説明

湿分硬化結合剤

本発明は、(a)シラン変性されたポリウレタン及び(b)シラン変性されたアクリレートポリマーを含み、湿気の存在下で硬化可能な湿分硬化結合剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に工業および建築用途のための、ポリウレタンに基づいた湿分硬化結合剤に関する。本発明は、さらに、湿分硬化結合剤を製造するための2成分を含むキット、湿分硬化結合剤を製造する方法および湿分硬化結合剤から製造される湿分硬化した結合剤に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1つの反応性シラン基(これらのシラン基は、シリコンに結合したアルコキシ、アセトキシ、オキシム、ベンズアミドまたは塩素原子等の、ヒドロキシル基または加水分解性基を含むことができる)、好ましくは2個または3個の反応性シラン基を有し、かつ室温で架橋することができるシラン末端ポリウレタンは、接着剤およびシーラント、並びにさらにレベリング組成物、床被覆、ペンキおよびニス、ポッティング組成物、建物フォーム等の工業製品および建築製品を作製するために長い間使用されてきた。優れた特性プロフィールを有すると共に、商業的な枠内にとどまると感じられる製品に、これらを配合することができる。建築および建設において、継手は、たとえば、熱膨張または沈降過程によって生じる個々の構造エレメント間の移動を吸収させる役目をする。一般に、シーラントは、たとえば、DIN EN ISO 11600によれば、継手を封鎖するために使用される。
【0003】
反応性シラン基を有するシラン変性されたポリエーテルウレタン、並びに接着剤およびシーラントにおけるこれらの使用は、公知であり、とりわけ、特許文献1〜6に記載されている。反応性シラン基を有するポリエーテルウレタンは、種々の方法によって製造することができる。1つの可能性は、化学量論的に過剰な脂肪族または芳香族ジイソシアネートを、好ましくはエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドで構成されるポリエーテルポリオールと反応させて、イソシアネート含有ポリウレタンプレポリマーを形成させ、次いでこれをアミノシラン、好ましくは二級アミノシランと反応させてシラン変性された(シラン末端)ポリウレタンを得ることである。これらの反応は、スズ触媒なしで行うことができ(特許文献7)、これは、金属を含まないシラン変性されたポリウレタンを得ることができることを意味する。
【0004】
さらなる可能性は、準化学量論的量の脂肪族および芳香族ジイソシアネートを、好ましくはエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドで構成されるポリエーテルポリオールと反応させて、ヒドロキシル末端ポリウレタンプレポリマーを形成させ、次いでこれをイソシアネートシランと反応させて、シラン末端ポリウレタンを得ることである。
【0005】
さらなる可能性は、モノオール(たとえば、α−アリル−ω−ヒドロキシルポリオール)をジイソシアネート、好ましくは脂肪族ジイソシアネートと反応させて、不飽和末端基を有するポリウレタンプレポリマーを形成させることである。次いで、貴金属触媒、好ましくは白金触媒の存在下においてHSiMe(OMe)またはHSi(OMe)等の水素シランとのヒドロシリル化反応を経て、シラン基を導入することができる。これにより、シラン末端ポリウレタンを得る。さらに、ポリエーテルジオールまたはポリエーテル混合物を、γ−およびα−イソシアネートシラン、特に好ましくはジアルコキシ−およびトリアルコキシ−官能性γ−およびα−イソシアネートシラン等のイソシアネートシランと反応させることができる。
【0006】
シラン変性されたポリウレタンを調製するさらなる方法は、「バイエル変形法」である。特許文献8および9は、ミカエル付加によってマレイン酸および/またはフマル酸エステルおよび一級アミノ基を有するアミノシランからの非環式尿素誘導体の調製を記載している。このような方法で製造される非環式尿素誘導体をイソシアネート含有ポリウレタンプレポリマーと反応させてシラン末端ポリウレタンを得る。特許文献10および11では、優れた熱安定性を得るために、このような方法で調製されるシラン末端ポリウレタンの末端にシラン基を含む環状尿素誘導体が必要なことを述べている。これらは、非環式尿素誘導体を熱および酸触媒で処置することによって得られる。
【0007】
特許文献12および13は、α,ω−ヒドロキシジオルガノシロキサン、ジイソシアネートおよびポリエーテルポリオールを反応させてヒドロキシル含有ポリジオルガノシロキサン−ウレタンプレポリマーを形成することによって調製されるポリジオルガノシロキサンウレタンを記載している。特許文献14は、シラン変性されたポリジオルガノシロキサンウレタンを得るためのイソシアネートシランとの後続反応を記載している。
【0008】
大気中の水分の存在下では、記載されたシラン変性されたポリウレタンおよびポリウレタン共重合体は、室温でさえも、対応する脱離基(たとえば、アルコール、ケトキシム、酢酸等)の除去を伴う加水分解によって活性化することができる。これは、縮合反応を伴ってSi−O−Si網状結合を形成する。ここでの利点は、古典的ウレタン架橋の場合と同様に、シラン架橋ではガス状副生成物が遊離しないということである。したがって、イソシアネート遊離生成物も、ほとんどリスクを伴わずに配合することができる。揮発性イソシアネート単量体は、健康に対する危険が疑われていることが公知である。反応性シラン基の含量に応じて、および結合剤の構造に応じて、長鎖重合体、比較的広い網目の三次元網状結合または他の高度に架橋された系が形成される。
【0009】
非架橋重合体の特性(粘度、溶解度等)、さらには、配合された架橋された組成物の特性(モジュラス、引張力、伸長等の機械的特性、および硬度、全体にわたる硬化、UV安定性、耐熱性、接着等)は、このようなシラン末端の結合剤の多くの可能性のある構造に対応して広範囲にわたって変更することができる。このようなシラン末端ポリウレタンには、対応する多種多様な用途の可能性がある。これらは、エラストマー、シーラント、接着剤、弾性接着剤、硬および軟フォーム、多種多様な被覆系(ペンキおよびニス)、鋳型作製組成物(たとえば、歯科用途のためのもの)、ポッティング組成物(たとえば、自動車部門におけるもの)およびレベリング組成物(たとえば、建築用途のためのもの)、床被覆等を製造するために使用することができる。これらの製品は、多種多様な方法、たとえば、塗布、吹付け、鋳造、圧搾等に適用することができる。
【0010】
極めて広範な原材料基材を、記載されたシラン変性されたポリウレタンに利用できる。他のいかなる技術とも異なる、非常に軟らかく、かつ伸ばすことのできるシーラントまたは固い弾性接着剤のいずれかを配合するために、短鎖および長鎖の直鎖状および分枝の出発材料を互いに組み合わせることができる。適用の範囲は、対応して広く、家庭での使用による工業および手仕事における、建築および建設の際の古典的封止作業から、要求のきびしい弾性接着結合剤にまで及ぶ。
【0011】
記載されたシラン変性されたポリウレタンおよびジオルガノシロキサン−ウレタン重合体は、光安定剤(たとえば、HALS=立体障害アミン光安定剤)および抗酸化剤(たとえば、フェノール系酸化防止剤)等の添加剤による、紫外線および風化の影響、たとえば、熱に対して安定化させなければならない有機ポリマー骨格を有するという不利な点を有する。これらの安定剤は、重合体の特性に対して有害作用を有し得るし、加えて、重合体におけるこれらの含有量は、分解および汗かきの結果として、時間とともに減少してしまう。
【0012】
ポリウレタンは、とりわけ、骨格における−NH−CO−O−基によって特徴づけられる。ポリウレタンの全ての形態が、酸化による化学分解の影響を受けやすく、これにより、最初に黄変を引き起こし、その後に機械的特性を失うこととなる。ポリウレタンの化学分解は、たいてい猛烈な刺激性の匂いを伴う。ポリウレタンフォームは、これらがかなり広い表面積を酸化反応のために与えるため、固体ポリウレタン塊よりも迅速に分解する傾向がある。また、フォームを形成するために空気または窒素を吹きつけるときには、これらが生成の間に生じることもある。酸化は、最も重要な分解メカニズムであるが、ポリウレタンは、加水分解反応によっても分解し得る。加水分解により、ポリウレタンの機械的特性の喪失を生じる。
【0013】
ポリエステルに基づいて製造されたポリウレタンの場合、アルカリの作用の結果として、まっさきに加水分解が生じる。これにより、エステル基の加水分解が生じる。鎖におけるエステル架橋が破壊されると、新たなアルコールおよびカルボキシル基が形成される。後者は、さらなる加水分解反応に対して触媒効果を有する。ポリエーテルに基づいたポリウレタンは、酸によって加水分解される。酸素および湿気によって、熱分解反応がさらに強化される。
【0014】
一般に、ポリエステルウレタンは、ポリエーテルポリウレタンよりも安定である。光誘発老化は、高い大気中湿度によってさらに促進される。ポリウレタンは、これらに存在するアミノ基が感光性であるために、その他のプラスチックと比較して、特にこの点で影響を受けやすい。加えて、製造過程の結果として、三級アミンが重合体微細構造中に存在する。酸素の存在下における光化学的劣化により、UV範囲の、および比較的短い波長のVIS範囲の両方を吸収するヒドロペルオキシドが形成する。ポリウレタンの光安定性は、その生成に使用される成分に依存し、したがって、芳香族イソシアネートに由来するポリウレタンは、特に不安定である。加えて、ポリウレタンは、微生物の攻撃に関して、プラスチックの中でも例外である。これらが高窒素含量であることにより、これらは微生物誘引性となる。
【特許文献1】米国特許第5554709号明細書
【特許文献2】米国特許第4857623号明細書
【特許文献3】米国特許第5227434号明細書
【特許文献4】米国特許第6197912号明細書
【特許文献5】米国特許第6498210号明細書
【特許文献6】米国特許第4364955号明細書
【特許文献7】米国特許第6784272号明細書
【特許文献8】欧州特許第596360号明細書
【特許文献9】米国特許第6599354号明細書
【特許文献10】国際公開公報第2004/060953号パンフレット
【特許文献11】米国特許出願公開第2004/0122200号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2004/0087752号明細書
【特許文献13】国際公開公報第1996/34030号パンフレット
【特許文献14】米国特許出願公開第2004/0087752号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、優れた貯蔵安定性を有し、かつ架橋/硬化後に改善された耐光性、特に紫外線安定性を有し、かつ優れた物理的性質と合わせて耐候安定度を有する湿分硬化結合剤を提供することである。さらにまた、本結合剤は、迅速に架橋すること、および種々の基体に対して優れた接着を示すことができるべきである。さらなる目的は、高度に消費者に受け入れられる生態学的に問題のない結合剤を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本目的は、以下を含む湿分硬化結合剤によって達成される:
(i)シラン変性されたポリウレタンと、
(ii)シラン変性されたアクリレート重合体。
【0017】
本結合剤は、湿気の存在下において硬化してシロキサン網状結合を形成することができる。本発明は、本発明の湿分硬化結合剤を製造するためのキットをさらに提供し、キットは、上記の成分(i)および(ii)を互いに別々に含み、好ましくは、それぞれの場合に、気密様式でパックされる。
【0018】
さらに、本発明は、本発明の湿分硬化結合剤を製造する方法であって、成分(i)および(ii)を混合することを含む方法を提供する。
【0019】
本発明は、一成分または二成分のエラストマー、シーラント、接着剤、弾性接着剤、硬および柔フォーム、ペンキまたはニス等の塗装系、鋳型作製組成物、ポッティング組成物およびレベリング組成物、床被覆剤等を製造するための上記成分(i)および上記成分(ii)の使用法をさらに提供する。
【0020】
加えて、本発明は、湿気を含む雰囲気における本発明の湿分硬化結合剤の硬化によって得ることができる湿分硬化した結合剤を提供する。
【0021】
驚くべきことに、シラン変性されたアクリレート重合体を湿分硬化結合剤に混合したときに、シラン変性されたポリウレタンに基づいた湿分硬化した結合剤の熱安定性および耐光性、およびしたがって、風化挙動を改善することができることが見いだされた。シラン変性されたアクリレート重合体は、湿気の存在下においてシラン変性されたポリウレタンと、およびそれ自体と架橋することができる。同時に、本発明の結合剤は、シラン変性されたポリウレタン単独に基づいた従来の結合剤と比較して、硬化後に同程度に優れているか、または改善された物理的性質を有する。本発明のさらなる利点は、成分(i)および(ii)が互いに高度に相溶性があり、かつ広範な混合範囲にわたって安定な組成物を形成することである。
【0022】
成分(i)および(ii)の混合物は、好ましくはこのような方法で得られた結合剤の適切な配合物において、軟から中間の硬さの、容易に硬化して風化安定な組成物または生成物を生じ得る。加えて、このような方法で製造された結合剤は、10〜30分間の硬化の間に、溶媒含有感圧接着剤について公知であるものと同様の粘着状態を得ることができる。このような方法で製造された結合剤の薄層で被覆された2つの基体を、これらが互いに付着するように一緒に配置することができる。これらは、最初に互いに物理的に付着するだけである。
【0023】
架橋は、その部分が結合した後も進行し続ける。完全に硬化後、もとの結合は、残りの接着剤から光学的にも機械的にも区別すことができなくなり、優れた熱安定性を有する。アクリレート重合体成分の一定の極性のために、このような方法で製造された結合剤と共に配合されたシーラントおよび接着剤は、ガラスの接着結合および封着に非常に適している。充填剤および着色剤がなくても、透明で無色の配合物を製造することができる。これらは、2つの基体間の境界における粘着性の結合、封着またはポッティングの境界が視覚的に目立たないように製造される用途のために適している。
【0024】
本発明の湿分硬化結合剤は、製造するのが簡単で、迅速に架橋し、非常に優れた貯蔵安定性を有し、紫外線および天候の影響に耐性であり、多種多様な基体に対して非常によく付着し、硬化の間の匂いによる汚染を少なくし、ほとんど架橋触媒を使用せずに配合することができ、したがって工業および建築用途のための優れた開発可能性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
発明の詳細な説明
シラン変性されたアクリレート重合体の調製
シラン変性されたアクリレート重合体としては、アルコキシシラン等の湿分反応性シランが、以下の共重合体の調製の間に共重合された、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体またはランダム共重合体等のシラン変性されたアクリレート共重合体を使用することができる。
【0026】
アクリレート重合体の調製、さらにはシラン変性されたアクリレート重合体の調製は、一般に公知である。重合は、フリーラジカルまたはイオンにより、または金属触媒作用によって行うことができる。フリーラジカル重合には、開始剤(たとえば、AIBN=アゾビスイソブチロニトリル)および重合調整剤(たとえば、メルカプトシラン等のメルカプタン)が必要である。重合のために使用される単量体は、通常アルキルアクリレート、すなわち、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート、たとえば、MMA=メチルメタクリレート、nBMA=n−ブチルメタクリレートまたはSMA=ステアリルメタクリレートである。
【0027】
架橋剤としては、TMPTMA(=トリメチロールプロパントリメタクリレート)等の多官能性アクリレートを使用することができる。架橋剤は、非常に反応性であり、低い揮発度を有し、かつ分子内に少なくとも2つの重合可能な官能基を有する。
【0028】
合成樹脂製品の名称下で一般に知られるアクリレート共重合体に基づいた重合体結合剤の調製は、アルキルアクリレートのための重要な用途である。アクリルガラスは、特別な位置を占めており、実質的にメチルメタクリレートだけで製造される。通常の単量体で構成される共重合体の軟化温度は、−70℃〜+110℃の範囲内である。長鎖を含むエステルは、たとえば、SMAと同様に、蝋様の重合体特性を生じる。分枝アルコールラジカルを有するエステルは、溶液粘度が減少した重合体を与える。シラン変性されたアクリレート重合体は、生じる生成物があまりもろかったので、たとえば、シーラント配合物に単独で使用することができない。
【0029】
アクリレート重合体を調製するためのいくつかの方法を下記に記載する。本発明に使用するためのシラン変性されたアクリレート重合体は、この手段によって、シランの共重合により得ることができる
アクリレートおよびメタクリレート重合体は、好ましくは所望の構造−特性関係が得られるように調製される。このような重合方法は、たとえば、イオン重合およびリビング重合である。これらにより、重合体構造の構築をターゲットすることができる。これらにより、狭い分子量分布を得ること、末端基の型および数を決定すること、並びにブロック共重合体の調製において、ブロックの数、ブロック長およびブロック長分布をセットすることができるようになる。
【0030】
近年、定義された分子構造を構築する多数の新たな重合方法が開発されてきた。メタロセン触媒を使用する重合により、狭い分子量分布および一様なコモノマー分布を有する重合体を製造することができ、また立体規則性を制御すること、および新規コモノマーに使用することができる。無極性および極性の単量体で構成されるブロック共重合体の調製も同様に可能である。金属触媒重合のための例として、チーグラー‐ナッタ触媒の使用が挙げられる。
【0031】
フリーラジカル重合は、合成重合体を調製するための最も広範囲な方法である。LDPE、PVCおよびPMMA等の塊状プラスチックは、特に実質的にラジカル重合だけによって生成される。フリーラジカル重合は、連鎖反応である。連鎖開始、鎖成長および連鎖終結は、平行して生じる。使用される開始剤は、エネルギーの導入の結果としてフリーラジカル、たとえば、アゾまたはパーオキシ化合物を形成する化合物である。これらのフリーラジカルは、単量体と反応して、連鎖が始まる。鎖成長の間に、連鎖開始時に形成されたフリーラジカルが、複数の付加の際にさらに単量体に付加し、こうして重合体鎖が形成する。フリーラジカルは、高度に反応性であり、化合反応または不均化反応において制御された拡散速度でお互いに反応する。さらに可能性のある反応は、たとえば、別の鎖、単量体、溶媒分子または特別に添加された連鎖移動剤、たとえば、DS MTMO、DS MTEO等のメルカプト化合物等に対する活性部位の移動である。理想的な場合には、1.5<PMI=重合インデックス<2のSchulz−Flory分布が得られる。
【0032】
リビング重合は、定義された重合体を生じる不可逆的移動および停止反応を伴わない連鎖反応として定義される。活性種の濃度およびポリマー鎖の数は、重合過程の間に一定のままである。理想的な場合において、分子量分布は、ポアソン分布に対応する。これらの必要条件に合うリビング重合は、陰イオンで、および制限つきで陽イオンで、または群間移動によって行うことができる。リビング重合では、調製するための費用を増やす必要がある。リビング重合では、変換完了後でさえも鎖末端が活性なままであるため、種々の単量体の連続的添加によってブロック共重合体を得ることができ、ターゲットされた停止剤の添加によって末端に官能性をもった重合体を得ることができる。これらの方法の組み合わせにより、多くの複雑な重合体構造、たとえば、星形共重合体、櫛形共重合体およびグラフト共重合体、さらにはジブロック、トリブロックまたはマルチブロック共重合体を製造することができる。
【0033】
制御ラジカル重合は、1990年代の中ごろに開発されて、多数の単量体の選択および実行の容易さ(たとえば、水および不純物に対する無反応性)等のフリーラジカル重合の利点をリビングイオン重合の利点、たとえば、狭い分子量分布、複雑な重合体構造の形成および定義された末端基の導入と組み合わせている。
【0034】
制御ラジカル重合の概念は、活性種および休止種に基づく。活性種だけが、重合活性であるが、2つの種は平衡状態にあり、休止中の不活性種の反対側にある。種間の交換は、急速かつ可逆的に生じる。結果として、非常に低い定常状態濃度のフリーラジカルになる。停止反応は、成長反応と相関して抑制される。したがって、終結される鎖の数は、ごくわずかで少ない。したがって、この制御(または「リビング」)ラジカル重合により、リビングイオン重合のように重合過程を、したがって重合体構造を制御することができる。したがって、分子量分布は、理想的な場合はポアソン分布に対応する。ラジカル重合のための最も重要な過程は、ATRP=原子移動ラジカル重合(最も重要な触媒系は、Cu(l)CI/ビピリジンである)、SFRP =安定フリーラジカル重合、およびRAFT=可逆的付加断片化連鎖移動過程である。
【0035】
特に、ATRPは、多くの単量体、たとえば、アクリレートおよびメタクリレートも使用することができる。多様な開始剤/触媒系により、ATRPは、反応条件、たとえば、温度および溶媒の選択に関して非常に柔軟になる。工業用には、銅塩の除去が費用のかかる問題である。色の問題は、生成物を使用する際に生じ得る。さらに、鋼鉄装置では、レドックス過程が銅塩と鉄との間で生じ得る。これは、触媒(たとえば、シリカゲル、ポリスチレン等に対する)の固定化によって対処される。超臨界炭酸ガスまたはイオン性液体等の代替溶媒の使用も、さらに提案される。
【0036】
テレキーレック重合体は、低分子量(約1000〜12000のM)かつ2つの定義された反応性末端基を有する重合体および/またはオリゴマーである。これらにより、表面被覆、接着剤およびシーラント産業における適用のためのブロック共重合体または網状結合等の所定の構造を調製することができる。テレキーレック重合体は、適切な開始剤、停止剤または連鎖移動剤を使用することによって、または鎖類似反応によって調製することができる。正確に2つの官能性を有するテレキーレック重合体を調製するための最も周知の反応は、適切な場合には所望の基を含む終結試薬を使用した、重付加(たとえば、ポリウレタン、ポリ尿素)、重縮合(たとえば、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル)および複素環式単量体の開環重合(たとえば、環状エステル、カルボナート、エーテル)である。
