説明

液晶表示装置、液晶表示装置の駆動方法、及び、電子機器

【課題】階調を反映した信号電位を保持する容量素子をDRAMとして利用し、画素構造の簡略化を図るに当たり、低消費電力化を可能にする。
【解決手段】階調を反映した信号電位を保持する保持容量22をDRAMとして利用することで、画素20の構造の簡略化を図る。そして、画素20において、保持容量22の極性反転動作及びリフレッシュ動作を行うためのインバータ回路23の入力端に対して、第4のスイッチングトランジスタ27による反転電位の書き込み後の一定期間、信号線31から第1,第3のスイッチングトランジスタ24,26を通じて電源電位、例えば、接地(GND)電位を与える。これにより、インバータ回路23の入力電位INVinを接地電位に確定し、インバータ回路23に貫通電流が流れないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、液晶表示装置の駆動方法、及び、電子機器に関し、特に、画像データを記憶するメモリを画素内に持つ液晶表示装置、当該液晶表示装置の駆動方法、及び、当該液晶表示装置を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の中には、画像データを記憶するメモリを画素内に持つものがある。メモリを画素に内蔵する液晶表示装置では、アナログ表示モードによる表示と、メモリ表示モードによる表示とを実現できる。ここで、アナログ表示モードとは、画素の階調をアナログ的に表示する表示モードである。また、メモリ表示モードとは、画素内のメモリに記憶されている2値情報(論理“1”/“0”)に基づいて、画素の階調をデジタル的に表示する表示モードである。
【0003】
メモリ表示モードの場合、メモリに保持されている情報を用いるため、階調を反映した信号電位の書き込み動作をフレーム周期で実行する必要がない。そのため、メモリ表示モードの場合は、階調を反映した信号電位の書き込み動作をフレーム周期で実行する必要があるアナログ表示モードの場合に比べて消費電力が少なくて済む。
【0004】
アナログ表示モードによる表示とメモリ表示モードによる表示の両方に対応可能な液晶表示装置としては、従来、画素に内蔵するメモリにSRAM(Static Random Access Memory)を用いた液晶表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図19に、画素内のメモリにSRAMを用いた従来例に係る液晶表示装置の画素回路の一例を示す。本従来例に係る液晶表示装置における画素90は、液晶容量91、保持容量92、SRAM93、及び、5つのスイッチングトランジスタ94〜98を有する構成となっている。画素90には、階調を反映した信号電位Vsig、または、コモン電位VCOMとは異なる電位VXCSが信号線99を介して選択的に与えられる。
【0006】
液晶容量91は、画素電極と当該画素電極に対向して形成される対向電極との間に液晶を封入したときに、画素電極-対向電極間で発生する容量を意味する。液晶容量91の対向電極には、コモン電位VCOMが全画素共通に与えられる。液晶容量91の画素電極は、保持容量92の一方の電極と電気的に共通に接続されている。保持容量92は、階調を反映した信号電位Vsigを保持する。保持容量92の他方の電極には、コモン電位VCOMとほぼ同電位のCS電位VCSが与えられる。
【0007】
SRAM93は、正側の電源電位VRAMと負側の電源電位VSSとの間に設けられた2つのCMOSインバータからなり、これら2つのCMOSインバータの一方の入力端と他方の出力端とが共通に接続され、他方の入力端と一方の出力端とが共通に接続された構成となっている。
【0008】
SRAM93を構成する2つのCMOSインバータのうち、一方のCMOSインバータは、電源電位VRAMと電源電位VSSとの間に直列に接続され、ゲート電極が共通に接続されたPchMOSトランジスタ931とNchMOSトランジスタ932とから構成されている。他方のCMOSインバータは、電源電位VRAMと電源電位VSSとの間に直列に接続され、ゲート電極が共通に接続されたPchMOSトランジスタ933とNchMOSトランジスタ934とから構成されている。
【0009】
5つのスイッチングトランジスタ94〜98は、例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)からなる。スイッチングトランジスタ94,95は、制御信号CTL1によって導通/非導通の制御が行われる。具体的には、スイッチングトランジスタ94,95は、階調を反映した信号電位Vsigを保持容量52に書き込む際にアクティブ(高電位)状態になる制御信号CTL1に応答して導通状態になる。
【0010】
スイッチングトランジスタ96は、アナログ表示モードの場合に階調を反映した信号電位Vsigを書き込むときに、または、メモリ表示モードの場合にコモン電位VCOMとは異なる電位VXCSを書き込むときに導通状態になる。一方、スイッチングトランジスタ97は、メモリ表示モードにおいて、液晶容量91の対向電極に与えられるコモン電位VCOMとほぼ同電位のCS電位VCSを保持容量92に書き込む際に導通状態になる。
【0011】
スイッチングトランジスタ96,97の導通/非導通の制御には、SRAM93の保持電位が用いられる。そして、この回路例の場合、スイッチングトランジスタ96が導通状態のときにスイッチングトランジスタ97が非導通状態となり、スイッチングトランジスタ96が非導通状態のときにスイッチングトランジスタ97が導通状態となる。
【0012】
スイッチングトランジスタ98は、SRAM93に対する制御電位の書き込みの際にアクティブ(高電位)状態になる制御信号CTL2によって導通制御が行われる。具体的には、スイッチングトランジスタ98は、SRAM93に対して、アナログ表示モードの場合に信号電位Vsigを書き込むときに、または、メモリ表示モードの場合に電位VXCSを書き込むとき場合にアクティブ状態になる制御信号CTL2に応答して導通状態になる。
【0013】
尚、ここでは、SRAM93を画素90毎に1対1の対応関係をもって設ける画素回路例を示したが、1つのSRAM93を複数の画素90に対して共通に設ける(共有する)構成を採ることも可能である。
【0014】
一例として、図20に示すように、カラー表示対応の液晶表示装置において、1つの画素90を構成する例えばR(赤色),G(緑色),B(青色)の副画素90R,90G,90Bに対して、1つのSRAM93を共通に設けるようにすることも可能である。図20において、副画素90R,90G,90Bの各保持容量92R,92G,92Bについては図示しているが、副画素90R,90G,90Bの各液晶容量91については、図面の簡略化のために図示を省略している。
【0015】
1つのSRAM53を副画素90R,90G,90Bで共有する構成を採る場合、スイッチングトランジスタ94(94R,94G,94B)については、副画素90R,90G,90B毎に配されることになる。そして、これらスイッチングトランジスタ94R,94G,94Bは、各色に対応した制御信号CTL1(R),CTL1(G),CTL1(B)によって時分割にて導通/非導通の制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−98234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、画素内のメモリにSRAM93を用いた画素構成を採ると、SRAM93の構造が複雑であり、画素90内においてSRAM93が大きな面積を占めるため、画素90の微細化を図る上で妨げとなる。
【0018】
一般的に、SRAMに比べて、DRAM(Dynamic Random Access Memory)の方が、構造が簡単であることが知られている。しかし、DRAMは、データ保持のためにメモリをリフレッシュする必要があるため、SRAMに比べて消費電力が大きい。
【0019】
そこで、本発明は、信号電位を保持する容量素子をDRAMとして利用し、画素構造の簡略化を図るに当たり、消費電力の低減を可能にした液晶表示装置、液晶表示装置の駆動方法、及び、電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するために、本発明は、
液晶容量、
一方の電極が前記液晶容量の画素電極に接続された容量素子、
一端が信号線に接続され、当該信号線を介して与えられる、階調を反映した信号電位を前記容量素子に書き込む第1の動作モードではオン状態となり、前記容量素子から保持電位を読み出した後当該保持電位の極性を反転して前記容量素子に再度書き込む第2の動作モードではオフ状態となる第1のスイッチ素子、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、他端が前記容量素子の一方の電極及び画素電極に接続され、前記第1の動作モード、前記第2の動作モードにおける前記容量素子からの保持電位の読み出し期間、及び、前記容量素子への反転電位の再書き込み期間にオン状態となる第2のスイッチ素子、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、前記第1の動作モードではオフ状態となり、前記第2の動作モードにおける前記読み出し期間にオン状態となって前記容量素子から保持電位を前記第2のスイッチ素子を通じて読み出す第3のスイッチ素子、
入力端が前記第3のスイッチ素子の他端に接続され、前記第2の動作モードにおける前記読み出し期間に前記第2のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子を通じて前記容量素子から読み出された保持電位の極性を反転するインバータ回路、
及び、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、他端が前記インバータ回路の出力端に接続され、前記第1の動作モードではオフ状態となり、前記第2の動作モードにおける前記再書き込み期間にオン状態となって前記インバータ回路で極性反転された反転電位を前記第2のスイッチ素子を通じて前記容量素子に書き込む第4のスイッチ素子
を含む画素が配置されてなる液晶表示装置において、
前記画素に対して、前記第4のスイッチ素子による反転電位の書き込み後の一定期間、前記信号線から前記第1のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子を通じて前記インバータ回路の入力端に電源電位を与える駆動を行う
構成を採っている。
【0021】
上記構成の液晶表示装置において、第1の動作モードでは、第3のスイッチ素子及び第4のスイッチ素子がオフ状態にある。従って、第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子がオン状態になることで、これら第1,第2のスイッチ素子を通じて信号線から、階調を反映した信号電位(アナログ電位または2値電位)が容量素子に書き込まれる。一方、第2の動作モードでは、第1のスイッチ素子がオフ状態になる。この状態において、第2のスイッチ素子及び第3のスイッチ素子がオン状態になる一方、第4のスイッチ素子がオフ状態を維持する。このとき、容量素子の保持電位が第2のスイッチ素子及び第3のスイッチ素子を通じて読み出され、インバータ回路の入力端に与えられる。すると、インバータ回路は容量素子の保持電位の極性を反転する。その後、第3のスイッチ素子がオフ状態となり、第4のスイッチ素子がオン状態になる。そして、第4のスイッチ素子は、インバータ回路の出力電位、即ち、上記保持電位の反転電位を第2のスイッチ素子を通じて容量素子に書き込む(再書き込み動作)。
【0022】
この第2の動作モードにおける一連の動作、即ち、容量素子から保持電位を読み出す読み出し動作、及び、当該保持電位の極性を反転した反転電位を容量素子に再度書き込む再書き込み動作により、所謂、リフレッシュ動作が実行される。このリフレッシュ動作は、第1のスイッチ素子の作用によって、画素を信号線から切り離した状態で行われる。従って、リフレッシュ動作時に、大きな負荷容量を有する信号線に対する充放電が行われることはない。また、リフレッシュ動作の際に、インバータ回路の作用により、第2の動作モードの繰り返し周期で、容量素子に保持される電位の極性の反転動作が繰り返される。
