滑車装置用のベアリングシールとしての偏向ベアリングシールド、およびその組み立て方法
【構成】本発明の滑車装置は回転軸線、滑車殻およびベアリングを有する滑車、滑車を受け取る滑車受け取り端部を有するシャフト、およびシャフトの滑車受け取り端部に設けられた第1ベアリングシールドからなる。滑車殻は、ベアリングを収める開口を形成する環状壁を有する。収められたベアリングは内側レース、外側レース、および回転要素を有する。第1ベアリングシールドの偏向シール作用部材が、ベアリングを汚染物質から保護する第1接触シールとしてベアリングの外側レースおよび滑車殻の少なくとも一つに対してバイアスする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑車のベアリングの露出側を汚染物質から保護する滑車のベアリングシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
(フロントサイドおよびバックサイドの両サイドの)駆動滑車、アイドラ滑車、テンショナ滑車などの滑車は自動車に、例えば駆動システムのベルトを駆動したり張力を加えるためによく利用されている。ベルト駆動システムの場合、駆動滑車、一つかそれ以上のアイドラ滑車、および各滑車のベルト面に巻き付けられたベルトを有する。ベルト表面は例えば平滑面でもよく、あるいは深いV字形、歯車付きでもよく、多数のリブを形成したものでもよい。
【0003】
このような自動車などの産業用途では、埃、砂、塩および/または他の異物などの汚染物質が滑車のベアリングに侵入する傾向がある。ベアリングは汚染物質に暴露されると、摩耗が速く進み、ベアリングの寿命が短くなる。これら汚染物質は、ボール要素または回転要素が過剰なノイズを発生する原因、場合によって動けなくなる原因になることさえある。ボール要素などが動けなくなると、ベルトが固着された滑車上を滑る結果として、駆動ベルトが破断するか、落下する原因になる。
【0004】
ベアリングシールは汚染物質に対する第1防止線であるが、十分でないことが多い。汚染物質防止を改善するために、ダブルシールに関するUSP4,916,750、USP3,177,020およびUSP2,747,689に記載されているように、シールを追加するか、シール方法を適用することが多い。ところが、これらダブルシールの場合、外部シールとしてではなく、ベアリングの内部に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】USP4,916,750
【特許文献2】USP3,177,020
【特許文献3】USP2,747,689
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のラビリンスシールは、ベアリングに達する汚染物質の量を減らす外部シールまたはベアリングシールドの一例である。ラビリンスシールには、シールの下に開放通路があり、この通路がどんなに小さくても汚染物質がベアリングに達してしまうという問題がある。
【0007】
他のシール設計においては、ベアリングを収容する滑車の開口に圧入するベアリングシールドを利用している。このような設計の問題の一つは、装着が難しく、例えば開口にベアリングシールドを圧入するために特殊な工具が必要となることである。さらに、この開口の場合、ベアリングシールドを安全に保持するためにタイトな許容差が必要であり、バラツキのない製造を難しくしている。これらシール設計はいずれも理想的なものではない。
【0008】
従って、汚染物質防止の点が改善された上で、装着および/または製造がより容易なベアリングシールドが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、滑車殻内のベアリングを汚染物質から保護する滑車装置に関する。この態様による滑車装置は回転軸線、滑車殻、およびベアリングを有する滑車、この滑車を受け取る滑車受け取り端部をもつシャフト、およびこのシャフトの滑車受け取り端部に設けられた第1ベアリングシールドからなる。滑車殻の環状壁がベアリングを収容する開口を形成する。開口に収容されたベアリングは、内側レース、外側レース、およびこれらレース間の回転要素からなる。
【0010】
第1ベアリングシールドは、ベアリングを汚染物質から保護する第1接触シールとしてベアリングの外側レースおよび滑車殻の少なくとも一つにバイアスを作用させる偏向シール部材を有する。
【0011】
本発明の一つの実施態様では、第1ベアリングシールドは自己偏向作用プレートを有し、この自己偏向作用プレートの外周周囲に偏向シール作用部材を有する。別な実施態様では、第1ベアリングシールドは偏向シール作用部材に結合されたカップを有し、ベアリングの外側レースおよび滑車殻の少なくとも一つに対して偏向シール作用部材を位置決めする。別な実施態様では、第1ベアリングシールはVリングである。
【0012】
本発明の滑車装置の場合、第1ベアリングシールドから滑車の反対側に、あるいはベアリングと滑車およびベアリングシールドをシャフトに取り付ける固定装置との間に第2ベアリングシールドを設けることができる。この第2ベアリングシールドとしては、従来のベアリングシールドを利用するか、あるいは第1ベアリングシールドと同種のベアリングシールドを利用すればよい。
【0013】
本発明の別な態様は、滑車装置の組み立て方法であって、回転軸線を設定し、かつ滑車受け取り端部を有するピボットシャフトを準備し、このピボットシャフトの滑車受け取り端部に第1ベアリングシールドを設け、そして回転軸線を中心にして回転できるように滑車をピボットシャフトに取り付けることからなる組み立て方法に関する。滑車の滑車殻は、内側レース、外側レース、およびこれらレース間に回転要素を有するベアリングを収容する環状壁を有する。第1ベアリングシールドは、ベアリングの外側レースおよび滑車殻の少なくとも一つに対して第1接触シールとしてバイアスされる偏向シール作用部材を有する。本態様による方法の場合、滑車および第1ベアリングシールドをピボットシャフトに取り付ける工程も有する。あるいは、第1ベアリングシールドに対向するベアリングの上面に第2ベアリングシールドを設け、滑車、第1ベアリングシールドおよび第2ベアリングシールドをピボットシャフトに取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】滑車装置の第1実施態様を示す正面横断面図である。
【図2】図1の円A内部にある第1ベアリングシールド部分を示す拡大図である。
【図3】滑車装置の第2実施態様を示す正面横断面図である。
【図4A】図3の第1ベアリングシールドを示す拡大上面図である。
【図4B】図3の第1ベアリングシールドを示す拡大底面図である。
【図5A】図3の第2ベアリングシールドを示す拡大上面図である。
【図5B】図3の第2ベアリングシールドを示す拡大底面図である。
【図6】図3の円B内の第1ベアリングシールド部分を示す拡大図であって、別なフランジ設計を示す図である。
【図7】滑車装置の第3実施態様を示す正面横断面図である。
【図8】図7の第1ベアリングシールドを示す拡大斜視図である。
【図9】図8の第1ベアリングシールドを示す展開図である。
【図10】滑車装置の第4実施態様を示す正面横断面図である。
【図11】図10の円C内の第1ベアリングシールド部分を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず図1および図2に示す実施態様について説明すると、全体を100で示す滑車装置は、図示のように、回転軸線104をもつ滑車102、滑車が着座する滑車受け取り端部121をもつシャフト120、第1ベアリングシールド130、適宜選択して使用する第2ベアリングシールド150、およびファスナー手段124を有する。シャフト120の滑車受け取り端部121は、滑車が周囲で回転する滑車ハブ122、および取り付け基部123を有する。一般的に、滑車102およびシャフト120は、締め付け力を与えるとともに、滑車装置の構成成分を固着するために役立つボルトなどのファスナー手段に係合する形状の開口を有する。当業者ならば理解できるように、ファスナー手段124としては締め付け力を与えることができるねじ、ピン、リベットやその他の手段を利用することができる。例えば中心に設定された滑車の開口は、滑車102内の開口109内に収容されたベアリング110を通る。
【0016】
滑車102としてはアイドラ滑車を使用することができ、この場合には付属装置を駆動する駆動ベルトシステムを併用するか、あるいはベルトの方向を変えるか、またはベルト張力を維持するベルトテンショナの構成成分として使用することができるが、これらに制限されるものではない。場合によっては、滑車は車輪、ギヤ、ローラなどのものとしても機能することができる。
【0017】
滑車102は滑車殻106、およびベアリング110を有する。滑車殻(pulley shell)106はベアリング110を収容する開口109を形成する環状壁108を有する。この滑車殻106にはベルト走行面107を形成することができる。なお、この走行面は限定するわけではないが、平滑面、ざらざらした面、Vリブなどのリブを形成した面であってもよい。当業者ならば理解できるように、滑車殻は任意に設計することができる。例示すれば、滑車殻にリブを有するか、あるいは滑車殻の他の部分とは異なる材料で構成したコアを形成してもよい。この滑車殻は成形体、非成形体のいずれでもよく、プラスチックその他の材料で構成することができる。
【0018】
ベアリング110は、滑車殻106の環状壁108が形成する開口109内に収容する。このベアリングは内側レース112、外側レース114、これらレース間の回転要素116を有し、かつそれぞれ上面118および下面119をそれぞれ有する。図1に示す滑車装置の場合、第1および第2のベアリングシールド130および150がなければ、上下面118および119が汚染物質に暴露され、その影響を受けやすくなる。外側レース114が環状壁108に隣接し、そして内側レース112がファスナー手段124を受け取り、かつシャフト120の滑車受け取り端部121の滑車ハブ122を受け取る開口を形成する。ベアリング112の内側レースが、シャフト120の滑車受け取り端部121の取り付け基部123に着座することになる。
【0019】