【0037】
フリーラジカル重合では、テレキーレック重合体を調製するために「デッドエンド」重合が使用される。所望の官能基を有する大過剰の開始剤がこのために使用される(たとえば、カルボキシルまたはヒドロキシル基を含むテレキーレック重合体)。2つの官能性は、成長鎖の組み合わせが停止反応のみを表すときに(たとえば、スチレン、メチルメタクリレート等の場合)達成することができる。
【0038】
しかし、この方法は、不均一化および停止反応が生じるMMA=メチルメタクリレート等の単量体には適していない。あるいは、重合は、適切な連鎖移動剤(たとえば、CCL、CBr、CHCI、CHBr、ジスルフィド、硫黄含有シラン(たとえば、(RO)Si−(CH−S−(CH−Si(OR)、DS MTMO、DS MTE等)等)の存在下において行うことができる。最初の工程において、鎖が、パーオキソまたはアゾ開始剤の触媒量によって開始される。成長鎖は、連鎖移動剤と、たとえば、ハロゲン除去剤とランダムに反応し、生じるフリーラジカルが、再び新たな鎖を開始ことができる。この過程は、「テロメル化」と称する。
【0039】
また、テレキーレック重合体は、リビングイオン重合によって、またはATRPによって調製することができる。テレキーレック重合体の調製のために使用することができるATRPは、開始剤または成長している重合体鎖と遷移金属(たとえば、Cu、Fe、Co、Ru等)を含む触媒系との間のハロゲン原子の可逆的交換に基づいている。これにより、フリーラジカル濃度を低く保持することができ、したがって、典型的なフリーラジカル重合の停止反応が抑制される。アクリレートおよびメタクリレートに基づいており、かつ古典的重合法によって可能なものよりも狭い分子量分布を有するテレキーレック重合体をATRPによって調製することができる。二官能性開始剤を使用することができる。開始剤が、2つのハロゲン基を有する場合(たとえば、ジクロロトルエン)、一方向または双方向増殖によってハロゲン末端のテレキーレック重合体が形成される。多数の官能基(たとえば、アルコキシシラン末端基)は、鎖類似反応によってハロゲン末端基から製造することができる。
【0040】
本発明に使用することができるシラン変性アクリレートポリマーは、たとえば、米国特許第4,333,867号明細書および米国特許第1.096,898号明細書に記載されている。
【0041】
本発明のシラン変性されたアクリレートポリマーを製造する場合に、シラン基(好ましくはアルコキシシラン基)を含有するモノマー、たとえば、ビニルシラン、アクリルシラン又はメタクリルシランと、アクリレートモノマーとを、上記の方法の一つによって共重合させることができる。本発明の結合剤に使用するためのシラン変性アクリレートポリマーは、一般式(I)のシランと一般式(II)のアクリレートとの共重合によって得ることができる。
【0042】
X−(CH−SiR(OR(OR (I)
式中、
Xは、−CH=CH、−O−CO−CHMe=CH又は−O−CO−CH=CHであり;
Rは、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアルコキシ基、オキシム基、アシロキシ基又はベンズアミド基であり;
は、−(CH−CH−O)−R又は−(CH−CHR−O)−Rであり;
は、水素、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状アルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基であり;
は、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状アルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基であり;
nは0−10、好ましくは0,1又は3であり;
mは1−50、好ましくは5−20であり;
pおよびqは、それぞれ0,1又は2であって、p+q=2である。
【0043】
CH=CR−(CO)−OR(II) (II)
式中、
は、水素、ハロゲン、置換又非置換の、線状又は環状のアルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトリル基、ピリジル基、アミド基、又はグリシドキシ基であり;
は、水素、ハロゲン、置換されたか、もしくは非置換の線状又は環状のアルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基であり;
【0044】
さらには、一般式(3)のオレフィンを共重合に使用することができる。
CH=CR (III)
式中、
は、水素、ハロゲン、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基であり;
は、水素、ハロゲン、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトリル基、ピリジル基、アミド基、又はグリシドキシ基である。
【0045】
さらに、得られたシラン変性アクリレートポリマーは、好ましくは下記一般式の一つを有するシラン基を含んでいる。
−(CH−SiR(OR(OR 又は
−(CO)−O−(CH−SiR(OR(OR
ポリマー骨格の側鎖の、R,R、R、R、n、mおよびqは前記と同じである。
【0046】
ラジカルRとしての、置換されたか、もしくは非置換の、直鎖状または環状アルキル基は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6の炭素原子を含むことができる。Rとしては、直鎖状および環状アルキル基(これは、置換されていてもよい)が好ましい。直鎖状または環状アルキル基の置換基の例は、1〜6個の炭素原子を有するアルキルおよびアルコキシ基である。複数の置換が可能である。直鎖状または環状アルキル基は、好ましくは非置換または一置換である。直鎖状アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルである。環状アルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0047】
ラジカルRとしてのアリール基は、たとえば、フェニルまたはナフチルであることができる。アラルキル基は、好ましくはAr−C1−6−アルキル基である。アリール基またはアラルキル基の可能な置換基は、直鎖状または環状アルキル基のものに対応し、また、これらの置換基は、アリール基で置換することができる。アルコキシ基およびアシロキシ基は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を含むことができる。アルコキシ基およびアシロキシ基に対する可能な置換基は、直鎖状または環状アルキル基のものに対応する。
【0048】
およびRとしての、置換されたか、もしくは非置換の、直鎖状または環状のアルキル基および置換されたか、もしくは非置換のアリール基またはアラルキル基は、置換されたか、もしくは非置換の、直鎖状または環状アルキル基の炭素原子数が1〜20であることができることを除いて、一般にラジカルRとして示したものに対応する。特に好ましいラジカルRは、メチルおよびn−ブチルである。Rは、特に好ましくはメチルである。
【0049】
一般式(I)の種々のシランをシラン変性されたアクリレート重合体に取り込むことができる。一般式(I)のシランの好ましい例は、MEMO(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、メチル−MEMOメタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン)、ACMO(アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、VTEO(ビニルトリエトキシシラン)、VTMOEO(ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン)である。一般式(I)の多数の異なるシランは、共重合のために使用することができる。
【0050】
一般式(II)のアクリレートおよび一般式(III)のオレフィンにおいて、置換されたか、もしくは非置換の、直鎖状または環状アルキル基、または置換されたか、もしくは非置換のアリール基またはアラルキル基R、R、RおよびRは、独立してRおよびRについて上述したものに対応する。アルケニル基、アシロキシ基およびアルコキシカルボニル基R、R、RおよびRは、互いに独立しており、1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有することができる。R、R、RおよびRとしてのハロゲンは、それぞれの場合に独立して、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であることができ、塩素およびフッ素が好ましい。
【0051】
は、特に好ましくは水素またはメチルであり、すなわち、一般式(II)の化合物は、好ましくは(メタ)アクリレートである。Rは、特に好ましくはメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチル、デシル、ドデシル、シクロヘキシル、ステアリル、ベンジル、2−ヒドロキシエチルおよび2−エチルヘキシルである。
【0052】
一般式(II)のアクリレートの例は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n/イソ−ブチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチルメタクリレート、n/イソ−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミドである。これらのおよびその他のアクリレートは、得られるシラン変性されたアクリレート重合体の所望の特性に従って選択することができ、互いに組み合わせることができる。
【0053】
一般式(III)のオレフィンの例は、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、クロロスチレン、ピリジン、2−メチルスチレン、ジビニルベンゼンである。これらのおよびその他のオレフィンは、得られるシラン変性されたアクリレート重合体の所望の特性に従って選択することができ、互いに組み合わせることができる。
【0054】
シラン変性されたアクリレート重合体を調製するための共重合において、0.1〜40重量%、好ましくは0.2〜20重量%、特に好ましくは0.2〜10重量%および最も好ましくは0.5〜2重量%の一般式(I)のシランを単量体混合物に使用し、共重合に供することができる。一般式(II)のアクリレートおよび一般式(III)のオレフィンは共に、好ましくは共重合のための混合物の少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%および最も好ましくは少なくとも90重量%を占める。また、複数の重合可能な不飽和結合を有するアクリレート/メタクリレート架橋剤(たとえば、TMPTMA=トリメチロールプロパントリメタクリレート)を単量体混合物に添加することができる。
