説明

液体材料の充填方法および装置

【課題】装置構成の自由度が高く、複雑な制御をすることなく液体材料を適正量供給することができる液体材料の充填方法および装置の提供。
【解決手段】基板とその上に保持されたワークとの間隙に毛細管現象を利用して吐出部から吐出した液体材料を充填する方法において、ワークの縁部に吐出部から液体材料を供給する供給工程と、前記供給工程で供給された液体材料が毛細管現象により染み出すことが想定される領域のワークの縁部の画像を撮像手段により撮像する撮像工程と、撮像された画像に基づきワークの縁部における液体材料の存否を検出して基板とワークとの間隙の全域に液体材料が充填されたかを判定する判定工程と、判定不良とされた場合に、前記ワークの縁部に吐出部から液体材料を供給する補充工程とを有すること特徴とする液体材料の充填方法およびその装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板とその上に保持されたワークとの間隙に毛細管現象を利用して吐出部から吐出した液体材料を充填する方法に関し、特に半導体パッケージングのアンダーフィル工程において液体材料を過不足なく充填できる方法および装置に関するものである。
なお、本発明における「吐出」とは、液体材料が吐出部から離間する前にワークに接触するタイプの吐出方式、および、液体材料が吐出部から離間した後にワークに接触されるタイプの吐出方式を含むものである。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージは、図1に示すように、基板上に半田バンプを介して半導体チップを接続して構成される。基板と半導体チップとの隙間には、アンダーフィル材が充填され、熱応力や外部からの応力などの影響を緩和する。
アンダーフィル材を基板と半導体チップとの隙間に充填する工程は、アンダーフィル工程と呼ばれる。アンダーフィル工程は、図2(a)〜(c)のように、半導体チップの端部近傍に位置した吐出部からアンダーフィル材を供給し、毛細管現象を利用して樹脂を半導体チップと基板との隙間に充填した後、オーブンなどで加熱して樹脂を硬化させることにより行う。
アンダーフィル工程において、半導体チップと基板との隙間に気泡が残ると、アンダーフィル材を硬化させるときの加熱において、隙間に残った気泡が膨張して、悪影響を与える。そのため、気泡を残さないこと、巻き込まないことが必要である。
【0003】
吐出部を半導体の全周に沿って移動しながらアンダーフィル材を供給すると、アンダーフィル材は、半導体チップの全周から向けて流れるので、図3のように、半導体チップの中心に抜け出せなくなった気泡が残る。
そこで、一般には、図2(a)〜(c)のような方法でアンダーフィル材を供給する場合が多い。図2(a)は吐出部を半導体チップに対して静止してアンダーフィル材を供給する手法であり、図2(b)は吐出部を半導体チップの一辺に沿って移動しながらアンダーフィル材を供給する手法であり、図2(c)は吐出部を半導体チップの二辺に対して沿って移動しながらアンダーフィル材を供給する手法である。
図2(a)〜(c)のような手法によれば、アンダーフィル材は、半導体チップと基板との隙間を一方向に流れるため、半導体チップと基板との隙間の空気はアンダーフィル材に押し出されて供給された側とは反対側から排出されるので、その結果、気泡を残さず充填できる。
【0004】
吐出部から供給されるアンダーフィル材の量は、予めの算出された半導体チップと基板との隙間全体に行き届く量である。この量のアンダーフィル材を供給することで、ほとんどの半導体チップは、半導体チップと基板との隙間全域にアンダーフィル材が行き届いた良好な結果が得られる。
図4(a)は、半導体チップと基板との隙間全体にアンダーフィル材が行き渡った状態である。このように、半導体チップ縁部(周辺)からわずかにアンダーフィル材がはみ出している状態となるのが好ましい。
【0005】
しかし、半導体チップの周辺全体にアンダーフィル材が行き届かない場合もあり、このような状態の半導体パッケージは不良とされる。図4(b)は半導体チップの周辺全体にアンダーフィル材が行き届かない状態を示す図である。
【0006】
特許文献1には、半導体チップを載置した基板を傾け、上方側から半導体チップと基板との隙間にアンダーフィル材を流し、下方側に設置された監視カメラにより、アンダーフィル材が下方に到達したことを確認し、これによりアンダーフィル材が行き届いたことを確認する方法が開示される。
【0007】
特許文献2には、ノズルの先端部に樹脂玉を形成し、当該樹脂玉を基板上に転写させて塗布するバルブ式のディスペンサと、ノズルの先端部に付着している樹脂を撮像する撮像部を備える画像認識手段と、撮像された画像データに基づいて、ノズルからの樹脂の吐出量を制御する制御手段とを備えた樹脂塗布装置において、本工程に先立って捨て打ちを行い、CCDカメラにより、樹脂残りの面積(吐出前の面積S1)と、ノズル先端部に形成した樹脂玉の面積(吐出後の面積S2)を測定し、測定された吐出後の面積S2と吐出前の面積S1との差から樹脂吐出量測定を行うアンダーフィル材の充填方法が開示される。
【特許文献1】特開2000−82715号公報
【特許文献2】特開2004−273541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、アンダーフィル材の過剰供給が発生しないように、アンダーフィル材が他端に到達した瞬間を検知する必要がある。そのため、吐出中は監視カメラの画像をリアルタイムで解析して、アンダーフィル材の到達を判断する必要があるが、この制御は非常に複雑である。
【0009】
また、監視カメラによって到達したことを確認した時点では、半導体チップと基板との隙間のアンダーフィル材の流動は治まっていない状態にある。到達を確認し、吐出部からの供給を停止した後においても、既に供給されたアンダーフィル材は流動する。従って、吐出部からの供給をしたにもかかわらず、半導体チップの周囲からアンダーフィル材があふれ出すという現象が発生する場合がある。このような現象は、特に粘度が高いアンダーフィル材の場合(半導体チップと基板との隙間に流れるのが遅いアンダーフィル材の場合)に発生しやすい。
【0010】
