅によって生じる一つ以上の信号波長の少なくとも一つの光信号パワーの増加を指している。
図9は、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、また実際の光パワー−距離プロファイルを伝えることを必ずしも意図するものではなく、パワープロファイルを一般的に記述するために使用されるにすぎない。
【0056】
図8Aに戻ると、第2利得段として、前方残留ラマン光ポンプパワーが、この後、前方光励起増幅器813Aを駆動するために使用され、前方光励起増幅器813Aは、この後、東向き光信号を増幅する。前方光励起増幅器813Aは、ディスクリート増幅器として示されているが、ファイバスパン812Aの全部または一部にわたって分布されてもよい。図8Aに示される光励起増幅器813A、813B、823A、および823Bは、「遠隔光励起増幅器」すなわち(ROPA)とより一般的に呼ばれるものであってもよい。しかしながら、「遠隔」という用語は相対的であるので本特許出願には望ましくない。しかしながら、一実施形態では、光励起増幅器は最も近い中継器または端末からの光路距離が少なくとも30kmであり、第1ノード801Aと第2ノード802Aの間の光路距離は、少なくとも100kmであるが、さらに、300kmよりも大きくてもよく、おそらく、さらに500kmを超えてもよい。図9を参照すると、距離D1におけるパワープロファイル902のディスクリート増幅は前方光励起増幅器813Aの結果である。
【0057】
光励起増幅器813A、813B、823A、および823Bは、各々が任意の光励起増幅器であってもよい。例として、希土類ドープファイバ増幅器(エルビウムドープファイバ増幅器)、光励起半導体増幅器、またはおそらく高効率ラマン増幅器が挙げられる。
【0058】
なお、光リンク800Aでは、各方向に前方光励起増幅器および後方光励起増幅器がある。たとえば、東向きチャネルの場合、前方光励起増幅器813Aは第1ノード801Aにより隣接しており、後方光励起増幅器813Bは第2ノード802Aにより隣接している。このため、光励起増幅器を駆動するために前方および後方残留ラマン光ポンプパワーをより効率よく利用することができ、このこと自体が技術の著しい進歩を表わしており、ほかのすべての条件が同じであるものとして第1ノード801Aと第2ノード802Aの距離の延長が可能になる。また、西向きチャネルも第2ノード802Aにより隣接している前方光励起増幅器823Bと、第1ノード801Aにより隣接している後方光励起増幅器823Aとを有し、西向き光チャネルに対しても効率改善をもたらす可能性がある。この光パワーのこのような有効利用は、電力が非常に高くつく海底中継器においては特に有益である。
【0059】
東向き光ファイバリンクに戻ると、光ファイバスパン812Aで行なわれた前方ラマン増幅の後にも、また前方光励起増幅器813Aによる増幅の後にも前方残留光ポンプパワーがまだいくらか残っている。前方残留光ポンプパワーの少なくとも一部、およびもしかすると全部が、後方光励起増幅器823Aで使用される逆方向光ファイバリンクに進路変更される。この前方ラマン光ポンプパワーのこの一般的な進路変更は、一般的に、矢印817Aによって表わされる。東向き光ファイバリンクにおける中間光ファイバ812Bに残留前方ポンプ光パワーをさらに注入し続けることが認められているものとすると、後方光励起増幅器823Aで得られる増幅は、東向き中間光ファイバスパン812Bで行われている可能性のある前方ラマン増幅よりも著しく大きくてもよい。
【0060】
この進路変更を容易にするために、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Aは前方光励起増幅器813Aの東に配置される。この光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Aは、中間光ファイバスパン812Bに東向き光信号(またはその信号の少なくとも大部分)を通過させることができるが、西向き光ファイバリンクの別の光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Aの方向に光ポンプパワーを進路変更する。光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Aは、この後、後方光励起増幅器823Aの駆動を助けるためにこの残留光ポンプパワーを後方光励起増幅器823Aに注入する。一方、前方光励起増
幅器813Aの増幅は、西向き光ファイバリンクからの残留後方ラマンポンプ光パワーの進路変更によって強化されてもよい。これは、一般的に、矢印827Bによって表わされる。しかしながら、この進路変更については以下でさらに詳しく説明する。
【0061】
東向きチャネルに戻ると、東向き光信号は中間光ファイバスパン812Bに入り、ここでは、東向き光信号はたとえ増幅されるにしてもわずかである。代わりに、図9を参照すると、光パワーは、D1とD2の間の距離でほぼ対数的に直線的に減衰し、これは光ファイバスパン812Bの長さおよび減衰に対応する。
【0062】
第3光利得段として、光信号は第2東向きマルチプレクサ/デマルチプレクサ814Bを通過し、この後、後方光励起増幅器813Bによって増幅される。後方光励起増幅器813Bは、ディスクリート増幅器として示されているが、ファイバスパン812Cの全体または一部にわたって分布されてもよい。後方光励起増幅器813Bに供給するために使用される光ポンプパワーの一部は、ポンプユニット811Bからの後方ラマンポンプ光パワーの残留量の影響によるものである。残留量は、矢印827Aによって表わされるような逆方向の光ファイバリンクからの前方ラマンポンプ光パワーの進路変更の影響によるものである。西向き光リンクの前方ラマンポンピングが効率的でなければ、東向き光リンクに進路変更される十分な量の前方光ポンプパワーが残っているかもしれない。
【0063】
一実施形態では、東向き信号の光ファイバスパン812C(および西向き信号の光ファイバスパン822A)において実施される後方ラマン増幅は、光ファイバスパン812Aにおける東向き信号(および光ファイバスパン822Aにおける西向き信号)の前方ラマン増幅と比べてきわめて効率的であり、光ファイバスパン812Cでは強力な分布利得を得ることができる。しかしながら、この高利得は、後方光励起増幅器813Bを駆動するために残っている残留光ポンプパワーが比較的少ないことを意味する。したがって、西向き光リンクから進路変更された前方ラマンポンプ光パワー827A(および東向き光リンクからの817A)は、東向きファイバリンクの後方光励起増幅器813B(および西向きファイバリンクの後方光励起増幅器822A)を光励起するために使用されるときに非常に役立つ。一実施形態では、光ファイバスパン812Cおよび822Aは、主に、負の色分散(D−)ファイバであり、あるいは、光の伝播に対して少なくとも比較的小さい有効断面積を有する。この記述および特許請求の範囲では、「DSファイバ」は分散特性と無関係に65μm2以下の有効断面積を有するファイバとして定義される。それゆえ、光ファイバスパン812Cおよび822Aは、DSファイバで構成されてもよい。一方、光ファイバスパン812Aおよび822Cは、正の色分散(D+)ファイバである可能性があり、あるいは、光ファイバスパン812Cおよび822Aと比べて少なくとも比較的大きい有効断面積を有する。この記述および特許請求の範囲では、「DLファイバ」は分散特性と無関係に65μm2以上の有効断面積を有するファイバとして定義される。それゆえ、光ファイバスパン812Aおよび822CはDLファイバで構成されてもよい。この場合、後方光励起増幅器813Bには、矢印827Aによって表わされる逆方向の光リンクから進路変更された光ポンプパワーが非常に役立つ。一般に、後方光励起増幅器813Bにおける信号パワーは、スパン812Bのファイバ減衰が補償されないことに起因して前方光励起増幅器813Aにおける信号パワーよりも小さい。したがって、同じ光励起増幅器および同じポンプパワー量を所与として、より多くの増幅が前方光励起増幅器813Aに比べると後方光励起増幅器813Bで典型的に実現されうる。換言すると、前方光励起増幅器813Aでは、後方光励起増幅器813Bと比べて同様の利得を実現するためにより高いポンプパワーが典型的に要求される。
【0064】
第4光利得段として、また既に示唆したように、ポンプユニット811Bは、後方ラマンポンプ光パワーを提供して光ファイバ812Cにおいて後方ラマン増幅を実施する。図9を参照すると、これは、距離D2とD3の間に存在する後方分布ラマン増幅をもたらす
。図9のパワープロファイル902は距離D2とD3の間のこの分布利得を示しており、これは前述のようにD−およびD+ファイバを使用することによるD0とD1の間のパワープロファイル902の分布利得よりもはるかに大きい。一実施形態では、後方ラマン増幅は、D2からD3までの距離にわたって少なくとも5dBのオン/オフ利得を有するが、さらに高くなりうる。ポンプユニット811Bの後方ラマンポンプパワーは、光マルチプレクサ/デマルチプレクサユニット815Bを用いて光ファイバスパン812Cに注入される。しかしながら、矢印817Bに沿って進む後方ラマンポンプ光パワーは、光ファイバスパン812Cで後方ラマン増幅を実施すると低下する。前述のように、残留後方ラマンポンプ光パワーは、この後、後方光励起増幅器813Bを駆動するために使用される。後方光励起増幅器813Bの後に残る残留量は、この後、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Bを用いて、西向き光ファイバリンクの前方光励起増幅器823Bの光駆動に使用される光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Bを用いる西向き光ファイバリンクに進路変更される。
【0065】
第2ノード802Aでは、ディスクリート増幅器816Aが第5光利得段を提供する。たとえば、ディスクリート増幅器816Aは、次の伝送光ファイバ(これが中継器に使用される場合)またはレシーバ(これが端末に配置される場合)に対する光信号を増幅してもよい。図9を参照すると、このディスクリート増幅は、第2ノード802Aに対応する距離D3において行われてもよい。第2ノード802Aが端末である場合、東向き光信号は、この後、たとえば、図1のレシーバ118などの端末レシーバに導かれてもよい。第2ノード802Aが中継器である場合、東向き光信号は、この後、光通信システム内のさらに他のノードに伝送されてもよい(もしかすると、たとえば、色分散補償および利得平坦化フィルタ処理などの他の処理の後に)。図示されてはいないが、西に向かう光信号が東向き光ファイバリンクに出入りしないようにする光アイソレータがあってもよい。
【0066】
西向き光リンクに関しては、前と同じように五つの利得段があってもよい。考えられる第1利得段としては、光ポンプユニット821Bによって駆動される分布前方ラマン増幅器として働く光ファイバスパン822Cがある。第2ノード802Aから第1ノード801Aに伝送される西向き光信号は、西方向に伝達される実際の情報を表わす。一方、ポンプユニット821Bは、光信号帯の外にある比較的高い周波数(比較的短い波長)を有する光ポンプパワーを伝送する。そのエネルギは、光信号を光学的に増幅するための信号波長に変換される。ポンプユニット821Bは、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ825Bを用いて前方ラマンポンプパワーを光ファイバスパン822Cに入射して、光ファイバスパン822Cに沿って分布した光信号と共伝播させて光信号を増幅する。
【0067】
第2利得段として、残留前方ラマン光ポンプパワーは、この後、前方光励起増幅器823Bを駆動するために使用され、前方光励起増幅器823Bは、この後、西向き光信号を個別に増幅する。
【0068】
西向き光ファイバリンクでは、光ファイバスパン822Cで行なわれた前方ラマン増幅の後にも、また前方光励起増幅器823Bによる増幅の後にも前方残留光ポンプパワーがまだいくらか残っている。前方残留光ポンプパワーの少なくとも一部、およびもしかすると全部が、前述のように、後方光励起増幅器813Bで使用される逆方向光ファイバリンクに進路変更される。この前方ラマン光ポンプパワーのこの一般的な進路変更は、一般的に、矢印827Aによって表わされる。西向き光ファイバリンクにおける中間光ファイバ822Bに残留前方ポンプ光パワーをさらに注入し続けることが認められているものとすると、後方光励起増幅器813Bで得られる増幅は西向き中間光ファイバスパン822Bで行われている可能性のある前方ラマン増幅よりも著しく大きいかもしれない。
【0069】
この進路変更を容易にするために、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Bは、
前方光励起増幅器823Bの西方に配置される。この光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Bは、中間光ファイバスパン822Bに西向き光信号(または少なくともその信号の大部分)を通過させることができるが、東向き光ファイバリンクの別の光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Bの方向に光ポンプパワーの進路を変更する。光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Bは、この後、後方光励起増幅器813Bの駆動を助けるためにこの残留光ポンプパワーを後方光励起増幅器813Bに注入する。一方、前方光励起増幅器823Bの増幅は、前述のように、矢印817Bによって表わされるように、東向き光ファイバリンクからの残留後方ラマンポンプ光パワーの進路変更によって強化されてもよい。
【0070】
西向き光信号は、中間光ファイバスパン822Bに入り、そこではあまり増幅されない。代わりに、光パワーは、光信号が増幅されずに光ファイバを通過するときの状況として知られるようにほぼ対数的に直線的に減衰する。
【0071】
第3光利得段として、西向き光信号は西向きマルチプレクサ/デマルチプレクサ824Aを通過し、この後、後方光励起増幅器823Aによって個別に増幅される。後方光励起増幅器823Aを供給するために使用される光ポンプパワーの一部は、ポンプユニット821Aからの後方ラマンポンプ光パワーの残留量の影響によるものである。残留量は、矢印817Aによって表わされるように、東向き光ファイバリンクからの前方ラマンポンプ光パワーの進路変更の影響によるものである。
【0072】
第4光利得段として、また既に示唆したように、ポンプユニット821Aは、後方ラマンポンプ光パワーを提供して光ファイバ822Aにおいて後方ラマン増幅を実施する。後方ラマンポンプ光パワーは、光マルチプレクサ/デマルチプレクサユニット825Aを用いて光ファイバスパン822Aに注入される。しかしながら、矢印827Bに沿って進む後方ラマンポンプ光パワーは、光ファイバスパン822Aで後方ラマン増幅を実施すると低下する。前述のように、残留後方ラマンポンプ光パワーは、この後、後方光励起増幅器823Aを駆動するために使用される。後方光励起増幅器823Aの後に残る残留量は、この後、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Aを用いて、東向き光ファイバリンクにおける前方光励起増幅器813Aの光励起に使用される光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Aを用いる東向き光ファイバリンクに進路変更される。
【0073】
第1ノード801Aでは、第5利得段はディスクリート増幅器826Aであってもよく、第1ノード801Aが端末に配置される場合はディスクリート増幅器826が次の伝送光ファイバまたはレシーバへの光信号を増幅する。第1ノード801Aが端末である場合、西向き光信号は、この後、たとえば、図1のレシーバ128などの端末レシーバに導かれてもよい。ディスクリート増幅器816Aおよび826Aは、電力または光パワーのいずれによって駆動されるにせよ、光を増幅しうる任意の増幅器であってよい。例として、希土類ドープファイバ増幅器(エルビウムドープファイバ増幅器など)、高効率ラマン増幅器、および/または半導体光増幅器(SOA)が挙げられる。
【0074】
第1ノード801Aが中継器である場合、西向き光信号は、この後、光通信システムにおけるさらに他のノードに伝送されてもよい(もしかすると、たとえば、色分散補償および利得平坦化フィルタ処理などの他の処理の後)。図示されてはいないが、東に向かう光信号が西向き光ファイバリンクに出入りしないようにする光アイソレータがあってもよい。
