説明

浸透、解像度及びフレームレートの自動制御を有する超音波画像診断システム

画像解像度とフレームレートとの間のバランス(Res/Speed)及び画像解像度と浸透との間のバランス(Pen/Gen/Res)が、画像内容に応じて自動的に調整される超音波画像診断システム及び方法が与えられる。動き検出器は、連続する画像間の相対的な動きを解析する。動き内容が相対的に高い場合、撮像パラメータは、相対的に大きいフレームレート及び低減された解像度を優先して変更される。低い動き内容は、反対の調整をもたらす。更に、連続する画像間の電子ノイズが計算され、遠距離場における相対的に高いノイズ内容(低い相関関係)は、結果的に、送信周波数を下げることによって浸透に対する調整をもたらす。相対的に低いノイズ内容は、高められる解像度を優先する調整をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断システム、特に、最適な組織浸透、イメージングフレームレート及び画像解像度について超音波イメージングを自動的に制御する画像診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像診断アプリケーションは、経験されるイメージング条件が大きく異なりうる。例えば胎児の心臓をイメージングするとき、ディスプレイの高いフレームレートが、速く鼓動する心臓の詳細を正確にイメージングするために必要とされる。肝臓の腫瘍の診断のような他のアプリケーションでは、高いフレームレートは必要でないが、高い画像品質(解像度)が概して好ましい。あるケースでは、診断される病変は、患者の身体内の深くにありうる。他のケースでは、病変は、皮膚の真下にありうる。これらの大きく異なる条件は、超音波検査士が所与の検査について最善の画像を得るために、超音波システム上の多種多様な設定を頻繁に変更しなければならないことを意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
新たな検査のためにシステムをセットアップするために操作される必要がある超音波システ設定の数を最小限にすることが望ましい。特に、可能な場合には、超音波システムの手動設定の多くが自動化されることが望ましく、それによって、超音波システムは、実施されている検査に基づいてシステムの動作設定を自動的に最適化する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の原理により、最も頻繁に使われるユーザ設定であるRes/Speed制御及びPen/Gen/Res制御のうちの2つを自動化する超音波画像診断システムが、記述される。Res/Speed制御は、例えば画像ライン密度、マルチラインオーダー及び焦点ゾーンの数のような撮像パラメータを変えることによって、画像品質(解像度、resolution)とフレームレート(スピード、speed)との間のトレードオフを調整する。Pen/Gen/Res制御は、例えば送信及び受信周波数のような撮像パラメータの制御を通じて、画像解像度と超音波の浸透深さとの間のトレードオフを調整する。例示される実施例において、これらの制御の設定は、撮像されている解剖学的構造における動き及び/又はノイズの量を検知することによって、自動化される。検知された画像の動き及び/又はノイズに応じて、関連する画像パラメータが、これらの競合するファクタの賢明なバランスである画像を取得するために自動的に変えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
まず図1を参照して、本発明の原理に従って構成される超音波画像診断システムが、ブロック図の形式で示されている。超音波走査ヘッド12は、超音波パルスを送受信する超音波トランスデューサのアレイ14を有する。アレイは、2次元イメージングのために1次元の線形又はカーブしたアレイでありえ、又は3次元の電子ビームステアリングのためにトランスデューサ素子の2次元マトリックスであってもよい。アレイ14における超音波トランスデューサは、超音波エネルギーを送信し、この送信に応じて戻ってくるエコーを受信する。送信周波数制御回路20は、アレイ14の超音波トランスデューサに結合される送信/受信(「T/R」)スイッチ22を通じて、所望の時間及び所望の周波数又は周波数帯での超音波エネルギーの送信を制御する。トランスデューサアレイが信号を送信するために活性化される時間は、内部システムクロック(図示せず)に同期されることができ、又は心周期のような身体の関数に同期されることができる。後者の場合、心周期波形は、ECG装置26によって提供される。心拍が、ECG装置26によって提供される波形によって決められるその周期の所望のフェーズにあるとき、走査ヘッドは、超音波画像を取得するよう命じられる。走査ヘッド12によって送信される超音波エネルギーは、画像フィールドにおけるコントラスト剤を破壊し又は崩壊させる相対的に高いエネルギー(高いメカニカルインデックスすなわちMI)でありえ、又はコントラスト剤を実質的に崩壊させずにコントラスト剤からのエコーの戻りを可能にする相対的に低いエネルギーでありえる。送信周波数制御回路20によって生成される超音波エネルギーの周波数及び帯域幅は、制御信号ftrによって制御される。所望の方向に超音波ビームをステアリングし、フォーカスするためにアレイの個別の素子が駆動される時間は、制御信号Tstによって制御される。両方の制御信号は、中央制御装置28によって生成される。
