説明

無溶剤型硬化性樹脂組成物

【課題】塗料、コーティング剤又は接着剤などに適している無溶剤型硬化性樹脂組成物、また該組成物で構成されている塗膜を形成する方法を提供する。
【解決手段】無溶剤型硬化性樹脂組成物は、第2級アミノ基及び第3級アミノ基から選択された少なくとも一種のアミノ基を有するアミノ基含有シランカップリング剤(A1)と、エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)と、ポリイソシアネート(B)とで構成され、A1成分及びA2成分の加水分解縮合性基1モルに対して、B成分のイソシアネート基の割合は0.1〜5モル程度で、A1成分とA2成分との割合(重量比)は、例えば、前者/後者=90/10〜20/80程度である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜特性及び施工性に優れた無溶剤型硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン系樹脂は、耐摩耗性、耐薬品性、柔軟性などが高いため、建造物、建築部材、各種車両、機械器具、プラスチック製品、繊維製品などのコーティング組成物又は塗料として広く利用されている。一方、近年、塗料分野では、大気中へのVOC(揮発性有機化合物)の放出に対する規制が厳しくなっており、従来から汎用されてきた溶剤系塗料に代わる塗料が望まれている。例えば、環境に対する負荷が小さく、施工性も高いウレタン塗料として、特開2007−291234号公報(特許文献1)には、ポリオール成分(アクリル系ポリマーポリオールなど)と、ポリイソシアネート成分と、希釈剤とで構成される低VOCウレタン系樹脂組成物が提案されている。この文献には、希釈剤として、エポキシ基含有シランカップリング剤が例示され、任意の添加剤として、第1級アミノ基含有シランカップリング剤などを含む接着性改良剤が例示されている。
【0003】
しかし、このウレタン系樹脂組成物は、ポリマーポリオールを使用するため、粘性が高く作業性の点では不利であり、得られる塗膜は柔軟性には優れるものの硬度は低い。また、基材(特に無機基材)に対する密着性も充分でない。そのため、硬質な塗膜を要求される用途や基材(特に無機基材)に対する高度な密着性を要求される用途には不向きである。また、塗膜は汚染され易く、耐薬品性が不十分であり、防錆剤も必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−291234号公報(請求項1、段落番号[0051][0052][0061])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、硬度及び可撓性が高く、基材に対する密着性も高い塗膜を形成できる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、低VOCで環境に対する負荷が小さく、ポットライフも長く作業性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、所望の厚みの塗膜(厚みの均一な塗膜など)を容易に形成可能であり、粘度が低く施工性に優れた硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、耐薬品性、耐ダートコレクション性及びクリーニング性に優れ、基材の腐食や劣化を有効に防止できる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定のシランカップリング剤とポリイソシアネートとを組み合わせて硬化させると、硬度及び可撓性が高く、基材に対する密着性も高い塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の無溶剤型硬化性樹脂組成物は、第2級アミノ基及び第3級アミノ基から選択された少なくとも一種のアミノ基を有するアミノ基含有シランカップリング剤(A1)と、エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)と、ポリイソシアネート(B)とで構成されている。
【0011】
アミノ基含有シランカップリング剤(A1)及びエポキシ基含有シランカップリング剤(A2)は、それぞれ1分子中に少なくとも2以上の加水分解縮合性基を有していてもよい。アミノ基含有シランカップリング剤(A1)は、少なくとも第3級アミノ基含有シランカップリング剤で構成されていてもよい。エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)は、グリシジル基及び脂環式エポキシ基から選択された少なくとも一種のエポキシ基を有する化合物であってもよい。
【0012】
アミノ基含有シランカップリング剤(A1)及びエポキシ基含有シランカップリング剤(A2)の加水分解縮合性基の合計1モルに対して、ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基の割合は0.1〜5モル程度であってもよい。アミノ基含有シランカップリング剤(A1)とエポキシ基含有シランカップリング剤(A2)との割合(重量比)は、前者/後者=90/10〜20/80程度であってもよい。
【0013】
このような組成物は、塗料、コーティング剤又は接着剤などに適している。
【0014】
本発明には、前記無溶剤型硬化性樹脂組成物を基材に適用して、塗膜を形成する方法を含む。
【0015】
なお、本明細書において、「無溶剤型組成物」という語は、溶剤が含まれていない組成物だけでなく、溶剤が実質的に含まれていない組成物(低VOC組成物)も含む意味で用いる。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、ウレタン結合(−NH−COO−)を有するため、ウレタン系樹脂組成物と称する場合がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬度及び可撓性が高く、基材に対する密着性も高い上に、耐摩耗性も高い塗膜を形成できる。この塗膜は、樹脂組成物の各成分を混合するといった簡便な方法で形成可能で、室温でも迅速に塗膜を形成できるため、塗膜に粉塵が混入することもなく、塗膜の汚染を有効に防止できる。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、低VOCで環境に対する負荷が小さく、ポットライフが長い。さらに、この樹脂組成物は粘性が低いため、作業性に優れ、所望の厚みの塗膜を容易に形成できる。そのため、厚みが均一な塗膜を形成して、透明性及び光沢性を呈することができる。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、基材の腐食や劣化を有効に防止でき、特に防錆剤を含有しなくても有効に防錆できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[無溶剤型硬化性樹脂組成物]
本発明の無溶剤型硬化性樹脂組成物は、アミノ基含有シランカップリング剤(A1)と、エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)と、ポリイソシアネート(B)とで構成されている。
【0018】
本発明の硬化性樹脂組成物は、アミノ基含有シランカップリング剤(A1)とエポキシ基含有シランカップリング剤(A2)とを組合せることにより、硬度及び可撓性が高く、基材に対する付着性が大幅に向上する。このような効果が発現する理由は定かではないが、以下の理由が想定される。シランカップリング剤(A1)及び(A2)の加水分解縮合性基は、空気中の水分などにより、シラノール基に加水分解され、シラノール基同士が縮合反応すると共に、シラノール基とイソシアネート基とも反応する。一方で、エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)のエポキシ基も、シラノール基及びイソシアネート基と反応し、アミノ基含有シランカップリング剤(A1)の第2級又は第3級アミノ基は、これらの反応に関与して促進すると考えられ、上述の反応が組み合わされて、高い硬度や可撓性、基材に対する高い付着性が発現していると考えられる。
