説明

減少したNMRの半値幅を有する非常に安定な電解水

17Oを使用して約45Hz〜51Hz未満のNMR半値幅、および−1000〜+200mV、または+600〜+1300mVの酸化還元電位を有する電解酸性水もしくは電解アルカリ性水、そうした水を含み、皮膚を湿潤させるそうした水を使用し、薬物を運びおよび種々の皮膚および粘膜条件を治療する局所用組成物、および水を製造するための方法および装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先の出願との関係
本出願は、2007年4月25日出願の米国仮特許出願第60/926、182号明細書の優先権を主張する。この出願の内容を、参照により本明細書中に全て取り込む。
【0002】
本発明が、電解によって製造された非常に安定なアルカリ性水および酸性水に関し、アルカリ性水および酸性水を製造し、そして使用するための方法、および本発明の水を製造する装置に関する。
【背景技術】
【0003】
塩、特に塩化ナトリウムの水溶液は、電解処理の結果として、2種の液体製品、塩基性および還元特徴を有する(一般的にカソード水またはアルカリ性水として公知の)ものならびに酸性および酸化特徴を有する別の(一般的にアノード水または酸性水として公知の)ものに分かれることが知られている。
【0004】
従来の電解水は、非常に限られた保存を有する知られている欠点に苦しむ。実際に、製品は、調製後数日で、一般的に、劣化し、そしてその特性を失う傾向がある。したがって、公知の電解水は、調製され、そして実質的にその時点で使用されることが好ましい。従って、あらゆる既に製造されたパッケージの保存期間が、劇的に限られているので、この製品の商業的利用それ自身は極度に不都合である。
【0005】
幾つかの会社は、アルカリ性水を飲料目的で製造し、そしてその水をその酸化防止の特徴により売り込んでいる。これらの水は、多数の方法により、工業的および一家庭規模で、電解および超音波を含む方法により製造される。一般的にこれらの水は、一般的に9または10未満の中性とほとんど変わらないpHを有する。本発明の水は、消費のためを目的とせず、そして一般的に製造された飲料水よりはるかに高いpHを有する。
【0006】
水のピークの振幅に沿って半分で測定される(「半数値(full width at half height)」または「FWHH」としても公知である)水の17O−NMRスペクトルのバンド幅(「NMR半値幅(half line width)」)は、地下水から得られた水道水では80Hz以上であり、そして川の水または普通の廃水を生成することにより得られた水道水では約120Hzであると報告されている(a journal、’’Shokuhin To Kaihatsu’’、Vol. 24、No.7、1991、p.83)。米国特許第5、824、353号明細書は、50Hz未満の17O−NMR半値幅を有する水を報告する。この水は、超音波振動により製造され、そしてその安定性および小さいNMR半値幅のための特異的濃度のカリウム、マグネシウムおよびカルシウムイオンの存在によっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一つの目的は、背景技術の欠点を解決する電解アルカリ性水および電解酸性水を提供することである。この目的内で、本発明の目的の1つは、長期間の高安定性、低生産コストおよび容易な調製を有する、電解アルカリ性水および電解酸性水を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、好ましくは本発明のアルカリ性水を使用して、改善された皮膚の含水量を与え、または活性薬剤成分を輸送できる薬剤組成物および化粧品組成物を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、皮膚の深い層等の哺乳類の動物の組織に浸透する高い能力を有し、そして種々の皮膚疾患および皮膚病変を治療し、または予防できる上記の電解水を提供することである。
【0010】
本発明のまた他の目的は、本発明の電解アルカリ性水および電解酸性水を調製するための方法、ならびに本発明の電解アルカリ性水および電解酸性水を調製するために使用できる装置(devices and apparatuses)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらおよび他の目標および目的は、アノードおよびカソードチャンバー中で特別なナノ被覆電極を用いる電解方法、およびアノードとカソードチャンバーとの間の特別なナノ被覆膜を用いる電解方法によって達成され、重金属が本質的になく、そして従来技術で製造された電解水より遙かに低く、約45〜51Hz低い17O NMR半値幅を有する電解アルカリ性水および電解酸性水を製造する。NMR半値幅は、水中でのクラスターサイズの平均、および分子のクラスターサイズの分布によるので、本発明の方法により製造された水の品質および一貫性を直接反映する。
【0012】
したがって、一態様では、本発明は、17Oを使用して約45〜51Hz未満のNMR半値幅を有し、そして−900〜+200mV、または+600〜+1300mVの酸化還元電位を有する電解酸性水または電解アルカリ性水を提供する。さらに好ましい態様では、本発明のアルカリ性水は、約−900〜約−200mVの酸化還元電位、約8.5〜約13.0のpH、および/またはあらゆる検出可能な重金属のないことによって特徴付けられる。本発明の酸性水は、好ましくは、約+1000〜約+1300mVの酸化還元電位、約1.0〜約3.0のpH、および/または任意の検出可能な重金属のないことによって特徴付けられる。特に好ましい態様では、この水が、光、空気および熱から製品を遮断する適当な条件下で貯蔵された場合、pH、ORPまたはNMR半値幅に関して、30日、90日、180日または365日までもを超える安定性を有する。
【0013】
別の態様では、本発明は、本発明のアルカリ性水および酸性水を含む局所用組成物を提供する。特に、本発明は、成分として、17Oを使用して約45Hz〜51Hz未満のNMR半値幅を有する電解酸性水または電解アルカリ性水を含む局所用組成物;および1種または2種以上の化粧品的または薬剤的に許容される局所用賦形剤を提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、電解ユニット、および:
(a)(i)カソードチャンバー、アノードチャンバー、および((好ましくは、120〜180nmの平均直径を有する)直径約120〜約180nmの孔によって気孔率が主に特徴付けられる場合等に、ナノクラスター化されたHOのイオン化された部分が通過できる気孔率によって、好ましくは特徴付けられる等の)該チャンバーを分離するフィルター;ならびに、(ii)該カソードチャンバー内に位置するカソードおよび該アノードチャンバー内に位置するアノード、(ここで、該アノードおよびカソードの少なくとも1つは、70wt%超の該粒子が40〜100nmの直径を有する粒子の残留物によって被覆されている。)を含む電解ユニットを用意する工程;
(b)該チャンバーの一方または両方に、水およびアルカリ土類金属塩の溶液を導入する工程;および、
(c)17Oを使用して約45Hz〜51Hz未満のNMR半値幅を有する電解アルカリ性水または酸性水を製造するのに充分な時間および程度で、該アノードおよび該カソードに電位を適用する工程を含む、17Oを使用して約45〜51Hz未満のNMR半値幅を有する電解酸性水または電解アルカリ性水を製造するためのそうしたユニットを使用する方法を提供する。
【0015】
他の態様は、本発明の電解水のアルカリ性水および酸性水部分のための具体的な使用、特に医療分野および化粧品分野に関する。一態様では、この水は、それだけでまたは局所的な化粧品または調合薬組成物の一部としてのいずれかで、皮膚保湿剤(skin hydrating agent)として、または1種または2種以上の医薬品の輸送を補助するために、使用される。この水はまた、痛み、炎症性疾患、感染症、やけどおよび擦り傷を含む、表面もしくは深部疾患または皮膚もしくは真皮もしくは粘膜の病変の治療もしくは予防に有用である。この酸性水は、促進する皮膚および粘膜治癒に必要なコラーゲンの生産および他の代謝プロセスを促進するその能力により、皮膚および粘膜の病変の治療に特に有用であることが見いだされた。
【0016】
本発明の目標および目的はまた、上記で規定した酸性水またはアルカリ性水を含む組成物、ならびにi)人間または動物での使用のための薬剤的組成物を調製するために薬剤的に許容される賦形剤およびキャリアー、ii)人間または動物での使用のための化粧品組成物の調製のために化粧品的に許容される賦形剤およびキャリアー、iii)消毒剤組成物を調製するために食品部門において使用される賦形剤およびキャリアー、ならびにiv)駆虫薬または殺菌剤組成物を調製するために農業部門において使用される賦形剤およびキャリアーから成る群から選択された1種または2種以上の成分(好ましくは粘度増加剤)を含む組成物によって達成される。
【0017】
本発明の目標および目的はまた、本明細書中に規定されたような電解アルカリ性水または電解酸性水および投薬容器、ワイプまたは包帯等のそれらを基材に適用するための手段を含むキットによって達成される。
【0018】
本発明の目標および目的はまた、人間または動物の体の表面または深い皮膚および粘膜疾患または病変を治療し、そして予防するための薬剤を調製するために、上記で規定したようなアルカリ性水または酸性水を使用することによって達成される。
【0019】
本発明の目標および目的はまた、基材を消毒するために、上記で規定したような電解アルカリ性水または電解酸性水を使用することによって達成される。
【0020】
本発明の目標および目的はまた、人間または動物の体の過酸化の解決策を提供するために、上記で規定したような電解アルカリ性水または電解酸性水を使用することによって達成される。
【0021】
本発明の目標および目的はまた、特に局所的抗加齢製品として、人間または動物の体またはそれらの摘出された部分(isolated parts)の化粧品の処理、または酸化プロセスからの皮膚上の黒ずみ(black sedimentation)のために、上記で規定したようなアルカリ性水または酸性水を使用することによって達成される。
【0022】
本発明の目標および目的はまた、骨再建に好適な調合液を運ぶために、上記で規定したようなアルカリ性水または酸性水を使用することによって達成される。
【0023】
本発明の目標および目的はまた、再移植のために、乾燥した人間または動物の組織を再び湿潤させるために上記で規定したような電解アルカリ性水または電解酸性水を使用することによって達成される。
【0024】
本発明の追加の態様および利点は、以下の記載中の部分に記述されており、そしてその記載から部分的に明らかであろうし、または本発明の実施によって学ぶことができる。本発明の態様および利点は、付属の請求項で特に指摘された要素および組み合わせによって理解され、そして達成されるであろう。当然のことながら、先の一般的な記載および以下の詳細な記載の両者は、例示的であり、そして説明的なだけであり、そして、請求項に記載された本発明を制限しない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本明細書中に取り込まれ、そして本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の原理を説明するのに役立つ記載と共に、本発明の幾つかの態様を具体的に示す。
【図1】図1は、電解チャンバー2および2つの電極3および4を含む本発明による電解装置1の概略図である。
【図2】図2は、例7中に記載したような生理水(physiologic water)中での組織サンプルの経上皮(trans−epithelial)の電気抵抗試験の結果を示す棒グラフである。
