説明

液体ポンプ

液体ポンプはケーシング(10,12)を有している。ケーシング(10,12)内にはポンプチャンバ(14)が形成されており、ポンプチャンバ(14)内には、少なくとも1つの、回転駆動される圧送エレメント(16,18)が配置されている。圧送エレメント(16,18)は液体を、貯蔵タンクに接続された吸込室(40)から吐出室(42)に圧送する。液体ポンプは、吐出室(42)内に支配する圧力を制限するための圧力制限弁(50)を有している。圧力制限弁(50)は、ケーシング(10,12)内に配置された弁ピストン(60)を有しており、弁ピストン(60)は閉弁方向で、予圧された閉鎖ばね(62)により負荷されており、開弁方向で、吐出室(42)内に支配する圧力により負荷されており、かつ吐出室(42)内の設定された圧力の超過時に、吐出室(42)と吸込室(40)との間の接続通路(52)を解放する。液体ポンプの上流にはフィルタ(82)が接続されているかつ/または液体ポンプの下流にはフィルタ(83)が接続されている。液体ポンプ内には圧力チャンバ(85)が設けられており、圧力チャンバ(85)は、上流に接続されたフィルタ(82)の下流の領域への接続部を有しているか、または下流に接続されたフィルタ(83)の下流の領域への接続部を有している。圧力チャンバ(85)内に支配する圧力により、弁ピストン(60)に対して閉弁方向で作用する力が影響を及ぼされ、圧力チャンバ(85)内の圧力の減少に伴い、閉弁方向で弁ピストン(60)に対して作用する力が高められるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、請求項1の上位概念部に記載された形式の液体ポンプから出発する。
【0002】
歯車ポンプとして形成されたそのような液体ポンプは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19625564号明細書により公知である。この公知の歯車ポンプは内燃機関の燃料噴射装置のために意図されており、ポンプチャンバが内部に形成されているケーシングを有している。ポンプチャンバ内には、回転駆動され、その外周で互いに噛み合う、一対の歯車が配置されている。歯車は、圧送媒体としての燃料を、貯蔵タンクに接続された吸込室から、歯車の外周と、ポンプチャンバの周壁との間に形成される圧送通路に沿って、吐出室へと圧送する。さらに、歯車ポンプは吐出室内の圧力を制限するための圧力制限弁を有している。吐出室内の圧力が、設定された値を超過すると、圧力制限弁は吐出室と吸込室との間の接続通路を解放する。圧力制限弁は弁ピストンを有している。弁ピストンは、歯車の回転軸線に対して垂直な平面内に設けられた孔内で摺動可能に案内されており、弁座と協働する。弁ピストンは予圧されたばねの力に抗して摺動可能である。圧力制限弁により、歯車ポンプにより生ぜしめられる圧力時の圧力制限が可能であり、ひいては圧送される燃料量の制限が可能である。一般には、液体ポンプの上流に、吸い込まれる液体が通流するフィルタが接続されているか、または液体ポンプの下流に、圧送された液体が通流するフィルタが接続されている。その際、フィルタの汚れ具合に依存して、液体ポンプにより、異なる大きさの液体量が圧送される。この異なる大きさの液体量はこの圧力制限弁により補償されることはできない。
【0003】
発明の利点
これに対して、本発明による、請求項1の特徴部に記載された特徴を備えた液体ポンプは、ここでは圧送圧力の制限に加えて、圧送量も調整されているという利点を有している。その結果、フィルタの汚れ具合に依存することなく、圧送量が調節される。このことは、フィルタの下流に支配する圧力に依存して、弁ピストンに対して閉弁方向で作用する力が変更されることにより、簡単な形式で実施される。
【0004】
従属請求項には、本発明による液体ポンプの、有利な構成および改良が示唆されている。請求項2記載の構成により、圧送量調整の機能が簡単な形式で達成される。請求項5記載の構成は圧力制限弁の簡単な構造を可能にする。請求項6記載の構成により、接続通路が簡単な形式で形成される。請求項9記載の構成により、弁ピストンの、孔内での運動時に、圧送媒体が室から押しのけられるもしくは室内に後流入することができる。
