液晶表示装置
【課題】シール材におけるトランスファの迂回部分においてもギャップの変化が大きくならず、表示ムラが出ない液晶表示装置を提供する。
【解決手段】シール材16におけるアレイ基板12と対向基板14のギャップが表示領域におけるギャップより大きく設定され、シール材16はトランスファ22の位置において両基板12,14の内周側に迂回して配され、前記迂回部分におけるアレイ基板12の高さとそれ以外の部分における前記アレイ基板12の高さに段差を設け、迂回部分の高さを他の部分より低くしている。
【解決手段】シール材16におけるアレイ基板12と対向基板14のギャップが表示領域におけるギャップより大きく設定され、シール材16はトランスファ22の位置において両基板12,14の内周側に迂回して配され、前記迂回部分におけるアレイ基板12の高さとそれ以外の部分における前記アレイ基板12の高さに段差を設け、迂回部分の高さを他の部分より低くしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置においては、アレイ基板と対向基板とを貼り合わせるために、両基板の表示領域外の外周に沿ってシール材が設けられている。このシール材によって貼り合わされた両基板の間に液晶層が配置されている。
【0003】
また、アレイ基板から対向基板の対向電極へ対向電圧を印加するために両基板の表示領域外に導電性のトランスファが設けられている。
【0004】
このようなシール材とトランスファの従来の構造について図5〜図7に基づいて説明する。
【0005】
まず、最近の液晶表示装置は狭額縁化が要求されているため、図7に示すようにシール材100とトランスファ102が重ならないように、シール材100はトランスファ102を避けて、アレイ基板112の表示領域近傍にまで迂回して塗布されている。
【0006】
図5及び図6に示すように、シール材100にはそのギャップを一定の高さに規定するために、ガラスファイバー等のフィラー104を添加している。
【0007】
アレイ基板112と対向基板114との周辺部のギャップを安定した形状とするため、図5及び図6に示すようにシール材100のギャップAは表示領域内のギャップBより大きく設定している。
【0008】
図7に示すようにシール材100の一部は引き出し配線106を横切るため、引き出し配線106が無い部分にも高さを合わせるため、引き出し配線106と同じ高さのアレイパターン108を図5及び図6に示すように積層している。
【0009】
上記のような従来の構造においては図6に示すように、トランスファ102を迂回したシール材100の部分では、表示領域に近いところでギャップの段差が大きい領域ができ、このギャップの変動が表示領域内にまで及ぶために、表示領域内の光学特性が変化し表示ムラとなる。即ち、図6のギャップCの近傍ではギャップの変化が大きく光学特性が変化し表示ムラとなる。
【0010】
ところで、従来よりシール材の位置精度を上げるために、アレイ基板側に突状段差を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
この技術は、アレイ基板のシール材を塗布する部分に枠状の凸状段差を設け、この部分にシール材を塗布することにより、このシール材における両基板のギャップ寸法を相対的に縮小し、毛細管現象を利用してシール材をこの凸状段差に沿って塗布するものである。
【0012】
しかしながら、このようなアレイ基板に突状段差を設け、その上にシール材を塗布する構造であっても、トランスファの部分では上記で説明した従来技術と同様にギャップの変化が著しくなり表示ムラができるという問題点がある。
【特許文献1】特開平7−209657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上で説明したように従来技術及び特許文献1の技術においては、トランスファの迂回部分において、両基板のギャップの変化が大きくなり表示ムラができるという問題点がある。
【0014】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、シール材におけるトランスファの迂回部分においてもギャップの変化が大きくならず、表示ムラが出ない液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る液晶表示装置は、対向配置された一対の基板と、両基板を貼り付けるために両基板の表示領域外の外周に沿って設けられたシール材と、両基板間に配置された液晶層と、一方の基板に設けられた電源供給部から他方の基板の対向電極へ対向電圧を印加するために両基板間の表示領域外に設けられた導電性の柱部材とを備えた液晶表示装置において、シール材における両基板のギャップが表示領域におけるギャップより大きく設定され、シール材が柱部材の位置において両基板の内周側に迂回して配され、この迂回部分における何れかの基板の高さとそれ以外の部分における基板の高さに段差を設けることにより、迂回部分の高さを他の部分より低くなるように形成している。
