説明

液晶表示装置

【課題】液晶表示装置の表示品質の劣化を抑制することである。
【解決手段】絶縁基板の上面に形成されたゲート電極12と、ゲート電極12を覆うように積層されたゲート絶縁膜11と、ゲート絶縁膜11の上方に形成されるドレイン電極7およびソース電極8と、ゲート絶縁膜11の上面に積層されて、ゲート電極12が発生させる電界によりドレイン電極7及びソース電極8間の電流を制御する半導体層9と、半導体層9の上方のチャネル領域13に対応した領域に形成された開口部14を有する共通電極2と、ドレイン電極7およびソース電極8から離間して配置された帯電防止パターン16とを含み、帯電防止パターン16の一端および他端を共通電極2に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係わり、特に、表示品質の劣化を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置として、TFT(Thin Film Transistor)を構成するソース電極とドレイン電極の上に成膜されたパッシベーション層の上に平面状のコモン電極(共通電極)が形成され、該コモン電極の上に層間絶縁膜が形成され、該層間絶縁膜の上に画素電極が形成されたものが知られている(以下の特許文献1参照)。
【0003】
ソース電極とドレイン電極の間に位置し、かつ、ゲート電極上に成膜された半導体層(アモルファスシリコン層(a−si層))の上部には後述するバックチャネル領域が存在している。
【0004】
以下に、図8および図9を参照してTFT上に柱状スペーサが配置されたTFTアレイの構成について説明する。
図8は、従来の液晶表示装置100の画素を示した要部平面図である。図9は、図8のA−A´線断面図である。なお、図8および図9において、X、Y、ZはそれぞれX軸、Y軸、Z軸を示す。
【0005】
図9に示すように、TFTアレイ101はゲート電極112、ゲート絶縁膜111、半導体層109、ドレイン電極107、ソース電極108、パッシベーション層103、コモン電極(共通電極)102を含んで構成されている。
【0006】
ゲート電極112は、図示しない絶縁基板の上に形成されている。ゲート絶縁膜111は、ゲート電極112を覆うように形成されている。
【0007】
半導体層109は、ゲート絶縁膜111の上に、かつ、ゲート電極と対向する位置に形成されている。この半導体層109は、TFTのバックチャネル領域113(以下、単に「チャネル領域」と呼ぶ。)を形成し、例えば、プラズマCVD法によって形成される。
【0008】
半導体層109の上には、チャネル領域113を挟んで、ドレイン電極107とソース電極108が形成されている。
ここで、図8に示すように、ドレイン電極107は、図8中のY方向に延在する映像信号線(ドレイン線)104に接続されている。この映像信号線104には図示しない駆動回路からの映像信号(階調信号)が供給される。ソース電極108は画素電極117(図8参照)に接続されている。
【0009】
また、ゲート電極112は、図8中のX方向に延在する走査信号線(ゲート線)105に接続されている。この走査信号線105には、前記駆動回路からの走査信号が供給される。
【0010】
図8に示すように、隣接する2本の映像信号線104と隣接する2本の走査信号線105とで囲まれる領域によって単位画素が構成されている。複数の単位画素は、映像信号線104及び走査信号線105に沿ってマトリックス状に配置されている。
【0011】
図9に示すように、ドレイン電極107およびソース電極108の上方には、ゲート電極112、ドレイン電極107およびソース電極108で構成されるTFTを覆うようにパッシベーション層103が形成されている。
【0012】
パッシベーション層103の上に、かつ、後述する開口部114を除く領域には、コモン電極102が形成されている。ここで、開口部114は、図8の符号106で示す境界線(太黒線)で囲まれる領域(本実施形態では四角形状の領域である)を有している。この開口領域は、少なくともチャネル領域113(図9参照)より広い領域であり、上述したバックチャネル効果を防止するために設けられたものである。
【0013】
このチャネル領域113の上部には、図示しない液晶を封入するための領域を確保するための柱状スペーサ110が配置されている。
