説明

無線中継局装置、無線基地局装置及びリレー周波数割り当て方法

【課題】リレー伝送技術を用いた無線通信システムにおいては、バックホールリンクにおける無線リンク容量を最適に制御すると共に、アクセスリンクにおけるスループットを増大させること。
【解決手段】本発明のリレー周波数割り当て方法においては、無線基地局装置から前記無線基地局装置配下の移動端末装置までのバックホールリンク及び/又は無線中継局装置から前記無線中継局装置配下の移動端末装置までのアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する工程と、キャリアアグリゲーションを適用する際に前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する周波数帯域を割り当てる工程と、割り当てられた周波数帯域で前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LTE−A(Long Term Evolution-Advanced)システムにおいて、リレー伝送技術を利用する無線中継局装置、無線基地局装置及びリレー周波数割り当て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、第3世代移動通信システムの発展規格であるLTE(Long Term Evolution)からのさらなる高速・大容量通信を実現する第4世代移動通信システムとして、LTE−Advanced(LTE−A)の標準化が進められている。LTE−Aは、高速・大容量通信の実現に加え、セル端ユーザのスループット向上を重要課題としており、その一手段として、無線基地局装置〜移動端末装置間の無線伝送を中継するリレー技術が検討されている。リレーを用いることで、有線バックホールリンクの確保が困難な場所などで、効率的にカバレッジを拡大できることが期待される。
【0003】
リレー技術においては、レイヤ1リレー、レイヤ2リレー、レイヤ3リレーがある。レイヤ1リレーは、ブースター、若しくはリピータとも呼ばれる中継技術であり、無線基地局装置からの下り受信RF信号を電力増幅して移動端末装置に送信するAF(Amplifier and Forward)型中継技術である。移動端末装置からの上り受信RF信号も、同様に電力増幅して無線基地装置に送信される。レイヤ2リレーは、無線基地局装置からの下り受信RF信号を復調・復号後、再度符号化・変調を行い、移動端末装置に送信するDF(Decode and Forward)型中継技術である。レイヤ3リレーは、無線基地局装置からの下り受信RF信号を復号後、復調・復号処理に加えて、ユーザデータを再生してから、再度無線でユーザデータ伝送を行うための処理(秘匿、ユーザデータ分割・結合処理など)を行い、符号化・変調後に移動端末装置に送信する中継技術である。現在3GPPにおいては、雑音除去による受信特性の向上、標準仕様検討、及び実装上の容易性の観点から、レイヤ3リレー技術について標準化が進められている。
【0004】
図1は、レイヤ3リレーによる無線中継技術の概要を示す図である。レイヤ3リレーの無線中継局装置(RN)は、ユーザデータ再生処理、変復調、及び符号・復号処理を行うことに加え、無線基地局装置(eNB)と異なる固有のセルID(PCI:Physical Cell ID)を持つことを特徴とする。これにより、移動端末装置(UE)は、無線中継局装置が提供するセルBを、無線基地局装置が提供するセルAとは異なるセルとして認識する。また、CQI(Channel Quality Indicator)、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)などの物理層の制御信号は、無線中継局装置で終端されるため、無線中継局装置は移動端末装置から見て、無線基地局装置として認識される。したがって、LTEの機能のみを有する移動端末装置も無線中継局装置に接続することができる。
【0005】
また、無線基地局装置〜無線中継局装置間のバックホールリンク(Un)、及び無線中継局装置〜移動端末装置間のアクセスリンク(Uu)は、異なる周波数若しくは同一の周波数で運用することが考えられ、後者の場合、無線中継局装置で送受信処理を同時に行うと、送受信回路内で十分なアイソレーションが確保できない限り、送信信号が無線中継局装置の受信機に回り込み、干渉を引き起こす。このため、図2に示すように、同一周波数(f1)で運用する場合は、バックホールリンク及びアクセスリンクの無線リソース(eNB送信とリレー送信)を時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)し、無線中継局装置において送受信が同時に行われないよう制御する必要がある(非特許文献1)。このため、例えば、下りリンクでは、無線中継局装置は、無線基地局装置からの下り信号を受信している間、移動端末装置に対して下り信号を送信することはできない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP,TR36.814