【0019】
(アミノ基含有シランカップリング剤(A1))
アミノ基含有シランカップリング剤(A1)は、分子中に加水分解縮合性基と、第2級及び第3級アミノ基から選択される少なくとも一種のアミノ基とを有するシランカップリング剤である限り、特に限定されない。アミノ基は、施工性又は作業性などの観点から、第1級アミノ基を実質的に含まないことが好ましい。アミノ基の数は、1分子中に1以上であり、複数であってもよいが、通常1〜2(特に1)であってもよい。
【0020】
加水分解縮合性基としては、ハロシリル基(クロロシリル基など)であってもよいが、アルコキシシリル基が好ましい。アミノ基含有シランカップリング剤(A1)は、1以上のアルコキシ基を含有していればよく、好ましくは2以上(例えば、2又は3)のアルコキシ基を含有しているのが好ましい。アルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのC1−4アルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、エトキシメトキシ基などのC1−4アルコキシC1−4アルコキシ基などが例示できる。これらのアルコキシ基のうち、メトキシ基、エトキシ基などのC1−2アルコキシ基が好ましい。なお、アルコキシシリル基のSi原子は、アルコキシ基以外にメチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基などで置換されていてもよい。
【0021】
代表的な第2級アミノ基含有シランカップリング剤としては、N−アルキル−アミノアルキルアルコキシシラン[例えば、N−エチル−2−アミノエチルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのN−C1−10アルキル−アミノC1−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど]、N−シクロアルキル−アミノアルキルアルコキシシラン[例えば、N−シクロヘキシル−2−アミノエチルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのN−C3−10シクロアルキル−アミノC1−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど]、N−アリール−アミノアルキルアルコキシシラン[例えば、N−フェニル−2−アミノエチルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−2−アミノエチルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのN−アリール−アミノC1−4アルキルC1−4アルキルジC1−4アルコキシシラン;N−フェニル−2−アミノエチルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−2−アミノエチルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのN−アリール−アミノC1−4アルキルC1−4アルキルジC1−4アルコキシシラン;N−フェニル−2−アミノエチルトリメトキシシラン、N−フェニル−2−アミノエチルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのN−アリール−アミノC1−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど]などが例示できる。
【0022】
これらの第2級アミノ基含有シランカップリング剤のうち、N−シクロアルキル−アミノアルキルアルコキシシラン、N−アリール−アミノアルキルアルコキシシラン(特に、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのN−アリール−アミノC1−4アルキルトリC1−2アルコキシシラン)が好ましい。
【0023】
代表的な第3級アミノ基含有シランカップリング剤としては、3−メチルジメトキシシリル−N−プロピリデン−プロピルアミン、3−メチルジエトキシシリル−N−プロピリデン−プロピルアミン、3−メチルジメトキシシリル−N−ブチリデン−プロピルアミン、3−メチルジエトキシシリル−N−ブチリデン−プロピルアミン、3−メチルジメトキシシリル−N−(1−メチルブチリデン)−プロピルアミン、3−メチルジエトキシシリル−N−(1−メチルブチリデン)−プロピルアミン、3−メチルジメトキシシリル−N−(1−エチルブチリデン)−プロピルアミン、3−メチルジエトキシシリル−N−(1−エチルブチリデン)−プロピルアミン、3−メチルジメトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)−プロピルアミン、3−メチルジエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)−プロピルアミン、3−メチルジメトキシシリル−N−(1−エチル−3−メチルブチリデン)−プロピルアミン、3−メチルジエトキシシリル−N−(1−エチル−3−メチルブチリデン)−プロピルアミンなどのC1−4アルキルジC1−4アルコキシシリル−N−(直鎖又は分岐鎖C1−12アルキリデン)−C1−4アルキルアミン;3−トリメトキシシリル−N−プロピリデン−プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−プロピリデン−プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−ブチリデン−プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−ブチリデン−プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(1−メチルブチリデン)−プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1−メチルブチリデン)−プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(1−エチルブチリデン)−プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1−エチルブチリデン)−プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)−プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)−プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(1−エチル−3−メチルブチリデン)−プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1−エチル−3−メチルブチリデン)−プロピルアミンなどのトリC1−4アルコキシシリル−N−(直鎖又は分岐鎖C1−12アルキリデン)−C1−4アルキルアミンなど]などが例示できる。
【0024】
これらの第3級アミノ基含有シランカップリング剤のうち、3−トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)−プロピルアミンなどのトリC1−2アルコキシシリル−N−(1−C1−4アルキルC3−8アルキリデン)−C1−4アルキルアミンが好ましい。
【0025】
これらの第2級又は第3級アミノ基含有シランカップリング剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0026】
第2級アミノ基含有シランカップリング剤と第3級アミノ基含有シランカップリング剤とを組み合わせて使用する場合、両者の割合(重量比)は、例えば、前者/後者=1/99〜70/30、好ましくは10/90〜60/40、さらに好ましくは20/80〜50/50程度であってもよい。両者を組み合わせることにより、必要とされる作業性に応じて、乾燥又は硬化時間及び可使時間を制御できる。
