説明

液晶表示装置

【課題】 セグメント表示とドットマトリクス表示との両方を有する液晶表示パネルを最小の回路構成で、且つ、低消費電流で駆動する液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 セグメント表示部3aとドットマトリクス表示部2aとを有する液晶表示パネル2及び3と、セグメント表示部3aに駆動信号を供給するセグメントドライバ回路5を内蔵するマイクロコンピュータ6と、マイクロコンピュータ6の制御信号に基づいてドットマトリクス表示部2aに駆動信号を供給するドットマトリクスドライバIC4と、を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメント表示部とドットマトリクス表示部とを有する液晶表示パネルを駆動する液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示パネルを用いた液晶表示装置は、様々な製品に用いられており、例えば、大型のものであれば、薄型液晶テレビなどが一般的であり、小型のタイプであれば、時計、携帯電話、電子棚札などで使われている。また、小型の液晶表示装置であっても、表示する情報量は搭載する機器の高機能化や高性能化に伴ってますます増加する傾向にあり、このため、液晶表示パネルを駆動する駆動回路の規模が増大し、配線量も増えて機器の小型化が困難となり、また、消費電力も増加して、特に電池駆動の小型電子機器向け表示装置として大きな問題となっている。
【0003】
このような背景から、表示情報量が比較的多く、且つ、消費電流を低減する表示装置のドライバ回路が開示されている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に開示されている従来の表示装置のドライバ回路の概略を図8に基づいて説明する。図8において、101は例えばオーディオセットの本体、105はマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略す)、110は液晶表示パネルを示す。
【0004】
マイコン105は、本体101を制御するためのものであり、CPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート、時計回路(タイマ回路)などを有して1チップ化されている。そして、マイコン105は、そのポートを通じて本体101に接続され、ユーザのキー操作などにしたがって、本体101を制御するようにされている。
【0005】
また、マイコン105は、液晶表示パネル110における表示も制御するものであり、このため、液晶ドライバ回路106が内蔵されているとともに、出力ポートのうちの一部のポート107が表示用に割り当てられている。
【0006】
液晶表示パネル110は、電源をオフにしたときでも表示を行う表示部111と、電源をオフにしたときには表示を行わない表示部112とに、信号的に分離される。そして、マイコン105の液晶ドライバ回路106から、表示部111のための走査信号及び表示信号が取り出され、これら走査信号及び表示信号が表示部111に供給される。
【0007】
また、単体の液晶ドライバIC115が設けられ、マイコン105のポート107が、液晶ドライバIC115を通じて表示部112に接続される。また、液晶ドライバIC115の電源端子と、電源VCCとの間の電源ラインに、スイッチ回路117が設けられ、このスイッチ回路117にマイコン105のポート107から制御信号が供給される。
【0008】
この構成によって、電源がオンの場合には、本体101にその動作電圧が供給されて動作状態となるとともに、ポート107からの制御信号によりスイッチ回路117はオンとされるので、液晶ドライバIC115も動作状態となる。
【0009】
これにより、マイコン105に内蔵の液晶ドライバ回路106と液晶ドライバIC115により、各表示データが走査信号及び表示信号に変換され、この走査信号及び表示信号が表示部111、112に供給されてそれぞれ表示が行われる。
【0010】
一方、電源をオフにした場合には、本体101にその動作電圧が供給されなくなるとと
もに、ポート107からの制御信号によりスイッチ回路117はオフとされるので、液晶ドライバIC115も電源が供給されなくなる。しかし、電源がオフの場合には、マイコン105からの表示データが、内蔵の液晶ドライバ回路106に供給されて走査信号及び表示信号に変換され、この走査信号及び表示信号が表示部111に供給されて、表示部111には、例えば現在時刻などが表示される。
【0011】
これにより、特許文献1の表示用ドライバ回路は、二つの表示部に対して単体の液晶ドライバICとマイコンに内蔵の液晶ドライバ回路の二つドライバ回路を用い、電源がオフの場合は、液晶ドライバIC115の電源をオフして一方の表示部112の表示を行わないので、消費電流を低減出来ることが示されている。
【0012】
また、消費電流の低減のために、表示部の少なくとも一部に自己保持型表示器(メモリ性表示パネル)を使用している携帯端末が開示されている(例えば特許文献2参照)。この携帯端末の表示部の一部は、ピクトタイプ液晶表示パネルであり、他のゆっくりと表示が変化する表示部分は、自己保持型の液晶表示パネルである。そして、ピクトタイプ液晶表示パネルを駆動する第1のドライバ回路と、ゆっくりと表示が変化する自己保持型液晶表示パネルを駆動する第2のドライバ回路を有する。
【0013】
第1のドライバ回路は常に電源が入っており、自己保持型液晶表示パネルを駆動する第2のドライバ回路は、表示の書き換え時のみに電源がオンされる。これにより、特許文献2の携帯端末は、表示部を二つのドライバ回路で駆動し、自己保持型液晶表示パネルを駆動する第2のドライバ回路は、表示を書き換え時のみ電源をオンすることで、消費電流を低減出来ることが示されている。
【0014】
[強誘電性液晶表示パネルの説明]
次に公知ではあるが本発明を理解する助けとなるので、前述の特許文献2にも記載されているメモリ性表示パネルを実現する強誘電性液晶による表示パネルの構成と動作について以下説明する。なお、メモリ性表示パネルとは、駆動信号によって表示情報を書き込み後、駆動信号を停止しても表示内容が消えることなく保持される表示パネルであり、本発明の液晶表示装置の液晶表示パネルの一部または全ては、この強誘電性液晶によって構成される。
【0015】
まず、強誘電性液晶層を有するメモリ性液晶表示パネルの構造を図9に基づいて説明する。図9(a)はメモリ性液晶表示パネルの偏光板配置の構成を模式的に示した平面図であり、液晶表示パネル120は、クロスニコルに合わせた偏光板121a、121bの間に、偏光板121aの偏光軸Cと偏光板121bの偏光軸Dのどちらか一方と、液晶分子の第1の安定状態(矢印E)もしくは、第2の安定状態(矢印F)のときの分子長軸方向のどちらかとが、ほぼ平行になるように強誘電性液晶層122を配置する。ここで、図9(a)においては、偏光板121aの偏光軸Cと第1の安定状態(矢印E)のときの分子長軸方向が、ほぼ平行になるように配置されている。
【0016】
次に図9(b)は、液晶表示パネル120の構造を模式的に示した断面図である。図9(b)において、液晶表示パネル120は、少なくとも二つの安定状態を持つメモリ性液晶である強誘電性液晶層122を挟持する一対のガラス基板123a、123bから構成される。また、このガラス基板123aと123bはシール材126によって固着されている。そして、ガラス基板123a、123bの対向面には駆動電極としての複数の走査電極124と、信号電極125が設けられており、その上に配向膜127a、127bが蒸着されている。
【0017】
さらに一方のガラス基板123aの外側には、前述した如く、強誘電性液晶層122の
液晶分子の第1もしくは第2の安定状態の時の分子長軸方向が平行になるように第1の偏光板121aが設けられており、他方のガラス基板123bの外側には、第1の偏光板121aの偏光軸と90度異なるようにして第2の偏光板121bが設けられている。
【0018】
次に、図9(a)、図9(b)で示した液晶表示パネル120の動作を図10を用いて説明する。図10は、液晶表示パネル120の駆動電圧に対する光透過率L(実線)の変化を示している。ここで、強誘電性液晶のスイッチング、つまり一方の安定状態から他方の安定状態への転移は、駆動電圧のパルス幅値とパルス高値との積の値が閾値以上の値となる電圧を強誘電性液晶に印加した場合にのみ起こる。図10において、液晶表示パネル120は駆動電圧の極性の違いによって、第1の安定状態(非透過(黒)表示)か、第2の安定状態(透過(白)表示)かのいずれかが選択される。