【0023】
そして、リフレッシュ動作後の一定期間、具体的には、第4のスイッチ素子による反転電位の書き込み後の一定期間、第1のスイッチ素子及び第3のスイッチ素子がオン状態になる。このとき、信号線の電位は電源電位にあり、第1のスイッチ素子及び第3のスイッチ素子を通じてインバータ回路の入力端に電源電位が与えられる。これにより、インバータ回路の入力電位が電源電位に確定される。ここで、インバータ回路の入力電位が不確定状態となると、インバータ回路に貫通電流が流れ、消費電力の増大を招く。これに対し、インバータ回路の入力電位が電源電位に確定されることで、インバータ回路に貫通電流が流れることはなくなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、画素内の信号電位を保持する容量素子をDRAMとして利用し、画素構造の簡略化を図るに当たり、リフレッシュ動作時に大きな負荷容量を有する信号線の充放電が不要であるため、リフレッシュ動作に伴う消費電力を低く抑えることができる。更に、リフレッシュ動作後インバータ回路の入力電位を電源電位に確定することで、インバータ回路に貫通電流が流れないようにすることができるため、消費電力をより低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明が適用されるアクティブマトリクス型の液晶表示装置の構成の概略を示すシステム構成図である。
【図2】液晶表示パネル(液晶表示装置)の断面構造の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画素の回路構成例を示す回路図である。
【図4】実施例1に係る画素の回路構成を示す回路図である。
【図5】実施例1に係る画素のアナログ表示モードの動作説明に供するタイミング波形図である。
【図6】アナログ表示モードにおいて、階調を反映した信号電位を信号線から書き込む際の画素内の状態を示す回路図である。
【図7】実施例1に係る画素のメモリ表示モードにおけるリフレッシュ動作の動作説明に供するタイミング波形図である。
【図8】ある走査線についてのメモリ表示モードにおける動作の説明に供するタイミング波形図である。
【図9】実施例2に係る画素(3つの副画素)の回路構成を示す回路図である。
【図10】実施例2に係る3つの副画素のアナログ表示モードの動作説明に供するタイミング波形図である。
【図11】実施例2に係る3つの副画素のメモリ表示モードにおけるリフレッシュ動作の動作説明に供するタイミング波形図である。
【図12】ある走査線についてのメモリ表示モードにおける動作の説明に供するタイミング波形図である。
【図13】変形例として実施例2において、インバータ回路としてラッチ回路を用いた場合の回路図である。
【図14】本発明が適用されるテレビジョンセットの外観を示す斜視図である。
【図15】本発明が適用されるデジタルカメラの外観を示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。
【図16】本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。
【図17】本発明が適用されるビデオカメラの外観を示す斜視図である。
【図18】本発明が適用される携帯電話機を示す外観図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【図19】画素内のメモリにSRAMを用いた従来例に係る液晶表示装置の画素回路の一例を示す回路図である。
【図20】1つのSRAMをR,G,Bの副画素に対して共通に設けた従来例に係る液晶表示装置の画素回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.本発明が適用される液晶表示装置
1−1.システム構成
1−2.パネル断面構造
2.実施形態に係る液晶表示装置の説明
2−1.実施例1(画素毎にインバータ回路を配置する例)
2−2.実施例2(R,G,Bの副画素間で1つのインバータ回路を共有する例)
3.変形例
4.適用例(電子機器)
【0027】
<1.本発明が適用される液晶表示装置>
[1−1.システム構成]
図1は、本発明が適用されるアクティブマトリクス型液晶表示装置の構成の概略を示すシステム構成図である。液晶表示装置は、少なくとも一方が透明な2枚の基板(図示せず)が所定の間隔をもって対向して配置され、これら2枚の基板間に液晶が封入されたパネル構造となっている。
【0028】
本適用例に係る液晶表示装置10は、液晶容量を含む複数の画素20と、当該画素20が行列状に2次元配列されてなる画素アレイ部30と、当該画素アレイ部30の周辺に配置された駆動部とを有する構成となっている。当該駆動部は、信号線駆動部40、制御線駆動部50及び駆動タイミング発生部60などからなり、例えば、画素アレイ部30と同じ基板(液晶表示パネル11A)上に集積され、画素アレイ部30の各画素20を駆動する。
【0029】
ここで、液晶表示装置10がカラー表示対応の場合は、1つの画素は複数の副画素(サブピクセル)から構成され、この副画素の各々が画素20に相当することになる。より具体的には、カラー表示用の液晶表示装置では、1つの画素は、赤色(R)光の副画素、緑色(G)光の副画素、青色(B)光の副画素の3つの副画素から構成される。
【0030】
但し、1つの画素としては、RGBの3原色の副画素の組み合わせに限られるものではなく、3原色の副画素に更に1色あるいは複数色の副画素を加えて1つの画素を構成することも可能である。より具体的には、例えば、輝度向上のために白色光の副画素を加えて1つの画素を構成したり、色再現範囲を拡大するために補色光の少なくとも1つの副画素を加えて1つの画素を構成したりすることも可能である。
【0031】
本適用例に係る液晶表示装置10は、画素20にメモリを内蔵し、アナログ表示モードによる表示とメモリ表示モードによる表示の両方に対応可能な構成となっている。前にも述べたように、アナログ表示モードとは、画素の階調をアナログ的に表示する表示モードである。また、メモリ表示モードとは、画素内のメモリに記憶されている2値情報(論理“1”/“0”)に基づいて、画素の階調をデジタル的に表示する表示モードである。
【0032】
メモリ表示モードの場合、メモリに保持されている情報を用いるため、階調を反映した信号電位の書き込み動作をフレーム周期で実行する必要がない。そのため、メモリ表示モードの場合は、階調を反映した信号電位の書き込み動作をフレーム周期で実行する必要があるアナログ表示モードの場合に比べて消費電力が少なくて済む利点がある。
【0033】
図1において、画素アレイ部30のm行n列の画素配列に対して、列方向に沿って信号線311〜31n(以下、単に「信号線31」と記述する場合もある)が画素列毎に配線されている。また、行方向に沿って制御線321〜32m(以下、単に「制御線32」と記述する場合もある)が画素行毎に配線されている。ここで、列方向とは画素列の画素の配列方向(即ち、垂直方向)を言い、行方向とは画素行の画素の配列方向(即ち、水平方向)を言う。
【0034】
信号線311〜31nの各一端は、信号線駆動部40の列に対応した各出力端に接続されている。信号線駆動部40は、任意の階調を反映した信号電位(アナログ表示モードではアナログ電位Vsig、メモリ表示モードでは2値電位VXCS)を、対応する信号線31に対して出力するように動作する。また、信号線駆動部40は、例えばメモリ表示モードの場合でも、画素20内に保持する信号電位の論理レベルを入れ替える場合、必要な階調を反映した信号電位を対応する信号線31に対して出力するように動作する。
【0035】
図1では、制御線321〜32mについて、1本の配線として示しているが、1本に限られるものではない。実際には、制御線321〜32mは複数本の配線からなる。この制御線321〜32mの各一端は、制御線駆動部50の行に対応した各出力端に接続されている。制御線駆動部50は、例えばアナログ表示モードの場合、信号線駆動部40から信号線311〜31nに出力された、階調を反映した信号電位の画素20に対する書き込み動作の制御を行う。
【0036】
ここで、本適用例に係る液晶表示装置10は、画素20に内蔵するメモリとしてDRAMを用いる。DRAMは、SRAMに比べて構造が簡単であることが知られている。しかし、DRAMは、データ保持のためにメモリをリフレッシュする必要がある。そこで、制御線駆動部50は、画素20内に保持する信号電位のリフレッシュ動作と再書き込み動作のための制御を行う(その詳細については後述する)。
【0037】
駆動タイミング発生部(TG;タイミングジェネレータ)60は、信号線駆動部40及び制御線駆動部50に対して、これら駆動部40,50を駆動するための各種の駆動パルス(タイミング信号)を供給する。
【0038】
[1−2.パネル断面構造]
図2は、液晶表示パネル(液晶表示装置)の断面構造の一例を示す断面図である。図2に示すように、液晶表示パネル10Aは、所定の間隔をもって対向して設けられた2枚のガラス基板11,12と、これらガラス基板11,12間に封入された液晶層13とを有する構成となっている。
【0039】
一方のガラス基板11の外側表面には偏光板14が設けられ、内側表面には配向膜15が設けられている。他方のガラス基板12についても同様に、外側表面には偏光板16が設けられ、内側表面には配向膜17が設けられている。配向膜15,17は、液晶層13の液晶分子群を一定方向に配列させるための膜である。この配向膜15,17としは、一般的に、ポリイミド膜が使用される。
【0040】
また、他方のガラス基板12には、画素電極18及び対向電極19が透明導電膜によって形成されている。本構造例の場合、画素電極18は、櫛歯状に加工された例えば5本の電極枝18Aを有し、これら電極枝18Aの両端を連結部(図示せず)で連結した構造となっている。一方、対向電極19は、電極枝18Aよりも下側(ガラス基板12側)に画素アレイ部30の領域の全体を覆うように形成されている。
【0041】
この櫛歯状の画素電極18及び対向電極19による電極構造により、電極枝18Aと対向電極19との間には、図2に破線で示すように、放射線状の電界が発生する。これにより、画素電極18の上面側の領域に対しても、電界の影響を与えることができる。このため、画素アレイ部30の領域全体に亘って、液晶層13の液晶分子群を所望の配向方向に向けることができる。
【0042】
<2.実施形態に係る液晶表示装置の説明>
上記構成のアクティブマトリックス型液晶表示装置10において、本実施形態では、メモリを内蔵し、アナログ表示モードによる表示とメモリ表示モードによる表示の両方に対応可能な画素20の具体的な構成を特徴としている。図3に、本実施形態に係る画素20の回路構成例を示す。
【0043】
図3に示すように、本実施形態に係る画素20は、液晶容量21、容量素子22、インバータ回路23、及び、第1〜第4のスイッチ素子24〜27を有し、容量素子22をDRAMとして利用する構成となっている。一般的に、DRAMはSRAMに比べて構造が簡単であることが知られている。従って、内蔵するメモリとしてDRAMを用いることにより、画素構造の簡略化を図ることができるため、画素20の微細化を図る上でSRAMを用いる場合よりも有利となる。
【0044】
液晶容量21は、画素電極(図2の画素電極18に相当)と当該画素電極に対向して形成される対向電極(図2の対向電極19に相当)との間で画素単位で発生する容量を意味する。液晶容量21の対向電極には、コモン電位VCOMが全画素共通に与えられる。液晶容量21の画素電極は、容量素子22の一方の電極と電気的に共通に接続されている。
【0045】
容量素子22は、信号線31(311〜31n)から後述する書き込み動作によって書き込まれる、階調を反映した信号電位(アナログ電位Vsigまたは2値電位VXCS)を保持する。以降、容量素子22を保持容量22と記述することとする。保持容量22の他方の電極には、当該保持容量22が保持する信号電位の基準となる電位(以下、「CS電位」と記述する)VCSが与えられる。CS電位VCSは、コモン電位VCOMとほぼ同電位に設定される。保持容量22は、メモリ表示モードではDRAMとして用いられる。
【0046】
