説明

測位装置、測位方法、測位装置の制御プログラム、測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】測位結果を短時間で取得することができる測位装置、測位方法、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラム及び測位装置の制御プログラムを記録した記録媒体を提供すること。

【解決手段】位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する測位手段と、通信可能な基地局の数及び識別情報を含む通信可能基地局情報を生成する通信可能基地局情報生成手段と、通信可能な基地局の数が2以上である場合に、通信網を介して情報提供装置から通信可能範囲情報を取得する通信可能範囲情報取得手段と、通信可能範囲情報に基づいて重複範囲情報を生成する重複範囲情報生成手段と、重複範囲情報に含まれる点の中から初期位置情報を生成する初期位置情報生成手段と、を有することを特徴とする測位装置40。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位装置、測位方法、測位装置の制御プログラム、測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、人工衛星を利用して位置を測位する測位システムとしてGPS(Global Positioning System)装置が用いられている。GPS装置による測位では、位置計算の初期値とするため、また、GPS衛星が発信する電波のドップラー効果による見かけの周波数変動を算出するために、GPS装置の仮の位置(初期位置)を用意する必要がある。
特許文献1には、基地局の位置又は前回測位位置を初期位置として使用する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2001−133535号公報(図5等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、基地局の位置を初期位置とした場合、例えば、GPS受信機の位置が実際には前回測位した位置に近く、基地局とは遠い場合であっても、初期位置が基地局の位置となる。また、前回測位位置を初期位置とした場合、前回測位から長時間が経過していると、GPS受信機の実際の位置と初期位置との距離は大きくなっている確率が高い。このように、GPS受信機の実際の位置と初期位置との差が大きい状態で測位を開始すると、GPS衛星からの信号のドップラー効果の計算を正確に行うことができず、測位に長時間を要する場合があるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、衛星航法システムに用いられる衛星からの信号のドップラー効果の計算を正確に行い、測位結果を短時間で取得することができる測位装置、測位方法、測位装置の制御プログラム及び測位装置の制御プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する測位手段と、通信可能な基地局の数及び識別情報を含む通信可能基地局情報を生成する通信可能基地局情報生成手段と、前記通信可能な基地局の数が2以上である場合に、通信網を介して情報提供装置から前記通信可能な基地局のそれぞれについての、移動局との間で通信が可能な地理的範囲を示す通信可能範囲情報を取得する通信可能範囲情報取得手段と、前記通信可能範囲情報に基づいて、前記複数の通信可能基地局の通信可能範囲が共通して含む範囲を示す重複範囲情報を生成する重複範囲情報生成手段と、前記重複範囲情報に含まれる点の中から前記測位の際に使用する初期位置を選定し前記初期位置の座標を示す初期位置情報を生成する初期位置情報生成手段と、を有することを特徴とする測位装置により達成される。
【0006】
第1の発明の構成によれば、通信可能基地局情報生成手段は、測位装置が測位を行う時点において測位装置と通信可能な基地局の数及び識別情報を含む通信可能基地局情報を生成する。通信可能基地局情報に含まれる識別情報は、情報提供装置に対して通信可能範囲情報を要求する際に、どの基地局についての情報が必要であるかを特定するために必要な情報である。通信可能な基地局の数は、初期位置の算出方法を選択するために必要な情報である。
通信可能な基地局の数が2以上である場合には通信可能範囲情報取得手段は、情報提供装置に対して、通信可能な基地局についての通信可能範囲情報を測位装置に送信するように要求する。ここで、情報提供装置はたとえばインターネットに接続されていて測位装置と通信可能なように構成されているサーバである。
重複範囲情報生成手段は、通信範囲情報に基づいて測位装置が通信可能な複数の基地局の通信可能範囲が重なり合っている範囲を示す重複範囲情報を生成する。
【0007】
セルラ通信網、たとえば携帯電話網においては、ハンドオーバーを確実に行うために、基地局が移動局との間で通信可能な範囲(セル)は互いに重なり合うように配置されている。このため、測位装置が複数の基地局と通信可能である場合には、測位装置はセルが重複している範囲に位置しているということができる。
そこで、初期位置情報生成手段は、重複範囲情報が示す範囲に含まれる点の中から初期位置を選定し、その座標を初期位置情報として生成する。
測位手段は、初期位置情報を利用して位置情報衛星が発信する位置関連信号の捕捉を行い、測位装置の現在位置を測位する。
【0008】
このように、測位装置が位置している可能性のある範囲を、セルの重複範囲という狭い範囲に絞り込みその範囲の中から初期位置を選定しているので、基地局の位置を初期位置とする場合に比べ、測位装置の真の位置に近い位置を初期位置として設定することができる。また、前回測位から長時間経過している場合にも、前回測位位置を初期位置とする場合に比べ、測位装置の真の位置に近い位置を初期位置として設定することができる。
このため、本発明の測位装置によれば、ドップラー効果による位置関連信号の見かけの周波数のずれを正確に予測することができ、測位結果を短時間で取得することができる。
