説明

測定装置、再生装置、測定方法

【課題】PLL回路をより的確に評価できるPLL性能測定装置を提供する。
【解決手段】フェーズロックドループ回路にて検出される位相誤差についての移動平均を求める。この移動平均と閾値との比較に基づいて、フェーズロックドループ回路がロック状態に収束したか否かの判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PLL回路の性能測定を行う測定装置と、その方法に関する。また、記録媒体からデータを再生する再生装置として、上記測定装置の構成を備える再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク状記録媒体、磁気ディスク記録媒体、及びテープ状記録媒体などの記録媒体に対応して記録再生を行うストレージ機器のほか、モデムなどの通信機器をはじめ、信号再生過程においてデータ復号処理を実行する装置では、一般にPLL(Phase Locked Loop)回路を備える。適切なデータ復号処理のためには、PLL回路がロックした状態とされて、位相が同期した再生信号がデータ復号処理系に入力されることが必要である。
例えば上記したストレージ機器、記録媒体の性能・品質評価を行う際においては、エラーレートなどをその評価指標にできるが、そのときに、PLL回路がロックしているか否かが判定できていれば、より的確な評価結果が得られる。PLL回路がロックして収束した状態にいることが判定されていれば、PLL回路以外の発生要因によるエラーレートを適切に測定できる。この点からすれば、PLL回路の動作性能を測定し、例えばPLL回路の収束状況が判定できるようにすることには大きな意義がある。
【0003】
例えば非特許文献1においては、PLL回路の性能を測定するのにあたり、PLL回路にて検出される位相誤差を直接的に観測することについての記載がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】HIGASHINO Satoru ; KOBAYASHI Shoei ; YAMAGAMI Tamotsu ,“A Parallel Architecture of Interpolated Timing Recovery for High-Speed Data Transfer Rate and Wide Capture-Range” , Technical Digest of Optical Data Storage (ODS) 2007 , TuB5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、PLL回路にて検出される位相誤差には、ジッター、ノイズなどが多く含まれる。このために、現実において位相誤差検出結果をそのまま観測して、例えばPLL回路の性能を的確に測定することは非常に難しい。
このため、現状としては、PLL回路についての状態、性能測定を行うことなく、機器、記録媒体の評価を行っている。このために、先にも述べたように、良好でない評価結果が得られたときには、その原因として、PLL回路が充分にロック状態に収束していないことによるのか、若しくは、それ以外の要因であるのかを特定することが難しくなるなどの問題が生じている。
本願発明は、PLL回路の性能を的確に測定できるようにすることをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、測定装置として、フェーズロックドループ回路にて検出される、入力信号の位相と目標位相との位相誤差を入力して移動平均を算出する移動平均算出手段と、上記移動平均の絶対値が第1の閾値以上であるときに上記フェーズロックドループ回路が収束していないと判定し、上記移動平均の絶対値が第1の閾値以上でないときに上記フェーズロックドループ回路が収束していると判定する収束判定手段とを備えることとした。
【0007】
上記構成では、フェーズロックドループ回路にて検出される位相誤差についての移動平均を求めることとして、この移動平均と閾値との比較に基づいて、フェーズロックドループ回路がロック状態に収束したか否かの判定を行うようにしている。
位相誤差自体は、ノイズを相応に含み得るが、その移動平均を求めることとすれば、位相誤差のノイズの影響による余分な変動成分を抑制して、より滑らかな位相誤差の時間推移を得ることができる。
これにより、上記のようにして求められる収束判定の結果は、例えば位相誤差自体を評価値とする場合と比較して、より的確なものとなる。
【発明の効果】
【0008】
このようにして本発明は、収束判定などのフェーズロックドループ回路の性能を測定するのにあたり、より的確な結果を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明を実施するための形態(実施形態)としてのPLL回路測定系の構成例を示すブロック図である。
【図2】位相誤差検出処理例を説明するための図である。
【図3】収束判定処理部の判定処理例を示すタイミングチャートである。
【図4】収束判定処理部の判定処理として、PLL回路が収束しているか否かの収束判定結果を得るためのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図5】収束判定処理部の判定処理として、PLL回路の収束時間を判定するためのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図6】実施形態のPLL測定部が実装されるディスクドライブ装置の構成例を示す図である。
【図7】高密度記録を考慮したMTFの図である
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願発明を実施するための形態(以下、実施形態という)について、下記の順により説明する。

<1.PLL測定系>
[1−1.全体構成]
[1−2.PLL測定処理]
[1−2−1.収束判定処理]
[1−2−2.収束時間計測]
<2.ディスクドライブ装置>
[2−1.装置構成]
[2−2.高密度記録化]
【0011】
<1.PLL測定系>
[1−1.全体構成]

図1は、本実施形態のPLL測定系の構成例を、測定対象であるPLL回路などとともに示している。
この図においてPLL測定系は、PLL測定部60として示される。
この場合のPLL測定部60は、ITR型PLL回路50について、位相がロックした状態で収束したか否かについての判定結果(収束判定結果)と、ITR型PLL回路50がいわゆる引き込み動作を開始してから上記のロックした状態に収束していくまでに要した時間(収束時間)とを測定するものとしている。
【0012】
ここでは、アナログによるベースバンド信号がADC(A/D変換器)51により所定のサンプリング周波数及び量子化ビットによってデジタル信号化されて、ITR型PLL回路50の位相補間部52に入力される。
【0013】
ITR型PLL回路50は、ITR(Interpolated Timing Recovery)方式によるPLL回路であり、図示するようにして、位相補間部52、位相誤差検出部53、ループフィルタ(LPF)54、NCO(Numerical Controlled Oscillator)55を備えて成る。
【0014】
位相補間部52は、デジタル化されたベースバンド信号について、NCO(数値制御発振器)から出力されるサンプリング位相に基づいて位相補間処理を実行し、補間波形に相当する信号を出力する。
【0015】
位相誤差検出部53は、位相補間部52から入力される信号について、サンプリング位相との誤差(位相誤差)を検出する。
【0016】
位相誤差検出部53による位相誤差検出の手法としては多様に考えられるが、その一例を図2に示す。
図2においては、ベースバンド信号が示されている。この図において曲線は、ベースバンド信号のサンプル点を線形につなぐことで得られるもので、この曲線上の黒丸が、ADC51によりサンプリングされたサンプリング点であり、入力信号の位相を示している。白丸は、位相補間部52の位相補間処理により得られるサンプリング点、即ち本来のサンプリング位相(基準位相)に対応するサンプリング点を示す。
【0017】