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したようなリレー伝送技術を用いた無線通信システムにおいては、バックホールリンクにおける無線リンク容量を最適に制御すると共に、アクセスリンクにおけるスループットを増大させることが望まれている。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、リレー伝送技術を用いた無線通信システムにおいては、バックホールリンクにおける無線リンク容量を最適に制御すると共に、アクセスリンクにおけるスループットを増大させることができる無線中継局装置、無線基地局装置及びリレー周波数割り当て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の無線中継局装置は、無線中継局装置から前記無線中継局装置配下の移動端末装置までのアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する決定手段と、キャリアアグリゲーションを適用する際に前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する周波数帯域を割り当てる割り当て手段と、割り当てられた周波数帯域で前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する送信手段と、を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の無線基地局装置は、無線基地局装置から前記無線基地局装置配下の移動端末装置までのバックホールリンク及び/又は無線中継局装置から前記無線中継局装置配下の移動端末装置までのアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する決定手段と、キャリアアグリゲーションを適用する際に前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する周波数帯域を割り当てる割り当て手段と、割り当てられた周波数帯域で前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する送信手段と、を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明のリレー周波数割り当て方法は、無線基地局装置から前記無線基地局装置配下の移動端末装置までのバックホールリンク及び/又は無線中継局装置から前記無線中継局装置配下の移動端末装置までのアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する工程と、キャリアアグリゲーションを適用する際に前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する周波数帯域を割り当てる工程と、割り当てられた周波数帯域で前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、無線基地局装置から前記無線基地局装置配下の移動端末装置までのバックホールリンク及び/又は無線中継局装置から前記無線中継局装置配下の移動端末装置までのアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定し、キャリアアグリゲーションを適用する際に前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する周波数帯域を割り当て、割り当てられた周波数帯域で前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信するので、リレー伝送技術を用いた無線通信システムにおいては、バックホールリンクにおける無線リンク容量を最適に制御すると共に、アクセスリンクにおけるスループットを増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】リレー伝送技術を説明するための図である。
【図2】バックホールリンク及びアクセスリンクの無線リソースを説明するための図である。
【図3】キャリアアグリゲーションを説明するための図である。
【図4】本発明に係るリレー周波数割り当て方法の一例を説明するための図である。
【図5】本発明に係るリレー周波数割り当て方法の他の例を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る無線基地局装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る移動端末装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
LTE−Aシステムにおいては、LTEシステムとのバックワードコンパチビリティを保つことができるように、図3に示すような周波数利用帯域を採る。図3は、下りリンクで移動通信が行われる際の周波数使用状態を説明するための図である。図3に示す例は、複数のコンポーネントキャリア(CC)で構成される相対的に広い第1システム帯域を持つ第1移動通信システムであるLTE−Aシステムと、相対的に狭い(ここでは、一つのコンポーネントキャリアで構成される)第2システム帯域を持つ第2移動通信システムであるLTEシステムが併存する場合の周波数使用状態である。LTE−Aシステムにおいては、例えば、100MHz以下の可変のシステム帯域幅で無線通信し、LTEシステムにおいては、20MHz以下の可変のシステム帯域幅で無線通信する。LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域を一単位とする少なくとも一つの基本周波数領域(コンポーネントキャリア:CC)となっている。このように複数の基本周波数領域を一体として広帯域化することをキャリアアグリゲーションという。
