説明

液処理装置の自動設定装置

【課題】処理液供給手段が被処理体に均一に処理液を供給し得るように、供給量調節手段及び処理液吸引手段を自動で調整する液処理装置の自動設定装置を提供すること。
【解決手段】レジストノズル110が供給するレジスト液をメスシリンダ210に貯留し、メスシリンダの側方から発光ダイオード211によって光を照射し、メスシリンダ内に透過された光をCCDセンサ213で検知して供給量を検出し、レジストノズル110の供給部113のレジスト液の状態をCCDカメラ300により検出し、電子天秤及びCCDカメラ300の検出信号と、CPU100に予め記憶された少なくともレジスト液の特性及び配管条件を含む情報とに基いて、レジストノズルがウエハWに均一にレジスト液を供給し得るように、開閉バルブAV及びサックバックバルブSVを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば半導体ウエハやLCD用ガラス基板等の被処理体表面にレジスト液や現像液等の処理液を供給して塗布する液処理装置の設定を自動で行う自動設定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウエハやLCD用ガラス基板等(以下にウエハ等という)の表面に例えばレジスト液を塗布し、フォトリソグラフィー技術を用いて回路パターンを縮小してレジスト膜を露光し、露光後のウエハ表面に現像液を塗布して現像処理を行う。
【0003】
上記レジスト液(又は現像液)の塗布には、図14に示すように、ウエハ等の表面にレジスト液を供給するレジストノズル110と、レジストタンク180に貯留されたレジスト液をレジスト液供給管路130を介してレジストノズル110に圧送する供給ポンプ160と、この供給ポンプ160が圧送するレジスト液の圧力(以下に圧送圧力という)を一定に保つレギュレータRと、パーティクルを捕捉するフィルタ90と、レジスト液の供給、停止を行う開閉バルブAVと、レジスト液の供給停止時にレジストノズル110の先端部に表面張力によって残留しているレジスト液が固化又は劣化しないようにレジスト液をレジストノズル110内に引き戻すサックバックバルブSVと、開閉バルブAV、サックバックバルブSV及びレギュレータRの作動を制御するCPU100とで構成されるレジスト塗布ユニット(COT)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−204416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図2に示すように複数積層されることがある、上記のように構成されるレジスト塗布ユニット(COT)においては、ユニット毎に、配管長や揚程差に相違があり、また、ディスペンス関連部品にも個体差があるため、レジスト塗布ユニット(COT)ごとにレジスト液の吐出状態が異なり、塗布膜が不均一になるという問題があった。これを較正するためには、各ユニットごとに開閉バルブAVやサックバックバルブSV、レギュレータRの設定値をレジスト液の吐出量や吐出状態に応じて調整する必要があるが、従来はこれらの作業をオペレータが手動で行っていたため、レジスト塗布ユニット(COT)の設定に時間が掛かるという問題や、設定に誤差が生じ易いという問題があった。
【0005】
この発明は上記事情に鑑みなされたもので、処理液供給手段が被処理体に均一に処理液を供給し得るように、供給量調節手段及び処理液吸引手段を自動で調整する液処理装置の自動設定装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の液処理装置の自動設定装置は、被処理体の表面に処理液を供給する処理液供給手段と、上記処理液供給手段が供給する処理液の供給量を調節可能な供給量調節手段と、上記処理液供給手段の処理液供給停止時に、処理液供給手段の供給部に残留する処理液を吸引する処理液吸引手段と、を具備する液処理装置の自動設定装置であって、上記処理液供給手段が供給する処理液の供給量を検出する供給量検出手段と、上記処理液供給手段の供給部の処理液の状態を検出する液検出手段と、上記供給量検出手段及び液検出手段の検出信号と、予め記憶された少なくとも処理液の特性及び配管条件を含む情報とに基いて、上記処理液供給手段が被処理体に均一に処理液を供給し得るように、上記供給量調節手段及び処理液吸引手段の設定を調整する制御手段と、を具備してなり、上記供給量検出手段は、上記処理液供給手段から供給された処理液を貯留する光を透過可能な容器と、上記容器の側方から光を照射可能な発光手段と、上記発光手段が照射し容器を透過した光を受光して光量を検知する複数の画素が垂直方向に等間隔に設けられた光検知手段と、を具備することを特徴とする(請求項1)。
【0007】
この発明の自動設定装置において、上記制御手段を、供給量検出手段及び液検出手段の検出信号と、予め記憶された少なくとも処理液の特性及び配管条件を含む情報とに基いて、上記処理液供給手段が被処理体に均一に処理液を供給し得るように、上記処理液供給手段に処理液供給源の処理液を圧送する処理液圧送手段の圧力を調節可能な圧力調節手段の設定を調整するように構成する方が好ましい(請求項2)。
【0008】
また、上記供給量検出手段を、ダミディスペンスを行う位置に設ける方が好ましい(請求項3)。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、処理液供給手段が供給する処理液の供給量を、処理液供給手段から供給された処理液を貯留する光を透過可能な容器と、容器の側方から光を照射可能な発光手段と、発光手段が照射し容器を透過した光を受光して光量を検知する複数の画素が垂直方向に等間隔に設けられた光検知手段とを具備する供給量検出手段により検出し、処理液供給手段の供給部の処理液の状態を液検出手段により検出し、供給量検出手段及び液検出手段の検出信号と、予め記憶された少なくとも処理液の特性及び配管条件を含む情報とに基いて、処理液供給手段が被処理体に均一に処理液を供給し得るように、供給量調節手段及び処理液吸引手段の設定を調整するので、液処理装置の設定をオペレータが手動で行う必要がなく、装置の設定を容易にすることができると共に、装置ごとの処理液の供給量に誤差が生じるのを防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、供給量検出手段及び液検出手段の検出信号と、予め記憶された少なくとも処理液の特性及び配管条件を含む情報とに基いて、処理液供給手段が被処理体に均一に処理液を供給し得るように、処理液供給手段に処理液供給源の処理液を圧送する処理液圧送手段の圧力を調節可能な圧力調節手段の設定を調整するので、更に装置ごとの処理液の供給量に誤差が生じるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0012】