第1ベアリングシールド130については、シャフト120の滑車受け取り端部121に設ける。即ち、第1ベアリングシールド130については、全体として、滑車受け取り端部121とベアリングの下面119との間に設定すると、汚染物質がベアリングに侵入することが少なくなるか、これを防止することができる。第1ベアリングシールドは、開口134(なお、この開口については図4Aおよび図4Bの別な実施態様において開口234としてより明確に示す)をもつ自己偏向作用プレート132、およびこの自己偏向作用プレート132の外周138の周囲の偏向シール作用部材136を有する。この自己偏向作用プレート132が、偏向シール作用部材136の少なくとも一部をベアリング110の外側レース114(図1および図2を参照)、滑車殻106の環状壁108(図7を参照)、あるいは滑車殻106のその他の部分、あるいはこれらの任意の複合部に対して第1接触シール140(図2を参照)としてバイアス作用を加える。図1〜図11に示す実施態様の場合、オープンカップ形滑車殻であるが、偏向シール作用部材136は任意形式の滑車と併用することができ、偏向シール作用材が中実滑車のコアまたはその他の部分に対して接触シールを形成することができる。
【0020】
開口134については、自己偏向作用プレート132のほぼ中心に設けると、自己偏向作用プレート132の内周137を取り付け基部123に着座させることができる。図1から理解できるように、内側レース112が軸方向力を、ファスナー手段124によって伝達されている間、第1ベアリングシールド130の内周137に作用させるため、滑車が回転しているときでも、即ち内周137が滑車受け取り端部121と内側レース112との間に挟まれているときでも、ベアリングシールド130を滑車受け取り端部121に対して所定位置に保持することができる。自己偏向作用プレート132の内周137を若干凹ませると、ベアリングシールド130を滑車受け取り端部121と内側レース112との間により安全に着座させることができる。
【0021】
自己偏向作用プレート132としてはバネプレートを使用することができる。バネプレートは自己偏向作用を示し、金属を利用することができる。別な実施態様では、バネプレートは任意の耐久性プラスチックであればよく、特に具体例を挙げると、高温耐久性プラスチックナイロン6/6、ナイラトロン(Nylatron)GSや60ブナ(Buna)、60カルボキシル化ブナなどのゴム材料がある。図2に示すように、バネプレートに、プレートを自己偏向させて、偏向シール作用部材136の少なくとも一部を接触シール140として外側レース114にバイアス作用させるバネベンド144を形成することができる。この自己偏向作用プレート132は、例えシール作用材が摩擦の結果として薄くなった場合にも、偏向シール作用部材136を外側レース114に対してバイアスし続ける点で有利である。この設計には、バネベンド144を調整して偏向作用部材のバイアス力を加減して、接触シールの特性を変更し、あらゆる滑車設計に対処できるように構成できる利点もある。
【0022】
自己偏向作用プレート132および偏向シール作用部材136は一体部材でもよく、あるいは個別構成成分を一体に接続したものでもよい。この偏向シール作用部材136は、耐摩耗作用および/または可撓作用および/または自己偏向作用をもつシール作用材で構成することができる。好適なシール作用材としては、高温耐久性プラスチックナイロン6/6、ナイラトロン(Nylatron)GSや60ブナ(Buna)、60カルボキシル化ブナなどのゴム材料がある。
【0023】
一つの実施態様では、よく知られているオーバーモールディングなどの方法を利用して、シール作用材を偏向作用部材の外周に対して一体成形あるいは同時成形することができる。図2に示すように、偏向シール作用部材136は、偏向作用部材の外周138の上下面と全体として同じ距離延長する全体としてディスク形の部材として構成することができる。あるいは、図3、図4Aおよび図4Bに示すように、偏向シール作用部材236については、偏向作用部材の下面よりも上面において距離が長くなるように構成してもよい。鋳型については、図1および図2の場合と同様に、偏向作用部材の上下において偏向シール作用部材136がほぼ同じ厚さになるように設計することができる。なお、鋳型については、図3〜図6の場合と同様に偏向作用部材の下においてシール作用材が厚くなるように、あるいは偏向作用部材の上において外周138がシール作用材の上面または下面により近くなるように、設計することも可能である。外周のシール作用材の厚みに対する位置により偏向作用部材のバイアス力を加減できるため、これを利用して接触シールの特性を変化させることができる。
【0024】
偏向シール作用部材136は、外周138の周りで連続的でもよく、あるいは非連続的でもよい。連続シール作用材のほうが汚染物質に対する保護効果が強い。偏向シール作用部材136には、ベアリング110の外側レース114および/または滑車殻106の環状壁108に対して接触シール140を形成できる材料ならば任意の好適な材料を利用することができる。
【0025】
偏向シール作用部材136には、これの外周から回転軸線104に対して全体として平行に延長するフランジ142を形成することができ、このように構成すると、フランジ142が滑車殻106の環状壁108にオーバーハングすることになる。図1および図2に示すように、フランジ142が環状壁から、これに接触することなくオーバーハングするため、第2のラビリンスシールを形成する。別な実施態様では、図6に示すように、フランジ142が滑車殻の環状壁に向かって全体として反り返るため、開口がより小さくなり、汚染物質がフランジの下から上に移動することがほとんどなくなるか、あるいは環状壁108に接触して第2接触シール243を形成することがほとんどなくなる。本開示のいずれかの実施態様におけるフランジは、各種の滑車殻設計に対処することができる。換言すれば、フランジは、ベアリングの外側レースか、あるいはベアリングの上面に最も近い滑車殻の部分から、これらと接触状態で、あるいは接触することなくオーバーハングするか、あるいはこれらから延長するように構成することができる。
【0026】
図1についてさらに説明を続けると、滑車装置100の場合、第2ベアリングシールド150をベアリング110の上面118と開口125を超えて延長する滑車ボルトのヘッドなどのファスナー手段の部分との間に設けることができる。第2ベアリングシールド150としては、例えば図1に示すラビリンスシールなどの任意の公知シールを利用することができる。あるいは、滑車殻の構成を図7〜図9に示すカップ設計に対処できるようにした場合には、第2ベアリングシールド150は、本開示で説明する第1ベアリングシールドの実施態様のいずれかと同様な構成でもよい。
【0027】
次に図3について説明すると、全体を参照符号200で示す滑車装置は、図示のように、別な実施態様である第1ベアリングシールド230および第2ベアリングシールド250を含むが、これら以外の構成成分および特徴は図1と同じあり、従って同じ参照符号で示す。
【0028】
第1ベアリングシールド230は、図1の第1ベアリングシールドについて説明した同じ位置に設ける。図3および図4A〜図4Bに示す第1ベアリングシールド230は、上記のように、内周237によって形成される開口234を有する自己偏向作用プレート232、および偏向作用部材の外周238周囲の偏向シール作用部材236を有する。内周237の一部を若干凹ませて、ベアリングシールド230を滑車受け取り端部121に対してより安全に着座させることができる。偏向シール作用部材236は、自己偏向作用プレート232の下面よりも上面においてより長く延長し、上面のシール作用材は、自己偏向作用プレート232の上面の突出部248と係合する一つかそれ以上のスロット246を有する。偏向部材232上に成形したプラスチック材料は、偏向シール作用部材236中にスロット248を有するため、一旦ベアリングシールド230が偏向したならば、直径方向に膨張することになる。スロット248は、偏向シール作用部材236に割れが発生することを防止するのに役立つ。シール作用材には、環状壁108に接触することなくこれからオーバーハングするフランジ242、あるいはこの環状壁からオーバーハングするとともにこれに接触して第2接触シール243を形成するフランジ242´(図6)を形成することができる。
【0029】
図5A〜図5Bに示す第2ベアリングシールド250は、上記のように、内周257によって形成された開口254を有する自己偏向作用プレート252、および偏向作用部材の外周258の周囲にある偏向シール作用部材256を有する。内周257の一部を若干凹ませ、ベアリングシールド250をベアリングの上面118とファスナー手段124との間により安全に着座させることができる。第2ベアリングシールド250は、第1ベアリングシールド230と同構成であるが、ベアリング110の上面118を覆うか、および/またはベアリング110の外側レース114または滑車殻106の外側レースに隣接する部分からオーバーハングするか、これらと接触して接触シールを形成するように、寸法を設定している。第1ベアリングシールド230と同じように、第2ベアリングシールド250は、偏向シール作用部材256を自己偏向作用プレート252の下面においてよりも上面において距離が長くなるように延長し、そしてフランジ262を形成することができる。偏向シール作用部材256には、第1ベアリングシールド230について説明したのと同様な、自己偏向作用プレート252の上面の突出部268に係合するスロット266を形成することができる。
【0030】
第1ベアリングシールド230および第2ベアリングシールド250については、上記のように、偏向作用部材およびシール作用部材は一体部材でもよく、あるいは個別構成成分を一体に接続したものでもよい。いずれの実施態様でも、図示のように、偏向作用部材は全体として平坦なプレートであり、金属プレートまたは座金であればよい。あるいは、上記のその他の材料のうち任意の材料で構成してもよい。図4A〜4Bおよび図5A〜図5Bに示す偏向シール作用部材236および256は、それぞれ、連続的な、全体としてディスク状の部材として偏向作用部材の外周にオーバーモールドするが、別な方法で接続してもよい。