【0055】
一般式(III)のオレフィンを使用して共重合する場合、一般式(II)のアクリレートの比率は、一般式(II)の単量体および一般式(III)の単量体の総量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%および最も好ましくは少なくとも85重量%である。
【0056】
また、共重合のために一般に公知の重合調整剤、たとえば、アミン(たとえば、トリエチルアミン、トリプロピルアミンまたはトリブチルアミン)、ハロゲン化合物(たとえば、クロロホルム、四塩化炭素または四臭化炭素)、メルカプタン(たとえば、1−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、1‐ドデカンチオール、エチルジスルフィド、フェニルジスルフィドまたはブチルジスルフィド)、アルコール(たとえば、エタノール、n−/イソ−プロパノールまたはn−/イソ−/tert−ブタノール)、メルカプトシランまたは硫黄シラン(たとえば、Si69、好ましくはMTMO、MTEO(3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン)またはメチル−MTMO)を使用することができる。単量体混合物において、これらは、0.1〜40重量%、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%で使用することができる。
【0057】
共重合のための開始剤として、過酸化物化合物(たとえば、過酸化ベンゾイル、ベンゾイルヒドロペルオキシド、過酸化ジ−tert−ブチル、ジ−tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化アセチル、ラウリル過酸化物、過酸化水素、過酸化硫酸またはジイソプロピルパーオキシカーボネート)および/またはアゾ化合物(たとえば、AIBNまたは置換されたAIBN)を使用することができる。
【0058】
重合は、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルセロソルブ、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、キシレン、ベンゼン、トルエン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の不活性溶媒中で行うことができる。重合温度は、使用する開始剤に依存し、好ましくは45℃〜180℃の範囲である。
【0059】
単量体混合物は、一度に少しずつか、または連続的に添加することができる。これにより、発熱を制御することができる。α−およびγ−MEMO、メチル−MEMO等の不飽和シランは、アクリレート/メタクリレート共重合体骨格に取り込まれて、湿気の存在下において架橋点として作用する。たとえば、機械的特性は、単量体混合物、シランの量およびその他の反応パラメーター(たとえば、重合調整剤の量)によって制御することができる。
【0060】
シラン変性されたポリウレタンの調製および特性
本発明に使用するために適したシラン変性されたポリウレタンおよびこれらを調製する方法は、従来技術において公知である(背景技術を参照されたい)。好ましいポリウレタンは、ジオール成分としてポリアルキレングリコールエーテル(ポリオキシアルキレン)またはジオルガノシロキサン(好ましくは、ジメチルシロキサン)に基づくものである。このようなポリウレタンは、プレポリマーとして調製することができ、その後にシラン変性することができる。シラン変性は、一般に直鎖状ポリウレタンの末端にて生じ、その結果、本発明に使用するためのシラン変性されたポリウレタンは、好ましくはシラン末端ポリウレタンである。多数のシラン変性されたポリウレタンおよびこれらの調製を以下に記載してある。
【0061】
a)末端イソシアネート基およびアミノシランまたはメルカプトシランによるシラン変性を有するポリウレタンプレポリマーの調製
本明細書において、NCO末端ポリウレタンプレポリマーは、第1の工程において、イソシアネートを過剰に使用することによって調製される。
【0062】
ポリウレタンプレポリマーは、OH−末端の直鎖状もしくは分枝のジオールまたはトリオール(好ましくは、直鎖状ジオール)と脂肪族または芳香族ポリイソシアネート(好ましくは、ジイソシアネート)とから調製することができる。また、ポリウレタンプレポリマーは、脂肪族アルコールか、またはOH−末端の直鎖状および/または分枝のジオールもしくはトリオールと脂肪族および/または芳香族モノイソシアネートまたはジイソシアネートを混合して調製することができる。この反応は、30℃〜120℃、好ましくは40℃〜100℃、特に好ましくは40℃〜80℃の温度領域で行われる。1.1:1〜3:1、好ましくは1.2:1〜1.7:1、特に好ましくは1.3:1〜1.6:1のNCO/OH当量比を反応に使用することができる。適切な場合、ポリウレタン化学から公知のアミンまたは有機金属触媒(たとえば、米国特許第5554709号明細書、米国特許第4857623号明細書および米国特許第6498210号明細書に記載されているとおり)を調製に使用することができる。
【0063】
シラン変性されたポリウレタンは、一般式(IV)のシランとの反応によって生じるポリウレタンプレポリマーを有するイソシアネート末端基から得ることができる:
【0064】
Y−A−SiR’(OR11(OR13 (IV)
式中、
Yは、−SH、−NHR14−(NH−CH−CH−)−NHR14であり;
Aは、1〜10個の炭素原子を有し、かつ1つまたは複数の基R’によって置換されていてもよい直鎖状アルキレン基であり;
R’は、置換されたか、もしくは非置換の直鎖状または環状アルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアリール基またはアラルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアルコキシ基、オキシム基、アシロキシ基またはベンズアミド基であり;
11は、−(CH−CH2−O)−R12、または−(CH−CHR’−O)−R12
12は、水素、置換されたか、もしくは非置換の直鎖状または環状アルキル基、または置換されたか、もしくは非置換のアリールまたはアラルキル基であり;
13は、置換されたか、もしくは非置換の直鎖状または環状のアルキル基または置換されたか、もしくは非置換のアリール基またはアラルキル基であり;
14は、水素、置換されたか、もしくは非置換の直鎖状または環状アルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアリール基またはアラルキル基、または−A−SiR’(OR11(OR13であり;
mは、1〜50、好ましくは5〜20あり;
pおよびqは、それぞれ0、1または2;およびp+q=2であり;
rは、1〜5、好ましくは2である。
【0065】
本明細書において、基Yは、末端−NCO基と反応することができ、たとえば、以下の一般式のうちの1つの末端基を含むポリウレタンを得ることができる:
【0066】
−NH−CO−S−A−SiR’(OR11(OR13
−NH−CO−NR14−A−SiR’(OR11(OR13
他に特別に述べられていない限り、R、RおよびRに関して上記と同じ好ましい態様をラジカルR’、R12およびR13によって定義される基にも適用する。R12は、特に好ましくはメチルである。R13は、特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルまたはn−ブチルである。置換されたか、もしくは非置換の直鎖状または環状アルキル基、または置換されたか、もしくは非置換のアリール基またはアラルキル基R14の場合にも、他に特別に述べられていない限り、上記と同じ好ましい態様を適用する。R14は、最も好ましくはメチルまたはn−ブチルである。
【0067】
Yとして、好ましくは、二級アミノ基−NHR14が与えられる。その際、R14は、好ましくは置換されたか、もしくは非置換の1〜20個(好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜6個)の炭素原子を有する直鎖状または環状アルキル基、置換されたか、もしくは非置換のフェニル基またはフェニルアルキル基、または−A−SiR’(OR11(OR13である。フェニルアルキル基は、フェニル−C1−6アルキル基、好ましくは、ベンジル等のフェニル−C1−3−アルキル基であることができる。R14が−A−SiR’(OR11(OR13であるときのYは、好ましくは−NHR14である。一般式(IV)の化合物が2つの−A−SiR’(OR11(OR13基を含むときは、その中で定義されるラジカルは、同一か、または異なることができる。
【0068】
14が−A−SiR’(OR11(OR13である一般式(IV)の化合物の好ましいクラスは、Aが1〜6個、特に好ましくは1〜3個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基であるもの、たとえば、式HN[−CH−CH−CH−SiR’(OR11(OR13およびHN[−CH−SiR’(OR11(OR13のクラスである。このような化合物の例は、γ−およびα−ビス−AMMO(AMMOは、3−アミノプロピルトリメトキシシランである)およびビス−AMEO(AMEOは、3−アミノプロピルトリエトキシシランである)である。
【0069】
Aは、好ましくは−(CH−)(式中、s=1〜10、好ましくは1または3);または−(CH−CHR’−CH)−(式中、R’は、上記のとおり)である。
【0070】
シラン変性されたポリウレタンは、好ましくは、金属を含まないシラン変性されたポリウレタンであり、すなわち上記のシラン変性は、生成物中の微量の金属を避けるために、好ましくは金属触媒の非存在下で行われる。このような金属を含まないシラン変性されたポリウレタンは、欧州特許第1245602号明細書に包括的に記載されている。欧州特許第1245602号明細書の内容は、参照により本明細書に援用される。
【0071】
たとえば、シーラントに適するように、シラン変性されたポリウレタンは、250〜60000、好ましくは300〜40000、特に好ましくは1000〜30000の分子量を有するべきである。この目的のためには、たとえば、KOH過程で調製され、かつ1500〜2000の分子量を有するポリエーテルジオールは、NCO末端ポリウレタンプレポリマーの調製のために使用することができる。しかし、このようなプレポリマーは、比較的高い粘度を有する。配合には、取扱いの困難性が付随しているが、たとえば、可塑剤の添加および充填材含有量を比較的少なくすることによって補償されるはずる。
【0072】