【図3】図3は、例7中に記載したようなSDS中の組織サンプルの経上皮電気抵抗試験の結果を示す棒グラフである。
【図4】図4は、生理水中での組織サンプルおよび例7に記載したような減少したNMR半値幅のアルカリ性水中における組織サンプルの経上皮電気抵抗試験の結果を示す、比較棒グラフである。
【図5】図5は、プラセボクリーム中での組織サンプルの経上皮電気抵抗試験および例7中に記載したような減少したNMR半値幅のアルカリ性水でできたクリーム中での組織サンプルの結果を記載した比較棒グラフである。
【図6】図6は、プラセボクリーム中での組織サンプルの経上皮電気抵抗試験および例7中に記載したような減少したNMR半値幅のアルカリ性水でできたクリーム中での組織サンプルの結果を示す比較棒グラフである。
【図7】図7は、LCOIV/143(暗い空気を通さないガラス瓶中、25℃で1月放置後)、およびLCOIV/143(暗い空気を通さないガラス瓶中、40℃で1月放置後)のサンプルについて、本発明の方法によって製造したアルカリ性水で得られた17O NMR分光データを示す。
【図8】図8dは、LCOIV/143(暗い空気を通さないガラス瓶中、25℃で1月放置後)、およびLCOIV/143(暗い空気を通さないガラス瓶中、40℃で1月放置後)のサンプルについて、本発明の方法によって製造したアルカリ性水で得られた17O NMR分光データを示す。
【図9】図9は、生理水、表Sに記載した調合物に加えて、表Qに記載した仕様に合う酸性水中での組織サンプルの経上皮電気抵抗試験の結果を示す比較棒グラフである。
【図10】図 10生理水、表Sに記載した調合物に加えて、表Qに記載した仕様に合う酸性水中での組織サンプルの経上皮電気抵抗試験の結果を示す比較棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、本発明の好ましい態様の以下の詳細な記載およびそこに含まれる例を参照することによって、さらに容易に理解できるであろう。
【0027】
用語の定義および使用
「流体」の用語は、任意の純粋な流体、電解に曝された場合に非自発的化学反応を生じることができる溶液または懸濁液を参照するために使用される。1種の非常に好ましい流体は、水である。「水」の用語は、水道水、ろ過水、脱イオン水、および蒸留水等の任意のタイプの水をいうために使用される。本発明を用いて処理できる水は、電極管の陰極の連続的な逆転(下記で規定したような極性交換)を提供する可能性により、従来の装置を用いて処理できる水より、溶液中に高いパーセンテージの固体汚染を有する場合がある。帯電している場合、あらゆる汚染溶質は、実際、反対極によって引きつけられ、電解装置中に提供された任意の膜の孔を急速に塞ぐであろう流れを形成し、プロセスを妨害するであろう。対照的に、陰極の連続的かつ急速な逆転は、なんら流れを生じず、そして提供されている場合、膜の孔は、きれいで、かつ効率的に保持される。いったん電解に曝されると、水は、2つの液体部分に分かれ、簡素化のために、本明細書中では、酸性水またはアノード水およびカソード水またはアルカリ性水という。
【0028】
電解水は、電解プロセスによって製造された水を意味し、そして、好ましくは、酸化還元電位(ORP)および/またはその酸もしくはアルカリ性の性質を反映するpHによって、特徴付けられる。電解アルカリ性水のORPは、好ましくは−1000〜+200または0mV、−900〜−200mV、または−900〜−600mVの範囲である。電解アルカリ性水のpHは、好ましくは8.0〜13.0、8.5〜12.5、または10〜12の範囲である。あるいは、アルカリ性水のpHは、11.0〜13.0または11.5〜13.0の範囲である。
【0029】
電解酸性水のORPは、好ましくは+600〜+1350mV、さらに好ましくは、+800、+900、または+1000mV〜+1300mV、最も好ましくは、+1100〜+1250mVの範囲である。酸性水のpHは、好ましくは0.5または1.0〜6.0、5.0、4.0、または3.0の範囲であり、そして最も好ましくは、1.0〜3.0の範囲である。
【0030】
この明細書および続く請求項において使用されるように、単数形態の「1つ」「1」および「該」は、明らかに異なると記載しない限り、複数を含む。従って、例えば、「1種の成分」への言及は複数の成分の混合物を含み、「1種の活性医薬品」は、は、1種より多い活性医薬品、およびその同類のものを含む。
【0031】
本明細書中で使用される場合、「皮膚」の用語はその通常の意味で使用され、そして、表皮または皮膚の外側層、真皮または皮膚の中間層、および皮下または皮膚の最も深い層を含む。皮膚を通した浸透、皮膚の治療、および皮膚の疾患または病変に言及した場合、当然のことながら、皮膚の3つの層が意図され、そしてそれぞれの層は本発明の目的のために別個の態様を構成する。さらに、当然のことながら、皮膚の疾患は、爪および髪等の皮膚構成部分の疾患を含む。「皮膚または真皮」の用語が、使用される場合、皮膚に異なる意味を与えることを目的とせず;むしろ、単に、深い皮膚の病変に浸透し、そして影響する本発明の水の能力を強調することを意味する。
【0032】
病気の「治療すること」または「治療」は、(1)病気に感染しているかもしれないが、病気の症状を経験または示さない動物において、病気が発症するのを防ぐこと、(2)病気を抑制すること、すなわち、その進展を止めること、または(3)病気を和らげること、すなわち、病気の軽減を生じることを含む。
【0033】
本発明中において「消毒する」「消毒」または「消毒すること」の用語は、殺菌、消毒およびクリーニングの組み合せた効果の提供をいう。特に、殺菌効果は、殺菌(バクテリア)、殺菌剤(菌)、殺胞子および殺ウイルス効果を含む。
【0034】
「薬剤的に許容される」は、一般的に安全で、非有毒であり、そして生物学的にまたはそれ以外で望ましくないものでない薬剤的組成物を調製するのに有用であることを意味し、そして獣医学的用途、ならびに人間の薬剤的用途のために許容されるものを含む。
【0035】
「化粧品的に許容される」は、一般的に安全で、非有毒でありそして生物学的またはそれ以外で望ましくないものでない化粧品組成物を調製するのに有用であることを意味し、そして人間の化粧品用途で許容されるものを含む。
【0036】
「治療的有効量」は、病気を治療するために動物に投与された場合に、病気のそうした治療をもたらすのに充分な量を意味する。薬剤的に活性な試薬が、本発明に従って投与される場合、治療的に有効量で投与されるであろう。
【0037】
範囲の上限と別に範囲の下限を特定することによって範囲が与えられる場合、当然のことながら、この範囲は、数学的に可能である、下限の変数の任意の1つと、上限の変数の任意の1つとを選択的に組み合わせることによって規定できる。
【0038】
全ての形態における本発明の特徴および利点が、電解に曝される流体が水である非常に好ましい態様に関連してもっぱら記載される。しかし、情報および以下に与えられた詳細に基づいて、水以外の流体の電解を用いて同じ利点を達成できることが、当業者に直ちに明らかになるであろう。
【0039】
電極の構造
図1を参照すると、特に、電解槽のための、1種または2種以上の金属のナノ粒子を含む表面被膜を含むことに特徴がある、電極(すなわち、カソード1またはアノード2)に、図1が部分的に関することが分かる。好ましい態様では、電極は、金属材料、非金属材料またはそれらの組み合わせでできたコアを含む。
【0040】
コアが金属材料でできている場合、コアは、例えば、チタンおよび白金の合金またはスチールおよびグラファイトの合金でできていることができる。コアが非金属材料でできている場合、コアは、例えば、グラファイトでできていることができる。コアはまた、例えば、金属、例えば、チタンの外側層に被覆されたグラファイトでできたコア等の異なる層を含む。「金属」の用語は、金属およびその酸化物等の、金属を含む化合物の両方をいう。好ましいコアは、TiOでできている。
【0041】
本発明による電極は、極度に滑らかな、すなわち、金属性ナノ粒子を含むコアを被覆するための層である、ナノメートル被覆(以下、被膜ともいう)の存在により、実質的に、公知の電極に関して特徴付けられる。
【0042】
ナノ粒子の被覆を作る金属は、チタン、イリジウム、イットリウム、ルテニウム、亜鉛、ジルコニウム白金、セレン、タンタルおよびそれらの化合物の1種または2種以上の中から、好ましくは選択される。好ましい金属化合物は、上記の金属の酸化物である。好ましい被膜は、ZrO、ZnO、Ru、IrOおよびY、またはTiO、Pt/ZrOΣ、SnO、Ta、およびIrOを含む。好ましくは、種々の金属は、粉末形態で使用される。
【0043】
一態様では、被膜はまた、非金属性キャリアー材料、例えば、1種または2種以上のポリマーの粒子を含むことができる。このポリマーは、(例えば、プラスチック、アクリルポリマー等の)合成されたもの、または(例えば、改質されたセルロース、改質された澱粉等の)部分合成されたものであることができる。被膜内に含まれる金属性ナノ粒子は、好ましくは、粉末形態で使用される。粉末内のサイズ分布に関して、好ましくは、粉末中に存在する粒子の少なくとも、70%、75%、または80wt%に等しい量は、粉末で存在し、さらに好ましくは、少なくとも85%に等しい量は、40〜100nm、50〜90nm、または60〜80nmの範囲の粒子直径を有する。
【0044】
別の形態では、本発明は、電極を得る方法に関する。被膜は、当業者に公知であり、そして、例えば、粉末または金属性ナノ粉末の混合物を焼結することによって、滑らかな表面を製造するのに適合される、ナノテクノロジー技術の手段によって提供される。
【0045】
粉末形態の個々の金属は、1)プレフォームド混合物として、および/または2)連続して適用され、そして相互に重ね合わされ、そしてそれぞれの層が単一の金属からなる離散した層の形態で、および/または3)連続して適用されおよび相互に重ね合わされ、そしてそれぞれの層が、2種または3種以上の金属からなるが、被膜中に存在する全ての金属から同時にならない離散した層の形態で被膜を生成するように、電極に適用できる。
【0046】
好ましい態様では、この方法は、上記で規定した1種または2種以上の金属のナノ粒子の粉末を、電極のコアの上に直接焼結することによって電極の被膜を調製するステップ(A)を含む。好ましくは、ステップ(A)は、個々に挙げられた順番で行われる以下のステップを含む:
【0047】
(Al)上記で規定した金属性ナノ粒子の1種または2種以上の粉末を調製する工程、
(A2)好適な溶媒中に、そして少なくとも適用される全ての粉末を溶解できるような量で、ナノ粒子の1種または2種以上の粉末を溶解させ、1種または2種以上の溶液を得る工程、および
(A3)電極のコアを生成するであろう、先の工程で得られた1種または2種以上の溶液を、金属プレート上で焼結し、好ましくはその表面上で不活性化させる工程。
【0048】
好ましくは:
ステップ(Al)の金属性ナノ粒子の1種または2種以上の粉末は、熱水の化学処理によって有利に得られるZrO、ZnO、Ru、IrOおよびY、またはTiO、Pt/ZrO、SnO、Ta、およびIrOの粉末の組み合わせであり、粉末中において粒子の少なくとも70wt%、75wt%、または80wt%、およびさらに好ましくは、少なくとも85wt%は、60〜80nmの範囲の直径を有する;
【0049】
それぞれの粉末が溶解される中でステップ(A2)の溶媒は、好ましくは、少なくとも適用される全ての粉末を溶解できる量の水中30wt%の塩酸溶液である、
【0050】
ステップ(A3)は、その表面上で不活性化され、そして0.15〜0.35mmの範囲の厚さを有するTiOプレートの両面上で、ステップA(2)から得られた塩酸の水溶液を焼結する工程にあり、ここで、焼結は、以下のステップによって起こることができる:
【0051】
【表1】

