説明

液滴吐出装置及びドットパターン形成方法

【課題】 ノズルを効率良く使用することで生産効率を向上させることのできる液滴吐出装置及びドットパターン形成方法を提供する。
【解決手段】 マザー基板2A上に3×3個の基板2を備え、その基板2上にコード形成領域Sを設けた。そして、コード形成領域Sの行方向のセル数に比べて多いノズル数のノズルN1〜N180を備えた吐出ヘッド30を液滴吐出装置に備えた。そして、マザー基板2Aが取り替えられた毎に、使用可能なノズルの位置を示すノズルデータを作成し、そのノズルデータに基づいて、18個の連続した使用可能なノズルの位置を示す18ビットの使用ノズルデータを作成するようにした。また、18ビットの使用ノズルデータに応じて対応するノズルから液状体Lを吐出するようにした。そして、異なった列にある基板2上に液状体Lを吐出する場合、使用可能なノズルのノズル位置をずらして使用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置及びドットパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置といった電気光学装置の表示基板には、品質管理や製造管理を目的として、その製造元や製造番号等の製造情報をコード化した識別コードが形成されている。
【0003】
この種の識別コードとしては、近年、縦横両方向に情報を持つ2次元的な識別コードが普及しつつある。2次元識別コードは、白黒のセルを2次元的に配置したものであり、一方向にしか情報を持たない従来の識別コード(バーコード)に比べて格段に大きな情報を表現することができるという利点を有する。
【0004】
ところで、上記した2次元識別コードの形成方法には、金属箔にレーザ光を照射してコードパターンをスパッタ成膜するレーザスパッタ法や、研磨剤を含んだ水を基板に噴射してコードパターンを刻印するウォータジェット法が提案されている(たとえば、特許文献1,特許文献2)。
【0005】
しかし、上記レーザスパッタ法は、所望のサイズのコードパターンを得るために、金属箔と基板との間隙を数〜数十μmに調整しなければならない。従って、基板及び金属箔の各表面は、高い平坦性が要求され、しかも、これらの間隙をμmのオーダーの精度で調整することが要求される。この結果、識別コードを形成する対象となる基板が制限されるため、その汎用性が損なわれるという問題があった。一方、ウォータジェット法は、基板にコードパターンを刻印する際に、水や塵埃、研磨剤等が飛散するため、同基板を汚染する問題があった。
【0006】
そこで、上記問題点を解消するために、金属粒子を所定の溶媒に分散または溶解した液状の組成物を、吐出ヘッドに形成された複数のノズルから吐出して基板上に塗布し、その後、溶媒を除去して金属粒子を基板上に付着させ所望のコードパターンを形成するようにした液滴吐出法が注目されている。これによって、識別コードを形成する対象となる基板の対象範囲を拡大することができるとともに、同基板の汚染等を回避することができる。
【特許文献1】特開平11−77340号公報
【特許文献2】特開2003−127537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、液滴吐出法を用いた場合、ノズルに組成物が付着してしまい、その結果、そのノズルが目詰まりを起こし組成物を吐出しない場合や吐出してもその着弾位置が所望の位置とずれたりするといった不良ノズルが発生する場合がある。このように、ノズルが不良である場合は、所望のコードパターンを形成することができないので、吐出ヘッドを交換する必要がある。従って、不良ノズルが発生する度に吐出ヘッドを交換しなければならなくなるので、生産効率が低下するという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ノズルを効率良く使用することで生産効率を向上させることのできる液滴吐出装置及びドットパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液滴吐出装置は、基板上に、行方向及び列方向に沿って形成される複数のパターンの各々を構成する前記行方向に沿ったセルのセル数に比べて、前記行方向に沿って配置された複数のノズルのノズル数が多く設けられた液滴吐出ヘッドと、前記複数のノズルのうち使用可能なノズルのノズル数及び位置の情報を記憶するノズル位置データ記憶手段と、所定回数だけ前記連続した使用可能なノズルを使用して前記液状の組成物を吐出させた後、前記連続した使用可能なノズルのノズル位置をずらして、前記連続した使用可能なノズルを使用して前記液状の組成物を吐出させる吐出データを作成する吐出データ作成手段と、前記吐出データ作成手段に基づいて、前記液滴吐出ヘッドの位置を、前記列方向に形成される前記パターン毎に、前記使用可能なノズルのノズル位置をずらした分だけ補正する位置補正手段とを備えている。
【0010】
これによれば、液滴吐出ヘッドのノズルの数は、基板上の行方向に沿って形成されるセルのセル数に比べて多いので、同じ列に対しては、連続した使用可能な複数のノズルを使用して液状の組成物を吐出させ、異なった列に対しては、先に使用した使用可能なノズルとはノズル位置がずれた使用可能なノズルのノズルを使用して液状の組成物を吐出させる。そして、吐出データに基づいて基板上に液状の組成物を吐出した後は、先に使用した使用可能なノズルのうちの1つのノズルを除外したうちで、連続した使用可能な複数のノズルの位置を使用して液状の組成物を吐出させるようにする。
【0011】
従って、たとえば、複数のノズルのうち、不良なノズルがあったとしても、その不良なノズルを除外して他の使用可能なノズルを使用して吐出する。また、基板上に液状の組成物を吐出した後は、先に使用した使用可能なノズルのうちの1つのノズルを除外したうちで、連続した使用可能な複数のノズルの位置を使用するようにしたので、全てのノズルが有効に使用される。この結果、吐出ヘッドを効率良く使用することができることにより、生産効率を向上させることのできる液滴吐出装置を提供することができる。
【0012】
また、例えば、列方向に形成される前記パターン毎に、液滴吐出ヘッドの位置を、使用可能なノズルのノズル位置をずらした分だけ補正することで、基板上に形成される各パターンを等ピッチに形成することができる。
【0013】
この液滴吐出装置において、前記吐出データ作成手段は、前記列方向に形成される前記パターンの数毎に、前記連続した使用可能なノズルのノズル位置をずらして、前記連続した使用可能なノズルを使用して前記液状の組成物を吐出させる吐出データを作成するようにしてもよい。
【0014】
これによれば、列方向に形成される前記パターン毎に、液滴吐出ヘッドの位置を、使用可能なノズルのノズル位置をずらした分だけ補正することで、基板上に形成される各パターンを等ピッチに形成することができる。
【0015】
この液滴吐出装置において、前記ノズル位置データ記憶手段は、前記基板上に前記液状の組成物を吐出する前に、前記全ノズルの吐出特性を検出するノズル検出手段を備えていてもよい。
【0016】
これによれば、ノズル検出手段によって、どのノズルが使用可能なノズルであるのか否かが判断される。ここで、ノズル検出手段としては、たとえば、液滴吐出ヘッドの周辺に設けられ、全ノズルから液状の組成物を吐出させてその着弾位置及び飛翔時の速度を検出するカメラであってもよい。このようにすることで、簡単に使用可能なノズルの位置を判断することができる。
【0017】
本発明のドットパターン形成方法は、基板上に、行方向及び列方向に沿って形成される複数のパターンの各々を構成する前記行方向に沿ったセルのセル数に比べて多く前記行方向に沿って配置された複数のノズルのうち使用可能なノズルのノズル数及び位置を検出する使用ノズル検査工程と、所定回数だけ前記使用可能な連続したノズルを使用して液状の組成物を吐出させた後、前記使用可能な連続したノズルのノズル位置をずらして、前記ずらした後の前記使用可能な連続したノズルを使用して前記液状の組成物を吐出させる吐出データを作成する吐出データ作成工程と、液滴吐出ヘッドの位置を、前記列方向に形成される前記パターン毎に、前記使用可能なノズルのノズル位置をずらした分だけ補正する位置補正工程とを備えている。
【0018】
これによれば、液滴吐出ヘッドのノズルの数は、基板上の行方向に沿って形成されるセルのセル数に比べて多いので、同じ列に対しては、連続した使用可能な複数のノズルを使用して液状の組成物を吐出させ、異なった列に対しては、先に使用した使用可能なノズルとはノズル位置がずれた使用可能なノズルのノズルを使用して液状の組成物を吐出させる。そして、吐出データに基づいて基板上に液状の組成物を吐出した後は、先に使用した使用可能なノズルのうちの1つのノズルを除外したうちで、連続した使用可能な複数のノズルの位置を使用して液状の組成物を吐出させるようにする。
【0019】
従って、たとえば、複数のノズルのうち、不良なノズルがあったとしても、その不良なノズルを除外して他の使用可能なノズルを使用して吐出する。また、基板上に液状の組成物を吐出した後は、先に使用した使用可能なノズルのうちの1つのノズルを除外したうちで、連続した使用可能な複数のノズルの位置を使用するようにしたので、全てのノズルが有効に使用される。この結果、吐出ヘッドを効率良く使用することができることにより、生産効率を向上させることのできる液滴吐出装置を提供することができる。
【0020】
また、例えば、列方向に形成される前記パターン毎に、液滴吐出ヘッドの位置を、使用可能なノズルのノズル位置をずらした分だけ補正することで、基板上に形成される各パターンを等ピッチに形成することができる。
【0021】