【0006】
送信された超音波エネルギーからのエコーは、アレイ14のトランスデューサによって受け取られる。トランスデューサは、エコー信号を生成し、エコー信号は、T/Rスイッチ22を通じて結合されるとともに、システムがデジタルビームフォーマを使用する場合にアナログデジタル(「A/D」)コンバータ30によってデジタル化される。アナログビームフォーマが使用されてもよい。A/Dコンバータ30は、中央制御装置28によって生成される信号fによって制御されるサンプリング周波数で、受信されたエコー信号をサンプリングする。サンプリング理論によって要求される所望のサンプリングレートは、受信される通過帯域の最大周波数の少なくとも2倍であり、少なくとも30−40MHzのオーダーでありうる。必要最小限よりも高いサンプリングレートも望ましい。
【0007】
アレイ14の個別のトランスデューサからのエコー信号サンプルは、ビームフォーマ32によって遅延され、合計されることにより、制御信号Rstによって指定される所望のビームステアリング方向にコヒーレントエコー信号を形成する。デジタルコヒーレントエコー信号は、デジタルフィルタ34によってフィルタリングされる。この実施例において、送信周波数及び受信器周波数は、個別に制御され、従って、ビームフォーマ32は、送信される周波数帯のものとは異なる周波数の帯域を自由に受け取ることができる。デジタルフィルタ34は、信号のバンドパスフィルタリングを行い、周波数帯域を、より低い又はベースバンド周波数レンジにシフトすることもできる。デジタルフィルタは、米国特許第5,833,613号明細書に開示されているタイプのフィルタでありえる。
【0008】
組織からのフィルタリングされたエコー信号は、通常のBモード処理のために、デジタルフィルタ34からBモードプロセッサ36に結合される。Bモード画像は、更に、非破壊の超音波イメージングパルスに応じて戻ってくるマイクロバブルエコーから生成されることができる。
【0009】
例えばマイクロバブルのようなコントラスト剤のフィルタリングされたエコー信号は、コントラスト信号プロセッサ38に結合される。コントラスト信号プロセッサ38は、好適には、パルス反転技法によって高調波コントラスト剤から戻ってくるエコーを分離する。この場合、画像位置への複数パルスの送信によって生じるエコーは、基本信号成分をキャンセルし、高調波成分を強めるように組み合わせられる。好適なパルス反転技法は、例えば米国特許第6,186,950号明細書に記述されている。高調波コントラスト信号の低いMIでの検出及びイメージングは、米国特許第6,171,246号明細書に記述されている。
【0010】
デジタルフィルタ34からのフィルタリングされたエコー信号は、更に、速度及びパワードップラー信号を生成するために、通常のドップラー処理を行うドップラープロセッサ40に結合される。これらのプロセッサの出力は、プラナー画像として表示されることができるとともに、更に、3次元画像のレンダリングを行う3D画像レンダリングプロセッサ42に結合される。3次元画像は、3D画像メモリ44に記憶される。3次元レンダリングは、米国特許第5,720,291号、同第5,474,073号及び同第5,485,842号明細書に記述されるように実施されることができ、これらの文献のすべての内容は、参照によって本願明細書に盛り込まれる。
【0011】
コントラスト信号プロセッサ38、Bモードプロセッサ36及びドップラープロセッサ40からの信号、及び3D画像メモリ44からの3次元画像信号は、Cineloopメモリ48に結合され、Cineloopメモリ48は、多数の超音波画像の各々について画像データを記憶する。画像データは、好適には、Cineloopメモリ48に組で記憶され、画像データの各々の組は、個々の時間に取得された画像に対応する。複数の心拍の各々の間に同時に取得された画像に関する画像データの組が、同様にCineloopメモリ48に記憶されることが好ましい。グループの画像データは、心拍の間の個々の時間における組織灌流を示すパラメトリック画像を表示するために使用されることができる。Cineloopメモリ48に記憶される画像データのグループは、ビデオプロセッサ50に結合され、ビデオプロセッサ50は、ディスプレイ52上に表示するために対応するビデオ信号を生成する。ビデオプロセッサ50は、好適には残存処理を含み、それによって、例えば米国特許第5,215,094号明細書に記述されるように、検出されたコントラスト剤の瞬間的な強度ピークが、画像において維持されることができる。
【0012】