【0009】
好ましくは、第2の発明によれば、第1の発明の構成において、前記通信可能範囲情報は、前記基地局の位置と前記基地局が移動局との間で通信が可能な距離を示す通信可能距離情報とを含み、前記通信可能範囲は前記基地局を中心として前記通信可能距離を半径とする円で表されることを特徴とする。
【0010】
第2の発明の構成によれば、基地局の通信可能範囲は基地局の位置を中心とし、通信可能距離を半径とする円によって示されている。
このため、他の方法、たとえば頂点数の多い多角形の各頂点の座標により通信可能範囲を示した場合に比べ、単純な計算によって重複範囲情報を算出することができる。
【0011】
好ましくは、第3の発明によれば、第2の発明の構成において、前記通信可能な基地局の数が2である場合に、前記初期位置情報設定手段は、2つの基地局の位置を結ぶ線分を、前記通信可能距離の比と同じ比率で分割する点を前記初期位置に選定することを特徴とする。
【0012】
第3の発明の構成によれば、初期位置情報生成手段は、2つの通信可能な基地局の通信可能距離の比に基づいて、重複範囲に含まれ、かつ、2つの基地局の位置を結ぶ線分上の点を初期位置として選定する。
測位装置が、ある時点において、ある基地局の通信可能範囲内に位置している確率は、その通信可能範囲が狭いほど低くなる。したがって、測位装置が2つの円のいずれにも含まれる範囲内に位置しているとわかった場合には、測位装置の真の位置は、重複範囲の中で小さい領域に近い側にある確率が高ということができる。
そこで、第3の発明の測位装置では、初期位置情報生成手段は2つの基地局の位置を結ぶ線分を、通信可能距離の比と同じ比で分割する点を初期位置として選定する。
このため、測位装置の真の位置に近い確率が高い点を初期位置として選定することができる。
【0013】
好ましくは、第4の発明によれば、第2の発明の構成において、前記通信可能な基地局の数が3以上である場合に、前記初期位置情報生成手段は、各基地局の位置を頂点とする多角形の重心の位置を前記初期位置として選定することを特徴とする。
【0014】
第4の発明の構成によれば、通信可能な基地局の数が3以上である場合に、初期位置情報生成手段は、各基地局の位置を頂点とする多角形の重心を、初期位置として選定する。
たとえば、測位装置が3つの基地局と通信可能な場合には、重複範囲は3つの円弧に囲まれた略3角形内部の範囲となる(図6(b)参照)。このような領域から、初期位置を選択するに当たり、たとえばこの領域の重心を初期位置とすることは、一応合理的であると考えられる。しかし、このような図形の重心を正確に求めるためには、大量の計算が必要であり、特に、軽量であることやバッテリの持続時間が長いことが望まれる携帯端末においては好ましくない。
そこで、第4の発明の測位装置では、重複範囲の図心を直接計算する代わりに、少ない計算量で算出できる基地局の位置を頂点とする多角形の重心を初期位置として選定する。このように算出しても、各基地局の通信可能距離がほぼ等しい場合には、重複領域の重心とのずれはごく小さいものとなる。
このため、短時間で、かつ、少ない消費電力で初期位置を設定することができる。
【0015】
前記目的は、第5の発明によれば、位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する測位手段と、通信が可能な基地局の数及び識別情報を含む通信可能基地局情報を生成する通信可能基地局情報生成手段と、前記通信可能な基地局の数が2以上である場合に、通信網を介して情報提供装置から前記通信可能基地局のそれぞれの位置及び信号の発信強度を含む基地局信号強度情報を取得する基地局信号強度情報取得手段と、前記通信可能な基地局から発信される電波の受信地点における信号強度を示す受信地点信号強度情報を生成する受信地点信号強度情報生成手段と、前記基地局信号強度情報と前記受信地点信号強度情報とに基づいて、前記基地局と測位装置の現在位置の間の距離を算出する基地局距離情報生成手段と、前記基地局位置情報と前記信号強度情報とに基づいて前記測位の際に使用する初期位置の座標を示す初期位置情報を生成する初期位置情報生成手段と、を有することを特徴とする測位装置により達成される。
【0016】
第5の発明の構成によれば、信号強度情報受信手段は測位装置と通信可能な基地局の位置及び基地局が発信する電波の信号強度を情報提供装置に要求して取得する。信号強度情報生成手段は、測位装置の現在位置における基地局から受信される電波の信号強度を示す信号強度情報を生成する。
基地局距離情報生成手段は、基地局信号強度情報と受信地点信号強度情報に基づいて各基地局と受信地点との間の距離を算出する。
初期位置情報生成手段は、複数の基地局までの距離を含んでいる基地局距離情報に基づいて、携帯端末の真の現在位置に近い点を初期位置として選択し、初期位置情報を生成する。
【0017】
このように、第5の発明では、携帯端末の現在地点における電波強度という実測値によって求められた基地局までの距離に基づいて携帯端末の初期位置を決定している。そのため、本発明の測位装置によれば、ドップラー効果による位置関連信号の見かけの周波数のずれを正確に予測することができ、測位結果を短時間で取得することができる。
【0018】
前記目的は、第6の発明によれば、測位手段が、位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する測位ステップと、通信可能基地局情報生成手段が、通信可能な基地局の数及び識別情報を含む通信可能基地局情報を生成する通信可能基地局情報生成ステップと、通信可能範囲情報取得手段が、前記通信可能な基地局の数が2以上である場合に、通信網を介して情報提供装置から前記通信可能な基地局のそれぞれについての、移動局との間で通信が可能な地理的範囲を示す通信可能範囲情報を取得する通信可能範囲情報取得ステップと、重複範囲情報生成手段が、前記通信可能範囲情報に基づいて、前記複数の通信可能基地局の通信可能範囲が共通して含む範囲を示す重複範囲情報を生成する重複範囲情報生成ステップと、初期位置情報生成手段が、前記重複範囲情報に含まれる点の中から前記測位の際に使用する初期位置を選定し前記初期位置の座標を示す初期位置情報を生成する初期位置情報生成ステップと、を有することを特徴とする測位方法より達成される。