【0031】
図3に示すように、第1ベアリングシールドおよび第2ベアリングシールド230、250はいずれも偏向作用部材の外周をシール作用材内に設けて、接触シールを形成するプレート下のシール作用材の材厚がプレート上のシール作用材の材厚よりも厚くなるように設定する。即ち、横断面図に示すように、“オフセンター”構成にする。プレートを全体として平坦構成を取るようにし、かつシール作用材内にオフセンター設定してあるため、ファスナー手段124が偏向作用部材232、252のいずれかの、あるいは両方の内周に軸方向力を作用させると、この軸方向力によってプレートが外周238、258をベアリングに向けて軸方向に偏向させ、これによってシール作用材がベアリング110の外側レース114に接触し、それぞれ接触シール240および260を形成する。接触シールは、偏向作用材の下側でシール作用材の最も厚い部分に形成した場合には、その作用がより長く続くことになる。
【0032】
さらに図3について説明を続けると、フランジ242および262は、第1および第2のベアリングシールド230、250のシール作用材の全体としてディスク状の本体の外周に延設する。全体としてディスク状の本体の形状については、フランジが接触シール240または260を超え、ベアリング110の外側レース114、滑車殻106の環状壁108、および/または滑車殻の外側レースに隣接する部分からオーバーハングできるように構成すればよい。フランジ242は環状壁108に接触せず、同様にフランジ262は滑車殻の外側レース114に隣接する部分に接触しない。即ち、これらフランジ242、262は汚染物質の付加的な防護体として二次的なラビリンスシールを構成するものである。
【0033】
次に、図3の円B内の第2ベアリングシールド部分の拡大図である図6について説明すると、図示のものは別なフランジ設計例242´である。フランジ242´は偏向シール作用部材236に延設し、環状壁108からオーバーハングし、環状壁の方に反り返って、第1接触シール240に加えて二次的な接触シール243として環状壁に接触する。当業者ならば、フランジ形状については各種の設計が可能であるが、ここで大切なことは、フランジが滑車の別な面に接触して二次的な接触シールを形成することであることを理解できるはずである。この別なフランジ設計例は、滑車殻の設計に対処できる場合には、第1ベアリングシールド250にも応用することができる。
【0034】
図7について説明する。図示の全体として参照符号300で示す滑車装置は、第1ベアリングシールド230の別な実施態様からなる。それ以外の構成成分および特徴は図1および図3と同じであり、従って同じ参照符号を使用する。第1ベアリングシールド330が、ベアリング110の下面119、特に外側レース114に対してではなく、偏向シール作用部材336と滑車殻106の環状壁108との間に第1接触シール340を形成する。図示では、偏向シール作用部材336はカップ332の内壁に設けられているが、カップの外壁に設けるか、あるいはリム338を被覆するように設けてもよく、この場合には、接触シールがコア壁117または外側環状壁108´の少なくとも一つに対して形成することができる。別な実施態様では、環状壁108を短く設定するか、あるいは環状壁108に隣接する外側レース114が現れる開口を形成してもよく、この場合には偏向シール作用部材336が外側レースの表面に接触し、接触シール340を形成することになる。また、滑車殻が中実体の場合には、偏向シール作用部材が滑車殻の任意の部分に接触し、接触シールを形成するか、あるいは滑車殻に形成した溝に嵌合させることも可能である。
【0035】
図7〜図9に示す第1ベアリングシールド330は、カップ332および偏向シール作用部材336を有する。図示では、カップ332は全体して円形の側壁335を有するが、カップはこれに制限されるものではない。このカップ332は、上記自己偏向作用プレート132について説明したのと同様な開口334を有し、またカップの外周を形成するリム338を有する。カップ332の形状については、偏向シール作用部材336の少なくとも一部が接触シール340として環状壁108に接触できる形状であればよい。また、シール作用材は、偏向して環状壁108に嵌合するか、あるいは環状壁108に係合することができる。カップのリム338には、一つかそれ以上のスロット346などを形成することができ、偏向シール作用部材336をカップ332に接続することができる。
【0036】
偏向シール作用部材336は、カップ332のリム338の周りに連続的に設けてもよく、あるいは非連続的に設けてもよく、全体としてリム338に係合するように形状設定すればよい。偏向シール作用部材336の少なくとも一部はカップの一つかそれ以上の壁335の内周に整列していればよい。図7〜図9に示すように、シール作用材はカップ332のリム338のスロット346に係合する一つかそれ以上の突出部348を形成した環状リングであり、シール作用部材とカップとを接続するものである。突出部348およびスロット346は、全体として締まり嵌めタイプや隙間嵌めタイプであればよい。隙間嵌めタイプでも、シール作用材がカップと滑車殻の環状壁に隣接する部分との間から滑り出る余地のない図7に示す装置の結果としてシール作用材を所定位置に保持できる。
【0037】
また偏向シール作用部材336には、図示のように、一つかそれ以上の連続リッジまたは非連続リッジ341を設ける。これらリッジは、シール作用材から外側に突出しカップに入り、環状壁108などの滑車部分に接触し、接触シール340を形成する。これらリッジ341は、全体として偏向シール作用部材を自己偏向性にするものである。リッジの形状および/または角度については、滑車の一部に接触させて接触シールを形成する場合に、リッジが滑車に接触したままでカップのほうに偏向するように設定する。滑車の回転時の摩擦の結果としてシール作用材が摩耗すると、シール作用材が滑車のほうにバイアスされて、接触を維持し、これによって接触シールを維持し、かつベアリングを汚染物質から保護する。
【0038】
図9に示すように、カップ332と偏向シール作用部材336は、分離可能に設定しておくことができる。別な実施態様では、偏向シール作用部材336はカップと一体成形してもよく、あるいは同時成形してもよく、例えば、シール作用材はリムにオーバーモールドしてもよい。
【0039】
次に図10について説明すると、全体として参照符号400で示す滑車装置は、第1ベアリングシールドの別な態様を有し、それ以外の図1および図3と同じ構成成分および特徴は同じ参照符号で示す。第1ベアリングシールド430が、偏向シール作用部材432とベアリング110の外側レース114との間に第1接触シール440を形成する。あるいは、偏向シール作用部材432が、環状壁108または滑車殻のその他の部分に対して接触シールを形成してもよく、あるいはこれらのいずれかをベアリングの外側レースと組み合わせてもよい。
【0040】
第1ベアリングシールド430はVリング438である。このVリング438は、図11の横断面に示すように、Vの第1辺438´および第2辺438´´を有する。なお、図11は、以下に説明するようにフランジ460およびリップ462を取り除いた点を除けば、円C内に示す図10の部分と同じである。偏向シール作用部材438がVの第1辺438´であり、そしてスペーサ442がVの第2辺438´´である。偏向シール作用部材438は先端縁部444および後端縁部446を有し、この後端縁部446にスペーサ442を接続する。組み立てられた滑車装置内においては、スペーサ442によって先端縁部444が取り付け基部123の上面の上に位置決めされる。この位置では、ベアリングの外側レースが、あるいは滑車殻の一部が偏向シール作用部材をスペーサのほうに押圧するため、第1接触シール440が形成する。この偏向シール作用部材438の場合、偏向量は0.5mm〜1.5mmであればよい。
【0041】
Vリング438の場合、偏向シール作用部材432の角度は組み立て前スペーサに対して約35°〜約55°であればよい。一つの実施態様では、Vリングの組み立て前の角度は45°である。各種形状、各種角度、各種直径のVリングが市販されている。一般に、Vリングはエラストマーからなり、織布や板金シートなどで補強しない。また、Vリングは延伸でき、そしてサイズにもよるが、取り付け基部123などの他の構成成分の上に押しつけることができる。Vリングには交換が容易である利点もある。Vリングの組み立て前の角度は組み立て時に偏向することができるため、偏向シール作用部材は自己偏向性である。即ち、滑車を取り外すと、偏向シール作用部材は元の位置に復元する。
【0042】
滑車受け取り端部121は、図10に示すように、そのフランジ460には、Vリング438の外周を取り囲むリップ462を適宜形成することができる。また、図11に示すように、Vリング438は全体して平坦な表面に設けてもよい。
【0043】
滑車装置400には、図10に示すように、第2ベアリングシールド450およびキャップ480を設けることも可能である。第2ベアリングシールド450は、以上説明してきた任意のシールド、あるいは従来公知な任意のシールドであればよい。図10に、第2Vリング454としての第1ベアリングシールド430を示す。第2Vリングは偏向シール作用材452およびスペーサ456を有する。キャップ480は、取り付け基部482を有する。第2ベアリングシールド450は、この取り付け基部482に着座し、ベアリング110の上面118に着座する。第2Vリング454は、組み立て前の角度は前記の通りであり、組み立て時にスペーサ456に対して偏向する。キャップ480には、第2Vリングの外周を取り囲むフランジ484を適宜形成することができる。フランジ484が存在する場合、第2Vリング454はキャップ480の凹部内に収まることになる。この凹部については、第2Vリングが取り付け基部に延伸嵌合し、かつ静止しているため、即ち第2Vリング454が軸線104の周りで回転せず、また軸線にそって並進せず、あるいは軸線から離間する外側方向に並進しないため、第2Vリングよりも大きく設定することができる。Vリング438についても同じである。
【0044】
