説明

液体移送装置

【課題】液体移送装置の構造を簡単にするとともに製造コストを安価にする。
【解決手段】絶縁性材料からなる基材11の上面には、個別電極12、配線部13、絶縁層15、共通電極16及びドライバIC14が設けられている。個別電極12は、各個別インク流路10の底面(第1領域)の前端部に形成されている。配線部13は、個別電極12の右後端部から隣接する個別インク流路10の間(第2領域)及び共通インク流路9の底面(第3領域)を通過して基材の後端部まで延びるとともに、右方に折れ曲がりドライバIC14に接続されている。絶縁層15は、個別電極12及び配線部13を覆っている。共通電極16は、共通インク流路9の底面に左右方向に延びており、その右端部においてドライバIC14に接続されている。共通電極16絶縁層15を介して配線部13と交差している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を移送する液体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録用紙等の被記録媒体にインクを排出して画像等を記録する形式のプリンタには、ノズルから被記録媒体へ向けてインクを噴射するインクジェット方式の記録ヘッドが一般的に採用されている。しかし、このようなインクジェット方式の記録ヘッドにおいては、インクに噴射圧力を発生させるための流路構造やアクチュエータの構造が特殊で複雑なものとなり、そのために、複数のノズルを高密度に配置して記録ヘッドの小型化を図るにも限界があった。
【0003】
そこで、本願発明者は、ある電極の表面を絶縁層が覆っている状態で、電極電位が変化したときに絶縁層表面における撥液性(濡れ角)が変化する現象(エレクトロウェッティング現象)を利用した、新しい方式の記録ヘッドを提案している(例えば、特許文献1参照)。この記録ヘッドは、複数の凹溝でそれぞれ形成された複数の個別流路を備えている。そして、各個別流路(凹溝の底面)には個別電極が設けられており、さらに、個別電極の表面は絶縁層で覆われている。また、ヘッド内のインクはグランド電位(接地電位)に保持された共通電極に接触しており、インクの電位は常にグランド電位となっている。さらに、個別流路の上流側には、その先端の排出部に向けてインクを加圧するポンプが設けられている。
【0004】
ここで、個別電極の電位がグランド電位であり、インクと個別電極との間に電位差がない状態では、それらの間に挟まれた絶縁層の表面における撥液性(濡れ角)は、凹溝底面の絶縁層が設けられていない領域と比べて高くなっている。そのため、インクが絶縁層の表面を越えて排出部へ流れることができず、排出部からインクが排出されない。一方、個別電極の電位がグランド電位とは異なる所定の電位に切り換えられたときには、インクと個別電極との間に電位差が生じて、それらの間に挟まれた絶縁層の表面における撥液性(濡れ角)が低下する(エレクトロウェッティング現象)。すると、ポンプにより加圧されたインクが、絶縁層の表面を濡らして排出部へ移動することができるようになり、排出部からインクが排出される。そして、このような記録ヘッドは、個別流路を構成する基板の表面に個別電極、共通電極及び絶縁層が形成された簡単な構成であるので、記録ヘッドを小型化することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】特開2005−288875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1に記載された記録ヘッドにおいては、個別電極に上述した電位を付与するためのドライバICを接続する必要がある。そして、個別電極とドライバICとは、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)などの配線部材を介して接続することが考えられる。しかしながら、個別電極とドライバICとを配線部材を用いて接続すると、記録ヘッドにおける電気的接続構成が複雑になってしまうとともにその製造コストも高くなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、上述したようにエレクトロウェッティングを利用することにより構造を簡単にすることができるのに加えて、その電気的接続構造が簡単であり、且つ、製造コストも安価な液体移送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体移送装置は、絶縁性を有する絶縁面を備えた基材と、絶縁面において間隔を空けて並べて配置されるように構成されており、導電性を有する液体を個別に移送する複数の液体移送経路と、複数の液体移送経路の各々と連通し、複数の液体移送経路に液体を供給する共通液室と、絶縁面における、複数の液体移送経路を画定する画定面となる第1領域にそれぞれ配置された複数の個別電極と、複数の個別電極を覆うように設けられており、液体と個別電極との間の電位差に応じてその表面の撥液性が変化する絶縁層と、絶縁面に配置されているとともに複数の個別電極にそれぞれ接続された複数の配線部と、絶縁面に配置されているとともに配線部に接続されており、複数の配線部を介して複数の個別電極に駆動電位を付与するドライバICとを備えている(請求項1)。
【0009】