【0019】
ここで、駆動電圧をプラス方向に増加させたとき、光透過率Lが変化し始める電圧値を+Vt、光透過率Lの変化が飽和する電圧値を+Vhとする。次に駆動電圧を減少させ、さらに逆極性のマイナス方向に電圧を増加させて光透過率Lが減少し始める電圧値を−Vt、光透過率Lの変化が飽和する電圧値を−Vhとする。ここで、±Vtを強誘電性液晶の閾値電圧、±Vhを飽和電圧と定義する。
【0020】
このように液晶表示パネル120は、強誘電性液晶の飽和電圧+Vh以上の駆動電圧が印加された場合に第2の安定状態が選択され、また、強誘電性液晶の逆極性の飽和電圧−Vh以上の駆動電圧が印加された場合は、第1の安定状態が選択される。そして、その後、駆動電圧が0Vになってもメモリ性効果によって、それぞれの安定状態は維持される。
【0021】
この結果、図9(a)に示すように偏光板121a、121bを配置すると、第2の安定状態で白表示(透過状態)、第1の安定状態で黒表示(非透過状態)となる。尚、偏光板121a、121bの配置を変えることにより、第2の安定状態で黒表示(非透過状態)、第1の安定状態で白表示(透過状態)とすることも出来る。
【0022】
このように強誘電性液晶を用いた液晶表示パネルは、駆動電圧を印加して表示を書き換えて安定状態とした後、液晶表示パネルへの電源を遮断しても、表示を維持することが出来る。本発明の液晶表示装置は、使用する液晶表示パネルの一部またはすべてに、この強誘電性液晶を用いたメモリ性の液晶表示パネルを用いることで、一層の省電力を実現することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開平6−4034号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】特開2000−69134号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
特許文献1のドライバ回路は、主に消費電力を低減するために表示部を二つに分けているが、二つの表示部はセグメント表示、または、それに準じる特定の図形等を表示する表示方式であり、情報量が多いグラフィックス表示等を行うことが出来ない。また、更なる消費電力の低減のために、マイコンへの電源をオフすると、全ての表示内容が消えてしまう問題がある。また、外付けの液晶ドライバICの電源をオフするために、電源スイッチ回路が必要であり、回路規模が大きく、また、電源制御が複雑となるなどの問題がある。
【0025】
また、特許文献2の携帯端末では、ピクトタイプ液晶表示パネルと自己保持型液晶表示パネルのそれぞれに、個別に液晶ドライバ回路を用意する必要があり、回路規模が大きく
なり小型化が困難である。
【0026】
本発明の目的は上記課題を解決し、セグメント表示とドットマトリクス表示との両方を有する液晶表示パネルを最小の回路構成で、且つ、低消費電流で駆動する液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記課題を解決するために、本発明の液晶表示装置は、下記記載の構成を採用する。
【0028】
本発明の液晶表示装置は、セグメント表示部とドットマトリクス表示部とを有する液晶表示パネルと、セグメント表示部に駆動信号を供給する信号電極駆動用液晶ドライバ回路を内蔵するマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータの制御信号に基づいてドットマトリクス表示部に駆動信号を供給するドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバICと、を備えたことを特徴とする。
【0029】
また、ドットマトリクス表示部は強誘電性液晶層を有し、ドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバICは、強誘電性液晶層を駆動するための駆動信号を出力することを特徴とする。
【0030】
また、セグメント表示部は強誘電性液晶層を有し、信号電極駆動用液晶ドライバ回路は、強誘電性液晶層を駆動するための駆動信号を出力することを特徴とする。
【0031】
また、セグメント表示部とドットマトリクス表示部は、一体化されてひとつの液晶表示パネルによって構成されることを特徴とする。
【0032】
また、ドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバICは、液晶表示パネルの基板上に実装されることを特徴とする。
【0033】
また、液晶表示パネルは、外部から駆動信号を入力するための接続部を有し、この接続部とマイクロコンピュータは、接続部材によって電気的に接続されることを特徴とする。
【0034】
また、液晶表示パネルは、接続部の近くにドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバICが配置され、ドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバICの近い位置にドットマトリクス表示部が形成され、接続部から遠い位置にセグメント表示部が形成されることを特徴とする。
【0035】
また、接続部材は、フレキシブル基板であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
上記の如く本発明によれば、駆動信号線数の多いドットマトリクス表示部を単体のドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバICで駆動し、駆動信号数の少ないセグメント表示部をマイコンに内蔵の信号電極駆動用液晶ドライバ回路で駆動することによって、表示情報量の多い液晶パネルをひとつの汎用マイコンによって制御し、多くの情報を表示することが出来る。また、駆動信号線数の多いドットマトリクス表示部をドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバICの近くに配置することで、配線エリアを最小に出来ると共に、駆動信号の伝送を確実に行い信頼性に優れた液晶表示装置を実現できる。
【0037】
また、メモリ性を有する強誘電性液晶を用いることによって、表示書き換え後に駆動信号を停止出来るので、極めて低消費電力の液晶表示装置を実現できる。また、頻繁に書き換えない情報は、ドットマトリクスル表示部で行い、頻繁に書き換える情報は、セグメン
ト表示部で行うことによって、ちらつきの少ない表示品質を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の構成を説明するブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の構成を説明するブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施形態の強誘電性液晶ドットマトリクス表示部の駆動電極の説明図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の駆動信号を説明するタイミングチャートである。
【図6】本発明の第3の実施形態の配置構成の一例を説明する配置図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の液晶表示パネルによる表示例を説明する説明図である。
【図8】従来のドライバ回路の構成を説明するブロック図である。
【図9】強誘電性液晶層を有するメモリ性液晶表示パネルの構造を説明する説明図である。
【図10】強誘電性液晶層を有するメモリ性液晶表示パネルの動作を説明する動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下図面により本発明の実施の形態を詳述する。なお、第1の実施形態として本発明の基本構成を示し、第2の実施形態としてドットマトリクス表示部に強誘電性液晶層を有する液晶表示パネルを用いた液晶表示装置を示し、第3の実施形態としてドットマトリクス表示部とセグメント表示部の両方に強誘電性液晶層を有する液晶表示パネルを用いた液晶表示装置を示す。
【実施例1】
【0040】