複数の焼結ステップを用いることは、電極の表面からあらゆる粗さを除去するため、および極度に硬くかつ滑らかな表面を得るために、非常に有用であることが見いだされた。水の電解を提供するための装置の一部として使用される上記に記載した電極は、以下の利点を生じる:
●水等の低伝導度の流体の電解を加速するために通常使用されるNaCl等の塩を、より少なく消費する、さらに効率的な電解;および
【0052】
●両方の電極が本発明による電極である非常に好ましい態様において、電極の極性の連続的な変化を提供する可能性(「極性交換」)。極性の突然の変化は、電解に曝される液体中に存在する帯電した粒子が、(粒子の電荷によっておよび電極の変化できない符号によって強いられる)ただ1つの方向の代わりに両方向に循環することを可能にし、従って、電極のレベルで塊を生成する堆積の形成を避け、従ってそれらの表面をきれいに保ち、そしてそれらの効率を、最大レベルに保つ。さらに、半浸透性膜が電解槽内に提供され、そして2つのアノードおよびカソード半々のチャンバーに分割する場合、極性の変化は、該膜の孔の目詰まりを回避し、装置の寿命を伸ばす;
【0053】
●ナノメートル被膜の存在は、上部電極による電荷の堆積を従来の電極に対して100%超に決定する。これは、例えば、分子クラスターのサイズを低下させる効果を有する著しく高電位での、定性的および定量的に異なる電解を提供することができる;
【0054】
●次に酸性水およびアルカリ性水の部分において起こるであろう電極それ自身の可溶化またはその表面上への沈殿物の生成を回避する、非常に高い濃度、平滑性および表面密度、アスペクトを得ること。同じ形態はまた、酸性水およびアルカリ性水の部分内で電極の表面およびコアを構成する重金属ならびに他の化合物の実質的ゼロ放出のための基礎となる。本明細書中に記載するように、ORP、pHおよび分子クラスターサイズ等の特徴の保持と共に、アルカリ性水中に重金属がないことは、長期のそれらの驚くべき安定性となる。この安定性は、公知の均等な製品では知られていない。同じ形態はまた、公知の電極より著しく低い周波数で変化でき、コストを下げ、そして生産の容易性を高める電極によって必要な最小限の保守のための基礎となる;
【0055】
●ナノメートル寸法の被膜粒子によって、量子効果(「ナノ効果」の用語によってまた文献中で公知である)を得る可能性。つまり、ナノメートル寸法に達すると、物の光学特性、磁気特性および電気特性は、劇的に変化する。いわゆるクラスターの典型的なナノメートル寸法に到達するまで寸法を低下させることによって、該クラスター中に存在する少ない数の原子およびその減少した体積により、エネルギーレベルの離散化(量子化)が電子構造において明らかになり、そしてエネルギーレベルの離散化(量子化)はクラスターのサイズに依存し、この現象は、「量子サイズ効果」として公知であって、そして通常の寸法にある材料に典型的なものと対照的である完全に新規な特徴はこれによる。この場合は、上記のように60〜80nmの範囲の間隔に中心があるサイズ分布を有する粉末を用いて、最良の性能が得られた。全体として、上記の効果は、本発明の重要な面である3つの因子:生じたアルカリ性水の安定性、(例えば、より低い保守コストおよび装置全体としてのより高い耐久力のおかげによる)その生産の容易性、および(特に、純度および長期の特性の一貫性に関して)その品質における向上、の同時存在を作り出す。特に、アルカリ性水の品質の向上は、分子クラスターの寸法の均一性(マクロ分子クラスターの数に関して高パーセンテージのマイクロ分子)に関して、および電解それ自身により水に与えられた特性の長期の増加した安定性(とりわけ、アルカリ度、ORPおよびクラスターサイズ)に関しての両方で、測定できる。安定性の向上は、推定されるように、本明細書中に記載されたナノ被膜を用いて被覆された電極の構造的な表面特徴の長期の保存を達成する。
【0056】
電解チャンバーおよびそれらの操作
装置が、膜4によって2つの部分に分割された単一の電解チャンバー3、ならびに該チャンバー内に一対の電極1および2を含む態様は、本明細書中において後で記載される。しかし、当業者は、どのようにこの記載を、1超の電解チャンバーおよび1超の対の電極を含む他の態様に適用するかを知るであろう。例えば、より高い処理速度または出力における水のより高い流速を達成するために、チャンバーの数を変えることができる。
【0057】
非常に好ましい態様では、装置の両電極は、上記のように、ナノ被覆された電極である。しかし、2つの電極の1つのみが、上記で規定したナノ被覆されている場合に、電解プロセスの低コストおよび効率に関する利点、ならびにアルカリ性水の長期安定性に関する利点を得ることができる。
【0058】
好ましくは、本発明による装置はまた、少なくとも1つのチャンバーを2つのハーフチャンバーに分割するために適用される膜4を含む、ここでアノードを含むハーフチャンバーは、アノードハーフチャンバーと呼ばれ、そしてカソードを含むハーフチャンバーは、カソードハーフチャンバーと呼ばれる。この膜は、有利にもチャンバーを部分的にまたは完全に占有することができる限外ろ過膜である。
【0059】
膜4は、従来の電解槽中で使用されるタイプであるが、好ましくはナノスケールでのサイズ排除技術に基づくことができる。特に好都合な態様では、膜は、開放気孔率を有し、金属性ナノ粒子、好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、アルミニウムまたはそれらの混合物の酸化物のナノ粒子で被覆されたセラミック粒子でできている。被膜を製造するために使用される金属性ナノ粒子は、好ましくは粉末形態である。粉末内のサイズ分布に関しては、好ましくは、粉末中に存在する粒子の少なくとも70wt%、75wt%、または80wt%に等しい量、さらに好ましくは、少なくとも85wt%に等しい量が、30〜100nm、40〜70nm、または50〜60nmの範囲の粒子直径を有する。
【0060】
膜4を製造するためにナノメートルの粒子を用いることによって、最終の膜の平均孔サイズは、長期間、極度に一定であり、そしてどのように水が処理されるべきかという要求に従って適用できることが見いだされた。好ましい態様では、平均孔サイズは、約120〜約180nm(平均値または中央値)である。長期のサイズの不変性および孔寸法それ自身の不変性は、本明細書中に記載されたセラミックと、均等な装置(代わりに、長期の急速な劣化に曝される)均等な装置で通常使用される繊維製品の膜と、を区別する2つの面である。好ましい態様では、孔の、少なくとも50%、70%、90%、95%、98%または99%は、120〜180nmとの間の直径を有する。これらの形態は、電解後に得られたアルカリ性水の安定性にプラスの効果を示し、この効果は、上記で規定した電極の使用によって生み出される安定化効果と組み合わさり、そして増大する。
【0061】
特に好都合な態様では、それぞれのハーフチャンバーは:
●ハーフチャンバーの上部に並べられた開口7および8(ここから電解される水が挿入される)および、
●ハーフチャンバーの下部に並べられた生じた酸性およびアルカリ性部分(図1中で「酸性水」および「弱アルカリ性水」として参照される)を放出するように機能する追加の開口5および6を通して、装置の外側と接続されている。それぞれのハーフチャンバーの下部の第2の開口は、まだ分離されていない水がハーフチャンバーから離れることを防ぐように適合され、そして電解プロセスの終わりに開くように適合されているクロージャー手段(図示されていない)を備えている。
【0062】
図1を特に参照すると、上記の様な装置の操作メカニズムは、記載された全ての基本的および任意選択的な要素を備えており、このように、メインチャンバーの2つのハーフチャンバー内に、水入力ダクトによって上から導入することによって、水を処理することを伴う。ここで、電源の陰極および陽極に予め接続されたカソードの作動下およびアノードの作動下での水は、反対の極によって引きつけられることが知られている正イオンおよび負イオンに分離する。1つのハーフチャンバーから他のハーフチャンバーに通すことによって、ナノ多孔質膜は、このイオンのためのおよび任意の帯電した粒子のための、フィルターとして働き、充分に小さいサイズの粒子のみが通過することを可能にする。
【0063】
好ましい態様では、ユニットへの水の流入は、好ましくは、μS/cmで測定されたその伝導度によって特徴付けられる。従って、例えば、水は、流入する水における伝導度の不変性によって記載できる。例えば、伝導度は、50以下、20以下、10以下、5または2μS/cmさえ以下で、または100、50、20または10%で、変化するであろう。水はまた、水それ自身の伝導度によって記載できる。従って、種々の態様において、伝導度は、終点の任意の選択によって、0.5、1.0または1.5μS/cm〜50、25、10、5または3μS/cmまでもであることができる。好ましい態様では、伝導度は、1〜10または1〜3μS/cmの範囲であり、そして好ましい態様では、伝導度は、約2μS/cmである。伝導度の一定性を制御することによって、および好ましい値に伝導度を下げることによって、遙かにそうした一貫した品質のNMR半値幅の結果的な減少を有する電解水を得ることができることが見い出された。その一定の伝導度に依存する好ましいタイプの水は、逆浸透によって調製された逆浸透水である。
【0064】
また重要性なことに、フィルターは、1つのチャンバーから、他のチャンバーへの重金属の透過を防ぐ。従って、酸性またはアルカリ性チャンバーに水を導入することによって、実際に、金属性ラジカルによる汚染のない(または、少なくとも検出限界を超えた)アルカリ性水または酸性水を製造できる。
【0065】
アルカリ性水および酸性水の特徴
