説明

測位情報処理装置

【課題】敷設するセンサまたはマーカ数を制限して位置検知可能な領域を離して設けた場合でも、位置検知が不可能な領域にいる人の位置を推定して連続的に仮想表示できる。
【解決手段】センサの検知情報に基づいて位置辞書格納部から取得した検知対象端末の現在の検知位置に対する直近の過去の検知位置を位置履歴格納部から検索する履歴参照手段と、選択された地図データに基づいて、検知対象端末の現在の検知位置と直近の過去の検知位置とを結ぶ過去の移動経路を計算し、経路構成データを用い当該過去の移動経路の図形データを生成する移動履歴推定手段と、当該移動経路の図形データに過去の移動経路から推定した方向を表す方向図形を付加する方向推定手段を備え、現在の検知位置を表示する地図データに過去の移動経路の図形データを重畳して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、構内または街中に間隔を置いて設置した複数のセンサにより移動する端末を検知して当該端末を所持する人や物体の位置を地図上に表示する測位情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動物体の測位方法としては、カーナビゲーションシステムで代表されるようにGPS(Global Positioning System)衛星を利用した測位が主流となっている。しかし、GPS測位方法は、GPS受信機が建物の陰やビルの中に在る場合、衛星から発信するGPS電波が届かないため測位が不可能である。特に、GPS受信機付き携帯電話を持って建物の中や地下街で移動する人の場合、自位置を確認できないという不都合が生じていた。GPSに代わって、屋内でも適用できる測位方法として、RFID(Radio Frequency Identification)、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)などの近距離通信技術を適用した、電波デバイスと称する小型の無線端末を使うものが提案されている(例えば非特許文献1〜5参照)。
例えばRFIDを用いた測位システムの場合、測定対象エリアの異なる所定位置に複数個のリーダや受信部(センサ)を対応付けて設置し、当該エリア内を移動する測位対象のRFIDタグ(端末)との間で通信を行う構成となっている。各リーダは、RFIDタグからの電波を受信すると、受信したID情報とその受信電波強度(Received Signal Strength Indicator:以下、RSSI値とする)を、LANなどを介して測位処理部に送る。測位処理部では、例えばRSSI値を距離換算してリーダとRFIDタグ間の距離を求め、三角測量により、算出した距離とリーダの位置とからRFIDタグの位置を計算するようにしている。また、別の例として、事前処理で測定対象エリア内の所定の複数位置に対してRFIDタグを置いて各位置に対するRSSI値を各リーダで予め収集しておき、実際の測位時にその事前学習データを参照して測位対象のRFIDタグの位置を算出するという方法がある(非特許文献5参照)。
【0003】
【非特許文献1】神谷泉・小白井亮一・増田亮太・清野憲二・神田秀彦・羽場純, 「無線LAN測位に関する基礎実験とその評価 − いつでもどこでも可能な測位環境の確立に向けて −」, 日本写真測量学会誌 「写真測量とリモートセンシング」 Vol.44, No.4, 2005
【非特許文献2】田中完爾・木室義彦・山野健太郎・平山満・近藤英二・松本三千人, 「RFIDシステムによる自己位置推定とタグ配置作業」, 電子情報通信学会論文誌, D−II, Vol.J88−D−II, No.9, pp.1759−1770
【非特許文献3】神谷泉, 「測位技術の調査とICタグ, UWBの測位への応用」, 国土地理院時報, No.106, 2005,http://www.gsi.go.jp/REPORT/JIHO/vol106/106-5.pdf
【非特許文献4】北須賀輝明・中西恒夫・福田晃, 「無線通信網を用いた屋内向け測位方式」, 情報処理学会論文誌:コンピューティングシステム Vol.44, No.SIG10(ACS 2), July 2003http://www.f.csce.kyushu-u.ac.jp/~kitasuka/papers/2003/ipsj-kitasuka-v44acs2a013.pdf
【非特許文献5】小川智明・吉野修一・清水雅史, 「屋内における無線タグを用いた学習型位置推定法」, 情報処理学会研究報告 2004−UBI−5, 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のようなセンサと端末を用いた測位方法の場合、配置したセンサと移動する端末の間の通信は通信可能な距離に限界があるため、センサの配置間隔を長い距離に設定した場合、その中間には検知不可能な領域ができてしまう。そのため、端末が検知不可能領域にいる間は検知情報が欠落するので、位置は表示できず、人の位置を把握することは困難となる。また、検知情報の欠落により、次に検知可能領域に入って検知できた場合にはその現在位置は表示されるが、前の検知位置からのつながりが無いため、歩行履歴(何処から歩いてきたか)の表示もできないという問題がある。そのため、センサの配置は、端末の位置を連続的に検出できるように検知不可能領域を作らないようにするか、作っても比較的短い間隔となるようにする必要があった。例えば、ビルにおける或階の1つの広いフロアを想定した場合、移動する人の位置を漏れなく検知するためにはセンサを近距離で多数配置しなければならない。また、壁やパーティションで複数の部屋に分割した場合、長い通路も設けられ、壁やパーティションが電波障壁となるため、細分化した各所における位置を検知するためには更に多数のセンサの敷設が要求される。また、これらの状況は広範囲の地下街においても同様である。このように人が移動するさまざまな場所で、広範囲に、かつ連続的に人の位置を把握するためには多数のセンサが必要であり、センサの敷設工数や保守管理などを煩瑣にし、システムの構築、運営のコストにも影響を及ぼす。そのため、センサ数を制限しても人(または端末)の位置を、GPSを用いたナビゲーションシステムと同様に連続的に表示して把握できるようする測位システムの構築が望まれる。
【0005】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、敷設するセンサまたはマーカ数を制限して位置検知可能な領域を離して設けた場合でも、位置検知が不可能な領域にいる人の位置を推定して連続的に仮想表示できる測位情報処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る測位情報処理装置は、構内または街中の複数の予め決めた位置に設置したセンサにより移動する端末を検知して当該端末の位置を地図上に表示する測位システムの測位情報処理装置において、設置された各センサの位置データを予め格納する位置辞書格納部と、構内または街中の地図データを予め格納する地図データ格納部と、検知された端末に対する位置履歴情報を記録する位置履歴格納部と、端末が通る道筋を図形に表すための経路構成データを予め格納する経路データ格納部と、センサからの検知情報に基づいて、位置辞書格納部から対応するセンサ位置を検索し検知対象端末の現在の検知位置として取得する位置取得手段と、取得された検知対象端末の現在の検知位置を含む地図データを地図データ格納部から