本発明の第2態様は、上記の各種実施態様の滑車装置を組み立てる方法に関する。本発明の組み立て方法では、回転軸線104を形成するピボットシャフト120を設け、この回転軸線の周りで回転できるようにピボットシャフトに滑車102を設け、そしてベアリングの下面にベアリングシールド130、230または330などの第1ベアリングシールドを設ける。第1ベアリングシールドを設ける場合、滑車装置のベアリング110とピボットシャフト120との間に同軸的にベアリングシールドを取り付けてもよい。この方法の場合、上記のように、ファスナー手段124を使用して、ピボットシャフトに滑車および第1ベアリングシールドを取り付けてもよい。
【0045】
本発明方法の場合、ベアリング110の上面118上にベアリングシールド150、250などの第2ベアリングシールドやその他の利用可能なカバーやシールを設け、そして滑車および第1、第2のベアリングシールドをピボットシャフトに取り付けることも可能である。また、第2ベアリングシールドは、ベアリングの上面と、滑車ボルトのヘッドなどのファスナー手段124の一部との間に設けてもよい。
【0046】
以上説明してきた実施態様のそれぞれにおいて、偏向シール作用部材は、ベアリングの外側レースと接触するか、あるいは滑車殻の一部と接触するかに応じて、滑車の一部と接触シールを構成する。偏向シール作用部材は偏向して、ベアリングシールドの構成成分によって、滑車装置の他の構成成分、特に滑車によって接触シールを構成するか、自己偏向するか、あるいはこれらの両者を行う。シール作用部材が偏向する事実は、滑車との摩擦の結果シール作用部材が摩耗するに従って、シール作用部材が滑車のほうにバイアスして、偏向シール作用部材の寿命の全期間を通じて接触シールが維持されるため、ベアリングを汚染物質の汚染から良好に保護することができる作用効果を有する。
【0047】
図面に示し、かつ本明細書で説明してきた本発明の実施態様は、特許請求の範囲内において構成可能な数多くの実施態様のうち例示に過ぎない。即ち、本明細書に示した作用効果を利用すればこれら以外の滑車装置の構成も可能である。つまり、特許権利の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限を受けるものである。
【符号の説明】
【0048】
100:滑車装置
102:滑車
104:回転軸線
106:滑車殻
107:ベルト走行面
108:環状壁
109:開口
110:ベアリング
112:内側レース
114:外側レース
116:回転要素
118:上面
119:下面
120:シャフト
121:滑車受け取り端部
122:滑車ハブ
123:取り付け基部
124:ファスナー手段
130:第1ベアリングシールド
134:開口
136:偏向シール作用部材
140:第1接触シール
142,242’:フランジ
150:第2ベアリングシールド
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑車のベアリングの露出側を汚染物質から保護する滑車のベアリングシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
(フロントサイドおよびバックサイドの両サイドの)駆動滑車、アイドラ滑車、テンショナ滑車などの滑車は自動車に、例えば駆動システムのベルトを駆動したり張力を加えるためによく利用されている。ベルト駆動システムの場合、駆動滑車、一つかそれ以上のアイドラ滑車、および各滑車のベルト面に巻き付けられたベルトを有する。ベルト表面は例えば平滑面でもよく、あるいは深いV字形、歯車付きでもよく、多数のリブを形成したものでもよい。
【0003】
このような自動車などの産業用途では、埃、砂、塩および/または他の異物などの汚染物質が滑車のベアリングに侵入する傾向がある。ベアリングは汚染物質に暴露されると、摩耗が速く進み、ベアリングの寿命が短くなる。これら汚染物質は、ボール要素または回転要素が過剰なノイズを発生する原因、場合によって動けなくなる原因になることさえある。ボール要素などが動けなくなると、ベルトが固着された滑車上を滑る結果として、駆動ベルトが破断するか、落下する原因になる。
【0004】
ベアリングシールは汚染物質に対する第1防止線であるが、十分でないことが多い。汚染物質防止を改善するために、ダブルシールに関するUSP4,916,750、USP3,177,020およびUSP2,747,689に記載されているように、シールを追加するか、シール方法を適用することが多い。ところが、これらダブルシールの場合、外部シールとしてではなく、ベアリングの内部に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】USP4,916,750
【特許文献2】USP3,177,020
【特許文献3】USP2,747,689
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のラビリンスシールは、ベアリングに達する汚染物質の量を減らす外部シールまたはベアリングシールドの一例である。ラビリンスシールには、シールの下に開放通路があり、この通路がどんなに小さくても汚染物質がベアリングに達してしまうという問題がある。
【0007】
他のシール設計においては、ベアリングを収容する滑車の開口に圧入するベアリングシールドを利用している。このような設計の問題の一つは、装着が難しく、例えば開口にベアリングシールドを圧入するために特殊な工具が必要となることである。さらに、この開口の場合、ベアリングシールドを安全に保持するためにタイトな許容差が必要であり、バラツキのない製造を難しくしている。これらシール設計はいずれも理想的なものではない。
【0008】
従って、汚染物質防止の点が改善された上で、装着および/または製造がより容易なベアリングシールドが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、滑車殻内のベアリングを汚染物質から保護する滑車装置に関する。この態様による滑車装置は回転軸線、滑車殻、およびベアリングを有する滑車、この滑車を受け取る滑車受け取り端部をもつシャフト、およびこのシャフトの滑車受け取り端部に設けられた第1ベアリングシールドからなる。滑車殻の環状壁がベアリングを収容する開口を形成する。開口に収容されたベアリングは、内側レース、外側レース、およびこれらレース間の回転要素からなる。
【0010】
第1ベアリングシールドは、ベアリングを汚染物質から保護する第1接触シールとしてベアリングの外側レースおよび滑車殻の少なくとも一つにバイアスを作用させる偏向シール部材を有する。
【0011】
本発明の一つの実施態様では、第1ベアリングシールドは自己偏向作用プレートを有し、この自己偏向作用プレートの外周周囲に偏向シール作用部材を有する。別な実施態様では、第1ベアリングシールドは偏向シール作用部材に結合されたカップを有し、ベアリングの外側レースおよび滑車殻の少なくとも一つに対して偏向シール作用部材を位置決めする。別な実施態様では、第1ベアリングシールはVリングである。
【0012】
本発明の滑車装置の場合、第1ベアリングシールドから滑車の反対側に、あるいはベアリングと滑車およびベアリングシールドをシャフトに取り付ける固定装置との間に第2ベアリングシールドを設けることができる。この第2ベアリングシールドとしては、従来のベアリングシールドを利用するか、あるいは第1ベアリングシールドと同種のベアリングシールドを利用すればよい。
【0013】
本発明の別な態様は、滑車装置の組み立て方法であって、回転軸線を設定し、かつ滑車受け取り端部を有するピボットシャフトを準備し、このピボットシャフトの滑車受け取り端部に第1ベアリングシールドを設け、そして回転軸線を中心にして回転できるように滑車をピボットシャフトに取り付けることからなる組み立て方法に関する。滑車の滑車殻は、内側レース、外側レース、およびこれらレース間に回転要素を有するベアリングを収容する環状壁を有する。第1ベアリングシールドは、ベアリングの外側レースおよび滑車殻の少なくとも一つに対して第1接触シールとしてバイアスされる偏向シール作用部材を有する。本態様による方法の場合、滑車および第1ベアリングシールドをピボットシャフトに取り付ける工程も有する。あるいは、第1ベアリングシールドに対向するベアリングの上面に第2ベアリングシールドを設け、滑車、第1ベアリングシールドおよび第2ベアリングシールドをピボットシャフトに取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】滑車装置の第1実施態様を示す正面横断面図である。
【図2】図1の円A内部にある第1ベアリングシールド部分を示す拡大図である。
【図3】滑車装置の第2実施態様を示す正面横断面図である。
【図4A】図3の第1ベアリングシールドを示す拡大上面図である。
【図4B】図3の第1ベアリングシールドを示す拡大底面図である。
【図5A】図3の第2ベアリングシールドを示す拡大上面図である。
【図5B】図3の第2ベアリングシールドを示す拡大底面図である。
【図6】図3の円B内の第1ベアリングシールド部分を示す拡大図であって、別なフランジ設計を示す図である。
【図7】滑車装置の第3実施態様を示す正面横断面図である。
【図8】図7の第1ベアリングシールドを示す拡大斜視図である。
【図9】図8の第1ベアリングシールドを示す展開図である。
【図10】滑車装置の第4実施態様を示す正面横断面図である。
【図11】図10の円C内の第1ベアリングシールド部分を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず図1および図2に示す実施態様について説明すると、全体を100で示す滑車装置は、図示のように、回転軸線104をもつ滑車102、滑車が着座する滑車受け取り端部121をもつシャフト120、第1ベアリングシールド130、適宜選択して使用する第2ベアリングシールド150、およびファスナー手段124を有する。シャフト120の滑車受け取り端部121は、滑車が周囲で回転する滑車ハブ122、および取り付け基部123を有する。一般的に、滑車102およびシャフト120は、締め付け力を与えるとともに、滑車装置の構成成分を固着するために役立つボルトなどのファスナー手段に係合する形状の開口を有する。当業者ならば理解できるように、ファスナー手段124としては締め付け力を与えることができるねじ、ピン、リベットやその他の手段を利用することができる。例えば中心に設定された滑車の開口は、滑車102内の開口109内に収容されたベアリング110を通る。