【0075】
したがって、図8Aでは、クロスファイバ光パワーの進路変更には以下のような四つの例がある。
A)図8Aにおいて矢印817Aによって表わされる西向き光ファイバリンク(以下では
「進路変更タイプA」と呼ぶ)の後方光励起増幅器の光励起を補うために東向き光ファイバリンクからの前方ラマンポンプパワーの進路変更。
B)図8Aにおいて矢印827Aによって表わされる東向き光ファイバリンク(以下では「進路変更タイプB」と呼ぶ)の後方光励起増幅器光励起を補うために西向き光ファイバリンクからの前方ラマンポンプパワーの進路変更。
C)図8Aにおいて矢印817Bによって表わされる西向き光ファイバリンク(以下では「進路変更タイプC」と呼ぶ)の前方光励起増幅器の光励起を補うために東向き光ファイバリンクからの後方ラマンポンプパワーの進路変更。
D)図8Aにおいて矢印827Bによって表わされる東向き光ファイバリンク(以下では「進路変更タイプD」と呼ぶ)の前方光励起増幅器の光励起を補うために西向き光ファイバリンクからの後方ラマンポンプパワーの進路変更。
【0076】
図8Aに示すような進路変更タイプAの一実施形態は、前方光励起増幅器813Aおよび後方光励起増幅器823Aの両方を備える。進路変更タイプAの別の実施形態では、一つの光励起増幅器のみ(813Aまたは823Aのいずれか)が採用される。図8Aに示すような進路変更タイプBの一実施形態は、前方光励起増幅器823Bおよび後方光励起増幅器813Bの両方を備える。進路変更タイプBの別の実施形態では、一つの光励起増幅器のみ(823Bまたは813Bのいずれか)が採用される。図8Aに示すような進路変更タイプCの一実施形態は、前方光励起増幅器823Bおよび後方光励起増幅器813Bの両方を備える。進路変更タイプCの別の実施形態では、一つの光励起増幅器のみ(823Bまたは813Bのいずれか)が採用される。図8Aに示すような進路変更タイプDの一実施形態は、前方光励起増幅器813Aおよび後方光励起増幅器823Aの両方を備える。進路変更タイプDの別の実施形態では、一つの光励起増幅器のみ(813Aまたは823Aのいずれか)が採用される。
【0077】
図8Aには、進路変更タイプA、B、C、およびDのすべてが示されている。しかしながら、本明細書に記載される原理は、これら進路変更タイプがすべて揃っていない場合にも適用されてよい。たとえば、本明細書に記載される原理は、進路変更タイプA、B、C、およびDの一つ、二つ、または三つだけが提供される場合にも利点をもたらす可能性がある。
【0078】
図8Aを参照すると、光励起増幅器813Aおよび823Aと光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Aおよび814Bは、単一アセンブリ818A内に含まれていてもよい。その場合、アセンブリ818Aは、事前に製造されてもよく、たとえば、光接続箱であってもよい。接続箱は、各ファイバ対に対して少なくとも四つのポート、すなわち、東向きファイバ入力端子(たとえば、前方光励起増幅器813Aに隣接した)、東向きファイバ出力端子(たとえば、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Aに隣接した)、西向きファイバ入力端子(たとえば、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Aに隣接した)、および西向きファイバ出力端子(たとえば、後方光励起増幅器823Aに隣接した)を有することになる。アセンブリ818Aは、東向き光チャネルおよび西向き光チャネルを有する。東向き光チャネルは、前方光励起増幅器813Aと光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Aとを含む東向きの入力端子と出力端子の間にある。西向き光チャネルは、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Aと後方光励起増幅器823Aとを含む西向きの入力端子と出力端子の間にある。
【0079】
また、アセンブリ818Bは、前方光励起増幅器823B、後方光励起増幅器813B、ならびに二つの光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Bおよび814Bを含み、アセンブリ818Aについての記載と同様に構成されてよい。しかしながら、アセンブリ818Aは、進路変更タイプAおよびDのすべてが採用されるわけではない場合には簡略化されてもよい。たとえば、矢印817Aによって表わされる進路変更タイプAのみが採
用される場合、後方光励起増幅器823Aは光マルチプレクサ824Aの東方または西方に配置されてよい。さらに、前方光励起増幅器813Aは全く存在しなくてよい。矢印827Bによって表わされる進路変更タイプDのみが採用される場合、前方光励起増幅器813Aは光マルチプレクサ814Aの東方または西方に配置されてよい。さらに、後方光励起増幅器823Aは全く存在しなくてよい。アセンブリ818Bは、一つの進路変更タイプまたは進路変更タイプBおよびCしかない場合に同様に簡略化されてもよい。
【0080】
前述のように、従来の海底中継器技術は、1)分布後方ラマン増幅、2)遠隔ディスクリートEDFAをさらに励起する分布後方ラマン増幅、または3)ラマン増幅なしの遠隔ディスクリートEDFAと組み合わせて中継器内にディスクリートエルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)を使用することによって中継器の間隔を増加させている。図8Bは、二つのノードである第1ノード801Bと第2ノード802Bの間の先行技術中継器リンク800Bを示す。図8Aのリンク800Aとは対照的に、従来の海底中継器リンク800Bでは、前方ラマン増幅、前方遠隔光励起増幅器(ROPA)、または光ポンプパワーの交差結合も採用していない。その代わりに、海底中継器リンク800Bでは、後方ラマン増幅(東向き光信号の場合にポンプユニット811bを用いたファイバ812b、および西向き光信号の場合にポンプユニット821Aを用いたファイバ822Aによる)を採用してもよい。さらに、後方ラマン増幅からの残留光ポンプパワーが、遠隔光励起増幅器(ROPA)(すなわち、東向き光信号の場合に遠隔光励起増幅器813B、および西向き光信号の場合に遠隔光励起増幅器823A)を駆動するために使用される。一部の従来の海底中継器設計では、ファイバ812Bおよびファイバ822Bにおけるラマン増幅が、最大減衰残留パワーをポンプユニット811Bおよびポンプユニット821Aからそれぞれ後方光励起増幅器813Bおよび後方光励起増幅器823Aに提供するために、光信号に対して最小限のラマン増幅のみを行なうポンプユニット811bおよびポンプユニット821Aの波長を選択することによって抑制される。当然ながら、増幅器826Bおよび増幅器816Bを使用するディスクリート増幅は、第1ノード801Bおよび第2ノード802B自体において実施されてもよい。
【0081】
図9に戻ると、図8Bの従来の光リンクを用いて得られる可能性のある光パワー−距離プロファイルの例を示す別のパワープロファイル901が示される。前方ラマン増幅がなくかつ前方光励起増幅器がないので、光パワーの対数は距離D0およびD2の間でほぼ直線的に下降する。パワープロファイル901は、D0とD1の間と、D2とD3の間のD+ファイバ、ならびにD1とD2の間のD−ファイバのファイバ組成の典型である。さらに、前方および後方の両ラマン増幅が各々これら自体の光励起増幅器とともに採用されるとき、前のパワープロファイル901の最大光パワーPH2はパワープロファイル902の場合に必要な最大光パワーPH1よりもはるかに高い。最大光パワーPH2は、信号パワープロファイル902の最大光パワーPH1よりもはるかに高く、信号品質を劣化させる傾向のある著しい非線形効果をもたらす可能性がある。最大光パワーPH1ははるかに低く、それゆえ、非線形効果に起因するほどの信号劣化に見舞われることはない。さらに、より高い信号パワーPH2は、増幅器ポンプの飽和効果に起因してD3におけるディスクリート増幅器により多くの光パワーを必要とし、それゆえ、効率的がさほど良くないかもしれない。さらに、信号プロファイル902は、信号品質を改善する信号プロファイル901に比べてより高い信号対ノイズ比を有する。
【0082】
図8Cは、新しい海底中継器リンク800Cを示す。ここで、前方および後方の両ラマン増幅は第1ノード801Cと第2ノード802Cの間で光信号を伝達するために実施され、前方および後方の両ラマン増幅からの残留光ポンプパワーは同じ光励起増幅器813Aを駆動するために使用される。一実施形態では、前方ラマン増幅のオン/オフ利得は少なくとも1dBであるが、後方ラマン増幅のオン/オフ利得は少なくとも3dBである。前方ラマン増幅は、場合によっては図8Aのポンプユニット811Aに似ている(ただし
、似ている必要はない)図8Cのポンプユニット811Aによってファイバ812Aを通じて提供される。後方ラマン増幅は、場合によっては図8Aのポンプユニット811Bに似ている(ただし、似ている必要はない)図8Cのポンプユニット811Bによってファイバ812Bを通じて提供される。また、第1ノード801Cおよび第2ノード802Cは、光信号についてこれら独自のディスクリート増幅を含んでいてもよい。たとえば、第2ノード802Cは、ディスクリート増幅器816Cを含むものとして示される。この光増幅は図8Cでは一方向の場合(東向き光信号の場合)に対して示されているだけであるが、同じ原理は双方向通信にも適用されてよい。従来の海底中継器リンクと比較して海底中継器リンク800Cについて考えられる一つの優位性は、双方向光ポンピングでは第2ノード802Cから光励起増幅器813Aまでの距離が後方のみの光ポンピングに比べて増加する可能性があることである。海底中継器リンク800Cについて考えられるもう一つの優位性は、双方向ポンピングからの残留ポンプパワー(ポンプユニット811Bからの残留ポンプパワーは第1ノード801Cで受け取られてもよく、ポンプユニット811Aからの残留ポンプパワーは第2ノード802Cで受け取られてもよい)が情報を伝送するためにポンプ変調技術を用いてノード間通信のために使用される可能性があることである。海底中継器リンク800Cについて考えられるもう一つの優位性は、ポンプユニットの一つが故障した場合に光励起増幅器813Aがなおポンプユニット811Aまたは811Bの一方からポンプパワーを受け取ることである。
【0083】
図10は、本発明の一実施形態から得られる利得の増加を描くパワー−距離光プロファイル図1000の例を示す。実線で表わされるプロファイルAは、図8Aおよび図9に関して前述したように、光結合ポンプが位置D1およびD2にある場合のパワー−距離プロファイルを示す。鎖線で表わされるプロファイル「B」は、光学的に結合されたポンプがない場合を除く、図8Aの同じポンプパワーを用いたパワー−距離プロファイルを示す。位置D1およびD2における比較的高いパワーは、図8Aに示されるような光学的に結合されたポンプによって利得効率が改善された結果である。図10の光パワープロファイルは、シミュレーションによって得られている。シミュレーションの条件は以下の通りである。
1)D0からD1までの距離は、40kmであり、SLA光ファイバである(「D+」OFS製ファイバ、Aeff=106μm2、分散=20ps/nm−km@1550nm)。
2)D1からD2までの距離は、40kmであり、SLA光ファイバである(「D+」OFS製ファイバ、Aeff=106μm2、分散=20ps/nm−km@1550nm)。
3)D2からD3までの距離は、40kmであり、IDF光ファイバである(「D−」OFS製ファイバ、Aeff=30μm2、分散=−44ps/nm−km@1550nm)。
4)前方光励起増幅器と後方光励起増幅器は同じである(OFS製R37014エルビウムファイバ5m)
5)前方ポンプと後方ポンプは同じであり、各々はファイバの入力において172mW、1480nmで駆動される。
6)図示された信号プロファイルは50の信号の平均である。
しかしながら、これらは、一つの特定シミュレーションに関する条件にすぎず、本明細書に記載される原理の適用を多少なりとも制限するものであると解釈されるべきではない。
【0084】
したがって、図10におけるプロファイルAとプロファイルBを比較する際に、各東向きおよび西向き光ファイバリンクに対して専用の前方および後方光励起増幅器を使用し、東向き光ファイバリンク間のポンプ光パワー結合を通じて、光パワーがより有効に使用されて増幅が実施されることが分かる。
【0085】
本明細書に記載される実施形態のもう一つの利益は、ラマンポンプユニットの一つが故障したときの通信システムのロバスト性が改善されることである。たとえば、一実施形態では、図8Aの前方光励起増幅器813Aおよび後方光励起増幅器813Bは希土類ドープ増幅器である。図11は、通常動作(光ポンプ結合がある場合のプロファイルA)中および後方ポンプユニット811Bが故障した場合の図8Aの東向き光信号に対するこの実施形態のパワー−距離光プロファイル1100の例を示す。故障の場合、プロファイルCは、光ポンプ結合が採用されないときのパワー−距離プロファイルを示す。この場合、図8Aの後方光励起増幅器813B(この実施形態では希土類ドープ増幅器である)は、信号に対する純損失をもたらす。このプロファイルCは、光ポンプ結合827Aが図8Aの西向き前方ポンプユニット821Bから採用されるときのパワー−距離プロファイルを示すプロファイルBと比較されてもよい。プロファイルBの場合、経路827Aから得られる残留ポンプパワーは、図8Aの後方光励起増幅器813B(この実施形態では希土類ドープ増幅器である)を励起して後方光励起増幅器813Bに純利得をもたらす。典型的に、光ポンプ結合(図11のプロファイルC)なしの図8Aの後方ポンプユニット811Bの損失は光通信の全損失をもたらすが、この状況(図11のプロファイルB)で光ポンプ結合を使用すると、品質レベルがわずかに低下した状態で光通信を持続することができる。
【0086】
図12は、通常動作(光ポンプ結合がある場合のプロファイルA)中および前方ポンプユニット811Aが故障した場合の図8Aの東向き光信号に対する図11と同じ実施形態のパワー−距離光プロファイル1200の例を示す。故障の場合、プロファイルCは、光ポンプ結合が採用されないときのパワー−距離プロファイルを示す。この場合、図8Aの前方光励起増幅器813A(この実施形態では希土類ドープ増幅器である)は、信号に対する純損失をもたらす。このプロファイルCは、光ポンプ結合827Bが図8Aの西向き後方ポンプユニット821Aから採用されるときのパワー−距離プロファイルを示すプロファイルBと比較されてもよい。この場合、経路827Bから得られた残留ポンプパワーは、図8Aの前方光励起増幅器813A(この実施形態では希土類ドープ増幅器である)を励起して前方光励起増幅器813Aに純利得をもたらす。
【0087】
図10、図11、および図12では故障状況を補償するために追加ポンプパワーが使用されてもよいが、本明細書に記載される光ポンプ共用および結合技術を使用すると比較的少ないポンプパワーがあれば済むことになる。この優位性によって、ポンプ冗長性に対する要求が緩和され、図5のポンプユニット401によって示されるように、単一のポンプだけで一つの中継器内で両信号方向に対する部分的な冗長性を提供できる可能性がある。従来の海底中継器の設計では、単一ポンプが故障すると信号品質があまりにも低下してデータ通信を維持できないので、典型的に、新たな冗長ポンプを必要とする(これは海底中継器のコストを押し上げる)。
【0088】
したがって、各東向きおよび西向き光ファイバリンクに対して専用の前方および後方光励起増幅器を使用することによって、また東向き光ファイバリンク間のポンプ光パワー共用によって、光パワーが増幅を実施するためにより効率的に利用され、より有益な信号パワープロファイルが実現され、有害な非線形効果の減少と高い光信号品質がもたらされる可能性がある。さらに、ポンプの共用によって、単一ポンプユニットは一方向の複数の光利得段だけでなく、逆方向の一つ以上の光利得段も同様に駆動することができる。
【0089】