【0014】
ところで、バックチャネル効果とは、TFTがオフの状態で小さなバックゲート電圧がゲート電極112に印可された場合に、チャネル領域113を通じてドレイン電極107およびソース電極108にリーク電流が流れてしまうことをいう。
【0015】
TFTオフの状態でバックゲート電圧が生ずる場合とは、例えばTFT上に正電荷をもつような不純物イオンが乗った場合などである。TFTオフの状態においてバックチャネル効果が生ずると、LCDパネルの各画素に用いられているTFTに保持されている電荷が消失してしまい、いわゆる白ズミが生じてしまい液晶表示装置の表示品質が劣化してしまうという問題が生じる。
【0016】
そこで、バックチャネル効果を防止するために、コモン電極102の形成領域の内、チャネル領域113に対応する領域に開口部114を形成した。この開口部114を形成してTFT上に存在する不純物イオンをこの開口部114から逃がすことにより上記したバックゲート電圧の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2010−181785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところで、液晶表示装置100の外部から衝撃が加わると柱状スペーサ110にも衝撃(図9中の力F)が伝達される。例えば、液晶表示装置100の外部から液晶表示パネルに対して垂直方向(TFTアレイ101の厚み方向(以下、「TFT厚み方向」と称す。))に衝撃が加わると、柱状スペーサ110にTFT厚み方向に力Fが作用する。
【0019】
柱状スペーサ110に対してTFT厚み方向に力Fが作用すると、柱状スペーサ110はパッシベーション層103に衝突する。柱状スペーサ110がパッシベーション層103に衝突すると、チャネル領域113の上方に静電気115が発生する。
【0020】
この静電気115によりTFTのトランジスタ特性が変動してしまうため、液晶表示装置100の表示画像の色むら、スメア、黒浮きが生じてしまい、結果として液晶表示装置100の表示品質が劣化してしまうという問題が生じる。
本発明の課題は、上記に鑑みてなされたものであって、表示品質の劣化を抑制することができる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の態様に係る液晶表示装置は、絶縁基板の上面に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように積層されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上方に形成されるソース電極およびドレイン電極と、前記ゲート絶縁膜の上面に積層されて、前記ゲート電極が発生させる電界により前記ソース電極及び前記ドレイン電極間の電流を制御する半導体層と、前記半導体層の上方のチャネル領域に対応した領域に形成された開口部を有する共通電極と、前記ソース電極および前記ドレイン電極から離間して配置された導電パターンとを含み、前記導電パターンの一端および他端が前記共通電極に接続されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の第2の態様に係る液晶表示装置は、絶縁基板の上面に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように積層されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上方に形成されるソース電極およびドレイン電極と、前記ゲート絶縁膜の上面に積層されて、前記ゲート電極をこの導電パターンを介してコモン電極に逃がすことができる。
したがって、静電気に起因するTFTのトランジスタ特性の変動を抑制することができる。このため、液晶表示装置の表示画像の色むら、スメア、黒浮きの発生を抑制できるので、結果として液晶表示装置の表示品質の劣化を抑制することができる。
なお、本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】液晶表示装置の実施形態1に係る画素を示した要部平面図である。
【図2】図1のA−A´線断面図である。
【図3】液晶表示装置の実施形態2に係る画素を示した要部平面図である。
