説明

無線タグ通信装置及び無線タグ管理システム

【課題】 消費電力を抑えて効率的な無線タグ管理を行う無線タグ通信装置及び無線タグ管理システムを提供する。
【解決手段】 無線タグ14との間の通信指向性を順次切り換えるように制御する指向性制御部34と、その指向性制御部34により切り換えられるそれぞれの通信指向性における前記無線タグ14からの返信信号を比較し、その比較結果に基づいてその無線タグ14の移動を判定する無線タグ移動判定部64とを、含むことから、前記無線タグ14との間で必要十分な通信を行うことでその無線タグ14の移動を判定することができる。すなわち、消費電力を抑えて効率的な無線タグ管理を行う無線タグ通信装置12を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の無線タグとの間で非接触にて情報の通信を行う無線タグ通信装置及びその無線タグ通信装置を用いた無線タグ管理システムの改良に関し、特に、消費電力を抑えて効率的な無線タグ管理を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の情報が記憶された小型の無線タグ(応答器)から所定の無線タグ通信装置(質問器)により非接触にて情報の読み出しを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。このRFIDシステムは、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても無線タグ通信装置との通信によりその無線タグに記憶された情報を読み出すことが可能であることから、商品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
【0003】
斯かるRFIDシステムの一利用形態として、物品管理等への実用が考えられている。例えば、特許文献1に記載された貸出用収納物管理方式がそれである。この技術によれば、管理対象の物品である貸出用管理物それぞれに上記無線タグを貼り付け、上記無線タグ通信装置によりそれら無線タグとの間で情報の通信を行うことにより、好適に物品の検索乃至は管理ができるとされている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−79328号公報
【0005】
しかし、前記従来の技術では、前記無線タグ通信装置が常に電波(質問波)を送信し続けることから、他の機器の雑音源になる可能性があることに加え、消費電力がかさむという弊害があった。このため、消費電力を抑えて効率的な無線タグ管理を行う無線タグ通信装置及び無線タグ管理システムの開発が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、消費電力を抑えて効率的な無線タグ管理を行う無線タグ通信装置及び無線タグ管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる目的を達成するために、本第1発明の要旨とするところは、無線タグに向けて所定の送信信号を送信すると共に、その送信信号に応じて前記無線タグから返信される返信信号を受信することでその無線タグとの間で情報の通信を行う無線タグ通信装置であって、前記無線タグとの間の通信指向性を順次切り換えるように制御する指向性制御部と、その指向性制御部により切り換えられるそれぞれの通信指向性における前記無線タグからの返信信号を比較し、その比較結果に基づいてその無線タグの移動を判定する無線タグ移動判定部とを、含むことを特徴とするものである。
【0008】
また、前記目的を達成するために、本第2発明の要旨とするところは、上記第1発明の無線タグ通信装置を少なくとも1つ備え、前記無線タグとの間で情報の通信を行うことでその無線タグを管理する無線タグ管理システムである。
【発明の効果】
【0009】
このように、前記第1発明によれば、前記無線タグとの間の通信指向性を順次切り換えるように制御する指向性制御部と、その指向性制御部により切り換えられるそれぞれの通信指向性における前記無線タグからの返信信号を比較し、その比較結果に基づいてその無線タグの移動を判定する無線タグ移動判定部とを、含むことから、前記無線タグとの間で必要十分な通信を行うことでその無線タグの移動を判定することができる。すなわち、消費電力を抑えて効率的な無線タグ管理を行う無線タグ通信装置を提供することができる。
【0010】
ここで、前記第1発明において、好適には、前記指向性制御部は、先ず、前記無線タグとの間の通信指向性を初期設定とし、前記無線タグが検出可能範囲から外れた場合には、前記無線タグとの間の通信指向性を所定の方向に切り換えるものである。このようにすれば、実用的な態様で前記無線タグの移動を判定することができる。
【0011】
また、好適には、所定の位置に固定して設けられた複数のアンテナにより前記無線タグとの間で情報の通信を行うものである。このようにすれば、実用的な態様で前記無線タグの移動を判定することができる。
【0012】
また、前記第2発明によれば、前記第1発明の無線タグ通信装置を少なくとも1つ備え、前記無線タグとの間で情報の通信を行うことでその無線タグの存在する位置を管理するものであることから、前記無線タグとの間で必要十分な通信を行うことでその無線タグの移動を判定することができる。すなわち、消費電力を抑えて効率的な無線タグ管理を行う無線タグ管理システムを提供することができる。
【0013】
ここで、前記第2発明は、好適には、所定の第1方向に沿って配設された複数の前記無線タグ通信装置を備えたものである。このようにすれば、前記第1方向に沿って移動する前記無線タグを好適に管理することができる。
【0014】
また、好適には、前記無線タグ管理システムは、所定の領域内における無線タグを管理するものであって、その領域内外間における無線タグの通行を判定する第1の前記無線タグ通信装置と、前記領域内において前記第1方向に沿って配設された複数の第2の前記無線タグ通信装置とを、備えたものである。このようにすれば、前記領域内において前記第1方向に沿って移動する前記無線タグを好適に管理することができる。
【0015】
また、好適には、前記無線タグからの返信信号が受信されない時点においては、少なくとも1つの無線タグ通信装置から指向性方向を初期設定として前記送信信号を送信するものである。このようにすれば、実用的な態様で前記無線タグの移動を判定することができる。