このドットパターン形成方法において、前記吐出データ作成工程は、前記列方向に形成される前記パターンの数毎に、前記使用可能な連続したノズルのノズル位置をずらして、前記使用可能な連続したノズルを使用して前記液状の組成物を吐出させる吐出データを作成するようにしてもよい。
【0022】
これによれば、列方向に形成される前記パターン毎に、液滴吐出ヘッドの位置を、使用可能なノズルのノズル位置をずらした分だけ補正することで、基板上に形成される各パターンを等ピッチに形成することができる。
【0023】
このドットパターン形成方法において、前記使用ノズル検査工程は、前記基板上に前記液状の組成物を吐出する前に、前記全ノズルの吐出特性を検出するようにしてもよい。
これによれば、前記基板上に前記液状の組成物を吐出する前に、どのノズルが使用可能なノズルであるのか否かが判断される。ここで、全ノズルの吐出特性とは、たとえば、ノズルから吐出した液状の組成物の着弾位置及びその飛翔時の速度であってもよい。このようにすることで、使用可能なノズルの位置を判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を各図に従って説明する。
まず、本発明の液滴吐出装置を使って形成された識別コードを有する液晶表示装置の表示モジュールについて説明する。
【0025】
図1は、液晶表示装置の液晶表示モジュールの正面図である。
図1に示すように、液晶表示モジュール1は、光透過性を有する表示基板2を備えている。表示基板2は、本実施形態では、ガラス板である。表示基板2は、その表面2aの略中央位置に、液晶分子を封入した四角形状の表示部3を備えるとともに、その表示部3を介して左右両側(図1中X矢印方向側)には一対の走査線駆動回路4が形成されている。また、表示部3の下側(図1中Y矢印方向側)には、データ線駆動回路5が形成されている。そして、液晶表示モジュール1は、走査線駆動回路4から出力される走査信号と、データ線駆動回路5から出力されるデータ信号とに基づいて前記液晶分子の配向状態を制御し、図示しない照明装置から照射された平面光を、前記液晶分子の配向状態によって変調することで、表示部3上に、所望の画像を表示するようになっている。
【0026】
表示基板2の裏面2bには、四角形状のコード形成領域Sが形成されている。コード形成領域S内には、液晶表示モジュール1の製造元及び製造番号をコード化したドットパターンとしての識別コード10が形成されている。
【0027】
図2は、裏面2bを紙面手前側に向くように図1中の表示基板2を裏返して配置した場合の識別コード10の正面図である。
図2に示すように、コード形成領域Sは、16行×16列からなる256個のデータセル(以下、「セル」という。)Cを有している。例えば、コード形成領域Sは、一辺の長さが1.12mmの正方形の領域であって、各セルCは、一辺の長さ(最大許容液滴径Rmax)が70μmの正方形の領域である。そして、各セルCには、製造元及び製造番号に応じたドットDが形成されている。
【0028】
以下、説明の便宜上、ドットDが形成されたセルCを黒セルC1、ドットDが形成されないセルCを白セルC0という。また、図2中Y矢印方向に沿って上側から順に、1行目のセルC、2行目のセルC、・・・、16行目のセルCとし、図2中反X矢印方向に沿って左側から順に、1列目のセルC、2列目のセルC、・・・、16列目のセルCという。従って、本実施形態においては、図2に示すように、1行目1列目にあるセルCは、黒セルC1であって、その右隣(反X矢印方向)に位置する1行目2列目にあるセルCは、白セルC0である。
【0029】
次に、識別コード10を形成するために使用される液滴吐出装置20について説明する。
図3は、液滴吐出装置20の全体斜視図である。
【0030】
図3に示すように、液滴吐出装置20は、略直方体形状の基台21を備えている。基台21は、その長手方向(図3中Y矢印方向)が識別コード10の列方向(図2中Y矢印方向)に沿うようにして、即ち、同基台21の短手方向(図3中X矢印方向)が識別コード10の行方向(図2中X矢印方向)に沿うに合わせてある。
【0031】
基台21の上面21aには、Y矢印方向に延びる一対の案内凹溝22が同Y矢印方向全
幅に渡って形成されている。その基台21の上側には、案内凹溝22に対応する図示しない直動機構を備えたステージ23が取付けられている。ステージ23の直動機構は、公知の直動機構であって、例えば案内凹溝22に沿ってY矢印方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構である。そして、そのネジ軸がステップモータよりなるY軸駆動モータMY(図6参照)に連結され、所定のステップ数に相対する駆動信号がY軸駆動モータMYに入力されると、そのY軸駆動モータMYが正転又は逆転して、ステージ23が同ステップ数に相当する分だけ、Y矢印方向に沿って所定の速度で往動又は復動(Y矢印方向)するようになっている。尚、本実施形態では、ステージ23が案内凹溝22(基台21)の最も紙面手前側に配置する位置(図3にお
ける実線位置)を往動位置として、同案内凹溝22(基台21)の最も紙面奥側に配置する位置(図3における2点鎖線位置)を復動位置とする。
【0032】
また、ステージ23の上面には、載置面24が形成され、該載置面24には、図示しない吸引式の基板チャック機構が設けられている。そして、載置面24に基板としてのマザー基板2Aを載置すると、前記基板チャックによって、マザー基板2Aが載置面24の所定位置に位置決め固定されるようになっている。このマザー基板2Aは、複数の前記表示基板2をマトリクス状に形成できる1枚の大型基板であって、本実施形態では、X矢印方向(行方向)に3つ、Y矢印方向(列方向)に3つ、合計9つの表示基板2がマトリクス状に形成される大型のガラス板である。尚、説明の便宜上、マザー基板2AのX矢印方向側(図3中手前側)に位置するY矢印方向(列方向)に沿った3つの表示基板2(以下、単に「基板」という)を符号「2L」で示し、そのX矢印方向側(図3中段)に位置するY矢印方向(列方向)に沿った3つの基板2を符号「2C」で示す。また、X矢印方向側(図3中手前側)に位置する反Y矢印方向(列方向)に沿った3つの基板2を符号「2R」で示す。
【0033】
また、基台21のX矢印方向両側には、一対の支持アーム25a,25bが立設され、その支持アーム25a,25bには、その上方をX矢印方向に沿って横断するようにして延びる案内部材26が架設されている。案内部材26は、その長手方向の長さがステージ23の幅方向(X矢印方向)よりも長く形成され、その一端が支持アーム25a側に張り出す
ように配置されている。
【0034】
案内部材26の上側には、収容タンク27が配設されている。この収容タンク27は、所定の溶媒(例えば、キシレン等といった室温で液状体である有機物)に金属微粒子(例えば、ニッケル微粒子等)が溶解または分散された液状体Lを収納する収容タンクである。一方、案内部材26の下側には、X矢印方向に延びる上下一対の案内レール28が案内部材26の全幅に渡って設けられている。案内レール28には、キャリッジ29がX矢印方向に沿って移動可能となるように取付けられている。つまり、X矢印方向はキャリッジ29の走査方向、即ち、識別コード10の行方向に一致する。尚、このキャリッジ29の直動機構は、公知の直動機構である。例えば、案内レール28に沿ってX矢印方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、そのネジ軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するX軸駆動モータMX(図6参照)に連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号をX軸駆動モータMXに入力すると、X軸駆動モータMXが正転又は逆転して、キャリッジ29が同ステップ数に相当する分だけX矢印方向に沿って往動又は復動する。また、キャリッジ29の下側には、吐出ヘッド30が設けられている。
【0035】
図4は、吐出ヘッド30の下面(ステージ23側の面)を上方に向けた場合の斜視図である。
図4に示すように、吐出ヘッド30は、ステージ23と対向する側(図4中上側)に、ノズルプレート31を備えている。ノズルプレート31は、X矢印方向に沿って、即ち、キャリッジ29の走査方向に沿って一ライン上に180個のノズルNを備えている。ノズルNのピッチ幅は、セルCの形成ピッチと同じ大きさで形成されている。従って、各ノズルNは、基板2(コード形成領域S)がY矢印方向に沿って往復直線移動するときに、それぞれ列方向に沿う各セルCと対峙する。尚、以下では、説明の便宜上、180個のノズルNを、それぞれ、図4中手前側のノズルNからX矢印方向に向かって、第1のノズルN1、第2のノズルN2、第3のノズルN3、第4のノズルN4、第5のノズルN5、…、第178のノズルN178、第179のノズルN179、第180のノズルN180で示す。
【0036】
図5は、吐出ヘッド30の内部構造を説明するための要部断面図である。
図5に示すように、ノズルプレート31の上側であってノズルNと相対する位置には、キャビティ32が形成されている。キャビティ32は、収容タンク27(図3参照)に連通しており、該タンク27内の液状体Lが供給されるようになっている。キャビティ32の上側には、上下方向に振動して、キャビティ32内の容積を拡大縮小させる振動板33と、上下方向に伸縮して振動板33を振動させる圧電素子PZが配設されている。そして、吐出ヘッド30が圧電素子PZを駆動制御するための信号を受けると、対応する圧電素子PZが伸縮して、キャビティ32内の容積を拡大縮小させ、対応する各ノズルNから、縮小した容積分の液状体Lを微小液滴化してノズルNの直下に吐出させる。