【発明の効果】
【0016】
シール材の迂回部分の高さを他の部分より低くすることによりギャップに大きな変化がなく表示ムラができることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態の液晶表示装置10において図1〜図4に基づいて説明する。
【0018】
(1)液晶表示装置10の全体の構成
液晶表示装置10は、アレイ基板12と対向基板14とを対向して配置し、シール材16によって両基板12,14を貼り付け、その間に液晶層18を配置したものである。
【0019】
アレイ基板12には、複数本の走査線と複数本の信号線が直交して配され、その交差部分の近傍において薄膜トランジスタ(以下、単にTFTという)が設けられている。TFTのゲート電極には走査線が接続され、ソース電極には信号線が接続されている。また、ドレイン電極には画素電極が接続されている。
【0020】
この信号線と走査線は、アレイ基板12の外周部に引き出され、信号線ドライバー回路と走査線ドライバー回路に接続されている。以下、引き出された信号線と走査線とをまとめて「引き出し配線20」という。
【0021】
図1に示すようにアレイ基板12の縁部、即ち表示領域(図1においては点線で示す)外に所定の間隔を空けて4個のトランスファ22が設けられている。このトランスファ22は、アレイ基板12に配線された電源供給線24に印加している対向電圧を対向基板14の対向電極に伝えるために設けられた柱状の接続部材である。この詳細な構造については後から詳しく説明する。
【0022】
また、アレイ基板12の四周部、即ち表示領域外にはUVまたは熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂よりなるシール材16が枠状に設けられている。また、このシール材16は4個のトランスファ22の位置においては図1に示すようにアレイ基板12の内周側に迂回するように設けられている。このシール材16についても後から詳しく説明する。
【0023】
対向基板14には、ガラス基板などの絶縁基板36上にカラーフィルター層、ブラックマトリックス、対向電極層が積層されている。
【0024】
(2)シール材16とトランスファ22の構造
次に、図2〜図4に基づいてシール材16とトランスファ22の構造について説明する。
【0025】
図2は、トランスファ22以外の部分(以下、直線部分という)のシール材16付近の縦断面図であり、図3はトランスファ22における迂回したシール材16付近の縦断面図である。また、図4はトランスファ22付近のシール材16との関係を示すアレイ基板12の平面図である。
【0026】
アレイ基板12のガラス基板などの絶縁基板34の上面には、引き出し配線20などのアレイパターンが積層されている。また、シール材16が配置される部分で引き出し配線20が存在しない箇所においては、シール材を当接するためにその高さを合わせるためのアレイパターンが設けられている。これら引き出し配線及びアレイパターンを纏めて図中では符号20として表記している。また、シール材16が塗布される位置に沿って、枠状にシール材用アレイパターン26が設けられている。このシール材用アレイパターン26は、トランスファ22が設けられている位置以外に、図1に示すように絶縁基板36の外周囲に設けられており、引き出し配線20やアレイパターンと絶縁を取るために、引き出し配線20やアレイパターンの上面に絶縁膜をパターニングした後、導電膜を積層して凸条に設けている。このシール材用アレイパターン26の高さは、0.5μm程度でアレイ基板12側に形成する。また、このパターニングの際に、トランスファ22を迂回している位置にはシール材用アレイパターン26を形成しない。
【0027】
上記のようにしてシール材用アレイパターン26を形成した後、このシール材用アレイパターン26及びシール材用アレイパターン26を形成していないトランスファ22の迂回部分の上面と対向する対向基板14面上の位置にUVまたは熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂よりなるシール材16を塗布する。この場合にトランスファ22の位置においては内周側に迂回するようにコの字状に形成されている(図4参照)。このシール材16は、そのギャップの高さを維持するために、ガラスファイバー等のフィラー28を添加している。このシール材16の高さは直線部分及び迂回部分においても同じように塗布され、例えば5.0μmで形成している。