別の形態では、本発明は、上記で規定した水の電解方法を用いて得られる電解アルカリ性水または電解酸性水に関する。本発明による電解アルカリ性水および電解酸性水は、実質的にそれらの安定性で、公知の類似の製品と異なり、これは、ナノ被覆された電極および電解プロセスのより高い性能による。従来方法では、水が電解前にろ過ステップに曝される場合でさえ、電極は、プロセスの間に電極の表面において破壊する傾向があり、大量の重金属(特に、カソードおよびアノードが作られている金属(単数)または金属(複数)を放出する)。
【0066】
本発明によるアルカリ性水および酸性水は、該金属中に重金属がなく、存在する場合、通常の分析的な方法によって検出できる限界より低い量で存在する。例えば、本発明によるアルカリ性水は、5μg/l未満のカドミウム濃度、10μg/l未満のクロム濃度、5μg/1未満の鉛濃度、および20μg/l未満のニッケル濃度を有する。これらの重金属のための好適な試験方法は、下の表1中に記載されている:
表1
試験 試験方法
カドミウム APAT CNR IRSA 3120/2003
全クロム APAT CNR IRSA 3150/2003
鉛 APAT CNR IRSA 3230/2003
ニッケル APAT CNR IRSA 3220/2003
180℃で固定された残留物 APAT CNR IRSA 2090A/2003
【0067】
任意の特別な理論によって拘束されることを意図しないが、重金属がないことは、本発明で得られた電解アルカリ性水および電解酸性水の長期の並外れた、かつ好都合な安定性の主な理由の一つであると考えられている。「長期の安定性」の表現は、光、空気および熱から遮蔽されて保存された場合に、本発明のアルカリ性水が、その化学的および物理的特性、特にそのpH、ORPおよび/またはNMR半値幅を、60日または90日超、好ましくは180日超、またさらに好ましくは、365日超実質的に変わらないで保つことを意味するために使用される。実質的に変わらないことによって、評価されている特性が、適用できる時間枠の間で、50、30、15、10、5、または3%より、大きく変化しないことを意味する。
【0068】
同様の方法で、アルカリ性またはアルカリ性水が取り込まれることができる局所用組成物は、特にpHおよび/または粘度によって測定される改善された安定性からの利益を受ける。これらの物理的特性は、好ましくは、60日または90日超、好ましくは、180日超、またさらに好ましくは、365日超の間、これらの調合物において実質的に変わらないままである。実質的に変わらないことによって、粘度またはpHが、適用できる時間枠の中で、50、30、15、10、5、または3%より、大きく変わらないことを意味する。
【0069】
安定性の時間は、溶液を保存するために取られるステップによるが、留意すべきは、等しい貯蔵条件では、上記で規定した電解装置を使用することによって得られた酸性水は、公知の類似の製品よりはっきりとより高い安定性を示し、最良の場合では、60〜90日のみの保存期間を示した。したがって、これらの製品は、得られ、そして短期間にかけて、またはそれらの生産と同時にさえ使用されることが好ましい。したがって、本発明による電解酸性水は、例えば、有効な消毒剤を有するのに必要であるが、その生産のために有利な条件を得ることができない、(第3世界の国々)における用途および(電解を提供するための水が欠乏する)状況でまた有用であることができる。
【0070】
好ましい態様では、本発明による電解アルカリ性水は、有利に8.5、9.0、10.0、10.5、11.0または11.5以上、および13.5、13.0または12.5以下、最も好ましくは、8.5〜13.0または10.0〜12.5の範囲であるpHを有する。アルカリ性水のための代わりのpH範囲は、11.0〜13.0または11.5〜13.0である。水は、好ましくは最初に製造された時に、−200mV〜−900または−1000mV、および好ましくは、−600mV〜−900mVのORP(酸化還元電位)を有する。調合物に導入される前に水が処理される場合、水は典型的には空気に曝されて、典型的には0、+100、または+200mV〜+500、+400または+350mVで変化する範囲にORPを増加させる。水が調合物に混合されるまで、pHは、典型的には変わらない。
【0071】
電解酸性水のORPは、好ましくは、+600〜+1350mV、さらに好ましくは、+800、+900、+1000または+1100mV〜+1300、+1250または+1200mV、最も好ましくは、+1100〜+1250mVの範囲である。酸性水のpHは、好ましくは0.5もしくは1.0〜6.0、5.0、4.0、または3.0の範囲であり、そして最も好ましくは、1.0〜3.0の範囲である。
【0072】
核磁気共鳴17O NMR測定は、特に水のピークの中間点で評価した場合、水中のイオン性種等の汚染物質に加えて、HO分子の中央値(median)分子のクラスターサイズ、および分子クラスターサイズの分布等の水構造の本来備わっている特性を反映するので、本発明の酸性水およびアルカリ性水の品質を測定するのに有用である。「分子クラスター」の表現は、配列した構造中で配位している水の分子の数を指す。本発明のアルカリ性水の核磁気共鳴17O NMR試験は、本発明によるアルカリ性水のピーク(すなわち、17O NMR半値幅)の中程の周波数の幅が、公知の製品では、110〜130Hzである一方、45〜55Hzであることを示す。
【0073】
最も好ましい態様では、アルカリ性水および酸性水の17O NMR半値幅は、45、46、または47以上、および51、50または49Hz未満であり、この範囲は、先の終点のいずれかから選択できる。従って、例えば、好ましい態様では、本発明のアルカリ性水または酸性水は、45Hz〜51Hz未満、または45〜50Hz未満、または46から50Hz未満の範囲のNMR半値幅を有する。
【0074】
酸性水はまた、水中の塩素種の存在および量によって、特徴付けられる。以下の試験の1つまたは以下の試験の任意の組み合わせは、水を特徴付けるのに使用できる。遊離塩素試験(分光光度法)、または全塩素試験(分光光度法)により、水は、70、60、55、52または50mg/lまでもより少ない塩素種を含むと規定できる。全塩素試験(ヨード還元法)により、水は、80、70、65、または62mg/lよりも少ない塩素種を含むと規定できる。UNI24012(水銀滴定法)塩化物試験により、水は、130、150または170mg/lまでもより多い塩化物を含むことができる。亜塩素酸塩(ClO)は、EPA300.1(1997)(検出限界100ug/l)によって測定した場合、好ましくは検出不可能である。塩素酸塩(ClO)は、EPA300.1(1997)(検出限界0.1mg/1)によって測定した場合、好ましくは10、5、2、または1mg/lまでもより少ない量で存在する。
【0075】
また別の態様では、酸性水は、分光光度的に測定されたフリーの塩素が、10または5または2mg/l未満で存在し、分光光度的に測定された全ての塩素が、10または5または3mg/l未満で存在し、そしてヨード還元法により測定された全ての塩素が、100、200または250mg/lから、500、400、または350mg/lの範囲である、試験の組み合わせによって特徴付けることができる。
【0076】
ある態様において、アルカリ性水は、酸化塩素種を60までまたは100mg/lまでもの量で含むことができるが、好ましい態様では、本発明によるアルカリ性水は、本質的に酸化塩素種、または電解プロセスの間に生成された塩の他のアニオン性残留物がない、すなわち、10または5mg/lまでもより少ないか、そして好ましくは検出可能でない。
【0077】
酸性水およびアルカリ性水の使用
別の形態では、本発明は、上記で規定したようなアルカリ性水または酸性水、およびi)人間または動物での使用のための薬剤的組成物を調製するために薬剤的に許容される賦形剤およびキャリアー、ii)人間または動物での使用用の化粧品組成物を調製するために化粧品的に許容される賦形剤およびキャリアー、iii)消毒剤組成物を調製するために使用される賦形剤およびキャリアー、およびiv)駆虫薬または殺菌剤組成物を調製するために農業部門で使用される賦形剤およびキャリアーを含む群から選択された1種または2種以上の成分(好ましくは粘度増加させる成分)を含む、特に、基材を消毒するための組成物に関する。
【0078】
留意すべきことに、電解アルカリ性水または電解酸性水の固定された残留物は、任意の他の異なる方法で得られた消毒剤組成物の固定された残留物より、はっきりと少ない。したがって、その安定性のおかげで、本発明による酸性水は、例えば、処理した表面上に堆積物または残留物を残す必要のないことと、高いが長期にわたる消毒力と組み合わせようと望む、クリーニングおよびコンタクトレンズの衛生を維持する等のすべてのこれらの消毒剤の部門で使用できる。現在のところ、この目的のための電解酸性水の使用は、長期の消毒力の限定された安定性により妨げられている。
【0079】
別の形態では、本発明は、該水および容器ディスペンサーシステム、ガーゼまたは包帯等の基材に水を適用するための手段を含む、上記で規定した電解アルカリ性水または電解酸性水または組成物を含むキットに関する。基材は、1)無生物の物体および表面、2)人間または動物の体、および3)人間または動物の体の摘出された部分の中から有利に選択される。上記のような3つのクラスの例は、上記で規定したようなアルカリ性水または酸性水の消毒用途での形態を参照して、下記で提供される。
【0080】
本発明によるアルカリ性水または酸性水のいくつかのさらなる適用は、本明細書中で後に記載されており、そしてそれらの特別な特性によって、および特に非常に低コストで今や手に入る容易な生産、生じた水の安定性およびそれらの純度の組み合わせによって、可能となる。例えば、本発明はまた、皮膚に潤いを与え、または活性薬剤成分を皮膚もしくは粘膜にまたは皮膚もしくは粘膜を通して運ぶための組成物における本明細書中に規定されたような電解アルカリ性水または電解酸性水の使用を提供する。水が一体化されることができる投薬形態は、経皮パッチ、ゲル、クリーム、軟膏、局所的洗浄液およびその同類のものを含む。薬剤を運ぶために使用される場合、運ばれる医薬品は、局所的麻酔剤または局所的抗菌剤等の局所的に作用する試薬であることができ、または医薬品は、その治療上の効果を発揮するために、皮膚に浸透し、そして血流に入ることが好ましい、全身に作用する試薬であることができる。水が保湿剤として使用される場合、保湿組成物は、好ましくは、皮膚のバリアーメカニズムを乱す浸透加速剤を除外している。