これによると、ドライバICが基材の絶縁面上に配置されているため、絶縁面上で配線部とドライバICとを直接接続することができる。これにより、FPCなどの配線部材が不要となり、液体移送装置の電気的接続構成を簡略化することができるとともに、製造コストも低減することができる。
【0010】
また、本発明の液体移送装置においては、複数の個別電極、複数の配線部及びドライバICが同一平面上に位置していることが好ましい(請求項2)。これによると、複数の個別電極、複数の配線部及びドライバICを容易に接続することができる。
【0011】
また、本発明の液体移送装置においては、配線部が、絶縁面における複数の液体移送経路の間に位置する第2領域を通過してドライバICまで延びていることが好ましい(請求項3)。これによると、配線部が液体移送経路の間の部分を通過しているため、液体移送経路内の液体と配線部との間に不要な静電容量が発生することがない。
【0012】
また、本発明の液体移送装置においては、複数の液体移送経路が、これらの間に配置された隔壁によって隔てられており、複数の配線部の第2領域に位置する部分が、隔壁によって覆われていることが好ましい(請求項4)。これによると、配線部が液体移送経路を隔てる隔壁によって覆われているので、配線部に液体が接触してしまうのを防止することができる。
【0013】
また、本発明の液体移送装置においては、複数の配線部の第1領域に位置する部分が、絶縁層により覆われていることが好ましい(請求項5)。これによると、配線部が絶縁層により覆われているため、配線部が液体に接触してしまうのを確実に防止することができる。
【0014】
また、本発明の液体移送装置においては、配線部が、第1領域を通過してドライバICまで延びており、配線部の第1領域に位置する部分が、絶縁層により覆われていることが好ましい(請求項6)。これによると、配線部が液体移送経路内に配置されることから、複数の液体移送経路の間を狭めて集積度を高めることができる。
【0015】
また、本発明の液体移送装置においては、複数の液体移送経路と共通液室とが、同一平面上に設けられていることが好ましい(請求項7)。これによると、共通液室から液体移送経路に至る液体流路の構成が簡単なものとなる。
【0016】
このとき、ドライバICが、共通液室の近傍に配置されていることが好ましい(請求項8)。液体移送装置を小型化しようとすると、ドライバICを液体移送経路又は共通液室の近傍に配置する必要がある。一方、液体移送経路及び共通液室内の液体は、ドライバICにおいて発生した熱によりその粘度が変化してしまう。ここで、ドライバICを液体移送経路の近傍に配置すると、複数の液体移送経路の各々とドライバICとの離隔距離が互いに異なってしまうため、ドライバICとの離隔距離に応じて、複数の液体移送経路における液体の粘度の変化は互いに異なってしまう。これにより、複数の液体移送経路の間で液体の移送特性にばらつきが生じてしまう。
【0017】
これに対して、ドライバICを共通液室の近傍に配置すると、ドライバICにおいて発生した熱は、共通液室内の液体に伝達した後、共通液室内の液体から各液体移送経路内の液体に拡散するので、複数の液体移送経路の間で液体の粘度の変化は均一になる。したがって、複数の液体移送経路の間で液体の移送特性にばらつきが生じるのを防止することができる。
【0018】
さらにこのとき、共通液室には、所定の液体供給口から液体が供給されるように構成されており、ドライバICが、液体供給口の近傍に配置されていることが好ましい(請求項9)。これによると、ドライバICを液体供給口の近傍に配置すると、ドライバICが共通液室の上流部分に位置することになるので、ドライバICにおいて発生した熱は、共通液室内の液体から各液体移送経路内の液体に確実に拡散し、複数の液体移送経路の間で液体の粘度にばらつきが生じるのを確実に防止することができる。
【0019】
また、本発明の液体移送装置においては、複数の配線部が、絶縁面における共通液室を画定する画定面となる第3領域を通過しており、複数の配線部の第3領域に位置する部分が、絶縁層により覆われていることが好ましい(請求項10)。これによると、共通液室内で配線部を絶縁層で覆うことにより、配線部を液体との間で絶縁しつつ共通液室内に配置することができ、配線部の配置自由度が高まる。
【0020】
このとき、第3領域に一定の電位に保持された共通電極が配置されており、第3領域において、複数の配線部が絶縁層を介して共通電極とそれぞれ交差していることが好ましい(請求項11)。これによると、共通液室内において、複数の配線部を、共通電極を避けるように配置する必要がなく、配線部の配置自由度が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。図1に示すように、プリンタ100は、吐出口10aを備えた複数の個別インク流路10(液体移送経路)を含むインク移送ヘッド1(液体移送装置)と、このインク移送ヘッド1にチューブ4を介して接続されたインクタンク5とを備えている。そして、プリンタ100は、インク移送ヘッド1の複数の吐出口10aから、記録用紙P(図5参照)に向けてそれぞれインクを吐出させて、記録用紙Pに所望の画像を記録する。なお、プリンタ100において用いられるインクは、水を主成分とし、染料と溶剤とを添加した水系染料インク、顔料と溶剤とを添加した水系顔料インクなどの、導電性を有するインクである。また、以下では、図1における前後方向及び左右方向をそれぞれ前後方向及び左右方向と規定して説明する。
【0023】