もう一つの方法は、低い不飽和度を有し、かつたとえば、金属シアン化法によって調製される高分子量ポリエーテルジオール(Acclaim(登録商標))の使用である(米国特許第5227434号明細書、国際公開公報第2004/060953号パンフレット、およびドイツ特許第19849817号明細書を参照されたい)。好ましくは、プロピレンオキサイドに基づく、100〜20000、好ましくは500〜15000、特に好ましくは1000〜12000の分子量を有するポリオールを使用して得られる。適切なポリオールは、たとえば、ポリオキシアルキレンジオール(特に、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンおよびポリオキシブチレン)、ポリオキシアルキレントリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンジオールおよびトリオール、並びに相当する化合物である。使用することができるさらなるポリオールは、たとえば、テトラオール、ペンタオール、ヘキサオール、アルコキシル化されたビスフェノールまたはポリフェノール、糖および糖誘導体(たとえば、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール)、さらにはPoly bd(登録商標)重合体である。本発明の目的のために、ポリウレタン分子は、2つ以上の異なるジオール成分を含むことができる。異なるジオール成分に基づいたポリウレタンの異なる型の混合物を使用することもできる。
【0073】
ポリウレタンプレポリマーを製造するためのイソシアネートとしては、好ましくは20〜60重量%のイソシアネート含量を有する先行技術の脂肪族、脂環式および/または芳香族ジイソシアネートを使用することができる。使用することのできるイソシアネートは、トルエン−2,4−ジイソシアネート、その工業的混合物であって、混合物の重量に基づいて、好ましくは35重量%以下のトルエン−2,6−ジイソシアネートとの混合物、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン、(IPDI=イソホロンジイソシアネート)、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、1−イソシアネート1−メチル−4(3)−イソシアネートメチルシクロヘキサン、1,3−イソシアネート6−メチルシクロヘキサン、適切な場合には、1,3−ジイソシアネート2−メチルシクロヘキサンとの混合物である。勿論、上記イソシアネートの混合物を使用することもできる。
【0074】
2,4’および4,4’アイソマー(たとえば、Desmodur(登録商標)N)を含有する数多くの液体ジフェニルメタンジイソシアネートも使用することもできる。ジフェニルメタン2,4’−と4,4’−ジイソシアネート(MDI)との混合物、たとえば、Monodur(登録商標)ML、も好適に使用することができる。
【0075】
b)末端ヒドロキシ基を有するポリウレタンプレポリマーおよびイソシアネートシランによるシラン変性物の製造
【0076】
ここで、第一工程において、準化学量論のイソシアネートを使用して、OH末端ポリウレタンプレポリマーを製造した。工程として、a)OH−末端の線状および/または分枝ジオールおよび/またはトリオール(好ましくは、線状ジオール)と、脂肪族および/または芳香族ジイソシアネートとからポリウレタンプレポリマーを製造することができる。ポリウレタンプレポリマーは、また、OH−末端の線状および/または分枝ジオールおよび/またはトリオール等の脂肪族アルコールと、脂肪族および/または芳香族モノイソシアネートとジイソシアネートとの混合物からも製造することができる。反応は、30℃〜120℃、好ましくは40℃〜100℃、特に好ましくは50〜80℃の温度範囲で行うことができる。反応において、OH/NCO等量比は、1.1:1〜3:1、好ましくは1.2:1〜1.7:1、特に好ましくは1.3:1〜1.6:1が使用される。適切な場合、ポリウレタン化学おいて、それ自体周知の(たとえば、米国特許第4345054号明細書、国際公開公報第2002/068501号パンフレット、国際公開公報第2004/060953号パンフレットおよび米国特許第2004/0181025号明細書)アミン又は有機金属触媒を製造に使用することができる。
【0077】
第二工程において、得られたOH末端ポリウレタンプレポリマーは、次いで、一般式(V)のイソシアネートシランを用いてシラン変性される:
OCN−A−SiR’(OR11(OR13 (V)
式中、
Aは、1〜10個の炭素原子を有し、一つ又はそれ以上の基R’で置換されていてもよい線状アルキレン基であり:
R’は、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアルコキシ基、オキシム基、アシロキシ基、又はベンズアミド基であり;
11は、−(CH−CH−O)−R12又は−(CH−CHR’−O)−R12であり;
12は、水素、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基であり;
13は、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基であり;
14は、水素、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基、又は−A−SiR’(OR11(OR13であり;
mは1−50、好ましくは5−20であり;
pおよびqは、それぞれ0,1又は2であって、p+q=2であり;
rは1〜5、好ましくは2である。
この反応によって、下記一般式に示す末端基を有するシラン変性ポリウレタを得ることができる;
−O−OC−NH−A−SiR’(OR11(OR13
他に特別に述べられていない限り、a)のところで定義したのと同じ好ましい態様が、R’、R11およびR13にも適用される。
置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状アルキル基の場合も、上記と同じ好ましい態様が適用される。
Aは、好ましくは−(CH−(式中、sは1〜10、好ましくは1又は3);又は−(CH−CHR’−CH)−(式中、R’は上記と同じ)である。
【0078】
たとえば、シーラントに適するように、シラン末端ポリウレタンは、250〜60000、好ましくは300〜40000、特に好ましくは1000〜30000の分子量を有するべきである。この目的のためには、たとえば、KOH過程で調製され、かつ1500〜2000の分子量を有するポリエーテルジオールは、NCO末端ポリウレタンプレポリマーの調製のために使用することができる。しかし、このようなプレポリマーは、比較的高い粘度を有する。配合には、取扱いの困難性が付随しているが、たとえば、可塑剤の添加および充填材含有量を比較的少なくすることによって補償されるはずる。
【0079】
もう一つの方法は、低い不飽和度を有し、かつたとえば、金属シアン化法によって調製される高分子量ポリエーテルジオール(Acclaim(登録商標))の使用である(米国特許第5227434号明細書、国際公開公報第2004/060953号パンフレット、およびドイツ特許第19849817号明細書を参照されたい)。好ましくは、プロピレンオキサイドに基づき、かつ100〜20000、好ましくは500〜15000、特に好ましくは1000〜12000の分子量を有するポリオールを使用して得られる。適切なポリオールは、たとえば、ポリオキシアルキレンジオール(特に、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンおよびポリオキシブチレン)、ポリオキシアルキレントリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンジオールおよびトリオール、並びに相当する化合物である。使用することができるさらなるポリオールは、たとえば、テトラオール、ペンタオール、ヘキサオール、アルコキシル化されたビスフェノールまたはポリフェノール、糖および糖誘導体(たとえば、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール)、さらにはPoly bd(登録商標)重合体である。
【0080】
ポリウレタンプレポリマーを調製するために使用されるイソシアネートとして、工程a)について上述したものを使用することができる。
【0081】
α−シラン(たとえば、OCN−CH−Si(OR))は、γ−シラン(たとえば、OCN−CH−CH−CH−Si(OR))よりも反応性であり、したがってより迅速に反応し、架橋することが公知である。しかし、α−シランの反応性が増大されると、また、シランの、およびこのような方法で調製されたシラン変性されたか、またはシラン末端ポリウレタンの貯蔵安定性の減少(二量体または三量体形成)を生じる。
【0082】
c)「バイエル変形法」に従った後続シラン変性をもつ末端イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーの調製
【0083】
末端イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーの調整は、工程a)と同様に行うことができる。ミカエル付加によって一級アミノ基を有するマレイン酸エステルおび/またはフマル酸エステルと、アミノシランから調製することができる非環式尿素誘導体と、このようにして調整されたNCO末端プレポリマーとの後続反応により、シラン変性されたポリウレタンを得る。「バイエル変形法」は、とりわけ欧州特許第596360号明細書および米国特許第6,599,354号明細書に記載されている。国際公開公報第2004/060953号パンフレットおよび米国第2004/0122200号明細書は、優れた熱安定性を達成するために、シラン基を含む環状尿素誘導体が、この方法で調製されるシラン末端したポリウレタンの末端に必要なことを述べている。これらは、熱および酸触媒で非環式尿素誘導体を処置することによって得ることができる。
【0084】
ポリウレタンプレポリマーを調製するためのジオールおよびイソシアネートに関しては、工程a)およびb)について言及したものを参照されたい。
【0085】
方法a)〜c)によって調製されるシラン変性されたポリウレタンは、たとえば、Desmoseal(登録商標)LS 2237 (Bayer AG)、Polymer 5T50 (Hanse Chemie GmbH)、Permapol(登録商標)MS(Courtaulds Coatings Incorporated)またはWSP 725−80 (Witton Chemical Company)として市販されている。これらは、売られているシラン末端ポリオキシアルキレンの補完的役割をする。これらの供給元は、たとえば、Kaneka Corporation(MS Polymer(登録商標)5203Hおよび5303H)およびAsahi Glass(Excestar(登録商標)S2410およびS2420)である。
【0086】
d)シラン変性されたジオルガノシロキサン−ウレタン重合体の調製
【0087】
シリコーンおよびポリウレタンは、互いに広範囲にわたって補完的役割をする。ポリウレタンは、一般に非常に優れた機械的性質を有し、一方、シリコーンが、特に低温においてこれらの弾性を保持する。加えて、シリコーンは、撥水性である。NCO末端ポリウレタン−シリコーンプレポリマーのアミノシランとの反応を下記に記載してある。
【0088】