【図4】液晶表示装置の実施形態3に係る画素を示した要部平面図である。
【図5】液晶表示装置の実施形態4に係る画素を示した要部平面図である。
【図6】液晶表示装置の実施形態5に係る画素を示した要部平面図である。
【図7】図6のA−A´線断面図である。
【図8】従来の液晶表示装置の画素を示した要部平面図である。
【図9】図8のA−A´線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
〈実施形態1〉
【0025】
以下に、図1および図2を参照して実施形態1に係る液晶表示装置1の構成を説明する。図1は、液晶表示装置の実施形態1に係る画素を示した要部平面図である。図2は、図1のA−A´線断面図である。なお、図1および図2において、X、Y、ZはそれぞれX軸、Y軸、Z軸を示す。
【0026】
図2に示すように、TFTアレイ10は、ゲート電極12、ゲート絶縁膜11、半導体層9、ドレイン電極7、ソース電極8、パッシベーション層3、コモン電極(共通電極)2、導電性を有する金属からなる帯電防止パターン(導電層)16を含んで構成されている。
【0027】
ゲート電極12は、図示しないガラスで形成される絶縁基板の上に形成されている。このゲート電極12は、後述する走査信号線5と同層に形成されている。
ゲート絶縁膜11は、例えばSi窒化膜からなり、ゲート電極12を覆うように形成されている。
【0028】
半導体層9は、例えばa−si(アモルファスシリコン)膜からなり、ゲート絶縁膜11の上面に、かつ、ゲート電極12と対向する位置に形成されている。
半導体層9の上には、該半導体層9の上部に形成されるバックチャネル領域(以下、単に「チャネル領域」と呼ぶ。)13を挟んで、ドレイン電極7とソース電極8が形成されている。また、ソース電極8には、画素電極17が接続されている。
【0029】
なお、半導体層9とドレイン電極7の間には図示しないn+Si層が形成されており、半導体層9とソース電極8の間にも前記n+Si層が形成されている。これは、半導体層9とドレイン電極7とのオーミックコンタクトをとるとともに、半導体層9とソース電極8とのオーミックコンタクトをとるためである。
【0030】
ここで、図1に示すように、ドレイン電極7は、図1中のY方向に延在する映像信号線(ドレイン線)4の一部を用いて構成されている。この映像信号線4には図示しない駆動回路からの映像信号(階調信号)が供給される。
【0031】
また、ゲート電極12は、図1中のX方向に延在する走査信号線(ゲート線)5に接続されている。この走査信号線5には、走査信号が前記駆動回路から供給される。
【0032】
ここで、液晶表示装置1を構成する液晶表示パネルの単位画素は、図1に示すように、隣接する2本の映像信号線4と隣接する2本の走査信号線5とで囲まれる領域によって構成されている。そして、複数の単位画素は、映像信号線4および走査信号線5に沿ってマトリックス状に配置されている。
【0033】
図2に戻り、ドレイン電極7およびソース電極8の上面には、ゲート電極12、ドレイン電極7およびソース電極8で構成されるTFTを覆うようにパッシベーション層3が形成されている。
【0034】
パッシベーション層3は、TFTの、特にチャネル領域13を不純物から保護する機能を有し、図示しない無機パッシベーション膜と有機パッシベーション膜を備えて構成されている。具体的には、有機パッシベーション膜は、無機パッシベーション膜の上に形成される。この有機パッシベーション膜は、TFTの保護と同時にTFTの表面を平坦化する役割も有する。
【0035】
パッシベーション層3の上に、かつ、後述する開口部14を除く領域(以下、「コモン領域」と呼ぶ。)には、コモン電極2が平面状に形成されている。コモン電極2は、透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)をコモン領域にスパッタリングすることによって形成される。開口部14は、コモン電極2が平面状に形成された後に後述する開口領域をエッチングすることにより形成される。
【0036】
ここで、開口部14は、図1の符号6で示す境界線(黒太線)で囲まれる領域(本実施形態では四角形状の領域である)を有している。この開口領域は、少なくともチャネル領域13(図2参照)より広い領域であり、上述したバックチャネル効果を防止するために設けられたものである。