図2は図1のインク移送ヘッド1の一部を拡大した分解斜視図、図3は図2の平面図、図4(a)は図3のA−A線断面図、図4(b)は図3のB−B線断面図である。図1〜図4に示すように、インク移送ヘッド1は、その略下半分を構成する下部部材2と、その略上半分を構成する上部部材3とが接合されて構成されたものであり、その内部に、左右方向に延びた共通インク流路9(共通液室)が配置されているとともに、共通インク流路9から分岐して前方に延びた複数の個別インク流路10が、左右方向に等間隔に配置されている(間隔を空けて並べて配置されて構成されている)。
【0024】
共通インク流路9は、複数の個別インク流路10の上流側(後方)に設けられており、これら複数の個別インク流路10の全てに連通している。また、共通インク流路9には、その右端部付近の上面にインク供給口25が形成されており、インク供給口25がチューブ4に接続されている。そして、共通インク流路9には、インクタンク5からチューブ4、インク供給口25を介してインクが供給され、さらに、共通インク流路9から個別インク流路10にインクが供給される。ここで、インクタンク5は共通インク流路9よりもやや高い位置に配置されており、インクタンク5からの背圧が作用することにより、共通インク流路9内のインクには、常に吐出口10aに向かう流れが生じている。このように、インク移送ヘッド1に複数の個別インク流路10が設けられるとともに、複数の個別インク流路10に連通する共通インク流路9が設けられているので、インクタンク5から共通インク流路9にインクを供給することにより、複数の個別インク流路10にインクを容易に供給することができる。
【0025】
ここで、個別インク流路10と共通インク流路9とは同一平面上に配置されているため、共通インク流路9から個別インク流路10に至るインク流路の構成が簡単なものとなる。
【0026】
次に、インク移送ヘッド1を構成する下部部材2及び上部部材3についてそれぞれ説明する。
【0027】
下部部材2は、基材11の上面に複数の個別電極12、複数の配線部13、絶縁層15、共通電極16及びドライバIC14が配置されることによって構成されている。基材11は、シリコン、ポリイミド等の絶縁性材料からなる略矩形の平面形状を有する板状体であり、その表面全体が絶縁性を有する絶縁面となっている。複数の個別電極12は、略矩形の平面形状を有しており、基材11上面における複数の個別電極10の底面となる領域(個別インク流路10を画定する画定面となる領域、第1領域)の前端部において左右方向に等間隔で配列されている。
【0028】
複数の配線部13は、各個別電極12の右後方の角部から右方に引き出されて、隣接する個別インク流路10の間まで延び、そこから後方に略直角に折れ曲がり、基材11の上面における複数の個別インク流路10の間に位置する領域(第2領域)、及び、共通インク流路9の底面となる領域(共通液室を画定する画定面となる領域、第3領域)を通過して、基材11後端部付近まで延びており、さらに右方に垂直に折れ曲がってその先端部がドライバIC14に接続されている。そして、個別電極12には、ドライバIC14から配線部13を介して所定の駆動電位V及びグランド電位のいずれかが選択的に付与される。
【0029】
ここで、個別電極12、配線部13及びドライバIC14が全て基材11の上面に設けられているので、これらを容易に接続することができる。また、複数の配線部13が複数の個別インク流路10の間に配置されていることから、配線部13と個別インク流路10内のインクとの間に不要な静電容量が発生しない。
【0030】
複数の個別電極12及び複数の配線部13は、金属などの導電性材料からなり、スクリーン印刷、スパッタ法、蒸着法等により形成することができる。さらに、複数の個別電極12及び複数の配線部13が、ともに基材11の上面(同一平面上)に形成されているので、これらを一度に形成することができる。
【0031】
絶縁層15は、フッ素系樹脂等、基材11とは異なる絶縁性材料からなり、基材11上面の前端部において左右方向に延び、複数の個別電極12を覆っているとともに、左右方向に関して隣接する個別インク流路10の間の領域において、基材11上面の前端部から後端部付近まで延び、配線部13の隣接する個別インク流路10の間(第2領域)を通過する部分、及び共通インク流路9内(第3領域)を通過する部分を覆っている。このように、配線部13が絶縁層15によって覆われているため、配線部13が個別インク流路10及び共通インク流路9内のインクと接触するのが防止される。したがって、配線部13を、共通インク流路9を通過するように配置することができ、共通インク流路9を避けて引き回す必要がない。すなわち、配線部13の配置の自由度が高くなっている。
【0032】
ここで、絶縁層15は、スピンコート法により基材11上面の全域に絶縁材料を形成し、レーザにより不要な部分を除去することによって形成する。このほか、基材11上面に絶縁層15を形成する部分を除いてマスクを施し、CVD法により絶縁層15を形成することも可能であり、基材11の上面に絶縁性材料を塗布することによって絶縁層15を形成することも可能である。
【0033】
