説明

液体を液滴の形で分注する装置

装置は、予め定められた一定量の液体を分注をすることができる。この装置は、液体が装置から流出するのを許容する液体開放位置と、液体が装置内に戻るのを阻止する逆流防止位置とを有しており、シール部材(14)は、分注用の液を計量するための計量手段(44,46)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め定められた一定量の又は「一回分」の分注を行うための技術分野に関する。より正確に、しかし排他的でなく言うと、本発明は、液滴の形の先眼液又は目薬のような液滴の形で分注する眼液に関連する。
【背景技術】
【0002】
このように分注を液滴の形で実行することを可能にする現状技術は既に公知である。一般に、装置の注入ヘッドの頂部は、液滴を形成するための容積形状を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、分注された液体の無菌性を向上させつつ、予め定められた一定量の液体を分注しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、本発明は、予め定められた一定量の液体を分注するための装置を提供する。この装置は、液体が装置から流出するのを許容する液体開放位置と、液体が装置内に戻るのを阻止する逆流防止位置とを備えており、シール部材は、分注用(注入用)の液体を計量するための計量手段を有しているものとする。
【0005】
通常、予め定められた一定量の液体は液滴とされる。逆流防止位置は、液体遮断位置と同じであることには注意するべきである。
【0006】
この供給手段によれば、シール部材によって、液体を計量するための手段がシール部材に直接設けられている。したがって、開放位置においてシール部材より開放される液体、つまり装置の「シール」領域から出た液体が、他の部品へと流れることなく、計量手段にへと直接的に導入される。シール部材によって液体が開放された後に、装置の他の部分に該液体が侵入するリスクは、このようにして減少する。実際、計量手段がシール部材以外の部品(例えば、装置の注入側の端部部品)に取り付けられている場合には、液体が、シール部材と計量手段との間を流れる間に装置の他の部品に侵入する。このような望まない領域への液体の侵入は、汚染(特にバクテリアの成長)の原因となる。このため、この種の危険を回避するために、シーリング確保のための特別な手段を提供することが必要である。
【0007】
加えて、計量手段をシール部材に組み込むことによって、汚染された液体を含むかもしれないデッドスペースを容易に減らすことができる。この種のデッドスペースは、シール領域(特に、容器及びシール部材によって区画される領域)と液滴を計量するための計量手段との間のスペースに対応している。計量手段がシール部材上に設けられているので、それらはシール領域の近傍に配設されて、それによって、デッドスペースを小さく保つことができる。また、デッドスペースをさらに低減するために、シール部材は可能な限りぴったりと部品に適合するように形成されている。さらに、シール部材は、通常、部分的に又は全体が可撓性部材により構成されるため、デッドスペースが剛体部品によって規定される場合に比べて、部品に対してぴったりと適合してスペースを容易に低減することができる。
【0008】
本発明は、以下の少なくとも一つの特徴を有するものであってもよい。
【0009】
上記シール部材を支持するとともに、凹部領域内に配設されて、装置が逆流防止位置をとることができるように、曲げ変形によって該シール部材を変形させるように機能する支持手段を備えている。
【0010】
上記シール部材は、その少なくとも一部が可撓性を有しており、上記装置は、装置が逆流防止位置をとることができるように、上記シール部材の可撓性部分を圧縮変形させるように機能し且つ該シール部材を支持する支持手段を備えている。
【0011】
上記計量手段は、液滴を形成するための手段である。
【0012】
装置は、液滴形成手段に開口する液体通過流路を備え、上記液滴形成手段は、前記流路から広がる末広がり形状部を有している。この末広がり形状部によって、ジェット状の液体が外部に噴霧されるのを回避することができる。
【0013】
末広がり形状部は、円筒形状部に開口している。この円筒形状により、形成される液滴の計量が可能となる。
【0014】
上記シール部材は、全体がエラストマにより構成されるエラストマ要素である。しかしながら、この部材は、異なる材料(例えば十分な可撓性を有するプラスチック材料)で構成してもよい。
【0015】
上記シール部材は、エラストマ部及び剛体部を有しており、上記各部は、互いに連動して移動可能に構成されている。剛体部分の存在によって、上記剛体部分がシール部材に付与される如何なる応力をも受け持つことが可能になり、エラストマ部の変形を回避しながら、時間が経過してもシール性を確保することができる。
【0016】
上記計量手段は、剛体部に形成されている。
【0017】
シール部材における計量手段が設けられた部分は、液体を装置から開放するための開口部近傍に配置される。
