説明

演奏評価装置および演奏評価プログラム

【課題】 不適切な押鍵を演奏者に適切に通知することで、演奏者による楽曲の教習を支援する。
【解決手段】 CPU21は、曲データにしたがった音高に対応付けられた鍵が、曲データにしたがった押鍵タイミングで操作されたかを判断する。CPU21は、曲データにしたがった音高に対応付けられた鍵が、曲データにしたがった押鍵タイミングで操作された場合に、鍵に対応して配置されたシンボル画像の種別を、通常のシンボル画像を示す種別から、適切に操作されたことを示す他の種別に変更する。その一方、CPU21は、曲データにしたがった音高の鍵が押鍵されず、或いは、曲データにしたがった押鍵タイミングで押鍵されなかった場合に、シンボル画像の種別を、通常の画像種別から、適切に操作できなかったことを示すさらに他の種別に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏者による、鍵盤など演奏操作子の操作を支援して演奏を教習させる演奏教習装置および演奏教習プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、課題となる楽曲を演奏者に演奏させる際に、表示装置に鍵盤の画像および操作すべき鍵およびその操作タイミングを示し、適切な押鍵を支援する装置が提案されている。たとえば、特許文献1に提案された装置では、鍵盤の画像の上側に、各鍵から垂直方向に伸びる領域を設け、その領域中に、その鍵の押鍵タイミングおよび押鍵時間を示すバー状の操作指示を表示する。バー状の操作指示は時間の経過とともに下方(画像中、鍵盤が位置する方向)にスクロールされる。
【0003】
また、特許文献2、鍵盤の画像の上側に、各鍵の位置に対応して、その鍵を押鍵すべきことを示すシンボル画像が表示される装置が提案されている。特許文献2に提案された装置においては、シンボル画像はリンゴを模したものであり、鍵を押鍵することにより、リンゴのシンボル画像に矢が放たれ、その後、シンボル画像が消去される。
【0004】
特許文献3には、鍵盤の画像の上側に、各鍵の位置に対応して、その鍵の押鍵タイミングを示すシンボル画像が表示され、シンボル画像が時間の経過とともに下方に移動するような装置が提案されている。特許文献3に提案された装置においても、ねじやUFOを模したシンボル画像が用いられ、押鍵すべき鍵が適切な押鍵タイミングで押鍵されることにより、シンボル画像が消去されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3120732号公報
【特許文献2】特許第3058051号公報
【特許文献3】特許第3787642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
たとえば、特許文献2、3に開示された装置では、ゲーム感覚で、適切な押鍵がなされた場合には、シンボルを消去することで、演奏者のやる気を増進させることができる。しかしながら、楽曲の教習の際には、不適切な押鍵があった場合、つまり、押鍵すべきタイミングに押鍵すべき鍵以外の鍵が押鍵されてしまったことや、不適切な押鍵タイミングで押鍵がされてしまったことを、適切に演奏者に知らせることが必要である。
【0007】
本発明は、不適切な押鍵を演奏者に適切に通知することで、演奏者による楽曲の教習を支援する演奏教習装置、および、演奏教習プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、複数の演奏操作子であってそれぞれが所定の音高と対応付けられた演奏操作子と、
少なくとも前記複数の演奏操作子のうち操作すべき演奏操作子を示すシンボル画像を表示するシンボル画像領域を有する表示手段と、
楽曲の音高およびその操作タイミングを示す曲データを格納した記憶手段と、
前記曲データを参照して、前記シンボル画像領域において、当該曲データの示す音高に対応付けられた演奏操作子に関連するように所定の種別のシンボル画像を配置した画像を生成する画像生成手段であって、当該操作タイミングを参照して、前記押鍵タイミングの到来に近づくのにしたがって前記シンボルが、前記表示手段上の所定の表示位置に接近するようにシンボルを配置する画像生成手段と、
前記曲データを参照して、前記曲データにしたがった音高に対応付けられた演奏操作子が、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作されたかを判断する操作判断手段と、を備え、
前記画像生成手段は、前記曲データにしたがった音高に対応付けられた演奏操作子が、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作された場合に、前記シンボル画像の種別を、通常のシンボル画像を示す第1の種別から、適切に操作されたことを示す第2の種別に変更し、
その一方、前記曲データにしたがった音高の演奏操作子が操作されず、或いは、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作されなかった場合に、前記シンボル画像の種別を、通常の画像種別から、適切に操作できなかったことを示す第3の種別に変更するように構成されたことを特徴とする演奏教習装置により達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、不適切な押鍵を演奏者に適切に通知することで、演奏者による楽曲の教習を支援する演奏教習装置、および、演奏教習プログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる電子楽器の概略を示す図である。
【図2】図2は、本実施の形態にかかる電子楽器の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図3】図3(a)は、本実施の形態にかかる曲データの構成例を示す図、図3(b)は、本実施の形態にかかる画像データの構成例を示す図である。
【図4】図4は、本実施の形態にかかる電子楽器のメインフローの概略を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本実施の形態にかかるスイッチ処理の例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本実施の形態にかかるガイド処理の例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本実施の形態にかかるガイド処理の例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施の形態にかかるガイド処理の例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本実施の形態にかかるガイド処理の例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本実施の形態にかかるガイド処理の例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施の形態にかかるガイド処理の例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本実施の形態にかかる鍵盤処理の例を示すフローチャートである。
