説明

測定装置の制御方法及び測定装置

【課題】 各機構ユニットを同期的に動作させることが可能であると共に、複数の機種間での設計及び構造の共用化、及び複数の機種の開発の効率化を可能とする測定装置の制御方法及び測定装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る測定装置1は、CPU91aが発行した動作命令を、検体の測定に使用される複数の機構ユニットに対して順次的に送信するマスタ通信インタフェース91dと、各機構ユニットに設けられており、前記動作命令を受信するスレーブ通信インタフェースと、受信した動作命令に応じて前記機構ユニットを駆動する複数のドライブ回路とを備え、マスタ通信インタフェース91dは、複数の機構ユニットに対して、各機構ユニットに対応する動作命令を順次送信した後に、動作開始指示信号を一斉送信し、ドライブ回路は、この動作命令に応じて対応する機構ユニットを駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置の動作を制御する制御方法、及びその実施に使用する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液分析装置、尿分析装置、便分析装置、粒子分析装置といった血液検体、尿検体、便検体、又は粒子検体等の様々な性状についての測定項目を測定する測定装置が知られている。この種の測定装置の一つとして、試料を入れるための試料槽と、複数の反応槽とを一体化したカートリッジと、カートリッジを搬送する搬送機構部と、多連構造とされた複数の分注ユニットと、多連構造とされた光学ユニットとを備え、各分析プロセスを並行して実行する自動分析装置が開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1に開示されている自動分析装置では、まず、カートリッジの試料槽に入れられた試料をカートリッジの各反応層に分注し、カートリッジを搬送する途中の複数の所定位置において、各反応槽で行う分析に応じた試薬を同時に分注するようになっている。また、多連構造の光学ユニットによって各反応槽で反応が完了した反応液の測光を同時に行うようになっている。このように、この種の測定装置は、検体を収容した検体容器から検体を吸引する検体吸引ユニット、試薬を収容した試薬容器から試薬を吸引する試薬吸引ユニット、吸引した検体及び試薬を通流させる流体ユニット等、様々な機構ユニットを有しており、これらを機構ユニットを同期して動作させるように構成されている。
【0003】
かかる従来の測定装置は、以下のような構成となっている。図13は、従来の測定装置の構成を示すブロック図である。図13に示すように、従来の測定装置111は、制御部112と、複数の機構ユニット113〜115とを有している。制御部112には、CPU112aと、マイクロインタフェース112bと、複数のドライブ回路112c,112dとが設けられている。ドライブ回路112cは、モータ用のドライブ回路であり、ドライブ回路112dは、電磁弁用のドライブ回路である。機構ユニット113は、検体を吸引するピペットを有するアームユニットであり、当該機構ユニット113には、複数のステッピングモータ113a,113bが設けられている。機構ユニット114は、洗浄液を通流させるための流体ユニットであり、複数の電磁弁114a,114b及び複数のステッピングモータ114c,114dが設けられている。機構ユニット115は、試薬を吸引するピペットを有するアームユニットであり、当該機構ユニット115には、複数のステッピングモータ115a,115bが設けられている。
【0004】
制御部112のCPU112aは、マイクロインタフェース112bを介してドライブ回路112c,112dと接続されており、CPU112aから制御信号を各ドライブ回路112c,112dへ送信することが可能である。ドライブ回路112cは、ステッピングモータ113a,113b,114c,114d,115a,115bと接続されており、このドライブ回路112cによって、ステッピングモータ113a,113b,114c,114d,115a,115bを夫々同時に独立駆動することが可能である。また、ドライブ回路112dは、電磁弁114a,114bに接続されており、ドライブ回路112dによって、電磁弁114a,114bを夫々同時に独立駆動することが可能である。CPU112aから送信された制御信号は、ドライブ回路112c,112dで受信され、この制御信号に応じて、各ドライブ回路112c,112dがステッピングモータ113a,113b,114c,114d,115a,115b及び電磁弁114a,114bを同時に駆動する。これにより、これらのステッピングモータ113a,113b,114c,114d,115a,115b及び電磁弁114a,114bが同期して動作する。
【0005】
【特許文献1】特開平6−43173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来の測定装置にあっては、搭載する機構ユニットが備えるモータ、電磁弁等のデバイスに制御部のドライブ回路が直接接続されているので、機構ユニットが備えるデバイスの種類及び数に合わせてドライブ回路を含めた制御部全体を専用に構成させる必要があった。このため、例えば既に設計済みの測定装置から、測定項目を追加した機種の測定装置や、処理能力を異ならせた機種の測定装置を開発する場合には、機構ユニットを追加したり、一部の機構ユニットを変更する必要が生ずるが、かかる変更に合わせて制御部も設計変更しなければならなかった。このように、従来は複数の種類の測定装置を効率的に開発する環境が整備されているとはいえず、測定装置の製品コストが嵩むという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、各機構ユニットを同期的に動作させることが可能であると共に、複数の機種の開発の高効率化を可能とし、製品コストの低減が可能な測定装置の制御方法及び測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る測定装置の制御方法は、検体の測定に使用される複数の機構ユニットを備えた測定装置の動作を制御する制御方法において、前記複数の機構ユニットの動作を指示する動作指示部が各機構ユニットに対応する動作命令を発行するステップと、前記動作指示部に対応して設けられた第1通信部が、前記動作指示部により発行された動作命令を、対応する機構ユニットに対して順次的に送信するステップと、各機構ユニットに対応して設けられた複数の第2通信部が、前記第1通信部から送信された動作命令を各別に受信するステップと、各機構ユニットに対応して設けられた複数の駆動部が、前記第2通信部が受信した動作命令を一時的に記憶するステップと、前記第1通信部が、複数の前記機構ユニットに対して動作開始を指示する動作開始指示信号を、一斉送信するステップと、前記第2通信部が、前記第1通信部から送信された動作開始指示信号を受信するステップと、前記駆動部が、対応する第2通信部が前記動作開始指示信号を受信したときに、記憶された動作命令に応じて前記機構ユニットを駆動するステップとを有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る測定装置は、検体の測定に使用される複数の機構ユニットを備え、各機構ユニットを同期的に動作させることが可能な測定装置において、複数の前記機構ユニットに夫々対応する動作命令を発行する動作指示部と、当該動作指示部に対応して設けられており、前記動作指示部が発行した動作命令を、対応する機構ユニットに対して順次的に送信する第1通信部と、各機構ユニットに対応して設けられており、前記第1通信部から送信された動作命令を受信する第2通信部と、各機構ユニットに対応して設けられており、前記第2通信部が受信した動作命令に応じて前記機構ユニットを駆動する複数の駆動部とを備え、前記第1通信部は、複数の前記機構ユニットに対して、各機構ユニットに対応する動作命令を順次送信した後に、複数の前記機構ユニットに対して、動作開始を指示する動作開始指示信号を一斉送信するように構成されており、前記駆動部は、前記第2通信部が動作開始指示信号を受信したときに、前記第2通信部部から与えられた動作命令に応じて対応する機構ユニットを駆動するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
このようにすることにより、第1通信部が動作開始指示信号を送信したときに、各機構ユニットが動作命令に応じて同期的に動作することとなる。また、機構ユニット毎に第2通信部と駆動部とを設けているので、複数の機種間で動作指示部及び第1通信部を共用することができ、また必要な機構ユニット、第2通信部、及び駆動部を機能ブロックとしてセットで構成し、この第2通信部を前記第1通信部と通信可能に接続すればよいので、従来に比して測定装置の開発効率を向上させることができ、製品コスト低減を実現することができる。更に、複数の機種間で共用する機構ユニットが存在する場合には、動作指示部及び第1通信部だけでなく、機構ユニット、第2通信部、及び駆動部の機能ブロックを共用することができ、複数の機種の開発効率化により、各機種のコストを低減することができる。
【0011】
上記発明においては、前記駆動部は、前記第2通信部から与えられた動作命令を記憶する記憶部を有し、前記第2通信部が動作開始指示信号を受信したときに、前記記憶部に記憶された動作命令に応じて対応する機構ユニットを駆動するように構成されていることが好ましい。
【0012】
上記発明においては、前記第1通信部と複数の前記第2通信部とは、通信線によりツリー状に接続されていることが好ましい。
【0013】