【0016】
また、好適には、所定の無線タグ通信装置により前記無線タグが前記第1方向に移動したと判定される場合には、その第1方向に隣接して配設された他の無線タグ通信装置にその無線タグの移動を判定させるものである。このようにすれば、実用的な態様で前記無線タグの移動を判定することができる。
【0017】
また、好適には、所定の無線タグ通信装置により前記無線タグが前記第1方向とは異なる所定の第2方向に移動したと判定される場合には、その無線タグの移動結果を決定するものである。このようにすれば、実用的な態様で前記無線タグの移動結果を決定することができる。
【0018】
また、好適には、前記無線タグの移動結果を登録するための所定のデータベースを有するものであり、所定の無線タグ通信装置により前記無線タグが前記第1方向とは異なる所定の第2方向に移動したと判定される場合には、前記データベースの登録内容を更新するものである。このようにすれば、実用的な態様で前記無線タグの移動結果を前記データベースに反映させることができる。
【0019】
また、好適には、所定の無線タグ通信装置により前記無線タグが前記領域外に移動したと判定される場合には、前記データベースの登録内容を更新するものである。このようにすれば、実用的な態様で前記無線タグの前記領域外への移動を前記データベースに反映させることができる。
【0020】
また、好適には、前記領域内における前記無線タグの移動を判定する第3の前記無線タグ通信装置を備えたものである。このようにすれば、前記領域内における前記無線タグの移動を更に好適に管理することができる。
【0021】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の一実施例である無線タグ管理システム10を概略的に説明する図であり、破線より上側は検知領域A1の平面図を、下側はネットワーク図をそれぞれ示している。この図1に示すように、本実施例の無線タグ管理システム10は、複数(図1では2つ)の検知領域A1、A2にそれぞれ設置された複数の無線タグ通信装置12によりそれら検知領域内の無線タグ14との間で非接触にて情報の通信を行うことで、それら無線タグ14の検知を行う所謂RFID(Radio Frequency Identification)システムであり、例えば、後述するように管理対象である管理物22それぞれに上記無線タグ14を貼り付け、それら管理物22の検索乃至は管理を行うため等に好適に用いられる。
【0023】
上記検知領域A1は、例えば、少なくとも1箇所(図1では1箇所のみ)に出入口16exを有する室16内部の空間であり、単数乃至は複数(図1ではn+2台)の据置式無線タグ通信装置12w1、・・・、12wn-2、12wn−1、12wn、12ex、12bp(以下、特に区別しない場合には単に無線タグ通信装置12と称する)と、複数(図1では3つ)の無線タグ14a、14b、14c(以下、特に区別しない場合には単に無線タグ14と称する)と、上記複数の無線タグ通信装置12を制御する制御装置18A1(検知領域A2には制御装置18A2が対応し、以下、特に区別しない場合には単に制御装置18と称する)を、備えている。なお、上記無線タグ14cは、前記検知領域A1外に配設されている。また、上記無線タグ管理システム10には、それぞれの検知領域内における無線タグ14に関する情報を記憶するデータベースサーバ24と、そのデータベースサーバ24に接続された映像表示装置である複数(図1ではk台)のモニタ26m1、26m2、・・・、26mk(以下、特に区別しない場合には単にモニタ26と称する)とが設けられており、LAN20等で接続されることにより上記無線タグ通信装置12及び制御装置18との間で情報の通信が可能とされている。なお、図1に示す検知領域A2は、上述した検知領域A1と同様に構成されているためその説明を省略し、以下の実施例では専ら検知領域A1について説明する。
【0024】
図2は、前記検知領域A1における無線タグ14の保管領域とその検知領域A1に設置された無線タグ通信装置12について詳しく説明する概略平面図である。この図2に示すように、前記検知領域A1には、前記無線タグ14が貼り付けられた管理物22乃至はそれを持つ人が通行し得る通路16を間に挟んで、それら管理物22を保管(格納)するための複数(図2では2n)に区分された保管領域a1、a2、・・・、an−2、an−1、an、b1、b2、・・・、bn−2、bn−1、bn(以下、特に区別しない場合には単に保管領域aと称する)が設けられており、前記無線タグ14が貼り付けられた管理物22は、それら保管領域aの何れかに格納され、保管されるようになっている。
【0025】
前記無線タグ通信装置12は、前記無線タグ管理システム10における役割に応じて3種類に分類できる。すなわち、前記室16の出入口16ex近傍に設置された第1のスキャナ(出入口スキャナ)である無線タグ通信装置12exと、前記検知領域A1内において所定の第1方向すなわち上記通路16に沿って配設された第2のスキャナ(通路スキャナ)である無線タグ通信装置12w1、・・・、12wn-2、12wn−1、12wnと、上記保管領域an−2と保管領域an−1の境界に設置された第3のスキャナ(バイパススキャナ)である無線タグ通信装置12bpとが、前記制御装置18からの指令に応じて、後述するようにそれぞれ異なる役割を果たす。
【0026】