第1のスイッチ素子24は、一端が信号線31に接続され、当該信号線31を介して与えられる、階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を保持容量22に書き込む第1の動作モードでオン(閉)状態となる。すなわち、第1のスイッチ素子24は、第1の動作モードでオン状態となることによって信号電位(Vsig/VXCS)を画素20内に書き込む(取り込む)。
【0047】
第1のスイッチ素子24は、保持容量22に保持されている電位(以下、「保持電位」と記述する)を読み出した後、当該保持電位の極性をインバータ回路23で反転し、その反転電位を保持容量22に再度書き込む第2の動作モードではオフ(開)状態になる。第1のスイッチ素子24のオン/オフ制御は、制御信号GATE1によって行われる。
【0048】
第2のスイッチ素子25は、一端が第1のスイッチ素子24の他端に接続され、他端が保持容量22の一方の電極及び液晶容量21の画素電極に接続されている。そして、第2のスイッチ素子25は、第1の動作モード、第2の動作モードにおける保持容量22からの保持電位の読み出し期間、及び、保持容量22への反転電位の再書き込み期間にオン(閉)状態となり、それ以外の期間ではオフ(開)状態になる。第2のスイッチ素子25のオン/オフ制御は、制御信号GATE2によって行われる。
【0049】
第3のスイッチ素子26は、一端が第1のスイッチ素子24の他端(第2のスイッチ素子25の一端)に接続され、第1の動作モードではオフ(開)状態となる。また、第3のスイッチ素子26は、第2の動作モードにおける読み出し期間にオン(閉)状態となることで、保持容量22から保持電位を第2のスイッチ素子25を通じて読み出し、インバータ回路23の入力端に与える。第3のスイッチ素子26のオン/オフ制御は、制御信号SR1によって行われる。
【0050】
インバータ回路23は、入力端が第3のスイッチ素子26の他端に接続され、第2の動作モードにおける読み出し期間に第2,第3のスイッチ素子25,26を通じて保持容量22から読み出された保持電位の極性を反転する、即ち、論理を反転する。
【0051】
第4のスイッチ素子27は、一端が第1のスイッチ素子24の他端(第2のスイッチ素子25の一端)に接続され、他端がインバータ回路23の出力端に接続され、第1の動作モードではオフ(開)状態となる。また、第4のスイッチ素子27は、第2の動作モードにおける再書き込み期間にオン(閉)状態となってインバータ回路23で極性反転された反転電位を第2のスイッチ素子25を通じて保持容量22に書き込む(再書き込み)。第4のスイッチ素子27のオン/オフ制御は、制御信号SR2によって行われる。
【0052】
スイッチ素子24〜27のオン/オフ制御を行うための制御信号GATE1、制御信号GATE2、制御信号SR1、及び、制御信号SR2は、図1の駆動タイミング発生部60によるタイミング制御の下に、制御線駆動部50から与えられる。
【0053】
上記構成の本実施形態に係る液晶表示装置10において、第1の動作モードでは、第3のスイッチ素子26及び第4のスイッチ素子27がオフ状態にある。従って、第1のスイッチ素子24及び第2のスイッチ素子25がオン状態になることで、これら第1,第2のスイッチ素子24,25を通じて信号線31から、階調を反映した信号電位(アナログ電位Vsigまたは2値電位VXCS)が保持容量22に書き込まれる。すなわち、第1の動作モードは、階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を信号線31から保持容量22に書き込む動作モードである。
【0054】
一方、第2の動作モードでは、第1のスイッチ素子24がオフ状態になる。この状態において、第2のスイッチ素子25及び第3のスイッチ素子26がオン状態になる一方、第4のスイッチ素子27がオフ状態を維持する。このとき、保持容量22の保持電位が第2のスイッチ素子25及び第3のスイッチ素子26を通じて読み出され、インバータ回路23の入力端に与えられる。
【0055】
インバータ回路23は、保持容量22の保持電位の極性を反転し、その反転電位を出力する。その後、第3のスイッチ素子26がオフ状態となり、第4のスイッチ素子27がオン状態になる。そして、第4のスイッチ素子27は、インバータ回路23の反転電位を第2のスイッチ素子25を通じて保持容量22に書き込む(再書き込み動作)。すなわち、第2の動作モードは、保持容量22の保持電位を読み出し、インバータ回路23で極性反転(論理反転)して保持容量22に再度書き込む動作モードである。
【0056】
この第2の動作モードにおける一連の動作、即ち、保持容量22から保持電位を読み出す読み出し動作、及び、当該保持電位の極性を反転した反転電位を保持容量22に再度書き込む再書き込み動作により、所謂、リフレッシュ動作が実行される。このリフレッシュ動作は、第1のスイッチ素子24の作用によって、画素20を信号線31から切り離した状態で行われる。従って、リフレッシュ動作時に、大きな負荷容量を有する信号線31に対する充放電が行われることはない。
【0057】
すなわち、上記の画素構成によれば、リフレッシュ動作時に大きな負荷容量を有する信号線31の充放電が不要であるため、リフレッシュ動作に伴う消費電力を低く抑えることができる。また、リフレッシュ動作の際に、インバータ回路23の作用により、第2の動作モードの繰り返し周期(例えば、1フレーム周期)で、保持容量22に保持される電位の極性の反転動作が繰り返される。その結果、1フレーム周期で液晶に対する印加電圧の極性が反転駆動される液晶表示装置において、メモリ表示モードでは、画素電極と対向電極との間の電位関係を適切な状態に維持し続けることができる。
【0058】
上述したように、階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を保持する保持容量22をDRAMとして利用し、アナログ表示モードによる表示とメモリ表示モードによる表示の両方に対応可能な液晶表示装置10において、本実施形態では次の構成を採ることを主な特徴としている。
【0059】
具体的には、画素20に対して、第4のスイッチ素子27による反転電位の書き込み後の一定期間、信号線31から第1のスイッチ素子24及び第3のスイッチ素子26を通じてインバータ回路23の入力端に電源電位を与える駆動を行う構成を採る。このときの駆動は、第1,第3のスイッチ素子24,26のオン/オフ制御を行うための制御信号GATE1及び制御信号SR1を発生する制御線駆動部50によって行われる。すなわち、制御線駆動部50は、上記の駆動を行う駆動部となる。
【0060】
また、信号線31から電源電位を与えるに当たって、図1の信号線駆動部40は、階調を反映した信号電位(アナログ電位Vsig/2値電位VXCS)の他に、当該電源電位を信号線31に対して適宜出力するように動作する。
【0061】
ここで言う「電源電位」とは、基本的に、正側の電源電位VDDや負側の電源電位VSSである。負側の電源電位VSSには、当然のことながら、接地(グランド)電位も含まれる。また、「電源電位」の概念には、電源電位VDDや電源電位VSS(接地電位)と厳密に一致する場合の他、インバータ回路の入力として与えることで以下に記述する貫通電流が流れないような電位であればよい。そして、種々の要因に起因する、例えば±0.3V程度の若干のばらつきの存在も勿論含まれるものとする。
【0062】
更に、液晶容量21の対向電極に印加されるコモン電位VCOMや、保持容量22の他方の電極に印加されるCS電位VCSは、一般的に、電源電位VDDに設定される。従って、コモン電位VCOMやCS電位VCS、更には、それらの反転電位XVCOM,XVCSも、「電源電位」の概念に含まれるものとする。
【0063】
ところで、インバータ回路23の反転動作後は、第3のスイッチ素子26がオフ状態にあり、インバータ回路23の入力端がフローティング状態にあるために、インバータ回路23の入力電位が不確定な状態となる。そして、インバータ回路23の入力電位が不確定状態にあると、当該入力電位がインバータ回路23の入力段の閾値を越える場合が生じ、その結果、インバータ回路23に貫通電流が流れるため消費電力の増大を招く。
【0064】
これに対して、第4のスイッチ素子27による反転電位の書き込み後の一定期間、信号線31から第1,第3のスイッチ素子24,26を通じてインバータ回路23の入力端に電源電位を与えることで、当該インバータ回路23の入力電位が電源電位に確定される。これにより、入力電位がインバータ回路23の入力段の閾値を超えるような状態になることはなくなる。その結果、インバータ回路23に貫通電流が流れることはなくなるため、消費電力をより低く抑えることができる。
【0065】
ここで、インバータ回路23の入力段が例えばPchMOSトランジスタからなる場合は、電源電位として、正側の電源電位VDD、コモン電位VCOM、あるいは、CS電位VCSをインバータ回路23の入力端に与えるようにすればよい。また、インバータ回路23の入力段が例えばNchMOSトランジスタからなる場合は、電源電位として、負側の電源電位VSS、コモン電位VCOMの反転電位XVCOM、あるいは、CS電位VCSの反転電位XVCSをインバータ回路23の入力端に与えるようにすればよい。いずれの場合にも、入力段のMOSトランジスタを確実に非導通状態にすることができるために、インバータ回路23に貫通電流が流れないようにすることができる。
【0066】
また、インバータ回路23の入力段が例えばCMOSインバータからなる場合は、電源電位として、正側の電源電位VDD,VCOM,VCSを与えるようにしてもよいし、負側の電源電位VSS,XVCOM,XVCSを与えるようにしてもよい。正側の電源電位VDD,VCOM,VCSを与えることで、CMOSインバータのPchMOSトランジスタが確実に非導通状態になり、負側の電源電位VSS,XVCOM,XVCSを与えることで、CMOSインバータのNchMOSトランジスタが確実に非導通状態になる。すなわち、正側、負側のいずれの電源電位を与えるようにしても、インバータ回路23に貫通電流が流れないようにすることができる。
【0067】
また、インバータ回路23の入力段が例えばCMOSインバータからなる場合には、必ずしも電源電位を与えなくても、CMOSインバータを構成する一方のトランジスタを確実に非導通状態にする電位を与えるようにすることで、所期の目的を達成できる。すなわち、インバータ回路23の正側の電源電位をVDD、PchMOSトランジスタの閾値電圧をVthpとするとき、(VDD−Vthp)以上の電位を与えることで、PchMOSトランジスタを確実に非導通状態にできる。または、負側の電源電位をVSSとし、NchMOSトランジスタの閾値電圧をVthnとするとき、(VSS+Vthn)以下の電位を与えることで、NchMOSトランジスタを確実に非導通状態にできる。従って、インバータ回路23の入力電位を、(VDD−Vthp)以上の電位、または、(VSS+Vthn)以下の電位に確定することで、インバータ回路23に貫通電流が流れないようにすることができる。
【0068】
尚、インバータ回路23については、画素20毎に1対1の対応関係をもって設ける構成を採ることも可能であるし、1つのインバータ回路23を複数の画素20に対して共通に設ける(共有する)構成を採ることも可能である。以下に、保持容量22をDRAMとして利用する画素20の具体的な実施例について説明する。
【0069】
[2−1.実施例1]
図4は、実施例1に係る画素の回路構成を示す回路図であり、図中、図3と同等部位には同一符号を付して示している。本実施例1に係る画素20は、インバータ回路23を画素毎に1対1の対応関係をもって設ける回路構成例となっている。
【0070】
(回路構成)
本実施例1に係る画素20においては、第1〜第4のスイッチ素子24〜27として、例えば薄膜トランジスタを用いている。以下、第1〜第4のスイッチ素子24〜27を、第1〜第4のスイッチングトランジスタ24〜27と記述することとする。ここでは、第1〜第4のスイッチングトランジスタ24〜27としてNchMOSトランジスタを用いているが、PchMOSトランジスタを用いることも可能である。
【0071】
第1〜第4のスイッチングトランジスタ24〜27は、各ゲート電極に与えられる制御信号GATE1、制御信号GATE2、制御信号SR1、及び、制御信号SR2によって導通/非導通の制御が行われる。これら制御信号GATE1、制御信号GATE2、制御信号SR1、及び、制御信号SR2は、図1の駆動タイミング発生部60によるタイミング制御の下に、制御線駆動部50から与えられる。