【図13】図13は、本実施の形態にかかる鍵盤処理の例を示すフローチャートである。
【図14】図14は、本実施の形態にかかる鍵盤処理の例を示すフローチャートである。
【図15】図15は、本実施の形態にかかる表示処理の例を示すフローチャートである。
【図16】図16は、本実施の形態にかかる表示部の画面上に表示された画像の例を示す図である。
【図17】図17は、本実施の形態にかかるシンボル種別に基づくシンボル画像例を示す図である。
【図18】図18は、図16に示す楽曲を再度演奏しているときの表示装置の画面上の画像例を示す図である。
【図19】図19は、他の実施の形態にかかるガイド処理の部分を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる電子楽器の概略を示す図である。本実施の形態では、演奏教習装置は鍵盤を有する電子楽器の形態を有している。図1に示すように、本実施の形態にかかる電子楽器10は、鍵盤11を有する。鍵盤11は、複数の鍵(たとえば、符号16、17参照)を有し、ある鍵の押鍵にしたがって、押鍵された鍵に対応する音高の楽音を発生することができる。また、電子楽器10は、スイッチ(たとえば符号18参照)やテンキー(符号19参照)を有するとともに、その中央上側に表示部13を有する。表示部13は大型の液晶表示装置を含み、楽譜や、後述する演奏すべき楽曲の音高や演奏結果を示すシンボルを含む画像を表示することが可能である。また、本実施の形態にかかる電子楽器30には、ビデオカメラ30が接続されている。ビデオカメラ30は電子楽器30の上部に固定され、鍵盤および鍵盤上に配置された演奏者の指を撮影することができる。
【0012】
図2は、本実施の形態にかかる電子楽器の構成を示すブロックダイヤグラムである。図2に示すように、本実施の形態にかかる電子楽器10は、CPU21、ROM22、RAM23、サウンドシステム24、鍵盤11、入力部12、表示部13および入力インタフェース(I/F)14を備える。 入力部12は、音色指定スイッチ、スタート・ストップスイッチなどを有する。また、上述したように表示部13は、液晶表示装置を有する。入力I/F14は、ケーブルなどを介してビデオカメラ30と接続される。なお、入力I/F14とビデオカメラ30との間は、無線、赤外線などによりワイヤレスでのデータ通信がなされるように攻勢されても良い。
【0013】
CPU21は、電子楽器10全体の制御、鍵盤11の鍵の押鍵や入力部12を構成するスイッチの操作の検出、鍵やスイッチの操作にしたがったサウンドシステム24の制御、押鍵された鍵の正誤判定、正誤判定に基づく画像中のシンボルの生成など、種々の処理を実行する。
【0014】
ROM22は、CPU21に実行させる種々の処理、たとえば、電子楽器10全体の制御、鍵盤11の鍵の押鍵や入力部12を構成するスイッチの操作の検出、鍵やスイッチの操作にしたがったサウンドシステム24の制御、押鍵された鍵の正誤判定、正誤判定に基づく画像中のシンボルの生成などの処理プログラムを格納する。また、ROM22は、ピアノ、ギター、バスドラム、スネアドラム、シンバルなどの楽音を生成するための波形データを格納した波形データエリアを有する。また、ROM22は、楽曲についてのイベントのレコードおよびタイムのレコードなどを含む曲データを格納する。なお、曲データは初期的にはROM22に格納されているが、処理の過程でフラグのセット、リセットが行われる。したがって、処理の開始時に、たとえば、イニシャライズ処理において、曲データはROM22から読み出されて、RAM23にコピーされる。
【0015】
RAM23は、ROM22から読み出されたプログラムやガイドデータ、処理の過程で生成されたパラメータやデータを格納する。また、本実施の形態においては、RAM23は、演奏者が押鍵すべき鍵およびそのタイミングを示すためのシンボルを画像表示するための画像データを格納する。
【0016】
サウンドシステム24は、音源部26、オーディオ回路27およびスピーカ28を有する。音源部26は、たとえば、ノートオンイベントをCPU21から受信すると、ROM22の波形データエリアから所定の波形データを読み出して、ノートオンイベントに含まれる音高情報にしたがった音高の楽音データを生成して出力する。オーディオ回路27は、楽音データをD/A変換して増幅する。これによりスピーカ28から音響信号が出力される。
【0017】
図3(a)は、本実施の形態にかかる曲データの構成例を示す図、図3(b)は、本実施の形態にかかる画像データの構成例を示す図である。図3(a)に示すように、曲データのレコードは、タイムのレコード(符号301、304参照)と、それらの間に配置されるノート(ノートオンイベント)のレコード(符号302)が含まれる。また、ノートのレコードには、NGフラグ(符号303)が付加される。タイムのレコードには時間情報が格納される。これは、タイムの前後にあるノートのレコードが示すオンイベントの間の時間間隔を示す。また、NGフラグは、演奏者による鍵の押鍵が、ノートオンイベントに含まれる音高と同一であるか、また、押鍵タイミングは適切であるかを示すフラグであり、演奏者による押鍵が適切であればNGフラグは「0」となる。図3(b)に示す画像データのレコードの内容については、当該レコード中の値を参照する部分において、それぞれ説明する。
【0018】
図4は、本実施の形態にかかる電子楽器のメインフローの概略を示すフローチャートである。電源の投入とともに、メインフローは起動し、イニシャライズ処理(ステップ401)の後、ステップ402以降の処理が繰り返し実行される。イニシャライズ処理においては、RAM23中のデータのクリア、RAM23への曲データのコピー、表示部15の画面のクリアなどが実行される。イニシャライズ処理(ステップ401)が終了すると、CPU21は、入力部12を構成するスイッチのそれぞれの操作を検出し、検出された操作にしたがった処理を実行するスイッチ処理を実行する(ステップ402)。図5は、本実施の形態にかかるスイッチ処理の例を示すフローチャートである。
【0019】
スイッチ処理において、CPU21は、入力部12のスイッチ中、スタート・ストップスイッチの操作があったかを判断する(ステップ501)。ステップ501でNoと判断された場合には、ステップ510に進む。ステップ501でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM23中のスタートフラグSTFを反転させ(ステップ502)、反転されたスタートフラグSTFが「1」であるかを判断する(ステップ503)。
【0020】