本発明の原理により、動き/ノイズプロセッサ46が、画像フィールドにおけるオブジェクトの動き及び/又はノイズを検出するために設けられる。これは、例示される実施例において、例えばより詳しく以下に記述されるピアソンの相関のような相関プロセスによって果たされる。相関プロセスの結果が比較される基準は、後述されるようなユーザインタフェース150上の制御機構のユーザ調整によりRes/Speed制御機構又はPen/Gen/Res制御機構のいずれか又は両方を設定することによって決定される。画像フィールドにおける動き及び/又はノイズの検出の結果は、Res/Speed制御機構及びPen/Gen/Res制御機構のいずれか又は両方の設定を自動的に調整するために使用される。調整は、動き及び/又はノイズの検出の結果に応じて撮像パラメータを調整することによって、よりはっきりしたより良好な解像された画像を提供するように超音波システムの動作を最適化する。
【0013】
Res/Speed制御機構及びPen/Gen/Res制御機構の例が、図2に示されている。これらの制御機構は、制御パネル上のハードウェアノブ又はスライダでありえるが、この実施例では、制御機構は、超音波ディスプレイ52の画面上にソフトウェアによって生成される表示制御機構である。制御機構は、さまざまな形状及び色で表示されるダイヤル又はメータ又は他のグラフィクスとして表示されることができ、質的又は量的な設定のいずれも有することができる。この実施例においては、両方とも質的なバー表示60である。Res/Speed制御機構62は、Res(最大解像度)とSpeed(最大フレームレート)との間で可変であり、それらの間にこれらの最大設定の比がある。Pen/Gen/Res制御機構64は、Pen(最大浸透)とRes(最大画像解像度)との間で可変であり、それらの間のこれらの最大設定の比は、公称の一般の設定「Gen」を中心とする。各制御機構の現在設定の影響は、バーのマーカ66によって示され、マーカ66は、超音波画像に現在適用されている効果的な設定に従って配置される。矢印68は、制御機構の設定を手動で設定するために、例えば制御パネル150上のトラックボール、キー又はマウスのようなユーザポインティングデバイスによって調整されることができる。
【0014】
Res/Speed制御機構及びPen/Gen/Res制御機構は、手動制御又は自動制御のいずれに関しても、独立して設定されることができる。制御機構が、手動制御に関して設定される場合、その設定は、ユーザの手動操作によって調整されることができるだけである。制御機構が手動制御に関して設定される場合、そのマーカ66は、灰色表示され、ユーザが制御機構設定を変えるために矢印を調整するに従って、常に位置を調整される矢印68と並んで動く。制御機構が、自動動作に関して設定される場合、そのマーカ66は、明るく表示され、矢印68及びマーカは、独立して動くことができる。ユーザが、自動モードにおいて矢印68を手動で調整するとき、画像は、手動の変更に応じて変化し、マーカ66は、矢印の最後の設定に一致して並ぶ。矢印の手動制御が解放されると、自動動作が始まる。画像フィールドの動き及び/又はノイズの特性が検出され、Res/Speed制御機構及び/又はPen/Gen/Res制御機構の適当な自動設定を決定するために使用されるとき、マーカ66は、自動制御からもたらされる現在設定を示すために、自動的に移動する。ユーザは、一見して、自動設定がユーザの最後の手動設定からどのように変化したかを知ることができ、画像フィールドにおいて検出された動き及びノイズに対する制御機構の設定の応答を知ることができる。
【0015】
ユーザが、制御機構の自動動作の応答に不満である場合、ユーザは、制御機構の矢印68の位置を設定しなおすことができる。自動動作中に矢印を設定しなおすことにより、制御機構の個々のパフォーマンスファクタのバランスを設定しなおし、更に、後述する自動調整が行われる態様をも調整する。例えば、ユーザが、より高い解像度(Res)の方へ矢印を設定しなおす場合、以降の自動調整は、より大きいRes設定に向かう方向への変更をより大いに優先することができる。従って、制御機構の手動調整矢印を設定しなおすことにより、自動システムが、解像度、フレームレート及び浸透深さの競合する影響をバランスする程度を調整することができる。
【0016】
動き検出能力は、さまざまな目的のために超音波システムにおいて見られることが多い。例えば米国特許第5,529,070号(Augustine他)及び米国特許第5,538,004号(Bamber)明細書に記述されるもののように、さまざまなセンサが、超音波プローブの動きを検出するために使用されている。更に、米国特許第6,299,579号(Peterson他)、同第6,238,345号(Wissler他)、同第6,117,081号(Jago他)、同第5,782,766号(Weng他)、同第5,575,286号(Weng他)、同第5,566,674号(Weng)、同第5,899,861号(Freimel他)、同第5,910,114号(Nock他)明細書、及び国際公開第00/24316号パンフレット(Hossack他)に記述されるように、動きは、連続するリアルタイム画像を比較することによって検知されることもできる。これらの文献に記述される動き検知又は画像アライメント技法は、パノラミック画像を生成し又は画像から動きの歪みを除去するために個別の画像の位置合わせをするような目的のために使用される。これらの技法の任意のものが、本発明の自動化されたシステムにおいて使用されることができる。本発明の実施例において、動き又はアラインメント情報は、Res/Speed設定を調整するために使用される。動きが相対的に小さいとき、より高い画像品質及びより低いフレームレート設定が用いられ、動きが相対的に大きいとき、より低い画像品質及びより高いフレームレートが用いられる。