【0005】
図面
本発明の実施例を図示し、以下の説明で詳説する。図1には、歯車圧送ポンプの、図2に示した線I−Iに沿った断面図が示されている。図2には、歯車圧送ポンプの、図1に示した線II−IIに沿った断面図が示されている。図3には、歯車圧送ポンプの、図2に示した線III−IIIに沿った概略的な拡大断面図が示されている。
【0006】
実施例の説明
図1〜図3に示した液体ポンプは歯車ポンプとして形成されており、貯蔵タンクから、例えば自動車の内燃機関の燃料噴射装置の燃料高圧ポンプまたは燃料噴射ポンプに延びる、図示していない圧送管路内に配置されている。内燃機関は自己着火式の内燃機関であり、歯車ポンプにより圧送される燃料はディーゼル燃料である。歯車ポンプは複数部分から成るケーシングを有している。ケーシングはケーシング部分10およびカバー部分12を有している。ケーシング部分10とカバー部分12との間には、ポンプチャンバ14が形成されている。ポンプチャンバ14内には、一対の、その外周で互いに噛み合う歯車16,18が配置されている。ケーシング部分10はポンプチャンバ14を形成するために2つの凹欠部20,22を有している。凹欠部20,22の底面から、その都度1つの支承ピン24,26が突出している。支承ピン24,26はケーシング部分10と一体的に形成されており、互いに少なくともほぼ平行に延びている。支承ピン24,26はケーシング部分10の重量削減のために少なくとも部分的に中空に形成されていることができる。歯車16は孔17を有している。孔17を介して、歯車16は支承ピン24に回転可能に支承されている。歯車18は孔19を有している。孔19を介して、歯車18は支承ピン26に回転可能に支承されている。支承ピン24,26はそれぞれ歯車16,18のための回転軸線25,27を規定する。カバー部分12はケーシング部分10に固く、例えば複数のねじにより結合されている。ケーシング部分10およびカバー部分12は有利には軽金属、特にアルミニウムから成る。歯車16,18は有利には鋼、特に焼結鋼から成る。
【0007】
歯車ポンプは駆動軸30を有している。駆動軸30はケーシング部分10内で回転可能に支承されている。駆動軸30は支承ピン24に対して少なくともほぼ同軸的に配置されている。ケーシング部分10は、支承ピン24内を延在する孔を有している。この孔を通して、駆動軸30の端部が進入する。この孔と駆動軸30との間には、軸封リングが、ケーシング部分10を封止するために組み込まれている。駆動軸30は歯車16に、例えば支承ピン24の端部とカバー部分12との間に配置された連結部材36を介して連結されている。歯車16は歯車ポンプの運転時に駆動軸30を介して回転駆動され、この回転運動を、円筒歯車歯列を介して、やはり円筒歯車歯列を備えた、歯車16にその外周で噛み合う歯車18に伝達する。その際、歯車16,18はポンプチャンバ14を、歯の噛み合いにより2つの部分領域に分割する。2つの部分領域のうち、第1の部分領域は吸込室40を形成し、第2の部分領域は吐出室42を形成する。その際、吸込室40は、歯車16,18の周面に設けられた歯溝と、ポンプチャンバ14の上下の周壁との間に形成された、その都度1つの圧送通路44を介して、吐出室42に接続されている。吸込室40および吐出室42はその都度1つの接続開口をケーシング部分10またはカバー部分12の壁に有している。その都度1つの接続開口を介して、吸込室40は、貯蔵タンクから延びる、図示していない吸込管路に接続されており、吐出室42は、やはり図示していない圧送管路を介して、燃料高圧ポンプまたは燃料噴射ポンプの吸入室に接続されている。吸込室40への接続開口はインレット開口46を形成し、吐出室42への接続開口はアウトレット開口48を形成する。
【0008】