【0037】
また、図3に示すように、支持アーム25a側に張り出した案内部材26の周辺には、
ノズル検出手段としてのノズル検査機構Kが設けられている。ノズル検査機構Kは、フィルムFを載置する載置面Kaを有した載置台K1と、位置検出用カメラK2と、速度検出用カメラK3とを備えている。
【0038】
載置台K1は、キャリッジ29が支持アーム25a側に張り出した案内部材26に位置
した場合(以下、この位置を「検査位置」という)、その吐出ヘッド30(ノズルプレート31)に対向する位置に、図3中Z矢印方向に所定間隔だけ離間して配置されている。載置台K1のフィルムF上には、各ノズルNから吐出してから前記所定間隔だけ飛翔した後の液状体Lが着弾する。また、フィルムF上には、各ノズルNの真下に、X矢印方向に沿って一ライン上に2点鎖線で示される許容範囲(位置許容範囲)RがノズルNの数だけ、つまり、本実施形態では180個描かれている(図7(c)参照)。各位置許容範囲Rの大きさは、一辺の長さが70μmの正方形の領域であって、セルCの一辺の長さの最大許容液滴径Rmaxと同じ長さである。この許容範囲(位置許容範囲)Rは、全ノズルNからの液状体LをフィルムF上に着弾させて、その着弾位置を確認するためのものである。
【0039】
たとえば、液状体Lの着弾位置が対応する位置許容範囲R内にある場合は、そのノズルNは、液状体Lを正確にその真下に着弾可能となるノズルであるので、正常に機能するノズルと判断される。反対に、液状体Lの着弾位置が対応する位置許容範囲R内にない場合は、そのノズルNは、液状体Lを正確に着弾させることが不可能なノズルであるので、不良なノズルと判断される。また、液状体Lが着弾しなかった位置許容範囲Rの位置を特定することで、その不良なノズルが何番目のノズルNなのかが判断される。
【0040】
たとえば、図7(c)に示すように、フィルムF上に液状体Lが着弾した場合では、第1〜第18のノズルN1〜N18から吐出された液状体Lは、それぞれ着弾位置が対応する位置許容範囲R内にあり、第19のノズルN19から吐出された液状体Lは、その着弾位置が対応する位置許容範囲R内にない。また、第20及び第21のノズルN20,N21から吐出された液状体Lは、それぞれ着弾位置が対応する位置許容範囲R内にあり、第22のノズルN22からは、液状体Lは吐出されていない。従って、この場合においては、第19のノズルN19と第22のノズルN22が不良なノズルであると判断される。
【0041】
図3に示すように、位置検出用カメラK2は、固定部材(図示略)によって載置台K1の上方に支持固定されている。位置検出用カメラK2は、載置面Ka上に載置されたフィルムFを、その上方から撮影し、同フィルムF上に着弾した液状体L及びフィルムF上に描かれた許容範囲(位置許容範囲)Rの様子を撮影するためのカメラである。
【0042】
速度検出用カメラK3は、固定部材(図示略)によって載置台K1より図3中Y矢印方向側に支持固定されている。速度検出用カメラK3は、各ノズルNから吐出した飛翔中の液滴状の液状体Lの様子を所定期間毎に複数回撮影するカメラである。
【0043】
次に、液滴吐出装置20の電気的構成を図6に従って説明する。
液滴吐出装置20は、X軸駆動モータMX、Y軸駆動モータMY、圧電素子PZ等の各種駆動機構や位置検出用カメラK2、速度検出用カメラK3等のノズル検査機構Kを制御するための各種電子装置を内蔵した制御装置40を備えている。この制御装置40は、たとえば、その基台21の内部に収容されている。
【0044】
図6に示すように、制御装置40は、外部コンピュータ等の入力装置41から各種データを受信するI/F部42、CPU等からなる吐出データ作成手段または位置補正手段としての制御部43、DRAM及びSRAMからなり各種データを格納するノズル位置データ記憶手段としてのRAM44、各種制御プログラムを格納するROM45を備えている。また、制御装置40は、各種駆動信号を同期させて制御するためのクロック信号CLKを生成する発振回路46、圧電素子PZを駆動させる駆動電圧を生成する駆動電圧生成回路47、吐出選択信号生成回路48及び各種駆動信号を送信するI/F部49を備えている。そして、これらI/F部42、制御部43、RAM44、ROM45、発振回路46、駆動電圧生成回路47、吐出選択信号生成回路48及びI/F部49は、バス50を介して接続されている。また、この制御装置40には、I/F部49を介して、ヘッド駆動回路51、基板検出装置52、X軸モータ駆動回路53及びY軸モータ駆動回路54が接続されている。
【0045】
I/F部42は、入力装置41からマザー基板2A毎に異なる識別コード10を与える描画データIaを受信する。また、I/F部42は、位置検出用カメラK2及び速度検出用カメラK3によって取得された各撮影データIb1,Ib2を受信し、それぞれをRAM44に格納する。
【0046】
制御部43は、I/F部42を介して受信された描画データIaを、ROM45に格納された制御プログラム(データ変換プログラム)に従って、コード形成領域S上の各セルCが黒セルC1であるか、白セルC0であるかを示すビットマップデータBMDに変換する。このビットマップデータBMDは、各セルCに対応した16×16(=256)ビットのビット長を有したシリアルデータであり、各ビット値(「0」あるいは「1」)に応じて、対応する圧電素子PZのオンあるいはオフを規定するものである。例えば、本実施形態の識別コード10は、図2に示すように、1行目1列目は黒セルC1、1行目2列目は白セルC0、1行目3列目は黒セルC1、…、1行目16列目の白セルC0、2行目1列目は黒セルC1、2行目2列目は黒セルC1、…、2行目16列目の黒セルC1、…、16行目1列目は黒セルC1、16行目2列目は黒セルC1、…、16列目16行目は黒セルC1である。そして、圧電素子PZをオンして液状体Lを吐出しコード形成領域S上に塗布することで黒セルC1を形成するようにしているので、この場合、ビットマップデータBMDは、「1010101010101010110100…1111」となる。
【0047】
そして、制御部43は、そのビットマップデータBMDを、コード形成領域S上の第1行目のビットマップデータBMD1(1行目1列目のビット値〜1行目16列目のビット値)、第2行目のビットマップデータBMD2(2行目1列目のビット値〜2行目16列目のビット値)、…、第16行目のビットマップデータBMD16(16行目1列目のビット値〜16行目16列目のビット値)毎に、即ち、コード形成領域S内の各行毎に区分した16ビット×16列からなるパラレルデータに変換してRAM44に格納する。つまり、RAM44には、「1010101010101010」からなる第1行目のビットマップデータBMD1、「1101000000111001」からなる第2行目のビットマップデータBMD2、…、「1111111111111111」からなる第16行目のビットマップデータBMD16毎に区分された形態で格納される。
【0048】
また、制御部43は、ROM45に格納された制御プログラム(不良ノズル位置算出プログラム)に従って、吐出ヘッド30上にある不良なノズルNの位置を特定する。具体的には、制御部43は、RAM44に格納された撮影データIb1に基づいてフィルムF上
に着弾した各液状体Lの重心座標を算出する。また、制御部43は、撮影データIb1に
基づいて位置許容範囲Rに対応する座標値を算出する。そして、着弾した各液状体Lの重心座標と位置許容範囲Rに対応した座標値とを比較して各液状体Lの重心座標が対応する位置許容範囲R内にあるか否かを判断し、液状体Lが着弾していない位置許容範囲Rの座標値から、そのノズルNの位置を特定する。
【0049】
また、制御部43は、RAM44に格納された撮影データIb2に基づいて、各ノズル
Nから吐出された液状体Lの飛翔時の速度を算出する。これは、速度検出用カメラK3を、圧電素子PZに駆動信号を供給するタイミングに基づいて駆動させ、各ノズルNから吐出された液状体Lの様子をその飛翔中に複数回撮影させ、その撮映データに基づいて制御部43が各液状体Lの速度を算出するようにしている。そして、制御部43は、得られた液状体Lの速度が予め定められた許容範囲(速度許容範囲)内にあるか否かを判断する。ここで、液状体Lの速度は、液状体Lの大きさ(重量)によって異なるので、液状体Lの速度を測定することによって液状体Lの大きさ、即ち、液状体Lの吐出量を見積もることができる。そして、一回の吐出動作で一つのドットDを形成するのに適切な液状体Lの吐出量の許容範囲を予め測定し、その許容範囲に対応した速度許容範囲を算出しておくことで、所定のノズルNから吐出された液状体Lの吐出量が適量であるかを判断することができる。そして、吐出した液状体Lの吐出量が適量ではないノズルNの位置を特定する。
【0050】
このようにして、制御部43は、各撮影データIb1,Ib2に基づいて、液状体Lを吐出しない、または、液状体Lを吐出してもその対応する位置許容範囲R内に液状体Lを吐出しない、または、対応する位置許容範囲R内に液状体Lを吐出しても液状体Lの速度が速度許容範囲内にない液状体Lを吐出したノズルNを、不良なノズルと判断する。一方、制御部43は、不良なノズル以外のノズルNを正常なノズルと判断する。そして、制御部43は、正常なノズルを「0」、不良なノズルを「1」で示すことによって、ノズル数に対応した180ビット長のデータを作成し、該データを「ノズル配置データ」としてRAM44に格納させる。例えば、第19番目のノズルN19と第22番目のノズルN22が不良ノズルであり、それ以外のノズルが正常ノズルである場合は、ノズル配置データは、「00000000000000000010010000000000000000000…00」となる。
【0051】