末端イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーは、過剰のイソシアネートをα,ω−OH−ポリジオルガノシロキサンと反応することによって得ることができる。α,ω−OH−ポリジオルガノシロキサンの有機基は、好ましくは、1〜6個、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基である。特に好ましくは、α,ω−ビスヒドロキシポリジメチルシロキサンが与えられる。加えて、ポリオールを使用することもできる。これらのポリウレタンプレポリマーは、シランをアミノシランまたはメルカプトシラン、好ましくは二級γ−もしくはα−アミノシランまたはγ−もしくはα−メルカプトシランによって変性することができる。
【0089】
末端ヒドロキシ基を有するポリウレタンプレポリマーは、準化学量論のイソシアネートとα,ω−OH−ポリジオルガノシロキサンとを反応させることによって得ることができる。加えて、ポリオールを使用することができる。これらのポリウレタンプレポリマーは、シランをイソシアネートシラン、好ましくはγ−またはα−イソシアネートシランによって変性することができる。これらの過程は、たとえば、米国第2004/0087752号および国際公開公報第1995/21206号パンフレットに記載されている。
【0090】
本発明の湿分硬化結合剤の製造
本発明の湿分硬化結合剤は、シラン変性されたポリウレタン(i)およびシラン変性されたアクリレート重合体(ii)を単純に物理的に混合することによって、たとえば、シラン変性されたポリウレタン(i)の50重量%対シラン変性されたアクリレート重合体(ii)の50重量%の固形含量に基づいて製造することができる。99:1重量%〜1:99重量%の、シラン変性されたポリウレタン(i)対シラン変性されたアクリレート重合体(ii)の混合比が可能である。好ましくは10:90〜90:10重量%、特に好ましくは、20:80〜90:10重量%の混合比が与えられる。65:35〜90:10重量%の(i)対(ii)の混合比が最も好ましい。
【0091】
湿分硬化結合剤の粘度を減少させるために、可塑剤、たとえば、Mesamoll(登録商標)、脂肪族および/または芳香族炭化水素類に基づいたもの、フタレート(たとえば、DIUP、DIDP、DIOP等)、ポリオキシアルキレン、カルボン酸エステル(たとえば、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル等)等を添加することができる。好ましくは、総混合物に基づいて1〜60重量%の可塑剤、特に好ましくは5〜20重量%の可塑剤の添加がなされる。加水分解および縮合による早期架橋を回避するために、水捕捉剤、たとえば、シランに基づいた水捕捉剤(たとえば、VTMO(ビニルトリメトキシシラン)、VTEO(ビニルトリクロロシラン)、6490、Si(OEt)、HMDS等)、オキシドに基づいた水捕捉剤(たとえば、CaO)、イソシアネートに基づいた水捕捉剤等をさらに添加することができる。好ましくは、湿分硬化結合剤の総混合物に基づいて、0.1重量%〜10重量%の水捕捉剤、特に好ましくは0.2重量%〜1.5重量%の水捕捉剤の添加がなされる。
【0092】
一成分および二成分のエラストマー、シーラント、接着剤、弾性接着剤、硬および柔フォーム、ペンキまたはニス等の塗装系、鋳型作製組成物(たとえば、歯科用途のためのもの)、ポッティング組成物(たとえば、自動車部門におけるもの)およびレベリング組成物(たとえば、建築用途のためのもの)、床被覆等を、新規結合剤を使用して配合することができる。これらの生成物は、多種多様な方法、たとえば、塗布、吹付け、鋳造、圧搾等に適用することができる。新規結合剤は、好ましくは接着剤およびシーラント、さらには弾性接着剤を製造するために使用される。
【0093】
本発明の結合剤の配合物の慣用的なさらなる成分は、溶媒、充填剤、色素、可塑剤、安定化する添加物、水捕捉剤、結合剤、チキソトロープ、架橋触媒、粘着付与剤等である。
【0094】
粘度を減少させるために、溶媒、たとえば、芳香族炭化水素(たとえば、トルエン、キシレン等)、エステル(たとえば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、セロソルブアセテート等)、ケトン(たとえば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等)等を使用することができる。溶媒は、ラジカル重合過程の間に添加することができる。
【0095】
本発明の結合剤は充填剤と一緒に、又は充填剤なしで配合することができる。充填剤として、増量充填剤および強化充填剤の両者を使用することができる。増量充填剤は、全配合物の50重量%以上を構成することができる。結合剤100重量部あたり充填剤は、好ましくは350重量部まで、特に好ましくは結合剤100重量部あたり50〜150重量部が用いられる。表面処理されたおよび/または表面処理されていない増量充填剤および強化充填剤としては、たとえば、天然および沈降石灰粉末(たとえば、Imerseal(登録商標)、Carbital(登録商標)、Omyabond(登録商標)、Omya BLR3、Reverte(登録商標)、Winnofil(登録商標)、Socal(登録商標)、Hubercarb(登録商標)、Ultra Pflex(登録商標)、Hi Pflex(登録商標)等)、カーボンンブラック(たとえば、Corax(登録商標)、Black Pearls(登録商標)等)、シリカ(溶融および/または沈降および/または焼成)、たとえば、Cab−O−Sil(登録商標)、Aerosil(登録商標)等、酸化アルミニウム(焼成酸化アルミニウムを含む)、焼成混合酸化物(たとえば、SiO/Al/Fe/O)、ガラス繊維、珪酸アルミニウム(たとえば、カオリン、か焼カオリン、クレー、タルク、珪灰石等)、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、石英、クリストバライト、硫酸バリウム、ガラス球、ゼオライト、酸化亜鉛、ネフェリン閃長石、層状シリカ(たとえば、ベントナイト、クレーアース(clay earth)等)、長石、白雲石、炭酸マグネシウム、金属粉(たとえば、亜鉛、鉄、アルミニウム等)および類似の充填剤が挙げられる。焼成酸化物を使った配合では、透明な製品を得ることができる。
【0096】
顔料は、有機又は無機由来のものを用いることができる(たとえば、焼成酸化チタンを含む酸化チタン、Eckart社又はSilberline社のアルミニュウムをベースとしたエフェクト顔料、アゾ染料等)。配合物中の顔料の割合は、結合剤の重量に対して、好ましくは80重量部〜100重量部、特に好ましくは0〜20重量部である。
【0097】
製品の最終性能に対して好ましい影響を与えたり、結合剤と充填剤との相溶性を改善するために(たとえば、より高い充填剤含量を達成するために)、可塑剤として、慣用のフタレート(たとえば、Jayflex(登録商標)、Palatinol(登録商標)等、ジブチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジ−2−ヘチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソウンデシルフタレート等)、脂肪族ジカルボン酸エステル(たとえば、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等)ポリアルキレングリコールエステル(たとえば、Bezoflex(登録商標)50および400等、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート等)、塩素化炭化水素、炭化水素油(たとえば、アルキルビフェニル、部分水素化ターフェニル等)、Mesamoll(登録商標)、Novares(登録商標)、エポキシ化大豆油(たとえば、Flexol(登録商標)EPO)、又はそれらの混合物等が挙げられる。
【0098】
可塑剤を、フリーラジカル重合の過程で添加することができる。充填剤/可塑剤の相溶性を改善し、粘度制御性を改善するために、分散剤(たとえば、Dispex(登録商標)、低粘度ポリアクリレート等)を配合工程中に使用することができる。配合物中の可塑剤の割合は、結合剤100重量部に対して、好ましくは5〜150重量部、特に好ましくは30〜100重量部である。
【0099】
紫外線安定剤および/または酸化防止剤等の安定剤を、同様に配合物中に含ませることができる。結合剤100重量部あたり、通常、0〜30重量部が好ましく、特に好ましくは0〜10重量部が用いられる。安定剤は、たとえば、Anox(登録商標)20およびUvasil(登録商標)299HM/LM、又はIrganox(登録商標)1010および1076、およびTinuvin(登録商標)327、213および622LD等の商標名で、Great Lakes社およびCiba Specialty Chemicals社から入手することができる。
【0100】
水分捕捉剤/乾燥剤として、CaO等の無機酸化剤、ゼオライトおよび/またはモノマー性、オリゴマー性および/またはコオリゴマー性のシラン、たとえば、DYNASYLAN(登録商標)、Silquest(登録商標)、DYNASIL(登録商標)等を挙げることができる。好ましくは、VTMO、MTMS、6490および/またはDYNASIL(登録商標)Aが使用される。水分捕捉剤/乾燥剤を含まない貯蔵安定性のある製品を配合するには、充填剤および顔料を前もって乾燥しておくことが必要である。結合剤100重量部あたり、通常、0〜20重量部が好ましく、特に好ましくは0〜10重量部が用いられる。
【0101】
接着剤として、慣用のモノマー性、オリゴマー性有機シラン、たとえば、DYNASILAN(登録商標)、Geniosil(登録商標)、Silquest(登録商標)およびDYNASIL(登録商標)(Degussa AG)、好ましくはアルファ−およびガンマ−AMEO、−AMMO、−DAMO、−1411、−TRIAMO、−1505等、特に好ましくはアルファ−およびガンマ−AMMO、1146、アルファ−およびガンマ−GLYMO等、又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0102】
接着剤は、架橋製品の硬度に影響を与える。処方には、接着剤のないものも含めることができる。また、製品を使用する前に基材に下塗りを施すことが望ましい。結合剤として、エポキシド、フェノール樹脂、チタネート、ジルコネート、芳香族イソシアネート等を使用することもできる。接着剤100重量部あたり、通常、0〜20重量部が好ましく、特に好ましくは0〜5重量部が用いられる。
【0103】
チキソトロープ剤(流れ止め剤)として、微結晶性ポリアミドワックス(たとえば、Disparlon(登録商標)、Crayvallac(登録商標)、Thixatrol(登録商標)等)、シリカ(たとえば、Aerosil(登録商標)、Cab−0−Sil(登録商標)、HDK(登録商標)等)、水素化ヒマシ油(たとえば、Cas Chem社製のヒマシ油ワックス、Rheox社製のThixcin(登録商標)等)、金属石鹸(たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等)、表面処理されたクレーおよびカオリン等が挙げられる。使用される充填剤に依存して、処方にはチキソトロープ剤のないものも含めることができる。処方中のチキソトロープ剤の割合は、100重量部あたり0〜50重量部が好ましく、特に好ましくは0〜15重量部である。
【0104】