上記発明においては、前記第1通信部と前記第2通信部との間に設けられており、前記第1通信部側の前記通信線に接続される第1接続口を1つ有し、前記第2通信部側の前記通信線に接続される第2接続口を複数有し、前記第1通信部と前記第2通信部との間の通信を中継する中継部を更に備える構成とすることが好ましい。
【0014】
これにより、中継部より第1通信部側の配線数が、中継部より第2通信部側の配線数よりも少なくなるので、配線数を少なくすることができ、配線の取り扱いが容易となる。
【0015】
上記発明においては、前記第1通信部と前記第2通信部との通信を、シリアル通信により行うように構成されていることが好ましく、またこの場合には、前記第1通信部と前記第2通信部との通信を、パケット通信により行うように構成されていることがより一層好ましい。
【0016】
これにより、複数の第2通信部への複数の通信パケットを共通の通信線で伝送することができ、配線数を少なくすることが可能となる。
【0017】
上記発明においては、前記第1通信部から前記第2通信部へと送信されるパケットには、複数の前記機構ユニットへの一斉送信用のパケットであるか否かを示す通信情報が含まれていることが好ましい。
【0018】
上記発明においては、前記第2通信部は、動作命令を受信した場合に、受信したことを確認するための受信確認パケットを前記第1通信部へ送信するように構成されており、前記第1通信部は、全ての第2通信部から受信確認パケットを受信した場合に、動作開始指示信号を送信するように構成されていることが好ましい。
【0019】
上記発明においては、前記機構ユニットの少なくとも一部は、機構ユニットの状態を検出する検出部を有しており、前記検出部の検出結果を記憶する検出結果記憶部が、前記機構ユニットに対応して設けられており、前記動作指示部は、各検出部が検出した機構ユニットの状態を取得するための状態取得命令を発行するように構成されており、前記第1通信部は、前記動作指示部が発行した状態取得命令を、複数の前記機構ユニットに対して一斉送信するように構成されており、前記検出結果記憶部は、前記第2通信部が前記状態取得命令を受信した場合に、前記検出部の検出結果を記憶するように構成されており、前記第2通信部は、前記状態取得命令を受信したときに前記検出結果記憶部が記憶した検出結果を、前記動作指示部へと送信するように構成されていることが好ましい。
【0020】
これにより、複数の機構ユニット間で同期して状態を検出し、これらの検出結果を動作指示部が取得することができる。
【0021】
上記発明においては、前記検体は、血液検体であり、当該血液検体について所定の測定項目の測定を行う構成とすることが可能である。また、この場合においては、前記複数の機構ユニットは、血液検体が収容された収容容器から血液検体を吸引する検体吸引ユニットと、前記血液検体と混合するための試薬が収容された試薬容器から、試薬を吸引する試薬吸引ユニットと、前記検体吸引ユニットにより吸引された血液検体と前記試薬吸引ユニットによって吸引された試薬とを混合する流体ユニットと、当該流体ユニットにより混合された混合試料を対象として、前記測定項目を光学的手段により測定する光学測定ユニットとを備える構成とすることもできる。
【0022】
上記発明においては、前記検体は、尿検体であり、当該尿検体について所定の測定項目の測定を行う構成とすることもできる。
【0023】
上記発明においては、前記検体は、粒子を含む粒子検体であり、当該粒子検体について所定の測定項目の測定を行う構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る測定装置の制御方法、及び測定装置によれば、各機構ユニットを同期的に動作させることが可能であると共に、複数の機種の開発の効率化を可能とし、製品コストを削減することが可能である等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態に係る測定装置の制御方法、及び測定装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る測定装置の概略構成を示す斜視図である。本実施の形態に係る測定装置1は、血液検体の凝固反応の検査に供される血液凝固測定装置である。図1に示すように、本実施の形態に係る測定装置1は、血液検体の分注に使用される検体用分注アームユニット2と、試薬の分注に使用される試薬用分注アームユニット3,4と、キュベット及び試薬容器を保持するテーブルユニット5と、測定試料の凝固の程度を検出する光学式の検出ユニット6と、血液検体を搬送する搬送ユニット7とを備えている。測定装置1は、ユーザが手作業で、又は外部に設けられた自動搬送装置が自動的に、血液検体が収容された複数の検体容器を保持するラック(図示せず)を搬送ユニット7に載置することにより血液検体が供給されるようになっている。ラックが搬送ユニット7に載置されたときには、載置されたラックが搬送ユニット7により所定の検体吸引位置へと搬送される。搬送ユニット7によりラックが検体吸引位置に搬送された場合には、このラックに保持された検体容器から検体用分注アームユニット2が血液検体を所定量吸引し、テーブルユニット5に着脱可能にセットされたキュベット内に血液検体を吐出する。また、テーブルユニット5には試薬が収容された複数の試薬容器が着脱可能にセットされており、試薬容器から試薬用分注アームユニット3,4のいずれか一方又は両方が試薬を所定量吸引し、血液検体が収容されたキュベットへと試薬を吐出する。このようにして、血液検体と試薬とが混合された測定試料が作成される。
【0027】
このような測定試料を収容したキュベットは、図示しない移送ユニットによりテーブルユニット5から検出ユニット6に移送される。検出ユニット6では、キュベットが所定時間、所定温度まで加温され、その後測定試料の凝固の程度が光学的に検出される。検出ユニット6は、生物活性法を利用して血液の凝固時間を測定することが可能であり、また、合成基質法を利用して、血漿に特定の試薬及び発色性合成基質を添加したときの吸光度変化量を測定することが可能であり、また、免疫比濁法を利用して、血漿又は血清に安定化試薬及び抗体感作試薬を添加したときの吸光度変化量を測定することが可能である。測定装置1は、コンピュータにより構成されたデータ処理装置(図示せず)にLAN、LANケーブル、又はシリアル通信線等の通信媒体によりデータ通信可能に接続されている。検出ユニット6によって検出された結果のデータは、データ処理装置へと送信され、このデータ処理装置でデータの分析処理がなされる。また、測定が終了したキュベットは、図示しない廃棄機構により検出ユニット6から取り出され、測定装置1の下部に設けられた廃棄容器(図示せず)へと排出される。
【0028】
次に、各ユニットの構成について詳細に説明する。図2は、図1で示した検体用分注アームユニット2(試薬用分注アームユニット3,4)の構成を示す斜視図である。ここでは、図2にしたがって検体用分注アームユニット2の構成について説明するが、試薬用分注アームユニット3,4の構成も概ね同様であるので、これらの構成要素については対応する検体用分注アームユニットの構成要素の後に括弧書きにて符号を記載し、その説明を省略する。図2に示すように、検体用分注アームユニット2(試薬用分注アームユニット3,4)は、上下方向へ伸びた針状のピペット21(31,41)を備えている。ピペット21(31,41)は、内部に空洞を有する管状に形成されており、その上端が後述する流体ユニット8に接続されている。このピペット21(31,41)は略水平方向に長いアーム22(32,42)の先端に取り付けられている。アーム22(32,42)の基端は上下方向へ伸びた回転軸23(33,43)の上端に固着されており、この回転軸23(33,43)がその中心軸を中心として回転することによりアーム22(32,42)が揺動可能となっている。回転軸23(33,43)は上下方向へ移動する移動支持体24(34,44)に回転可能に支持されており、この移動支持体24(34,44)は、測定装置1の内部に設けられたフレーム(図示せず)に固定された基台25(35,45)に上下方向に移動可能に取り付けられている。回転軸23(33,43)の下端部には従動プーリ26a(36a,46a)が同軸的に固着されている。移動支持体24(34,44)には、出力軸27a(37a,47a)が上方へ突出したステッピングモータ27(37,47)が取り付けられており、この出力軸27a(37a,47a)には主動プーリ26b(36b,46b)が同軸的に固着されている。主動プーリ26b(36b,46bと従動プーリ26a(36a,46a)とには環状のベルト26c(36c,46c)が架け渡されており、ステッピングモータ27(37,47)の出力軸27a(37a,47a)の回転運動を回転軸23(33,43)へと伝達することができるようになっている。
【0029】
また、移動支持体24(34,44)には、ステッピングモータ28(38,48)が取り付けられている。このステッピングモータ28(38,48)の出力軸28a(38a,48a)は水平に伸びている。また、移動支持体24(34,44)のステッピングモータ28(38,48)の下側には、ステッピングモータ28(38,48)の出力軸28a(38a,48a)と平行な回転軸(図示せず)が設けられており、この回転軸と出力軸28a(38a,48a)との間には環状のベルト29(39,49)が架け渡されている。かかるベルト29(39,49)はその一部が基台25(35,45)に固定されており(図示せず)、これにより、ステッピングモータ28(38,48)が動作した場合に、出力軸28a(38a,48a)の回転方向にしたがって、移動支持体が上下に移動することとなる。
【0030】