本発明は、その精神または本質的特徴から逸脱することなく他の特定の形態で具体化されてもよい。記載された実施形態は、あらゆる点で、制限としてではなく単なる例示として見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意図と等価性の範囲とに入る変更は、特許請求の範囲内に包含されるものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底光中継器に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信ネットワークは、ネットワークノード間で高速データを伝送することによって情報化時代の重要な要求に応えている。光ファイバ通信ネットワークは、相互接続光ファイバリンクの集合体を含む。簡単に言うと、光ファイバリンクは、情報を光の形態で光ファイバの中に放出する光信号源を含む。内部反射の原理に基づいて、光信号は光ファイバの中を伝播して最終的には光信号レシーバに受信される。光ファイバリンクが双方向である場合、情報は典型的に別の光ファイバを用いて逆方向に光学的に伝えることができる。
【0003】
光ファイバリンクは、各々が異なる光ファイバリンク長を必要とする多種多様なアプリケーションで使用される。たとえば、比較的短い光ファイバリンクは、コンピュータとその隣接した周辺装置の間、あるいはローカルビデオソース(DVDまたはDVRなど)とテレビジョンの間で情報の通信に使用される場合がある。しかしながら、逆に、情報を二つのネットワークノード間で伝えようとするとき、光ファイバリンクは数百km、さらには数千kmに及ぶ場合がある。
【0004】
長距離または超長距離光学系は、およそ数百kmまたは数千kmの長い光ファイバリンクにわたる光信号の伝送を指す。このような長い距離にわたる光信号の伝送は、膨大な技術的課題を提示する。長距離および超長距離光通信の技術の改善には、多大な時間と資源が必要であるかもしれない。このような改善によって、多くの場合、通信が世界中でさらに広範囲に利用されることにつながるので、個々の改善が著しい進展をもたらす可能性がある。それゆえ、このような進展は、個人が地球上のどこに住んでいるかに関わらず、協力し、学習し、ビジネスを行なうなどの人間の能力を高める可能性を秘めている可能性がある。実際に、長距離および超長距離光ファイバ技術は、グローバル経済の成長をさらに容易に促進する可能性のある通信インフラ基幹を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0189750号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
長距離光リンクの開発者が直面する多くの課題の一つは、信頼性に関わる。長距離光ファイバリンクの長距離の大きい伝送能力によって、このようなリンクはインターネットの機能的な構成要素として、あるいは音声情報を伝達する手段として広く信頼されている。競合する課題は消費電力である。長距離光リンクでは、電力を必要とする場合にリンク内の点(中継器など)において電力が必ずしも得られるとは限らない。このことは、海底にある海底中継器の場合に特に当てはまる。したがって、パワーは、多くの場合、光ケーブルと一体化される導体または光ケーブルに関連する導体を用いて上記のような点に供給される。距離が長くなることから、電力の多くは導体の全長にわたって熱として失われる。
【0007】
さらに、海底リンクにおける中継器の間隔は、伝送信号の光学的品質、消費電力、およびリンクのコストに影響を与える。一般に、中継器間隔を長くすると、消費電力とリンクコストが減少するので好ましいが、信号品質が低下するので好ましくない。したがって、
比較的長い中継器間隔において信号品質を向上させて電気効率を高める中継器設計は、長距離および超長距離の光学の最先端技術に著しい改善をもたらす。
【0008】
先行アプローチでは、中継器内でディスクリートエルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)を、1)分布後方ラマン増幅、2)遠隔ディスクリートEDFAをさらに励起する分布後方ラマン増幅、または3)ラマン増幅なしの遠隔ディスクリートEDFAと組み合わせて使用することによって中継器間隔を長くしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書では、前方および後方光励起増幅器(たとえば、遠隔光励起増幅器)の両方を含む海底光リンクに関係する実施形態を説明する。前方光励起増幅器は、前方ラマン増幅からの残留光ポンプパワーによって駆動される。その一方で、後方光励起増幅器は、後方ラマン増幅からの残留光ポンプパワーによって駆動される。一実施形態では、前方および後方の光励起増幅器は同じである。前方および後方の光励起増幅器による前方および後方の両方のラマン増幅を使用すると、一部の実施形態では、より長い光リンクスパンおよび/またはより優れた光信号品質が可能になる。双方向通信リンクでは、双方向リンクにおける一方向からの残留光ポンプパワーを双方向リンクにおける逆方向と共用することによってさらなる効率が見込める。
【0010】
この概要は、請求項の内容の重要な特徴または基本的な特徴を明らかにすることを意図するものではなく、請求項の内容の範囲を決定する際の補助として使用することを意図するものでもない。
【0011】
前述および他の長所と特徴が得られる方法を説明するために、添付図面を参照して様々な実施形態をさらに具体的に説明する。これらの図面は、実施形態の例を示しているにすぎず、したがって、本発明の範囲を限定するものと考えるべきでないとの理解の下で、以下の添付図を使用して当該実施形態をさらに具体的かつ詳細に記載し説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】二つの光通信端末を含む光通信ネットワークの例を図式的に示す。
【図2】図1のものなど、光通信システムにおいて使用される中継器または端末などの光学装置を図式的に示す。
【図3】追加ラマン増幅とともに使用される追加ポンプユニットがある場合を除く、図2のものなど、光学装置を図式的に示す。
【図4】図3の第2光ポンプユニットによって提供される光ポンプパワーの冗長性を増すかまたは持たせる追加ポンプユニットがある場合を除く、図3の光学装置を図式的に示す。
【図5】図4の第3光ポンプユニットから追加共用経路を提供する追加光パワー分布構成部品がある場合を除く、図4の光学装置を図式的に示す。
【図6】光通信の特定方向に複数の光利得段があることを示す光通信システムを図式的に示す。
【図7】光利得段に関連する可能性のある波長に関する正および負の利得傾斜の例を示す。
【図8A】図1などの光通信ネットワークにおける二つのノードを互いに結合し、各光通信方向に対して前方光励起増幅器および後方光励起増幅器を含み、そこで光励起増幅器が交差結合される光リンクを示す。
【図8B】海底光リンクの先行技術構成を示す。
【図8C】図1などの光通信ネットワークにおける二つのノードを結合し、前方および後方の両方向において光励起される遠隔光励起増幅器を含む光リンクを示す。
【図9】図8Aおよび8Bにおいて東方に進む東向き光信号の光パワープロファイルの例を示す。
【図10】ポンプパワー交差結合を採用するリンク内の光信号プロファイルを、交差結合を採用しない同様のリンクの光パワープロファイルと比較して示す。
【図11】ポンプパワー交差結合が採用される場合を交差結合が採用されない場合の同様のシステムと比較して、後方ラマンポンプが故障した場合の性能を示す光パワープロファイルを示す。
【図12】ポンプパワー交差結合が採用される場合を交差結合が採用されない場合の同様のシステムと比較して、前方ラマンポンプが故障した場合の性能を示す光パワープロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載される実施形態に従って、海底光中継器は、ほぼ同じ波長の光ポンプパワーが利得段の各々に提供されるように複数の利得段における光ポンプパワーを共用してもよい。傾斜制御メカニズムが、光利得段に供給される光ポンプパワーの量を調整することによって利得の波長依存性を調整してもよい。一実施形態では、前方および後方の両方のラマン増幅からの残留光ポンプパワーが対応する光励起増幅器(たとえば、遠隔光励起増幅器)を駆動するために使用されてもよい。
【0014】
図1は、本明細書に記載される原理が採用される可能性のある光通信システム100の例を図式的に示す。光通信システム100では、光信号を使用することによって情報が第1端末101と第2端末102の間で伝達される。このアプリケーションで使用される慣例として、第1端末101から第2端末102に伝わる光信号は「東向き」であると呼ばれるのに対して、第2端末102から第1端末101に伝わる光信号は「西向き」であると呼ばれる。「東向き」と「西向き」という用語は、逆方向に伝わる二つの光信号を容易に区別できるように使用される技術用語にすぎない。「東向き」と「西向き」という用語を使用することは、図1における構成要素についての実際の地理的関係を暗示するものではなく、光信号の実際の物理的方向を暗示するものでもない。たとえば、たとえ本明細書で使用される慣例が第1端末101から第2端末102に伝わる「東向き」光信号を有していても、第1端末101は第2端末102の地理的に東方に位置していてもよい。
【0015】
一実施形態では、光信号は、波長分割多重(WDM)であり、高密度波長分割多重(DWDM)である可能性もある。WDMまたはDWDMでは、情報は、以後「波長分割光チャネル」と呼ぶ複数の別個の光チャネルで伝送される。各波長分割光チャネルは、光通信に対して特定の周波数を割り当てられる。したがって、WDMまたはDWDM光信号を用いて通信するために、第1端末101は「n」個の光トランスミッタ111(光トランスミッタ111(1)から光トランスミッタ111(n)を含み、ここで、nは正の整数である)を有していてもよく、各々は対応する東向き波長分割光チャネルで伝送する光トランスミッタである。同様に、第2端末102は、光トランスミッタ121(1)から121(n)を含む「n」個の光トランスミッタ121を有していてもよく、各々は、さらに、対応する西向き波長分割光チャネルで伝送する光トランスミッタである。しかしながら、本明細書に記載される原理は、東向き波長分割光チャネルの数が西向き波長分割光チャネルの数と同じである通信に限定されない。さらに、本明細書に記載される原理は、光トランスミッタの各々の正確な構造に限定されない。しかしながら、レーザは特定周波数における伝送に適した光トランスミッタである。とは言うものの、光トランスミッタは各々がたとえ複数のレーザトランスミッタであってもよく、また、ある周波数範囲内で調整可能であってもよい。
【0016】
東方向への光伝送の東向きチャネルに関しては、第1端末101が光マルチプレクサ112を用いて光トランスミッタ111からの東向き光信号の各々を単一の東向き光信号に多重化し、単一の東向き光信号は、この後、第1ファイバリンク114(1)に伝送され
る前にオプションの東向き光増幅器113によって光増幅されてもよい。
【0017】
東向きチャネルと西向きチャネルの各々において、合計「m」個の中継器115と「m+1」個の光ファイバリンク114が第1端末101と第2端末102の間にある。しかしながら、東向きチャネルと西向きチャネルの各々の中継器の数が等しくなくてもよい。中継器を備えない光通信システムでは、単一のファイバリンク114(1)しかない上に第1端末101と第2端末102の間には中継器がないので「m」はゼロになる。中継器を備える光通信システムでは、「m」は一以上となる。中継器が存在する場合、その各々は、電力を消費することによって光信号を増幅する可能性がある。
【0018】
最後の光ファイバリンク114(m+1)からの東向き光信号は、オプションとして、このとき、オプションの光増幅器116によって第2端末102において増幅される。東向き光信号は、この後、光デマルチプレクサ117を用いて様々な波長分割光チャネルに逆多重化される。様々な波長分割光チャネルは、この後、レシーバ118(1)から18(n)を含む対応する光レシーバ118によって受信されて処理されてもよい。
【0019】
西方向への光伝送の西向きチャネルに関しては、第2端末102が光マルチプレクサ122を用いて光トランスミッタ121(光トランスミッタ121(1)から121(n)を含む)からの西向き光信号の各々を単一の西向き光信号に多重化する。多重化された光信号は、この後、第2ファイバリンク124(m+1)に伝送される前にオプションの西向き光増幅器123によって光増幅されてもよい。西向き光チャネルが東向き光チャネルと対称であれば、前と同じように「m」個の中継器125(125(1)から125(m)と標記された)と「m+1」個の光ファイバリンク124(124(1)から124(m+1)と標記された)とがある。中継器を備えない環境では、一つの光ファイバリンク124(1)しかない上に西向きチャネルには中継器125がないので「m」はゼロになってもよいことを想起すること。
【0020】
最後の光ファイバ124(1)からの西向き光信号は、オプションとして、このとき、オプションの光増幅器126によって第1端末101において増幅される。西向き光信号は、この後、光デマルチプレクサ127を用いて逆多重化されて、個々の波長分割光チャネルはレシーバ128(レシーバ128(1)から128(n)を含む)によって受信されて処理される。第1端末101および/または第2端末102は、光通信システム100に示されるすべての要素を必要とするわけではない。たとえば、光増幅器113、116、123、および/または126は、一部の構成では使用されないかもしれない。さらに、対応する光増幅器113、116、123、および/または126が存在する場合、これらの各々は必要に応じて複数の光増幅器の組合せであってもよい。
【0021】
多くの場合、中継器間の光路長はほぼ同じである。中継器間の距離は、全端末間光路距離、データ転送速度、光ファイバの品質、ファイバの損失特性、中継器の数(もしあれば)、各中継器に供給可能な電力量(中継器がある場合)などに依存する。しかしながら、高品質単一モードファイバの中継器間(または、中継器を備えないシステムにおける端末間)の典型的な光路長は、約50kmである可能性があり、実際には、30km以下から90km以上に及ぶ可能性がある。とは言うものの、本明細書に記載される原理では、中継器間の特定の光路距離に限定されず、光路長距離が一つの中継器を備えるセグメントから次の中継器を備えるセグメントまで同じである中継器システムに限定されない。
【0022】
光通信システム100は、説明および実例のみを目的として簡素化して表される。本明細書に記載される原理は、はるかに複雑な光通信システム拡張してもよい。本明細書に記載される原理は、各々が多重化WDM光信号を伝達する複数のファイバ対がある光通信に適用されてもよい。さらに、本明細書に記載される原理は、一つの方向の一つ以上のファ
イバ対および/または波長分割光チャネルと、別の方向の一つ以上のファイバ対および/または波長分割光チャネルとを分割する一つ以上の分岐ノードがある光通信に適用されてもよい。
【0023】
図2は、図1の光通信システム100などの光通信システムで使用される可能性のある光学装置200を示す。図3から図5は、光学装置300、400、および500を示し、この順序で後続の部品が追加される。ここでは、図2から図5をその順序で説明する。
【0024】
一実施形態では、一つ以上、あるいはもしかするとすべての東向き中継器115と西向き中継器125が海底中継器であってもよい。海底中継器は、海洋表面下で動作するように設計される。図1の光通信システム100で使用される光学装置200(または装置300、400、または500のいずれか)は、東向き中継器115の一つまたは西向き中継器125の一つと統合されてもよい。さらに、光学装置200(すなわち、装置300、400、または500のいずれか)は、海底中継器内に一体化されてもよい。また、光学装置200(または装置300、400、または500のいずれか)は、光通信システム100が中継器を備える光学システムであるか中継器を備えない光学システムであるかに関わらず、第1端末101と第2端末102のうちの一つと一体化されてもよい。光信号は、東向き光信号であっても西向き光信号であってもよく、図2において左から右へ、あるいは右から左へ進んでいてもよい。図2、図3、図4、および図5は、たとえば、光分離、たとえば、光脱分極をもたらす図に示されない追加部品を含んでいてもよい。
【0025】