図3は、前記無線タグ通信装置12の電気的構成を説明する図である。この図3に示すように、前記無線タグ通信装置12は、送信信号の主搬送波を発生させるための主搬送波発生部28と、その主搬送波発生部28により発生させられた主搬送波を後述する送信データ生成部52により生成された送信情報信号(送信データ)に基づいて変調して上記送信信号を生成する送信信号変調部30と、その送信信号変調部30により変調された送信信号を上記無線タグ14に向けて送信すると共に、その送信信号に応じてその無線タグ14から返信される返信信号を受信するための複数(図2では3本)の送受信アンテナ素子32a、32b、32c(以下、特に区別しない場合には単に送受信アンテナ素子32と称する)と、それら複数の送受信アンテナ素子32から送信される送信信号の送信指向性を制御すると共に、それら複数の送受信アンテナ素子32により受信される受信信号の受信指向性を制御するための指向性制御部34と、その指向性制御部34から供給される送信信号を各送受信アンテナ素子32に供給すると共に、それら送受信アンテナ素子32により受信された受信信号をその指向性制御部34に供給する複数(図2では3つ)の送受信分離部36a、36b、36c(以下、特に区別しない場合には単に送受信分離部36と称する)と、所定の周波数の局発信号を発生させる局部発振器38と、上記指向性制御部34から供給される受信信号それぞれにその局部発振器38により発生させられる局発信号を掛け合わせることでダウンコンバートする複数(図2では3つ)のダウンコンバータ40a、40b、40c(以下、特に区別しない場合には単にダウンコンバータ40と称する)と、それらダウンコンバータ40によりダウンコンバートされた受信信号の復調処理をはじめとする上記無線タグ通信装置12の動作を制御するDSP42とを、備えて構成されている。ここで、上記送受信分離部36としては、サーキュレータ若しくは方向性結合器等が好適に用いられる。
【0027】
上記指向性制御部34は、上記送信信号変調部30から供給される送信信号それぞれの位相を制御する複数(図2では3つ)の送信信号位相制御部44a、44b、44c(以下、特に区別しない場合には単に送信信号位相制御部44と称する)と、それぞれの振幅を制御する複数(図2では3つ)の送信信号振幅制御部46a、46b、46c(以下、特に区別しない場合には単に送信信号振幅制御部46と称する)とを、備えており、それら送信信号位相制御部44及び送信信号振幅制御部46を介して上記複数の送受信アンテナ素子32から送信される送信信号それぞれの位相及び振幅を制御することでその送信信号の送信指向性を制御する。また、上記複数の送受信分離部36から供給される受信信号それぞれの位相を制御する複数(図2では3つ)の受信信号位相制御部48a、48b、48c(以下、特に区別しない場合には単に受信信号位相制御部48と称する)と、それぞれの振幅を制御する複数(図2では3つ)の受信信号振幅制御部50a、50b、50c(以下、特に区別しない場合には単に受信信号振幅制御部50と称する)とを、備えており、それら受信信号位相制御部48及び受信信号振幅制御部50を介して上記複数の送受信アンテナ素子32により受信された受信信号それぞれの位相及び振幅を制御することでその受信信号の受信指向性を制御する。
【0028】
上記DSP42は、CPU、ROM、及びRAM等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータであり、送信データの生成、送信信号位相制御部44及び送信信号振幅制御部46の制御量の決定、受信信号位相制御部48及び受信信号振幅制御部50の制御量の決定、前記無線タグ14に向けて前記送信信号を送信する送信制御、その送信信号に応じて前記無線タグ14から返信される返信信号を受信する受信制御、受信された受信信号を復調する復調制御、前記LAN20を介しての前記制御装置18乃至はデータベースサーバ24等との通信制御、及び無線タグ14の移動判定制御等を実行する。斯かる制御を実行するため、送信データ生成部52、送信制御部54、受信制御部56、受信信号合成部58、受信信号復調部60、無線タグ位置検出部62、無線タグ移動判定部64、及び通信インターフェイス66を機能的に備えている。
【0029】
送信データ生成部52は、前記送信信号を変調するための所定の送信情報信号である送信データを生成して前記送信信号変調部30に供給する。送信制御部54は、前記制御装置18からの指令に従って前記無線タグ14に対して送信信号を送信する送信制御を行う。また、前記複数の送受信アンテナ素子32から送信される送信信号それぞれの位相(及び必要に応じて振幅)を制御し、その送信信号の送信指向性を制御する送信フェイズドアレイ制御を行う。すなわち、前記指向性制御部34を介して各送信信号の位相を制御することにより前記複数の送受信アンテナ素子32から成る送信アンテナを送信用フェイズドアレイアンテナ(Phased Array Antenna)として制御する。或いは、前記指向性制御部34を介して各送信信号の位相及び振幅を受信信号の品質が向上するように制御することにより前記複数の送受信アンテナ素子32から成る送信アンテナを送信用アダプティブアレイアンテナ(Adaptive Array Antenna)として制御する。
【0030】
受信制御部56は、前記複数の送受信アンテナ素子32により受信される受信信号それぞれの位相(及び必要に応じて振幅)を制御することによりその受信信号の受信指向性を制御する。すなわち、前記指向性制御部34を介して各受信信号の位相を制御することにより前記複数の送受信アンテナ素子32から成る受信アンテナを受信用フェイズドアレイアンテナとして制御する。或いは、前記指向性制御部34を介して各受信信号の位相及び振幅を受信信号の品質が向上するように制御することにより前記複数の送受信アンテナ素子32から成る受信アンテナを受信用アダプティブアレイアンテナとして制御する。好適には、後述する受信信号合成部58における前記受信信号の合成量が可及的に大きくなるように前記受信信号の受信指向性を定める。
【0031】
受信信号合成部58は、前記複数の送受信アンテナ素子32によりそれぞれ受信される受信信号を合成する。上記受信制御部56により前記指向性制御部34を介してそれぞれ位相及び振幅が制御された受信信号がこの受信信号合成部58により合成されることで、前記複数の送受信アンテナ素子32から成る受信アンテナの受信指向性が定まる。
【0032】
受信信号復調部60は、上記受信信号合成部58により合成された前記複数の送受信アンテナ素子32からの受信信号を復調する。好適には、AM方式により受信信号をAM復調した後、その復調信号をFM復号して前記無線タグ14により返信された情報信号を読み出す。
【0033】
無線タグ位置検出部62は、前記検知領域A1内に存在する前記無線タグ14の位置を検出する。好適には、前記受信信号合成部58における前記受信信号の合成量が可及的に大きくなるように前記受信制御部56により定められた受信指向性と、その時点における受信信号の強度とに応じて通信対象である無線タグ14の位置を検出する。
【0034】