ここで、図2に示されるサンプリング点x(k-1),x(k)は、サンプリング時間上では前後となる関係であり、かつ、その値の間には、ベースバンド信号の0レベルが挟まっている。つまり、サンプリング点x(k-1),x(k)は、ベースバンド信号のゼロクロス点を挟んで時間的に前後する2つのサンプリング点(ゼロクロス対応サンプリング点)である。
【0018】
ここでの位相誤差検出としては、上記ゼロクロス間サンプリング点x(k-1),x(k)を利用して、時刻kにおける位相誤差Pe(k)を得る。この位相誤差Pe(k)は、下記のアルゴリズムにより求めることができる。
if(x(k-1) > 0, x(k) < 0) Pe(k) = -(x(k-1) + x(k))
else if(x(k-1) < 0, x(k) > 0) Pe(k) = (x(k-1) + x(k))
else Pe(k) = 0

つまり、位相誤差Pe(k)としては、ゼロクロス間サンプリング点x(k-1),x(k)の差として求められ、位相が進んでいれば正の値となり、遅れていれば負の値となる。ちなみに、図2に示されるゼロクロス間サンプリング点x(k-1),x(k)の場合には、サンプリング点x(k)の絶対値のほうがサンプリング点x(k-1)の絶対値よりも大きいことから、移動が進んでいる状態を示していることになる。
【0019】
上記のようにして位相誤差検出部53により求められた位相誤差Pe(k)は、ループフィルタ54に対して入力される。ループフィルタ54は、位相誤差Pe(k)について帯域制限を行ってNCO55に入力する。
【0020】
NCO55は、ループフィルタ54の出力である、帯域制限された位相誤差の値を、例えば積算することにより、サンプリング位相を示す信号を出力する。そして、位相補間部52がNCO55の出力に応じたサンプリング位相のタイミングでベースバンド信号のサンプリング点を補間する処理を実行する。
【0021】
位相補間部52から出力される信号は、例えばITR型PLL回路50がロックしている状態では、位相同期が図られたデジタルのベースバンド信号となる。そこで、この位相補間部52の出力は、データ復号部56に入力して、例えばビタビ復号などデータ復号処理を施し、デコードデータを得るようにすることができる。
【0022】
[1−2.PLL測定処理]

図2に示されるPLL測定部60が実行する測定処理について説明する。
同図に示されるように、PLL測定部60は、移動平均算出部61、位相誤差分散値算出部62、収束判定処理部63から成るものとしている。
【0023】
移動平均算出部61は、ITR型PLL回路50の位相誤差検出部53により検出される位相誤差Pe(k)を入力し、その移動平均(位相誤差移動平均)を算出する処理を実行する。
Nを移動平均長、kを位相誤差Pe(k)が求められた時刻として、時刻(k)における位相誤差移動平均Avr(k)の値については、下記(数1)により求めることができる。

【数1】

【0024】
また、位相誤差分散値算出部62は、ITR型PLL回路50の位相誤差検出部53により検出される位相誤差Pe(k)と、上記移動平均算出部61により算出される位相誤差移動平均Avr(k)を入力し、位相誤差Pe(k)の分散値(位相誤差分散)を算出する処理を実行する。
時刻(k)における位相誤差分散Var(k)の値は、位相誤差Pe(k)と位相誤差移動平均Avr(k)との差分の自乗(変動)を移動平均長Nにより積算したものを全変動とし、移動平均長Nを自由度として、下記(数2)に示す演算により求めることができる。

【数2】

【0025】
図3(a)には、ITR型PLL回路50が引き込み動作を開始したとされる時点以降において時間経過に従って得られた位相誤差Pe(k)の例と、この位相誤差Pe(k)に対応して求められる位相誤差移動平均Avr(k)が示されている。また、図3(d)には、上記図3(a)の位相誤差Pe(k)、及び位相誤差移動平均Avr(k)により算出されたとする位相誤差分散Var(k)が示されている。
【0026】
ここで、図2により説明したように、位相誤差検出部53により位相誤差Pe(k)が検出される時刻kとしてのタイミングは、補間後のベースバンド信号がゼロクロスするタイミングにおいてのみとなる。このために、図3(a)に示される位相誤差Pe(k)としても、時間方向において離散し、かつ、不定のタイミングで得られている。
【0027】
ここで、位相誤差Pe(k)は、理想的には、時間経過に応じてITR型PLL回路50がロックする状態に収束していくのに応じて、その絶対値が徐々に減少していくべきものとなる。
しかし、図3(a)に示される位相誤差Pe(k)は、そのようにはなっておらず、例えば或る時刻での位相誤差Pe(k)に対して、次の時刻の位相誤差Pe(k+1)のほうが大きな値となっている状態も多く見られる。これは、例えば図2により説明した手法により求められる位相誤差Pe(k)には、相応のノイズ、ジッターが発生していることに起因する。
【0028】
このように、位相誤差Pe(k)は、ベースバンド信号のゼロクロス間サンプリング点が得られる時刻においてのみ不定のタイミングで得られ、かつ、ノイズ、ジッターを相応に含んでいる。
このことは、ITR型PLL回路50の性能を測定しようとするのにあたり、位相誤差Pe(k)を直接に観測したのでは、的確な測定結果を得るのは非常に難しいことを意味している。例えば、位相誤差Pe(k)を単純に閾値と比較して収束しているか否かの判定を行おうとしても、ノイズ、ジッターによる誤差量が大きいために、的確な判定結果を得ることはほぼ不可能に近い。
本実施形態のPLL測定回路60は、このように位相誤差Pe(k)自体が不安定であることが前提となる条件のもとで、PLL回路の性能について的確な測定結果が得られるようにするものとして構成される。
【0029】
また、図3(a)において位相誤差移動平均Avr(k)は、実線による曲線として示されている。実際においては位相誤差移動平均Avr(k)は、先の(数1)からも理解できるように、位相誤差Pe(k)が得られるごとに更新されていく。つまり、位相誤差移動平均Avr(k)も、位相誤差Pe(k)が検出されるタイミングごとに得られるものとなる。
しかし、位相誤差移動平均Avr(k)としては、時間方向における位相誤差Pe(k)の変化幅が抑制されるものとなるために、例えば位相誤差移動平均Avr(k)を線でつなぐことによって形成されるエンベロープは、図示するようにして、sin波,cos波などに近い滑らかな波形形状が得られる。
このことは、位相誤差移動平均Avr(k)は、位相誤差Pe(k)のノイズ、ジッターによる変動抑制し、真に近い位相誤差の時間経過に応じた変化を示しているものとみることができる。
【0030】
なお、図3(a)においては、ITR型PLL回路50における位相誤差検出の挙動を理解するものの助けとして、ベースバンド信号の全てのサンプリング点ごとに位相誤差を検出すると仮定した場合に得られる位相誤差傾向を示す曲線を破線により示している。この位相誤差傾向を示す曲線は、実際に観測、検出されるものではない。
例えば、上記位相誤差傾向を示す曲線(破線)と、位相誤差移動平均Avr(k)を示す曲線(実線)とを比較すると、移動平均の演算である結果、位相誤差傾向に対して、位相誤差移動平均Avr(k)のほうが、後に移相されるような波形となっている。しかし、上記もしているように、位相誤差移動平均Avr(k)は、時間方向の変化について、滑らかな曲線として表現することができる。
【0031】
また、図3(d)に示される位相誤差分散Var(k)は、位相誤差移動平均Avr(k)に対する位相誤差Pe(k)の差分を偏差とする全変動の平均となり、これは、位相誤差分散Var(k)は、位相誤差Pe(k)についての時間方向における変動傾向を示すものとなる。
この位相誤差分散Var(k)は、図3(d)から分かるように、PLL回路が引き込み動作中とされて、位相誤差P(k)が大きな変動を示す時には、これに応じて大きな値が得られる。また、位相誤差分散Var(k)も、実際には、位相誤差検出タイミングごとに求められるものであるが、その値のエンベロープは、図示するようにして滑らかな曲線として描くことができる。
【0032】