たとえば、光学装置200が図1の第1端末101に組み込まれる場合、ディスクリート増幅器231は図1のディスクリート増幅器113であってもよく、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン114(1)であってもよい。その場合、光信号は図2において左から右に進む東向き光信号となり、光ポンプパワーの一部k1は東向き光信号の前方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。あるいは、ディスクリート増幅器231は図1のディスクリート増幅器126であってもよく、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン124(1)であってもよい。その場合、光信号は図2において右から左に進む西向き光信号となり、光ポンプパワーの一部k1は西向き光信号後方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。
【0026】
一方、光学装置200が図1の第2端末102に組み込まれる場合、ディスクリート増幅器231は図1のディスクリート増幅器116であってもよく、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン114(m+1)であってもよい。その場合、光信号は、図2において右から左に進む東向き光信号となる(つまり、光学装置200は図1に示されるように、第2端末102に適合するように水平にフリップされることになる)。さらに、光ポンプパワーの一部k1は、東向き光信号の後方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。あるいは、ディスクリート増幅器231は、図1のディスクリート増幅器123であってもよく、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン124(m+1)であってもよい。その場合、光信号は、図2において左から右に進む西向き光信号となる(つまり、この場合も、光学装置200は図1に示されるように、第2端末102に適合するように水平にフリップされることになる)。さらに、光ポンプパワーの一部k1は、西向き光信号の前方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。
【0027】
さらに、光学装置200は、東向き中継器115(k)のいずれか一つに組み込まれてもよく、ここで、kは1からmの任意の整数に等しい。その場合、東向き光信号は図2において左から右に進んでいる可能性があり、その場合、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン114(k+1)となり、光ポンプパワーの一部k1は東向き光信号の前方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。あるいは、光信号が図2において右から左に進む東向き光信号である場合(つまり、光学装置200は図1に適合するよ
うに水平にフリップされることになる場合)、光学装置が東向き中継器115(k)に組み込まれた場合、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン114(k)となり、光ポンプパワーの一部k1は東向き光信号の後方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。
【0028】
最後に、光学装置200は、西向き中継器125(k)のいずれか一つに組み込まれてもよく、ここで、kは1からmの任意の整数に等しい。その場合、西向き光信号は図2において左から右に進んでいる可能性があり(つまり、光学装置200は図1に適合するように水平にフリップされることになる)、その場合、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン124(k)となる。その場合、光ポンプパワーの一部k1は、西向き光信号の前方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。あるいは、光信号が図2において右から左に進む西向き光信号である場合、光学装置が西向き中継器125(k)に組み込まれた場合、光ファイバスパン241は図1の光ファイバスパン124(k+1)となる。その場合、光ポンプパワーの一部k1は西向き光信号の後方ラマン増幅を実施するために使用されることになる。
【0029】
まず図2を参照すると、光学装置200は光増幅器を光学的に駆動する光ポンプパワーを提供する光ポンプユニット201を含む。光パワー分布メカニズム211(これは、たとえば、光カプラであってもよい)は、光ポンプパワーの一部(1−k1)(ここで、kは0から1の間の分数で、0および1を含まない)をディスクリート光増幅器231(たとえば、光マルチプレクサ222を用いて)に分布させ、光ポンプパワーの一部(k1)は分布光増幅を実施する際に使用される光ファイバスパン241に(たとえば、光マルチプレクサ221を用いて)注入される。光マルチプレクサ222によって左からディスクリート光増幅器231に光ポンプパワーを導入する代わりに、あるいは導入することに加えて、光マルチプレクサ223によって右からディスクリート増幅器231に光ポンプパワーが導入されてもよい。しかしながら、簡単にするために、図2を基本とする後続の図面には光マルチプレクサ223を示していないが、図3から図5における光マルチプレクサ222に加えて、あるいは光マルチプレクサ222の代わりに光マルチプレクサ223を使用してもよい。
【0030】
光パワー分布メカニズム211が図2から図5に示されるような光カプラである場合、光ポンプパワーは周波数特性を維持するように分布される。光カプラ211に適用されるように、これはディスクリート光増幅ユニットに割り当てられる光ポンプパワーの一部の周波数特性が分布光増幅で使用される光ポンプパワーの一部の周波数特性とほぼ同じであることを意味する。
【0031】
一実施形態では、ディスクリート増幅ユニット231は、エルビウムドープファイバ増幅器など(EDFA)などの希土類ドープファイバ増幅器、半導体光増幅器(SOA)、または高効率ラマン増幅器である。代替的または追加的に、前方または後方ラマン増幅を実施するために光ポンプパワーの一部k1が採用されてもよい。その場合、ラマン増幅は、典型的に、ディスクリート光増幅よりも多くの光パワーを必要とするので、k1は0よりも1に近くなる可能性があり、光パワーの大部分を光ファイバスパン241へのラマン増幅に費やすことができる。一実施形態では、ディスクリート光増幅器がエルビウムドープ光増幅器である場合、k1は、たとえば、89%であってもよいが、本明細書に記載する原理はこのような特定の実施形態に限定されない。k1が89%よりも高い場合、あるいは低い場合、さらに最適な性能が実現されるかもしれない。ディスクリート光増幅器231がエルビウムドープファイバ増幅器である場合、光ポンプパワーは主として1400nmから1525nmの範囲にある可能性がある。さらに、ラマン増幅が分布増幅メカニズムである場合、光信号は光ポンプパワーの少なくとも大部分よりも長い波長を有するはずである。
【0032】
図3は、図2の光学装置200に似ている光学装置300を示す。しかしながら、この場合、追加光ファイバスパン341が示されている。光信号が図2において左から右に進むと、光信号は光ファイバスパン341から光マルチプレクサ/デマルチプレクサ322と、他の光マルチプレクサ/デマルチプレクサ222とを通って進む可能性があり、そこで光ポンプユニット201からの光ポンプパワーの一部と結合される。その場合、光信号がこの組合せによってディスクリート光増幅器231に注入される。増幅された信号は、この後、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ221を通って光ファイバスパン241に達する。あるいは、図2において右から左に進む光信号の場合、光信号は、光ファイバスパン241から、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ221と、ディスクリート増幅器231と、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ222と、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ322とを通って光ファイバスパン341に進む可能性がある。いずれにしても、光信号は、C帯の一つ以上の潜在的な波長変調光信号チャネルに加えてL帯の一つ以上の波長変調光信号チャネルを含む可能性がある。なお、C帯は1530nmから1565nmの範囲の光波長に対応するが、L帯は1565nmから1625nmの範囲の光波長に対応する。一実施形態では、光波長のすべてが1550nmよりも大きく、ことによると、一つ以上の波長が1567nmを超えることすらある。
【0033】
さらに、光ポンプユニット301は、光パワー分布メカニズム311によって光ポンプパワーを提供し、光パワー分布メカニズム311はこの場合も光カプラであってよい。光パワーの一部k2(ここで、0と1を含まない0と1の間の分数である)が光マルチプレクサ/デマルチプレクサ322に提供されて、光ファイバ341に伝播され光ファイバリンク341において分布ラマン増幅を実施する。図2において右方向に進む光信号の場合、この分布ラマン増幅は後方ラマン増幅となる。図2において左方向に進む光信号の場合、この分布ラマン増幅は前方ラマン増幅となる。光パワーの別の部分(1−k2)は、光カプラ211に提供され、そこで、光ファイバリンク241における分布ラマン増幅ポンプパワーおよびディスクリート光増幅器ポンプパワー231のいずれにも使用されるように分布される。分布ラマン増幅は典型的にディスクリート光増幅器(たとえば、EDFA)よりも多くの光ポンプパワーを必要とするので、k2は0よりも1に近いかもしれない(たとえば、95%)。
【0034】
この場合、光ポンプユニット301からの光ポンプパワーは上記のように少なくとも三つの利得段、すなわち、第1ラマン増幅利得段(光カプラ311と光マルチプレクサ322による)、ディスクリート光増幅利得段(光カプラ311と、光カプラ211と、光マルチプレクサ322とによる)、ならびに第2ラマン増幅利得段(光カプラ311、光カプラ211、光マルチプレクサ221による)に使用され、すべてが一つの信号方向である。光ファイバスパン341を有するインラインあるいは光ファイバスパン241を有するインラインのどこかに光励起増幅器(遠隔光励起増幅器、すなわち「ROPA」)がある可能性を考えると、光ポンプユニット301に由来する光ポンプパワーによって完全に支配される四つまたは五つの光利得段があってもよい。
【0035】
同様に、光ポンプユニット201も、1)ディスクリート光増幅器231(光カプラ211と光マルチプレクサ222による)、2)分布ラマン増幅(光カプラ211と光マルチプレクサ221による)、ならびに3)光ファイバスパン241にあるオプションの遠隔光励起増幅器を含む、一方向の複数の光利得段を供する。
【0036】
図3の光学的共用は、故障に対する重要な予防策を提供する。たとえば、光ポンプユニット201と光ポンプユニット301はこれら自体が冗長性を備えていてもよい。たとえば、光ポンプユニット201は、一方がおそらくバックアップとして使用され、すなわち万が一他の光ポンプが故障した場合に一方の出力を増加させる二つの光ポンプを備えてい
てもよい。同じことは光ポンプユニット301についても言える。しかしながら、ユニット201内のすべての光ポンプがたとえ故障しても、ディスクリート光増幅器231は、光カプラ311と光カプラ211を通じて光ポンプユニット301によってなお少しは光学的に駆動されることになる。ディスクリート光増幅器の性能は光ポンプ201または光ポンプ301の場合に低下する可能性があるが、他の光ポンプユニット301または光ポンプユニット201の寄与によって光通信システムの動作が維持される可能性がある。故障の検出時に容易にアクセスできない海底中継器の場合、光ポンプの故障という点から見ても中継器を長期間にわたって使用し続けることが可能であることは重要である。
【0037】
図4は、図3の光学装置300に似ている光学装置400を示す。しかしながら、この場合、追加光ポンプユニット401が提供される。この光ポンプパワーの一部k3(たとえば、50%)は、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ412を用いて光ポンプユニット301から光ポンプパワーを加えられ、これは二つの光入力を組み合わせて一つの光出力にするための、たとえば、偏光ビームコンバイナ、または別の光学部品であってもよい。この光ポンプパワーの別の一部(1−k3)(たとえば、50%)は、逆方向に同様に構成された光ポンプユニットに提供されてもよい。この分布は光カプラ411によって達成される。たとえば、光ポンプユニット301は、主に、光ファイバリンク341における東向き光信号の分布ラマン増幅を駆動するので、光ポンプパワーの一部(1−k3)(たとえば、50%)は西向き光信号の分布ラマン増幅を駆動するために使用されてもよい。この場合、追加光ポンプユニット401は、光ポンプユニット201と光ポンプユニット301のいずれか一方または両方が故障した場合にすべての光利得段をさらに保護する。また、光ポンプユニット201、301、および401は、主に同じ波長範囲(たとえば、1400から1525nm、および一例では、1480nm)の光ポンプパワーを提供してもよい。光学装置400の一実施形態では、ポンプユニット401の一部k3は、ポンプユニット301の完全な故障がポンプユニット401の一部k3によって十分に補償されるようにポンプユニット301に対して十分な冗長性を備える。光学装置400の別に実施形態では、ポンプユニット401の一部k3はポンプユニット301に対して部分冗長性を備える。
【0038】
それゆえ、光ポンプパワーの同じ波長は、ディスクリート光増幅器(エルビウムドープ光増幅器、前方遠隔光励起増幅器、および/または後方遠隔光励起増幅器など)および分布光増幅器(後方および/または前方ラマン増幅器など)を駆動するために使用されてもよい。光ポンプ波長におけるこの共通性によって、複数の利得段にわたって光ポンプパワーを共用することができる。また、この共通性によって、光ポンプパワーの相互共用を実施することで各利得段の光パワーを比較的少ない数のポンプから得ることができる。
【0039】
図5は、図4の光学装置400に似ている光学装置500を示す。しかしながら、この場合、たとえば、光カプラであってもよい二つの追加光パワー分布部品である第1追加パワー部品511と第2追加パワー部品512が備えられる。光カプラ511は、光ポンプユニット401から供給される光ポンプパワーの一部(1−k4)を使用し、残りのk4は光カプラ411に供給される。この後、光ポンプユニット401からの光ポンプパワーの一部(1−k4)は、光カプラ512に供給され、そこで、光カプラ311において光ポンプ301によって供給される光ポンプパワーを加えるための一部k5と他の方向においておそらく同様の構造で使用される部分(1−k5)とに分割されてもよい。一実施形態では、k4は90%であってもよいが、k5は50%であってもよい。これは、一部の追加ポンプパワーをポンプ故障の影響を軽減するディスクリート光増幅器231に加える効果を有する。このさらなる補正は、光ポンプユニット201と光ポンプユニット301のいずれか一方または両方を故障に対してさらに保護する。光カプラ411がポンプユニット401からのポンプパワーの一部をポンプマルチプレクサ/デマルチプレクサ412に似ているかまたはこれと対称的な他の信号方向のポンプマルチプレクサ/デマルチプレ
クサに供給する場合と、光カプラ512がポンプユニット401からのポンプパワーの一部を光カプラ311に似ているかまたは対称的な他の信号方向の光カプラに供給する場合、ポンプユニット401は両方向のすべての他のポンプユニットに対して少なくとも部分冗長性を備え、したがって、他のポンプユニットにおけるポンプの故障から両方向のすべてアクセス可能な利得段を少なくとも部分的に保護する。光学装置500の一実施形態では、k1=89%、k2=95%、k3=50%、k4=90%、およびk5=50%であり、これによって、以下のような(他の透過率を無視した)おおよそのポンプ共用がもたらされる。すなわち、ポンプユニット301の95%[k2]はファイバスパン341に向けられ、ポンプユニット301の4.5%[(1−k2)k1]はディスクリート光増幅器231に向けられ、ポンプユニット301の0.6%[(1−k2)(1−k1)]は光ファイバスパン241に向けられ、ポンプユニット201の89%[k1]は光ファイバスパン241に向けられ、ポンプユニット201の11%[(1−k1)]はディスクリート光増幅器231に向けられ、ポンプユニット401の43%[k4k3k2+(1−k4)k5(1−k2)]は光ファイバスパン341に向けられ、ポンプユニット401の0.8%[k4k3(1−k2)(1−k1)+(1−k4)k5k2(1−k1)]は光ファイバスパン241に向けられ、ポンプユニット401の6.2%[k4k3(1−k2)k1+(1−k4)k5k2k1]はディスクリート光増幅器231に向けられる。