【0028】
トランスファ22は、柱状に形成された銀ペーストまたはカーボンペースト(金メッキ粒子入りを含む)等の導電ペーストによって形成され、このトランスファ22はアレイ基板12側に形成しておく。そして、両基板12,14を貼り付けたときに、トランスファ22がシール材16の迂回部分に位置するようにする。
【0029】
また、トランスファ22が設けられる位置には、電源供給線24に接続されたパッド32が設けられている。両基板12,14を貼り付けたときに、このパッド32及びトランスファ22を介して対向基板14の対向電極に電圧を供給するようになされる。
【0030】
上記構成のシール材16とトランスファ22において、両基板12,14を貼り合わせると、図2及び図3に示すようになる。図2に示すように、シール材16とシール材用アレイパターン26によって形成されるギャップAは、表示領域内のギャップBよりも大きく設定されている。そして、このギャップAからギャップBに変化する部分は表示領域外にあり、光学特性に影響を与えず表示ムラが発生しない。
【0031】
トランスファ22が設けられた迂回部分においては、トランスファ22におけるギャップA(シール材16とシール材用アレイパターン26によって形成されるギャップAに相当)と、表示領域内のギャップBとは、トランスファ22自体は上記のように銀ペーストやカーボンペーストにて形成され、ギャップを規制するフィラーを含有していないために、ギャップ形成には寄与せず、このためトランスファ22近傍の直線部分のシール材16によってギャップAが規制されるので、上記で説明した状態と同じになる。そして、このギャップAからギャップBに変化する迂回部分においてはシール材16のみが存在している。直線部分ではシール材用アレイパターン26が存在するため、その分だけシール材16の高さが高くなっていると見做すことができるが、このトランスファ22の迂回部分ではシール材用アレイパターン26が存在しないため両者間で段差が生じ、このシール材用アレイパターン26の高さの分だけシール材16の高さが相対的に低くなっているものと見做すことができる。そして、シール材16の厚みは他の部分と同じであるため、この迂回部分のシール材16はギャップAからギャップBに変化する中間部分に位置することになる。換言すれば、シール材16とシール材用アレイパターン26の積層によって形成されているギャップAよりも、シール材用アレイパターン26の高さ(厚さ)分だけ低いシール材16は、ギャップAが漸次減少していくギャップ部分(A〜B)の位置、好ましくは対向基板14がシール材用アレイパターン26の高さ分だけアレイ基板12側に変位した位置に配置されることになるので、殆どギャップ形成には寄与せず、シールをするための役目を担うこととなる。従って、表示領域内においてはギャップの変化が起こらない。そのため、光学特性に変化が起きず表示ムラが発生しない。
【0032】
(3)本実施形態の効果
上記のように本実施形態では、トランスファ22におけるシール材16の迂回部分と、直線部分のシール材16とは、シール材用アレイパターン26によって段差が生じており、迂回部分の方が低くなっている。そのため、図3に示すようにギャップAからギャップBに変化する中間部分に相当する部分をシール材16の設定位置とすることで、好ましくは対向基板14がシール材用アレイパターン26の高さ分だけアレイ基板12側に変位した位置近傍に設定することで、トランスファ22を迂回した部分においても表示領域のギャップに変動を与えることがなくなり、光学特性に悪影響を及ぼさず表示ムラが発生しない。
【0033】
(変更例)
上記実施形態では、トランスファ22の位置以外でシール材用アレイパターン26を設けてシール材16の高さを嵩上げしたが、これに限らず、トランスファ22における引き出し配線20等のアレイパターンを除去し、このトランスファ22における迂回部分の高さを意図的に低くすることにより、直線部分との段差を設け、これによって表示領域にギャップの変化が生じないようにしてもよい。
【0034】
また、シール材用アレイパターン26をアレイ基板12側に設けた場合、あるいはシール材16を対向基板14側に設けた場合について説明しているが、このシール材用アレイパターン26を対向基板14側に、あるいはシール材16をアレイ基板12側に、もしくは両者を何れか一方の基板側に形成しても、同等の効果を発揮し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態を示す液晶表示装置におけるシール材との関係を示すアレイ基板の平面図である。