これらの位相誤差移動平均Avr(k)、位相誤差分散Var(k)の時間軸に従って得られる変化は、いずれも、位相誤差Pe(k)からノイズ、ジッターによる変動成分を抑制して、本来の収束状況により近い位相誤差の時間変化を示しているものとみることができる。
【0033】
[1−2−1.収束判定処理]

上記の位相誤差移動平均Avr(k)、位相誤差分散Var(k)は、収束判定部63に入力される。収束判定部63は、位相誤差移動平均Avr(k)、位相誤差分散Var(k)に基づいて、次のようにして、PLL性能についての判定を行う。先にも述べたように、この収束判定部63は、PLL性能の判定として、PLL回路がロックした状態で収束しているか否かの収束判定と、PLL回路の引き込み開始からロック状態に収束するまでの収束時間を判定する。
【0034】
収束判定部63では、図3(a)に示されるように、位相誤差移動平均Avr(k)については、第1閾値A0,A1、第2閾値C0,C1を設定する。
第1閾値A0,A1は、それぞれ絶対値が同じで、正・負となる閾値である。
第2閾値C0,C1も、それぞれの絶対値が同じ、正・負の閾値であるが、その絶対値については、第1閾値A0,A1よりも大きな値が設定されている。
なお、例えばベースバンド信号にオフセットが発生しているような場合に対応しては、第1閾値A0,A1について、それぞれ異なる絶対値を設定することが考えられる。第2閾値C0,C1についても同様である。
【0035】
また、収束判定部63は、図3(d)に示すように、位相誤差分散Var(k)に対しては、閾値Bを設定する。
【0036】
図4のフローチャートは、収束判定部63が実行する判定処理として、PLL回路が収束しているか否かを判定(収束判定)するためのアルゴリズム例を示している。
収束判定部63は、ITR型PLL回路50がロックしていない状態からロック状態とするための引き込み動作を開始することに応じて、図4に示す処理の実行を開始する。
【0037】
先ず、ステップS101においては、初期設定として、現時刻を示す変数kに0を代入する。また、収束フラグfc(k)については0を設定する。収束フラグfc(k)は、収束判定結果を示すフラグであり、収束フラグfc(k)==0であれば、ロック状態に収束していないことを示し、収束フラグfc(k)==1であれば、ロック状態に収束していることを示す。このステップS101の初期設定に際しては、収束フラグfc(k)が収束していないことを示すように設定することになる。
なお、この収束フラグfc(k)の値が収束判定部63における収束判定結果の出力となる。
【0038】
ステップS102において収束判定部63は、位相誤差分散Var(k)について閾値B未満であるか否かについて判別する。
位相誤差分散Var(k)が閾値B以上である場合には、未だ位相誤差P(k)の変動が大きく、収束している状態ではないとする。このために、ステップS102において否定の判別結果が得られた場合には、ステップS106に進む。
【0039】
ステップS106においては、収束フラグfc(k+1)についてfc(k+1)=0を設定して出力する。fc(k+1)=0はロック状態に収束していないとの判定結果を示す。これに対して、fc(k+1)=1は、ロック状態に収束しているとの判定結果を示す。
このようにして、位相誤差分散Var(k)が閾値B以上である場合には、次に説明する位相誤差移動平均Avr(k)の値に関係なく、収束していないとの判定結果を出力する。
【0040】
一方、先のステップS102において位相誤差分散Var(k)が閾値B未満であるとして肯定の判別結果が得られた場合は、PLL回路が収束した状態となっている可能性があることになる。そこで、この場合には、ステップS103に進み、現時刻kの収束フラグfc(k)==0であるか否かについて判別する。つまり、現時点までにおいて最後に得られた収束判定結果として、収束しているとの判定結果と、収束していないとの判定結果との、何れが得られたものかの判別を行う。
ステップS103において収束フラグfc(k)==0であるとして肯定の判別結果が得られた場合には、ステップS104に進む。これに対して、収束フラグfc(k)==1であることにより否定の判別結果が得られた場合には、ステップS107に進む。
【0041】
ステップS104に進んだ場合は、位相誤差分散Var(k)については閾値B未満であることで、現時刻kに至って収束した可能性はあるものの、直前の時刻k-1までは収束していなかった場合となる。
この場合には、位相誤差移動平均Avr(k)と第1閾値A0,A1との関係として、
A0 < Avr(k) < A1・・・(式1)
が成立するか否かについて判別する。つまり、位相誤差移動平均Avr(k)が第1閾値A0〜A1に対応する数値範囲内であるか否かについて判別する。
ここで、ステップS104において上記(式1)が成立したとして肯定の判別結果が得られた場合には、ステップS105に進み、収束フラグfc(k+1)=1を設定する。つまり、収束した状態であるとの判定結果を生成する。
これに対して、ステップS104において否定の判別結果が得られた場合には、ステップS106に進み、収束フラグfc(k+1)=0を設定し、収束していないとの判定結果を生成する。
【0042】
このように本実施形態においては、位相誤差分散Var(k)が閾値B未満とされたうえで、現時刻より前において収束していないとの判定結果が得られていた場合においては、位相誤差移動平均Avr(k)が第1閾値A0〜A1に対応する数値範囲にはじめて収まることとなった時刻において、収束しているとの判定結果を出力することとしている。
つまり、第1閾値A0〜A1は、収束していない状態から収束したとする状態に遷移したか否かを判定するための閾値となる。
【0043】
また、ステップS107に進んだ場合とは、位相誤差分散Var(k)については閾値B未満であり、かつ、現時刻以前まで収束しているとの判定結果が得られている状態であることになる。
このステップS107においては、位相誤差移動平均Avr(k)と第2閾値C0,C1との関係として、
C0 < Avr(k) < C1・・・(式2)
が成立するか否かについて判定する。
【0044】
ステップS107において、上記(式2)が成立するとして肯定の判別結果が得られた場合には、ステップS105に進む。つまり、現時刻以前からの、収束しているとの判定結果を維持する。これに対して、ステップS107において否定の判別結果が得られた場合には、ステップS106に進むことで、現時刻以前からの、収束しているとの判定結果から、収束していないとの判定結果に変更する。
【0045】
上記の手順によれば、第2閾値C0,C1は、収束している状態から収束していない状態に遷移したか否かを判定するための閾値であることが分かる。
つまり、本実施形態では、収束していない状態から収束したとする状態に遷移することを判定するための第1閾値A0,A1と、収束している状態から収束していないとする状態に遷移することを判定するための第2閾値C1,C0とで、互いに異なる値を設定している。また、絶対値の大小関係としては、第2閾値C1,C0のほうが第1閾値A0,A1よりも大きい。
このようにして、第1閾値A0,A1、第2閾値C1,C0を設定することで、一旦、位相誤差移動平均Avr(k)が第1閾値A0〜A1の範囲内に入ったとして収束フラグfc(k)=1とされた後においては、第1閾値A0〜A1の範囲を越えたとしても、第2閾値C1〜C0の範囲内である限り、収束フラグfc(k)=1が維持される。
例えば、一時的な発振が生じるなどして、実際にはPLL回路が収束しているとみてよい状態であるにもかかわらず、位相誤差移動平均Avr(k)がごく短時間にわたって第1閾値A0〜A1の範囲外になるような状況もあると考えられる。そこで、上記のようにして第2閾値C1〜C0と比較するアルゴリズムとすれば、上記のような一時的な状態変化に反応することなく、収束フラグfc(k)=1を維持することができる。つまり、判定結果が頻繁に反転したりするような好ましくない挙動を避けることができる。
【0046】
ステップS105,S106のいずれかの処理を実行すると、ステップS108により時刻を示す変数kをインクリメントし、ステップS102に戻る。