【0040】
図2から図5の光ポンプユニットは、現存するものであれ、将来開発されるものであれ、いかなる光ポンプユニットであってもよい。単なる例として、光ポンプユニットは外部波長選択回折格子を備えるファブリペロー光キャビティを採用するポンプであってもよい。代替実施形態では、図2から図5の光ユニットは、ファブリペローベースの光ポンプよりも効率が高く低い相対強度ノイズを有しうる分布フィードバックレーザであってもよい。とは言うものの、図2から図5の光ポンプユニットのすべてが同じタイプのものである必要はない。
【0041】
図6は、光通信経路600における唯一の方向を示す光通信システムを示す。この場合、具体的な方向は東方であるが、原理は西方にも適用される。東向き光通信経路600は、最大五つ以上の光学的に駆動される利得段を含む可能性がある。これらは、光増幅器601、602、603、604、および605を含むものとして示される。光ポンプネットワーク610は一つ以上のポンプを含む。光ポンプネットワーク610は、二つの光ポンプである第1光ポンプ611と第2光ポンプ612を含むものとして象徴的に示されているが、長円613は光ポンプネットワーク610に三つ以上、あるいはもしかすると唯一のポンプユニットがあることを表わす。各ポンプユニットは、信号光通信方向に二つ、三つ、四つ、五つ、またはさらに多くの光利得段を光学的に駆動するように構成されてもよい。これは、矢印621から625によって象徴的に表わされる。
【0042】
図3では、たとえば、ポンプネットワークは、第1ポンプ201と第2ポンプ301を含み、第1ポンプユニット201は、1)ディスクリート光増幅器231、2)ファイバスパン241における分布ラマン増幅器、および3)場合によってファイバスパン241に存在する遠隔光励起増幅器を含む最大三つの光利得段を光学的に駆動する。図3における第2ポンプユニット301は、1)ファイバスパン241における第1分布ラマン増幅器、2)場合によってファイバスパン241に存在する第1遠隔光励起増幅器、3)ディスクリート光増幅器231、4)ファイバスパン341における第2分布ラマン増幅器、および5)場合によってファイバスパン341に存在する第2遠隔光励起増幅器を含む最大五つの光利得段を光学的に駆動する。さらに、図8Aと図9に関して記載される交差結合構成では、第1ポンプユニット201と第2ポンプユニット301は各々が同様に逆方向の利得段の光駆動に寄与してもよい。
【0043】
図4と図5では、たとえば、ポンプネットワークは、第1ポンプ201、第2ポンプ301、および第3ポンプ401を含む。第1ポンプ201は、前述のように、最大三つの光利得段を光励起する。第2ポンプ301は、最大五つの光利得段を光励起する。しかしながら、図4および図5では、第3光ポンプ401はさらに五つすべての光励起利得段に光ポンプパワーを供給する。
【0044】
光利得段601から605の一つ以上は、異なる波長の光を違った形で光増幅してもよい。たとえば、光利得段の一つ以上は、光信号の少なくとも波長範囲内でより大きい利得で比較的長い波長の光を光増幅する(以後、「波長に対する正の利得傾斜」光利得段、あるいはもしかすると簡単に「正の利得傾斜」光利得段と呼ぶ)。光利得段の別の一つ以上は、光信号の少なくとも波長範囲内でより小さい利得で比較的長い波長の光を光増幅する(以後、「波長に対する負の利得傾斜」光利得段、あるいはもしかすると簡単に「負の利得傾斜」光利得段と呼ぶ)。
【0045】
ポンプネットワーク610は、システム全体が利得全体において正の波長依存性を有するか、それとも負の波長依存性を有するかを測定する傾斜制御メカニズム615を含んでいてもよい。全体的に波長に対する正の利得傾斜がある場合、傾斜制御メカニズム615は、負の利得傾斜光利得段に供給される光パワーを増加させかつ/または正の利得傾斜光利得段に供給される光パワーを減少させることによって対応してもよい。全体的な利得に負の波長依存性がある場合、傾斜制御メカニズム615は負の利得傾斜光利得段に供給される光パワーを減少させかつ/または正の利得傾斜光利得段に供給される光パワーを増加させることによって対応してもよい。
【0046】
図7は、1480nmの単一光ポンプ波長が光利得段を駆動するために使用されるときの光利得段の正および負の波長依存性の例700を示す。曲線701は、1480nmの光ポンプが適用されるときの典型的なエルビウム利得プロファイルを示す。曲線702は、1480nmの光ポンプが適用されるときのラマン利得プロファイルを示す。図3では、たとえば、ディスクリート光増幅器231はエルビウム利得段であってもよく、ラマン利得段は光ファイバ341または光ファイバ241において分布ラマン増幅でありうる。たとえ、ポンプ301のポンプ波長とポンプ201のポンプ波長がほぼ同じであっても、ポンプ301とポンプ201の波長依存性は結合比k1とk2を調整することと、スパン341、241のファイバタイプを選択することとのうちの少なくとも1つによって制御されうる。たとえば、光ファイバ341において比較的高いラマン利得を有する高い結合比k2>0.9の小さいコア断面積ファイバはポンプ301への正の波長依存性を形成するが、ディスクリート光増幅器231の利得と結合された光ファイバ241において比較的低いラマン利得を有する大きいコア断面積ファイバはポンプ201への負の波長依存性を形成する。たとえば、k1が89%に選択され、k2が95%に選択され、信号方向が左から右であり、ファイバスパン341が40kmのIDFファイバ(30μm2の有効断面積を有するOFS製)であり、ファイバスパン241が40kmのSLAファイバ(106μm2の有効断面積を有するOFS製)であり、ファイバスパン241の遠隔光励起増幅器がポンプマルチプレクサ 221から40kmにある8mのエルビウムドープファイバ(OFS製R37014)であり、ディスクリート光増幅器231がエルビウムドープファイバ(15mのR37003Xまたは同様のOFS製)であり、ポンプユニット301が1480nmにおいて0.25Wであり、ポンプユニット201が1480nmにおいて0.25Wであるとしよう。その場合、ポンプユニット301の光利得はポンプパワーが増加されるときに正の波長依存性を有し、ポンプユニット201はポンプパワーが増加されるときに負の波長依存性を有する(あるいは、ポンプパワーが減少すると反対の波長依存性を有する)。この例では、ファイバスパン341ではファイバの有効断面積が小さいためにラマン利得が高く、ファイバスパン241ではファイバの有効断面積が大きいためにラマン利得が低いが、エルビウムドープ利得は高く主としてポンプユニット2
01によって駆動される。
【0047】
したがって、本明細書に記載される原理は、光通信システムの信頼性と性能を向上させる可能性のある有効なメカニズムを提供する。図8Aと図9は、本明細書に記載される原理が機能する可能性のある具体的な環境を示すために提供されているが、本明細書に記載される一般的原理はその環境に限定されない。図8Aと図9の環境は、前方と後方の両方の遠隔光励起増幅器を提供しており、前方遠隔光励起増幅器は残留前方ラマン光ポンプパワーを使用する場合に対応し、後方遠隔光励起増幅器は残留後方ラマン光ポンプパワーを使用する場合に対応する。
【0048】
図8Aは、光通信ネットワークにおいて二つのノードである第1ノード801Aと第2ノード802Aを接続する光リンク800Aを示す。たとえば、光リンク800Aが図1の光通信システム100において使用され、かつ光通信システム100が中継器を備えないシステムである場合、第1ノード801Aは第1端末101であってもよく、第2ノード802Aは第2端末102であってもよい。しかしながら、中継器を備える環境では、第1ノード801Aと第2ノード802Aは、一端が端末であり他端が中継器セットであってもよい。たとえば、第1ノード801Aは、図1の第1端末101であってもよいが、第2ノード802Aは、図1の中継器セット115(1)および125(1)であってもよい。一方、第1ノード801Aは、図1の中継器セット115(m)および125(m)であってもよいが、第2ノード802Aは、図1の第2端末102であってもよい。中継器を備える環境に複数の中継器(すなわち、m>1)がある場合、第1ノード801Aおと第2ノード802Aはいずれも中継器セットである可能性がある。一般的には、第1ノード801Aと第2ノード802Aがいずれも中継器セットである場合、第1ノード801Aは、図1の中継器セット115(k)および125(k)であってもよいが、第2ノード802Aは、図1の中継器セット115(k+1)および125(k+1)であってもよい。ここで、kは1から最大m−1までの任意の正整数である。
【0049】
たとえば、第1ノード801Aと第2ノード802Aはそれぞれ、図2、図3、図4、または図5の光学装置200、300、400、または500を備えていてもよい。たとえば、図8Aのポンプユニット811A、ポンプマルチプレクサ815A、およびファイバスパン812Aは、図5のそれぞれ、ポンプユニット201、ポンプマルチプレクサ221、およびファイバスパン241に対応していてもよく、図8Aのポンプユニット811B、ポンプマルチプレクサ815B、ディスクリート増幅器816A、およびファイバスパン812Cは、図5のそれぞれ、ポンプユニット301、ポンプマルチプレクサ322、ディスクリート増幅器231、およびファイバスパン341に対応していてもよく、図8Aの前方光励起増幅器(OPA)813Aは、図5のファイバスパン241における遠隔光励起増幅器に対応していてもよく、図8Aの後方光励起増幅器813Bは図5のファイバスパン341における遠隔光励起増幅器に対応していてもよい。第1ノード801Aと第2ノード802Aは、図2、図3、図4、または図5のポンプ分布部品211、311、411、412、511、および/または512を備えていてもよいが、これは図8Aにおいて明確に示されていない。同様の対応は、リンク800Aの西向き光信号の経路にある部品に対する第1ノード801Aと第2ノード802Aにも適用されてよい。この記述を読むと、図2、図3、図4、および図5に記載される原理が光リンク800Aに適用されてもよいことは当業者には明らかになろう。
【0050】
光リンク800Aは、双方向性であり、東向きファイバリンクと西向きファイバリンクを含む。東向きファイバリンクは、東向き光信号を第1ノード801Aから第2ノード802Aに伝播する。西向きファイバリンクは、西向き光信号を第2ノード802Aから第1ノード801Aに伝播する。しかしながら、「東向き」と「西向き」という用語は、本明細書では、一つの信号を別の信号と区別するためにのみ使用され、何らかの実際の地理
的関係や方向を表わすために使用されるものではないことを想起すること。また、東向きファイバリンク内の部品または利得段は本明細書において「東向き」という用語によって置き換えられる場合があり、西向きファイバリンク内の部品または利得段は本明細書において「西向き」という用語によって置き換えられる場合がある。
【0051】
東向きファイバリンクは、最初の東向き光ファイバスパン812Aと、東向き前方光励起増幅器(OPA)813Aと、第1東向き光マルチプレクサ/デマルチプレクサ(「mux/demux」)814Aと、東向き中間光ファイバスパン812Bと、第2東向き光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Bと、後方光励起増幅器813Bと、最後の東向き光ファイバスパン812Cとを通じて東向き光信号を第2ノード802Aに伝送する。その際に、光信号は、各方向に対して多くの利得段を通過してもよい。たとえば、東向き光信号は、前方ラマン増幅利得段812A、前方光励起増幅器813A、後方遠隔光励起増幅器813B、後方ラマン増幅利得段812C、および第2ノード802Aにおけるディスクリート利得段816Aを通過する可能性があってもよい。
【0052】
なお、「前方」および「後方」光励起増幅器という用語は、信号方向に対する光ポンプの方向を指しており、それにより、「前方」光励起増幅器の光ポンプは信号と同じ方向にあり、「後方」光励起増幅器の光ポンプは信号と逆の方向にある。
【0053】
東向き光リンクに対して考えられる第1利得段として、光ファイバスパン812Aは、光ポンプユニット811Aによって駆動される分布前方ラマン増幅器としての機能を果たす。第1ノード801Aから第2ノード802Aに伝送される東向き光信号は、東方に伝達される実際の情報を表わす。一方、ポンプユニット811Aは、光信号帯の外にある比較的高い周波数(比較的短い波長)を有する光ポンプパワーを伝送する。そのエネルギは、光信号を光学的に増幅するための信号波長に変換される。ポンプユニット811Aは、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ815Aを用いて前方ラマンポンプパワーを光ファイバスパン812Aに入射して、光ファイバスパン812Aに沿って分布した光信号と共伝播させて光信号を増幅する。
【0054】
図9は、二つのパワーと距離光プロファイル901と902のパワーと距離光プロファイル図900の例を示す。実線で描かれたパワープロファイル902は、すべての図示された利得段が存在する場合に光信号が図8Aの東向きファイバリンクを進むときの光信号パワーを示す。西向き光リンクに対するパワーと距離プロファイルの例は示されていないが、パワーと距離プロファイルはパワープロファイル902に似ていてもよく、ただし、反転されている。とは言うものの、東向きと西向きの光ファイバリンクの光パワープロファイルの対称性は必要でない。図9では、パワープロファイル902の最大パワーがPH1として示されている。位置D0およびD3は、それぞれ、第1ノード801Aおよび第2ノード802Aの位置を表わす。位置D1およびD2は、それぞれ、前方光励起増幅器813Aおよび後方光励起増幅器813Bの位置を表わす。
【0055】
光ファイバスパン812Aにおける距離D0とD1の間に存在する第1利得段では、前方ラマン増幅はパワープロファイル902における光信号の減衰を最初は遅らせるが、前方ラマン増幅は距離D0から離れて衰えるにつれて、光ファイバのほぼ対数的に直線の減衰が目立つようになる。とは言うものの、光ファイバの減衰が目立つときでも、前方ラマン増幅は前方ラマン増幅が無い場合に存在する減衰に比べると光ファイバの減衰を緩和してなお余りある。一実施形態では、前方ラマン増幅は、D0からD1までの距離にわたって少なくとも1dBのオン/オフ利得を有するが、はるかに高くなりうる。この記述および特許請求の範囲では、ある距離にわたるラマン増幅の「オン/オフ」利得は、その距離にわたるラマン増幅なしで発生する信号パワーと比較したその距離にわたるラマン増幅によって生じる一つ以上の信号波長の少なくとも一つの光信号パワーの増加を指している。
図9は、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、また実際の光パワー−距離プロファイルを伝えることを必ずしも意図するものではなく、パワープロファイルを一般的に記述するために使用されるにすぎない。
【0056】
図8Aに戻ると、第2利得段として、前方残留ラマン光ポンプパワーが、この後、前方光励起増幅器813Aを駆動するために使用され、前方光励起増幅器813Aは、この後、東向き光信号を増幅する。前方光励起増幅器813Aは、ディスクリート増幅器として示されているが、ファイバスパン812Aの全部または一部にわたって分布されてもよい。図8Aに示される光励起増幅器813A、813B、823A、および823Bは、「遠隔光励起増幅器」すなわち(ROPA)とより一般的に呼ばれるものであってもよい。しかしながら、「遠隔」という用語は相対的であるので本特許出願には望ましくない。しかしながら、一実施形態では、光励起増幅器は最も近い中継器または端末からの光路距離が少なくとも30kmであり、第1ノード801Aと第2ノード802Aの間の光路距離は、少なくとも100kmであるが、さらに、300kmよりも大きくてもよく、おそらく、さらに500kmを超えてもよい。図9を参照すると、距離D1におけるパワープロファイル902のディスクリート増幅は前方光励起増幅器813Aの結果である。
【0057】
光励起増幅器813A、813B、823A、および823Bは、各々が任意の光励起増幅器であってもよい。例として、希土類ドープファイバ増幅器(エルビウムドープファイバ増幅器)、光励起半導体増幅器、またはおそらく高効率ラマン増幅器が挙げられる。