1)請求項1記載の発明によれば、処理液供給手段が供給する処理液の供給量を、処理液供給手段から供給された処理液を貯留する光を透過可能な容器と、容器の側方から光を照射可能な発光手段と、発光手段が照射し容器を透過した光を受光して光量を検知する複数の画素が垂直方向に等間隔に設けられた光検知手段とを具備する供給量検出手段により検出し、処理液供給手段の供給部の処理液の状態を液検出手段により検出し、供給量検出手段及び液検出手段の検出信号と、予め記憶された少なくとも処理液の特性及び配管条件を含む情報とに基いて、処理液供給手段が被処理体に均一に処理液を供給し得るように、供給量調節手段及び処理液吸引手段の設定を調整するので、液処理装置の設定をオペレータが手動で行う必要がなく、装置の設定を容易にすることができると共に、装置ごとの処理液の供給量に誤差が生じるのを防止することができる。この場合、供給量検出手段を、ダミーディスペンスを行う位置に設けることにより、更に装置の小型化が図れる(請求項3)。
【0013】
2)請求項2記載の発明によれば、供給量検出手段及び液検出手段の検出信号と、予め記憶された少なくとも処理液の特性及び配管条件を含む情報とに基いて、処理液供給手段が被処理体に均一に処理液を供給し得るように、処理液供給手段に処理液供給源の処理液を圧送する処理液圧送手段の圧力を調節可能な圧力調節手段の設定を調整するので、更に装置ごとの処理液の供給量に誤差が生じるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。この実施形態では、この発明に係る自動設定装置を、半導体ウエハのレジスト処理を行うレジスト塗布ユニット(COT)に適用した場合について説明する。
【0015】
図1はレジスト液塗布・現像処理システムの一実施形態の概略平面図、図2は図1の正面図、図3は図2の背面図である。
【0016】
上記処理システムは、被処理体である半導体ウエハW(以下にウエハWという)をウエハカセット1で複数枚例えば25枚単位で外部からシステムに搬入又はシステムから搬出したり、ウエハカセット1に対してウエハWを搬出・搬入したりするためのカセットステーション10(搬送部)と、塗布現像工程の中で1枚ずつウエハWに所定の処理を施す枚葉式の各種処理ユニットを所定位置に多段配置してなる処理ステーション20と、この処理ステーション20と隣接して設けられる露光装置(図示せず)との間でウエハWを受け渡すためのインター・フェース部30とで主要部が構成されている。
【0017】
上記カセットステーション10は、図1に示すように、カセット載置台2上の突起3の位置に複数個例えば4個までのウエハカセット1がそれぞれのウエハ出入口を処理ステーション20側に向けて水平のX方向に沿って一列に載置され、カセット配列方向(X方向)及びウエハカセット1内に垂直方向に沿って収容されたウエハWのウエハ配列方向(Z方向)に移動可能なウエハ搬送用ピンセット4が各ウエハカセット1に選択的に搬送するように構成されている。また、ウエハ搬送用ピンセット4は、θ方向に回転可能に構成されており、後述する処理ステーション20側の第3の組G3の多段ユニット部に属するアライメントユニット(ALIM)及びエクステンションユニット(EXT)にも搬送できるようになっている。
【0018】
上記処理ステーション20は、図1に示すように、中心部に垂直搬送型の主ウエハ搬送機構21が設けられ、この主ウエハ搬送機構21を収容する室22の周りに全ての処理ユニットが1組又は複数の組に渡って多段に配置されている。この例では、5組G1,G2,G3,G4及びG5の多段配置構成であり、第1及び第2の組G1,G2の多段ユニットはシステム正面(図1において手前)側に並列され、第3の組G3の多段ユニットはカセットステーション10に隣接して配置され、第4の組G4の多段ユニットはインター・フェース部30に隣接して配置され、第5の組G5の多段ユニットは背部側に配置されている。
【0019】
この場合、図2に示すように、第1の組G1では、カップ23内でウエハWをスピンチャック101(図4)に載置して所定の処理を行う2台のスピナ型処理ユニット例えばレジスト塗布ユニット(COT)が垂直方向の2段に重ねられている。第2の組G2は、2台のスピナ型処理ユニットとして例えばレジストパターンを現像する現像ユニット(DEV)が垂直方向の2段に重ねられている。なお、必要に応じて第1の組G1、第2の組G2の上段に現像ユニット(DEV)を、下段にレジスト塗布ユニット(COT)を配置したり、又はその逆に、上段にレジスト塗布ユニット(COT)を、下段に現像ユニット(DEV)を配置することも可能である。
【0020】
また、図3に示すように、第3の組G3では、ウエハWをウエハ載置台24(図1)に載置して所定の処理を行うオーブン型の処理ユニット例えばウエハWを冷却するクーリングユニット(COL)、ウエハWに疎水化処理を行うアドヒージョンユニット(AD)、ウエハWの位置合わせを行うアライメントユニット(ALIM)、ウエハWの搬入出を行うエクステンションユニット(EXT)、ウエハWをベークする4つのホットプレートユニット(HP)が垂直方向の下から順に例えば8段に重ねられている。第4の組G4も同様に、オーブン型処理ユニット例えばクーリングユニット(COL)、エクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)、エクステンションユニット(EXT)、クーリングユニット(COL)、急冷機能を有する2つのチリングホットプレートユニット(CHP)及び2つのホットプレートユニット(HP)が垂直方向の下から順に例えば8段に重ねられている。
【0021】
上記のように処理温度の低いクーリングユニット(COL)、エクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)を下段に配置し、処理温度の高いホットプレートユニット(HP)、チリングホットプレートユニット(CHP)及びアドヒージョンユニット(AD)を上段に配置することで、ユニット間の熱的な相互干渉を少なくすることができる。勿論、ランダムな多段配置とすることも可能である。
【0022】
なお、図1に示すように、処理ステーション20において、第1及び第2の組G1,G2の多段ユニット(スピナ型処理ユニット)に隣接する第3及び第4の組G3,G4の多段ユニット(オーブン型処理ユニット)の側壁の中には、それぞれダクト65,66が垂直方向に縦断して設けられている。これらのダクト65,66には、ダウンフローの清浄空気又は特別に温度調整された空気が流されるようになっている。このダクト構造によって、第3及び第4の組G3,G4のオーブン型処理ユニットで発生した熱は遮断され、第1及び第2の組G1,G2のスピナ型処理ユニットへは及ばないようになっている。
【0023】