ステップ503でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM23中の曲データの先頭アドレスをパラメータADとしてRAM23に格納する(ステップ504)。次いで、CPU21は、ADをアドレスとして、RAM23中の曲データのレコードを読み出し(ステップ505)、読み出されたレコード中の値(タイム)をRAM23中の時間情報tとして格納する(ステップ506)。また、CPU21は、RAM23中のタイマ値Tを「0」に初期化し(ステップ507)、RAM23中の画像データエリアをクリアする(ステップ508)。また、CPU21はタイマインタラプトを解除する(ステップ509)。タイマインタラプトが解除されると、タイマインタラプト処理が、最小単位時間ごとに起動され、CPU21の内部カウンタ値がインクリメントされる。
【0021】
ステップ503でNoと判断された場合には、CPU21は、表示部13に表示された画像を消去する(ステップ511)とともに、タイマインタラプトを禁止する(ステップ512)。
【0022】
その後、CPU21は、他のスイッチ処理を実行する(ステップ510)。他のスイッチ処理において、CPU21は、たとえば、演奏者によるテンキーや音色指定スイッチの操作にしたがって、発音すべき楽音の音色を示す情報をRAM23中に格納する。
【0023】
スイッチ処理(ステップ402)が終了すると、CPU21は、表示処理を実行する(ステップ403)。図15は、本実施の形態にかかる表示処理の例を示すフローチャートである。図15に示すように、CPU21は、RAM23中のスタートフラグSTFが「1」であるかを判断する(ステップ1501)。ステップ1501でYesと判断された場合には、アドレスを示すパラメータADを参照して、曲データにおける現在位置を特定し、表示部13の楽譜表示領域に表示されている楽譜の更新が必要であるかを判断する(ステップ1502)。ステップ1502でNoと判断された場合には、新たな楽譜データを読み出し(ステップ1503)、楽譜表示領域に新たな楽譜データに対応する楽譜の部分を含む楽譜を表示する(ステップ1504)。
【0024】
また、CPU21は、入力I/F14を介してビデオカメラ40からの映像を取得し(ステップ1505)。映像中、演奏者の手の画像および鍵盤に対する位置情報を抽出する(ステップ1506)。次いで、CPU21は、鍵盤表示領域において、演奏者の手の位置と対応するように鍵盤の画像上に抽出された手の画像を重ね合わせた画像を生成し、生成された画像を表示部13の画面上に表示する(ステップ1507)。ここで、演奏者の手の位置、特に、横方向(X軸方向)の位置が移動することにより、鍵盤の位置が変更される場合もある。そこで、CPU21は、画像データの各レコード群において、座標(x,y)のレコード中、X座標値を、鍵盤の位置の変更にしたがった更新する(ステップ1508)。また、CPU21は、上記画像データにおける座標にしたがって、シンボル表示領域中にシンボル画像を再描画する(ステップ1509)。
【0025】
図16は、本実施の形態にかかる表示部の画面上に表示された画像の例を示す図である。本実施の形態において、画像1600は楽譜表示領域1610、シンボル表示領域1620および鍵盤表示領域1630を有する。シンボル表示領域1620には後述するように3つのシンボル種別の画像(シンボル画像(1)〜(3))が表示される。図16において、符号1601、1602に示すシンボル画像は、画像番号「1」のシンボル種別を有するシンボル画像(シンボル画像(1))である。また、符号1603に示すシンボル画像は、画像番号「2」のシンボル種別を有するシンボル画像(シンボル画像(2))である。なお、シンボル画像が表示されるシンボル画像表示領域は、部分的に鍵盤表示領域とオーバーラップしている。
【0026】
また、図16において、鍵盤表示領域1630には、鍵盤の画像(符号1640参照)に、実際に撮影された演奏者の手の画像(符号1641、1642参照)が重ねられている。
【0027】
表示処理(ステップ403)が終了すると、CPU21はガイド処理を実行する(ステップ404)。図6〜図11は、本実施の形態にかかるガイド処理の例を示すフローチャートである。図6に示すように、CPU21はスタートフラグSTFが「1」であるかを判断する(ステップ601)。ステップ601でYesと判断された場合に、CPU21は、内部カウント値を参照して、最小単位時間が経過しているかを判断する(ステップ602)。ステップ601或いはステップ602でNoと判断された場合には、ガイド処理を終了する。ステップ602でYesと判断された場合には、CPU21は、タイマ値Tをインクリメントする(ステップ603)。
【0028】
次いで、CPU21は、RAM23の画像データエリア中に画像データのレコードがあるかを判断する(ステップ604)。ステップ604でNoと判断された場合には、ステップ609に進む。ステップ604でYesと判断された場合には、画像データのレコード群(たとえば、図3(b)の符号321〜326参照)を特定するためのパラメータnを「0」に初期化する(ステップ605)。次いで、CPU21は、第n番のレコード群中、T(n)(たとえば、図3の符号325参照)を格納したレコードに含まれる値T(n)をインクリメントする(ステップ606)。このT(n)は、第n番の画像データのレコード群が示すシンボルの表示時間を示す。
【0029】
CPU21は、パラメータnをインクリメントして(ステップ607)、パラメータnが、表示されているシンボルの総数Iより大きいかを判断する(ステップ608)。このシンボルの総数IはRAM23に格納されている。表示されているシンボルの総数Iより大きいかを判断するステップ608でNoと判断された場合にはステップ606に戻る。その一方、ステップ608でYesと判断された場合には、上記タイマ値Tが、曲データのタイムt以上になっているかを判断する(ステップ609)。ステップ609でYesと判断された場合には、CPU21はパラメータADをインクリメントする(ステップ610)。なお、ステップ609でNoと判断された場合には、図7のステップ701に進む。
【0030】
CPU21は、パラメータADが曲データの最終アドレスEND以上になったかを判断する(ステップ611)。ステップ611でYesと判断された場合には、CPU21は、スタートフラグSTFを「0」にリセットし(ステップ612)、表示部13の画面上、シンボル画像表示領域に表示されたシンボル画像を消去する(ステップ613)。また、CPU21は、タイマインタラプトを禁止する(ステップ614)。ステップ611でNoと判断された場合には、図10のステップ1001に進む。
【0031】
ステップ609でNoと判断された場合、CPU21は、画像データのレコード群を特定するためのパラメータiを「0」に初期化する(ステップ701)。次いで、CPU21は、パラメータyを、時間情報T(i)に対応したY座標値に設定する(ステップ702)。図16に示すように、本実施の形態においては、シンボルの表示領域(符号1620参照)には、鍵盤表示領域1630に表示された鍵のX座標値を有し、かつ、そのY座標値が、押鍵タイミングが近づくのにしたがって「0」に近づくようなX座標値およびY座標値に、シンボルが表示される。たとえば、符号1621、1622に示す線上に位置するシンボルでは、符号1622で示すシンボルが、Y座標値が小さいため、先に押鍵すべきことがわかる。なお、この例では、画像において、Y座標値は下側にいくのにしたが手小さくなる。
