説明

液体吐出装置製造方法、液体吐出装置調整方法、液体吐出方法、液体吐出装置

【課題】媒体を搬送する搬送誤差によって生じる濃度むらを低減すること。
【解決手段】液体を吐出するノズルに対して媒体Sを搬送方向に搬送する搬送機構と、上流側ノズル群と、上流側ノズル群よりも記搬送方向の下流側に位置する下流側ノズル群とを備える液体吐出装置において、搬送誤差によって生じる周期的な速度変化を検出するステップと、速度変化に基づいて、上流側ノズル群と下流側ノズル群との間隔Xを決定するステップと、を有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置製造方法、液体吐出調整方法、液体吐出方法、及び、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置の1つとして、紙や布、フィルムなどの各種媒体にノズルからインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。近年、インクジェットプリンタの中でも、媒体の搬送方向と交差する方向に沿った紙幅の長さのノズル列を有するラインヘッドプリンタの開発が行われている。
【0003】
ところで、インクジェットプリンタでは、搬送ローラの製造誤差などに起因する搬送誤差により、媒体上の正しい位置にインク滴が着弾せず、印刷された画像に濃度むらが発生してしまうことがある。
【0004】
そこで、発生する搬送誤差に応じて、インクの吐出タイミングを制御する方法や、搬送ローラの回転量を制御する方法が提案されている。(特許文献1)
【特許文献1】特開平5−24186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ラインヘッドプリンタは多数のノズルを有するので、インクの吐出タイミングを制御するための補正計算に時間がかかってしまう。また、多数のノズル(ヘッド)を有するラインヘッドプリンタでは、装置が大型化するため、搬送誤差に応じて搬送ローラの回転量を変更したとしても、実際に搬送速度が変化するまでに時間差が生じ、搬送誤差を解消することができない。その結果、濃度むらが発生してしまう。
【0006】
そこで、本実施形態では、濃度むらを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するための主たる発明は、液体を吐出するノズルに対して媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、上流側ノズル群と、前記上流側ノズル群よりも前記搬送方向の下流側に位置する下流側ノズル群とを備える液体吐出装置において、搬送誤差によって生じる周期的な速度変化を検出するステップと、前記速度変化に基づいて、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔を決定するステップと、を有する液体吐出装置製造方法である。
【0008】
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0010】
すなわち、液体を吐出するノズルに対して媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、上流側ノズル群と、前記上流側ノズル群よりも前記搬送方向の下流側に位置する下流側ノズル群とを備える液体吐出装置において、搬送誤差によって生じる周期的な速度変化を検出するステップと、前記速度変化に基づいて、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔を決定するステップと、を有する液体吐出装置製造方法を実現することである。
このような液体吐出装置製造方法によれば、媒体上のある領域内に上流側ノズル群により形成されるドット列と下流側ノズル群により形成されるドット列を合わせることで、ある領域内のドット形成密度を平均化して、ある領域と他の領域のドット形成密度を同等にして、搬送誤差により生じる濃度むらを低減することができる。
【0011】
かかる液体吐出装置製造方法であって、前記上流側ノズル群から吐出される液体の種類と、前記下流側ノズル群から吐出される液体の種類は等しく、前記媒体に対して前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群の両方のノズルから液体が吐出されること。
このような液体吐出装置製造方法によれば、搬送誤差により生じる濃度むらを低減することができる。
【0012】
かかる液体吐出装置製造方法であって、前記媒体が前記搬送誤差により指定された速度よりも速い速度で搬送される際に、前記上流側ノズル群と対向する前記媒体上の領域が、前記下流側ノズル群と対向する際には、前記媒体は前記搬送誤差により前記指定された速度よりも遅い速度で搬送されること。
このような液体吐出装置製造方法によれば、上流側ノズル群により、搬送方向の間隔が指定された間隔よりも広いドット列が形成されたとしても、下流側ノズル群により、搬送方向の間隔が指定された間隔よりも狭いドット列が形成されるため、ドット形成密度が平均化され、搬送誤差により生じる濃度むらを低減することができる。
【0013】
かかる液体吐出装置製造方法であって、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔は、前記上流側ノズル群のノズルと前記下流側ノズル群のノズルとの間隔が、前記速度変化の半分の周期の期間に前記媒体が搬送される距離と等しくなるように決定されること。
このような液体吐出装置製造方法によれば、媒体上のある領域が上流側ノズル群と対向する際の速度誤差と、媒体上のある領域が下流側ノズル群と対向する際の速度誤差とが対称的な値となり、上流側ノズル群と下流側ノズル群によりそれぞれ形成されるドット列を合わせると、ドット形成密度が平均化される。その結果、搬送誤差により生じる濃度むらを低減することができる。
【0014】
かかる液体吐出装置製造方法であって、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔は、前記上流側ノズル群のノズルと前記下流側ノズル群のノズルとの間隔が、前記速度変化の半分の周期と自然数の回数分の周期を加えた期間に前記媒体が搬送される距離と等しくなるように決定されること。
このような液体吐出装置製造方法によれば、上流側ノズル群と下流側ノズル群によりそれぞれ形成されるドット列を合わせると、ドット形成密度が平均化され、搬送誤差により生じる濃度むらを低減することができる。
【0015】
かかる液体吐出装置製造方法であって、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群の間に中間ノズル群が配置される場合、各ノズル群の間隔は、前記搬送方向に隣り合う2つの前記ノズル群のうちの上流側の前記ノズル群のノズルと下流側の前記ノズル群のノズルとの間隔が、前記液体吐出装置が有する前記ノズル群の数で前記速度変化の周期を割った期間に前記媒体が搬送される距離と等しくなるように決定されること。
このような液体吐出装置製造方法によれば、上流側ノズル群と下流側ノズル群と中間ノズル群によりそれぞれ形成されるドット列を合わせると、ドット形成密度が平均化され、搬送誤差により生じる濃度むらを低減することができる。
【0016】
かかる液体吐出装置製造方法であって、前記速度変化は、速度検出センサにより検出されること。
このような液体吐出装置製造方法によれば、周期的な速度変化を検出し、上流側ノズル群と下流側ノズル群との間隔を決定することができる。
【0017】
かかる液体吐出装置製造方法であって、前記搬送機構は、搬送ローラと搬送ベルトにより構成され、前記速度検出センサは、前記搬送ベルトが一定期間内に移動した距離を検出すること。
このような液体吐出装置製造方法によれば、周期的な速度変化を検出し、上流側ノズル群と下流側ノズル群との間隔を決定することができる。
【0018】
かかる液体吐出装置製造方法であって、前記速度変化は、前記上流側ノズル群または前記下流側ノズル群のどちらか一方のノズルから一定間隔おきに液体が吐出されて形成されるパターンにより検出されること。
このような液体吐出装置製造方法によれば、ノズルからの吐出間隔(一定間隔)とパターン上に形成された液体のドット間隔により、周期的な速度変化を検出することができる。
【0019】
かかる液体吐出装置製造方法であって、前記パターンは、前記搬送方向に並んだ複数のラインにより構成されること。
このような液体吐出装置製造方法によれば、ノズルからの吐出間隔(一定間隔)とラインの間隔により、周期的な速度変化を検出することができる。
【0020】
かかる液体吐出装置製造方法であって、前記速度変化は、前記上流側ノズル群または前記下流側ノズル群のどちらか一方のノズルから一定の階調値で液体が吐出されて形成されるパターンにより検出されること。
このような液体吐出装置製造方法によれば、パターンとして形成された画像の濃淡により、周期的な速度変化を検出することができる。
【0021】
かかる液体吐出装置製造方法であって、前記速度変化は、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群の両方のノズルから一定間隔おきに液体が吐出されて形成されるパターンにより検出されること。
このような液体吐出装置製造方法によれば、上流側ノズル群により形成されたラインの間隔と下流側ノズル群により形成されたラインの間隔の関係により、上流側ノズル群と下流側ノズル群の間隔を決定することができる。
【0022】
かかる液体吐出装置製造方法であって、前記上流側ノズル群により形成された前記搬送方向に沿ったドット列の間に、前記下流側ノズル群により前記搬送方向に沿ったドット列が形成されること。
