説明

液滴吐出装置

【課題】ワークの搬送精度を向上させた液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】ノズル孔を有する液滴吐出ヘッドと、検出部と、ワークを搬送させるワーク搬送部と、前記ワークの位置を補正する補正部と、制御部と、を備え、前記検出部は、前記ワークを介して前記液滴吐出ヘッドと対向して配置され、前記制御部は、前記液滴吐出ヘッドの前記ノズル孔から液滴を吐出させ、ワーク上にアライメントマークを形成し、前記検出部に検出させた前記アライメントマークの検出結果に基づいて、前記補正部に前記ワークの位置を補正させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークに向けて液滴を吐出させ、ワーク上に機能液を塗布する液滴吐出装置は、例えば、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、液滴吐出ヘッドを主走査方向に移動させるヘッド移動手段と、ワークを副走査方向に移動させるワーク移動手段等を備えている。このような液滴吐出装置では、ワークの搬送量のばらつきに起因する白スジ等の発生を低減させるため、ワークの搬送精度を向上させる必要がある。そこで、液滴吐出ヘッドのノズル孔からワークに向けて液滴を吐出して、ワーク上に所定のアライメントマークを形成するマーク記録手段と、ワーク上に形成されたマークを検出するマーク検出手段と、を備え、マーク検出手段が検出したマークの位置をワークの移動量としてワークを移動させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−188954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の液滴吐出装置では、マーク検出手段が、液滴吐出ヘッドと並列して配置され、かつ、ワーク上に形成されたアライメントマークの位置よりも、ワークの搬送方向の下流側に配置されているため、アライメントマークの位置が正しいか否かの判断が、ワークを搬送した後に判明することになる。すなわち、ワークを搬送した後に、ワークの搬送距離が正しかったのか否かが判明し、この後で、ワーク位置を補正することになるので、補正処理に時間がかかってしまったり、アライメントマークを検出するまでに要したワークの搬送分が無駄になってしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる液滴吐出装置は、ノズル孔を有する液滴吐出ヘッドと、検出部と、ワークを搬送させるワーク搬送部と、前記ワークの位置を補正する補正部と、制御部と、を備え、前記検出部は、前記ワークを介して前記液滴吐出ヘッドと対向して配置され、前記制御部は、前記液滴吐出ヘッドの前記ノズル孔から液滴を吐出させ、ワーク上にアライメントマークを形成し、前記検出部に検出させた前記アライメントマークの検出結果に基づいて、前記補正部に前記ワークの位置を補正させることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ワークに向けて液滴吐出ヘッドから液滴を吐出させることにより、ワーク上にアライメントマークが形成される。形成されたアライメントマークは、検出部によって検出され、当該検出結果に基づいて、ワークの位置が補正される。その後、ワークの搬送が行われる。ここで、検出部は、ワークを介して液滴吐出ヘッドと対向して配置されている。すなわち、検出部は、形成されるアライメントマークの近傍に配置されている。これにより、アライメントマークが形成された段階で、アライメントマーク位置の検出が可能となる。すなわち、素早くアライメントマークの位置を検出することができるとともに、検出結果に基づいて、ワークの位置を補正することが可能となる。従って、ワーク位置の補正処理時間を短縮させることができる。さらに、アライメントマークの検出位置までのワーク搬送量が少なくなるため、ワークの無駄を削減することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記検出部が、平面視において、前記アライメントマークと重複する位置に配置されたことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、アライメントマークを検出するために検出部を移動させる必要が無くなり、さらにワーク位置の補正処理時間を短縮させることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、互いに異なる前記ノズル孔から前記液滴を吐出させ、前記ワーク上に前記アライメントマークを形成することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、互いに異なるノズル孔から吐出された液滴により、ワーク上にアライメントマークが形成される。つまり、一つのアライメントマークが、複数のノズル孔を用いて形成される。