【図2】シール材の付近における液晶表示装置の縦断面図である。
【図3】トランスファの付近における液晶表示装置の縦断面図である。
【図4】トランスファの付近におけるシール材との関係を示すアレイ基板の平面図である。
【図5】シール材の付近における従来の液晶表示装置の縦断面図である。
【図6】トランスファの付近における従来の液晶表示装置の縦断面図である。
【図7】トランスファの付近における従来のシール材との関係を示すアレイ基板の平面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 液晶表示装置
12 アレイ基板
14 対向基板
16 シール材
18 液晶層
20 引き出し配線(アレイパターン)
22 トランスファ
24 電源供給線
26 シール材用アレイパターン
28 フィラー
32 パッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置においては、アレイ基板と対向基板とを貼り合わせるために、両基板の表示領域外の外周に沿ってシール材が設けられている。このシール材によって貼り合わされた両基板の間に液晶層が配置されている。
【0003】
また、アレイ基板から対向基板の対向電極へ対向電圧を印加するために両基板の表示領域外に導電性のトランスファが設けられている。
【0004】
このようなシール材とトランスファの従来の構造について図5〜図7に基づいて説明する。
【0005】
まず、最近の液晶表示装置は狭額縁化が要求されているため、図7に示すようにシール材100とトランスファ102が重ならないように、シール材100はトランスファ102を避けて、アレイ基板112の表示領域近傍にまで迂回して塗布されている。
【0006】
図5及び図6に示すように、シール材100にはそのギャップを一定の高さに規定するために、ガラスファイバー等のフィラー104を添加している。
【0007】
アレイ基板112と対向基板114との周辺部のギャップを安定した形状とするため、図5及び図6に示すようにシール材100のギャップAは表示領域内のギャップBより大きく設定している。
【0008】
図7に示すようにシール材100の一部は引き出し配線106を横切るため、引き出し配線106が無い部分にも高さを合わせるため、引き出し配線106と同じ高さのアレイパターン108を図5及び図6に示すように積層している。
【0009】
上記のような従来の構造においては図6に示すように、トランスファ102を迂回したシール材100の部分では、表示領域に近いところでギャップの段差が大きい領域ができ、このギャップの変動が表示領域内にまで及ぶために、表示領域内の光学特性が変化し表示ムラとなる。即ち、図6のギャップCの近傍ではギャップの変化が大きく光学特性が変化し表示ムラとなる。
【0010】
ところで、従来よりシール材の位置精度を上げるために、アレイ基板側に突状段差を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
この技術は、アレイ基板のシール材を塗布する部分に枠状の凸状段差を設け、この部分にシール材を塗布することにより、このシール材における両基板のギャップ寸法を相対的に縮小し、毛細管現象を利用してシール材をこの凸状段差に沿って塗布するものである。
【0012】
しかしながら、このようなアレイ基板に突状段差を設け、その上にシール材を塗布する構造であっても、トランスファの部分では上記で説明した従来技術と同様にギャップの変化が著しくなり表示ムラができるという問題点がある。
【特許文献1】特開平7−209657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上で説明したように従来技術及び特許文献1の技術においては、トランスファの迂回部分において、両基板のギャップの変化が大きくなり表示ムラができるという問題点がある。
【0014】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、シール材におけるトランスファの迂回部分においてもギャップの変化が大きくならず、表示ムラが出ない液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る液晶表示装置は、対向配置された一対の基板と、両基板を貼り付けるために両基板の表示領域外の外周に沿って設けられたシール材と、両基板間に配置された液晶層と、一方の基板に設けられた電源供給部から他方の基板の対向電極へ対向電圧を印加するために両基板間の表示領域外に設けられた導電性の柱部材とを備えた液晶表示装置において、シール材における両基板のギャップが表示領域におけるギャップより大きく設定され、シール材が柱部材の位置において両基板の内周側に迂回して配され、この迂回部分における何れかの基板の高さとそれ以外の部分における基板の高さに段差を設けることにより、迂回部分の高さを他の部分より低くなるように形成している。