このような液体吐出装置製造方法によれば、上流側ノズル群と下流側ノズル群によりそれぞれ形成されるドット列を合わせると、ドット形成密度が平均化され、搬送誤差により生じる濃度むらを低減することができる。
【0023】
かかる液体吐出装置製造方法であって、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群のうちの一方は固定され、他方は前記搬送方向に移動可能であること。
このような液体吐出装置製造方法によれば、片方のノズル群を移動することで、上流側ノズル群と下流側ノズル群の間隔を決定した間隔に設置することができる。このとき片方のノズル群のみを移動させるため、設置による誤差を少なくすることができる。また、製造工程でなく、ユーザーのもとにおいてもノズル群の間隔を容易に調整することができる。
【0024】
また、液体を吐出するノズルに対して媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、上流側ノズル群と、前記上流側ノズル群よりも前記搬送方向の下流側に位置する下流側ノズル群とを備える液体吐出装置において、搬送誤差によって生じる周期的な速度変化を検出するステップと、前記速度変化に基づいて、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔を決定するステップと、を有する液体吐出装置調整方法を実現すること。
このような液体吐出装置調整方法によれば、搬送誤差により生じる濃度むらを低減するようにノズル群の間隔を調整することができる。また、製造工程においてだけでなく、ユーザーのもとで、例えば、搬送機構が故障して交換した場合に、交換した搬送機構による速度変化に基づいて、ノズル群の間隔を調整することができる。
【0025】
また、液体を吐出するノズルに対して媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、上流側ノズル群と、前記上流側ノズル群よりも前記搬送方向の下流側に位置する下流側ノズル群とを備える液体吐出装置において、搬送誤差によって生じる周期的な速度変化を検出するステップと、前記速度変化に基づいて、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔を決定するステップと、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔が、決定された前記間隔となるように調整するステップと、前記媒体に対して、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群から液体が吐出されるステップと、を有する液体吐出方法を実現すること。
このような液体吐出方法によれば、搬送誤差により生じる濃度むらを低減することができる。
【0026】
また、液体を吐出するノズルに対して媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、上流側ノズル群と、前記上流側ノズル群よりも前記搬送方向の下流側に位置する下流側ノズル群と、前記搬送機構の搬送誤差によって生じる周期的な速度変化を検出する速度検出手段と、前記速度変化に基づいて、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔を決定し、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔が、決定された前記間隔となるように調整するノズル間隔調整手段と、を有する液体吐出装置を実現すること。
このような液体吐出装置によれば、搬送誤差により生じる濃度むらを低減することができる。
【0027】
===ラインヘッドプリンタ===
以下、液体吐出装置をインクジェットプリンタとし、また、インクジェットプリンタの中のラインヘッドプリンタ(プリンタ1)を例に挙げて実施形態を説明する。
【0028】
図1は、本実施形態のプリンタ1の全体構成ブロック図である。図2Aは、プリンタ1の断面図である。図2Bは、プリンタ1が用紙S(媒体)を搬送する様子を示す図である。外部装置であるコンピュータ60から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ10により、各ユニット(搬送ユニット20、ヘッドユニット30)を制御し、用紙Sに画像を形成する。また、プリンタ1内の状況を検出器群40が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラ10は各ユニットを制御する。
【0029】
コントローラ10は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピュータ60とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は、プリンタ1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12は、メモリ13に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路14により各ユニットを制御する。
【0030】
搬送ユニット20は、用紙Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向に所定の搬送量で用紙Sを搬送させる。給紙ローラ23は、紙挿入口に挿入された用紙Sをプリンタ1内の搬送ベルト22上に自動的に給紙するためのローラである。そして、輪状の搬送ベルト22が搬送ローラ21A及び21Bにより回転し、搬送ベルト22上の用紙Sは搬送される。なお、用紙Sは搬送ベルト22に静電吸着又はバキューム吸着している(不図示)。
【0031】
ヘッドユニット30は、用紙Sにインクを吐出するためのものであり、複数のヘッド31を有する。ヘッド31の下面には、インク吐出部であるノズルが複数設けられる。そして、各ノズルには、インクが入った圧力室(不図示)と、圧力室の容量を変化させてインクを吐出させるための駆動素子(ピエゾ素子)が設けられている。なお、本実施形態のプリンタ1は2つのヘッドユニット30を有し、搬送方向の上流側に位置するヘッドユニット30を上流側ヘッドユニット30Aとし(上流側ノズル群に相当)、上流側ヘッドユニット30Aよりも下流側に位置するヘッドユニット30を下流側ヘッドユニット30B(下流側ノズル群に相当)とする。また、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bは間隔Xをとって配置される。
【0032】
〈印刷手順について〉
コントローラ10は、コンピュータ60から印刷命令及び印刷データを受信すると、印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の処理を行う。
【0033】
まず、コントローラ10は、給紙ローラ23を回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送ベルト22上まで送る。そして、コントローラ10は、搬送ローラ21により搬送ベルト22を回転させ、給紙された用紙Sを印刷開始位置に位置決めする。このとき、用紙Sは、上流側ヘッドユニット30Aの少なくとも一部のノズルと対向している。
【0034】
次に、用紙Sは搬送ベルト22上を一定速度で停まることなく搬送され、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bの下を通る。ヘッドユニット30の下を用紙Sが通る間に、各ノズルからインクが断続的に吐出される。その結果、用紙S上には搬送方向に沿った複数のドットからなるドット列(ラスタライン)が形成される。そして、最後に、コントローラ10は、画像の印刷が終了した用紙Sを排紙する。
【0035】
〈ノズル面について〉
図3は、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bの下面のノズル配列を示す。各ヘッドユニット30は、それぞれ複数(n個)のヘッド31を有する。そして、複数のヘッド31は、搬送方向と交差する紙幅方向に千鳥状に並んで配置されている。上流側ヘッドユニット30Aに属するヘッドを上流側ヘッド31Aとし、下流側ヘッドユニット30Bに属する下流側ヘッドを31Bとする。そして、紙幅方向の左側のヘッドより順に第1ヘッド31(1)、第2ヘッド31(2)として、かっこ内に番号を付す。
【0036】
ヘッド31の下面には、イエローインクノズル列Yと、マゼンタインクノズル列Mと、シアンインクノズル列Cと、ブラックインクノズル列Kが形成されている。各ノズル列はノズルを180個ずつ備えており、ノズル列の左側のノズルほど若い番号を付す(#1〜#180)。そして、各ノズル列のノズルは紙幅方向に一定の間隔180dpiで整列している。
【0037】
そして、ヘッドユニット30内において、紙幅方向に並ぶ2つのヘッド31のうちの左側のヘッド31のノズル#180と右側のヘッド31のノズル#1との間隔が180dpiとなるように、各ヘッド31が配置されている。例えば、下流側第1ヘッド31B(1)のノズル#180と下流側第2ヘッド31B(2)のノズル#1との間隔は180dpiである。即ち、ヘッドユニット30内において、4色のノズル(YMCK)がそれぞれ180dpiの間隔で紙幅方向に並んでいることになる。
【0038】
また、上流側ヘッドユニット30Aのノズルは下流側ヘッドユニット30Bのノズルに対して360dpiの間隔で紙幅方向の右側にずれている。例えば、上流側第3ヘッド31A(3)のノズル#2は下流側第3ヘッド31B(3)のノズル#2よりも紙幅方向に360dpiだけ右側に配置されている。そのため、用紙Sが上流側ヘッドユニット30Aの下を通ることで紙幅方向に180dpiの画像が印刷され、用紙Sが下流側ヘッドユニット30Bの下を通ることで、先程印刷された画像から360dpiだけずれた位置に下流側ヘッドユニット30Bにより紙幅方向に180dpiの画像が印刷される。