これにより、ピペット21が検体容器の上方に位置するまでステッピングモータ27が動作することによって、アーム22が回転軸23を中心として水平方向に回転し、ピペット21が検体容器上に位置した状態でステッピングモータ28が動作することによって、移動支持体24か下方に移動してピペット21が上部が開口された検体容器の内部に挿入される。ピペット21の先端が血液検体の中まで進入したときに移動支持体24の降下が停止し、その状態で流体ユニットが動作してピペット21の先端から血液検体が吸引される。その後、ステッピングモータ28が動作することによって、移動支持体24が上方に移動してピペット21が検体容器の上方まで移動し、更にステッピングモータ27が動作することによって、アーム22が回転軸23を中心として水平方向に回転して、ピペット21がテーブルユニット5にセットされたキュベットの上方に位置する。そして、ステッピングモータ28が動作することによって、移動支持体24か下方に移動してピペット21が上部が開口されたキュベットの内部に挿入され、流体ユニット8が動作してピペット21の先端から血液検体が吐出される。血液検体の吐出が完了した後には、ステッピングモータ28が動作することにより、ピペット21がキュベットの内部から上方へ離脱する。
【0031】
また、試薬用分注アームユニット3,4のピペット31,41には、ヒータ31a,41aが取り付けられており、吸引した試薬を所定温度に加温することが可能となっている(図8参照)。試薬用分注アームユニット3,4も同様に動作し、試薬容器内の試薬を吸引して、所定位置にセットされたキュベット内に試薬を吐出することができる。
【0032】
図3は、図1に示したテーブルユニット5の構成を示す斜視図である。図3に示すように、テーブルユニット5は、互いに同軸的に配置された円環状の試薬テーブル51,52及び検体テーブル53,54を備えている。試薬テーブル51は、円柱状の凹部51aが周方向に複数設けられており、これらの凹部51aに夫々試薬容器を着脱可能にセットすることができるようになっている。また、試薬テーブル52は、試薬テーブル51の外側に同軸的に配置されている。この試薬テーブル52は、内側が第1試薬セット部52a、外側が第2試薬セット部52bとなっており、内側の第1試薬セット部52aが外側の第2試薬セット部52bよりも一段高くなるように形成されている。第1試薬セット部52a、第2試薬セット部52bは、夫々円柱状の凹部52c,52dが周方向に複数設けられており、これらの凹部52c,52dに夫々試薬容器を着脱可能にセットすることができるようになっている。また、円柱状の凹部52c,52dは、試薬テーブル52の半径方向外側部分が欠落している。また、試薬容器には試薬の種類等を示すバーコードが印刷されたバーコードラベルが貼着されており、試薬容器が試薬テーブル51,52にセットされるときには、このバーコードラベルが試薬テーブル51,52の半径方向外側に位置するようにセットされる。試薬テーブル52にセットされた試薬容器は、バーコードラベルが丁度欠落部分に位置し、これによりバーコードラベルが露出されることとなる。これにより後述するようにバーコードラベルがバーコードリーダで読み取ることが可能となっている。
【0033】
検体テーブル53は、円環状の中間壁55を隔てて試薬テーブル52の外側に同軸的に配置されている。また、検体テーブル54は、検体テーブル53の外側に同軸的に配置されている。検体テーブル53,54には、夫々円柱状の凹部53a,54aが円周方向に複数設けられており、これらの凹部53a,54aに夫々キュベットを着脱可能にセットすることができるようになっている。また、検体テーブル54は、円環状の外壁56によって外側が覆われている。このような検体テーブル53,54は、試薬テーブル51,52よりも高い位置に配置されている。即ち、テーブルユニット5の下部は、検体テーブル53,54よりも試薬テーブル51,52の方が下方に突出しており、その検体テーブル53,54の下方であって試薬テーブル51,52の側方の位置には、バーコードリーダ57が設けられている。試薬テーブル51,52及び検体テーブル53,54の下部はカバー58によって覆われており、このカバー58の上端に前記外壁56が取り付けられている。カバー58のバーコードリーダ57の取り付け位置近傍には、図示しない孔が設けられており、この孔を通じてバーコードリーダの発光が試薬テーブル51,52にセットされた試薬容器へと到達するようになっている。前述したように、試薬テーブル52の凹部52c,52dは一部が欠落しており、この欠落部から露出されたバーコードラベルにバーコードリーダ57からの発光が照射され、これによってバーコードリーダ57によるバーコードの読み取りが可能となっている。
【0034】
また、図3には示していないが、検体テーブル53,54の下方には、4つのステッピングモータ59a,59b,59c,59dが設けられている(図9参照)。ステッピングモータ59aは、歯車によって構成される回転伝達機構(図示せず)により試薬テーブル51に接続されており、このステッピングモータ59aが動作することによって試薬テーブル51が正逆方向のいずれか一方に選択的に回転することが可能となっている。また、同様にステッピングモータ59b,59c,59dは夫々歯車によって構成された回転伝達機構によって試薬テーブル51、検体テーブル53,54に各別に接続されている。これにより、ステッピングモータ59a,59b,59c,59dを夫々独立的に動作させることによって、試薬テーブル51,52及び検体テーブル53,54を独立して回転させることが可能となっている。
【0035】
更に、試薬テーブル51,52の下方にはペルチェ冷却装置59eが設けられている。このペルチェ冷却装置59eは、冷却面が試薬テーブル51,52の下面に、熱伝導率の高い金属等の熱伝導板を介して取り付けられており、このペルチェ冷却装置59eが動作することにより試薬テーブル51,52を冷却することができるようになっている。また、試薬テーブル51,52と検体テーブル53,54との間に設けられた中間壁55により、ペルチェ冷却装置59eの冷却熱は概ね遮断され、検体テーブル53,54はペルチェ冷却装置59eによっては冷却されないようになっている。なお、このような構成に限定されるものではなく、ペルチェ冷却装置59eによって検体テーブル53,54と試薬テーブル51,52とを同時に冷却する構成としてもよいし、冷却装置としてペルチェ冷却装置59eの代わりに他の熱交換器を用いてもよい。
【0036】
図4は、流体ユニットの概略構成を示す流体回路図である。図4に示すように、流体ユニット8には、5つのシリンジポンプ81〜85が設けられている。各シリンジポンプ81〜85には、ステッピングモータ81a,82a,83a,84a,85aが各別に取り付けられており、ステッピングモータ81a,82a,83a,84a,85aが動作することにより、その回転運動が直線運動に変換されてシリンジポンプ81,82,83,84,85のピストン81b,82b,83b,84b,85bに各別に伝達され、これらのピストン81b,82b,83b,84b,85bが夫々シリンダに挿入され、又はシリンダから引き出されるようになっている。
【0037】
検体用分注アームユニット2のピペット21は、シリンジポンプ81に流体通流用のチューブを介して接続されており、シリンジポンプ81が動作することにより検体を吸引し、また検体を吐出することができるようになっている。また、試薬用分注アームユニット3のピペット31は、シリンジポンプ82にチューブを介して接続されており、試薬用分注アームユニット4のピペット41は、シリンジポンプ83にチューブを介して接続されている。これにより、シリンジポンプ83を動作させることによってピペット31に試薬を吸引させ、また試薬を吐出させることができ、シリンジポンプ84を動作させることによってピペット41に試薬を吸引させ、また試薬を吐出させることができる。
【0038】
また、流体ユニット8には、洗浄液貯留用のチャンバ86aが設けられており、このチャンバ86aからは洗浄液を送出するためのチューブが延設されている。このチューブは途中で分岐しており、一方が電磁弁87aの接続ポートに接続され、他方が電磁弁87bの接続ポートに接続されている。電磁弁87a,87bは、夫々2方口式の電磁弁である。電磁弁87aの他方の接続ポートには、チューブの一端が接続されており、このチューブの他端がシリンジポンプ84に接続されている。同様に、電磁弁87bの他方の接続ポートは、チューブによってシリンジポンプ85に接続されている。このように、チャンバ86aとシリンジポンプ84とは、途中に電磁弁87aが設けられた流路88aを介して接続されており、チャンバ86aとシリンジポンプ85とは、途中に電磁弁87bが設けられた流路88bを介して接続されている。なお、以下の説明においては、流路は流体通流用のチューブによって構成されているものとし、電磁弁は2方口式の電磁弁であるものとする。
【0039】
シリンジポンプ84は、その吸引・吐出口が、途中に電磁弁87cが設けられた流路88cに接続されており、シリンジポンプ85は、吸引・吐出口が、途中に電磁弁87dが設けられた流路88dに接続されている。これらの流路は合流しており、更にその先が6つの流路88e,88f,88g,88h,88i,88jに分岐している。この内の3つの流路88e,88g,88iは、シリンジポンプ81,82,83と各別に接続されている。また、流路88e,88g,88iの途中には夫々電磁弁87e,87g,87iが設けられている。
【0040】
この流体ユニット8には、ピペット21,31,41を夫々洗浄するための3つの洗浄スピッツ89a,89b,89cが設けられている。各洗浄スピッツ89a,89b,89cには、ピペット21,31,41を収容する空間が夫々設けられており、夫々の空間には洗浄液を吐出する吐出口と、洗浄液を排出する排出口とが開口している。洗浄スピッツ89aの吐出口には、流路88fが接続されており、洗浄スピッツ89bの吐出口には、流路88hが接続されており、洗浄スピッツ89cの吐出口には、流路88jが接続されている。また、流路88f,88h,88jの途中には夫々電磁弁87f,87h,87jが設けられている。これにより、各洗浄スピッツ89a,89b,89cは、ピペット21,31,41を収容した状態で、吐出口から洗浄液を吐出することによりピペット21,31,41の外側を洗浄することができるようになっている。また、洗浄後の廃液は、排出口から排出される。