【0019】
前記目的は、第7の発明によれば、コンピュータに、測位手段が、位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する測位ステップと、通信可能基地局情報生成手段が、通信可能な基地局の数及び識別情報を含む通信可能基地局情報を生成する通信可能基地局情報生成ステップと、通信可能範囲情報取得手段が、前記通信可能な基地局の数が2以上である場合に、通信網を介して情報提供装置から前記通信可能な基地局のそれぞれについての、移動局との間で通信が可能な地理的範囲を示す通信可能範囲情報を取得する通信可能範囲情報取得ステップと、重複範囲情報生成手段が、前記通信可能範囲情報に基づいて、前記複数の通信可能基地局の通信可能範囲が共通して含む範囲を示す重複範囲情報を生成する重複範囲情報生成ステップと、初期位置情報生成手段が、前記重複範囲情報に含まれる点の中から前記測位の際に使用する初期位置を選定し前記初期位置の座標を示す初期位置情報を生成する初期位置情報生成ステップと、を実行させるための測位装置の制御プログラムより達成される。
【0020】
前記目的は、第8の発明によれば、コンピュータに、測位手段が、位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する測位ステップと、通信可能基地局情報生成手段が、通信可能な基地局の数及び識別情報を含む通信可能基地局情報を生成する通信可能基地局情報生成ステップと、通信可能範囲情報取得手段が、前記通信可能な基地局の数が2以上である場合に、通信網を介して情報提供装置から前記通信可能な基地局のそれぞれについての、移動局との間で通信が可能な地理的範囲を示す通信可能範囲情報を取得する通信可能範囲情報取得ステップと、重複範囲情報生成手段が、前記通信可能範囲情報に基づいて、前記複数の通信可能基地局の通信可能範囲が共通して含む範囲を示す重複範囲情報を生成する重複範囲情報生成ステップと、初期位置情報生成手段が、前記重複範囲情報に含まれる点の中から前記測位の際に使用する初期位置を選定し前記初期位置の座標を示す初期位置情報を生成する初期位置情報生成ステップと、を実行させるための測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体により達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態の携帯端末40等を示す概略図である。測位装置の一例である携帯端末40は、測位手段の一例であるGPS装置50を有している。GPS装置50は、位置情報衛星の一例であるGPS衛星12a、12b、12c及び12dから発信される位置関連信号の一例である信号S1、S2、S3およびS4を受信して、携帯端末40の現在位置を算出する。
携帯端末40と情報提供装置の一例である位置サーバ20は、それぞれ通信装置を有していて、基地局14及び携帯通信網16を介して、相互に通信を行うことができる。携帯端末40は、測位のために必要な情報の一部を位置サーバ20から取得できるように構成されている。
情報提供装置は、図1に示すように1台の位置サーバ20による構成のほか、複数の位置サーバを設けて負荷の分散を図る構成としてもよい。また、各基地局14a、14b等が位置サーバの機能を兼ね備える構成としてもよい。
【0023】
(携帯端末40の主なハードウエア構成について)
図2は、図1の携帯端末40の主なハードウエア構成を示す概略図である。
携帯端末40は、制御機能及び演算機能を有するCPU(Central Processing Unit)44、記憶装置46、たとえば操作ボタンから成る入力装置48、出力装置の一種である端末表示装置54を有している。すなわち、携帯端末40はコンピュータを有している。
CPU44は、バス42を介して記憶装置46等の他の構成要素との間でデータ及びコントロールコードの授受を行えるようになっている。CPU44は、記憶装置46に格納されているプログラムを読み込んで実行することにより、携帯端末40全体を制御している。
記憶装置46はたとえばRAM(Random Access Memory)により構成されていて、OS(Operating System)、デバイスドライバ等の各種プログラム及びデータが格納されている。
【0024】
GPS装置50は、GPS衛星から発信される位置関連信号を受信して、復調・復号等を行い、GPS衛星の軌道情報(エフェメリス及びアルマナック)等測位を行うために必要な情報を取得する。
端末通信装置52は、たとえば携帯電話システムで用いられる周波数の電波を送受信する機能を有している。そのため、携帯端末40は、現在位置において通信可能な基地局14aとの間で接続を確立し、位置サーバ20と通信を行うことができる。
【0025】
(位置サーバ20の主なハードウエア構成について)
図3は、図1の位置サーバ20の主なハードウエア構成を示す概略図である。CPU24等、図2の携帯端末40と同様な構成要素については説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0026】
位置サーバ20は、基地局を介することなく携帯通信網に接続されているため、サーバ通信装置30は、たとえば、イーサネットアダプタにより構成されている。
位置サーバ20は、基地局の通信可能範囲情報を格納しておくために、たとえばハードディスクからなる外部記憶装置34を有している。
【0027】
(携帯端末40の主なソフトウエア構成について)
図4は、図1の携帯端末40のソフトウェア構成を示す概略図である。
端末制御部200は、メモリ管理、タスク管理、入出力管理等の機能を有し、携帯端末40の動作全体を制御するためのプログラムである。具体的には、記憶装置46に格納されているOSに実装されていて、CPU44により実行される。