【0047】
上記図5に示した処理により得られる収束判定部63の動作例について、図3を再度参照して説明する。図3(c)は、収束フラグfc(k)の値を示している。
先ず、図3においては、ITR型PLL回路50の引き込み動作が開始される時点t0から、時点t1の位相誤差Pe(k)の検出タイミング(位相誤差検出タイミング)までの期間は、図3(d)に示す位相誤差分散Var(k)が閾値B以上である。このとき、ステップS102においては否定の判別結果が得られ、ステップS106の処理を実行することになる。従って、図3(c)に示す収束フラグfc(k)は0を示している。
【0048】
なお、図3(b)においては、時点t0においては収束フラグfc(k)==1となっており、その直後のタイミングで0に変化している。これは、PLL回路の引き込み動作開始時においては、位相誤差移動平均Avr(k)、位相誤差分散Var(k)の何れも立ち上がりの過渡期が生じることに応答したものであり、有意なものではないため、ここでは無視している。
【0049】
次に、時点t1を経過すると、位相誤差分散Var(k)は閾値B未満に変化し、これに応じて、ステップS102においては肯定の判別結果が得られる。しかし、時点t2までの期間においては、位相誤差移動平均Avr(k)が第1閾値A1以上の範囲にあるため、ステップS103にて肯定の判別結果が得られたうえで、ステップS104においては否定の判別結果が得られてステップS106に進むため、図3(c)に示す収束フラグfc(k)は、時点t1以前からの0を継続して出力する。
【0050】
次に、時点t2の位相誤差検出タイミングを経過した時刻に対応して求められる位相誤差移動平均Avr(k)は、第1閾値A1より小さい正の値となっている。これにより、時点t2に対応する時刻に至って、はじめて、ステップS104にて肯定の判別結果が得られてステップS105に進むこととなる。これに応じて、時点t2において収束フラグfc(k)は0から1に変化する。
【0051】
しかし、この場合には、時点t3の位相誤差検出タイミングに至るまでの期間において、例えば発振などの発生により、位相誤差Pe(k)の絶対値が大きくなっている。このとき、図3(d)の位相誤差分散Var(k)は、閾値B以上にはなっていないが、時点t3の位相誤差検出タイミングにおいて、位相誤差移動平均Avr(k)が第2閾値C0〜C1の範囲外となっている。
第2閾値C0,C1は、前述もしたように、収束判定結果にヒステリシス特性を与えて、判定結果の安定性が図られることを目的として設定される。
しかし、図3の時点t3のようにして、位相誤差移動平均Avr(k)が第2閾値C0〜C1の範囲内であった状態から範囲外となる状態に遷移した場合には、ロックしていない状態に戻った可能性が高いものとみなされる。このために、図4では、ステップS107において否定の判別結果が得られたときには、ステップS106により収束フラグfc(k)=0を設定することとしている。時点t3のタイミングにおいては、上記ステップS107からステップS106に進む手順が実行されることになり、図示するように、収束フラグfc(k)は1から0に変化する。
【0052】
時点t3を経過した後、時点t4の位相誤差検出タイミングに至ると、位相誤差移動平均Avr(k)が再び第1閾値A0〜A1の範囲内に収まる。これに応じて、時点t4のタイミングでは、ステップS103にて肯定の判別結果が得られたうえで、ステップS104にて肯定の判別結果が得られてステップS105に進むことになる。これにより、時点t4において収束フラグfc(k)は0から1に変化し、以降、収束フラグfc(k)==1が継続される。
【0053】
これまでの説明から理解されるように、収束フラグfc(k)は、位相誤差移動平均Avr(k)と位相誤差分散Var(k)とに基づいてその値が設定される。つまり、本実施形態では、位相誤差移動平均Avr(k)と位相誤差分散Var(k)とに基づいて収束判定を行う。
先にも述べたように、位相誤差移動平均Avr(k)及び位相誤差分散Var(k)は何れも、時間的に離散して不定のタイミングで得られる位相誤差P(k)について、そのノイズ成分を除去して、図3(a)(d)に示したように、時間方向において、より滑らかな変化が得られるようにされている。これにより本実施形態では、例えば位相誤差P(k)を直接利用して収束判定を行う場合と比較して、より安定して的確な収束判定結果を得ることができる。
【0054】
[1−2−2.収束時間計測]

図5のフローチャートは、収束判定部63が収束時間を判定するためのアルゴリズム例を示している。
この図に示す処理は、図4の処理と同様に、ITR型PLL回路50が引き込み動作を開始することに応じて開始され、図4の処理と併行して実行されるものとなる。
【0055】
ステップS201において収束判定部63は、初期設定として、現時刻を示す変数kに0を代入する。また、収束フラグfc(k)については0を設定する。これは、図4のステップS101と同様の処理となる。従って実際においては、ステップS101とステップS102とは1つの同じ処理として実行すれば。
【0056】
収束判定部63は、収束時間の測定にあたっては、タイマを使用する。ステップS202において収束判定部63は、タイマのカウント値(タイマカウント値)TMを初期値の0にセットしたうえで、ステップS203によりタイマのカウント動作を開始させる。このステップS201〜S203までの処理は、引き込み動作の開始時点に対応して実行されるもので、図3との対応では時点t0が引き込み動作の開始時点に対応する。つまり、ステップS203によっては、引き込み動作の開始時点より、時間計測が開始される。
【0057】
ステップS204以降の処理は、位相誤差検出タイミングが実行されるごとに、つまり、時刻kごとに実行されるものとなる。
ステップS204においては、図4のステップS105若しくはステップS106により得られたとする時刻k+1の収束フラグfc(k+1)について、つまり現時点までにおいて最後に得られている収束フラグの値について、1であるか否かについて判別することとしている。
【0058】
先ず、ステップS204において否定の判別結果が得られた場合には、ステップS207に進む。ここでは、収束判定部63が測定する収束時間の値についてはcnv_timeにより表すものとする。収束判定部63は、収束時間の測定結果として、cnv_timeの値を出力する。
そして、ステップS207においては、収束時間cnv_timeについてnull値を設定する。ここでは、収束時間cnv_time==nullの場合には、その値が無効であることを意味し、収束していない状態に対応して出力されるべきものとなる。
【0059】
一方、ステップS204において肯定の判別結果が得られた場合には、さらにステップS205において、時刻k+1の収束フラグfc(k+1)に対して1つ前の時刻kの収束フラグfc(k)について、1であるか否かについて判別する。
【0060】
先ず、ステップS205において、収束フラグfc(k)==0であるとして否定の判別結果が得られた場合、前の時刻においては、収束フラグが0であった状態から、現時刻にいたって収束フラグが1に変化したことになる。これは、現時刻より前までは収束していないとの判定結果が得られていたが、現時刻に至って収束したとの判定結果に変化したことを意味している。
この場合は、ステップS206に進み、現時刻kのタイマカウント値TMを時間値に変換する。この変換された時間値は、図3の時点t0に対応する引き込み動作開始時点から収束したとされるまでの時間を示すものとなる。つまり、収束時間cnv_timeとなる。
【0061】
また、ステップS205において肯定の判別結果が得られた場合には、前の時刻においても、現時刻と同じく、収束フラグは1であることになる。つまり、現時刻より前から収束したとの判定結果が継続されている状態である。
この場合には、ステップS206の処理はスキップしてステップS208に進む。ここでステップS208をスキップするということは、収束時間cnv_timeについて、前の時刻において出力させていた値を変更せずに維持するという処理に相当する。
【0062】