【0032】
このように、シンボルは、そのX座標値により押鍵すべき鍵を示す。また、そのY座標値により押鍵すべきタイミングを示す。図16において、同一のY座標値(たとえば、符号1621、6122参照)に複数のシンボルが表示されていれば、これはシンボルが示すX座標に対応する複数の鍵を同時に押鍵すべきことを示している。
【0033】
また、シンボルのY座標上の位置(たとえば、図16の符号1621、1622、1623、1624参照)は、表示時間T(n)により決定される。表示時間T(n)が大きくなるのにしたがって、押鍵タイミングが近づくことになるため、表示時間T(n)が大きくなるのにしたがって、Y座標値が「0」に近づくように、Y座標値をあらかじめ定めておくことができる。
【0034】
CPU21は、表示部13の画面のシンボル表示領域(図16の符号1620参照)において、NOTE(i)に対応する、シンボル種別の画像を、決定されたX座標値、Y座標値に示す位置に移動させる(ステップ703)。なお、シンボル種別は、上記第i番のレコード群の画像番号のレコードに格納されている。以下、シンボル種別について説明する。
【0035】
図17は、本実施の形態にかかるシンボル種別に基づくシンボル画像例を示す図である。本実施の形態においては、押鍵前後、および、正しい押鍵がなされたか否かにしたがって3つのシンボル種別が設けられている。図17(a)は、画像(1)に対応するシンボル画像である。このシンボル画像1700は、押鍵前のタイミングであり、かつ、対応する音符が始めて出現するか前回は正しく押鍵出来たことを示す。図17(b)は、後述する画像(2)に対応するシンボル画像である。このシンボル画像1710は、演奏者が、適切な押鍵タイミングで押鍵できたことを示す。図17(c)は、後述する画像(3)に対応するシンボル画像である。このシンボル画像は、前回に正しく押鍵ができなかったことを示す。
【0036】
また、CPU21は、座標(x,y)のうちY座標値yに基づき、NOTE(i)に対応したシンボル画像の拡大率を決定する(ステップ704)。本実施の形態では、押鍵タイミングが近づき、Y座標値yが「0」に近づくのにしたがって、その拡大率が大きくなる。たとえばY座標値の範囲と、シンボル画像の拡大率とを対応付けたテーブルを予めRAM23に格納し、CPU21が、このテーブルを読み出すように構成すればよい。
【0037】
次いで、CPU21は、第i番のレコード群におけるY座標が、押鍵すべきタイミングの範囲を示すY1以上、Y2以下の範囲(Y1≦Y座標≦Y2)にあるかを判断する(ステップ705)。Y1は、たとえば、図16の符号1624に示すY座標値であり、Y2は、たとえば、同図の符号1625に示すY座標値である。ステップ704でYesと判断された場合には、CPU21は、押鍵すべきタイミングが到来したことを示すフラグON(i)を「1」にセットする(ステップ706)。
【0038】
次いで、CPU21は、第i番のレコード群におけるY座標が、押鍵タイミングを過ぎてしまった範囲を示すY2とY3との間(Y2>Y座標>Y3)であるかを判断する(ステップ707)。ステップ707でNoと判断された場合には、図9のステップ901に進む。ステップ707でYesと判断された場合には、CPU21は、押鍵タイミング到来フラグON(i)が「1」であるかを判断する(ステップ708)。後に再度説明するが、押鍵タイミング到来フラグON(i)は、適切な押鍵タイミングでの当該鍵の押鍵がなされた場合には「0」にリセットされる。したがって、ステップ708でYesと判断された場合には、適切な押鍵タイミングで適切な鍵が押鍵されなかったことを示す。
【0039】
ステップ708でNoと判断された場合には、図8のステップ806に進む。ステップ708でYesと判断された場合には、CPU21は、第i番のレコード群において、画像番号のレコードに「3」を格納する(ステップ709)。この画像番号は、図17を参照して説明したシンボル画像のシンボル種別(画像(1)〜(3))に対応する。次いで、CPU21は、シンボル表示領域において表示されているNOTE(i)に対応するシンボル画像のシンボル種別を画像(3)に変更する(ステップ710)。また、CPU21は、曲データにおいて、NOTE(i)に対応するオートオンイベントのレコードに付加されたNGフラグを「1」にセットする(ステップ711)。その後、CPU21は、現在押鍵されている鍵の数(押鍵数)を示すパラメータmをデクリメントする(ステップ712)。
【0040】
次いで、CPU21は、画像データのレコード群を特定するための別のパラメータnを「0」に初期化して、第n番のレコード群のうち、シンボルの消去タイミング(消去順序)を示すN(n)が0であるかを判断する(ステップ802)。ステップ802でYesと判断された場合には、CPU21は、N(n)をデクリメントする(ステップ803)。次いで、CPU21は、パラメータnをインクリメントして(ステップ804)、パラメータnが、表示されているシンボルの総数Iより大きいかを判断する(ステップ805)。ステップ805でNoと判断された場合には、ステップ802に戻る。
【0041】
ステップ805でYesと判断された場合には、CPU21は、パラメータiをインクリメントして(ステップ806)、当該パラメータiがシンボルの総数Iより大きいかを判断する(ステップ807)。ステップ807でNoと判断された場合には、ステップ702戻る。ステップ807でYesと判断された場合には、CPU21は、シンボル総数Iから、消去されたシンボル数を示すパラメータSを減じて、新たなシンボル総数Iを得て、RAM23に格納する(ステップ808)。その後、パラメータSを「0」に初期化して(ステップ809)ガイド処理を終了する。
【0042】
次に、ステップ706でNoと判断された場合について説明する。ステップ706でNoと判断された場合には、CPU21は、画像データのレコード群を特定するためのパラメータnを「0」に初期化する(ステップ901)とともに、消去されたシンボル数を示すパラメータSを「0」に初期化する(ステップ902)。CPU21は、画像データの第n番のレコード群中のN(n)が「0」であるかを判断する(ステップ903)。ステップ903でYesと判断された場合には、シンボル表示領域に表示されている、第n番のレコード群中のNote(n)に対応するシンボルを消去する(ステップ904)。また、CPU21は、Note(n)に対応する画像データエリア、すなわち、第n番のレコード群を消去する(ステップ905)。その後、CPU21は、消去されたシンボル数を示すパラメータSをインクリメントする(ステップ906)。
【0043】