【0037】
この開口部14には、帯電防止パターン16が、ドレイン電極7およびソース電極8から離間した位置に形成されている。そして、帯電防止パターン16の一端および他端は、コモン電極2に接続されている。この帯電防止パターン16は、上記したパッシベーション層3の上面に、かつ、チャネル領域13の上方に形成され、開口部14の互いに対向する境界線6、6をつなぐように形成されている。
【0038】
なお、帯電防止パターン16の一端および他端がコモン電極2に接続されており、かつ、帯電防止パターン16がドレイン電極7およびソース電極8から離間した位置に配置されていれば、そのパターン形状は図1のようなパターン形状に限定されることはない。
【0039】
また、チャネル領域13の上方には、図示しない液晶を封入するための領域を確保するための柱状スペーサ18が配置されている。
上記したようにして形成されたコモン電極2には、基準電圧が印加され、画素電極17には、ソース電極8を介して映像信号による電圧が印加される。
【0040】
画素電極17に映像信号による電圧が印加されると、電気力線が発生し、図示しない液晶分子が前記電気力線の方向に回転する。このように、液晶分子を電気力線の方向に回転させることによって図示しないバックライトからの光(バックライト光)の透過量が制御される。なお、この制御は単位画素ごとに行われる。
【0041】
本実施形態1に係る液晶表示装置1によれば、少なくともチャネル領域13の上方に開口部14を有しているので、TFTがオフの状態においてバックゲート電圧がゲート電極12に印可された場合でも、チャネル領域13を通じてドレイン電極7およびソース電極8に流れるリーク電流を抑制することができる。
【0042】
また、例えば、液晶表示装置1の外部から液晶表示パネルの幅方向(図1のX軸方向)に対して垂直な方向(TFTアレイ10の厚み方向(図1のZ軸方向)、以下、「TFT厚み方向」と称す。)に衝撃が加わると、柱状スペーサ18にTFT厚み方向に力Fが作用する。柱状スペーサ18がパッシベーション層3に衝突すると、チャネル領域13の上方に静電気15が発生する。
【0043】
しかしながら、本実施形態1によれば、チャネル領域の上方に帯電防止パターン16が形成されているので、チャネル領域の上方に生じた静電気をこの帯電防止パターン16を通してコモン電極2に逃がすことができる。
【0044】
したがって、静電気15に起因するTFTのトランジスタ特性の変動を抑制することができる。このため、液晶表示装置1の表示画像の色むら、スメア、黒浮きの発生を抑制できるので、結果として液晶表示装置1の表示品質の劣化を抑制することができる。
【0045】
〈実施形態2〉
以下に、図3を参照して実施形態2に係る液晶表示装置20の構成を説明する。図3は、液晶表示装置の実施形態2に係る画素を示した要部平面図である。なお、実施形態2に係る液晶表示装置20は、実施形態1に係る液晶表示装置1のTFTアレイ10と比べると、ドレイン電極27、ソース電極28、導電性を有する金属からなる帯電防止パターン36の形状が異なる以外は実質的に同じであるので、以下では異なるところを中心に説明する。
【0046】
図3に示すように、ゲート電極12は、図示しないガラスで形成される絶縁基板の上面に形成されている。このゲート電極12は、図3中のX方向に延在する走査信号線25に接続されている。
長方形状のドレイン電極27は、映像信号線24に接続され、映像信号線24の長手方向に直行する方向(図3中のX方向)に延在している。長方形状のソース電極28は、ドレイン電極27の延在方向と平行に、かつドレイン電極27と一定の距離をおいて配置されている。また、ソース電極28には、画素電極17が接続されている。
【0047】
ここで、液晶表示装置20を構成する液晶表示パネルの単位画素は、図3に示すように、隣接する2本の映像信号線24と隣接する2本の走査信号線25とで囲まれる領域によって構成されている。そして、複数の単位画素は、映像信号線24および走査信号線25に沿ってマトリックス状に配置されている。
【0048】
ドレイン電極27およびソース電極28の上面には、ゲート電極32、ドレイン電極27およびソース電極28で構成されるTFTを覆うように図示しないパッシベーション層が形成されている。