共通電極16は、絶縁層15が形成された基材11の上面の前後方向に関する略中央部よりもやや後方の、共通インク流路9の底面となる領域(第3領域)において、左右方向に延びている。共通電極16は、平面視で配線部13及び絶縁層15と交差する部分(絶縁層15を介して配線部13と交差する部分)において前後方向に関する長さが局所的に短くなっており、その他の部分においてはこれらの部分よりも大きい一定の幅で延びている。これにより、絶縁層15を介して配線部13と共通電極16とが交差する部分の面積が小さくなり、絶縁層15の配線部13と共通電極16とに挟まれた部分の静電容量を極力小さくすることができる。また、共通電極16は、その右端部においてドライバIC14に接続されている。そして、共通電極16は、ドライバIC14により常にグランド電位(一定電位)に保持されている。これにより、共通インク流路9内及び共通インク流路9に連通する複数の個別インク流路10内のインクは常にグランド電位に保持されている。なお、共通電極16は個別電極12及び配線部13と同様の導電性材料からなり、スクリーン印刷、スパッタ法、蒸着法等により形成することができる。
【0034】
ドライバIC14は、基材11上面の右後端部に配置されており、前述したように、配線部13及び共通電極16に接続されている。ここで、ドライバIC14が基材11の上面に配置されているので配線部13及び共通電極16とドライバIC14とを直接接続することができる。これにより、配線部13とドライバIC14とを接続するために別途FPCなどの配線部材を必要とせず、インク移送ヘッド1の構成を簡単にすることができる。
【0035】
上部部材3は、基材21に複数の隔壁22、凹部23、隔壁24及びインク供給口25が形成されることによって構成されている。基材21はポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド等の絶縁性材料からなる、基材11よりも左右方向に関する長さがやや短い略矩形の平面形状を有する板状体である。なお、基材21は電極と接しないので、必ずしも絶縁性を有するものには限られないが、絶縁性を有する方が望ましい。
【0036】
複数の隔壁22は、それぞれ基材21下面の平面視で隣接する個別インク流路10の間に重なる部分から下方に突出し、基材21の前端部から前後方向の略中央部まで、前後方向に延びている。そして、下部部材2と上部部材3とが接合されることにより、基材11の上面、基材12の下面及び隔壁22によって囲まれる複数の空間がそれぞれ個別インク流路10となり、隣接する個別インク流路10は、隔壁22によって互いに隔てられる。このとき、複数の隔壁22が、基材11の平面視で隣接する個別インク流路10の間に重なる部分に接合され、絶縁層15に覆われた配線部13を覆っているので、個別インク流路10内のインクが配線部13に接触するのを確実に防止することができる。
【0037】
凹部23は、基材21下面の前後方向に関する隔壁22の後端部と基材21後端部との間の部分に、左右方向に基材21の略全長にわたって延びている。隔壁24は、基材21下面の後端部から下方に、隔壁22の下端と同じ位置まで突出し、左右方向に関して基材21の略全長にわたって延びている。そして、下部部材2と上部部材3とが接合されたときに、基材11の上面、凹部23及び隔壁24によって囲まれる空間が共通インク流路9となる。
【0038】
インク供給口25は、基材21の上面から下方に延び凹部23に連通した、平面視で略円形の貫通孔である。そして、基材11と基材21とが接合されると、インク供給口25は、共通インク流路9の右端部の上方に位置することになり、ドライバIC14はインク供給口25の近傍に配置されることになる。
【0039】
次に、インク移送ヘッド1の動作について図5を用いて説明する。図5は、インク移送ヘッド1の動作を示す図である。
【0040】
インク移送ヘッド1においては、個別電極12と個別インク流路10内のインクとの間に電位差が生じると、その電位差に応じて、絶縁層15の個別電極12に対向する部分におけるインクの濡れ角(撥液性)が変化する(エレクトロウェッティング現象)。より詳細には、個別電極12と個別インク流路10内のインクとの間の電位差がVであるときの絶縁層15の濡れ角θは、個別電極12と個別インク流路10内のインクとの間に電位差が生じていないときの絶縁層15の濡れ角θ、絶縁層15の比誘電率ε、真空の誘電率ε、気液界面の表面張力γ及び絶縁層15の厚みtとの間に、
cosθ=cosθ+1/2×[(ε×ε)/(γ×t)]×V
の関係がある。したがって、個別電極12と個別インク流路10内のインクとの間の電位差Vが増加するのに伴って、cosθが増加する。つまり、θが小さくなり、絶縁層15表面の撥液性が低下する。
【0041】
そして、インク移送ヘッド1において、吐出口10aからインクを吐出しないときには、図5(a)に示すように、個別電極12にグランド電位が付与されており、個別電極12とグランド電位に保持された個別インク流路10内のインクとの間には電位差が生じていない。このとき、絶縁層15の表面におけるインクの濡れ角は、基材11の上面におけるインクの濡れ角よりも大きく、個別インク流路10の基材11が露出している部分から絶縁層15が形成されている部分にインクが移動可能となるときの絶縁層15の濡れ角(限界濡れ角)よりも大きくなっている。したがって、個別インク流路10内のインクのメニスカスが絶縁層15と基材11との間で停止し、個別インク流路10の絶縁層15に対向する部分にはインクが流れ込まず、吐出口10aからインクが吐出されない。なお、上記限界濡れ角は、インクの表面張力、基材11と絶縁層15のインクに対する濡れ角の差、共通インク流路9及び個別インク流路10の流路構造、インクタンク5から共通インク流路9に流れ込むインクの背圧の大きさ等によって決まる。