選択する地図選択手段と、選択された地図データに検知対象端末の現在の検知位置を重畳して表示する位置表示手段と、位置履歴格納部から検知対象端末の現在の検知位置に対する直近の過去の検知位置を検索する履歴参照手段と、選択された地図データに基づいて、検知対象端末の現在の検知位置と直近の過去の検知位置とを結ぶ過去の移動経路を計算し、経路データ格納部の経路構成データを用いて当該過去の移動経路の図形データを生成する移動履歴推定手段と、過去の移動経路の方向を進行方向と推定し、過去の移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する方向推定手段とを備え、位置表示手段は、現在の検知位置を表示する地図データに方向推定手段で得られた方向図形が付加された過去の移動経路の図形データを重畳して表示するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、センシングできるエリアを制限してセンサを配置した場合においても、センサが検知できたときの位置データや地図データを用いてセンシング不可能な領域にいる端末の移動経路を推定し、地図上に表示できるようにしたので、人の位置があたかも連続して検知できているかのよう仮想表示することが可能になる。その結果、GPSを用いることができない建物内や地下街においてセンサの設置数を少なく制限した測位システムの構築が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明に係る測位情報処理装置を適用した測位システムの概略構成を示す説明図である。
端末20は、人10に保持され、自端末を識別するためのIDデータを電波、赤外線、音波などの信号にして無線送信する。センサ60は、構内や街中の複数の予め決めた位置に設置され、端末20を身につけた人10が、センサ60との受信可能なエリア内に入った場合に端末20から発する信号を検知し、検知情報をネットワーク70を介して測位情報処理装置に伝送する。検知情報は、端末20を識別する端末IDとその検知時刻および検知したセンサ60自身のセンサIDを含むデータである。測位情報処理装置では、検知情報を基に後述する処理により、端末20の現在位置、すなわち端末を持っている人の位置を算出し、算出した位置を移動してきた経路とともにディスプレイ上に表示する。また、この測位情報処理装置では、センサ間に在る端末20をセンサで検知できなかった場合にもその概略位置を推定して表示可能にする処理を行う。
ここで、ネットワーク70は有線であっても無線であってもよいものとする。また、端末20がRFIDのような電波タグの場合には、センサ60は電波受信機であり、また端末20が赤外線タグの場合には、センサ60は赤外線受信機であり、また端末20が超音波タグの場合には、センサ60は超音波受信機となるような形態をとる。
【0009】
ここで、この発明の測位情報処理装置の適用形態について述べる。
その一つとして、測位情報処理装置を監視センタの設備とする場合が考えられる。この場合、監視対象となる端末20は複数存在することになるので、多数の端末の位置をすべて一度に表示すると煩雑になる。そのような場合には、監視対象とする人の端末IDデータを選択入力して、そのIDに対応する端末だけを選択して表示するようにすればよい。一方、人が所持する端末20により自己の位置を確認できるようにする場合がある。この場合、測位情報処理装置から携帯電話網を介して端末IDデータごとの位置表示出力を対応する端末(この場合、携帯電話端末にタグが組み込まれたものとなる)20に送るようにすればよい。さらに、端末20自体と測位情報処理装置の機能を一体化した構成とする場合が考えられる。この場合、センサ60による検出情報をセンタから携帯電話網を介して端末20に送るようにすればよい。
【0010】
図2は、この発明の測位情報処理装置により処理した位置の表示例を示す説明図である。図において、(a)、(c)は端末20を持つ人10が位置検知可能領域に存在しているときの位置の表示例を、(b)は位置検知不可能領域に存在しているときの位置の表示例を表している。
人10が端末20を携行して位置検知可能領域にいる場合(a)、ディスプレイの表示画面1には地図と併せて、人の検出位置が位置検知可能領域に相当する黒丸で表示される。また、このとき、移動により人の位置が、前に置かれたセンサで検出できている場合は、その移動履歴が例えば実線と進行方向を示す矢印の図形で表示される。歩行が進み、人10が位置検知不可能領域に入った場合(b)、表示画面2には、人10の移動中の現在位置が移動経路として推定され、例えば破線と矢印の図形で表示される。これらの移動先には次のセンサがそれぞれ配置されており、それまでの移動経路上のいずれかに人10が現在いることを表している。人10が更に移動することにより再び位置検知可能領域に到達した場合(c)、表示画面3には、今回の検知位置が黒丸で、以前の検知位置(表示画面1の黒丸)からの推測した移動経路が例えば実線と矢印の図形で表示される。
【0011】
この実施の形態1では、センサが端末を検知して現在位置を表示するときに、その端末が検知された現在位置までたどって来た移動経路を推定して、その過去の移動経路と現在の移動方向を併せて表示する処理方法について述べる。図3は、この発明の実施の形態1による測位情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
位置辞書格納部201は、設置された各センサのセンサIDとそのセンサ位置を対応付けた位置データを予め格納する手段である。例えばセンサIDがA番であれば、センサIDに対応するセンサ位置は経度がXで緯度がYであるといった座標データが記録されている。また、センサの配置エリアが構内の場合、位置データは構内のスペースに基づいて予め決めた座標系で表わされる。地図データ格納部202は、構内または街中の地図を表す地図データを予め格納する手段である。この地図データは、一般のナビゲーションに用いられているものと同様で、地図の各位置に位置座標を対応付けたものである。位置履歴格納部203は、検知された端末20の位置履歴情報を格納する手段である。この位置履歴情報は、ある端末20が検知された場合、その端末の端末ID、検知位置(端末を検知したセンサの位置)および検知時刻(秒単位)を検知ごとに記録した情報である。経路データ格納部204は、端末が通る道筋を図形に表すための経路構成データを予め格納する手段である。この経路構成データは、例えばノードとアークなど図形データで表される。上記格納部201〜204は、以下の構成と一緒に設けてもよく、また離れた所に設けて有線や無線でデータをやり取りできるようにしてもよい。
【0012】
位置取得手段101は、端末を検知したセンサから送られる検知情報に基づいて、位置辞書格納部201から対応するセンサ位置を検索して検知対象端末の現在の検知位置として取得する手段である。履歴参照手段102は、位置履歴格納部203から検知対象端末の現在の検知位置に対する直近の過去の検知位置を検索する手段である。移動履歴推定手段103は、地図データに基づいて、検知対象端末の過去の検知位置と現在の検知位置とを結ぶ過去の移動経路を計算し、経路構成データを用いて当該過去の移動経路の図形データを生成する手段である。方向推定手段104は、過去の移動経路の方向を進行方向と推定し、過去の移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する手段である。ここで、方向図形とは、例えば矢印あるいは或る方向に向かって歩く人の姿を表すアイコンなどである。地図選択手段105は、検知対象端末の現在の検知位置を含む地図データを地図データ格納部202から選択する手段である。位置表示手段106は、端末の検知位置、移動経路などを選択された地図データに重畳して表示する手段である。