【0049】
このパッシベーション層の上に、かつ、後述する開口部34を除く領域(以下、「コモン領域」と呼ぶ。)には、コモン電極が平面状に形成されている。なお、開口部34は、コモン電極が平面状に形成された後にエッチングすることにより形成される。
【0050】
ここで、開口部34は、図3の符号26で示す境界線(黒太線)で囲まれる領域(本実施形態では四角形状の領域である)を有している。この開口領域は、少なくともゲート電極32の上方にあるチャネル領域(図2参照)より広い領域である。この開口部34は実施形態1と同様にバックチャネル効果を防止する機能を有する。
【0051】
この開口部34には、帯電防止パターン36が、ドレイン電極27とソース電極28から離間した位置に形成されている。そして、帯電防止パターン36の一端および他端は、コモン電極に接続されている。この帯電防止パターン36は、上記したパッシベーション層の上面に、かつ、チャネル領域の上方に形成されている。
【0052】
なお、帯電防止パターン36の一端および他端がコモン電極に接続されており、かつ、帯電防止パターン36がドレイン電極27およびソース電極28から離間した位置に配置されていれば、そのパターン形状は図3のようなパターン形状に限定されることはない。
【0053】
また、前記チャネル領域の上方には、液晶を封入するための領域を確保するための柱状スペーサ(図示せず)が配置されている。
【0054】
このようにして形成されたコモン電極には基準電圧が印加され、画素電極37には、ソース電極28を介して映像信号による電圧が印加される。
【0055】
画素電極37に電圧が印加されると電気力線が発生し、図示しない液晶分子がこの電気力線の方向に回転する。このように、液晶分子を電気力線の方向に回転させることによって図示しないバックライトからの光の透過量が制御される。この制御は単位画素ごとに行われる。なお、上記した動作は後述する実施形態3、4、5においても同様であるので、実施形態3、4、5における上記した動作の説明は省略する。
【0056】
本実施形態2に係る液晶表示装置20によれば、少なくともチャネル領域に対応する領域に開口部34を有しているので、TFTがオフの状態でバックゲート電圧がゲート電極32に印可された場合でも、チャネル領域(図2参照)を通じてドレイン電極27およびソース電極28に流れるリーク電流を抑制することができる。
【0057】
また、例えば、液晶表示装置20の外部から図3中のZ軸方向に衝撃が加わったとしても、チャネル領域の上方に帯電防止パターン36が形成されているので、チャネル領域(図2参照)の上方に生じた静電気をこの帯電防止パターン36を通してコモン電極に逃がすことができる。
したがって、静電気に起因するTFTのトランジスタ特性の変動を抑制することができる。このため、液晶表示装置20の表示画像の色むら、スメア、黒浮きの発生を抑制できるので、結果として液晶表示装置20の表示品質の劣化を抑制することができる。
【0058】
〈実施形態3〉
以下に、図4を参照して実施形態3に係る液晶表示装置40の構成を説明する。図4は、液晶表示装置の実施形態3に係る画素を示した要部平面図である。なお、実施形態3に係る液晶表示装置40は、実施形態1に係る液晶表示装置1のTFTアレイ10と比べると、ドレイン電極47、ソース電極48、導電性を有する金属からなる帯電防止パターン56の形状が異なる以外は実質的に同じであるので、以下では異なるところを中心に説明する。
【0059】
図4に示すように、ゲート電極52は、図示しないガラスで形成される絶縁基板の上面に形成されている。このゲート電極52は、図4中のX方向に延在する走査信号線45に接続されている。
【0060】
長方形状のドレイン電極47は、映像信号線44に接続され、映像信号線44の長手方向に直行する方向(図4中のX方向)に延在している。長方形状のソース電極48は、ドレイン電極47の延在方向と直行する方向(図4中のY方向)に、かつドレイン電極47と一定の距離をおいて配置されている。
【0061】
ここで、液晶表示装置40を構成する液晶表示パネルの単位画素は、図4に示すように、隣接する2本の映像信号線44と隣接する2本の走査信号線45とで囲まれる領域によって構成されている。そして、複数の単位画素は、映像信号線44および走査信号線45に沿ってマトリックス状に配置されている。