【0039】
以上をまとめると、上流側ヘッドユニット30Aから吐出されるインクの色(YMCK)と下流側ヘッドユニット30Bから吐出されるインクの色(YMCK)が等しい。そして、上流側ヘッドユニット30Aに属するノズルと下流側ヘッドユニット30Bに属するノズルが紙幅方向に360dpiの間隔でずれている。そのため、上流側ヘッドユニット30Aにより形成される搬送方向に沿ったドット列と、下流側ヘッドユニット30Bにより形成される搬送方向に沿ったドット列が紙幅方向に並ぶことで、紙幅方向に360dpiの解像度の画像を印刷することが可能となる。
【0040】
〈インクの吐出方法〉
図4は、ノズルからインクを吐出させるための駆動信号DRVを示す図である。駆動信号DRVは吐出周期t内に駆動パルスWを有する。その駆動パルスWが、各ノズルに設けられたピエゾ素子に印加されることで、インクが入った圧力室の容量が変化し、インクが吐出される。また、各ノズルには、ピエゾ素子に駆動信号DRVを印加または遮断するスイッチ(不図示)が設けられる。このスイッチはスイッチ制御信号SWにより制御される。
【0041】
例えば、ノズル#iに対するスイッチ制御信号SW(i)が「1」のとき、ノズル#iに対応するスイッチがオンとなり、駆動パルスWがピエゾ素子に印加される。この駆動パルスWによりピエゾ素子が変形し、圧力室内のインクがノズル#iから吐出される。一方、スイッチ制御信号SWが「0」のとき、スイッチはオフとなり、駆動パルスWは遮断される。このため、ピエゾ素子に駆動パルスWは印加されず、ノズル#iからインクが吐出されることはない。
【0042】
このように、印刷データ(スイッチ制御信号SW)に応じて、吐出周期tの間隔で各ノズルからインクが吐出されたり、吐出されなかったりする。そのため、用紙S上に定められた1つの画素と1つのノズルが対向する時間が吐出周期tとなるように、用紙Sは搬送される。なお、「画素」とは、画像を構成する単位領域であり、画素が2次元的に並ぶことにより画像が構成される。なお、「搬送方向×紙幅方向の解像度」が「360dpi×360dpiの解像度」で印刷される場合、1つの画素は「1/360インチ×1/360インチ」の大きさとなる。
【0043】
===濃度むら対策===
以下、1つの画素(1/360インチ)と1つのノズルが対向する時間が吐出周期tとなるように、搬送ユニット20が用紙Sを搬送する速度を指令搬送速度V(指定された速度に相当)とする。そして、指令搬送速度Vが変化することなく一定の速度で用紙Sが搬送され、各ノズルから吐出周期tの間隔でインクが吐出されると、搬送方向のドット間隔が1/360インチ(1画素の搬送方向の長さ)であるドット列が形成される。しかし、実際には、搬送ローラ21の製造誤差などにより搬送誤差が生じて、搬送速度が一定にならず、搬送方向のドット間隔が1/360インチよりも広くなったり、狭くなったりしてしまう。その結果、印刷された画像には濃度むらが発生し、画質が低下してしまう。次に、搬送誤差による濃度むらの発生と対策について詳しく説明する。
【0044】
〈搬送特性について〉
図5Aは、搬送ユニット20の詳細図である。本実施形態では、下流側の搬送ローラ21Bを駆動ローラとする。そして、搬送モータ24の回転力が、歯車等で構成される伝達機構25を介して、下流側の搬送ローラ21Bに伝わる。下流側の搬送ローラ21Bが回転することにより、搬送ベルト22と従動ローラである上流側の搬送ローラ21Aが回転し、用紙Sが搬送される。
【0045】
このため、下流側の搬送ローラ21Bの回転量(回転角度)によって、搬送ベルト22の送り量が変化し、用紙Sの搬送量が変化する。言い換えれば、プリンタ1のコントローラ10は、用紙Sの搬送量に応じて、下流側の搬送ローラ21Bの回転量を制御する。本実施形態では、用紙Sを指令搬送速度Vで搬送するため、コントローラ10は、吐出周期tの間に用紙Sが1/360インチ(1画素の搬送方向の長さ)搬送されるように、下流側の搬送ローラ21Bを回転させる。
【0046】
図5B及び図5Cは、搬送ローラ21の製造誤差を示す図である。図5Bは、搬送ローラ21の断面が正円ではなく楕円形状につぶれてしまった状態を示す図である。この場合、用紙Sの搬送量に応じた回転量だけ搬送ローラ21を回転させたとしても、搬送ローラ21の位置によって用紙Sの搬送量が異なってしまう。なぜなら、搬送ローラ21の回転中心Oから搬送ローラ21の外周までの距離が場所によって異なるからである。例えば、正円の搬送ローラ21の回転中心から外周までの距離をr(不図示)とし、搬送ローラ21を角度θ回転させることで、用紙Sは所定搬送量を搬送されるとする。このとき、図5Bに示すように、回転中心Oから外周までの距離がrよりも短い場合(=r1)、搬送ローラ21を角度θ回転させたとしても、用紙Sは所定搬送量よりも少なく搬送され(A1B1)、逆に、回転中心Oから外周までの距離がrよりも長い場合(=r2)、搬送ローラ21を角度θ回転させると、用紙Sは所定搬送量よりも多く搬送されてしまう(A2B2)。
【0047】
図5Cは、搬送ローラ21の回転中心O’が本来の回転中心Oからずれた状態を示す図である。この場合も、断面が楕円につぶれが搬送ローラ(図5B)と同様に、搬送ローラ21の回転中心O’から外周までの距離が搬送ローラ21の場所によって異なるため、搬送ローラ21を角度θ回転させたとしても、用紙Sは所定搬送量よりも少なく搬送されたり(A3B3)、多く搬送されたりしてしまう(A4B4)。
【0048】
つまり、コントローラ10が一定期間(吐出周期t)に用紙Sの所定搬送量(1/360インチ)に応じた回転量で下流側の搬送ローラ21Bを回転させたとしても、搬送ローラ21の製造誤差(断面のつぶれ、回転中心のずれ)により、用紙Sは所定搬送量を搬送されず、搬送誤差が発生してしまう。言い換えれば、用紙Sが指令搬送速度Vで搬送されるように、搬送ローラ21が一定期間に一定の回転量で回転したとしても、用紙Sの搬送速度は一定にならず、速度変化してしまう。
【0049】
但し、搬送ローラ21の外周の長さが設計上と実際の装置上とで等しい場合には、搬送ローラ21の断面がつぶれていたり、回転中心がずれていたりしたとしても、搬送ローラ21が1回転すると、搬送誤差はゼロとなる。即ち、搬送ローラ21が1回転する間に、搬送ローラ21の一定の回転量に対する用紙Sの搬送量が多くなったり、少なくなったりして、最終的には搬送誤差がゼロとなる。ゆえに、搬送ローラ21が1回転する際に発生する搬送誤差による速度変化は、搬送ローラ21が回転するごとに繰り返される。
【0050】
図5Dは、搬送ユニット20の搬送誤差によって生じる周期的な速度変化を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸は指令搬送速度Vに対する速度誤差ΔVを示す。一定期間(吐出周期t)に用紙Sが所定搬送量(1/360インチ)よりも多く搬送されるとき(時刻T0〜時刻T2)、用紙Sの搬送速度(V+ΔV)は指令搬送速度Vよりも速くなる。逆に、一定期間に用紙Sが所定搬送量よりも少なく搬送されるとき(時刻T2〜時刻T4)、用紙Sの搬送速度(V−ΔV)は指令搬送速度Vよりも遅くなる。そして、周期Tごとに、指令搬送速度Vに対する速度変化が繰り返される。
【0051】
このような正弦波状の周期的な速度変化を搬送ユニット20の「搬送特性」とする。なお、搬送特性には、搬送ローラ21の製造誤差だけでなく、例えば、搬送モータ24や伝達機構25の回転中心のずれや、搬送モータ24の回転精度、搬送ベルト22の張架具合なども影響すると考えられる。そのため、個々のプリンタにより「搬送特性」は異なってくる。
【0052】
〈濃度むらの発生について〉
図6Aは、搬送誤差が生じない理想的なプリンタにより印刷された画像Aを示す図である。図6Bは、画像Aの拡大図である。ここで、用紙Sが搬送誤差なく一定の指令搬送速度Vで搬送されながら、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bの各ノズルから用紙Sに対して吐出周期tの間隔でインクが吐出されるとする。上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bの両方を用いて印刷されることで、画像Aは紙幅方向に360dpiの解像度で印刷される。そのため、図6Bに示すように紙幅方向に隣り合うドットの間隔は1/360インチとなる。また、吐出周期tの間に用紙Sは1/360インチ(1画素の搬送方向の長さ)搬送されるため、搬送方向に隣り合うドットの間隔は1/360インチとなる。このように、用紙Sが搬送誤差なく一定の搬送速度で搬送される場合には、隣り合うドットの間隔が等しくなり、図6Aのように全面が一定の濃度である画像Aが形成される。
【0053】
次に、搬送誤差による速度変化が生じるプリンタであって、用紙Sの搬送速度が指令搬送速度Vよりも速く(遅く)搬送される際に、用紙S上のある領域が上流側ヘッドユニット30Aと対向する場合、その用紙上のある領域が下流側ヘッドユニット30Bと対向する際の用紙Sの搬送速度も、指令搬送速度Vよりも速く(遅く)なってしまう比較例のプリンタについて説明する。
【0054】
図7Aは、比較例のプリンタにより印刷された画像A’を示す図である。前述の画像A(図6A)の印刷と同様に、比較例のプリンタにおいて、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bのノズルから用紙Sに対して吐出周期tの間隔でインクが吐出されたとしても、図6Aのような一定の濃度の画像Aは印刷されず、図7Aのような濃度むらが発生した画像A’が印刷されてしまう。画像A’では搬送方向に濃い領域Yと淡い領域Xが交互に並んでいる。
【0055】