歯車ポンプは圧力制限弁50を有している。圧力制限弁50はケーシング、例えばケーシング部分10内に配置されている。ポンプチャンバ14を形成する凹欠部20,22の底面に溝52が穿設されている。溝52は吐出室42と吸込室40との間で延在している。溝52は長さl、幅bおよび深さtを有している。溝52は、図3に示したように、歯車24,26の回転軸線25,27の方向で見て、歯車16,18に対してほぼ接線方向で延びており、溝52の長さlは、溝52が歯車16,18の歯先円Dkの交線54を超えて延びるように寸法設定されている。溝52は歯車16,18の回転軸線25,27の方向で見て少なくともほぼ歯車16,18の中間に配置されている。それにより、溝52は、吐出室42から吸込室40まで延在する接続通路を形成する。溝52の外側で、ケーシング部分10は凹欠部20,22の底面でもってポンプチャンバ14を、歯車16,18の端面に対して僅かな軸方向の間隔を置いて制限する、すなわち画定する。
【0009】
溝52の底面には、孔56が穿設されている。孔56の直径dは有利には溝52の幅bよりも若干大きい。孔56は歯車16,18の回転軸線25,27に対して少なくともほぼ平行に延びており、有利には歯車16,18の回転軸線25,27を結ぶ線58に関して、寸法Hの分だけ吐出室42側にずらされて配置されている。寸法Hは有利には約2mm〜5mmである。孔56内には、圧力制限弁50の弁部材として、弁ピストン60が摺動可能に案内されている。弁ピストン60は、弁ピストン60と孔56の底面との間に挟み込まれた圧縮ばね62、例えば圧縮コイルばねの形をした圧縮ばね62により、歯車16,18の、弁ピストン60に面した端面に向かって押圧される。歯車16,18の端面は少なくともほぼ平坦に形成されており、歯車16,18の回転軸線25,27に対して少なくともほぼ垂直に配置されている。弁ピストン60は歯車16,18の端面に、歯が噛み合っている領域で当接している。弁ピストン60の、歯車16,18とは反対側の背面により孔56内に制限される室64は、ケーシング部分10に設けられた孔66を介して吸込室40に接続されている。
【0010】
弁ピストン60は、歯車16,18に面した端面の一部で、吐出室42内に支配する圧力により負荷されている。この圧力により、圧縮ばね62の力に対して逆向きの力が、弁ピストン60に対して生ぜしめられる。圧縮ばね62の力が、吐出室42内に支配する圧力により生ぜしめられる力よりも大きければ、弁ピストン60は、歯車16,18の、弁座を形成する端面に当接した状態にある。その際、弁ピストン60は歯車16,18と協働して、溝52を通る通流、ひいては吐出室42と吸込室40との間の接続を遮断する。弁ピストン60が圧縮ばね62の力により歯車16,18の端面に押し当てられると、ポンプチャンバ14内の歯車16,18の、その回転軸線25,27の方向での遊びが減じられ、有利には完全に取り除かれる。このことは特に歯車ポンプの始動時および内燃機関のスタート時に有利である。それというのも、そうすることでポンプの効率が最適となるからである。その際、弁ピストン60により、摩擦によって制動力が歯車16,18に対して生ぜしめられる。この制動力は特に歯車ポンプの始動時に有利である。それというのも、これにより、歯車16,18の歯列の間の、より良好なフランク接触が生ぜしめられるからである。特に、大きな燃料量が圧送されなければならない始動時および内燃機関のスタート時における、この歯車ポンプの良好な効率の結果として、この歯車ポンプの寸法設定は、公知の歯車ポンプに比べて小さな圧送量で設計されることができる。
【0011】
吐出室42内の圧力が所定の値を超過すると、この圧力により弁ピストン60に対して生ぜしめられる力は、圧縮ばね62の力を凌駕する。その結果、弁ピストン60は圧縮ばね62の力に抗して摺動し、歯車16,18の端面から離間する。その際、溝52を通る通流が解放され、吐出室42と吸込室40との間の接続が成立する。その結果、燃料は吐出室42から吸込室40に流出することができる。これにより、吐出室42内の圧力が制限される。圧縮ばね62の予圧(プリロード)と、弁ピストン60の直径と、弁ピストン60の、吐出室42に関する位置、ひいては弁ピストン60の、吐出室42内に支配する圧力により負荷される端面の大きさとにより、圧力制限弁50が開弁する圧力は変更されることができる。