ステップ903でNoと判断された場合、或いは、ステップ906が実行された後に、CPU21は、パラメータnをインクリメントして(ステップ907)、パラメータnがシンボル総数Iより大きいかを判断する(ステップ908)。ステップ908でNoと判断された場合には、ステップ903に戻る。ステップ908でYesと判断された場合には、図8のステップ806に進む。
【0044】
次に、ステップ611でNoと判断された場合について説明する。ステップ611でNo、つまり、インクリメントされたアドレスを示すパラメータADが、曲データの最終アドレスより小さい場合には、CPU21は、パラメータADをアドレスとして曲データのレコードを読み出す(ステップ1001)。CPU21は、読み出されたレコード中のデータがイベントであるかを判断する(ステップ1002)。ステップ1002でNo、つまり、データがタイムである場合には、CPU21は、RAM23中のパラメータtにデータ値であるタイムを格納して(ステップ1003)、ガイド処理を終了する。
【0045】
ステップ1003でYesと判断された場合には、CPU21は、シンボル総数を示すパラメータIをインクリメントして(ステップ1004)、RAM23中に第I番の画像データのための新たに画像データエリアを確保する(ステップ1005)。次いで、CPU21は、当該確保された画像データエリアにおいて、NOTE(I)にイベントが示すノート番号を格納する(ステップ1006)。また、CPU21は、当該曲データのイベントのNGフラグを参照して、NGフラグが「0」であるかを判断する(ステップ1007)。ここで、NGフラグは、適切なタイミングで適切な鍵が押鍵されなかった場合にステップ710において「1」にセットされている。すなわち、前回の演奏で、適切なタイミングで適切な鍵が押鍵されていなければ、NGフラグは「1」となっている。
【0046】
ステップ1007でYes(NGフラグ=0)である場合には、CPU21は、第I番のレコード群において、画像番号「1」をセットする(ステップ1008)。これにより、NOTE(I)に対応付けられて、シンボル種別が画像(1)であるシンボル画像が(図17(a)の符号1700参照)、シンボル表示領域中に表示されることになる。これに対して、ステップ1007でNo(NGフラグ=1)である場合には、CPU21は、第I番のレコード群において、画像番号「3」をセットする(ステップ1009)。これにより、NOTE(I)に対応付けられて、シンボル種別が画像(3)であるシンボル画像が(図17(c)の符号1720参照)、シンボル表示領域中に表示されることになる。
【0047】
次いで、CPU21は、第I番のレコード群において、押鍵すべきタイミングが到来したことを示すフラグON(I)を「0」にリセットする(ステップ1101)とともに、表示時間を示すT(I)を「0」にリセットする(ステップ1102)。CPU21は、現在押鍵されている鍵の数(押鍵数)を示すパラメータmをインクリメントする(ステップ1103)とともに、シンボルの消去タイミング(消去順序)を示すN(I)の値としてmを格納する(ステップ1104)。
【0048】
さらに、CPU21は、パラメータxとしてNOTE(I)の鍵に対応したX座標を設定し(ステップ1105)、パラメータYとして初期Y座標yを設定する(ステップ1106)。CPU21は、表示すべきシンボルの拡大率の初期値を設定する(ステップ1107)。この拡大率の初期値は予め定められた値であれば良い。また、CPU21は、NOTE(I)の音名に基づき表示するシンボル画像の色を決定する(ステップ1108)。本実施の形態では、なお、図16に示すように、シンボルは、押鍵タイミングが近づくのにしたがって、その拡大率が大きくなる。これは、図7のステップ704においてY座標値にしたがって拡大率を変更することにより実現される。
【0049】
また、本実施の形態においては、音名(C、C#=D♭、D、D#=E♭、・・・)に応じて、あらかじめシンボルの色が定められ、その情報がRAM23に格納されている。したがって、ステップ1108では、CPU21は、音名にあらかじめ対応付けられた色をRAM23から読み出せばよい。
【0050】
その後、CPU21は、画像データエリアの第I番のレコード群に格納された情報に基づき、シンボル表示領域に所定のシンボルを表示する(ステップ1109)。ステップ1109が終了すると、ステップ610に戻る。
【0051】
ガイド処理(ステップ404)が終了すると、CPU21は鍵盤処理を実行する(ステップ405)。図12〜図14は、本実施の形態にかかる鍵盤処理の例を示すフローチャートである。図12に示すように、CPU21は、鍵盤11の鍵を走査して(ステップ1201)、その鍵状態を判断する(ステップ1202)。鍵状態に変化が無い場合には鍵盤処理を終了する。鍵状態が新規オンである場合には、CPU21は、押鍵された鍵の情報をパラメータKEYとしてRAM23に格納し(ステップ1203)、パラメータKEYにより特定される音高の楽音を生成するためにノートオンイベントを生成する(ステップ1204)。CPU21は、生成されたノートオンイベントを音源部26に出力する(ステップ1205)。
【0052】
ステップ1202で、鍵状態が新規オフと判断された場合には、CPU21は、離鍵された鍵の情報をパラメータKEYとしてRAM23に格納し(ステップ1206)、パラメータKEYにより特定される音高の楽音を消音するためのノートオフイベントを生成する(ステップ1207)。CPU21は、生成されたノートオフイベントを音源部26に出力して(ステップ1208)、鍵盤処理を終了する。
【0053】
ステップ1205が終了すると、CPU21は、画像データのレコード群を決定するためのパラメータiを「0」に初期化する(ステップ1209)。次いで、画像データの第i番のレコード群において、押鍵すべきタイミングが到来したことを示すフラグON(i)が「1」であるかを判断する(ステップ1210)。ステップ1210でYesと判断された場合には、RAM23に格納されたパラメータKEYが、第i番のレコードのNOTE(i)と同一であるかを判断する(ステップ1211)。ステップ1210或いはステップ1211でNoと判断された場合には、図13のステップ1301に進む。
【0054】
ステップ1211でYesと判断された場合には、CPU21は、第i番のレコード群における画像番号を「2」に変更する(ステップ1212)とともに、シンボル表示領域において表示されているNOTE(i)に対応するシンボル画像のシンボル種別を画像(2)に変更する(ステップ1213)。次いで、CPU21は、曲データにおいて、NOTE(i)に対応するオートオンイベントのレコードに付加されたNGフラグを「0」にリセットする(ステップ1214)。その後、CPU21は、押鍵すべきタイミングが到来したことを示すフラグON(i)を「0」にリセットする(ステップ1215)。ステップ1211でYesと判断された場合には、適切なタイミングで適切な鍵が押鍵されたことを意味している。したがって、図17(b)に示すようなシンボル種別が画像(2)の画像が、押鍵された鍵に対応付けられて表示される。すなわち、それまでは風船に空気が入っていた状態であったのが(図17(a)参照)、適切な押鍵により風船が割れた状態(図17(b)参照)となる。