また、この処理システムでは、主ウエハ搬送機構21の背部側にも図1に点線で示すように第5の組G5の多段ユニットが配置できるようになっている。この第5の組G5の多段ユニットは、案内レール67に沿って主ウエハ搬送機構21から見て側方へ移動できるようになっている。したがって、第5の組G5の多段ユニットを設けた場合でも、ユニットをスライドすることにより空間部が確保されるので、主ウエハ搬送機構21に対して背後からメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0024】
上記インター・フェース部30は、奥行き方向では処理ステーション20と同じ寸法を有するが、幅方向では小さなサイズに作られている。このインター・フェース部30の正面部には可搬性のピックアップカセット31と定置型のバッファカセット32が2段に配置され、背面部には周辺露光装置33が配設され、中央部には、ウエハ搬送アーム34が配設されている。このウエハ搬送アーム34は、X,Z方向に移動して両カセット31,32及び周辺露光装置33に搬送するように構成されている。また、ウエハ搬送アーム34は、θ方向に回転可能に構成され、処理ステーション20側の第4の組G4の多段ユニットに属するエクステンションユニット(EXT)及び隣接する露光装置側のウエハ受渡し台(図示せず)にも搬送できるように構成されている。
【0025】
上記のように構成される処理システムは、クリーンルーム40内に設置されるが、更にシステム内でも効率的な垂直層流方式によって各部の清浄度を高めている。
【0026】
次に、上記処理システムの動作について説明する。まず、カセットステーション10において、ウエハ搬送用ピンセット4がカセット載置台2上の未処理のウエハWを収容しているカセット1にアクセスして、そのカセット1から1枚のウエハWを取り出す。ウエハ搬送用ピンセット4は、カセット1よりウエハWを取り出すと、処理ステーション20側の第3の組G3の多段ユニット内に配置されているアライメントユニット(ALIM)まで移動し、ユニット(ALIM)内のウエハ載置台24上にウエハWを載せる。ウエハWは、ウエハ載置台24上でオリフラ合せ及びセンタリングを受ける。その後、主ウエハ搬送機構21がアライメントユニット(ALIM)に反対側からアクセスし、ウエハ載置台24からウエハWを受け取る。
【0027】
処理ステーション20において、主ウエハ搬送機構21はウエハWを最初に第3の組G3の多段ユニットに属するアドヒージョンユニット(AD)に搬入する。このアドヒージョンユニット(AD)内でウエハWは疎水化処理を受ける。疎水化処理が終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをアドヒージョンユニット(AD)から搬出して、次に第3の組G3又は第4の組G4の多段ユニットに属するクーリングユニット(COL)へ搬入する。このクーリングユニット(COL)内でウエハWはレジスト塗布処理前の設定温度例えば23℃まで冷却される。冷却処理が終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをクーリングユニット(COL)から搬出し、次に第1の組G1の多段ユニットに属するレジスト塗布ユニット(COT)へ搬入する。このレジスト塗布ユニット(COT)内でウエハWはスピンコート法によりウエハ表面に一様な膜厚でレジストを塗布する。
【0028】
レジスト塗布処理が終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをレジスト塗布ユニット(COT)から搬出し、次にホットプレートユニット(HP)内へ搬入する。ホットプレートユニット(HP)内でウエハWは載置台上に載置され、所定温度例えば100℃で所定時間プリベーク処理される。これによって、ウエハW上の塗布膜から残存溶剤を蒸発除去することができる。プリベークが終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをホットプレートユニット(HP)から搬出し、次に第4の組G4の多段ユニットに属するエクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)へ搬送する。このユニット(COL)内でウエハWは次工程すなわち周辺露光装置33における周辺露光処理に適した温度例えば24℃まで冷却される。この冷却後、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWを直ぐ上のエクステンションユニット(EXT)へ搬送し、このユニット(EXT)内の載置台(図示せず)の上にウエハWを載置する。このエクステンションユニット(EXT)の載置台上にウエハWが載置されると、インター・フェース部30のウエハ搬送アーム34が反対側からアクセスして、ウエハWを受け取る。そして、ウエハ搬送アーム34はウエハWをインター・フェース部30内の周辺露光装置33へ搬入する。ここで、ウエハWはエッジ部に露光を受ける。
【0029】
周辺露光が終了すると、ウエハ搬送アーム34は、ウエハWを周辺露光装置33から搬出し、隣接する露光装置側のウエハ受取り台(図示せず)へ移送する。この場合、ウエハWは、露光装置へ渡される前に、バッファカセット32に一時的に収納されることもある。
【0030】
露光装置で全面露光が済んで、ウエハWが露光装置側のウエハ受取り台に戻されると、インター・フェース部30のウエハ搬送アーム34はそのウエハ受取り台へアクセスしてウエハWを受け取り、受け取ったウエハWを処理ステーション20側の第4の組G4の多段ユニットに属するエクステンションユニット(EXT)へ搬入し、ウエハ受取り台上に載置する。この場合にも、ウエハWは、処理ステーション20側へ渡される前にインター・フェース部30内のバッファカセット32に一時的に収納されることもある。
【0031】
ウエハ受取り台上に載置されたウエハWは、主ウエハ搬送機構21により、チリングホットプレートユニット(CHP)に搬送され、フリンジの発生を防止するため、あるいは化学増幅型レジスト(CAR)における酸触媒反応を誘起するためポストエクスポージャーベーク処理が施される。
【0032】
その後、ウエハWは、第2の組G2の多段ユニットに属する現像ユニット(DEV)に搬入される。この現像ユニット(DEV)内では、ウエハWはスピンチャック101の上に載せられ、ウエハW表面のレジストに現像液が満遍なく供給(吐出)される。現像が終了すると、ウエハW表面に洗浄液がかけられて現像液が洗い落とされる。
【0033】
現像工程が終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWを現像ユニット(DEV)から搬出して、次に第3の組G3又は第4の組G4の多段ユニットに属するホットプレートユニット(HP)へ搬入する。このユニット(HP)内でウエハWは例えば100℃で所定時間ポストベーク処理される。これによって、現像で膨潤したレジストが硬化し、耐薬品性が向上する。
【0034】