【発明の効果】
【0016】
シール材の迂回部分の高さを他の部分より低くすることによりギャップに大きな変化がなく表示ムラができることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態の液晶表示装置10において図1〜図4に基づいて説明する。
【0018】
(1)液晶表示装置10の全体の構成
液晶表示装置10は、アレイ基板12と対向基板14とを対向して配置し、シール材16によって両基板12,14を貼り付け、その間に液晶層18を配置したものである。
【0019】
アレイ基板12には、複数本の走査線と複数本の信号線が直交して配され、その交差部分の近傍において薄膜トランジスタ(以下、単にTFTという)が設けられている。TFTのゲート電極には走査線が接続され、ソース電極には信号線が接続されている。また、ドレイン電極には画素電極が接続されている。
【0020】
この信号線と走査線は、アレイ基板12の外周部に引き出され、信号線ドライバー回路と走査線ドライバー回路に接続されている。以下、引き出された信号線と走査線とをまとめて「引き出し配線20」という。
【0021】
図1に示すようにアレイ基板12の縁部、即ち表示領域(図1においては点線で示す)外に所定の間隔を空けて4個のトランスファ22が設けられている。このトランスファ22は、アレイ基板12に配線された電源供給線24に印加している対向電圧を対向基板14の対向電極に伝えるために設けられた柱状の接続部材である。この詳細な構造については後から詳しく説明する。
【0022】
また、アレイ基板12の四周部、即ち表示領域外にはUVまたは熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂よりなるシール材16が枠状に設けられている。また、このシール材16は4個のトランスファ22の位置においては図1に示すようにアレイ基板12の内周側に迂回するように設けられている。このシール材16についても後から詳しく説明する。
【0023】
対向基板14には、ガラス基板などの絶縁基板36上にカラーフィルター層、ブラックマトリックス、対向電極層が積層されている。
【0024】
(2)シール材16とトランスファ22の構造
次に、図2〜図4に基づいてシール材16とトランスファ22の構造について説明する。
【0025】
図2は、トランスファ22以外の部分(以下、直線部分という)のシール材16付近の縦断面図であり、図3はトランスファ22における迂回したシール材16付近の縦断面図である。また、図4はトランスファ22付近のシール材16との関係を示すアレイ基板12の平面図である。
【0026】
アレイ基板12のガラス基板などの絶縁基板34の上面には、引き出し配線20などのアレイパターンが積層されている。また、シール材16が配置される部分で引き出し配線20が存在しない箇所においては、シール材を当接するためにその高さを合わせるためのアレイパターンが設けられている。これら引き出し配線及びアレイパターンを纏めて図中では符号20として表記している。また、シール材16が塗布される位置に沿って、枠状にシール材用アレイパターン26が設けられている。このシール材用アレイパターン26は、トランスファ22が設けられている位置以外に、図1に示すように絶縁基板36の外周囲に設けられており、引き出し配線20やアレイパターンと絶縁を取るために、引き出し配線20やアレイパターンの上面に絶縁膜をパターニングした後、導電膜を積層して凸条に設けている。このシール材用アレイパターン26の高さは、0.5μm程度でアレイ基板12側に形成する。また、このパターニングの際に、トランスファ22を迂回している位置にはシール材用アレイパターン26を形成しない。
【0027】
上記のようにしてシール材用アレイパターン26を形成した後、このシール材用アレイパターン26及びシール材用アレイパターン26を形成していないトランスファ22の迂回部分の上面と対向する対向基板14面上の位置にUVまたは熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂よりなるシール材16を塗布する。この場合にトランスファ22の位置においては内周側に迂回するようにコの字状に形成されている(図4参照)。このシール材16は、そのギャップの高さを維持するために、ガラスファイバー等のフィラー28を添加している。このシール材16の高さは直線部分及び迂回部分においても同じように塗布され、例えば5.0μmで形成している。