図7Bは、画像A’のうちの淡く印刷された領域Xの拡大図である。領域Xは、用紙Sが指令搬送速度Vよりも速い速度V+ΔVで搬送される際に(図5Dの時刻T0〜時刻T2)、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bと対向する。用紙Sが指令搬送速度Vよりも速い速度V+ΔVで搬送されるということは、あるノズルから領域Xに対してインクが吐出されてから次にインクが吐出されるまでの間に、用紙Sが1/360インチよりも長く搬送されてしまうということである。その結果、図7Bに示すように、領域X内には、搬送方向の間隔が1/360インチよりも広いドット列が形成される。そのため、図6Bに示すような濃度むらが発生しない画像Aに比べて、領域X内のドット形成密度が低く、巨視的にみると、領域Xは画像Aに比べて淡い画像となる。
【0056】
図7Cは、画像A’のうちの濃く印刷された領域Yの拡大図である。領域Yは、用紙Sが指令搬送速度Vよりも遅い速度V−ΔVで搬送される際に(図5Dの時刻T2〜時刻T4)、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bと対向する。即ち、あるノズルから領域Yに対してインクが吐出されてから次にインクが吐出されるまでの間に、用紙Sは1/360インチよりも少ない距離しか搬送されない。その結果、図7Cに示すように、領域Y内には、搬送方向の間隔が1/360インチよりも狭いドット列が形成される。そのため、図6Bに示すような濃度むらが発生しない画像Aに比べて、領域Y内のドット形成密度は高く、巨視的にみると、領域Yは画像Aに比べて濃い画像となる。
【0057】
以上をまとめると、搬送誤差による速度変化が生じるプリンタにおいて、用紙Sが指令搬送速度Vよりも速い速度で搬送される際に形成されるドット列の搬送方向の間隔は1/360インチよりも広くなり、用紙Sが指令搬送速度Vよりも遅い速度で搬送される際に形成されるドット列の搬送方向の間隔は1/360インチよりも狭くなる。
【0058】
そして、比較例のプリンタのように、用紙Sが指令搬送速度よりも速い(遅い)速度で搬送される際に、上流側ヘッドユニット30Aが用紙S上のある領域と対向する場合に、用紙S上のある領域と下流側ヘッドユニット30Bが対向する際の用紙Sの搬送速度も指令搬送速度Vよりも速くなってしまう(遅くなってしまう)とすると、搬送方向の間隔が1/360インチよりも広い(狭い)ドット列が紙幅方向に隣り合ってしまう。その結果、図7Bのように淡く印刷される領域Xと、図7Cのように濃く印刷される領域Yが発生し(濃度むらが発生し)、画質が低下してしまう。
【0059】
そこで、本実施形態では、搬送誤差により生じる濃度むらを低減することを目的とする。
【0060】
なお、前述の説明では、搬送方向のドット間隔が広い場合(図7B)と搬送方向のドット間隔が狭い場合(図7C)のみを示しているが、搬送誤差による周期的な速度変化は、図5Dに示すように、徐々に速くなり、徐々に遅くなる。そのため、形成されるドット列の搬送方向の間隔も、徐々に広くなったり、徐々に狭くなったりする。ゆえに、比較例のプリンタにより一定濃度の画像を印刷しようとすると、徐々に淡くなり、徐々に濃くなるというように、グラデーションの濃度むらが発生する。また、速度変化は周期的であるため、濃い領域Yと淡い領域Xが交互に発生する画像A’が形成される。
【0061】
〈濃度むら対策について〉
図8Aは、本実施形態のプリンタ1の搬送特性を示す図である(=図5D)。図8Bは、用紙S上のある領域Zと搬送速度の関係を示す図である。図8Cは、本実施形態のプリンタ1により形成された画像Bを示す図である。図8Dは、画像Bの拡大図である。画像Bは、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bの各ノズルから吐出周期tの間隔でインクが吐出されることにより形成される。また、画像Bを形成する際に、用紙Sは、指令搬送速度Vに対して、図8Aのような速度変化する搬送ユニット20により搬送される。
【0062】
ここで、用紙S上のある領域Z(黒塗り部)に着目する。図8Aの時刻T1に、領域Zの先端が上流側ヘッドユニット30Aの最上流側ノズル列Kと対向する(図8B)。その後、用紙Sが搬送され、図8Aの時刻Taにおいて、領域Zの後端が上流側ヘッドユニット30Aの最下流側ノズル列Yと対向する。即ち、用紙Sが指令搬送速度Vよりも速い速度(V+ΔV)で搬送される際に、領域Zは上流側ヘッドユニット30Aと対向する。そのため、領域Z内に上流側ヘッドユニット30Aにより形成されるドット列の搬送方向の間隔は1/360インチよりも広くなる。
【0063】
その後、図8Aの時刻T3に領域Zの先端が下流側ヘッドユニット30Bの最上流側ノズル列Kと対向する。そして、時刻Tbに領域Zの後端が下流側ヘッドユニット30Bの最下流側ノズル列Yと対向する。即ち、用紙Sが指令搬送速度Vよりも遅い速度(V−ΔV)で搬送される際に、領域Zは下流側ヘッドユニット30Bと対向する。そのため、領域Z内に下流側ヘッドユニット30Bにより形成されるドット列の搬送方向の間隔は1/360インチよりも狭くなる。
【0064】
即ち、領域Zには、上流側ヘッドユニット30Aにより搬送方向の間隔が1/360インチよりも広いドット列(搬送方向に疎のドット列)が形成され、下流側ヘッドユニット30Bにより搬送方向の間隔が1/360インチよりも狭いドット列(搬送方向に密なドット列)が形成される。図8Dの領域Z内(太線枠)に、搬送方向に疎のドット列と搬送方向に密のドット列が紙幅方向に隣り合う様子を示す。
【0065】
前述の比較例のプリンタでは、領域X内に、搬送方向に疎のドット列が隣り合って形成され(図7B)、領域Y内に、搬送方向に密のドット列が隣り合って形成され(図7C)るため、ドット形成密度が高い領域とドット形成密度が低い領域により、印刷された画像には濃度むらが発生してしまう。これに対して、本実施形態では、搬送方向に疎のドット列と搬送方向に密のドット列が紙幅方向に隣り合って形成されるため、ドット形成密度が平均化される。そのため、図8Dを巨視的にみると、図8Cのように一定の濃度の画像Bとなる。
【0066】
つまり、本実施形態では、用紙S上のある領域(領域Z)に、上流側ヘッドユニット30Aにより搬送方向に密のドット列が形成される場合には、下流側ヘッドユニット30Bにより搬送方向に疎のドット列が形成されるようにして、逆に、上流側ヘッドユニット30Aにより搬送方向に疎のドット列が形成される場合には、下流側ヘッドユニット30Bにより搬送方向に密のドット列が形成されるようにする。そうすると、形成されるドット列の搬送方向の間隔が搬送誤差により一定でなくとも、ある領域内に形成される密のドット列と疎のドット列を合わせることで、ある領域内のドット形成密度が平均化され、濃度むらの発生が抑止される。
【0067】
そのために、用紙S上のある領域が上流側ヘッドユニット30Aと対向する際の用紙Sの搬送速度が指令搬送速度Vよりも速い(遅い)場合には、ある領域が下流側ヘッドユニット30Bと対向する際の用紙Sの搬送速度が指令搬送速度Vよりも遅く(速く)する。即ち、用紙S上のある領域が上流側ヘッドユニット30Aと対向する際の指令搬送速度Vに対する速度誤差(+ΔV)と、用紙S上のある領域が下流側ヘッドユニット30Bと対向する際の指令搬送速度Vに対する速度誤差(−ΔV)とが、対称的な値となっていればよい。
【0068】
そこで、用紙S上のある領域が、上流側ヘッドユニット30Aの最上流側ノズル列Kと対向してから(T1)下流側ヘッドユニット30Bの最上流側ノズル列Kと対向するまで(T3)の期間を、搬送特性(図8A)の半周期(T/2)となるように、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bの間隔Xを設定する。即ち、上流側ヘッドユニット30Aの最上流側ノズル列Kと下流側ヘッドユニット30Bの最上流側ノズル列Kとの間隔が、半周期(T/2)の期間に用紙Sが搬送される距離と等しくなるように、ヘッドユニット間隔Xを設定する。
【0069】
例えば、前述の説明では、領域Zの先端が上流側ヘッドユニット30Aの最上流側ノズル列Kと対向する際(時刻T1)の搬送速度は、指令搬送速度Vに最大速度誤差ΔVmaxが加えられた値(V+ΔVmax)となり、領域Zの先端が下流側ヘッドユニット30Bの最上流側ノズル列Kと対向する際(時刻T3)の搬送速度は、指令搬送速度Vから最大速度誤差ΔVmaxを引いた値(V−ΔVmax)となる。そして、上流側ヘッドユニット30Aにより領域Zが印刷されている間(T1からTa)に用紙Sの搬送速度はV+ΔVmaxから徐々に遅くなり、下流側ヘッドユニット30Bにより領域Zが印刷されている間(T3からTb)に用紙Sの搬送速度はV−ΔVmaxから徐々に速くなるというように、対称的に速度変化する。その結果、上流側ヘッドユニット30Aにより領域Zに形成されるドット列の搬送方向の間隔は徐々に狭くなり、逆に、下流側ヘッドユニット30Bにより領域Zに形成されるドット列の搬送方向の間隔は徐々に広くなる。
【0070】
また、搬送誤差により周期的な速度変化が発生するため、図8Dに示すように、領域Zよりも上流側の領域では、領域Zとは逆に、上流側ヘッドユニット30Aにより密のドット列が形成され、下流側ヘッドユニット30Bにより疎のドット列が形成される。つまり、上流側ヘッドユニット30Aにより、「疎のドット列、密のドット列、疎のドット列…」の順に搬送方向にドット列が形成される場合には、下流側ヘッドユニット30Bにより、「密のドット列、疎のドット列、密のドット列…」の順に搬送方向にドット列が形成されることで、濃度むらが抑止される。
【0071】
但し、上流側ヘッドユニット30Aの最上流側ノズル列と下流側ヘッドユニット30Bの最上流側ノズル列が同じ色のノズル列であるとは限らないため、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bにそれぞれ属する同じ色のノズル列の間隔が、搬送特性の半周期(T/2)の期間に用紙Sが搬送される距離となるように、間隔Xを設定する。