ステップS208に至った段階では、ステップS206により新たに収束時間cnv_timeが設定されている、若しくはステップS207によりnull値の収束時間cnv_timeが設定されている、若しくはステップS206をスキップして、ステップS205から遷移してきたことにより、前の時刻の収束時間cnv_timeの値が維持されていことになる。
ステップS208において収束判定部63は、この段階で設定されている収束時間cnv_timeの値を、収束時間の測定結果として出力する。
次に収束判定部63は、ステップS209により変数kをインクリメントしてからステップS204に戻る。
【0063】
上記図5に示した処理により得られる収束判定部63の動作例を、図3に対応させて説明する。収束時間cnv_timeは、図3(c)に示されている。
先ず、図3において、時点t0から時点t2までの期間は、収束フラグfc(k)は0を継続している(時点t0における収束フラグfc(k)==1は有意ではないので無視する)。これに応じて、期間t0〜t2の位相誤差検出タイミングにおいては、ステップS204において否定の判別結果が得られてステップS207の処理を実行することになる。従って、図3(c)に示すように、期間t0〜t2までは収束時間cnv_time==nullの状態が継続する。
【0064】
続く、時点t2に至ったタイミングにおいては、有意な収束フラグfc(k)==1に変化している。これに応じて、時点t2に対応する位相誤差検出タイミングにおいては、ステップS204にて肯定の判別結果が得られ、さらにステップS205にて否定の判別結果が得られてステップS206に進むことで、収束時間cnv_timeとしては、時点t0から時点t2までの時間m1を示す値の出力に切り換わる。その後、時点t3に至るまで収束フラグfc(k)==1が継続される。これに応じて、図5の処理としては、ステップS204にて肯定の判別結果が得られ、さらにステップS205にて肯定の判別結果が得られることで、ステップS206をスキップして前時刻の収束時間cnv_timeを維持してステップS208に進む。これにより、時点t2から時点t3までの期間により収束時間cnv_tim==m1を出力する。
【0065】
次に、時点t3から時点t4までの期間では、再度、収束フラグfc(k)==0に変化する。これに応じて、時点t3から時点t4までの期間における5の処理としては、ステップS204にて否定の判別結果が得られてステップS207に進むことで、収束時間cnv_time==nullが継続して出力される。
【0066】
時点t4においては、再び収束フラグfc(k)==1に変化する。これに応じて、時点t4に対応する位相誤差検出タイミングにおいては、ステップS206の処理が実行される。これにより、収束時間cnv_timeは、時点t0〜時点t4に対応する時間m2が出力されることになる。
時点t4を経過して以降、収束フラグfc(k)==1が継続されることに応じて、収束時間cnv_time==m2の出力が継続される。
【0067】
上記のように、収束時間cnv_timeは、収束フラグfc(k)に対応して決定される。先に述べたように、位相誤差移動平均Avr(k)と位相誤差分散Var(k)とに基づいて設定される収束フラグfc(k)、つまり収束判定結果は、的確で安定している。従って、収束時間cnv_timeも、実際の収束状態に応じた的確な値が得られることになる。
【0068】
<2.ディスクドライブ装置>
[2−1.装置構成]

次に、上記図1〜図5により説明したPLL測定部60は、例えば、単独の測定装置として構成することが可能であるが、再生信号の同期を図るなどのためにPLL回路を備える装置に適用することもできる。
【0069】
図6は、上記のようにしてPLL測定部60を備える再生装置の一例となるもので、光ディスクに対応して記録再生を行うディスクドライブ装置の構成例を示している。
なお、この図に示すディスクドライブ装置は、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標):以下「BD」という)規格としての再生専用ディスクや記録可能型ディスク(ライトワンスディスクやリライタブルディスク)に対応して再生や記録を行うことができるものとする。
【0070】
図6に示す光ディスク90は、BD方式のフォーマットによるディスク状記録媒体である。
光ディスク90は、ディスクドライブ装置に装填されると図示しないターンテーブルに積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ2によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。
そして再生時には光ピックアップ(光学ヘッド)1によって光ディスク90上のトラックに記録された情報の読出が行われる。
また光ディスク90に対してのデータ記録時には、光ピックアップ1によって光ディスク90上のトラックに、ユーザーデータがフェイズチェンジマークもしくは色素変化マークとして記録される。
【0071】
なお、光ディスク90の内周エリア91等には、再生専用の管理情報として例えばディスクの物理情報等がエンボスピット又はウォブリンググルーブによって記録されるが、これらの情報の読出もピックアップ1により行われる。
さらに光ディスク90に対しては、光ピックアップ1によってディスク90上のグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しも行われる。
【0072】
光ピックアップ1内には、レーザ光源となるレーザダイオード、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズが設けられる。また対物レンズを介してディスク記録面にレーザ光を照射し、またその反射光をフォトディテクタに導く光学系等が形成される。レーザダイオードは、例えば波長405nmのいわゆる青色レーザを出力する。また光学系によるNAは0.85である。
光ピックアップ1内において対物レンズは二軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
また光ピックアップ1全体はスレッド機構3によりディスク半径方向に移動可能とされている。
また光ピックアップ1におけるレーザダイオードはレーザドライバ13からのドライブ信号(ドライブ電流)によって発光駆動される。
【0073】
光ディスク90からの反射光情報はフォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路4に供給される。
マトリクス回路4には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する再生情報信号(RF信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
マトリクス回路4から出力される再生情報信号はデータ検出処理部5へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号は光学ブロックサーボ回路11へ、プッシュプル信号はウォブル信号処理回路15へ、それぞれ供給される。
【0074】
データ検出処理部5は、再生情報信号の2値化処理を行う。
このデータ検出処理部5は、RF信号のA/D変換処理、PLLによる再生信号の同期、PR(Partial Response)等化処理、ビタビ復号(最尤復号)等を行い、パーシャルレスポンス最尤復号処理(PRML検出方式:Partial Response Maximum Likelihood検出方式)により、2値データ列を得る。
【0075】
図1に示されるA/D変換器51、ITR型PLL回路50、データ復号部56、及びPLL測定部60は、このデータ検出処理部5において備えられる。
データ検出処理部5において、A/D変換器51は、アナログのベースバンド信号として、例えばAGC(Automatic Gain Control)によりゲイン調整された上記RF信号を入力し、デジタル信号に変換してITR型PLL回路50に出力する。ITR型PLL回路50は、先の説明のようにして、デジタルのベースバンド信号を同期させてデータ復号部56に出力する。データ復号部56は、例えば上記のPRML検出方式に従った信号処理を実行し、デコードデータとして、ビタビ復号後の2値データ列を出力する。この2値データ列が図6に示す後段のエンコード/デコード部7に供給される。