【0072】
第1のスイッチングトランジスタ24は、一方の主電極(ドレイン電極/ソース電極)が信号線31に接続されている。そして、第1のスイッチングトランジスタ24は、制御信号GATE1による制御の下に、階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を信号線31から画素20内に書き込む(取り込む)ときに導通状態となる。
【0073】
第2のスイッチングトランジスタ25は、一方の主電極が液晶容量21の画素電極及び保持容量22の一方の電極に共通に接続され、他方の主電極が第1のスイッチングトランジスタ24の他方の主電極に接続されている。そして、第2のスイッチングトランジスタ25は、制御信号GATE2による制御の下に、階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を信号線31から保持容量22に書き込むときに導通状態となる。
【0074】
第3のスイッチングトランジスタ26は、一方の主電極が第1のスイッチングトランジスタ24の他方の主電極(第2のスイッチングトランジスタ25の他方の主電極)に接続され、他方の主電極がインバータ回路23の入力端に接続されている。そして、第3のスイッチングトランジスタ26は、制御信号SR1による制御の下に、信号線31から階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を画素20内に書き込むときに非導通状態となる。
【0075】
第3のスイッチングトランジスタ26は更に、制御信号SR1による制御の下に、メモリ表示モードにおけるリフレッシュ動作の実行時に、各フレームの終了直前の一定期間において導通状態となる。因みに、第3のスイッチングトランジスタ26が導通状態にあるときに、DRAMとして機能する保持容量22の保持電位が、第2のスイッチングトランジスタ25及び第3のスイッチングトランジスタ26を通してインバータ回路23の入力端に読み出される。
【0076】
第4のスイッチングトランジスタ27は、一方の主電極が第1のスイッチングトランジスタ24の他方の主電極(第2のスイッチングトランジスタ25の他方の主電極)に接続され、他方の主電極がインバータ回路23の出力端に接続されている。そして、第4のスイッチングトランジスタ27は、制御信号SR2による制御の下に、階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を信号線31から画素20内に書き込むときに非導通状態となる。
【0077】
第4のスイッチングトランジスタ27は更に、制御信号SR2による制御の下に、メモリ表示モードにおけるリフレッシュ動作の実行時に、各フレームの開始直後の一定期間において導通状態となる。因みに、第4のスイッチングトランジスタ27が導通状態にあるときに、インバータ回路23で極性が反転(論理が反転)された、階調を反映した信号電位が、第4のスイッチングトランジスタ27及び第2のスイッチングトランジスタ25を通して保持容量22に書き込まれる。
【0078】
インバータ回路23は、例えば、CMOSインバータによって構成されている。具体的には、インバータ回路23は、電源電位VDDの電源ラインと電源電位VSSの電源ラインとの間に直列に接続されたPchMOSトランジスタ231及びNchMOSトランジスタ232によって構成されている。
【0079】
PchMOSトランジスタ231及びNchMOSトランジスタ232の各ゲート電極は共通に接続されてインバータ回路23の入力端となっている。この入力端は、第3のスイッチングトランジスタ26の他方の主電極に接続されている。また、PchMOSトランジスタ231及びNchMOSトランジスタ232の各ドレイン電極は共通に接続されてインバータ回路23の出力端となっている。この出力端は、第4のスイッチングトランジスタ27の他方の主電極に接続されている。
【0080】
(回路動作)
続いて、上記構成の実施例1に係る画素20の回路動作について、表示モード別に説明する。
【0081】
(1)アナログ表示モード
図5は、実施例1に係る画素20のアナログ表示モードの動作説明に供するタイミング波形図である。図5には、(A)信号線31の電位(即ち、階調を反映した信号電位)、(B)制御信号GATE1/GATE2、及び、(C)制御信号SR1/SR2の各波形を示している。
【0082】
本例の場合、液晶容量21の画素電極と対向電極との間に印加される電圧の極性が1水平期間(1H/1ライン)の周期で反転駆動される、即ち、ライン反転駆動される。周知の通り、液晶表示装置では、液晶に同極性の直流電圧が印加され続けることによって液晶の比抵抗(物質固有の抵抗値)等が劣化するのを防ぐために、コモン電位VCOMを中心にある周期にて液晶に対する印加電圧の極性を反転する交流駆動が行われる。
【0083】
この交流駆動として、本例ではライン反転駆動が行われる。このライン反転駆動を実現するために、信号線31の電位である、階調を反映した信号電位の極性は、図5(A)に示すように、1H周期で反転する。図5(A)の波形において、High側電位はVDD1であり、Low側電位はVSS1である。また、図5(A)には、最大振幅VDD1−VSS1の場合の例を示している。実際には、信号線31の電位は、階調に応じてVDD1−VSS1の範囲内のいずれかの電位レベルをとる。
【0084】
制御信号GATE1/GATE2の波形を示す図5(B)において、High側電位はVDD2であり、Low側電位はVSS2である。制御信号GATE1/GATE2は、信号線31から保持容量22に対して、階調を反映した信号電位を書き込む書き込み期間においてHigh側電位VDD2になる。
【0085】
制御信号SR1/SR2の波形を示す図5(C)においても、High側電位はVDD2であり、Low側電位はVSS2である。制御信号SR1/SR2は、アナログ表示モードでは常にLow側電位はVSS2の状態にある。
【0086】
図6に、アナログ表示モードにおいて、階調を反映した信号電位を信号線31から書き込む際の画素20内の状態を示す。図6では、理解を容易にするために、第1〜第4のスイッチングトランジスタ24〜27をスイッチのシンボルを用いて表している。
【0087】
階調を反映した信号電位の書き込み期間では、第1,第2のスイッチングトランジスタ24,25が共に導通状態(スイッチ閉状態)となる。一方、第3,第4のスイッチングトランジスタ26,27は共に全期間に亘って非導通状態(スイッチ開状態)となって、液晶容量21の画素電極や保持容量22側とインバータ回路23側とを電気的に完全に分離する。これにより、図6に一点鎖線の矢印で示すように、階調を反映した信号電位が、第1のスイッチングトランジスタ24及び第2のスイッチングトランジスタ25を通して保持容量22に書き込まれる。
【0088】
(2)メモリ表示モード
メモリ表示モードでは、階調を反映した信号電位を信号線31から保持容量22に書き込む書き込み動作と、保持容量22の保持電位をリフレッシュするリフレッシュ動作とが行われる。このうち、書き込み動作は、表示内容を変更する場合等に実行される動作である。なお、信号線31から階調を反映した信号電位を保持容量22に書き込む動作については、アナログ表示モードの場合と同じであるので、ここではその説明については省略する。
【0089】
図7は、実施例1に係る画素20のメモリ表示モードにおけるリフレッシュ動作の動作説明に供するタイミング波形図であり、1フレーム(1F)単位での駆動動作の関係を示している。図7には、(A)制御信号GATE2、(B)制御信号SR1/SR2、(C)CS電位VCS、及び、(D)保持容量22に書き込む信号電位PIXの各波形を示している。
【0090】
図7のタイミング波形図から明らかなように、制御信号GATE2及び制御信号SR1/SR2は、1フレーム周期でHigh側電位がパルス状に発生する。CS電位VCSは、1フレーム周期で交互にHigh側電位とLow側電位になる。保持容量22に書き込む信号電位PIXは、交流駆動を実現するために1フレーム周期で極性が反転する。
【0091】
尚、メモリ表示モードでは、制御信号GATE1は常にLow側電位の状態にある。これにより、第1のスイッチングトランジスタ24は非導通状態(スイッチ開状態)となって画素20を信号線31から電気的に切り離す。
【0092】
次に、1フレーム内での動作の詳細について説明する。図8は、ある走査線についてのメモリ表示モードにおける動作の説明に供するタイミング波形図である。図8には、図7のフレームの境界部分における、(A)信号線31の電位、(B)制御信号GATE1、(C)制御信号GATE2、(D)制御信号SR1、及び、(E)制御信号SR2の各波形を拡大した状態で表している。
【0093】
図8には更に、保持容量22に保持されている電位(保持電位)PIX、インバータ回路23の入力電位INVin、及び、出力電位INVoutの各波形についても拡大した状態で表している。尚、図8では、現フレームをフレームNで表し、次フレームをフレームN+1で表している。また、本例では、制御信号GATE1、制御信号GATE2、制御信号SR1、及び、制御信号SR2のパルス幅については、例えば1Hを単位としている。
【0094】
第2のスイッチングトランジスタ25の導通/非導通の制御を行う制御信号GATE2は、現フレームNの終了直前(本例では、2H前)から次フレームN+1の開始直後(本例では、2H後)までの一定期間(本例では、4H期間)High側電位VDD2となる。第3のスイッチングトランジスタ26の導通/非導通の制御を行う制御信号SR1は、各フレームの終了直前(本例では、2H前)に一定期間(本例では、1H期間)だけHigh側電位VDD2となる。第4のスイッチングトランジスタ27の導通/非導通の制御を行う制御信号SR2は、各フレームの開始直後(本例では、1H後)に一定期間(本例では、2H期間)だけHigh側電位VDD2となる。
【0095】
制御信号GATE2がHigh側電位VDD2となることによって第2のスイッチングトランジスタ25が導通状態になるフレームの境界部分において、先ず、制御信号SR1がHigh側電位VDD2となることによって第3のスイッチングトランジスタ26が導通状態になる。これにより、保持容量22の保持電位PIXが第2,第3のスイッチングトランジスタ25,26を通して読み出され、インバータ回路23にその入力電位INVinとして与えられる。
【0096】
インバータ回路23は、保持容量22から読み出された保持電位PIXの極性(論理)を反転する。このインバータ回路23の作用により、High側電位VDD1の入力電位INVinが、Low側電位VSS1の出力電位INVoutに極性反転される。入出力電位INVin,INVoutにおいて、High側電位VDD1は図4の正側の電源電位VDDに相当し、Low側電位VSS1は負側の電源電位VSSに相当する。
【0097】
ここで、第3のスイッチングトランジスタ26のゲート−ソース間には寄生容量が存在する。従って、制御信号SR1がHigh側電位VDD2からLow側電位VSS2に遷移するタイミングでは、当該寄生容量によるカップリングにより、インバータ回路23の入力電位INVinはHigh側電位VDD1から電位ΔVだけ降下(低下)する。
【0098】
次フレームN+1に入り、制御信号SR2がHigh側電位VDD2となることによって第4のスイッチングトランジスタ27が導通状態になる。これにより、インバータ回路23で極性反転(論理反転)された信号電位、即ち、インバータ回路23の出力電位INVoutが、第4,第2のスイッチングトランジスタ27,25を通して保持容量22に書き込まれる。その結果、保持容量22の保持電位PIXの極性が反転する。この一連の動作により、保持容量22の保持電位PIXの極性反転動作及びリフレッシュ動作が実行される。
【0099】
そして、リフレッシュ動作では、大きな負荷容量を有する信号線31の充放電は行われない。換言すれば、インバータ回路23及び第1〜第4のスイッチングトランジスタ24〜27の作用により、大きな負荷容量を有する信号線31に対する充放電を行わずに、保持容量22の保持電位PIXのリフレッシュ動作を行うことができる。