【0041】
洗浄スピッツ89a,89b,89cの夫々の排出口からは、夫々流路88k,88m,88nが延設されており、これらの流路88k,88m,88nが合流して、この合流流路が廃液を貯留するチャンバ89dに接続されている。流路88kの途中には、電磁弁87kが設けられており、同様に流路88m,88nの夫々の途中には、電磁弁87m,87nが夫々設けられている。
【0042】
かかる構成により、ピペット21を洗浄する場合には、以下のような手順で流体ユニット8を動作させる。まず、ピペット21を移動させて洗浄スピッツ89aの内部に収容し、シリンジポンプ81のシリンダは所定位置まで引き出しておく。また、電磁弁87a(又は電磁弁87b)を開放し、電磁弁87c(又は電磁弁87d)を閉塞した状態で、シリンジポンプ84(又はシリンジポンプ85)のピストンを引いて、チャンバ86aから洗浄液を吸引する。その後電磁弁87a(又は電磁弁87b)を閉塞させ、電磁弁87c(又は電磁弁87d)を開放させ、電磁弁87e,87fを開放させる。また、このとき電磁弁87g〜87jは閉塞させ、電磁弁87kは開放させておく。この状態でシリンジポンプ84(又はシリンジポンプ85)のピストンをシリンダの奥まで進行させる。これにより、シリンジポンプ84(又はシリンジポンプ85)から洗浄液が流路88eを通じてシリンジポンプ81及びピペット21へと通流し、ピペット21の先端から放出されて、ピペット21の内側が洗浄される。また、洗浄液は流路88fを通じて洗浄スピッツ89aの空間内に吐出され、これによりピペット21の外側が洗浄される。洗浄によって生じた廃液は、流路88mを通じてチャンバ89dへと排出される。ピペット31を洗浄する場合には、ピペット31を洗浄スピッツ89b内まで移動させ、シリンジポンプ84(又はシリンジポンプ85)から洗浄液を排出するときに、電磁弁87e,87f,87kを開放する代わりに、電磁弁87g,87h,87mを開放すればよく、ピペット41を洗浄する場合には、ピペット41を洗浄スピッツ89c内まで移動させ、シリンジポンプ84(又はシリンジポンプ85)から洗浄液を排出するときに、電磁弁87e,87f,87kを開放する代わりに、電磁弁87i,87j,87nを開放すればよい。
【0043】
以上のような検体用分注アームユニット2、試薬用分注アームユニット3,4、テーブルユニット5、及び流体ユニット8を含む機構ユニットは、次のような制御部9によって動作制御される。図5は、測定装置1の制御部9と各機構ユニットとの接続関係を示すブロック図である。図5に示すように、制御部9は、CPU91aと、ROM91bと、RAM91cと、マスタ通信インタフェース91dとを備えている。CPU91aは、ROM91bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM91cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。ROM91bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU91aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータ等が記録されている。RAM91cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM91cは、ROM91bに記録されているコンピュータプログラムを実行するときに、CPU91aの作業領域として利用される。
【0044】
図5に示すように、CPU91aは、データ通信用のバス91eを介して、ROM91b、RAM91c、及びマスタ通信インタフェース91dに接続されている。また、詳しくは後述するが、各機構ユニット2,3,4,5,6,7,8,…には、各別にスレーブ通信インタフェースとドライブ回路とが付設されている。即ち、検体用分注アームユニット2には、スレーブ通信インタフェース210と、ドライブ回路220とが付設されており(図7参照)、試薬用分注アームユニット3には、スレーブ通信インタフェース310と、ドライブ回路320とが付設されている(図8参照)。他の機構ユニット4,5,6,7,8,…についても同様である。そして、スレーブ通信インタフェース、ドライブ回路、及び機構ユニットによって機能ブロックが構成されている。つまり、検体用分注アームユニット2、スレーブ通信インタフェース210、及びドライブ回路220によって機能ブロックである検体用分注アームブロック200が構成されており(図7参照)、試薬用分注アームユニット3、スレーブ通信インタフェース310、及びドライブ回路320によって機能ブロックである試薬用分注アームブロック300が構成されている(図8参照)。同様に、試薬用分注アームユニット4、テーブルユニット5、流体ユニット8は、スレーブ通信インタフェースとドライブ回路とによって夫々試薬用分注アームブロック400、テーブルブロック500、流体ブロック800を構成し、図示しないが、検出ユニット6、搬送ユニット7、その他の機構ユニットもまた、スレーブ通信インタフェースとドライブ回路とによって夫々機能ブロックを構成している。
【0045】
マスタ通信インタフェース91dは、各機能ブロック200,300,400,500,…,800,…とCPU91aとが通信を行うためのシリアル通信インタフェースであり、後述するようにスレーブ通信インタフェースとパケット通信を行うようになっている。このマスタ通信インタフェース91dからは、各機能ブロック200,300,400,500,…,800,…に対するデータ通信用の信号伝送ケーブル92aが延設されている。この信号伝送ケーブル92aには、通信の中継用のハブ93aが接続されている。ハブ93aには、後述するようにマスタ側の1つの接続ポート101と、スレーブ側の複数の接続ポート102a,102b,102c,102d,…とが設けられている(図6参照)。前述した信号伝送ケーブル92aは、マスタ側の接続ポート101に接続されている。ハブ93aのスレーブ側の3つの接続ポートには、3つの信号伝送ケーブル92b,92c,92dの一端が夫々接続されており、これらの信号伝送ケーブル92b,92c,92dの他端は、ハブ93b,93c,93dのマスタ側の接続ポートに夫々接続されている。また、ハブ93bのスレーブ側の1つの接続ポートには、信号伝送ケーブル92eが接続されており、この信号伝送ケーブル92eは検体用分注アームブロック200に接続されている。つまり、制御部9と検体用分注アームブロック200とは、2つのハブ93a,93bを中継して接続されている。
【0046】
また、ハブ93bのもう1つのスレーブ側接続ポートは、信号伝送ケーブル92fを介してハブ93eのマスタ側接続ポートに接続されており、ハブ93eの1つのスレーブ側接続ポートは、信号伝送ケーブル92gを介して試薬用分注アームブロック300に接続されている。このように、制御部9と試薬用分注アームブロック300とは、3つのハブ93a,93b,93eを中継して接続されている。
【0047】
また、ハブ93cのスレーブ側接続ポートの1つは、信号伝送ケーブル92hを介して試薬用分注アームブロック400に接続されており、ハブ93cのもう1つのスレーブ側接続ポートは、信号伝送ケーブル92iを介してテーブルブロック500に接続されている。更に、ハブ93dのスレーブ側接続ポートの1つは、信号伝送ケーブル92jを介して流体ブロック800に接続されている。つまり、制御部9は、ハブ93a,93cを中継して試薬用分注アームブロック400及びテーブルブロック500に夫々接続されており、ハブ93a,93dを中継して流体ブロック800に接続されている。
【0048】
このように、ハブ93a〜93eは、制御部9と機能ブロック200,300,400,500,…,800,…との通信の中継に使用され、制御部9と機能ブロック200,300,400,500,…,800,…との間を1つのハブで中継することもできるし、複数のハブで中継することもできる。また、上述したようにハブ93a〜93eは、1つのマスタ側接続ポート101と、複数のスレーブ側接続ポート102a,102b,102c,102d,…とを備えており、マスタ側接続ポート101は、常にコマンド送信側、即ち制御部9側のデバイス(制御部9、又は他のハブ)に接続され、スレーブ側接続ポート102a,102b,102c,102d,…は、常にコマンド受信側、即ち機能ブロック側のデバイス(機能ブロック、又は他のハブ)に接続される。つまり、制御部9を直接各機能ブロック200,300,400,500,…,800,…に接続させるのではなく、ハブ93a〜93eを介して接続させることにより、制御部9が1つの接続ポートしか有していなくても、制御部9を複数の機能ブロック200,300,400,500,…,800,…と接続させることができる。つまり、制御部9に多くの通信用接続ポートを設ける必要がなく、また、機能ブロックの数に接続ポート数を合わせて制御部9を設計する必要がない。また、制御部9をルートノードとしてツリー状に接続することとしたため、同数の機能ブロックを接続する場合にも様々な接続形態をとることが可能であり、接続形態の自由度が高い。
【0049】