【0013】
次に動作について説明する。
位置取得手段101において、端末を検知したセンサ60から送られた検知情報を受け取ると、その検知情報に含まれるセンサIDに基づいて対応するセンサ位置を位置辞書格納部201の位置データから検索する。位置取得手段101は、検索したセンサ位置(これを検知対象端末の現在検知位置とする)を地図選択手段105と位置表示手段106に送る。地図選択手段105では、地図データ格納部202から現在検知位置を含む所定領域、例えば100メートル四方の縮尺を表す地図データを抽出し位置表示手段106に送る。位置表示手段106では、地図データに対して、現在検知位置を表す図形、例えば図2(a)に示す黒丸(位置検知可能領域)のような図形を地図上の対応位置に重畳してディスプレイに表示する。従来は検知位置の図形だけが地図上に表示されため、検知位置間が離れているとその間の位置に関する情報が欠落してしまう。そのため、ここでは次の処理を行う。
【0014】
位置取得手段101は、位置辞書格納部201から検索した検知対象端末の現在検知位置および検知情報に含まれる端末ID並びに検知時刻を履歴参照手段102へ送る。履歴参照手段102では、与えられた端末IDと検知時刻に基づいて位置履歴格納部203から検知対象端末に対応する現検知時刻より直近の過去に検知したセンサ位置(これを過去検知位置とする)とその検知時刻を検索する。検知対象端末の現在検知位置、直近の過去検知位置およびその検知時刻は移動履歴推定手段103へ送られる。また、履歴参照手段102は、使用した現在検知位置とその検知時刻のデータを履歴情報として位置履歴格納部203へ記憶する。
【0015】
移動履歴推定手段103では、地図選択手段105が先に選択した現在検知位置を含む地図データを取り寄せ、地図上における過去の移動経路を計算する。例えば図4に示すように、直近の過去検知位置P9と現在検知位置P10の2地点間の移動経路R01、R02を取得する。移動経路がR01とR02のように複数ある場合には、経路の距離を移動時間(現検知時刻と前検知時刻の差)で割った値が標準歩行速度に近い方の経路を移動経路として選択する。図4の例では、R01を選択し過去の移動経路として得たものとする。移動履歴推定手段103では、次に、経路データ格納部204から経路構成データを選択して、計算した過去の移動経路を構成する図形データ生成する。生成された過去の移動経路の図形データは方向推定手段104へ渡される。
【0016】
方向推定手段104では、現在検知位置において、移動履歴推定手段103で取得した過去の移動経路の進行方向を現在向いている方向として推定し、過去の移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する。ここで、過去の移動経路が、例えば上向きであった場合、現在の進行方向は地図上でも上向きとなる。方向推定手段104は、現在検知位置、方向図形を付加した過去の移動経路のデータを位置表示手段106に送る。
位置表示手段106では、地図選択手段105で先に選択された現在検知位置を含む地図データに対して、先の現在検知位置の図形に加え、直近の過去検知位置から当該現在検知位置までの過去の移動経路の図形を重畳し、ディスプレイに表示する。この場合、例えば図2の表示画面1のように、端末20の現在検知位置(人の位置と同じ)、過去の移動経路および方向を示す矢印(人の進む向きと同じ)が結び付けられて表示される。したがって、現在何処にいるのかを確認し、また人が何処から来てどの方向に向かっているかを推測できるようになる。
【0017】
以上のように、この実施の形態1によれば、センサの配置条件として検知可能領域が離れて不連続となっている場合において、端末(人)の現在の検知位置を地図上に表示するときに、直近の過去に検知された場所から現在検知された場所までの推測した移動経路と推測した現在の移動方向を付加して表示できるようにしている。したがって、前にいた場所から現在の場所までの連続した位置経緯と今どの方向に向かって移動しているのかを確認することが可能となる。また、何らかの理由で端末の過去の検知情報が歯抜けになっている場合においても、その前の検知情報が存在すれば、現在の検知位置まで辿ってきた移動経路の表示が可能である。
【0018】
実施の形態2.
この実施の形態2では、位置辞書格納部201の位置データを用いて次に向かうセンサ位置を推定し、現在検知位置からの次の移動経路を推定して表示する処理方法について述べる。図5は、この発明の実施の形態2による測位情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。図において、実施の形態1の図3に相当する部分には同一符号を付し、その説明は原則として省略する。
次期検知位置推定手段107は、位置辞書格納部201から現在の検知位置の隣に在るセンサ位置を検索し、その中から直近の過去の検知位置を除いたセンサ位置を次期検知推定位置として算出する手段である。次期移動経路推定手段108は、地図データ格納部202からの地図データに基づいて、現在の検知位置と次期検知推定位置を結ぶ検知対象端末の次の移動経路を計算し、経路データ格納部204の経路構成データを用いて当該次の移動経路の図形データを生成する手段である。方向推定手段(第2の方向推定手段)114は、次の移動経路の方向を進行方向と推定し、次の移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する手段である。
【0019】
次に動作について説明する。
次期検知位置推定手段107では、履歴参照手段102から検知対象端末の直近の過去検知位置、現在検知位置、それぞれの検知時刻を受け取ると、所定時間後に該当端末が次に向かうと想定されるセンサ位置を推定する。この場合、位置辞書格納部201から現在検知位置の隣に在るセンサ位置をすべて検索し、その中から履歴参照手段102で得た直近の過去検知位置を除いたセンサ位置を得、これを次期検知推定位置として推定する。得られた次期検知推定位置は現在検知位置と共に次期移動経路推定手段108へ送られる。ここで、上記所定時間は、人が標準歩行速度で現在検知位置から離れて端末20とセンサ60間の通信が不可能になる場所(位置検知不能領域)に到達するまでの時間とする。
【0020】
次期移動経路推定手段108では、地図選択手段105で先に選択した現在検知位置を含む地図データに基づいて、地図上における現在検知位置から次期検知推定位置へ向かう検知対象端末の移動経路(これを次期移動経路とする)を計算する。次に、経路データ格納部204から経路構成データを選択して、計算した次期移動経路を構成する図形データを生成し、方向推定手段114へ送る。方向推定手段114では、渡された次期移動経路の方向を進行方向と推定し、次期移動経路の図形データに矢印などの方向図形を付加して位置表示手段106へ送る。位置表示手段106では、地図選択手段105からの現在検知位置を含む地図データに対し、次期移動経路に方向図形を付加した図形を重畳してディスプレイに表示する。この場合に表示される移動経路は、現在検知位置と次期検知推定位置を100%の線で結んだものであってもよく、判別できるなら100%の経路長でなくてもよく、例えば図2の表示画面2に示すように、判別できる範囲の固定長の移動経路の表示としてもよい。