第1の実施形態の液晶表示装置の構成について図1を用いて説明する。図1において、1は第1の実施形態としての液晶表示装置である。液晶表示装置1は、ドットマトリクス表示部2aを有する液晶表示パネル2と、セグメント表示部3aを有する液晶表示パネル3と、ドットマトリクス表示部2aに駆動信号を供給するドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバIC4(以下、ドットマトリクスドライバIC4と略す)と、セグメント表示部3aに駆動信号を供給する信号電極駆動用液晶ドライバ回路5(以下、セグメントドライバ回路5と略す)を内蔵するマイクロコンピュータ6(以下、マイコン6と略す)などによって構成される。
【0041】
ここで、ドットマトリクス表示部2aは、一般的なTwisted Nematic型液晶(以下、TN液晶と略す)等で成り、公知技術であるので構造等は図示しないが、従来例で示した液晶表示パネル120(図9(b)参照)と基本構造は同様であり、多数の走査電極と信号電極を備えている。また、セグメント表示部3aも同様にTN液晶等で成り、図示しないがドットマトリクス表示部2aより少数の走査電極と信号電極を備えている。
【0042】
マイコン6は、セグメントドライバ回路5の他に、図示しないがCPU、ROM、RA
M、入力ポート、出力ポート、時計回路(タイマ回路)等を内蔵し、外部から制御信号P1が入力され、セグメントドライバ回路5を制御すると共に、ドット表示制御信号P2を出力ポート(図示せず)から出力してドットマトリクスドライバIC4に供給する。
【0043】
また、マイコン6に内蔵されるセグメントドライバ回路5は、マイコン6の内部から表示データが入力され、駆動信号である複数の走査信号CMと複数の表示信号SGを出力し、前述のセグメント表示部3aに供給する。また、ドットマトリクスドライバIC4は、マイコン6から表示データを含むドット表示制御信号P2が入力され、表示データを変換して駆動信号である複数の走査信号MCMと表示信号MSGを出力し、前述のドットマトリクス表示部2aに供給する。
【0044】
また、マイコン6とドットマトリクスドライバIC4は、外部から電源VDDを入力して駆動される。マイコン6は、この電源VDDが供給されることによって動作し、制御信号P1に基づいて、内蔵するセグメントドライバ回路5と別チップのドットマトリクスドライバIC4を制御し、セグメント表示部3aとドットマトリクス表示部2aに様々な情報を表示する。
【0045】
なお、二つの液晶表示パネル2と3は、図示するように、分離された形態でも良いし、液晶表示パネル2と3を結合した形態でも良い。また、ドットマトリクス表示部2aとセグメント表示部3aは、TN型の液晶表示パネルとして説明したが、他の方式の液晶パネルでも適応されることはもちろんである。
【0046】
このように、本実施形態の液晶表示装置1は、駆動信号数の多いドットマトリクス表示部2aをドットマトリクスドライバIC4で駆動し、駆動信号数の少ないセグメント表示部3aをマイコン6に内蔵のセグメントドライバ回路5で駆動することによって、表示情報量の多い液晶パネルをひとつの汎用マイコンによって制御し、多くの情報を表示することが出来る。
【0047】
ここで、ドットマトリクス表示部2aが、一例として128ドット×160ドットの画素数を有する表示部であると仮定すると、ドットマトリクス表示部2aが必要とする駆動信号数は、走査信号MCMが128本、表示信号MSGが160本で、合計288本となる。このように多数の駆動信号が必要な液晶表示パネルを一つのマイコンによって直接駆動する場合を想定すると、マイコンに多数の出力ポートと大規模な液晶ドライバ回路が必要となるので、マイコンは汎用品が使用できず、大規模なカスタム・マイコンを開発する必要が生じ、開発期間や開発費が問題となる。
【0048】
また、マイコンの出力ピン数が多いためにパッケージが大きくなり、液晶表示装置の小型化が困難になる。また、マイコンと表示部とを電気的に接続する配線数が膨大となり、接続のためのフレキシブル基板等のコストアップや接続の信頼性低下等が問題となる。また、汎用マイコンが使えないことは、製品の仕様変更や製品のラインナップを揃える場合にも不利であり、僅かな仕様変更でも、カスタム・マイコンを作り直す必要が生じて大きな問題がある。
【0049】
しかしながら、本実施形態の液晶表示装置は、駆動信号数の少ないセグメント表示部3aだけをマイコン6から直接駆動し、駆動信号数の多いドットマトリクス表示部2aは、別チップであるドットマトリクスドライバIC4によって駆動するので、マイコン6には、多数の出力ポートも大規模なドライバ回路も不要であり、マイコンは一般的な液晶ドライバ回路を内蔵する汎用マイコンを使用することが出来る。また、ドットマトリクスドライバIC4についても、多出力の汎用液晶ドライバICは数多く製品化されているので、必要な駆動信号数を考慮して汎用液晶ドライバICを選択し、使用すれば良い。また、ド
ットマトリクスドライバIC4は、後述するが液晶表示パネルのガラス基板に実装し、駆動信号の配線はガラス基板上に形成できるので、高密度実装、高密度配線が可能である。
【0050】
よって、本実施形態の液晶表示装置は、セグメント表示部とドットマトリクス表示部との両方を有する表示情報の多い液晶表示パネルを、汎用マイコンと汎用液晶ドライバICを組み合わせて駆動することで、最小の回路構成によって小型化、高信頼性、開発期間短縮、低価格等を実現できる大きな効果を有している。
【実施例2】
【0051】
次に、第2の実施形態の液晶表示装置の構成について図2を用いて説明する。本実施形態では、ドットマトリクス表示部またはセグメント表示部のどちらか一方に強誘電性液晶層を用いたFLC液晶表示パネルを採用している。ここでは、ドットマトリクス表示部にFLC液晶表示パネルを用いた場合を説明する。図2において、10は第2の実施形態としての液晶表示装置である。液晶表示装置10は、強誘電性液晶層を有する強誘電性液晶ドットマトリクス表示部12(以下、FLCドットマトリクス表示部12と略す)と、TN液晶層を有するTNセグメント表示部13と、を備える液晶表示パネル11と、FLCドットマトリクス表示部12に強誘電性液晶層を駆動する駆動信号を供給するドットマトリクス電極駆動用強誘電性液晶ドライバIC14(以下、FLCドットマトリクスドライバIC14と略す)と、信号電極駆動用TN液晶ドライバ回路15(以下、TNセグメントドライバ回路15と略す)を内蔵するマイクロコンピュータ16(以下、マイコン16と略す)などによって構成される。
【0052】
ここで、液晶表示パネル11は、従来例で示した液晶表示パネル120(図9(b)参照)と同様に、液晶層を挟持する対向する一対のガラス基板を有し、そのガラス基板にFLCドットマトリクス表示部12とTNセグメント表示部13が形成される。また、FLCドットマトリクスドライバIC14は、液晶表示パネル11のガラス基板上に実装されるので、FLCドットマトリクス表示部12とTNセグメント表示部13とFLCドットマトリクスドライバIC14は、ひとつの液晶表示パネル11として一体化されている。
【0053】
また、FLCドットマトリクス表示部12は、ここでは図示しないが、前述の第1の実施形態のドットマトリクス表示部2aと同様に多数の走査電極と信号電極を備えている。また、TNセグメント表示部13は第1の実施形態のセグメント表示部3aと同様に、少数の走査電極と信号電極を備えている。なお、これらの表示部の詳細は、後述する第3の実施形態の記載の中で説明する。
【0054】
マイコン16は、第1の実施形態と同様にTNセグメントドライバ回路15の他に、図示しないがCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート、時計回路(タイマ回路)等を内蔵し、外部から制御信号P1が入力され、TNセグメントドライバ回路15を制御すると共に、ドット表示制御信号P2を出力ポート(図示せず)から出力してFLCドットマトリクスドライバIC14に供給する。
【0055】
また、マイコン16に内蔵されるTNセグメントドライバ回路15から、駆動信号として複数の走査信号CMと、複数の表示信号SGが出力され、前述のTNセグメント表示部13に供給される。すなわち、TNセグメントドライバ回路15は、TN液晶によって成るTNセグメント表示部13を駆動するためのドライバ回路である。また、FLCドットマトリクスドライバIC14は、マイコン16からドット表示制御信号P2が入力され、駆動信号として多数の走査信号FMCMと表示信号FMSGを出力し、前述のFLCドットマトリクス表示部12に供給する。
【0056】