さらに、制御部43は、ROM45に格納された制御プログラム(使用ノズル位置算出プログラム)に従って、先に作成したノズル配置データから使用可能なノズルN群を検索する。具体的には、所定の入力手段(たとえば、入力装置41)を使用して、マザー基板2Aが取り替えられる毎に、1枚のマザー基板2A上に図3中X矢印方向(行方向)に形成される基板2の数と、各コード形成領域S内における図3中X矢印方向(行方向)のセルCの数を入力する。本実施形態では、1枚のマザー基板2A上には、X矢印方向(行方向)に3枚の基板2が形成され、その各基板2に形成されるコード形成領域Sには、X矢印方向(行方向)に16個のセルCが形成される旨を入力する。
【0052】
すると、制御部43は、連続して使用可能な18個のノズルN群を検索する。本実施形態では、180個のノズルN1〜N180のうち、第1のノズルN1を含めて第1のノズルN1側に最も近いノズルNから使用可能な連続する18個のノズルN群を検索するようになっている。また、制御部43は、マザー基板2Aが取り替えられる毎に、先に探索した第1のノズルN1を含めて第1のノズルN1側に最も近い使用可能なノズルNを除いた、使用可能な連続する18個のノズルN群を検索する。そして、制御部43は、その使用可能な連続する18個のノズルNを「1」で示し、他のノズルNを「0」で示したデータ
を作成し、その作成したデータを「使用ノズル配置データ」としてRAM44に格納する。そして、使用可能な連続する18個のノズルN群のうち、第1のノズルN1側に最も近いノズルNから数えて連続する16個のノズルN群を、各基板2L(図3参照)上の識別コード10を形成するためのノズルN群とする。また、第1のノズルN1側に最も近いノズルNから数えて2番目から連続する16個のノズルN群を、各基板2C(図3参照)上の識別コード10を形成するためのノズルN群とする。さらに、第1のノズルN1側に最も近いノズルNから数えて3番目から連続する16個のノズルN群を、各基板2R(図3参照)上の識別コード10を形成するためのノズルN群とする。
【0053】
例えば、ノズル配置データが、「00000000000000000010010000000000000000000…00」である場合、最初の使用ノズル配置データは、「11111111111111111100000000000000000000000…00」となる。つまり、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18が使用ノズルとなる。従って、第1番目のノズルN1〜第16番目のノズルN16が基板2L上上の識別コード10を形成するためのノズルN群となり、第2番目のノズルN2〜第17番目のノズルN17が基板2C上の識別コード10を形成するためのノズルN群となり、第3番目のノズルN3〜第18番目のノズルN18が基板2L上の識別コード10を形成するためのノズルN群となる。そして、マザー基板2Aが取り替えられると、再び、ROM45に格納された制御プログラム(不良ノズル位置算出プログラム)に従って不良であるノズルNの位置を特定する。その結果、例えば、ノズル配置データが、先と同様に、「00000000000000000010010000000000000000000…00」である場合、次の使用ノズル配置データは、「00000000000000000000001111111111111111110…00」となる。この場合、第23番目のノズルN23〜第40番目のノズルN40が使用ノズルとなる。従って、第23番目のノズルN23〜第38番目のノズルN38が基板2L上の識別コード10を形成するためのノズルN群となり、第24番目のノズルN24〜第39番目のノズルN39が基板2C上の識別コード10を形成するためのノズルN群となり、第25番目のノズルN25〜第40番目のノズルN40が基板2R上の識別コード10を形成するためのノズルN群となる。
【0054】
さらにまた、制御部43は、ROM45に格納された制御プログラム(位置補正プログラム)に従って、列が変る毎に、即ち、基板2L→基板2C、または基板2C→基板2Rに変るときに、キャリッジ29をその使用ノズルの1ノズル分だけ行方向に移動させる。従って、例えば、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18中の第1番目のノズルN1〜第16番目のノズルN16を使用して、基板2L上に識別コード10を形成する。続いて、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18中の第2番目のノズルN2〜第17番目のノズルN17を使用して、基板2C上に識別コード10を形成する。このとき、基板2Cとキャリッジ29との相対位置を、基板2Lとキャリッジ29との相対位置に比べて、キャリッジ29をその使用ノズルの1ノズル分だけ反X矢印方向側に移動させる。このようにすることで、基板2L上に形成される識別コード10の位置と、基板2C上に形成される識別コード10の位置とを一致することができる。同様に、基板2Rとキャリッジ29との相対位置を、基板2Cとキャリッジ29との相対位置に比べて、キャリッジ29をその使用ノズルの1ノズル分だけ反X矢印方向側に移動させる。このようにすることで、基板2C上に形成される識別コード10の位置と、基板2R上に形成される識別コード10の位置とを一致することができる。
【0055】
吐出選択信号生成回路48は、セレクタ48aとパラレル/シリアル変換回路48bとを備えている。
セレクタ48aは、RAM44に格納されたビットマップデータBMDをその第1行目のビットマップデータBMD1→第2行目のビットマップデータBMD2→…→第16行
目のビットマップデータBMD16の順に抽出するか、または、第16行目のビットマップデータBMD16→第15行目のビットマップデータBMD15→…→第1行目のビットマップデータBMD1の順に抽出するか、を選択する旨の信号を生成する回路である。本実施形態のセレクタ48aは、第1行目のビットマップデータBMD1→第2行目のビットマップデータBMD2→…→第16行目のビットマップデータBMD16の順に抽出する旨の信号を生成し、その信号をパラレル/シリアル変換回路48bに出力する。
【0056】
パラレル/シリアル変換回路48bは、RAM44から抽出されたビットマップデータBMDの各ビット値を、先に作成された使用ノズル配置データに従って、どのノズルNに割り当てるかを決定する吐出データを作成する。この吐出データは、マザー基板2A上に形成される基板2の列毎に、つまり、基板2L、基板2C、基板2R毎に1ビットずつずれたデータである。そして、その結果を、I/F部49を介してヘッド駆動回路51(シフトレジスタ51a)に順次シリアル転送する。
【0057】
具体的には、パラレル/シリアル変換回路48bは、256ビットある使用ノズル配置データを先頭から各ビットずつ順番に抽出していく。そして、最初の1番目の「1」の値の使用ノズル配置データが抽出されると、それに同期して、セレクタ48aによって決められた順番に従って16ビットである第1行目のビットマップデータBMD1の先頭の値を割り当てる。次に、2番目の「1」の値である使用ノズル配置データを抽出すると、第1行目のビットマップデータBMD1の2番目の値を割り当てる。以降、同様にして、使用ノズル配置データを抽出する毎に、第1行目のビットマップデータBMD1の各値を割り当てる。そして、さらに、パラレル/シリアル変換回路48bは、17番目及び18番目の「1」の値の使用ノズル配置データを抽出すると、それに同期してダミービットとして「0」のデータを2ビット割り当てるようになっている。このようにして、第1行目に対応した18ビット長の吐出データ(第1の吐出データD1)を作成する。そして、その第1の吐出データD1をI/F部49を介してヘッド駆動回路51に出力する。
【0058】
例えば、使用ノズル配置データが、「11111111111111111100000000000000000000000…00」であり、第1行目の16ビットのビットマップデータBMD1が、「1010101010101010」である場合、パラレル/シリアル変換回路48bは、「101010101010101000」からなる第1行目に対応した18ビットの第1の吐出データD1を作成する。
【0059】
続いて、再び、パラレル/シリアル変換回路48bは、256ビットある使用ノズル配置データを先頭から各ビットずつ順番に抽出していく。そして、最初の1番目の「1」の値の使用ノズル配置データが抽出されると、それに同期して、第2行目のビットマップデータBMD2の先頭の値を割り当てる。次に、2番目の「1」の値である使用ノズル配置データを抽出すると、第2行目のビットマップデータBMD2の2番目の値を割り当てる。以降、同様にして、使用ノズル配置データを抽出する毎に、16ビット長である第2行目のビットマップデータBMD2の各値を割り当てる。さらに、パラレル/シリアル変換回路48bは、17番目及び18番目の「1」の値の使用ノズル配置データを抽出すると、それに同期してダミービットとして「0」のデータを2ビット割り当てるようになっている。このようにして、第2行目に対応した18ビット長の第1の吐出データD1を作成する。そして、その第1の吐出データD1をI/F部49を介してヘッド駆動回路51に出力する。
【0060】
例えば、第2行目のビットマップデータBMD2が、「1101000000111001」である場合、パラレル/シリアル変換回路48bは、「110100000011100100」からなる18ビットの吐出データを作成する。そして、その吐出データをI/F部49を介してヘッド駆動回路51(シフトレジスタ51a)に順次シリアル転送
する。
【0061】