ポストベークが終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをホットプレートユニット(HP)から搬出し、次にいずれかのクーリングユニット(COL)へ搬入する。ここでウエハWが常温に戻った後、主ウエハ搬送機構21は、次にウエハWを第3の組G3に属するエクステンションユニット(EXT)へ移送する。このエクステンションユニット(EXT)の載置台(図示せず)上にウエハWが載置されると、カセットステーション10側のウエハ搬送用ピンセット4が反対側からアクセスして、ウエハWを受け取る。そして、ウエハ搬送用ピンセット4は、受け取ったウエハWをカセット載置台上の処理済みウエハ収容用のカセット1の所定のウエハ収容溝に入れて処理が完了する。
【0035】
次に、本発明に係る液処理装置の一実施形態であるレジスト塗布ユニット(COT)について説明する。
【0036】
レジスト塗布ユニット(COT)は、図4に示すようにウエハWを図示しない真空装置によって吸着保持すると共に、水平方向に回転するスピンチャック101と、スピンチャック101を包囲する有底筒状に形成され、底部に排気口とドレン口が設けられたカップ23と、スピンチャック101の上方に配設されるレジストノズル110(処理液供給手段)と、このレジストノズル110をウエハWに対し相対的に移動可能な移動手段例えばレジストノズルスキャンアーム102とで主に構成されている。
【0037】
レジストノズル110は、図5に示すように、後述するノズル保持部111の下部に着脱可能に形成されるノズル本体112と、レジスト液をウエハWに吐出(供給)する吐出孔114を有すると共に、内部のレジスト液の液面を観測し得る透明又は半透明である例えば樹脂やガラス等によって形成される供給部113とで構成される。
【0038】
また、レジストノズル110は、レジストノズルスキャンアーム102によりカップ23の外側のX方向に延びるように設けられたガイドレール103に沿って、カップ23の外側の待機部106(ガイドレール103の一側端の位置)からウエハWの上方側を通って上記待機部106とウエハWを挟んで対向する位置まで移動することができる。
【0039】
待機部106では、レジストノズル110の供給部113が溶媒雰囲気室の口106aに挿入され、中で溶媒の雰囲気に晒されることで、吐出孔114のレジスト液が固化又は劣化しないようになっている。また、複数本のレジストノズル110が並列に載置されており、レジスト液の種類に応じて使い分けられるようになっている。
【0040】
レジストノズルスキャンアーム102は、上記待機部106に載置されるレジストノズル110の上部を着脱可能に保持するノズル保持部111と、例えば図示しないモータやエアシリンダ等の駆動手段によりガイドレール103上をX方向に移動可能に形成されるベース部105と、Y方向に延びる棒状に形成されノズル保持部111を支持すると共にベース部105によって支持されるアーム部104とで構成されている。なお、ベース部105は例えばボールネジ機構などにより構成される図示しない昇降機構を有しており、例えばモータなどの図示しない動力源からの駆動力によりアーム部104を上下方向に移動させることができるように構成されている。
【0041】
また、レジストノズルスキャンアーム102は、待機部106でレジストノズル110を選択的に取り付けるために図示しない駆動機構によってX方向と直角なY方向にも移動可能に構成されている。
【0042】
更に、ガイドレール103上には、レジストノズル110を支持するレジストノズルスキャンアーム102だけでなくリンスノズル107を支持するリンスノズルスキャンアーム108もX方向に移動可能に設けられている。
【0043】
リンスノズル107は、リンスノズルスキャンアーム108によってカップ23の側方に設定されたリンスノズル待機位置(実線の位置)とスピンチャック101に設置されているウエハWの周辺部の真上に設定されたリンス液吐出位置(点線の位置)との間で並進及び直線移動するようになっている。
【0044】
また、レジストノズル110は、図5に示すように、ウエハWの表面に供給するレジスト液の供給量を調節可能な供給量調節手段例えば開閉バルブAVと、この開閉バルブAVの下流側に設けられ、レジストノズル110がレジスト液の供給を停止した時にレジストノズル110の供給部113に残留するレジスト液を吸引し、吐出孔114からの液だれを抑制する処理液吸引手段例えばサックバックバルブSVとが介設されるレジスト液供給管路130に接続されている。
【0045】
開閉バルブAVは、例えば図7に示すように、バルブケーシング138に設けられた吸込側流路141と吐出側流路142との間に設けられたゲート部149を開閉可能な後述する弁体145bを圧縮空気により駆動して開閉動作を行うエアオペレーション型のものが用いられている。
【0046】
この場合、吸込側流路141と吐出側流路142とは、上方に向かって縮径テーパ状の先端を有する管状のゲート部149を介して隣接配置されている。また、ゲート部149の上方にはシリンダ143を介して空気室148が対峙して設けられている。このシリンダ143内には、ロッド144が摺動可能に配設されており、シリンダ143の下方に露出するロッド144の下端に、弁体145bを一体に形成するダイヤフラム145が固着されている。また、空気室148内に露出するロッド144の上端には、空気室148を上部室148aと区画するダイヤフラム146が固着されている。なお、この場合、ダイヤフラム145,146は、可撓性材料例えばシリコンゴム製部材にて形成されている。これらダイヤフラム145,146は、それぞれその外周縁部145a,146aがバルブケーシング138に設けられた周溝143a又は143b内に嵌合固定されている。
【0047】
また、上部室148a内には、ダイヤフラム146の上端に係合するスプリング147が縮設されており、このスプリング147の弾性力の付勢によって常時弁体145bがゲート部149に就座して、吸込側流路141と吐出側流路142とを閉じるように構成されている。
【0048】
一方、空気室148は操作ポート148bを介して後述する電空レギュレータER1に接続されている。また、電空レギュレータER1はエアコンプレッサCに接続されており(図8参照)、電空レギュレータER1を作動させず、エアコンプレッサCからの圧縮空気を空気室148に送らない状態では、スプリング147の弾性力によりロッド144の下端に固着された弁体145bがゲート部149に就座して閉じ、電空レギュレータER1の作動により、空気室148内に供給される圧縮空気がスプリング147の弾性力に抗して弁体145bをゲート部149から離してゲート部149を開閉できるようになっている。
【0049】
上記電空レギュレータER1は、図8に示すように、空気を通すための吸気側流路170と排気側流路171との結合部分に出力側流路172が接続されており、吸気側流路170及び排気側流路171のそれぞれにはCPU100からの電気信号を受けて流路を開閉する電磁弁173,174が介設されている。吸気側流路170はエアコンプレッサCなどの圧縮空気供給源に接続されており、排気側流路171には排気ポンプなどの排気手段176に接続されている。また、出力側流路172は圧縮空気で駆動される開閉バルブAVに接続されている。一方、出力側流路172には、出力側流路172内の空気圧を検出する圧力センサ175が配設されており、この圧力センサ175によって検出された検知信号がCPU100に伝達されるようになっている。