また、マイコン16とFLCドットマトリクスドライバIC14は、第1の実施形態と
同様に外部から電源VDDを入力して駆動される。マイコン16は、この電源VDDが供給されることによって動作し、制御信号P1に基づいて、内蔵するTNセグメントドライバ回路15と別チップのドットマトリクスドライバIC14を制御し、TNセグメント表示部13とFLCドットマトリクス表示部12に様々な情報を表示する。
【0057】
このように、本実施形態の液晶表示装置10は、駆動信号数の多いFLCドットマトリクス表示部12をFLCドットマトリクスドライバIC14で駆動し、駆動信号数の少ないTNセグメント表示部13をマイコン16に内蔵のTNセグメントドライバ回路15で駆動することによって、表示情報量の多い液晶パネルをひとつのマイコンによって制御し、多くの情報を表示することが出来る。
【0058】
また、液晶表示パネル11は、ガラス基板にFLCドットマトリクス表示部12とTNセグメント表示部13が形成され、FLCドットマトリクスドライバIC14もガラス基板上に実装されて一体化しているので、小型薄型の液晶表示装置を実現できると共に、FLCドットマトリクスドライバIC14とFLCドットマトリクス表示部12を電気的に接続する走査信号FMCMと表示信号FMSGの多数の信号ラインをガラス基板上で形成でき、信頼性が高く取り扱いが容易な液晶表示装置を実現できる。これらの効果は、セグメント表示部に強誘電性液晶層を用いて、ドットマトリクス表示部にTN液晶層を用いた場合でも、同様に得ることが可能である。
【0059】
また、ドットマトリクス表示部に強誘電性液晶を用いた場合には、FLCドットマトリクス表示部12は、メモリ性を有しているので、表示が変化するときにのみ走査信号FMCMと表示信号FMSGを供給し、表示が変化していないときは、FLCドットマトリクスドライバIC14を休止状態にして走査信号FMCMと表示信号FMSGの出力を停止することが出来る。これにより、FLCドットマトリクスドライバIC14とFLCドットマトリクス表示部12の消費電流を極めて小さく出来るので、特に低消費電流の液晶表示装置を実現でき、効果的である。
【0060】
また、メモリ性を有するFLCドットマトリクス表示部12には、表示を書き換える頻度が少ない情報を表示し、メモリ性が無いTNセグメント表示部13は、時刻表示など、表示書き換え頻度が多い情報を表示させることで、それぞれの表示パネルの特性に合った使い方が出来る。
【0061】
また、マイコン16は、一般的なTN液晶を駆動するドライバ回路を内蔵したマイコンで良いので、第1の実施形態と同様に汎用のマイコンを使用することが出来る。また、FLCドットマトリクスドライバIC14は、強誘電性液晶を駆動するドライバICであるが、近年、強誘電性液晶用の汎用ドライバICは入手が可能になっているので、FLCドットマトリクスドライバIC14についても汎用ドライバICを使用することが可能である。これにより、本実施形態も汎用マイコンと汎用液晶ドライバICを組み合わせて実現できるので、第1の実施形態と同様に様々な効果を有している。
【実施例3】
【0062】
[第3の実施形態の液晶表示装置の構成説明:図3]
次に、第3の実施形態の液晶表示装置の構成を図3を用いて説明する。なお、第3の実施形態は、前述した第2の実施形態と基本構成は同じであるので、同一要素には同一番号を付して一部の説明は省略する。
【0063】
図3において、20は第3の実施形態としての液晶表示装置である。液晶表示装置20は、FLCドットマトリクス表示部12と、強誘電性液晶層を有するセグメント強誘電性液晶表示部23(以下、FLCセグメント表示部23と略す)と、を備える液晶表示パネ
ル21と、FLCドットマトリクス表示部12に強誘電性液晶層を駆動する駆動信号を供給するFLCドットマトリクスドライバIC14と、FLCセグメント表示部23に強誘電性液晶層を駆動する駆動信号を供給する信号電極駆動用強誘電性液晶ドライバ回路25(以下、FLCセグメントドライバ回路25と略す)を内蔵する強誘電性液晶ドライバ内蔵マイクロコンピュータ26(以下、FLCドライバ内蔵マイコン26と略す)などによって構成される。
【0064】
ここで、液晶表示パネル21は、従来例で示した液晶表示パネル120(図9(b)参照)と同様に、液晶層を挟持する対向する一対のガラス基板を有し、そのガラス基板にFLCドットマトリクス表示部12とFLCセグメント表示部23が形成される。また、FLCドットマトリクスドライバIC14は、液晶表示パネル21のガラス基板上に実装されるので、FLCドットマトリクス表示部12とFLCセグメント表示部23とFLCドットマトリクスドライバIC14は、ひとつの液晶表示パネル21として一体化されている。
【0065】
また、FLCドットマトリクス表示部12は、第2の実施形態のFLCドットマトリクス表示部12と同一であり、多数の走査電極と信号電極を備えている。また、FLCセグメント表示部23は液晶層が強誘電性液晶層である以外は先の実施形態のTNセグメント表示部と同様であり、比較的少数の走査電極と信号電極を備えている。なお、これらの表示部の電極構造等の詳細は後述する。
【0066】
FLCドライバ内蔵マイコン26は、FLCセグメントドライバ回路25を内蔵する他に、図示しないがCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート、時計回路(タイマ回路)等を内蔵し、外部から制御信号P1が入力され、FLCセグメントドライバ回路25を制御すると共に、ドット表示制御信号P2を出力ポート(図示せず)から出力してFLCドットマトリクスドライバIC14に供給する。
【0067】
また、FLCドライバ内蔵マイコン26に内蔵されるFLCセグメントドライバ回路25から、駆動信号として複数の走査信号FCMと、複数の表示信号FSGが出力され、前述のFLCセグメント表示部23に供給される。また、FLCドットマトリクスドライバIC14は、FLCドライバ内蔵マイコン26からドット表示制御信号P2が入力され、駆動信号として複数の走査信号FMCMと表示信号FMSGを出力し、前述のFLCドットマトリクス表示部12に供給する。
【0068】
また、FLCドライバ内蔵マイコン26とFLCドットマトリクスドライバIC14は、第2の実施形態と同様に外部から電源VDDを入力して駆動される。FLCドライバ内蔵マイコン26は、この電源VDDが供給されることによって動作し、制御信号P1に基づいて、内蔵するFLCセグメントドライバ回路25と別チップのドットマトリクスドライバIC14を制御し、FLCセグメント表示部23とFLCドットマトリクス表示部12に様々な情報を表示する。
【0069】
このように、本実施形態の液晶表示装置20は、駆動信号数の多いFLCドットマトリクス表示部12をFLCドットマトリクスドライバIC14で駆動し、駆動信号数の少ないFLCセグメント表示部23をFLCドライバ内蔵マイコン26に内蔵のFLCセグメントドライバ回路25で駆動することによって、表示情報量の多い液晶パネルをひとつのマイコンによって制御し、多くの情報を表示することが出来る。
【0070】
また、第2の実施形態と同様に、液晶表示パネル21は、ガラス基板にFLCドットマトリクス表示部12とFLCセグメント表示部23が形成され、FLCドットマトリクスドライバIC14もガラス基板上に実装されて一体化しているので、小型薄型の液晶表示
装置を実現できると共に、FLCドットマトリクスドライバIC14とFLCドットマトリクス表示部12を電気的に接続する走査信号FMCMと表示信号FMSGの多数の信号ラインをガラス基板上で形成できる。
【0071】
また、FLCドットマトリクス表示部12とFLCセグメント表示部23は共に、メモリ性を有しているので、表示を書き換えるときにのみ走査信号FMCMと表示信号FMSG、及び、走査信号FCMと表示信号FSGを供給し、表示を書き換えないときは、FLCドットマトリクスドライバIC14とFLCセグメントドライバ回路25を休止状態にして走査信号FMCMと表示信号FMSG、及び、走査信号FCMと表示信号FSGの出力を停止することが出来る。これにより、FLCドットマトリクスドライバIC14とFLCドットマトリクス表示部12、及び、FLCセグメントドライバ回路25とFLCセグメント表示部23の消費電流を極めて小さく出来るので、低消費電流の液晶表示装置を実現できる。
【0072】