以降、同様にして逐次使用ノズル配置データに対して第3〜第16行目のビットマップデータBMD3〜BMD16を割り当て、それぞれの行に対応した18ビットの第1の吐出データD1を作成する。そして、その第1の吐出データD1をI/F部49を介してヘッド駆動回路51に出力する。
【0062】
このようにすることによって、ヘッド駆動回路51には、18×16ビットをなす第1の吐出データD1が供給される。そして、この第1の吐出データD1がマザー基板2A上の基板2L用の吐出データとなる。
【0063】
続いて、パラレル/シリアル変換回路48bは、再び、256ビットある使用ノズル配置データを先頭から各ビットずつ順番に抽出していく。そして、最初の1番目の「1」の値の使用ノズル配置データが抽出されると、それに同期して、先ず、ダミービットとして「0」のデータを1ビット割り当てる。その後、2番目の「1」の値である使用ノズル配置データを抽出すると、第1行目のビットマップデータBMD1の先頭の値を割り当てる。次に、3番目の「1」の値である使用ノズル配置データを抽出すると、第1行目のビットマップデータBMD1の2番目の値を割り当てる。以降、同様にして、使用ノズル配置データを抽出する毎に、第1行目のビットマップデータBMD1の各値を割り当てる。そして、さらに、パラレル/シリアル変換回路48bは、18番目の「1」の値の使用ノズル配置データを抽出すると、それに同期してダミービットとして「0」のデータを1ビット割り当てるようになっている。このようにして、第1行目に対応した18ビット長の吐出データ(第2の吐出データD2)を作成する。そして、その第2の吐出データD2をI/F部49を介してヘッド駆動回路51に出力する。
【0064】
例えば、使用ノズル配置データが、「11111111111111111100000000000000000000000…00」であり、第1行目の16ビットのビットマップデータBMD1が、「1010101010101010」である場合、パラレル/シリアル変換回路48bは、「010101010101010100」からなる第1行目に対応した18ビットの第2の吐出データD2を作成する。
【0065】
続いて、再び、パラレル/シリアル変換回路48bは、256ビットある使用ノズル配置データを先頭から各ビットずつ順番に抽出していく。そして、最初の1番目の「1」の値の使用ノズル配置データが抽出されると、それに同期して、先ず、ダミービットとして「0」のデータを1ビット割り当てる。その後、2番目の「1」の値である使用ノズル配置データを抽出すると、第2行目のビットマップデータBMD2の先頭の値を割り当てる。次に、3番目の「1」の値である使用ノズル配置データを抽出すると、第2行目のビットマップデータBMD2の2番目の値を割り当てる。以降、同様にして、使用ノズル配置データを抽出する毎に、第2行目のビットマップデータBMD2の各値を割り当てる。そして、さらに、パラレル/シリアル変換回路48bは、18番目の「1」の値の使用ノズル配置データを抽出すると、それに同期してダミービットとして「0」のデータを1ビット割り当てるようになっている。このようにして、第2行目に対応した18ビット長の第2の吐出データD2を作成する。そして、その第2の吐出データD2をI/F部49を介してヘッド駆動回路51に出力する。
【0066】
例えば、第2行目のビットマップデータBMD2が、「1101000000111001」である場合、パラレル/シリアル変換回路48bは、「011010000001110010」からなる18ビットの第2の吐出データD2を作成する。そして、その吐出データをI/F部49を介してヘッド駆動回路51に順次シリアル転送する。
【0067】
以降、同様にして逐次使用ノズル配置データに対して第3〜第16行目のビットマップデータBMD3〜BMD16を割り当て、それぞれの行に対応した18ビットの第2の吐出データD2を作成する。そして、その第2の吐出データD2をI/F部49を介してヘッド駆動回路51に出力する。
【0068】
このようにすることによって、ヘッド駆動回路51には、18×16ビットをなす吐出データが供給される。そして、この吐出データがマザー基板2A上の基板2C用の吐出データとなる。
【0069】
続いて、パラレル/シリアル変換回路48bは、再び、256ビットある使用ノズル配置データを先頭から各ビットずつ順番に抽出していく。そして、最初の1番目の「1」の値の使用ノズル配置データが抽出されると、それに同期して、先ず、ダミービットとして「0」のデータを割り当てる。次に、2番目の「1」の値である使用ノズル配置データを抽出すると、再び、ダミービットとして「0」のデータを割り当てる。その後、3番目の「1」の値である使用ノズル配置データを抽出すると、第1行目のビットマップデータBMD1の先頭の値を割り当てる。次に、4番目の「1」の値である使用ノズル配置データを抽出すると、第1行目のビットマップデータBMD1の2番目の値を割り当てる。以降、同様にして、使用ノズル配置データを抽出する毎に、第1行目のビットマップデータBMD1の各値を割り当てる。このようにして、第1行目に対応した18ビット長の吐出データ(第3の吐出データD3)を作成する。そして、その第3の吐出データD3をI/F部49を介してヘッド駆動回路51に順次シリアル転送する。
【0070】
例えば、使用ノズル配置データが、「11111111111111111100000000000000000000000…00」であり、第1行目のビットマップデータBMD1が、「1010101010101010」である場合、パラレル/シリアル変換回路48bは、「001010101010101010」からなる第1行目に対応した18ビットの第3の吐出データD3を作成する。
【0071】
続いて、再び、パラレル/シリアル変換回路48bは、256ビットある使用ノズル配置データを先頭から各ビットずつ順番に抽出していく。そして、最初の1番目の「1」の値の使用ノズル配置データが抽出されると、それに同期して、ダミービットとして「0」のデータを割り当てる。次に、2番目の「1」の値の使用ノズル配置データが抽出されると、それに同期して、ダミービットとして「0」のデータを割り当てる。その後、3番目の「1」の値である使用ノズル配置データを抽出すると、第2行目のビットマップデータBMD2の先頭の値を割り当てる。次に、4番目の「1」の値である使用ノズル配置データを抽出すると、第2行目のビットマップデータBMD2の2番目の値を割り当てる。以降、同様にして、使用ノズル配置データを抽出する毎に、第2行目のビットマップデータBMD2の各値を割り当てる。このようにして、第2行目に対応した18ビット長の第3の吐出データD3を作成する。そして、その吐出データをI/F部49を介してヘッド駆動回路51に出力する。
【0072】
例えば、第2行目のビットマップデータBMD2が、「1101000000111001」である場合、パラレル/シリアル変換回路48bは、「001101000000111001」からなる18ビットの第3の吐出データD3を作成する。そして、その第3の吐出データD3をI/F部49を介してヘッド駆動回路51に順次シリアル転送する。
【0073】
以降、同様にして逐次使用ノズル配置データに対して第3〜第16行目のビットマップデータBMD3〜BMD16を割り当て、それぞれの行に対応した18ビット長の第3の吐出データD3を作成する。そして、その第3の吐出データD3をI/F部49を介して
ヘッド駆動回路51に出力する。
【0074】
このようにすることによって、ヘッド駆動回路51には、18×16ビットをなす第3の吐出データD3が供給される。そして、この第3の吐出データD3がマザー基板2A上の基板2R用の吐出データとなる。
【0075】
つまり、基板2Lのための18×16ビットの第1の吐出データD1が作成され、また、基板2Lのための18×16ビットの第2の吐出データD2が作成され、さらに、基板2Cのための18×16ビットの第3の吐出データD3が作成される。
【0076】
ヘッド駆動回路51は、ノズルNの数だけ設けられた圧電素子PZをそれぞれ独立して駆動制御する駆動回路である。そして、ヘッド駆動回路51は、対応するノズルNに対する第1〜第3の吐出データD1,D2,D3を入力し記憶するとともに、その第1〜第3の吐出データD1,D2,D3に応じて圧電素子PZを駆動させて対応するノズルNから液状体Lを吐出させる。
【0077】
基板検出装置52は、基板2の端縁を検出し、制御装置40によって吐出ヘッド30(ノズルN)の直下を通過する基板2の位置を算出する。
X軸モータ駆動回路53は、X軸モータ回転検出器53aに接続されている。X軸モータ駆動回路53は、X軸モータ回転検出器53aからの検出信号に基づいて、X軸駆動モータMXの回転方向及び回転量を検出し、吐出ヘッド30(キャリッジ29)のX矢印方向の移動量と、移動方向とを演算するようになっている。そして、X軸モータ駆動回路53は、制御装置40からのX軸モータ駆動制御信号に基づいてX軸駆動モータMXを正転又は逆転させ、前記キャリッジ29を往復移動させる。例えば、X軸駆動モータMXを正転させると、キャリッジ29はX矢印方向に移動し、逆転させるとキャリッジ29は反X矢印方向に移動するようになっている。
【0078】
Y軸モータ駆動回路54は、Y軸モータ回転検出器54aに接続されている。Y軸モータ駆動回路54は、Y軸モータ回転検出器54aからの検出信号に基づいて、Y軸駆動モータMYの回転方向及び回転量を検出し、ステージ23(マザー基板2A)のY矢印方向の移動量と、移動方向とを演算するようになっている。そして、Y軸モータ駆動回路54は、制御装置40からのY軸モータ駆動制御信号に基づいてY軸駆動モータMYを正転又は逆転させ、前記ステージ23(マザー基板2A)を往復移動させる。例えば、Y軸駆動モータMYを正転させると、ステージ23はY矢印方向に移動し、逆転させるとステージ23(マザー基板2A)は反Y矢印方向に移動するようになっている。