【0062】
ドレイン電極47およびソース電極48の上面には、ゲート電極52、ドレイン電極47およびソース電極48で構成されるTFTを覆うように図示しないパッシベーション層が形成されている。
【0063】
このパッシベーション層の上に、かつ、後述する開口部54を除く領域(以下、「コモン領域」と呼ぶ。)には、コモン電極が平面状に形成されている。なお、開口部54は、コモン電極が平面状に形成された後にエッチングすることにより形成される。
【0064】
ここで、開口部54は、図4の符号46で示す境界線(黒太線)で囲まれる領域(本実施形態では四角形状の領域である)を有している。この開口領域は、少なくともゲート電極52の上方にあるチャネル領域(図2参照)より広い領域である。この開口部54は実施形態1と同様にバックチャネル効果を防止する機能を有する。
【0065】
この開口部54には、帯電防止パターン56が、ドレイン電極47とソース電極48から離間した位置に形成されている。帯電防止パターン56の一端および他端は、上記したコモン電極に接続されている。この帯電防止パターン56は、上記したパッシベーション層の上面に、かつ、チャネル領域(図2参照)の上方に形成されている。
【0066】
なお、帯電防止パターン56の一端および他端がコモン電極に接続されており、かつ、帯電防止パターン56がドレイン電極47およびソース電極48から離間した位置に配置されていれば、そのパターン形状は図4のようなパターン形状に限定されることはない。
【0067】
また、TFTのチャネル領域(図2参照)の上部には、液晶を封入するための領域を確保するための柱状スペーサ(図2参照)が配置されている。
【0068】
本実施形態3に係る液晶表示装置40によれば、少なくともチャネル領域に対応する領域に開口部54を有しているので、TFTがオフの状態でバックゲート電圧がゲート電極52に印可された場合でも、チャネル領域(図2参照)を通じてドレイン電極47およびソース電極48に流れるリーク電流を抑制することができる。
【0069】
また、例えば、液晶表示装置40の外部から図4中のZ軸方向に衝撃が加わったとしても、チャネル領域の上方に帯電防止パターン56が形成されているので、チャネル領域(図2参照)の上方に生じた静電気をこの帯電防止パターン56を通してコモン電極に逃がすことができる。
したがって、静電気に起因するTFTのトランジスタ特性の変動を抑制することができる。このため、液晶表示装置40の表示画像の色むら、スメア、黒浮きの発生を抑制できるので、結果として液晶表示装置40の表示品質の劣化を抑制することができる。
【0070】
〈実施形態4〉
以下に、図5を参照して実施形態4の液晶表示装置60の構成を説明する。図5は、液晶表示装置の実施形態4に係る画素を示した要部平面図である。なお、実施形態4に係る液晶表示装置60は、実施形態1に係る液晶表示装置1のTFTアレイ10と比べると、ドレイン電極67、ソース電極68、導電性を有する金属からなる帯電防止パターン76の形状が異なる以外は実質的に同じであるので、以下では異なるところを中心に説明する。
【0071】
図5に示すように、ゲート電極72は、図示しないガラスで形成される絶縁基板の上面に形成されている。このゲート電極72は、図5中のX方向に延在する走査信号線65に接続されている。
【0072】
略U字状のドレイン電極67は、映像信号線64に接続されている。
長方形状のソース電極68は、略U字状のドレイン電極67の両端部の間に、かつ、ドレイン電極67と一定の距離をおいて配置されている。
【0073】
ここで、液晶表示装置60を構成する液晶表示パネルの単位画素は、図5に示すように、隣接する2本の映像信号線64と隣接する2本の走査信号線65とで囲まれる領域によって構成されている。そして、複数の単位画素は、映像信号線64および走査信号線65に沿ってマトリックス状に配置されている。
【0074】
ドレイン電極67およびソース電極68の上面には、ゲート電極72、ドレイン電極67およびソース電極68で構成されるTFTを覆うように図示しないパッシベーション層が形成されている。
【0075】
このパッシベーション層の上に、かつ、後述する開口部74を除く領域(以下、「コモン領域」と呼ぶ。)には、コモン電極が平面状に形成されている。なお、開口部74は、コモン電極が平面状に形成された後にエッチングすることにより形成される。