一方、アンダーフィル材の到達をリアルタイムに確認後、吐出部から実際の吐出が停止するまでにタイムラグがあり、これが原因で過剰供給が生ずることがある。かかる問題は、アンダーフィル材の供給速度が速い場合に過剰供給は発生しやすいため、供給速度を遅くするという対応が考えられる。しかし、粘度が低いアンダーフィル材ではその流動性から供給速度を遅くすることは難しく、また供給速度を遅くすることで高速化が妨げられるという問題もある。
【0011】
ところで、特許文献1には、流し込み時に基板を斜めに保持し、到達を確認してから水平にして、半導体チップの反対側から流れ出したアンダーフィル材を毛細管現象により戻すことで良好な充填を行うことが開示される。しかし、このように基板を傾斜させる機構は生産設備を大掛かりする原因となる。さらに、各半導体チップの充填ごとに基板を斜め・水平に変化させる工程が必要となるため、余計な時間がかかり生産性が悪い。
また、半導体チップは小型のものが多いため、吐出部を含んだ吐出機構と監視カメラを近接して配置する必要がある。そのため、吐出機構と監視カメラの大きさに制限があり、また吐出機構と監視カメラとの配置に制限があった。
【0012】
本発明は、上記のような問題を解決することを目的とするものである。すなわち、装置構成の自由度が高く、複雑な制御をすることなく液体材料を適正量供給することができる液体材料の充填方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
液体材料が基板とワークの隙間に充分に充填されたかを確認しながら液体材料の供給を行う手法においては、上述の課題がある。そこで、本発明者は、所望とする量の液体材料を供給してワークと基板との隙間に充填した後に、充填の状態を確認し、充填が不良である場合のみ後から補充する手法を採用した。
【0014】
すなわち、第1の発明は、基板とその上に保持されたワークとの間隙に毛細管現象を利用して吐出部から吐出した液体材料を充填する方法において、ワークの縁部に吐出部から液体材料を供給する供給工程と、前記供給工程で供給された液体材料が毛細管現象により染み出すことが想定される領域のワークの縁部の画像を撮像手段により撮像する撮像工程と、撮像された画像に基づきワークの縁部における液体材料の存否を検出して基板とワークとの間隙の全域に液体材料が充填されたかを判定する判定工程と、判定不良とされた場合に、前記ワークの縁部に吐出部から液体材料を供給する補充工程とを有すること特徴とする液体材料の充填方法である。
第2の発明は、第1の発明において、前記補充工程は、前記供給工程において液体材料を供給した際の吐出部の位置と重なる位置から液体材料を供給することを特徴とする。
換言すると、供給工程で液体材料を供給した側の縁部から、補充を行うことであり、気泡が巻き込まれるのを防ぐことができる。供給工程において静止した吐出部から供給し、補充工程において吐出部を僅かにずらして供給した場合でも、同様の効果が得られることが想定される。
第3の発明は、第1の発明において、前記補充工程は、前記判定工程において液体材料が存在しないワークの縁部に吐出部を移動して液体材料を供給することを特徴とする。
第4の発明は、第1ないし3のいずれかの発明において、前記ワークが多角形である場合において、前記撮像工程でワークの角の縁部を撮像することを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明において、前記ワークの角は、供給工程における吐出部の位置の属する辺と最も遠い位置にある辺を構成し、且つ、吐出部の位置の属する辺を構成しない1以上の角であることを特徴とする。
第6の発明は、第1ないし5のいずれかの発明において、前記判定工程は、撮像された画像に基づきワークの縁部からはみ出した液体材料の量を認識するプロセスを含み、前記補充工程は、前記判定工程で認識したはみ出した液体材料の量に基づき算出された補充量の液体材料を供給することを特徴とする。
第7の発明は、第6の発明において、前記判定工程は、撮像された画像に基づきワークの縁部からはみ出した液体材料の幅を認識し、当該幅からはみ出した液体材料の補充量を算出することを特徴とする。
第8の発明は、第6発明において、前記判定工程は、撮像された画像に基づきワークの縁部からはみ出した液体材料の面積を認識し、当該面積からはみ出した液体材料の補充量を算出することを特徴とする。
第9の発明は、第6の発明において、前記撮像工程は、ワークの縁部の複数の地点において撮像を行い、前記判定工程は、撮像された画像に基づきワークの縁部の複数の地点における液体材料の存否を検出し、液体材料の存在しない地点の数に基づき液体材料の補充量を算出することを特徴とする。
第10の発明は、第1ないし8のいずれかの発明において、前記撮像工程は、ワークの縁部の複数の地点において撮像を行い、前記判定工程は、撮像された画像に基づきワークの縁部の複数の地点において液体材料が縁部に存在するかを確認し、全ての地点で液体材料が存在する場合には良好と判定し、いずれかの地点において液体材料が存在しない場合には不良と判定することを特徴とする。
第11の発明は、第1ないし10のいずれかの発明において、前記基板は、アライメントマークを有し、前記供給工程の前に、基板のアライメントマークを撮像手段により撮像し、基板および/または基板上のワークの保持位置のずれを補正するアライメント工程を有することを特徴とする。
第12の発明は、第11の発明において、前記アライメント工程と前記撮像工程で同一の撮像手段を用いることを特徴とする。
第13の発明は、第1ないし12のいずれかの発明において、前記基板上に複数のワークが保持される場合において、2以上のワークに対して供給工程を実施した後に、撮像工程ないし補充工程を実施することを特徴とする。
第14の発明は、第1ないし13のいずれかの発明において、前記基板上に複数のワークが保持される場合において、前記撮像手段は、吐出部と独立の駆動手段を有し、基板上の全てのワークに対する供給工程が完了する前に、当該基板上の供給工程が完了したワークに対する撮像工程の実施を開始することを特徴とする。
第15の発明は、第1ないし14のいずれかの発明において、前記撮像工程において、撮像手段に連設された複数の照射部からなる照明手段によりワークの縁部を照射して撮像することを特徴とする。