次に、ハブの構成について詳細に説明する。図6は、図5のハブの構成を示すブロック図である。図6に示すように、ハブ93aは、1つのマスタ側接続ポート101と、複数のスレーブ側接続ポート102a,102b,102c,102d,…とを備えている。上述したように、接続ポート101は、信号伝送ケーブルによって制御部9又は他のハブのスレーブ側接続ポートに接続され、接続ポート102a,102b,102c,102d,…は、信号伝送ケーブルによって機能ブロック又は他のハブのマスタ側接続ポートに接続される。これらの接続ポート101,102a,102b,102c,102d,…には、FPGA又はASIC等によって構成された通信回路103が電気信号線を介して接続されている。通信回路103には、マスタ側の送信部104及び受信部105、ルートセレクト部106、スレーブ側の送信部107a,107b,107c,107d,…及び受信部108a,108b,108c,108d,…が部分回路として設けられている。接続ポート101は、送信部104及び受信部105と通信可能に接続されている。かかる送信部104及び受信部105は、夫々送信用バッファ及び受信用バッファを有しており、送信用バッファに格納されたデータがマスタ側の接続ポート101から外部へ送信され、マスタ側の接続ポート101に送られたデータが受信用バッファに書き込まれるようになっている。また、接続ポート102a,102b,102c,102d,…は、夫々送信部107a,107b,107c,107d,…及び受信部108a,108b,108c,108d,…と通信可能に接続されている。かかる送信部107a,107b,107c,107d,…も送信部104と同様に送信用バッファを有しており、受信部108a,108b,108c,108d,…も受信部105と同様に夫々受信用バッファを有していて、送信部107a(107b,107c,107d,…)の送信用バッファに格納されたデータがスレーブ側の接続ポート102a(102b,102c,102d…)から外部へ送信され、スレーブ側の接続ポート102a(102b,102c,102d…)に送られたデータが受信部108a(108b,108c,108d,…)の受信用バッファに書き込まれるようになっている。
【0050】
マスタ側の送信部104及び受信部105並びにスレーブ側の送信部107a,107b,107c,107d,…及び受信部108a,108b,108c,108d,…は、ルートセレクト部106に夫々接続されている。また、ルートセレクト部106には、通信回路103の外部に設けられたディップスイッチ等の設定部109が接続されており、ユーザが設定部109を用いてこのハブのマスタ側からの段数、即ち、制御部9から数えて何段目のハブであるかを設定することができるようになっている。ルートセレクト部106は、制御部9から機能ブロックへと送信されたパケットを受信部105から読み出し、このパケットから設定部109の設定値に対応したアドレスを抽出し、このアドレスを解釈してスレーブ側の送信部107a,107b,107c,107d,…の中からあて先の機能ブロックが接続されている送信部を選択し、この送信部にパケットを書き込むようになっている。また、機能ブロックから送信されたパケットは、あて先が制御部9だけであり、ルート振り分けの必要がないため、ルートセレクト部106は受信部108a,108b,108c,108d,…から読み出したパケットについては解析を行わず、そのまま送信部104に書き込むようになっている。
【0051】
次に、各機能ブロックの構成について説明する。図7は、検体用分注アームブロック200の構成を示すブロック図である。図7に示すように、検体用分注アームブロック200は、検体用分注アームユニット2と、スレーブ通信インタフェース210と、ドライブ回路220とによって構成されている。スレーブ通信インタフェース210は、制御部9に対して通信を行うための通信インタフェースであり、ハブ93bのスレーブ側接続ポートに接続された信号伝送ケーブル92eが接続されている。このスレーブ通信インタフェース210には、機能ブロック200を特定するためのアドレスが設定されており、制御部9は、このアドレスで検体用分注アームブロック200を指定してデータを送信することができる。また、スレーブ通信インタフェース210は、ドライブ回路220と相互にデータ通信可能に接続されている。ドライブ回路220は、送信バッファ221と、受信バッファ222と、モータドライバ223とを備えている。送信バッファ221は、検体用分注アームブロック200から制御部9へ送信するデータを格納するためのバッファであり、受信バッファ222は、制御部9から受信したデータを格納するためのバッファである。この送信バッファ221に書き込まれたデータがスレーブ通信インタフェース210に読み出されて制御部9へと送信され、またスレーブ通信インタフェース210が制御部9から受信したデータが受信バッファ222に書き込まれる。また、受信バッファ222に書き込まれたデータは、モータドライバ223に与えられる。モータドライバ223は、ステッピングモータを駆動することが可能な回路であり、スレーブ通信インタフェース210から動作開始指示を直接(受信バッファ222を介さずに)受付けることが可能となっている。モータドライバ223は、スレーブ通信インタフェース210から当該動作開始指示を受付けた場合には、制御部9から送信された制御データを受信バッファ222から読み出し、当該制御データに応じてステッピングモータ27,28を各別に駆動するようになっている。
【0052】
また、検体用分注アームユニット2には、ステッピングモータ27の回転角度を検出することが可能なロータリエンコーダ231と、ステッピングモータ28の回転角度を検出することが可能なロータリエンコーダ232とが設けられている。ロータリエンコーダ231,232は、夫々電気信号線を通じてドライブ回路220に接続されており、ロータリエンコーダ231,232の出力データは、所定のサンプリング周期毎に送信バッファ221に書き込まれるようになっている。スレーブ通信インタフェース210は、適宜のタイミングで送信バッファ221に格納されているロータリエンコーダ231,232の検出データを読み出し、制御部9へと送信することができるようになっている。
【0053】
次に、試薬用分注アームブロック300,400の構成について説明する。図8は、試薬用分注アームブロック300(400)の構成を示すブロック図である。図8に示すように、試薬用分注アームブロック300(400)は、試薬用分注アームユニット3(4)と、スレーブ通信インタフェース310と、ドライブ回路320とによって構成されている。スレーブ通信インタフェース310には、試薬用分注アームブロック300(400)を特定するためのアドレスが割り当てられている。スレーブ通信インタフェース310のその他の構成については、検体用分注アームブロック200のスレーブ通信インタフェース210の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0054】
ドライブ回路320は、送信バッファ321と、受信バッファ322と、モータドライバ323と、ヒータドライバ324とを備えている。なお、送信バッファ321、受信バッファ322、及びモータドライバ323の構成は、検体用分注アームブロック200の送信バッファ221、受信バッファ222、及びモータドライバ223の構成と同様であるので、その説明を省略する。ヒータドライバ324は、ヒータ31aを駆動することが可能な回路であり、受信バッファ322に格納されているデータを読み出すことができると共に、スレーブ通信インタフェース310から動作開始指示を直接受付けることが可能となっている。かかるヒータドライバ324は、スレーブ通信インタフェース310から動作開始指示を受付けた場合には、制御部9から送信された制御データを受信バッファ322から読み出し、当該制御データに応じてヒータ31a(41a)を駆動するようになっている。
【0055】
また、試薬用分注アームユニット3(4)には、ステッピングモータ37(47)の回転角度を検出することが可能なロータリエンコーダ331と、ステッピングモータ48(48)の回転角度を検出することが可能なロータリエンコーダ332とが設けられており、ヒータ31a(41a)の温度を検出することが可能な熱伝対、サーミスタ等の温度センサ333が設けられている。ロータリエンコーダ331,332及び温度センサ333は、夫々電気信号線を通じてドライブ回路320に接続されており、ロータリエンコーダ331,332及び温度センサ333の出力データは、所定のサンプリング周期毎に送信バッファ321に書き込まれるようになっている。スレーブ通信インタフェース310は、適宜のタイミングで送信バッファ321に格納されているロータリエンコーダ331,332及び温度センサ333の検出データを読み出し、制御部9へと送信することができるようになっている。
【0056】
次に、テーブルブロック500の構成について説明する。図9は、テーブルブロック500の構成を示すブロック図である。図9に示すように、テーブルブロック500は、テーブルユニット5と、スレーブ通信インタフェース510と、ドライブ回路520とによって構成されている。スレーブ通信インタフェース510には、テーブルブロック500を特定するためのアドレスが割り当てられている。なお、スレーブ通信インタフェース510のその他の構成については、検体用分注アームブロック200のスレーブ通信インタフェース210の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0057】
ドライブ回路520は、送信バッファ521と、受信バッファ522と、モータドライバ523と、冷却装置ドライバ524とを備えている。なお、送信バッファ521、及び受信バッファ522の構成は、検体用分注アームブロック200の送信バッファ221、及び受信バッファ222の構成と同様であるので、その説明を省略する。モータドライバ523は、ステッピングモータを駆動することが可能な回路であり、テーブルユニット5のステッピングモータ59a,59b,59c,59dに電気信号線を通じて接続されている。かかるモータドライバ523は、受信バッファ522に格納されているデータを読み出すことができると共に、スレーブ通信インタフェース510から動作開始指示を直接受付けることが可能であり、この動作開始指示を受付けた場合には、制御部9から送信された制御データを受信バッファ522から読み出し、当該制御データに応じてステッピングモータ59a,59b,59c,59dを各別に駆動することができるようになっている。