【0081】
あるいは、組成物は、表面もしくは深い皮膚または粘膜の疾患または人間もしくは動物の体の病変を治療、および予防するための薬剤として開発できる。薬剤を調製するための使用は、正に以下に記載する使用の全ての形態のように、本発明によるアルカリ性水または酸性水の使用を明らかに参照して記載されている。しかし、アルカリ性水または酸性水それ自体でないが、アルカリ性水または酸性水を含む上記で規定した組成物を使用することによって、達成できることが当業者に直ちに明らかになるであろう。
【0082】
「治療または予防」の表現は、その特性のおかげで、本発明による電解アルカリ性水もしくは酸性水、または本発明による電解アルカリ性水もしくは酸性水を含む組成物が、既に起こっている表面もしくは深い皮膚または粘膜の病理もしくは病変の治療および緩和(例えば、皮膚または真皮の負傷または病変の治癒、皮膚または真皮または粘膜に影響を与える細菌性、真菌またはウイルス性感染症の制御および緩和)、または深いもしくは表面的な病理または皮膚もしくは粘膜の病変を進展させるリスクを低下させるために効果的であることが見いだされたことを意味する。
【0083】
治療効果および予防はまた、全身にであるが、原因物質(etiogenesis)が、感染性病原体の皮膚浸透によるものと見なすことができる疾患に適用されると理解される。実際、皮膚感染の初期では、感染性病原体が全身に拡散する前に、感染性病原体の除去が可能になる。
【0084】
好ましい態様では、本発明は、好ましくは(i)擦り傷、潰瘍、やけど、日焼けおよび床ずれを含む皮膚または粘膜の物理的負傷および病変、(ii)セルライト(cellulites)、毛嚢炎、おでき、吹き出もの、丹毒、紅色陰癬、膿痂疹、爪周囲炎、およびブドウ球菌感染症を含む皮膚または真皮または粘膜に影響を与える細菌性感染症、(iii)シラミ、いん線病および疥癬を含む寄生虫感染症、(iv)(単純ヘルペスウイルスタイプ1およびタイプ2を含む)ヘルペス、HIV、伝染性軟属腫(moluscum contagiosum)、水疱瘡、はしか、帯状疱疹および疣贅を含む皮膚または真皮または粘膜に影響を与えるウイルス性感染症、(v)カンジダ症、水虫(足白癬)、いんきんたむし(頑癬)、白癬(体部白癬)、顔面真菌症(顔白癬)、癜風、爪真菌症、および髪真菌症を含む皮膚または真皮に影響を与える真菌感染症、(vi)蕁麻疹、皮膚炎、湿疹、乾癬、およびふけを含む表皮および/または真皮または粘膜に影響を与える炎症および紅斑等のアレルギー性、炎症性および免疫学的反応、ならびに(vii)脂漏症、白色面ぽう、黒色面ぽう、および座瘡等の他の疾患から選択される皮膚または真皮または粘膜の疾患または病変の治療または予防における本発明の水の使用を提供する。
【0085】
「表面または深い皮膚の病変または病理」の表現は、好ましくは:
●表皮および/または真皮に影響を与える、炎症および紅斑等のアレルギー性、炎症性および免疫学的反応と関係した皮膚の現象。炎症の例は、蕁麻疹、(アレルギー性または接触に関係した)皮膚炎、湿疹、湿疹およびふけである。乾癬の治療のためには、本発明による水の有効性は、恐らく、そこに含まれる活性塩素の剥離効果による;
●細菌性および/または真菌性および/またはウイルス性感染症、および/または水虫または足白癬を含む真菌感染症によって生じる、表面または深い皮膚の現象、ならびに、
●(糖尿病性潰瘍を含む)潰瘍、やけど、日焼けおよび床ずれ等の皮膚および/または真皮の病変または擦り傷、
をいう。
【0086】
本発明の電解酸性水および本発明の電解酸性水を含む組成物によって示される広範な範囲の殺菌機能は、特定の病原体での試験の結果によってだけではなく、また、本発明による製品が病原体の核酸を完全に分解できるという事実によって確認される。
【0087】
上記のように、本発明による酸性水は、それらの低い毒性および高い浸透能力により、皮膚のやけどまたは日焼けの治療および回復のため、または外傷の治癒のために使用できる。本明細書中に記載されたアルカリ性水および酸性水の高い浸透能力を示す一つの形態は、乾燥され、そして人間または動物(再移植組織)への移植を待つ間に、適当なバンクに保存されている組織で見られる高い膨潤力である。
【0088】
さらに、微生物またはウイルスに対するその広範な作用を考慮すると、本発明による水溶液は、例えば、(例えば、果物、葉菜など)の食用または家庭内/装飾用途(アパート用植物、葉案)を目的とする植物起源のウイルス性および/または細菌性の寄生虫病を除去するために、使用できる。
【0089】
別の形態では、本発明は、上記で規定した電解酸性水の使用または基材を消毒するための上記で規定した電解酸性水を含む組成物に関する。有利なことに、基材は、1)無生物の物体および表面、2)人間または動物の体の表面および3)人間または動物の体の摘出された部分の表面の中から選択される。
【0090】
好ましい無生物の表面および物体は、家庭内の空間および物体、医療装置および器具ならびに医療用外科装置および器具(例えば、ティート(teats)、内視鏡または他の医療用具)、コンタクトレンズおよび光学器具全般、食用製品、例えば、果物または野菜の表面である。
【0091】
好ましくは、人間または動物の体の表面は、手術前または後の患者または外科医の一部、および人間の胸部または動物の乳房である。好ましくは、人間または動物の体の摘出された部分の表面は、腱等の人間または動物の再移植組織(該組織が乾燥できるか、またはできない)である。
【0092】
さらなる形態では、本発明は、人間または動物の体またはそれらの摘出された部分の化粧品処理のための、上記で規定した電解アルカリ性水または酸性水の使用に関する。
【0093】
化粧品の使用は、特に、酸またはアルカリ性の治療から利益を得るであろう、特に手、足および顔の皮膚等の発疹に曝されている人間体の範囲の皮膚の治療に関する。好ましい態様では、水は、ビタミンE、ビタミンBl、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、および他の局所的に適用される栄養源のための輸送ビヒクルとして使用され、それらの吸収を高める。
【0094】
さらに、本発明によるアルカリ性水および酸性水は、座瘡および黒色面ぽうの化粧品処理に使用することができるように、皮膚の脂質分泌物を溶解する驚くべき能力を示した。
【0095】
また化粧品分野において、皮膚への化粧品の適用によって残された、そして該皮膚の表面層によって既に部分的に吸収された化学残留物の大部分を溶解する本発明によるアルカリ性水および酸性水によって示された特性、および汚染によって生成され、そして皮膚に吸着している微粉末を、皮膚から除去する能力は、重要である。
【0096】
別の形態では、本発明は、再移植のための人間または動物の乾燥した組織に潤いを与えるための、上記で規定した電解アルカリ性水または電解酸性水もしくは上記で規定した電解アルカリ性水または電解酸性水を含む組成物の使用に関する。
【0097】
人間または動物の再移植のための組織は、供与体から外植された後および再移植を待つ間に、バクテリアの成長を遅くさせ、そして妨げるように、通常、(例えば、冷凍乾燥によって)脱水後に、殺菌したバンクに適当に提供されて、保存されている。本発明によるアルカリ性水または酸性水が、再移植の前に組織を再び湿潤させるために使用される場合、この目的のために使用される通常の水溶液と比較して、再び湿潤させる時間の大幅な減少が観察された。上記の使用は、それらの(特に、重金属に関する)低い純度および低い安定性により、従来のアルカリ性水および酸性水ではとても考えられない。
【0098】
特別な組成物または投薬量の形態に一体化されることなく、水それ自体が使用される場合、水は生成されるに従って正確に使用でき、または水は、例えば、pH調整剤の添加によって、変えることができる。アルカリ性水はまた、最終調合物に一体化される前に調整できる。例えば、アルカリ性水のpHは、酸(すなわち、有機酸)と、または電解によって生成された酸性水と混合することによって、下げることができる。アルカリ性水を調整するのに好ましい酸は、乳酸である。例示的な態様では、水のpHが8以下、および3以上になるように、水のpHは調製される。好ましい範囲は、3〜4、4〜5、5〜6、6〜7、および7〜8を含む。
【0099】
最終調合物に一体化される場合、最終の製品は、粘度およびpHを含む幾つかの物理的パラメーターによって規定できる。局所用組成物の最終のpHは、安定性または生理学的理由により調製でき、そして好ましくは、約3.0〜約8.0、さらに好ましくは、約3.5〜約7.0、そして最も好ましくは、約4.0〜約5.0、または約5.0〜約6.0の範囲である。
【0100】
局所的調合物に取り込まれる場合、アルカリ性水または酸性水は、所望の組成物の構造を危うくしない任意のパーセンテージで存在できる。調合物は、好ましくは、約20〜約95wt%のアルカリ性水を含み、そして、さらに好ましくは、約50、70または80wt%〜約90wt%の水を含む。使用される賦形剤は、局所的薬剤の分野および化粧品分野における任意の従来の賦形剤であることができる。
【0101】
局所用賦形剤
好ましい薬剤的に許容される賦形剤およびキャリアーは、局所的消毒剤組成物を調製するため、または皮膚処理組成物を調製するために通常使用される賦形剤およびキャリアーである。例は、植物由来のポリマー(セルロースまたは澱粉の誘導体)または合成ポリマー(アクリルポリマー)または動物からの誘導ポリマー(コラーゲン)である。
【0102】
「消毒剤組成物に使用される賦形剤およびキャリアー」の表現は、
●食用製品(食品部門)のための消毒剤組成物、