【0015】
例えば、図3においては、LTE−Aシステムのシステム帯域は、LTEシステムのシステム帯域(ベース帯域:20MHz)を一つのコンポーネントキャリアとする5つのコンポーネントキャリアの帯域を含むシステム帯域(20MHz×5=100MHz)となっている。図3においては、移動端末装置UE(User Equipment)#1は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動端末装置であり、100MHzのシステム帯域を持ち、UE#2は、LTE−Aシステム対応(LTEシステムにも対応)の移動端末装置であり、40MHz(20MHz×2=40MHz)のシステム帯域を持ち、UE#3は、LTEシステム対応(LTE−Aシステムには対応せず)の移動端末装置であり、20MHz(ベース帯域)のシステム帯域を持つ。
【0016】
本発明者らは、このキャリアアグリゲーションに着目し、リレー伝送技術を用いた無線通信システムにキャリアアグリゲーションを適用することにより、バックホールリンクにおける無線リンク容量を最適に制御すると共に、アクセスリンクにおけるスループットを増大させることができることを見出し本発明をするに至った。
【0017】
本発明においては、無線基地局装置から前記無線基地局装置配下の移動端末装置までのバックホールリンク及び/又は無線中継局装置から前記無線中継局装置配下の移動端末装置までのアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定し、キャリアアグリゲーションを適用する際に前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する周波数帯域を割り当て、割り当てられた周波数帯域で前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する。
【0018】
この場合、図4に示すように、バックホールリンク(Un)の帯域幅(ここでは、コンポーネントキャリア(CC))f1,f2と、アクセスリンク(Uu)帯域幅(ここでは、コンポーネントキャリア(CC))f3,f4とが異なっていても良く、図5に示すようにバックホールリンク(Un)の帯域幅(CC)f1,f2と、アクセスリンク(Uu)帯域幅(CC)f1,f3とが一部同じであっても良い。また、バックホールリンク(Un)の帯域幅(CC)と、アクセスリンク(Uu)帯域幅(CC)とがすべて同じであっても良い。
【0019】
この場合において、キャリアアグリゲーションの適用を判断するための情報である適用判断情報に基づいて、バックホールリンク及び/又はアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。ここで、適用判断情報としては、移動端末装置の数、移動端末装置への無線リソース割り当て量、リレー伝送に用いるMBSFNサブフレーム数、無線中継局装置におけるバッファ状態、無線中継局装置配下の移動端末装置の伝搬路状態及び/又は無線基地局装置配下の移動端末装置の伝搬路状態、無線基地局装置から無線中継局装置までのバックホールリンクリンクの周波数帯域及び/又はアクセスリンクの周波数帯域、並びに無線基地局装置から無線中継局装置までのバックホールリンクリンク伝搬路状態及び/又はアクセスリンクの伝搬路状態を挙げることができる。
【0020】
(1)適用判断情報が移動端末装置の数の場合
この場合においては、無線中継局装置は、無線中継局装置配下の移動端末装置の数により、アクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。また、無線基地局装置は、無線中継局装置(RN:リレーノード)配下の移動端末装置(リレーUE)の数及び/又は無線基地局装置(マクロeNB)配下の移動端末装置(マクロUE)の数により、バックホールリンク及び/又はアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。
【0021】
例えば、リレーUE数が増大した場合には、キャリアアグリゲーションを適用することにより、バックホールリンク(又は、アクセスリンクの)無線リンク容量を増大(ユーザスループットの増大)させることができ、リレーUE数が減少した場合には、キャリアアグリゲーションを適用せず、バックホールリンク(又は、アクセスリンクの)無線リンク容量を減少(ユーザスループットの減少)させることができる。なお、無線基地局装置において、キャリアアグリゲーションの適用を制御する場合には、必要に応じて、リレーUE数を示す情報をHigher layer signalingにより無線中継局装置から無線基地局装置に通知してもよい。
【0022】
(2)適用判断情報が移動端末装置への無線リソース割り当て量の場合