【0027】
アミノ基含有シランカップリング剤(A1)は、乾燥時間を短縮する観点から、少なくとも第3級アミノ基含有シランカップリング剤を使用してもよく、特に第3級アミノ基含有シランカップリング剤を単独で使用してもよい。
【0028】
アミノ基含有シランカップリング剤(A1)の分子量は、例えば、100〜500、好ましくは150〜400、さらに好ましくは200〜300程度であってもよい。
【0029】
アミノ基含有シランカップリング剤(A1)の割合は、ポリイソシアネート(B)100重量部に対して、1〜100重量部(例えば、1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部(特に、10〜20重量部))程度であってもよい。
【0030】
(エポキシ基含有シランカップリング剤(A2))
エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)は、分子中に加水分解縮合性基と、エポキシ基とを有するシランカップリング剤である限り、特に限定されない。エポキシ基の数は、1分子中に1以上であり、複数であってもよいが、通常1〜2(特に1)であってもよい。
【0031】
加水分解縮合性基としては、ハロシリル基(クロロシリル基など)であってもよいが、アルコキシシリル基が好ましい。エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)は、1以上のアルコキシ基を含有していればよく、好ましくは2以上(例えば、2又は3)のアルコキシ基を含有しているのが好ましい。アルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのC1−4アルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、エトキシメトキシ基などのC1−4アルコキシC1−4アルコキシ基などが例示できる。これらのアルコキシ基のうち、メトキシ基、エトキシ基などのC1−2アルコキシ基が好ましい。なお、アルコキシシリル基のSi原子は、アルコキシ基以外にメチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基などで置換されていてもよい。
【0032】
エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)は、グリシジル基及び脂環式エポキシ基から選択された少なくとも一種のエポキシ基を有する化合物であってもよい。
【0033】
代表的なグリシジル基含有シランカップリング剤として、2−グリシジルオキシエチルメチルジメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランなどのグリシジルオキシC1−4アルキルC1−4アルキルジC1−4アルコキシシラン;2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどのグリシジルオキシC1−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなどが例示できる。これらのグリシジル基含有シランカップリング剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのグリシジル基含有シランカップリング剤のうち、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランなどのグリシジルオキシC1−4アルキルC1−4アルキルジC1−2アルコキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランなどのグリシジルオキシC1−4アルキルトリC1−2アルコキシシランが好ましい。
【0034】
代表的な脂環式エポキシ基含有シランカップリング剤として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジエトキシシランなどの(エポキシC3−10シクロアルキル)C1−4アルキルC1−4アルキルジC1−4アルコキシシラン;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシランなどの(エポキシC3−10シクロアルキル)C1−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど]などが例示できる。これらの脂環式エポキシ基含有シランカップリング剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの脂環式エポキシ基含有シランカップリング剤のうち、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランなどの(エポキシC3−10シクロアルキル)C1−4アルキルトリC1−4アルコキシシランが好ましい。
【0035】
グリシジル基含有シランカップリング剤及び脂環式エポキシ基含有シランカップリング剤を組み合わせて使用する場合、両者の割合(重量比)は、例えば、前者/後者=99/1〜1/99程度の範囲から選択でき、例えば、前者/後者=90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは70/30〜30/70程度であってもよい。
【0036】
エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)の分子量は、例えば、100〜500、好ましくは150〜400、さらに好ましくは200〜300程度であってもよい。
【0037】
エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)の割合は、ポリイソシアネート(B)100重量部に対して、1〜100重量部(例えば、1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部(特に、6〜12重量部))程度であってもよい。
【0038】
アミノ基含有シランカップリング剤(A1)及びエポキシ基含有シランカップリング剤(A2)の合計の割合は、ポリイソシアネート(B)100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、さらに好ましくは10〜40重量部(特に15〜35重量部)程度であってもよい。
【0039】
アミノ基含有シランカップリング剤(A1)とエポキシ基含有シランカップリング剤(A2)との割合(重量比)は、前者/後者=99/1〜1/99程度の範囲から選択でき、例えば、前者/後者=90/10〜20/80、好ましくは80/20〜30/70、さらに好ましくは70/30〜40/60(例えば、65/35〜50/50)程度であってもよい。
【0040】
アミノ基含有シランカップリング剤(A1)とエポキシ基含有シランカップリング剤(A2)とは、予め予備縮合させた予備縮合体として使用してもよい。
【0041】
(ポリイソシアネート(B))
ポリイソシアネート(B)として、脂肪族ポリイソシアネート[例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、リジンジイソシアネート(LDI)などの脂肪族ジイソシアネート;1,6,11−ウンデカントリイソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートなどの脂肪族トリイソシアネートなど]、脂環族ポリイソシアネート[例えば、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート、水添ビス(イソシアナトフェニル)メタンなどの脂環族ジイソシアネート;ビシクロヘプタントリイソシアネートなどの脂環族トリイソシアネートなど]、芳香族ポリイソシアネート[例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ビス(イソシアナトフェニル)メタン(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、1,3−ビス(イソシアナトフェニル)プロパンなどの芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族トリイソシアネートなど]などが例示できる。これらのポリイソシアネートは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0042】