●環境、装置および医療用手術器具のための消毒剤組成物、
●人間または動物の再移植組織のための消毒剤組成物、
●クリーニングおよびコンタクトレンズおよび光学材料全般の衛生を保つための消毒剤組成物、
●家の表面および環境のための消毒剤組成物、
を調製するために使用される成分を一般的にいうために使用される。
【0103】
ある態様において、局所的調合物は、少なくとも1種の水に不溶性の、薬理学的に承認された、アルキルセルロースまたはヒドロキシアルキルセルロース、およびその同類のものを含むことができる。本発明での使用のためのアルキルセルロースまたはヒドロキシアルキルセルロースポリマーは、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、およびエチルヒドロキシエチルセルロースを、単独でまたは組み合わせで含む。さらに、可塑剤または架橋剤は、ポリマーの特徴を変更するために使用できる。例えば、ジブチルまたはジエチルフタレート等のエステル、ジエチルジフェニル尿素等のアミド、植物油、オレイン酸およびミリスチン酸等の脂肪酸およびアルコールは、セルロース誘導体と組み合わせて使用できる。他の態様において、この調合物は、茶ポリフェノール、アロエまたは他の植物性成分のような脂溶性成分を含むことができる。
【0104】
ある態様において、局所的調合物は、液体パラフィン、ワセリン(商標)、固体パラフィン、マイクロ結晶のワックス等の炭化水素;セチルアルコール、ヘキサデシル、アルコール、ステアリールアルコール、オレイルアルコール等の高次脂肪族アルコール;蜜ろう等の高次脂肪酸と高級アルコールとのエステル;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル等の高次脂肪酸と低級アルコールとのエステル;植物油、改質された植物油、含水ラノリンおよびその誘導体、スクアレン、スクアラン;パルミチン酸、ステアリン酸等の高次脂肪酸およびその同類のものを、さらに含むことができる。
【0105】
ある態様において、局所的調合物は、例えば、アニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤を含む乳化剤および分散剤をさらに含むことができる。非イオン性界面活性剤は、皮膚へのそれらの低いレベルの炎症により、好ましい。典型的な非イオン性界面活性剤は、モノステアリン酸グリセリン等の脂肪酸モノグリセリド;ソルビタンラウリン酸モノエステル等のソルビタン脂肪酸エステル;スクロース脂肪酸エステル;ステアリン酸ポリオキシエチレン等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;およびポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテルである。
【0106】
本発明のある態様において、局所的調合物は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボマー、およびその同類のもの等のゲル化剤を含むことができる。
【0107】
上記の記載から、本発明が、意図した目標および目的、そして特に、既に公知であるが、従来の製品より遙かに安定な特徴を有する電解酸性水溶液を提供する目標を達成することが明らかである。
【0108】
本発明は、多数の改変および変化を受けることができ、その全ては付属の請求項により表わされた発明の概念の範囲内にある。全ての詳細は、他の技術的に均等な要素によって置き換えることができ、そして材料は、本発明の範囲を離れることなく必要により異なることができる。本発明の他の特徴および利点は、もっぱら限定しない例によることを意図する、以下の好ましい態様の記載からより明らかになるであろう。
【実施例】
【0109】
以下の例は、当業者に完全な開示および請求項に記載された化合物がどのように製造され、そして評価されるかについての記載を提供するように、挙げられ、本発明の純粋な例示であることを意図し、そしてそれらの発明に関して発明の範囲を制限しないことを意図する。数(例えば、量、温度等)に関して正確さを確かにするための努力がなされたが、いくらかの誤差および偏差が占めているであろう。そうでないと示さない限り、部は重量部であり、温度は、℃であるか、または室温であり、そして圧力は、大気圧であるか、または大気近辺である。
【0110】
例1:電解槽の調製
出発材料:
電極:不動態化後に加工されたチタンを、電極のための塩基キャリアー材料として使用した。
40〜80nmの平均粒子直径TiO、Pt/ZrO、SnO、Ta、およびIrO粉末が、熱水化学処理によって得られた。
【0111】
ステップ1.プラズマスプレーによってTiO塩基キャリアー層を生成させ、このキャリアー層を550℃の温度で30分間焼結させ、そして焼結した層を60分間アニールさせた。
【0112】
ステップ2.ステップ1からのキャリアー層を塩酸中にSnOを溶解し、そしてその溶液を30分間超音波振動させることによって生成させた溶液を用いて被覆した。次にこの溶液をキャリアー層上に被覆し、400℃で30分間焼結し、そして50分間アニールさせた。
【0113】
ステップ3.ステップ2からのキャリアー材料を塩酸中にIrOを溶解し、そしてその溶液を20分間超音波振動させることによって生成させた溶液を用いて被覆した。次に、適用された被膜を400℃の温度で30分間焼結し、そして50分間アニールさせた。
【0114】
ステップ4.ステップ3からのキャリアー材料を塩酸中にIrOを溶解し、そしてその溶液を20分間超音波振動させることによって生成させた溶液を用いて被覆した。次に、適用された被膜を450℃の温度で40分間焼結し、そして55分間アニールさせた。
【0115】
ステップ5.ステップ4からのキャリアー材料を塩酸中にTaを溶解し、そしてその溶液を20分間超音波振動させることによって生成させた溶液を用いて被覆した。次にこの溶液をキャリアー層上に被覆し、450℃で30分間焼結し、そして60分間アニールさせた。
【0116】
ステップ6.ステップ5からのキャリアー材料を塩酸中にTaを溶解し、そして20分間超音波装置を用いてその溶液を振動させることによって、生成させた溶液を用いて被覆した。次にその後で被覆し、450℃で40分間焼結し、そして60分間アニールさせた。
【0117】
ステップ7.ステップ6からのキャリアー材料を塩酸、n−ブタノールおよびイソプロパノールの1:1:1混合物中でTaを溶解させ、そして30分間超音波振動させることによって生成させた溶液を用いて被覆した。次に、被覆された層を450℃で40分間焼結させ、そして60分間アニールさせた。
【0118】
ステップ8.ステップ7からのキャリアー材料を塩酸、n−ブタノールおよびイソプロパノールの1:1:1(比1:1:1)混合物中でPt/ZrOを溶解させ、そして30分間超音波振動させることによって生成させた溶液を用いて被覆した。次に、被覆された層を450℃で40分間焼結させ、そして60分間アニールさせた。
【0119】
ステップ9.ステップ8からのキャリアー材料を塩酸、n−ブタノールおよびイソプロパノールの1:1:1混合物中でPt/ZrOを溶解させ、そして30分間超音波振動させることによって生成させた溶液を用いて被覆した。次に、被覆された層を450℃で40分間焼結させ、そして60分間アニールさせた。
【0120】
分離膜:
ステップ1.ZrOおよびAlのナノセラミック粉末を、熱水の化学処理によって最初に得た。得られた粉末は、以下の特徴によって規定される:
●粒子直径 50〜60nm。(80〜85%)
●重量パーセンテージ 70%:30%(粒子の内側範囲:粒子の外側範囲)
【0121】
ステップ2.2つのナノ複合物粉末の混合物を、立方体の金属容器中に供給し、そして油圧プレスによってプレスして、10〜12mmの厚さで焼結するためのビレットを形成した。
【0122】
ステップ3.ビレットを、1050〜1150℃の温度にある炉中のセラミック容器に詰めることによって焼結させた。温度を、3.5〜4℃/分の割合で、約2時間高めて、2.5〜3mmの厚さを有する最終のセラミック分離膜を生成させた。
【0123】
例2−アルカリ性水の特徴
例1に記載された方法および電解槽を使用して、以下の化学的特徴に合うアルカリ性水を生成できた:
●pH:8.5〜12.5(好ましくは、10〜12)
●ORP:−200〜−900mV(好ましくは、−600〜−900mV)
17O(酸素同位体17)NMR試験の半値幅:45〜51Hz。
●重金属は検出されなかった(すなわち、重金属がない)
【0124】
例3〜5では、使用されたアルカリ性水は、pH9.0を有する水、および−250mVのORPを使用した例4の試験3を除き、12.0のpHおよび−750mVのORPを有した。
【0125】
例3−例2のアルカリ性水を使用した体外試験
試験1.
マウスでのLD50(中位の致死量)試験に基づき、例2のアルカリ性水は、毒性を全く有さないと分類された。
試験2.
皮膚刺激性試験において、炎症は全く検出されなかった。
試験3.
眼の炎症は、検出されなかった。
試験4.
膣の粘膜の炎症は、全く検出されなかった。
試験5.
蓄積毒性(accumulative toxicity)試験および蓄積係数(accumulative coefficient)K>5に基づいて、例2のアルカリ性水の蓄積毒性は、弱に分類された。
試験6.
例2のアルカリ性水を、多染性赤血球の小核に何らかの形態学的変化を生じるかどうかによって。決定した。
【0126】
例4−抗微生物の検討
3分処理時間後に、培地中の大腸菌への例2のアルカリ性水(pH=l3.0)の平均阻害速度を70%と決定した。
【0127】
例5−局所的アルカリ性調合物
表Aに記載された仕様に合うアルカリ性電解水を使用して、表B〜F中に記載した局所的調合物を調製した。粘度測定を10回転/分および20℃でBrookfield DVII+Pro スピンドル6を使用して行った。
【0128】
表A−アルカリ性水の仕様
【表2】