【0042】
一方、吐出口10aからインクを吐出するときには、図5(b)に示すように、個別電極12に駆動電位Vを付与する。これにより、個別電極12と個別インク流路10内のインクとの間に電位差が生じ、前述したように、絶縁層15表面におけるインクの濡れ角が小さくなって、限界濡れ角以下となる。したがって、個別インク流路10の絶縁層15に対向する部分にインクが流れ込み、吐出口10aから記録用紙Pにインクが吐出される。このとき、個別インク流路10内のインクが共通電極16により常にグランド電位に保持されているので、個別インク流路10内のインクと個別電極10との間の電位差に変動が発生しにくく、安定した動作が可能となる。
【0043】
このように個別電極12に駆動電位を付与してドライバIC14を駆動させると、ドライバIC14が発熱し、この熱が共通インク流路9及び個別インク流路10内のインクにも伝達される。ここで、ドライバIC14が個別インク流路10に近接して配置されているとすると、ドライバIC14と各個別インク流路10との離隔距離が互いに異なるため、ドライバIC14に近い位置にある個別インク流路10内のインクは粘度の変動が大きく、ドライバIC14から遠い位置にある個別インク流路10内のインクは粘度の変動が小さくなる。これにより、複数の個別インク流路10の間でインクの粘度にばらつきが生じてしまい、その結果、複数の個別インク流路10の間でインクの吐出特性にばらつきが生じてしまう。
【0044】
しかしながら、ドライバIC14で発生した熱は、共通インク流路9内のインクから各個別インク流路10内のインクに拡散するため、複数の個別インク流路10間で、インクの粘度のばらつきがなくなる。したがって、複数の個別インク流路10間でインクの吐出特性にばらつきが生じてしまうのを防止することができる。
【0045】
さらに、ドライバIC14がインク供給口25の近傍に配置されていることにより、ドライバIC14が共通インク流路9の上流部分に位置することになるため、ドライバIC14において発生した熱は、確実に共通インク流路9内のインクから各個別インク流路10内のインクに拡散する。したがって、個別インク流路10間でインクの温度のばらつきがなくなり、複数の個別インク流路10の間でインクの吐出特性にばらつきが生じるのを確実に防止することができる。
【0046】
以上に説明した実施の形態によると、ドライバIC14が基材11の上面に配置されているので、基材11の上面において配線部13とドライバIC14とを直接接続することができる。これにより、配線部13とドライバIC14を接続するための別途FPC等の配線部材が不要となり、インク移送ヘッド1における電気的接続構成を簡単にすることができるとともに、その製造コストを低減することができる。
【0047】
さらに、個別電極12、配線部13及びドライバIC14が全て基材11の上面(同一平面上)に配置されているため、これらを容易に接続することができる。
【0048】
また、配線部13が隣接する個別インク流路10の間を通過しているため、個別インク流路10内インクと配線部13との間に不要な静電容量が発生することがない。
【0049】
また、配線部13が隔壁により覆われているとともに、絶縁層15によっても覆われているため、配線部13がインクに接触してしまうのを防止することができる。
【0050】
また、個別インク流路10と共通インク流路9とが、基材11の上面(同一平面上)に配置されているため、インク流路の構成が簡単なものとなる。
【0051】
またドライバIC14が共通インク流路9の近傍に配置されているため、ドライバIC14において発生した熱は、共通インク室9内のインクに伝達した後、共通インク流路9内のインクから各個別インク流路10内のインクに拡散するため、複数の個別インク流路10の間でインクの粘度にばらつきが発生しにくく、複数の個別インク流路10の間でインクの吐出特性にばらつきが生じてしまうのが抑制される。このとき、さらにドライバIC14はインク供給口25の近傍に配置されており、共通インク流路9の上流部分に位置することになるので、ドライバICにおいて発生した熱は、確実に共通インク流路9内のインクから各個別電極10内のインクに拡散する。したがって、複数の個別インク流路10の間でインクの吐出特性にばらつきが生じてしまうのが確実に防止される。
【0052】
また、共通インク流路9内において配線部13を絶縁層15で覆うことにより、配線部13を共通インク流路9内に配置することができる。これにより、配線部13の配置の自由度が高まる。
【0053】
また、共通液室9内において、配線部13を絶縁層15で覆い、その上に共通電極16を形成することにより、配線部13と共通電極16とを基材11上面の重なる位置に設けることができる。これにより、配線部13を、共通電極16を避けるように引き回す必要がなく、配線部13の配置の自由度が高まる。
【0054】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同じ構成を有するものについては同じ符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0055】