【0100】
上述した、保持容量22の保持電位PIXの極性反転動作及びリフレッシュ動作が、メモリ表示モードの間、1フレーム周期で繰り返して実行される。
【0101】
以上説明した実施例1に係る画素20によれば、アナログ表示モードにもメモリ表示モードにも対応可能な液晶表示装置を実現できる。しかも、メモリ表示モードにおいて、保持容量22をDRAMとして利用しているために、メモリとしてSRAMを用いる場合に比べて画素構造の簡略化を図ることができる。従って、メモリとしてSRAMを用いる場合に比べて画素20の微細化を図る上で有利となる。
【0102】
また、メモリ表示モードにおいては、画素20と信号線31とを基本的に電気的に接続する必要がない。すなわち、大きな負荷容量を有する信号線31を充放電しなくても、DRAMとして動作させる保持容量22の保持電位をリフレッシュできる。従って、メモリ表示モードにおける消費電力を更に少なく抑えることができる。
【0103】
ところで、インバータ回路23の極性反転動作後は、第3のスイッチングトランジスタ26が非導通状態にあるために、インバータ回路23の入力端がフローティング状態にある。このフローティング状態においては、容量カップリングによってVDD1(=VDD)−ΔVの電位に低下していたインバータ回路23の入力電位INVinが不確定な状態となり、リーク電流等によって低下する場合がある。
【0104】
そして、入力電位INVinがインバータ回路23を構成するPchMOSトランジスタ231の閾値電圧Vthpを超えると、即ち、VDD1(=VDD)−Vthpよりも低くなると、PchMOSトランジスタ231が導通状態になる。このとき、NchMOSトランジスタ232が導通状態にあることから、インバータ回路23にはMOSトランジスタ231,232を通して貫通電流が流れる。インバータ回路23に貫通電流が流れると、画素20個々の消費電力、ひいては、液晶表示装置10全体の消費電力の増大を招く。
【0105】
そこで、本実施例1に係る画素20においては、インバータ回路23に貫通電流が流れないようにするために、第4のスイッチ素子27による反転電位の書き込み後一定期間インバータ回路23の入力電位INVinを電源電位に確定する。具体的には、図8に示すように、制御信号SR2のHigh側電位VDD2からLow側電位VSS2への遷移タイミングから一定期間(本例では、1H)経過後に、一定期間(本例では、1H)だけ制御信号GATE1,SR1をLow側電位VSS2からHigh側電位VDD2に遷移させる。
【0106】
このとき、図1に示す信号線駆動部40からは信号線31に対して、階調を反映した信号電位に代えて電源電位、例えば、Low側電位VSS1に相当する接地(GND)電位が出力されているものとする。そして、制御信号GATE1,SR1に応答して第1,第3のスイッチングトランジスタ24,26が導通状態になることで、これらスイッチングトランジスタ24,26を通して信号線31から接地(GND)電位がインバータ回路23の入力端に書き込まれる。
【0107】
これにより、極性反転動作後のインバータ回路23の入力電位INVinが電源電位、具体的には、接地(GND)電位に確定された状態となる。入力電位INVinが接地電位に確定された状態では、PchMOSトランジスタ231が導通状態にあっても、NchMOSトランジスタ232が確実に非導通状態になるため、インバータ回路23に貫通電流が流れることはない。これにより、画素20個々の消費電力、ひいては、液晶表示装置10全体の消費電力を低く抑えることができる。
【0108】
特に、インバータ回路23の入力電位INVinを確定する電源電位として負側(Low側)の電源電位VSS1、本例では接地(GND)電位を用いることで、特有の作用効果を得ることができる。すなわち、制御信号SR1がHigh側電位VDD2からLow側電位VSS2に遷移するタイミングでは、第3のスイッチングトランジスタ26のゲート−ソース間に存在する寄生容量によるカップリングによりインバータ回路23の入力電位INVinは、接地電位から更に電位ΔVだけ降下する。
【0109】
これにより、NchMOSトランジスタ232をより確実に非導通状態にすることができるため、インバータ回路23に対する貫通電流の阻止をより確実に行えることになる。特に、次フレームの確定動作までの1フレーム期間に、リーク電流が多少流れることで入力電位INVinが上昇したとしても、接地電位−ΔVからの上昇となるため、接地電位からの上昇の場合に比べて、NchMOSトランジスタ232非導通状態を維持することができる。
【0110】
尚、インバータ回路23の入力電位INVinを確定する電源電位として負側の電源電位VSS1に代えて正側の電源電位VDD1を、信号線31からインバータ回路23の入力端に書き込むようにしてもよい。インバータ回路23の入力電位INVinを正側の電源電位VDD1に確定することで、NchMOSトランジスタ232が導通状態にあっても、PchMOSトランジスタ231を確実に非導通状態にすることができるため、インバータ回路23に貫通電流が流れることはない。
【0111】
ところで、本実施例1に係る画素20では、保持容量22をDRAMとして利用する構成を採ることで、信号線31から保持容量22に至る書き込み経路を、第1,第2のスイッチングトランジスタ24,25からなるダブルトランジスタ構造となっている。このダブルトランジスタ構造によれば、一方のスイッチングトランジスタ24/25に規定値を超えるリーク電流が流れたとしても、他方のスイッチングトランジスタ25/24で当該規定値を超えるリーク電流が流れるのを阻止することができる。従って、リーク電流を規定値内に抑えた液晶表示パネル10Aを得ることができる。
【0112】
一方で、インバータ回路23の入力電位INVinを電源電位に確定するには、一般的には、第1のスイッチングトランジスタ24を常時導通状態にして、信号線31から電源電位をインバータ回路23の入力端に与える手法が考えられる。しかしながら、保持容量22をDRAMとして利用する画素20であって、ダブルトランジスタ構造を採る場合は、第1のスイッチングトランジスタ24を常時導通状態にすることは、上述したリーク電流の観点からは好ましくない。従って、ダブルトランジスタ構造を採る本実施例1に係る画素20にあっては、上述したように、1フレーム期間における一定期間だけ第1のスイッチングトランジスタ24を導通状態にして、信号線31から電源電位をインバータ回路23の入力端に与える手法が有効となる。
【0113】
[2−2.実施例2]
図9は、実施例2に係る画素の回路構成を示す回路図であり、図中、図4と同等部位には同一符号を付して示している。本実施例2に係る画素20は、カラー表示対応の画素であり、例えば、R,G,Bの3つの副画素20R,20G,20Bにより1つの画素を構成している。そして、1つのインバータ回路23を3つの副画素20R,20G,20Bで共有する構成を採っている。
【0114】
(回路構成)
本実施例2に係る副画素20R,20G,20Bでも、実施例1に係る画素20の場合と同様に、第1〜第4のスイッチ素子である第1〜第4のスイッチングトランジスタ24〜27として、例えば薄膜トランジスタを用いている。
【0115】
赤色(R)に対応する副画素20Rは、液晶容量21R及び保持容量22Rに加えて、第2のスイッチングトランジスタ25Rを有している。第2のスイッチングトランジスタ25Rは、一方の主電極が液晶容量21Rの画素電極及び保持容量22Rの一方の電極に共通に接続され、他方の主電極が第1のスイッチングトランジスタ24の他方の主電極に接続されている。そして、第2のスイッチングトランジスタ25Rは、赤色に対応する制御信号GATE2Rによる制御の下に、階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を保持容量22Rに書き込むときに導通状態となる。
【0116】
同様に、緑色(G)に対応する副画素20Gは、液晶容量21G及び保持容量22Gに加えて、第2のスイッチングトランジスタ25Gを有している。第2のスイッチングトランジスタ25Gは、一方の主電極が液晶容量21Gの画素電極及び保持容量22Gの一方の電極に共通に接続され、他方の主電極が第1のスイッチングトランジスタ24の他方の主電極に接続されている。そして、第2のスイッチングトランジスタ25Gは、緑色に対応する制御信号GATE2Gによる制御の下に、階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を保持容量22Gに書き込むときに導通状態となる。
【0117】
同様に、青色(B)に対応する副画素20Bは、液晶容量21B及び保持容量22Bに加えて、第2のスイッチングトランジスタ25Bを有している。第2のスイッチングトランジスタ25Bは、一方の主電極が液晶容量21Bの画素電極及び保持容量22Bの一方の電極に共通に接続され、他方の主電極が第1のスイッチングトランジスタ24の他方の主電極に接続されている。そして、第2のスイッチングトランジスタ25Bは、青色に対応する制御信号GATE2Bによる制御の下に、階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を保持容量22Bに書き込むときに導通状態となる。
【0118】
これら副画素20R,20G,20Bに対して、インバータ回路23、第1のスイッチングトランジスタ24、及び、第3,第4のスイッチングトランジスタ26,27が共通に設けられている。インバータ回路23の回路構成、第1のスイッチングトランジスタ24、及び、第3,第4のスイッチングトランジスタ26,27の接続関係、並びに、それらの機能については、実施例1の場合と基本的に同じである。
【0119】
すなわち、第1のスイッチングトランジスタ24は、一方の主電極(ドレイン電極/ソース電極)が信号線31に接続されている。そして、第1のスイッチングトランジスタ24は、制御信号GATE1による制御の下に、信号線31から階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を画素20内に書き込む(取り込む)ときに導通状態となる。
【0120】
第3のスイッチングトランジスタ26は、一方の主電極が第1のスイッチングトランジスタ24の他方の主電極(第2のスイッチングトランジスタ25R,25G,25Bの各他方の主電極)に接続され、他方の主電極がインバータ回路23の入力端に接続されている。そして、第3のスイッチングトランジスタ26は、制御信号SR1による制御の下に、信号線31から階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を画素20内に書き込むときに非導通状態となる。
【0121】
第3のスイッチングトランジスタ26は更に、制御信号SR1による制御の下に、メモリ表示モードにおけるリフレッシュ動作の実行時に、各フレームの終了直前の一定期間において導通状態となる。因みに、第3のスイッチングトランジスタ26が導通状態にあるときに、DRAMとして機能する保持容量22R,22G,22Bの各保持電位が、第2のスイッチングトランジスタ25R,25G,25B及び第3のスイッチングトランジスタ26を通してインバータ回路23の入力端に読み出される。
【0122】
第4のスイッチングトランジスタ27は、一方の主電極が第1のスイッチングトランジスタ24の他方の主電極(第2のスイッチングトランジスタ25R,25G,25Bの各他方の主電極)に接続され、他方の主電極がインバータ回路23の出力端に接続されている。そして、第4のスイッチングトランジスタ27は、制御信号SR2による制御の下に、信号線31から階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を画素20内に書き込むときに非導通状態となる。
【0123】
第4のスイッチングトランジスタ27は更に、制御信号SR2による制御の下に、メモリ表示モードにおけるリフレッシュ動作の実行時に、各フレームの開始直後の一定期間において導通状態となる。因みに、第4のスイッチングトランジスタ27が導通状態にあるときに、インバータ回路23で極性が反転(論理が反転)された、階調を反映した信号電位が、第4のスイッチングトランジスタ27及び第2のスイッチングトランジスタ25R,25G,25Bを通して保持容量22に書き込まれる。