架橋触媒は、慣用の有機錫、鉛、水銀およびビスマス触媒であり、たとえば、ジブチル錫ジラウレ−ト(たとえば、BNT Chemicals GmbH製)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジケトネート(たとえば、Acima/Rohm+Haas社製のMetatin(登録商標)740)、ジブチル錫ジマレエート、錫ナフテナート等が挙げられる。
【0105】
架橋触媒として、有機錫化合物、たとえば、ジブチル錫ラウレートと珪酸エステル(たとえば、DYNASIL(登録商標)Aおよび40)との反応生成物を使用することもできる。チタネート(たとえば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等)、ジルコネート(たとえば、テトラブチルジルコネート等)、アミン(たとえば、ブチルアミン、ジエタノールアミン、オクチルアミン、モルフォリン、1,3−ジアザビシクロ[5.4.6]ウンデカ−7−エン(DBU)等)又はこれらのカルボン酸塩、低分子量ポリアミド、アミノオルガノシラン、スルホン酸誘導体、およびこれらの混合物も使用することができる。配合物における架橋触媒の割合は、好ましくは結合剤100重量部あたり0.01〜20重量部、特に好ましくは0.01〜10重量部である。
【0106】
粘着付与剤として、たとえば、感圧接着剤を添加することができる。これらの化合物として、たとえば、樹脂酸エステル(ロジン、テルペンチン等)、フェノール樹脂、芳香族炭化水素樹脂、キシレン−フェノール樹脂、クマリン樹脂、石油樹脂、低分子量ポリスチレン、約1000〜3000の分子量をもつ1,2−ポリブタジエン(ヒドロキシ末端1,2−ポリブタジエン、Polyvest(登録商標)、Polyoil(登録商標)LCB110およびLCB130等を含む)、を挙げることができる。感圧接着剤に使用可能な基材として、たとえば、テープ、シート、フィルム、ラベル等が挙げられる。感圧接着剤は、そのままで、溶液として(たとえば、分散液、乳化液等)、ホットメルトとして等、室温又は昇温下で、たとえば、水中又は大気水分中で、紙、織布、テキスタイル、金属フォイル、プラスチックフィルム、ガラス強化プラスチック等の材料に適用することができる。処方中の粘着付与剤の割合は、結合剤100重量部あたり、好ましくは0〜100重量部、特に好ましくは0〜50重量部である。
【実施例1】
【0107】
工程a)によるシラン変性されたポリウレタン:重合体1
【0108】
1.NCO−ポリウレタンプレポリマーの調製
69.1g(0.28mol)の液体ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートおよび736.9g(0.18mol)の、4000の平均分子量を有するポリプロピレングリコール(NCO/OH比:約1.5)を窒素下にて、攪拌機、温度計および還流冷却器と共に提供された1lの二重壁三首フラスコ内に置く。混合物を50℃まで加熱し、50ppmのジブチル錫ジラウレート(総重量に基づく重量部)を触媒として添加する。混合物を75℃まで加熱し、0.9%(総重量に基づく重量部)の遊離NCO基の算出がなされるまで、攪拌しながらこの温度にて維持する。遊離NCO基の割合は、たとえば、滴定(ASTM D 2572)またはIR分光法によって決定することができる。
【0109】
2.二級γ−アミノシラン(たとえば、DYNASYLAN(登録商標)1189)によるシラン変性
45.2g(0.19mol)の二級γ−アミノシランn−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、DYNASYLANA(登録商標)1189(MW=235g/mol)を75℃にて、1.で調製したNCO−ポリウレタンプレポリマーに添加する。混合物をその後2時間の期間にわたって室温に冷却し、シラン末端ポリウレタン(重合体1)を得る。NOO含量は、0%である(IR分光法)。
【実施例2】
【0110】
工程b)によるシラン変性されたポリウレタン:重合体2
【0111】
1.OH−末端ポリウレタンプレポリマーの調製
15.6 g(0.07mol)の液体イソホロンジイソシアネート(MW:222 9/mol)および500g(0.06mol)の、8000の平均分子量を有するポリプロピレングリコール(NCO/OH比:約1.2)を窒素下にて、攪拌機、温度計および還流冷却器と共に提供された1lの二重壁三首フラスコ内に置く。混合物を50℃まで加熱し、ジブチル錫ジラウレート(50ppm)を触媒として添加する。混合物を100℃まで加熱し、攪拌しながらこの温度にて1時間維持する。その後これを60℃に冷却する。
【0112】
2.α−イソシアネートシランを使用するシラン変性
24.6g(0.14mol)の□−イソシアネートシランイソシアネートメチルトリメトキシシラン(MW:177g/mol)を60℃にて、1.で調製したOH−末端ポリウレタンプレポリマーに添加し、混合物をこの温度にて1時間撹拌する。混合物をその後2時間の期間にわたって室温に冷却し、シラン末端ポリウレタン(重合体1)を得る。NCO含量は、0%である(IR分光法)。
【実施例3】
【0113】
工程c)によるシラン変性されたポリウレタン:重合体3
比較例として、ここでBayer AG.から市販されている製品Desmoseal(登録商標)LS 2237を参照する。
【実施例4】
【0114】
工程d)によるシラン変性されたポリウレタン:シラン変性されたポリジオルガノシロキサンウレタン:重合体4
【0115】
1.OH−末端ポリジオルガノシロキサンウレタンプレポリマーの調製
【0116】
425の平均分子量を有するポリプロピレングリコールの42.6g(0.10mol)および2000の平均分子量を有するα,ω−ビスヒドロキシポリジメチルシロキサンの423.6g(0.21mol)を窒素下にて、攪拌機、温度計および還流冷却器と共に提供された1lの二重壁三首フラスコ内に置く。混合物を60℃まで加熱し、ジブチル錫ジラウレート(50ppm)を触媒として添加する。その後混合物を90℃まで加熱して、33.4g(0.15mol)の液体イソホロンジイソシアネート(MW:222g/mol)を攪拌しながら滴下して添加する。2時間の攪拌後、混合物を室温に冷却し、OH−末端ポリジオルガノシロキサンウレタンを得る。
【0117】
2.γ−イソシアネートシランを使用するシラン変性
74.2g(0.36mol)のγ−イソシアネートシラン イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(MW:205g/mol)を60℃にて、1.で調製したOH−末端ポリジオルガノシロキサンウレタンプレポリマーに対する添加し、混合物をこの温度にて2時間撹拌する。混合物をその後2時間の期間にわたって室温に冷却し、シラン末端ポリジオルガノシロキサンウレタン(重合体4)を得る。
【実施例5】
【0118】
シラン変性されたアクリレート重合体:重合体5
【0119】
256g(2.0mol)のn−ブチルアクリレート(MW:128g/mol)、13.3g(0.13mol)のメチルメタクリレート(MW:100g/mol)、68.8g(0.2mol)のオクタデシルメタクリレート(MW:339g/mol)、7.0g(0.03mol)のDYNASYLAN(登録商標)MEMO(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、MW:248g/mol)、7.4g(0.04mol)のDYNASYLAN(登録商標)MTMO(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、MW:196g/mol)および0.5gのAIBN(α,α’−アゾビスイソブチロニトリル)を室温で混合する。この混合物の60gを窒素下にて、攪拌機、温度計および還流冷却器と共に提供された1lの二重壁三首フラスコ内に置き、70℃まで加熱する。重合の開始後、粘度および温度が増大する。混合物の残りを3時間の期間にわたって導入し、混合物を70℃にてさらに1時間撹拌する。室温に冷却後、粘稠性の無色の液体(約45000mPas)が得られる。重合収量は、≧98%である。
【実施例6】
【0120】
湿分硬化結合剤の製造
実施例1〜4で調製した重合体1、2、3および4は、いずれの場合においても70重量%:30重量%および90重量%:10重量%の混合比で1時間、50℃にて湿気を排除しながら、シラン変性されたアクリレート重合体(重合体5)と均質に混合させ、その後室温に冷却する。湿気を排除して貯蔵後に相溶性を調べる。
【0121】
【表1】

これらの結果は、重合体1,2,3および4と、アクリレート重合体5は、良好な相溶性を示している。貯蔵安定な湿分硬化結合剤が得られる。
【実施例7】
【0122】
湿分硬化結合剤の配合および特性
重合体3は、90重量%:10重量%の比率で1時間、50℃にて湿気を排除しながら、重合体5と均質に混合し、その後室温に冷却する。100重量部のこの結合剤混合物を100重量部のチョーク(Carbital(登録商標)110S)、6重量部の発熱性シリカ、40重量部の可塑剤(DIDP)および数重量部のビニルシラン乾燥剤(DYNASYLAN(登録商標)VTMO=ビニルトリメトキシシラン)を星型ミキサー(Molteni Labmax(登録商標))内に置く。混合物を80℃まで加熱し、減圧下で2時間均質に混合する。混合物をその後40℃に冷却し、1.5重量部のアミノシラン結合剤(DYNASYLAN(登録商標)AMMO=3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、2重量部のビニルシラン乾燥剤および0.06重量部の架橋触媒(Metatin(登録商標)740)を添加する。混合物を40℃にて1時間大気圧で混合し、その後<5mmのHgにて5分間脱気する。その後これをカートリッジにパックする。
この配合物の物理的性能は、ASTM D 412およびD624にしたがって決定する。
【0123】
引張強度: 239psi=1.6MPa
ヤング率: 198psi=1.4MPa
破断伸度: 140%
引裂抵抗: 22lbs/in
ショアA硬度: 51
アルミニウムに対する湿潤接着力: 11lbs/in、100%接合損失
ガラスに対する湿潤接着力: 13lbs/in、80%接合損失
【実施例8】
【0124】
熱安定性
シラン変性された重合体1を、80重量%:20重量%の比率でシラン変性された重合体5と、1時間、50℃にて湿気を排除しながら均質に混合し、その後室温に冷却する。
混合物をこのような方法で、そこから別々に作製し、次いでシラン変性されたポリウレタン1を1.5重量部のアミノシラン結合剤(DYNASYLAN(登録商標)AMMO)および0.06重量部の架橋触媒(Metatin(登録商標)740)と混合して、23℃にて50%の相対的大気湿度にて14日間架橋する。架橋された結合剤を80℃にて対流乾燥器中で1週間貯蔵して貯蔵前後の色変化をMinolta Chromameter(登録商標)CR 300によって決定する。
【0125】
架橋結合剤の黄変指数(対照値:1.97)
重合体1と重合体5との結合剤配合物(重量比=80:20)
貯蔵前: 2.5
貯蔵後: 4.9
重合体1の結合剤配合物:
貯蔵前: 4.0
貯蔵後: 8.6
重合体1に基づく架橋結合剤の熱安定性(黄変傾向)は、重合体5を添加することによって改良することができる。
【実施例9】
【0126】
紫外線安定性