【0055】
次いで、CPU21は、押鍵数を示すパラメータmをデクリメントする(ステップ1301)。また、CPU21は、画像データのレコード群を特定するための別のパラメータnを「0」に初期化して、第n番のレコード群のうち、シンボルの消去タイミング(消去順序)を示すN(n)が0であるかを判断する(ステップ1303)。ステップ1303でYesと判断された場合には、CPU21は、N(n)をデクリメントする(ステップ1304)。次いで、CPU21は、パラメータnをインクリメントして(ステップ1305)、パラメータnが、表示されているシンボルの総数Iより大きいかを判断する(ステップ1306)。ステップ1306でNoと判断された場合には、ステップ1303に戻る。
【0056】
さらに、CPU21は、再度パラメータnを「0」にリセットする(ステップ1307)とともに、消去されたシンボル数を示すパラメータSを「0」に初期化する(ステップ1308)。CPU21は、画像データの第n番のレコード群中のN(n)が「0」であるかを判断する(ステップ1401)。ステップ1401でYesと判断された場合には、シンボル表示領域に表示されている、第n番のレコード群中のNote(n)に対応するシンボルを消去する(ステップ1402)。また、CPU21は、Note(n)に対応する画像データエリア、すなわち、第n番のレコード群を消去する(ステップ1403)。その後、CPU21は、消去されたシンボル数を示すパラメータSをインクリメントする(ステップ1404)。
【0057】
ステップ1401でNoと判断された場合、或いは、ステップ1404が実行された後に、CPU21は、パラメータnをインクリメントして(ステップ1405)、パラメータnがシンボル総数Iより大きいかを判断する(ステップ1406)。ステップ1406でNoと判断された場合には、ステップ1401に戻る。ステップ1406でYesと判断された場合には、CPU21は、パラメータiをインクリメントして(ステップ1407)、パラメータiがシンボル総数Iより大きいかを判断する(ステップ1408)。ステップ1408でNoと判断された場合には、CPU21は、ステップ1210に戻る。
【0058】
ステップ1408でYesと判断された場合には、CPU21は、シンボル総数Iから消去されたシンボル数Sを減じて、得られた新たなシンボル総数IをRAM23に格納する(ステップ1409)。その後、CPU21は、消去されたシンボル数を示すパラメータSを「0」にリセットする(ステップ1410)。
【0059】
鍵盤処理(ステップ405)が終了すると、CPU21は、その他の処理を実行する(ステップ406)。その他の処理においては、CPU21は、入力I/F14を介したビデオカメラ14のズーム等の制御などを実行する。その後、ステップ402に戻り、ステップ402〜406の処理が繰り返される。
【0060】
以下、表示装置の画面上に表示される画像例について説明する。図16に示すように、シンボル表示領域1620においては、X軸方向において押鍵すべき鍵と合致する位置に、シンボル画像が表示され、当該シンボル画像は、押鍵タイミングが近づくのにしたがって、演奏者の手の表示位置に近づくように、Y軸方向に移動される。基本的に、Y軸方向に移動するシンボル画像は、風船の形をしている。これは、画像番号「1」のシンボル種別のシンボル画像(シンボル画像(1))である。
【0061】
適切な押鍵タイミングで、適切な鍵が押鍵されると、風船の形のシンボル画像から、風船が割れた状態を示すシンボル画像に変更される(たとえば、符号1603、1604参照)。この変更されたシンボル画像は、画像番号「2」のシンボル種別のシンボル画像で(シンボル画像(2))である。図16には示されていないが、適切な押鍵タイミングで適切な鍵が押鍵されない場合(この場合は、押鍵タイミングのみが適切でない場合、押鍵された鍵が適切でない場合、タイミングおよび押鍵された鍵の双方が適切でない場合が含まれる)には、ひずんだ形状の風船のシンボル画像に変更される。これは、図17(c)に示すシンボル画像であり、画像番号「3」のシンボル種別のシンボル画像である。
【0062】
図16の例において、符号1603、1604に示すように、C3、G3の鍵は正しい押鍵タイミングにて適切に押鍵されている。また、符号1605に示すE3の鍵についても、正しい押鍵タイミングで押鍵されたと考える。その一方、たとえば、図16において、符号1606で示すD4の鍵については、適切な押鍵タイミングで押鍵されず、或いは、適切な鍵が押鍵されなかったと考える。
【0063】
図18は、図16に示す楽曲を再度演奏しているときの表示装置の画面上の画像例を示す図である。図18に示すように、再度、同一の楽曲の演奏を行うと、適切なタイミングで適切に押鍵された鍵(たとえば、C3、E3、G3:符号1801〜1803参照)は、通常の風船のシンボル画像が表示される。その一方、適切な押鍵タイミングではなく、或いは、適切な鍵が押鍵されていない場合、その鍵(たとえば、D4)については、ひずんだ形状の風船のシンボル画像が表示される。また、この状態で、適切な押鍵タイミングで、D4の鍵が押鍵された場合には、シンボル画像は、ひずんだ風船から通常の風船の画像に変更される。
【0064】
本実施の形態においては、CPU21は、曲データを参照して、表示部13のシンボル画像領域において、当該曲データの示す音高に対応付けられた鍵に関連するように所定の種別のシンボル画像を配置した画像を生成する。また、CPU21は、曲データ中の押鍵タイミングを参照して、押鍵タイミングの到来に近づくのにしたがってシンボル画像が、鍵に接近するようにシンボル画像を配置する。また、CPU21は、曲データを参照して、当該曲データにしたがった音高に対応付けられた鍵が、曲データにしたがった押鍵タイミングで操作されたかを判断する。CPU21は、曲データにしたがった音高に対応付けられた鍵が、曲データにしたがった押鍵タイミングで操作された場合に、シンボル画像の種別を、通常のシンボル画像を示す種別(画像(1))から、適切に操作されたことを示す他の種別(画像(2))に変更する。その一方、CPU21は、曲データにしたがった音高の鍵が押鍵されず、或いは、曲データにしたがった押鍵タイミングで押鍵されなかった場合に、シンボル画像の種別を、通常の画像種別(画像(1))から、適切に操作できなかったことを示すさらに他の種別(画像(3))に変更する。
【0065】
このように、本実施の形態によれば、適切な押鍵がなされた場合に、シンボル画像の種別を変更することに加えて、適切な押鍵がなされなかった場合に、シンボル画像の種別をさらに他の種別に変更することにより、演奏者に不適切な押鍵操作を知らせることが可能となる。
【0066】