【0015】
第16の発明は、液体材料を供給する液材供給部と、液体材料を吐出する吐出口を有する吐出部と、吐出部を移動自在とする駆動機構と、撮像手段と、これらの作動を制御し、所望とする量の液体材料を吐出させる制御部とを備える吐出装置において、制御部が、第1ないし14のいずれかの発明に係る液体材料の充填方法を実施するプログラムを有することを特徴とする装置である。
第17の発明は、第16の発明において、前記撮像手段に連設された複数の照射部からなる照明手段を備えることを特徴とする。
なお、本発明の吐出装置において、所望とする量の液体材料を吐出させるための具体的構成を例示すると、エア式ディスペンサの場合は加圧エアの圧力値と加圧時間を制御すること、チュービング式の場合はチューブ内の液体を移送するためにチューブを押しつぶす部材の移動量や押しつぶす回数を制御すること、ジェット式など液滴を噴射するタイプの場合は液滴を吐出する回数を制御すること、スクリュー式の場合はスクリューの回転量を制御すること、バルブ式の場合は液体材料の加圧力の大きさとバブル部の開閉量および開閉時間を制御することなど、が開示される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一連の工程において複雑な制御を行うことなく液体材料を適正量供給することができ、しかも、判定時間を短縮することができる。
また、吐出部と撮像手段を近接して配置する必要がなく、しかも基板を斜めに傾斜させる機構等も不要であるため装置構成の簡易であり、且つ設計の自由度が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態は、液体材料を過不足なく充填できる方法および装置に関するものである。
基板1上に載置されたワークに対して、一ないし複数のパターンを作成し、パターンに従って液体材料を吐出する。例えば、図2(a)に示すように、方形状のワークである半導体チップ2の一辺に沿った線である塗布パターンや図2(b)に示すように、方形状のワークである半導体チップ2の二辺に沿った線である塗布パターンを作成する。なお、ワークは方形状のものに限定されず、円形や多角形であってもよい。
【0018】
本発明の好ましい態様の基板1は、図7に示すような、アライメントマーク60を有する。そして、最良の形態の本発明は、基板1のアライメントマーク60を撮像手段により撮像し、基板1上のワークの保持位置のずれを補正するアライメント工程、ワークの縁部に吐出部6から液体材料を供給する供給工程と、前記供給工程における吐出部6の位置と重ならないワークの縁部の画像を撮像手段により撮像する撮像工程と、撮像された画像に基づき液体材料がワークの縁部に存在するか否かにより、基板1とワークとの間隙の全域に液体材料が充填されたかを判定する判定工程と、判定不良とされた場合に、前記ワークの縁部に液体材料の供給を行う補充工程とを有すること特徴とする液体材料の充填方法および当該方法を実施するプログラムを有する吐出装置である。
【0019】
ここで、供給工程において供給する液体材料の量は、所望とする量であり、予めの計算やテストにより決定されている。そのため、液体材料がワークの反対側に到達したことを検知してから供給を停止する従来方法のような、タイムラグによる過剰供給は起こらない。また、予め決まった量の液体材料を供給するので、充填された液体材料が極端に過剰供給になることもない。ワークの反対側から流れ出した液体材料を戻すことは必要ないため、基板を傾斜させる機構を設けることも不要である。
また、本発明によれば、過剰供給を防ぐために液体材料の供給速度を制限する必要がないため、供給速度を上げることができる。
【0020】
撮像工程においては、ワークの縁部に液体材料が存在するか否かを判定するために必要な画像データを撮像手段により取得する。撮像工程では、供給工程において液体材料が供給された際の吐出部6の位置と重ならない位置において、1ないし複数個所を撮像する。
ここでは、ワークの端部を中心に撮像することもできるし、ワークの端部から離れた個所を中心に撮像することもできる。後者の場合には、ワークから一定距離まで液体が達していることを確認することができ、その事実により液体材料の量が充分であり、多の個所にも高い確率で適切に充填がなされていること(すなわち、ワークと基板1の全域に液体材料が行き渡っていること)を判定することができる。
なお、撮像手段により得られた画像データは、ワークから必要以上に液体材料がはみ出していないかを判定するために用いたり、ワークからはみ出した液体材料がワークの表面に付着していないかを判定するために用いてもよい。
【0021】
また、同一のワークに対して供給工程と撮像工程を同時に実施しないことで、供給工程の終了後から撮像工程を開始するまでの時間を調整することが可能である。例えば、供給した液体材料がワークと基板との隙間に行き届くまでに時間がかかる場合に、撮像工程の開始する時間を適宜調整できる。すなわち、液体材料の流動が落ち着いてから撮像・判定を行うことで、吐出部からの供給をしたにもかかわらず、液体材料があふれ出すという現象を防ぐことができる。
【0022】
基板1上に複数のワークが保持される場合においては、2以上のワークに対して供給工程を実施した後に、撮像工程ないし補充工程を実施することが好ましい。
供給工程を行なったワークに対する撮像工程を実施する前に、他のワーク供給工程を行うことで、液体材料の流動が治まるまでの待ち時間を有効に活用できるからである。
【0023】
また、本発明者は、経験則上、略四角形などの多角形のワークにおいては、液体材料が行き届きにくいのは供給工程における吐出部の位置ないしは吐出パターンと最も遠い場所に位置する角部であるとの知見から、当該角部に液体材料が到達していれるのであれば、高い確率でワークと基板1との隙間全体に液体材料が行き届いていると考えた。そして、鋭意検討の結果から、角部において判定をすることにより、少ない判定箇所で効率的に液体材料の充填が良好に行われたかを判断することを発明した。
【0024】