このため、各ノズル孔から吐出される液滴の飛行曲がり等に起因するワークへの着弾位置の誤差が分散(平均化)される。そして、アライメントマークの検出位置に基づいてワークが搬送されるので、ワークの搬送精度を向上させることができる。これにより、ワークの搬送精度の向上に伴い、描画解像度を高めることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記ワークの搬送方向に対して上流側に配置された第1ノズル孔から前記液滴を吐出させて前記ワーク上に第1マークを形成させるとともに、前記第1ノズル孔に対して前記ワークの搬送方向の下流側に配置された第2ノズル孔から前記液滴を吐出させて前記ワーク上に第2マークを形成させつつ、前記ワークの搬送方向に前記ワークを搬送させる過程において、前記第1マークと前記第2マークとで前記アライメントマークを形成することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、アライメントマークが、互いに異なるノズル孔(第1ノズル孔、第2ノズル孔)から液滴吐出して形成された第1マークと第2マークとで形成される。このため、各液滴吐出ヘッドのノズル孔から吐出される液滴の飛行曲がり等に起因するワークへの着弾位置の誤差が分散(平均化)される。そして、アライメントマークの検出位置に基づいてワークが搬送されるので、ワークの搬送精度を向上させることができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記アライメントマークにおける前記第1マークと前記第2マークとの比率が半々となるように、前記第1マークと前記第2マークとを形成することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、第1マークと第2マークとが、それぞれ略均等に形成されるので、液滴の着弾位置の誤差を平均化させることができる。
【0016】
[適用例6]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記ワークの搬送方向に直交する前記ワークの幅方向における前記ワークの両端部に前記アライメントマークを形成させ、前記検出部に前記両端部に形成された前記アライメントマークを検出させることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、ワークの両端部にアライメントマークが形成され、当該両方のアライメントマークの検出位置に基づいてワークが搬送されるので、ワークの搬送精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】液滴吐出装置の構成を示す概略図。
【図2】液滴吐出ヘッドの構成を示す概略図。
【図3】液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャート。
【図4】アライメントマークの形成方法及びワークの搬送方法を示す説明図。
【図5】アライメントマークの形成方法及びワークの搬送方法を示す説明図。
【図6】第1マーク、第2マーク及びアライメントマークの形状を示す説明図。
【図7】他のアライメントマークの形状を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材ごとに縮尺を異ならせて図示している。
【0020】
(液滴吐出装置の構成)
まず、液滴吐出装置の構成について説明する。液滴吐出装置は、ノズル孔を有する液滴吐出ヘッドと、検出部と、ワークを搬送させるワーク搬送部と、ワークの位置を補正する補正部と、制御部と、を備えている。検出部は、ワークを介して前記液滴吐出ヘッドと対向して配置され、制御部は、液滴吐出ヘッドのノズル孔から液滴を吐出させ、ワーク上にアライメントマークを形成し、検出部に検出させたアライメントマークの検出結果に基づいて、補正部に前記ワークの位置を補正させる。
【0021】
以下、具体的な構成について説明する。図1(a)は、液滴吐出装置の構成を示す概略図である。なお、本実施形態では、いわゆるリール・ツー・リール形式で除給材される薄いフィルム状のワークWに対して、例えば、機能液としての紫外線硬化インク(UVインク)を液滴吐出ヘッドにより吐出することにより、所望の画像等を印刷する液滴吐出装置について説明する。また、以下の説明において、ワークWの搬送方向(ワークの長手方向)をX軸方向とし、X軸方向に直交する方向(液滴吐出ヘッドの走査(移動)方向)をY軸方向とし、さらにワークWと平行な平面内における回転方向をθ方向とする。