また、本実施形態では、図3に示すように、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bのノズル列の配置が同じであり、どちらのヘッドユニットにおいても上流側からKCMYの順でノズル列が並んでいる。そして、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bにそれぞれ属する同じ色のノズル列の間隔が全て等しい。そのため、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bに属するノズル列のうちの1色のノズル列の間隔を搬送特性(T/2)に基づいて決定すれば、他の色のノズル列から吐出されるインクの濃度むらも低減される。
しかし、本実施形態のように、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bのノズル列の配置が同じでない場合には、例えば、濃度むらが目立ち易いブラックインクノズル列Kの間隔や、上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bにそれぞれ属する同じ色のノズル列間隔のうちの複数の色に共通するノズル列間隔を、搬送特性(T/2)に基づいて決定すればよい。この場合にも、濃度むらは低減されるが、本実施形態の方がより濃度むらが低減される。
【0072】
なお、ヘッドユニット30内に多数のノズル列が形成されて、ヘッドユニット30の搬送方向の長さが長くなってしまう場合、搬送特性の半周期T/2にもとづいてヘッドユニット間隔Xを決定しようとすると、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bの設置位置が重なってしまう。このような場合では、用紙Sが上流側ヘッドユニット30Aの最上流側ノズル列Kと対向してから下流側ヘッドユニット30Bの最上流側ノズル列Kと対向するまでの期間を「(自然数R+1/2)T(=3T/2、5T/2、7T/2…)」となるように、ヘッドユニット間隔Xを設定すればよい。即ち、上流側ヘッドユニット30Aの最上流側ノズル列Kと下流側ヘッドユニット30Bの最上流側ノズル列Kの間隔を、搬送特性の半周期T/2と自然数の回数分の周期を加えた期間に用紙Sが搬送される距離と等しくなるように、間隔Xを設定すればよい。例えば、3T/2(R=1)に基づいて、ヘッドユニット間隔Xを決定する場合、図8Aに示すように、用紙Sが上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bにそれぞれ対向する際の指令搬送速度Vに対する速度誤差ΔVは、対称的な値となる。
【0073】
なお、一方のヘッドユニット30により形成される疎のドット列を他方のヘッドユニット30により形成される密のドット列で濃度を補完するため、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bから吐出されるインクの色は同じである必要がある。また、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bの両方を用いて印刷される必要がある。
【0074】
===プリンタ1の製造方法について===
本実施形態では、搬送特性(周期的な速度変化)に基づいて、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bの間隔Xを設定し、濃度むらの発生を抑止する。但し、搬送特性はプリンタごとによって異なるため、製造工程において各プリンタの搬送特性を検出し、プリンタごとにヘッドユニット間隔Xを決定する必要がある。以下、製造工程における搬送特性の検出方法およびヘッドユニット間隔Xの決定方法について説明する。
【0075】
〈プリンタ1の製造方法例1〉
図9は、速度検出センサ41による搬送特性の検出方法を示す図である。図10は、製造方法例1のフローである。製造方法例1では、速度検出センサ41(速度検出手段)を用いて搬送ベルト22の回転速度により搬送特性を検出する。そのため、コントローラ10と搬送ユニット20と検出器群40とが組み立てられた時点で(S001)、ヘッドユニット30が組み立てられる前に、搬送特性を検出する(S002)。
【0076】
搬送ベルト22の回転速度から搬送特性を検出するために、搬送ベルト22に一定間隔おきに目印42(例:スリットや磁気センサ)を設ける。そして、プリンタ1のコントローラ10は、搬送ベルト22が一定の指令搬送速度Vで回転するように制御し、速度検出センサ41に目印42を検出させる。
【0077】
搬送誤差なく搬送ベルト22が一定の速度で回転していれば、速度検出センサ41は一定の間隔で目印42を検出する。しかし、図8Aのような搬送誤差による速度変化が生じる場合には、速度検出センサ41が目印42を検出する間隔は一定ではなくなる。例えば、搬送ベルト22が指令搬送速度Vよりも速く回転してしまう時には、速度検出センサ41が目印42を検出する間隔が短くなり、搬送ベルト22が指令搬送速度Vよりも遅く回転する時には、速度検出センサ41による目印42の検出間隔は長くなる。このように、速度検出センサ41による目印42の検出間隔により、図8Aのような搬送ユニット20の周期的な搬送特性を検出することができる。
【0078】
その後、検出した搬送特性に基づいて、前述のとおり、用紙Sが上流側ヘッドユニット30Aの最上流側ノズル列Kと対向してから下流側ヘッドユニット30Bの最上流側ノズル列Kと対向するまでの期間が、搬送特性の周期TのT/2、または、(自然数R+1/2)Tとなるように、ヘッドユニット間隔Xを決定する(S003)。そして、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bの間隔が、S003にて決定したヘッドユニット間隔Xとなるように、ヘッドユニット30を組立てると(S004)、搬送誤差による濃度むらが抑止されたプリンタ1が完成し、ユーザーのもとへ出荷される。
【0079】
なお、速度検出センサ41は製造工程中の搬送特性を検出する際にのみに設けてもよいし、プリンタ1に常設してもよい。コントローラ10は、ロータリーエンコーダ(不図示)等を用いて搬送ローラ21の回転角度で用紙Sの搬送量を制御すると前述しているが、プリンタ1に速度検出センサ41を常設する場合には、速度検出センサ41を用いて、印刷中の搬送速度の制御を行ってもよい。
【0080】
〈プリンタ1の製造方法例2〉
図11は、上流側ヘッドユニット30Aを用いて搬送特性を検出する方法を示す図である。図12は、製造方法例2のフローである。製造方法例2では、上流側ヘッドユニット30Aを用いて、用紙Sにテストパターンを印刷する。そして、印刷されたテストパターンに基づいて搬送特性を検出する。そのため、コントローラ10と搬送ユニット20と検出器群40が組み立てられた後に(S101)、上流側ヘッドユニット30Aのみが組み立てられる(S102)。なお、上流側ヘッドユニット30Aは、全てのプリンタにおいて、同じ位置に組み立てられるが、下流側ヘッドユニット30Bは、後に決定されるヘッドユニット間隔Xにより、プリンタごとに設置位置が異なる。以下、テストパターンの例を2つ挙げる。
【0081】
図13Aは、第1テストパターンP1を示す図である。コントローラ10は、搬指令搬送速度Vで用紙Sが搬送されるように搬送ユニット20を制御し、上流側ヘッドユニット30Aに属する1色のノズル列(ブラックノズル列K)から一定間隔おきに一斉にインクを吐出させて、第1テストパターンP1を形成させる。ブラックノズル列から一斉にインクが吐出されることで、紙幅方向に沿ったラインが形成される(実際には、図3に示すようにヘッド31が千鳥状に配置されているため、紙幅方向に1本のラインが形成されることはないが、ここでは説明の簡略のため、ブラックノズルが紙幅方向に1列に並んでいるとする)。
【0082】
用紙Sが搬送誤差なく一定の指令搬送速度Vで搬送される場合、ブラックノズル列のラインは搬送方向に一定の間隔に並ぶことになる。しかし、図8Aのような搬送誤差が生じる場合には、ブラックノズル列のラインの搬送方向の間隔は、図13Aに示すように、間隔が狭くなったり、広くなったりと周期的に変化する。
【0083】
指令搬送速度Vよりも速い速度で用紙Sが搬送されているときに形成されたラインの間隔は広くなり、指令搬送速度Vよりも遅い速度で用紙Sが搬送されているときに形成されたラインの間隔は狭くなる。そのため、ブラックノズル列からのインクの吐出間隔と、搬送方向に隣り合うラインの間隔から、図8Aのような搬送特性を検出することができる。例えば、図13Aに示すように、隣り合うラインの間隔が最も狭くなっているラインLAが形成された時刻(図8Aの時刻T3)から、隣り合うラインの間隔が次に最も狭くなっているラインLBが形成された時刻(図8Aの時刻T7)までの期間が搬送特性の周期Tに相当する。
【0084】
図13Bは、第2テストパターンP2を示す図である。図13Cは、スキャナによる第2テストパターンP2の読取結果を示す図である。コントローラ10は、搬指令搬送速度Vで用紙Sが搬送されるように搬送ユニット20を制御し、上流側ヘッドユニット30Aの1つのノズル列(ブラックノズル列K)を用いて一定濃度(一定の階調値に相当)で画像を印刷させて、第2テストパターンP2を形成させる。
【0085】
用紙Sが搬送誤差なく一定の指令搬送速度Vで搬送される場合、図6Aのような一定の濃度の画像が印刷される。しかし、図8Aのような搬送誤差による速度変化が生じる場合には、濃度むらが発生した画像が印刷される。その結果、スキャナによる読取結果は、図13Cのように、横軸に示す搬送方向の位置に対して、読み取り階調値(縦軸)が高くなったり低くなったりと、周期的に変化する。