【0124】
インバータ回路23は、例えば、CMOSインバータによって構成されている。具体的には、インバータ回路23は、電源電位VDDの電源ラインと電源電位VSSの電源ラインとの間に直列に接続されたPchMOSトランジスタ231及びNchMOSトランジスタ232によって構成されている。
【0125】
PchMOSトランジスタ231及びNchMOSトランジスタ232の各ゲート電極は共通に接続されてインバータ回路23の入力端となっている。この入力端は、第3のスイッチングトランジスタ26の他方の主電極に接続されている。また、PchMOSトランジスタ231及びNchMOSトランジスタ232の各ドレイン電極は共通に接続されてインバータ回路23の出力端となっている。この出力端は、第4のスイッチングトランジスタ27の他方の主電極に接続されている。
【0126】
(回路動作)
続いて、上記構成の実施例2に係る画素、即ち、副画素20R,20G,20Bの回路動作について、表示モード別に説明する。
【0127】
(1)アナログ表示モード
図10は、実施例2に係る副画素20R,20G,20Bのアナログ表示モードの動作説明に供するタイミング波形図である。図10には、(A)信号線31の電位、(B)制御信号GATE1、(C)赤色に対応した制御信号GATE2R、(D)緑色に対応した制御信号GATE2G、(E)青色に対応した制御信号GATE2B、及び、(F)制御信号SR1/SR2の各波形を示している。
【0128】
本例の場合、液晶容量21R,21G,21Bの画素電極と対向電極との間に印加される電圧の極性が1水平期間(1H/1ライン)の周期で反転駆動される、即ち、ライン反転駆動される(交流駆動)。このライン反転駆動を実現するために、信号線31の電位である、階調を反映した信号電位の極性は、図10(A)に示すように、1H周期で反転する。
【0129】
図10(A)に示す、階調を反映した信号電位の波形において、High側電位はVDD1であり、Low側電位はVSS1である。また、図10(A)には、最大振幅VDD1−VSS1の場合の例を示している。実際には、信号線31の電位は、階調に応じてVDD1−VSS1の範囲内のいずれかの電位レベルをとる。
【0130】
制御信号GATE1の波形を示す図10(B)において、High側電位はVDD2であり、Low側電位はVSS2である。制御信号GATE1は、信号線31から保持容量22R,22G,22Bに対して、階調を反映した信号電位を書き込む書き込み期間においてHigh側電位VDD2になる。
【0131】
制御信号GATE2R,GATE2G,GATE2Bの各波形を示す図10(C),(D),(E)においても、High側電位はVDD2であり、Low側電位はVSS2である。制御信号GATE2R,GATE2G,GATE2Bは、信号線31から保持容量22R,22G,22Bに対して、階調を反映した信号電位を書き込む書き込み期間、即ち、制御信号GATE1がHigh側電位VDD2になる期間において、例えばR→G→Bの順番でHigh側電位VDD2になる。
【0132】
尚、制御信号GATE2R,GATE2G,GATE2BがHigh側電位VDD2になる期間は互いに重複しないように設定されている。また、制御信号GATE2R,GATE2G,GATE2BがHigh側電位VDD2になる各期間には、各色に対応する、階調を反映した信号電位Vsigが、図1の信号線駆動部40から信号線31に対して出力されることになる。
【0133】
制御信号SR1/SR2の波形を示す図10(F)においても、High側電位はVDD2であり、Low側電位はVSS2である。制御信号SR1/SR2は、アナログ表示モードでは常にLow側電位はVSS2の状態にある。
【0134】
(2)メモリ表示モード
メモリ表示モードでは、信号線31から階調を反映した信号電位を保持容量22R,22G,22Bに書き込む書き込み動作と、保持容量22R,22G,22Bの保持電位をリフレッシュするリフレッシュ動作とが行われる。このうち、書き込み動作は、表示内容を変更する場合等に実行される動作である。なお、信号線31から階調を反映した信号電位を保持容量22R,22G,22Bに書き込む動作については、アナログ表示モードの場合と同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0135】
図11は、実施例2に係る副画素20R,20G,20Bのメモリ表示モードにおけるリフレッシュ動作の動作説明に供するタイミング波形図であり、1フレーム(1F)単位での駆動動作の関係を示している。図11には、(A)制御信号GATE2R、(B)制御信号GATE2G、(C)制御信号GATE2B、(D)制御信号SR1/SR2、及び、(E)CS電位VCSの各波形を示している。図11には更に、(F)保持容量22Rに書き込む信号電位PIXR、(G)保持容量22Gに書き込む信号電位PIXG、及び、(H)保持容量22Bに書き込む信号電位PIXBの各波形を示している。
【0136】
図11のタイミング波形図から明らかなように、制御信号GATE2R,GATE2G,GATE2Bは、3フレーム周期でHigh側電位がパルス状に発生する。制御信号SR1/SR2は、1フレーム周期でHigh側電位がパルス状に発生する。CS電位VCSは、1フレーム周期で交互にHigh側電位とLow側電位になる。
【0137】
また、図11(F),(G),(H)において、点線で示す波形がCS電位VCSの波形であり、実線で示す波形が階調を反映した信号電位PIXR,PIXG,PIXBの波形である。CS電位VCSの1フレーム周期での変化に伴って、階調を反映した信号電位PIXR,PIXG,PIXBも1フレーム周期で変化するが、CS電位VCSと信号電位PIXR,PIXG,PIXBとの電位関係は、3フレーム周期で変化する。
【0138】
すなわち、各色の保持容量22R,22G,22Bの保持電位PIXR,PIXG,PIXBに対する、極性反転動作及びリフレッシュ動作は3フレーム周期で実行される。勿論、前回の極性反転動作及びリフレッシュ動作から今回の極性反転動作及びリフレッシュ動作までは、副画素20R,20G,20Bにおける電位関係が維持される。従って、本例の場合、保持容量22R,22G,22Bには、リフレッシュレートが3フレーム周期になっても、階調を反映した信号電位PIXR,PIXG,PIXBを保持できるだけの容量が求められる。
【0139】
尚、メモリ表示モードでは、制御信号GATE1は常にLow側電位の状態にある。これにより、第1のスイッチングトランジスタ24は非導通状態(スイッチ開状態)となって副画素20R,20G,20Bの各々を信号線31から電気的に切り離す。
【0140】
次に、1フレーム内での動作の詳細について説明する。図12は、ある走査線についてのメモリ表示モードにおける動作の説明に供するタイミング波形図である。ここでは、一例として、緑色に対応した副画素20Gの場合を例に挙げて説明するが、他の色の副画素20R,20Bの場合についても、副画素20Gの場合と同じである。
【0141】
図12には、図11のフレームの境界部分における、(A)信号線31の電位、(B)制御信号GATE1、(C)Gに対応した制御信号GATE2G、(D)制御信号SR1、及び、(E)制御信号SR2の各波形を拡大した状態で表している。図12には更に、保持容量22Gに保持されている電位(保持電位)PIXG、インバータ回路23の入力電位INVin、及び、出力電位INVoutの各波形についても拡大した状態で表している。
【0142】
尚、図12では、現フレームをフレームNで表し、次フレームをフレームN+1で表している。また、本例では、制御信号GATE1、制御信号GATE2G、制御信号SR1、及び、制御信号SR2のパルス幅については、例えば1Hを単位としている。
【0143】
第2のスイッチングトランジスタ25Gの導通/非導通の制御を行う制御信号GATE2Gは、現フレームNの終了直前(本例では、2H前)から次フレームN+1の開始直後(本例では、2H後)までの一定期間(本例では、4H期間)High側電位VDD2となる。第3のスイッチングトランジスタ26の導通/非導通の制御を行う制御信号SR1は、各フレームの終了直前(本例では、2H前)に一定期間(本例では、1H期間)だけHigh側電位VDD2となる。第4のスイッチングトランジスタ27の導通/非導通の制御を行う制御信号SR2は、各フレームの開始直後(本例では、1H後)に一定期間(本例では、2H期間)だけHigh側電位VDD2となる。
【0144】
制御信号GATE2GがHigh側電位VDD2となることによって第2のスイッチングトランジスタ25Gが導通状態になるフレームの境界部分において、先ず、制御信号SR1がHigh側電位VDD2となることによって第3のスイッチングトランジスタ26が導通状態になる。これにより、保持容量22Gの保持電位PIXGが第2,第3のスイッチングトランジスタ25G,26を通して読み出され、インバータ回路23にその入力電位INVinとして与えられる。
【0145】
インバータ回路23は、保持容量22Gから読み出された保持電位PIXGの極性(論理)を反転する。このインバータ回路23の作用により、High側電位VDD1の入力電位INVinが、Low側電位VSS1の出力電位INVoutに極性反転される。入出力電位INVin,INVoutにおいて、High側電位VDD1は図9の正側の電源電位VDDに相当し、Low側電位VSS1は負側の電源電位VSSに相当する。
【0146】
ここで、第3のスイッチングトランジスタ26のゲート−ソース間には寄生容量が存在する。従って、制御信号SR1がHigh側電位VDD2からLow側電位VSS2に遷移するタイミングでは、当該寄生容量によるカップリングにより、インバータ回路23の入力電位INVinはHigh側電位VDD1から電位ΔVだけ降下(低下)する。
【0147】
次フレームN+1に入り、制御信号SR2がHigh側電位VDD2となることによって第4のスイッチングトランジスタ27が導通状態になる。これにより、インバータ回路23で極性反転(論理反転)された信号電位、即ち、インバータ回路23の出力電位INVoutが、第4,第2のスイッチングトランジスタ27,25Gを通して保持容量22Gに書き込まれる。その結果、保持容量22Gの保持電位PIXGの極性が反転する。この一連の動作により、保持容量22Gの保持電位PIXGの極性反転動作及びリフレッシュ動作が実行される。
【0148】
そして、実施例1の場合と同様に、リフレッシュ動作では、大きな負荷容量を有する信号線31の充放電は行われない。換言すれば、インバータ回路23及び第1〜第4のスイッチングトランジスタ24〜27の作用により、大きな負荷容量を有する信号線31に対する充放電を行わずに、保持容量22Gの保持電位PIXGのリフレッシュ動作を行うことができる。
【0149】
上述した保持容量22Gの保持電位PIXGの極性反転動作及びリフレッシュ動作が、メモリ表示モードの間、3フレーム周期で繰り返して実行される。ここでは、副画素20Gの場合を例に挙げて説明したが、以上の動作が、フレーム毎に、赤色表示に対応する副画素20R、緑色表示に対応する副画素20G、青色表示に対応する副画素20Bについて順番に実行される。但し、その順番は任意である。
【0150】
以上説明した実施例2に係る副画素20R,20G,20Bの場合にも、実施例1に係る画素20の場合と同様に、アナログ表示モードにもメモリ表示モードにも対応可能な液晶表示装置を実現できる。しかも、実施例2に係る副画素20R,20G,20Bの場合には、1つのインバータ回路23を3つの副画素20R,20G,20Bで共有する構成を採っているために、液晶表示パネル10Aを構成する回路素子数を削減できる。その結果、回路素子数を削減できる分だけ、液晶表示パネル10Aの歩留りを向上できる。
【0151】
また、実施例1の場合と同様に、インバータ回路23の極性反転動作後は、第3のスイッチングトランジスタ26が非導通状態にあり、インバータ回路23の入力端がフローティング状態にあるため、インバータ回路23の入力電位INVinが不確定な状態となる。そして、入力電位INVinがインバータ回路23を構成するPchMOSトランジスタ231の閾値電圧Vthpを超えると、即ち、VDD1(=VDD)−Vthpよりも低くなると、インバータ回路23に貫通電流が流れるために消費電力の増大を招く。