一変形例では、図6に示すように、個別電極32が個別インク流路10の底面(第1領域)の前端部よりもやや後方の部分に配置されており、絶縁層35は、個別電極32を覆うように左右方向に延びているとともに、隣接する個別インク流路10の間の領域(第2領域)において前後方向に延びており、個別インク流路10の個別電極12よりも前方の部分を画定する領域には形成されていない(変形例1)。
【0056】
この場合には、図7(a)に示すように、吐出口10aからインクを吐出しないときには、個別電極32に駆動電位Vが付与されており、絶縁層15表面の個別電極12に対向する部分におけるインクの濡れ角が小さくなっているため、共通インク流路9及び複数の個別インク流路10の全域にインクが位置している。このとき、インクはその表面張力により、吐出口10aから流れ出すのが止められている。
【0057】
そして、吐出口10aからインクを吐出する際には、図7(b)に示すように、インクを吐出する吐出口10aに対応する個別電極12にグランド電位を付与する。すると、絶縁層15表面のこの個別電極12に対向する部分におけるインクの濡れ角が大きくなり、個別インク流路10内のインクは、この部分よりも表面におけるインクの濡れ角が小さい、絶縁層15が形成されていない領域、つまり、個別インク流路10の前方及び後方に移動する。そして、個別インク流路10の前方に移動したインクにより、個別インク流路10の絶縁層35に対向する部分よりも前方にあったインクが押し出され、吐出口10aから記録用紙Pに吐出される。
【0058】
なお、変形例1においては、個別インク流路10内のインクに、吐出口10aからインクを吐出しないときの吐出口10aにおけるインクの表面張力よりも小さな背圧が作用していてもよいが、インクタンク5(図1参照)が共通インク流路9とほぼ同じ高さに位置し、個別インク流路10内のインクに背圧が作用していないことが好ましい。
【0059】
別の一変形例では、図8に示すように、各個別インク流路10の底面(第1領域)の前端部よりもやや後方の左右方向に関する略中央部に略矩形の平面形状を有する個別電極42aが形成され、個別電極42aの4つの角の外側に、それぞれ略直角三角形の平面形状を有する個別電極42bが形成されている。個別電極42aは配線部43aを介して、個別電極42bは配線部43bを介して、それぞれドライバIC14に接続されており、グランド電位及び駆動電位Vのいずれかの電位が選択的に付与される(変形例2)。
【0060】
この場合、インクを吐出しないときには、図9(a)に示すように、ドライバIC14により、個別電極42aにグランド電位が付与されているとともに、個別電極42bに駆動電位Vが付与されている。これにより、絶縁層45の個別電極42bに対向する部分におけるインクの濡れ角が限界濡れ角以下となり、絶縁層45の他の部分におけるインクの濡れ角が限界濡れ角よりも大きくなっている。したがって、個別インク流路10の絶縁層45に対向する部分のうち、個別電極42bに対向する部分にのみインクが存在し、個別インク流路10の絶縁層45に対向する部分のうち、個別電極42aに対向する部分を含む左右方向に延びた領域には気泡Gが存在している。そして、この気泡Gによって、個別インク流路10内のインクが吐出口10aに流れるのがせき止められている。
【0061】
吐出口10aからインクを吐出する際には、図9(b)に示すように、個別電極42aに駆動電位Vを付与するとともに、個別電極42bにグランド電位を付与する。すると、絶縁層45の個別電極42bに対向する部分におけるインクの濡れ角が限界濡れ角よりも大きくなるとともに、絶縁層45の個別電極42aに対向する部分におけるインクの濡れ角が限界濡れ角以下となることによってインクが移動し、個別インク流路10の絶縁層45に重なる部分においては、個別電極42aに対向する部分にのみインクが位置することになる。これに伴って、個別インク流路10内の気泡Gも移動し、個別インク流路10の絶縁層15に対向する部分のうち、左右方向に関して個別電極42aの両側に位置し、個別電極42bに対向する部分を含んで前後方向に延びた2つの領域に位置する。これにより、個別インク流路10内のインクは気泡Gによってせき止められなくなり、吐出口10aから記録用紙Pにインクが吐出される。
【0062】
別の一変形例では、図10に示すように、各個別電極12の前方に、それぞれ前後方向に等間隔で配列された3つの電極51a、51b、51cが形成され、左右方向に配列された電極51a同士、51b同士及び51c同士がそれぞれ配線部52により互いに接続されている。絶縁層55は、左右方向に関して隣接する個別インク流路50の間の前後方向に延びた領域、並びに、前後方向に関して複数の個別電極12及び複数の電極51a、51b、51cに重なる領域に連続的に形成されている。複数の電極51a、51b、51cは、図示しない位置において配線を介してドライバIC14に接続されており、ドライバIC14により、駆動電位V及びグランド電位のいずれかの電位が付与される(変形例3)。
【0063】
この場合、吐出口50aからインクを吐出しないときには、個別電極12及び電極51a、51b、51cにグランド電位が付与されており、第1実施形態と同様、絶縁層55に対向する部分にはインクが流れ込まない。そして、インクを吐出する際には、本実施形態と同様、図11(a)に示すように、個別電極12に駆動電位Vを付与すると、共通インク流路9内のインクが絶縁層55の個別電極12に対向する部分に流れ込む。
【0064】