【0017】
本発明の自動化された制御機構の実施例は、例えば図3の画像70のような超音波画像のシーケンスから始めることができる。各画像は、例えば8ピクセル×8ピクセル又は16ピクセル×16ピクセルのような予め決められたピクセルサイズの複数のブロック72に分析的に分割される。矩形の画像の場合、ブロックは、直線で囲まれた格子パターンで配置されることができる。図3の画像70のようなセクタ画像の場合、ブロックは、セクタの湾曲に従って曲線−直線の形に配置されることができる。動きは、図4に示すように、連続する画像の対応するブロック間で計算される。この図において、ある時間ポイントに取得されるImg 1のピクセルのブロック82は、異なる時間ポイントに取得される画像Img 2の対応するブロック84の近傍のものと比較される。次の動き計算は、Img 2のブロック84及び別の時間ポイントに取得される画像Img 3の対応するブロック86を使用する。各ブロックについて、動きベクトルは、2つのピクセルパターンの間の最大のピアソン相関を求めることによって導き出されることができる。この計算の式は、以下の通りである。
【数1】

【0018】
ここで、I(x,y)は、座標(x,y)におけるピクセル強度であり、インデックスt1及びt2は、異なる時間ポイントにおける画像フレームを示し、

は、ピクセルブロックの平均強度であり、(d,d)は、2つの画像フレーム間の局所的な動きの大きさ(距離)及び方向である。相関値ρは、動きベクトル(d,d)の信頼性を示す。
【0019】
複数のブロックについての動きベクトル及び/又は相関係数が、調べられる。ブロックの全てについて動きベクトル及び/又は相関係数が、調べられることができ、又は画像70の中央のブロックのようなブロックの選択された組だけが、使用されることができる。動きベクトルの大きさが、ほとんどのブロックについて大きい場合、又は相関値ρが、ほとんどのブロックについて小さい場合、フレームレートが、ResからSpeedに向けてRes/Speed制御機構の設定をインクリメントすることによって増やされる。動き/ノイズプロセッサ46から中央制御装置28に結果的に送られるコマンドは、中央制御装置に、フレームレートを増やす態様で、プローブ12に対するコマンドを変更させる。これを行う1つのやり方は、ビームステアリングパラメータTstに対する変更を通じて、隣接するビーム間のビームステアリングの角度又は間隔を増大させることである。より広い間隔をあけられたビームを用いる場合、より少ないビームが、プローブによってスキャンされる領域又はボリュームに送信され、それによってフレームレートを増加させる。すなわち、フレーム又はボリュームを取得するために送受信すべきビームが少ないほど、画像領域は、より短い時間でスキャンされることができる。ビーム間隔の増大は、画像領域又はボリュームの空間サンプリングを減少させ、それに対応して画像解像度の低下をもたらす。これを行う別のやり方は、マルチラインオーダーを増やすことである。送信ビームに応じて1又は2の受信ビームを受け取る代わりに、点広がり関数が、より少ない数の送信ビームの各々に応じて2又は4の受信ビームを受信するように変更されることができる。更に別の可能性は、画像の焦点ゾーンの数を低減することである。例えば、連続する焦点ゾーンの各々の対は、1つの焦点ゾーンに結合されることができ、焦点は、2つの元のゾーンの境界に設定される。このように、Res/Speed設定は、フレームレート(Speed)を増やすが画像解像度(Res)を低下させる傾向がある方向において、調整される。
【0020】
これに対応して、動きベクトルの大きさが、ほとんどのブロックについて小さく、又は相関値ρが、ほとんどのブロックについて高く、画像間でほとんど動きを示さない場合、画像品質が、SpeedからResに設定を変更することによって高められる。動きプロセッサ46から中央制御装置28へのコマンドは、受信ビームパラメータRstの変更によって適切に受け取られる、より密に間隔をあけられたより多くの送信ビームを送信するために、ビームステアリングパラメータTstを変更することによって、ビーム密度を増加させる。マルチラインオーダーは、例えばより多くの送信ビームについて、4から2又は2から1に低減されることができる。焦点ゾーンの数は、1又は複数の現在焦点ゾーンを2に分割することによって増やされることもできる。これらの変更はすべて、画像解像度(Res)を増やしフレームレート(Speed)を低下させる傾向がある方向において、Res/Speed設定の調整を果たす。