【0058】
なお、光リンク800Aでは、各方向に前方光励起増幅器および後方光励起増幅器がある。たとえば、東向きチャネルの場合、前方光励起増幅器813Aは第1ノード801Aにより隣接しており、後方光励起増幅器813Bは第2ノード802Aにより隣接している。このため、光励起増幅器を駆動するために前方および後方残留ラマン光ポンプパワーをより効率よく利用することができ、このこと自体が技術の著しい進歩を表わしており、ほかのすべての条件が同じであるものとして第1ノード801Aと第2ノード802Aの距離の延長が可能になる。また、西向きチャネルも第2ノード802Aにより隣接している前方光励起増幅器823Bと、第1ノード801Aにより隣接している後方光励起増幅器823Aとを有し、西向き光チャネルに対しても効率改善をもたらす可能性がある。この光パワーのこのような有効利用は、電力が非常に高くつく海底中継器においては特に有益である。
【0059】
東向き光ファイバリンクに戻ると、光ファイバスパン812Aで行なわれた前方ラマン増幅の後にも、また前方光励起増幅器813Aによる増幅の後にも前方残留光ポンプパワーがまだいくらか残っている。前方残留光ポンプパワーの少なくとも一部、およびもしかすると全部が、後方光励起増幅器823Aで使用される逆方向光ファイバリンクに進路変更される。この前方ラマン光ポンプパワーのこの一般的な進路変更は、一般的に、矢印817Aによって表わされる。東向き光ファイバリンクにおける中間光ファイバ812Bに残留前方ポンプ光パワーをさらに注入し続けることが認められているものとすると、後方光励起増幅器823Aで得られる増幅は、東向き中間光ファイバスパン812Bで行われている可能性のある前方ラマン増幅よりも著しく大きくてもよい。
【0060】
この進路変更を容易にするために、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Aは前方光励起増幅器813Aの東に配置される。この光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Aは、中間光ファイバスパン812Bに東向き光信号(またはその信号の少なくとも大部分)を通過させることができるが、西向き光ファイバリンクの別の光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Aの方向に光ポンプパワーを進路変更する。光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Aは、この後、後方光励起増幅器823Aの駆動を助けるためにこの残留光ポンプパワーを後方光励起増幅器823Aに注入する。一方、前方光励起増
幅器813Aの増幅は、西向き光ファイバリンクからの残留後方ラマンポンプ光パワーの進路変更によって強化されてもよい。これは、一般的に、矢印827Bによって表わされる。しかしながら、この進路変更については以下でさらに詳しく説明する。
【0061】
東向きチャネルに戻ると、東向き光信号は中間光ファイバスパン812Bに入り、ここでは、東向き光信号はたとえ増幅されるにしてもわずかである。代わりに、図9を参照すると、光パワーは、D1とD2の間の距離でほぼ対数的に直線的に減衰し、これは光ファイバスパン812Bの長さおよび減衰に対応する。
【0062】
第3光利得段として、光信号は第2東向きマルチプレクサ/デマルチプレクサ814Bを通過し、この後、後方光励起増幅器813Bによって増幅される。後方光励起増幅器813Bは、ディスクリート増幅器として示されているが、ファイバスパン812Cの全体または一部にわたって分布されてもよい。後方光励起増幅器813Bに供給するために使用される光ポンプパワーの一部は、ポンプユニット811Bからの後方ラマンポンプ光パワーの残留量の影響によるものである。残留量は、矢印827Aによって表わされるような逆方向の光ファイバリンクからの前方ラマンポンプ光パワーの進路変更の影響によるものである。西向き光リンクの前方ラマンポンピングが効率的でなければ、東向き光リンクに進路変更される十分な量の前方光ポンプパワーが残っているかもしれない。
【0063】
一実施形態では、東向き信号の光ファイバスパン812C(および西向き信号の光ファイバスパン822A)において実施される後方ラマン増幅は、光ファイバスパン812Aにおける東向き信号(および光ファイバスパン822Aにおける西向き信号)の前方ラマン増幅と比べてきわめて効率的であり、光ファイバスパン812Cでは強力な分布利得を得ることができる。しかしながら、この高利得は、後方光励起増幅器813Bを駆動するために残っている残留光ポンプパワーが比較的少ないことを意味する。したがって、西向き光リンクから進路変更された前方ラマンポンプ光パワー827A(および東向き光リンクからの817A)は、東向きファイバリンクの後方光励起増幅器813B(および西向きファイバリンクの後方光励起増幅器822A)を光励起するために使用されるときに非常に役立つ。一実施形態では、光ファイバスパン812Cおよび822Aは、主に、負の色分散(D−)ファイバであり、あるいは、光の伝播に対して少なくとも比較的小さい有効断面積を有する。この記述および特許請求の範囲では、「DSファイバ」は分散特性と無関係に65μm2以下の有効断面積を有するファイバとして定義される。それゆえ、光ファイバスパン812Cおよび822Aは、DSファイバで構成されてもよい。一方、光ファイバスパン812Aおよび822Cは、正の色分散(D+)ファイバである可能性があり、あるいは、光ファイバスパン812Cおよび822Aと比べて少なくとも比較的大きい有効断面積を有する。この記述および特許請求の範囲では、「DLファイバ」は分散特性と無関係に65μm2以上の有効断面積を有するファイバとして定義される。それゆえ、光ファイバスパン812Aおよび822CはDLファイバで構成されてもよい。この場合、後方光励起増幅器813Bには、矢印827Aによって表わされる逆方向の光リンクから進路変更された光ポンプパワーが非常に役立つ。一般に、後方光励起増幅器813Bにおける信号パワーは、スパン812Bのファイバ減衰が補償されないことに起因して前方光励起増幅器813Aにおける信号パワーよりも小さい。したがって、同じ光励起増幅器および同じポンプパワー量を所与として、より多くの増幅が前方光励起増幅器813Aに比べると後方光励起増幅器813Bで典型的に実現されうる。換言すると、前方光励起増幅器813Aでは、後方光励起増幅器813Bと比べて同様の利得を実現するためにより高いポンプパワーが典型的に要求される。
【0064】
第4光利得段として、また既に示唆したように、ポンプユニット811Bは、後方ラマンポンプ光パワーを提供して光ファイバ812Cにおいて後方ラマン増幅を実施する。図9を参照すると、これは、距離D2とD3の間に存在する後方分布ラマン増幅をもたらす
。図9のパワープロファイル902は距離D2とD3の間のこの分布利得を示しており、これは前述のようにD−およびD+ファイバを使用することによるD0とD1の間のパワープロファイル902の分布利得よりもはるかに大きい。一実施形態では、後方ラマン増幅は、D2からD3までの距離にわたって少なくとも5dBのオン/オフ利得を有するが、さらに高くなりうる。ポンプユニット811Bの後方ラマンポンプパワーは、光マルチプレクサ/デマルチプレクサユニット815Bを用いて光ファイバスパン812Cに注入される。しかしながら、矢印817Bに沿って進む後方ラマンポンプ光パワーは、光ファイバスパン812Cで後方ラマン増幅を実施すると低下する。前述のように、残留後方ラマンポンプ光パワーは、この後、後方光励起増幅器813Bを駆動するために使用される。後方光励起増幅器813Bの後に残る残留量は、この後、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Bを用いて、西向き光ファイバリンクの前方光励起増幅器823Bの光駆動に使用される光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Bを用いる西向き光ファイバリンクに進路変更される。
【0065】
第2ノード802Aでは、ディスクリート増幅器816Aが第5光利得段を提供する。たとえば、ディスクリート増幅器816Aは、次の伝送光ファイバ(これが中継器に使用される場合)またはレシーバ(これが端末に配置される場合)に対する光信号を増幅してもよい。図9を参照すると、このディスクリート増幅は、第2ノード802Aに対応する距離D3において行われてもよい。第2ノード802Aが端末である場合、東向き光信号は、この後、たとえば、図1のレシーバ118などの端末レシーバに導かれてもよい。第2ノード802Aが中継器である場合、東向き光信号は、この後、光通信システム内のさらに他のノードに伝送されてもよい(もしかすると、たとえば、色分散補償および利得平坦化フィルタ処理などの他の処理の後に)。図示されてはいないが、西に向かう光信号が東向き光ファイバリンクに出入りしないようにする光アイソレータがあってもよい。
【0066】
西向き光リンクに関しては、前と同じように五つの利得段があってもよい。考えられる第1利得段としては、光ポンプユニット821Bによって駆動される分布前方ラマン増幅器として働く光ファイバスパン822Cがある。第2ノード802Aから第1ノード801Aに伝送される西向き光信号は、西方向に伝達される実際の情報を表わす。一方、ポンプユニット821Bは、光信号帯の外にある比較的高い周波数(比較的短い波長)を有する光ポンプパワーを伝送する。そのエネルギは、光信号を光学的に増幅するための信号波長に変換される。ポンプユニット821Bは、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ825Bを用いて前方ラマンポンプパワーを光ファイバスパン822Cに入射して、光ファイバスパン822Cに沿って分布した光信号と共伝播させて光信号を増幅する。
【0067】
第2利得段として、残留前方ラマン光ポンプパワーは、この後、前方光励起増幅器823Bを駆動するために使用され、前方光励起増幅器823Bは、この後、西向き光信号を個別に増幅する。
【0068】
西向き光ファイバリンクでは、光ファイバスパン822Cで行なわれた前方ラマン増幅の後にも、また前方光励起増幅器823Bによる増幅の後にも前方残留光ポンプパワーがまだいくらか残っている。前方残留光ポンプパワーの少なくとも一部、およびもしかすると全部が、前述のように、後方光励起増幅器813Bで使用される逆方向光ファイバリンクに進路変更される。この前方ラマン光ポンプパワーのこの一般的な進路変更は、一般的に、矢印827Aによって表わされる。西向き光ファイバリンクにおける中間光ファイバ822Bに残留前方ポンプ光パワーをさらに注入し続けることが認められているものとすると、後方光励起増幅器813Bで得られる増幅は西向き中間光ファイバスパン822Bで行われている可能性のある前方ラマン増幅よりも著しく大きいかもしれない。
【0069】
この進路変更を容易にするために、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Bは、
前方光励起増幅器823Bの西方に配置される。この光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Bは、中間光ファイバスパン822Bに西向き光信号(または少なくともその信号の大部分)を通過させることができるが、東向き光ファイバリンクの別の光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Bの方向に光ポンプパワーの進路を変更する。光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Bは、この後、後方光励起増幅器813Bの駆動を助けるためにこの残留光ポンプパワーを後方光励起増幅器813Bに注入する。一方、前方光励起増幅器823Bの増幅は、前述のように、矢印817Bによって表わされるように、東向き光ファイバリンクからの残留後方ラマンポンプ光パワーの進路変更によって強化されてもよい。
【0070】
西向き光信号は、中間光ファイバスパン822Bに入り、そこではあまり増幅されない。代わりに、光パワーは、光信号が増幅されずに光ファイバを通過するときの状況として知られるようにほぼ対数的に直線的に減衰する。
【0071】
第3光利得段として、西向き光信号は西向きマルチプレクサ/デマルチプレクサ824Aを通過し、この後、後方光励起増幅器823Aによって個別に増幅される。後方光励起増幅器823Aを供給するために使用される光ポンプパワーの一部は、ポンプユニット821Aからの後方ラマンポンプ光パワーの残留量の影響によるものである。残留量は、矢印817Aによって表わされるように、東向き光ファイバリンクからの前方ラマンポンプ光パワーの進路変更の影響によるものである。
【0072】
第4光利得段として、また既に示唆したように、ポンプユニット821Aは、後方ラマンポンプ光パワーを提供して光ファイバ822Aにおいて後方ラマン増幅を実施する。後方ラマンポンプ光パワーは、光マルチプレクサ/デマルチプレクサユニット825Aを用いて光ファイバスパン822Aに注入される。しかしながら、矢印827Bに沿って進む後方ラマンポンプ光パワーは、光ファイバスパン822Aで後方ラマン増幅を実施すると低下する。前述のように、残留後方ラマンポンプ光パワーは、この後、後方光励起増幅器823Aを駆動するために使用される。後方光励起増幅器823Aの後に残る残留量は、この後、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Aを用いて、東向き光ファイバリンクにおける前方光励起増幅器813Aの光励起に使用される光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Aを用いる東向き光ファイバリンクに進路変更される。
【0073】
第1ノード801Aでは、第5利得段はディスクリート増幅器826Aであってもよく、第1ノード801Aが端末に配置される場合はディスクリート増幅器826が次の伝送光ファイバまたはレシーバへの光信号を増幅する。第1ノード801Aが端末である場合、西向き光信号は、この後、たとえば、図1のレシーバ128などの端末レシーバに導かれてもよい。ディスクリート増幅器816Aおよび826Aは、電力または光パワーのいずれによって駆動されるにせよ、光を増幅しうる任意の増幅器であってよい。例として、希土類ドープファイバ増幅器(エルビウムドープファイバ増幅器など)、高効率ラマン増幅器、および/または半導体光増幅器(SOA)が挙げられる。
【0074】
第1ノード801Aが中継器である場合、西向き光信号は、この後、光通信システムにおけるさらに他のノードに伝送されてもよい(もしかすると、たとえば、色分散補償および利得平坦化フィルタ処理などの他の処理の後)。図示されてはいないが、東に向かう光信号が西向き光ファイバリンクに出入りしないようにする光アイソレータがあってもよい。
【0075】
したがって、図8Aでは、クロスファイバ光パワーの進路変更には以下のような四つの例がある。
A)図8Aにおいて矢印817Aによって表わされる西向き光ファイバリンク(以下では
「進路変更タイプA」と呼ぶ)の後方光励起増幅器の光励起を補うために東向き光ファイバリンクからの前方ラマンポンプパワーの進路変更。
B)図8Aにおいて矢印827Aによって表わされる東向き光ファイバリンク(以下では「進路変更タイプB」と呼ぶ)の後方光励起増幅器光励起を補うために西向き光ファイバリンクからの前方ラマンポンプパワーの進路変更。
C)図8Aにおいて矢印817Bによって表わされる西向き光ファイバリンク(以下では「進路変更タイプC」と呼ぶ)の前方光励起増幅器の光励起を補うために東向き光ファイバリンクからの後方ラマンポンプパワーの進路変更。
D)図8Aにおいて矢印827Bによって表わされる東向き光ファイバリンク(以下では「進路変更タイプD」と呼ぶ)の前方光励起増幅器の光励起を補うために西向き光ファイバリンクからの後方ラマンポンプパワーの進路変更。
【0076】
図8Aに示すような進路変更タイプAの一実施形態は、前方光励起増幅器813Aおよび後方光励起増幅器823Aの両方を備える。進路変更タイプAの別の実施形態では、一つの光励起増幅器のみ(813Aまたは823Aのいずれか)が採用される。図8Aに示すような進路変更タイプBの一実施形態は、前方光励起増幅器823Bおよび後方光励起増幅器813Bの両方を備える。進路変更タイプBの別の実施形態では、一つの光励起増幅器のみ(823Bまたは813Bのいずれか)が採用される。図8Aに示すような進路変更タイプCの一実施形態は、前方光励起増幅器823Bおよび後方光励起増幅器813Bの両方を備える。進路変更タイプCの別の実施形態では、一つの光励起増幅器のみ(823Bまたは813Bのいずれか)が採用される。図8Aに示すような進路変更タイプDの一実施形態は、前方光励起増幅器813Aおよび後方光励起増幅器823Aの両方を備える。進路変更タイプDの別の実施形態では、一つの光励起増幅器のみ(813Aまたは823Aのいずれか)が採用される。