【0028】
トランスファ22は、柱状に形成された銀ペーストまたはカーボンペースト(金メッキ粒子入りを含む)等の導電ペーストによって形成され、このトランスファ22はアレイ基板12側に形成しておく。そして、両基板12,14を貼り付けたときに、トランスファ22がシール材16の迂回部分に位置するようにする。
【0029】
また、トランスファ22が設けられる位置には、電源供給線24に接続されたパッド32が設けられている。両基板12,14を貼り付けたときに、このパッド32及びトランスファ22を介して対向基板14の対向電極に電圧を供給するようになされる。
【0030】
上記構成のシール材16とトランスファ22において、両基板12,14を貼り合わせると、図2及び図3に示すようになる。図2に示すように、シール材16とシール材用アレイパターン26によって形成されるギャップAは、表示領域内のギャップBよりも大きく設定されている。そして、このギャップAからギャップBに変化する部分は表示領域外にあり、光学特性に影響を与えず表示ムラが発生しない。
【0031】
トランスファ22が設けられた迂回部分においては、トランスファ22におけるギャップA(シール材16とシール材用アレイパターン26によって形成されるギャップAに相当)と、表示領域内のギャップBとは、トランスファ22自体は上記のように銀ペーストやカーボンペーストにて形成され、ギャップを規制するフィラーを含有していないために、ギャップ形成には寄与せず、このためトランスファ22近傍の直線部分のシール材16によってギャップAが規制されるので、上記で説明した状態と同じになる。そして、このギャップAからギャップBに変化する迂回部分においてはシール材16のみが存在している。直線部分ではシール材用アレイパターン26が存在するため、その分だけシール材16の高さが高くなっていると見做すことができるが、このトランスファ22の迂回部分ではシール材用アレイパターン26が存在しないため両者間で段差が生じ、このシール材用アレイパターン26の高さの分だけシール材16の高さが相対的に低くなっているものと見做すことができる。そして、シール材16の厚みは他の部分と同じであるため、この迂回部分のシール材16はギャップAからギャップBに変化する中間部分に位置することになる。換言すれば、シール材16とシール材用アレイパターン26の積層によって形成されているギャップAよりも、シール材用アレイパターン26の高さ(厚さ)分だけ低いシール材16は、ギャップAが漸次減少していくギャップ部分(A〜B)の位置、好ましくは対向基板14がシール材用アレイパターン26の高さ分だけアレイ基板12側に変位した位置に配置されることになるので、殆どギャップ形成には寄与せず、シールをするための役目を担うこととなる。従って、表示領域内においてはギャップの変化が起こらない。そのため、光学特性に変化が起きず表示ムラが発生しない。
【0032】
(3)本実施形態の効果
上記のように本実施形態では、トランスファ22におけるシール材16の迂回部分と、直線部分のシール材16とは、シール材用アレイパターン26によって段差が生じており、迂回部分の方が低くなっている。そのため、図3に示すようにギャップAからギャップBに変化する中間部分に相当する部分をシール材16の設定位置とすることで、好ましくは対向基板14がシール材用アレイパターン26の高さ分だけアレイ基板12側に変位した位置近傍に設定することで、トランスファ22を迂回した部分においても表示領域のギャップに変動を与えることがなくなり、光学特性に悪影響を及ぼさず表示ムラが発生しない。
【0033】
(変更例)
上記実施形態では、トランスファ22の位置以外でシール材用アレイパターン26を設けてシール材16の高さを嵩上げしたが、これに限らず、トランスファ22における引き出し配線20等のアレイパターンを除去し、このトランスファ22における迂回部分の高さを意図的に低くすることにより、直線部分との段差を設け、これによって表示領域にギャップの変化が生じないようにしてもよい。
【0034】
また、シール材用アレイパターン26をアレイ基板12側に設けた場合、あるいはシール材16を対向基板14側に設けた場合について説明しているが、このシール材用アレイパターン26を対向基板14側に、あるいはシール材16をアレイ基板12側に、もしくは両者を何れか一方の基板側に形成しても、同等の効果を発揮し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態を示す液晶表示装置におけるシール材との関係を示すアレイ基板の平面図である。