【0021】
以上のような次期移動経路の表示により、端末の位置(人の位置)がこれらの次期移動経路上にあると推測でき、その際、直前の検知位置や周囲の景色などから総合的に判断すれば、実際の位置の推測が可能になる。やがて検知対象端末が次期検知推定位置に設定された位置検知可能領域に到達してセンサで検知されると、その検知情報に従って再び実施の形態1で述べた履歴参照手段102、移動履歴推定手段103、方向推定手段104の処理が行われ、表示されていた複数の次期移動経路の中から実際に歩いたと想定される移動経路(図2(c)の状態)が選択されることになる。
なお、図2の表示画面2に示すように複数の次期移動経路が表示されている状態において、ユーザが自己の現在の位置がある次期移動経路を確認できた場合には、ポインタで選択指定することで画面上の該当する経路のみを表示するようにしてもよい。その結果、その後の自己の位置の推測をより一層容易にすることができる。
【0022】
以上のように、この実施の形態2によれば、元の検知位置から離れて歩き出した場合に次の検知位置への移動経路を推定し、進む方向を付加して表示するようにしたので、何処から歩き出して現在どの辺にいるかを、ユーザは表示された移動経路から推測することが可能になる。なお、この実施の形態1の場合、センサを一定間隔で配置した場合でも、異なる間隔で配置した場合でも適用可能である。
【0023】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、現在検知位置(元の検知位置)から次期検知位置に向かう次期移動経路を表す場合、100%の経路長あるいは判別できる範囲の固定長で示すようにしているが、この実施の形態3では、元の検知位置から次期検知位置に向かう移動経路の図形を歩行進捗状況に合わせて徐々に増加させて表示する処理方法について述べる。
図5において、次期移動経路推定手段108は、現在検知位置から次期検知推定位置へ向かう移動経路を推定しているが、この実施の形態3では、さらに次の処理を行う。
次期移動経路の推定後、一定時間ごとに、検知対象端末が標準移動速度に応じて進む距離に相当する経路構成データを経路データ格納部204から選択し、現在検知位置を基点として次期移動経路に沿って進行方向へ向けて増加するように順次接続していく図形データを生成する。この場合の端末の標準移動速度に応じて進む距離は、一定時間に人(端末)が進む距離である。例えば一定時間を5秒とした場合、標準歩行速度(時速4km)で歩くと所定距離は約5.6mとなるので、この距離に相当するアークを順次進行方向へ向けて繋げていく。方向推定手段114では、作成された先端のアークの進行方向を現在向いている方向として判断して方向図形を付加し、順次増加する次期移動経路の図形データを位置表示手段106へ送る。
【0024】
上記動作の例について図6で説明する。
端末が現在検知位置から離れ、次期検知推定位置(センサ位置)N1〜N4のいずれかに向かって次期移動経路上を進んでいるとする。10秒ごとに端末(人)が標準移動速度で進む距離に相当する長さのアークとノードを順次接続して移動経路の図形を形成していく。図6の各先端のアークは、例えば出発から20秒経過しかつ30秒未満における端末の位置を表す。30秒経過後に最も近い次期検知推定位置N3に到達してもその検知情報が得られなかった場合、この方向には進んでいないことになる。引き続き、検出情報が得られる他の検知位置まで残りの移動経路の図形生成を行う。
【0025】
したがって、この実施の形態3によれば、経路上のどの辺りに現在いるかの判断が、実施の形態2に比べてより容易となる。なお、各位置の距離と標準移動速度から移動時間は割り出せるから、推定された複数の次期移動経路がある場合で、図6の例のように検知情報が得られなかった次期検知推定位置N3への経路については、移動時間(30秒)経過後に図形の作成を停止するか、作成した部分を消去するようにしてもよい。
【0026】
実施の形態4.
実施の形態2では、過去の移動経路と次の移動経路を別々に推定処理して表示するようにしていたが、この実施の形態4では、次の移動経路の推定表示を行う処理を行った後で、端末が次の検知可能領域に到達し検知されたときに、今まで推定表示していた次の移動経路を、新たな検知位置に対する過去の移動経路としてそのまま採用し表示する処理方法について述べる。
図7は、この発明の実施の形態4による測位情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。図において、実施の形態2の図5に相当する部分には同一符号を付し、その説明は原則として省略する。この実施の形態4は、実施の形態2の移動履歴推定手段103、方向推定手段104を使用しない構成である。また、この実施の形態4では、検知位置照合手段130を新たに設けている。
検知位置照合手段130は、次期検知位置推定手段107で算出された次の検知推定位置と位置取得手段101が取得した新たな検知位置とを照合し、当該新たな検知位置と一致する次の検知推定位置があった場合には制御データを生成する手段である。
【0027】
次に動作について説明する。
次期検知位置推定手段107は、履歴参照手段102から検知対象端末の直近の過去検知位置、現在検知位置、それぞれの検知時刻を受け取ると、実施の形態2の場合に設定していた一定時間を置かず、直ちに次期検知推定位置の算出処理を行う。その後の次期移動経路推定手段108、方向推定手段114、位置表示手段106の処理は実施の形態2と同様で、次期移動経路に方向図形を付加した図形がディスプレイに表示される。ただし、方向推定手段114から位置表示手段106へ送られる次期移動経路の図形に対して、対応する次期検知推定位置を組み合わせておき、位置表示手段106で表示中保持しておく。
やがて検知対象端末が次期検知推定位置に相当する位置検知可能領域に到達してセンサで検知されると、位置取得手段109では、その検知情報から新たな検知位置を取得し、位置表示手段106に送ってその新たな検知位置を表示させる。また、位置取得手段109は同時に新たな検知位置を検知位置照合手段130へ与える。検知位置照合手段130では、次期検知位置推定手段107から先に与えられ保持していた次期検知推定位置と新たな検知位置とを照合し、当該新たな検知位置と一致する次期検知推定位置があった場合には、その旨の制御データを位置表示手段106に与える。位置表示手段106では、新たな検知位置と一致した次期検知推定位置への方向図形が付加された次期移動経路の図形データのみを新たな検知位置を表示する地図データに重畳して表示し、一致しない次期検知推定位置に関する次期移動経路があった場合にはその表示を削除する。この場合、制御データを、新たな検知位置と一致した次期検知推定位置のデータとすれば、位置表示手段106は、そのデータと同じ保持していた次期検知推定位置に対応する次期移動経路の図形のみを選択して表示すればよい。
【0028】
以上のように、この実施の形態4によれば、次の推定検知位置が新たな検知位置となって表示された際、それに対して推定表示してきた次期移動経路を、新たな検知位置に対する過去の移動経路としてそのまま表示することができるようにしたので、経路推定の処理を実施の形態2の場合よりも簡略化することができる。
【0029】
実施の形態5.