【0076】
エンコード/デコード部7は、再生時おける再生データの復調と、記録時における記録データの変調処理を行う。即ち、再生時にはデータ復調、デインターリーブ、ECCデコード、アドレスデコード等を行い、また記録時にはECCエンコード、インターリーブ、データ変調等を行う。
再生時においては、上記データ検出処理部5で復号された2値データ列がエンコード/デコード部7に供給される。エンコード/デコード部7では上記2値データ列に対する復調処理を行い、光ディスク90からの再生データを得る。即ち、即ちRLL(1−7)PP変調が施されて光ディスク90に記録されたデータに対しての復調処理と、エラー訂正を行うECCデコード処理を行って、光ディスク90からの再生データを得る。
エンコード/デコード部7で再生データにまでデコードされたデータは、ホストインターフェース8に転送され、システムコントローラ10の指示に基づいてホスト機器100に転送される。ホスト機器100とは、例えばコンピュータ装置やAV(Audio-Visual)システム機器などである。
【0077】
光ディスク90に対する記録/再生時にはADIP情報の処理が行われる。
即ちグルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路4から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル信号処理回路6においてデジタル化されたウォブルデータとされる。ォブル信号処理回路6は、内部のPLL回路によりプッシュプル信号に同期したクロックが生成される。
ウォブルデータはADIP復調回路16でMSK復調、STW復調され、ADIPアドレスを構成するデータストリームに復調されてアドレスデコーダ9に供給される。
アドレスデコーダ9は、供給されるデータについてのデコードを行い、アドレス値を得て、システムコントローラ10に供給する。
【0078】
記録時には、ホスト機器100から記録データが転送されてくるが、その記録データはホストインターフェース8を介してエンコード/デコード部7に供給される。
この場合エンコード/デコード部7は、記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加(ECCエンコード)やインターリーブ、サブコードの付加等を行う。またこれらの処理を施したデータに対して、RLL(1−7)PP方式の変調を施す。
【0079】
エンコード/デコード部7で処理された記録データは、ライトストラテジ部14において、記録補償処理される。即ち記録層の特性、レーザ光のスポット形状、記録線速度等に対する最適記録パワーの微調整やレーザドライブパルス波形の調整などが行われた状態のレーザドライブパルスとされ、レーザドライバ13に供給される。
そしてレーザドライバ13は、記録補償処理したレーザドライブパルスを光ピックアップ1内のレーザダイオードに与えてレーザ発光駆動を実行させる。これにより光ディスク90に、記録データに応じたマークが形成されることになる。
なお、レーザドライバ13は、いわゆるAPC回路(Auto Power Control)を備え、光ピックアップ1内に設けられたレーザパワーのモニタ用ディテクタの出力によりレーザ出力パワーをモニタしながらレーザの出力が温度などによらず一定になるように制御する。
記録時及び再生時のレーザ出力の目標値はシステムコントローラ10から与えられ、記録時及び再生時にはそれぞれレーザ出力レベルが、その目標値になるように制御する。
【0080】
光学ブロックサーボ回路11は、マトリクス回路4からのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、二軸ドライバ18によりピックアップ1内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによって光ピックアップ1、マトリクス回路4、光学ブロックサーボ回路11、二軸ドライバ18、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
また光学ブロックサーボ回路11は、システムコントローラ10からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
また光学ブロックサーボ回路11は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ10からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成する。そしてスレッドドライバ19がスレッドドライブ信号に基づいてスレッド機構3を駆動する。スレッド機構3には、図示しないが、光ピックアップ1を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有する。そしてスレッド機構3がスレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、ピックアップ1の所要のスライド移動が行なわれる。
【0081】
スピンドルサーボ回路12はスピンドルモータ2をCLV回転させる制御を行う。
スピンドルサーボ回路12は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、データ信号処理回路5内のPLLによって生成される再生クロックが、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路12は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルドライバ17によりスピンドルモータ2のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路12は、システムコントローラ10からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
【0082】
以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ10により制御される。
システムコントローラ10は、ホストインターフェース8を介して与えられるホスト機器100からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
例えばホスト機器100から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ10は、まず書き込むべきアドレスに光ピックアップ1を移動させる。そしてエンコード/デコード部7により、ホスト機器100から転送されてきたデータ(例えばビデオデータやオーディオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして上記のようにエンコードされたデータに応じてレーザドライバ13がレーザ発光駆動することで記録が実行される。
【0083】
また例えばホスト機器100から、光ディスク90に記録されている或るデータの転送を求めるリードコマンドが供給された場合は、システムコントローラ10はまず指示されたアドレスを目的としてシーク動作制御を行う。即ち光学ブロックサーボ回路11に指令を出し、シークコマンドにより指定されたアドレスをターゲットとする光ピックアップ1のアクセス動作を実行させる。
その後、その指示されたデータ区間のデータをホスト機器100に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク90からのデータ読出を行い、データ検出処理部5、エンコード/デコード部7における再生処理を実行させ、要求されたデータを転送する。
【0084】