【0022】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、機台2と、ロール状に巻かれた長尺のワークWを繰出す繰出し装置3と、印刷済みのワークWを巻取る巻取り装置4と、機台2上に配設され、給材されたワークWを吸着セットするワークステージ5と、ワークステージ5をθ方向に回転させる補正部としてのステージ回転部6と、X軸方向に延在し、ステージ回転部6およびワークステージ5を介してワークWをX軸方向に搬送するXY軸テーブル(副走査移動テーブル)7と、XY軸テーブル7を跨ぐようにY軸方向に架け渡されたY軸テーブル(主走査移動テーブル)8と、Y軸テーブル8に移動自在に搭載された複数のキャリッジユニット9と、キャリッジユニット9に搭載された液滴吐出ヘッド51を備えている。また、液滴吐出ヘッド51によって形成されたアライメントマークMを検出する検出部12を備えている。そして、これらの装置等は、制御部60によって制御されている。
【0023】
本実施形態における液滴吐出装置1では、繰出し装置3により繰出されたワークWをワークステージ5で吸着した後、液滴吐出ヘッド51を用いてアライメントマークMを形成させ、さらに、当該アライメントマークMを検出部12で検出させ、検出されたアライメントマークMの検出位置に基づいて、ワークWの位置を補正させる。そして、キャリッジユニット9を往復動(主走査)させながら液滴吐出ヘッド51からインクを吐出して印刷処理を行う。また、ワークステージ5の大きさに対応する印刷領域に対して印刷している間、繰出し装置3および巻取り装置4により、ワークWを順次繰出すと共に、順次巻取るように構成されている。
【0024】
その他に、液滴吐出装置1は、液滴吐出ヘッド51からインクを強制的に排出させる吸引ユニット14、および吸引後のノズル面57を払拭するワイピングユニット15からなる保守装置11を備えている。保守装置11は、XY軸テーブル7およびY軸テーブル8が交差する印刷領域からY軸方向に外れた保守領域に配設されており、保守領域に臨ませた液滴吐出ヘッド51の保守を行うものである。
【0025】
ワークステージ5は、表面(セット面)に吸着孔(図示省略)が複数個形成されており、繰出し装置3から送られてきたワークWを吸着する。ワークステージ5は、ワークWを吸着した状態で、XY軸テーブル7により所定の位置までX軸方向(上流側から下流側)に搬送移動される(副走査)。そして、1画像領域分の描画が終了する下流端位置(描画終了位置)に達すると、ワークWの吸着を解除し、且つ送込みローラー23および送出しローラー27のニップ状態を解いた後、XY軸テーブル7によって上流端位置(描画開始位置)に復帰移動する。
【0026】
また、ワークステージ5の一部に、ワークステージ5の表面から裏面に貫通する貫通孔5aが設けられている。そして、図1(b)に示すように、ワークステージ5の裏面側に、貫通孔5aを介して検出部12が配置されている。検出部12は、ワークW上に形成されたアライメントマークMを検出するものであり、検出部12は、平面視において、ワーク上に形成されたアライメントマークMと重複する位置に配置される。また、本実施形態では、2つの検出部12a,12bが配置されている。検出部12は、単数、或いは、複数個設けることが可能である。すなわち、検出するアライメントマークMの数に対応させた数の検出部12が設けられている(本実施形態では、アライメントマークMが2つ形成される)。なお、例えば、検出するアライメントマークMの数が2つの場合であっても、検出部12を1つ設置して、当該検出部12を移動させて、2つのアライメントマークMを検出させる構成であってもよい。
【0027】
ステージ回転部6は、ワークステージ5を下面から支持すると共に、ワークステージ5をワークWのセット面と平行な面内においてθ方向に微小回転させる。具体的には、アライメントマークMの検出結果に基づいて、ワークステージ5上のワークWが、所定位置に対してθずれを起こしている場合に、ステージ回転部6を駆動させ、ワークステージ5を微小回転調整(θ補正)させる。
【0028】
XY軸テーブル7は、機台2上に配設され、ステージ回転部6を介してワークステージ5をX及びY軸方向に移動させるものである。すなわち、アライメントマークMの検出結果に基づいて、XまたはY方向におけるワークWの位置ずれを補正するととともに、液滴吐出ヘッド51の往復動(主走査)と並行して、ワークWを搬送(副走査)させるものである。XY軸テーブル7の駆動系は、例えば、リニアモーターや、モーターおよびリードねじ機構等で構成することが好ましい。
【0029】
Y軸テーブル8は、機台2をY軸方向に跨ぐように架け渡された門形のベースフレーム33と、ベースフレーム33上に配設され、Y軸方向に延在する一対のY軸ガイドレール34a,34bと、キャリッジユニット9と、キャリッジユニット9をY軸方向にスライド自在に支持するモーター駆動のY軸スライダー36と、を有している。Y軸テーブル8は、各キャリッジユニット9を介して印刷時に液滴吐出ヘッド51をY軸方向に往復動させるほか、液滴吐出ヘッド51を保守装置11に臨ませる。なお、主走査移動軸は、一対のY軸ガイドレール34およびY軸スライダー36で構成されている。この場合も、その駆動系は、リニアモーターや、モーターおよびリードねじ機構等で構成することが好ましい。また、キャリッジユニット9のY軸方向両端部には、一対の紫外線ランプ45が搭載されている。