端末通信部202および測位部204はそれぞれ、端末通信装置52及びGPS装置50を制御するためのプログラムである。これらのプログラムは、たとえばデバイスドライバとして実装されていて記憶装置46(図2参照)に格納されている。
【0028】
CPU44は、端末制御部200の制御のもと、端末第1記憶部210に格納されているプログラムを順次読み込んで実行する。CPU44は、プログラムの実行にあたり必要なデータを、端末第2記憶部240から読み込んで取得する。また、端末制御部200が取得したデータや端末第1記憶部210に格納されているプログラムが生成したデータは、端末第2記憶部240に格納される。
なお、図4に示した2個の記憶部は、物理的に独立した2個の記憶装置を携帯端末40が有していることを示すものではなく、説明の便宜上、記憶装置に格納される情報をその種類により分類して示すためのものである。
【0029】
通信可能基地局情報生成手段の一例である通信可能基地局情報生成プログラム212は、基地局14a等から発信され端末通信装置52によって受信された電波を解析し、通信可能基地局情報242を生成する。通信可能基地局情報242には、携帯端末40と通信可能な基地局の数である基地局数242a及び、基地局の識別情報の一例である基地局ID242bが含まれる。基地局ID242bは、たとえば各基地局と1対1に対応付けられた数字である。通信可能基地局情報生成プログラム212は、生成した通信可能基地局情報242を端末第2記憶部240に格納する。
【0030】
通信可能範囲情報取得手段の一例である通信可能範囲情報取得プログラム214は、基地局14a及び通信網の一例である携帯通信網16を介して、情報提供装置の一例である位置サーバ20に対して、通信可能範囲情報の送信を要求する。携帯通信網16には、図示した14a、14bのほかにも多数の基地局が接続されているから、送信を要求するパケットには携帯端末40が情報を必要としている基地局を特定するために、基地局ID242bが含まれている。
本発明における初期位置の決定方法は、複数の基地局と通信可能な場合に関するものであるから、上述の通信可能範囲情報の送信要求は、基地局数242aが2以上の場合にだけ実行される。
位置サーバ20は、携帯端末40の要求に応じて、携帯通信網16及び基地局14aを介して、通信可能範囲情報244を送信する。携帯端末40は、端末通信部202によって位置サーバ20から送信された通信範囲情報244を取得し、端末第2記憶部240に格納する。
通信可能範囲情報244には、基地局位置244a及び基地局が移動局との間で通信可能な限界の距離を示す通信可能距離244bが含まれる。このため、基地局の通信可能範囲は、基地局位置244aを中心とし半径が通信可能距離244bである円によって表される。
また、基地局位置244aは、通信可能な基地局が1局だけの場合に、初期位置として使用される。
【0031】
重複範囲情報生成手段の一例である重複範囲情報生成プログラム216は、通信可能範囲情報244に基づいて、複数の基地局の通信可能範囲が重なり合っている範囲を示す情報である重複範囲情報246を生成する。
重複範囲情報246の生成方法と具体的なデータ内容を携帯端末40aが二つの基地局14a及び14bと通信可能である場合(基地局数242aが2である場合)を例にとって説明すると、次のようになる。図6(a)で、P1、P2はそれぞれ基地局14a、14bの位置、r1、r2は各基地局の通信可能距離を示している。したがって、2つの基地局の通信可能範囲はそれぞれ円60及び円61で表される。
重複範囲情報生成プログラム216は、まず、2つの円60及び61の交点A、Bの座標を算出する。そうすると、重複範囲は2本の弧62及び63に囲まれる領域(図6(a)のハッチを付した領域)として表すことができる。この場合、重複範囲情報246は弧62および弧63を特定する情報となり、たとえば弧62については、P1の座標、Aの座標、Bの座標、r1およびθ1からなる一組の数値である。
なお、この例の場合、推定誤差値は、たとえば重複範囲を含む円の半径、すなわち線分ABの長さの1/2とする。
【0032】
基地局数242aが3以上の場合も、同様に重複範囲情報を生成することができる。たとえば、基地局数242aが3の場合は、図6(b)のハッチを付した部分、すなわち、3本の弧64、65および66によって囲まれた部分が重複範囲となり、重複範囲情報246は弧64、65および66を特定するための数値となる。同様に、基地局数242がN(Nは4以上の整数)の場合も、重複範囲はN本の弧に囲まれた領域となり、重複範囲情報は前記N本の弧を特定するための数値となる。
重複範囲情報生成プログラム216は、生成した重複範囲情報246を端末第2記憶部240に格納する。
なお、この例の場合、推定誤差値は、たとえば重複範囲に外接する円の半径とする。
【0033】
初期位置情報生成手段の一例である初期位置情報生成プログラム218は、重複範囲情報246に含まれる地点から、初期位置を選定し初期位置情報248を生成する。
図6(a)は、基地局数242aが2である場合の初期位置の選定方法を示す概略図である。初期位置情報生成プログラム218は、2つの基地局の位置を結ぶ線分をそれぞれの基地局の通信可能距離の比で分割した点を初期位置として選定する。すなわち、図6(a)で、直線P1P2をD1:D2=r1:r2となるように初期位置Iを選定する。
図6(b)は、基地局数242aが3である場合の初期位置の選定方法を示す概略図である。この場合には、初期位置情報生成プログラム218は、基地局位置P1、P2、P3を頂点とする3角形の重心Iを初期位置として選定する。
初期位置情報生成プログラム218は、生成した初期位置情報248を端末第2記憶部240に格納する。
【0034】
(位置サーバ20の主なソフトウェア構成について)
図5は、図1の位置サーバ20のソフトウェア構成を示す概略図である。
サーバ制御部200は、メモリ管理、タスク管理、入出力管理等の機能を有し、位置サーバ20の動作全体を制御するためのプログラムである。具体的には、記憶装置26に格納されているOSに実装されていて、CPU24により実行される。