具体例で説明すると、ワークが略三角形である場合において、その1辺に沿って液体材料が吐出された際には、当該1辺から最も遠い位置にある1角について判定を行えばよく、ワークが略四角形である場合において、その1辺に沿って液体材料が吐出された際には、当該1辺から最も遠い位置にある2角(すなわち、当該1辺と対向位置にある1辺を構成する2角)について判定を行えばよく、その隣接する2辺に沿って液体材料が吐出された際には、当該2辺から最も遠い位置にある1角(すなわち、当該2辺の交わる角と対向位置にある角)について判定を行えばよい。
ワークが略五角形である場合において、その隣接する2辺に沿って液体材料が吐出された際には、当該2辺と最も遠い位置にある1辺を構成する2角について判定を行えばよく、その隣接する3辺に沿って液体材料が吐出された際には、当該3辺から最も遠い位置にある1角について判定を行えばよい。
ワークが略六角形である場合において、その隣接する2辺に沿って液体材料が吐出された際には、当該2辺と最も遠い位置にある2辺を構成する3角について判定を行えばよく、その隣接する3辺に沿って液体材料が吐出された際には、当該3辺と最も遠い位置にある1辺を構成する2角について判定を行えばよい。
ワークが略正八角形である場合において、その隣接する3辺に沿って液体材料が吐出された際には、当該3辺と最も遠い位置にある1辺を構成する2角(精度を求めたい場合には対向位置にある3辺を構成する4角)について判定を行えばよく、その隣接する4辺に沿って液体材料が吐出された際には、当該4辺と最も遠い位置にある2辺を構成する3角について判定を行えばよい。
【0025】
以下では、アンダーフィル工程における本発明の詳細を実施例により説明するが、本発明は何らこれらの実施例により制限されるものではない。
【実施例1】
【0026】
本実施例に係る吐出装置の概略側面図を図5に示す。図5においては、紙面の横方向をX方向とし、紙面に垂直な方向をY方向とし、紙面の縦方向をZ方向とする。
本実施例に係る吐出装置の構成および動作を以下に説明する。
《構成》
略筒状であるシリンジ7は、内部にアンダーフィル材5を貯留している。シリンジ7の下方端部には、シリンジ7より小径の吐出部(ノズル)6が連通し、シリンジ7の反対側の端部には、エアチューブ13が連通する。
エアチューブ13は、ディスペンサ14に接続されており、エアチューブ13を介して加圧エアがシリンジ7に供給される。ディスペンサ14は、加圧エアを設定した圧力で設定した時間供給することができる。
【0027】
シリンジ7は、シリンジホルダ8によってZテーブル9に固定される。Zテーブル9は、Z方向移動機構19によって、Z軸方向に移動可能に設置される。
Z方向移動機構19は、ヘッドベース15に固定される。Z方向移動機構19は、図示しないモータを有する駆動手段、モータによって回転するボールネジおよびガイドシャフトで構成され、モータを駆動することで、Z軸テーブルをZ方向に移動することができる。
【0028】
ヘッドベース15上には、Z方向移動機構19のほかに、カメラホルダ41によって筒状のカメラ40が設置される。カメラ40は画像認識部31に接続されており、カメラ40で撮像した画像データは、画像認識部31に転送される。
カメラ40には、その先端部を取り囲むように、照射手段20が設けられている。照射手段20は図6に示すように、光を照射する照射部21を複数有している。本実施例の装置では、照射部21はカメラ40を中心として、周方向に均等な間隔で3重に並んで設けられている。このように、カメラ40を中心に均等な明るさで光を照射することでコントラストが明確となり、画像認識を良好に行うことができる。
それぞれの照射部21には光ファイバの一端が接続され、これらは束になって光ファイバケーブルを構成し、照射手段20と反対側に設けられた光源に接続される。光源の光は光ファイバケーブルを伝わり照射部21から照射される。なお、照射手段20は、LED等の公知の照射手段によっても構成できることは言うまでもない。
【0029】
ヘッドベース15の下方には搬送レール17が設けてあり、アンダーフィルを行なう基板1を搬送する。ヘッドベース15は図示しない公知のXY方向移動機構18により搬送レール17上に載置された基板1に対して、XY方向に移動自在に構成される。
基板1上には、上方から見て正方形の半導体チップ2が、半田バンプ4を介して載置されている。図7に示すように、基板1は、角部付近に2つのアライメントマークα、βを有する。アライメントマークは、充填作業時の基板1のずれを補正するために利用される。
なお、同様にワークにアライメントマークを設け、基板1上のワークの保持位置のずれを補正してもよい。
【0030】
《動作》
図7、図8を参照しながら、動作を説明する。
イ)アライメント工程
アンダーフィル材5の充填作業を行なう基板1には、前の工程にて、半導体チップ2が載置されている。ここで、半導体チップ2は、アライメントマークα、βに対して、同じ位置に配置されている。また、半田バンプ4を介して載置されているため、基板1と半導体チップ2との間には隙間がある。
基板1は、搬送レール17に設けた図示しない搬送ベルトによって、搬送レール17上を移動し、搬送レール17上の作業位置で停止する。停止後、位置がずれないように、図示しない保持手段3が基板1を保持する。
保持手段3が保持する基板1のXY方向の位置は、基板1ごとにずれており、全く同じ位置とはならない。この位置のずれはアンダーフィル材5の充填の良し悪しに影響を与える。半導体チップ2と吐出部6との位置関係が異なるためである。従って、基板1ごとのずれを校正するアライメント工程が必要である。
【0031】
アライメント工程は以下のようにして行う。
まず、カメラ40をアライメントマークαの上方に移動し、アライメントマークαを撮像する。画像上のアライメントマークαの位置と、XY方向移動機構18の座標値αを記憶する。同様に、アライメントマークβを撮像する。画像上のアライメントマークαの位置と、XY方向移動機構18の座標値βを記憶する。ここで、カメラ40の移動は、XY方向移動機構18によってヘッドベース15ごと移動させて行う。
半導体チップ2は、アライメントマークα、βに対して同じ位置に設置してある。そのため、座標値α、βおよび、画像上のアライメントマークα、βの位置情報から、アンダーフィル材5を充填するときの吐出部6の位置を求め、この位置のXY方向移動機構18の座標を算出して記憶する。ここで、本実施例では、吐出部6が基板1上をA→B→Cと移動して、アンダーフィル材5の充填を行うため、A→B→Cの経路に相当するXY方向移動機構18の座標値を求める必要がある。アライメント工程を経ることで、基板1の位置ずれの影響は排除される。