【0058】
また、冷却装置ドライバ524は、ペルチェ冷却装置59eを駆動することが可能な回路であり、受信バッファ522に格納されているデータを読み出すことができると共に、スレーブ通信インタフェース510から動作開始指示を直接受付けることが可能となっている。当該冷却装置ドライバ524は、スレーブ通信インタフェース510から動作開始指示を受付けた場合には、制御部9から送信された制御データを受信バッファ522から読み出し、当該制御データに応じてペルチェ冷却装置59eを駆動するようになっている。
【0059】
また、テーブルユニット5には、ステッピングモータ59a,59b,59c,59dの回転角度を各別に検出することが可能なロータリエンコーダ531,532,533,534と、ペルチェ冷却装置59eの温度を検出することが可能な熱伝対、サーミスタ等の温度センサ535が設けられている。ロータリエンコーダ531,532,533,534及び温度センサ535は、夫々電気信号線を通じてドライブ回路520に接続されており、ロータリエンコーダ531,532,533,534及び温度センサ535の出力データは、所定のサンプリング周期毎に送信バッファ521に書き込まれるようになっている。スレーブ通信インタフェース510は、適宜のタイミングで送信バッファ521に格納されているロータリエンコーダ531,532,533,534及び温度センサ535の検出データを読み出し、制御部9へと送信することができるようになっている。
【0060】
次に、流体ブロック800の構成について説明する。図10は、流体ブロック800の構成を示すブロック図である。図10に示すように、流体ブロック800は、流体ユニット8と、スレーブ通信インタフェース810と、ドライブ回路820とによって構成されている。スレーブ通信インタフェース810には、流体ブロック800を特定するためのアドレスが割り当てられている。なお、スレーブ通信インタフェース810のその他の構成については、検体用分注アームブロック200のスレーブ通信インタフェース210の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0061】
ドライブ回路820は、送信バッファ821と、受信バッファ822と、モータドライバ823と、電磁弁ドライバ824とを備えている。なお、送信バッファ821、及び受信バッファ822の構成は、検体用分注アームブロック200の送信バッファ221、及び受信バッファ222の構成と同様であるので、その説明を省略する。モータドライバ823は、ステッピングモータを駆動することが可能な回路であり、流体ユニット8のステッピングモータ81a,82a,83a,84a,85aに電気信号線を通じて接続されている。かかるモータドライバ823は、受信バッファ822に格納されているデータを読み出すことができると共に、スレーブ通信インタフェース810から動作開始指示を直接受付けることが可能であり、この動作開始指示を受付けた場合には、制御部9から送信された制御データを受信バッファ822から読み出し、当該制御データに応じてステッピングモータ81a,82a,83a,84a,85aを各別に駆動することができるようになっている。
【0062】
また、電磁弁ドライバ824は、電磁弁87a,87b,87c,87d,87e,87f,87g,87h,87i,87j,87k,87m,87nを駆動することが可能な回路であり、受信バッファ822に格納されているデータを読み出すことができると共に、スレーブ通信インタフェース810から動作開始指示を直接受付けることが可能となっている。当該電磁弁ドライバ824は、スレーブ通信インタフェース810から動作開始指示を受付けた場合には、制御部9から送信された制御データを受信バッファ822から読み出し、当該制御データに応じて電磁弁87a,87b,87c,87d,87e,87f,87g,87h,87i,87j,87k,87m,87nを駆動するようになっている。
【0063】
また、テーブルユニット5には、ステッピングモータ81a,82a,83a,84a,85aの回転角度を各別に検出することが可能なロータリエンコーダ831,832,…と、流路中に設けられた複数の圧力センサ836,837,…が設けられている。ロータリエンコーダ831,832,833,834,835及び圧力センサ836,837,…は、夫々電気信号線を通じてドライブ回路820に接続されており、ロータリエンコーダ831,832,…及び圧力センサ836,837,…の出力データは、所定のサンプリング周期毎に送信バッファ521に書き込まれるようになっている。スレーブ通信インタフェース810は、適宜のタイミングで送信バッファ821に格納されているロータリエンコーダ831,832,…及び圧力センサ836,837,…の検出データを読み出し、制御部9へと送信することができるようになっている。
【0064】
次に、制御部9から機能ブロックへと送信されるパケットの構造について説明する。図11は、送信パケットの構造を示す模式図である。パケット900は、先頭ビットから順番に、同期部901、PRPTY部902、アドレス部903、コマンド部904、及びデータ部907の各セグメントを含んでいる。同期部901は、パケット900の開始を示すセグメントであり、ハブ93a〜93e及びスレーブ通信インタフェース210,310,410,510,…は、この部分を検出してパケット900の受信を開始する。
【0065】
PRPTY部902は、通信方向(制御部9から機能ブロックへ向かう方向及び機能ブロックから制御部9へ向かう方向)や、ブロードキャスト(全ての機能ブロック200,300,400,500,…へ向けた通信)かユニキャスト(特定の機能ブロックへ向けた通信)かを特定するためのデータ用のセグメントである。具体的には、PRPTY部902の中にM/Sビット902aと、BCビット902bとが含まれている。M/Sビット902aが“1”のときは、制御部9から機能ブロックへ向けられたパケットであることを示しており、M/Sビット902aが“0”のときは、機能ブロックから制御部9へ向けられたパケットであることを示している。また、BCビット902bが“1”のときは、ブロードキャスト通信であることを示しており、BCビット902bが“0”のときは、ユニキャスト通信であることを示している。
【0066】
アドレス部903は、パケット900の受信側のデバイス用のアドレスのセグメントである。図12は、パケットのアドレス指定の構造を示す図である。図12に示すように、アドレス部903は、16ビットのデータ空間であり、第1段ハブアドレス部903a、第2段ハブアドレス部903b、第3段ハブアドレス部903c、及びノードアドレス部903dの夫々4ビットのサブセグメントから構成されている。前述したように、測定装置1は、制御部9と機能ブロック200,300,400,500,…との間には、複数段(本実施の形態では3段)のハブ93a、93b,93c,93d,93e…を設けることが可能であり、第1段ハブアドレス部903aには、制御部9に直接接続されたハブのアドレスが格納され、第2段ハブアドレス部903bには、制御部9から数えて2段目のハブのいずれか一つのアドレスが格納され、第3段ハブアドレス部903cには、制御部9から数えて3段目のハブ、即ち機能ブロック200,300,400,500,…に直接接続されたハブのいずれか一つのアドレスが格納される。また、ノードアドレス部903dには、送信先のスレーブ通信インタフェースに割り当てられたアドレスが格納される。夫々のアドレス部903a〜903dは、4ビットのデータ空間であるので、第1段のハブは16個まで設けることができ、1つの上流側(マスタ側)のハブに繋がる下流側(スレーブ側)のハブは16個まで設けることができる。また、1つ第3段のハブに繋がる機能ブロックも16個まで設けることができる。
【0067】
図12に示すように、アドレス部903のデータが16進数表記で05AFである場合、第1段のハブのアドレスは0、第2段のハブのアドレスは5、第3段のハブのアドレスはA、機能ブロックのアドレスはFとなる。このパケット900は、制御部9のマスタ通信インタフェース91dにより生成され、マスタ通信インタフェース91dは、このパケット900に含まれる第1段ハブアドレス部903aのデータ“0”をアドレスとして有するハブ93aへと当該パケット900を送信する。また、このパケット900は、制御部9から機能ブロックへと送信されるので、上述したM/Sビット902aには、“1”が格納されている。パケット900を受信した第1段のハブ93aは、M/Sビット902aを参照して“1”が格納されていることを確認し、このパケット900からアドレス部903のデータを抽出する。そして、ハブ93aは、第1段のハブとして設定されているので、設定部109の設定値から次に送信すべきハブの段数が2段であることを特定し、第2段ハブアドレス部903bのデータ“5”をアドレスに有するハブ93bへと当該パケット900を送信する。第2段のハブ93bによってパケット900は受信され、同様にしてハブ93bがM/Sビット902aを参照して“1”が格納されていることを確認し、アドレス部903のデータを抽出し、第3段ハブアドレス部903cのデータ“A”をアドレスとして有するハブ93eへとパケット900を送信する。第3段のハブ93eは、M/Sビット902aを参照して“1”が格納されていることを確認し、パケット900からアドレス部903を抽出し、このアドレス部903のデータに含まれるノードアドレス部903dのデータ“F”を参照し、このアドレスを有する機能ブロック200へとパケットを送信する。このようにして、送信先の機能ブロック200へとパケット900が正確に送信される。