この発明の測位情報処理装置の適用背景であるセンサの配置数を少なくした場合、上述してきたように、位置検知可能領域の間に位置検知不可能領域が存在することになる。また、センサを設置する対象は構内や街中であるが、通路が建物や壁により通路が区分けされているのが一般的である。一方、障害物が無いか、あっても高さが比較的低い空間、例えばビル内のオープンフロアを対象とする場合もある。このようなオープンフロアにセンサを設置する場合はセンサを規則正しく一定間隔で配置することが可能であり、センサ数を制限する点で有効である。しかし、人の動きは規制を受ける通路がある場合に比し自由となるため、経路上にあるセンサがなんらかの理由で利用できずその検知情報が欠落した場合には端末(人)の位置を表示できなくなる。この実施の形態5では、このように検知情報が得られないセンサ付近にある端末(人)の現在の位置を推定し表示する処理方法について述べる。
ここでは、センサを設置することにより、複数の位置検知可能領域が平面に対して、例えば碁盤の目のように、原則として縦横一定間隔に設けられているものとする。また、人(端末)は標準歩行速度(時速4km)で移動するものとし、センサ間を移動するのに要する時間を所定移動時間(例えば10秒間)とする。
【0030】
図8は、この発明の実施の形態5による測位情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。図において、実施の形態1の図3に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。
履歴参照手段(第2の履歴参照手段)112は、位置取得手段101で検知対象端末の現在検知位置が所定移動時間に取得されない場合に、位置履歴格納部203から、取得できなかった検知情報の取得予定時刻から所定移動時間の2倍以前にある所定期間内に検知された検知対象端末の複数の過去の検知位置を検索する手段である。現在位置推定手段109は、検索された複数の過去の検知位置に基づく過去の移動経路を推定し、その移動経路上の最終検知時刻の検知位置から今回取得できなかった検知情報の取得予定時刻までの移動経路を、当該移動経路の延びる方向に、かつ所定移動時間に進む距離の複数倍の直線で推定し、当該移動経路の先端を検知対象端末の現在推定位置として算出し、さらに経路データ格納部204の経路構成データを用いて当該推定した移動経路の図形データを生成する手段である。方向推定手段(第3の方向推定手段)124は、現在位置推定手段109で推定された移動経路の先端の方向を現在の進行方向として推定し、移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する手段である。
【0031】
次に動作について説明する。
位置取得手段101、履歴参照手段102、移動履歴推定手段103、方向推定手段104の処理は実施の形態1とほぼ同様である。ただし、この実施の形態5の場合は、人が通る経路を設けた地図データを対象としていないので、移動履歴推定手段103は過去の移動経路の推定に地図データを使用していない。また、位置取得手段101は、現在検知位置を取得すると、その端末IDおよび検知時刻を履歴参照手段112に渡すようになっている。
履歴参照手段112では、所定移動時間ごとに位置取得手段101から検知対象端末の端末IDおよび検知時刻の入力の有無を調べており、取得予定時刻に入力があった場合は以降の処理を行わない。一方、取得予定時刻に入力が無かった場合には、検知対象端末の端末IDと取得予定時刻に基づいて、位置履歴格納部203から、取得予定時刻から所定移動時間の2倍より以前にある所定期間内に検知された検知対象端末の複数の過去の検知位置を検索する。例えば、60秒前から20秒前までの所定期間内に10秒置きに位置データの記録があったとすると、それらの過去検知位置と検知時刻のデータを現在位置推定手段109へ送る。
【0032】
次に動作について説明する。
現在位置推定手段109では、まず履歴参照手段112で検索された複数の過去検知位置に関する過去の移動経路を推定する。図9に示す例で説明すると、取得予定時刻より60秒前から20秒前までの間に検知時刻がある過去検知位置をプロットした点列からスプライン近似線を過去の移動経路として描く。次に、推定した移動経路上の最終検知時刻の検知位置から今回検知情報が取得できなかった取得予定時刻までの移動経路を、当該移動経路の方向に従い、かつに所定移動時間に進む距離の複数倍の直線を用いて推定する。図9では、20秒前の過去検知位置(最終検知時刻)からスプライン近似線の延びる方向に、かつ取得予定時刻までの移動経路とする所定移動時間に進む距離d1の2倍の直線d2を延ばす。この延長した直線の先端位置を現在推定位置とする。この場合、20秒前から現在(取得予定時刻)までが20秒あるので、20秒前の位置からd1の2倍の距離d2に現在推定位置があることになる。
【0033】
現在位置推定手段109の別の処理例として、過去検知位置が60秒前と30秒前の2つしかなかったとした場合、現在位置推定手段109は、60秒前の位置と30秒前の位置の間の経路1を探索する。経路1としては30秒間に人が歩く距離に最も近い距離の経路を選択する。例えば、経路1は30秒間に人が歩く距離に最も近い距離の経路を選択する。次に、30秒前の位置を起点として取得予定時刻までの30秒間の移動距離を経路2として探索する。経路2以外に、例えば経路3または経路4というように複数の経路が考えられる場合は、経路1と30秒前の位置で接続したときに、2つの経路の方向が最も一致するものを選ぶ。経路2が適切な経路とした場合、経路2の先端を現在推定位置とする。
現在位置推定手段109は、上記のように取得予定時刻までの移動経路を推定すると、経路データ格納部204の経路構成データを用いて当該推定した移動経路の図形データを生成し、方向推定手段114へ送る。
【0034】
方向推定手段124では、現在位置推定手段109で推定された移動経路の先端の方向を現在の進行方向として推定し、移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加して現在推定位置とともに位置表示手段106へ送る。また、現在推定位置は地図選択手段105へも同時に与えられる。地図選択手段105では、地図データ格納部202から当該現在推定位置を含む所定領域、例えば100メートル四方の地図データを抽出し位置表示手段106に送る。位置表示手段106では、現在推定位置、取得予定時刻までの推定した移動経路、方向の図形データに重畳してディスプレイ表示する。
なお、上記別の例で説明した経路2に対して、ほかに経路3、経路4等が推定された場合には、それら他の経路も併せて表示するようにしてもよい。
【0035】
以上のように、この実施の形態5によれば、同一端末の位置を所定移動時間ごとに検知できるようにセンサを設置した場合において、所定移動時間に端末の現在の位置を検知できない場合に、その検知情報の取得予定時刻より過去に検知された位置から過去の移動経路を推定し、この過去の移動経路に基づいて取得予定時刻までの移動経路を推定し、取得予定時刻までの移動経路の先端を現在の位置として推定して地図上に表示するようにしている。したがって、位置検知のためのセンサを大量に設置していない空間において、検知情報が取得できなかった端末の位置を擬似的に検知し連続的に表示することが可能となる。
【0036】
実施の形態6.