【0129】
表B−試験した調合物のリスト
【表3】

【0130】
表C−LCOX/44調合物
【表4】

外観:粘性のあるクリーム
色:白色
臭気:特徴的
20℃でのpH:5.18
粘度:(57.000mPa)
【0131】
表D−LCOX/43調合物
【表5】

外観:粘性のあるクリーム
色:白色
臭気:特徴的
20℃でのpH:5.05
粘度:(55.000mPa)
【0132】
表E−LCOX/30−調合物
【表6】

外観:粘性のあるクリーム
色:白色
臭気r:特徴的
20℃でのpH:4.41
粘度:(60.000mPa)
【0133】
表F−LCOX/29−調合物
【表7】

外観:粘性のあるクリーム
色:白色
臭気:特徴的
20℃でのpH:4.43
粘度:(57.000mPa)
【0134】
例6−局所的アルカリ性調合物のTEER試験
表B〜F中に記載された調合物を、以下の手順により経上皮の電気抵抗へのそれらの効果を試験した。結果は、図2〜6中に報告されている。
【0135】
手順
1mlの食塩水を、6ウェルプレート中に配置した同様に4mlの食塩水を含む組織に直接適用した。
器具Millicell−ERS(範囲0〜20kΩ)を、2つのチャンバー中に2つの電極と共に配置し、そして測定を直接記録し、そして実験室ノートに報告した。
それぞれの組織のために5つの測定を行い、組織内の変動性により、t=0で行った測定を、基礎値として取り、そしてそれぞれの単一の組織の参照とした。
【0136】
1日目:再生ヒト表皮(Reconstructed Human Epidermid:RHEs)の受け入れおよび基礎層(basal tier)の測定
到着すると、TEER測定の前に、6ウェルプレート中に媒体(SkinEthic)とともに、組織を2時間維持した。
この方法に記載したように全ての組織上で基礎TEER値を測定した。
維持培地(ImI)中で組織を回復させ、そして試験品目を50μlの投与量で適用した。
最終的に5%COインジケーター内37℃で組織を培養した。
【0137】
2日目:24時間曝露測定
この組織を食塩水でリンスし、そして24時間暴露に対応する第2のTEER測定を行った。
RHを、新鮮な維持培地(1ml)中で24時間の後培養時間で回復させた。
【0138】
3日目:24時間+24時間の後培養測定
最後のTEER測定を、同じ方法を用いて行い;サンプルを、さらなる分析のために4.2に記載したように処理した。
【0139】
結果
図2に示すように、参照として使用した食塩水(生理水)は、TEERの通常の増加を誘起し、そして挙動を両方の曝露によって確認した:
●24時間の結果は、第1に、組織の浸透性が処理によって改変されておらず、そして第2に、組織の厚さが、期待したように増加したことを意味する。
【0140】
●一連のリンスおよび24時間の後培養を伴う24時間の結果は、絶対値が減少した場合でさえ、TEERが基礎レベル(T=0時間)を依然上回っており、したがってこの処理が組織の浸透性を、全体的に改変していないことを意味する。
【0141】
図3に示すように、ナトリウムドデシル硫酸塩またはエステル(SDS0.1%)溶液は、TEERの強い減少を示し、そしてこの挙動は、組織を破壊し、バリアー機能に損傷を引き起こすその刺激性かつ有毒な効果による。
【0142】
図4〜6に示すように、関連するプラセボと比較して、TEERの減少が、ナノクラスター水および関連した調合物の全てにおいて観察され。ナノクラスター水および関連調合物は、有毒な効果を引き起こすこととなく、組織浸透性ならびに水およびイオンの傍細胞流動を増加させるので、ナノクラスター水および関連調合物が、TEERを減少させることに、我々はかなり自信を持てる。
【0143】
例7−乾燥した有機組織(TENDONS)上でのアルカリ性水の湿潤力
腱の乾燥した部分を表GおよびHに記載したゲル中に浸け、そして60分間放置し、そして引き出し、そして観察した。
表G−本発明のアルカリ性水を有するゲル
【表8】

外観:粘性のあるクリーム
色:白色
臭気:特徴的
20℃でpH:6.36
粘度:(17.500mPa)
【0144】
表H−pH11までNaOHによってアルカリ化した脱イオン化した通常水を有するプラセボゲル
【表9】

外観:粘性のあるクリーム
色:白色
臭気:特徴的
20℃でのpH:6.28
粘度:(18.000mPa)
本発明のアルカリ性ゲルは、腱体積において25.62%の増加となった。プラセボゲルは、腱の体積において14.58%の増加となった。
【0145】
例8−さらなるアルカリ性調合物
表I〜Oは、本発明での仕様のための他の局所的調合物の例を示す。
表I−クリームの例
【表10】

【0146】
表J−クリームの例
【表11】

【0147】
表K−クリームの例
【表12】

【0148】
表L−クリームの例
【表13】

【0149】
表M−ゲルの例
【表14】

【0150】
表N−ゲルの例
【表15】

【0151】
表O−洗剤の例
【表16】

【0152】
例9−アルカリ性水のNMR試験
本発明の方法によって製造したアルカリ性水について、17O NMR分光データを得て、そしてサンプルLCOIV/143(暗い空気を通さないガラス瓶中、25℃で1月放置後)、およびLCOIV/143(暗い空気を通さないガラス瓶中、40℃で1月放置後)について、図7および8中に覆製した。図7および8中に、それぞれ報告したLCOIV/143サンプルで、半値幅は、46.21Hzおよび46.10と記録された。データ取得(Data aquisition)パラメーターを表P中に報告する:
表P
【表17】

【0153】
例10−酸性水の仕様
表Q
【表18】

【0154】
例11−酸性水およびDERMACYN(商標)の物理的特徴の比較
表R
【表19】

【0155】
例12−酸性水のTEER試験
例7中の手順に従って、表Sに記載した調合物に加えて、表Qに記載されている仕様に合う酸性水の経上皮電気抵抗へのそれらの効果を試験した。結果を図9〜10中に報告した。
表S
【表20】

【0156】
例13−酸性水局所的調合物の湿潤力
腱の乾燥した部分を、表TおよびUに記載した表に浸し、そして60分間放置し、そして引き出して、観察した。
表T−本発明の酸性水
【表21】

外観:透明なゲル
色:無色
臭気:特徴的
20℃でのpH:2.31
粘度:18.500mPa
【0157】
表U−pH2までHClによって酸性化した脱イオン化した通常水を有するプラセボゲル
【表22】