【0018】
本発明の単なる実施形態である以下の説明を図面を参照しながら読み進めることで、本発明についての理解がより一層深まる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る装置のシール部材がどのように作動するかについて示した線図である。
【図2】図2は、図1にて線図で示される装置の縦断面図である。
【図3】図3は、図2の変形例を示す図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
液体分注装置は、図2及び図3に示すように、端部部品10(それの実施例は)を有していて、プラスチック材料からなり分注用の液体を保持する容器に固定されている。装置は、予め定められた一定量の液体を、特に液滴の形で(例えば、洗眼液又は目薬として)、眼、鼻、口に使用することを可能にする。端部部品10は、容器12上に、より正確に言うと容器の首部12に固定されている。該容器は、液体を流出させるためにユーザにより絞り出すように設計されている。本実施形態では、容器12は、プラスチック材料により構成されていて、液体を流出させるためにユーザにより絞り出すように設計されている。他のタイプの容器、特に、グラス又は金属で構成された容器を使用することもできる。液体を絞り出すよりもユーザの動作によって、例えば、ポンプを作動させるための要素を押すことによって液体を開放(流出)させることもできる。
【0021】
端部部品10は、該端部部品10における第1部分16と第2部分18との間に配置されたシール部材14を有している。前記シール部材14又はシール弁は、図2及び図3に示すように、液体遮断位置又は逆流防止位置又は”阻止”位置(それらの位置では、シール領域を一端離れた液体が戻って来るのを阻止する)、及び液体開放位置を有している。好ましくは、部材14は、液体開放用開口部64(図3参照)の近傍において、端部部品10の先端部の近傍に配置されている。図1の線図から分かるように、シール部材14は、分注用の液体を計量するための計量手段44を有しており、この手段については以下に述べる。
【0022】
端部部品10は、図示しない閉塞蓋で覆われている。端部部品10の構成は、図2及び図3を参照して以下で詳細に記載される。図3の実施形態は、図2の実施形態の僅かな変形に対応している。図2において、シール部材14は、2つの部分34、36により構成されて、復帰スプリング15によって遮断位置に保たれる。これに対して、図3に示すシール部材14では、その全体がエラストマにより構成されていて、後述するように変形により遮断位置に維持される。
【0023】
図2に示すように、端部部品10の第1部分16は、実施的に円筒状をなすとともにコア16の先端部から突出する突出部19を有するインナーコア16である。前記突出部19は、その末端部にて、シール部材14を支持するための支持手段20を担持している。
【0024】
この例では、前記支持手段20は、シール部材を押圧支持するように設計された環状の突出部により構成されている。或いは、支持手段20は、突出部19の端部(該端部から突き出た部分を含まない)のみからなる。インナーコア16はまた、液体を容器から装置外へと通過させるための流路22、及び、コア16を容器12に接続するための接続部を備えている。端部部品10はまた、流出する液体の体積を補償できるように空気を容器内に通過させるための通気孔手段を備えている。この例では、通気孔手段は、インナーコア16によって担持される。それらは、流路24からなり、そこから空気が流出でき、また、それに交差して疎水性のフィルタ26が配置されている。このフィルタ26は、液体を流路24から逃がすことを可能にしつつ流入空気を濾過する。より正確に言うと、この例では、フィルタ26はフィルタを受け入れるためのハウジング28内に配設されている。このハウジング28は、コア16の中心部に配置された環状溝の形を有していて、この溝内にフィルタ26が嵌め込まれている。
【0025】
この例では、端部部品10の第2部分18は、端部部品10の外側ケーシングの最上部に一致している。この外側ケーシング18は、インナーコア16、シール部材14(少なくとも部分的に)、及びスプリング15を覆うように(蓋するように)設計されている。より正確に言うと、それは、開口部64に開口する中心環状溝によって形成された内部突出部30を備えていて、液体を装置外に流出可能に突出部18の先端部及びシール部材14を囲むように設計されている。ケース18はさらに、戻り要素15のために支持シート32を備えている。この支持シート32は、突出部30の周囲を囲むように配設されている。この例では、部材14の先端は、開口部64から僅かに突出していて、この先端を介して液体が送給される。供給は、この端部において、開口部64の表面に衝突するように、又は、端部部品10内に後戻りさせるように行われる。或いは、供給は、端部14が、ケース18の表面から突出するようになされる。それによって、液滴をケース18に対してより一層容易に分離することが可能になる。
【0026】