【0021】
これらの調整が行われるとき、マーカ66の位置は、それに応じてRes/Speedバー62において変更される。これは、一般に、動き/ノイズプロセッサ46からグラフィックプロセッサ(図示せず)に送られるマーカ用の値を変更することによって行われる。グラフィックプロセッサは、超音波画像と共に表示するためにRes/Speed制御機構のグラフィックオーバーレイを処理する。
【0022】
同様の方法が、画像の信号/ノイズの関数として、Pen/Gen/Res制御機構64の設定を自動的に調整するために使用されることができる。図5は、純粋なスペックル像の動きとの非相関性を示している。このプロットは、プラナーイメージングプローブが上昇方向に移動するときの相関関係の変化からなる。プラナーイメージングプローブが上昇方向に移動し、画像平面が上昇方向に移動するにつれて、スペックル情報は、画像全体にわたって非相関化し始める。図5において、X軸は、プローブの移動の距離をmmで示し、Y軸は、画像間の相関関係を示す。それぞれ異なる曲線は、ボックス94の説明によって示されるさまざまな異なる画像深さにおける相関関係の変化を表す。相関関係は、画像深さに依存して、それぞれ異なるレートで変化することが分かる。画像平面が移動するとき、近距離場及び中距離場の深さについて90で示される実線カーブは、相関関係の滑らかな減少を示し、相関関係は、距離の増加と共に徐々に減少する。しかしながら、遠距離場(より大きい深さ)について92で示される破線の曲線は、距離の小さい変化に伴う急な落ち込みによって特徴付けられ、そののち、より段階的な減少が続く。相関関係のこの大きい初期の落ち込みは、遠距離場における電子ノイズ(信号/ノイズ)の非相関性によって引き起こされると考えられ、イメージング浸透に直接関連する。相関関係の急な落ち込みに対する応答は、例えば送信周波数を低下させることによって又は高調波周波数受信から基本周波数受信に切り換えることによって、Pen/Gen/Res設定を増加する浸透(Pen)の方へ調整することである。比較として、米国特許第6,458,083号(Jago他)及び同第6,283,919号(Roundhill他)の明細書を参照されたい。動き補償を通じて連続する画像フレームの位置合わせを行い、画像の非相関性を計算することによって、適当な調整が、最適なイメージング浸透によって最善の画像解像度を描画するために、Pen/Gen/Res制御機構に対して行われることができる。臨床医が、スキャニング中に頻繁にイメージング深さを変更するとき、この機能は特に有用である。
【0023】
再び図3及び図4に戻って、相関関係は、連続する画像の複数のピクセルブロック72について計算される。遠距離場の相関関係は、近距離及び/又は中距離場の相関関係又は画像全体の相関関係と比較される。相関関係が、遠距離場において相対的に低く、相関関係が、他の場所で相対的に高い場合、浸透は、Res又はGenからPenの方へPen/Gen/Res制御機構を調整することによって増加される。これは、動き/ノイズプロセッサ46から中央制御装置28へのコマンドをもたらし、それによって、中央制御装置は、動作周波数の変更を命じる。これは、送信周波数パラメータftrをより低い送信周波数に変更することによって、デジタルフィルタ34の通過帯域を低下させることによって、又はこれら2つの組み合わせによって、行われることができる。混合された基本/高調波情報が、遠距離場において使用される場合、2つのタイプの信号内容の混合比は、より多くの基本信号周波数内容を優先して調整されることができる。代替例として、より多くのパルスが、各々のビーム方向に送信され、より大きな信号平均が用いられることもできる。これに対応して、Pen/Gen/Res制御バー64のマーカ66は、表示されたグラフィック上の制御機構のPenエンドの方へ調整される。
【0024】
同様に、相関関係が、画像全体にわたって相対的に高く、すなわち遠距離場において特に低くない場合、動作周波数は、解像度を高めるために増大されることができ、Pen/Gen/Res制御機構は、Pen又はGenからResの方へ調整される。動きプロセッサは、送信周波数パラメータftrの値を高めることによって、デジタルフィルタ34の通過帯域を増大させることによって、又はこれらの両方によって、動作周波数を増大させるように、中央制御装置28に命じる。混合された基本/高調波情報が、遠距離場において使用される場合、2つのタイプの信号内容の混合比は、より多くの高調波信号周波数内容を優先して調整されることができる。Resの方への対応する調整が、Pen/Gen/Res制御機構64に表示されるマーカ66に対して行われる。
【0025】