また、本実施形態の液晶表示装置20は、二つの表示部ともにメモリ性を有する液晶表示パネルを備えているので、それぞれの表示部を書き換えた後、次の表示の書き換えまでの期間、電源VDDをオフして、FLCドライバ内蔵マイコン26とFLCドットマトリクスドライバIC14を完全に停止させても良い。これにより、電源がオフの期間でも二つの表示部は情報を表示しているが、液晶表示装置としての消費電流は零に近い値にすることが出来る。また、FLCドライバ内蔵マイコン26のタイマ回路(図示せず)のみを動作させ、タイマ回路からの所定時間ごとの割り込みによってFLCドライバ内蔵マイコン26を起動し、表示書き込み動作を実行するなどの制御を行っても良い。
【0073】
また、FLCセグメント表示部23は、画素数を考慮して多くても1/4程度の時分割駆動でよいので、表示の書き換え時に、後述するリセット動作に起因する表示のちらつき現象が少ない特徴がある。このため、時刻表示などの頻繁に書き換える情報は、FLCセグメント表示部23で行い、頻繁に表示を書き換えてもちらつき現象が目立たないようにし、頻繁に表示を書き換えない情報は、分割数が多いFLCドットマトリクス表示部12で行い、ちらつきが見えても書き換え頻度が少ないので目立たない構成を採用することが出来る。このように、FLCセグメント表示部23とFLCドットマトリクス表示部12の二つの表示部の表示内容を、書き換え頻度を考慮して選択することで、より表示品質に優れた液晶表示装置を実現できる。
【0074】
また、本実施形態で用いるFLCドライバ内蔵マイコン26は、強誘電性液晶を駆動出来るドライバ回路を内蔵したマイコンでなければならないが、強誘電性液晶を駆動できるマイコンはすでに製品化されつつあり、今後、汎用型のFLCドライバ内蔵マイコンは十分入手出来ると思われる。よって、本実施形態においても強誘電性液晶用の汎用ドライバICと共に、汎用のFLCドライバ内蔵マイコンを用いることで、第1及び第2の実施形態と同様に優れた様々な効果を得ることが出来る。
【0075】
[ドットマトリクス表示部の駆動電極の説明:図4]
次に、各実施形態のドットマトリクス表示部の駆動電極の構成例について図4を用いて説明する。なお、説明の前提として、ドットマトリクス表示部の内部構造は、従来例で示した図9(b)と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略し、電極の構成のみを説明する。図4において、ドットマトリクス表示部2aは、透明の駆動電極である走査電極COM1〜COM7と信号電極SEG1〜SEG7が、横列と縦列に配置され、それぞれの電極が重なった部分が画素Gとして格子状に形成される。そして、走査電極COM1〜COM7と信号電極SEG1〜SEG7の間に図示しないが、TN液晶層または強誘電性液晶層が形成されている。
【0076】
なお、後述する説明のために、走査電極COM1と信号電極SEG1による画素を画素G1、走査電極COM2と信号電極SEG1による画素を画素G2、走査電極COM3と信号電極SEG1による画素を画素G3、走査電極COM4と信号電極SEG1による画素を画素G4と定義し、特定しない画素を示す場合は画素Gとする。
【0077】
また、走査電極COMと信号電極SEGの本数は、説明の都合上各7本として示したが、この本数に限定されず、実際は一例として走査電極COMが128本であり、信号電極SEGが160本である。なお、セグメント表示部は、駆動電極本数と電極形状が異なるだけで、基本的な構成は同様であるが、例えばスタティック駆動の場合、信号電極SEGの本数は、画素の個数と同一とし、走査電極COMは1つのベタ電極とすることができる。
【0078】
[駆動信号の説明:図5]
次にドットマトリクス表示部2aを書き換えるための駆動信号の一例について、図4と図5を用いて説明する。なお、駆動信号は、TN液晶や強誘電性液晶を用いた液晶パネルを駆動する一般的な駆動方法を採用することができる。ここでは一例として、強誘電性液晶を用いたFLCドットマトリクス表示部の駆動信号について、詳しく説明する。先の実施形態で示したFLCドットマトリクス表示部12は、前述したように多くの走査電極と信号電極を有するが、ここでは、説明の都合上、4本の走査電極COM1〜COM4に供給する4つの走査信号FMCM1〜FMCM4と、1本の信号電極SEG1に供給する一つの表示信号FMSG1を図示し、前述の画素G1、G2、G3、G4に印加される駆動信号について説明する。また、画素G1に印加される合成駆動信号FMCM1−FMSG1と、画素G4に印加される合成駆動信号FMCM4−FMSG1を図示して説明する。
【0079】
また、各駆動信号は、4値の電圧、すなわち、電圧V0、電圧V1、電圧V2、電圧V3が出力される。ここで、電圧V3は、前述の図10で示した強誘電性液晶の飽和電圧Vh以上の電圧値に設定され、また、電圧V1は、閾値電圧Vt以下の電圧値に設定される。一例として電圧V3=5ボルトであり、電圧V2=2/3×電圧V3であり、電圧V1=1/3×電圧V3であり、電圧V0=0ボルトである。よって、電圧V0、V1、V2、V3のそれぞれの電圧差は等しく、電圧V1の値となる。
【0080】
図5において、駆動信号は、表示を書き換えるためにすべての画素G(図4参照)の強誘電性液晶層を一方の安定状態にリセットするためのリセット期間Rsと、各画素Gに表示データを書き込む選択期間Sctとを備えている。そして、選択期間Sctは、走査電極COM1を選択する期間S1、走査電極COM2を選択する期間S2、走査電極COM3を選択する期間S3、及び走査電極COM4を選択する期間S4が存在する。なお、走査電極数がn個ある場合、選択期間Sctは図示しないが期間S1から期間Snまである。
【0081】
まず、リセット期間Rsについて説明する。このリセット期間Rsは、前述したように、FLCドットマトリクス表示部12の強誘電性液晶層を一方の安定状態にリセットするための期間である。走査信号FMCM1〜FMCM4のすべては、リセット期間Rsの前半に電圧V3のパルスを出力し、リセット期間Rsの後半に電圧V0を出力する。また、表示信号FMSG1はリセット期間Rsの前半に電圧V0を出力し、リセット期間Rsの後半に電圧V3のパルスを出力する。なお、走査電極数がn個ある場合は、走査信号FMCM1〜FMCMnのすべてがリセット期間Rsの前半に電圧V3のパルスを出力し、信号電極数がn個ある場合は、表示信号FMSG1〜FMSGnのすべてがリセット期間Rsの後半に電圧V3のパルスを出力する。
【0082】
これにより、たとえば走査電極COM1と信号電極SEG1が重なって形成される画素
G1(図4参照)の強誘電性液晶層に印加される合成駆動信号FMCM1−FMSG1は、図示するように、リセット期間Rsの前半は、電圧+V3が印加され、リセット期間Rsの後半は電圧−V3が印加される。すなわち、リセット期間Rsにおいて、画素G1には電圧±V3の双極性のリセットパルスが印加される。
【0083】
また、走査電極COM4と信号電極SEG1が重なって形成される画素G4(図4参照)の強誘電性液晶層に印加される合成駆動信号FMCM4−FMSG1も同様に、電圧±V3の双極性のリセットパルスが印加される。このように、リセット期間の前半に電圧+V3が印加され、後半に電圧−V3が印加されることによって、FLCドットマトリクス表示部12のすべての画素Gは、まず電圧+V3の印加で第2の安定状態(白表示:図10参照)となり、次の電圧−V3の印加で瞬時に第1の安定状態(黒表示:図10参照)となってリセットされる。
【0084】
すなわち、リセット期間Rsに印加されるリセットパルスによって、すべての画素Gは、黒表示に書き換えられる。なお、リセットパルスを反転させることによって第2の安定状態(白表示)にリセットすることも出来る。
【0085】
次にリセット期間Rsが終了すると、駆動信号は前述した選択期間Sctに移行する。ここで、期間S1は走査電極COM1の選択期間であるので、走査電極COM1に印加される走査信号FMCM1は、図示するように期間S1の前半は電圧V0が出力され、期間S1の後半は電圧V3が出力される。この期間S1の電圧V0とV3の波形が走査電極COM1を選択する選択波形である。また、走査信号FMCM1の他の期間、すなわち、期間S2〜S4は、図示するように非選択波形として、それぞれの期間の前半は電圧V2が出力され、期間の後半は電圧V1が出力される。
【0086】