【0016】
滑車102としてはアイドラ滑車を使用することができ、この場合には付属装置を駆動する駆動ベルトシステムを併用するか、あるいはベルトの方向を変えるか、またはベルト張力を維持するベルトテンショナの構成成分として使用することができるが、これらに制限されるものではない。場合によっては、滑車は車輪、ギヤ、ローラなどのものとしても機能することができる。
【0017】
滑車102は滑車殻106、およびベアリング110を有する。滑車殻(pulley shell)106はベアリング110を収容する開口109を形成する環状壁108を有する。この滑車殻106にはベルト走行面107を形成することができる。なお、この走行面は限定するわけではないが、平滑面、ざらざらした面、Vリブなどのリブを形成した面であってもよい。当業者ならば理解できるように、滑車殻は任意に設計することができる。例示すれば、滑車殻にリブを有するか、あるいは滑車殻の他の部分とは異なる材料で構成したコアを形成してもよい。この滑車殻は成形体、非成形体のいずれでもよく、プラスチックその他の材料で構成することができる。
【0018】
ベアリング110は、滑車殻106の環状壁108が形成する開口109内に収容する。このベアリングは内側レース112、外側レース114、これらレース間の回転要素116を有し、かつそれぞれ上面118および下面119をそれぞれ有する。図1に示す滑車装置の場合、第1および第2のベアリングシールド130および150がなければ、上下面118および119が汚染物質に暴露され、その影響を受けやすくなる。外側レース114が環状壁108に隣接し、そして内側レース112がファスナー手段124を受け取り、かつシャフト120の滑車受け取り端部121の滑車ハブ122を受け取る開口を形成する。ベアリング112の内側レースが、シャフト120の滑車受け取り端部121の取り付け基部123に着座することになる。
【0019】
第1ベアリングシールド130については、シャフト120の滑車受け取り端部121に設ける。即ち、第1ベアリングシールド130については、全体として、滑車受け取り端部121とベアリングの下面119との間に設定すると、汚染物質がベアリングに侵入することが少なくなるか、これを防止することができる。第1ベアリングシールドは、開口134(なお、この開口については図4Aおよび図4Bの別な実施態様において開口234としてより明確に示す)をもつ自己偏向作用プレート132、およびこの自己偏向作用プレート132の外周138の周囲の偏向シール作用部材136を有する。この自己偏向作用プレート132が、偏向シール作用部材136の少なくとも一部をベアリング110の外側レース114(図1および図2を参照)、滑車殻106の環状壁108(図7を参照)、あるいは滑車殻106のその他の部分、あるいはこれらの任意の複合部に対して第1接触シール140(図2を参照)としてバイアス作用を加える。図1〜図11に示す実施態様の場合、オープンカップ形滑車殻であるが、偏向シール作用部材136は任意形式の滑車と併用することができ、偏向シール作用材が中実滑車のコアまたはその他の部分に対して接触シールを形成することができる。
【0020】
開口134については、自己偏向作用プレート132のほぼ中心に設けると、自己偏向作用プレート132の内周137を取り付け基部123に着座させることができる。図1から理解できるように、内側レース112が軸方向力を、ファスナー手段124によって伝達されている間、第1ベアリングシールド130の内周137に作用させるため、滑車が回転しているときでも、即ち内周137が滑車受け取り端部121と内側レース112との間に挟まれているときでも、ベアリングシールド130を滑車受け取り端部121に対して所定位置に保持することができる。自己偏向作用プレート132の内周137を若干凹ませると、ベアリングシールド130を滑車受け取り端部121と内側レース112との間により安全に着座させることができる。
【0021】
自己偏向作用プレート132としてはバネプレートを使用することができる。バネプレートは自己偏向作用を示し、金属を利用することができる。別な実施態様では、バネプレートは任意の耐久性プラスチックであればよく、特に具体例を挙げると、高温耐久性プラスチックナイロン6/6、ナイラトロン(Nylatron)GSや60ブナ(Buna)、60カルボキシル化ブナなどのゴム材料がある。図2に示すように、バネプレートに、プレートを自己偏向させて、偏向シール作用部材136の少なくとも一部を接触シール140として外側レース114にバイアス作用させるバネベンド144を形成することができる。この自己偏向作用プレート132は、例えシール作用材が摩擦の結果として薄くなった場合にも、偏向シール作用部材136を外側レース114に対してバイアスし続ける点で有利である。この設計には、バネベンド144を調整して偏向作用部材のバイアス力を加減して、接触シールの特性を変更し、あらゆる滑車設計に対処できるように構成できる利点もある。
【0022】
自己偏向作用プレート132および偏向シール作用部材136は一体部材でもよく、あるいは個別構成成分を一体に接続したものでもよい。この偏向シール作用部材136は、耐摩耗作用および/または可撓作用および/または自己偏向作用をもつシール作用材で構成することができる。好適なシール作用材としては、高温耐久性プラスチックナイロン6/6、ナイラトロン(Nylatron)GSや60ブナ(Buna)、60カルボキシル化ブナなどのゴム材料がある。
【0023】
一つの実施態様では、よく知られているオーバーモールディングなどの方法を利用して、シール作用材を偏向作用部材の外周に対して一体成形あるいは同時成形することができる。図2に示すように、偏向シール作用部材136は、偏向作用部材の外周138の上下面と全体として同じ距離延長する全体としてディスク形の部材として構成することができる。あるいは、図3、図4Aおよび図4Bに示すように、偏向シール作用部材236については、偏向作用部材の下面よりも上面において距離が長くなるように構成してもよい。鋳型については、図1および図2の場合と同様に、偏向作用部材の上下において偏向シール作用部材136がほぼ同じ厚さになるように設計することができる。なお、鋳型については、図3〜図6の場合と同様に偏向作用部材の下においてシール作用材が厚くなるように、あるいは偏向作用部材の上において外周138がシール作用材の上面または下面により近くなるように、設計することも可能である。外周のシール作用材の厚みに対する位置により偏向作用部材のバイアス力を加減できるため、これを利用して接触シールの特性を変化させることができる。
【0024】
偏向シール作用部材136は、外周138の周りで連続的でもよく、あるいは非連続的でもよい。連続シール作用材のほうが汚染物質に対する保護効果が強い。偏向シール作用部材136には、ベアリング110の外側レース114および/または滑車殻106の環状壁108に対して接触シール140を形成できる材料ならば任意の好適な材料を利用することができる。
【0025】
偏向シール作用部材136には、これの外周から回転軸線104に対して全体として平行に延長するフランジ142を形成することができ、このように構成すると、フランジ142が滑車殻106の環状壁108にオーバーハングすることになる。図1および図2に示すように、フランジ142が環状壁から、これに接触することなくオーバーハングするため、第2のラビリンスシールを形成する。別な実施態様では、図6に示すように、フランジ142が滑車殻の環状壁に向かって全体として反り返るため、開口がより小さくなり、汚染物質がフランジの下から上に移動することがほとんどなくなるか、あるいは環状壁108に接触して第2接触シール243を形成することがほとんどなくなる。本開示のいずれかの実施態様におけるフランジは、各種の滑車殻設計に対処することができる。換言すれば、フランジは、ベアリングの外側レースか、あるいはベアリングの上面に最も近い滑車殻の部分から、これらと接触状態で、あるいは接触することなくオーバーハングするか、あるいはこれらから延長するように構成することができる。
【0026】
図1についてさらに説明を続けると、滑車装置100の場合、第2ベアリングシールド150をベアリング110の上面118と開口125を超えて延長する滑車ボルトのヘッドなどのファスナー手段の部分との間に設けることができる。第2ベアリングシールド150としては、例えば図1に示すラビリンスシールなどの任意の公知シールを利用することができる。あるいは、滑車殻の構成を図7〜図9に示すカップ設計に対処できるようにした場合には、第2ベアリングシールド150は、本開示で説明する第1ベアリングシールドの実施態様のいずれかと同様な構成でもよい。
【0027】
次に図3について説明すると、全体を参照符号200で示す滑車装置は、図示のように、別な実施態様である第1ベアリングシールド230および第2ベアリングシールド250を含むが、これら以外の構成成分および特徴は図1と同じあり、従って同じ参照符号で示す。
【0028】
第1ベアリングシールド230は、図1の第1ベアリングシールドについて説明した同じ位置に設ける。図3および図4A〜図4Bに示す第1ベアリングシールド230は、上記のように、内周237によって形成される開口234を有する自己偏向作用プレート232、および偏向作用部材の外周238周囲の偏向シール作用部材236を有する。内周237の一部を若干凹ませて、ベアリングシールド230を滑車受け取り端部121に対してより安全に着座させることができる。偏向シール作用部材236は、自己偏向作用プレート232の下面よりも上面においてより長く延長し、上面のシール作用材は、自己偏向作用プレート232の上面の突出部248と係合する一つかそれ以上のスロット246を有する。偏向部材232上に成形したプラスチック材料は、偏向シール作用部材236中にスロット248を有するため、一旦ベアリングシールド230が偏向したならば、直径方向に膨張することになる。スロット248は、偏向シール作用部材236に割れが発生することを防止するのに役立つ。シール作用材には、環状壁108に接触することなくこれからオーバーハングするフランジ242、あるいはこの環状壁からオーバーハングするとともにこれに接触して第2接触シール243を形成するフランジ242´(図6)を形成することができる。