無線タグ移動判定部64は、前記指向性制御部34により切り換えられるそれぞれの通信指向性における前記無線タグ14からの返信信号を比較し、その比較結果に基づいてその無線タグ14の移動を判定する。例えば、所定の通信指向性において前記無線タグ14からの返信信号の強度が弱くなった場合乃至は受信できなくなった際に、前記指向性制御部34により通信指向性を切り換え、その新たな通信指向性において前記無線タグ14から十分な強さの返信信号が得られた場合には、前記無線タグ14はその新たな通信指向性に対応する方向へ移動したものと判定する。
【0035】
通信インターフェイス66は、前記LAN20を介して前記制御装置18等との間で情報の通信を行う。例えば、前記制御装置18からの指令を受信したり、前記無線タグ14との間で情報の通信を行った結果(移動判定結果)を前記制御装置18乃至はデータベースサーバ24へ送信する等の制御を行う。
【0036】
図4は、前記無線タグ14の構成を説明する図である。この図4に示すように、前記無線タグ14は、前記無線タグ通信装置12との間で信号の送受信を行うためのアンテナ部68と、そのアンテナ部68により受信された信号を処理するためのIC回路部70とを、備えて構成されている。そのIC回路部70は、上記アンテナ部68により受信された前記無線タグ通信装置12からの質問波(送信信号)を整流する整流部72と、その整流部72により整流された質問波のエネルギを蓄積するための電源部74と、上記アンテナ部68により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部82に供給するクロック抽出部76と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部78と、上記アンテナ部68に接続されて信号の変調及び復調を行う変復調部80と、上記整流部72、クロック抽出部76、及び変復調部80等を介して上記無線タグ14の作動を制御するための制御部82とを、機能的に含んでいる。この制御部82は、前記無線タグ通信装置12と通信を行うことにより上記メモリ部78に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部68により受信された質問波を上記変復調部80において上記メモリ部78に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで応答波として上記アンテナ部68から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。この無線タグ14は、例えば、管理対象である管理物22に関する情報を上記メモリ部78に記憶した上で図5に示すようにその管理物22に貼り付けられ、その管理物22の位置乃至は移動を管理するために用いられる。
【0037】
ここで、前記第1の無線タグ通信装置12exは、前記検知領域A1内外間における無線タグ14の通行を判定する。前記検知領域A1は室16の内部であり、斯かる室16には1箇所の出入口16exのみが設けられているため、この出入口16exを通行する無線タグ14を検出することで前記検知領域A1内外間における無線タグ14の通行、すなわちその検知領域A1から外部への持ち出し或いは内部への持ち込みを判定できる。また、好適には、前記無線タグ14からの返信信号が受信されない時点においては、その他の無線タグ通信装置12から送信信号は送信せず、前記無線タグ通信装置12exのみから指向性方向を初期設定として送信信号を送信する。前記制御装置18は、好適には、この第1の無線タグ通信装置12exにより前記検知領域A1内外間における無線タグ14の通行が判定されてはじめて他の無線タグ通信装置12を起動する。このように、前記無線タグ通信装置12exでは、必ずしも前記無線タグ14との間の通信指向性を切り換えなくともよいため、前記指向性制御部34等、指向性制御に関する構成を備えない態様も考えられる。
【0038】
また、前記第2の無線タグ通信装置12w1、・・・、12wn-2、12wn−1、12wn(以下、特に区別しない場合には単に無線タグ通信装置12と称する)は、前記通路16に沿って運搬される管理物22に貼り付けられた無線タグ14の移動を判定すると共に、その無線タグ14が前記保管領域aの何れに保管されたかを判定する。これら無線タグ通信装置12における前記送受信アンテナ素子32は、例えば、平板状のパッチアンテナであり、前記通路16上の天井部に固定される等の態様で配設されている。
【0039】
図15は、前記無線タグ通信装置12による通信指向性の切り換えについて説明する図である。この図15に示すように、前記無線タグ通信装置12は、好適には、先ず、前記無線タグ14との間の通信指向性を第1の方向すなわち前記通路16に沿った方向(図15に示す第1方向及び第2方向)とし、前記無線タグ14が検出可能範囲から外れた場合には、その無線タグ14との間の通信指向性を第2の方向すなわち前記保管領域aの方向(図15に示す第3方向及び第4方向)に切り換える。そして、前記無線タグ14がその第2の方向に移動したと判定される場合には、その無線タグ14の移動結果を決定する。例えば、前記無線タグ通信装置12wn−2により前記無線タグ14が保管領域an−2の方向へ移動したと判定される場合には、その無線タグ14が保管領域an−2に保管(格納)されたという移動結果を決定する。また、前記無線タグ14が検出可能範囲から外れ、通信指向性を第2の方向としても検出できない場合には、前記無線タグ14は前記通路16に沿って第1の方向へ移動したと判定する。前記制御装置18は、所定の無線タグ通信装置12により前記無線タグ14が前記第1方向に移動したと判定される場合には、その第1方向に隣接して配設された他の無線タグ通信装置12にその無線タグ14の移動を判定させる。例えば、前記無線タグ通信装置12wn−2により前記無線タグ14が前記第1方向に移動したと判定される場合には、前記通路16に沿って隣接して配設された無線タグ通信装置12wn−1(又は無線タグ通信装置12wn−3)にその無線タグ14の移動を判定させる。また、前記第2の方向における前記無線タグ14の検出において、受信感度が最高となるように受信指向性を切り換えることで、その無線タグ14の方向及び距離を詳細に検出することができる。
【0040】