また、期間S2は走査電極COM2の選択期間であるので、走査電極COM2に印加される走査信号FMCM2は、図示するように期間S2の前半は電圧V0が出力され、期間S2の後半は電圧V3が出力される。この期間S2の電圧V0とV3の波形が走査電極COM2を選択する選択波形である。また、走査信号FMCM2の他の期間、すなわち、期間S1、S3、S4は、図示するように非選択波形として、それぞれの期間の前半は電圧V2が出力され、期間の後半は電圧V1が出力される。
【0087】
また、期間S3は走査電極COM3の選択期間であるので、走査電極COM3に印加される走査信号FMCM3は、図示するように期間S3の前半は電圧V0が出力され、期間S2の後半は電圧V3が出力される。この期間S3の電圧V0とV3の波形が走査電極COM3を選択する選択波形である。また、走査信号FMCM3の他の期間、すなわち、期間S1、S2、S4は、図示するように非選択波形として、それぞれの期間の前半は電圧V2が出力され、期間の後半は電圧V1が出力される。
【0088】
また、期間S4は走査電極COM4の選択期間であるので、走査電極COM4に印加される走査信号FMCM4は、図示するように期間S4の前半は電圧V0が出力され、期間S2の後半は電圧V3が出力される。この期間S4の電圧V0とV3の波形が走査電極COM4を選択する選択波形である。また、走査信号FMCM4の他の期間、すなわち、期間S1〜S3は、図示するように非選択波形として、それぞれの期間の前半は電圧V2が出力され、期間の後半は電圧V1が出力される。
【0089】
次に、選択期間Sctにおける表示信号FMSG1について説明する。なお、画素を書き換える一例として、画素G1とG4をリセット状態の黒表示から白表示に書き換え、画素G2とG3をリセット状態の黒表示のまま継続する場合について説明する。ここで、画素G1とG4を白表示に書き換える場合、画素G1は走査電極COM1を選択する期間S
1によって選択されるので、表示信号FMSG1は、図示するように期間S1の前半で電圧V3が出力され、期間S1の後半で電圧V0が出力される。また、画素G4は走査電極COM4を選択する期間S4によって選択されるので、表示信号FMSG1は、図示するように期間S4の前半で電圧V3が出力され、期間S4の後半で電圧V0が出力される。
【0090】
また、書き換えが行われない画素G2は、走査電極COM2を選択する期間S2によって選択されるので、表示信号FMSG1は、図示するように期間S2の前半で電圧V1が出力され、期間S2の後半で電圧V2が出力される。また同様に、書き換えが行われない画素G3は、走査電極COM3を選択する期間S3によって選択されるので、表示信号FMSG1は、図示するように期間S3の前半で電圧V1が出力され、期間S2の後半で電圧V2が出力される。
【0091】
次に、画素G1に印加される合成駆動信号FMCM1−FMSG1の選択期間Sctにおける波形を説明する。まず、期間S1において、期間S1の前半は走査信号FMCM1の電圧V0と表示信号FMSG1の電圧V3が合成されて、図示するように電圧−V3となる。また、期間S1の後半は走査信号FMCM1の電圧V3と表示信号FMSG1の電圧V0が合成されて、図示するように電圧+V3となる。これにより、画素G1は、期間S1において黒表示から白表示に書き換えられる。
【0092】
また、合成駆動信号FMCM1−FMSG1の他の期間S2、S3の前半は、走査信号FMCM1の電圧V2と表示信号FMSG1の電圧V1が合成されて、図示するように電圧+V1となる。また、期間S2、S3の後半は、走査信号FMCM1の電圧V1と表示信号FMSG1の電圧V2が合成されて、図示するように電圧−V1となる。
【0093】
また、同じく合成駆動信号FMCM1−FMSG1の他の期間S4の前半は、走査信号FMCM1の電圧V2と表示信号FMSG1の電圧V3が合成されて、図示するように電圧−V1となる。また、期間S4の後半は、走査信号FMCM1の電圧V1と表示信号FMSG1の電圧V0が合成されて、図示するように電圧+V1となる。よって、画素G1の期間S2〜S4は、電圧±V1が印加されることになり、この電圧±V1は、前述したように強誘電性液晶の閾値電圧Vtより低い電圧値であるので、画素G1は書き換えられることなく、白表示を継続する。
【0094】
次に、画素G4に印加される合成駆動信号FMCM4−FMSG1の選択期間Sctにおける波形を説明する。ここで、合成駆動信号FMCM4−FMSG1の期間S1の前半は、走査信号FMCM4の電圧V2と表示信号FMSG1の電圧V3が合成されて、図示するように電圧−V1となる。また、期間S1の後半は、走査信号FMCM4の電圧V1と表示信号FMSG1の電圧V0が合成されて、図示するように電圧+V1となる。
【0095】
また、同じく合成駆動信号FMCM4−FMSG1の期間S2、S3の前半は、走査信号FMCM4の電圧V2と表示信号FMSG1の電圧V1が合成されて、図示するように電圧+V1となる。また、期間S2、S3の後半は、走査信号FMCM4の電圧V1と表示信号FMSG1の電圧V2が合成されて、図示するように電圧−V1となる。従って、画素G4の期間S1〜S3は、電圧±V1が印加されることになり、この電圧±V1は、前述したように強誘電性液晶の閾値電圧Vtより低い電圧値であるので、画素G4はリセット状態から書き換えられることなく、黒表示を継続する。
【0096】
また、合成駆動信号FMCM4−FMSG1の期間S4の前半は、走査信号FMCM4の電圧V0と表示信号FMSG1の電圧V3が合成されて、図示するように電圧−V3となる。また、期間S4の後半は走査信号FMCM4の電圧V3と表示信号FMSG1の電圧V0が合成されて、図示するように電圧+V3となる。これにより、画素G4は、この
期間S4でリセット状態の黒表示から白表示に書き換えられる。
【0097】
このように、FLCドットマトリクス表示部12の各画素Gは、その画素が選択された走査信号のタイミングに合わせて、表示信号の駆動波形を選択期間の前半に電圧V3を印加し、後半に電圧V0を印加することで、リセット状態の黒表示を白表示に書き換えることが出来る。
【0098】
そして、表示の書き換え後は、FLCドットマトリクス表示部12はメモリ性を有しているので、走査信号と表示信号は電圧V0に固定して良い。すなわち、図5に示す駆動波形は、FLCドットマトリクス表示部12を書き換えるときに供給すれば良く、書き換える必要がないときは、全ての駆動信号を例えば電圧V0に固定して良い。これにより、消費電流が極めて少ない液晶表示装置を実現することが出来る。
【0099】
なお、図5において、画素G1に印加される合成駆動信号FMCM1−FMSG1と、画素G4に印加される合成駆動信号FMCM4−FMSG1だけを図示して説明したが、期間S2で選択される画素G2と期間S3で選択される画素G3に印加される合成駆動信号は、表示信号FMSG1の波形が共に期間の前半は電圧V1であり、期間の後半は電圧V2であるので、その合成電圧は共に電圧±V1となり、画素G2、G3は書き換えられない。
【0100】
すなわち、図5において例示した走査信号FMCM1〜FMCM4と表示信号FMSG1は、図4で示したドットマトリクス表示部の画素G1とG4を白表示に書き換え、画素G2とG3をリセット状態の黒表示に維持する駆動波形の一例である。なお、FLCドットマトリクス表示部12の駆動波形は、図5に限定されるものではなく、強誘電性液晶の特性に対応して任意に変更してよい。
【0101】
また、強誘電性液晶の駆動は、前述したように、一般的に全画面をリセットしてから表示を書き換えるので、リセット状態になってから画面が書き換えられるまで、所定の時間が必要であり、走査電極数が多い場合、書き換えられるまでの時間が長くなり、表示の書き換え時に表示画面にちらつき現象が見える場合がある。このちらつき現象は、走査電極数が多く、且つ、書き換え頻度が高い場合に目立つ現象である。ここで、第3の実施形態の液晶表示装置は、前述したように、走査電極数が少ないFLCセグメント表示部23と、走査電極数が多いFLCドットマトリクスル表示部12の二つの表示部を備えているので、書き換え頻度が少ない表示情報をFLCドットマトリクス表示部12で表示させ、書き換え頻度が多い表示情報をFLCセグメント表示部23で表示させることで、ちらつき現象を低減させる工夫を行うことが出来る。
【0102】
また、FLCセグメント表示部23の駆動波形も、図5で示した駆動波形と同様でよいので説明は省略する。また、第1及び第2の実施形態に用いられるTN液晶の駆動波形は、公知であるのでここでの説明は省略する。
【0103】
[配置構成の説明:図6]