【0068】
コマンド部904は、機能ブロックのパケット受信後の処理内容を規定するデータ用のセグメントである。このコマンド部904にデータがない場合、即ち全ビットが“0”の場合には、パケットを受信したスレーブ通信インタフェースが受信確認パケットを制御部9へと送信するようになっている。受信確認パケットを制御部9が受信することにより、制御部9により機能ブロックにパケットが到達したことが確認される。また、コマンド部904には、ロードコマンドが格納される場合がある。ロードコマンドが含まれるパケット900は、常にブロードキャスト通信により全ての機能ブロック200,300,400,500,…へと一斉に送信される。つまり、ロードコマンドが含まれるパケット900のPRPTY部902のBCビット902bは、常に“1”となっている。コマンド部904にロードコマンドが格納されているパケットをスレーブ通信インタフェース210(310,410,…)が受信した場合には、スレーブ通信インタフェース210(310,410,…)が送信バッファ221(321,421,…)の各センサの出力データを読み出し、スレーブ通信インタフェース210(310,410,…)内に設けられているメモリ内に格納する。マスタ通信インタフェース91dは、各機能ブロック200,300,400,…へとセンサの出力データの送信要求パケットを順次送信し、この送信要求パケットをスレーブ通信インタフェースが受信した場合には、スレーブ通信インタフェース210(310,410,…)がメモリに格納されている出力データを含んだパケットを生成して制御部9へと送信する。マスタ通信インタフェース91dは、全ての機能ブロック200,300,400,…からセンサの出力データを受信した場合には、CPU91aに全てのセンサ出力データをまとめて与える。これにより、ロードコマンドを含むパケットが制御部9から各機能ブロック200,300,400,…へと送信された時点において、全機能ブロック200,300,400,…が有するセンサの出力データが略同時に夫々のスレーブ通信インタフェースにより取得され、これらの出力データが制御部9により後に回収されるので、制御部9は、ロードコマンドを送信した時点における全ての機構ユニット2,3,4,…の状態を取得することができる。
【0069】
また、コマンド部904には、ラッチコマンドが格納される場合がある。このラッチコマンドが含まれるパケット900は、ロードコマンドと同様に、常にブロードキャスト通信により全ての機能ブロック200,300,400,500,…へと一斉に送信される。つまり、ラッチコマンドが含まれるパケット900のPRPTY部902のBCビット902bは、常に“1”となっている。このラッチコマンドは、ドライブ回路220,320,420,…に機構ユニット2,3,4,…の駆動開始を指示するための信号である。制御部9は、かかるラッチコマンドを各機能ブロック200,300,400,…に送信する前に、夫々の機能ブロック200,300,400,…へ制御データを送信する。この制御データは、機構ユニットの制御の内容(例えば、ステッピングモータの回転方向、回転速度、回転角度等)、即ち機構ユニットへの動作命令を示すデータであり、CPU91aにより生成される。CPU91aは各機能ブロック200,300,400,…に夫々対応した複数の制御データを生成し、マスタ通信インタフェース91dに与える。マスタ通信インタフェース91dは、制御データに対応する機能ブロックのスレーブ通信インタフェースのアドレスをアドレス部903に含み、また後述するデータ部907に当該制御データを含むパケット900を生成し、機能ブロックへと送信する。かかる制御データのパケットは、マスタ通信インタフェース91dにより、全ての機能ブロック200,300,400,…へと向けて順次送信される。各スレーブ通信インタフェース210,310,410,…は、制御データを含むパケットを受信した場合には、受信確認を示すデータが格納された受信確認パケットを制御部9へと送信すると共に、受信バッファ222,322,422,…に制御データを夫々書き込み、待機する。マスタ通信インタフェース91dは、全ての制御データのパケットを送信した後、各機能ブロック200,300,400,…から受信確認パケットを受信する。そして、マスタ通信インタフェース91dは、全ての機能ブロック200,300,400,…から受信確認パケットを受信した後に、ラッチコマンドを含むパケットを生成し、全ての機能ブロック200,300,400,…へと向けて一斉に送信する。各スレーブ通信インタフェース210,310,410,…は、略同時にラッチコマンドを受信し、このラッチコマンドを受信した直後に、ドライブ回路220,320,420,…に含まれる各ドライバに動作開始指示を与える。各ドライバは、動作開始指示を受付けた場合には、制御部9から送信された制御データを受信バッファ222,322,422,…から読み出し、当該制御データに応じてデバイスを駆動する。これにより、全機能ブロック200,300,400,…が略同時にラッチコマンドを受信し、各ドライバが略同時にデバイスの駆動を開始するので、各機構ユニット2,3,4,5,…を同期的に動作させることができる。
【0070】
データ部907は、送信するデータ用のセグメントである。制御部9から機能ブロック200,300,400,…へと制御データを送信する場合には、パケット900の当該データ部907に前述した制御データが格納されることとなる。また、機能ブロック200,300,400,…から制御部9へとセンサの出力データを送信する場合には、パケット900のデータ部907にセンサの出力データが格納される。
【0071】
以上の如き構成とすることにより、マスタ通信インタフェース91dがラッチコマンドを含むパケットを送信したときに、各機構ユニット2,3,4,5,…が同期的に動作することとなり、機構ユニット2,3,4,5,…の同期制御が可能となる。しかも、機能ユニット2,3,4,5,…毎にスレーブ通信インタフェース210,310,410,510,…とドライブ回路220,320,420,520,…とを設けて機能ブロック200,300,400,500,…を構成したので、機能ブロック200,300,400,500,…と制御部9とが互いに独立しており、また機能ブロック200,300,400,500,…の構成に合わせて制御部9を構成する必要がなく、制御部9が多様な機能ブロックの構成に対応することができるので、複数の機種間で制御部9を共用することができる。また、機種により要求される仕様が異なる場合には、他機種と共用することが可能な機能ブロックは共用して、要求仕様を満たすように他の機能ブロックを構成し、これらの機能ブロックを制御部9に接続すればよいので、従来に比して測定装置の開発効率が向上する。例えば、上述した測定装置1に更に試薬用分注アームを増設する場合には、試薬用分注アームブロック300,400と同様の構成の新たな試薬分注用アームブロックを制御部9に接続されたハブの一つに接続し、制御プログラムを書き換えることで実現することができる。つまり、このような機能ブロックの追加によっては制御部9及びその他の測定装置1の構成部分を設計変更する必要がなく、従来に比して開発工数を低減することができる。
【0072】
また、機構ユニット2,3,4,5,…を同期制御するためには、各機構ユニット2,3,4,5,…の状態、即ち、各機構ユニットに設けられたセンサの出力データを同時に取得する必要が生じる場合があるが、ロードコマンドを制御部9が送信することにより、これを達成することができる。
【0073】
また、制御部9から複数のハブを中間ノードとして設け、各ハブの末端に機能ブロック200,300,400,500,…を繋げるツリー状の接続形態を採用したので、制御部9に多くの接続ポートを設ける必要がなく、制御部9の小型化が可能であり、また制御部9を機構ユニットの構成に合わせて設計する必要がなく、複数の装置間で共用化することができる。
【0074】
なお、本実施の形態においては、制御部9の接続ポートの数を1つとし、この制御部9に1つのハブ93aが接続される構成について述べたが、これに限定されるものではなく、制御部9に複数の接続ポートを設け、これらにハブ及び機能ブロックを接続する構成としてもよい。また、ハブを設けず、制御部9に直接複数の機能ブロックを接続してもよい。
【0075】
また、本実施の形態においては、測定装置1として血液凝固測定装置を使用した場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、血球分析装置、免疫分析装置、尿中有形成分分析装置、尿定性分析装置、便分析装置、粒子分析装置等、他の測定装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係る測定装置の動作を制御する制御方法、及び測定装置は、各機構ユニットを同期的に動作させることが可能であると共に、複数の機種間での設計及び構造の共用化、及び複数の機種の開発の効率化を可能とするという効果を奏し、測定装置の動作を制御する制御方法、及びその実施に使用する測定装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態に係る測定装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る測定装置が有する検体用分注アームユニットの構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る測定装置が有するテーブルユニットの構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る測定装置が有する流体ユニットの概略構成を示す流体回路図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る測定装置の制御部と各機構ユニットとの接続関係を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る測定装置が有するハブの構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る測定装置が有する検体用分注アームブロックの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る測定装置が有する試薬用分注アームブロックの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る測定装置が有するテーブルブロックの構成を示すブロック図である。