引張剥離試験は、ASTM C 794(「接着内剥離」)に従って行った。選んだ基体ガラスをイソプロパノール、洗浄剤および脱塩水で清浄化して、空気中で乾燥させた。結合剤1と結合剤5とを80重量%:20重量%の比率で、1時間、50℃にて湿気を排除しながら均質に混合し、その後室温に冷却する。このような方法で製造された混合物と、それとは別に重合体1を、1.5重量部のアミノシラン結合剤(DYNASYLAN(登録商標)AMMO)および0.06重量部の架橋触媒(Metatin(登録商標)740)と混合して、23℃にて50%の相対的大気湿度にて14日間架橋される。このような方法で製造した配合結合剤をドクターブレードによりガラスに対して約1.5mmの厚みで適用し、その後アルミニウムシールドでカバーする(穴サイズ:約120マイクロメートル)。さらに約1.5mmのシーラント(結合剤)をドクターブレードによってアルミニウムシールドに適用する。このような方法で製造した試験片を23℃にて50%の相対的大気湿度にて14日間架橋する。架橋された試験片をQUVオーブン内で350時間の紫外線に曝露する。ここで、ガラス側は、紫外線源に向ける。QUV試験は4時間/60℃/高大気湿度/光オンおよび4時間/20℃/高大気湿度/光オフのサイクルで行った。
【0127】
紫外線によるエージング後の架橋結合剤の粘着力
重合体1と重合体5との混合物(重量比=80:20)
紫外線エージング前の乾燥接着力: 33lbs/in
紫外線エージング後の乾燥接着力: 31lb/in
重合体1との混合物
紫外線エージング前の乾燥接着力: 33lbs/in
紫外線エージング後の乾燥接着力: 15lb/in
重合体1と架橋結合剤との紫外線エージング後の接着力は、重合体5を添加することによって改良することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)シラン変性されたポリウレタン及び
(ii)シラン変性されたアクリレートポリマー
を含み、湿気の存在下で硬化可能な湿分硬化結合剤。
【請求項2】
シラン変性されたアクリレートポリマーは、下記一般式の一つを有するシラン基を含む請求項1に記載の湿分硬化結合剤。
−(CH−SiR(OR(OR 又は
−(CO)−O−(CH−SiR(OR(OR
式中、ポリマー骨格の側鎖にある、
Rは、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状アルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアルコキシ基、オキシム基、アシロキシ基、又はベンズアミド基であり;
は、−(CH−CH−O)−R又は−(CH−CHR−O)−Rであり;
は、水素、置換されたか、もしくは非未置換の、線状又は環状アルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール基またはアラルキル基であり;
は、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状アルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基であり;
nは0−10、好ましくは0,1又は3であり;
mは1−50、好ましくは5−20であり;
p及びqは、それぞれ0,1又は2であって、p+q=2である。
【請求項3】
シラン変性されたポリウレタンは、一つ又はそれ以上のアルコキシシラン末端基を有するポリウレタンである請求項1又は2に記載の湿分硬化結合剤。
【請求項4】
シラン変性されたポリウレタンは、シラン変性されたポリアルキレングリコールウレタンポリマー又はジオルガノシロキサンウレタンポリマーである、請求項1〜3のいずれかに記載の湿分硬化結合剤。
【請求項5】
シラン変性されたアクリレートポリマーは、一般式(I)のシランと、一般式(II)のアクリレートと、所望により一般式(III)のオレフィンとの共重合によって得ることができる請求項1〜4のいずれかに記載の湿分硬化結合剤。
X−(CH−SiR(OR(OR (I)
式中、
Xは、CH=CH、−O−CO−CHMe=CH又は−O−CO−CH=CHであり;
Rは、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状アルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアルコキシ基、オキシム基、アシロキシ基、又はベンズアミド基であり;
は、−(CH−CH−O)−R又は−(CH−CHR−O)−Rであり;
は、水素、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状アルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基;
は、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状アルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基であり;
nは0−10、好ましくは0,1又は3であり;
mは1−50、好ましくは5−20であり;
p及びqはそれぞれ0,1又は2であって、p+q=2である。
CH=CR−CO−OR (II)
式中、
は、水素、ハロゲン、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトリル基、ピリジル基、アミド基、又はグリシドキシ基であり;
は、水素、ハロゲン、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基である。
CH=CR (III)
式中、
は、水素、ハロゲン、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基であり;
は、水素、ハロゲン、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトリル基、ピリジル基、アミド基、又はグリシドキシ基である。
【請求項6】
シラン変性されたポリウレタンは、イソシアネート末端基を有するポリウレタンプレポリマーと、一般式(IV)のシランとの反応によって得ることができる請求項1〜5のいずれかに記載の湿分硬化結合剤。
Y−A−SiR’(OR11(OR13 (IV)
式中、
Yは、−SH、−NHR14、−(NH−CH−CH−)−NHR14であり;
Aは、1〜10個の炭素原子を有し、一つ又はそれ以上の基R’で置換されていてもよい線状アルキレン基であり;
R’は、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアルコキシ基、オキシム基、アシロキシ基、又はベンズアミド基であり;
11は、−(CH−CH−O)−R12又は−(CH−CHR’−O)−R12であり;
12は、水素、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基である;
13は、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、又は置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基であり;
14は、水素、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状のアルキル基、置換されたか、もしくは非置換のアリール又はアラルキル基、又は−A−SiR’(OR11(OR13であり;
mは1−50、好ましくは5−20であり;
p及びqは、それぞれ0,1又は2であって、p+q=2であり;
rは1〜5、好ましくは2である。
【請求項7】
14は、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換されたか、もしくは非置換のフェニル又はフェニルアルキル基、又は−A−SiR’(OR11(OR13である請求項6に記載の湿分硬化結合剤。
【請求項8】
シラン変性されたポリウレタンは、ヒドロキシル末端基を有するポリウレタンプレポリマーと、一般式(V)のイソシアネートシランとの反応によって得ることができる請求項1〜5のいずれかに記載の湿分硬化結合剤。
OCN−A−SiR’(OR11(OR13 (V)
式中、A、R’、R11、R13、p及びqは、請求項6又は7の定義に対応する。
【請求項9】
Aは、−(CH)s−(式中、sは1〜10、好ましくは1又は3);又は−(CH−CHR’−CH)−(式中、R’は請求項6と同じ意味を有する)である請求項6〜8のいずれかに記載の湿分硬化結合剤。
【請求項10】
14は、置換されたか、もしくは非置換の、線状又は環状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、置換されたか、もしくは非置換のフェニル又はフェニルアルキル基、又は−A−SiR’(OR11(OR13である請求項6又は7に記載の湿分硬化結合剤。
【請求項11】
Aは、1〜10個、好ましくは1又は3個の炭素原子を有する線状アルキレン基である請求項7に記載の湿分硬化結合剤。
【請求項12】
シラン変性されたポリウレタンは、金属を含まないシラン変性されたポリウレタンである請求項1〜11のいずれかに記載の湿分硬化結合剤。
【請求項13】
さらに、溶剤、充填剤、顔料、可塑剤、安定剤、水分捕捉剤、接着剤、チキソトロープ、架橋触媒、および/または粘着付与剤を含む請求項1〜12のいずれかに記載の湿分硬化結合剤。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに規定されたシラン変性されたポリウレタン及び請求項1〜13のいずれかに規定されたシラン変性されたアクリレートポリマーを含む湿分硬化結合剤を製造するためのキット。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれかに規定されたシラン変性されたポリウレタンと請求項1〜12のいずれかに規定されたシラン変性されたアクリレートポリマーとを混合することを含む湿分硬化結合剤の製造方法。
【請求項16】
一成分又は二成分エラストマー、シーラント、粘着剤、弾性粘着剤、剛性又は可とう性フォーム、塗料又はワニス等の塗装系、鋳型作製組成物、ポッティング組成物及びレベリング組成物、又は床被覆剤を製造するための、請求項1〜13のいずれかに規定されたシラン変性されたポリウレタンと請求項1〜13のいずれかに規定されたシラン変性されたアクリレートポリマーの使用法。
【請求項17】
湿気を含んでいる雰囲気中で請求項1〜13のいずれかに記載の湿分硬化結合剤を硬化することによって得ることのできる湿分硬化結合剤。

【公表番号】特表2008−520777(P2008−520777A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541772(P2007−541772)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012258
【国際公開番号】WO2006/053724
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【出願人】(507362649)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】