【0029】
図5A〜図5Bに示す第2ベアリングシールド250は、上記のように、内周257によって形成された開口254を有する自己偏向作用プレート252、および偏向作用部材の外周258の周囲にある偏向シール作用部材256を有する。内周257の一部を若干凹ませ、ベアリングシールド250をベアリングの上面118とファスナー手段124との間により安全に着座させることができる。第2ベアリングシールド250は、第1ベアリングシールド230と同構成であるが、ベアリング110の上面118を覆うか、および/またはベアリング110の外側レース114または滑車殻106の外側レースに隣接する部分からオーバーハングするか、これらと接触して接触シールを形成するように、寸法を設定している。第1ベアリングシールド230と同じように、第2ベアリングシールド250は、偏向シール作用部材256を自己偏向作用プレート252の下面においてよりも上面において距離が長くなるように延長し、そしてフランジ262を形成することができる。偏向シール作用部材256には、第1ベアリングシールド230について説明したのと同様な、自己偏向作用プレート252の上面の突出部268に係合するスロット266を形成することができる。
【0030】
第1ベアリングシールド230および第2ベアリングシールド250については、上記のように、偏向作用部材およびシール作用部材は一体部材でもよく、あるいは個別構成成分を一体に接続したものでもよい。いずれの実施態様でも、図示のように、偏向作用部材は全体として平坦なプレートであり、金属プレートまたは座金であればよい。あるいは、上記のその他の材料のうち任意の材料で構成してもよい。図4A〜4Bおよび図5A〜図5Bに示す偏向シール作用部材236および256は、それぞれ、連続的な、全体としてディスク状の部材として偏向作用部材の外周にオーバーモールドするが、別な方法で接続してもよい。
【0031】
図3に示すように、第1ベアリングシールドおよび第2ベアリングシールド230、250はいずれも偏向作用部材の外周をシール作用材内に設けて、接触シールを形成するプレート下のシール作用材の材厚がプレート上のシール作用材の材厚よりも厚くなるように設定する。即ち、横断面図に示すように、“オフセンター”構成にする。プレートを全体として平坦構成を取るようにし、かつシール作用材内にオフセンター設定してあるため、ファスナー手段124が偏向作用部材232、252のいずれかの、あるいは両方の内周に軸方向力を作用させると、この軸方向力によってプレートが外周238、258をベアリングに向けて軸方向に偏向させ、これによってシール作用材がベアリング110の外側レース114に接触し、それぞれ接触シール240および260を形成する。接触シールは、偏向作用材の下側でシール作用材の最も厚い部分に形成した場合には、その作用がより長く続くことになる。
【0032】
さらに図3について説明を続けると、フランジ242および262は、第1および第2のベアリングシールド230、250のシール作用材の全体としてディスク状の本体の外周に延設する。全体としてディスク状の本体の形状については、フランジが接触シール240または260を超え、ベアリング110の外側レース114、滑車殻106の環状壁108、および/または滑車殻の外側レースに隣接する部分からオーバーハングできるように構成すればよい。フランジ242は環状壁108に接触せず、同様にフランジ262は滑車殻の外側レース114に隣接する部分に接触しない。即ち、これらフランジ242、262は汚染物質の付加的な防護体として二次的なラビリンスシールを構成するものである。
【0033】
次に、図3の円B内の第2ベアリングシールド部分の拡大図である図6について説明すると、図示のものは別なフランジ設計例242´である。フランジ242´は偏向シール作用部材236に延設し、環状壁108からオーバーハングし、環状壁の方に反り返って、第1接触シール240に加えて二次的な接触シール243として環状壁に接触する。当業者ならば、フランジ形状については各種の設計が可能であるが、ここで大切なことは、フランジが滑車の別な面に接触して二次的な接触シールを形成することであることを理解できるはずである。この別なフランジ設計例は、滑車殻の設計に対処できる場合には、第1ベアリングシールド250にも応用することができる。
【0034】
図7について説明する。図示の全体として参照符号300で示す滑車装置は、第1ベアリングシールド230の別な実施態様からなる。それ以外の構成成分および特徴は図1および図3と同じであり、従って同じ参照符号を使用する。第1ベアリングシールド330が、ベアリング110の下面119、特に外側レース114に対してではなく、偏向シール作用部材336と滑車殻106の環状壁108との間に第1接触シール340を形成する。図示では、偏向シール作用部材336はカップ332の内壁に設けられているが、カップの外壁に設けるか、あるいはリム338を被覆するように設けてもよく、この場合には、接触シールがコア壁117または外側環状壁108´の少なくとも一つに対して形成することができる。別な実施態様では、環状壁108を短く設定するか、あるいは環状壁108に隣接する外側レース114が現れる開口を形成してもよく、この場合には偏向シール作用部材336が外側レースの表面に接触し、接触シール340を形成することになる。また、滑車殻が中実体の場合には、偏向シール作用部材が滑車殻の任意の部分に接触し、接触シールを形成するか、あるいは滑車殻に形成した溝に嵌合させることも可能である。
【0035】
図7〜図9に示す第1ベアリングシールド330は、カップ332および偏向シール作用部材336を有する。図示では、カップ332は全体して円形の側壁335を有するが、カップはこれに制限されるものではない。このカップ332は、上記自己偏向作用プレート132について説明したのと同様な開口334を有し、またカップの外周を形成するリム338を有する。カップ332の形状については、偏向シール作用部材336の少なくとも一部が接触シール340として環状壁108に接触できる形状であればよい。また、シール作用材は、偏向して環状壁108に嵌合するか、あるいは環状壁108に係合することができる。カップのリム338には、一つかそれ以上のスロット346などを形成することができ、偏向シール作用部材336をカップ332に接続することができる。
【0036】
偏向シール作用部材336は、カップ332のリム338の周りに連続的に設けてもよく、あるいは非連続的に設けてもよく、全体としてリム338に係合するように形状設定すればよい。偏向シール作用部材336の少なくとも一部はカップの一つかそれ以上の壁335の内周に整列していればよい。図7〜図9に示すように、シール作用材はカップ332のリム338のスロット346に係合する一つかそれ以上の突出部348を形成した環状リングであり、シール作用部材とカップとを接続するものである。突出部348およびスロット346は、全体として締まり嵌めタイプや隙間嵌めタイプであればよい。隙間嵌めタイプでも、シール作用材がカップと滑車殻の環状壁に隣接する部分との間から滑り出る余地のない図7に示す装置の結果としてシール作用材を所定位置に保持できる。
【0037】
また偏向シール作用部材336には、図示のように、一つかそれ以上の連続リッジまたは非連続リッジ341を設ける。これらリッジは、シール作用材から外側に突出しカップに入り、環状壁108などの滑車部分に接触し、接触シール340を形成する。これらリッジ341は、全体として偏向シール作用部材を自己偏向性にするものである。リッジの形状および/または角度については、滑車の一部に接触させて接触シールを形成する場合に、リッジが滑車に接触したままでカップのほうに偏向するように設定する。滑車の回転時の摩擦の結果としてシール作用材が摩耗すると、シール作用材が滑車のほうにバイアスされて、接触を維持し、これによって接触シールを維持し、かつベアリングを汚染物質から保護する。
【0038】
図9に示すように、カップ332と偏向シール作用部材336は、分離可能に設定しておくことができる。別な実施態様では、偏向シール作用部材336はカップと一体成形してもよく、あるいは同時成形してもよく、例えば、シール作用材はリムにオーバーモールドしてもよい。
【0039】
次に図10について説明すると、全体として参照符号400で示す滑車装置は、第1ベアリングシールドの別な態様を有し、それ以外の図1および図3と同じ構成成分および特徴は同じ参照符号で示す。第1ベアリングシールド430が、偏向シール作用部材432とベアリング110の外側レース114との間に第1接触シール440を形成する。あるいは、偏向シール作用部材432が、環状壁108または滑車殻のその他の部分に対して接触シールを形成してもよく、あるいはこれらのいずれかをベアリングの外側レースと組み合わせてもよい。
【0040】
第1ベアリングシールド430はVリング438である。このVリング438は、図11の横断面に示すように、Vの第1辺438´および第2辺438´´を有する。なお、図11は、以下に説明するようにフランジ460およびリップ462を取り除いた点を除けば、円C内に示す図10の部分と同じである。偏向シール作用部材438がVの第1辺438´であり、そしてスペーサ442がVの第2辺438´´である。偏向シール作用部材438は先端縁部444および後端縁部446を有し、この後端縁部446にスペーサ442を接続する。組み立てられた滑車装置内においては、スペーサ442によって先端縁部444が取り付け基部123の上面の上に位置決めされる。この位置では、ベアリングの外側レースが、あるいは滑車殻の一部が偏向シール作用部材をスペーサのほうに押圧するため、第1接触シール440が形成する。この偏向シール作用部材438の場合、偏向量は0.5mm〜1.5mmであればよい。
【0041】