上記各実施の形態では、移動可能な端末とこの端末を検知する固定配置されるセンサの組み合わせを持つ測位システムにこの発明の測位情報処理装置を適用した例について述べてきた。この実施の形態6では、固定配置されるマーカとこのマーカを検知する移動可能な端末の組み合わせを持つ測位システムにこの発明の測位情報処理装置を適用した例について述べる。
図10は、この発明の実施の形態6に係る測位情報処理装置を適用した測位システムの概略構成を示す説明図である。
この測位システムでは、構内または街中に間隔を置いてマーカ80が設置される。検知端末21を持った人10が移動し、マーカ80の検知可能領域に入ると、検知端末21でマーカ80を検知する。この測位システムにおいて、マーカ80が電波タグの場合は、検知端末21にはリーダが装備され、マーカ80が赤外線発光器の場合は、検知端末21に赤外線受光素子が装備され、マーカ80がバーコードの場合は、検知端末21にバーコードリーダが装備されているものする。
この場合、マーカ80から検知されるデータはマーカを識別するためのマーカIDである。検知端末21は、検知したマーカID、その検知時刻および自端末IDを検知情報として携帯電話や無線LANのアクセスポイント90に送信する。アクセスポイント90は検知端末21から受信した検知情報をネットワーク70を介して測位情報処理装置100へ伝送する。
【0037】
測位情報処理装置100では、検知端末21から与えられる検知情報を基に上記各実施の形態で説明したと同様な処理により、検知端末21の検知位置、すなわち検知端末21を持っている人の現在の位置等を算出し、算出した位置をディスプレイ上に表示する処理を行う。したがって、上記各実施の形態で述べたものと同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明に係る測位情報処理装置を適用した測位システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】この発明の測位情報処理装置により処理した位置の表示例を表す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1による測位情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る移動履歴推定手段による移動経路の処理例を表す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態2および実施の形態3による測位情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る次期移動経路推定手段の処理動作について示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態4による測位情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態5による測位情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態5に係る現在位置推定手段の処理方法の例を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態6に係る測位情報処理装置を適用した測位システムの概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
10 人、20 端末、21 検知端末、60 センサ、80 マーカ、90 アクセスポイント、100 測位情報処理装置、101 位置取得手段、102,112 履歴参照手段、103 移動履歴推定手段、104,114,124 方向推定手段、105 地図選択手段、106 位置表示手段、107 次期検知位置推定手段、108 次期移動経路推定手段、109 現在位置推定手段、130 検知位置照合手段、201 位置辞書格納部、202 地図データ格納部、203 位置履歴格納部、204 経路データ格納部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構内または街中の複数の予め決めた位置に設置したセンサにより移動する端末を検知して当該端末の位置を地図上に表示する測位システムの測位情報処理装置において、
設置された各センサの位置データを予め格納する位置辞書格納部と、
構内または街中の地図データを予め格納する地図データ格納部と、
検知された端末に対する位置履歴情報を記録する位置履歴格納部と、
端末が通る道筋を図形に表すための経路構成データを予め格納する経路データ格納部と、
センサからの検知情報に基づいて、前記位置辞書格納部から対応するセンサ位置を検索し検知対象端末の現在の検知位置として取得する位置取得手段と、
前記取得された検知対象端末の現在の検知位置を含む地図データを前記地図データ格納部から選択する地図選択手段と、
前記選択された地図データに前記検知対象端末の現在の検知位置を重畳して表示する位置表示手段と、
前記位置履歴格納部から前記検知対象端末の現在の検知位置に対する直近の過去の検知位置を検索する履歴参照手段と、
前記選択された地図データに基づいて、前記検知対象端末の現在の検知位置と直近の過去の検知位置とを結ぶ過去の移動経路を計算し、前記経路データ格納部の経路構成データを用いて当該過去の移動経路の図形データを生成する移動履歴推定手段と、
前記過去の移動経路の方向を進行方向と推定し、前記過去の移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する方向推定手段とを備え、
前記位置表示手段は、前記現在の検知位置を表示する地図データに前記方向推定手段で得られた方向図形が付加された過去の移動経路の図形データを重畳して表示することを特徴とする測位情報処理装置。
【請求項2】
履歴参照手段からの検知対象端末の直近の過去検知位置および現在検知位置を受け取った所定時間後に、位置辞書格納部から前記現在の検知位置の隣に在るセンサ位置を検索し、その中から前記直近の過去の検知位置を除いたセンサ位置を検知対象端末の次期検知推定位置として算出する次期検知位置推定手段と、
前記現在の検知位置を含む地図データに基づいて、前記現在の検知位置と前記次期検知推定位置を結ぶ検知対象端末の次の移動経路を推定し、経路データ格納部の経路構成データを用いて当該次の移動経路の図形データを生成する次期移動経路推定手段と、
前記次の移動経路の方向を進行方向と推定し、前記次の移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する第2の方向推定手段とを備え、
前記位置表示手段は、前記現在の検知位置を表示する地図データに前記方向推定手段で得られた方向図形が付加された次の移動経路の図形データを重畳して表示することを特徴とする請求項1記載の測位情報処理装置。
【請求項3】
構内または街中の複数の予め決めた位置に設置したセンサにより移動する端末を検知して当該端末の位置を地図上に表示する測位システムの測位情報処理装置において、
設置された各センサの位置データを予め格納する位置辞書格納部と、
構内または街中の地図データを予め格納する地図データ格納部と、
検知された端末に対する位置履歴情報を記録する位置履歴格納部と、
端末が通る道筋を図形に表すための経路構成データを予め格納する経路データ格納部と、
センサからの検知情報に基づいて、前記位置辞書格納部から対応するセンサ位置を検索し検知対象端末の現在の検知位置として取得する位置取得手段と、