また、前記第3の無線タグ通信装置12bpは、前記複数の保管領域a相互間における無線タグ14の移動を判定する。例えば、前記保管領域an−2及び保管領域an−1における無線タグ14の存在する位置を検出し、一方から他方への移動があった場合にはそれを判定する。或いは、前記保管領域an−2の方向と保管領域an−1の方向とで通信指向性を切り換えるというように、検知対象である保管領域aに対応して2方向に通信指向性を切り換えてもよい。このように、前記無線タグ通信装置12exでは、必ずしも前記無線タグ14との間の通信指向性を切り換えなくともよいため、前記指向性制御部34等、指向性制御に関する構成を備えない態様も考えられる。
【0041】
図7は、前記データベースサーバ24に記憶される前記無線タグ14の移動結果及びそれら無線タグ14に対応する管理物22の情報を例示する図である。この図7に示すように、前記データベースサーバ24には、前記保管領域(保管ブロック)毎に保管されている無線タグ14のID(RFIDタグID)、その無線タグ14が貼り付けられている管理物22の内容(パレット内容)、入庫時間及び出荷予定時間が記憶されるようになっている。なお、好適には、前記データベースサーバ24には、前記無線タグ14それぞれのIDに対応する管理物22の内容が予め登録されており、その無線タグ14のIDを読み出すことで管理対象である管理物22の内容を照会できるようになっている。また、出荷予定時間は、前記モニタ26に備えられた図示しない入力装置によって入力される。前記制御装置18は、前記第1の無線タグ通信装置12exによって前記検知領域A1外への無線タグ14の持ち出しが判定された場合には、前記データベースサーバ24の登録内容を更新してその持ち出しを反映させる。また、前記第2の無線タグ通信装置12によって前記無線タグ14の移動結果が決定された場合には、前記データベースサーバ24の登録内容を更新してその移動結果を反映させる。また、前記第3の無線タグ通信装置12bpによって前記無線タグ14の保管領域a相互間における移動が判定された場合には、前記データベースサーバ24の登録内容を更新してその移動結果を反映させる。
【0042】
図8は、前記制御装置18による前記検知領域A1内における無線タグ管理制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0043】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記無線タグ通信装置12のうち何れかが無指向性(初期設定の通信指向性)にて前記通路16における前記無線タグ14を検出するために送信信号を送信する。次に、SAにおいて、図9に示す読み取り処理が実行される。次に、S2において、無線タグ14が検知されたか否か、すなわちS1にて送信された送信信号に応じて前記無線タグ14から返信された返信信号が受信されたか否かが判断される。このS2の判断が否定される場合には、S1以下の処理が再び実行されるが、S2の判断が肯定される場合には、S3において、前記無線タグ14を検知したのが出入口のスキャナすなわち前記第1の無線タグ通信装置12exであったか否かが判断される。このS3の判断が肯定される場合には、SBにおいて、図10に示す出入口スキャナ処理が実行された後、本ルーチンが終了させられるが、S3の判断が否定される場合には、S4において、前記無線タグ14を検知したのが通路のスキャナすなわち前記第2の無線タグ通信装置12であったか否かが判断される。このS4の判断が肯定される場合には、SCにおいて、図11a乃至図11cに示す通路スキャナ処理が実行された後、本ルーチンが終了させられるが、S4の判断が否定される場合には、SDにおいて、図12に示すバイパススキャナ処理が実行された後、本ルーチンが終了させられる。
【0044】
図9は、前記無線タグ通信装置12による前記無線タグ14の読み取り処理を説明するフローチャートである。この制御では、先ず、SA1において、前記無線タグ14に向けてIDを問い合わせるための送信信号が送信される。次に、SA1にて送信された送信信号に応じた前記無線タグ14からの返信信号が所定時間待たれる。次に、SA3において、前記無線タグ14からの返信信号が受信され、その受信信号が復調されて前記無線タグ14のIDが読み取られた後、メインルーチンへ復帰させられる。
【0045】
図10の出入口スキャナ処理では、先ず、SB1において、所定時間が経過した後も前記無線タグ通信装置12exにより前記無線タグ14が検知されたか否かが判断される。このSB1の判断が肯定されるうちは、SB1の判断が繰り返されることにより待機させられるが、SB1の判断が否定される場合には、SB2において、前記通路16に沿って前記第2方向に隣接して配設された第2の無線タグ通信装置12を動作させる。次に、上述したSAにおいて、図9に示す読み取り処理が実行される。次に、SB3において、前記通路16に沿って前記第2方向に隣接して配設された無線タグ通信装置12により前記無線タグ14が検知されたか否かが判断される。このSB3の判断が否定される場合には、それをもってメインルーチンへ復帰させられるが、SB3の判断が肯定される場合には、SCにおいて、図11a乃至図11cに示す通路スキャナ処理が実行された後、メインルーチンへ復帰させられる。
【0046】
図11a乃至図11cの通路スキャナ処理では、先ず、図11aのSC1において、前記無線タグ14からの受信信号が復調されてその無線タグ14のIDが読み取られ、前記データベースサーバ24へのアクセスが行われる。次に、SC2において、SC1にて読み取られた無線タグ14のIDが前記データベースサーバ24に記憶されているか否かが判断される。このSC2の判断が肯定される場合には、SC4以下の処理が実行されるが、SC2の判断が否定される場合には、SC3において、SC1にて読み出された新たな無線タグ14のID及びその保管領域a等の情報が前記データベースサーバ24に登録された後、SC4において、所定時間が経過した後も前記無線タグ通信装置12により前記無線タグ14が検知されたか否かが判断される。このSC4の判断が肯定されるうちは、SC4の判断が繰り返されることにより待機させられるが、SC4の判断が否定される場合には、SC5において、前述した図15に示す第1方向に隣接して無線タグ通信装置12が配設されているか否かが判断される。