この場合においては、無線中継局装置は、無線中継局装置配下の移動端末装置の無線リソース割り当て量により、アクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。また、無線基地局装置は、リレーUEの無線リソース割り当て量及び/又はマクロUEの無線リソース割り当て量数により、バックホールリンク及び/又はアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。
【0023】
例えば、リレーUE数に割り当てる無線リソース量が増大した場合には、キャリアアグリゲーションを適用することにより、バックホールリンク(又は、アクセスリンクの)無線リンク容量を増大(ユーザスループットの増大)させることができ、リレーUE数に割り当てる無線リソース量が減少した場合には、キャリアアグリゲーションを適用せず、バックホールリンク(又は、アクセスリンクの)無線リンク容量を減少(ユーザスループットの減少)させることができる。なお、無線基地局装置において、キャリアアグリゲーションの適用を制御する場合には、必要に応じて、リレーUE数に割り当てる無線リソース量を示す情報をHigher layer signalingにより無線中継局装置から無線基地局装置に通知してもよい。
【0024】
(3)適用判断情報がリレー伝送に用いるMBSFNサブフレーム数の場合
この場合においては、無線中継局装置は、アクセスリンクのMBSFNサブフレーム数により、アクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。また、無線基地局装置は、アクセスリンクのMBSFNサブフレーム数及び/又はバックホールリンクのMBSFNサブフレーム数により、バックホールリンク及び/又はアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。ここで、MBSFNサブフレームとは、放送型コンテンツの多数ユーザへの同時配信サービス(MBMS:Multimedia Broadcast Multicast Service)を単一周波数ネットワークで提供するためのバックホール(MBSFN:MBMS over a Single Frequency Network)サブフレームである。
【0025】
例えば、アクセスリンクのMBSFNサブフレーム数が6の場合には、アクセスリンクにキャリアアグリゲーションを適用することにより、移動端末装置にデータを送信することが可能な無線サブフレーム数を増加させることができ、MBSFNサブフレーム数が0の場合には、キャリアアグリゲーションを適用せず、周波数リソースを効率的に利用することができる。このように、MBSFNサブフレーム数の制約を考慮することにより、より最適な(効率の良い)リレー伝送を行うことが可能となる。なお、無線基地局装置において、キャリアアグリゲーションの適用を制御する場合には、必要に応じて、アクセスリンクのMBSFNサブフレーム数を示す情報をHigher layer signalingにより無線中継局装置から無線基地局装置に通知してもよい。
【0026】
(4)適用判断情報が無線中継局装置におけるバッファ状態の場合
この場合においては、無線中継局装置は、無線中継局装置におけるバッファ状態により、アクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。また、無線基地局装置は、無線中継局装置におけるバッファ状態により、バックホールリンク及び/又はアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。
【0027】
例えば、無線中継局装置のバッファが空(エンプティ)に近い状態にあるときには、バックホールリンクに対してキャリアアグリゲーションを適用することにより、無線中継装置により多くの無線リソースを割り当てることができ、無線中継局装置のバッファがオーバフロー状態に近い状態にあるときには、バックホールリンクに対してキャリアアグリゲーションを適用せず、無線中継局装置への無線リソース割り当て量を制限することができる。また、例えば、無線中継局装置のバッファがオーバフロー状態に近い状態にあるときには、アクセスリンクに対してキャリアアグリゲーションを適用することにより、無線中継局装置のバッファをより早く消費させることができ、無線中継局装置のバッファが空(エンプティ)に近い状態にあるときには、バックホールリンクに対してキャリアアグリゲーションを適用せず、移動端末装置への無線リソース割り当て量を制限することができる。このように、無線中継局装置のバッファがオーバフロー状態を考慮することにより、より最適な(効率の良い)リレー伝送を行うことができる。なお、無線基地局装置において、キャリアアグリゲーションの適用を制御する場合には、バッファ状態を示す情報をHigher layer signalingにより無線中継局装置から無線基地局装置に通知してもよい。
【0028】
(5)適用判断情報が、リレーUEの伝搬路状態及び/又はマクロUEの伝搬路状態の場合
この場合においては、無線中継局装置は、リレーUEの伝搬路状態により、アクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。また、無線基地局装置は、リレーUEの伝搬路状態及び/又はマクロUEの伝搬路状態により、バックホールリンク及び/又はアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。
【0029】