次に、図11(b)に示すように、電極51aに駆動電位Vを付与すると、インクはさらに電極51aに対向する部分まで流れ込む。そして、インクが電極51aに流れ込んだ時点で、図11(c)に示すように、個別電極12の電位をグランド電位に戻すと、個別電極12に対向する部分に位置していたインクが前後方向に移動して、電極51aに位置していたインクは共通インク流路9内のインクから切り離される。
【0065】
この後、電極51bに駆動電位Vを付与し、インクが電極51bに対向する部分に流れ込んだ時点で電極51aの電位をグランド電位に戻し、さらにその後、電極51cに駆動電位Vを付与し、インクが電極51cに対向する部分に流れ込んだ時点で電極51bの電位をグランド電位に戻すことにより、インクが電極51b、51cに対向する部分に順次移動し、最終的に、図11(d)に示すように、吐出口50aから記録用紙Pにインクが吐出される。なお、変形例4においては、左右方向に隣接する複数の電極51a同士、電極51b同士、電極51c同士が、それぞれ配線部52により接続されていたが、これらが互いに接続されておらず、個別にドライバIC14に接続されていてもよい。
【0066】
ドライバIC14が配置される位置は上記実施の形態のものには限られない。別の一変形例では、図12に示すように、ドライバIC14が基材11上面の左後端部に配置されている(変形例4)。この場合、ドライバIC14は、共通インク流路9には近接しているが、インク供給口25からは離れて配置されることになる。この場合でも、ドライバIC14は共通インク流路9近傍に配置されていることから、ドライバIC14において発生した熱は、共通インク流路9内のインクに伝達した後、共通インク流路9内のインクから各個別インク流路10内のインクに拡散する。これにより、複数の個別インク流路10の間でインクの温度にばらつきが生じにくくなり、複数の個別インク流路10の間でインクの吐出特性にばらつきが生じてしまうのを防止することができる。
【0067】
別の一変形例では、図13に示すように、ドライバIC14が、基材11の右端部における個別電極12よりもやや後方の部分に配置されている。また、配線部83が、個別電極の後方の中央部から引き出されて基材11の個別インク流路10の底面(第2領域)を後方に延び、途中個別インク流路10内で右方に垂直に折れ曲がり、ドライバIC14まで延びている。また、基材11の上面には、複数の個別電極12を覆う絶縁層85が形成されているとともに、複数の個別インク流路10にまたがる領域に複数の配線部83の個別インク流路10内に位置する部分を覆う絶縁層87が形成されている。また、共通電極86は、一定の幅で延びており、共通電極86から右方に延び、途中で下方に垂直に折れ曲がってドライバIC14まで延びた配線部84によりドライバIC14に接続されている(変形例5)。
【0068】
この場合には、複数の配線部83が個別インク流路10内にあり、隣接する個別インク流路10の間で前後方向に延びて配置されていないので、個別インク流路10同士の間隔を狭くして、高集積化することができる。また、配線部83と共通電極86とが交差しないので、上記実施の形態のように、絶縁層85における静電容量を小さくするために共通電極86の幅を局所的に狭くする必要がなく、共通電極86の形成が容易になる。
【0069】
別の一変形例では、図14に示すように、基材111上面の前端部に実施の形態と同様の複数の個別電極12が形成されているとともに、後端部付近に左右方向に一定の幅で延びた共通電極116が形成されている。また、基材111には、上面の各個別電極12の略中央部に対向する位置から下方に延びた貫通孔111a、及び、上面の共通電極116の右端部から下方に延びた貫通孔111bが形成されており、貫通孔111a、111b内には、それぞれ金属などの導電性材料からなる充填部材122a、122bが充填されている。基材111の下面の右前端部にはドライバIC104が配置されている。また、基材111の下面には、各貫通孔111aの下端から後方に延び、途中で右方に垂直に折れ曲がってドライバIC104まで延びた配線部113a、貫通孔111bの下端から右方に延び、途中で下方に垂直に折れ曲がってドライバIC104まで延びた配線部113bがそれぞれ形成されている(変形例6)。
【0070】
この場合でも、基材111の下面にドライバIC104が配置されているため、充填部材122a及び配線部113aを介して個別電極12とドライバIC104とを接続し、充填部材122b及び配線部114を介して個別電極12とドライバIC104とを接続することができる。これにより、別途FPCなどの配線部材が必要なくなるので、インク移送ヘッドの構成を簡単にすることができるとともに、その製造コストを低減することができる。
【0071】
なお、ドライバIC14が配置されるのは、基材11、111の上面及び下面には限られず、ドライバIC14が基材11、111の側面に配置されていてもよい。
【0072】
なお、上記実施の形態では、基材11が絶縁材料により構成されていたが、基材11が金属材料からなる基材の表面に絶縁膜が形成されることにより構成されているなど、表面の、少なくとも個別電極12、配線部13、共通電極16及びドライバIC14が配置される部分が絶縁面となっていればよい。
【0073】