Vリング438の場合、偏向シール作用部材432の角度は組み立て前スペーサに対して約35°〜約55°であればよい。一つの実施態様では、Vリングの組み立て前の角度は45°である。各種形状、各種角度、各種直径のVリングが市販されている。一般に、Vリングはエラストマーからなり、織布や板金シートなどで補強しない。また、Vリングは延伸でき、そしてサイズにもよるが、取り付け基部123などの他の構成成分の上に押しつけることができる。Vリングには交換が容易である利点もある。Vリングの組み立て前の角度は組み立て時に偏向することができるため、偏向シール作用部材は自己偏向性である。即ち、滑車を取り外すと、偏向シール作用部材は元の位置に復元する。
【0042】
滑車受け取り端部121は、図10に示すように、そのフランジ460には、Vリング438の外周を取り囲むリップ462を適宜形成することができる。また、図11に示すように、Vリング438は全体して平坦な表面に設けてもよい。
【0043】
滑車装置400には、図10に示すように、第2ベアリングシールド450およびキャップ480を設けることも可能である。第2ベアリングシールド450は、以上説明してきた任意のシールド、あるいは従来公知な任意のシールドであればよい。図10に、第2Vリング454としての第1ベアリングシールド430を示す。第2Vリングは偏向シール作用材452およびスペーサ456を有する。キャップ480は、取り付け基部482を有する。第2ベアリングシールド450は、この取り付け基部482に着座し、ベアリング110の上面118に着座する。第2Vリング454は、組み立て前の角度は前記の通りであり、組み立て時にスペーサ456に対して偏向する。キャップ480には、第2Vリングの外周を取り囲むフランジ484を適宜形成することができる。フランジ484が存在する場合、第2Vリング454はキャップ480の凹部内に収まることになる。この凹部については、第2Vリングが取り付け基部に延伸嵌合し、かつ静止しているため、即ち第2Vリング454が軸線104の周りで回転せず、また軸線にそって並進せず、あるいは軸線から離間する外側方向に並進しないため、第2Vリングよりも大きく設定することができる。Vリング438についても同じである。
【0044】
本発明の第2態様は、上記の各種実施態様の滑車装置を組み立てる方法に関する。本発明の組み立て方法では、回転軸線104を形成するピボットシャフト120を設け、この回転軸線の周りで回転できるようにピボットシャフトに滑車102を設け、そしてベアリングの下面にベアリングシールド130、230または330などの第1ベアリングシールドを設ける。第1ベアリングシールドを設ける場合、滑車装置のベアリング110とピボットシャフト120との間に同軸的にベアリングシールドを取り付けてもよい。この方法の場合、上記のように、ファスナー手段124を使用して、ピボットシャフトに滑車および第1ベアリングシールドを取り付けてもよい。
【0045】
本発明方法の場合、ベアリング110の上面118上にベアリングシールド150、250などの第2ベアリングシールドやその他の利用可能なカバーやシールを設け、そして滑車および第1、第2のベアリングシールドをピボットシャフトに取り付けることも可能である。また、第2ベアリングシールドは、ベアリングの上面と、滑車ボルトのヘッドなどのファスナー手段124の一部との間に設けてもよい。
【0046】
以上説明してきた実施態様のそれぞれにおいて、偏向シール作用部材は、ベアリングの外側レースと接触するか、あるいは滑車殻の一部と接触するかに応じて、滑車の一部と接触シールを構成する。偏向シール作用部材は偏向して、ベアリングシールドの構成成分によって、滑車装置の他の構成成分、特に滑車によって接触シールを構成するか、自己偏向するか、あるいはこれらの両者を行う。シール作用部材が偏向する事実は、滑車との摩擦の結果シール作用部材が摩耗するに従って、シール作用部材が滑車のほうにバイアスして、偏向シール作用部材の寿命の全期間を通じて接触シールが維持されるため、ベアリングを汚染物質の汚染から良好に保護することができる作用効果を有する。
【0047】
図面に示し、かつ本明細書で説明してきた本発明の実施態様は、特許請求の範囲内において構成可能な数多くの実施態様のうち例示に過ぎない。即ち、本明細書に示した作用効果を利用すればこれら以外の滑車装置の構成も可能である。つまり、特許権利の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限を受けるものである。
【符号の説明】
【0048】
100:滑車装置
102:滑車
104:回転軸線
106:滑車殻
107:ベルト走行面
108:環状壁
109:開口
110:ベアリング
112:内側レース
114:外側レース
116:回転要素
118:上面
119:下面
120:シャフト
121:滑車受け取り端部
122:滑車ハブ
123:取り付け基部
124:ファスナー手段
130:第1ベアリングシールド
134:開口
136:偏向シール作用部材
140:第1接触シール
142,242’:フランジ
150:第2ベアリングシールド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線をもち、かつ滑車殻およびベアリングからなる滑車であって、該滑車殻が該ベアリングを収める開口を形成する環状壁を有し、前記ベアリングが前記開口内にあり、前記ベアリングが内側レース、外側レース、およびこれらレース間にある回転要素を有する滑車、
滑車受け取り端部を有するシャフト、および
前記シャフトの前記滑車受け取り端部に設けられた第1ベアリングシールドであって、前記ベアリングを汚染物質から保護する第1接触シールとして、前記ベアリングの前記外側レースおよび前記滑車殻のうち少なくとも一つに対してバイアスされる偏向シール作用部材を有する第1ベアリングシールドからなることを特徴とする滑車装置。
【請求項2】
前記第1ベアリングシールドが、前記偏向シール作用部材を前記ベアリングの前記外側レースまたは前記滑車殻の一部、あるいはこれら両者に対して偏向させる自己偏向作用プレートを有する請求項1に記載の滑車装置。
【請求項3】
前記偏向シール作用部材を前記自己偏向作用プレートの前記外周の周りに設け、そしてこの偏向シール作用部材が、この偏向シール作用部材の外周から全体として前記シャフトから離れる方向に延設したフランジを有する請求項2に記載の滑車装置。
【請求項4】
前記フランジが前記滑車殻の一部に接触することなくオーバーハングしている請求項3に記載の滑車装置。
【請求項5】
前記偏向シール作用部材が前記第1接触シールとして前記ベアリングの前記外側レースに接し、そして前記フランジが第2接触シールとして前記滑車殻の一部に接触する請求項3に記載の滑車装置。
【請求項6】
前記自己偏向作用プレートおよび前記偏向シール作用部材を一体成形した請求項3に記載の滑車装置。
【請求項7】
前記偏向シール作用部材が、前記自己偏向作用プレートの前記外周にオーバーモールドしたシール作用材からなる、全体としてディスク状体である請求項3に記載の滑車装置。
【請求項8】
前記自己偏向作用プレートが、この自己偏向作用プレートの前記内周が前記シャフトの前記滑車受け取り端部と前記滑車との間に挟まれたさいに前記シール作用部材を偏向させるバネベンドを有する請求項2に記載の滑車装置。
【請求項9】
前記第1ベアリングシールドがさらに、前記偏向シール作用部材に結合されて、前記偏向シール作用部材を前記ベアリングの前記外周および前記滑車殻の少なくとも一つに対して位置決めするカップを有する請求項1に記載の滑車装置。
【請求項10】
前記偏向シール作用部材が自己偏向作用を有する請求項9に記載の滑車装置。
【請求項11】
前記カップが、前記自己偏向作用を有するシール作用部材を受け取る構成のリムを有する請求項10に記載の滑車装置。
【請求項12】
前記リムが一つかそれ以上のスロットを有し、そして前記自己偏向作用を有するシール作用部材が、これら少なくとも一つ以上のスロットに嵌合する形状の突出部を有する請求項11に記載の滑車装置。
【請求項13】
前記自己偏向作用を有するシール作用部材が上面においてシール作用材からなる一つかそれ以上の突出リッジを有し、これらリッジが前記ベアリングの前記外側レースおよび前記滑車殻の少なくとも一つに接触する請求項12に記載の滑車装置。
【請求項14】
さらに第2ベアリングシールドを設けて、前記第1ベアリングシールドに対向する前記ベアリング面を保護する請求項1に記載の滑車装置。
【請求項15】
前記第1ベアリングシールドがVリングであり、前記偏向シール作用部材がVの第1辺であり、そしてスペーサがVの第2辺である請求項1に記載の滑車装置。
【請求項16】
偏向シール作用部材の前記スペーサに対する角度が約35°〜約55°である請求項15に記載の滑車装置。
【請求項17】
前記偏向シール作用部材が自己偏向作用をもつ請求項15に記載の滑車装置。
【請求項18】
前記偏向シール作用部材が先端縁部および後端縁部を有し、前記スペーサがこの偏向シール作用部材の先端縁部を前記取り付け基部の上面上に位置決めし、そして前記ベアリングの外側レースおよび前記滑車殻の少なくとも一つが前記偏向シール作用部材を前記スペーサに押しつけ、第1接触シールを形成する請求項15に記載の滑車装置。
【請求項19】
前記Vリングが延伸作用をもち、前記取り付け基部周囲に嵌合する請求項18に記載の滑車装置。
【請求項20】
滑車のベアリングを汚染物質から保護する滑車装置の組み立て方法において、
回転軸線を設定し、かつ滑車受け取り端部を有するピボットシャフトを準備し、
偏向シール作用部材を有する第1ベアリングシールドを前記ピボットシャフトの前記滑車受け取り端部に設け、
前記第1ベアリングシールドを前記滑車と前記ピボットシャフトの間に介在させた状態で前記軸線を中心にして回転できるように滑車を前記ピボットシャフトに設け、このさいに滑車として
ベアリングを収容する開口を有する滑車殻、および
この開口内に収容され、かつ内側レース、外側レース、およびこれらレース間の回転要素を有する前記ベアリングからなる滑車を使用し、
前記ベアリングの前記外側レースおよび前記滑車殻の少なくとも一つに対して前記ベアリングを汚染物質から保護する第1接触シールとして前記偏向シール作用部材をバイアスすることを特徴とする組み立て方法。
【請求項21】
前記ピボットシャフトの前記滑車受け取り端部が、取り付け基部を有し、そして第1ベアリングシールドを設けるさいに、この取り付け基部に接触した状態で第1ベアリングシールドを同軸的に取り付ける請求項20に記載の組み立て方法。
【請求項22】