【図10】流体ブロックの構成を示すブロック図である。
【図11】送信パケットの構造を示す模式図である。
【図12】パケットのアドレス指定の構造を示す図である。
【図13】従来の測定装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0078】
1 測定装置
2 検体用分注アームユニット
21 ピペット
27,28 ステッピングモータ
200 検体用分注アームブロック
210 スレーブ通信インタフェース
220 ドライブ回路
221 送信バッファ
222 受信バッファ
223 モータドライバ
231,232 ロータリエンコーダ
3,4 試薬用分注アームユニット
31,41 ピペット
31a,41a ヒータ
37,38,47,48 ステッピングモータ
300,400 試薬用分注アームブロック
310 スレーブ通信インタフェース
320 ドライブ回路
321 送信バッファ
322 受信バッファ
323 モータドライバ
324 ヒータドライバ
333 温度センサ
331,332 ロータリエンコーダ
5 テーブルユニット
59a,59b,59c,59d ステッピングモータ
59e ペルチェ冷却装置
500 テーブルブロック
510 スレーブ通信インタフェース
520 ドライブ回路
521 送信バッファ
522 受信バッファ
523 モータドライバ
524 冷却装置ドライバ
531,532,533,534 ロータリエンコーダ
535 温度センサ
6 検出ユニット
7 搬送ユニット
8 流体ユニット
81a,82a,83a,84a,85a ステッピングモータ
87a,87b,87c,87d,… 電磁弁
800 流体ブロック
810 スレーブ通信インタフェース
820 ドライブ回路
821 送信バッファ
822 受信バッファ
823 モータドライバ
824 電磁弁ドライバ
831,832,833,834,835 ロータリエンコーダ
836,837,… 圧力センサ
9 制御部
91d マスタ通信インタフェース
91e バス
93a〜93e ハブ
900 パケット
901 同期部
902 PRPTY部
902a M/Sビット
902b BCビット
903 アドレス部
903a 第1段ハブアドレス部
903b 第2段ハブアドレス部
903c 第3段ハブアドレス部
903d ノードアドレス部
904 コマンド部
907 データ部
101 マスタ側接続ポート
102a,102b,102c,… スレーブ側接続ポート
103 通信回路
104 送信部
105 受信部
106 ルートセレクト部
107a,107b,107c,… 送信部
108a,108b,108c,… 受信部
109 設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体の測定に使用される複数の機構ユニットを備えた測定装置の動作を制御する制御方法において、
前記複数の機構ユニットの動作を指示する動作指示部が各機構ユニットに対応する動作命令を発行するステップと、
前記動作指示部に対応して設けられた第1通信部が、前記動作指示部により発行された動作命令を、対応する機構ユニットに対して順次的に送信するステップと、
各機構ユニットに対応して設けられた複数の第2通信部が、前記第1通信部から送信された動作命令を各別に受信するステップと、
各機構ユニットに対応して設けられた複数の駆動部が、前記第2通信部が受信した動作命令を一時的に記憶するステップと、
前記第1通信部が、複数の前記機構ユニットに対して動作開始を指示する動作開始指示信号を、一斉送信するステップと、
前記第2通信部が、前記第1通信部から送信された動作開始指示信号を受信するステップと、
前記駆動部が、対応する第2通信部が前記動作開始指示信号を受信したときに、記憶された動作命令に応じて前記機構ユニットを駆動するステップとを有する測定装置の制御方法。
【請求項2】
検体の測定に使用される複数の機構ユニットを備え、各機構ユニットを同期的に動作させることが可能な測定装置において、
複数の前記機構ユニットに夫々対応する動作命令を発行する動作指示部と、
当該動作指示部に対応して設けられており、前記動作指示部が発行した動作命令を、対応する機構ユニットに対して順次的に送信する第1通信部と、
各機構ユニットに対応して設けられており、前記第1通信部から送信された動作命令を受信する第2通信部と、
各機構ユニットに対応して設けられており、前記第2通信部が受信した動作命令に応じて前記機構ユニットを駆動する複数の駆動部とを備え、
前記第1通信部は、複数の前記機構ユニットに対して、各機構ユニットに対応する動作命令を順次送信した後に、複数の前記機構ユニットに対して、動作開始を指示する動作開始指示信号を一斉送信するように構成されており、
前記駆動部は、前記第2通信部が動作開始指示信号を受信したときに、前記第2通信部部から与えられた動作命令に応じて対応する機構ユニットを駆動するように構成されている測定装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記第2通信部から与えられた動作命令を記憶する記憶部を有し、前記第2通信部が動作開始指示信号を受信したときに、前記記憶部に記憶された動作命令に応じて対応する機構ユニットを駆動するように構成されている請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記第1通信部と複数の前記第2通信部とは、通信線によりツリー状に接続されている請求項2又は3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記第1通信部と前記第2通信部との間に設けられており、前記第1通信部側の前記通信線に接続される第1接続口を1つ有し、前記第2通信部側の前記通信線に接続される第2接続口を複数有し、前記第1通信部と前記第2通信部との間の通信を中継する中継部を更に備える請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記第1通信部と前記第2通信部との通信を、シリアル通信により行うように構成されている請求項2乃至5のいずれかに記載の測定装置。
【請求項7】
前記第1通信部と前記第2通信部との通信を、パケット通信により行うように構成されている請求項6に記載の測定装置。
【請求項8】
前記第1通信部から前記第2通信部へと送信されるパケットには、複数の前記機構ユニットへの一斉送信用のパケットであるか否かを示す通信情報が含まれている請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記第2通信部は、動作命令を受信した場合に、受信したことを確認するための受信確認パケットを前記第1通信部へ送信するように構成されており、
前記第1通信部は、全ての第2通信部から受信確認パケットを受信した場合に、動作開始指示信号を送信するように構成されている請求項7又は8に記載の測定装置。
【請求項10】
前記機構ユニットの少なくとも一部は、機構ユニットの状態を検出する検出部を有しており、
前記検出部の検出結果を記憶する検出結果記憶部が、前記機構ユニットに対応して設けられており、
前記動作指示部は、各検出部が検出した機構ユニットの状態を取得するための状態取得命令を発行するように構成されており、
前記第1通信部は、前記動作指示部が発行した状態取得命令を、複数の前記機構ユニットに対して一斉送信するように構成されており、
前記検出結果記憶部は、前記第2通信部が前記状態取得命令を受信した場合に、前記検出部の検出結果を記憶するように構成されており、
前記第2通信部は、前記状態取得命令を受信したときに前記検出結果記憶部が記憶した検出結果を、前記動作指示部へと送信するように構成されている請求項2乃至9のいずれかに記載の測定装置。
【請求項11】
前記検体は、血液検体であり、当該血液検体について所定の測定項目の測定を行う請求項2乃至10のいずれかに記載の測定装置。
【請求項12】
前記複数の機構ユニットは、血液検体が収容された収容容器から血液検体を吸引する検体吸引ユニットと、前記血液検体と混合するための試薬が収容された試薬容器から、試薬を吸引する試薬吸引ユニットと、前記検体吸引ユニットにより吸引された血液検体と前記試薬吸引ユニットによって吸引された試薬とを混合する流体ユニットと、当該流体ユニットにより混合された混合試料を対象として、前記測定項目を光学的手段により測定する光学測定ユニットとを備える請求項11に記載の測定装置。
【請求項13】
前記検体は、尿検体であり、当該尿検体について所定の測定項目の測定を行う請求項2乃至10のいずれかに記載の測定装置。
【請求項14】
前記検体は、粒子を含む粒子検体であり、当該粒子検体について所定の測定項目の測定を行う請求項2乃至10の何れかに記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−234623(P2006−234623A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50514(P2005−50514)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】