【0086】
前述の通り、用紙Sが指令搬送速度Vよりも速い速度で印刷された領域には搬送方向に疎のドット列が形成され、その領域の濃度はコントローラ10から指定された濃度よりも淡くなる。一方、用紙Sが指令搬送速度Vよりも遅い速度で印刷された領域には搬送方向に密のドット列が形成され、その領域の濃度は指定された濃度よりも濃くなる。そのため、用紙Sの指令搬送速度Vと読取階調値の結果から、図8Aのような搬送特性を検出することができる。例えば、第2テストパターンP2の最も濃い領域、即ち、読取階調値の結果(図13C)が最大値となる搬送方向の位置Aが印刷された時刻(図8Aの時刻T3)から、次に最も濃い領域が印刷された時刻(図8Aの時刻T7)までの期間が、図8Aに示す搬送特性の周期Tに相当する。
【0087】
このように、上流側ヘッドユニット30Aにより印刷されたテストパターンP1、P2を基に、図8Aのような搬送特性が検出された後(S104)、搬送特性の周期Tに基づいて、ヘッドユニット間隔Xを決定する(S105)。そして、決定したヘッドユニット間隔Xに合わせて、下流側ヘッドユニット30Bが組み立てられると(S106)、搬送誤差による濃度むらが抑止されたプリンタ1が完成する。
【0088】
ここで、具体的なヘッドユニット間隔Xについて考える。上流側ヘッドユニット30Aの最上流側ノズル列と下流側ヘッドユニット30Bの最上流側ノズル列の間隔Y(図8B)が、搬送特性の半周期T/2の間に用紙Sが搬送される距離となるように、ヘッドユニット間隔Xが設定される。即ち、間隔Yは、図8Aの時刻T1〜時刻T3に用紙Sが搬送される距離であり、時刻T1〜時刻T3の速度変化(正弦波)と時間軸(横軸)に囲まれた面積で表される。また、時刻T1〜時刻T3の用紙Sの搬送速度の平均値は指令搬送速度Vであり、間隔Y=V×T/2で表される。そうして、間隔Yからノズル列同士の間隔やノズル列からヘッドユニットの端部までの距離などを引いた値がヘッドユニット間隔Xとなる。
【0089】
また、印刷したテストパターンP1、P2において、例えば、第1テストパターンP1(図13A)では、隣り合うラインの間隔が最も狭くなるラインLAと、隣り合うラインの間隔が次に最も狭くなるラインLBとの間隔が、周期Tにおいて用紙Sが搬送される距離と考えられる。そのため、ラインLAとラインLBの間隔を測定し、その測定した間隔の半分の長さを、上流側ヘッドユニットの最上流側ノズル列と下流側ヘッドユニットの最上流側ノズル列の間隔Yとしてもよい。あるいは、(ラインLAとラインLBの間隔)×(自然数R+1/2)の長さを、上流側ヘッドユニット30Aの最上流側ノズル列と下流側ヘッドユニットの最上流側ノズル列との間隔Yとしてもよい。
【0090】
このとき、指令搬送速度Vに対する搬送特性を基に間隔Y、及び、ヘッドユニット間隔Xを決定したが、用紙Sが指令搬送速度V以外の速度で搬送されたとしても、濃度むらの発生が抑止される。搬送ローラ21等の断面のつぶれや回転中心のずれが最も搬送特性に影響するため、周期的な搬送特性は搬送ローラ21が1回転するごとに発生する。そのため、例えば、用紙Sの搬送速度を指令搬送速度Vの2倍(2V)としたとき、搬送ローラは2倍の速さで回転されるため、搬送速度が2Vであるときの搬送特性の周期T’は、図8Aの周期Tの半分(T’=T/2)となる。そして、搬送速度が2Vであるときに、間隔Y(=VT/2)を用紙Sが搬送される時間Txは、搬送速度が2Vであるときの周期T’(=T/2)の半周期となる(Tx=(VT/2)/(2V)=T/4)。そのため、用紙Sが上流側ヘッドユニット30Aの最上流側ノズル列と対向してから、下流側ヘッドユニット30Bの最上流側ノズル列が対向するまでの期間Txが、搬送速度2Vに対する搬送特性の周期T’の半周期(=T’/2)となるため、濃度むらの発生が抑止される。
【0091】
〈プリンタ1の製造方法例3〉
図14Aは、2つのヘッドユニットを用いて搬送特性を検出する方法を示す図である。図15は、製造方法例3のフローである。製造方法例3では、コントローラ10と搬送ユニット20と検出器群40が組み立てられた後に(S201)、上流側ヘッドユニット30Aが組み立てられる。そして、スペーサー50を介して下流側ヘッドユニット30Bも設置される(S202)。このとき、下流側ヘッドユニット30Bは仮の設置位置にて仮固定される。そして、第3テストパターンP3が印刷される(S203)。
【0092】
図14Bは、第3テストパターンP3を示す図である。コントローラ10は、搬指令搬送速度Vで用紙Sが搬送されるように搬送ユニット20を制御し、上流側ヘッドユニット30Aのブラックノズル列Kと下流側ヘッドユニット30Bのブラックノズル列Kから一定間隔おきに一斉にインクを吐出させて、第3テストパターンP3を印刷させる。また、上流側ヘッドユニット30Aの紙幅方向の右側のブラックノズル列Kと、下流側ヘッドユニット30Bの紙幅方向の左側のブラックノズル列Kのみからインクを吐出させる。そうすると、図14Bに示すように、用紙Sの右側には、上流側ヘッドユニット30Aにより複数のラインが形成され、用紙Sの左側には、下流側ヘッドユニット30Bにより複数のラインが形成される。この製造方法例3では、用紙Sの左右に形成されたラインの位置関係から搬送特性を検出し、ヘッドユニット間隔Xを決定する。なお、実際のヘッドユニット30では、図3に示すようにヘッド31が千鳥状に配置されているため、千鳥状に配置されているヘッドのうちの上流側のヘッド31又は下流側のヘッド31のどちらかのみを用いて第3テストパターンP3を印刷してもよい。例えば、第3テストパターンP3の左側のラインを下流側ヘッドユニット30B内の第3ヘッド31B(3)により印刷し、第3テストパターンP3の右側のラインを上流側ヘッドユニット30A内の第1ヘッド31A(1)により印刷する。
【0093】
第3テストパターンP3に形成されるラインの間隔が一定ではなく、図14Bのようにラインの間隔が広くなったり狭くなったりする場合、そのプリンタは搬送誤差により図8Aのような速度変化すること(搬送特性)が分かる。
【0094】
例えば、図14Bでは、用紙Sの搬送方向の中央部のラインに着目すると、上流側ヘッドユニット30Aにより形成された方の右側のラインの間隔は広く、下流側ヘッドユニット30Bにより形成された方の左側のラインの間隔は狭い。これにより、上流側ヘッドユニット30Aと用紙Sの中央部が対向するときに、用紙Sは指令搬送速度Vよりも速く搬送され、下流側ヘッドユニット30Bと用紙Sの中央部が対向するときに、用紙Sは指令搬送速度Vよりも遅く搬送されたことが分かる。図8Aで示すと、用紙Sの中央部は、時刻T0から時刻T2の間に上流側ヘッドユニット30Aと対向し、時刻T2から時刻T4の間に下流側ヘッドユニット30Bと対向することになる。
【0095】
即ち、図14Bに示すように、間隔が狭いラインと間隔が広いラインが紙幅方向の左右に隣り合う第3テストパターンP3が形成された場合、用紙Sのある領域が上流側ヘッドユニット30Aと対向する際の速度誤差と、用紙Sのある領域が下流側ヘッドユニット30Bと対向する際の速度誤差が対称的な値となる。その結果、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bにより形成されるドットを合わせると、ドット形成密度は平均化され、濃度むらの発生が抑止される。このような場合、スペーサー50による仮の下流側ヘッドユニット30Bの設置位置が、下流側ヘッドユニット30Bの適正な設置位置であり、スペーサー50の搬送方向の長さが適正なヘッドユニット間隔Xとなる。
【0096】
一方、第3テストパターンP3の左右に形成されるラインの間隔が等しい場合(不図示)、例えば、用紙Sの右側に上流側ヘッドユニット30Aにより搬送方向に広い間隔でラインが形成され、用紙Sの左側に下流側ヘッドユニット30Bにより搬送方向に広い間隔でライン形成される場合には、ドット形成密度が平均化されずに、濃度むらが発生してしまう。即ち、スペーサー50による仮の下流側ヘッドユニット30Bの設置位置は適正な位置ではないことが分かる。この場合、間隔が狭いラインと間隔が広いラインが左右に隣り合うように、ヘッドユニット間隔Xを決定する。例えば、図14Bを用いて説明すると、搬送方向に隣り合うラインの間隔が最も狭くなっているラインLAが形成された時刻から次に隣り合うラインの間隔が最も狭くなっているラインLBが形成された時刻までの期間が、搬送特性の周期Tに相当する。そして、搬送特性のT/2、または、(R+1/2)Tに基づいて、ヘッドユニット間隔Xを決定する。
【0097】
こうして決定された適正なヘッドユニット間隔Xにより、下流側ヘッドユニット30Bが本固定され(S206)、プリンタ1が完成する。
【0098】
===その他の実施形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェット方式のプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、ヘッドユニット間隔の設定方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0099】
〈微動機構について〉
図16は、下流側ヘッドユニット30Bがボルトなどにより搬送方向に移動可能な微動機構51が設けられたプリンタを示す図である。この場合、プリンタ1の製造工程だけでなく、プリンタ1が完成してからも容易にヘッドユニット間隔Xを調節することができる。例えば、搬送ユニット20が故障し、搬送ユニット20のみを交換する場合に、交換した搬送ユニット20の搬送特性に応じて、ヘッドユニット間隔Xを調整することができる(液体吐出装置調整方法、ノズル間隔調整手段)。また、ヘッドユニット間隔Xは微動機構により自動に調整されても、手動で調整されてもよいとする。