この例では、シール部材はエラストマ部34及び剛体部36からなる。部分34及び36は、互いにそれぞれと共に移動することを強いられる。例えば、部分34が移動すると、部分36もそれと共に移動するし、その逆に部分36が移動すれば部分34も移動する。この例では、部分34及び部分36は、オーバーモールドすることによって一緒に組み立てられる。しかし、他のタイプの組み立ても考えられる。エラストマ部34は、エラストマ材(例えばシリコーン又は熱可塑性エラストマ)により構成されている。剛体部36は、プラスチック材(例えばポリプロピレン)で構成されている。剛体部36は、戻り要素15のための座面38を備えている。図から分かるように、剛体部36は、エラストマ部34の全体を実質的に覆っている。エラストマ部34の領域40は、エラストマ部34が延ばされるように、エラストマ部の端部にてフリーの状態にされている。より正確に言うと、各部分、つまり、エラストマ部34、剛体部36は、中心円筒形状を備えたハット形状をなし、この形状は、コア16の突出部19の形状と実質的に補完的な形状をなしている。この円筒形状はつば部に隣接して延びている。このように、剛体部36は、表面40を除くエラストマ部34の表面の大部分を覆う。図から分かるように、各部分34、36の各々は、中心円筒形状の端壁に設けられた流路42を規定して、液体の流出を可能にする。加えて、シール部材14は、分注用の液体の計量のための計量手段44,46を備え、これらの手段は液滴を形成する手段を構成する。より正確に言うと、前記手段は、部材14の剛体部36に形成される。手段44は、流路42から始まるコーン状をなしており、装置の先端部に向かって拡大するように形成されている。このような方法により、液滴を形成して液体が噴流となるのを防止する。コーン44は、液滴を調整(検査、計量、調整)可能な円筒状部46に開口している。
【0027】
この例では、戻り要素15は、螺旋状の金属バネである。この要素15は、剛体部分36の表面38上に支持されてシール部材14の上で復元力を発揮する。このような方法で、シール部材14をその液体遮断位置に強制的に位置させる。
【0028】
図から分かるように、いかる液体も流路22からケース18内に逃げないように、シール部材14は、漏れのない方法で2つの部分16,18の間で固定されている。
【0029】
次に、図2の分注装置の動作について説明する。ユーザが装置を使用したいときに、前記ユーザは先ず装置から蓋(キャップ)を取り外す。液滴を分注するために、ユーザは装置を作動させる。それによって、容器内の圧力を増加させるとともに液体を流路22内に流入させて、このことにより、エラストマ部34に圧力を作用させる。この圧力の下、シール部材は、矢印48に示すように上方へ平行に移動することで、液体遮断位置から液体開放位置へと移動する。より正確に言うと、エラストマ部がこの方法で上方に移動するように、エラストマ部34の領域40が延ばされることにより変形する。この移動の終了後、シール部材14と協働する支持手段20により提供されるシール部が壊れて、液体が流路42を流通可能になり、液滴を形成するために部分44,46に流入する。液体の経路は、矢印50により示される。液滴が一旦リリースされると、ユーザは容器に圧力をかけるのを止めることができ、容器は、流路24を介して空気で満たされる。さらに、流出する液体からの圧力が止まるので、シール部材14は、要素15の復元力の効果の下、その液体遮断位置に再び戻る。このように、支持手段20及び部材14のエラストマ部分は、液体が流出するのを防止するべく再度、協働する。この遮断位置では、剛体部36に対する部分34の圧縮によって部材14が液体を遮断する。この圧縮は手段20によって実現される。
【0030】
記載された実施形態の変形も可能である点に留意するべきである。特に、戻り要素15は渦巻バネであるが、他のタイプの復帰スプリング、例えば金属又は他の材料(例えば、弾性ブレード又はエラストマ要素)からなるバネであってもよい。特に、前記戻り要素15は、エラストマ部34又は剛体部35に組み込むことによってシール部材に直接組み込まれるものであってもよいし、ケース18に組み込まれるものであってもよい。
【0031】
図2の装置の利点の中で、計量手段44,46は部材14に設けられているため、それらはもはや手段20の支持によって規定されるシール領域に近くないと理解することができる。さらに、前記計量手段は部材14上に直接配置されているため、仮に上記計量手段が部材14に対して固定されず又は部材14に対して一体でない部分(例えばケース18)上に配設されている場合に比べて、「汚れた」部分(シール領域の下流に位置する)への液体の浸透の可能性は低い。図2の実施形態では、計量手段は剛体部分36上に設けられており、これによれば、それらをエラストマ部34上に設けるよりも一様な計量が可能となる。しかしながら、それらをエラストマ部34上に設けることも考えられる。
【0032】
この実施形態における分注装置の他の効果の中で、特に、剛体部分36が、エラストマ部34のための一種の骨組を構成している。この骨組は、シール部材14の変形リスクを生じることなく、シール部材14に対する応力(圧力)を生じさせるのを容易化する。