また、以上の説明では、本発明を記録用紙Pにインクを吐出するインク移送ヘッドに適用した例について説明したが、試薬、生体溶液、配線材料溶液、電子材料溶液、冷媒用、燃料用などインク以外の液体を移送する液体移送装置に本発明を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明における実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】図1のインク移送ヘッドの一部を拡大した分解斜視図である。
【図3】図2のインク移送ヘッドの平面図である。
【図4】(a)は図3のA−A線断面図であり、(b)は図3のB−B線断面図である。
【図5】図1のインク移送ヘッドの動作を示す断面図である。
【図6】変形例1の図3相当の平面図である。
【図7】変形例1の図5相当の断面図である。
【図8】変形例2の図3相当の平面図である。
【図9】変形例2におけるインク移送ヘッドの動作を示す平面図である。
【図10】変形例3の図3相当の平面図である。
【図11】変形例3図5相当の断面図である。
【図12】変形例4の図3相当の平面図である。
【図13】変形例5の図3相当の平面図である。
【図14】変形例6の図3相当の平面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 インク移送ヘッド
9 共通インク流路
10 個別インク流路
11 基材
12 個別電極
13 配線部
14 ドライバIC
15 絶縁層
16 共通電極
22 隔壁
25 インク供給口
32 個別電極
35 絶縁層
42a、42b 個別電極
43a、43b 配線部
51a〜51c 電極
55 絶縁層
104 ドライバIC
111 基材
113 配線部
116 共通電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有する絶縁面を備えた基材と、
前記絶縁面において間隔を空けて並べて配置されるように構成されており、導電性を有する液体を個別に移送する複数の液体移送経路と、
前記複数の液体移送経路の各々と連通し、前記複数の液体移送経路に液体を供給する共通液室と、
前記絶縁面における、前記複数の液体移送経路を画定する画定面となる第1領域にそれぞれ配置された複数の個別電極と、
前記複数の個別電極を覆うように設けられており、前記液体と前記個別電極との間の電位差に応じてその表面の撥液性が変化する絶縁層と、
前記絶縁面に配置されているとともに前記複数の個別電極にそれぞれ接続された複数の配線部と、
前記絶縁面に配置されているとともに前記配線部に接続されており、前記複数の配線部を介して前記複数の個別電極に駆動電位を付与するドライバICとを備えていることを特徴とする液体移送装置。
【請求項2】
前記複数の個別電極、前記複数の配線部及び前記ドライバICが同一平面上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体移送装置。
【請求項3】
前記配線部が、前記絶縁面における前記複数の液体移送経路の間に位置する第2領域を通過して前記ドライバICまで延びていることを特徴とする請求項2に記載の液体移送装置。
【請求項4】
前記複数の液体移送経路が、これらの間に配置された隔壁によって隔てられており、
前記複数の配線部の前記第2領域に位置する部分が、前記隔壁によって覆われていることを特徴とする請求項3に記載の液体移送装置。
【請求項5】
前記複数の配線部の前記第2領域に位置する部分が、前記絶縁層により覆われていることを特徴とする請求項3又は4に記載の液体移送装置。
【請求項6】
前記配線部が、前記第1領域を通過して前記ドライバICまで延びており、
前記配線部の前記第1領域を通過している部分が、前記絶縁層により覆われていることを特徴とする請求項2に記載の液体移送装置。
【請求項7】
前記複数の液体移送経路と前記共通液室とが、同一平面上に設けられていることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の液体移送装置。
【請求項8】
前記ドライバICが、前記共通液室の近傍に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の液体移送装置。
【請求項9】
前記共通液室には、所定の液体供給口から液体が供給されるように構成されており、
前記ドライバICが、前記液体供給口の近傍に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の液体移送装置。
【請求項10】
前記複数の配線部が、前記絶縁面における前記共通液室を画定する画定面となる第3領域を通過しており、
前記複数の配線部の、前記第3領域を通過している部分が、前記絶縁層により覆われていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の液体移送装置。
【請求項11】
前記第3領域に、一定の電位に保持された共通電極が配置されており、
前記第3領域において、前記複数の配線部が前記絶縁層を介して前記共通電極とそれぞれ交差していることを特徴とする請求項10に記載の液体移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−183805(P2008−183805A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19293(P2007−19293)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】