なお、図6の例では、ホスト機器100に接続されるディスクドライブ装置として説明したが、ディスクドライブ装置としては他の機器に接続されない形態もあり得る。その場合は、操作部や表示部が設けられたり、データ入出力のインターフェース部位の構成が、図6とは異なるものとなる。つまり、ユーザーの操作に応じて記録や再生が行われるとともに、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。もちろんディスクドライブ装置の構成例としては他にも多様に考えられる。
【0085】
[2−2.高密度記録化]

上記図6に示すディスクドライブ装置が対応する光ディスクは、前述のように、BDフォーマットによるものとなる。
現行におけるBDフォーマットで規定されている記録再生条件(正規記録再生条件)では、1層あたりの記録容量については25GBとされているが、BDフォーマット自体は現行と同じとしたうえで、記録再生条件について正規とは異なる条件(拡張記録再生条件)を設定することにより、さらなる高密度記録を実現することが検討されている。
一例としては、線速度の記録再生条件を正規よりも低下させる。これにより、記録パターンの周期、つまり物理的マーク長を短くするという手法を採る。これにより、1層あたりの記録容量を例えば30GB〜33GB程度にまで拡大できる。
【0086】
ここで、光記録再生装置の再生特性はレーザの波長λ[nm]と光学ピックアップの開口率NA (Numerical Aperture)によって決定される。
この再生特性には回折限界Scが存在し、Sc[1/m]=2×NA/λで決定される空間周波数以上の再生波形を読み出すことができないものとされている。ただし、この式における回折限界の単位は空間周波数であるので、実際の光学系が読み出すことができる回折限界周波数fcはディスクの線速度v[m/sec]を乗算してfc=Sc×vで求めることになる。
【0087】
再生周波数を、データ転送ビットレートに対応するチャンネル周波数(fs)で規格化(正規化)した光学再生特性は図7に示すMTF(Modulation Transfer Function)により表される。
現在の1層当たり25GB容量のBDフォーマットでは、λ=405nm、NA=0.85とされたうえで、v=4.917 [m/sec]により2Tの物理長(最短マーク長)=149nmとなる。また、データ転送ビットレートfs=66[MHz]であるので、データビットレート対回折限界周波数、即ち規格化回折限界周波数はfc/fs=0.313となる。
【0088】
BDでは最短波長が2TのRLL(1−7)PP符号で変調を行ったデータとして、2Tが最短波長となる(最短記録マーク)。この最短波長(2T)の規格化周波数は、1/2*2=0.2となる。
この場合、2Tの規格化周波数は記録データ量を25GBとしたときの規格化回折限界周波数に対し0.05程度にまで低い周波数となっている。これは、充分に2Tデータを再生可能であることを意味している。
【0089】
次に、同じBDフォーマットのもと、同じチャンネル周波数でさらなる高密度記録を行うものとし、このために線速度を低下させて記録する場合を考える。
そこで、規格化回折限界周波数が規格化2T周波数と一致する記録データ量を求めると、これは、図9において二点鎖線により示す31.25GBとなる。
そのうえで、30GBの記録データ容量が得られるようにして線速度を低下させた場合には、その規格化回折限界周波数は、規格化2T周波数よりは大きいものの、正規の25GBの場合と比較すれば、小さくなる。
さらに、例えば32GBや33GBのデータサイズの記録データ量に対応して線速度を低下させたとすれば、これらの規格化回折限界周波数は、規格化2T周波数より小さくなる。
【0090】
上記した32GB、33GBの記録データ量に対応する特性は、先の説明に従えば、最短波長の再生データが得られないことになる。
しかし、実際には、高密度記録データを再生する方法として、PRMLなどの信号処理を用いれば、回折限界周波数が2T周波数(0.25)より小さくなる場合でも、最短波長(2T)のデータを再生できることが知られている。
本実施形態のディスクドライブ装置は、前述したように、データ検出処理部5においてPRML検出方式によりデコードデータを得るようにされている。従って、本実施形態のディスクドライブ装置は、現行のBDフォーマットにそのまま対応した1層あたり25GBの記録を行うように構成可能なのはもちろんのこと、25GBよりも大きなデータ量を記録可能に構成することも可能であることになる。
【0091】
なお、上記図9に示した特性を、規格化2T周波数と規格化回折限界周波数との関係からみた場合には、
2T空間周波数/回折限界空間周波数・・・(式3)
として表すことができる。
2T空間周波数は、2Tの物理マーク長をMとして、
1/M*2*1000000000本/m・・・(式4)
の演算により求めることができる。2Tの物理マーク長Mは、記録データ量に応じて決まる線速度(m/s)に応じて一義的に求めることができる。回折限界空間周波数=Scである。
或る記録データ量に対応して得られる2T空間周波数/回折限界空間周波数が1より小さければ、その回折限界周波数が基準の2T周波数よりも大きいことになる。逆に2T空間周波数/回折限界空間周波数が1より大きければ、その回折限界周波数が基準の2T周波数よりも小さいことになる。
ちなみに、2T空間周波数/回折限界空間周波数の値は、
規格化2T周波数(0.25)/規格化回折限界周波数・・・(式5)
とほぼ一致する値となる。
【0092】
参考として、30GBの記録データ容量に対応する記録再生条件としての線速度v=4.0975であり、これに応じて、最短マーク長M=124.97nmとなる。2T空間周波数/回折限界空間周波数の値は、(1/124.97*2*1000000000) / 4.198E+06 = 0.95838となる。この2T空間周波数/回折限界空間周波数の値は、例えば0.95以上との条件を満たしているといえる。
なお、上記の例では、正規よりも線速度を低下させることで高記録密度を実現することとしているが、チャンネル周波数としての記録再生条件を高く変更することによってもマーク長は短くなり、高記録密度化を実現できる。
【0093】
ここで、例えば本実施形態のPLL測定部60を備えないディスクドライブ装置の場合、光ディスクの再生に際して再生信号の評価を行うこととすれば、例えばエンコード/デコード部7にて得られるエラーレートなどを用いることになる。しかし、例えばエラーレートが低くなる原因の1つとして、例えばPLL回路が収束過程にあり、充分に収束していない状況も挙げることができる。
例えばディスクドライブ装置が、PLL回路がロック状態に収束していることを前提にして測定したエラーレートを利用して何らかの制御を実行するものとする。しかし、PLL測定部60を備えないディスクドライブ装置の場合には、PLL回路がロック状態に収束しているか否かを判断することができない。このため、実際には、PLL回路が収束していない状態で測定したエラーレートを上記の制御に利用してしまうことになり、この場合には、適切な制御に応じた動作が得られない可能性がある。
【0094】
これに対し、PLL測定部60を備える本実施形態のディスクドライブ装置であれば、PLL測定部60が出力する収束判定結果(収束フラグfc(k))により、現在においてPLL回路が収束した状態にあるか否かを認識できることになる。従って、例えばエラーレートに基づいた制御に際しては、収束フラグfc(k)に基づいて、PLL回路が収束していると判断した場合にのみ、エラーレートを有意なものとして扱って制御を実行するように構成することができる。これにより、適切な制御動作が確保できる。
【0095】
ここで、上記のPLL測定部60の測定結果の利用態様は一例である。
本実施形態のPLL測定部60からは、収束判定結果(収束フラグfc(k))とともに、収束時間cnv_timeも測定して出力できる。ディスクドライブ装置は、収束時間cnv_timeも利用してしかるべき制御、処理を実行できる。1つには、収束時間cnv_timeを、キャリブレーションといわれる、再生開始時のパラメータ設定に用いることができる。例えば、収束時間cnv_timeは短いほど光ディスクからの信号の読み出しは良好であると評価できる。そこで、収束時間cnv_timeが最短となるようにしてパラメータを設定することで、最良の再生条件を得ることができる。