【0077】
図8Aには、進路変更タイプA、B、C、およびDのすべてが示されている。しかしながら、本明細書に記載される原理は、これら進路変更タイプがすべて揃っていない場合にも適用されてよい。たとえば、本明細書に記載される原理は、進路変更タイプA、B、C、およびDの一つ、二つ、または三つだけが提供される場合にも利点をもたらす可能性がある。
【0078】
図8Aを参照すると、光励起増幅器813Aおよび823Aと光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Aおよび814Bは、単一アセンブリ818A内に含まれていてもよい。その場合、アセンブリ818Aは、事前に製造されてもよく、たとえば、光接続箱であってもよい。接続箱は、各ファイバ対に対して少なくとも四つのポート、すなわち、東向きファイバ入力端子(たとえば、前方光励起増幅器813Aに隣接した)、東向きファイバ出力端子(たとえば、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Aに隣接した)、西向きファイバ入力端子(たとえば、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Aに隣接した)、および西向きファイバ出力端子(たとえば、後方光励起増幅器823Aに隣接した)を有することになる。アセンブリ818Aは、東向き光チャネルおよび西向き光チャネルを有する。東向き光チャネルは、前方光励起増幅器813Aと光マルチプレクサ/デマルチプレクサ814Aとを含む東向きの入力端子と出力端子の間にある。西向き光チャネルは、光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Aと後方光励起増幅器823Aとを含む西向きの入力端子と出力端子の間にある。
【0079】
また、アセンブリ818Bは、前方光励起増幅器823B、後方光励起増幅器813B、ならびに二つの光マルチプレクサ/デマルチプレクサ824Bおよび814Bを含み、アセンブリ818Aについての記載と同様に構成されてよい。しかしながら、アセンブリ818Aは、進路変更タイプAおよびDのすべてが採用されるわけではない場合には簡略化されてもよい。たとえば、矢印817Aによって表わされる進路変更タイプAのみが採
用される場合、後方光励起増幅器823Aは光マルチプレクサ824Aの東方または西方に配置されてよい。さらに、前方光励起増幅器813Aは全く存在しなくてよい。矢印827Bによって表わされる進路変更タイプDのみが採用される場合、前方光励起増幅器813Aは光マルチプレクサ814Aの東方または西方に配置されてよい。さらに、後方光励起増幅器823Aは全く存在しなくてよい。アセンブリ818Bは、一つの進路変更タイプまたは進路変更タイプBおよびCしかない場合に同様に簡略化されてもよい。
【0080】
前述のように、従来の海底中継器技術は、1)分布後方ラマン増幅、2)遠隔ディスクリートEDFAをさらに励起する分布後方ラマン増幅、または3)ラマン増幅なしの遠隔ディスクリートEDFAと組み合わせて中継器内にディスクリートエルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)を使用することによって中継器の間隔を増加させている。図8Bは、二つのノードである第1ノード801Bと第2ノード802Bの間の先行技術中継器リンク800Bを示す。図8Aのリンク800Aとは対照的に、従来の海底中継器リンク800Bでは、前方ラマン増幅、前方遠隔光励起増幅器(ROPA)、または光ポンプパワーの交差結合も採用していない。その代わりに、海底中継器リンク800Bでは、後方ラマン増幅(東向き光信号の場合にポンプユニット811bを用いたファイバ812b、および西向き光信号の場合にポンプユニット821Aを用いたファイバ822Aによる)を採用してもよい。さらに、後方ラマン増幅からの残留光ポンプパワーが、遠隔光励起増幅器(ROPA)(すなわち、東向き光信号の場合に遠隔光励起増幅器813B、および西向き光信号の場合に遠隔光励起増幅器823A)を駆動するために使用される。一部の従来の海底中継器設計では、ファイバ812Bおよびファイバ822Bにおけるラマン増幅が、最大減衰残留パワーをポンプユニット811Bおよびポンプユニット821Aからそれぞれ後方光励起増幅器813Bおよび後方光励起増幅器823Aに提供するために、光信号に対して最小限のラマン増幅のみを行なうポンプユニット811bおよびポンプユニット821Aの波長を選択することによって抑制される。当然ながら、増幅器826Bおよび増幅器816Bを使用するディスクリート増幅は、第1ノード801Bおよび第2ノード802B自体において実施されてもよい。
【0081】
図9に戻ると、図8Bの従来の光リンクを用いて得られる可能性のある光パワー−距離プロファイルの例を示す別のパワープロファイル901が示される。前方ラマン増幅がなくかつ前方光励起増幅器がないので、光パワーの対数は距離D0およびD2の間でほぼ直線的に下降する。パワープロファイル901は、D0とD1の間と、D2とD3の間のD+ファイバ、ならびにD1とD2の間のD−ファイバのファイバ組成の典型である。さらに、前方および後方の両ラマン増幅が各々これら自体の光励起増幅器とともに採用されるとき、前のパワープロファイル901の最大光パワーPH2はパワープロファイル902の場合に必要な最大光パワーPH1よりもはるかに高い。最大光パワーPH2は、信号パワープロファイル902の最大光パワーPH1よりもはるかに高く、信号品質を劣化させる傾向のある著しい非線形効果をもたらす可能性がある。最大光パワーPH1ははるかに低く、それゆえ、非線形効果に起因するほどの信号劣化に見舞われることはない。さらに、より高い信号パワーPH2は、増幅器ポンプの飽和効果に起因してD3におけるディスクリート増幅器により多くの光パワーを必要とし、それゆえ、効率的がさほど良くないかもしれない。さらに、信号プロファイル902は、信号品質を改善する信号プロファイル901に比べてより高い信号対ノイズ比を有する。
【0082】
図8Cは、新しい海底中継器リンク800Cを示す。ここで、前方および後方の両ラマン増幅は第1ノード801Cと第2ノード802Cの間で光信号を伝達するために実施され、前方および後方の両ラマン増幅からの残留光ポンプパワーは同じ光励起増幅器813Aを駆動するために使用される。一実施形態では、前方ラマン増幅のオン/オフ利得は少なくとも1dBであるが、後方ラマン増幅のオン/オフ利得は少なくとも3dBである。前方ラマン増幅は、場合によっては図8Aのポンプユニット811Aに似ている(ただし
、似ている必要はない)図8Cのポンプユニット811Aによってファイバ812Aを通じて提供される。後方ラマン増幅は、場合によっては図8Aのポンプユニット811Bに似ている(ただし、似ている必要はない)図8Cのポンプユニット811Bによってファイバ812Bを通じて提供される。また、第1ノード801Cおよび第2ノード802Cは、光信号についてこれら独自のディスクリート増幅を含んでいてもよい。たとえば、第2ノード802Cは、ディスクリート増幅器816Cを含むものとして示される。この光増幅は図8Cでは一方向の場合(東向き光信号の場合)に対して示されているだけであるが、同じ原理は双方向通信にも適用されてよい。従来の海底中継器リンクと比較して海底中継器リンク800Cについて考えられる一つの優位性は、双方向光ポンピングでは第2ノード802Cから光励起増幅器813Aまでの距離が後方のみの光ポンピングに比べて増加する可能性があることである。海底中継器リンク800Cについて考えられるもう一つの優位性は、双方向ポンピングからの残留ポンプパワー(ポンプユニット811Bからの残留ポンプパワーは第1ノード801Cで受け取られてもよく、ポンプユニット811Aからの残留ポンプパワーは第2ノード802Cで受け取られてもよい)が情報を伝送するためにポンプ変調技術を用いてノード間通信のために使用される可能性があることである。海底中継器リンク800Cについて考えられるもう一つの優位性は、ポンプユニットの一つが故障した場合に光励起増幅器813Aがなおポンプユニット811Aまたは811Bの一方からポンプパワーを受け取ることである。
【0083】
図10は、本発明の一実施形態から得られる利得の増加を描くパワー−距離光プロファイル図1000の例を示す。実線で表わされるプロファイルAは、図8Aおよび図9に関して前述したように、光結合ポンプが位置D1およびD2にある場合のパワー−距離プロファイルを示す。鎖線で表わされるプロファイル「B」は、光学的に結合されたポンプがない場合を除く、図8Aの同じポンプパワーを用いたパワー−距離プロファイルを示す。位置D1およびD2における比較的高いパワーは、図8Aに示されるような光学的に結合されたポンプによって利得効率が改善された結果である。図10の光パワープロファイルは、シミュレーションによって得られている。シミュレーションの条件は以下の通りである。
1)D0からD1までの距離は、40kmであり、SLA光ファイバである(「D+」OFS製ファイバ、Aeff=106μm2、分散=20ps/nm−km@1550nm)。
2)D1からD2までの距離は、40kmであり、SLA光ファイバである(「D+」OFS製ファイバ、Aeff=106μm2、分散=20ps/nm−km@1550nm)。
3)D2からD3までの距離は、40kmであり、IDF光ファイバである(「D−」OFS製ファイバ、Aeff=30μm2、分散=−44ps/nm−km@1550nm)。
4)前方光励起増幅器と後方光励起増幅器は同じである(OFS製R37014エルビウムファイバ5m)
5)前方ポンプと後方ポンプは同じであり、各々はファイバの入力において172mW、1480nmで駆動される。
6)図示された信号プロファイルは50の信号の平均である。
しかしながら、これらは、一つの特定シミュレーションに関する条件にすぎず、本明細書に記載される原理の適用を多少なりとも制限するものであると解釈されるべきではない。
【0084】
したがって、図10におけるプロファイルAとプロファイルBを比較する際に、各東向きおよび西向き光ファイバリンクに対して専用の前方および後方光励起増幅器を使用し、東向き光ファイバリンク間のポンプ光パワー結合を通じて、光パワーがより有効に使用されて増幅が実施されることが分かる。
【0085】
本明細書に記載される実施形態のもう一つの利益は、ラマンポンプユニットの一つが故障したときの通信システムのロバスト性が改善されることである。たとえば、一実施形態では、図8Aの前方光励起増幅器813Aおよび後方光励起増幅器813Bは希土類ドープ増幅器である。図11は、通常動作(光ポンプ結合がある場合のプロファイルA)中および後方ポンプユニット811Bが故障した場合の図8Aの東向き光信号に対するこの実施形態のパワー−距離光プロファイル1100の例を示す。故障の場合、プロファイルCは、光ポンプ結合が採用されないときのパワー−距離プロファイルを示す。この場合、図8Aの後方光励起増幅器813B(この実施形態では希土類ドープ増幅器である)は、信号に対する純損失をもたらす。このプロファイルCは、光ポンプ結合827Aが図8Aの西向き前方ポンプユニット821Bから採用されるときのパワー−距離プロファイルを示すプロファイルBと比較されてもよい。プロファイルBの場合、経路827Aから得られる残留ポンプパワーは、図8Aの後方光励起増幅器813B(この実施形態では希土類ドープ増幅器である)を励起して後方光励起増幅器813Bに純利得をもたらす。典型的に、光ポンプ結合(図11のプロファイルC)なしの図8Aの後方ポンプユニット811Bの損失は光通信の全損失をもたらすが、この状況(図11のプロファイルB)で光ポンプ結合を使用すると、品質レベルがわずかに低下した状態で光通信を持続することができる。
【0086】
図12は、通常動作(光ポンプ結合がある場合のプロファイルA)中および前方ポンプユニット811Aが故障した場合の図8Aの東向き光信号に対する図11と同じ実施形態のパワー−距離光プロファイル1200の例を示す。故障の場合、プロファイルCは、光ポンプ結合が採用されないときのパワー−距離プロファイルを示す。この場合、図8Aの前方光励起増幅器813A(この実施形態では希土類ドープ増幅器である)は、信号に対する純損失をもたらす。このプロファイルCは、光ポンプ結合827Bが図8Aの西向き後方ポンプユニット821Aから採用されるときのパワー−距離プロファイルを示すプロファイルBと比較されてもよい。この場合、経路827Bから得られた残留ポンプパワーは、図8Aの前方光励起増幅器813A(この実施形態では希土類ドープ増幅器である)を励起して前方光励起増幅器813Aに純利得をもたらす。
【0087】
図10、図11、および図12では故障状況を補償するために追加ポンプパワーが使用されてもよいが、本明細書に記載される光ポンプ共用および結合技術を使用すると比較的少ないポンプパワーがあれば済むことになる。この優位性によって、ポンプ冗長性に対する要求が緩和され、図5のポンプユニット401によって示されるように、単一のポンプだけで一つの中継器内で両信号方向に対する部分的な冗長性を提供できる可能性がある。従来の海底中継器の設計では、単一ポンプが故障すると信号品質があまりにも低下してデータ通信を維持できないので、典型的に、新たな冗長ポンプを必要とする(これは海底中継器のコストを押し上げる)。
【0088】
したがって、各東向きおよび西向き光ファイバリンクに対して専用の前方および後方光励起増幅器を使用することによって、また東向き光ファイバリンク間のポンプ光パワー共用によって、光パワーが増幅を実施するためにより効率的に利用され、より有益な信号パワープロファイルが実現され、有害な非線形効果の減少と高い光信号品質がもたらされる可能性がある。さらに、ポンプの共用によって、単一ポンプユニットは一方向の複数の光利得段だけでなく、逆方向の一つ以上の光利得段も同様に駆動することができる。
【0089】
本発明は、その精神または本質的特徴から逸脱することなく他の特定の形態で具体化されてもよい。記載された実施形態は、あらゆる点で、制限としてではなく単なる例示として見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意図と等価性の範囲とに入る変更は、特許請求の範囲内に包含されるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信システムにおける第1ノードと第2ノードの間の通信用の海底光リンクであって、前記第1ノードまたは前記第2ノードの少なくとも一方は、海底光中継器であり、前記海底光リンクは、
前記第1ノードにおけるまたは隣接する前方ラマンポンプと;
前方光励起増幅器と;
前記前方ラマンポンプを前記前方光励起増幅器に相互接続する第1ファイバスパンであって、前記第1ファイバスパンは、前記前方ラマンポンプが前方光パワーを前記第1ファイバスパンに注入することによって、前記第1ファイバスパン内で光信号の前方ラマン増幅を行わせ、且つ前記第1ファイバスパンは、前記前方ラマン増幅の後に残存する注入された前記前方光パワーの残留量の一部が前記前方光励起増幅器を駆動することによって前記光信号をさらに増幅するために使用され、前記第1ファイバスパンにおける前記前方ラマン増幅のオン/オフ利得は、少なくとも1dBであることと;
前記第2ノードにおけるまたは隣接する後方ラマンポンプと;
後方光励起増幅器と;
前記後方ラマンポンプを前記後方光励起増幅器に相互接続する第2ファイバスパンであって、前記第2ファイバスパンは、前記後方ラマンポンプが後方光パワーを前記第2ファイバスパンに注入することによって、前記第2ファイバスパン内で前記光信号の後方ラマン増幅を行わせ、且つ前記第2ファイバスパンは、前記後方ラマン増幅の後に残存する注入された前記後方光パワーの残留量の一部が前記後方光励起増幅器を駆動することによって前記光信号を増幅するために使用され、前記第2ファイバスパンにおける前記後方ラマン増幅のオン/オフ利得は、少なくとも5dBであることと
を備えることを特徴とする、海底光リンク。
【請求項2】
前記前方光励起増幅器と前記後方光励起増幅器は、互いに独立した光励起増幅器である、
請求項1記載の海底光リンク。
【請求項3】