【0032】
ロ)供給工程
まず、基板1上のA地点の真上に吐出部6の先端が位置されるように、XY方向移動機構18によって吐出部6を移動し、所望とする高さに吐出部6の先端が位置するように、Z軸移動機構19によって高さを調整する。
所望とする圧力の加圧エアを、ディスペンサ14からエアチューブ13を介してシリンジ7内に供給しながら、吐出部6を基板1上のA→B→Cの経路上を移動させることでアンダーフィル材5を供給する(図7参照)。C地点まで吐出部6を移動したら、ディスペンサ14からの加圧エアの供給を停止して、アンダーフィル材5の供給を終了する。Z軸移動機構19により吐出部6を上方に移動する。
吐出部6から供給されたアンダーフィル材5は、毛細管現象により半導体チップ2と基板1との隙間に充填され、供給工程が完了する。
【0033】
最適なアンダーフィル材5の量は、半導体チップ2と基板1との隙間に行き届くと想定される量で、予め試行錯誤的なテストや理論に基づく計算を行って算出する。最適なアンダーフィル材5の量に基づいて、吐出条件を制御して吐出が行われる。本実施例の制御における吐出条件は、シリンジ7内に供給される加圧エアの圧力と加圧時間である。具体的には、シリンジ7内の加圧エアの圧力をディスペンサ14によって制御し、加圧時間を吐出部6がA→B→Cの移動が完了したときに、ディスペンサ14によって加圧を停止させることで制御する。本実施例の制御手法によれば、移動速度と移動距離が同じとすることで、吐出時間は常に一定となる。吐出部6の移動速度はXY方向移動機構18によって制御可能である。
【0034】
また、温度が吐出量に影響を与える場合は、温度も制御の対象とする。温度の制御は、シリンジ7、吐出部6、基板1などに加熱・冷却手段を設けて制御する手法や、装置の周辺に設けた加熱・冷却手段により放射された熱で周辺温度を全体的に制御する手法が例示される。これらは、必要に応じて選択する。
また、その他の条件(経時的粘度変化や吐出部のつまりおよび水頭差など)が吐出量に大きな影響を与える場合は、その条件も所望とする値になるように制御するのが好ましい。
また、シリンジ7内のアンダーフィル材5の量に応じて吐出圧力や時間を変化させて、供給するアンダーフィル材5の量を制御してもよい。吐出量を直接計量する手段を有さない吐出装置においても、必要な吐出条件を制御すれば、所望とする量の吐出を行うことができる。
【0035】
ハ)撮像工程
供給工程を経た半導体チップ2が撮像工程の対象となる。撮像工程は、隙間に充填したアンダーフィル材5の流動が治まってから行うのが好ましい。
撮像工程においては、供給工程においてアンダーフィル材5が供給された経路以外の半導体チップ2の周辺(図8でいうA→B→C以外の周辺)において、アンダーフィル材5が到達しているかを判定するための画像データを取得する。以下詳細に説明する。
【0036】
まず、カメラ40をa地点上に位置させる。そして、照射手段20によって撮像箇所を照射して、半導体チップ2の周辺と基板1とを含む画像を撮像する。ここで、撮像する画像は、動画でなく静止画でよい。同様に、点b、点c、点d、点eにおいても、半導体チップ2の周辺と基板1とを含む画像を撮像する。
照射手段20は、カメラ40の周囲に環状に均等に配置された照射部21により、照射を行うので、カメラ40などの影が撮像範囲に映らず、撮像範囲にわたって均等な明るさの光を照射できる。したがって、画像認識に最適な、明確なコントラストの画像を得ることができる。
【0037】
撮像に使用するカメラ40はアライメント工程で用いるカメラ40と共用である。アライメント用のカメラ40は、アライメントのマークを撮像することを目的とするものなので、一般には広い視野の撮像ができない。そのため、アライメント用のものでは半導体チップ2の周辺の一部しか撮像することができないため、本実施例では、点aから点eのそれぞれの地点にカメラ40を移動して撮像を行うこととした。(なお、広い視野の撮像ができるカメラを用いる場合には、点aから点eの全てを含む画像を一度に撮像してもよい。)このように、本実施例の構成によれば、カメラ40を複数設ける必要がないため、装置全体を小型化することができ、また廉価に構成することができる。
【0038】
ニ)判定工程
カメラ40により撮像した画像データは、画像認識部31に送られる。画像認識部31で点aから点eのそれぞれに対して画像認識を行い、半導体チップ2の周辺より外側にアンダーフィル材5が存在しているかを確認する。画像認識は、公知の簡易な手法でよく、例えば、2値化等の減色処理を施した画像データに対して、任意の領域に分割して当該領域におけるアンダーフィル工程の前後で面積比判定を行う手法や基板1の表面とアンダーフィル材5とのコントラスト差により判定を行う手法が開示される。このように、本実施例の装置では、照射手段20によってコントラストが明確な画像が得られるので、複雑な画像認識を行うことなく、アンダーフィル材5の存在を確認することができる。
全ての地点において、アンダーフィル材5が半導体チップ2の外側に存在している場合には、アンダーフィル材5の充填が良好に行われたと判定する。いずれか一つの地点にでも外側にアンダーフィル材5の存在が確認できない場合は、アンダーフィル材5の充填が良好に行われなかったと判定する。例えば、図8においては、点cにおいて、アンダーフィル材5が到達していないので、充填が良好に行われていないと判定される。
【0039】
ホ)補充工程
判定工程において、充填が良好に行われたと判定された場合は、半導体チップ2のアンダーフィル工程は完了となる。アンダーフィル材5の充填が良好に行われなかったと判定された場合に補充工程が実施される。例えば、図8においては、点cにおいて、アンダーフィル材5が到達していないので、充填が良好に行われていないと判定されるので、補充工程が実施されることとなる。
【0040】
図8の場合において、補充工程は以下のようにして行われる。