【0079】
次に、液滴吐出装置20を使って識別コード10を形成する方法について図7〜図12に従って説明する。
図7〜図12は、それぞれ、識別コード10の形成方法を説明するための図であって、各図(a)は、ステージ23の載置面24上に載置されたマザー基板2Aの上面図であり、各図(b)は、吐出ヘッド30の図(a)中a−a線断面図であり、各図(c)は、各コード形成領域Sの上面図である。
【0080】
図7(a)に示すように、マザー基板2Aをステージ23の載置面24上の所定の位置に載置した後、図示しない前記基板チャックを駆動させて、マザー基板2Aを固定する。そして、入力装置41を使用して描画データIaを制御装置40に送信する。すると、RAM44に16ビット毎に区分されたビットマップデータBMD1〜BMD16が格納される。
【0081】
また、これと同時に、キャリッジ29及びステージ23が所定量移動し吐出ヘッド30
が検査位置に至るように移動する。そして、この状態で、全ての圧電素子PZに液状体Lを吐出させる旨の吐出データがヘッド駆動回路51に供給される。
【0082】
すると、全ての圧電素子PZが駆動し、図7(b)に示すように、各ノズルNから液状体Lが吐出される。このとき、ノズル検査機構Kが駆動制御されて各ノズルNから吐出した飛翔中の液滴状の液状の液状体Lの様子が速度検出用カメラK3によって撮影される。また、フィルムF上に着弾した液状体L及びフィルムF上に描かれた許容範囲(位置許容範囲)Rの様子が位置検出用カメラK2によって撮影される。
【0083】
その結果、制御部43によって、たとえば、図7(c)に示すように、第1〜第18のノズルN1〜N18から吐出された液状体Lは、それぞれ着弾位置が対応する位置許容範囲R内にあり、第19のノズルN19から吐出された液状体Lは、その着弾位置が対応する位置許容範囲R内になく、かつ、その液状体Lの吐出量が適量でないと判断される。
【0084】
また、第20及び第21のノズルN20,N21からそれぞれ吐出された液状体Lは、それぞれ着弾位置が対応する位置許容範囲R内にあり、第22のノズルN22からは液状体Lが吐出されていないと判断される。第23〜第180のノズルN23〜N180から吐出された液状体Lは、それぞれ着弾位置が対応する位置許容範囲R内にある。
【0085】
従って、この場合においては、第19のノズルN19と第22のノズルN29が不良なノズルであると判断される。そして、この結果に基づいて、制御部43によって、ノズル配置データが作成されRAM44に格納される。
【0086】
さらに、制御部43によって、RAM44に格納されたノズル配置データとビットマップデータBMD1〜BMD16とに基づいて、使用ノズル配置データが作成される。この使用ノズル配置データは、前記したように、マザー基板2A上の基板2L用の第1の吐出データD1、基板2C用の第2の吐出データD2、基板2R用の第3の吐出データD3であって、それぞれが18×16ビットのデータである。そして、ヘッド駆動回路51に各吐出データD1,D2,D3が供給される。
【0087】
すると、図8(a)に示すように、吐出ヘッド30がマザー基板2A上の1列目にある3つの基板2Lのうち図8中左端に位置する基板2L上のコード形成領域Sに対向する位置に移動する。そして、先ず、基板2L用の吐出データのうち、第1行目に対応した第1の吐出データD1に基づいて、対応するノズルNから液状体Lが吐出される。本実施形態では、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18が使用可能なノズルNであり、且つ、第1行目に対応した基板2L用の第1の吐出データD1は、「101010101010101000」である。従って、この場合、第1番目のノズルN1、第3番目のノズルN3、第5番目のノズルN5、…、第15番目のノズルN15からは液状体Lが吐出され、第2番目のノズルN2、第4番目のノズルN4、第6番目のノズルN6、…、第18番目のノズルN18からは液状体Lが吐出されない(図8(b)参照)。
【0088】
その後、Y軸モータ駆動回路55が駆動制御されて、マザー基板2Aが一行分だけ図8(a)中Y矢印方向にずれる。そして、基板2L用の第1の吐出データD1のうち、第2行目に対応した第1の吐出データD1に基づいて、対応するノズルNから液状体Lが吐出される。本実施形態では、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18が使用可能なノズルNであり、且つ、第2行目に対応した基板2L用の第1の吐出データD1は、「110100000011100100」である。従って、この場合、第1番目のノズルN1、第2番目のノズルN2、第4番目のノズルN4、…、第16番目のノズルN16からは液状体Lが吐出され、第3番目のノズルN3、第5番目のノズルN5、第6番目のノズルN6、…、第18番目のノズルN18からは液状体Lが吐出されない。
【0089】
以下、同様にして、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18を使用して第3〜第16行目のビットマップデータBMD3〜BMD16に基づいて液状体Lが吐出される。この結果、左端に位置する基板2L上のコード形成領域S内に識別コード10が形成される(8(c)参照)。
【0090】
続いて、図9(a)に示すように、吐出ヘッド30がマザー基板2A上の1列目にある3つの基板2Lのうちの図9(a)中段に位置する基板2L上のコード形成領域Sに対向する位置に移動する。そして、基板2L用の第1の吐出データD1のうち、第1行目に対応した第1の吐出データD1に基づいて、対応するノズルNから液状体Lが吐出される(図9(b)参照)。このとき、前記と同様に、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18を使用し、第1〜第18行目に対応した基板2L用の第1の吐出データD1に基づいて順次液状体Lが吐出されて、その結果、中段に位置する基板2L上のコード形成領域S内に識別コード10が形成される(図9(c)参照)。
【0091】
またさらに、吐出ヘッド30がマザー基板2A上の1列目にある3つの基板2Lのうちの図9(a)中右端に位置する基板2L上のコード形成領域Sに対向する位置に移動する。そして、再び、基板2L用の第1の吐出データD1のうち、第1行目に対応した第1の吐出データD1に基づいて、対応するノズルNから液状体Lが吐出される。そして、以下、前記と同様に、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18を使用し、第1〜第18行目に対応した基板2L用の吐出データに基づいて順次液状体Lが吐出されて、その結果、右端に位置する基板2L上のコード形成領域S内に識別コード10が形成される。
【0092】
次に、図10(a)に示すように、吐出ヘッド30がマザー基板2A上の2列目にある3つの基板2Cのうちの図10(a)中左端に位置する基板2C上のコード形成領域Sに対向する位置に移動する。このとき、基板2Cとキャリッジ29との相対位置が、基板2Lとキャリッジ29との相対位置に比べて、キャリッジ29をその使用ノズルの1ノズル分だけ反X矢印方向側に移動する。そして、基板2C用の第2の吐出データD2のうち、第1行目に対応した吐出データに基づいて、対応するノズルNから液状体Lが吐出される。本実施形態では、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18が使用可能なノズルNであり、且つ、第1行目に対応した基板2C用の第2の吐出データD2は、「010101010101010100」である。つまり、この場合、第2番目のノズルN2、第4番目のノズルN4、第6番目のノズルN6、…、第16番目のノズルN16からは液状体Lが吐出され、第3番目のノズルN3、第5番目のノズルN5、第7番目のノズルN7、…、第18番目のノズルN18からは液状体Lが吐出されない(図10(b)参照)。
【0093】
続いて、Y軸モータ駆動回路55が駆動制御されて、マザー基板2Aが一行分だけ図10(a)中Y矢印方向にずれる。そして、基板2C用の第2の吐出データD2のうち、第2行目に対応した18ビット長の第2の吐出データD2に基づいて、対応するノズルNから液状体Lが吐出される。本実施形態では、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18が使用可能なノズルNであり、且つ、第2行目に対応した基板2C用の第2の吐出データD2は、「011010000001110010」である。つまり、この場合、第2番目のノズルN2、第3番目のノズルN3、第5番目のノズルN5、…、第17番目のノズルN17からは液状体Lが吐出され、第1番目のノズルN1、第4番目のノズルN4、第6番目のノズルN6、…、第18番目のノズルN18からは液状体Lが吐出されない。
【0094】
以下、同様にして、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18を使用して第3〜第16行目に対応した基板2C用の第2の吐出データD2に基づいて液状体Lが吐出さ
れる。この結果、基板2Cのうちの左端に位置する基板2C上のコード形成領域S内にビットマップデータBMDに応じた液状体Lが塗布される(図10(c)参照)。
【0095】