また、ポリイソシアネートは、変性体又は誘導体であってもよい。ポリイソシアネートの変性体又は誘導体としては、多量体(二量体(ウレチジオン)、三量体(イソシアヌレート)、ポリカルボジイミドなど)、アダクト体(例えば、ポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネートなど)とポリオール(トリメチロールプロパンやペンタエリスリトールなど)とのアダクト体など)、ウレタン変性体、アロハネート変性体、ビュレット変性体、ウレア変性体、イソシアネートプレポリマー、ブロックイソシアネート(例えば、イソシアネート基がラクタム類(カプロラクタムなど)やオキシム類(メチルエチルケトオキシム、アセトキシムなど)などの保護基で保護された化合物など)などが例示できる。
【0043】
これらのポリイソシアネートのうち、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体などの脂肪族ポリイソシアネートの多量体)が好ましい。このようなポリイソシアネートは、例えば、三井武田ケミカル(株)から、商品名「タケネートD−170N」、「タケネートD−170HN」、「タケネートD−177N」として入手でき、日本ポリウレタン工業(株)から、商品名「コロネートR301」、「コロネートR303」として入手できる。
【0044】
ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基の数は、1分子中に2以上であればよいが、例えば、2〜4(特に3)であってもよい。イソシアヌレート環を有し、かつ3以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートは作業性に優れると共に、硬質な塗膜を形成できる。
【0045】
ポリイソシアネート(B)の分子量は150〜3000程度の範囲から選択でき、好ましくは250〜2000、さらに好ましくは300〜1500(例えば、300〜1000、特に400〜700程度)である。ポリイソシアネート(B)の粘度は、25℃において、100〜5000mPa・s、好ましくは200〜4000mPa・s、さらに好ましくは300〜3000mPa・s(例えば、500〜2500mPa・s)程度であってもよい。
【0046】
ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基の割合は、アミノ基含有シランカップリング剤(A1)、及びエポキシ基含有シランカップリング剤(A2)の加水分解縮合性基の合計1モルに対して、0.1〜5モル(例えば、0.2〜4.8モル)、好ましくは0.3〜4.5モル(例えば、0.4〜4.4モル)、さらに好ましくは0.5〜4モル(例えば、1〜4モル)程度であってもよい。
【0047】
(任意成分)
本発明の樹脂組成物は、カップリング剤(他のシランカップリング剤や、チタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラブチルなどのチタンアルコキシド又はその重縮合物などのチタンカップリング剤)を含有してもよい。他のシランカップリング剤として、メルカプト基含有シランカップリング剤(例えば、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトC1−5アルキルトリC1−5アルコキシシランなど)、カルボキシル基含有シランカップリング剤(例えば、2−カルボキシエチルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシランなどのカルボキシC1−5アルキルトリC1−5アルコキシシランなど)などが例示できる。これらのカップリング剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。また、これらのカップリング剤もアミノ基含有シランカップリング剤(A1)及び/又はエポキシ基シランカップリング剤(A2)との予備縮合体として使用してもよい。
【0048】
カップリング剤の割合は、アミノ基含有シランカップリング剤(A1)と、エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)と、ポリイソシアネート(B)との合計100重量部に対して、例えば、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部程度であってもよい。
【0049】
本発明の樹脂組成物は、必要であれば、本発明の効果を損なわない範囲でポリオールを含有してもよい。ポリオールとしては、低分子量ポリオール[例えば、脂肪族ジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、脂肪族ポリオール(例えば、グリセリンなど)、脂環族ジオール(例えば、シクロヘキサンジオールなど)、芳香族ジオール(例えば、キシリレンジオールなど)など]、ポリマーポリオール[例えば、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリC2−4アルキレンエーテルグリコール)、ポリエステルポリオール(例えば、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステルなど)、ポリカーボネートポリオール、アクリル系ポリマーポリオール]などが例示できる。これらのポリオールは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0050】
ポリオールの割合は、アミノ基含有シランカップリング剤(A1)と、エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)と、ポリイソシアネート(B)との合計100重量部に対して、例えば、0〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部程度であってもよい。低分子量ジオールやポリマーポリオールを利用して、塗膜の硬度を調整することもできるが、本発明では、ポリオール成分を実質的に含有することなく、ウレタン結合を有する硬化物が得られる。
【0051】
本発明の樹脂組成物は、ウレタン化反応を促進するために、ウレタン化触媒を含有してもよい。ウレタン化触媒としては、慣用の有機金属触媒(例えば、ジブチルチンジラウレート(DBTDL)、ジブチルチンマーカプチド、ジオクチルチンマーカプチド、ジブチルチンジマレエート、ジブチルチンチオカルボキシレートなどのスズ系触媒など)、第3級アミノ基を有する慣用のアミン触媒{例えば、脂肪族アミン類[モノアミン類(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリC1−6アルキルアミンなど)、ポリアミン類(例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンなどのN,N,N’,N’−テトラC1−5アルキルC1−10アルカンジアミン;N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジプロピレントリアミン;テトラメチルグアニジンなどのグアニジン誘導体など)]、脂環族アミン類[モノアミン類(例えば、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどのN,N−ジC1−5アルキルシクロC5−10アルキルアミンなど)など]、芳香族アミン類[モノアミン類(例えば、トリフェニルアミンなどのトリアリールアミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどのN,N−ジC1−5アルキルアニリンなど)など]、窒素原子以外のヘテロ原子(酸素原子など)を分子内に有するアミン類[モノアミン類(例えば、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどのN−C1−5アルキルモルホリンなど)、ポリアミン類(例えば、N・(N’,N’−ジメチルアミノエチル)−モルホリン、N・(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)−モルホリンなどのN・(N’,N’−ジC1−5アルキルアミノC1−5アルキル)−モルホリンなど]、窒素含有ヘテロ環化合物[モノアミン類(例えば、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジンなどのN−C1−5アルキルピペリジンなど)、ポリアミン類(例えば、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N’−ジエチルピペラジンなどのN,N’−ジC1−5アルキルピペラジン)]など}などが使用できる。