また、2つのヘッドユニット30のうちのどちらか一方が搬送方向に移動可能であれば、ヘッドユニット間隔Xを調整することができるため、どちらか一方のヘッドユニット30(例、上流側ヘッドユニット30A)は固定されていても構わない。また、どちらか一方のヘッドユニット30だけが移動する方が、ヘッドユニット間隔Xの調整が容易であり、調整による誤差も生じにくい。
【0100】
〈ヘッドユニット間隔について〉
図17Aは、ヘッドユニット30を3個有するプリンタを示す図である。図17Bは、搬送特性とヘッドユニット30の位置関係を示す図である。図17Cは、濃度むらが発生してしまう、搬送特性とヘッドユニットの位置関係を示す図である。図17Aのように、ヘッドユニット30を3個(=奇数個、n個)有するプリンタでは、上流側ヘッドユニット30Aの最上流側ノズル列が用紙Sと対向してから中間ヘッドユニット30C(中間ノズル群に相当)の最上流側ノズル列が用紙Sと対向するまでの期間が搬送特性の周期Tの1/3(=T/3=T/n)となるように、上流側ヘッドユニット30Aと中間ヘッドユニット30Cとの間隔X1を決定する。即ち、上流側ヘッドユニット30Aの最上流側ノズル列と中間ヘッドユニット30Cの最上流側ノズル列の間隔が、プリンタが有するヘッドユニット30の数(=3)で搬送特性の周期Tを割った期間(=T/3)に用紙Sが搬送される距離と等しくなるように、間隔X1を決定する。中間ヘッドユニット30Cと下流側ヘッドユニット30Bの間隔X2も同様に設定する。ゆえに、3つのヘッドユニットの間隔は等しくなる。
【0101】
そうすることで、図17Bに示すように、用紙S上のある領域が上流側ヘッドユニット30Aと対向するとき(時刻T0から時刻T5)の搬送速度が指令搬送速度Vよりも速いとすると、用紙S上のある領域が中間ヘッドユニット30Cと対向するとき(時刻T5から時刻T6)の搬送速度は、指令搬送速度Vよりも速い速度から遅い速度に変化し、用紙S上のある領域が下流側ヘッドユニット30Bと対向するとき(時刻T6から時刻T4)の搬送速度は、指令搬送速度Vよりも遅くなる。
その結果、用紙S上のある領域には、上流側ヘッドユニット30Aにより搬送方向のドット間隔が1/360インチ(1画素の搬送方向の長さ)よりも広いドット列が形成され、下流側ヘッドユニット30Bにより搬送方向のドット間隔が1/360インチよりも狭いドット列が形成される。一方、中間ヘッドユニット30Cにより形成されるドット列は、前記ある領域内の上流側では搬送方向のドット間隔が1/360インチよりも広いが、下流側になるにつれて搬送方向のドット間隔が1/360インチよりも狭くなるため、平均すると、中間ヘッドユニット30Bにより形成されるドット列は搬送方向のドット間隔が1/360インチとなる。ゆえに、用紙Sでは、ドット間隔が約1/360インチよりも広いドット列と、平均するとドット間隔が約1/360インチであるドット列と、ドット間隔が1/360インチよりも狭いドット列が紙幅方向に並ぶため、ドット形成密度が平均化されて、濃度むらの発生が抑止される。
なお、ヘッドユニットを奇数個(3個)有するプリンタでは、前述の実施形態のように、搬送特性の周期の半分(T/2)に基づいて、ヘッドユニット間隔Xを決定することはできない。例えば、図17Cに示すように、上流側ヘッドユニット30Aが用紙S上のある領域と対向する際の搬送速度が指令搬送速度Vよりも速い場合、中間ヘッドユニット30Cが用紙S上のある領域と対向する際の搬送速度は指令搬送速度Vよりも遅くなり、下流側ヘッドユニット30Bが用紙上のある領域と対向する際の搬送速度は指令搬送速度Vよりも速くなる。その結果、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bにより搬送方向のドット間隔が1/360インチよりも広いドット列が形成され、中間ヘッドユニット30Cにより搬送方向のドット間隔が1/360インチよりも狭いドット列が形成されるため、ある領域の濃度は指定された濃度よりも淡くなり、濃度むらを発生させてしまう。
【0102】
そのため、プリンタが有するヘッドユニット数が奇数個(n個)である場合には、搬送方向に隣り合う上流側のヘッドユニット(例30A)の最上流側ノズル列と用紙Sが対向してから、下流側のヘッドユニット(例30C)の最上流側ノズル列と用紙Sが対向するまでの期間が、搬送特性の周期TのT/n(又は(R+1/n)T)となるように、ヘッドユニット間隔(例X1)を設定する。
【0103】
図18Aは、ヘッドユニットを4個有するプリンタを示す図である。図18B及び図18Cは、搬送特性と各ヘッドユニットの位置関係を示す図である。プリンタが有するヘッドユニット数が偶数個(n個)である場合には、搬送方向に隣り合う上流側のヘッドユニット(例30A)の最上流側ノズル列と用紙Sが対向してから、下流側のヘッドユニット(例30C)の最上流側ノズル列と用紙Sが対向するまでの期間が、搬送特性の周期TのT/2((R+1/2)T)またはT/n((R+1/n)T)となるように、ヘッドユニット間隔(例X1)を設定する。
図18Bは、搬送特性の周期TのT/2に基づいてヘッドユニット間隔Xを設定した際の搬送特性とヘッドユニット30の位置関係を示す図である。この場合、図18Bに示すように、上流側ヘッドユニット30Aと第2中間ヘッドユニット30Dにより搬送方向の間隔が広いドット列が形成され、第1中間ヘッドユニット30Cと下流側ヘッドユニット30Bにより搬送方向のドット間隔が狭いドット列が形成されるため、ドット形成密度が平均化され、濃度むらの発生が抑止される。
図18Cは、搬送特性の周期TのT/n(=T/4)に基づいてヘッドユニット間隔Xを設定した際の搬送速度とヘッドユニット30の位置関係を示す図である。この場合、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bが用紙Sと対向する際の搬送速度は対称的に変化し、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bにより形成されるドット列を合わせるとドット形成密度が平均化される。同様に、第1中間ヘッドユニット30Cと第2中間ヘッドユニット30Dが用紙Sと対向する際の搬送速度も対称的に変化するため、2つの中間ヘッドユニット30C、30Dにより形成されるドット列を合わせるとドット形成密度が平均化される。その結果、濃度むらの発生が抑止される。
【0104】
また、前述の実施形態では、搬送特性の半周期T/2に基づいてヘッドユニット間隔Xを決定しているがこれに限らない。搬送特性の周期Tの期間がとても長く、例えば、第2テストパターンP2(図13B)を印刷したとしても周期的な濃度むらが現れない場合には、搬送誤差により発生する濃度むらが画質劣化に及ぼす影響は少ないと考えられる。そのため、このような場合には、ヘッドユニット間隔Xを可能な限り狭くして、装置を小型化し、印刷時間を短くしたとしても問題はない。
【0105】
〈テストパターンについて〉
前述の実施形態では、用紙SにテストパターンP1〜P3を印刷しているが、これに限らない。例えば、搬送ベルト22にテストパターンP1〜P3を印刷し、ヘッドユニット間隔Xを調整することができる。但し、搬送ベルト22にテストパターンを印刷した後に、搬送ベルト22を清掃する必要がある。
【0106】
〈液体吐出装置について〉
前述の実施形態では、液体吐出装置としてインクジェットプリンタを例示していたが、これに限らない。液体吐出装置であれば、プリンタ(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、前述の実施形態のプリンタは、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより液体を吐出しているが、これに限らない。例えば、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって液体を吐出させるプリンタでもよい。
【0107】
なお、速度変化を検出し、ヘッドユニット間隔を決定し、ヘッドユニット間隔を調整する動作がプリンタ1のみで行われる場合には、プリンタ1が液体吐出装置となり、前記動作がプリンタ1とコンピュータ60とで行われる場合には、プリンタ1とコンピュータ60が接続されたシステムが液体吐出装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本実施形態のプリンタの全体構成ブロック図である。
【図2】図2Aはプリンタの断面図であり、図2Bはプリンタが紙を搬送する様子を示す図である。
【図3】上流側ヘッドユニットと下流側ヘッドユニットの下面のノズル配列を示す。
【図4】ノズルからインクを吐出させるための駆動信号を示す図である。
【図5】図5Aは搬送ユニットの詳細図であり、図5B及び図5Cは搬送ローラの製造誤差を示す図であり、図5Dは搬送ユニットの搬送誤差によって生じる周期的な速度変化を示す図である。
【図6】図6Aは搬送誤差が生じない理想的なプリンタにより印刷された画像を示す図であり、図6Bは画像の拡大図である。
【図7】図7Aは比較例のプリンタにより印刷された画像を示す図であり、図7Bは画像A’のうちの淡く印刷された領域Xの拡大図であり、図7Cは画像A’のうちの濃く印刷された領域Yの拡大図である。
【図8】図8Aは本実施形態のプリンタの搬送特性を示す図であり、図8Bは用紙上のある領域と搬送速度の関係を示す図であり、図8Cは本実施形態のプリンタにより形成された画像を示す図であり、図8Dは画像の拡大図である。
【図9】速度検出センサによる搬送特性の検出方法を示す図である。
【図10】製造方法例1のフローである。
【図11】上流側ヘッドユニットを用いて搬送特性を検出する方法を示す図である。
【図12】製造方法例2のフローである。
【図13】図13Aは第1テストパターンを示す図であり、図13Bは第2テストパターンを示す図であり、図13Cはスキャナによる第2テストパターンの読取結果を示す図である。