また、ディスクドライブ装置が、どのようなPLL測定部60の測定結果をどのような制御、処理に用いるのかについても、他に多様に考えることができる。
また、先のエラーレートの例では、PLL測定部60による収束判定結果が得られた後に、エラーレートを制御に利用するものとなっている。つまり、時間的には、先にPLL測定部60の測定結果を用い、この後に、エラーレートなどのPLL測定部60以外による評価値を用いるものとしている。これ以外にも、例えばPLL測定部60の測定結果と、これ以外の測定結果を同時的に利用するような評価処理、制御も考えることができる。また、PLL測定部60の測定結果は時間的に後で用い、先にPLL測定部60以外で得られた測定値、評価値などを利用する処理、制御も考えられる。
【0096】
また、本実施形態のディスクドライブは、先に述べたように、BDフォーマットとして、現行の25GBの記録容量に対応した記録再生が可能なだけではなく、現行のBDフォーマットのままで、例えば線速度やチャンネル周波数などを変更することにより、25GBよりも大きな記録容量による記録再生が可能とされている。
PLL測定部60は、正規記録再生条件に対応する記録容量(25GB)、また、拡張記録再生条件に対応する、正規よりも大きな記録容量の何れによる記録再生にも有用である。しかし、実際のこととして、記録容量を大きくしていく(即ちマーク長が短くなる)ほど再生信号を検出しにくくなる。その分、PLL回路もロック状態に収束しにくくなり、また、安定して収束する状態を維持しにくくなる。この点からすれば、ディスクドライブ装置について記録容量が大きく設定されるほど、PLL測定部60を備えることの利点は大きくなる。
【0097】
また、図1においては測定対象のPLL回路としてITR型PLL回路50を示しているが、測定対象となるPLL回路の方式については特に限定されるものではない。
【0098】
また、図1〜図5では、PLL測定部60は、測定結果として、収束判定結果(収束フラグfc(k))、及び収束時間cnv_timeの2つを出力できる構成を採るものとして説明した。しかし、基本としては収束判定結果(収束フラグfc(k))のみを出力できるように構成されればよい。
また、収束判定結果(収束フラグfc(k))を得るのにあたっては、図3にて示したように、位相誤差移動平均Avr(k)と位相誤差分散Var(k)との2つの評価値を使用しているが、基本的には、位相誤差移動平均Avr(k)のみを閾値と比較した結果に基づき、収束判定結果を得るように構成してよい。
【0099】
また、先にも述べたように、本実施形態のPLL測定部60は、その基本構成として、PLL測定装置単体として構成できる。このような単体のPLL測定装置は、例えばPLL回路の設計、試験などにおいて、その性能を知るために利用することができる。また、製造時における検査、調整などにも利用できる。
【0100】
また、本実施形態のPLL測定部60を備えて機器、装置を構成する場合においても、その装置としては、PLL回路を備えるものである限り、図6に示したディスクドライブ装置以に限定されるものではない。例えば、BDフォーマット以外に対応するディスクドライブ装置とされてもよい。また、光ディスク以外の記録媒体に対応する再生装置、また、通信機器、放送などの受信装置にも適用できる。
【0101】
PLL測定部60としての構成は、例えばハードウェアによっても構成できるし、また、DSP(Digital signal Processor)に与えるプログラム、インストラクションにより実現できる。また、このようなプログラムは、例えばリムーバブルの記録媒体に記憶させて保存しておく、或いは、ネットワーク上のサーバなどに保存しておくことができる。
【符号の説明】
【0102】
1 光ピックアップ、5 データ検出処理部、7 エンコード/デコード部、10 システムコントローラ、13 レーザドライバ、51 A/D変換器、52 位相補間部、53 位相誤差検出部、54 ループフィルタ、55 NCO、90 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェーズロックドループ回路にて検出される、入力信号の位相と目標位相との位相誤差を入力して移動平均を算出する移動平均算出手段と、
上記移動平均の絶対値が第1の閾値以上であるときに上記フェーズロックドループ回路が収束していないと判定し、上記移動平均の絶対値が第1の閾値以上でないときに上記フェーズロックドループ回路が収束していると判定する収束判定手段と、
を備える測定装置。
【請求項2】
上記再生信号の位相誤差と上記移動平均とを利用して位相誤差分散を算出する位相誤差分散算出手段をさらに備え、
上記収束判定手段は、上記位相誤差分散が第2の閾値以下であり、かつ、上記移動平均の絶対値が第1の閾値以上でないときに、上記フェーズロックドループ回路が収束していると判定する、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
上記収束判定手段は、上記第1の閾値とともに、さらに、上記第1の閾値よりも大きい絶対値による第3の閾値を設定し、
上記フェーズロックドループ回路が収束していると判定しているときには上記移動平均の絶対値と上記第3の閾値とを比較し、上記移動平均の絶対値が上記第3の閾値以上になったことに応じて、上記フェーズロックドループ回路がロック状態に収束していないとの判定に変更する、
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
上記収束判定手段は、上記フェーズロックドループ回路が収束しているとの判定結果を利用して、フェーズロックドループ回路が引き込み動作を開始してから収束するまでの収束時間を判定する、
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の測定装置。
【請求項5】
光ディスクに記録された信号を読み出して再生ベースバンド信号を出力する読み出し手段と、
上記再生ベースバンド信号の位相と目標位相との位相誤差を検出し、この検出した位相誤差に基づいて、上記再生ベースバンド信号の位相が目標位相に同期するようにして制御するフェーズロックドループ回路と、
上記フェーズロックドループ回路にて検出される、入力信号の位相と目標位相との位相誤差を入力して移動平均を算出する移動平均算出手段と、
上記移動平均の絶対値が第1の閾値以上であるときに上記フェーズロックドループ回路が収束していないと判定し、上記移動平均の絶対値が第1の閾値以上でないときに上記フェーズロックドループ回路が収束していると判定する収束判定手段と、
を備える再生装置。
【請求項6】
上記読み出し手段は、
最短記録マークの空間周波数である最短記録マーク空間周波数をα、上記読み出し手段を形成する光学系の回折限界の空間周波数である回折限界空間周波数をβとし、上記光ディスクのフォーマットに対応する正規の記録再生条件により記録されたときのα/β=γとした場合に、上記正規とは異なるα/β>γとなる拡張記録再生条件により記録された信号を、同じ上記拡張記録再生条件により読み出して再生ベースバンド信号として出力する、
請求項5に記載の再生装置。
【請求項7】
フェーズロックドループ回路にて検出される、入力信号の位相と目標位相との位相誤差を入力して移動平均を算出する移動平均算出手順と、
上記移動平均の絶対値が第1の閾値以上であるときに上記フェーズロックドループ回路が収束していないと判定し、上記移動平均の絶対値が第1の閾値以上でないときに上記フェーズロックドループ回路が収束していると判定する収束判定手順と、
を実行する測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−212929(P2010−212929A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55990(P2009−55990)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】