【0030】
次に、液滴吐出ヘッドの構成について説明する。図2は、液滴吐出ヘッドの構成を示す概略図である。液滴吐出ヘッド51は、ワークWに向けてインクを液滴として吐出し、ワークW上に画像を形成したり、アライメントマークMを形成するものである。図2に示すように、キャリッジユニット9には、ヘッドユニット50が構成されている。そして、ヘッドユニット50は、複数個の液滴吐出ヘッド51で構成されている。本実施形態のヘッドユニットでは、9個の液滴吐出ヘッド51で構成されている。
【0031】
本実施形態の液滴吐出ヘッド51は、多数のノズル孔56を有するノズル面57を有している。そして、各ノズル孔56に対応して設けられたキャビティ(図示せず)と、各キャビティに対応して設けられた圧電素子(図示せず)と、を備えている。そして、圧電素子に電圧が印加され、キャビティの容積が減少した際、ポンプ作用により、ノズル孔56から液滴(インク滴)が吐出される。なお、各液滴吐出ヘッド51には任意の色が異なるインクが導入されるため、各液滴吐出ヘッド51から異なる色のインクを吐出することができる。
【0032】
本実施形態におけるインクは、いわゆる紫外線硬化インクであり、紫外線ランプ45から照射された紫外線によって紫外線硬化インクを硬化・定着させることができる。紫外線ランプ45は、例えば、LEDなどで構成されている。なお、一対の紫外線ランプ45を、液滴吐出ヘッド51の往復動(主走査)に対応して交互に点灯してもよい。すなわち、往動時には、液滴吐出ヘッド51を後追いする側の一方の紫外線ランプ45を点灯し、復動時には、液滴吐出ヘッド51を後追いする側の他方の紫外線ランプ45を点灯してもよい。
【0033】
次に、液滴吐出装置の制御方法について説明する。図3は、液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャートである。また、図4及び図5は、アライメントマークの形成方法及びワークの搬送方法を示す説明図である。
【0034】
まず、ステップS1では、ワークステージ5上にワークWを給材させるとともに、ワークWを吸着させる。具体的には、繰出し装置3および巻取り装置4を駆動させ、ワークWを順次繰り出させるとともに、ワークステージ5の吸着機構を駆動させ、ワークステージ5上にワークWを吸着させる。
【0035】
次に、ステップS2では、図4(a)に示すように、キャリッジユニット9を主走査方向に移動させ、液滴吐出ヘッド51に設けられた複数のノズル孔56のうち、ワークWの搬送方向(X軸方向)に対して上流側に配置された第1ノズル孔56aから液滴を吐出させてワークW上に第1マークMa1を形成させるとともに、第1ノズル孔56aに対してワークWの搬送方向の下流側に配置された第2ノズル孔56bから液滴を吐出させてワークW上に第2マークMb1を形成させる。この場合、ワークWの搬送方向に直交するワークWの幅方向におけるワークWの両端部近傍に第1及び第2マークMa1,Mb1を形成させる。この際の第1及び第2マークMa1,Mb1の形状は、特に限定されず、例えば、本実施形態では、図6(a)に示すように、液滴吐出ヘッド51の主走査方向に沿った略直線状の第1マークMa1が形成される。また、同様に、図6(b)に示すように、液滴吐出ヘッド51の主走査方向に沿った略直線状の第2マークMb1が形成される。
【0036】
次に、ステップS3では、ワークWを吸着させたワークステージ5を搬送方向(X軸方向)に移動させ、検出部12によって第1マークMa1を検出させる。そして、検出部12による第1マークMa1の検出結果に基づいて、所定の位置までワークWを副走査方向(X方向)に搬送(移動)させる。例えば、図4(b)に示すように、検出された第1マークMa1の中心位置を基準として、ワークWを移動させる。すなわち、本実施形態の本ステップS3では、第1ノズル孔56aと第2ノズル孔56bとのピッチ間の長さ分を搬送方向に移動させることになる。従って、第1マークMa1は、第2ノズル孔56bの走査上付近に移動することになる。なお、本ステップS3の直後では、ワークW上に描画を行わない。なぜならば、第1マークMa1は、第1ノズル孔56aのみから形成されたものである。このため、第1マークMa1を基準位置としてワークWを搬送した場合、第1ノズル孔56aから吐出された液滴の飛行曲がり等に起因して、ワークWの搬送位置精度が低下しているおそれがある。従って、ワークWに描画した場合には、白スジやスジむら等が発生してしまう、という問題が生じるからである。
【0037】