このSC5の判断が否定される場合には、SC8以下の処理が実行されるが、SC5の判断が肯定される場合には、SC6において、前記通路16に沿った第1方向に隣接して配設された無線タグ通信装置12が動作させられる。次に、SC7において、SC6にて動作させられたのが出入口スキャナすなわち前記無線タグ通信装置12exであるか否かが判断される。このSC7の判断が肯定される場合には、SC9以下の処理が実行されるが、SC7の判断が否定される場合には、前述したSAにおいて、図9に示す読み取り処理が実行された後、SC8において、前記無線タグ14が検知されたか否かが判断される。このSC8の判断が肯定される場合には、SC4以下の処理が再び実行されるが、SC8の判断が否定される場合には、図11bのSC13以下の処理が実行される。SC9においては、所定時間が経過した後も前記無線タグ通信装置12exにより前記無線タグ14が検知されたか否かが判断される。このSC9の判断が肯定されるうちは、SC9の判断が繰り返されることにより待機させられるが、SC9の判断が否定される場合には、SC10において、前述した図15に示す第2方向に隣接して配設された無線タグ通信装置12が動作させられる。次に、前述したSAにおいて、図9に示す読み取り処理が実行される。次に、SC11において、前記無線タグ14が検知されたか否かが判断される。このSC11の判断が肯定される場合には、SC4以下の処理が再び実行されるが、SC11の判断が否定される場合には、SC12において、前記データベースサーバ24に記憶された前記無線タグ14の情報が更新される、すなわち前記検知領域A1内から所定の無線タグ14が持ち出されたという情報が登録された後、メインルーチンへ復帰させられる。
【0047】
図11bのSC13においては、前記通路16に沿った第2方向に隣接して無線タグ通信装置12が配設されているか否かが判断される。このSC13の判断が否定される場合には、SC16以下の処理が実行されるが、SC13の判断が肯定される場合には、SC14において、前記通路16に沿った第2方向に隣接して配設された無線タグ通信装置12が動作させられる。次に、SC15において、SC14にて動作させられたのが出入口スキャナすなわち前記無線タグ通信装置12exであるか否かが判断される。このSC15の判断が肯定される場合には、SC17以下の処理が実行されるが、SC15の判断が否定される場合には、前述したSAにおいて、図9に示す読み取り処理が実行された後、SC16において、前記無線タグ14が検知されたか否かが判断される。このSC16の判断が肯定される場合には、図11aのSC4以下の処理が再び実行されるが、SC16の判断が否定される場合には、図11cのSC21以下の処理が実行される。SC17においては、所定時間が経過した後も前記無線タグ通信装置12exにより前記無線タグ14が検知されたか否かが判断される。このSC17の判断が肯定されるうちは、SC17の判断が繰り返されることにより待機させられるが、SC17の判断が否定される場合には、SC18において、前記通路16に沿った第1方向に隣接して配設された無線タグ通信装置12が動作させられる。次に、前述したSAにおいて、図9に示す読み取り処理が実行される。次に、SC19において、前記無線タグ14が検知されたか否かが判断される。このSC19の判断が肯定される場合には、図11aのSC4以下の処理が再び実行されるが、SC19の判断が否定される場合には、SC20において、前記データベースサーバ24に記憶された前記無線タグ14の情報が更新される、すなわち前記検知領域A1内から所定の無線タグ14が持ち出されたという情報が登録された後、メインルーチンへ復帰させられる。
【0048】
図11cのSC21においては、前記無線タグ通信装置12の通信指向性が第2の方向すなわち前記保管領域aの方向に切り換えられる。次に、SC22において、前記無線タグ通信装置12の通信指向性が前述した図15に示す第3方向に向けられる。次に、前述したSAにおいて、図9に示す読み取り処理が実行される。次に、SC23において、前記無線タグ14が検知されたか否かが判断される。このSC23の判断が肯定される場合には、SC27において、前記無線タグ14の方向及び距離が検出される。次に、SC28において、前記データベースサーバ24に記憶された前記無線タグ14の情報が更新される、すなわちSC27にて検出された方向及び距離に所定の無線タグ14が保管されたという情報が登録された後、メインルーチンへ復帰させられる。SC24においては、前記無線タグ通信装置12の通信指向性が前述した図15に示す第4方向に向けられる。次に、前述したSAにおいて、図9に示す読み取り処理が実行される。次に、SC25において、前記無線タグ14が検知されたか否かが判断される。このSC25の判断が肯定される場合には、SC27以下の処理が実行されるが、SC25の判断が否定される場合には、SC26において、通信エラーであると判定された後、メインルーチンへ復帰させられる。
【0049】
図12に示すバイパススキャナ処理では、先ず、SD1において、前記無線タグ通信装置12bpの通信指向性が一方から他方へ切り換えられる。次に、SD2において、前記無線タグ14の方向及び距離が検出される。次に、SD3において、前記データベースサーバ24に記憶された前記無線タグ14の情報が更新される、すなわち検知対象である保管領域aの一方から他方へ前記無線タグ14が移動したという情報が登録された後、メインルーチンへ復帰させられる。以上の制御において、SA、SB、SC、及びSDが前記無線タグ移動判定部64の動作に対応する。
【0050】
このように、本実施例によれば、前記無線タグ14との間の通信指向性を順次切り換えるように制御する指向性制御部34と、その指向性制御部34により切り換えられるそれぞれの通信指向性における前記無線タグ14からの返信信号を比較し、その比較結果に基づいてその無線タグ14の移動を判定する無線タグ移動判定部64(SA、SB、SC、及びSD)とを、含むことから、前記無線タグ14との間で必要十分な通信を行うことでその無線タグ14の移動を判定することができる。すなわち、消費電力を抑えて効率的な無線タグ管理を行う無線タグ通信装置12を提供することができる。
【0051】