本発明の一実施例において、より効率的な計算が、より少ないピクセルブロック72及び差分絶対和(SAD)アルゴリズムを使用することによって得られることができる。米国特許第6,442,298号(Olsson他)明細書を参照されたい。連続する画像の対応するピクセルブロックは、2つの画像間の時間間隔にわたるブロックからブロックまでの動き(移動)ベクトルを計算するために比較されることができる。このベクトルを使用して、画像の一方が、局所的に又は全体的に、他方の画像に関してワープされる(位置合わせされる)。米国特許第5,566,674号(Weng)明細書を参照されたい。このアラインメントは、プローブ又は組織の動きによる画像間の非相関性を低減し、信号/ノイズ(電子ノイズ)ファクタを非相関的な効果とする。アラインメント計算において使用されるピクセルブロックの数は、必要に応じて、計算時間を短縮するために、以降の相関関係の分析において使用される数より少なくてよい。位置合わせされる又はワープされる画像の相関関係は、Pen/Gen/Res制御機構の設定を自動的に調整するために、上述したように計算される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の原理に従って構成される超音波画像診断システムを示すブロック図。
【図2】超音波システム上のRes/Speed制御機構及び超音波システム上のPen/Gen/Res制御機構の具体化を示す図。
【図3】動き解析のために画像サブ領域に分割された超音波セクタ画像を示す図。
【図4】連続する超音波画像における動きを解析するための方法を示す図。
【図5】連続する超音波画像における情報のタイプの相関関係を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波システムの画像解像度とリアルタイムフレームレートとの間の関係を自動的に調整する方法であって、
ある時間にわたって複数の超音波画像を取得するステップと、
時間的に異なる超音波画像間の相対的な動きを検知するステップと、
検知される相対的に小さい動きに応じて、前記画像解像度を高め、前記フレームレートを下げ、又は検知される相対的に大きい動きに応じて、前記画像解像度を下げ、前記フレームレートを上げるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記検知するステップは、時間的に異なる超音波画像のピクセル内容の相関関係を計算することを含み、
相対的に高い相関関係は、相対的に小さい動きに対応し、相対的に低い相関関係は、相対的に大きい動きに対応する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検知するステップは、プローブ運動検知装置により相対的な動きを検知することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記検知するステップは、連続する超音波画像の画像内容を解析することによって相対的な動きを検知することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記超音波システムが、画像解像度とフレームレートとの間の関係のRes/Speed表示機構を含み、
前記方法が、更に、前記画像解像度及び/又は前記フレームレートになされる変更に対応して、前記Res/Speed表示機構を自動的に調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記Res/Speed表示機構は、ユーザ調整可能な設定を含み、前記ユーザ調整可能な設定は、ユーザが、前記超音波システムの画像解像度とフレームレートとの間の関係を手動でバランスすることを可能にする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記Res/Speed表示機構の手動調整は、画像解像度とフレームレートとの間のバランスに対して以降の自動調整が行われる態様を調整する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フレームレートは、送信ビーム密度、マルチラインオーダー、焦点ゾーンの数、又は送信パルスの数のうち少なくとも1つを変更することによって変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記画像解像度は、画像フィールドの空間サンプリングを変更することによって変更される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
超音波システムの画像解像度と浸透深さとの間の関係を自動的に調整する方法であって、
ある時間にわたって複数の超音波画像を取得するステップと、
時間的に異なる超音波画像間の電子ノイズを計算するステップと、
相対的に少ない電子ノイズに応じて、前記画像解像度を高め、又は相対的に大きい電子ノイズに応じて、前記浸透を高めるステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記電子ノイズを計算する前記ステップは、連続的に取得された画像の領域間の電子ノイズの非相関性を計算することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電子ノイズを計算する前記ステップは、更に、遠距離場の信号の相関関係を、前記画像内の他の場所の信号の相関関係と比較することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記比較が、前記遠距離場における相対的に低い相関関係及び前記他の場所における相対的に高い相関関係を示す場合、前記超音波システムの動作周波数が自動的に下げられ、