吐出室42内の圧力の増加に伴って、弁ピストン60はさらに孔56内に押し込まれる。その結果、弁ピストン60により、溝52内にますます大きな通流横断面積が解放される。弁ピストン60により溝52内に解放される最大の通流横断面積は有利には、歯車ポンプにより燃料が圧送されるべきではないときに、歯車16,18により圧送される燃料量のすべてが吐出室42から吸込室40に戻り流されることができる大きさにある。溝52の、最大の通流横断面積を規定する横断面積は、有利には約30mm〜60mmである。弁ピストン60が孔56内に進入すると、弁ピストン60により、燃料が室64から孔66を介して吸込室40内に押しのけられる。弁ピストン60が孔56から進出すると、孔66を介して、室64が再度吸込室40からの燃料で充填されることができる。歯車ポンプの運転中、圧力脈動が、歯車16,18の歯の、かわるがわるの噛み合いと、その際に歯列間から押しのけられる燃料体積とにより発生する。弁ピストン60は歯車16,18の端面に、その歯の噛み合い領域で当接しており、それにより、歯列間に支配する圧力により負荷されている。その際、歯列間の圧力脈動時、弁ピストン60は逃がし運動を実施する。これにより、この圧力脈動は減衰され、減じられる。
【0012】
さらに、歯車ポンプはバイパス弁70を有している。吐出室42内の圧力が吸込室40内の圧力よりも低いと、バイパス弁70により、吐出室42と吸込室40との間の接続が解放されることができる。このことは特に歯車ポンプのアイドル運転後または歯車ポンプの初期充填時に相当する。その際、バイパス弁70は歯車ポンプの排気および充填を可能にする。バイパス弁70は弁部材72を有している。弁部材72は、吐出室42内に支配する圧力により負荷されており、この圧力により、ケーシング部分10に設けられた弁座74に向かって押圧される。弁部材72は例えば溝52の凹欠部76の、吐出室42内に突入する領域内に配置されている。弁部材72は例えばエラストマーから成ることができる。弁座74は平座として形成されていることができる。弁座74から、孔78は、孔56内の、弁ピストン60の背後に設けられた室64内に導かれる。この室64はさらに孔66を介して吸込室40に接続されている。さらに、弁部材72には閉鎖ばね80が作用している。閉鎖ばね80は例えば、孔78内に配置された、予圧された引張ばねであることができる。この閉鎖ばね80は一端で弁部材72に作用し、他端で圧縮ばね62の螺旋の端末部に掛けられている。閉鎖ばね80により、弁部材72は弱い力で弁座74に向かって引っ張られており、これにより、歯車ポンプが運転されていないときに、弁座74への当接が達成される。歯車ポンプの運転中、吐出室42内の圧力が吸込室40内の圧力よりも低ければ、バイパス弁70は、その弁部材72が弁座74から離間することにより開弁する。その結果、燃料は直接吸込室40から吐出室42に達することができ、吐出室42は燃料で充填される。歯車ポンプのさらなる運転中、吐出室42内の圧力が上昇し、吸込室40内の圧力よりも高くなると、弁部材72は弁座74に押し付けられる。その結果、バイパス弁70は閉弁し、吐出室42は吸込室40から遮断される。
【0013】
歯車ポンプの上流には、燃料管路内にフィルタ82が接続されている。フィルタ82はプレフィルタとして形成されている。フィルタ82を通して、歯車ポンプにより貯蔵タンクから吸い込まれる燃料が流動する。さらに、歯車ポンプの下流には、燃料管路内に別のフィルタ83が接続されている。フィルタ83はファインフィルタとして形成されている。フィルタ83を通して、歯車ポンプにより圧送された燃料が燃料高圧ポンプまたは燃料噴射ポンプへと流動する。歯車ポンプの上流に接続されたプレフィルタ82だけが存在し、ファインフィルタが存在しないような構成も可能である。歯車ポンプには、例えばケーシング部分10の、カバー部分12とは反対の側に、別のケーシング部分84が配置されている。このケーシング部分84は、ケーシング部分10に面した凹部を有している。この凹部内には、圧力チャンバ85が形成されている。