サーバ通信部102は、サーバ通信装置30を制御するためのプログラムである。サーバ通信部102は、たとえばデバイスドライバとして実装されていて記憶装置26に格納されている。
【0035】
CPU24は、サーバ制御部100の制御のもと、サーバ第1記憶部110に格納されているプログラムを順次読み込んで実行する。CPU24は、プログラムの実行にあたり必要なデータを、サーバ第2記憶部120から読み込んで取得する。また、携帯端末40に送信する通信可能範囲情報122は、サーバ第2記憶部120に格納される。
なお、図5に示した2個の記憶部は、物理的に独立した2個の記憶装置を位置サーバ20が有していることを示すものではなく、説明の便宜上、記憶装置に格納される情報をその種類により分類して示すためのものである。
【0036】
通信可能範囲情報提供プログラム112は、携帯端末40等クライアントの要求に応じて、通信可能範囲情報122を送信する。携帯端末40からの要求には、基地局を特定する基地局ID242bが含まれているから、通信可能範囲情報提供プログラム112は、携帯端末40が通信可能な基地局についての通信可能範囲情報122を携帯端末40に、携帯通信網16及び基地局14aを介して送信する。
通信可能範囲情報122は、携帯通信網16に接続されているすべての基地局についての基地局位置122aおよび通信可能距離122bを含むデータベースである。各基地局の情報は、図示していない基地局IDと関連付けられている。
通信可能範囲情報122は、第2記憶部、たとえば外部記憶装置34の一例であるハードディスクに、位置サーバ20がサービスを開始する前にあらかじめ格納されている。
【0037】
(携帯端末40の主な動作例について)
図7は、本実施形態の携帯端末40の主な動作例を示す概略フローチャートである。
携帯端末40は、ユーザの指示、測位アプリケーションの要求等により測位を開始する。
まず、通信可能基地局情報生成プログラム212が、携帯端末40と現時点で通信可能な基地局を検出し、基地局数242aと基地局ID242bからなる通信可能基地局情報242を生成する。通信可能基地局情報242は、通信可能な基地局のそれぞれについて生成される。通信可能基地局情報生成プログラム212は、通信可能基地局情報242を端末第2記憶部240に格納する(ST10、通信可能基地局情報生成ステップの一例)。
【0038】
通信可能な基地局が存在しない場合(ST12の判定が偽の場合)には、初期位置情報生成プログラム218は、前回測位位置を初期位置情報248として端末第2記憶部240に格納する(ST14)。
通信可能な基地局が存在する場合(ST12の判定が真の場合)には、通信可能範囲情報取得プログラム214は、通信可能基地局のそれぞれについての通信可能範囲情報の送信要求を位置サーバ20に対して行う(ST16)。この送信要求には、通信可能範囲情報が必要な基地局を特定するために、基地局ID242bが含まれる。
位置サーバ20の通信可能範囲情報提供プログラム112は、携帯端末40の要求に応じて、サーバ第2記憶部120に格納されている通信可能範囲情報122を携帯通信網16を介して携帯端末40に送信する。通信範囲情報取得プログラム214は、位置サーバ20から送信された通信可能範囲情報244を受信し、端末第2記憶部240に格納する(ST18、通信可能範囲情報取得ステップの一例)。
【0039】
通信可能基地局数が1の場合(ST20の判定が偽の場合)には、重複領域は存在しないから、初期位置情報生成プログラム218は、唯一存在する通信可能な基地局の位置を初期位置とする(ST22)。この基地局の位置は、ST18において取得した通信可能範囲情報244に含まれている。
通信可能基地局数が2以上の場合(ST20の判定が真の場合)には、重複範囲情報生成プログラム216は、各通信可能基地局の通信可能範囲が重なり合っている領域を示す重複範囲情報を生成する(ST24、重複領域情報生成ステップの一例)。
重複範囲情報生成プログラム216は、生成した重複領域情報246を端末第2記憶部240に格納する。
【0040】
通信可能基地局数が2以上の場合、初期位置情報生成プログラム218は、重複領域に含まれる地点の中から初期位置を選択し、その地点の座標を示す数値である初期位置情報248を生成する(ST26、初期位置情報生成ステップの一例)。
初期位置情報生成プログラム218は、通信可能基地局数が2である場合には、2つの基地局の位置を結ぶ線分を2つの基地局の通信可能距離の比で分割した地点を初期位置として選定する(図6(a)参照)。
初期位置情報生成プログラム218は、通信可能基地局数が3以上である場合には、各基地局の位置を頂点とする多角形の重心を初期位置として選定する(図6(b)参照)。
初期位置情報生成プログラム218は、生成した初期位置情報248を端末第2記憶部240に格納する。
【0041】
測位部204は、初期位置情報248をドップラー効果によるGPS装置50が受信する電波の見かけの周波数の変動を算出するのに用いる。また、測位部204は、携帯端末40の現在位置を算出する際に、測位方程式を解くための初期値として初期位置情報248を使用する。
【0042】
このように、携帯端末40の初期位置情報生成プログラム218は、携帯端末40が位置している可能性のある範囲を、セルの重複範囲という狭い範囲に絞り込みその範囲の中から初期位置を選定しているので、基地局の位置を初期位置とする場合に比べ、携帯端末40の真の位置に近い位置を初期位置として設定することができる。また、前回測位から長時間経過している場合にも、前回測位位置を初期位置とする場合に比べ、携帯端末の真の位置に近い位置を初期位置として設定することができる。
このため、携帯端末40によれば、ドップラー効果による位置関連信号の見かけの周波数のずれを正確に予測することができ、測位結果を短時間で取得することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と共通する構成要素には同一の符号を付し説明を省略する。
携帯端末40aは、GPS衛星12a等を利用して測位を行うこと、初期位置を決定するために必要な情報を位置サーバ20から取得することは第1の実施形態の携帯端末40と同様である。