【図14】図14Aは2つのヘッドユニットを用いて搬送特性を検出する方法を示す図であり、図14Bは第3テストパターンを示す図である。
【図15】製造方法例3のフローである。
【図16】、下流側ヘッドユニットがボルトなどにより搬送方向に移動可能な微動機構が設けられたプリンタを示す図である。
【図17】図17Aはヘッドユニットを3個有するプリンタを示す図であり、図17Bは搬送特性とヘッドユニットの位置関係を示す図であり、図17Cは濃度むらが発生してしまう搬送特性とヘッドユニットの位置関係を示す図である。
【図18】図18Aはヘッドユニットを4個有するプリンタを示す図であり、図18B及び図18Cは、搬送特性と各ヘッドユニットの位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0109】
1 プリンタ、
10 コントローラ、11 インターフェース部、12 CPU、
13 メモリ、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 搬送ローラ、22 搬送ベルト、
23 給紙ローラ、24 搬送モータ、25 伝達機構、
30 ヘッドユニット、31 ヘッド、
30A 上流側ヘッドユニット、30B 下流側ヘッドユニット、
40 検出器群、41 速度検出センサ、42 印、
50 スペーサー、51 微動機構、
60 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルに対して媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、上流側ノズル群と、前記上流側ノズル群よりも前記搬送方向の下流側に位置する下流側ノズル群とを備える液体吐出装置において、搬送誤差によって生じる周期的な速度変化を検出するステップと、
前記速度変化に基づいて、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔を決定するステップと、
を有する液体吐出装置製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置製造方法であって、
前記上流側ノズル群から吐出される液体の種類と、前記下流側ノズル群から吐出される液体の種類は等しく、
前記媒体に対して前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群の両方のノズルから液体が吐出される、
液体吐出装置製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置製造方法であって、
前記媒体が前記搬送誤差により指定された速度よりも速い速度で搬送される際に前記上流側ノズル群と対向する前記媒体上の領域が、前記下流側ノズル群と対向する際には、前記媒体は前記搬送誤差により前記指定された速度よりも遅い速度で搬送される、
液体吐出装置製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の液体吐出装置製造方法であって、
前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔は、前記上流側ノズル群のノズルと前記下流側ノズル群のノズルとの間隔が、前記速度変化の半分の周期の期間に前記媒体が搬送される距離と等しくなるように決定される、
液体吐出装置製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の液体吐出装置製造方法であって、
前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔は、前記上流側ノズル群のノズルと前記下流側ノズル群のノズルとの間隔が、前記速度変化の半分の周期と自然数の回数分の周期を加えた期間に前記媒体が搬送される距離と等しくなるように決定される、
液体吐出装置製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の液体吐出装置製造方法であって、
前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群の間に中間ノズル群が配置される場合、
各ノズル群の間隔は、前記搬送方向に隣り合う2つの前記ノズル群のうちの上流側の前記ノズル群のノズルと下流側の前記ノズル群のノズルとの間隔が、前記液体吐出装置が有する前記ノズル群の数で前記速度変化の周期を割った期間に前記媒体が搬送される距離と等しくなるように決定される、
液体吐出装置製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の液体吐出装置製造方法であって、
前記速度変化は、速度検出センサにより検出される、
液体吐出装置製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の液体吐出装置製造方法であって、
前記搬送機構は、搬送ローラと搬送ベルトにより構成され、
前記速度検出センサは、前記搬送ベルトが一定期間内に移動した距離を検出する、
液体吐出装置製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の液体吐出装置製造方法であって、
前記速度変化は、前記上流側ノズル群または前記下流側ノズル群のどちらか一方のノズルから一定間隔おきに液体が吐出されて形成されるパターンにより検出される、
液体吐出装置製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の液体吐出装置製造方法であって、
前記パターンは、前記搬送方向に並んだ複数のラインにより構成される、
液体吐出装置製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の液体吐出装置製造方法であって、
前記速度変化は、前記上流側ノズル群または前記下流側ノズル群のどちらか一方のノズルから一定の階調値で液体が吐出されて形成されるパターンにより検出される、
液体吐出装置製造方法。
【請求項12】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の液体吐出装置製造方法であって、
前記速度変化は、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群の両方のノズルから一定間隔おきに液体が吐出されて形成されるパターンにより検出される、
液体吐出装置製造方法。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の液体吐出装置製造方法であって、
前記上流側ノズル群により形成された前記搬送方向に沿ったドット列の間に、前記下流側ノズル群により前記搬送方向に沿ったドット列が形成される、
液体吐出装置製造方法。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の液体吐出装置製造方法であって、
前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群のうちの一方は固定され、他方は前記搬送方向に移動可能である、
液体吐出装置製造方法。
【請求項15】
液体を吐出するノズルに対して媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、上流側ノズル群と、前記上流側ノズル群よりも前記搬送方向の下流側に位置する下流側ノズル群とを備える液体吐出装置において、搬送誤差によって生じる周期的な速度変化を検出するステップと、
前記速度変化に基づいて、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔を決定するステップと、
を有する液体吐出装置調整方法。
【請求項16】
液体を吐出するノズルに対して媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、上流側ノズル群と、前記上流側ノズル群よりも前記搬送方向の下流側に位置する下流側ノズル群とを備える液体吐出装置において、搬送誤差によって生じる周期的な速度変化を検出するステップと、
前記速度変化に基づいて、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔を決定するステップと、
前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔が、決定された前記間隔となるように調整するステップと、
前記媒体に対して、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群から液体が吐出されるステップと、
を有する液体吐出方法。
【請求項17】
液体を吐出するノズルに対して媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、
上流側ノズル群と、
前記上流側ノズル群よりも前記搬送方向の下流側に位置する下流側ノズル群と、
前記搬送機構の搬送誤差によって生じる周期的な速度変化を検出する速度検出手段と、
前記速度変化に基づいて、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔を決定し、前記上流側ノズル群と前記下流側ノズル群との間隔が、決定された前記間隔となるように調整するノズル間隔調整手段と、
を有する液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−238640(P2008−238640A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83770(P2007−83770)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】