(1)まず、吐出部6をD地点上に移動する。そして、吐出部6をD→B→Eの経路を移動させながら、吐出部6からアンダーフィル材5を吐出する。吐出されたアンダーフィル材5は、半導体チップ2と基板1との隙間に充填され、既に隙間に充填されているアンダーフィル材5が押し出されて、アンダーフィル材5が不足している点cの部分が補充される。ここで、補充工程は足りない分の補充のみを行うので、供給工程よりも少量のアンダーフィル材5が供給できればよい。そのため、供給工程よりも短い距離のD→B→Eを移動しながら吐出することで足りる。
少量のアンダーフィル材5を補充するためには、距離を短くするだけでなく、吐出圧力を減らしたり、移動速度を上げるなどして吐出量を減らしてもよい。また、吐出部6を静止したまま吐出する場合には、吐出時間を短くして吐出量を減らしてもよい。
供給工程においてアンダーフィル材5の供給を行った辺AB、辺BC側から、再度アンダーフィル材5を供給することで、基板1と半導体チップ2との隙間に空気が残ることを防ぐことができる。基板1と半導体チップ2の隙間に位置するアンダーフィル材5が、点c付近の隙間に存在する空気を外側に押し出すからである。複数箇所での補充が必要な場合や上記隙間に空気が残るおそれが高い場合には、供給工程と吐出部6の経路を重ねることが好ましい。
【0041】
(2)また、アンダーフィル材5が存在していない箇所に直接アンダーフィル材5を供給することも可能である。この場合は、吐出部6の動作を最小限とできるので効率がよい。アンダーフィル材5が行き届いていない部分がわずかである場合など、エアの巻き込みの影響が少ない場合は、この方が所要時間を短くできるので都合がよい。
図8の場合、c地点に吐出部6を移動させて、アンダーフィル材5を供給することで補充を行う。また、c地点とe地点の2箇所において、アンダーフィル材5が到達していないと判定された場合には、c地点とe地点のそれぞれの位置に吐出部6を移動させて、アンダーフィル材5を供給することで補充を行う。
【0042】
(3)補充工程において補充するアンダーフィル材5の量を所定の計算手法によって算出してもよい。特に、供給工程において液体材料を供給した際の吐出部の位置と重なる位置から液体材料を供給する場合に有効である。
第1の手法としては、判定工程において点a〜eごとにアンダーフィル材5の有無を判定し、補充工程で補充するアンダーフィル材5の量をアンダーフィル材5が存在しない個所の個数によって決定するものである。アンダーフィル材5が存在しない個所の個数と補充が必要なアンダーフィル材5の量は一定の相関関係があるからである。
第2の手法としては、判定工程において点a〜eごとに半導体チップ2の縁からはみ出したアンダーフィル材5の幅を検出し、この幅から補充工程で補充するアンダーフィル材5の量を決定するものである。はみ出したアンダーフィル材5の幅と補充が必要なアンダーフィル材5の量は一定の相関関係があるからである。ここで、幅の検出にはさまざまな方法が用いられるが、一例としては、ワークの縁に対して平行な線上においてアンダーフィル材5の有無を確認する作業を、ワークの縁に対して一定の距離にある複数の平行線について行い、アンダーフィル材5が無いと認識される線とアンダーフィル材5があると認識される線との境界によりはみ出しの幅を検出する方法があげられる。ここでは、各平行線上においてアンダーフィル材5が少しでも存在している場合またはある一定範囲以上存在している場合などに、その線上にはアンダーフィル材5が存在すると判定する。他の例としては、撮影された画像におけるワークの縁に対して直角な線上において、コントラストの変化が大きい部分を検出することで、ワークとアンダーフィル材5との境目およびアンダーフィル材5と基板との境目とを認識し、はみ出したアンダーフィル材5の幅を検出する方法があげられる。ここでは、必要に応じて、撮影された画像の複数個所で線幅を計測して統計処理を行うのが好ましい。
なお、第1の手法と第2の手法を組み合わせて用いてもよいことは言うまでもない。
【実施例2】
【0043】
撮像工程および判定工程において、高い信頼性で判定を行うためには、一つの半導体チップ2に対して、できるだけ多くの箇所において、液材が到達したことを判定するのが好ましい。しかし、生産性の観点からは、判定の対象となる箇所は少ない方がよい。そこで、本実施例では、少ない判定箇所で効率的にアンダーフィル材5の充填が良好に行われたかを判断することを試みた。
【0044】
図9(a)は、吐出部6を半導体チップ2の一辺である辺ABに沿って移動させながらアンダーフィル材5を供給する場面を示している。この場合においては、アンダーフィル材5が供給された辺に属していない角C、角Dにおいて、半導体チップ2の周辺を含む画像を撮像し、アンダーフィル材5が到達しているか判定すればよい。より短時間で撮像判定を行いたい場合には、判定の精度の低下の問題は別として、角C、角Dのいずれか一つにおいて、撮像・判定を行えばよい。
【0045】
図9(b)は、吐出部6を半導体チップ2の二辺である辺AB、辺BCに沿って移動させながらアンダーフィル材5を供給する場面を示している。この場合においては、アンダーフィル材5が供給された辺AB、辺BCに属していない角Dにおいて、半導体チップ2の周辺を含む画像を撮像し、アンダーフィル材5が到達しているか判定すればよい。
【0046】
図9(c)は、吐出部6をa地点上で静止させてアンダーフィル材5を供給する場面を示している。この場合においては、アンダーフィル材5が供給されたa地点が属している辺ABに属していない角C、角Dにおいて、半導体チップ2の周辺を含む画像を撮像し、アンダーフィル材5が到達しているか判定すればよい。より短時間で撮像・判定を行いたい場合には、判定の精度の低下の問題は別として、角C、角Dのいずれか一つにおいて、撮像・判定を行えばよい。
【0047】
以上のとおり、実施例2に係る判定方法によれば、実施例1に係る判定方法と比べ、少ない判定箇所で効率的にアンダーフィル材5の充填が良好に行われたかを判断することが可能となる。
【実施例3】
【0048】
本実施例では、図10に示すように、一枚の基板1上に、複数枚の半導体チップ2A、2B、2C、2Dが載置された場合における各工程を説明する。