例えば、リレーUEの伝搬路状態及び/又はマクロUEの伝搬路状態(受信品質)が低いときには、キャリアアグリゲーションを適用することにより、無線中継局装置及び/又は移動端末装置により多くの無線リソースを割り当てることができ、リレーUEの伝搬路状態及び/又はマクロUEの伝搬路状態(受信品質)が高いときには、キャリアアグリゲーションを適せず、周波数リソースを効率的に利用することができる。このように、リレーUEの伝搬路状態及び/又はマクロUEの伝搬路状態を考慮することにより、より最適な(効率の良い)リレー伝送を行うことができる。なお、無線基地局装置において、キャリアアグリゲーションの適用を制御する場合には、必要に応じて、リレーUEの伝搬路状態を示す情報をHigher layer signalingにより無線中継局装置から無線基地局装置に通知してもよい。
【0030】
(6)適用判断情報が、バックホールリンクの周波数帯域及び/又はアクセスリンクの周波数帯域の場合
この場合においては、無線中継局装置は、アクセスリンクの周波数帯域により、アクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。また、無線基地局装置は、バックホールリンクの周波数帯域及び/又はアクセスリンクの周波数帯域により、バックホールリンク及び/又はアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。
【0031】
例えば、バックホールリンクの周波数帯域及び/又はアクセスリンクの周波数帯域が狭いときには、バックホールリンク及び/又はアクセスリンクにキャリアアグリゲーションを適用することにより、無線中継局装置及び/又は移動端末装置により多くの無線リソースを割り当てることができ、バックホールリンクの周波数帯域及び/又はアクセスリンクの周波数帯域が広いときには、キャリアアグリゲーションを適用せず、周波数リソースを効率的に利用することができる。このように、バックホールリンクの周波数帯域及び/又はアクセスリンクの周波数帯域を考慮することにより、より最適な(効率の良い)リレー伝送を行うことができる。なお、無線基地局装置において、キャリアアグリゲーションの適用を制御する場合には、必要に応じて、アクセスリンクの周波数帯域を示す情報をHigher layer signalingにより無線中継局装置から無線基地局装置に通知してもよい。
【0032】
(7)適用判断情報が、バックホールリンク伝搬路状態及び/又はアクセスリンクの伝搬路状態の場合
この場合においては、無線中継局装置は、アクセスリンクの伝搬路状態により、アクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。また、無線基地局装置は、バックホールリンクの伝搬路状態及び/又はアクセスリンクの伝搬路状態により、バックホールリンク及び/又はアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。
【0033】
例えば、バックホールリンクの伝搬路状態及び/又はアクセスリンクの伝搬路状態が低いときには、キャリアアグリゲーションを適用することにより、無線中継局装置及び/又は移動端末装置により多くの無線リソースを割り当てることができ、バックホールリンクの伝搬路状態及び/又はアクセスリンクの伝搬路状態が高いときには、キャリアアグリゲーションを適用せず、周波数リソースを効率的に利用することができる。このように、バックホールリンクの伝搬路状態及び/又はアクセスリンクの伝搬路状態を考慮することにより、より最適な(効率の良い)リレー伝送を行うことができる。なお、無線基地局装置において、キャリアアグリゲーションの適用を制御する場合には、必要に応じて、アクセスリンクの伝搬路状態を示す情報をHigher layer signalingにより無線中継局装置から無線基地局装置に通知してもよい。
【0034】
図6は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置(無線中継局装置)の概略構成を示すブロック図である。図6に示す無線基地局装置(無線中継局装置)は、送信部と、受信部とを備えている。ここでは、送信部側についてのみ説明する。
【0035】
図6に示す無線基地局装置は、データ信号生成部101と、キャリアアグリゲーション決定部102と、CC割り当て部103と、信号処理部104と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部105と、CP(Cyclic Prefix)挿入部106と主に構成されている。
【0036】
データ信号生成部101は、リレーノードに対して送信する下りリンクのデータ信号や、マクロUEに対して送信する下りリンクのデータ信号を生成する。データ信号生成部101は、これらの下りリンクのデータ信号を信号処理部104に出力する。
【0037】
キャリアアグリゲーション決定部102は、バックホールリンク及び/又はアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。キャリアアグリゲーション決定部102は、キャリアアグリゲーションの適用を判断するための情報である適用判断情報に基づいて、バックホールリンク及び/又はアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。なお、無線中継局装置におけるキャリアアグリゲーション決定部102は、アクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。キャリアアグリゲーション決定部102は、キャリアアグリゲーションを適用する場合に、その旨の制御信号をCC割り当て部103に出力する。