【0050】
上記のように構成される電空レギュレータER1を作動させると、電磁弁173及び174は圧力センサ175で検知された出力側流路172の圧力に基いて、CPU100によりその作動が制御され、出力側流路172内の圧力が調節される。
【0051】
例えば、出力側流路172内の圧力を300kPaに設定し、エアコンプレッサから500kPaの圧縮空気を吸気側流路170に供給する場合、通常は電磁弁174は閉じており、電磁弁173を開けて500kPaの圧縮空気を出力側流路172に送る。空気圧センサ175により出力側流路172内の圧力が設定値300kPaを越えていることが検出されると、CPU110は直ちに吸気側の電磁弁173を閉鎖させて、出力側流路172内の圧力が設定値300kPaを大きく上回るのを防止する。それと同時に排気側の電磁弁174を開け、出力側流路172内の圧力を低下させて設定値300kPaになった時点で排気側の電磁弁174を閉鎖する。
【0052】
一方、出力側流路172内の圧力が設定値より低い場合には、電磁弁174を閉じ、電磁弁173を開けて高圧の圧縮空気を導入し、空気圧センサ175で検出した圧力が設定値になった時点で電磁弁173を閉じる。
【0053】
したがって、開閉バルブAVの開閉は、電空レギュレータER1の電磁弁173,174の切り換えを高速で行うことで瞬時に行うことができる。すなわち、開閉バルブAVの開閉速度(開口時間又は閉鎖時間)は、電空レギュレータER1の電磁弁173,174の切り換え速度を制御することによって調整することができる。
【0054】
また、レジストノズル110から供給されるレジスト液は、電空レギュレータER1によって空気室148に導入される圧縮空気の圧力によって調節される。すなわち、電空レギュレータER1を作動させてエアコンプレッサCから空気室148に供給する圧縮空気の圧力を上げると、ダイヤフラム146が圧縮空気の圧力でスプリング147の弾性力に抗してロッド144を押し上げ、弁体145bとゲート部149との間の隙間を広げるので、吸込側流路141から吐出側流路142に流れるレジスト液の供給量が増加し、逆に空気室162に供給する圧縮空気の圧力を下げると、ロッド144がスプリング147の弾性力によって押し下げられ、弁体145bとゲート部149との間の隙間を狭めるので、吸込側流路141から吐出側流路142に流れるレジスト液の供給量が減少することになる。
【0055】
サックバックバルブSVは、例えば図7に示すように、開閉バルブAV側から延設される吐出側流路142上部に設けられたバルブケーシング139に設けられており、後述するロッド151を圧縮空気により駆動して上下動を行うエアオペレーション型のものが用いられている。
【0056】
この場合、バルブケーシング139にはシリンダ150が設けられている。シリンダ150内にはロッド151が図中上下方向に摺動可能に収容されており、ロッド151の下方の一部がシリンダ150から吐出側流路142の上部に突出している。
【0057】
また、シリンダ150の上部には空気室155が設けられており、ロッド151の上端に配設されたフランジ状のダイヤフラム152によって上部室155aと区画されている。このダイヤフラム152は、外周縁部152aがバルブケーシング139に設けられた周溝153に嵌合固定されている。なお、ダイヤフラム152は可撓性材料、例えばシリコンゴム製部材にて形成されている。
【0058】
また、上部室155a内には、ダイヤフラム152の上端に係合するスプリング154が縮設されており、このスプリング154の弾性力の付勢によって常時ロッド151が吐出側流路142の上部に突出するように構成されている。
【0059】
一方、空気室155は操作ポート155bを介して上述した電空レギュレータER1と同様に構成される電空レギュレータER2に接続されている。また、電空レギュレータER2はエアコンプレッサCに接続されており、電空レギュレータER2を作動させず、エアコンプレッサCからの圧縮空気を空気室155に送らない状態では、スプリング154の弾性力によりロッド151の下部は下流側流路142内に突出しており、電空レギュレータER2を作動させてエアコンプレッサCからの圧縮空気を空気室155内に供給すると、圧縮空気がスプリング154の弾性力に抗してロッド151を吐出側流路からシリンダ150内に引き込むようになっている。
【0060】
なお、ロッド151の引き込み時には開閉バルブAVは閉じているので、ロッド151の引き込みにより下流側流路142内のレジスト液に作用する負圧は、開閉バルブAVの更に下流側のレジスト液に作用し、供給部113先端のレジスト液面をレジストノズル110の内部に引き込むことができる。
【0061】
この場合、レジスト液を引き込む量(以下にサックバック量という)は、ロッド151の引き込み量すなわち電空レギュレータER2が空気室155へ供給する圧縮空気の圧力によって調整することができる。すなわち、圧縮空気の圧力を高くすると、ダイヤフラム152がスプリング154の弾性力に抗してロッド151を引き上げる量が大きくなるためサックバック量を増加させることができ、逆に圧縮空気の圧力を下げると、ダイヤフラム152がスプリング154の弾性力に抗してロッド151を引き上げる量が小さくなるためサックバック量を減少させることができる。
【0062】
また、レジスト液の供給停止からサックバック終了までの時間(以下にサックバック時間という)は、電空レギュレータER1による空気室148への圧縮空気の供給停止から、電空レギュレータER2による空気室155への圧縮空気の供給開始までの時間によって変化するので、電空レギュレータER1と電空レギュレータER2を制御することにより調整することができる。
【0063】
このように構成されるレジスト塗布ユニット(COT)は、上述したレジスト液供給管路130が処理ステーション20の下方室29内に配設されるレジストタンク180と接続されており、レジスト液供給管路130に介設される処理液圧送手段例えば供給ポンプ160によって、レジストタンク180に貯留されるレジスト液を圧送されている。
【0064】
この場合、供給ポンプ160は、図9に示すように、中空状の本体160aの中にレジスト液を収容するためのポンプ室161と、圧縮空気を収容するための空気室162とが設けられており、これらポンプ室161と空気室162とは、例えばシリコンゴムなどの可撓性を有する弾性材料にて形成されるダイヤフラム163で区画されている。なお、ダイヤフラム163は、空気室162内に向かって膨隆する椀形に形成されている。
【0065】