外観:透明なゲル
色:無色
臭気:特徴的
20℃でpH:2.85
粘度:20.000mPa
本発明の酸性ゲルは、腱の体積で40.58%増加となった。プラセボゲルは、腱体積の体積で13.43%増加となった。
【0158】
例14−体外の外傷治癒方法への酸性水の有効性
この例は、表Q中の仕様に合う本発明の酸性水の外傷治癒プロセスを確認するための、得られた方法および結果の簡単な説明を含む。ヴィトロスクリーン(VitroScreen)は、正および負の対照を使用することによって傷の後で3日間監視して、「全厚皮膚モデル(FT)」への皮膚外傷治癒の実験的体外モデルを開発した。この生物学的モデルは、簡素化された体内モデル、相補的形態学分析を用いた生体内分子応答(遺伝子発現)内で再生させるために傷つけられた。
【0159】
mRNA(遺伝子発現)定量化は、物理的損傷に応答して、組織の生化学的および分子応答を反映する種々の表現パラメーターを測定するために使用した。異なる相の外傷治癒法を、以下のマーカーを用いて、定量化した:
【0160】
表皮:
Integrine β−1:ケラチン細胞移動(keratinocytes migration)に必須。
TNF−α:炎症マーカーであるが、治癒プロセスへの刺激としても機能する。
MMP−9:ケラチン細胞移動の決定に直接含まれる特異的マトリックス金属プロテアーゼ(ゼラチナーゼ)。
【0161】
真皮部分
フィブロネクチン:マトリックスに細胞をしっかりと固定することに関与する。
コラーゲンI:破壊される第1のコラーゲンタイプ。
コラーゲンVII:新たに生成されたコラーゲン、組織再生の最初のサイン。
【0162】
50μlの投与量でμピペットにより試験品目を、損傷したそれぞれの組織の上に注意深く適用した。最初の損傷の後で、毎日、3日間、覆製(duplicate)培地上に一回の単一適用を行った。処理されていない組織および処理されていないが、一回損傷した組織を、負の対照として使用した。
【0163】
以下の結果が得られた:
●コラーゲンI、コラーゲンVIIおよびMMP−9の発現への大幅な活性:対照に比較して、アップレギュレーションが観察された。
●TNF−α、Fibronectin 1で対照と同じ調節。
●インテグリンβ−1で大幅な調節なし。
【0164】
したがって、酸性水の活性は、以下の様にまとめられる:
●コラーゲンI、VIIおよびMMP−9の発現の増加により表皮および真皮の両レベルにおいて細胞外マトリックスの調節を促進する。
●炎症性カスケード(TNF−α)に損傷した対照と異なって影響しない。
●フィブロネクチンおよびインテグリンの調節に、損傷した対照と異なって影響しない。
【0165】
Dermacyn(商標)Wound Careをまた同じ手順で試験し、Dermacyn(商標)Wound Careで得られた結果は、本発明の酸性水で得られた結果に類似する。
【0166】
この出願を通して、種々の出版物が参照された。これら出版物の開示は、本発明が関係する最新のものをさらに充分に記載するために、参照によりその全体を本出願中に取り込む。種々の修正および変化が本発明の範囲または精神を離れることなく本発明においてなされることができることは、当業者に明らかであろう。本発明の他の態様は、明細書の考察および本明細書中に開示された本発明の実施から当業者に明らかであろう。例示的のみとして明細書および例が考察されることを意図する、本発明の真の範囲および精神は、以下の請求項によって示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
17Oを使用して約45Hz〜51Hz未満のNMR半値幅および−1000〜+200mV、または+600〜+1300mVの酸化還元電位を有する、電解酸性水または電解アルカリ性水。
【請求項2】
光、空気および熱から守られている場合に、180日より長い化学的安定性を特徴とし、該化学的安定性が、該180日の間にpHまたはNMR半値幅において10%より大きく変化しないことと規定される、請求項1の電解酸性水または電解アルカリ性水。
【請求項3】
5μg/l未満のカドミウム、10μg/l未満のクロム、5μg/l未満の鉛、および20μg/l未満のニッケルを含む10ppm未満の重金属を含む、請求項1または2の電解酸性水または電解アルカリ性水。
【請求項4】
該水が、17Oを使用して約46〜約49HzのNMR半値幅を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解酸性水または電解アルカリ性水。
【請求項5】
17Oを使用して約45Hz〜50Hz未満のNMR半値幅、−900〜−200mVの酸化還元電位、および9.0〜13.0のpHを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解酸性水または電解アルカリ性水。
【請求項6】
a)分光測定で測定して、40〜70mg/lの遊離塩素、
b)分光測定で測定して、合計40〜70mg/lの塩素、
c)ヨード測定で測定して、合計40〜70mg/lの塩素、および、
d)10mg/l未満の塩素酸塩、
を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電解酸性水。
【請求項7】
a)分光測定で測定して、合計10mg/l未満の塩素、および、
b)ヨード測定で測定して、合計100〜500mg/lの塩素、
を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電解酸性水。
【請求項8】
17Oを使用して約45Hz〜50Hz未満のNMR半値幅、+900〜+1250の酸化還元電位、および0.5〜5.0のpHを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電解酸性水。
【請求項9】
17Oを使用して約45Hz〜51Hz未満のNMR半値幅を有する電解酸性水または電解アルカリ性水、および少なくとも1種の局所用賦形剤を含んで成る、局所用組成物。
【請求項10】
a)17Oを使用して約45Hz〜51Hz未満のNMR半値幅を有する、湿潤有効量の電解酸性水または電解アルカリ性水、および、
b)1種または2種以上の化粧品的にまたは薬剤的に許容される局所用賦形剤、
を成分として含んで成る、局所用組成物。
【請求項11】
該水が、5μg/l未満のカドミウム、10μg/l未満のクロム、5μg/l未満の鉛、および20μg/l未満のニッケルを含む10ppm未満の重金属を含む、請求項9または10の局所用組成物、
【請求項12】
該水が、17Oを使用して約46Hz〜約49HzのNMR半値幅を有する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項13】
17Oを使用して約45Hz〜50Hz未満、および9.0〜13.0のpHを有するアルカリ性水を含む、請求項9〜12のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項14】
17Oを使用して約45Hz〜50Hz未満のNMR半値幅、+900〜+1250の酸化還元電位、および0.5〜5.0のpHを有する酸性水を含む、請求項9〜13のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項15】
該酸性水が、
a)分光測定で測定して、40〜70mgの遊離塩素、
b)分光測定で測定して、合計40〜70mgの塩素、
c)ヨード測定で測定して、合計40〜70mgの塩素、および、
d)10mg/l未満の塩素酸塩、
を含む、酸性水を含む請求項9〜14のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項16】
該酸性水が、
a)分光測定で測定して、合計10mg/l未満の塩素、
b)ヨード測定で測定して、合計100〜500mg/lの塩素、
を含む、酸性水を含む請求項9〜15のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項17】
クリーム、ゲル、軟膏、洗浄液または局所的パッチの形態の請求項9〜16のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項18】
1種または2種以上の局所的にまたは全身に作用する医薬品をさらに含む、請求項9〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
皮膚または粘膜の疾患および病変の治療または予防のための薬の製造における、17Oを使用して約45Hz〜51Hz未満のNMR半値幅を有する電解酸性水または電解アルカリ性水の使用。
【請求項20】
化粧品組成物のための17Oを使用して約45Hz〜51Hz未満のNMR半値幅を有する、電解酸性水または電解アルカリ性水の使用。
【請求項21】
該皮膚または粘膜の疾患または病変が、i)擦り傷、潰瘍、やけど、日焼けおよび床ずれを含む物理的負傷および病変、(ii)セルライト、毛嚢炎、おでき、吹き出もの、丹毒、紅色陰癬、膿痂疹、爪周囲炎、およびブドウ球菌感染症を含む細菌性感染症、(iii)シラミ、いん線病および疥癬を含む寄生虫感染症、(iv)(単純ヘルペスウイルスタイプ1およびタイプ2を含む)ヘルペスHIV、伝染性軟属腫、水疱瘡、はしか、帯状疱疹および疣贅を含むウイルス性感染症、(v)カンジダ症、水虫(足白癬)、いんきんたむし(頑癬)、白癬(体部白癬)、顔面真菌症(顔白癬)、癜風、爪真菌症、および髪真菌症を含む真菌感染症、(vi)蕁麻疹、皮膚炎、湿疹、湿疹およびふけを含む炎症および紅斑等の該表皮ならびに/または真皮に影響を与えるアレルギー性、炎症性および免疫学的反応、ならびに(vii)脂漏症、白色面ぽう、黒色面ぽう、および座瘡等の他の皮膚または粘膜の疾患から選択される、請求項19または20の使用。
【請求項22】
17Oを使用して約45Hz〜51Hz未満のNMR半値幅および該皮膚を潤すために、1種または2種以上の化粧品的にまたは薬剤的に許容される局所用賦形剤を有する、電解酸性水または電解アルカリ性水の使用。
【請求項23】
活性医薬品を局所的に運ぶための薬の製造における、17Oを使用して約45Hz〜51Hz未満のNMR半値幅および1種または2種以上の化粧品的にまたは薬剤的に許容される局所用賦形剤を有する、電解酸性水または電解アルカリ性水の使用。
【請求項24】
a)カソードを含むカソードチャンバー、アノードを含むアノードチャンバー、および該チャンバーを分離するナノ多孔質フィルターを含む電解ユニットを用意する工程、
i)70wt%超の粒子が40〜100nmの直径を有するナノ粒子の残留物によっ て、該カソードおよび該アノードは被覆されており;
ii)該ナノ多孔質フィルターは、120〜180ナノメートルの平均孔サイズを含 む;
b)水およびアルカリ土類金属塩の溶液を、該チャンバーの1つまたは両方に導入する工程;
c)17Oを使用して約45Hz〜51Hz未満のNMR半値幅を有する電解酸性水およびアルカリ性水を生成させるのに充分な時間および程度で、該アノードおよび該カソードに電位を適用する工程、
を含む、17Oを使用して約45Hz〜51Hz未満のNMR半値幅を有する電解酸性水およびアルカリ性水の製造方法。
【請求項25】
該粒子の70wt%超が60〜80nmの直径を有するナノ粒子の残留物によって、該カソードおよび該アノードが被覆されている、請求項24の方法。
【請求項26】
該ナノ多孔質フィルター中で該孔の少なくとも80%が、120〜180ナノメートルの孔サイズを有する、請求項24または25の方法。
【請求項27】
該水の溶液が、約1〜約5μS/cmの伝導度を有し、そして50%より大きく変化しない、請求項24〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
該アノードと該カソードとの間の電位を逆転させることをさらに含む、請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
該水の溶液が、塩化物塩を含み、そして該方法によって生成された該酸性水が、
a)分光測定で測定して、40〜70mgの遊離塩素、
b)分光測定で測定して、合計40〜70mgの塩素、
c)ヨード測定で測定して、合計40〜70mgの塩素、および、
d)10mg/l未満の塩素酸塩、
を含む、請求項24〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
該水の溶液が、塩化物塩、ならびに、
a)分光測定で測定して、合計10mg/l未満の塩素、および、
b)ヨード測定で測定して、合計100〜500mg/lの塩素、
を含む、該方法によって生成された該酸性水を含む、請求項24〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
17Oを使用して約45Hz〜51Hz未満を有するNMR半値幅、および−1000〜+200mV、または+600〜+1300mVの酸化還元電位を有する、請求項24の方法により生成された電解酸性水または電解アルカリ性水。
【請求項32】
17Oを使用して約45〜50Hz未満のNMR半値幅、+900〜+1250の酸化還元電位、および0.5〜5.0のpHを有する、請求項31の電解酸性水。
【請求項33】
カソード、アノードを含むアノードチャンバー、および該チャンバーを分離するナノ多孔質フィルターを含む、カソードチャンバーを含んで成る、電解ユニット、
a)該粒子の70wt%超が40〜100nmの直径を揺するナノ粒子の残留物によ って、該カソードおよび該アノードは、被覆され;そして、
b)該ナノ多孔質フィルターは、120〜180ナノメートルの平均孔サイズを含む。
【請求項34】
該粒子の70wt%超が、60〜80nmの直径を有するナノ粒子の残留物によって、該カソードおよび該アノードが被覆されている、請求項33の電解ユニット。
【請求項35】
該ナノ多孔質フィルター中の該孔の少なくとも80%が、120〜180ナノメートルの孔サイズを有する、請求項33の電解ユニット。
【請求項36】
該粒子の70%超が50〜60ナノメートルの直径を有するナノ粒子の残留物によって、該多孔質フィルターが被覆されている、請求項33の電解ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2010−525933(P2010−525933A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504563(P2010−504563)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003383
【国際公開番号】WO2008/131936
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(508127720)アクアテク ソチエタ レスポンサビリタ リミテ (2)
【Fターム(参考)】