続いて、図11(a)に示すように、吐出ヘッド30がマザー基板2A上の2列目にある3つの基板2Cのうちの図11(a)中段に位置する基板2C上のコード形成領域Sに対向する位置に至る。そして、再び、基板2C用の第2の吐出データD2のうち、第1行目に対応した第2の吐出データD2に基づいて、対応するノズルNから液状体Lが吐出される(図11(b)参照)。そして、前記と同様に、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18を使用して液状体Lが吐出され、その中段に位置する基板2C上のコード形成領域S内に識別コード10が形成される(図11(c)参照)。
【0096】
またさらに、キャリッジ29の吐出ヘッド30がマザー基板2A上の2列目にある3つの基板2Cのうちの図11(a)中右端に位置する基板2C上のコード形成領域Sに対向する位置に移動する。そして、基板2C用の第2の吐出データD2のうち、第1行目に対応した吐出データに基づいて、対応するノズルNから液状体Lが吐出される。そして、以下、前記と同様に、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18を使用し、第1〜第18行目に対応した基板2C用の第2の吐出データD2に基づいて順次液状体Lが吐出されて、その結果、右端に位置する基板2C上のコード形成領域S内に識別コード10が形成される。
【0097】
次に、図12(a)に示すように、吐出ヘッド30がマザー基板2A上の3列目にある3つの基板2Rのうちの図12(a)中左端に位置する基板2R上のコード形成領域Sに対向する位置に移動する。このとき、基板2Cとキャリッジ29との相対位置が、基板2Lとキャリッジ29との相対位置に比べて、キャリッジ29をその使用ノズルの1ノズル分だけ反X矢印方向側に移動する。そして、基板2R用の第3の吐出データD3のうち、第1行目に対応した第3の吐出データD3に基づいて、対応するノズルNから液状体Lが吐出される。本実施形態では、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18が使用可能なノズルNであり、且つ、第1行目に対応した基板2R用の第3の吐出データD3は、「001010101010101010」である。つまり、この場合、第3番目のノズルN3、第5番目のノズルN5、第7番目のノズルN7、…、第17番目のノズルN17からは液状体Lが吐出され、第1番目のノズルN1、第2番目のノズルN2、第4番目のノズルN4、…、第18番目のノズルN18からは液状体Lが吐出されない(図12(b)参照)。
【0098】
続いて、Y軸モータ駆動回路55が駆動制御されて、マザー基板2Aが一行分だけ図12(a)中Y矢印方向にずれる。そして、基板2R用の第3の吐出データD3のうち、第2行目に対応した第3の吐出データD3に基づいて、対応するノズルNから液状体Lが吐出される。本実施形態では、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18が使用可能なノズルNであり、且つ、第2行目に対応した基板2R用の吐出データは、「001101000000111001」である。つまり、この場合、第3番目のノズルN3、第4番目のノズルN4、6番目のノズルN6、…、第18番目のノズルN18からは液状体Lが吐出され、第1番目のノズルN1、第2番目のノズルN2、第5番目のノズルN5、…、第17番目のノズルN17からは液状体Lが吐出されない。
【0099】
以下、同様にして、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18を使用して、基板2R用の吐出データに基づいて液状体Lが吐出される。この結果、基板2Rのうちの上段に位置する基板2R上のコード形成領域S内にビットマップデータBMDに応じた液状体Lが塗布される。
【0100】
続いて、図13(a)に示すように、吐出ヘッド30がマザー基板2A上の3列目にあ
る3つの基板2Rのうちの図13(a)中段に位置する基板2R上のコード形成領域Sに対向する位置に移動する。そして、再び、基板2R用の吐出データのうち、第1行目に対応した第3の吐出データD3に基づいて、対応するノズルNから液状体Lが吐出される(図13(b)参照)。このとき、前記と同様に、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18を使用し、第1〜第18行目に対応した基板2R用の第3の吐出データD3に基づいて順次液状体Lが吐出されて、その結果、中段に位置する基板2R上のコード形成領域S内に識別コード10が形成される(図13(c)参照)。
【0101】
またさらに、吐出ヘッド30がマザー基板2A上の1列目にある3つの基板2Lのうちの図13(a)中右端に位置する基板2R上のコード形成領域Sに対向する位置に移動する。そして、再び、基板2R用の第3の吐出データD3のうち、第1行目に対応した第3の吐出データD3に基づいて、対応するノズルNから液状体Lが吐出される。そして、以下、前記と同様に、第1番目のノズルN1〜第18番目のノズルN18を使用し、第1〜第18行目に対応した基板2R用の第3の吐出データD3に基づいて順次液状体Lが吐出されて、その結果、右端に位置する基板2R上のコード形成領域S内に識別コード10が形成される。
【0102】
以上のようにすることで、1枚のマザー基板2Aの各基板2上に第3の吐出データD3(ビットマップデータBMD)に応じた液状体Lが塗布される。
その後、前記基板チャックを解除してマザー基板2Aをステージ23の載置面24から取り外し、マザー基板2Aを図示しない例えばホットプレート上に載置して液状体L中の溶媒を除去することで、識別コード10が形成される。
【0103】
また、ステージ23の載置面24上の所定の位置に新たなマザー基板2Aを載置し、基板チャックによって固定する。そして、入力装置41を使用して新たなマザー基板2Aに対応した識別コードの描画データIaを制御装置40に送信し、その送信された描画データIaが、16ビット毎(各行毎)に区分されたビットマップデータBMD1〜BMD16に変換され、RAM44に格納される。
【0104】
そして、キャリッジ29を検査位置に移動し、この状態で、制御装置40から全ての圧電素子PZに液状体Lを吐出させる旨の吐出データをヘッド駆動回路51に供給する。そして、速度検出用カメラK3及び位置検出用カメラK2を駆動させて不良なノズルを探索しノズル配置データを作成する。このとき、制御部43によって、第1番目のノズルN1を除いて使用可能な連続する18個のノズルが探索される。
【0105】
この結果、たとえば、再び、図7(c)に示すように、第19のノズルN19と第22のノズルN22が不良なノズルであると判断された場合、2回目の使用ノズル配置データは、前記したように、先に探索した第1のノズルN1を含めて第1のノズルN1側に最も近い使用可能なノズルNを除いた、使用可能な連続する18個のノズルN群となる。先に探索したノズル配置データは、「11111111111111111100000000000000000000000…00」であるので、先に探索した第1のノズルN1側に最も近い使用可能なノズルNは、第1のノズルN1である。第19のノズルN19と第22のノズルN22が不良なノズルであるので、その第1のノズルN1を除いた、第1のノズルN1側にある使用可能な連続する18個のノズルN群は、第23番目のノズルN23〜第40番目のノズルN40が使用ノズルとなる。従って、使用ノズル配置データは、「00000000000000000000001111111111111111110…00」となる。第23番目のノズルN23〜第38番目のノズルN38が基板2L上の各コード形成領域Sに対して使用されるノズルN群となり、第24番目のノズルN24〜第39番目のノズルN39が基板2C上の各コード形成領域Sに対して使用されるノズルN群となり、第25番目のノズルN25〜第40番目のノズルN40が基板2L上
の各コード形成領域Sに対して使用されるノズルN群となる。そして、制御部43によって、そのノズル配置データと16ビット毎に(行毎に)区分されたビットマップデータBMD1〜BMD16とに基づいて、第1〜第3の吐出データD1,D2,D3が作成される。そして、各ノズルN群を使用して新たな識別コードを各基板2L,2C,2R上のコード形成領域S内に形成する。
【0106】
一方、各基板2上に識別コード10を形成したマザー基板2Aは、その後、その表面2a側に各基板2上に対応して表示部3、走査線駆動回路4及びデータ線駆動回路5を、公知の方法によって形成する。その後、各基板2間をダイシング処理することで、9枚の基板2を切り出すことで、9枚の液晶表示モジュール1が製造される。
【0107】
前記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) 本実施形態では、コード形成領域Sの行方向のセル数(16個)よりも多い数のノズル数(180個)のノズルNを有する吐出ヘッド30を用いて、180個のノズルNのうち不良なノズルを探索して使用可能なノズルNの位置を検出するようにした。そして、その使用可能なノズルのうち、18個の連続して使用可能なノズルを使用して1枚のマザー基板2Aに形成された3×3個の基板2上の各コード形成領域S上に液状体Lを吐出するようにした。
【0108】
そして、全ての基板2上の各コード形成領域S上に液状体Lを吐出した後、再び、不良なノズルを探索して、その探索された不良なノズルと、先に使用した使用可能な18個のノズルNのうちの1つのノズルNと、を除外した新たな使用可能なノズルNの位置を検出するようにした。そして、その新たな使用可能なノズルNうち、18個の連続して使用可能なノズルNを使用して、液状体Lを吐出するようにした。以降、上記と同様にして、全ての基板2上に液状体Lを吐出した毎に、順次新たな使用可能なノズルの位置を検出して、その新たな使用可能なノズルNうち、18個の連続して使用可能なノズルを使用して各基板2上のコード形成領域Sに液状体Lを吐出するようにした。