本実施例においては、半導体チップ2A〜2Dのそれぞれについて、供給工程〜補充工程を実施するのではなく、まず半導体チップ2A〜2Dの全てに供給工程を実施した後に、撮像工程〜補充工程を実施する。すなわち、半導体チップ2A、2B、2C、2Dの順で供給工程を行った後に、半導体チップ2A、2B、2C、2Dの順で撮像工程と判定工程を実施し、その後、アンダーフィル材5の充填が良好でないと判定された半導体チップ2についてのみ補充工程を行う。
【0049】
このように、半導体チップ2A〜2Dのそれぞれについて、供給工程〜補充工程を実施しないのは、供給したアンダーフィル材5が半導体チップ2と基板1との隙間に流れ込んでから流動が治まるまでにはタイムラグがあるので、半導体チップ2Aの供給工程を行った直後に半導体チップ2Aの撮像工程を行うとすると、流動が治まるまで撮影を待っていなければならず、時間の無駄となるからである。
本実施例のように、基板単位で先に供給工程を実施してから撮像工程および補充工程を実施すると、流動が治まるまでの時間に別の半導体チップ2に対して充填作業を行なうことができるので、基板一枚あたりのアンダーフィル工程の所要時間を短くすることができる。なお、撮像工程と判定工程は、パラレルに実施してもよいことは言うまでもない。例えば、半導体チップ2Aを撮像した後、半導体チップ2Aの判定を行い、その間半導体チップ2Bを撮像するのが効率的である。
【実施例4】
【0050】
本実施例の装置は、図11に示すように、アライメント用カメラ40aと別に、撮像工程用のカメラ40bを備えている。
撮像工程用カメラ40bは、アライメント用カメラ40aや吐出部6とは、別のXY方向移動機構18bによって移動自在とされる。そのため、撮像工程用カメラ40bは、アライメント用カメラ40aや吐出部6とは独立にXY方向に移動することができる。このような構成の装置により、図10の基板1にアンダーフィルする場合の動作を説明する。
【0051】
まず、半導体チップ2A〜2Dに対して、供給工程を実施する。すなわち、半導体チップ2Aにアンダーフィル材5の供給が完了したら、すぐに半導体チップ2Bに対して吐出部6よりアンダーフィル材5の供給を行い、同様に半導体チップ2C、半導体チップ2Dにも順次アンダーフィル材5の供給を行う。
供給工程と並行して撮像工程を実施する。すなわち、半導体チップ2Aに供給したアンダーフィル材5の流動が治まり次第、撮像工程用カメラ40bによって、半導体チップ2Aを撮像し、同様に半導体チップ2B、半導体チップ2C、半導体チップ2Dを順次撮像する。
撮像工程と並行して判定工程を実施する。すなわち、半導体チップ2Aの撮像が完了次第、半導体チップ2Aに対して判定を行い、同様に半導体チップ2B、半導体チップ2C、半導体チップ2Dに対しても判定を行う。
【0052】
半導体チップ2Dの供給工程が完了次第、半導体チップ2A〜2Dの判定工程でアンダーフィルの充填が良好でないと判定された半導体チップ2に対して、2Aから順次補充工程を実施する。このように、吐出部6と、撮像工程用カメラ40bとを独立にXY方向に移動させることにより、一つの基板上で、供給工程・撮像工程・判定工程・補充工程を並行して行うことが可能となるので、基板一枚あたりのアンダーフィル工程の所要時間をより短くすることができる。
【実施例5】
【0053】
本実施例では、実施例2に更なる改良を試みて、より少ない判定箇所で効率的にアンダーフィル材5の充填が良好に行われたかを判断することを試みた。
実施例2では、図9(a)のパターンにおいて、アンダーフィル材5が適切に充填されたかを判定するために角C、角Dについてアンダーフィル材5が存在するかの判定を行った。しかしながら、アンダーフィル材5の行き届きやすさが角部と辺部でそれほど差が無いような場合には、辺CD中の1点のみについて判定を行うのが効率的である。そこで、本実施例では、辺CDの中央の1点において、半導体チップ2の周辺を含む画像を撮像し、アンダーフィル材5が到達しているか判定することで、より短時間での撮像・判定を行うことを可能とした。
図9(c)のパターンにおいても同様に辺CD中の1点のみについて判定を行うのが効率的であると言える。図9(b)のパターンにおいては、辺CD中の1点と辺AD中の1点(好ましくは、それぞれ角Dに近い1点とする)を判定すればよい。
なお、上述の通り、補充するアンダーフィル材5の量を所定の計算手法によって算出してもよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、液体材料を吐出する種々の装置において実施可能である。
液体材料が吐出部から離間する前にワークに接触するタイプの吐出方式としては、先端にノズルを有するシリンジ内の液体材料に調圧されたエアを所望時間だけ印加するエア式、フラットチュービング機構またはロータリーチュービング機構を有するチュービング式、先端にノズルを有する貯留容器の内面に密着摺動するプランジャーを所望量移動して吐出するプランジャー式、スクリューの回転により液体材料を吐出するスクリュー式、所望圧力が印加された液体材料をバルブの開閉により吐出制御するバルブ式などが例示される。
また、液体材料が吐出部から離間した後にワークに接触するタイプの吐出方式としては、弁座に弁体を衝突させて液体材料をノズル先端より飛翔吐出させるジェット式、プランジャータイプのプランジャーを移動させ、次いで急激に停止して、同じくノズル先端より飛翔吐出させるプランジャージェットタイプ、連続噴射方式或いはデマンド方式のインクジェットタイプなどが例示される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】アンダーフィル工程を説明するための側面図および平面図である
【図2】アンダーフィル工程におけるノズルの経路を説明するための図面である
【図3】半導体チップと基板の隙間に気泡が存在する様子を説明するための透過図である
【図4】アンダーフィル材の充填が適正に行われた状態(a)と、補充が必要な状態(b)を説明するための平面図である。
【図5】実施例1に係る吐出装置の概要を示した側面図である。
【図6】照射手段の説明図である。
【図7】アライメントマークの付された基板と半導体チップの各地点を説明するための平面図である。
【図8】実施例1に係る補充工程の説明図である。
【図9】実施例2に係る判定工程の説明図である。
【図10】実施例3に係る各工程の説明図である。