次に、ステップS4では、互いに異なるノズル孔から液滴を吐出させ、ワークW上にアライメントマークMを形成させるとともに、形成されたアライメントマークMを検出させる。すなわち、各ノズル孔(第1及び第2ノズル孔56a,56b)に起因する液滴の着弾位置ずれ誤差が分散化(平均化)されたアライメントマークM1が検出される。具体的には、図4(c)に示すように、液滴吐出ヘッド51に設けられた複数のノズル孔56のうち、ワークWの搬送方向(X軸方向)に対して上流側に配置された第1ノズル孔56aから液滴を吐出させてワークW上に第1マークMa2を形成させるとともに、第1ノズル孔56aに対してワークWの搬送方向の下流側に配置された第2ノズル孔56bから液滴を吐出させてワークW上に第2マークMb2を形成させる。そうすると、ステップS3で説明したように、先に形成された第1マークMa1が、第2ノズル孔56bの走査付近に移動されているので、第1マークMa1上に第2マークMb2が形成され、図6(c)に示すように、第1マークMa1と第2マークMb2とでアライメントマークM1が形成される。このように、アライメントマークM1は、互いに異なるノズル孔56、すなわち、本実施形態では、第1ノズル孔56aと第2ノズル孔56bのそれぞれからから吐出された液滴によって形成される。なお、アライメントマークM1における第1マークMa1と第2マークMb2との比率が半々となるように、第1マークMa1と第2マークMb2とが形成される。そして、先と同様に、ワークWの搬送方向に直交するワークWの幅方向におけるワークWの両端部近傍にアライメントマークM1を形成させる。そして、検出部12a,12bを駆動させ、形成されたアライメントマークM1を検出させる。
【0038】
次いで、ステップS5では、アライメントマークM1の検出結果に基づいて、ワークWの位置補正を行うか否かを判断させる。補正が必要な場合(YES)には、ステップS6に移行し、補正が不要な場合(NO)の場合には、ステップS7に移行する。
【0039】
ステップS6では、ワークWの位置補正を行う。具体的には、図5(d)に示すように、アライメントマークM1の検出結果に基づいて、XY軸テーブル7やステージ回転部6を駆動させてワークWの位置を補正する。そして、両方のアライメントマークM1が所定の位置に到達したら終了する。
【0040】
ステップS7では、ワークW上に画像Pを形成させる。具体的には、図5(e)に示すように、キャリッジユニット9及び液滴吐出ヘッド51を駆動させ、ワークWに向けて液滴を吐出させることにより、ワークW上に画像Pを形成させる。
【0041】
ステップS8では、描画を終了するか否かを判断させる。描画を終了させる場合(YES)の場合には、液滴吐出装置1の駆動が終了し、描画を終了させず、描画を続行させる場合(NO)の場合には、ステップS9に移行する。
【0042】
ステップS9では、ワークWを搬送方向に移動させる。この場合、第1マークMa2が検出部12によって検出されるまで移動させる。その後、ワークステージ5からワークWの吸着を解除させる。そして、ワークステージ5を所定の位置(原点位置)まで移動させる。次いで、ステップS1に移行する。
【0043】
従って、上記の実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0044】
(1)アライメントマークMの形成位置の下側に検出部12が配置され、アライメントマークMが形成された時点で、素早くアライメントマークMを検出することができる。そして、当該検出結果に基づいて、ワークWの位置補正を効率よく行うことができる。
【0045】
(2)互いに異なる第1及び第2ノズル孔56a,56bから液滴を吐出させ、アライメントマークMを形成した。すなわち、複数のノズル孔56を用いて一つのアライメントマークMを形成することにより、各ノズル孔56から吐出される液滴の飛行曲がり等に起因するワークへの着弾位置の誤差が分散化される。そして、アライメントマークMの形成位置を検出させ、検出結果に基づいてワークWが搬送されるので、ワークWの搬送精度を向上させることができる。
【0046】
なお、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例が挙げられる。
【0047】
(変形例1)上記実施形態では、互いに異なる第1及び第2ノズル孔56a,56bを用いてアライメントマークMを形成したが、これに限定されない。第1ノズル孔56aまたは第2ノズル孔56bのいずれかを用いてアライメントマークMを形成してもよい。この場合、いずれか一方のノズル孔によって形成されるアライメントマークMの位置の付近に検出部を配置すればよい。このようにすれば、ワークWを搬送することなく、アライメントマークMを検出することができる。
【0048】
(変形例2)上記実施形態では、1個の第1ノズル孔56aから液滴を吐出させて第1マークMa1を形成し、1個の第2ノズル孔56bから液滴を吐出させて第2マークMb1を形成したが、これに限定されない。複数のノズル孔56(所定のノズル群)を用いて第1マークMa1または第2マークMb1を形成してもよい。このようにすれば、さらに、各ノズル孔に起因する液滴の着弾位置ずれ誤差が平均化され、ワークWの搬送精度を向上させることができる。
【0049】