これらのウレタン化触媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0052】
ウレタン化触媒の割合は、シランカップリング剤(A1)及び(A2)、並びにポリイソシアネート(B)の合計100重量部に対して5重量部以下(0〜5重量部)の範囲で使用でき、例えば、0.01〜4重量部、好ましくは0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部(特に0.5〜1.5重量部)程度であってもよい。
【0053】
本発明の樹脂組成物は、さらに慣用の顔料成分、例えば、無機顔料(酸化チタンなどの白色顔料、チタニウムイエローなどの黄色顔料、酸化鉄赤などの赤色顔料、クロムグリーンなどの緑色顔料、コバルトブルーなどの青色顔料、カーボンブラックなどの黒色顔料など)、有機着色剤(アゾ染顔料、フタロシアニン染顔料、レーキ染顔料など)、体質顔料(炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、マイカ、タルク、アルミナ、ベントナイト、酸化マグネシウムなど)、光沢顔料(ステンレスフレークなどの金属箔、アルミニウム粉、亜鉛粉などの金属粉末など)、防錆顔料(縮合リン酸アルミニウムなどのアルミニウム含有化合物など)を含んでもよい。これらの顔料成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0054】
顔料成分の割合は、用途に応じて割合を調整でき、例えば、シランカップリング剤(A1)、及び(A2)、並びにポリイソシアネート(B)の合計100重量部に対して、1〜1000重量部程度の範囲から選択でき、例えば、3〜500重量部、好ましくは5〜300重量部、さらに好ましくは10〜100重量部程度であってもよい。
【0055】
本発明の樹脂組成物は、さらに消泡剤を含有してもよい。消泡剤として、シリコーン系消泡剤(例えば、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイルなど)などが例示できる。
【0056】
消泡剤の割合は、例えば、シランカップリング剤(A1)及び(A2)、並びにポリイソシアネート(B)の合計1000重量部に対して、1重量部以下(0〜1重量部)の範囲で使用でき、例えば、0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.1重量部程度であってもよい。
【0057】
本発明の樹脂組成物には、さらに、架橋剤、鎖延長剤、界面活性剤(乳化剤、安定剤など)、難燃剤、充填剤、チクソトロピー性賦与剤、粘度調整剤、分散剤、湿潤剤、可塑剤、硬化促進剤、レベリング剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤)、帯電防止剤、防黴剤、離型剤などを添加してもよい。なお、本発明の樹脂組成物に防錆剤を含有させてもよいが、防錆剤を含有させなくても、有効に防錆できる。また、本発明の樹脂組成物は低粘度であるため有機溶媒は不要であるが、後述するVOC量の範囲内において、必要であれば、有機溶媒を使用してもよい。特に、充填剤として、木粉、コルク粉、プラスチック粉などの有機系粉粒状廃棄物を用いると、保温性やクッション性を向上できるとともに、資源の有効利用が可能となる。これらの添加剤は、必要に応じて、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0058】
本発明の樹脂組成物のVOCの割合は、樹脂組成物全体に対して2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下に低減できるため、屋外用塗料が排出するVOC量の大幅削減に寄与できる。
【0059】
本発明の無溶剤型硬化性樹脂組成物の調製方法は、特に制限されず、各成分を混合する慣用の方法で調製できる。組成物の調製において、各成分は一括して混合してもよいし、任意の順序で混合してもよい。例えば、各成分を一括して混合せずに、アミノ基含有シランカップリング剤(A1)、エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)、及びポリイソシアネート(B)のいずれかの成分を塗装前に混合してもよい。
【0060】
[塗膜の形成方法]
本発明の無溶剤型硬化性樹脂組成物を、被塗装物や被接着物などの基材に適用して、塗膜を形成してもよい。この樹脂組成物の基材への適用方法としては、慣用の方法、例えば、刷毛、ロールコーティング、スプレーコーティング(例えば、エアスプレー、エアレススプレーコーティングなど)、ディッピングなどの方法を利用できる。塗装厚み(乾燥後)は、特に限定されず、用途に応じて、5μm〜10mm程度の範囲から選択でき、例えば、10〜5000μm、好ましくは30〜3000μm、さらに好ましくは50〜1000μm(特に100〜500μm)程度であってもよい。本発明の樹脂組成物は、無溶剤型で低VOCであるだけでなく、反応の過程で生成するメタノールなどの揮発成分もイソシアネートが取り込むためか、塗膜の重量減少も少なく塗膜の厚みも容易に調整できる。また、本発明の樹脂組成物の粘性は低いため、施工性又は作業性に優れる。例えば、基材同士を薄膜で接着し、基材同士の接着性・密着性を高めることができる。また、均一の厚みで塗工でき、透明性及び光沢性を呈することができる。
【0061】
本発明の樹脂組成物は、基材に塗装した後、室温もしくは加温(例えば、50〜100℃程度で加温)することにより、硬化し、塗膜を形成できる。なお、本発明では、室温(例えば、15〜25℃程度)でも迅速に硬化できる。そのため、粉塵の付着を有効に防止できる。
【0062】
本発明の樹脂組成物は、硬度及び可撓性が高く、基材に対する付着性も高く、各種耐性(耐水性、耐塩水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐トルエン性、耐薬品性)、耐ダートコレクション性)やクリーニング性にも優れるため、各種基材のコーティングや接着に使用できる。基材としては、例えば、金属、セラミックス、ガラス、モルタル、コンクリートなどの無機質材料や、合成樹脂(アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などのプラスチックや発泡スチロールなどの発泡体)や天然素材(木材など)などの有機質材料で構成された基材が例示できる。
【0063】
なお、本発明の樹脂組成物で形成される塗膜は、JIS−K−5600に準拠した鉛筆硬度で4H以上(例えば5〜7H、特に6〜7H)の硬さを有する。
【実施例】
【0064】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0065】
実施例及び比較例で用いた成分の内容、及び組成物や塗膜の特性の評価方法を以下に示す。
【0066】
(1)各成分の内容