また、携帯端末40a及び位置サーバ20aのハードウェア構成も第1の実施形態の図2に示した携帯端末40及び位置サーバ20と同様である。
【0044】
(携帯端末40aの主なソフトウェア構成について)
図8は、図1の携帯端末40aのソフトウェア構成を示す概略図である。
通信可能基地局情報生成手段の一例である通信可能基地局情報生成プログラム212は、第1の実施形態の場合と同様に、基地局数242aと基地局ID242bを含む通信可能基地局情報242を生成し、端末第2記憶部240に格納する。
【0045】
基地局信号強度情報取得手段の一例である基地局信号強度情報取得プログラム220は、基地局14a及び携帯通信網16を介して、位置サーバ20aに対して基地局信号強度情報の送信を要求する。基地局信号強度情報取得プログラム220は、位置サーバ20aから送信されてきた基地局信号強度情報250を受信し、端末第2記憶部240に格納する。
基地局信号強度情報250は、基地局位置250aと発信出力250bを含んでいる。
この二つの情報と受信地点信号強度情報252に基づいて、基地局距離情報生成プログラム224が、携帯端末40aと通信可能な各基地局の間の距離を算出する。
【0046】
受信地点信号強度情報生成手段の一例である受信地点信号強度情報生成プログラム222は、端末通信部202からの出力に基づいて、携帯端末40aと通信可能な基地局14a等が発信する電波の携帯端末40aの現在位置における信号強度を示す受信地点信号強度情報252を生成し、端末第2記憶部240に格納する。
【0047】
基地局距離情報生成手段の一例である基地局距離情報生成プログラム224は、基地局位置250a、発信出力250b及び受信地点信号強度情報252に基づいて、携帯端末40aと通信可能な各基地局14a等との間の距離を示す基地局距離情報254を生成し、第2記憶部240に格納する。
基地局の発信出力が一定の場合、基地局と受信地点の間の距離が大きいほど受信地点における信号強度は小さくなるから、基地局距離情報生成プログラム224は、基地局の信号出力と受信地点における信号強度とを比較することにより、基地局距離情報254を生成する。
【0048】
初期位置情報生成手段の一例である初期位置情報生成プログラム226は、基地局距離情報254に基づいて、初期位置情報248を生成し、端末第2記憶部240に格納する。図10を参照しながら携帯端末40aが二つの基地局14aおよび14bと通信可能である場合を例にとって初期位置情報248の生成方法を説明する。
P1及びP2は、基地局14aおよび14bの位置を示している。r3及びr4は基地局信号強度情報250及び受信地点信号強度情報252に基づいて算出された、各基地局と携帯端末40aとの間の距離である。もし、基地局との距離r3、r4に誤差がまったくなければ、携帯端末40aの位置は円70と円71の交点FおよびGのいずれかということになり、この2点のいずれかを初期位置として選択することも考えられる。
しかし、基地局距離情報254は、受信強度に基づいて算出されたものであり精度が悪い場合もあると考えられるから、ここでは次のような方法により初期位置を定める。すなわち、二つの円70及び71の重複範囲72(図10のハッチを付した部分)に携帯端末40aが存在している確率が高いと考え、範囲72の中から初期位置を選定する。具体的には、基地局位置P1及びP2を結ぶ線分をD1:D2=r3:r4となるように分割する点Iを初期位置として選定する。
なお、この例の場合、推定誤差値は、たとえば重複範囲72を含む円の半径、すなわち線分FGの長さの1/2とする。
【0049】
基地局の通信可能距離は、基地局から発信された電波の信号強度がが携帯端末との間で通信が可能な限界まで低下する距離であるから、原則的には、基地局距離r3は、通信可能距離r1以下であるということができる。r4とr2の間の関係も同様である。したがって、図10に示すように、範囲72は二つの基地局の通信可能範囲60及び61の重複範囲73よりも狭くなるので、基地局距離情報254の精度が高い場合には、第1の実施形態の場合より高い精度で初期位置を定めることが可能になる。
【0050】
(位置サーバ20aのソフトウェア構成について)
図9は、位置サーバ20aのソフトウェア構成を示す概略図である。
基地局信号強度情報提供プログラム114は、携帯端末40a等クライアントの要求に応じて、基地局信号強度情報124を送信する。携帯端末40aが送信する要求には、基地局を特定する基地局ID242bが含まれているから、基地局信号強度情報提供プルグラム114は、携帯端末40aが通信可能な基地局についての基地局信号強度情報124を携帯端末40aに、携帯通信網16及び基地局14aを介して送信する。
基地局信号強度情報124は、携帯通信網16に接続されているすべての基地局についての基地局位置124aおよび発信出力124bとを含むデータベースである。各基地局の情報は、図示していない基地局IDと関連付けられている。
基地局信号強度情報124は、サーバ第2記憶部、たとえば外部記憶装置34の一例であるハードディスクに、位置サーバ20aがサービスを開始する前にあらかじめ格納されている。
【0051】
(携帯端末40aの主な動作例について)
図11は、本実施形態の携帯端末40aの主な動作例を示す概略フローチャートである。
測位端末40aは、ユーザの指示、測位アプリケーションの要求等により測位を開始する。
まず、通信可能基地局情報生成プログラム212が、携帯端末40aと現時点で通信可能な基地局を検出し、基地局数242aと基地局ID242bからなる通信可能基地局情報242を生成する。通信可能基地局情報242は、通信可能な基地局のそれぞれについて生成される。通信可能基地局情報生成プログラム212は、通信可能基地局情報242を端末第2記憶部240に格納する(ST40)。
【0052】
通信可能な基地局が存在しない場合(ST42の判定が偽の場合)には、初期位置情報生成プログラム226は、前回測位位置を初期位置情報248として端末第2記憶部240に格納する(ST44)。