【0038】
ここで、上述したように、適用判断情報としては、移動端末装置の数、移動端末装置への無線リソース割り当て量、リレー伝送に用いるMBSFNサブフレーム数、無線中継局装置におけるバッファ状態、リレーUEの伝搬路状態及び/又はマクロUEの伝搬路状態、バックホールリンクリンクの周波数帯域及び/又はアクセスリンクの周波数帯域、並びにバックホールリンクリンク伝搬路状態及び/又はアクセスリンクの伝搬路状態を挙げることができる。
【0039】
CC割り当て部103は、キャリアアグリゲーションを適用する際に、バックホールリンク及び/又はアクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する周波数帯域(例えば、CC)を割り当てる。すなわち、無線基地局装置において、図4及び図5に示す場合には、周波数帯域f1,f2を割り当て、無線中継局装置において、図4に示す場合には、周波数帯域f3,f4を割り当て、図5に示す場合には、周波数帯域f1,f3を割り当てる。CC割り当て部103は、このような周波数割り当て情報をそれぞれの信号処理部104に出力する。
【0040】
信号処理部104は、複数(ここでは、CC毎(CC#1〜CC#M)に)設けられており、それぞれチャネル符号化部1041、変調部1042、マッピング部1043及び参照信号生成部1044を含む。
【0041】
チャネル符号化部1041は、下りリンクのデータ信号をチャネル符号化する。チャネル符号化部1041は、チャネル符号化後のデータ信号を変調部1042に出力する。変調部1042は、チャネル符号化後のデータを変調する。変調部1042は、データ変調後のデータ信号をマッピング部1043に出力する。マッピング部1043は、周波数領域の信号をリソース割り当て情報に基づき、サブキャリアにマッピングする。マッピング部1043は、マッピングされたデータ信号をIFFT部105に出力する。参照信号生成部1044は、参照信号を生成し、その参照信号をIFFT部105に出力する。IFFT部105は、データ信号及び参照信号をIFFTして時間領域の信号に変換する。IFFT部105は、IFFT後の信号をCP挿入部106に出力する。CP挿入部106は、IFFT後の信号にCPを挿入する。CPが挿入された信号は、割り当てられた周波数帯域でバックホールリンク(アクセスリンク)における下りリンクで送信される。
【0042】
図7は、本発明の実施の形態に係る移動端末装置の概略構成を示すブロック図である。図7に示す移動端末装置は、送信部と、受信部とを備えている。ここでは、受信部側についてのみ説明する。図7に示す移動端末装置の受信部は、CP除去部201と、FFT(Fast Fourier Transform)部202と、デマッピング部203と、下り送信データ復調部204とを有する。
【0043】
CP除去部201は、受信信号からCPを除去する。CP除去部201は、CP除去後の信号をFFT部202に出力する。FFT部202は、CP除去後の信号にFFT処理を行う。FFT部202は、FFT後の信号をデマッピング部203に出力する。デマッピング部203は、FFT後の信号をデマッピングし、デマッピング後の信号を下り送信データ復調部204に出力する。
【0044】
このような構成のリレー伝送を行う無線通信システムにおいては、無線基地局装置(無線中継局装置)のキャリアアグリゲーション決定部102で、バックホールリンク(あるいはアクセスリンク)においてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。この場合、キャリアアグリゲーションの適用を判断するための情報である適用判断情報に基づいて、バックホールリンク(あるいはアクセスリンク)においてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する。次いで、CC割り当て部103において、キャリアアグリゲーションを適用する際に、バックホールリンク(あるいはアクセスリンク)における下りリンク信号を送信する周波数帯域を割り当てる。そして、割り当てられた周波数帯域でバックホールリンク(あるいはアクセスリンク)における下りリンク信号を送信する。
【0045】
このように、本発明においては、バックホールリンク及び/又はアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定し、キャリアアグリゲーションを適用する際に前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する周波数帯域を割り当て、割り当てられた周波数帯域で前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信するので、リレー伝送技術を用いた無線通信システムにおいては、バックホールリンクにおける無線リンク容量を最適に制御すると共に、アクセスリンクにおけるスループットを増大させることができる。