また、本体160aには、レジストタンク180側(図中左側)の供給管路130とポンプ室161とを連通する吸込側流路164及びレジストノズル110側(図中右側)のレジスト液供給管路130とポンプ室161とを連通する吐出側流路165が配設されている。また、空気室162の図中上部には空気導入孔166が設けられており、上述した電空レギュレータER1と同様に構成される電空レギュレータER3を介して圧縮空気供給源例えばエアコンプレッサCからの圧縮空気を空気導入孔166から空気室162の中に吸排気可能に形成されている。
【0066】
レジスト液供給管路130における吸込側流路164側及び吐出側流路165側には、それぞれに逆止弁であるチェッキバルブ168,169が介設されており、これらチェッキバルブ168,169により、レジスト液は図中矢印で示した方向に流れるようになっている。
【0067】
なお、吸込側のチェッキバルブ168は、バルブ閉鎖時でもレジスト液供給管路130と吸込側流路164との間に微量の流体の流出を許容するスローリーク構造を備えており、ポンプの圧力変動を小さくすることができるようになっている。
【0068】
この供給ポンプ160の駆動は、空気導入孔166から空気室162に圧縮空気を出し入れすることにより行う。
【0069】
空気室162から圧縮空気を排気した状態では、ダイヤフラム163は図中上方向に引っ張られ、図9に示すように椀形に膨らんだ状態となる。このとき、吸込側のチェッキバルブ168が開いてレジスト液がレジスト液供給管路130から吸込側流路164へ流入するため、ポンプ室161の中はレジスト液で満たされる。
【0070】
次に、空気導入孔166から圧縮空気を空気室162に導入すると、空気室162内の気圧は高まり、この気圧によりダイヤフラム163はポンプ室161側へ押され、ポンプ室161の容積を小さくしようとする。このときポンプ室161内に収容されたレジスト液に圧力が作用し、この圧力によって吸込側のチェッキバルブ168が閉じると共に、吐出側のチェッキバルブ169が開いて、レジスト液は吐出側流路165からレジスト液供給管路130に順次圧送される。
【0071】
したがって、供給ポンプ160の圧送圧力は、電空レギュレータER3の設定を調整し、空気室162に導入される圧縮空気の圧力及び単位時間に圧縮空気を出し入れする回数を変えることによって調整される。
【0072】
なお、上記供給ポンプ160は、電空レギュレータER3によって別の二次流体、例えば油(シリコンオイル、テフロン(R)系のオイル)、水、水銀、アルコール、シンナーやこれらの混合液等の液体に圧力を掛け、この二次流体を空気室162に相当する室に導入してダイヤフラム163を作動させるように構成することも可能である。
【0073】
また、供給ポンプ160は、所定の圧力でレジストタンク180のレジスト液を圧送するものであれば、ダイヤフラム式ポンプ以外のものでもよく、例えばベローズ式ポンプ等を用いることも勿論可能である。
【0074】
また、上記開閉バルブAV、サックバックバルブSV及び電空レギュレータER1,ER2,ER3は、図5に示すように、それぞれCPU100(制御手段)に接続されている。
【0075】
CPU100には、例えばレジスト塗布ユニット(COT)に搬入されるウエハWの順番や時間、ウエハWの表面に供給するレジスト液の量などの情報を記憶させることができ、この情報に基いてレジスト塗布ユニット(COT)内に搬入されたウエハWに所定量のレジスト液を供給し得るよう開閉バルブAV、電空レギュレータER1,ER2,ER3を制御することができ、また、レジスト液の供給停止時にレジストノズル110の先端部に表面張力によって残留しているレジスト液が固化又は劣化しないようにレジスト液をレジストノズル110内に引き戻すサックバックバルブSVを制御することができる。
【0076】
以下に、上記のように構成されたレジスト塗布ユニット(COT)の動作を説明する。
【0077】
主ウエハ搬送機構21により搬送されたウエハWが、レジスト塗布ユニット(COT)内のスピンチャック101に吸着保持されると、スピンチャック101が回転すると共に、図示しないシンナー吐出機構が作動してウエハWのほぼ中心真上の位置からシンナーをウエハWに供給(滴下)する。滴下されたシンナーは遠心力によりウエハW表面全体に広がり、余分のシンナーは遠心力で振り切られ除去される。
【0078】
次いで、レジストノズルスキャンアーム102が移動してレジストノズル110をウエハWのほぼ中心の真上の位置まで移動させる。
【0079】
次に、ウエハWを保持したスピンチャック101を高速で回転させると共に、供給ポンプ160及び開閉バルブAVを所定のタイミングで作動させて、ウエハWの表面にレジストノズル110から所定量のレジスト液を供給(滴下)する。滴下されたレジスト液は上記シンナーと同様に遠心力によりウエハW表面全体に広がり、余分のレジスト液は遠心力で振り切られ除去される。
【0080】
振り切り除去が終了するとスピンチャックの回転は停止し、ウエハWは主ウエハ搬送機構21により取り出されて処理を終了する。
【0081】
次に、上記レジスト塗布ユニットの自動設定を行う、この発明の自動設定装置の構成について説明する。
【0082】
この発明の自動設定装置は、図5に示すように、レジストノズル110が供給するレジスト液の供給量を検出する供給量検出手段、例えば後述する光透過可能な容器210,発光手段211及び光検知手段213と、レジストノズル110の供給部113のレジスト液の状態、具体的には、レジスト液の先端液面の状態を検出する液検出手段、例えばCCDカメラ300と、少なくともレジスト液の特性及び配管条件等の情報を予め記憶可能な制御手段、例えばCPU100とで構成される。
【0083】
この場合、供給量検知手段を、ダミーディスペンスを行う図示しないダミーディスペンス部に設けるようにすれば装置の小型化を図れる点で好ましい。
【0084】
上記供給量検出手段は、レジストノズル110から供給(吐出)されたレジスト液を貯留可能であると共に、光を透過できる測定用の容器例えばガラス製のメスシリンダ210と、このメスシリンダ210の側方から光212を照射可能な発光手段例えば発光ダイオード211と、この発光ダイオード211の対向する側に設けられ、メスシリンダ内に透過された発光ダイオードの光212を受光して光量(画素数)を検知し、その検知信号をCPU100に送る光検知手段例えばCCDセンサ213とで主に構成されている。
【0085】
この場合、CCDセンサ213は、図6に示すように、複数の画素214が垂直方向に等間隔に設けられており、受光された光量(画素数)とCPU100に予め記憶された情報とに基いて、メスシリンダ210内に供給されたレジスト液の供給量を計測することができるように構成されている。すなわち、メスシリンダ210内にレジスト液が貯留されると、発光ダイオード211からメスシリンダ210内に照射された光212のうち、レジスト液の水面より下方のCCDセンサ213の画素214は、レジスト液により光212が遮断され、あるいは弱められるためCCDセンサ213が光212を検知せず、レジスト液水面より上方のCCDセンサの画素214は透過された光212を受光して検知するので、予めレジスト液の量とCCDセンサ213が検知した光量(画素数)との相関データをCPU100に記憶させておくことによりレジストノズル110から供給(吐出)されたレジスト液の供給量を検出することができる。