【0076】
ここで、開口部74は、図5の符号66で示す境界線(太黒線)で囲まれる領域(本実施形態ではD字状の領域である)を有している。この開口領域は、少なくともゲート電極72の上方にあるチャネル領域(図2参照)より広い領域である。この開口部74は実施形態1と同様にバックチャネル効果を防止する機能を有する。
【0077】
この開口部74には、帯電防止パターン76が、ドレイン電極67とソース電極68から離間した位置に形成されている。帯電防止パターン76の一端および他端は、上記したコモン電極に接続されている。この帯電防止パターン76は、上記したパッシベーション層の上に、かつ、チャネル領域(図2参照)の上方に形成されている。
【0078】
なお、帯電防止パターン76の一端および他端がコモン電極に接続されており、かつ、帯電防止パターン76がドレイン電極67およびソース電極68から離間した位置に配置されていれば、そのパターン形状は図5のようなパターン形状に限定されることはない。
【0079】
また、TFTのチャネル領域(図2参照)の上部には、液晶を封入するための領域を確保するための柱状スペーサ(図2参照)が配置されている。
【0080】
本実施形態4に係る液晶表示装置60によれば、少なくともチャネル領域に対応する領域に開口部74を有しているので、TFTがオフの状態でバックゲート電圧がゲート電極72に印可された場合でも、チャネル領域(図2参照)を通じてドレイン電極67およびソース電極68に流れるリーク電流を抑制することができる。
【0081】
また、例えば、液晶表示装置60の外部から図5中のZ軸方向に衝撃が加わったとしても、チャネル領域の上方に帯電防止パターン76が形成されているので、チャネル領域(図2参照)の上方に生じた静電気をこの帯電防止パターン76を通してコモン電極に逃がすことができる。
したがって、静電気に起因するTFTのトランジスタ特性の変動を抑制することができる。このため、液晶表示装置60の表示画像の色むら、スメア、黒浮きの発生を抑制できるので、結果として液晶表示装置60の表示品質の劣化を抑制することができる。
【0082】
〈実施形態5〉
以下に、図6および図7を参照して実施形態5に係る液晶表示装置80の構成を説明する。図6は、液晶表示装置の実施形態5に係る画素を示した要部平面図である。図7は、図6のA−A´線断面図である。なお、図6および図7において、X、Y、ZはそれぞれX軸、Y軸、Z軸を示す。
【0083】
図7に示すように、TFTアレイ90は、ゲート電極92、ゲート絶縁膜91、半導体層89、ドレイン電極87、ソース電極88、パッシベーション層83、コモン電極(共通電極)82、導電性を有する金属からなる帯電防止パターン(導電層)96(図6参照)を含んで構成されている。
【0084】
ゲート電極92は、図示しないガラスで形成されるTFT基板の上に形成されている。このゲート電極92は、後述する走査信号線(ゲート線)85と同層に形成されている。
コモン電極82は、透明導電膜であるITOからなり、ゲート電極92と同層に形成されている。
【0085】
ゲート絶縁膜91は、例えばSi窒化膜からなり、ゲート電極92およびコモン電極82を覆うように形成されている。半導体層89は、例えばa−si(アモルファスシリコン)膜からなり、ゲート絶縁膜91の上に、かつ、ゲート電極92と対向する位置に形成されている。
【0086】
半導体層89の上には、バックチャネル領域(以下、単に「チャネル領域」と呼ぶ。)93を挟んで、ドレイン電極87とソース電極88が形成されている。
【0087】
ここで、図6に示すように、ドレイン電極87は、図6中のY方向に延在する映像信号線(ドレイン線)84に接続されている。この映像信号線84には図示しない駆動回路からの映像信号(階調信号)が供給される。
【0088】
また、ゲート電極92は、図6中のX方向に延在する走査信号線(ゲート線)85に接続されている。この走査信号線85には、走査信号が前記駆動回路から供給される。
図7に戻り、ドレイン電極87およびソース電極88の上面には、ゲート電極92、ドレイン電極87およびソース電極88で構成されるTFTを覆うようにパッシベーション層83が形成されている。パッシベーション層83の上には、ソースITO膜99が形成されている。