前記第1ベアリングシールドの全体として中心に開口を形成し、該開口によって第1ベアリングシールドを前記ピボットシャフトの前記滑車受け取り端部に着座させた請求項20に記載の組み立て方法。
【請求項23】
さらに、前記滑車および第1ベアリングシールドを前記ピボットシャフトに取り付ける請求項20に記載の組み立て方法。
【請求項24】
さらに、前記滑車の上面に第2ベアリングシールドを設ける請求項20に記載の組み立て方法。
【請求項25】
前記第1ベアリングシールドが、外周に前記偏向シール作用部材が設けられた自己偏向作用プレートを有し、この自己偏向作用プレートが前記ベアリングの外側レース、前記滑車殻の一部、又はそれら両方に対して前記シール作用部材を偏向させる請求項20に記載の組み立て方法。
【請求項26】
前記第1ベアリングシールドが、さらに、前記偏向シール作用部材に結合されたカップを有し、前記外側レース、前記滑車殻の一部、又はそれら両方に対して前記偏向シール作用部材を設ける請求項20に記載の組み立て方法。
【請求項27】
前記偏向シール作用部材が自己偏向作用をもつ請求項26に記載の組み立て方法。
【請求項28】
前記第1ベアリングシールドがVリングで、前記偏向シール作用部材がVの第1辺であり、そしてスペーサがVの第2辺であって、この偏向シール作用部材が先端縁部および後端縁部を有し、このスペーサが前記偏向シール作用部材の先端縁部を前記取り付け基部の上面に位置決めし、前記ベアリングの外側レースおよび前記滑車殻の少なくとも一つが前記スペーサに前記偏向シール作用部材を押しつけて、前記第1接触シールを形成する請求項20に記載の組み立て方法。
【請求項1】
回転軸線をもち、かつ滑車殻およびベアリングからなる滑車であって、該滑車殻が該ベアリングを収める開口を形成する環状壁を有し、前記ベアリングが前記開口内にあり、前記ベアリングが内側レース、外側レース、およびこれらレース間にある回転要素を有する滑車、
滑車受け取り端部を有するシャフト、および
前記シャフトの前記滑車受け取り端部に設けられた第1ベアリングシールドであって、前記ベアリングを汚染物質から保護する第1接触シールとして、前記ベアリングの前記外側レースおよび前記滑車殻のうち少なくとも一つに対してバイアスされる偏向シール作用部材を有する第1ベアリングシールドからなることを特徴とする滑車装置。
【請求項2】
前記第1ベアリングシールドが、前記偏向シール作用部材を前記ベアリングの前記外側レースまたは前記滑車殻の一部、あるいはこれら両者に対して偏向させる自己偏向作用プレートを有する請求項1に記載の滑車装置。
【請求項3】
前記偏向シール作用部材を前記自己偏向作用プレートの前記外周の周りに設け、そしてこの偏向シール作用部材が、この偏向シール作用部材の外周から全体として前記シャフトから離れる方向に延設したフランジを有する請求項2に記載の滑車装置。
【請求項4】
前記フランジが前記滑車殻の一部に接触することなくオーバーハングしている請求項3に記載の滑車装置。
【請求項5】
前記偏向シール作用部材が前記第1接触シールとして前記ベアリングの前記外側レースに接し、そして前記フランジが第2接触シールとして前記滑車殻の一部に接触する請求項3に記載の滑車装置。
【請求項6】
前記自己偏向作用プレートおよび前記偏向シール作用部材を一体成形した請求項3に記載の滑車装置。
【請求項7】
前記偏向シール作用部材が、前記自己偏向作用プレートの前記外周にオーバーモールドしたシール作用材からなる、全体としてディスク状体である請求項3に記載の滑車装置。
【請求項8】
前記自己偏向作用プレートが、この自己偏向作用プレートの前記内周が前記シャフトの前記滑車受け取り端部と前記滑車との間に挟まれたさいに前記シール作用部材を偏向させるバネベンドを有する請求項2に記載の滑車装置。
【請求項9】
前記第1ベアリングシールドがさらに、前記偏向シール作用部材に結合されて、前記偏向シール作用部材を前記ベアリングの前記外周および前記滑車殻の少なくとも一つに対して位置決めするカップを有する請求項1に記載の滑車装置。
【請求項10】
前記偏向シール作用部材が自己偏向作用を有する請求項9に記載の滑車装置。
【請求項11】
前記カップが、前記自己偏向作用を有するシール作用部材を受け取る構成のリムを有する請求項10に記載の滑車装置。
【請求項12】
前記リムが一つかそれ以上のスロットを有し、そして前記自己偏向作用を有するシール作用部材が、これら少なくとも一つ以上のスロットに嵌合する形状の突出部を有する請求項11に記載の滑車装置。
【請求項13】
前記自己偏向作用を有するシール作用部材が上面においてシール作用材からなる一つかそれ以上の突出リッジを有し、これらリッジが前記ベアリングの前記外側レースおよび前記滑車殻の少なくとも一つに接触する請求項12に記載の滑車装置。
【請求項14】
さらに第2ベアリングシールドを設けて、前記第1ベアリングシールドに対向する前記ベアリング面を保護する請求項1に記載の滑車装置。
【請求項15】
前記第1ベアリングシールドがVリングであり、前記偏向シール作用部材がVの第1辺であり、そしてスペーサがVの第2辺である請求項1に記載の滑車装置。
【請求項16】
偏向シール作用部材の前記スペーサに対する角度が約35°〜約55°である請求項15に記載の滑車装置。
【請求項17】
前記偏向シール作用部材が自己偏向作用をもつ請求項15に記載の滑車装置。
【請求項18】
前記偏向シール作用部材が先端縁部および後端縁部を有し、前記スペーサがこの偏向シール作用部材の先端縁部を前記取り付け基部の上面上に位置決めし、そして前記ベアリングの外側レースおよび前記滑車殻の少なくとも一つが前記偏向シール作用部材を前記スペーサに押しつけ、第1接触シールを形成する請求項15に記載の滑車装置。
【請求項19】
前記Vリングが延伸作用をもち、前記取り付け基部周囲に嵌合する請求項18に記載の滑車装置。
【請求項20】
滑車のベアリングを汚染物質から保護する滑車装置の組み立て方法において、
回転軸線を設定し、かつ滑車受け取り端部を有するピボットシャフトを準備し、
偏向シール作用部材を有する第1ベアリングシールドを前記ピボットシャフトの前記滑車受け取り端部に設け、
前記第1ベアリングシールドを前記滑車と前記ピボットシャフトの間に介在させた状態で前記軸線を中心にして回転できるように滑車を前記ピボットシャフトに設け、このさいに滑車として
ベアリングを収容する開口を有する滑車殻、および
この開口内に収容され、かつ内側レース、外側レース、およびこれらレース間の回転要素を有する前記ベアリングからなる滑車を使用し、
前記ベアリングの前記外側レースおよび前記滑車殻の少なくとも一つに対して前記ベアリングを汚染物質から保護する第1接触シールとして前記偏向シール作用部材をバイアスすることを特徴とする組み立て方法。
【請求項21】
前記ピボットシャフトの前記滑車受け取り端部が、取り付け基部を有し、そして第1ベアリングシールドを設けるさいに、この取り付け基部に接触した状態で第1ベアリングシールドを同軸的に取り付ける請求項20に記載の組み立て方法。
【請求項22】
前記第1ベアリングシールドの全体として中心に開口を形成し、該開口によって第1ベアリングシールドを前記ピボットシャフトの前記滑車受け取り端部に着座させた請求項20に記載の組み立て方法。
【請求項23】
さらに、前記滑車および第1ベアリングシールドを前記ピボットシャフトに取り付ける請求項20に記載の組み立て方法。
【請求項24】
さらに、前記滑車の上面に第2ベアリングシールドを設ける請求項20に記載の組み立て方法。
【請求項25】
前記第1ベアリングシールドが、外周に前記偏向シール作用部材が設けられた自己偏向作用プレートを有し、この自己偏向作用プレートが前記ベアリングの外側レース、前記滑車殻の一部、又はそれら両方に対して前記シール作用部材を偏向させる請求項20に記載の組み立て方法。
【請求項26】
前記第1ベアリングシールドが、さらに、前記偏向シール作用部材に結合されたカップを有し、前記外側レース、前記滑車殻の一部、又はそれら両方に対して前記偏向シール作用部材を設ける請求項20に記載の組み立て方法。
【請求項27】
前記偏向シール作用部材が自己偏向作用をもつ請求項26に記載の組み立て方法。
【請求項28】
前記第1ベアリングシールドがVリングで、前記偏向シール作用部材がVの第1辺であり、そしてスペーサがVの第2辺であって、この偏向シール作用部材が先端縁部および後端縁部を有し、このスペーサが前記偏向シール作用部材の先端縁部を前記取り付け基部の上面に位置決めし、前記ベアリングの外側レースおよび前記滑車殻の少なくとも一つが前記スペーサに前記偏向シール作用部材を押しつけて、前記第1接触シールを形成する請求項20に記載の組み立て方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−501904(P2013−501904A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524778(P2012−524778)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/044943
【国際公開番号】WO2011/019676
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(390023766)デイコ プロダクツ,エルエルシー (18)
【住所又は居所原語表記】4500 South Garnett Road,Suite 500, Tulsa, Oklahoma 74146, United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/044943
【国際公開番号】WO2011/019676
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(390023766)デイコ プロダクツ,エルエルシー (18)
【住所又は居所原語表記】4500 South Garnett Road,Suite 500, Tulsa, Oklahoma 74146, United States of America
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]