(変形例3)上記実施形態では、一の液滴吐出ヘッド51を用いてアライメントマークMを形成したが、これに限定されない。例えば、互いに異なる液滴吐出ヘッド51のノズル孔56から液滴を吐出して、ワークW上にアライメントマークMを形成してもよい。このようにしても、アライメントマークMが互いに異なるノズル孔56から吐出される液滴によって形成されるので、上記同様、ワークWの搬送精度を向上させることができる。
【0050】
(変形例4)上記実施形態では、アライメントマークM1は、主走査方向に略平行(副走査方向に略垂直)に直線形状を有したが、これに限定されず、例えば、図7(a)に示すように、主走査方向に略垂直(副走査方向に略平行)に直線形状であってもよい。また、図7(b)に示すように、十字型の形状であってもよい。さらには、図7(c)に示すように、円形状であってもよい。この例では、アライメントマークM1が、第1マークMa1と第2マークMb1とをそれぞれ形成するドットが互いに入り交じって形成される。また、この場合、第1マークMa1と第2マークMb1との比率は略50%ずつである。このようにすれば、第1マークMa1と第2マークMb1とが、それぞれ略均等に形成されるため、液滴の着弾位置の誤差を平均化させることができる。
【0051】
(変形例5)上記実施形態では、同じ色のインクによって第1マークMa1と第2マークMb2とを形成したが、異なる色のインクによって第1マークMa1と第2マークMb2とを形成してもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【0052】
(変形例6)上記実施形態における液滴吐出装置の制御方法では、図3に示すように、ステップS7において描画する毎にアライメントマークM1を形成させたが、これに限定されない。例えば、液滴吐出ヘッド51とワークWとが改行される毎にアライメントマークM1を形成させ、改行毎にアライメントマークMを検出させ、必要に応じて位置補正を行うようにしてもよい。具体的には、図3においてステップS9の後に、ステップS5に移行させればよい。このようにすれば、連続描画することができ、生産性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0053】
1…液滴吐出装置、5…ワークステージ、6…ステージ回転部、7…XY軸テーブル、8…Y軸テーブル、9…キャリッジユニット、12…検出部、51…液滴吐出ヘッド、56…各ノズル孔、56a…第1ノズル孔、56b…第2ノズル孔、60…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル孔を有する液滴吐出ヘッドと、
検出部と、
ワークを搬送させるワーク搬送部と、
前記ワークの位置を補正する補正部と、
制御部と、を備え、
前記検出部は、前記ワークを介して前記液滴吐出ヘッドと対向して配置され、
前記制御部は、
前記液滴吐出ヘッドの前記ノズル孔から液滴を吐出させ、ワーク上にアライメントマークを形成し、前記検出部に検出させた前記アライメントマークの検出結果に基づいて、前記補正部に前記ワークの位置を補正させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記検出部が、平面視において、前記アライメントマークと重複する位置に配置されたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
互いに異なる前記ノズル孔から前記液滴を吐出させ、前記ワーク上に前記アライメントマークを形成することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記ワークの搬送方向に対して上流側に配置された第1ノズル孔から前記液滴を吐出させて前記ワーク上に第1マークを形成させるとともに、前記第1ノズル孔に対して前記ワークの搬送方向の下流側に配置された第2ノズル孔から前記液滴を吐出させて前記ワーク上に第2マークを形成させつつ、前記ワークの搬送方向に前記ワークを搬送させる過程において、前記第1マークと前記第2マークとで前記アライメントマークを形成することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記アライメントマークにおける前記第1マークと前記第2マークとの比率が半々となるように、前記第1マークと前記第2マークとを形成することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記ワークの搬送方向に直交する前記ワークの幅方向における前記ワークの両端部に前記アライメントマークを形成させ、前記検出部に前記両端部に形成された前記アライメントマークを検出させることを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−245779(P2011−245779A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122405(P2010−122405)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】