前記取得された検知対象端末の現在の検知位置を含む地図データを前記地図データ格納部から選択する地図選択手段と、
前記選択された地図データに前記検知対象端末の現在の検知位置を重畳して表示する位置表示手段と、
前記位置履歴格納部から前記検知対象端末の現在の検知位置に対する直近の過去の検知位置を検索する履歴参照手段と、
前記履歴参照手段からの検知対象端末の直近の過去検知位置および現在検知位置を受け取った所定時間後に、前記位置辞書格納部から前記現在の検知位置の隣に在るセンサ位置を検索し、その中から前記直近の過去の検知位置を除いたセンサ位置を検知対象端末の次の検知推定位置として算出する次期検知位置推定手段と、
前記現在の検知位置を含む地図データに基づいて、前記現在の検知位置と前記次の検知推定位置を結ぶ検知対象端末の次の移動経路を推定し、前記経路データ格納部の経路構成データを用いて当該次の移動経路の図形データを生成する次期移動経路推定手段と、
前記次の移動経路の方向を進行方向と推定し、前記次の移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する方向推定手段とを備え、
前記位置表示手段は、前記現在の検知位置を表示する地図データに前記方向推定手段で得られた方向図形が付加された次の移動経路の図形データを重畳して表示することを特徴とする測位情報処理装置。
【請求項4】
次期移動経路推定手段は、一定時間ごとに、検知対象端末が標準移動速度で進む距離に相当する経路構成データを経路データ格納部から選択し、推定した次の移動経路に沿って現在の検知位置を基点として増加するように順次接続していく図形データを生成することを特徴とする請求項2または請求項3記載の測位情報処理装置。
【請求項5】
次の検知推定位置と位置取得手段が取得した新たな検知位置とを照合し、当該新たな検知位置と一致する次の検知推定位置があった場合には制御データを生成する検知位置照合手段を備え、
位置表示手段は、前記制御データに基づいて前記新たな検知位置と一致する次の検知推定位置への方向図形が付加された次の移動経路のみの図形データを選択し、前記新たな検知位置とともに表示する地図データに重畳して表示することを特徴とする請求項3記載の測位情報処理装置。
【請求項6】
位置取得手段で検知対象端末の現在の検知位置が所定移動時間に取得されない場合に、位置履歴格納部から、検知情報の取得予定時刻から所定移動時間の2倍以前にある所定期間内に検知された検知対象端末の複数の過去の検知位置を検索する第2の履歴参照手段と、
前記検索された複数の過去の検知位置に基づいた過去の移動経路を推定し、推定された過去の移動経路上の最終検知時刻の検知位置から今回取得できなかった検知情報の取得予定時刻までの移動経路を、当該移動経路の延びる方向に、かつ所定移動時間に進む距離の複数倍の直線で推定し、当該移動経路の先端を検知対象端末の現在推定位置として算出し、さらに経路データ格納部の経路構成データを用いて当該推定した移動経路の図形データを生成する現在位置推定手段と、
前記推定された移動経路の先端の方向を現在の進行方向として推定し、移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する第3の方向推定手段とを備え、
位置表示手段は、前記推定された検知対象端末の現在推定位置を含む地図データに前記方向推定手段で得られた方向図形が付加された次の移動経路の図形データを重畳して表示することを特徴とする請求項1記載の測位情報処理装置。
【請求項7】
構内または街中の複数の予め決めた等間隔の位置に設置したセンサにより移動する端末を検知して当該端末の位置を地図上に表示する測位システムの測位情報処理装置において、
設置された各センサの位置データを予め格納する位置辞書格納部と、
構内または街中の地図データを予め格納する地図データ格納部と、
検知された端末に対する位置履歴情報を記録する位置履歴格納部と、
端末が通る道筋を図形に表すための経路構成データを予め格納する経路データ格納部と、
センサからの検知情報に基づいて、前記位置辞書格納部から対応するセンサ位置を検索し検知対象端末の現在の検知位置として取得する位置取得手段と、
前記取得された検知対象端末の現在の検知位置を含む地図データを前記地図データ格納部から選択する地図選択手段と、
前記選択された地図データに前記検知対象端末の現在の検知位置を重畳して表示する位置表示手段と、
前記位置取得手段で検知対象端末の現在の検知位置が所定移動時間に取得されない場合に、前記位置履歴格納部から、検知情報の取得予定時刻から所定移動時間の2倍以前にある所定期間内に検知された検知対象端末の複数の過去の検知位置を検索する履歴参照手段と、
前記検索された複数の過去の検知位置に基づいた過去の移動経路を推定し、推定された過去の移動経路上の最終検知時刻の検知位置から今回取得できなかった検知情報の取得予定時刻までの移動経路を、当該移動経路の延びる方向に、かつ所定移動時間に進む距離の複数倍の直線で推定し、当該移動経路の先端を検知対象端末の現在推定位置として算出し、さらに前記経路データ格納部の経路構成データを用いて当該推定した移動経路の図形データを生成する現在位置推定手段と、
前記推定された移動経路の先端の方向を現在の進行方向として推定し、移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する方向推定手段とを備え、
前記位置表示手段は、前記推定された検知対象端末の現在推定位置を含む地図データに前記方向推定手段で得られた方向図形が付加された次の移動経路の図形データを重畳して表示することを特徴とする測位情報処理装置。
【請求項8】
構内または街中の複数の予め決めた位置に設置したマーカを移動する検知端末で検知して当該検知端末の位置を地図上に表示する測位システムの測位情報処理装置において、
設置された各マーカの位置データを予め格納する位置辞書格納部と、
構内または街中の地図データを予め格納する地図データ格納部と、
マーカを検知した検知端末に対する位置履歴情報を記録する位置履歴格納部と、
検知端末が通る道筋を図形に表すための経路構成データを予め格納する経路データ格納部と、
検知端末からの検知情報に基づいて、前記位置辞書格納部から対応するマーカ位置を検索し検知対象端末の現在の検知位置として取得する位置取得手段と、
前記取得された検知対象端末の現在の検知位置を含む地図データを前記地図データ格納部から選択する地図選択手段と、
前記選択された地図データに前記検知対象端末の現在の検知位置を重畳して表示する位置表示手段と、
前記位置履歴格納部から前記検知対象端末の現在の検知位置に対する直近の過去の検知位置を検索する履歴参照手段と、
前記選択された地図データに基づいて、前記検知対象端末の現在の検知位置と直近の過去の検知位置とを結ぶ過去の移動経路を計算し、前記経路データ格納部の経路構成データを用いて当該過去の移動経路の図形データを生成する移動履歴推定手段と、
前記過去の移動経路の方向を進行方向と推定し、前記過去の移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する方向推定手段とを備え、
前記位置表示手段は、前記現在の検知位置を表示する地図データに前記方向推定手段で得られた方向図形が付加された過去の移動経路の図形データを重畳して表示することを特徴とする測位情報処理装置。
【請求項9】
履歴参照手段からの検知対象端末の直近の過去検知位置および現在検知位置を受け取った所定時間後に、位置辞書格納部から前記現在の検知位置の隣に在るマーカ位置を検索し、その中から前記直近の過去の検知位置を除いたマーカ位置を検知対象端末の次期検知推定位置として算出する次期検知位置推定手段と、