【0089】
図6に示すように、帯電防止パターン96は、ゲート電極92を挟んで配置されているコモン電極82、82をつなぐように形成されている。すなわち、帯電防止パターン96の一端および他端は、それぞれゲート電極92を挟んで配置されたコモン電極82、82に接続されている。ただし、帯電防止パターン96とゲート電極92が接触しないように配置する必要がある。
【0090】
なお、帯電防止パターン96の一端および他端がコモン電極82に接続されていれば、そのパターン形状は図6に示すような形状に限定されることはない。
【0091】
チャネル領域93の上部には、図示しない液晶を封入するための領域を確保するための柱状スペーサ98(図7参照)が配置されている。
【0092】
ここで、例えば、液晶表示装置80の外部から液晶表示パネルの幅方向(図6のX軸方向)に対して垂直な方向(TFTアレイ10の厚み方向(図6のZ軸方向)、以下、「TFT厚み方向」と称す。)に衝撃が加わると、柱状スペーサ18にTFT厚み方向に力Fが作用する。柱状スペーサ98がパッシベーション層83に衝突すると、チャネル領域93の近傍に静電気が発生する。
【0093】
しかしながら、本実施形態5によれば、チャネル領域93の近傍に帯電防止パターン96が形成されているので、チャネル領域93に生じた静電気をこの帯電防止パターン96を通してコモン電極82に逃がすことができる。
【0094】
したがって、静電気に起因するTFTのトランジスタ特性の変動を抑制することができる。このため、液晶表示装置80の表示画像の色むら、スメア、黒浮きの発生を抑制できるので、結果として液晶表示装置80の表示品質の劣化を抑制することができる。
【0095】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0096】
1……液晶表示装置、2……コモン電極(共通電極)、7……ドレイン電極、8……ソース電極、9……半導体層、11……ゲート絶縁膜、12……ゲート電極、13……バックチャネル領域(チャネル領域)、14……開口部、16……帯電防止パターン(導電パターン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板の上面に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆うように積層されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上方に形成されるソース電極およびドレイン電極と、
前記ゲート絶縁膜の上面に積層されて、前記ゲート電極が発生させる電界により前記ソース電極及び前記ドレイン電極間の電流を制御する半導体層と、
前記半導体層の上方のチャネル領域に対応した領域に形成された開口部を有する共通電極と、
前記ソース電極および前記ドレイン電極から離間して配置された導電パターンとを含み、
前記導電パターンの一端および他端が前記共通電極に接続されている
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
絶縁基板の上面に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆うように積層されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上方に形成されるソース電極およびドレイン電極と、
前記ゲート絶縁膜の上面に積層されて、前記ゲート電極が発生させる電界により前記ソース電極及び前記ドレイン電極間の電流を制御する半導体層と、
前記ゲート電極と同層に形成され、前記ゲート電極から離間して配置された共通電極と、
前記半導体層の上方のチャネル領域の近傍に配置され、かつ、一端および他端が前記共通電極に接続されている導電パターンとを備えて構成された
ことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−80185(P2013−80185A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221255(P2011−221255)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】