【0152】
そこで、実施例2に係る副画素20R,20G,20Bにおいても、実施例1の場合と同様に、インバータ回路23に貫通電流が流れないようにするために、第4のスイッチ素子27による反転電位の書き込み後一定期間インバータ回路23の入力電位INVinを電源電位に確定する。具体的には、図12に示すように、例えば制御信号SR2GのHigh側電位VDD2からLow側電位VSS2への遷移タイミングから一定期間(本例では、1H)経過後に、一定期間(本例では、1H)だけ制御信号GATE1,SR1をLow側電位VSS2からHigh側電位VDD2に遷移させる。
【0153】
このとき、図1に示す信号線駆動部40からは信号線31に対して、階調を反映した信号電位に代えて電源電位、例えば、Low側電位VSS1に相当する接地(GND)電位が出力されているものとする。そして、制御信号GATE1,SR1に応答して第1,第3のスイッチングトランジスタ24,26が導通状態になることで、これらスイッチングトランジスタ24,26を通して信号線31から接地(GND)電位がインバータ回路23の入力端に書き込まれる。
【0154】
これにより、極性反転動作後のインバータ回路23の入力電位INVinが電源電位、具体的には、接地(GND)電位に確定された状態となる。入力電位INVinが接地電位に確定された状態では、PchMOSトランジスタ231が導通状態にあっても、NchMOSトランジスタ232が確実に非導通状態になるため、インバータ回路23に貫通電流が流れることはない。これにより、画素20個々の消費電力、ひいては、液晶表示装置10全体の消費電力を低く抑えることができる。
【0155】
特に、インバータ回路23の入力電位INVinを確定する電源電位として負側(Low側)の電源電位VSS1、本例では接地(GND)電位を用いることで、特有の作用効果を得ることができる。すなわち、制御信号SR1がHigh側電位VDD2からLow側電位VSS2に遷移するタイミングでは、第3のスイッチングトランジスタ26のゲート−ソース間に存在する寄生容量によるカップリングによりインバータ回路23の入力電位INVinは、接地電位から更に電位ΔVだけ降下する。
【0156】
これにより、NchMOSトランジスタ232をより確実に非導通状態にすることができるため、インバータ回路23に対する貫通電流の阻止をより確実に行えることになる。特に、次フレームの確定動作までの1フレーム期間に、リーク電流が多少流れることで入力電位INVinが上昇したとしても、接地電位−ΔVからの上昇となるため、接地電位からの上昇の場合に比べて、NchMOSトランジスタ232非導通状態を維持することができる。
【0157】
尚、インバータ回路23の入力電位INVinを確定する電源電位として負側の電源電位VSS1に代えて正側の電源電位VDD1を、信号線31からインバータ回路23の入力端に書き込むようにしてもよい。インバータ回路23の入力電位INVinを正側の電源電位VDD1に確定することで、NchMOSトランジスタ232が導通状態にあっても、PchMOSトランジスタ231を確実に非導通状態にすることができるため、インバータ回路23に貫通電流が流れることはない。
【0158】
<3.変形例>
上記実施形態では、画素20毎に1対1の対応関係をもってインバータ回路23を設ける例(実施例1)、3つの副画素20R,20G,20Bに対して1つのインバータ回路23を共通に設ける例(実施例2)について説明したが、これらの実施例は一例に過ぎない。例えば、1つのインバータ回路23を4つ以上の画素(副画素)間で共有する構成を採ることも可能である。
【0159】
具体的には、カラー表示対応の液晶表示装置において、R,G,Bの副画素からなる単位画素について、例えば2つの単位画素間、即ち、6つの副画素間で1つのインバータ回路23を共有する構成等を採ることも可能である。1つのインバータ回路23を共有する画素(副画素)の数が多くなればなるほど、液晶表示パネル10Aを構成する回路素子数を削減でき、その分だけ液晶表示パネル10Aの歩留りを向上できる。
【0160】
なお、『インバータ回路』として、図13に示すようなラッチ回路を用いてもよい。図13は、変形例として実施例2において、インバータ回路としてラッチ回路を用いた場合の回路図であり、図中、図9と同等部位には同一符号を付して示している。
【0161】
本変形例に係る画素回路において、極性反転部24は、ラッチ回路244、第3のスイッチ素子242、及び、第4のスイッチ素子243を有する構成となっている。本変形例2でも、スイッチ素子であるスイッチングトランジスタ231,232R,232G,232B,242,243として、例えば薄膜トランジスタを用いている。また、スイッチングトランジスタ231,232R,232G,232B,242,243としてNchMOSトランジスタを用いているが、PchMOSトランジスタを用いることも可能である。
【0162】
(回路構成)
図13において、セレクタ部23の回路構成については、実施例2の場合と全く同じである。すなわち、第1のスイッチングトランジスタ231は、一方の主電極(ドレイン電極/ソース電極)が信号線31に接続されている。そして、第1のスイッチングトランジスタ231は、制御信号GATE1による制御の下に、階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を信号線31から画素20内に書き込む(取り込む)ときに導通状態となる。
【0163】
第2のスイッチングトランジスタ232Rは、一方の主電極が液晶容量21Rの画素電極及び保持容量22Rの一方の電極に共通に接続され、他方の主電極が第1のスイッチングトランジスタ231の他方の主電極に接続されている。そして、第2のスイッチングトランジスタ232Rは、赤色に対応する制御信号GATE2Rによる制御の下に、階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を保持容量22Rに書き込むときに導通状態となる。
【0164】
第2のスイッチングトランジスタ232Gは、一方の主電極が液晶容量21Gの画素電極及び保持容量22Gの一方の電極に共通に接続され、他方の主電極が第1のスイッチングトランジスタ231の他方の主電極に接続されている。そして、第2のスイッチングトランジスタ232Gは、緑色に対応する制御信号GATE2Gによる制御の下に、階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を保持容量22Gに書き込むときに導通状態となる。
【0165】
第2のスイッチングトランジスタ232Bは、一方の主電極が液晶容量21Bの画素電極及び保持容量22Bの一方の電極に共通に接続され、他方の主電極が第1のスイッチングトランジスタ231の他方の主電極に接続されている。そして、第2のスイッチングトランジスタ232Bは、青色に対応する制御信号GATE2Bによる制御の下に、階調を反映した信号電位(Vsig/VXCS)を保持容量22Bに書き込むときに導通状態となる。
【0166】
極性反転部24において、ラッチ回路244は、2つのCMOSインバータによって構成されている。具体的には、一方のCMOSインバータは、電源電位VDDの電源ラインと電源電位VSSの電源ラインとの間に直列に接続されたPchMOSトランジスタQp11及びNchMOSトランジスタQn11によって構成されている。他方のCMOSインバータも同様に、電源電位VDDの電源ラインと電源電位VSSの電源ラインとの間に直列に接続されたPchMOSトランジスタQp12及びNchMOSトランジスタQn12によって構成されている。
【0167】
PchMOSトランジスタQp11及びNchMOSトランジスタQn11の各ゲート電極は共通に接続されてラッチ回路244の入力端となっている。この入力端は、第3のスイッチングトランジスタ242の他方の主電極に接続されている。PchMOSトランジスタQp12及びNchMOSトランジスタQn12の各ゲート電極は共通に接続されてラッチ回路244の出力端となっている。この出力端は、第4のスイッチングトランジスタ243の他方の主電極に接続されている。
【0168】
また、PchMOSトランジスタQp11及びNchMOSトランジスタQn11の各ゲート電極は、制御トランジスタQn13を介して、PchMOSトランジスタQp12及びNchMOSトランジスタQn12の各ドレイン電極に接続されている。PchMOSトランジスタQp12及びNchMOSトランジスタQn12の各ゲート電極は直接、PchMOSトランジスタQp11及びNchMOSトランジスタQn11の各ドレイン電極に接続されている。
【0169】
制御トランジスタQn13は、制御信号SR3による制御の下に、メモリ表示モードにおけるリフレッシュ動作の実行の際に、ラッチ回路244を選択的に活性化状態にする。具体的には、制御トランジスタQn13が導通状態のときに、2つのCMOSインバータからなるラッチ回路244が活性化状態となる。ラッチ回路244は活性化状態になることで、保持容量22R,22G,22Bの保持電位についての極性反転動作及びリフレッシュ動作を行う。また、制御トランジスタQn13が非導通状態のときは、2つのCMOSインバータはそれぞれ独立した増幅回路として動作する。
【0170】
第3のスイッチングトランジスタ242は、一方の主電極が第1のスイッチングトランジスタ231の他方の主電極に接続され、他方の主電極がラッチ回路244の入力端(即ち、MOSトランジスタQp11,Qn11の各ゲート電極)に接続されている。そして、第3のスイッチングトランジスタ242は、制御信号SR1による制御の下に、信号線31から信号電位(Vsig/VXCS)を画素20内に書き込むときに非導通状態となる。
【0171】
<4.適用例>
以上説明した本発明による液晶表示装置は、電子機器に入力された映像信号、または、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。一例として、図14〜図18に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなどの表示装置に適用することが可能である。
【0172】
このように、あらゆる分野の電子機器の表示装置として本発明による液晶表示装置を用いることにより、各種の電子機器における表示装置の高精細化及び電子機器の消費電力の低減に寄与できる。すなわち、先述した実施形態の説明から明らかなように、本発明による液晶表示装置は、画素内の保持容量をDRAMに利用することで、SRAMを用いる場合に比べて画素構造を簡略化できるため、画素の微細化を図ることができる。しかも、インバータ回路に貫通電流が流れないようにすることができるため、液晶表示装置の消費電力を小さく抑えることができる。このような理由から、各種の電子機器における表示装置の高精細化及び電子機器の消費電力の低減に寄与できる。
【0173】
本発明による液晶表示装置は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。例えば、画素アレイ部を囲むようにシーリング部(図示せず)が設けられ、このシーリング部を接着剤として透明なガラス等の対向部が貼り付けられて形成された表示モジュールが該当する。この透明な対向部には、カラーフィルタ、保護膜等、更には、上記した遮光膜が設けられてもよい。尚、表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するための回路部やFPC(フレキシブルプリントサーキット)等が設けられていてもよい。
【0174】
以下に、本発明が適用される電子機器の具体例について説明する。
【0175】
図14は、本発明が適用されるテレビジョンセットの外観を示す斜視図である。本適用例に係るテレビジョンセットは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本発明による表示装置を用いることにより作製される。
【0176】
図15は、本発明が適用されるデジタルカメラの外観を示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本発明による表示装置を用いることにより作製される。
【0177】