通信可能な基地局が存在する場合(ST42の判定が真の場合)には、基地局信号強度情報取得プログラム220は、通信可能基地局のそれぞれについての基地局信号強度情報送信要求を位置サーバ20aに対して行う(ST46)。この送信要求には、基地局信号強度情報が必要な基地局を特定するために、基地局ID242aが含まれる。
位置サーバ20aの基地局信号強度情報提供プログラム114は、携帯端末40aの要求に応じて、サーバ第2記憶部120に格納されている基地局信号強度情報124を携帯通信網16を介して携帯端末40aに送信する。基地局信号強度情報取得プログラム220は、位置サーバ20aから送信された基地局信号強度情報250を受信し、端末第2記憶部240に格納する(ST48)。
【0053】
通信可能基地局数が1の場合(ST50の判定が偽の場合)には、基地局距離情報254に基づいて初期位置を定めることはできないから、初期位置情報生成プログラム226は、唯一存在する基地局の位置を初期位置とする(ST52)。この基地局の位置は、ST48において取得した基地局信号強度情報250に含まれている。
通信可能基地局数が2以上の場合(ST50の判定が真の場合)には、受信地点信号強度情報生成プログラム222は、測位部204からの出力データに基づいて受信地点信号強度情報252を生成し、端末第2記憶部240に格納する(ST54)。続いて、基地局距離情報生成プログラム224は、基地局信号強度情報250及び受信地点信号強度情報252に基づいて、基地局距離情報254を生成し、端末第2記憶部240に格納する(ST56)。
【0054】
通信可能基地局数が2以上の場合、初期位置情報生成プログラム226は、基地局距離情報254に基づいて初期位置情報248を生成し、端末第2記憶部240に格納する。たとえば、通信可能基地局数が2である場合には、2つの基地局の位置を結ぶ線分を2つの基地局の基地局距離の比で分割した地点を初期位置として選定する(図10参照)。
【0055】
測位部204は、初期位置情報248をドップラー効果によるGPS装置50が受信する電波の見かけの周波数の変動を算出するのに用いる。また、測位部204は、携帯端末40の現在位置を算出する際に、測位方程式を解くための初期値として初期位置情報248を使用する。
【0056】
このように、携帯端末40aは、携帯端末40aの現在地点における電波強度という実測値によって求められた基地局までの距離に基づいて初期位置を決定している。そのため、携帯端末40aによれば、ドップラー効果による位置関連信号の見かけの周波数のずれを正確に予測することができ、測位結果を短時間で取得することができる。
【0057】
(プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について)
コンピュータに上述の動作例の通信可能基地局情報生成ステップ、通信可能範囲情報取得ステップ、重複領域情報生成ステップ、初期位置情報生成ステップ等を実行させるための測位プログラム等とすることができる。
また、このような測位プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体とすることもできる。
【0058】
これら測位プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態にするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー(登録商標)のようなフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−Rewriterble)、DVD(Digital Versatile Disc)などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【0059】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態の携帯端末等を示す概略図である。
【図2】図1の携帯端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図3】図1の位置サーバの主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図4】図1の携帯端末の主なソフトウェア構成を示す概略図である。
【図5】図1の位置サーバの主なソフトウェア構成を示す概略図である。
【図6】初期位置の決定方法を示す概略図である。
【図7】図1の携帯端末の動作を示す概略フローチャートである。
【図8】図1の携帯端末の主なソフトウェア構成を示す概略図である。
【図9】図1の位置サーバの主なソフトウェア構成を示す概略図である。
【図10】初期位置の決定方法を示す概略図である。
【図11】図1の携帯端末の動作を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
12aないし12d・・・GPS衛星、14aおよび14b・・・基地局、16・・・携帯通信網、20・・・位置サーバ、40・・・携帯端末、30・・・サーバ通信装置、34・・・外部記憶装置、50・・・GPS装置、52・・・端末通信装置、100・・・サーバ制御部、102・・・サーバ通信部、110・・・サーバ第1記憶部、112・・・通信可能範囲情報提供プログラム、120・・・サーバ第2記憶部、122・・・通信可能範囲情報、200・・・端末制御部、210・・・端末第1記憶部、212・・・通信可能基地局情報生成プログラム、214・・・通信可能範囲情報取得プログラム、216・・・重複範囲情報生成プログラム、218・・・初期位置情報生成プログラム、240・・・電話機第2記憶部、242・・・通信可能基地局情報、244・・・通信可能範囲情報、246・・・重複範囲情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する測位手段と、
通信可能な基地局の数及び識別情報を含む通信可能基地局情報を生成する通信可能基地局情報生成手段と、