また、本実施の形態においては、CPUは、適切な押鍵がなされなかった場合に、曲データ中、当該適切な押鍵がなされなかったノートオンイベントについて、適切に押鍵できなかったことを示す識別子(NGフラグ)を付与する。CPU21は、シンボル画像表示領域にシンボル画像を配置した画像を生成する際に、前記ノートオンイベントに付与された識別子を参照し、当該識別子が適切に押鍵できなかったことを示す場合には、上記さらに他の種別(画像(3))のシンボル画像を配置した画像を生成する。
【0067】
これにより、楽曲の演奏を繰り返すと、表示部13の画面上に表示されたが画像において、前回、押鍵が適切でなかった箇所が演奏者にわかるように表示される。これにより、演奏者による教習効果をより高めることが可能となる。
【0068】
さらに、本実施の形態においては、鍵盤上に配置された演奏者の手を撮影するビデオカメラを有し、CPU21は、撮影されたデータから、演奏者の手の画像を抽出し、抽出された画像を、演奏者の手が実際に位置する鍵と対応するように、鍵盤画像領域に重ね合わせる。これにより、演奏者は、表示部13の鍵盤画像領域に表示された自分の手および鍵盤の画像、および、シンボル画像表示領域に表示されたシンボルの双方を参照しつつ、押鍵すべき鍵を確認することが可能となる。
【0069】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることはない。たとえば、前記実施の形態においては、シンボル画像の拡大率は、当該シンボル画像のY座標値に基づいて決定されているが、これに限定されるものではない。たとえば、シンボル画像の拡大率を、現在押鍵されている鍵の数mに基づいて決定しても良い。この場合、ガイド処理において、図7のステップ704が省略される。また、図11に示す処理は、図19に示すものに変更される。図19は、他の実施の形態にかかるガイド処理の部分を示すフローチャートであり、図11に対応する。図19において、ステップ1901〜1906は、図11のステップ1101〜1106と同様である。ステップ1907において、CPU21は、シンボル画像の拡大率を、現在押鍵されている鍵の数mに基づいて決定する。たとえば、押鍵されている鍵の数mが大きくなるのにしたがって拡大率が大きくなるように、拡大率が設定されても良いし、mが大きくなるのにしたがって拡大率が小さくなるように、拡大率が設定されても良い。
【0070】
また、前記実施の形態において、シンボル画像のY座標値が、押鍵タイミングに対応する所定の範囲(たとえば、Y2>Y座標値>Y3)であるときに、CPU21は、表示されるシンボルを強調表示(たとえば、シンボル図形を太枠で囲む表示、シンボルの濃度をより大きくする表示)とするように構成しても良い。このように、押鍵タイミングで強調表示することにより演奏者に押鍵すべきタイミングが到来したことをより確実に知らせることができ、押鍵ミスを防ぐことが可能となる。
【0071】
さらに、前記実施の形態において、曲データに拍の情報を含め、拍の先頭でシンボル画像が動く(たとえば、ジャンプするように上下する)ように構成しても良い。また、曲データの先頭に表現記号やテンポ記号を含め、シンボル画像が表現記号やテンポ記号にしたがった表示形態とするように構成しても良い。たとえば、表現記号にしたがって、シンボル画像に顔の表情をつけることが可能である。
【0072】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲が、本発明の範囲内に包含される。以下、本出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載された発明を付記する。なお、付記に記載した請求項の項番は、本出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の項番に相当する。
【0073】
[付記]
請求項1に記載された発明は、複数の演奏操作子であってそれぞれが所定の音高と対応付けられた演奏操作子と、
少なくとも前記複数の演奏操作子のうち操作すべき演奏操作子を示すシンボル画像を表示するシンボル画像領域を有する表示手段と、
楽曲の音高およびその操作タイミングを示す曲データを格納した記憶手段と、
前記曲データを参照して、前記シンボル画像領域において、当該曲データの示す音高に対応付けられた演奏操作子に関連するように所定の種別のシンボル画像を配置した画像を生成する画像生成手段であって、当該操作タイミングを参照して、前記押鍵タイミングの到来に近づくのにしたがって前記シンボル画像が、前記表示手段上の所定の表示位置に接近するようにシンボル画像を配置する画像生成手段と、
前記曲データを参照して、前記曲データにしたがった音高に対応付けられた演奏操作子が、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作されたかを判断する操作判断手段と、を備え、
前記画像生成手段は、前記曲データにしたがった音高に対応付けられた演奏操作子が、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作された場合に、前記シンボル画像の種別を、通常のシンボル画像を示す第1の種別から、適切に操作されたことを示す第2の種別に変更し、
その一方、前記曲データにしたがった音高の演奏操作子が操作されず、或いは、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作されなかった場合に、前記シンボル画像の種別を、通常の画像種別から、適切に操作できなかったことを示す第3の種別に変更するように構成された演奏教習装置である。
【0074】
請求項2に記載された発明は、前記曲データにしたがった音高の演奏操作子が操作されず、或いは、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作されなかった場合に、前記曲データにおいて、適切に操作されなかった音高の情報に関連して、適切に操作できなかったことを示す識別子を付与する識別子付与手段を有し、
前記画像生成手段は、前記シンボル画像を配置した画像を生成する際に、前記音高を示す情報に関連して付与された識別子を参照し、前記識別子が適切に操作できなかったことを示す場合には、第3の種別のシンボル画像を配置した画像を生成するように構成された演奏教習装置である。
【0075】
請求項3に記載された発明は、前記複数の演奏操作子上に配置された演奏者の手を撮影する撮影手段を有するとともに、前記表示手段は前記複数の演奏操作子の画像を含む演奏操作子画像領域をさらに有し、
前記画像生成手段が、前記撮影手段により撮影されたデータから、前記演奏者の手の画像を抽出し、前記抽出された画像を、演奏者の手が実際に位置する演奏操作子と対応するように、前記演奏操作子画像領域に重ね合わせるように構成された演奏教習装置である。
【0076】
請求項4に記載された発明は、複数の演奏操作子であってそれぞれが所定の音高と対応付けられた演奏操作子と、
少なくとも前記複数の演奏操作子のうち操作すべき演奏操作子を示すシンボル画像を表示するシンボル画像領域を有する表示手段と、
楽曲の音高およびその操作タイミングを示す曲データを格納した記憶手段と、を備えたコンピュータに、