前記比較が、前記遠距離場及び前記他の場所における相対的に高い相関関係を示す場合、前記超音波システムの前記動作周波数が自動的に上げられる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記画像解像度を高める前記ステップは、前記超音波システムの送信周波数又は受信周波数の少なくとも一方を上げることを含み、
前記浸透を高める前記ステップは、前記超音波システムの送信周波数又は受信周波数の少なくとも一方を下げることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記電子ノイズを計算する前に、前記時間的に異なる超音波画像の位置合わせを行うことを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記超音波システムが、画像解像度と浸透深さとの間の関係のPen/Gen/Res表示機構を含み、
前記方法が、解像度と浸透との間のバランスに対してなされる変更に対応して、前記Pen/Gen/Res表示機構を自動的に調整するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記画像解像度を高める前記ステップは、前記超音波システムの動作周波数を上げることを含み、
前記浸透を高める前記ステップは、前記超音波システムの動作周波数を下げることを含み、
前記Pen/Gen/Res表示機構を自動的に調整する前記ステップは、前記動作周波数が下げられる場合、前記表示機構をPenの方へ調整し、前記動作周波数が上げられる場合、前記表示機構をResの方へ調整することを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記Pen/Gen/Res表示機構を自動的に調整する前記ステップは、基本周波数動作が実施される場合に前記表示機構をPenの方へ調整し、高調波動作が実施される場合に前記表示機構をResの方へ調整することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記動作周波数は、送信周波数又は受信周波数の少なくとも一方を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
解像度と浸透との間のバランスに対する自動調整が行われる態様を調整するために、前記Pen/Gen/Res表示機構を手動で調整するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
アレイトランスデューサを含むプローブと、
前記アレイトランスデューサに駆動信号を与えるように結合される送信器と、
前記アレイトランスデューサによって受け取られる信号を処理するように結合される受信器と、
前記受信器に結合され、受け取られた超音波画像を表示するディスプレイと、
前記プロセッサに結合され、画像フィールドの相対的な動きを検知するセンサと、
画像解像度とフレームレートとの間の相対的なバランスを表すために前記ディスプレイ上に示される、前記センサに応答するRes/Speed表示機構と、
を有し、前記送信器は、前記超音波画像の前記フレームレートを調整するように前記センサに応答する、超音波画像診断システム。
【請求項22】
アレイトランスデューサを含むプローブと、
前記アレイトランスデューサに駆動信号を与えるように結合される送信器と、
前記アレイトランスデューサによって受け取られる信号を処理するように結合される受信器と、
前記受信器に結合され、受け取られた超音波画像を表示するディスプレイと、
前記プローブに結合され、画像フィールドの電子ノイズを検知するセンサと、
画像解像度と浸透との間の相対的なバランスを表すために前記ディスプレイ上に示される、前記センサに応答するPen/Gen/Res表示機構と、
を有し、前記送信器は、送信された前記駆動信号の浸透を調整するように前記センサに応答する、超音波画像診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−513726(P2007−513726A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544642(P2006−544642)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052697
【国際公開番号】WO2005/059586
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】