【図2】シール材の付近における液晶表示装置の縦断面図である。
【図3】トランスファの付近における液晶表示装置の縦断面図である。
【図4】トランスファの付近におけるシール材との関係を示すアレイ基板の平面図である。
【図5】シール材の付近における従来の液晶表示装置の縦断面図である。
【図6】トランスファの付近における従来の液晶表示装置の縦断面図である。
【図7】トランスファの付近における従来のシール材との関係を示すアレイ基板の平面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 液晶表示装置
12 アレイ基板
14 対向基板
16 シール材
18 液晶層
20 引き出し配線(アレイパターン)
22 トランスファ
24 電源供給線
26 シール材用アレイパターン
28 フィラー
32 パッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された一対の基板と、
前記両基板を貼り付けるために前記両基板の表示領域外の外周に沿って設けられたシール材と、
前記両基板間に配置された液晶層と、
一方の基板に設けられた電源供給部から他方の基板の対向電極へ対向電圧を印加するために前記両基板間の表示領域外に設けられた導電性の柱部材と、
を備えた液晶表示装置において、
前記シール材における前記両基板のギャップが前記表示領域におけるギャップより大きく設定され、
前記シール材は、前記柱部材の位置において前記両基板の内周側に迂回して配され、
前記迂回部分における前記何れかの基板の高さとそれ以外の部分における前記基板の高さに段差を設け、前記迂回部分の高さを前記他の部分より低くする
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記シール材の他の部分における前記何れかの基板に膜を積層して、前記迂回部分と段差を設ける
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記シール材の迂回部分における前記一方の基板の一部を除去して、前記他の部分と段差を設ける
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記シール材は、高さを維持するためにフィラーを含む
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記何れかの基板がアレイ基板である
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項1】
対向配置された一対の基板と、
前記両基板を貼り付けるために前記両基板の表示領域外の外周に沿って設けられたシール材と、
前記両基板間に配置された液晶層と、
一方の基板に設けられた電源供給部から他方の基板の対向電極へ対向電圧を印加するために前記両基板間の表示領域外に設けられた導電性の柱部材と、
を備えた液晶表示装置において、
前記シール材における前記両基板のギャップが前記表示領域におけるギャップより大きく設定され、
前記シール材は、前記柱部材の位置において前記両基板の内周側に迂回して配され、
前記迂回部分における前記何れかの基板の高さとそれ以外の部分における前記基板の高さに段差を設け、前記迂回部分の高さを前記他の部分より低くする
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記シール材の他の部分における前記何れかの基板に膜を積層して、前記迂回部分と段差を設ける
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記シール材の迂回部分における前記一方の基板の一部を除去して、前記他の部分と段差を設ける
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記シール材は、高さを維持するためにフィラーを含む
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記何れかの基板がアレイ基板である
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2007−101688(P2007−101688A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288780(P2005−288780)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
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