【0086】
CCDカメラ300は、レジストノズル110の供給部113と水平位置に設置されており、供給部113のレジスト液の液面位置等を画像として検知し、その画像データをCPU100に出力可能に形成されている。
【0087】
CPU100は、図示しない入力装置から予めレジスト液の特性(例えば密度や動粘性係数)や配管条件(例えばレジスト液供給管路130の配管長や揚程差)等の情報を記憶させておくことができ、上記電子天秤200によって検出されたレジスト液の供給量及びCCDカメラ300で検出された供給部113におけるレジスト液の液面の位置と、予めCPU100に記憶されたレジスト液の特性及び配管条件等の情報に基いて、レジストノズル110がウエハWに均一に処理液を供給し得るように、開閉バルブAV、サックバックバルブSVの設定を調整し得るように構成されている。
【0088】
次に上記のように構成される自動設定装置を用いて、上述したレジスト塗布ユニット(COT)の調整を行う場合について、図10ないし図12及び図13のフローチャートを用いて説明する。
【0089】
まず、レジストノズル110をレジストノズルスキャンアーム102によって待機部106に設けられたメスシリンダ210上に移動する。そして、CCDカメラ300によりレジストノズル110の供給部113内のレジスト液の状態、すなわちレジスト液の液面の位置を検知しながら、開閉バルブAVを開き供給ノズル110からレジスト液をメスシリンダ210上に所定時間、所定回数供給した後に停止する(ステップS1)。
【0090】
次に、CCDカメラ300で取得した吐出開始時の供給部113の画像データをCPU100で処理し、吐出開始時に供給部113内のレジスト液がレジスト液供給管路130の供給ポンプ160側に吸い込まれる引き上がり現象が生じているか否かを、検出された供給部113内の液面の位置から判定する(ステップS2)。具体的には、レジスト液の吐出開始前の液面の位置{図10(a)の位置}が、吐出開始時に上方位置{図10(b)の位置}に移動した後に吐出が開始{図10(c)}した場合には引き上がり現象が生じていると判定する。
【0091】
供給部113内の液面に引き上がり現象が生じていないと判定した場合には次のステップS4に進む。また、引き上がり現象が生じていると判定した場合にはステップS3に進み、引き上がりの大きさに応じてCPU100が開閉バルブAVの開口時間を増加するように設定を調整した後ステップS4に進む。
【0092】
ステップS4では、CCDカメラ300で取得した吐出終了時の供給部113の画像データをCPU100で処理し、液面の位置から液切れは適当か否かを判定する。具体的には、供給部113の液面の位置が、図11(b)に示すように、所定の範囲内例えば供給部先端から上方に0.5〜1mmの範囲内にある場合には、CPU100は液切れが適当であると判定し、供給部113の液面の位置が、図11(a)に示すように、所定の位置より高い場合には液切れが早いと判定し、逆に、供給部113内の液面の位置が、図11(c)に示すように、所定の位置より低い場合には液切れが遅いと判定する。
【0093】
液切れが適当であると判定した場合には次のステップS7に進む。また、液切れが早いと判定した場合にはステップS5に進み、CPU100が開閉バルブAVの閉鎖時間を増加するように設定を調整した後にステップS7に進む。逆に、液切れが遅いと判定した場合にはステップS6に進み、CPU100が開閉バルブAVの閉鎖時間が減少するように設定を調整した後、ステップS7に進む。
【0094】
ステップS7では、CCDカメラ300で取得したサックバック時の供給部113の画像データをCPU100で処理し、サックバック後の液面の位置からサックバック量は適当か否かを判定する。具体的には、供給部113の液面の位置が、図12(b)に示すように、所定位置例えば供給部先端から上方に2〜3mmの範囲内にある場合には、CPU100はサックバック量が適当であると判定する。また、供給部113の液面の位置が、図12(a)に示すように、所定位置より高い場合にはサックバック量が多いと判定し、逆に、供給部113の液面の位置が、図12(c)に示すように、所定位置より低い場合にはサックバック量が少ないと判定する。
【0095】
サックバック量が適当であると判定した場合には次のステップS10に進む。また、サックバック量が多いと判定した場合にはステップS8に進み、CPU100が電空レギュレータER3の設定を調整し、空気室155内への圧縮空気の供給量を減少させてロッドの引き込み量を減らすようにサックバックバルブSVの設定を調整した後、ステップS10に進む。逆に、サックバック量が少ないと判定した場合にはステップS9に進み、CPU100が電空レギュレータER3の設定を調整し、空気室155への圧縮空気の供給量を増加させてロッドの引き込み量を増やすようにサックバックバルブSVの設定を調整した後、ステップS10に進む。
【0096】
ステップS10では、CCDカメラ300で取得したサックバック時の供給部113の画像データをCPU100で処理し、開閉バルブAVの閉鎖時間とサックバック終了時間からサックバック時間は適当か否かを判定する。
【0097】
サックバック時間が所定範囲内例えば2〜3秒以内の場合には、CPU100はサックバック時間が適当であると判定し、サックバック時間が所定範囲外である場合には、サックバック時間は適当でないと判定する。
【0098】
サックバック時間が適当であると判定した場合には次のステップS12に進む。また、サックバック時間が適当でないと判定した場合にはステップS11に進み、CPU100が電空レギュレータER1,ER2の設定を調整することにより、開閉弁AVとサックバックバルブSVの作動間隔を調整した後、ステップS12に進む。
【0099】
ステップS12では、レジストノズル110からメスシリンダ210内に供給(吐出)されたレジスト液の重量を検出し、CPU100に予め記憶しておいた密度からレジストノズル110が供給(吐出)したレジスト液の供給量(実測値)を計算する。そして、計算されたレジスト液の供給量(実測値)とCPU100に予め記憶された供給量(吐出量)の設定値とを比較演算し、供給量の実測値と設定値との誤差が許容範囲内か否かを判定する。
【0100】
この場合、CCDカメラ300で取得した吐出(供給)開始時の供給部113の画像データをCPU100で処理し、レジスト液の供給時間を、液面が供給部113の先端に位置した時から計測するようにすれば、レジスト液の吐出開始時に引き上がり現象が生じた場合にも誤差を生じることなく供給量(実測値)を正確に計算することができる。また、供給量(実測値)の計算は、レジスト液の供給(吐出)を複数回行い、その平均値から計算するようにすれば更に正確に求めることができる。レジスト液の供給を複数回行って供給量(実測値)を求める場合は、一回毎のデータを基にして計算してもよいし、複数回を連続して行い、その積算値を基にして計算してもよい。