【0033】
図3の変形例において、シール部材は、十分な可撓性を有し且つ完全に同じ材料からなるエラストマ又はプラスチック部材からなる要素であって、端部部品は如何なるバネをも有していない。この実施形態では、部材14は、装置内で変形するに連れて固定され、液体遮断を可能にする。部材14はハット形状を有しており、円筒形状部65とつば部66とを有している。このつば部の周囲部68は、固定されたシール性を確保するために、部分16と部分18との間に永久的に固定されている。この固定は、部材14を変形させることによって実現される。前記部材14は、突出部19に適合するように被せられ、部材14が突出部19(より正確には手段20)を押圧することを強いられるように変形する。図3に示される部材14の形状は、組み立て前の部材14の形状とは異なる。この部材14の押圧によって、遮断位置におけるシール性の確保が可能になっている。このように、図3に示される例では、部材14は、凹部領域内に配置された支持手段20により引き起こされる部材14の曲げ変形によって液体を遮断する。
【0034】
図3に示される実施形態において、計量手段44,46は、その全体がエラストマ要素14に設けられている。これらの手段44,46は、図2の手段に類似している。
【0035】
図3の装置は、図2の装置に類似して作動する。本発明は、上記実施形態に限定されない点に留意すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた一定量の液体を分注するための装置であって、
上記装置は、液体が装置から流出するのを許容する液体開放位置と、液体が装置内に戻るのを阻止する逆流防止位置とを備えており、
シール部材(14)は、分注用の液体を計量するための計量手段(44,46)を有していることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
上記シール部材を支持するとともに、凹部領域内に配設されて、装置が逆流防止位置をとることができるように、曲げ変形によって該シール部材(14)を変形させるように機能する支持手段(20)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の装置において、
上記シール部材は、その少なくとも一部が可撓性を有しており、
上記装置は、装置が逆流防止位置をとることができるように、上記シール部材の可撓性部分(34)を圧縮変形させるように機能し且つ該シール部材を支持する支持手段(20)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置において、
上記計量手段(44,46)は、液滴を形成するための手段であることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、
液滴形成手段(44,46)に開口する液体通過流路(42)を備え、
上記液滴形成手段は、前記流路(22)から広がる末広がり形状部(44)を有していることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
末広がり形状部(44)は、円筒形状部(46)に開口していることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置において、
上記シール部材(14)は、全体がエラストマにより構成されるエラストマ要素であることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置において、
上記シール部材(14)は、エラストマ部(34)及び剛体部(36)を有しており、
該各部は、互いに連動して移動可能に構成されていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、
上記計量手段(44、46)は、剛体部(36)に形成されていることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置において、
上記シール部材における計量手段(44,46)が設けられる部分には、液体を装置から開放するための開口部(64)の近傍に配設されていることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−528305(P2011−528305A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501268(P2011−501268)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000356
【国際公開番号】WO2009/130411
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(508375642)ルグザム ヘルスケア ラ ヴェルピリエール (5)
【Fターム(参考)】