【0046】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、LTE−Aシステムの無線中継局装置、無線基地局装置及リレー周波数割り当て方法に有用である。
【符号の説明】
【0048】
101 データ信号生成部
102 キャリアアグリゲーション決定部
103 CC割り当て部
104 信号処理部
105 IFFT部
106 CP挿入部
201 CP除去部
202 FFT部
203 デマッピング部
204 下り送信データ復調部
1041 チャネル符号化部
1042 変調部
1043 マッピング部
1044 参照信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線中継局装置から前記無線中継局装置配下の移動端末装置までのアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する決定手段と、キャリアアグリゲーションを適用する際に前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する周波数帯域を割り当てる割り当て手段と、割り当てられた周波数帯域で前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する送信手段と、を具備することを特徴とする無線中継局装置。
【請求項2】
前記決定手段は、キャリアアグリゲーションの適用を判断するための情報である適用判断情報に基づいて、前記アクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定することを特徴とする請求項1記載の無線中継局装置。
【請求項3】
前記適用判断情報は、前記無線中継局装置配下の移動端末装置の数であることを特徴とする請求項2記載の無線中継局装置。
【請求項4】
前記適用判断情報は、前記無線中継局装置配下の移動端末装置への無線リソース割り当て量であることを特徴とする請求項2記載の無線中継局装置。
【請求項5】
前記適用判断情報は、リレー伝送に用いるMBSFNサブフレーム数であることを特徴とする請求項2記載の無線中継局装置。
【請求項6】
前記適用判断情報は、前記無線中継局装置におけるバッファ状態であることを特徴とする請求項2記載の無線中継局装置。
【請求項7】
前記適用判断情報は、前記無線中継局装置配下の移動端末装置の伝搬路状態及び/又は無線基地局装置配下の移動端末装置の伝搬路状態であることを特徴とする請求項2記載の無線中継局装置。
【請求項8】
前記適用判断情報は、無線基地局装置から前記無線中継局装置までのバックホールリンクリンクの周波数帯域及び/又は前記アクセスリンクの周波数帯域であることを特徴とする請求項2記載の無線中継局装置。
【請求項9】
前記適用判断情報は、無線基地局装置から前記無線中継局装置までのバックホールリンクリンク伝搬路状態及び/又は前記アクセスリンクの伝搬路状態であることを特徴とする請求項2記載の無線中継局装置。
【請求項10】
無線基地局装置から前記無線基地局装置配下の移動端末装置までのバックホールリンク及び/又は無線中継局装置から前記無線中継局装置配下の移動端末装置までのアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する決定手段と、キャリアアグリゲーションを適用する際に前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する周波数帯域を割り当てる割り当て手段と、割り当てられた周波数帯域で前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する送信手段と、を具備することを特徴とする無線基地局装置。
【請求項11】
無線基地局装置から前記無線基地局装置配下の移動端末装置までのバックホールリンク及び/又は無線中継局装置から前記無線中継局装置配下の移動端末装置までのアクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定する工程と、キャリアアグリゲーションを適用する際に前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する周波数帯域を割り当てる工程と、割り当てられた周波数帯域で前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおける下りリンク信号を送信する工程と、を具備することを特徴とするリレー周波数割り当て方法。
【請求項12】
キャリアアグリゲーションの適用を判断するための情報である適用判断情報に基づいて、前記バックホールリンク及び/又は前記アクセスリンクにおいてキャリアアグリゲーションを適用するかどうかを決定することを特徴とする請求項11記載のリレー周波数割り当て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−223106(P2011−223106A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87265(P2010−87265)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】