前記曲データを参照して、前記シンボル画像領域において、当該曲データの示す音高に対応付けられた演奏操作子に関連するように所定の種別のシンボル画像を配置した画像を生成する画像生成手段であって、当該操作タイミングを参照して、前記押鍵タイミングの到来に近づくのにしたがって前記シンボルが、前記表示手段上の所定の表示位置に接近するようにシンボルを配置する画像生成ステップと、
前記曲データを参照して、前記曲データにしたがった音高に対応付けられた演奏操作子が、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作されたかを判断する操作判断ステップと、を実行させ、
前記画像生成ステップが、前記曲データにしたがった音高に対応付けられた演奏操作子が、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作された場合に、前記シンボル画像の種別を、通常のシンボル画像を示す第1の種別から、適切に操作されたことを示す第2の種別に変更し、
その一方、前記曲データにしたがった音高の演奏操作子が操作されず、或いは、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作されなかった場合に、前記シンボル画像の種別を、通常の画像種別から、適切に操作できなかったことを示す第3の種別に変更するように構成された演奏教習プログラムである。
【符号の説明】
【0077】
10 電子楽器
11 鍵盤
12 入力部
13 表示部
14 入力I/F
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 サウンドシステム
26 音源部
27 オーディオ回路
28 スピーカ
30 ビデオカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の演奏操作子であってそれぞれが所定の音高と対応付けられた演奏操作子と、
少なくとも前記複数の演奏操作子のうち操作すべき演奏操作子を示すシンボル画像を表示するシンボル画像領域を有する表示手段と、
楽曲の音高およびその操作タイミングを示す曲データを格納した記憶手段と、
前記曲データを参照して、前記シンボル画像領域において、当該曲データの示す音高に対応付けられた演奏操作子に関連するように所定の種別のシンボル画像を配置した画像を生成する画像生成手段であって、当該操作タイミングを参照して、前記押鍵タイミングの到来に近づくのにしたがって前記シンボル画像が、前記演奏操作子に接近するようにシンボル画像を配置する画像生成手段と、
前記曲データを参照して、前記曲データにしたがった音高に対応付けられた演奏操作子が、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作されたかを判断する操作判断手段と、を備え、
前記画像生成手段は、前記曲データにしたがった音高に対応付けられた演奏操作子が、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作された場合に、前記シンボル画像の種別を、通常のシンボル画像を示す第1の種別から、適切に操作されたことを示す第2の種別に変更し、
その一方、前記曲データにしたがった音高の演奏操作子が操作されず、或いは、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作されなかった場合に、前記シンボル画像の種別を、通常の画像種別から、適切に操作できなかったことを示す第3の種別に変更するように構成されたことを特徴とする演奏教習装置。
【請求項2】
前記曲データにしたがった音高の演奏操作子が操作されず、或いは、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作されなかった場合に、前記曲データにおいて、適切に操作されなかった音高の情報に関連して、適切に操作できなかったことを示す識別子を付与する識別子付与手段を有し、
前記画像生成手段は、前記シンボル画像を配置した画像を生成する際に、前記音高を示す情報に関連して付与された識別子を参照し、前記識別子が適切に操作できなかったことを示す場合には、第3の種別のシンボル画像を配置した画像を生成するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の演奏教習装置。
【請求項3】
前記複数の演奏操作子上に配置された演奏者の手を撮影する撮影手段を有するとともに、前記表示手段は前記複数の演奏操作子の画像を含む演奏操作子画像領域をさらに有し、
前記画像生成手段が、前記撮影手段により撮影されたデータから、前記演奏者の手の画像を抽出し、前記抽出された画像を、演奏者の手が実際に位置する演奏操作子と対応するように、前記演奏操作子画像領域に重ね合わせるように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の演奏教習装置。
【請求項4】
複数の演奏操作子であってそれぞれが所定の音高と対応付けられた演奏操作子と、
少なくとも前記複数の演奏操作子のうち操作すべき演奏操作子を示すシンボル画像を表示するシンボル画像領域を有する表示手段と、
楽曲の音高およびその操作タイミングを示す曲データを格納した記憶手段と、を備えたコンピュータに、
前記曲データを参照して、前記シンボル画像領域において、当該曲データの示す音高に対応付けられた演奏操作子に関連するように所定の種別のシンボル画像を配置した画像を生成する画像生成手段であって、当該操作タイミングを参照して、前記押鍵タイミングの到来に近づくのにしたがって前記シンボルが、前記演奏操作子に接近するようにシンボルを配置する画像生成ステップと、
前記曲データを参照して、前記曲データにしたがった音高に対応付けられた演奏操作子が、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作されたかを判断する操作判断ステップと、を実行させ、
前記画像生成ステップが、前記曲データにしたがった音高に対応付けられた演奏操作子が、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作された場合に、前記シンボル画像の種別を、通常のシンボル画像を示す第1の種別から、適切に操作されたことを示す第2の種別に変更し、
その一方、前記曲データにしたがった音高の演奏操作子が操作されず、或いは、前記曲データにしたがった操作タイミングで操作されなかった場合に、前記シンボル画像の種別を、通常の画像種別から、適切に操作できなかったことを示す第3の種別に変更するように構成されたことを特徴とする演奏教習プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−220884(P2012−220884A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89330(P2011−89330)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】