前記前方光励起増幅器と前記後方光励起増幅器の少なくとも一方は、希土類ドープファイバ増幅器である、
請求項2記載の海底光リンク。
【請求項4】
前記前方光励起増幅器と前記後方光励起増幅器の少なくとも一方は、エルビウムドープファイバ増幅器である、
請求項2記載の海底光リンク。
【請求項5】
前記海底光リンクはさらに、前記前方光励起増幅器と前記後方光励起増幅器を相互接続する第3ファイバスパンを備え、
前記第3ファイバスパンは、前記前方光励起増幅器によって増幅される前記光信号を、前記光信号が前記後方光励起増幅器によって増幅されるために前記後方光励起増幅器に伝送し、
前記第1ファイバスパンは、65μm2よりも大きい有効断面積を有するファイバであり、
前記第3ファイバスパンは、65μm2よりも大きい有効断面積を有するファイバであり、
前記第2ファイバスパンは、65μm2よりも小さい有効断面積を有するファイバである、
請求項2記載の海底光リンク。
【請求項6】
第1光結合メカニズムは、逆の信号経路における後方光励起増幅器を駆動するために使用されるように前記前方光励起増幅器を駆動した後に、残存する注入された前記前方光パワーの一部を進路変更するように構成され、
第2光結合メカニズムは、逆の信号経路における前方光励起増幅器を駆動するために使用されるように前記後方光励起増幅器を駆動した後に、残存する注入された前記後方光パワーの一部を進路変更するように構成される、
請求項2記載の海底光リンク。
【請求項7】
前記第1光結合メカニズムは、前記逆の信号経路から前記前方光励起増幅器に注入された後方光パワーの一部をさらに進路変更し、
前記第2光結合メカニズムは、前記逆の信号経路から前記後方光励起増幅器に注入された前方光パワーの一部をさらに進路変更する、
請求項6記載の海底光リンク。
【請求項8】
前記第1ファイバスパンと前記第2ファイバスパンとを通じて進む光信号は、波長が1550nmよりも大きい複数の波長分割光信号または高密度波長分割光信号を有し、
複数の前記波長分割光信号または高密度波長分割光信号の少なくとも一方は、1567nmよりも大きい波長を有する、
請求項1記載の海底光リンク。
【請求項9】
前記海底光リンクはさらに、前方ラマン増幅と後方ラマン増幅とのうちの少なくとも一方のために提供される光ポンプパワーを調整することによって、利得の波長依存性を調整するように構成された傾斜制御メカニズムを備える、
請求項8記載の海底光リンク。
【請求項10】
前記第1ファイバスパンと前記第2ファイバスパンと通じて進む光信号は、複数の波長分割光信号または高密度波長分割光信号を有し、
その少なくとも一方は、1567nmよりも大きい波長を有する、
請求項1記載の海底光リンク。
【請求項11】
前記第1ノードは、海底光中継器であり、
前記第1ノードは、光パワーを放出する光パワーソースと、前記海底光リンクにおいて前記前方ラマン増幅に使用される放出された前記光パワーを分布させる光パワー分布メカニズムと、隣接する海底光リンクにおける後方ラマン増幅と、前記海底光中継器におけるディスクリート増幅とをすべて同じ信号方向で備える、
請求項1記載の海底光リンク。
【請求項12】
前記光パワー分布メカニズムは、前記放出される光パワーの周波数特性が維持されるように前記放出される光パワーが分布するように構成される、
請求項11記載の海底光リンク。
【請求項13】
前記光パワーソースは、分布フィードバックレーザを備える、
請求項11記載の海底光中継器。
【請求項14】
前記ディスクリート増幅は、エルビウムドープファイバ増幅器を用いて実施され、
放出された前記光パワーは、1400から1525nmの波長範囲にある、
請求項11記載の海底光リンク。
【請求項15】
前記光パワー分布メカニズムによって、放出された前記光パワーの少なくとも一部は、逆の信号経路において一つ以上の利得段の光学的駆動に使用されうる、
請求項14記載の海底光リンク。
【請求項16】
前記光パワー分布メカニズムは、両信号方向におけるすべての光ポンプに少なくとも部分的なポンプ冗長性を提供する冗長光ポンプを備える、
請求項14記載の海底光リンク。
【請求項17】
放出された前記光パワーは、1480nmの波長において20nm以内にある、
請求項14記載の海底光リンク。
【請求項18】
一つの信号方向に対して放出された前記光パワーの全光ポンプパワーは、600mW未満である、
請求項14記載の海底光リンク。
【請求項19】
前記海底光リンクにおける光路の全長は、90km以上である、
請求項1記載の海底光リンク。
【請求項20】
光通信システムにおける第1ノードと第2ノードの間の通信用の海底光リンクであって、前記第1ノードと前記第2ノードの少なくとも一方は海底光中継器であり、前記海底光リンクは、
前記第1ノードにおけるまたは隣接する前方ラマンポンプと;
光励起増幅器と;
前記前方ラマンポンプを前記光励起増幅器に相互接続する第1ファイバスパンであって、前記第1ファイバスパンは、前記前方ラマンポンプが前方光パワーを前記第1ファイバスパンに注入することによって、前記第1ファイバスパン内で前方ラマン増幅を行わせ、且つ前記第1ファイバスパンは、前記前方ラマン増幅の後に残存する注入された前記前方光パワーの残留量が前記前方光励起増幅器を駆動するために使用されうるようにすることと;
前記第2ノードにおけるまたは隣接する後方ラマンポンプと;
前記後方ラマンポンプを前記光励起増幅器に相互接続する第2ファイバスパンであって、前記第2ファイバスパンは、前記後方ラマンポンプが後方光パワーを前記第2ファイバスパンに注入することによって、前記第2ファイバスパン内で後方ラマン増幅を行わせ、且つ前記第2ファイバスパンは、前記後方ラマン増幅の後に残存する注入された前記後方光パワーの残留量が前記光励起増幅器をさらに駆動するために使用されうるようにすることと
を備えることを特徴とする、海底光リンク。
【請求項21】
前記第1ファイバスパンにおける前記前方ラマン増幅のオン/オフ利得は、少なくとも1dBであり、
前記第1ファイバスパンにおける前記前方ラマン増幅のオン/オフ利得は、少なくとも3dBである、
請求項20記載の海底光リンク。
【請求項22】
前記第1ノードは、前記注入された前方光パワーに関するデータである前方光パワーデータを変調するように構成されたデータ変調モジュールを備え、
前記第2ノードは、前記第2ノードに達する前記前方光パワーデータを取り込むように構成されたデータ復調モジュールを備える、
請求項20記載の海底光リンク。
【請求項23】
前記第2ノードは、前記注入された後方光パワーに関するデータである後方光パワーデータを変調するように構成されたデータ変調モジュールを備え、
前記第1ノードは、前記第1ノードに達する前記後方光パワーデータを取り込むように構成されたデータ復調モジュールをさらに備える、
請求項20記載の海底光リンク。
【請求項1】
光通信システムにおける第1ノードと第2ノードの間の通信用の海底光リンクであって、前記第1ノードまたは前記第2ノードの少なくとも一方は、海底光中継器であり、前記海底光リンクは、
前記第1ノードにおけるまたは隣接する前方ラマンポンプと;
前方光励起増幅器と;
前記前方ラマンポンプを前記前方光励起増幅器に相互接続する第1ファイバスパンであって、前記第1ファイバスパンは、前記前方ラマンポンプが前方光パワーを前記第1ファイバスパンに注入することによって、前記第1ファイバスパン内で光信号の前方ラマン増幅を行わせ、且つ前記第1ファイバスパンは、前記前方ラマン増幅の後に残存する注入された前記前方光パワーの残留量の一部が前記前方光励起増幅器を駆動することによって前記光信号をさらに増幅するために使用され、前記第1ファイバスパンにおける前記前方ラマン増幅のオン/オフ利得は、少なくとも1dBであることと;
前記第2ノードにおけるまたは隣接する後方ラマンポンプと;
後方光励起増幅器と;
前記後方ラマンポンプを前記後方光励起増幅器に相互接続する第2ファイバスパンであって、前記第2ファイバスパンは、前記後方ラマンポンプが後方光パワーを前記第2ファイバスパンに注入することによって、前記第2ファイバスパン内で前記光信号の後方ラマン増幅を行わせ、且つ前記第2ファイバスパンは、前記後方ラマン増幅の後に残存する注入された前記後方光パワーの残留量の一部が前記後方光励起増幅器を駆動することによって前記光信号を増幅するために使用され、前記第2ファイバスパンにおける前記後方ラマン増幅のオン/オフ利得は、少なくとも5dBであることと
を備えることを特徴とする、海底光リンク。
【請求項2】
前記前方光励起増幅器と前記後方光励起増幅器は、互いに独立した光励起増幅器である、
請求項1記載の海底光リンク。
【請求項3】
前記前方光励起増幅器と前記後方光励起増幅器の少なくとも一方は、希土類ドープファイバ増幅器である、
請求項2記載の海底光リンク。
【請求項4】
前記前方光励起増幅器と前記後方光励起増幅器の少なくとも一方は、エルビウムドープファイバ増幅器である、
請求項2記載の海底光リンク。
【請求項5】
前記海底光リンクはさらに、前記前方光励起増幅器と前記後方光励起増幅器を相互接続する第3ファイバスパンを備え、
前記第3ファイバスパンは、前記前方光励起増幅器によって増幅される前記光信号を、前記光信号が前記後方光励起増幅器によって増幅されるために前記後方光励起増幅器に伝送し、
前記第1ファイバスパンは、65μm2よりも大きい有効断面積を有するファイバであり、
前記第3ファイバスパンは、65μm2よりも大きい有効断面積を有するファイバであり、
前記第2ファイバスパンは、65μm2よりも小さい有効断面積を有するファイバである、
請求項2記載の海底光リンク。
【請求項6】
第1光結合メカニズムは、逆の信号経路における後方光励起増幅器を駆動するために使用されるように前記前方光励起増幅器を駆動した後に、残存する注入された前記前方光パワーの一部を進路変更するように構成され、
第2光結合メカニズムは、逆の信号経路における前方光励起増幅器を駆動するために使用されるように前記後方光励起増幅器を駆動した後に、残存する注入された前記後方光パワーの一部を進路変更するように構成される、
請求項2記載の海底光リンク。
【請求項7】
前記第1光結合メカニズムは、前記逆の信号経路から前記前方光励起増幅器に注入された後方光パワーの一部をさらに進路変更し、
前記第2光結合メカニズムは、前記逆の信号経路から前記後方光励起増幅器に注入された前方光パワーの一部をさらに進路変更する、
請求項6記載の海底光リンク。
【請求項8】
前記第1ファイバスパンと前記第2ファイバスパンとを通じて進む光信号は、波長が1550nmよりも大きい複数の波長分割光信号または高密度波長分割光信号を有し、
複数の前記波長分割光信号または高密度波長分割光信号の少なくとも一方は、1567nmよりも大きい波長を有する、
請求項1記載の海底光リンク。
【請求項9】
前記海底光リンクはさらに、前方ラマン増幅と後方ラマン増幅とのうちの少なくとも一方のために提供される光ポンプパワーを調整することによって、利得の波長依存性を調整するように構成された傾斜制御メカニズムを備える、
請求項8記載の海底光リンク。
【請求項10】
前記第1ファイバスパンと前記第2ファイバスパンと通じて進む光信号は、複数の波長分割光信号または高密度波長分割光信号を有し、
その少なくとも一方は、1567nmよりも大きい波長を有する、
請求項1記載の海底光リンク。
【請求項11】
前記第1ノードは、海底光中継器であり、
前記第1ノードは、光パワーを放出する光パワーソースと、前記海底光リンクにおいて前記前方ラマン増幅に使用される放出された前記光パワーを分布させる光パワー分布メカニズムと、隣接する海底光リンクにおける後方ラマン増幅と、前記海底光中継器におけるディスクリート増幅とをすべて同じ信号方向で備える、
請求項1記載の海底光リンク。
【請求項12】
前記光パワー分布メカニズムは、前記放出される光パワーの周波数特性が維持されるように前記放出される光パワーが分布するように構成される、
請求項11記載の海底光リンク。
【請求項13】
前記光パワーソースは、分布フィードバックレーザを備える、
請求項11記載の海底光中継器。
【請求項14】
前記ディスクリート増幅は、エルビウムドープファイバ増幅器を用いて実施され、
放出された前記光パワーは、1400から1525nmの波長範囲にある、
請求項11記載の海底光リンク。
【請求項15】
前記光パワー分布メカニズムによって、放出された前記光パワーの少なくとも一部は、逆の信号経路において一つ以上の利得段の光学的駆動に使用されうる、
請求項14記載の海底光リンク。
【請求項16】
前記光パワー分布メカニズムは、両信号方向におけるすべての光ポンプに少なくとも部分的なポンプ冗長性を提供する冗長光ポンプを備える、
請求項14記載の海底光リンク。
【請求項17】
放出された前記光パワーは、1480nmの波長において20nm以内にある、
請求項14記載の海底光リンク。
【請求項18】
一つの信号方向に対して放出された前記光パワーの全光ポンプパワーは、600mW未満である、
請求項14記載の海底光リンク。
【請求項19】
前記海底光リンクにおける光路の全長は、90km以上である、
請求項1記載の海底光リンク。
【請求項20】
光通信システムにおける第1ノードと第2ノードの間の通信用の海底光リンクであって、前記第1ノードと前記第2ノードの少なくとも一方は海底光中継器であり、前記海底光リンクは、
前記第1ノードにおけるまたは隣接する前方ラマンポンプと;
光励起増幅器と;
前記前方ラマンポンプを前記光励起増幅器に相互接続する第1ファイバスパンであって、前記第1ファイバスパンは、前記前方ラマンポンプが前方光パワーを前記第1ファイバスパンに注入することによって、前記第1ファイバスパン内で前方ラマン増幅を行わせ、且つ前記第1ファイバスパンは、前記前方ラマン増幅の後に残存する注入された前記前方光パワーの残留量が前記前方光励起増幅器を駆動するために使用されうるようにすることと;
前記第2ノードにおけるまたは隣接する後方ラマンポンプと;
前記後方ラマンポンプを前記光励起増幅器に相互接続する第2ファイバスパンであって、前記第2ファイバスパンは、前記後方ラマンポンプが後方光パワーを前記第2ファイバスパンに注入することによって、前記第2ファイバスパン内で後方ラマン増幅を行わせ、且つ前記第2ファイバスパンは、前記後方ラマン増幅の後に残存する注入された前記後方光パワーの残留量が前記光励起増幅器をさらに駆動するために使用されうるようにすることと
を備えることを特徴とする、海底光リンク。
【請求項21】
前記第1ファイバスパンにおける前記前方ラマン増幅のオン/オフ利得は、少なくとも1dBであり、
前記第1ファイバスパンにおける前記前方ラマン増幅のオン/オフ利得は、少なくとも3dBである、
請求項20記載の海底光リンク。
【請求項22】
前記第1ノードは、前記注入された前方光パワーに関するデータである前方光パワーデータを変調するように構成されたデータ変調モジュールを備え、
前記第2ノードは、前記第2ノードに達する前記前方光パワーデータを取り込むように構成されたデータ復調モジュールを備える、
請求項20記載の海底光リンク。
【請求項23】
前記第2ノードは、前記注入された後方光パワーに関するデータである後方光パワーデータを変調するように構成されたデータ変調モジュールを備え、
前記第1ノードは、前記第1ノードに達する前記後方光パワーデータを取り込むように構成されたデータ復調モジュールをさらに備える、
請求項20記載の海底光リンク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−518340(P2012−518340A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550291(P2011−550291)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/024162
【国際公開番号】WO2010/093974
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(507282163)エックステラ コミュニケーションズ,インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/024162
【国際公開番号】WO2010/093974
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(507282163)エックステラ コミュニケーションズ,インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】
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