圧力チャンバ85はファインフィルタ83の下流の領域に接続されている。その結果、圧力チャンバ85内には、ファインフィルタ83の下流と同じ圧力が支配する。プレフィルタ82だけが存在する場合には、圧力チャンバ85はプレフィルタ82の下流の領域に接続されている。その結果、圧力チャンバ85内には、プレフィルタ82の下流と歯車ポンプの上流との間と同じ圧力が支配する。圧力チャンバ85はケーシング部分84の凹部内で、ケーシング部分10とは反対の側で、可動の壁86により制限されている。可動の壁86は例えばダイヤフラムとして形成されている。ダイヤフラム86は、ケーシング部分84の凹部内に設けられたスリーブ87により緊張されている。ダイヤフラム86の中央の領域で、ロッド88が支持されている。ロッド88は、ケーシング部分10に設けられた孔に突入し、弁ピストン60に当接している。ケーシング部分84の凹部の、ダイヤフラム86により圧力チャンバ85から隔離された部分内には、予圧されたばね89が配置されている。ばね89は例えば圧縮コイルばねとして形成されている。それにより、ダイヤフラム86は一方で、圧力チャンバ85内に支配する圧力により負荷されており、他方で、予圧されたばね89により負荷されている。圧力チャンバ85内の圧力が低ければ、ダイヤフラム86、ひいてはロッド88はばね89により弁ピストン60に向かって押圧される。これにより、弁ピストン60には、圧縮ばね62に対して付加的に、別の力が閉弁方向で作用する。圧力チャンバ85内の圧力が高ければ、ダイヤフラム86、ひいてはロッド88はばね89の力に抗して弁ピストン60から引き離される。その結果、弁ピストン60には、比較的小さな力が閉弁方向で作用する。ファインフィルタ83またはプレフィルタ82がそれほど汚損されていなければ、燃料の通流時に、わずかな圧力損失が発生するにすぎない。その結果、フィルタの下流には、相対的に高い圧力が支配する。この事例では、圧力チャンバ85内にもやはり高い圧力が支配する。その結果、弁ピストン60の開弁運動は主に圧縮ばね62により規定される。ファインフィルタ83またはプレフィルタ82が強く汚損されていると、燃料の通流時に、大きな圧力損失が発生する。その結果、フィルタの下流には、相対的に低い圧力が支配する。この事例では、圧力チャンバ85内にもやはり低い圧力が支配する。その結果、圧縮ばね62の力に対して付加的に、ばね89の力も弁ピストン60に対して閉弁方向で作用する。弁ピストン60は、吐出室42内の圧力がより高くなって初めて開弁する。それにより、この歯車ポンプにより、相応に高い圧力が生ぜしめられ、より大きな燃料量が圧送され、かつフィルタ82もしくは83の圧力損失および量損失が補償される。
【0014】
液体ポンプは、歯車ポンプとして形成されている代わりに、択一的に例えば内歯車ポンプまたはベーンポンプとして形成されていることもできる。その際、圧力調整のための圧力制限弁50および圧送量調整のための圧力チャンバ85は、上で説明したのと同様の形式で使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】歯車圧送ポンプの、図2に示した線I−Iに沿った断面図である。
【図2】歯車圧送ポンプの、図1に示した線II−IIに沿った断面図である。
【図3】歯車圧送ポンプの、図2に示した線III−IIIに沿った概略的な拡大断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ポンプ、特に内燃機関の燃料噴射装置のための液体ポンプであって、ケーシング(10,12)が設けられており、該ケーシング(10,12)内にポンプチャンバ(14)が形成されており、該ポンプチャンバ(14)内に、少なくとも1つの、回転駆動される圧送エレメント(16,18)が配置されており、該圧送エレメント(16,18)が液体を、貯蔵タンクに接続された吸込室(40)から吐出室(42)に圧送するようになっており、該吐出室(42)内に支配する圧力を制限するための圧力制限弁(50)が設けられており、該圧力制限弁(50)が、ケーシング(10