(アミノ基含有シランカップリング剤(A1))
シランカップリング剤A1−1:3−メチルジエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)−プロピルアミン、商品名 KBE9103、信越化学工業(株)製、比重(25℃)0.924、引火点134℃
シランカップリング剤A1−2:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名 KBM573、信越化学工業(株)製、比重(25℃)1.07、沸点312℃、引火点165℃
シランカップリング剤A1−3:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名 KBM602、信越化学工業(株)製、比重(25℃)0.97、沸点234℃、引火点110℃
シランカップリング剤A1−4:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名 KBM603、信越化学工業(株)製、比重(25℃)1.02、沸点259℃、引火点128℃。
【0067】
(エポキシ基含有シランカップリング剤(A2))
シランカップリング剤A2−1:3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、商品名 KBE402、信越化学工業(株)製、比重(25℃)0.98、沸点259℃、引火点128℃
シランカップリング剤A2−2:3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、商品名 Z−6044、東レ、ダウコーニング、シリコーン(株)製、比重(25℃)1.02、沸点132℃、引火点100℃
シランカップリング剤A2−3:3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、商品名 KBM403、信越化学工業(株)製、比重(25℃)1.07、沸点290℃、引火点149℃
シランカップリング剤A2−4:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、商品名 KBM303、信越化学工業(株)製、比重(25℃)1.06、沸点310℃、引火点163℃。
【0068】
(その他のシランカップリング剤(A3))
シランカップリング剤A3:フェニルトリメトキシシラン、商品名 AY43−040、東レ、ダウコーニング、シリコーン(株)製、比重(25℃)1.06、沸点211℃、引火点94℃。
【0069】
(ポリイソシアネート(B))
ポリイソシアネートB−1:商品名「タケネートD−170N」、三井化学ポリウレタン(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート基含量20.7重量%、固形分100%、比重(25℃)1.16、粘度(25℃)2000mPa・s
ポリイソシアネートB−2:商品名「タケネートD−170HN」、三井化学ポリウレタン(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート基含量22.7重量%、固形分100%、比重(25℃)1.14、粘度(25℃)600mPa・s。
【0070】
(その他の添加剤)
DBTDL:ジブチルチンジラウレート(商品名「L101−V」、東京ファインケミカル(株)製)の2重量%キシレン溶液
消泡剤:破泡性ポリシロキサン溶液(商品名「BYK066」、シュベックマン(社)製)。
【0071】
(2)各特性の評価方法
(評価方法1)
実施例1〜7及び比較例1及び5で得られた組成物を、サンドペーパー#240で軽く研磨し、トルエンで洗浄したブリキ板(JIS−K−5600−1−4 5.2)の片面に刷毛で塗装し、室内で7日間養生後、それらの塗装物を所定の特性評価試験に供した。なお、耐水性試験においては、非塗装面の全面に市販されている電気絶縁テープ(黒色)を貼着してシールした。
【0072】
(評価方法2)
実施例1及び5で得られた組成物を、サンドペーパー#240で軽く研磨し、トルエンで洗浄したブリキ板(縦70mm×横150mm×厚み0.3mm)の片面に刷毛で塗装し、室内で8時間養生後、再度塗装し、室内で7日間養生後、これらの塗装物を所定の特性評価試験に供した。なお、耐水性試験、耐塩水性試験、耐酸性試験及び耐アルカリ性試験においては、腐食を防止するため、塗装しない部分にビニルテープを貼着して、養生した。
【0073】
(評価方法3)
屋外に放置され、全面に赤錆が発生している鋼板(縦70mm×横150mm×厚み1mm)の約1/2面をサンドペーパー#240で研磨し、除錆し、残りの面は除錆せずに、そのままの状態で残し、全面をトルエンで洗浄した。実施例1で得られた組成物を、この鋼板の全面に刷毛で塗装し、室内で7日間養成後、この塗装物を3重量%食塩水中に30日間浸漬し、耐塩水性を評価した。比較対象として、同処理を行った鋼板に、錆止め塗料(セルティスメタル用プライマーAZ、セラスター塗料(株)製)を塗装し、さらにその上に非水系超低VOC型変性アクリルウレタン塗料(フォックLC185、セラスター塗料(株)製)を塗装し、室内で7日間養生後、この塗装物を3重量%食塩水中に30日間浸漬し、耐塩水性を評価した。
【0074】
(評価方法4)
実施例2で得られた組成物を室内で10分間熟成した後、この組成物を、A4サイズ(厚さ1mm)のポリカーボネート板(パンライトシートPC1151、帝人化成(株)製)の片面にバーコーター(36μm)で塗装し、室内で7日間養生後、この塗装物を所定の特性評価試験に供した。
【0075】
[混和性]
各成分を混合して試料を調製する際の難易度を以下の基準で評価した。
【0076】
◎:容易に均一になる
○:やや時間を要する
×:均一に相溶しない。
【0077】
[粘度]
B型粘度計を用いて温度25℃で樹脂組成物の粘度を測定した。
【0078】
[VOCの割合]
配合成分の組成比から計算により求めた。
【0079】
[可使時間]
調製した試料の刷毛塗り可能な時間を測定した。
【0080】
◎:2時間以上
○:1時間以上2時間未満
×:1時間未満。
【0081】
[乾燥時間]
JIS−K−5600 3.3に準じて、25℃での乾燥時間を測定し、以下の基準で評価した。
【0082】
◎:5時間未満に乾燥
○:5時間以上12時間未満に乾燥
△:12時間以上24時間未満に乾燥
×:24時間以上で乾燥。
【0083】
[刷毛塗り作業性]
得られた樹脂組成物を、フレキシブル石綿板(JIS−K−5600 1.4及び5.9、縦70mm×横150mm×厚み3mm)の片面に、縦、横の各方向について、それぞれ5回交互に刷毛を返して塗装し、刷毛さばきの難易の程度を以下の基準で評価した。
【0084】
◎:良好
○:やや重い
△:かなり重い。
【0085】
[透明性]
乾燥塗膜の透明性について以下の基準に従って評価した。
【0086】
◎:殆ど無色透明
○:半透明
×:白濁。
【0087】
[光沢]
乾燥塗膜の光沢について以下の基準に従って評価した。
【0088】
◎:良好
○:半光沢
×:3分艶以下。
【0089】
[膜厚]
マイクロメーターで5箇所の膜厚を計測し、その平均値を求めた。
【0090】
[鉛筆硬度]
JIS−K−5600 5.4に準じて測定した。
【0091】
[耐屈曲性]
直径6mmの心棒を用い、JIS−K−5600 5.1に準じて、以下の基準に従って評価した。
【0092】
◎:異常なし
○:浅いひびが発生
×:剥離。
【0093】
[付着性]
JIS−K−5600 5.6に準じてクロスカット試験を行い、以下の基準に従って評価した。
【0094】
◎:分類0(カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがない)
○:分類1(カットの交差点における塗膜の小さな剥がれがある)
×:分類2〜3(カットの縁、カットの交差点、目の色々な部分で部分的又は全面的に剥がれがある)。
【0095】
[耐水性]
20℃の水中に塗膜を7日間浸漬した後、塗膜表面の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0096】