【図11】実施例4に係る吐出装置の概要を示した側面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 基板
2 半導体チップ
3 保持手段
4 半田バンプ
5 アンダーフィル材
6 吐出部(ノズル)
7 シリンジ
8 シリンジホルダ
9 Zテーブル
11 ガイドシャフト
12 ボールネジ
13 エアチューブ
14 ディスペンサ
15 ヘッドベース
16 光ファイバケーブル
17 搬送レール
18 XY方向移動機構
19 Z方向移動機構
20 照射手段
21 照射部
30 光源
31 画像認識部
40 カメラ
41 カメラホルダ
50 気泡
60 アライメントマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板とその上に保持されたワークとの間隙に毛細管現象を利用して吐出部から吐出した液体材料を充填する方法において、
ワークの縁部に吐出部から液体材料を供給する供給工程と、
前記供給工程で供給された液体材料が毛細管現象により染み出すことが想定される領域のワークの縁部の画像を撮像手段により撮像する撮像工程と、
撮像された画像に基づきワークの縁部における液体材料の存否を検出して基板とワークとの間隙の全域に液体材料が充填されたかを判定する判定工程と、
判定不良とされた場合に、前記ワークの縁部に吐出部から液体材料を供給する補充工程とを有すること特徴とする液体材料の充填方法。
【請求項2】
前記補充工程は、前記供給工程において液体材料を供給した際の吐出部の位置と重なる位置から液体材料を供給することを特徴とする請求項1の液体材料の充填方法。
【請求項3】
前記補充工程は、前記判定工程において液体材料が存在しないワークの縁部に吐出部を移動して液体材料を供給することを特徴とする請求項1の液体材料の充填方法。
【請求項4】
前記ワークが多角形である場合において、
前記撮像工程でワークの角の縁部を撮像することを特徴とする請求項1、2または3の液体材料の充填方法。
【請求項5】
前記ワークの角は、供給工程における吐出部の位置の属する辺と最も遠い位置にある辺を構成し、且つ、吐出部の位置の属する辺を構成しない1以上の角であることを特徴とする請求項4の液体材料の充填方法。
【請求項6】
前記判定工程は、撮像された画像に基づきワークの縁部からはみ出した液体材料の量を認識するプロセスを含み、
前記補充工程は、前記判定工程で認識したはみ出した液体材料の量に基づき算出された補充量の液体材料を供給することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかの液体材料の充填方法。
【請求項7】
前記判定工程は、撮像された画像に基づきワークの縁部からはみ出した液体材料の幅を認識し、当該幅からはみ出した液体材料の補充量を算出することを特徴とする請求項6の液体材料の充填方法。
【請求項8】
前記判定工程は、撮像された画像に基づきワークの縁部からはみ出した液体材料の面積を認識し、当該面積からはみ出した液体材料の補充量を算出することを特徴とする請求項6の液体材料の充填方法。
【請求項9】
前記撮像工程は、ワークの縁部の複数の地点において撮像を行い、
前記判定工程は、撮像された画像に基づきワークの縁部の複数の地点における液体材料の存否を検出し、液体材料の存在しない地点の数に基づき液体材料の補充量を算出することを特徴とする請求項6の液体材料の充填方法。
【請求項10】
前記撮像工程は、ワークの縁部の複数の地点において撮像を行い、
前記判定工程は、撮像された画像に基づきワークの縁部の複数の地点において液体材料が縁部に存在するかを確認し、全ての地点で液体材料が存在する場合には良好と判定し、いずれかの地点において液体材料が存在しない場合には不良と判定することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかの液体材料の充填方法。
【請求項11】
前記基板は、アライメントマークを有し、
前記供給工程の前に、基板のアライメントマークを撮像手段により撮像し、基板および/または基板上のワークの保持位置のずれを補正するアライメント工程を有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかの液体材料の充填方法。
【請求項12】
前記アライメント工程と前記撮像工程で同一の撮像手段を用いることを特徴とする請求項11の液体材料の充填方法。
【請求項13】
前記基板上に複数のワークが保持される場合において、
2以上のワークに対して供給工程を実施した後に、撮像工程ないし補充工程を実施することを特徴とする請求項1ないし12のいずれかの液体材料の充填方法。
【請求項14】
前記基板上に複数のワークが保持される場合において、
前記撮像手段は、吐出部と独立の駆動手段を有し、
基板上の全てのワークに対する供給工程が完了する前に、当該基板上の供給工程が完了したワークに対する撮像工程の実施を開始することを特徴とする請求項1ないし13のいずれかの液体材料の充填方法。
【請求項15】
前記撮像工程において、撮像手段に連設された複数の照射部からなる照明手段によりワークの縁部を照射して撮像することを特徴とする請求項1ないし14のいずれかの液体材料の充填方法。
【請求項16】
液体材料を供給する液材供給部と、液体材料を吐出する吐出口を有する吐出部と、吐出部を移動自在とする駆動機構と、撮像手段と、これらの作動を制御し、所望とする量の液体材料を吐出させる制御部とを備える吐出装置において、
制御部が、請求項1ないし14のいずれかの液体材料の充填方法を実施するプログラムを有することを特徴とする装置。
【請求項17】
前記撮像手段に連設された複数の照射部からなる照明手段を備えることを特徴とする請求項16の吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−132440(P2008−132440A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321011(P2006−321011)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(390026387)武蔵エンジニアリング株式会社 (56)
【Fターム(参考)】