次に、本発明の液晶表示装置におけるセグメント表示部とドットマトリクス表示部とドットマトリクスドライバICの最適な配置構成の一例について図6を用いて説明する。なお、TN液晶を用いた液晶表示パネルでも強誘電性液晶を用いた液晶表示パネルでも、どちらの液晶表示パネルを採用することが可能だが、ここでは、セグメント表示部とドットマトリクス表示部との両方に強誘電性液晶を用いた場合について述べる。前述した各実施形態のブロック図と同一要素には同一番号を付し、重複する説明は一部省略する。図6において、液晶表示装置20の構成は大きく分けて、液晶表示パネル21と、FLCドライバ内蔵マイコン26を実装する回路基板30と、液晶表示パネル21と回路基板30とを
接続する接続部材としてのフレキシブル基板40(以下、FPC40と略す)によって構成される。
【0104】
液晶表示パネル21は、従来例で示した液晶表示パネル120(図9参照)と同様に、一対のガラス基板22を有しており、このガラス基板22に、FLCセグメント表示部23とFLCドットマトリクス表示部12が形成され、また、ガラス基板22の表面上にFLCドットマトリクスドライバIC14がフリップチップ実装法などによって実装されている。また、ガラス基板22の図面上の下側には、FPC40を接続するための接続部22aを有している。この接続部22aは、ITO(Indium Tin Oxide)膜による複数の透明電極で形成される。
【0105】
ここで、液晶表示パネル21上の各要素間の電気的接続を説明する。この各要素間での電気的な接続は、前述の図3で示したブロック図の通りであるので、重複する説明は省略するが、接続部22aとFLCドットマトリクスドライバIC14は、複数のドット表示制御信号P2が接続される。また、FLCドットマトリクスドライバIC14とFLCドットマトリクス表示部12は、多数の走査信号FMCMと表示信号FMSGが接続される。また、接続部22aとFLCセグメント表示部23は、走査信号FCMと表示信号FSGが接続される。なお、図面上の各信号のラインは模式的に図示しており、実際の配線数を示しているものではない。また、電源VDD等は図示を省略している。また、各信号ラインは、ガラス基板22の表面にITO膜によって形成される。
【0106】
次に、液晶表示パネル21上の各要素の配置を説明する。ここで、ガラス基板22の下側の端部に位置する接続部22aの近くにFLCドットマトリクスドライバIC14が配置され、FLCドットマトリクスドライバIC14の近くにFLCドットマトリクス表示部12が形成され、接続部22aから遠い位置にFLCセグメント表示部23が配置される。すなわち、図6の図面上で接続部22aがガラス基板22の下側の端部に配置されているが、この接続部22aから、FLCドットマトリクスドライバIC14、FLCドットマトリクス表示部12、FLCセグメント表示部23の順序で配置されることが好ましい。
【0107】
また、図示しないが、接続部22aがガラス基板22の上側の端部に配置される場合は、ガラス基板22の上側から見て、接続部22a、FLCドットマトリクスドライバIC14、FLCドットマトリクス表示部12、FLCセグメント表示部23の順序で配置されることが好ましい。
【0108】
この液晶表示パネル21の各要素の上述の配置によって、多くの利点が生まれる。たとえば、FLCドットマトリクス表示部12は、前述したように、様々な情報を表示するために多くの画素を有することが好ましく、一例として128ドット×160ドットの画素を有するが、これにより、FLCドットマトリクスドライバIC14からは、128本の走査信号FMCMと160本の表示信号FMSG、すなわち合計288本の駆動信号を出力してFLCドットマトリクス表示部12に接続される。このようにFLCドットマトリクス表示部12の駆動信号線数は膨大であるが、FLCドットマトリクス表示部12とFLCドットマトリクスドライバIC14が図示するように近くに配置されていることで、多数の駆動信号線を最短ルートで接続することが出来る。
【0109】
これにより、ガラス基板22上の駆動信号配線エリアの面積を小さく出来るので、ガラス基板22の無駄なエリアを無くして液晶表示パネル21の外形サイズを小さく出来る。また、駆動信号線の長さが短いので、駆動信号線を形成するITO膜の配線抵抗を最小限にでき、駆動波形の鈍りを防いで、FLCドットマトリクス表示部12の各画素を確実に駆動することが出来る。
【0110】
また、FLCセグメント表示部23と接続部22aは、図示するように、間にFLCドットマトリクス表示部12とFLCドットマトリクスドライバIC14が位置するので、距離が遠い配置となるが、FLCセグメント表示部23と接続部22aを接続する駆動信号である走査信号FCMと表示信号FSGの信号線数は、FLCドットマトリクスドライバIC14とFLCドットマトリクス表示部12を接続する走査信号FMCMと表示信号FMSGの信号線数と比較してかなり少ない本数である。
【0111】
たとえば、FLCセグメント表示部23が4分割のマトリクス駆動であり、画素数が44個である場合は、走査信号FCMが4本、表示信号FSGが11本で、合計15本となる。よって、FLCセグメント表示部23と接続部22aの位置が離れていても配線数が少ないので、ITO膜で形成される信号線幅を太くすることが出来る。このため、配線距離が長くても配線抵抗を小さくすることが出来、駆動波形の鈍りを防いで、FLCセグメント表示部23の各画素を確実に駆動することが出来る。
【0112】
また、接続部22aとFLCドットマトリクスドライバIC14は、近い位置に配置されているので、接続部22aとFLCドットマトリクスドライバIC14を接続するドット表示制御信号P2の配線距離を短く出来、これにより、配線抵抗が少ない配線で高速な制御信号を高品質で伝送することが出来る。
【0113】
また、FPC40を接続する接続部22aは、前述の走査信号FCMと表示信号FSG、ドット表示制御信号P2、及び電源(図示せず)だけの接続となるので、接続本数が少なく、FPC40の配線数も少ないので、FPC40の各配線幅を太く設計できると共に、FPC40の外形幅を比較的狭くできる。これにより、FPC40の配線抵抗を低くでき、また、取り扱いが容易になる。また、FPC40の接続本数が少ないことは、FPC40とガラス基板22の接続部22aとの接続、及びFPC40と回路基板30との接続の信頼性と接続するための固着作業の作業性を高める上で大変有効である。なお、FPC40の配線は図示を省略している。
【0114】
次に、回路基板30について説明する。回路基板30上には、FLCドライバ内蔵マイコン26とコネクタ31が実装されている。また、回路基板30は前述のFPC40が接続され、回路基板30と液晶表示パネル21は、FPC40によって電気的機械的に接続される。なお、回路基板30とFPC40の接続は、半田などによって直接固着しても良いし、表面実装コネクタ(図示せず)を介して接続しても良い。また、FLCドライバ内蔵マイコン26からは、ドット表示制御信号P2、走査信号FCM、表示信号FSG等の各信号線が出力して、FPC40に電気的に接続される。
【0115】
この配線によって、FLCドライバ内蔵マイコン26からのドット表示制御信号P2、走査信号FCM、表示信号FSGは、FPC40を介して液晶表示パネル21に伝達される。また、コネクタ31は、液晶表示装置20を組み込む本体(図示せず)からの制御信号P1や電源(図示せず)を入力するために設置され、このコネクタ31を介して、表示情報を含む制御信号P1を入力し、FLCドライバ内蔵マイコン26に伝達される。なお、回路基板30の配線は模式的に示しており、実際の配線数を示しているものではない。また、回路基板30は、FLCドライバ内蔵マイコン26とコネクタ31のみが実装されているが、これに限定されず、他の電子部品、たとえば、メモリや電池等を任意に実装しても良い。
【0116】
また、図6の配置図は、強誘電性液晶を用いた液晶表示パネルをドットマトリクス表示部とセグメント表示部とに用いた場合、つまり先の第3の実施形態を例として示したが、第3の実施形態に限定されるものではなく、この配置例は第1及び第2の実施形態におい
ても適応される。すなわち、第1の実施形態において、液晶表示パネル2と3は分離しているが、これを一つの液晶表示パネルとして結合し、ドットマトリクス表示部2aとセグメント表示部3aとドットマトリクスドライブIC4とを、図6と同様に配置することも出来る。また、第2の実施形態においても、FLCドットマトリクス表示部12とTNセグメント表示部13とFLCドットマトリクスドライブIC14とを、図6と同様に配置することも出来る。