また、前記指向性制御部34は、先ず、前記無線タグ14との間の通信指向性を初期設定とし、前記無線タグ14が検出可能範囲から外れた場合には、前記無線タグ14との間の通信指向性を所定の方向に切り換えるものであるため、実用的な態様で前記無線タグ14の移動を判定することができる。
【0052】
また、所定の位置に固定して設けられた複数の送受信アンテナ素子32により前記無線タグ14との間で情報の通信を行うものであるため、実用的な態様で前記無線タグ14の移動を判定することができる。
【0053】
また、前記無線タグ通信装置12を少なくとも1つ備え、前記無線タグ14との間で情報の通信を行うことでその無線タグ14の存在する位置を管理するものであることから、前記無線タグ14との間で必要十分な通信を行うことでその無線タグ14の移動を判定することができる。すなわち、消費電力を抑えて効率的な無線タグ管理を行う無線タグ管理システム10を提供することができる。
【0054】
また、所定の第1方向に沿って配設された複数の前記無線タグ通信装置12を備えたものであるため、前記第1方向に沿って移動する前記無線タグ14を好適に管理することができる。
【0055】
また、前記無線タグ管理システム10は、所定の検知領域A1内における無線タグ14を管理するものであって、その検知領域A1内外間における無線タグ14の通行を判定する第1の前記無線タグ通信装置12exと、前記検知領域A1内において前記第1方向に沿って配設された複数の第2の前記無線タグ通信装置12とを、備えたものであるため、前記検知領域A1内において前記第1方向に沿って移動する前記無線タグ14を好適に管理することができる。
【0056】
また、前記無線タグ14からの返信信号が受信されない時点においては、少なくとも1つの無線タグ通信装置12から指向性方向を初期設定として前記送信信号を送信するものであるため、実用的な態様で前記無線タグ14の移動を判定することができる。
【0057】
また、所定の無線タグ通信装置12により前記無線タグ14が前記第1方向に移動したと判定される場合には、その第1方向に隣接して配設された他の無線タグ通信装置12にその無線タグ14の移動を判定させるものであるため、実用的な態様で前記無線タグ14の移動を判定することができる。
【0058】
また、所定の無線タグ通信装置12により前記無線タグ14が前記第1方向とは異なる所定の第2方向に移動したと判定される場合には、その無線タグ14の移動結果を決定するものであるため、実用的な態様で前記無線タグ14の移動結果を決定することができる。
【0059】
また、前記無線タグ14の移動結果を登録するための所定のデータベースサーバ24を有するものであり、所定の無線タグ通信装置12により前記無線タグ14が前記第1方向とは異なる所定の第2方向に移動したと判定される場合には、前記データベースサーバ24の登録内容を更新するものであるため、実用的な態様で前記無線タグ14の移動結果を前記データベースサーバ24に反映させることができる。
【0060】
また、前記無線タグ通信装置12exにより前記無線タグ14が前記検知領域A1外に移動したと判定される場合には、前記データベースサーバ24の登録内容を更新するものであるため、実用的な態様で前記無線タグ14の前記検知領域A1外への移動を前記データベースサーバ24に反映させることができる。
【0061】
また、前記検知領域A1内における前記無線タグ14の移動を判定する第3の無線タグ通信装置12bpを備えたものであるため、前記検知領域A1内における前記無線タグ14の移動を更に好適に管理することができる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0063】
例えば、前述の実施例において、前記無線タグ通信装置12は、通信対象である無線タグ14との間で情報の通信を行うためにパッチアンテナである複数の送受信アンテナ素子34を備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ダイポールアンテナや八木アンテナをはじめとする別のアンテナを備えたものであってもよい。また、図13及び図14は、本発明の無線タグ通信装置に好適に用いられるエスパアンテナ(Esper Antennas)86を例示しており、図13は送信モード、図14は受信モードを示している。これらの図に示すように、上記エスパアンテナ86は、主素子86a及び従素子86bから成り、キャパシタ容量を制御することでその主素子86が反射器或いは導波器として機能するため、簡便に可変指向性を実現できる。斯かるエスパアンテナ86を用いて前記無線タグ14との通信指向性を切り換える無線タグ通信装置であっても前述した発明の効果が得られる。すなわち、本発明の無線タグ通信装置には、使用態様等に応じて様々なアンテナが適宜選択されて用いられる。
【0064】
また、前述の実施例において、前記無線タグ位置検出部62等は、前記無線タグ通信装置12のDSP42に機能的に備えられたものであったが、そのDSP42とは別個の制御装置として設けられたものであっても構わない。
【0065】
また、前述の実施例において、前記第2の無線タグ通信装置12exは、図2に示すように直線状の通路16に沿って配設されていたが、湾曲した通路に沿ってそれら無線タグ通信装置12exが配設された態様においても本実施例の効果は得られる。すなわち、前記1方向は必ずしも直線的な方向とは限らない。
【0066】
また、前述の実施例では、前記制御装置18とデータベースサーバ24とがLAN20によって接続されて相互に情報の遣り取りが可能とされていたが、前記制御装置18に前記無線タグ14の移動結果を登録するためのデータベースを備えたものであってもよく、前記データベースサーバ24は必ずしも設けられなくともよい。また、所定の無線タグ通信装置12が前記制御装置18の機能を有するものであっても構わない。
【0067】
また、前述の実施例において、前記送受信アンテナ素子32は平面状のパッチアンテナから構成され、天井に配置されるとしたが、ダイポールアンテナ等その他のアンテナを用いてもよい。また、図6の部分断面図に示すように、掘り下げられた前記通路16の底面に固定され、樹脂84によって埋められる等して設けられるものであってもよい。
【0068】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施例である無線タグ管理システムを概略的に説明する図であり、破線より上側は検知領域の平面図を、下側はネットワーク図をそれぞれ示している。