【0109】
従って、たとえ、不良なノズルNが発生しても、その都度、交換することなく、継続して複数のマザー基板2Aに対して同じ吐出ヘッド30を使用することができる。この結果、ノズルNを効率良く使用することができるので、生産効率を向上させることのできる液滴吐出装置を提供することができる。
(2) 本実施形態では、第1の吐出データD1、第2の吐出データD2、第3の吐出データD3に従って、各基板2L、基板2C、基板2Rに液状体Lを吐出するようにした。また、キャリッジ29が基板2Lから基板2Cに、及び基板2Cから基板2Rに移動する毎に、キャリッジ29の各基板2L,2C,2Rに対する位置を、前記ノズルをずらした分だけそのずらした方と反対の方向に移動させるようにした。このようにすることで、各基板2L,2C,2L上に形成される識別コード10の位置を一致することができる。
(3) 本実施形態では、液滴吐出装置20は、不良なノズルの位置を検出するノズル検査機構Kを備えている。従って、液滴吐出装置20は、使用可能なノズルの位置を検出することができる。
(4) しかも、本実施形態では、ノズル検査機構Kを、支持アーム25a側に張り出した案内部材26の周辺に設けたので、吐出動作を行った後に直ちに不良なノズルNを検出することができる。従って、識別コード10の形成を短時間に行うことができるので、生産効率を向上させることができる。
【0110】
尚、発明の実施形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施してもよい。
○上記実施形態では、連続して使用可能な18個のノズルN群は、180個のノズルN1〜N180のうち、第1のノズルN1を含めて第1のノズルN1側に最も近いノズルN
から使用可能な連続する18個のノズルN群とした。また、制御部43は、マザー基板2Aが取り替えられる毎に、先に探索した第1のノズルN1を含めて第1のノズルN1側に最も近い使用可能なノズルNを除いた、使用可能な連続する18個のノズルN群を検索するようにした。連続して使用可能な18個のノズルN群は、これに限定されるものではなく、たとえば、連続して使用可能な18個のノズルN群は、180個のノズルN1〜N180のうちの中心に位置するノズル側に最も近いノズルNから使用可能な連続する18個のノズルN群としてもよい。このようにすることでも、上記と同様な効果を得ることができる。
【0111】
○上記実施形態では、コード形成領域Sは、16行×16列からなるセルCを有していたが、特に、これに限定されるものではない。例えば、コード形成領域Sは、20行×20列からなるセルCを有していてもよい。この場合、連続して使用可能なノズルN群は、23個となる。
【0112】
○上記実施形態では、マザー基板2A上には、3行×3列からなる基板2を備えていたが、特に、これに限定されるものではない。例えば、5行×5列からなる基板2を備えていていてもよい。この場合、連続して使用可能なノズルN群は、20個となる。
【0113】
○上記実施形態では、液滴吐出装置20を使って液晶表示装置の液晶表示モジュール1に設けられる識別コード10を形成したが、液晶表示モジュール1ではなく、他の表示装置に設けられる識別コード10を形成してもよい。たとえば、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の表示モジュールの識別コード10を形成してもよい。要は、1枚のマザー基板2Aを使用して複数の表示モジュールを形成する場合における識別コードを形成する場合であれば、どのようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】液晶表示装置の液晶表示モジュールの正面図。
【図2】識別コードの正面図。
【図3】液滴吐出装置の全体斜視図。
【図4】吐出ヘッドの斜視図。
【図5】吐出ヘッドの内部構造を説明するための要部断面図。
【図6】液滴吐出装置の電気的構成図。
【図7】識別コードの形成方法を説明するための図であって、(a)は、ステージの載置面上に載置されたマザー基板の上面図、図(b)は、吐出ヘッドの図(a)中a−a線断面図、図(c)は、コード形成領域の上面図。
【図8】同じく、識別コードの形成方法を説明するための図であって、(a)は、ステージの載置面上に載置されたマザー基板の上面図、図(b)は、吐出ヘッドの図(a)中a−a線断面図、図(c)は、コード形成領域の上面図。
【図9】同じく、識別コードの形成方法を説明するための図であって、(a)は、ステージの載置面上に載置されたマザー基板の上面図、図(b)は、吐出ヘッドの図(a)中a−a線断面図、図(c)は、コード形成領域の上面図。
【図10】同じく、識別コードの形成方法を説明するための図であって、(a)は、ステージの載置面上に載置されたマザー基板の上面図、図(b)は、吐出ヘッドの図(a)中a−a線断面図、図(c)は、コード形成領域の上面図。
【図11】同じく、識別コードの形成方法を説明するための図であって、(a)は、ステージの載置面上に載置されたマザー基板の上面図、図(b)は、吐出ヘッドの図(a)中a−a線断面図、図(c)は、コード形成領域の上面図。
【図12】同じく、識別コードの形成方法を説明するための図であって、(a)は、ステージの載置面上に載置されたマザー基板の上面図、図(b)は、吐出ヘッドの図(a)中a−a線断面図、図(c)は、コード形成領域の上面図。
【図13】同じく、識別コードの形成方法を説明するための図であって、(a)は、ステージの載置面上に載置されたマザー基板の上面図、図(b)は、吐出ヘッドの図(a)中a−a線断面図、図(c)は、コード形成領域の上面図。
【符号の説明】
【0115】
C…セル、K…ノズル検出手段としてのノズル検査機構、N…ノズル、RAM…ノズル位置データ記憶手段、2A…基板としてのマザー基板、10…パターンとしての識別コード、20…液滴吐出装置、29…液滴吐出ヘッド、43…吐出データ作成手段または位置補正手段としての制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、行方向及び列方向に沿って形成される複数のパターンの各々を構成する前記行方向に沿ったセルのセル数に比べて、前記行方向に沿って配置された複数のノズルのノズル数が多く設けられた液滴吐出ヘッドと、
前記複数のノズルのうち使用可能なノズルのノズル数及び位置の情報を記憶するノズル位置データ記憶手段と、
所定回数だけ前記使用可能な連続したノズルを使用して液状の組成物を吐出させた後、前記使用可能な連続したノズルのノズル位置をずらして、前記ずらした後の前記連続した使用可能なノズルを使用して前記液状の組成物を吐出させる吐出データを作成する吐出データ作成手段と、
前記吐出データ作成手段に基づいて、前記液滴吐出ヘッドの位置を、前記列方向に形成される前記パターン毎に、前記使用可能なノズルのノズル位置をずらした分だけ補正する位置補正手段と
を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記吐出データ作成手段は、前記列方向に形成される前記パターンの数毎に、前記使用可能な連続したノズルのノズル位置をずらして、前記ずらした後の前記連続した使用可能なノズルを使用して前記液状の組成物を吐出させる吐出データを作成するようにしたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液滴吐出装置において、
前記ノズル位置データ記憶手段は、前記基板上に前記液状の組成物を吐出する前に、前記全ノズルの吐出特性を検出するノズル検出手段を備えていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
基板上に、行方向及び列方向に沿って形成される複数のパターンの各々を構成する前記行方向に沿ったセルのセル数に比べて多く前記行方向に沿って配置された複数のノズルのうち使用可能なノズルのノズル数及び位置を検出する使用ノズル検査工程と、
所定回数だけ前記使用可能な連続したノズルを使用して液状の組成物を吐出させた後、前記使用可能な連続したノズルのノズル位置をずらして、前記ずらした後の前記使用可能な連続したノズルを使用して前記液状の組成物を吐出させる吐出データを作成する吐出データ作成工程と、
液滴吐出ヘッドの位置を、前記列方向に形成される前記パターン毎に、前記使用可能なノズルのノズル位置をずらした分だけ補正する位置補正工程と
を備えたことを特徴とするドットパターン形成方法。
【請求項5】
請求項4に記載のドットパターン形成方法において、
前記吐出データ作成工程は、前記列方向に形成される前記パターンの数毎に、前記使用可能な連続したノズルのノズル位置をずらして、前記ずらした後の前記使用可能な連続したノズルを使用して前記液状の組成物を吐出させる吐出データを作成するようにしたことを特徴とするドットパターン形成方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載のドットパターン形成方法において、
前記使用ノズル検査工程は、前記基板上に前記液状の組成物を吐出する前に、前記全ノズルの吐出特性を検出することを特徴とするドットパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−272943(P2006−272943A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100151(P2005−100151)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】