【0101】
上記実測値と設定値との誤差が許容範囲内にあると判定した場合にはレジスト塗布ユニット(COT)の設定調整を終了する(ステップS14)。また、実測値と設定値との誤差が許容範囲外である場合にはステップS13に進み、CPU100は、予め記憶されたレジスト液の粘度、供給ポンプ160からレジストノズル110までの配管長や揚程差等の情報に基いて、開閉バルブAVの開口度の設定を調整した後、液処理装置の設定調整を終了する(ステップS14)。
【0102】
なお、上記ステップS13では、実測値と設定値の誤差を開閉バルブAVの開口度を調整して補正する場合について説明したが、実測値と設定値の誤差の補正方法はこれに限らず、例えば電空レギュレータER3の設定を、CPU100に予め記憶されたレジスト液の粘度、供給ポンプ160からレジストノズル110までの配管長や揚程差等の情報に基いて調整し、供給ポンプ160の圧送圧力を補正するようにしてもよい。
【0103】
また、開閉バルブAVの開口度と供給ポンプ160の圧送圧力の両方を補正するようにすれば、更に正確にウエハWへレジスト液を供給することができる。
【0104】
また、上記説明では、ステップS3,S5,S6,S8,S9,S11,S13の設定調整後、次のステップS4,S7,S10,S12に進む場合について説明したが、図13に破線で示すように、ステップS3からステップS2へ、ステップS5,S6からステップS4へ、ステップS8,S9からステップS7へ、ステップS11からステップS10へ、ステップS13からステップS12へ戻るようにし、設定が正しく調整されたか否かを再確認するようにすれば、更に正確にレジスト塗布ユニット(COT)の設定調整を行うことができる。
【0105】
なお、上記説明では、この発明の自動設定装置をレジスト塗布ユニット(COT)に用いる場合について説明したが、処理液を用いて被処理体を処理するものであれば他の装置、例えば現像ユニット(DEV)等に用いることも勿論可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】この発明に係る塗布処理装置を適用したレジスト液塗布・現像処理システムの一例を示す概略平面図である。
【図2】上記レジスト液塗布・現像処理システムの概略正面図である。
【図3】上記レジスト液塗布・現像処理システムの概略背面図である。
【図4】この発明における液処理装置を示す概略平面図である。
【図5】この発明における液処理装置の自動設定装置を示す概略構成図である。
【図6】この発明における供給量検出手段の一例である光センサの概略正面図である。
【図7】この発明における液処理装置の供給量調節手段及び処理液吸引手段を示す概略断面図である。
【図8】この発明における圧力調節手段の構成を示す模式図である。
【図9】この発明における処理液圧送手段の概略断面図である。
【図10】供給部の処理液の引き上がり現象を説明する概略断面図である。
【図11】処理液の供給終了時における供給部の状態を示す概略断面図である。
【図12】処理液のサックバック終了時における供給部の状態を示す概略断面図である。
【図13】液処理装置の自動設定方法を説明するフローチャートである。
【図14】従来の液処理装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0107】
W 半導体ウエハ(被処理体)
AV 電子制御バルブ(供給量調節手段)
SV サックバックバルブ(処理液吸引手段)
ER 電空レギュレータ(圧力調節手段)
ER1〜ER3 電空レギュレータ
100 CPU(制御手段)
110 レジストノズル(処理液供給手段)
113 供給部
160 供給ポンプ(処理液圧送手段)
180 レジストタンク(処理液供給源)
210 メスシリンダ(容器、供給量検出手段)
211 発光ダイオード(発光手段、供給量検出手段)
213 CCDセンサ(光検知手段、供給量検出手段)
300 CCDカメラ(液検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体の表面に処理液を供給する処理液供給手段と、上記処理液供給手段が供給する処理液の供給量を調節可能な供給量調節手段と、上記処理液供給手段の処理液供給停止時に、処理液供給手段の供給部に残留する処理液を吸引する処理液吸引手段と、を具備する液処理装置の自動設定装置であって、
上記処理液供給手段が供給する処理液の供給量を検出する供給量検出手段と、
上記処理液供給手段の供給部の処理液の状態を検出する液検出手段と、
上記供給量検出手段及び液検出手段の検出信号と、予め記憶された少なくとも処理液の特性及び配管条件を含む情報とに基いて、上記処理液供給手段が被処理体に均一に処理液を供給し得るように、上記供給量調節手段及び処理液吸引手段の設定を調整する制御手段と、を具備してなり、
上記供給量検出手段は、上記処理液供給手段から供給された処理液を貯留する光を透過可能な容器と、上記容器の側方から光を照射可能な発光手段と、上記発光手段が照射し容器を透過した光を受光して光量を検知する複数の画素が垂直方向に等間隔に設けられた光検知手段と、を具備することを特徴とする液処理装置の自動設定装置。
【請求項2】
請求項1記載の液処理装置の自動設定装置において、
上記制御手段を、供給量検出手段及び液検出手段の検出信号と、予め記憶された少なくとも処理液の特性及び配管条件を含む情報とに基いて、処理液供給手段が被処理体に均一に処理液を供給し得るように、上記処理液供給手段に処理液供給源の処理液を圧送する処理液圧送手段の圧力を調節可能な圧力調節手段の設定を調整するように構成することを特徴とする液処理装置の自動設定装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の液処理装置の自動設定装置において、
上記供給量検出手段は、ダミディスペンスを行う位置に設けられていることを特徴とする液処理装置の自動設定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−324677(P2006−324677A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147936(P2006−147936)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【分割の表示】特願2001−340424(P2001−340424)の分割
【原出願日】平成13年11月6日(2001.11.6)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】