◎:塗膜表面に変化なし
○:塗膜表面に若干膨れ発生
×:塗膜表面の大部分が溶出又は剥離。
【0097】
[耐塩水性]
3重量%食塩水中に塗膜を30日間浸漬した後、塗膜表面の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0098】
◎:塗膜表面に変化なし
○:塗膜表面に若干膨れ発生
×:塗膜表面の大部分に錆発生。
【0099】
[耐酸性]
10重量%硫酸中に室温で10日間浸漬した後、塗膜表面の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0100】
◎:塗膜表面に変化なし
○:塗膜表面に若干膨れ発生
×:塗膜表面の大部分に膨れ又は錆発生。
【0101】
[耐アルカリ性]
飽和石灰水中に室温で10日間浸漬した後、塗膜表面の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0102】
◎:塗膜表面に変化なし
○:塗膜表面に若干膨れ発生
×:塗膜表面の大部分に膨れ又は錆発生。
【0103】
[耐トルエン性]
トルエン中に室温で1時間浸漬した後、塗膜表面の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0104】
◎:塗膜表面に変化なし
○:塗膜表面に若干膨れ発生
×:塗膜表面の大部分に膨れ発生。
【0105】
[クリーニング性]
塗膜の表面に市販の油性マジックペン(黒色)で○印のマークを入れ24時間経過後にトルエンで濡らしたキムワイプS200((株)クレシア製)で拭き取り、クリーニングの程度を以下の基準で評価した。
【0106】
◎:○印マークが完全に消失
○:○印マークのほとんどが消失
×:○印マークが薄く残り消失せず。
【0107】
実施例1
プラスチック製ビーカーに、シランカップリング剤A1−1を100重量部、シランカップリング剤A2−1を75.5重量部、DBTDL(2重量%溶液)を6.4重量部、消泡剤を0.1重量部加えて、卓上攪拌機を使用して撹拌し、均一に混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−1を727.3重量部加えて、さらに撹拌をし、均一に混合して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成を表1に示すとともに、評価方法1〜3により、塗膜の各種特性を評価した結果をそれぞれ表2〜4に示す。
【0108】
実施例2
プラスチック製ビーカーに、シランカップリング剤A1−2を100重量部、シランカップリング剤A2−3を62.1重量部、DBTDL(2重量%溶液)を10.4重量部加えて、卓上攪拌機を使用して撹拌し、均一に混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−1を977.5重量部加えて、さらに撹拌をし、均一に混合して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成を表1に示すとともに、評価方法1、評価方法4により、塗膜の各種特性を評価した結果をそれぞれ表2、表5に示す。
【0109】
なお、この組成物を、発泡スチロール板(縦100mm×横100mm×厚み30mm)の片面に、刷毛で1回塗装し、仕上がり状態を目視で観察すると、素地面を溶解することなく造膜できた。
【0110】
実施例3
プラスチック製ビーカーに、シランカップリング剤A1−1を100重量部、シランカップリング剤A2−2を58.6重量部、DBTDL(2重量%溶液)を9.9重量部加えて、卓上攪拌機を使用して撹拌し、均一に混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−2を536.2重量部加えて、さらに撹拌をし、均一に混合して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成を表1に示すとともに、評価方法1により、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0111】
実施例4
プラスチック製ビーカーに、シランカップリング剤A1−1を46.2重量部、シランカップリング剤A1−2を53.8重量部、シランカップリング剤A2−1を66.7重量部、DBTDL(2重量%溶液)を9.6重量部加えて、卓上攪拌機を使用して撹拌し、均一に混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−1を887.8重量部加えて、さらに撹拌をし、均一に混合して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成を表1に示すとともに、評価方法1により、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0112】
実施例5
プラスチック製ビーカーに、シランカップリング剤A1−1を100重量部、シランカップリング剤A2−1を33.5重量部、シランカップリング剤A2−4を33.2重量部、DBTDL(2重量%溶液)を6.4重量部、消泡剤を0.1重量部加えて、卓上攪拌機を使用して撹拌し、均一に混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−1を943.5重量部加えて、さらに撹拌をし、均一に混合して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成を表1に示すとともに、評価方法1、評価方法2により、塗膜の各種特性を評価した結果をそれぞれ表2、表3に示す。
【0113】
実施例6
プラスチック製ビーカーに、シランカップリング剤A1−2を100重量部、シランカップリング剤A2−3を61.8重量部、DBTDL(2重量%溶液)を8.6重量部加えて、卓上攪拌機を使用して撹拌し、均一に混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−2を795.3重量部加えて、さらに撹拌をし、均一に混合して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成を表1に示すとともに、評価方法1により、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0114】
実施例7
プラスチック製ビーカーに、シランカップリング剤A1−1を100重量部、シランカップリング剤A2−4を70重量部、DBTDL(2重量%溶液)を6重量部加えて、卓上攪拌機を使用して撹拌し、均一に混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−2を680重量部加えて、さらに撹拌をし、均一に混合して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成を表1に示すとともに、評価方法1により、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0115】
比較例1
プラスチック製ビーカーに、シランカップリング剤A1−1を100重量部、シランカップリング剤A3を135.6重量部、DBTDL(2重量%溶液)を14.2重量部加えて、卓上攪拌機を使用して撹拌し、均一に混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−1を1396.3重量部加えて、さらに撹拌をし、均一に混合して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成を表1に示すとともに、評価方法1により、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0116】
比較例2