【図2】図1の検知領域における無線タグの保管領域とその検知領域に設置された無線タグ通信装置について詳しく説明する概略平面図である。
【図3】図1の無線タグ管理システムに備えられた無線タグ通信装置の電気的構成を説明する図である。
【図4】図1の無線タグ管理システムの管理対象である無線タグの電気的構成を説明する図である。
【図5】図4の無線タグが貼り付けられる管理物を例示する斜視図である。
【図6】図3の無線タグ通信装置におけるアンテナ素子が配設されている様子を示す部分断面図である。
【図7】図1の無線タグ管理システムに備えられたデータベースサーバに記憶される無線タグの移動結果及びそれら無線タグに対応する管理物の情報を例示する図である。
【図8】図1の無線タグ管理システムに備えられた制御装置による検知領域内における無線タグ管理制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【図9】図8の制御の一部として実行される図3の無線タグ通信装置による読み取り処理を説明するフローチャートである。
【図10】図8の制御の一部として実行される出入口スキャナ処理を説明するフローチャートである。
【図11a】図8の制御の一部として実行される通路スキャナ処理を説明するフローチャートの一部である。
【図11b】図8の制御の一部として実行される通路スキャナ処理を説明するフローチャートの一部である。
【図11c】図8の制御の一部として実行される通路スキャナ処理を説明するフローチャートの一部である。
【図12】図8の制御の一部として実行されるバイパススキャナ処理を説明するフローチャートである。
【図13】本発明の無線タグ通信装置に好適に用いられるエスパアンテナを例示しており、送信モードを示している。
【図14】本発明の無線タグ通信装置に好適に用いられるエスパアンテナを例示しており、受信モードを示している。
【図15】図2の無線タグ通信装置による通信指向性の切り換えについて説明する図である。
【符号の説明】
【0070】
10:無線タグ管理システム
12:無線タグ通信装置
12ex:第1の無線タグ通信装置
12:第2の無線タグ通信装置
12bp:第3の無線タグ通信装置
14:無線タグ
24:データベースサーバ
32:送受信アンテナ素子
34:指向性制御部
64:無線タグ移動判定部
86a:主素子(アンテナ素子)
86b:従素子(アンテナ素子)
A1、A2:検知領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグに向けて所定の送信信号を送信すると共に、該送信信号に応じて前記無線タグから返信される返信信号を受信することで該無線タグとの間で情報の通信を行う無線タグ通信装置であって、
前記無線タグとの間の通信指向性を順次切り換えるように制御する指向性制御部と、
該指向性制御部により切り換えられるそれぞれの通信指向性における前記無線タグからの返信信号を比較し、その比較結果に基づいて該無線タグの移動を判定する無線タグ移動判定部と
を、含むことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項2】
前記指向性制御部は、先ず、前記無線タグとの間の通信指向性を初期設定とし、前記無線タグが検出可能範囲から外れた場合には、前記無線タグとの間の通信指向性を所定の方向に切り換えるものである請求項1の無線タグ通信装置。
【請求項3】
所定の位置に固定して設けられた複数のアンテナにより前記無線タグとの間で情報の通信を行うものである請求項1又は2の無線タグ通信装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れかの無線タグ通信装置を少なくとも1つ備え、前記無線タグとの間で情報の通信を行うことで該無線タグの存在する位置を管理する無線タグ管理システム。
【請求項5】
所定の第1方向に沿って配設された複数の前記無線タグ通信装置を備えたものである請求項4の無線タグ管理システム。
【請求項6】
前記無線タグ管理システムは、所定の領域内における無線タグを管理するものであって、該領域内外間における無線タグの通行を判定する第1の前記無線タグ通信装置と、前記領域内において前記第1方向に沿って配設された複数の第2の前記無線タグ通信装置とを、備えたものである請求項5の無線タグ管理システム。
【請求項7】
前記無線タグからの返信信号が受信されない時点においては、少なくとも1つの無線タグ通信装置から指向性方向を初期設定として前記送信信号を送信するものである請求項4から6の何れかの無線タグ管理システム。
【請求項8】
所定の無線タグ通信装置により前記無線タグが前記第1方向に移動したと判定される場合には、該第1方向に隣接して配設された他の無線タグ通信装置に該無線タグの移動を判定させるものである請求項5から7の何れかの無線タグ管理システム。
【請求項9】
所定の無線タグ通信装置により前記無線タグが前記第1方向とは異なる所定の第2方向に移動したと判定される場合には、該無線タグの移動結果を決定するものである請求項5から8の何れかの無線タグ管理システム。
【請求項10】
前記無線タグの移動結果を登録するための所定のデータベースを有するものであり、所定の無線タグ通信装置により前記無線タグが前記第1方向とは異なる所定の第2方向に移動したと判定される場合には、前記データベースの登録内容を更新するものである請求項5から9の何れかの無線タグ管理システム。
【請求項11】
所定の無線タグ通信装置により前記無線タグが前記領域外に移動したと判定される場合には、前記データベースの登録内容を更新するものである請求項10の無線タグ管理システム。
【請求項12】
前記領域内における前記無線タグの移動を判定する第3の前記無線タグ通信装置を備えたものである請求項5から11の何れかの無線タグ管理システム。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−229683(P2006−229683A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−42106(P2005−42106)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】