,12)内に配置された弁ピストン(60)を有しており、該弁ピストン(60)が閉弁方向で、予圧された閉鎖ばね(62)により負荷されており、開弁方向で、吐出室(42)内に支配する圧力により負荷されており、かつ吐出室(42)内の設定された圧力の超過時に、吐出室(42)と吸込室(40)との間の接続通路(52)を解放するようになっている形式のものにおいて、液体ポンプの上流にフィルタ(82)が接続されているかつ/または液体ポンプの下流にフィルタ(83)が接続されており、液体ポンプ内に圧力チャンバ(85)が設けられており、該圧力チャンバ(85)が、上流に接続されたフィルタ(82)の下流の領域への接続部を有しているか、または下流に接続されたフィルタ(83)の下流の領域への接続部を有しており、圧力チャンバ(85)内に支配する圧力により、弁ピストン(60)に対して閉弁方向で作用する力が影響を及ぼされ、圧力チャンバ(85)内の圧力の減少に伴い、閉弁方向で弁ピストン(60)に対して作用する力が高められるようになっていることを特徴とする液体ポンプ。
【請求項2】
圧力チャンバ(85)が、可動な壁(86)により制限されており、該可動な壁(86)に対して一方で、圧力チャンバ(85)内に支配する圧力が作用し、他方で、予圧されたばね(89)が作用するようになっており、該ばね(89)により、壁(86)が弁ピストン(60)に向かってその閉弁方向で押圧される、請求項1記載の液体ポンプ。
【請求項3】
可動な壁(86)がロッド(88)を介して弁ピストン(60)に支持されている、請求項2記載の液体ポンプ。
【請求項4】
可動な壁(86)がダイヤフラムとして形成されている、請求項2または3記載の液体ポンプ。
【請求項5】
弁ピストン(60)がポンプチャンバ(14)を、少なくとも1つの圧送エレメント(16,18)の回転軸線(25,27)の方向で、少なくとも部分的に制限し、弁ピストン(60)が閉鎖ばね(62)により、弁座としての、少なくとも1つの圧送エレメント(16,18)の、弁ピストン(60)に面した端面に押し当てられ、弁ピストン(60)が、少なくとも1つの圧送エレメント(16,18)に面した端面の少なくとも一部で、吐出室(42)内に支配する圧力により負荷されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の液体ポンプ。
【請求項6】
吐出室(42)と吸込室(40)との間の接続通路(52)が、ケーシング部分(10)に、少なくとも1つの圧送エレメント(16,18)の端面に対向して穿設された溝として形成されており、その通流が弁ピストン(60)により制御される、請求項5記載の液体ポンプ。
【請求項7】
弁ピストン(60)が、吐出室(42)内の圧力の上昇に伴い、接続通路(52)内にますます大きな通流横断面積を解放する、請求項5または6記載の液体ポンプ。
【請求項8】
弁ピストン(60)の直径が接続通路(52)の幅(b)よりも大きい、請求項5から7までのいずれか1項記載の液体ポンプ。
【請求項9】
弁ピストン(60)がケーシング部分(10)の孔(56)内で摺動可能に案内されており、弁ピストン(60)の、少なくとも1つの圧送エレメント(16,18)の端面とは反対側の背面により孔(56)内に制限される室(64)が、吸込室(40)に接続されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の液体ポンプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2006−515042(P2006−515042A)
【公表日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518302(P2005−518302)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001719
【国際公開番号】WO2005/017361
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】