【0117】
[表示例の説明:図7]
次に、各実施形態の液晶表示パネルによる表示例を図7を用いて説明する。ここで、説明の前提として、図6の配置図を採用した場合であって、本発明の液晶表示装置が商品価格等を表示する電子棚札の表示パネルとして機器に組み込まれることを例とする。
【0118】
図7において、本実施形態の液晶表示装置の液晶表示パネル31は、図面上の上部に6桁によるセブンセグメント表示を備えたセグメント表示部3aが配置され、図面上の下部には、ドットマトリクス表示によるドットマトリクス表示部2aが配置されている。ここで、前述したように、この液晶表示装置を電子棚札として用いる場合、セグメント表示部3aの6桁表示は時刻表示を行い、ここでは一例として、10時08分59秒を示している。
【0119】
また、ドットマトリクス表示部2aは、たとえば、128ドット×160ドットの画素を有しており、図示するように、商品を説明するための名称、価格、産地、バーコード、図形等を任意に表示することが出来る。
【0120】
ここで、電子棚札の場合は、商品を説明するドットマトリクス表示部2aの表示内容は、商品の種類や価格等を一日の開店前に決定して表示すればよいので、液晶層にメモリ性を備えた強誘電性液晶層を用いたFLCドットマトリクス表示部を採用すると、より好都合である。すなわち、FLCドライバ内蔵マイコン26(図3参照)が一日の開店前に動作して、FLCドットマトリクスドライバIC14(図3参照)を制御してドットマトリクス表示部2aの表示内容を書き換え、その後、FLCドットマトリクスドライバIC14を休止状態にするか、または電源を遮断して、ドットマトリクス表示部2aへの駆動信号を0ボルトにすることで、ドットマトリクス表示部2aは、書き換えられた表示情報を継続して表示すると共に、ドットマトリクス表示部2aを表示するための消費電流をほぼ零にすることが出来る。
【0121】
また、セグメント表示部3aに時刻を表示する場合でも、メモリ性を備えた強誘電性液晶層を用いたFLCセグメント表示部であれば、表示内容を書き換えた後、次に表示を更新するまで、駆動信号を0ボルトに固定できるので、セグメント表示部3aを表示するための消費電流を極めて小さくすることが出来る。
【0122】
また、時刻表示を行うセグメント表示部を、第2の実施形態のように、一般的なTN液晶層を有するTNセグメント表示部13としても良い。すなわち、秒表示を含んだ時刻表示の場合などでは、表示内容を1秒ごとに書き換える必要があるので、メモリ性を有するセグメント表示部の必要性が少ないからである。
【0123】
また、セグメント表示部3aとドットマトリクス表示部2aは共に、第1の実施形態のように、TN液晶層による液晶表示パネルでも良い。この場合、液晶表示パネルは、常に駆動されている必要があるが、一般的なTN液晶によって製造できるので、量産性に優れており、コストも安く抑えることが出来る。
【0124】
また、図7は電子棚札を例として示したが、本発明の液晶表示装置は、電子棚札に限定
されず、様々な電子機器の表示装置に応用することが出来る。たとえば、多機能型時計に組み込まれる液晶表示装置であれば、セグメント表示部3aは時刻表示、FLCドットマトリクス表示部12は、1ヶ月のカレンダなどを表示すれば、カレンダ表示の場合、表示の書き換えは、一日に1回、または1ヶ月に1回の書き換え頻度で良いので、メモリ性を有する液晶表示装置として好適である。
【0125】
また、本発明の実施形態で示したブロック図や配置図等は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更してよい。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の液晶表示装置は、構成が簡素で低消費電流であることから、特に電池駆動の小型電子機器の表示装置として好適であり、電子棚札、電子時計、携帯電話、携帯端末等の表示装置として利用することが出来る。
【符号の説明】
【0127】
1、10、20 液晶表示装置
2、3、11、21、31 液晶表示パネル
2a ドットマトリクス表示部
3a セグメント表示部
4 ドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバIC(ドットマトリクスドライバIC)
5 信号電極駆動用液晶ドライバ回路(セグメントドライバ回路)
6、16 マイクロコンピュータ(マイコン)
12 強誘電性液晶ドットマトリクス表示部(FLCドットマトリクス表示部)
13 TNセグメント表示部
14 ドットマトリクス電極駆動用強誘電性液晶ドライバIC(FLCドットマトリクスドライバIC)
15 信号電極駆動用TN液晶ドライバ回路(TNセグメントドライバ回路)
22 ガラス基板
22a 接続部
23 セグメント強誘電性液晶表示部(FLCセグメント表示部)
25 信号電極駆動用強誘電性液晶ドライバ回路(FLCセグメントドライバ回路)
26 強誘電性液晶ドライバ内蔵マイクロコンピュータ(FLCドライバ内蔵マイコン)
30 回路基板
31 コネクタ
40 フレキシブル基板(FPC)
G、G1〜G4 画素
COM1〜COM7 走査電極
SEG1〜SEG7 信号電極
P1 制御信号
P2 ドット表示制御信号
CM、MCM、FCM、FMCM 走査信号
SG、MSG、FSG、FMSG 表示信号
VDD 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セグメント表示部とドットマトリクス表示部とを有する液晶表示パネルと、
前記セグメント表示部に駆動信号を供給する信号電極駆動用液晶ドライバ回路を内蔵するマイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータの制御信号に基づいて前記ドットマトリクス表示部に駆動信号を供給するドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバICと、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記ドットマトリクス表示部は強誘電性液晶層を有し、前記ドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバICは、前記強誘電性液晶層を駆動するための駆動信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記セグメント表示部は強誘電性液晶層を有し、前記信号電極駆動用液晶ドライバ回路は、前記強誘電性液晶層を駆動するための駆動信号を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記セグメント表示部と前記ドットマトリクス表示部は、一体化されてひとつの液晶表示パネルによって構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記ドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバICは、前記液晶表示パネルの基板上に実装されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記液晶表示パネルは、外部から前記駆動信号を入力するための接続部を有し、
該接続部と前記マイクロコンピュータは、接続部材によって電気的に接続されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記液晶表示パネルは、前記接続部の近くに前記ドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバICが配置され、
前記ドットマトリクス電極駆動用液晶ドライバICの近い位置に前記ドットマトリクス表示部が形成され、前記接続部から遠い位置に前記セグメント表示部が形成されることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記接続部材は、フレキシブル基板であることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−158705(P2011−158705A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20239(P2010−20239)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】