図16は、本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本発明による表示装置を用いることにより作製される。
【0178】
図17は、本発明が適用されるビデオカメラの外観を示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本発明による表示装置を用いることにより作製される。
【0179】
図18は、本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す外観図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含んでいる。そして、ディスプレイ144やサブディスプレイ145として本発明による表示装置を用いることにより本適用例に係る携帯電話機が作製される。
【符号の説明】
【0180】
10…液晶表示装置、10A…液晶表示パネル、20…画素、20R,20G,20B…副画素、21,21R,21G,21B…液晶容量、22,22R,22G,22B…容量素子(保持容量)、23…インバータ回路、24〜27…第1〜第4のスイッチ素子(スイッチングトランジスタ)、30…画素アレイ部、31(311〜31n)…信号線、32(321〜32m)…制御線、40…信号線駆動部、50…制御線駆動部、60…駆動タイミング発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶容量、
一方の電極が前記液晶容量の画素電極に接続された容量素子、
一端が信号線に接続され、当該信号線を介して与えられる、階調を反映した信号電位を前記容量素子に書き込む第1の動作モードではオン状態となり、前記容量素子から保持電位を読み出した後当該保持電位の極性を反転して前記容量素子に再度書き込む第2の動作モードではオフ状態となる第1のスイッチ素子、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、他端が前記容量素子の一方の電極及び画素電極に接続され、前記第1の動作モード、前記第2の動作モードにおける前記容量素子からの保持電位の読み出し期間、及び、前記容量素子への反転電位の再書き込み期間にオン状態となる第2のスイッチ素子、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、前記第1の動作モードではオフ状態となり、前記第2の動作モードにおける前記読み出し期間にオン状態となって前記容量素子から保持電位を前記第2のスイッチ素子を通じて読み出す第3のスイッチ素子、
入力端が前記第3のスイッチ素子の他端に接続され、前記第2の動作モードにおける前記読み出し期間に前記第2のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子を通じて前記容量素子から読み出された保持電位の極性を反転するインバータ回路、
及び、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、他端が前記インバータ回路の出力端に接続され、前記第1の動作モードではオフ状態となり、前記第2の動作モードにおける前記再書き込み期間にオン状態となって前記インバータ回路で極性反転された反転電位を前記第2のスイッチ素子を通じて前記容量素子に書き込む第4のスイッチ素子
を含む画素が配置されてなる画素アレイ部と、
前記画素に対して、前記第4のスイッチ素子による反転電位の書き込み後の一定期間、前記信号線から前記第1のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子を通じて前記インバータ回路の入力端に電源電位を与える駆動を行う駆動部と
を備えた液晶表示装置。
【請求項2】
前記インバータ回路は、CMOSインバータからなる
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第3のスイッチ素子は、MOSトランジスタからなり、導通状態から非導通状態に遷移するとき、ゲート−ソース間に存在する寄生容量によるカップリングによって前記インバータ回路の入力電位を下げる
請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記インバータ回路は、画素毎に1つずつ設けられる
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記インバータ回路は、複数の画素に対して1つ共通に設けられる
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
液晶容量、
一方の電極が前記液晶容量の画素電極に接続された容量素子、
一端が信号線に接続され、当該信号線を介して与えられる、階調を反映した信号電位を前記容量素子に書き込む第1の動作モードではオン状態となり、前記容量素子から保持電位を読み出した後当該保持電位の極性を反転して前記容量素子に再度書き込む第2の動作モードではオフ状態となる第1のスイッチ素子、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、他端が前記容量素子の一方の電極及び画素電極に接続され、前記第1の動作モード、前記第2の動作モードにおける前記容量素子からの保持電位の読み出し期間、及び、前記容量素子への反転電位の再書き込み期間にオン状態となる第2のスイッチ素子、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、前記第1の動作モードではオフ状態となり、前記第2の動作モードにおける前記読み出し期間にオン状態となって前記容量素子から保持電位を前記第2のスイッチ素子を通じて読み出す第3のスイッチ素子、
CMOSインバータからなり、入力端が前記第3のスイッチ素子の他端に接続され、前記第2の動作モードにおける前記読み出し期間に前記第2のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子を通じて前記容量素子から読み出された保持電位の極性を反転するインバータ回路、
及び、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、他端が前記インバータ回路の出力端に接続され、前記第1の動作モードではオフ状態となり、前記第2の動作モードにおける前記再書き込み期間にオン状態となって前記インバータ回路で極性反転された反転電位を前記第2のスイッチ素子を通じて前記容量素子に書き込む第4のスイッチ素子
を含む画素が配置されてなる画素アレイ部と、
前記画素に対して、前記第4のスイッチ素子による反転電位の書き込み後の一定期間、前記信号線から前記第1のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子を通じて前記CMOSインバータの一方のMOSトランジスタを非導通状態にする電位を与える駆動を行う駆動部と
を備えた液晶表示装置。
【請求項7】
前記インバータ回路の正側の電源電位をVDD、負側の電源電位をVSS、前記CMOSインバータを構成するPchMOSトランジスタの閾値電圧をVthp、NchMOSトランジスタの閾値電圧をVthnとするとき、
前記一方のMOSトランジスタを非導通状態にする電位は、(VDD−Vthp)以上、または、(VSS+Vthn)以下の電位である
請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
液晶容量、
一方の電極が前記液晶容量の画素電極に接続された容量素子、
一端が信号線に接続され、当該信号線を介して与えられる、階調を反映した信号電位を前記容量素子に書き込む第1の動作モードではオン状態となり、前記容量素子から保持電位を読み出した後当該保持電位の極性を反転して前記容量素子に再度書き込む第2の動作モードではオフ状態となる第1のスイッチ素子、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、他端が前記容量素子の一方の電極及び画素電極に接続され、前記第1の動作モード、前記第2の動作モードにおける前記容量素子からの保持電位の読み出し期間、及び、前記容量素子への反転電位の再書き込み期間にオン状態となる第2のスイッチ素子、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、前記第1の動作モードではオフ状態となり、前記第2の動作モードにおける前記読み出し期間にオン状態となって前記容量素子から保持電位を前記第2のスイッチ素子を通じて読み出す第3のスイッチ素子、
入力端が前記第3のスイッチ素子の他端に接続され、前記第2の動作モードにおける前記読み出し期間に前記第2のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子を通じて前記容量素子から読み出された保持電位の極性を反転するインバータ回路、
及び、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、他端が前記インバータ回路の出力端に接続され、前記第1の動作モードではオフ状態となり、前記第2の動作モードにおける前記再書き込み期間にオン状態となって前記インバータ回路で極性反転された反転電位を前記第2のスイッチ素子を通じて前記容量素子に書き込む第4のスイッチ素子
を含む画素が配置されてなり、
前記画素に対して、前記第4のスイッチ素子による反転電位の書き込み後の一定期間、前記信号線から前記第1のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子を通じて前記インバータ回路の入力端に電源電位を与える駆動を行う
液晶表示装置の駆動方法。
【請求項9】
液晶容量、
一方の電極が前記液晶容量の画素電極に接続された容量素子、
一端が信号線に接続され、当該信号線を介して与えられる、階調を反映した信号電位を前記容量素子に書き込む第1の動作モードではオン状態となり、前記容量素子から保持電位を読み出した後当該保持電位の極性を反転して前記容量素子に再度書き込む第2の動作モードではオフ状態となる第1のスイッチ素子、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、他端が前記容量素子の一方の電極及び画素電極に接続され、前記第1の動作モード、前記第2の動作モードにおける前記容量素子からの保持電位の読み出し期間、及び、前記容量素子への反転電位の再書き込み期間にオン状態となる第2のスイッチ素子、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、前記第1の動作モードではオフ状態となり、前記第2の動作モードにおける前記読み出し期間にオン状態となって前記容量素子から保持電位を前記第2のスイッチ素子を通じて読み出す第3のスイッチ素子、
入力端が前記第3のスイッチ素子の他端に接続され、前記第2の動作モードにおける前記読み出し期間に前記第2のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子を通じて前記容量素子から読み出された保持電位の極性を反転するインバータ回路、
及び、
一端が前記第1のスイッチ素子の他端に接続され、他端が前記インバータ回路の出力端に接続され、前記第1の動作モードではオフ状態となり、前記第2の動作モードにおける前記再書き込み期間にオン状態となって前記インバータ回路で極性反転された反転電位を前記第2のスイッチ素子を通じて前記容量素子に書き込む第4のスイッチ素子
を含む画素が配置されてなる画素アレイ部と、
前記画素に対して、前記第4のスイッチ素子による反転電位の書き込み後の一定期間、前記信号線から前記第1のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子を通じて前記インバータ回路の入力端に電源電位を与える駆動を行う駆動部と
を備えた液晶表示装置を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−8340(P2012−8340A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144153(P2010−144153)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】