前記通信可能な基地局の数が2以上である場合に、通信網を介して情報提供装置から前記通信可能な基地局のそれぞれについての、移動局との間で通信が可能な地理的範囲を示す通信可能範囲情報を取得する通信可能範囲情報取得手段と、
前記通信可能範囲情報に基づいて、前記複数の通信可能基地局の通信可能範囲が共通して含む範囲を示す重複範囲情報を生成する重複範囲情報生成手段と、
前記重複範囲情報に含まれる点の中から前記測位の際に使用する初期位置を選定し前記初期位置の座標を示す初期位置情報を生成する初期位置情報生成手段と、
を有することを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記通信可能範囲情報は、前記基地局の位置と前記基地局が移動局との間で通信が可能な距離を示す通信可能距離情報とを含み、前記通信可能範囲は前記基地局を中心として前記通信可能距離を半径とする円で表されることを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記通信可能な基地局の数が2である場合に、前記初期位置情報設定手段は、2つの基地局の位置を結ぶ線分を、前記通信可能距離の比と同じ比率で分割する点を前記初期位置に選定することを特徴とする請求項2に記載の測位装置。
【請求項4】
前記通信可能な基地局の数が3以上である場合に、前記初期位置情報生成手段は、各基地局の位置を頂点とする多角形の重心の位置を前記初期位置として選定することを特徴とする請求項2に記載の測位装置。
【請求項5】
位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する測位手段と、
通信が可能な基地局の数及び識別情報を含む通信可能基地局情報を生成する通信可能基地局情報生成手段と、
前記通信可能な基地局の数が2以上である場合に、通信網を介して情報提供装置から前記通信可能基地局のそれぞれの位置及び信号の発信強度を含む基地局信号強度情報を取得する基地局信号強度情報取得手段と、
前記通信可能な基地局から発信される電波の受信地点における信号強度を示す受信地点信号強度情報を生成する受信地点信号強度情報生成手段と、
前記基地局信号強度情報と前記受信地点信号強度情報とに基づいて、前記基地局と測位装置の現在位置の間の距離を算出する基地局距離情報生成手段と、
前記基地局位置情報と前記信号強度情報とに基づいて前記測位の際に使用する初期位置の座標を示す初期位置情報を生成する初期位置情報生成手段と、
を有することを特徴とする測位装置。
【請求項6】
測位手段が、位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する測位ステップと、
通信可能基地局情報生成手段が、通信可能な基地局の数及び識別情報を含む通信可能基地局情報を生成する通信可能基地局情報生成ステップと、
通信可能範囲情報取得手段が、前記通信可能な基地局の数が2以上である場合に、通信網を介して情報提供装置から前記通信可能な基地局のそれぞれについての、移動局との間で通信が可能な地理的範囲を示す通信可能範囲情報を取得する通信可能範囲情報取得ステップと、
重複範囲情報生成手段が、前記通信可能範囲情報に基づいて、前記複数の通信可能基地局の通信可能範囲が共通して含む範囲を示す重複範囲情報を生成する重複範囲情報生成ステップと、
初期位置情報生成手段が、前記重複範囲情報に含まれる点の中から前記測位の際に使用する初期位置を選定し前記初期位置の座標を示す初期位置情報を生成する初期位置情報生成ステップと、
を有することを特徴とする測位方法。
【請求項7】
コンピュータに、
測位手段が、位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する測位ステップと、
通信可能基地局情報生成手段が、通信可能な基地局の数及び識別情報を含む通信可能基地局情報を生成する通信可能基地局情報生成ステップと、
通信可能範囲情報取得手段が、前記通信可能な基地局の数が2以上である場合に、通信網を介して情報提供装置から前記通信可能な基地局のそれぞれについての、移動局との間で通信が可能な地理的範囲を示す通信可能範囲情報を取得する通信可能範囲情報取得ステップと、
重複範囲情報生成手段が、前記通信可能範囲情報に基づいて、前記複数の通信可能基地局の通信可能範囲が共通して含む範囲を示す重複範囲情報を生成する重複範囲情報生成ステップと、
初期位置情報生成手段が、前記重複範囲情報に含まれる点の中から前記測位の際に使用する初期位置を選定し前記初期位置の座標を示す初期位置情報を生成する初期位置情報生成ステップと、
を実行させるための測位装置の制御プログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
測位手段が、位置情報衛星から位置関連信号を受信して現在位置を測位する測位ステップと、
通信可能基地局情報生成手段が、通信可能な基地局の数及び識別情報を含む通信可能基地局情報を生成する通信可能基地局情報生成ステップと、
通信可能範囲情報取得手段が、前記通信可能な基地局の数が2以上である場合に、通信網を介して情報提供装置から前記通信可能な基地局のそれぞれについての、移動局との間で通信が可能な地理的範囲を示す通信可能範囲情報を取得する通信可能範囲情報取得ステップと、
重複範囲情報生成手段が、前記通信可能範囲情報に基づいて、前記複数の通信可能基地局の通信可能範囲が共通して含む範囲を示す重複範囲情報を生成する重複範囲情報生成ステップと、
初期位置情報生成手段が、前記重複範囲情報に含まれる点の中から前記測位の際に使用する初期位置を選定し前記初期位置の座標を示す初期位置情報を生成する初期位置情報生成ステップと、
を実行させるための測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−126129(P2006−126129A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317996(P2004−317996)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】