前記現在の検知位置を含む地図データに基づいて、前記現在の検知位置と前記次期検知推定位置を結ぶ検知対象端末の次の移動経路を推定し、経路データ格納部の経路構成データを用いて当該次の移動経路の図形データを生成する次期移動経路推定手段と、
前記次の移動経路の方向を進行方向と推定し、前記次の移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する第2の方向推定手段とを備え、
前記位置表示手段は、前記現在の検知位置を表示する地図データに前記方向推定手段で得られた方向図形が付加された次の移動経路の図形データを重畳して表示することを特徴とする請求項8記載の測位情報処理装置。
【請求項10】
構内または街中の複数の予め決めた位置に設置したマーカを移動する検知端末で検知して当該検知端末の位置を地図上に表示する測位システムの測位情報処理装置において、
設置された各マーカの位置データを予め格納する位置辞書格納部と、
構内または街中の地図データを予め格納する地図データ格納部と、
マーカを検知した検知端末に対する位置履歴情報を記録する位置履歴格納部と、
端末が通る道筋を図形に表すための経路構成データを予め格納する経路データ格納部と、
検知端末からの検知情報に基づいて、前記位置辞書格納部から対応するマーカ位置を検索し検知対象端末の現在の検知位置として取得する位置取得手段と、
前記取得された検知対象端末の現在の検知位置を含む地図データを前記地図データ格納部から選択する地図選択手段と、
前記位置履歴格納部から前記検知対象端末の現在の検知位置に対する直近の過去の検知位置を検索する履歴参照手段と、
前記選択された地図データに前記検知対象端末の現在の検知位置を重畳して表示する位置表示手段と、
前記履歴参照手段からの検知対象端末の直近の過去検知位置および現在検知位置を受け取った所定時間後に、前記位置辞書格納部から前記現在の検知位置の隣に在るマーカ位置を検索し、その中から前記直近の過去の検知位置を除いたマーカ位置を検知対象端末の次の検知推定位置として算出する次期検知位置推定手段と、
前記現在位置を含む地図データに基づいて、前記現在の検知位置と前記次の検知推定位置を結ぶ検知対象端末の次の移動経路を推定し、前記経路データ格納部の経路構成データを用いて当該次の移動経路の図形データを生成する次期移動経路推定手段と、
前記次の移動経路の方向を進行方向と推定し、前記次の移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する方向推定手段とを備え、
前記位置表示手段は、前記現在の検知位置を表示する地図データに前記方向推定手段で得られた方向図形が付加された次の移動経路の図形データを重畳して表示することを特徴とする測位情報処理装置。
【請求項11】
次期移動経路推定手段は、一定時間ごとに、検知対象端末が標準移動速度で進む距離に相当する経路構成データを経路データ格納部から選択し、推定した次の移動経路に沿って現在の検知位置を基点として増加するように順次接続していく図形データを生成することを特徴とする請求項9または請求項10記載の測位情報処理装置。
【請求項12】
次の検知推定位置と位置取得手段が取得した新たな検知位置とを照合し、当該新たな検知位置と一致する次の検知推定位置があった場合には制御データを生成する検知位置照合手段を備え、
位置表示手段は、前記制御データに基づいて前記新たな検知位置と一致する次の検知推定位置への方向図形が付加された次の移動経路のみの図形データを選択し、前記新たな検知位置とともに表示する地図データに重畳して表示することを特徴とする請求項10記載の測位情報処理装置。
【請求項13】
位置取得手段で検知対象端末の現在の検知位置が所定移動時間に取得されない場合に、位置履歴格納部から、検知情報の取得予定時刻から所定移動時間の2倍以前にある所定期間内に検知された検知対象端末の複数の過去の検知位置を検索する第2の履歴参照手段と、
前記検索された複数の過去の検知位置に基づいた過去の移動経路を推定し、推定された過去の移動経路上の最終検知時刻の検知位置から今回取得できなかった検知情報の取得予定時刻までの移動経路を、当該移動経路の延びる方向に、かつ所定移動時間に進む距離の複数倍の直線で推定し、当該移動経路の先端を検知対象端末の現在推定位置として算出し、さらに経路データ格納部の経路構成データを用いて当該推定した移動経路の図形データを生成する現在位置推定手段と、
前記推定された移動経路の先端の方向を現在の進行方向として推定し、移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する第3の方向推定手段とを備え、
位置表示手段は、前記推定された検知対象端末の現在推定位置を含む地図データに前記方向推定手段で得られた方向図形が付加された次の移動経路の図形データを重畳して表示することを特徴とする請求項8記載の測位情報処理装置。
【請求項14】
構内または街中の複数の予め決めた等間隔の位置に設置したマーカを移動する検知端末で検知して当該検知端末の位置を地図上に表示する測位システムの測位情報処理装置において、
設置された各マーカの位置データを予め格納する位置辞書格納部と、
構内または街中の地図データを予め格納する地図データ格納部と、
マーカを検知した検知端末に対する位置履歴情報を記録する位置履歴格納部と、
検知端末が通る道筋を図形に表すための経路構成データを予め格納する経路データ格納部と、
検知端末からの検知情報に基づいて、前記位置辞書格納部から対応するマーカ位置を検索し検知対象端末の現在の検知位置として取得する位置取得手段と、
前記取得された検知対象端末の現在の検知位置を含む地図データを前記地図データ格納部から選択する地図選択手段と、
前記選択された地図データに前記検知対象端末の現在の検知位置を重畳して表示する位置表示手段と、
前記位置取得手段で検知対象端末の現在の検知位置が所定移動時間に取得されない場合に、前記位置履歴格納部から、検知情報の取得予定時刻から所定移動時間の2倍以前にある所定期間内に検知された検知対象端末の複数の過去の検知位置を検索する履歴参照手段と、
前記検索された複数の過去の検知位置に基づいた過去の移動経路を推定し、推定された過去の移動経路上の最終検知時刻の検知位置から今回取得できなかった検知情報の取得予定時刻までの移動経路を、当該移動経路の延びる方向に、かつ所定移動時間に進む距離の複数倍の直線で推定し、当該移動経路の先端を検知対象端末の現在推定位置として算出し、さらに前記経路データ格納部の経路構成データを用いて当該推定した移動経路の図形データを生成する現在位置推定手段と、
前記推定された移動経路の先端の方向を現在の進行方向として推定し、移動経路の図形データに推定した方向を表す方向図形を付加する方向推定手段とを備え、
前記位置表示手段は、前記推定された検知対象端末の現在推定位置を含む地図データに前記方向推定手段で得られた方向図形が付加された次の移動経路の図形データを重畳して表示することを特徴とする測位情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−275330(P2008−275330A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115665(P2007−115665)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】