プラスチック製ビーカーに、シランカップリング剤A1−2を100重量部、シランカップリング剤A1−3を60.3重量部、シランカップリング剤A2−1を64.4重量部、DBTDL(2重量%溶液)を10.3重量部加えて、卓上攪拌機を使用して撹拌し、均一に混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−2を842.7重量部加えて、さらに撹拌すると、発熱し、著しく粘性が増大し、安定な組成物(混合溶液)を得ることはできなかった。この組成物について、その組成を表1に示す。
【0117】
比較例3
プラスチック製ビーカーに、シランカップリング剤A1−1を100重量部、シランカップリング剤A1−4を35重量部、シランカップリング剤A2−4を40重量部、DBTDL(2重量%溶液)を10.6重量部加えて、卓上攪拌機を使用して撹拌し、均一に混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−1を1007.4重量部加えて、さらに撹拌すると、発熱し、著しく粘性が増大し、安定な組成物(混合溶液)を得ることはできなかった。この組成物について、その組成を表1に示す。
【0118】
比較例4
プラスチック製ビーカーに、シランカップリング剤A1−3を100重量部、シランカップリング剤A2−3を57.2重量部、DBTDL(2重量%溶液)を8重量部加えて、卓上攪拌機を使用して撹拌し、均一に混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−1を757重量部加えて、さらに撹拌すると、発熱し、著しく粘性が増大し、安定な組成物(混合溶液)を得ることはできなかった。この組成物について、その組成を表1に示す。
【0119】
比較例5
プラスチック製ビーカーに、シランカップリング剤A2−3を83.4重量部、シランカップリング剤A3を100重量部、DBTDL(2重量%溶液)を10.2重量部加えて、卓上攪拌機を使用して撹拌し、均一に混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−2を855.3重量部加えて、さらに撹拌をし、均一に混合して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成を表1に示すとともに、評価方法1により、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
【表2】

【0122】
表2から明らかなように、実施例1〜7で得られた塗膜は、比較例1及び5と比べて、鉛筆硬度が高く、基材に対する付着性も高い。また、透明性及び光沢に優れ、外観がよい。さらに、耐水性やクリーニング性に優れ、基材の腐食や劣化を有効に防止できる。実施例1〜7の組成物は、刷毛塗り作業性が高く、所望の厚みを容易に形成でき、特に薄膜を形成できた。
【0123】
【表3】

【0124】
表3から明らかなように、実施例1及び5で得られた塗膜は、鉛筆硬度が高く、耐屈曲性も高い。また、各種耐性(耐水性、耐塩水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐トルエン性)やクリーニング性に優れ、基材の腐食や劣化を有効に防止できる。
【0125】
【表4】

【0126】
表4から明らかなように、実施例1の組成物を塗装した場合、赤錆面及び除錆面の両方で優れた防錆性が認められ、プライマー層を設けて2度塗りした比較対象と同等の効果が得られた。
【0127】
【表5】

【0128】
表5から明らかなように、ポリカーボネート板のような弱溶剤性プラスチックにも特別のプライマーを塗ることなく、塗装可能である。この塗装物は、薄膜であっても、硬度が高く、基材に対する付着性も高いため、塗膜物性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の無溶剤型硬化性樹脂組成物は、塗液中のVOC成分の割合が小さく、特に造膜段階でのVOC発生も極端に小さく、塗膜物性に優れるため、種々の用途、例えば、建造物や構造物などの表面仕上げ用、機械及び器具などの表面仕上げ用、下水道やガスなどの各種配管の表面及び内面用、家電製品や家具、日用品などの表面仕上げ用、コンテナや容器などの表面及び内面用、各種車両外板塗装膜の保護仕上げ用、さらにはポリカーボネートやABSなどのプラスチック板、発泡スチロールなどの表面改質用としても好適である。また、各種建造物や構造物(例えば、床、壁、天井、下水道施設、道路、鉄道、空港滑走路、港湾設備、水中設備又はこれらの付帯設備、トンネル内壁など)、特にセメントやコンクリート、木材などで形成され、粗面を有する建造物や構造物や、段差などの凹凸形状を有する各種製品に有用である。さらに、繊維製品などの表面仕上げ用、各種天然石の粗粒や人工着色粗粒を配合したコンクリート床の多彩仕上げ用、発泡ウレタンなどの細片を配合した保温及び断熱仕上げ用、又はこれらの製品又はこれらの製品と他の製品との接着用などに有用である。
【0130】
本発明の硬化性樹脂組成物は耐ダートコレクション性及びクリーニング性に優れるため、冬期道路上に散布される凍結防止剤や海岸地帯の海塩粒子による自動車車両ホイールなどの金属部の腐食防止用に好適なコーティング用としても有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2級アミノ基及び第3級アミノ基から選択された少なくとも一種のアミノ基を有するアミノ基含有シランカップリング剤(A1)と、エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)と、ポリイソシアネート(B)とで構成されている無溶剤型硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
アミノ基含有シランカップリング剤(A1)及びエポキシ基含有シランカップリング剤(A2)が、それぞれ1分子中に少なくとも2以上の加水分解縮合性基を有する請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
アミノ基含有シランカップリング剤(A1)が、少なくとも第3級アミノ基含有シランカップリング剤で構成されている請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
エポキシ基含有シランカップリング剤(A2)が、グリシジル基及び脂環式エポキシ基から選択された少なくとも一種のエポキシ基を有する化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
アミノ基含有シランカップリング剤(A1)及びエポキシ基含有シランカップリング剤(A2)の加水分解縮合性基の合計1モルに対して、ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基の割合が0.1〜5モルである請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
アミノ基含有シランカップリング剤(A1)とエポキシ基含有シランカップリング剤(A2)との割合(重量比)が、前者/後者=90/10〜20/80である請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
塗料、コーティング剤又は接着剤である請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の無溶剤型硬化性樹脂組成物を基材に適用して、塗膜を形成する方法。

【公開番号】特開2010−235652(P2010−235652A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81987(P2009−81987)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(394017631)セラスター塗料株式会社 (3)
【出願人】(507194017)株式会社高速道路総合技術研究所 (33)
【出願人】(505398941)東日本高速道路株式会社 (66)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(505398963)西日本高速道路株式会社 (105)
【Fターム(参考)】